JP2012111005A - 薄刃砥石 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に厚さが0.1mm以下の極薄となる金属結合相を用いた薄刃砥石において、切断の際の良好な切屑排出性や効率的なクーラントの供給は維持しつつ、砥石本体の強度および剛性を十分に確保して被切断物の寸法精度の向上や砥石寿命の延長を図る。
【解決手段】超砥粒3を金属結合相2によって保持した厚さ0.1mm以下の薄肉円板状の砥石本体1を有し、この砥石本体1の両側面4には、砥石本体1をその厚さ方向に貫通しない有底の凹溝6が周方向にずらされて形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、MLCC(積層セラミックスコンデンサ)等のグリーンシートの切断などに用いられる薄刃砥石に関するものである。
このような薄刃砥石としては、超砥粒を金属めっき相で保持した電鋳砥石やメタルボンド相で保持したメタルボンド砥石など、強度や剛性に優れて薄肉化が可能な金属結合相を用いたものが多用されている。そして、例えば特許文献1には、かかる薄刃砥石による切断の際の切屑の排出性を向上させて切断抵抗を低減するとともにクーラントの効率的な供給を図って冷却効果を高めるために、砥石本体をその厚さ方向に貫通するスリットを形成したものが提案されている。
特開2001−300853号公報
しかしながら、薄刃砥石の薄肉化が例えば0.1mm以下と極薄い範囲になると、特許文献1に記載されたように砥石本体をその厚さ方向に貫通するようなスリットを形成したのでは、砥石本体の強度が損なわれてしまい、切断時に砥石本体が蛇行して被切断物に寸法異常が生じたり、砥石本体の切刃とされる外周縁へのスリットの開口部において摩耗が大きくなって砥石寿命が短縮されたり、場合によってはスリットが起点となって砥石本体にクラックが入って破損が生じ、その時点で砥石寿命が潰えてしまったりするおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、特に厚さが0.1mm以下の極薄となる金属結合相を用いた薄刃砥石において、切断の際の良好な切屑排出性や効率的なクーラントの供給は維持しつつ、砥石本体の強度および剛性を十分に確保して被切断物の寸法精度の向上や砥石寿命の延長を図ることが可能な薄刃砥石を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、超砥粒を金属結合相によって保持した厚さ0.1mm以下の薄肉円板状の砥石本体を有し、この砥石本体の両側面には、該砥石本体をその厚さ方向に貫通しない有底の凹溝が周方向にずらされて形成されていることを特徴とする。
このように構成された薄刃砥石では、砥石本体の両側面に凹溝が形成されているので、切断時に外部から供給されるクーラントをこれらの凹溝を介して被切断物の切断部位に効率的に供給することができ、切断部位や砥石本体に生じる熱を抑えることができる。さらに、被切断物から生成される切屑をこれらの凹溝に収容してクーラントとともに円滑に排出することができ、切屑詰まりを防いで切れ味を向上させることにより切断抵抗の低減を図ることも可能となる。
そして、これらの凹溝は、砥石本体を貫通することのない有底のものであって、周方向に重ならないようにずらされて形成されているので、凹溝の溝底と反対側の側面との間には超砥粒を金属結合相によって保持した砥石本体部分が残されることになる。このため、凹溝部分を除いた両側面間の間隔である砥石本体の厚さが0.1mm以下の極薄であっても、砥石本体の強度や剛性を確保することが可能となるので、上記構成の薄刃砥石によれば、切断時の砥石本体の蛇行を防いで被切断物を高精度で切断することができる。
