JP2017057947A - フォイル軸受及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォイル軸受の製造コストを低減する。【解決手段】フォイルホルダ10とトップフォイル20との間に、多数の繊維30を弾性変形可能な状態で介在させる。多数の繊維30を弾性変形させることで、トップフォイル20の外径側への変形(撓み)を許容して、トップフォイル20にバネ性を付与することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、フォイル軸受及びその製造方法に関する。
フォイル軸受は、可撓性を有する薄膜(フォイル)で軸受面を構成し、軸受面の撓みを許容しながら荷重を支持するものである。回転部材(軸)の回転時には、フォイルの軸受面と回転部材との間に流体膜(例えば空気膜)が形成され、この流体膜を介して回転部材が非接触支持される。
例えば、下記の特許文献1及び2には、軸受面を有するトップフォイルと、トップフォイルを外径側から支持するバックフォイルとを備えたフォイル軸受が示されている。また、特許文献3には、バックフォイルに替えて、金属線を網状に編成した円筒状の弾性体を設けた構成が示されている。このように、トップフォイルを、バックフォイルや弾性体により外径側から弾性的に支持することで、トップフォイルの外径側への撓みが許容される。このようなトップフォイルの可撓性により軸の回転速度や荷重、周囲温度等の運転条件に応じた適切な幅の軸受隙間が自動的に形成されるため、安定性に優れ、一般的な空気動圧軸受と比べて高速での使用が可能となる。
しかし、上記のようなフォイル軸受のように、トップフォイルを弾性的に支持するバックフォイルや弾性体を設けると、バックフォイルや弾性体を加工する工程や、これを組み付ける工程が必要となるため、コスト高を招く。
上記のような問題は、回転部材(軸)をラジアル方向に支持するラジアルフォイル軸受だけでなく、回転部材(スラストカラー)をスラスト方向に支持するスラストフォイル軸受においても同様に生じる。
以上のような事情から、本発明が解決すべき課題は、フォイル軸受の製造コストを低減することにある。
前記課題を解決するためになされた本発明は、軸受面を有するトップフォイルと、前記トップフォイルが取り付けられたフォイルホルダとを備えたフォイル軸受であって、前記トップフォイルと前記フォイルホルダとの間に、多数の繊維を弾性変形可能な状態で介在させたことを特徴とするものである。
このフォイル軸受によれば、フォイルホルダとトップフォイルとの間に介在させた多数の繊維を弾性変形させることで、トップフォイルの変形(撓み)を許容してバネ性を付与することができるため、流体膜の圧力に応じて軸受隙間の幅を自動的に調整することが可能となる。このように、本発明によれば、バックフォイル等を設けることなく、軸受面を有するトップフォイルにバネ性を付与することができるため、バックフォイル等の加工や組付が不要となり、製造コストが低減される。
上記のフォイル軸受では、各繊維の一端が、フォイルホルダ及びトップフォイルの一方に固定され、各繊維の他端が、フォイルホルダ及びトップフォイルの他方に向けて延びていることが好ましい。この場合、各繊維の一端が固定された取付面から各繊維が立ち上がった状態(取付面に対して略垂直な状態)となるため、多数の繊維を弾性的に撓ませることにより、トップフォイルを弾性的に変形させることができる。
この場合、各繊維の他端を、フォイルホルダ及びトップフォイルの他方と摺動させれば、摺動時の摩擦エネルギーにより回転部材の振動を減衰させる効果を得ることができる。
また、上記のフォイル軸受は、多数の繊維が、一端がフォイルホルダに固定され、他端が自由端である第一の繊維と、一端がトップフォイルに固定され、他端が自由端である第二の繊維とを有し、第一の繊維及び第二の繊維が、互いに相手方の繊維の間に入り込んだ構成とすることができる。このフォイル軸受において、トップフォイルがフォイルホルダに対して微小振動すると、第一の繊維と第二の繊維とが互いに摺動するため、回転部材の振動減衰効果を得ることができる。
この場合、第一の繊維と第二の繊維との間の摩擦力により、トップフォイルとフォイルホルダとの相対移動が規制される。従って、上記の摩擦力が十分に大きい場合、この摩擦力でトップフォイルをフォイルホルダに保持させることができるため、トップフォイルをフォイルホルダに保持させる別途の構造が不要となる。この場合、トップフォイルが、フォイルホルダと接触しておらず、多数の繊維のみを介してフォイルホルダに取り付けられた構成とすることが可能となる。
また、上記のフォイル軸受は、フォイルホルダとトップフォイルとの間にアンダーフォイルを設けた構成とすることができる。この場合、フォイルホルダとアンダーフォイルとの間、及び、アンダーフォイルとトップフォイルとの間の少なくとも一方に多数の繊維を介在させることで、トップフォイルにバネ性を付与することができる。特に、フォイルホルダとアンダーフォイルとの間、及び、アンダーフォイルとトップフォイルとの間の双方に多数の繊維を介在させれば、複層の繊維が設けられるため、トップフォイルのフォイルホルダ側への変形の許容量を大きくすることができる。
上記のフォイル軸受では、多数の繊維の長さを周方向で異ならせてもよい。この場合、トップフォイルが、周方向で異なる長さの繊維で支持されるため、各繊維の長さを適宜設定することで、トップフォイルを所望の形状(例えば、楔状の軸受隙間を形成する形状)に変形させることができる。
