JP2018104627A - 澱粉複合中間粒体 - Google Patents

澱粉複合中間粒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2018104627A
JP2018104627A JP2016255264A JP2016255264A JP2018104627A JP 2018104627 A JP2018104627 A JP 2018104627A JP 2016255264 A JP2016255264 A JP 2016255264A JP 2016255264 A JP2016255264 A JP 2016255264A JP 2018104627 A JP2018104627 A JP 2018104627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
starch
resin composite
molding
resin
additive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016255264A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6850125B2 (ja
Inventor
誠 島田
Makoto Shimada
誠 島田
知夫 山田
Tomoo Yamada
知夫 山田
奈緒美 阿部
Naomi Abe
奈緒美 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobayashi KK
Original Assignee
Kobayashi KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobayashi KK filed Critical Kobayashi KK
Priority to JP2016255264A priority Critical patent/JP6850125B2/ja
Publication of JP2018104627A publication Critical patent/JP2018104627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6850125B2 publication Critical patent/JP6850125B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、バイオマスプラスチックを提供するための作業性、定量性に優れ、形態安定性を有する澱粉・樹脂複合中間粒体に関する。【解決手段】 本発明の複合中間粒体は、澱粉と、低融点添加剤と、低融点添加剤より高融点を有する高融点添加剤と、粒状体の熱可塑性樹脂を含む複合材料組成物から形成された澱粉・樹脂複合中間粒体であって、粒状体の熱可塑性樹脂をコア部とし、該粒状体のコア部表面に少なくとも高融点添加剤により付着した、少なくとも低融点添加剤を含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層を備える、澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するための澱粉・樹脂複合中間粒体。【選択図】 なし

Description

本発明は、澱粉・樹脂複合中間粒体に関するものであり、より詳しくは、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用品など広範囲の用途に用いることができ、廃棄処理されたときに短期間に生分解又は崩壊する澱粉を主成分とする澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するための澱粉・樹脂複合中間粒体に関する。特に、真空成形、押出成形、インジェクション成形(射出成形)、インフレーション成形、ブロー成形(吹込成形)などプラスチックの成形に適した物性及び成形加工性を有するバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するための澱粉複合中間粒体に関する。
石油資源等に基づくプラスチック成形品は、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用品など産業資材として広範囲の用途に用いられている。一方で、大量消費により温室効果ガスによる地球温暖化や石油資源の枯渇が地球規模で長期的に取り組む重要な課題となっている。さらに、従来から石油系のプラスチック成形品が廃棄された際、自然環境では分解、崩壊し難く、長期にわたり自然の中に残存し、自然環境を汚染することが依然として課題として残っている。
今日、プラスチック成形品の原材料として石油の代替材料となり、温暖化に影響しない、あるいは自然環境の中で比較的速やかに崩壊し、自然環境に優しい新たな材料として、天然素材が着目され、温暖化や資源の枯渇及び環境の汚染の課題を解消する一つの手段として、近年大きく進歩したバイオ技術に着目し、生物由来の有機資源であるバイオマス素材の活用が特に進められている。