また、凹溝の溝底と反対側の側面との間に砥石本体部分が残されるため、貫通したスリットのように凹溝を起点として砥石本体が破損することも少なく、しかも砥石本体の切刃とされる外周縁への開口部も貫通したスリットと比べて小さくなるので、この部分での砥石本体の摩耗を抑制することもできて、砥石寿命の延長を促すことが可能となる。なお、金属結合相は、電鋳薄刃砥石のような金属めっき相であるのが一層確実に砥石本体の強度や剛性を確保することができて望ましいが、メタルボンド相のように金属を焼結した結合相であってもよい。
また、このような凹溝を、砥石本体の両側面の間で周方向に等間隔かつ交互に形成することにより、両側面間で周方向に隣接する凹溝同士の間隔に広狭が生じることがなくなるため、例えばこの間隔の広い部分で切屑が詰まりを生じて切断抵抗が増大したり、あるいは間隔の狭い部分で砥石本体の強度が損なわれたりするような事態が生じるのを、未然に防止することができる。
ところで、このような凹溝は、例えば凹溝のない薄刃砥石を製造した後に、その両側面に放電加工やレーザー加工などを施すことによって形成することも可能であるが、そのようにして凹溝を形成した薄刃砥石では、加工時の熱により砥石本体に反り等の変形や焼けを生じたりするおそれがある。このため、上記凹溝は、砥石本体の金属結合相を化学処理により部分的に除去して形成するのが望ましく、すなわち両側面の凹溝を形成しない部分をマスキングして砥石本体を硝酸や塩化鉄等の処理液に浸漬することにより金属結合相をエッチングによって化学的に除去して凹溝を形成すれば、熱による変形や焼けが生じることはない。
なお、凹溝の深さは、砥石本体の厚さの60%以下とされるのが望ましく、これよりも凹溝が深いと、凹溝の溝底と反対側の側面との間に残される砥石本体部分が薄くなりすぎて強度や剛性を十分に確保することができなくなり、切断時の蛇行や破損を確実に防止できなくなるおそれが生じる。ただし、この凹溝の深さが浅すぎても、上述の効果を十分に奏することができなくなるおそれが生じるため、この凹溝の深さは砥石本体の厚さの10%以上とされるのが望ましい。
また、この凹溝の幅についても、幅が大きすぎると砥石本体の両側面間の厚さが確保されている部分の面積が小さくなり、やはり強度や剛性を十分に確保することができなくなるおそれが生じるので、3mm以下とされるのが望ましい。ただし、この凹溝の幅が小さくなりすぎても、効率的にクーラントを供給したり切屑を収容して円滑に排出したりすることが困難となるおそれが生じるので、溝幅は0.5mm以上とされるのが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、砥石本体の両側面間の厚さが0.1mm以下の極薄の薄刃砥石であっても、切断時の発熱を抑えるとともに切断抵抗の低減を図りつつ、被切断物を長期に亙って安定して高精度に切断することが可能なる。
本発明の一実施形態を示す側面図である。 図1におけるZZ断面図である。 図2におけるA部分の拡大断面図である。
図1ないし図3は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態における薄刃砥石は電鋳薄刃砥石であり、すなわちその砥石本体1は、図3に示すようにNi等の金属めっき相よりなる金属結合相(ボンド相)2にダイヤモンド等の超砥粒3が均一に分散されて構成され、薄肉の図1に示すような軸線Oを中心とした円板状をなすように一体形成されている。
ただし、図2においては説明のため、砥石本体1の厚さが厚く示されているが、この砥石本体1の厚さt、すなわち円形をなす砥石本体1の両側面4間の間隔は0.1mm以下とされている。また、砥石本体1の中央部には、該砥石本体1をその厚さ方向(図2および図3において左右方向)に貫通する軸線Oを中心とした円形の取付孔5が形成されており、このため砥石本体1は厳密には薄肉円環板状を呈することになる。
