JP2008031200A - 熱可塑性樹脂が水溶性材料で被覆された複合樹脂固形物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂が水溶性材料で被覆された複合樹脂固形物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】混練装置への供給工程において偏析による水溶性材料間の濃度むらや樹脂と水溶性材料との組成のむらが発生しないように、熱可塑性樹脂と樹脂粒子や多孔体を生成するのに適した水溶性材料と熱可塑性樹脂の固体状糖組成物及びその製造方法及びそれにより得られた微粒子を提供することにある。
【解決手段】水溶性材料を水などの溶媒に溶解し、熱可塑性樹脂の固形物を該溶液に接触させ、熱可塑性樹脂が水溶性材料で被覆された、熱可塑性樹脂と水溶性材料からなる複合樹脂固形物物を形成し、該固形物を溶融混合し、溶媒で抽出して熱可塑性樹脂からなる微粒子を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶融可能な樹脂成分との溶融混練により樹脂微粒子や多孔体を生成するのに適した糖などの水溶性材料で被覆された樹脂固形物及びその製造方法及びそれを用いて形成された熱可塑性球状樹脂微粒子に関する。
従来、熱可塑性樹脂からなる多孔体や粒子、あるいは表面に凹凸を有した成形体を得る方法として、熱可塑性樹脂を特定の成分と溶融混練して任意の分散状態を有する組成物を成し、この組成物を、該成分は溶解するが熱可塑性樹脂は溶解しない溶媒に浸して、該成分を除去して目的の熱可塑性樹脂からなる多孔体や粒子などの成形体を得る方法が提案されている。
これらの方法に関し、例えば樹脂微粒子の製造方法として特開平10−176065号公報(特許文献1)には、微粉末化する熱可塑性樹脂(a)に、他の1種類以上の熱可塑性樹脂(b)を溶融混練することにより、樹脂(a)が分散相、樹脂(b)が連続相を構成する樹脂組成物を得て、樹脂(a)は溶解せず、樹脂(b)が溶解するような溶媒で前記樹脂組成物を洗浄することにより、樹脂(a)の球状微粒子を得る方法が開示されている。
特開昭60−13816号公報(特許文献2)には、ポリエチレングリコールと熱可塑性樹脂とを溶融撹拌した後に、水中に投入して両ポリマーを凝固させ、その後、水を用いて、ポリエチレングリコールを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が提案されている。
さらに特開昭61−9433号公報(特許文献3)には、熱可塑性樹脂とポリエチレンオキサイドとを溶融撹拌した後に冷却させ、水を用いて、ポリエチレンオキサイドを除去する熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
また特開平9−165457号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどの溶融成形可能な水溶性高分子と、熱可塑性樹脂とを混合して溶融成形物を得た後、水を用いて、成形物から水溶性高分子を除去する樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
更に特開2004−51942号公報(特許文献5)には、樹脂成分(A)及び水溶性乳化媒体(B)で構成された分散体であって、乳化媒体(B)が、少なくともオリゴ糖(B1)で構成されている分散体、および前記分散体から乳化媒体(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体を製造する方法が開示されている。
水溶性材料としては特開2005−162841号公報(特許文献6)には、オリゴ糖(A1)と、このオリゴ糖(A1)を可塑化するための水溶性可塑化成分(A2)とで構成され、かつ実質的に水を含むことなく溶融成形可能な水溶性助剤が開示されている。
これらの方法は、いずれも、広範囲に渡る熱可塑性樹脂を簡便に微粒子化できる方法として有用であるが、一方で、連続相を形成する成分を溶媒に溶出させた際に発生する溶液の処理において、環境面、コスト面の両面から多大な負荷が発生するという問題点があった。その中で、オリゴ糖を含む水溶性乳化成分を用いる方法は、溶解させる媒体に水を使用するという、また一般的に天然物由来である糖を用いるという点において、これらの負荷を軽減させることが可能であるが、しかしながら糖水溶液のBOD負荷の面などから、その処理において解決するべき問題は多い。
更に水溶性材料として糖と水溶性可塑成分の混合物を用いた場合には、オリゴ糖などの糖成分と水溶性可塑化成分はドライブレンドされてホッパーなどの供給路を経て混練装置に供給されるが、この時に、オリゴ糖と水溶性可塑化成分の粒度が異なるために偏析を起こして濃度むらが発生する。
また粉末状のオリゴ糖あるいは水溶性可塑化成分などの水溶性成分が供給路に付着してブロッキングを起こす可能性がある。特に、球状微粒子を得るためにはこれらの水溶性材料と熱可塑性樹脂を溶融混合することが必要であるが、水溶性材料によっては熱可塑性樹脂よりも融点が低く、押出機のフィード部分で糖と水溶性可塑成分などの水溶性材料が溶融してスクリューに巻き付き、押出が困難になるなどの問題点も生じることがある。
以上のように粉末状のオリゴ糖あるいは水溶性可塑化成分などの水溶性材料はその工程上に問題を起こしやすく工業的に生産する場合に問題となる場合もある。
さらに、水溶性材料として糖と糖アルコールの混合物を用いた場合には、溶融混練の工程において、水溶性可塑化成分がオリゴ糖などの糖と分子レベルで混ざり合いながらオリゴ糖が可塑化され、これが溶融した樹脂成分と混練されることにより分散状態が形成されるが、オリゴ糖の可塑化工程が樹脂の溶融、分散工程と同時に起こるため、安定した分散状態を得ることが困難になる問題もある。
一方で、糖や水溶性樹脂の水溶液から固体状の糖あるいは水溶性樹脂を得る方法として、工業的には広くスプレードライ法が用いられている。スプレードライ法は、晶析法などの方法が利用困難な多糖類などの固形化に対しては非常に有用な手法であるが、工業的に実施する場合、設備的に多大なコストが掛かり、また水分蒸発のためのエネルギー量も大きい。加えて、スプレードライ法で得られる粒子は、その大きさに限界があり、例えば得られた糖粒子や水溶性樹脂などの水溶性材料の粒子を、ペレット状の熱可塑性樹脂と混合して用いる際に、偏析しやすく混合が難しいなどの問題点がある。
更に、水溶性材料を乾燥粉末化した場合には、その粒径にもよるが粒子径が細かい場合には粉塵爆発の危険性もある。
特開2006−181970号公報(特許文献7)には水溶性材料と非水溶性の熱可塑性樹脂とを溶融混練して押出す溶融押出し法において、水溶性材料中に熱可塑性樹脂粒子が均一に分散した樹脂組成物を生成でき、さらに、該樹脂組成物より大きさのばらつきが少ない樹脂粒子を得ることができる溶融押出し方法が記載されている。この方法によれば、非水溶性の熱可塑性樹脂と水溶性材料とを溶融混練して押出す溶融押出し法であって、溶融混練に供する原料として、非水溶性の熱可塑性樹脂と水溶性材料とで構成されるペレットを用いることを特徴としている。
そして、前記原料としては、例えば、原料として、2以上の層からなり、表層がその内側の層よりも吸水性の低い材料で構成されているペレットを用いることができ、好ましくは、水溶性材料からなる中心部の表面に非水溶性の熱可塑性樹脂からなる表層が被覆された構造を有するペレットを用いることができることが記載されている。
この方法によれば、水溶性材料の粒子をペレット状の熱可塑性樹脂と混合して用いる際に、偏析する問題を解決することができる。しかしながら、表層がその内側の層よりも吸水性の低い材料で構成されているペレットを形成するためには水溶性材料と熱可塑性樹脂の何れも溶融した状態で多層構成のストランドとして成形し、これを切断してペレットとする必要があり溶融過程を経る必要があり、また溶融粘度が低い水溶性材料を用いる場合にはペレット化が困難となる場合もある。
そして、熱可塑性微粒子を得るための押出工程では、このような複合化されたペレットを用いることで、押出機のフィード部分で糖と水溶性可塑成分などの水溶性材料が溶融してスクリューに巻き付き、押出が困難になるなどの問題点を解消することはできるが、一方、水溶性成分の押出工程においては、以前上記の押出機のフィード部分で糖と水溶性可塑成分などの水溶性材料が溶融してスクリューに巻き付き、押出が困難になるなどの問題点を解消することはできない。更に、この方法によれば、水溶性材料を熱成形する必要があり、このため水溶性材料は固体とする必要があり、溶液の水溶性材料を用いてそのまま複合化ペレットを成形できない。
特開平10−176065号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−13816号公報(特許請求の範囲) 特開昭61−9433号公報(特許請求の範囲) 特開平9−165457号公報(特許請求の範囲) 特開2004−51942号公報(特許請求の範囲) 特開2005−162841号公報(特許請求の範囲) 特開2006−181970号公報(要約、特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、樹脂と混合して用いることを目的とした水溶性材料と熱可塑性樹脂との複合樹脂固形物の形成において、安価な方法で、ペレット状などの樹脂と同様に用いるに好適な物質を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記物質を用いた樹脂からなる複合樹脂固形物の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、前記物質を用いた複合樹脂固形物を溶融混合し、溶媒により水溶性材料を除去して熱可塑性樹脂からなる粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するため検討した結果、熱可塑性樹脂と混合して用いることを目的とした水溶性材料に被覆された複合樹脂固形物を形成するに際して、水溶性材料の溶液からの糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料の形成工程を利用することで、これらの問題を解決できることを見出した。