そのようなバイオマス素材としてポリ乳酸、澱粉、変性澱粉、セルロース等の天然素材の使用が提案されている。バイオマス素材は、廃棄されても自然環境下で最終的に分解されることから、環境に悪影響を与えないものである。
バイオマス素材の代表例が澱粉である。澱粉は、生分解性樹脂や他のバイオマス由来プラスチックに比べて安価であり、生分解性の促進、焼却時の低エネルギー化を実現できるバイオマス素材である。澱粉を充填剤として用いることで、自己分解性、崩壊性の組成物をより安価に提供することができる。また、澱粉は、温暖化や石油資源の枯渇に対応でき、低コスト化を実現することを目的に近年、着目され、使用する割合が増している。
しかしながら、広範な用途にバイオマス素材を適用するためには、機械的特性、熱的特性、溶融加工性などが要求され、環境対応素材の多くは、十分な物性を有さず、成形することが困難である。
そこで、物性や加工性を改善し、プラスチック成形加工材料の代替を可能とするため、バイオマスを原料としたポリ乳酸やバイオポリエチレン、澱粉やセルロースを、ポリオレフィン等の合成樹脂材料と複合材料化し、対応したものがある(特許文献1、2)。
澱粉は、高分子量の素材であり、澱粉のままでは通常の形状が微粒体であること、さらに密度が低いことなどにより、粉塵が舞いやすいとともに粉体の流動安定性が悪く、定量供給しにくく、澱粉のままでは成形加工時、材料の流動性に欠け、取り扱い性、成形加工性に難点がある。さらに、澱粉と合成樹脂との複合化により形成される澱粉・樹脂複合成形加工材料は均一性や均質性の面で安定しない。すなわち、材料の形態や性質の異なる澱
粉とプラスチックスの複合材料であり、混合し複合成形加工材料を形成できても、できたものは、製品全体の物性、性質にバラツキを生じてしまう。複合化のためには自ずと使用量が制限されるばかりでなく、使用量が多い場合は、強制的に澱粉を供給させるような特殊な定量フィーダーや成形機が必要である。そのため、製造コストを押し上げる要因ともなっている。
バラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料は、各種成形法、例えば、押出成形、T−ダイ押出成形、インジェクション成形、真空成形などの成形法により、各種包装材料や使い捨ての製品である買物袋、生ゴミ収集袋、使い捨て弁当箱、コップ、食品トレー、ナイフ、フォーク、スプーン、歯ブラシ、クシや農業用製品である農業用袋、育苗ポット、栽培セット、コンポスト袋や緩衝材、飲食容器などが製造でき、製造された成形物は、近年、分解性又は崩壊性が付与され、早く減容でき、環境に優しい成形物として、石油系の合成樹脂成形物に代わり利用され始めている。
そのような環境に優しい素材として澱粉を含む成形材料を製造するためには、合成樹脂の添加量を少なくするように考慮する必要があり、澱粉の量を多くすると澱粉・合成樹脂複合材料として機械的特性や成形性の低下が起きるため、澱粉の添加量や成形自由度に制限が出るなどの課題があった。
特開2001−64458号公報 特開2004−155842号公報
本発明は、均一で均質な、物性が優れ、しかも各種成形加工法における成形加工性、作業性にも優れた、澱粉を50重量部以上含有していてもバラツキの少ない、澱粉・樹脂複合成形加工材料を安定して効率よく製造することができる原材料又は組成物を提供することを目的とするものであって、澱粉・樹脂複合成形加工材料を確実に形成できる原材料として作業性及び定量性に優れ、形態安定性を有し、しかも各種成形加工法における成形加工性に優れ、安価で、ストックすることができる、澱粉・樹脂複合中間粒体を提供する。
本発明は、より具体的には、熱可塑性樹脂の粒状体をコア部とし、そのコア部の表面に低融点添加剤を含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層で被覆した澱粉・樹脂複合中間粒体を提供する。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、熱可塑性樹脂の粒状体をコア部とし、そのコア部の表面に、低融点添加剤を含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層を有する澱粉・樹脂複合中間粒体であって、澱粉を高濃度で含有しても均一で均質な、さらに形態安定性を有し、しかも澱粉・樹脂複合成形加工材料として各種成形加工法における成形加工性、作業性に優れた物性、性状を得ることができるものである。
そして、高温撹拌機中での加熱撹拌、混合と、冷却撹拌機中で高融点添加剤の溶融温度よりも低い、低融点添加剤の溶融温度より高い融点温度の近傍の温度まで冷却、撹拌する工程により簡単かつ安価に製造することができる。しかも、該形成された澱粉・樹脂複合中間粒体を直ちに排出し、ストックすることを含む製造方法によって、成形加工材料の原材料として複合粒体の形態でストックすることが可能な澱粉・樹脂複合中間粒体である。
より詳細には、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、50重量部以上の澱粉と、グリセリン系エステル等の低融点添加剤を含む原材料を加熱撹拌することで、澱粉と溶融状態にある低融点添加剤を混合し、澱粉に絡ませ、付着させ、澱粉に含有させる。その後、さらに少なくとも熱可塑性樹脂の粒状体及び脂肪酸金属塩等の高融点添加剤を添加し、加熱混合撹拌して流動性の澱粉・樹脂複合材料とする。