そして、この砥石本体1の両側面4には、該砥石本体1を上記厚さ方向には貫通しない有底の凹溝6が、両側面4間で周方向にずらされて形成されている。ここで、本実施形態では、側面4には複数ずつの凹溝6が形成されていて、これらの凹溝6は、両側面4の間では周方向に等間隔かつ交互に形成されており、従って両側面4には同数の凹溝6が形成されることになって、片方の側面4に形成される凹溝6の周方向の間隔も、両側面4間の周方向に隣接する凹溝6同士の間隔の2倍の間隔で、等間隔とされている。
なお、個々の凹溝6は、軸線Oに対する半径方向においいては、砥石本体1の切刃とされる外周縁7に開口して内周側に向けて延び、ただし取付孔5には達することのないように形成されていて、この半径方向に直交する断面は略「コ」字状をなして側面4に開口させられ、かつ該半径方向に沿って略一定の断面形状、寸法とされている。さらに、この凹溝6の深さdは砥石本体1の上記厚さtの60%以上とされ、従って0.06mm以下とされるとともに、凹溝6の幅wは3mm以下とされている。
また、このような凹溝6は、砥石本体1を形成する金属結合相2を化学処理により部分的に超砥粒3ごと除去して形成される。すなわち、この金属結合相2が金属めっき相とされた本実施形態では、まず、超砥粒3を分散したNi等のめっき液中に台金を配置して、超砥粒3を取り込みつつ台金表面に金属めっき相を所定の厚さに析出させ、これを台金から剥離して円板状に成形するといった公知の電鋳法により、凹溝6が形成されていない両側面が平面とされた上記厚さtの砥石本体素材を製造する。
次いで、この砥石本体素材の両側面に、凹溝6を形成する部分を除いてマスキングを施す。そして、このマスキングを施した砥石本体素材を、硝酸や塩化鉄などのNi金属めっき相を溶解する処理液に浸漬することにより、マスキングが施されていない部分の金属めっき相を超砥粒ごとエッチングにより除去して凹溝6を形成する。従って、凹溝6の幅wはマスキングの開放部の幅によって調整可能であり、また凹溝6の深さdは処理液への砥石本体素材の浸漬時間や処理液の濃度等により調整可能である。
このように構成された薄刃砥石は、取付孔5に切断装置の主軸が挿入された上で、両側面4の内周部が上記厚さ方向の両側からフランジによって挟み込まれることにより、この主軸に砥石本体1が同軸に固定されて軸線O回りに回転させられ、フランジからはみ出た上記外周縁7が被切断物に切り込まれて該被切断物を切断する。従って、上記凹溝6の半径方向の長さは、この被切断物への切り込み深さよりも大きければよい。なお、切断時には被切断物の切断部位に向けてクーラントが例えばミスト状に供給される。
こうして被切断物を切断する際に、上記構成の薄刃砥石においては、砥石本体1の両側面4に形成された凹溝6に上記クーラントを保持して被切断物の切断部位に効率的に供給することができ、切断による摩擦熱を抑えるとともに潤滑効果を高めて切断抵抗を低減することができる。また、切断により被切断物から生成された切屑をこの凹溝6内に収容してクーラントとともに円滑に排出することができ、このような切屑が被切断物の切断部位に残されて砥石本体1との間に詰まりを生じるのを防いで、切刃とされる外周縁7に鋭い切れ味を維持することができ、これによっても切断抵抗の低減を図ることができる。
その一方で、この凹溝6は、特許文献1に記載の薄刃砥石のスリットとは異なり、砥石本体1をその厚さ方向に貫通することのない有底のものであって、しかも両側面4に形成されたもの同士で周方向にずらされて形成されているので、この凹溝6の溝底と、該凹溝6が形成された側面4とは反対側の側面4との間には、図3に示すように超砥粒3を金属結合相2によって保持した砥石本体1がt−dの厚さで残されることになり、これによって砥石本体1に高い強度と剛性を確保することができる。