また、上記のフォイル軸受では、多数の繊維の弾性変形によるトップフォイルの弾性率を周方向で異ならせてもよい。この場合、流体膜の圧力が高くなったときのトップフォイルの変形量が周方向で異なるため、トップフォイルの各周方向位置の弾性率を適宜設定することで、トップフォイルを所望の形状に変形させることができる。例えば、フォイルホルダとトップフォイルとの間に、繊維が介在していない周方向領域を設けることで、トップフォイルの弾性率を周方向で異ならせることができる。あるいは、トップフォイルを支持する繊維の本数(密度)、太さ、材質等を周方向で異ならせることで、トップフォイルの弾性率を周方向で異ならせることができる。
また、上記のフォイル軸受では、多数の繊維の弾性変形によるトップフォイルの弾性率を、周方向と直交する方向(ラジアルフォイル軸受では軸方向、スラストフォイル軸受では半径方向)で異ならせてもよい。例えば、トップフォイルのうち、周方向と直交する方向の端部における弾性率を、同方向の中間部における弾性率よりも小さくすれば、フォイル軸受に対して回転部材の軸心が傾斜した際、トップフォイルの端部と回転部材との接触(片当たり)による圧力を緩和して、トップフォイルの損傷を防止することができる。
また、上記のフォイル軸受では、トップフォイルの変形量が大きくなるほど、多数の繊維の弾性変形によるトップフォイルの弾性率が大きくなるようにしてもよい。例えば、フォイルホルダとトップフォイルとの間に介在させる多数の繊維として、長めの繊維と短めの繊維とを混在させたものを用いることができる。この場合、流体膜の圧力が低いとき(すなわちトップフォイルの変形量が小さいとき)は、長めの繊維のみでトップフォイルが支持される。このため、トップフォイルの弾性率は比較的小さく(すなわち変形しやすく)、軸受隙間が自動調整されやすい。一方、流体膜の圧力が高くなり、トップフォイルの変形量が大きくなると、長めの繊維が撓むことで、長めの繊維だけでなく短めの繊維もトップフォイルを支持する。このため、トップフォイルの弾性率が大きくなり(すなわち変形しにくくなり)、流体膜による軸受剛性を高めることができる。
上記のフォイル軸受に設けられる多数の繊維は、例えば樹脂繊維とすることができる。
上記のフォイル軸受には、一端が前記フォイルホルダに固定され、トップフォイルの軸受面と回転部材との間に形成される軸受隙間の開口部の少なくとも一部を覆うシール用繊維を設けることができる。このように、シール用繊維で軸受隙間の開口部の少なくとも一部を覆うことで、軸受隙間への異物の侵入や、軸受隙間からの圧力漏れを防止できる。
上記のフォイル軸受は、前記フォイルホルダ又は前記トップフォイルに多数の繊維を固定する工程と、前記フォイルホルダに前記トップフォイルを組み付けることにより、前記フォイルホルダと前記トップフォイルとの間に前記多数の繊維を弾性変形可能な状態で介在させる工程とを経て製造することができる。
上記の製造方法では、例えば、フォイルホルダ又はトップフォイルに多数の繊維を直接植毛することができる。あるいは、シートの一方の面に多数の繊維を植毛した後、該シートの他方の面をフォイルホルダ又はトップフォイルに貼り付けることができる。
以上のように、本発明によれば、多数の繊維の弾性変形によりトップフォイルにバネ性を付与することができるため、トップフォイルを弾性支持するバックフォイル等を設ける必要が無くなり、フォイル軸受の製造コストを低減することができる。
以下、本発明に係るフォイル軸受の一例としてラジアルフォイル軸受を例に挙げ、図1〜9に基づいて説明する。
図1及び図2に、本発明の一実施形態に係るラジアルフォイル軸受1を示す。ラジアルフォイル軸受1は、内周に挿入された回転部材としての軸2をラジアル方向に支持するものである。ラジアルフォイル軸受1は、流体膜として空気を用いる空気動圧軸受である。ラジアルフォイル軸受1は、筒状(図示例では円筒状)のフォイルホルダ10と、フォイルホルダ10の内周面(取付面)に取り付けられたトップフォイル20と、フォイルホルダ10とトップフォイル20との間に介在した多数の繊維30とを有する。本実施形態のラジアルフォイル軸受1は、フォイルホルダ10と、多数の繊維30が固定されたトップフォイル20(フォイル部材)とで構成される。尚、以下では、軸2の回転方向先行側(図1の矢印方向先行側)を「周方向一方側」、軸2の回転方向後方側(図1の矢印方向後方側)を「周方向他方側」と言う。
フォイルホルダ10は、金属あるいは樹脂で形成される。フォイルホルダ10を形成する金属としては、例えば焼結金属や溶製材(例えば鋼材)が挙げられる。フォイルホルダ10の円筒面状の内周面11には、トップフォイル20の端部を固定する固定部が設けられる。図示例では、固定部として、凹部、具体的には軸方向溝11aが形成される。
トップフォイル20は、バネ性に富み、かつ加工性のよい金属(例えば鋼や銅合金)からなる厚さ20μm〜200μm程度の金属フォイルに、プレス加工や放電加工を施すことで形成される。本実施形態のように流体膜として空気を用いる空気動圧軸受では、雰囲気に潤滑油が存在しないため、金属フォイルとしてステンレス鋼もしくは青銅製のものを使用するのが好ましい。
トップフォイル20は、本体部21と、本体部21の周方向一端に設けられた取付部22とを一体に有する。本体部21は、矩形状の金属フォイルを略円筒状に丸めたものである。図示例では、本体部21が、周方向端部間の僅かな隙間を除いて、フォイルホルダ10の内周面11の略全周に設けられる(図1参照)。また、本体部21の軸方向幅は、フォイルホルダ10の内周面11の軸方向幅と略一致している(図2参照)。本体部21の内周面は、軸受面として機能する。