そして、流動性の澱粉・樹脂複合材料を撹拌しつつ、冷却撹拌機中で、低融点添加剤の溶融温度よりも高い所定の温度まで冷却撹拌して降温し、少なくとも溶融状態にある高融点添加剤を再固化することにより、粒状体の熱可塑性樹脂をコア部とし、そのコア部の表面に、脂肪酸金属塩等の高融点添加剤の再固化及び澱粉表面に低融点添加剤を濡らすように分散し付着され含有する澱粉が存在することで、熱可塑性樹脂をコア部とし、その表面を少なくとも含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層で被覆された構造を有する澱粉・樹脂複合中間粒体の形態の澱粉・樹脂複合中間粒体を形成するものである。
本発明の、バラツキの少ない優れた澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造することができる中間原材料である澱粉・樹脂複合中間粒体を提供することができ、上記目的を達成するに至った。
そして、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を用いることにより、従来得ることができなかった、澱粉を高濃度で含有しても、均一で均質なバラツキの少ない、流動安定性、各種成形加工法で用いることができる成形加工性、取り扱い性、作業性に優れた、澱粉・樹脂複合成形加工材料を安定して安価に得ることができる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、比較的粒体の大きさが均一なものを形成することができ、流動性が良好で、安定供給が可能で定量化が容易になる。また、成形加工用の、澱粉の粉落ちがほとんどない成形材料の原材料の調製が可能になった。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、澱粉・樹脂複合中間粒体を形成することによって、取り扱い性、材料の品質の均一性及び貯蔵安定性に優れた澱粉・樹脂複合中間粒体を提供でき、形状の異なる原料を原料として安定供給することを可能にするものである。
具体的には、澱粉・樹脂複合中間粒体を形成することによりバイオマス、例えば、工業用トウモロコシ(デントコーン)澱粉を50重量%以上添加されていても粉粒状バイオマスと熱可塑性樹脂の粒状体の澱粉・樹脂複合材料、あるいは、さらに、分散剤、相溶化剤などの添加剤を含む、形状・形態の異なる原材料からなる複合材料を原材料とする成形材料であっても、取り扱い性がよく、原材料の製造工程への安定供給を可能にし、シート状物などの均一化、均質化し、バラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を形成することができる。さらに、押出成形、T−ダイ押出成形、真空成形、インジェクション成形、インフレーション成形、カレンダー成形などの成形に適した成形加工性に優れた澱粉・樹脂複合成形材料を提供できる。
本発明は、50重量部以上の澱粉が配合されていても形成する材料の成形加工性や機械特性の偏りを澱粉と熱可塑性樹の界面を近づける添加剤などの配合技術を駆使すること、及び材料配合だけではなく、加工条件などを工夫することで、澱粉・樹脂複合中間粒体として成形加工性が向上し、機械的特性を改善させることができ、しかも澱粉臭の発生を抑制でき、退色の発生を抑えることができる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を用いて製造されたシートは、澱粉を含むすべての原
材料をポジティブリストから選定され、また、環境影響評価においてLCAを実施し、二酸化炭素削減効果、例えば、ポリプロピレンシートのライフサイクルと比較して32%の二酸化炭素削減効果が得られることが明らかになった。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を用いて成形加工材料を製造することにより、包装資材として利用した際、使用時は十分な製品強度を持つが、使用後は軽い力でつぶせるため、ゴミの減容化に貢献できる。また、環境影響評価において二酸化炭素削減効果が得られる。このように、澱粉・樹脂複合材料として石油系プラスチックの代替材料として一層、好適な環境対応型の材料として用いることができるものであり、各種食品容器類や包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品などへの応用が十分可能となった。
本発明の澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造方法の装置概念図 本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体の写真 比較例の澱粉・樹脂複合中間粒体の写真 本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体の模式図
(澱粉・樹脂複合中間粒体)