すなわち、上記の熱可塑性樹脂を水溶性材料などの特定成分と溶融混練して、水溶性材料と熱可塑性樹脂の任意の分散状態を有する組成物を成し、この組成物を該水溶性成分は溶解するが熱可塑性樹脂は溶解しない溶媒に浸して、該水溶性成分を除去して目的の熱可塑性樹脂からなる多孔体や粒子などの成形体を得る方法においては、当然副生物として該水溶性成分を含有した溶液が多量に得られる。水溶性成分として糖などを用いる場合には、環境に与える付加は小さいものの糖水溶液のBOD負荷面から糖成分であっても回収して再利用することができれば、より好ましい。しかしながら、公知のスプレードライ法などの固化方法を取った場合には、上記の通り水分蒸発のためのエネルギー量も大きいし、粉塵爆発の危険性もある。
本発明の発明者は、上記の水溶性成分を含有した溶液を用い、熱可塑性樹脂を芯材としてここに水溶性材料の溶液を添加し、混合しながら乾燥することにより、樹脂が水溶性材料で被覆された複合構造の樹脂固形物が効率的に得られることを見出し本発明に到達した。更に、水溶性材料で被覆された複合樹脂固形物を原料として用いることにより、熱可塑性樹脂と水溶性樹脂の溶融混合、混練が効果的に行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明においては、樹脂は粉末状あるいは粒子状であっても良いが、ペレット状であってもよい。水溶性材料は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどの溶融成形可能な水溶性高分子であっても良い。さらに水溶性材料がオリゴ糖、還元水あめ、クラスターデキストリンから選ばれる少なくとも1種類の多糖類を含む糖を含有しても良い。また、得られた複合固形物が熱可塑性樹脂の糖衣状物であってもよい。
水溶性材料の少なくとも一部が多糖類とエリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも1種類の糖アルコールを含んでいてもよい。
水溶性材料が多糖類と上記の糖アルコール及び上記の溶融可能な水溶性高分子で構成されても良い。
これらの複合固形物の製造方法としては、回転機能もしくは攪拌機能を備えた槽中にペレット状、粉末状もしくは塊状の熱可塑性樹脂を投入し、糖などの水溶性材料が溶解した溶液添加する工程であっても良い。さらに上記の糖もしくは水溶性樹脂の水溶液を添加する工程の後に更に水溶性材料の粉末あるいは粒子を添加する工程を経て得てもよい。
本発明の糖もしくは水溶性樹脂で被覆された複合樹脂固形物を用いて、多孔体や粒子など樹脂からなる成形体を得ることも出来る。
本発明によれば、糖もしくは水溶性樹脂の水溶液から、糖や水溶性樹脂で被覆された複合樹脂固形物を安価かつ簡便に得られる。更に、熱可塑性樹脂を水溶性材料などの特定成分と溶融混練して、水溶性材料と熱可塑性樹脂の任意の分散状態を有する組成物を成し、この組成物を該水溶性成分は溶解するが熱可塑性樹脂は溶解しない溶媒に浸して、該水溶性成分を除去して目的の熱可塑性樹脂からなる多孔体や粒子などの成形体を得る方法において副生物として得られる該水溶性成分を含有した溶液を有利に再利用することができる。更に、本発明で得られた複合樹脂固形物を用いた場合には水溶性材料と熱可塑性樹脂の任意の分散状態を有する組成物の押出工程が安定化する。更には、水溶性材料が多糖類と糖アルコールを含む複合体を構成体として保有する場合には多糖類と糖アルコールの組成比の変動を抑制することができる。このようにして、得られた糖や水溶性樹脂で被覆された複合樹脂固形物を用いて樹脂からなる多孔体や粒子など成形体を効率的に得ることが出来る。
[熱可塑性樹脂]
本発明において、芯材として用いる樹脂は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。熱可塑性樹脂とは得られる被覆された樹脂の産業上の利用法に鑑みて、溶融可能な樹脂、すなわち熱可塑性樹脂もしくは溶融可能な熱硬化性樹脂、あるいは両者の混合物が好適に用いられる。特に好適なものは熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂であれば非晶性樹脂であっても、結晶性樹脂であっても用いることができる。これらの樹脂の形状も特には限定されないが、粉末状、粒子状あるいはペレット状を用いることが出来、水溶液からの糖や水溶性樹脂による被覆の容易さからペレット状が特に好適に使用できる。代表的な熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル重合系熱可塑性樹脂(スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂又はその誘導体など)、縮合系熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂など)、天然物由来樹脂(セルロース誘導体など)などが例示できる。
これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。以下代表的な樹脂につき例示する。
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体など)、が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、α−C2-6オレフィンの単独又は共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペンテン−1)などのオレフィンの単独又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)が挙げられる。特に、本発明では、環状ポリオレフィン系樹脂(環状オレフィン系樹脂)などの比較的溶融粘度が高いオレフィン系樹脂であっても、好適に使用できる。
環状オレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)は、環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であればよい。環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。また、環状オレフィンは、置換基{例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1-10アルキル基、好ましくはC1-5アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6-10アリール基)、アルケニル基(例えば、プロペニル基などのC2-10アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5-10シクロアルケニル基など)、アルキリデン基(例えば、エチリデン基などのC2-10アルキリデン基、好ましくはC2-5アルキリデン基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1-10アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基などのC2-5アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1-10アルコキシ−カルボニル基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基(=O)、複素環基(ピリジル基などの窒素原子含有複素環基など)など}を有していてもよい。環状オレフィンは、単独で又は2種以上組み合わせて置換基を有していてもよい。
具体的な環状オレフィンとしては、単環式オレフィン類[例えば、シクロアルケン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロC3-10アルケンなど)など、シクロアルカジエン(例えば、シクロペンタジエンなどのシクロC3-10アルカジエン)など];二環式オレフィン類{例えば、ビシクロアルケン[例えば、ノルボルネン類(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5又は5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2−ノルボルネン、7−オキソ−2−ノルボルネンなど)などのC4-20ビシクロアルケンなど]、ビシクロアルカジエン[例えば、ノルボルナジエン類(例えば、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−シアノ−2,5−ノルボルナジエン、5−メトキシカルボニル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン、7−オキソ−2−ノルボルナジエンなど)など]など}、三環式オレフィン{例えば、トリシクロアルケン[例えば、ジヒドロジシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエンなど)などのC6-25トリシクロアルケンなど]、トリシクロアルカジエン[例えば、ジシクロペンタジエン類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,8−ジエンなどのC6