取付部22は、本体部21の周方向一端から外径側に延びている。取付部22は、フォイルホルダ10の内周面11に取り付けられ、これによりトップフォイル20がフォイルホルダ10に保持される。図示例では、取付部22の外径端が、フォイルホルダ10の内周面11の軸方向溝11aに差し込まれている。取付部22と軸方向溝11aとは、接着や溶接により固定してもよい。あるいは、フォイルホルダ10に軸方向溝11aを設けずに、トップフォイル20の取付部22を接着や溶接によりフォイルホルダ10の内周面11に直接固定してもよい。
繊維30は、フォイルホルダ10とトップフォイル20との間に、弾性変形可能な状態で介在している。図示例では、各繊維30の一端(内径端)がトップフォイル20の本体部21の外周面に固定され、各繊維30の他端(外径端)が、自由端とされ、フォイルホルダ10の内周面11へ向けて延びている。すなわち、繊維30は、トップフォイル20の本体部21の外周面から立ち上がった状態(フォイルホルダ10の内周面11と略直交した状態)とされる。詳しくは、図3に示すように、繊維30が、トップフォイル20の本体部21の外周面に緻密に配された多数の短繊維で構成される。
繊維30の外径端は、フォイルホルダ10の内周面11と接触している。繊維30の外径端とフォイルホルダ10の内周面11とは固定されておらず、トップフォイル20がフォイルホルダ10に対して微小移動することで、繊維30の外径端がフォイルホルダ10の内周面11と摺動する。尚、図1及び図2では、繊維30の長さや、トップフォイル20とフォイルホルダ10との半径方向間隔を誇張して示している。また、図1では、繊維30の外径端が自由端であることを表すために、繊維30の外径端とフォイルホルダ10の内周面11とを僅かに離隔させているが、実際にはこれらは接触している。
繊維30としては、例えば、ポリアミドやポリエステル等の合成樹脂からなる樹脂繊維や、綿や羊毛等の天然繊維を使用することができる。中でも、ポリアミド繊維は、高温耐久性に優れ、品質が安定しているため好ましい。さらに強度が必要な場合は、芳香族系ポリアミド繊維を使用することが好ましい。
繊維30は、例えば静電植毛により施工面(本実施形態ではトップフォイル20の本体部21の外周面)に固定される。静電植毛とは、概略次のような加工法である。まず、トップフォイル20の外周面に接着剤を塗布した後、トップフォイル20を接地すると共に、多数の繊維30を載せた電極に数万ボルトの負の電位を印加する。これにより、分極した繊維30が、トップフォイル20の外周面に対して概ね垂直に飛来し、各繊維30の先端が、硬化していない接着剤に埋設される。その後、接着剤が硬化することで、繊維30が緻密に植毛された面が形成される。尚、繊維30を施工面に固定する方法として、分極した繊維30にエアを吹き付けて施工面に付着させる、静電吹き付け植毛を採用してもよい。
本実施形態では、多数の繊維30が、諸元が同じ短繊維で構成され、具体的には、長さ、太さ、及び材質が同一の短繊維で構成される。また、繊維30は、トップフォイル20の本体部21の外周面の全域に均一に設けられる。尚、繊維30が短すぎたり長すぎたりすると、トップフォイル20の外周面への固定が困難となるため、繊維30の長さ(平均長さ)は、例えば0.3〜5mmが望ましい。具体的に、例えば静電植毛で繊維30をトップフォイル20に固定する場合、繊維30が0.3mm未満であると、繊維30全体が接着剤に埋没してしまう恐れがある。また、繊維30が5mmより長いと、植毛時に繊維30同士が絡み合い、各繊維30をトップフォイル20の外周面に略垂直に植毛することが困難となる。繊維30の太さ(平均太さ)は、例えば5〜50μm、好ましくは10〜30μmの範囲で設定される。
軸2が図1の矢印方向に回転すると、ラジアルフォイル軸受1のトップフォイル20の内周面(軸受面)と軸2の外周面2aとの間に、ラジアル軸受隙間Rが形成される。このとき、軸2が重力等の影響によりラジアルフォイル軸受1に対して偏心することで、トップフォイル20の内周面と軸2の外周面2aとの間に断面楔状のラジアル軸受隙間Rが形成される。そして、ラジアル軸受隙間Rの幅狭側に空気が押し込まれることにより、ラジアル軸受隙間Rの空気膜の圧力が高められ、この圧力により軸2がラジアル方向に非接触支持される。
こうしてラジアル軸受隙間Rの空気膜の圧力が高まることで、トップフォイル20が撓んで外径側に変位しようとする。このとき、トップフォイル20を外周側から支持する多数の繊維30が弾性的に撓むことで、トップフォイル20の外径側への変位が許容される。一方、ラジアル軸受隙間Rの空気膜の圧力が低下すると、繊維30の撓みが弾性復元することでトップフォイル20が内径側に押し込まれ、ラジアル軸受隙間Rが狭くなって空気膜の圧力が高められる。このように、トップフォイル20の可撓性(バネ性)により、トップフォイル20の軸受面が、荷重や軸2の回転速度、周囲温度等の運転条件に応じて任意に変形するため、ラジアル軸受隙間Rは運転条件に応じた適切幅に自動調整される。そのため、高温・高速回転といった過酷な条件下でも、ラジアル軸受隙間Rを最適幅に管理することができ、軸2を安定して支持することが可能となる。尚、図1に示すラジアルフォイル軸受1において、軸2が矢印と逆向きに回転すると、トップフォイル20が軸2に巻きついてしまう恐れがあるため、軸2の回転方向は周方向一方(矢印方向)に限定される。