上記の本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体について、以下にさらに詳しく説明する。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、澱粉が50重量%以上含有されていても、均一性、均質性に優れたバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を得るために欠かせないものであって、澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造工程の原材料として位置付けられるものである。本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造する工程中で簡単、確実に製造でき、あるいは、別途、製造され、原材料として供給し、製造工程で用いることができる形態安定性に優れた複合中間粒体である。
そして、澱粉・樹脂複合中間粒体を澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造工程に原材料として用いることで、該成形加工材料を安定的に製造することを可能にすることができるものである。
本発明に係る澱粉・樹脂複合中間粒体は、より詳細には、澱粉と、低融点添加剤とを加熱撹拌して低融点添加剤を溶融し、澱粉と混合させ、溶融した低融点添加剤を澱粉に絡ませ、付着させ、低融点添加剤を含有する澱粉を形成する。その後、熱可塑性樹脂の粒状体と高融点添加剤を含む複合原材料をさらに添加して加熱撹拌し、高融点添加剤を溶融させ混合し、澱粉、熱可塑性樹脂の粒状体並びに溶融状態の低融点及び高融点添加剤を含む組成物を均一分散させ、流動性の澱粉・樹脂複合材料とする。その後、流動性の澱粉・樹脂複合材料を冷却撹拌し、溶融状態の主として高融点添加剤を再固化することにより、熱可塑性樹脂をコア部とし、その表面に低融点添加剤を含む澱粉を含む粉粒体の被覆層を有する澱粉・樹脂複合中間粒体として製造されたものである。
(澱粉)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、特殊な手段、設備を使用することなく、成分原料を加熱撹拌し、その後、冷却撹拌することにより安定した品質の成分組成の複合中間粒体として得られるものである。本発明において澱粉・樹脂複合中間粒体を形成するためバイオマス材料として用いる原材料の澱粉としては、安価に入手できる生澱粉が用いることができ、例えば、トウモロコシ澱粉、豆澱粉、タピオカ澱粉、いも澱粉、麦澱粉、米澱粉、キツサバ澱粉、ヒシ澱粉、ハス澱粉、サゴ澱粉、わらび澱粉、クズ澱粉等が挙げることができる。
他に、物理的な変性澱粉も用いることができ、アルファー化澱粉、湿熱澱粉などが挙げることができる。さらに、生分解性に影響ない程度に化学修飾した澱粉も用いることができ、例えば、アセト酢酸エステル化澱粉、酢酸エステル化澱粉、ヒドロキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、キサントゲン酢酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、リン酸架橋澱粉、ホルムアルデヒド架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉などを挙げることができる。
本発明において、澱粉として、生澱粉、物理的な変性澱粉又は化学修飾した澱粉の中から少なくとも1種以上、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて配合して使用することもできる。好ましくは、生澱粉が用いられる。
(高分子材料)
本発明において、澱粉・樹脂複合成形加工材料の成分には、成形加工性、物性を改質するため少なくとも熱可塑性樹脂を含むものである。本発明では、さらに、生分解性を低下させず、生分解性材料の比率を高めるためコア部となる粒状体の高分子材料として生分解性材料を用いることもできる。
本発明において、使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アルキレン/アクリレート又はメタクリレート共重合体などの熱可塑性プラスチックを用いることができる。好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が用いられる。特に、好ましくは、ポリプロピレンが用いられる。
熱可塑性樹脂としては、ペレット状の粒状物が用いられ、本発明の均一、均質な澱粉・樹脂複合成形加工材料を形成するためには、20重量%以上50重量%未満の範囲にあることが好ましい。熱可塑性樹脂が、20重量%未満であると、得られる澱粉・樹脂複合成形材料として比重が小さい澱粉の量が多く、バイオマス成形材料として均一化し難くなり、複合成形加工材料として均質なものが得難くなる。しかも、添加剤の量も多くする必要がある。結果、機械的特性の低下が著しく、成形時、偏肉、破れなどが生じ、薄物、深物の成形が困難となり、質感が得られず、成形加工が困難になる。