-25トリシクロアルカジエンなど]など}、四環以上の多環式オレフィン{例えば、四環式オレフィン[例えば、テトラシクロアルケン(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのC8-30テトラシクロアルケンなど)など]、五環式オレフィン[例えば、ペンタシクロアルカジエン(例えば、トリシクロペンタジエンなどのC10-35ペンタシクロアルカジエン)など]、六環式オレフィン[例えば、ヘキサシクロアルケン(例えば、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンなどのC12-40ヘキサシクロアルケン)など]など}などの多環式オレフィン類などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンの単独又は共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)であってもよく、環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、共重合可能な限り特に限定されないが、鎖状オレフィン[アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのC2-20アルケン)、アルカジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役C5-20アルカジエン)など]、重合性ニトリル化合物(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸など)、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(無水マレイン酸など)などが挙げられる。共重合性単量体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
好ましい環状オレフィン系樹脂には、多環式オレフィン(例えば、二乃至六環式オレフィンなど)を重合成分とする樹脂、特に、多環式オレフィンのうち、ノルボルネン系単量体(又はノルボルネン骨格を有する単量体、例えば、前記ノルボルネン類、前記ジシクロペンタジエン類など)を重合成分とする樹脂などが挙げられる。環状オレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリルなど)の単独又は共重合体、などが挙げられる。
ハロゲン含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。
ビニルエステル系樹脂又はその誘導体としては、例えば、カルボン酸ビニルエステルの単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、これらのケン化物(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂)、ケン化物(ビニルアルコール系樹脂)からの誘導体(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂など)などが例示できる。エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン含量は5〜40重量%程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、オキシカルボン酸、ラクトン類を用いた種々の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-6アルキレンアリレート系樹脂、C2-6アルキレンアリレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル(例えば、共重合成分が、オキシアルキレン単位を有する(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコールやC6-12の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの非対称性芳香族ジカルボン酸などのコポリエステル)、ポリアリレート系樹脂、液晶性ポリエステルなどの芳香族ポリエステル系樹脂;ポリC2-6アルキレンオギザレート、ポリC2-6アルキレンサクシネート、ポリC2-6アルキレンアジペートなどのポリ(C2-6アルキレングリコール−C2-10脂肪族ジカルボン酸エステル)、ポリオキシカルボン酸系樹脂(例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体など)、ポリラクトン系樹脂(例えば、ポリカプロラクトンなどのポリC3-12ラクトン系樹脂など)、これらのコポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン−ポリブチレンサクシネート共重合樹脂など)などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂はウレタン結合を含んでいてもよい。さらに、ポリエステル系樹脂は生分解性を有していてもよい。
ポリアミド系樹脂、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など)、コポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など);脂環式ポリアミド系樹脂;芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられる。ポリアミド系樹脂のジカルボン酸成分はダイマー酸単位を含んでいてもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は生分解性を有していてもよい。
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート類と、ポリオール類(例えば、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)と、必要により鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系樹脂が例示できる。
ポリ(チオ)エーテル系樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンエーテルケトン系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン系樹脂を含む)などが含まれる。
ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。 ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリールスルホン樹脂などが例示できる。ポリイミド系樹脂としては、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂などが例示できる。
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類(、セルロースエーテル類、セルロースカーバメート類などが挙げられる。
熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマー(、熱可塑性シリコーン樹脂、天然樹脂又はその誘導体なども含まれる
[樹脂添加剤]
前記樹脂は、種々の添加剤(溶融混練温度で融解してもよい添加剤など)を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤又は軟化剤、滑剤又はワックス類、充填剤、安定剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、電荷制御剤(ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミン系化合物などの正荷電制御剤;サリチル酸金属錯体、アゾ染料金属錯体、銅フタロシアニン染料、ニトロイミダゾール誘導体、尿素誘導体などの負電荷制御剤など)、流動化剤、架橋剤、結晶核剤、抗菌剤、防腐剤、油溶性染料などを含んでいてもよい。
滑剤又はワックス類としては、固体状滑剤[脂肪族炭化水素系ワックス、植物性又は動物性ワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドなど)、アルキレンビス脂肪酸アミド(メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドなど)、脂肪酸金属塩(ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸多価金属塩など)など]、液状滑剤[パラフィンオイル、シリコーンオイルなど]が例示できる。
充填剤としては、無機充填剤(無機粒子)[例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛など金属酸化物、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、チタン酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属、炭素、磁性体など]、有機充填剤[例えば、架橋樹脂粒子、溶融混練温度よりも高い熱変形温度を有する耐熱性樹脂粒子など]、着色剤[例えば、無機顔料、有機顔料]が例示できる。無機顔料としては、体質顔料(炭酸カルシウムなど)、白色顔料(酸化チタン、酸化亜鉛など)、黄色顔料、赤色顔料(ベンガラなど)、青色顔料(紺青、群青など)、黒色顔料(カーボンブラックなど)などが挙げられ、有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、スレン系顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ又はチオインジゴ系顔料、アニリンブラックなどの黒色顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン化合物などが挙げることができる。