また、トップフォイル20は、周方向一箇所(取付部22)のみがフォイルホルダ10に固定されているため、その他の部分(本体部21)はフォイルホルダ10に対して周方向に微小移動可能とされる。軸2が回転すると、ラジアル軸受隙間Rに形成された空気膜の影響で繊維30がフォイルホルダ10の内周面11に押し付けられ、この状態でトップフォイル20がフォイルホルダ10に対して周方向に微小振動することで、繊維30とフォイルホルダ10の内周面11との間に微小摺動が生じる。この微小摺動による摩擦エネルギーにより、軸2の振動を減衰させることができる。
尚、軸2の停止直前や起動直後の低速回転時には、トップフォイル20の軸受面と軸2の外周面2aとが接触摺動するため、これらの何れか一方または双方に、DLC膜、チタンアルミナイトライド膜、二硫化タングステン膜、あるいは二硫化モリブデン膜等の被膜を形成してもよい。また、繊維30とフォイルホルダ10との間の微小摺動による摩擦力を調整するために、繊維30の表面及びフォイルホルダ10の内周面11の一方または双方に、上記のような被膜を形成してもよい。また、繊維30の摩耗防止や冷却のために、繊維30の間に、油や水などの流体、あるいはグリースやゲルなどの半固体を含浸させてもよい。
上記構成のラジアルフォイル軸受1は、例えば以下の手順で製造される。まず、上述した静電植毛あるいは静電吹き付け植毛により、トップフォイル20の本体部21に多数の繊維30を固定する。そして、トップフォイル20の本体部21を、多数の繊維30が固定された面が外径側となるように丸めながらフォイルホルダ10の内周に挿入すると共に、トップフォイル20の取付部22をフォイルホルダ10の軸方向溝11aに挿入する。これにより、フォイルホルダ10とトップフォイル20との間に多数の繊維30が弾性変形可能な状態で介在した状態で、トップフォイル20がフォイルホルダ10の内周面11に取り付けられる。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と重複する点の説明は省略する。
図4に示す実施形態は、繊維30の一端(外径端)がフォイルホルダ10の内周面11に固定されている点で、上記の実施形態と異なる。この実施形態では、繊維30の他端(内径端)が自由端であり、トップフォイル20の本体部21の外周面と摺動可能とされる。
ところで、図4の実施形態のように、フォイルホルダ10の内周面11に繊維30の一端を固定する作業は、非常に困難であるため、作業性が悪い。そこで、例えば、平坦状にした可撓性のシートに静電植毛等により多数の繊維30を固定し、このシートを丸めながらフォイルホルダ10の内周面11に貼り付けるようにすれば、フォイルホルダ10への繊維30固定が容易になる。尚、多数の繊維30が固定されたシートを、トップフォイル20や後述するアンダーフォイル50に貼り付けてもよい。
図5に示す実施形態は、繊維30が、一端がフォイルホルダ10の内周面11に固定され、他端が自由端である第一の繊維31と、一端がトップフォイル20の外周面に固定され、他端が自由端である第二の繊維32とからなる。第一の繊維31と第二の繊維32とは、互いに相手方の繊維の間に入り込んでいる。詳しくは、第一の繊維31の他端(自由端)は第二の繊維32の間に入り込み、第二の繊維32の他端(自由端)は第一の繊維31の間に入り込んでいる。このフォイル軸受1において、トップフォイル20がフォイルホルダ10に対して微小振動すると、第一の繊維31と第二の繊維32とが互いに摺動する。このように、多数の繊維同士を摺動させることで、上記の実施形態のように繊維30と面(フォイルホルダ10の内周面11あるいはフォイル20の外周面)とを摺動させる場合と比べて、摺動面積が格段に大きくなるため、軸2の振動減衰性が高くなる。
また、第一の繊維31と第二の繊維32とが互いに相手方の繊維の間に入り込んでいることで、トップフォイル20とフォイルホルダ10との間のせん断方向(回転方向及び軸方向)の摩擦力が極端に高くなる。この摩擦力により、トップフォイル20をフォイルホルダ10に保持させることができるため、トップフォイル20をフォイルホルダ10に保持させるための別途の構造を設ける必要がなくなる。図示例では、トップフォイル20が、長方形のフォイルを丸めた円筒状の本体部21のみからなり、トップフォイル20をフォイルホルダ10に取り付けるための取付部22や軸方向溝11a(図1及び図4参照)が省略されている。このトップフォイル20は、フォイルホルダ10と接触しておらず、多数の繊維30のみを介してフォイルホルダ10に取り付けられている。これにより、トップフォイル20及びフォイルホルダ10の構造が極めて単純化されるため、各部品の製造コストや組立コストの大幅な低減が図られる。
また、図5のラジアルフォイル軸受1では、全周において、第一の繊維31と第二の繊維32とが互いに相手方の繊維の間に入り込むことで、両繊維31,32を介してトップフォイル20が全周でフォイルホルダ10に保持される。これにより、軸2を何れの方向に回転させても、トップフォイル20が軸2に巻きつくことがないため、軸2の両方向の回転に対応することができる。
尚、図5のラジアルフォイル軸受1では、トップフォイル20の形状は図示例に限らず、例えば、トップフォイル20を全周で連続した継ぎ目のない円筒形状としてもよい。あるいは、円筒状のフォイルの円周方向複数箇所を分断し、複数の断面円弧状のトップフォイルを設けてもよい。この場合、各トップフォイルの外周面に固定された第二の繊維32と、フォイルホルダ10の内周面11に固定された第一の繊維31とが互いに相手方の繊維の間に入り込むことで、各トップフォイルがフォイルホルダ10に保持される。あるいは、長方形のフォイルを丸めてなるトップフォイル20の周方向両端部を、径方向で重ねてもよい。この場合、トップフォイル20の重合部のうち、内径側に配される部分の外周面には、繊維30を固定しないことが望ましい。