一方、熱可塑性樹脂が50重量%以上だと、澱粉が熱可塑性樹脂の改質剤として、例えば、充填剤として位置付けられ、得られる澱粉・樹脂複合成形加工材料は、プラスチック成形加工材料としての物性、性質が強く出て、成形は可能であるが、減容化がし難く、温室効果ガスの排出削減への貢献が低下し、バイオマス原料としての澱粉・樹脂複合成形加工材料が得られ難くなる。しかも、充填剤が多く、成形加工材料の物性及び複合材料としての均一性、均質性の変動が大きく、安定した材料が得られなくなる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体が形成されなくなると、原材料の各成分組成が同じ材料から成形加工材料を製造しても、成形加工材料の物性及び複合材料としての均一性、均質性の変動が大きく、安定した材料が得られなくなる。
コア部を形成する生分解性材料としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子材料、各種アクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどのエマルジョン、脂肪族ポリエステル系樹脂であるカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体などの生分解性樹脂を挙げることができる。
本発明では、製造過程で形成された複合中間粒体、シート又は成形後の抜きかすを破砕し、粒状体にしたフラフも澱粉・樹脂複合材料あるいは澱粉材料からなる生分解性材料であることから、再利用し、熱可塑性樹脂とともに、コア部となる粒状体として用いることができる。
本発明において、使用する熱可塑性樹脂の粒状体の平均粒径は、長軸1〜10mm、短軸1〜10mmの範囲のものが採用される。この長軸の大きさを超えた場合又は大きさより小さい場合は、粒体の付着量のバランスが悪くなるため、いずれも澱粉と熱可塑性樹脂との澱粉・樹脂複合中間粒体として均一、均質性が劣り、さらには、成形物中での両者の分散性が劣る。粒径の大きい粒体が存在することもあって、物性や製品の外観も劣る結果となる。少ない量で効果的に粉粒体ができ、成形加工性がよく、製品の外観に影響しないことを総合的に考慮して、本発明の澱粉・樹脂複合成形加工材料に使用する熱可塑性樹脂は、平均粒径を上記の範囲のものを使用した。
(添加剤)
本発明では、その流動性の澱粉・樹脂複合材料を形成し、澱粉・樹脂複合中間粒体を形成するため、加熱撹拌する工程では、添加剤が澱粉や熱可塑性樹脂に絡まり、付着し、澱粉と熱可塑性樹脂を付着し易くさせるように機能し、また澱粉と熱可塑性樹脂の粒状体を流動性の澱粉・樹脂複合材料の性状を保持できるようにするため、さらに、冷却撹拌し、少なくとも高融点添加剤が再固化されたとき、澱粉・樹脂複合中間粒体の形態を安定的に形成できるようにする接着剤的な役割を果たすことができる添加剤を加える必要がある。
さらに、澱粉・樹脂複合成形材料の押出時には、澱粉と熱可塑性樹脂を均一に分散させる分散剤として機能し、さらに溶融混練し、溶融する樹脂と溶融しない澱粉とを材料劣化することなく押し出すことができるようにするため滑性を付与することができる添加剤を加える。
本発明は、添加剤を加えることにより成形加工性、機械的強度などが優れたバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料が得られるように機能する添加剤が選択され、用いられる。
(低融点添加剤)
本発明では、上記のように機能する添加剤として、投入直後は粉体だが、材料の昇温と共に溶融状態になり、澱粉に付着することで澱粉を熱可塑性樹脂と付着させやすくし、澱粉と均一、均質に混合され、澱粉の流動性を高めるように働くよう、内部滑性を高める添加剤を用いる。そして添加剤は、熱可塑性樹脂の溶融温度より低い融点温度を有し、比較的低温度、例えば、100℃以下で溶融するもの、好ましくは、60〜100℃で溶融するもの、しかも粘性があり、粉体と絡み、粘着させるように機能し得る添加剤が用いられる。少なくとも前記のような性質、機能を果たすことができる、澱粉・樹脂複合中間粒体中に同時存在する、相対的に低温で溶融され、澱粉と絡ませ、付着され添加される添加剤を本発明では「低融点添加剤」と定義する。
低融点添加剤として、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、中鎖脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、特殊脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、グリセリン系脂肪酸エステル等の低融点添加剤用いられる。
該低融点添加剤の添加量は、好ましくは、0.1〜10.0重量%である。0.1重量%以下であると、付着剤としての機能が不十分であり、10重量%以上であると、原材料にベタ付きを生じさせ、流動撹拌性が低下し、また、澱粉玉が形成されやすくなり、高温
撹拌機中での流動性のある澱粉混合物の形成が遅れ、製造効率が低下する。そして、加熱時間が長くなることで澱粉の黄変が観察される。
(高融点添加剤)