なお、着色剤は、蛍光顔料又は染料、蓄光顔料などであってもよい。充填剤は、粉粒状であってもよく繊維状であってもよい。これらの充填剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、樹脂と添加剤とを溶融して樹脂成分に予め含有させていてもよく、下記の被覆された複合樹脂固形物を製造する過程で混合させてもよい。
[水溶性材料]
本発明においては、熱可塑性樹脂を被覆する物質として水溶性材料を用いることができる。水溶性材料には熱可塑性を有する水溶性樹脂を含む。水溶性樹脂としては、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体など)、ビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコールなど)水溶性アクリル系樹脂、水溶性スチレン系樹脂、ポリビニルピロリドンなどの水溶性合成樹脂;セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロースなどのヒドロキシル基を有するセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)など]、が挙げられる。これらのマトリックス成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
本発明のおける水溶性材料としては、少なくとも一部に多糖類などの糖及び糖アルコール、あるいは多糖類と糖アルコールの混合物を含む。また水溶性樹脂と多糖類およびまたは糖アルコールの組み合わせも用いることができる。本発明で用いる熱可塑性樹脂の溶融粘度などを考慮して、多糖類と糖アルコールに水溶性高分子を添加した系なども用いることができる。
[糖]
本発明においては、熱可塑性樹脂を被覆する物質として糖を用いることが出来る。糖の種類については限定されるものではないが、特に熱可塑性樹脂と溶融混合あるいは混練して用いることを鑑みて、多糖類と糖アルコールの少なくとも一方あるいは、両者の混合物が好適に用いられる。
複合樹脂固形物として糖を用いる場合、後述の水溶性樹脂と比較して、溶媒、特に水に溶解させやすい、溶媒に溶解した際の粘度が低くハンドリング性に優れるなどの利点が期待できる。
[多糖類]
本発明においては、オリゴ糖(粉末状オリゴ糖)、還元水飴、クラスターデキストリンから選ばれる少なくとも1種類の多糖類としては以下のものが用いることができる。
(A1)オリゴ糖
オリゴ糖(A1)は、ホモオリゴ糖であってもよくヘテロオリゴ糖であってもよい。オリゴ糖(A1)としては、例えば、二糖類〜十糖類が挙げられ、通常、二糖類〜六糖類のオリゴ糖が使用される。なお、オリゴ糖(A1)は無水物でもよい。また、オリゴ糖(A1)において、単糖類と糖アルコールとが結合していてもよい。さらに、オリゴ糖(A1)は複数の糖成分で構成されたオリゴ糖組成物であってもよく、多糖類の分解により生成するオリゴ糖組成物であってもよい。このようなオリゴ糖組成物であっても単にオリゴ糖(A1)という場合がある。
オリゴ糖(A1)は、通常、常温で固体である。オリゴ糖(A1)(又はオリゴ糖組成物)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、前記オリゴ糖(A1)は、一般的に天然物由来であるため、環境への負荷を低減できるとともに、水に対する溶解速度が速いため、前記分散体から樹脂粒子を効率よく生成できる。
二糖類としては、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオースなどのホモオリゴ糖;ラクトース、スクロース、パラチノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
三糖類としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオースなどのホモオリゴ糖;マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトスクロース、ラフィノースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。
四糖類としては、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなどのホモオリゴ糖;スタキオース、セロテトラオース、スコロドース、リキノース、パノースの還元末端に糖又は糖アルコールが結合したテトラオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。これらの四糖類のうち、パノースの還元末端に単糖類又は糖アルコールが結合したテトラオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなどの単糖類や、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが結合したテトラオースが例示できる。
五糖類としては、マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどのホモオリゴ糖;パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースなどのヘテロオリゴ糖が挙げられる。パノースの還元末端に二糖類が結合したペンタオースは、例えば、特開平10−215892号公報に開示されており、パノースの還元末端に、スクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類が結合したペンタオースが例示できる。
六糖類としては、マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどのホモオリゴ糖などが挙げられる。
これらのオリゴ糖(又はオリゴ糖組成物)のうち、少なくとも四糖類で構成されたオリゴ糖は、溶融粘度特性、樹脂成分との溶融混合又は混練性の観点から好ましい。
このようなオリゴ糖又はオリゴ糖組成物としては、例えば、デンプン糖(デンプン糖化物)、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖などが挙げられ、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、デンプン糖は、デンプンに酸又はグルコアミラーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、複数個のグルコースが結合したオリゴ糖の混合物であってもよい。
デンプン糖としては、例えば、東和化成工業(株)製の還元デンプン糖化物(商品名:PO−10、四糖類の含有量90重量%以上)などが挙げられる。ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼなどを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−(グルコース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。カップリングシュガーは、デンプンとスクロースにシクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、(グルコース)n−スクロースの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。フルクトオリゴ糖(フラクトオリゴ糖)は、砂糖にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、スクロース−(フルクトース)nの混合物(nは1〜4の整数)であってもよい。
これらのオリゴ糖(A1)において、溶融混合又は混練での急激な粘度低下を防止するため、オリゴ糖組成物中の三糖類及び四糖類(特に四糖類)の含有量は、例えば、60重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(例えば、70〜100重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜100重量%程度)、特に90重量%以上(例えば、90〜100重量%程度)であってもよい。
オリゴ糖(A1)は非還元型(トレハロース型)であってもよいが、還元型(マルトース型)のオリゴ糖は、耐熱性に優れるため好ましい。還元型のオリゴ糖としては、遊離のアルデヒド基又はケトン基を有し、還元性を示す糖、例えば、コージービオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオースなどの三糖類;マルトテトラオース、イソマルトテトラオース、セロテトラオース、リキノースなどの四糖類;マルトペンタオース、イソマルトペンタオースなどの五糖類;マルトヘキサオース、イソマルトヘキサオースなどの六糖類などが挙げられる。
(A2)還元水飴
本発明に用いる還元水飴とは糖アルコールの一種であり、水飴が持つカルボニル基を還元(水素を付加)して得られる鎖状多価アルコール類の水飴である。還元水飴は水素が付加されているためカルボニル基が存在せず、非還元糖に分類されるものである。還元澱粉糖化物と言われる場合もある。