また、図5のラジアルフォイル軸受1において、各繊維31,32の先端(自由端)を屈曲させて面ファスナーのような構成としてもよい。この場合、両繊維31,32同士が半径方向で係合することで絡み合う力が強くなるため、トップフォイル20とフォイルホルダ10との固定力が高められる。
以上のラジアルフォイル軸受1では、軸2の偏心により楔状のラジアル軸受隙間Rが形成され、これにより流体膜に動圧が発生するが、ラジアルフォイル軸受1自体に動圧を積極的に発生させる機構を設けることが好ましい。例えば、図6に示す実施形態では、繊維30の長さを周方向で連続的に変化させ、これらの繊維30でトップフォイル20を支持している。具体的には、周方向に離隔した複数の領域Aにそれぞれ繊維30が配され、各領域Aの周方向両端から周方向中央へ向けて、繊維30の長さが徐々に長くなっている。このような繊維30でトップフォイル20を支持することで、トップフォイル20を略多円弧形状に変形させやすくなる。一般に、フォイル軸受では、軸とフォイル(軸受面)との曲率差が大きいほど、軸の安定性が向上する。従って、図6に示すようにトップフォイル20を略多円弧形状とし、軸との接触部における軸受面の曲率を小さくすることで、軸の安定性が高められる。
上記のように、繊維30の長さを周方向で連続的に変化させる場合、所定の長さの繊維をトップフォイル20あるいはフォイルホルダ10の所定位置に固定することは困難である。従って、長さが均一な繊維を静電植毛等によりトップフォイル20あるいはフォイルホルダ10に固定した後、繊維の一部をカットして各繊維の長さを調整することが好ましい。尚、図6の繊維30は、一端がトップフォイル20に固定されたもの(図1参照)、一端がフォイルホルダ10に固定されたもの(図4参照)、あるいはこれらの双方を有するもの(図5参照)の何れかを適用できる。
また、繊維30の弾性変形によるトップフォイル20の弾性率を周方向で異ならせることで、トップフォイル20を所望の形状に変形させることもできる。具体的に、図6に示す実施形態では、トップフォイル20の周方向一部領域(例えば周方向等間隔の複数箇所)に、半径方向の弾性率が相対的に小さい低剛性領域Pを設けている。図示例では、周方向一部の繊維30を省略することで、低剛性領域Pを設けている。この低剛性領域Pでは、繊維30によりトップフォイル20を外周側から支持されないため、この部分のトップフォイル20が外径側に変形しやすくなる。これにより、トップフォイル20の外径側への変形量が周方向で異なり、その結果、トップフォイル20を図示のように略多円弧形状に変形させやすくなる。
また、図6の低剛性領域Pにも繊維30を設け、低剛性領域Pの繊維30の諸元(長さ、太さ、材質、密度等)を、他の領域の繊維30の諸元と異ならせてもよい。例えば、低剛性領域Pの繊維30を、他の領域の繊維30よりも短くすることにより、あるいは他の領域の繊維30よりも細くすることにより、あるいは他の領域の繊維30よりも柔らかい材質で形成することにより、あるいは、他の領域の繊維30よりも密度を小さくすることにより、低剛性領域Pのトップフォイル20の弾性率を他の領域よりも小さくすることができる。また、以上のような繊維30の諸元を組み合わせることで、低剛性領域Pを構成してもよい。
また、繊維30の弾性変形によるトップフォイル20の弾性率を、周方向で連続的に異ならせてもよい。例えば、図6に示す実施形態において、トップフォイル20のうち、各領域Aの周方向両端における弾性率を、各領域Aの周方向中央における弾性率よりも小さくすれば、各領域Aの周方向両端が周方向中央よりも外径側に大きく変位するため、各領域Aの周方向中央の曲率が小さくなるように変形させることができる。具体的には、例えば、各領域Aの周方向両端の繊維30を、各領域Aの周方向中央の繊維30よりも、太さを細くしたり、柔らかい材質で形成したり、あるいは、密度を小さくしたりすればよい。また、以上のような繊維30の諸元を組み合わせてもよい。
この他、ラジアル軸受隙間の流体膜に動圧を積極的に発生させる機構して、例えば、トップフォイル20の軸受面に動圧溝(例えばへリングボーン形状)を形成してもよい。あるいは、トップフォイル20の厚さを周方向で変化させることにより、ラジアル軸受隙間Rの幅を周方向で変化させてもよい。あるいは、トップフォイル20に、予め、周方向で半径方向位置が変化するようなうねりを与えてもよい。
上記のラジアルフォイル軸受1では、繊維30の弾性変形によるトップフォイル20の弾性率を軸方向で異ならせてもよい。例えば、図2に示す実施形態において、トップフォイル20の軸方向端部における弾性率を他の領域(例えば軸方向中央部)における弾性率よりも小さくすれば、ラジアルフォイル軸受1に対して軸2が傾斜した際、トップフォイル20の軸方向端部と軸2との接触による圧力を緩和して、トップフォイル20の損傷を防止することができる。具体的には、例えば、トップフォイル20の軸方向端部を支持する繊維30を、トップフォイル20の軸方向中央を支持する繊維30よりも、太さを細くしたり、柔らかい材質で形成したり、あるいは、密度を小さくしたりすればよい。また、以上のような繊維30の諸元を組み合わせてもよい。
また、上記のラジアルフォイル軸受1では、トップフォイル20の外径側への変形量が大きくなるほど、トップフォイル20の弾性率が大きくなるように(すなわち、トップフォイル20が非線形の弾性を示すように)してもよい。例えば、トップフォイル20の外径側への変形量が大きくなるほど、トップフォイル20を支持する繊維30の数が増えるように、繊維30の諸元を設定すればよい。