従って、上記構成の薄刃砥石によれば、たとえ砥石本体1の厚さtが0.1mm以下の極薄のものであっても、切断時に砥石本体1の切刃とされる外周縁7が蛇行するのを防いで被切断物を高精度に切断することができ、切断された被切断物において寸法異常が生じたりするのを抑制あるいは防止することができる。また、こうして凹溝6と反対側の側面4との間に砥石本体1が残されることにより、凹溝6を起点として砥石本体1にクラックが入って破損が生じるようなことも起き難く、さらに切刃とされる外周縁7への凹溝6の開口部も、貫通したスリットよりは小さくなるので、この開口部での砥石本体1の摩耗も抑制することができて、砥石寿命を延長することができる。
さらに、本実施形態では、このような凹溝6が、砥石本体1の両側面4の間では周方向に等間隔かつ交互に形成されており、上述のように両側面4には同数の凹溝6が形成されて、片方の側面4に形成される凹溝6の周方向の間隔は、両側面4間の周方向に隣接する凹溝6同士の間隔の2倍の間隔で、等間隔とされる。すなわち、これら両側面4の凹溝6同士は互いに、図1に示すように一方の側面4の凹溝6が他方の側面4の周方向に隣接する凹溝6の中央に配置されることになるので、両側面4間で周方向に隣接する凹溝6同士の間隔に広狭が生じることがない。
このため、例えば周方向に隣接する凹溝6間に間隔の大きな部分が生じることによってこの部分で切屑の排出性が損なわれたりクーラントの供給が滞ったりするようなこともなく、より効果的に切断抵抗の低減を図ることができる。また、両側面4の凹溝6の間に位置する厚さtの砥石本体1部分もその周方向の長さが均一となるので、例えばこの長さが不均一で短い部分において凹溝6が近接するために砥石本体1の強度や剛性が部分的に確保できなくなるようなこともなく、一層確実に砥石寿命の延長を図るとともに高精度の切断を促すことができる。
さらにまた、本実施形態では、この凹溝6が、砥石本体1を形成する金属結合相2を化学処理により部分的に除去して形成されたものであり、放電加工やレーザー加工などによって凹溝を形成する場合のように砥石本体1に熱が生じることがない。このため、熱によって砥石本体1に反り等の変形や焼けが生じたりすることもなく、上述のような高精度の切断をさらに確実に行うことが可能となる。しかも、このような化学処理により金属結合相2を部分的に除去して形成された凹溝6は、上述のようにマスキングの開口幅を調整したり、処理液の濃度や浸漬時間を調整したりすることで、比較的正確にその幅wや深さdを制御することが可能であるので、砥石本体1の厚さtが0.1mm以下であっても確実に所定の凹溝6を形成することが可能となる。
なお、本実施形態では、この砥石本体1を形成する金属結合相2がNi等をめっきによって析出した金属めっき相とされ、これを硝酸や塩化鉄等の処理液によってエッチングして除去することにより、凹溝6を形成しているが、本発明はボンド相が金属結合相であれば、ボンドとなる金属の粉末と超砥粒とを混練して円板状に成形した素材を焼結して砥石本体を形成するメタルボンド砥石に適用することも可能である。そして、このような場合でも、凹溝を形成するには、砥石本体の金属結合相(メタルボンド相)を形成する金属を溶解可能な処理液中にマスキングを施した砥石本体素材を浸漬して、この金属結合相を化学処理により部分的に除去して形成すればよい。
なお、金属結合相2が本実施形態のような金属めっき相である場合も、上述のようなメタルボンド相である場合も、凹溝6の深さdが深すぎると、凹溝6が砥石本体1をその厚さ方向に貫通した状態に近くなり、砥石本体1の強度や剛性を確実に確保することが困難となるおそれがある。このため、凹溝6の深さdは、本実施形態のように砥石本体1の厚さtの60%以下とされるのが望ましく、より望ましくは厚さtの50%以下とされる。
ただし、この凹溝6の深さdが浅くなりすぎると、上述の場合とは逆に砥石本体に凹溝やスリットを形成していない上記砥石本体素材の状態に近くなり、砥石本体1の強度や剛性は確保されても切屑の排出性やクーラントの効率的な供給は望めなくなる。このため、凹溝6の深さdは砥石本体1の厚さtの10%以上とされるのが望ましく、より望ましくは厚さtの20%以上とされる。