具体的にはデンプン部分加水分離物を還元して得たオリゴ糖にソルビトールが結合した非還元性オリゴ糖と単糖アルコールの混合物といえる。これらの還元水飴の製造法としては、例えばデンプンの加水分離物により得られる単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、デキストリンなどを含むDE20〜50の糖液を精製、濃縮後、水素で還元得ることができる。
高糖化還元水あめの成分組成の一例を示すと、単糖アルコールが0〜10%、二糖アルコールが45〜55%、三糖アルコールが15〜25%、四糖アルコールが20〜30%である。また低糖化還元水あめの成分組成の一例では単糖アルコールが5〜10%、二糖アルコールが50〜60%、三糖アルコールが10〜20%、四糖アルコールが20%以下である。これらの還元水飴の特性として、高糖化還元水あめ及び低糖化還元水あめは熱に対して安定性があり、着色が起こりにくくなっているため、本発明に用いるのに好適である。還元水飴の一例としては日研化成株式会社が製造している、エスイーシリーズなどを挙げることができ、例えばエスイーPなどを用いることができる。
(A3)クラスターデキストリン
本発明において用いるクラスターデキストリンとは少なくとも1つの環状構造を有する水溶性多糖類のことである。本発明におけるクラスターデキストリンにおいて、環状構造(環状骨格、環状ユニット、環状部位)は、多糖類を構成する複数のグリコース単位[通常、グルコース単位(特にD−グルコース)]がグルコシド結合(又はグルコシル化)して形成された環であればよい。すなわち、本明細書において、環状構造とは、複数のグリコース単位(およびグルコシド結合)で形成された環を意味し、グルコース環などの単糖類の環を意味するものではない。このようなクラスターデキストリンは、オリゴ糖などに比べて比較的高分子量であり溶融粘度が高く、しかも、その環状構造によるためか、水溶性を示す。
本発明では、このような特定の多糖類を使用することにより、溶融時において、オリゴ糖などに比べて高い剪断粘度を保持できるため、溶融混練性を損なうことなく溶融混練でき、しかも、水溶性であるため、水などにより容易に除去可能である。
前記多糖類において、環状構造は、複数のグルコシド結合で構成されていればよく、α−グルコシド結合又はβ−グルコシド結合で構成されていてもよく、通常、α−グルコシド結合で構成されていてもよい。環状構造(1つの環状構造あたり)の平均重合度(数平均重合度、環状構造を形成する平均グルコシド結合数、環状構造を形成するグリコース単位の平均重合度)は、例えば、10以上(例えば、10〜500程度)、好ましくは12以上(例えば、12〜300程度)、さらに好ましくは14以上(例えば、14〜100程度)であってもよい。また、環状構造を構成するグルコシド結合は、通常、少なくとも1,4−グルコシド結合(特に、α−1,4−グルコシド結合)で形成された環であればよく、1,4−グルコシド結合(特に、α−1,4−グルコシド結合)と1,6−グルコシド結合(特に、α−1,6−グルコシド結合)とで形成された環であってもよい。
このような1,6−グルコシド結合を含む環において、環状構造(1つの環状構造あたり)における1,6−グルコシド結合の平均数は、1以上(例えば、1〜700程度)であればよく、例えば、1〜300(例えば、1〜200)、好ましくは1〜100(例えば、1〜50)、さらに好ましくは1〜20(例えば、1〜10)であってもよい。
また、クラスターデキストリンは、少なくとも1つの環状構造(環状ユニット)を有していればよく、複数の環状構造を有していてもよい。なお、クラスターデキストリンの平均重合度(数平均重合度、総平均重合度、多糖類全体の平均重合度)は、例えば、14以上(例えば、14〜15000)、好ましくは17以上(例えば、17〜10000)、さらに好ましくは20以上(例えば、20〜8000)程度であってもよい。
なお、クラスターデキストリンは、誘導体化(又は変性)されていてもよい。例えば、クラスターデキストリンは、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)が誘導体化[例えば、エーテル化(例えば、メチルエーテル化などのアルキルエーテル化;ヒドロキシエチルエーテル化、ヒドロキシプロピルエーテル化などのヒドロキシアルキルエーテル化;グリセリル化など)、エステル化、グラフト化、架橋化など]された誘導体であってもよい。クラスターデキストリンは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。代表的なクラスターデキストリンには、(1)環状構造(又は環状ユニット)とこの環状構造に結合した非環状構造(非環状骨格、非環状ユニット非環状部位)とを有し、かつ平均重合度50以上である多糖類、(2)14以上のα−1,4−グルコシド結合で形成された環状構造を分子内に一つ有する多糖類などが挙げられる。
(クラスターデキストリン(1))
前記クラスターデキストリン(1)において、環状構造は、通常、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成された環であってもよい。また、環状構造(1つの環状構造あたり)の平均重合度(数平均重合度)は、例えば、10〜500、好ましくは12〜300、さらに好ましくは14〜100であってもよい。環状構造がα−1,6−グルコシド結合を有する場合、環状構造(1つの環状構造あたり)におけるα−1,6−グルコシド結合の平均数は、例えば、1以上(例えば、1〜200)、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜50程度であってもよい。
なお、多糖類(1)の平均重合度(数平均重合度、総数平均重合度)は、50以上であればよく、例えば、50〜10000、好ましくは60〜7000、さらに好ましくは70〜5000程度であってもよい。なお、多糖類(1)は、非環状構造を1又は複数有していてもよく、通常、複数(例えば、2〜1000、好ましくは3〜500程度)有していてもよい。
このような非環状部位(又はクラスターデキストリン(1)の環状構造以外の部位)1つあたりの平均重合度(数平均重合度)は、例えば、10以上(例えば、10〜30)、好ましくは10〜20程度であってもよい。また、非環状部位全体の平均重合度(数平均重合度)は、10以上であればよく、例えば、40以上(例えば、50〜5000程度)、好ましくは100〜3000程度であってもよい。なお、非環状部位は、特に、α−1,6−グルコシド結合のグリコース(特にグルコース)単位から分岐している場合が多い。なお、クラスターデキストリン(1)において、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)は、誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化など)されていてもよい。
このようなクラスターデキストリン(1)には、いわゆる一般的に「クラスターデキストリン」として知られている多糖類が含まれる。このようなクラスターデキストリン(1)は、例えば、糖類(例えば、澱粉、澱粉の部分分解物、アミロペクチン、グリコーゲン、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉加水分解物、およびホスホリラーゼによる酵素合成アミロペクチンから選択された少なくとも1種の基質など)に、糖類に作用して環状構造を形成可能な酵素(枝作り酵素、D酵素、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼなど)を反応させることにより得てもよい。このようなクラスターデキストリンおよびその製造方法についての詳細は、特開平8−134104号公報などを参照できる。
(クラスターデキストリン(2))
前記クラスターデキストリン(2)において、環状構造は、α−1,4−グルコシド結合で少なくとも形成された環であればよく、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成された環であってもよい。また、クラスターデキストリン(2)において、環状構造の平均重合度(数平均重合度)は、14以上であればよく、例えば、14〜5000、好ましくは15以上(例えば、15〜3000程度)、さらに好ましくは17以上(例えば、17〜1000程度)であってもよい。
環状構造がα−1,6−グルコシド結合を有する場合、環状構造におけるα−1,6−グルコシド結合の平均数は、例えば、1〜500、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜100程度であってもよい。
クラスターデキストリン(2)は、前記環状構造を有している限り、非環状構造(例えば、直鎖状構造)を有していてもよいが、通常、前記環状構造のみで構成(又は形成)された環状多糖類であってもよい。なお、クラスターデキストリン(2)において、ヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)は、誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、グラフト化、架橋化など)されていてもよい。このようなクラスターデキストリン(2)には、いわゆる「シクロアミロース(又はサイクロアミロース)」として知られている多糖類が含まれる。