本発明では、澱粉・樹脂複合中間粒体中に同時存在する、相対的に低温で溶融され、澱粉と絡ませ、付着される低融点添加剤よりも高い融点を有する添加剤をさらに添加する。この添加剤は、上述した低融点添加剤より高い融点を有しており、好ましくは、100〜150℃の範囲のもので、低融点添加剤より先に固化する添加剤であって、熱可塑性樹脂の溶融温度より低い融点を有するものであり、冷却撹拌したときに、低融点添加剤より先に再固化し、熱可塑性樹脂をコア部とし、そのコア部表面に、低融点添加剤を付着し含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層を付着させ、澱粉・樹脂複合中間粒体を形成する役割を果たすものである。
高融点添加剤は、さらに、成形加工材料を製造するため使用されるまで澱粉・樹脂複合中間粒体から澱粉が剥離し、粉落ちすることなく、あるいは中間粒体が崩壊することなく複合中間粒体の形態を保持するように機能する添加剤である。
高融点添加剤は、熱可塑性樹脂の種類、添加剤との親和性を考慮する必要があるが、澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料として加工機中で均一、均質な澱粉・樹脂複合成形加工材料とするため複合原材料を分散させ、澱粉・樹脂複合材料として溶融混練するとき均一分散し、しかも加工機との摩擦を軽減させ、かつ加工機中の流動性を高め、外部滑性を高める滑性を付与することができる添加剤が好適に使用される。
少なくとも前記のような性質、機能を果たすことができる、澱粉・樹脂複合中間粒体中に同時存在する、相対的に高温で溶融される添加剤を本発明では「高融点添加剤」と定義する。
本発明では、澱粉・樹脂複合中間粒体を形成し、その溶融混練時の分散性を向上させ、滑性を付与することができる高融点添加剤には、脂肪酸金属塩、炭化水素系、高級アルコール系、脂肪族アミド系、脂肪酸エステルなどが使用できる。本発明の高融点添加剤には、脂肪酸金属塩としては、炭素数が少なくとも10個以上の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩であり、ステアリン酸などの脂肪酸系のものが好適に使用できる。
具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン鎖アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。これらのうち少なくとも1種類が使用できる。
高融点添加剤の含有量は、好ましくは、1.0〜15重量%である。
本発明は、上記したような低融点及び高融点の添加剤を2種以上使用するものであって、加熱撹拌時に、澱粉や樹脂への付着と流動性を高め、冷却撹拌したとき、再固化することにより自動的に本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体の形態が形成されるように添加剤を選択したものである。そして、形成された澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料にして、加工機中で複合中間粒体を溶融もしくは溶融混練することにより、均一、均質な複合材料とすることができ、溶融押出を可能にするとともに、本発明の生産品である澱粉・樹脂複合成形加工材料に必要な配合剤を添加することにより必要な物性、成形加工性を備えた生産品を得ることができるものである。
(その他の添加剤)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を用いることにより、均一、均質なバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料が得られるように、また各種成形加工法における成形加工性
を有し、作業性に優れた材料が得られるように、さらに食品容器を初めとして、シート、フィルムなどの包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品など各種用途に好適に加工して使用が可能となるように、添加剤を選択し用いることが好ましい。その際、上記の澱粉、熱可塑性樹脂及び上記添加剤以外に各種の添加剤が各用途及び求められる物性、機能に応じて選択され、本発明の目的を損なわない範囲で1種又は2種以上を組み合わせて添加することができる。
本発明では、澱粉と熱可塑性樹脂との親和性を向上させるため相溶化剤を添加することもできる。相溶化剤としては、酸変性ポリオレフィン、酸変性ナイロン、酸変性ポリスチレン、酸変性EVA、酸変性エチレン共重合ポリマー、酸変性アクリレート、アクリル酸変性EVA、変性エチレンアクリレートなどが使用できる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を経て生産品である澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するために使用する添加剤としては、必要に応じて、酸化チタン、カーボンブラック、染料、顔料などの着色剤も使用できる。その他にも必要に応じて、エラストマ、酸化防止剤、架橋剤、紫外線吸収剤、発泡剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体の形状や大きさは、この澱粉と混合される粒状の熱可塑性樹脂の粒状体の形状や粒体径等を考慮して適宜決定できる。本発明の粒体の大きさは、直径が、例えば、1〜10mmの範囲であり、長さが1〜10mmの範囲である。