また、凹溝6の幅wが広すぎても、周方向において砥石本体1の両側面4に形成された凹溝6の間に残される厚さtの部分の面積や幅が小さくなり、やはり砥石本体1の強度や剛性を十分に確保することが困難となるおそれがある。このため、個々の凹溝6の幅wは本実施形態のように3mm以下とされるのが望ましい。
ただし、この凹溝6の幅wについても、幅狭となりすぎると、上述のようにこの凹溝6を介してクーラントを切断部位に効率的に供給したり、あるいは切断部位から切屑を収容してクーラントとともに確実に排出したりすることが困難となるおそれが生じる。このため、凹溝6の幅wは、0.5mm以上とされるのが望ましく、より望ましくは1.0mm以上とされる。
以下、本発明の実施例を挙げて、特に凹溝6の深さdと幅wについての本発明の効果を実証する。本実施例では、まず、上述した公知の電鋳法により、粒度#1000のダイヤモンド超砥粒をNi金属めっき相よりなる金属結合相に集中度100で分散した外径54mm、内径40mm、厚さt=0.05mmの円環薄板状の薄刃砥石の砥石本体素材を複数製造した。
次いで、これらの砥石本体素材の両側面にマスキングを施してから硝酸によるエッチングにより上述した化学処理を施して、上記厚さtに対する深さdの割合t/d×100(%)がそれぞれ5%、10%、30%、50%、70%の凹溝を形成した上記実施形態に準ずる5種類の薄刃砥石を製造した。これらを順に実施例1〜5とする。なお、いずれも、凹溝の幅wは1mm、径方向の長さは1.5mmで、砥石本体の両側面に16本ずつの凹溝を両側面の間で周方向に等間隔かつ交互に形成した。
また、これら実施例1〜5に対する比較例として、凹溝を形成していない上記砥石本体素材そのままの薄刃砥石と、実施例1〜5の凹溝をそのまま反対側の側面まで貫通させてスリットにした薄刃砥石とを用意した。これらを比較例1、2とする。従って、これら比較例1、2において上記厚さtに対する凹溝の深さdはそれぞれ0%、100%となる。なお、比較例2においてスリットの幅および長さは実施例1〜5と同じであり、周方向に等間隔に32本のスリットが形成される。
そして、これら実施例1〜5および比較例1、2の薄刃砥石を用いて、発泡シートに固定した幅100mm、長さ100mm、厚さ0.3mmのAlと有機バインダーよりなるセラミックグリーンシートを、純水よりなるクーラントを供給しながら幅方向と長さ方向とに0.6mmのピッチで切断する切断試験を、切断条件を変えて2回行い、その際のクーラントのミスト付着率、切断された被切断物の寸法異常発生率、切断の際の主軸電流値、および切断試験終了後の薄刃砥石の状態を確認した。これらの結果を表1、2に示す。
なお、ミストの付着率は、上述のように幅100mm、長さ100mmのセラミックグリーンシートを0.6mmのピッチで幅方向と長さ方向とに切断して得られる27225個のチップのうち、ミストが付着していたチップの個数の割合であり、寸法異常の発生率は、同じく得られる27225個の幅0.6mm、長さ0.6mmであるべきチップのうち、これら幅寸法と長さ寸法の少なくとも一方が0.6±0.02mmの範囲内に入らなかったチップの個数の割合である。
また、表1に結果を示した切断試験における切断条件は、主軸回転数30000min−1、送り速度100mm/sec、表2に結果を示した切断試験における切断条件は、主軸回転数40000min−1、送り速度300mm/secであった。また、薄刃砥石を切断装置の主軸に固定する際のフランジの外径はいずれも52mmであり、従って薄刃砥石はその外周縁が切刃として半径方向に1mmフランジからはみ出して被切断物に切り込まれた。
Figure 2012111005
Figure 2012111005