このようなクラスターデキストリン(2)は、例えば、直鎖状のα−1,4−グルカン又はこのグルカンを含む糖類(例えば、マルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、澱粉、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉枝切り物、澱粉部分加水分解物、ホルホリラーゼによる酵素合成アミロース、およびこれらの誘導体から選択された少なくとも1種など)と、クラスターデキストリン(2)を形成可能な酵素(例えば、D酵素など)とを、必要に応じて、ホスホリラーゼおよびグルコース1−リン酸の存在下で反応させることにより得ることができる。また、前記反応は、基質としてα−1,6−グルコシド結合を有する基質を用いる場合には、α−1,6−グルコシド結合を切断可能な酵素(例えば、イソアミラーゼ、プルラナーゼなど)の存在下で行ってもよい。
このようなサイクロアミロースおよびその製造方法についての詳細は、特開平8−311103号公報などを参照できる。これらの多糖類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。本発明では、前記クラスターデキストリン(1)及び/又はクラスターデキストリン(2)を好適に用いることができ、特に、前記クラスターデキストリン(1)(又はクラスターデキストリン)を好適に用いることができる。
(多糖類の物性)
混練により樹脂成分(樹脂成分など)を分散させるためには、多糖類(A)糖の粘度は高いのが望ましい。具体的には、B型粘度計を用いて温度25℃で測定したとき、多糖類(A)糖の50重量%水溶液の粘度は、例えば、1〜500Pa・s、好ましくは2〜250Pa・s(例えば、3〜100Pa・s)、さらに好ましくは4〜50Pa・s(例えば、6〜50Pa・s)程度である。 多糖類(A)糖の融点又は軟化点は、溶融可能な樹脂成分(樹脂成分など)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)より高いのが好ましい。
なお、融点又は軟化点を示さず、熱分解する多糖類(A)糖[例えば、還元デンプン糖化物などのデンプン糖など]では、分解温度を多糖類(A)糖の「融点又は軟化点」としてもよい。明瞭な融点や軟化点を示さない熱分解性多糖類(A)糖であっても、水溶性可塑化成分(A2)で可塑化できるため、有効に使用できる。多糖類(A)糖の融点又は軟化点は、樹脂成分(A)の種類などに応じて、70〜300℃の範囲で選択でき、例えば、90〜290℃、好ましくは100〜280℃(例えば、110〜270℃)、さらに好ましくは120〜260℃(例えば、130〜260℃)程度であってもよい。
なお、一般に多糖類(A)糖の無水物は、高い融点又は軟化点を示す。多糖類(A)糖の融点又は軟化点と樹脂成分(A)の熱変形温度との温度差は、例えば、1〜80℃、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは15〜60℃程度である。 多糖類(A)糖は粉末状の形態で市販されており、取り扱い性及び流動性が低い。
特に、吸湿性を有するためか、ホッパーから装置内に供給するとブリッジングが生じ、供給路を閉塞する場合がある。このような粉末状多糖類(A)糖(A1)は、目開き0.50mmのふるい(JIS標準ふるい500μm)に対する通過量が95重量%以上(例えば、97重量%以上)、特に99重量%以上である場合が多い。このような微粉末状多糖類(A)糖の取り扱い性及び流動性を改善するため、本発明では、前記粉末状多糖類(A)糖と少なくとも1種類の結晶性を有する糖アルコール(B)とを溶媒に溶解し、乾燥し固形化する。
(糖アルコール)
本発明に糖アルコールと言われている物は以下の性質を満たす物であれば使用することができる。すなわち、糖アルコール(B)としては、多糖類(A)が可塑化して水飴状態となる現象を発現できればよく、例えば、この要求に適する任意の糖アルコールなどが使用できる。これらの結晶性を有する糖アルコール(B)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
具体的な糖アルコールとしては、イノシットなどの環式糖アルコールであってもよいが、通常、アルジトール(グリシトール)などの鎖状糖アルコールが使用される。これらの糖アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖状糖アルコールとしては、テトリトール(トレイトール、エリスリトールなど)、ペンチトール[ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール、リキシトールなど]、ヘキシトール[ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、アロズルシトール(アリトール)、アルスリトールなど]、ヘプチトール、オクチトール、ノニトール、デキトール、及びドデキトールなどが挙げられる。
これらの糖アルコールのうち、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも一種が好ましい。糖アルコールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトールから選択された少なくとも1つの糖アルコールを含む場合が多い。
糖アルコール(B)は、常温(例えば、15〜20℃程度)で液体(シロップ状)であってもよいが、通常、固体である場合が多い。可塑化成分の融点又は軟化点は、通常、樹脂成分(A)の熱変形温度(例えば、JIS K 7206で規定されるビカット軟化点)以下である。なお、可塑化成分の中には、ペンタエリスリトールなどのように、樹脂成分の熱変形温度よりも高い高融点(例えば200℃以上)を有するにも拘わらず、オリゴ糖と共存すると、実際の融点よりも低い温度で融解し、オリゴ糖を有効に可塑化する物質が存在する。このような可塑化成分では、オリゴ糖に対して可塑化効果を発揮する温度を、可塑化成分の「融点又は軟化点」としてもよい。
オリゴ糖の融点又は軟化点(若しくは分解温度)よりも低い融点を有する可塑化成分を用いると、冷却に伴って、可塑化成分が凝固することにより、樹脂成分又はマトリックスを効率よく固定できる。そのため、樹脂成分との組合せにおいて、前記樹脂成分の固化温度に達しなくても、分散相の形状を、例えば、球状などに固定することができる。特に、可塑化成分が低分子であり、明瞭な凝固点を示すので、瞬時に樹脂成分(分散相)の形状を固定できる。
糖組成物において、多糖類(A)と糖アルコール(B)との重量割合は、例えば、前者/後者=99/1〜50/50(例えば、95/5〜50/50)程度の範囲から選択でき、通常、95/5〜60/40(例えば、90/10〜55/45)、好ましくは90/10〜65/35(例えば、85/15〜70/30)程度である。
[糖もしくは水溶性樹脂で被覆された複合樹脂固形物の製造方法]
被覆された複合樹脂固形物の製造方法としては、ミキサーなどを用いた固相法、糖や水溶性樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いたコーティング法、糖や水溶性樹脂を溶媒に溶かした溶液中に樹脂を投入し、温度変化などを利用して樹脂の周りに糖や水溶性樹脂を析出させる液相法など利用でき、特にコーティング法が利便性、汎用性の面から好適に利用できる。
コーティング法では、予め水などの溶媒に糖や水溶性樹脂を溶かした溶液を調整しておく。回転機能もしくは攪拌機能を備えた槽中にペレット状、粉末状もしくは塊状の樹脂を投入し、攪拌状態で、かつ加熱あるいは減圧、あるいは両方の組み合わせの条件下で、糖や水溶性樹脂の溶液を投入し、熱可塑性樹脂を芯材とする複合樹脂固形物を形成していく。
本発明では更に、非水溶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂固形物を水溶性材料の水溶液と接触させ、乾燥する工程において、更に水溶性材料の粉末あるいは粒子を添加することにより、乾燥による水分蒸発の表面積を大きく取ることが出来、樹脂固形物が水溶性材料で被覆された樹脂組成物を効率良く得ることができる。
[水溶性材料を含む溶液の製造方法]
糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料を含む溶液の製造方法は特に限定されず、目的の濃度の溶液を一段階で調製しても良いし、目的の濃度より低い濃度の溶液を一旦調製し、その溶液を濃縮しても良いし、その溶液にさらに固形分を投入して目的の濃度しても良い。
多糖類、糖アルコール双方からなる溶液の製造方法としては、多糖類を溶解した溶液と糖アルコールを溶解した溶液と混合攪拌して、多糖類と糖アルコールが溶媒に溶解した溶液を製造しても良いし、また、多糖類と糖アルコールを固体の状態で混合した上で、溶媒に溶解して混合溶液を形成してもよい。また多糖類あるいは糖アルコールが溶解した溶液に、糖アルコールあるいは多糖類の固体を添加して溶解しても良い。また糖の製造工程で得られる濃厚な糖の水溶液をそのまま用いる様態であっても構わない。
最も好ましい溶液を得る方法は、樹脂と糖あるいは水溶性樹脂からなる分散体を溶媒に溶解して溶液を得る方法である。特に好ましくは、樹脂が分散相を形成している分散体を溶媒に溶解して溶液を得る方法である。
具体的には溶融可能な樹脂成分と糖あるいは水溶性樹脂を組み合わせて溶融混合又は混練し、糖あるいは水溶性樹脂で構成されたマトリックスと、このマトリックス中に分散し、かつ溶融可能な樹脂成分で構成された分散相とで構成された分散体を、溶融可能な樹脂成分に対する貧溶媒であり、かつ糖あるいは水溶性樹脂に対する良溶媒である溶媒で溶出又は溶解し、固液分離し、粒子状の樹脂成形物を得る方法において、樹脂成形物を除去した後のマトリックスが溶解した溶液を調製して本発明の溶液とする方法である。
この様態の場合本発明の溶液に用いられる溶媒は、樹脂成分に対する貧溶媒であり、かつあるいは水溶性樹脂に対する良溶媒である溶媒(樹脂を溶解せず、マトリックスを溶解する溶媒)であることが必要である。本発明の場合、マトリックス成分は糖あるいは水溶性樹脂あるのでこれを溶解する溶媒としては極性溶媒が好ましく用いられる。