具体的に、図7に示す例では、長めの繊維33と短めの繊維34とを混在させて、繊維30を構成している。流体膜の圧力が低いときは、図7(a)に示すように、トップフォイル20が長めの繊維33のみで支持されるため、トップフォイル20の弾性率(バネ剛性)が比較的小さく、軸受隙間が自動調整されやすい。一方、流体膜の圧力が高まると、図7(b)に示すように、トップフォイル20が外径側に変位してフォイルホルダ10に近接する(矢印参照)。これにより、長めの繊維33が撓み、短めの繊維34もフォイルホルダ10に接触することで、長めの繊維33及び短めの繊維34の双方でトップフォイル20が外周側から支持される。このため、トップフォイル20の弾性率が大きくなり、流体膜による軸受剛性が高くなる。
図7のような構成は、例えば、長めの繊維33と短めの繊維34を混合したものを、静電植毛等によりトップフォイル20あるいはフォイルホルダ10に固定することにより得ることができる。また、繊維30を、長さの異なる三種以上の繊維を混在させて構成してもよい。
図8に示す実施形態では、トップフォイル20の軸方向両側に、シール用繊維40が設けられている。シール用繊維40の外径端はフォイルホルダ10の内周面11に固定され、シール用繊維40の内径端は自由端とされる。シール用繊維40の長さは、トップフォイル20を外径側から支持する繊維30よりも長い。従って、シール用繊維40の内径端は、トップフォイル20よりも内径側に配される。これにより、トップフォイル20と軸2との間に形成されるラジアル軸受隙間Rの開口部(軸方向両端部)の少なくとも一部が、シール用繊維40で覆われるため、ラジアル軸受隙間Rへの異物の侵入や、ラジアル軸受隙間Rからの圧力漏れを防止できる。図示例では、シール用繊維40の内径端が、軸2の外周面2aと接触し、軸2の回転時にはシール用繊維40の内径端と軸2の外周面2aとが摺動する。この場合、ラジアル軸受隙間Rの開口部の全域がシール用繊維40で覆われるため、高いシール効果が得られる。尚、シール用繊維40は、トップフォイル20の軸方向一方側のみに設けてもよい。
図9に示す実施形態では、フォイルホルダ10とトップフォイル20との間に、アンダーフォイル50が配されている。フォイルホルダ10とアンダーフォイル50との間、及び、アンダーフォイル50とトップフォイル20との間には、それぞれ繊維30が配される。このように、アンダーフォイル50を設けることで、繊維30を複層に設けることができ、これによりトップフォイル20の外径側への変位の許容量を大きくすることができる。また、この場合、上記の実施形態よりも多くの繊維30を配することができるため、繊維30の他部材(フォイルホルダ10、トップフォイル20、アンダーフォイル50、あるいは他の繊維30)との摺動による軸の振動減衰効果が高められる。
尚、図9では、トップフォイル20の外周面及びアンダーフォイル50の内周面の双方に繊維30が固定されているが、これらの一方の面のみに繊維30を固定してもよい。同様に、図9では、アンダーフォイル50の外周面及びフォイルホルダ10の内周面11の双方に繊維30が固定されているが、これらの一方の面のみに繊維30を固定してもよい。また、トップフォイル20とアンダーフォイル50との間の繊維30、又はアンダーフォイル50とフォイルホルダ10との間の繊維30の何れか一方を省略し、トップフォイル20とアンダーフォイル50、あるいはアンダーフォイル50とフォイルホルダ10とを直接摺動させてもよい。この場合、アンダーフォイル50とトップフォイル20又はフォイルホルダ10との摺動により、軸の振動減衰効果が得られる。また、トップフォイル20とフォイルホルダ10との間に、2枚以上のアンダーフォイル50を重ねて配してもよい。
以上の実施形態では、本発明の実施形態に係るフォイル軸受として、回転部材としての軸2をラジアル方向に支持するラジアルフォイル軸受を示したが、本発明はこれに限らず、軸2に設けられたスラストカラー3をスラスト方向に支持するスラストフォイル軸受に適用することができる。以下、本発明に係るスラストフォイル軸受の実施形態を、図10〜図13に基づいて説明する。
図10に示すスラストフォイル軸受101は、円盤状のフォイルホルダ110と、フォイルホルダ110の端面(取付面)に取り付けられたトップフォイル120と、フォイルホルダ110とトップフォイル120との間に設けられた多数の繊維130とを備える。図示例では、トップフォイル120が全周で連続した環状を成し、トップフォイル120とフォイルホルダ110の端面112との間に多数の繊維130が設けられる。図示例では、トップフォイル120の全域が、繊維130で支持されている。
繊維130は、一端がトップフォイル120の裏面(軸受面と反対側の面)に固定され、他端がフォイルホルダ110の端面112と摺動するもの(図1と同様の構成)、一端がフォイルホルダ110の端面112に固定され、他端がトップフォイル120の裏面と摺動するもの(図4と同様の構成)、あるいは、一端がトップフォイル120の裏面に固定された短繊維と一端がフォイルホルダ110の端面112に固定された短繊維とを互いに摺動可能としたもの(図5と同様の構成)の何れかで構成される。尚、フォイルホルダ110、トップフォイル120、及び繊維130の材質や機能等は、上記のラジアルフォイル軸受1のフォイルホルダ10、トップフォイル20、及び繊維30と同様であるため、説明を省略する。