このうち、切断条件が比較的緩やかな表1に結果を示した切断試験では、実施例1〜5については、凹溝の深さdが最も浅い実施例1においてミストの付着率が若干高く、また主軸電流値も僅かに高くて切断抵抗が高めであったことが認められる一方、凹溝の深さdが最も深い実施例5においては切断終了後に凹部の周辺に若干の摩耗が認められたが、寸法異常が発生することはなかった。
また、表1に結果を示した切断試験よりも切断条件が厳しい表2に結果を示した切断試験では、実施例1〜5においても寸法異常が生じるとともにミスト付着率や主軸電流値も高くなったが、これらミスト付着率および主軸電流値については比較例1よりも、また寸法異常の発生率については比較例2よりも十分小さな結果であった。特に、凹溝の深さdが砥石本体の厚さtの10%〜60%である実施例2〜4では主軸電流値も低くて切断抵抗も小さく、取り分け深さdが厚さtの20%〜50%である実施例3、4ではミスト付着率や寸法異常の発生率も少なく抑えられている。
これら実施例1〜5に対して、凹溝やスリットの形成されていない比較例1では、砥石本体の剛性が高いために寸法異常の発生は、表1の切断試験では実施例1〜5と同じく0%であり、表2の試験結果でも少なく抑えられていたが、ミストの付着率が著しく高く、また主軸電流値も互い結果となった。一方、砥石本体をその厚さ方向に貫通したスリットが形成された比較例2では、逆にミスト付着率は低く、また主軸電流値も切断条件の緩やかな表1の結果では小さかったが、寸法異常が発生しており、さらに切断条件の厳しい表2の結果では切断時に砥石本体が蛇行して主軸電流値および寸法異常の発生率が高く、しかも切断試験の途中で砥石本体にスリットを起点として破損が生じてしまった。
次に、やはり上述した公知の電鋳法により、粒度#800のダイヤモンド超砥粒をNi金属めっき相よりなる金属結合相に集中度75で分散した外径56mm、内径40mm、厚さt=0.07mmの円環薄板状の薄刃砥石の砥石本体素材を複数製造し、これらの砥石本体素材の両側面にマスキングを施してから硝酸によるエッチングにより上述した化学処理を施して、幅wが0.3mm、0.5mm、1mm、3mm、4mmの凹溝を形成した上記実施形態に準ずる5種類の薄刃砥石を製造した。これらを順に実施例6〜10とする。なお、いずれも、凹溝の深さdは砥石本体の厚さtの略30%である20μm、径方向の長さは1.5mmで、やはり砥石本体の両側面に16本ずつの凹溝を両側面の間で周方向に等間隔かつ交互に形成した。
また、これら実施例6〜10に対する比較例として、やはり凹溝を形成していない上記砥石本体素材そのままの薄刃砥石と、幅1mmの凹溝をそのまま反対側の側面まで貫通させたスリットを周方向に等間隔に32本形成した薄刃砥石とを用意した。これらを比較例3、4とする。なお、このうち比較例4においてスリットの長さは実施例6〜10と同じである。
そして、これら実施例6〜10および比較例3、4の薄刃砥石を用いて、発泡シートに固定した幅100mm,長さ100mm、厚さ0.5mmのAlと有機バインダーよりなるセラミックグリーンシートを、純水よりなるクーラントを供給しながら幅方向と長さ方向とに0.8mmのピッチで切断する切断試験を、主軸回転数30000min−1、送り速度100mm/secの切断条件で行い、その際のクーラントのミスト付着率、切断された被切断物の寸法異常発生率、切断の際の主軸電流値、および切断試験終了後の薄刃砥石の状態を確認した。
また、同様に実施例6〜10および比較例3、4の薄刃砥石を用いて、やはり発泡シートに固定した幅100mm、長さ100mmで厚さが0.7mmのAlと有機バインダーよりなるセラミックグリーンシートを、純水よりなるクーラントを供給しながら幅方向と長さ方向とに0.8mmのピッチで切断する切断試験を、主軸回転数40000min−1、送り速度300mm/secの切断条件で行い、その際のクーラントのミスト付着率、切断された被切断物の寸法異常発生率、切断の際の主軸電流値、および切断試験終了後の薄刃砥石の状態を確認した。これらの結果を表3、4に示す。