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、上述したとおり高温撹拌機で形成された流動性の澱粉・樹脂複合材料を冷却撹拌機中で再固化させることにより粒状体の熱可塑性樹脂をコア部とし、澱粉を主成分とする粉粒体により表面を被覆された被覆層を有する形態のものを得ることができる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するため溶融混練するまでは澱粉・樹脂複合中間粒体の形崩れを起こさない程度の、及び澱粉が剥離しない程度の粘着力で付着されている形態安定性を有し、複合中間粒体材料として安定した状態に形成することができる。そのことにより、澱粉を主成分として含有するバイオマス・樹脂複合材料からなる成形材料の製造において複合成形加工材料としてバラツキが少なく、均一性、均質性、成形加工性、作業性及び定量性の改善に繋がる。
(澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を用いた澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造は、例えば、本発明の澱粉複合中間粒体を構成する成分組成の材料を原材料とし、又は本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料とし、生産品である澱粉・樹脂複合成形加工材料までを連続的に一貫して製造する方法として組み立てられて、図1に示す澱粉・樹脂複合成形加工材料連続一貫製造装置を用いることにより行なわれる。
澱粉・樹脂複合成形加工材料連続一貫製造装置は、成形加工材料の製造を可能にする澱粉・樹脂複合中間粒体を製造し、貯蔵し得る澱粉・樹脂複合中間粒体製造装置部Aと、前記製造された複合中間粒体を原材料とし、生産品である澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造し、及び又はカレンダー成形等の二次加工し、最終製品の原材料を製造する澱粉・樹脂複合成形加工材料製造装置部Bを含む装置からなっている。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体の製造は、澱粉・樹脂複合成形加工材料連続一貫製造装置の澱粉・樹脂複合中間粒体製造装置部Aに示す各装置からなる製造装置を独立した装置として、又は例示したように連続一貫装置の一部に組み込んだ装置により製造するものであって、澱粉と溶融した低融点添加剤の澱粉混合物を形成するため加熱撹拌する高温撹
拌機1と、澱粉と熱可塑性樹脂の粒状体と低融点及び高融点添加剤を含む澱粉・樹脂複合材料から該複合中間粒体を形成するため冷却し撹拌する冷却撹拌機2と、造粒した澱粉・樹脂複合中間粒体をストックし澱粉・樹脂複合成形加工材料を連続的に製造可能にするように原材料とする複合中間粒体の供給バッファとすることができるストックタンク兼供給装置3を含む製造装置を用いて製造される。
そして、澱粉・樹脂複合成形加工材料は、該澱粉・樹脂複合中間粒体を製造する装置部Aにおいて製造され、貯蔵された澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料として供給する該ストックタンク兼供給装置3と、原材料を加熱混練し、流動性の澱粉・樹脂複合材料にして押し出す二軸押出機4と、混練され溶融状態にある熱可塑性樹脂部を更にシリンダ温度を高くし、溶融熱可塑性樹脂澱粉複合成形材料として押し出す一軸押出機5とを少なくとも含む構成とした澱粉・樹脂複合成形加工材料製造装置部Bにより製造することができ、該澱粉・樹脂複合成形加工材料製造装置部を澱粉・樹脂複合中間粒体を製造する装置部Aに続けて配置し連続一貫製造装置を構成するか又は、澱粉・樹脂複合成形加工材料製造装置部Bを単独の製造装置とし、原材料として澱粉・樹脂複合中間粒体を別途準備し、バッチで製造する装置とすることもできる。
本発明で用いる澱粉・樹脂複合成形加工材料連続一貫製造装置は、さらに、シート状に押し出しし、該シートをカレンダー成形により、シートの厚さ制御、表面層の形成制御を行なうことができるローラ圧延装置6や、ストランド状に押し出しし、切断するか又はシート状に押し出しし、賽の目上に切断することにより、ペレット化するための切断装置等を含むことができる。
(澱粉・樹脂複合中間粒体の製造)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、図1に示す高温撹拌機と冷却撹拌機を含む装置部Aにより製造することができる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、はじめに澱粉及び低融点添加剤の少なくとも1種以上を高温撹拌機中で熱可塑性樹脂の溶融温度より低い、低融点添加剤が溶融する温度以上の温度で加熱撹拌しながら混合し、澱粉と溶融させた低融点添加剤の混合物とになるように加熱撹拌を制御する。
その後、熱可塑性樹脂、脂肪酸金属塩等の高融点添加剤を添加し、必要ならば、成形加工材料に求める物性、性質を有するようにその他の添加剤を加え、さらに加熱撹拌し混合し、流動性の澱粉・樹脂複合材料を形成する。