上記のスラストフォイル軸受101には、スラスト軸受隙間の流体膜に動圧を積極的に発生させるための機構を設けることが好ましい。例えば図11に示す実施形態では、トップフォイル120を支持する繊維130の長さを周方向で連続的に異ならせている。具体的には、繊維130に、周方向一方(軸回転方向先行側、図中右側)へ向けて長さが徐々に長くなる領域を設けている。この繊維130に沿ってトップフォイル120が変形することで、トップフォイル120とスラストカラー3との間に、周方向一方へ行くほど幅が狭くなる楔状のスラスト軸受隙間Tが形成される。
また、上記のスラストフォイル軸受101は、上記のラジアルフォイル軸受1と同様に、繊維130の弾性変形によるトップフォイル120の弾性率を周方向で異ならせてもよい。具体的には、例えば、トップフォイル120の周方向一部領域を支持する繊維130を省略したり、この領域の繊維130の諸元(長さ、太さ、材質、密度等)を他の領域と異ならせたりすることで、弾性率が相対的に小さい領域(低剛性領域)を設けることができる。トップフォイル120のうち、低剛性領域を大きくフォイルホルダ110側に変形させることで、トップフォイル120が図11に示す実施形態と同様の形状となり、楔状のスラスト軸受隙間Tが形成されやすくなる。この他、トップフォイル120の弾性率を、周方向で連続的に変化させてもよい。
この他、スラスト軸受隙間の流体膜に動圧を発生させる機構して、例えば、トップフォイル120の軸受面に動圧溝(例えばへリングボーン形状)を形成してもよい。あるいは、トップフォイル120の厚さを周方向で変化させることにより、スラスト軸受隙間Tの幅を周方向で変化させてもよい。あるいは、トップフォイル120に、予め、周方向で軸方向位置が変化するようなうねりを与えてもよい。
また、上記のスラストフォイル軸受101では、トップフォイル120の半径方向端部(特に外径端)における弾性率を、他の領域(例えば半径方向中央部)における弾性率よりも小さくしてもよい。この場合、スラストフォイル軸受101に対して軸2が傾斜した際、トップフォイル120の外径端と、軸2に設けられたスラストカラー3との接触による圧力を緩和して、トップフォイル120の損傷を防止することができる。トップフォイル120の弾性率は、繊維130の諸元(長さ、太さ、材質、密度等)により調整することができる。
また、上記のスラストフォイル軸受101は、上記のラジアルフォイル軸受1と同様に、トップフォイル120のフォイルホルダ110側への変形量が大きくなるほど、トップフォイル120の弾性率が大きくなるように、繊維130を構成してもよい。例えば、トップフォイル120のフォイルホルダ110側への変形量が大きくなるほど、トップフォイル120を支持する繊維130の数が増えるように、繊維130の諸元を設定すればよい。具体的には、例えば図7(a)(b)に示す例と同様に、長めの繊維と短めの繊維とを混在させればよい。
また、上記のスラストフォイル軸受101に、トップフォイル120をフォイルホルダ110に固定する構造を設けてもよい。例えば図12に示す実施形態では、トップフォイル120が、軸受面を有する本体部121と、取付部122とを有し、フォイルホルダ110の端面112に、固定部としての凹部112aが設けられる。トップフォイル120の取付部122は、本体部121の内径側又は外径側あるいはこれらの双方に設けられる。図示例では、トップフォイル120の内径側に、段差部123を介して取付部122が設けられる。フォイルホルダ110の凹部112aは、外径側に開口している。トップフォイル120の取付部122を、フォイルホルダ110の端面112の凹部112aに差し込むことにより、トップフォイル120がフォイルホルダ110に保持される。トップフォイル120の取付部122とフォイルホルダ110の凹部112aとは、接着や溶接により固定してもよい。あるいは、フォイルホルダ110に凹部112aを設けずに、トップフォイル120の取付部122を接着や溶接によりフォイルホルダ110の端面112に直接固定してもよい。
図13に示す実施形態では、トップフォイル120を周方向複数箇所で分割している。各トップフォイル120の周方向他方の端部(軸の回転方向後方側の端部)は、溶接等によりフォイルホルダ110の端面112に固定される。各トップフォイル120とフォイルホルダ110との間には、繊維130が介在している。このとき、図示のように、各トップフォイル120を支持する繊維130の長さを周方向一方側(自由端側)へ向けて徐々に長くすることが好ましい。あるいは、各トップフォイル120の弾性率を、周方向一方側へ向けて大きくなるように、繊維130の諸元を設定してもよい。
また、上記のスラストフォイル軸受101において、トップフォイル120の半径方向一方側あるいは両側に、図8に示すシール用繊維40と同様の機能を有するシール用繊維を設けてもよい。また、上記のスラストフォイル軸受101において、フォイルホルダ110とトップフォイル120との間に、図9に示すアンダーフォイル50と同様の機能を有するアンダーフォイルを配してもよい。
本発明にかかるフォイル軸受は、油の使用が制限される環境下で高速回転する軸を支持する軸受として好適に使用することができる。例えばターボ機械用の軸受、具体的にはガスタービンのタービン軸を支持する軸受や、ターボチャージャ(過給機)のロータを支持する軸受として使用することができる。この他、油の使用が制限される車両用軸受や産業機器用軸受、家電用軸受として広く使用することが可能である。尚、上記のフォイル軸受において、接着剤を用いて繊維をフォイル等に固定する場合は、接着剤の耐熱性より低温環境で使用する必要があるため、例えば常温で使用される用途に適用することが好ましい。
また、以上に説明した各フォイル軸受は、圧力発生流体として空気を使用した空気動圧軸受であるが、これに限らず、圧力発生流体としてその他のガスを使用することもでき、あるいは水や油などの液体を使用することもできる。