なお、これら表3、4に結果を示した切断試験でも、薄刃砥石を切断装置の主軸に固定する際のフランジの外径はいずれも52mmであり、従って薄刃砥石はその外周縁が切刃として半径方向に2mmフランジからはみ出して被切断物に切り込まれた。
Figure 2012111005
Figure 2012111005
これら表3、4の結果でも、やはり切断条件が比較的緩やかな表3に結果を示した切断試験では、凹溝やスリットの形成されていない比較例1でミスト付着率が高く、また主軸電流値も高めであり、これは切断条件が厳しい表4の結果でも同様であって、特にミスト付着率は著しく高い結果を示している。また、幅が1mmであっても、有底の凹溝ではなく砥石本体を厚さ方向に貫通するスリットを形成した比較例4においては、表3の結果ではミスト付着率や主軸電流値は低いものの、寸法異常が発生しており、これは切断条件の厳しい表4の結果において顕著となり、表2に示した結果の場合と同様に切断途中で砥石本体にスリットを起点として破損が生じてしまった。
これら比較例3、4に対して、実施例6〜10においては、切断条件の緩やかな表3の結果では、ミスト付着率や主軸電流値は比較例3よりも低く、また比較例4のように寸法異常を生じることもなかった。さらに、切断条件の厳しい表4の結果においても、比較例4のように大きな寸法異常や砥石本体の破損を生じることはなく、またミスト付着率は比較例3よりも十分に低い範囲に収まっている。
特に、これら実施例6〜10のうちでも、凹溝の幅wが0.5mm〜3mmの範囲内である実施例7〜9は、ミスト付着率や主軸電流値は表3、表4に示した結果がともに幅wが0.5mmの実施例6よりも少なく、また表4の結果では寸法異常の発生もこの実施例6や実施例10より少なくなっている。さらに、凹溝の幅wが1mm〜3mmとされた実施例8、9では、凹溝の幅が0.5mmである実施例7よりも僅かながら良好な結果となっているのが分かる。
また、これら表1〜4に示した結果より、本発明は、砥石本体の厚さが0.1mm以下の薄刃砥石のうちでも、表3、4に切断試験の結果を示した場合のように砥石本体の厚さが0.07mm以下のものに用いて好適であり、さらには表1、2に切断試験の結果を示した場合のように砥石本体の厚さが0.05mm以下のものにも適用することが可能であることが分かる。
1 砥石本体
2 金属結合相
3 超砥粒
4 砥石本体1の側面
5 取付孔
6 凹溝
7 砥石本体1の切刃とされる外周縁
O 砥石本体の軸線
t 砥石本体1の厚さ
d 凹溝6の深さ
w 凹溝6の幅

Claims (5)

  1. 超砥粒を金属結合相によって保持した厚さ0.1mm以下の薄肉円板状の砥石本体を有し、この砥石本体の両側面には、該砥石本体をその厚さ方向に貫通しない有底の凹溝が周方向にずらされて形成されていることを特徴とする薄刃砥石。
  2. 上記凹溝は、上記砥石本体の両側面の間で周方向に等間隔かつ交互に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄刃砥石。
  3. 上記凹溝は、上記金属結合相を化学処理により部分的に除去して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄刃砥石。
  4. 上記凹溝の深さが、上記砥石本体の厚さの60%以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の薄刃砥石。
  5. 上記凹溝の幅が3mm以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の薄刃砥石。
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