このような溶媒または極性溶媒は、通常、ヒドロキシル基を有する溶媒であってもよい。水も有力な極性溶媒である。このような極性溶媒は、多糖類や糖アルコールあるいは水溶性樹脂を溶解し、均一な溶液を形成し、マトリックスの溶解性が高いものであれば良い。
極性溶媒としては、水、アルコール類[例えば、アルカノール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノールなどのC1-4アルカノールなど)、シクロアルカノール(シクロヘキサノールなどのC4-10シクロアルカノールなど)、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-4アルカンジオールなど)、アルカントリオール(グリセリンなど)、低分子量のポリアルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ乃至テトラC2-4アルキレングリコールなど)など]、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン類など)、エーテル類[セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールなど)、ジアルキレングリコールアルキルエーテル類(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブアセテート、ブトキシカルビトールアセテートなど)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ジアルキルエーテル類(ジエチルエーテルなど)など)]などが挙げられる。極性溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
このように分散体からの微粒子の回収のための溶媒と本発明の溶液の溶媒を兼用する溶媒の性質として、別に重要なこととして、溶融可能な樹脂を溶解あるいは膨潤させないということが必要である。このような目的のためには、高分子に対する溶解性が優れる溶媒の使用を避ける必要がある。このためには、溶融可能な樹脂の良溶媒は、使用しない方が好ましい。以上の点から本発明の溶液の溶媒としては、溶融可能な樹脂に応じて、適宜選択することができる。
溶融可能な樹脂が非水溶性溶媒の場合は、水または水を主体とした混合溶媒の使用が好ましい。そして、本発明の溶液と樹脂の組み合わせにより、糖あるいは水溶性樹脂で被覆された複合樹脂固形物を得るためには、溶媒を除去するための何らかの乾燥手段を用いる必要があり、この場合は溶液の溶媒の蒸気圧が低いほうがエネルギー効率の点から有利である。この観点からは水とアルコールの混合溶媒が好ましい。アルコール単独を溶媒として使用することも、上記の溶融可能な樹脂組成物の耐溶剤性(アルコールに対する溶解性)が許容できるのであれば使用することができる。水にアルコールを添加することは、精製した微粒子のブロッキングや二次凝集を抑制する効果も期待できこの点からも好ましい。
また、回収した樹脂の微粒子の分散性の向上のためには、本発明の分散体から樹脂組成物を回収するために用いる溶媒に、大気圧下(常圧下、絶対圧が0.10MPa下)における沸点が100℃以上の液状材料を添加した水系混合溶媒の使用が好ましい。即ち、溶媒として水に上記液状材料を添加することにより、分散した個々の樹脂粒子の表面全体に液状材料をコートすることができる。このため、樹脂粒子同士の接着・凝集防止に高い効果を発揮し、独立した樹脂粒子の集合体を得ることができる。
前記沸点が100℃未満の場合には、樹脂粒子の乾燥時の加熱により、水分の蒸発とともに前記液状材料も揮発してしまい、樹脂粒子表面の一部又は全部が液状材料でコートされていない状態となり、樹脂粒子相互が密着して凝集してしまう。なかでも、大気圧下における沸点が120℃以上、特に150℃以上である液状材料を用いると、水分の蒸発時に液状材料が揮発しにくいため、乾燥時の樹脂粒子の凝集防止効果を向上させることができる点で好ましい。
大気圧下における沸点が100℃以上の液状材料には、例えば、水溶性材料及び非水溶性材料などが含まれ、樹脂粒子を構成する樹脂の種類等に応じて適宜選択して用いられる。水溶性材料としては、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの炭素数4以上の1価アルコール;エチレングリコール、プロパンジオール(1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール)、ブタンジオール(1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなど)、ペンタンジオール、ノナンジオールなどの2価アルコール、グリセリンなどの3価アルコールなどの多価アルコールなどが挙げられる。また、水溶性材料には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類などが含まれる。
さらに、水溶性材料には、非イオン系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤なども含まれる。前記非水溶性材料は、水分散液を濾過する際に沈降して樹脂粒子をコートすることにより樹脂粒子の凝集を防ぐと考えられており、例えば、オクタン、ノナン、デカン、流動パラフィンなどの炭素数8以上の脂肪族炭化水素、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどの炭素数7以上の脂環式炭化水素などの炭化水素などが挙げられる
本発明の溶液の溶媒としてはこれらの混合溶媒を用いることができる。
本発明における、上記溶液の濃度は、選択した被覆された複合樹脂固形物の製造方法、及び用いる糖あるいは水溶性樹脂と溶媒の組み合わせにより、適当な固形分濃度、溶液粘度となるように適宜選択することが可能である。例えば、溶液構成として糖と水を用い、被覆された複合樹脂固形物の製造方法として下記のコーティング法を用いる場合、溶液中の糖の濃度は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは20〜85重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。
[コーティング法]
コーティング法による糖もしくは水溶性樹脂で被覆された複合樹脂固形物の製造方法では、一般的に用いられる薬剤の糖衣錠や、糖衣菓子などの製造方法を利用することが出来る。例えば、錠剤、丸剤等に糖衣コーティングを施すには、パンコーティング装置と呼ばれる装置に錠剤、丸剤等の被コーティング物を仕込み、パン(回転容器)を回転させつつ糖水溶液を散布して乾燥するのが普通である。その際に用いられるパンコーティング装置には、古くから利用されている開放型ないし半開放型のオニオンパン、器壁に多孔通気部を設けて被コーティング物の集積層に通気するように構成した装置(たとえば、ハイコーター、アクアコーター、アクセラコーター、ドリアコーター等の商品名で市販されている装置)等がある。
またコーティング法を用いる以外にも、例えばディスク状乾燥機や真空ドラム乾燥機などの薄膜型乾燥機を用い、乾燥助剤として一般的に用いられる無機粉体の代りに樹脂のペレットを用いることにより、上記の熱可塑性樹脂ペレットが糖もしくは水溶性樹脂などの水溶性材料の粉末で被覆された樹脂組成物を得ることが出来る。
コーティング法を用いる場合の、芯材となる樹脂は、任意の形状であってもよいが、回転させながら糖衣層を形成することを考慮すると、球状体、楕円体、円柱状等が好ましい。また、その大きさは、例えば1〜20mm×1〜20mm×1〜20mmであるのが好ましく、より好ましくは2〜10mm×2〜10mm×2〜10mmである。樹脂のサイズが大きすぎる場合、コーティング法に不適なだけではなく、最終的に得られる被覆複合樹脂固形物を各種成形加工法を用いて再利用する際に、例えば押出機のホッパーに投入しにくい、ホッパーでの連続供給が不安定になるなどの問題点がある。
本発明の被覆された複合樹脂固形物における、芯材である熱可塑性樹脂と、被覆物である糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料との比率は特に限定されないが、得られる被覆状物の用途において、樹脂に対する糖あるいは水溶性材料の比率はある程度高いことが望まれることから、例えば乾燥物の重量比(糖あるいは水溶性材料/樹脂重量)で、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.75以上、さらに好ましくは1以上である。コーティング法を用いて、芯材である樹脂に対する被覆物である糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料の比率を高くしたい場合には、前記糖あるいは水溶性材料などの水溶性材料の溶液を、樹脂に対して、例えば、2〜60回繰り返し供給するのが好ましい。
本発明の被覆された複合樹脂固形物における、被覆物である糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料中の溶媒含量は5%以下であることが好ましい。一般的な樹脂の成形加工温度は100℃以上であり、被覆物中の溶媒含量が高すぎる場合、被覆された複合樹脂固形物を各種成形加工法を用いて再利用する際に、溶媒の着火、爆発の危険性が懸念され、また溶媒が水であっても上記の発生による製造上の問題や、水による樹脂の溶融挙動への悪影響が問題となる。
コーティング法における被覆物の乾燥は、例えば、コーティング時に減圧にする、加温する、風を吹き付けるなどの手段をとることが出来、さらに被覆の仕上げ工程において、回転容器の回転を止めるか、あるいは、回転容器から被覆複合樹脂固形物を取り出して、別途乾燥させることができる。