1 ラジアルフォイル軸受(フォイル軸受)
2 軸
3 スラストカラー
10 フォイルホルダ
20 トップフォイル
30 繊維
40 シール用繊維
50 アンダーフォイル
101 スラストフォイル軸受(フォイル軸受)
110 フォイルホルダ
120 トップフォイル
130 繊維
R ラジアル軸受隙間
T スラスト軸受隙間
2 軸
3 スラストカラー
10 フォイルホルダ
20 トップフォイル
30 繊維
40 シール用繊維
50 アンダーフォイル
101 スラストフォイル軸受(フォイル軸受)
110 フォイルホルダ
120 トップフォイル
130 繊維
R ラジアル軸受隙間
T スラスト軸受隙間
Claims (17)
- 軸受面を有するトップフォイルと、前記トップフォイルが取り付けられたフォイルホルダとを備えたフォイル軸受であって、
前記トップフォイルと前記フォイルホルダとの間に、多数の繊維を弾性変形可能な状態で介在させたことを特徴とするフォイル軸受。 - 各繊維の一端が、前記フォイルホルダ及び前記トップフォイルの一方に固定され、各繊維の他端が、前記フォイルホルダ及び前記トップフォイルの他方に向けて延びている請求項1記載のフォイル軸受。
- 各繊維の他端が前記フォイルホルダ及び前記トップフォイルの他方と摺動可能である請求項2記載のフォイル軸受。
- 前記多数の繊維が、一端が前記フォイルホルダに固定され、他端が自由端である第一の繊維と、一端が前記トップフォイルに固定され、他端が自由端である第二の繊維とを有し、
前記第一の繊維及び前記第二の繊維が、互いに相手方の繊維の間に入り込んだ請求項1又は2記載のフォイル軸受。 - 前記トップフォイルが、前記フォイルホルダと接触しておらず、前記多数の繊維のみを介して前記フォイルホルダに取り付けられた請求項4記載のフォイル軸受。
- 前記フォイルホルダと前記トップフォイルとの間にアンダーフォイルを設け、
前記フォイルホルダと前記アンダーフォイルとの間、及び、前記アンダーフォイルと前記トップフォイルとの間の少なくとも一方に前記多数の繊維を介在させた請求項1又は2記載のフォイル軸受。 - 前記多数の繊維の長さを周方向で異ならせた請求項1〜6の何れかに記載のフォイル軸受。
- 前記多数の繊維の弾性変形による前記トップフォイルの弾性率を周方向で異ならせた請求項1〜7の何れかに記載のフォイル軸受。
- 前記多数の繊維の弾性変形による前記トップフォイルの弾性率を、周方向と直交する方向で異ならせた請求項1〜8の何れかに記載のフォイル軸受。
- 前記トップフォイルの変形量が大きくなるほど、前記多数の繊維の弾性変形による前記トップフォイルの弾性率が大きくなるようにした請求項請求項1〜9の何れかに記載のフォイル軸受。
- 前記多数の繊維が、長めの繊維と短めの繊維とを混在させてなる請求項10記載のフォイル軸受。
- 前記多数の繊維が樹脂繊維である請求項1〜11の何れかに記載のフォイル軸受。
- 一端が前記フォイルホルダに固定され、前記トップフォイルの軸受面と回転部材との間に形成される軸受隙間の開口部の少なくとも一部を覆うシール用繊維を備えた請求項1〜12の何れかに記載のフォイル軸受。
- フォイル軸受に設けられるフォイル部材であって、
一方の面に軸受面が設けられたトップフォイルと、前記トップフォイルの他方の面に固定された多数の繊維とを備えたフォイル部材。 - 軸受面を有するトップフォイルと、前記トップフォイルが取り付けられたフォイルホルダとを備えたフォイル軸受の製造方法であって、
前記フォイルホルダ又は前記トップフォイルに多数の繊維を固定する工程と、
前記フォイルホルダに前記トップフォイルを組み付けることにより、前記フォイルホルダと前記トップフォイルとの間に前記多数の繊維を弾性変形可能な状態で介在させる工程とを有するフォイル軸受の製造方法。 - 前記フォイルホルダ又は前記トップフォイルに、前記多数の繊維を直接植毛する請求項15記載のフォイル軸受の製造方法。
- シートの一方の面に前記多数の繊維を植毛した後、該シートの他方の面を前記フォイルホルダ又は前記トップフォイルに貼り付ける請求項15記載のフォイル軸受の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015184060A JP2017057947A (ja) | 2015-09-17 | 2015-09-17 | フォイル軸受及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20220364592A1 (en) * | 2020-04-06 | 2022-11-17 | Ihi Corporation | Multilobe bearing |
-
2015
- 2015-09-17 JP JP2015184060A patent/JP2017057947A/ja active Pending
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US20220364592A1 (en) * | 2020-04-06 | 2022-11-17 | Ihi Corporation | Multilobe bearing |
US12018714B2 (en) * | 2020-04-06 | 2024-06-25 | Ihi Corporation | Multilobe bearing |
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