[被覆された複合樹脂固形物を用いた樹脂成形体の製造]
本発明の被覆された複合樹脂固形物を用いて、具体的には例えば特WO2003/099933号に開示された方法などを利用することで、様々な構造を有する樹脂成形体を製造することが出来る。例えば、被覆された複合樹脂固形物を樹脂、被覆物である糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料が供に溶融する温度で押出成形、射出成形などの加工を行った後、得られた成形体を糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料は溶解するが樹脂は溶解しない溶媒中に浸漬し、糖あるいは水溶性樹脂を除去することにより、樹脂からなる成形体が得られる。
このとき、糖あるいは水溶性樹脂を、少なくとも成形体表面に偏在させることにより、表面に凹凸を有した成形体が得られる。また、糖あるいは水溶性樹脂、樹脂が共に連続構造を有する、すなわち両連続構造を有する成形体を得て、これを上記の適当な溶媒に浸漬することにより、樹脂からなる多孔体を得ることも出来る。さらに、糖あるいは水溶性樹脂が連続相、樹脂が分散相となる海−島構造を有する成形体を形成させ、連続相成分を上記に従い除去することにより、樹脂からなる粒子を得ることが出来る。
目的の成形体を得るために、必要に応じて、被覆された複合樹脂固形物にさらに糖、あるいは水溶性樹脂を適宜追加しても良い。このとき用いられる糖あるいは水溶性樹脂は特に限定されないが、例えば前記の糖類あるいは水溶性樹脂類の中から適宜選択して用いても良い。
各種成形体の中でも、樹脂の粒子を得る方法は、産業の利用範囲が広く、また重合法など他の粒子製造方法では得がたい粒子を製造できる可能性を有することから、本発明の利用方法として好適である。
上記の方法により樹脂の成形体を得る工程において、糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料を溶媒によって除去した結果、この溶媒中に糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料が溶解した溶液が得られる。この溶液を本発明の被覆された複合樹脂固形物を得るための、糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料の溶液として用いることが出来る。樹脂成形体を得る工程において副生成物として得られる糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料溶液中の、糖あるいは水溶性樹脂の濃度は一般的には、樹脂成形体を得るための工程において好適な濃度を選択すれば良いが、この溶液を本発明の被覆された複合樹脂固形物を得るために用いることを予め考慮して濃度を調整することも出来る。
さらに、得られた溶液の濃度が、本発明で好適とする溶液の濃度より低い場合には、蒸発などの方法で溶媒を一部除去して濃度を大きくするか、あるいはこの溶液にさらに糖あるいは水溶性樹脂を適宜追加することにより濃度を調整しても良い。また、得られた溶液の濃度が、本発明で好適とする溶液の濃度より高い場合には、適当量の溶媒を追加して混合することにより濃度を調整しても良い。このようにして、糖あるいは水溶性樹脂などの水溶性材料を用いた粒子や多孔体などの樹脂成形体を製造する工程において副成する溶液あるいは水溶液を用いて、再び樹脂成形体の製造に利用可能な被覆された複合樹脂固形物を得ることにより、例えばこれらの水溶液を廃棄する場合に発生するBOD、CODの低減を達成しても良いし、あるいは焼却廃棄に必要なエネルギー量や発生する二酸化炭素量の低減に大きく寄与させても良い。
本発明の被覆された複合樹脂固形物は、取り扱い性が高く、粉塵爆発等の発生の危険がなく安全性も高い。また溶融混合又は混練し、樹脂多孔体や樹脂粒子を製造するのに有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
下記に示す樹脂1、糖1、糖2を、重量比で樹脂1/糖1/糖2=50/80/20となるようにドライブレンドし、二軸押出機((株)池貝製、PCM30押出機、スクリュー径φ30mm、L/D=28.5)を用い、押出し温度220℃、押出し量10kg/hrでストランド状に押出した。得られたストランド1.5kgを純水1.5kgに浸漬し、多糖類1とソルビトールの水溶液中に樹脂1からなる粒子が懸濁した液を得た。 この懸濁液を、加圧ろ過機(アドバンテック東洋(株)製KST−142)と、ろ布(敷島カンバス(株)製ポリプロピレンフィルタークロスP91SC、通気度5cc/cm/min)を用い、0.3MPaの加圧下でろ過することにより、粒子を除去し、類1と糖2の溶解した水溶液(水溶性材料の溶液)を得た。
全自動糖衣・フィルムコーティング装置(ニューハイコーター、HC−LABO(30型)、フロイント産業(株)製)を用い、下記に示す樹脂1を500g、装置内のパン(ドラム)内に取り、回転速度20rpm、入り口エア温度80℃、出口エア温度53℃で運転しながら、上記溶液1.25kgを、毎分5gで連続的に噴射した。
上記溶液1.25kg噴射後、液の噴射を止め、入り口エア温度を80℃に保ち10分間回転速度5rpmでパンを回転させて内容物を乾燥させた。
以上のようにして樹脂1を芯材とする糖1と糖2からなる水溶性材料で被覆された複合樹脂固形物を得た。
出発物質である樹脂1のペレットは透明であったが、得られた複合樹脂固形物は白色の平均長さ3.1mm、直径3.1mmの円柱状で、水分含量は2.0%、樹脂と糖の重量比率は101:99であった。
得られた糖で被覆された複合樹脂固形物と、下記に示す糖1、2を、重量比で被覆された複合樹脂固形物/糖1/糖2=30g/24g/6gとなるようにドライブレンドし、この混合物をラボプラストミル(東洋精機製)を用いて、温度220℃、回転速度50rpmで10分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を水に浸漬後、懸濁液を前記と同様の条件ででろ過することにより回収された樹脂1からなる粒子の体積平均粒子径は15.8μmであった。
なお、実施例では下記の成分を用いた。
(A)樹脂
樹脂1:環状ポリオレフィン共重合(COC)樹脂(Topas Advanced Polymer,Gmbh製、TOPAS5013S−04)円柱状ペレット:長さ2.9mm、直径2.9mm
(B)糖
糖1:ソルビトール(東和化成工業(株)製、ソルビットLTS−P 20M)
糖2:オリゴ糖(デンプン糖)(東和化成工業(株)製、還元デンプン糖化物PO−10)
各種特性は以下のようにして測定した。
[被覆された複合樹脂固形物中の水分含量]
水分気化装置(三菱化学(株)製、VA−100型)と連結した、微量水分測定装置(三菱化学(株)製、CA−100型)を用いて複合樹脂固形物1錠の水分量を測定した。測定温度は200℃とした。一つの測定につき、5回(5錠)の測定を行い、その平均値を以って、複合樹脂固形物中の水分含量とした。
[粒子の外観および平均粒子径] 得られた粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、FE−SEM、JSM−6700F)により観察し、表面形状及び全体形状の写真を得た。得られた走査型電子顕微鏡写真を用い、写真上に少なくとも200個の粒子が含まれるように任意のサイズの長方形を描き、その長方形内に存在する全粒子の真球換算の粒子径を算出した。得られた少なくとも200個の粒子径より、体積平均粒子径を得た。
[被覆された複合樹脂固形物中の樹脂と糖の比率]
複合樹脂固形物20gを純水500ccに取り、超音波槽中で10分間処理した。水切りを行った後に、新たに純水500ccで洗浄する操作を3回繰り返し、最終的に得られた固形物を60℃で一昼夜乾燥した後、重量を測定して樹脂重量とした。

Claims (6)

  1. 非水溶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂固形物を水溶性材料の溶液と接触させ乾燥してなる、熱可塑性樹脂が水溶性材料で被覆された構成である複合樹脂固形物を用いることを特徴とする球状微粒子の製造方法。
  2. 非水溶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂固形物がペレットである請求項1記載の球状微粒子の製造方法。
  3. 水溶性材料の少なくとも一部が糖で構成されており、糖が、オリゴ糖、還元水あめ、クラスターデキストリンから選ばれる少なくとも1種類の多糖類を含む請求項1記載の球状微粒子の製造方法。
  4. 水溶性材料の少なくとも一部を形成する糖が多糖類とエリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール及びマンニトールから選択された少なくとも1種類の糖アルコールを含む請求項3記載の球状微粒子の製造方法。
  5. 回転機能もしくは攪拌機能を備えた槽中にペレット状もしくは塊状の樹脂を投入し、さらに糖もしくは水溶性樹脂の溶液を添加する工程を経て得られる熱可塑性樹脂と水溶性材料とで構成される複合樹脂固形物の製造方法。
  6. 非水溶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂固形物を水溶性材料の水溶液と接触させ、熱可塑性樹脂からなる樹脂固形物が水溶性材料で被覆された後に、更に水溶性材料の粉末あるいは粒子を添加することにより複合樹脂固形物が水溶性材料の粉末あるいは粒子で被覆された樹脂組成物。
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