次いで、形成した流動性の澱粉・樹脂複合材料を、冷却撹拌機に移し、冷却撹拌機中で冷却撹拌しながら、溶融した添加剤を再固化する。
高融点添加剤を主として再固化することにより熱可塑性樹脂の粒状体をコア部とし、そのコア部の表面に主として低融点添加剤を含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層を形成した澱粉・樹脂複合中間粒体を製造する。
(高温撹拌機による加熱撹拌処理)
(1)澱粉と低融点添加剤の加熱撹拌処理
本発明の加熱撹拌処理では、高温撹拌機中で澱粉と低融点添加剤を加熱撹拌することで、澱粉と溶融した低融点添加剤を加熱混合するものであって、以下のように行う。
先ず、高温撹拌機1中に澱粉と、グリセリン系脂肪酸エステルなどの低融点添加剤を混合投入し、加熱撹拌し、昇温させる。
その加熱撹拌処理は、加熱温度を低融点添加剤の融点温度以上に設定し、低融点添加剤を溶融させ、低融点添加剤が溶融状態を維持できる温度、例えば、低融点添加剤の融点温
度より10〜20℃高く設定、あるいは高融点添加剤の融点温度以上の温度に設定し、回転数及び撹拌時間を制御することで澱粉の粉体と溶融した低融点添加剤とが絡み、低融点添加剤が付着され含有された澱粉の流動性の澱粉混合物が形成できるように、製造効率を考え、温度、回転数及び撹拌時間などを制御し、処理する。
本発明の加熱撹拌処理では、高温撹拌機を、例えば、加熱温度110〜160℃、回転数5〜50Hzに設定し、回転数、撹拌時間を制御して、低融点添加剤の成分を溶融状態にし、高温撹拌機中で澱粉と低融点添加剤を撹拌、混合する。この処理により澱粉に溶融した低融点添加剤を付着させ、含有し、低融点添加剤を含有した澱粉混合物を形成する。その際、澱粉に低融点添加材がくまなく絡めている状態となる。
本発明の加熱撹拌処理では、製造時間、製造効率を考慮して温度は100℃以上とすることが好ましい。温度と時間の調整により澱粉が黄変するのを避けるようにすることが好ましい。また、黄変、製造効率に問題なく手早く均等に混ぜるため、撹拌状態、回転数及び剪断力などを調整して行なうことが好ましい。
(2)澱粉・樹脂複合材料の形成
高温撹拌機で澱粉と溶融した低融点添加剤の混合物とした後、熱可塑性樹脂の粒状体及び少なくとも1種以上の脂肪酸金属塩等の高融点添加剤をさらに添加し、加熱撹拌する。
本発明では、加熱撹拌時の温度を高融点添加剤が溶融する温度以上、熱可塑性樹脂の溶融温度以下に高温撹拌機の温度を設定、例えば、加熱撹拌温度として、当初から高融点添加剤の溶融温度以上に設定し、加熱温度を固定して行なうこともでき、例えば、110〜160℃に設定し、少なくとも2種類の、低融点及び高融点添加剤が溶融した状態にして撹拌混合する。そして低融点及び高融点添加剤が溶融した状態下、回転数及び撹拌時間を制御しつつ加熱撹拌することで、澱粉及び熱可塑性樹脂の粒状体と、溶融した低融点及び高融点添加剤とが撹拌混合され、均一に分散された流動性の澱粉・樹脂複合材料の混合物を形成する。
(冷却撹拌機による冷却撹拌処理)
高温撹拌機中で得られた流動性の澱粉・樹脂複合材料の混合物は、冷却撹拌機に移され、低融点添加剤成分の溶融温度以上であって、その溶融温度近傍まで冷却撹拌機中で撹拌しながら冷却され、溶融した添加剤成分が再固化されるように冷却撹拌する。
澱粉・樹脂複合材料は、冷却撹拌機中で冷却しながら撹拌することにより流動性の澱粉・樹脂複合材料の温度が低下し、主として脂肪酸金属塩などの高融点添加剤の成分が溶融温度以下になることにより再固化されるように冷却撹拌する。その際、流動性の澱粉・樹脂複合材料の混合物中の高融点添加剤が冷却撹拌されることにより熱可塑性樹脂の粒状体の表面に付着した状態に固化し、また流動性のある低融点添加剤を含有した澱粉が、再固化する少なくとも高融点添加剤を介して熱可塑性樹脂の粒状体に付着することにより、熱可塑性樹脂の粒状体をコア部とし、そのコア部の表面に少なくとも低融点添加剤を含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層が形成され、図2aに示すような澱粉・樹脂複合中間粒体を形成する。この澱粉・樹脂複合中間粒体は、その断面を模式的に示すと図3に示す構造のものである。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、性質や形状が異なる混合し難い成分材料の原料を加熱混合した後、流動性の複合材料を撹拌しながら冷却し、流動性複合材料が温度の低下により、溶融した添加剤成分が溶融温度以下になることにより、固化し、澱粉・樹脂複合中間粒体が形成でき、冷却撹拌という単純な操作により簡単に、造粒化できるものである。
従来、成形加工材料の製造に際し、性状や形状が異なる成分原材料を、それぞれ、製造工程に個別又はバッチで供給していたのを、取り扱い性のよい複合中間粒体という複合形態の原材料として製造工程に投入することができ、澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造において原材料の安定供給及び定量化を可能にすることができる。
この澱粉・樹脂中間粒体は、冷却撹拌操作による造粒工程において、温度、回転数及び撹拌時間などを制御し、溶融状態の添加剤の成分を再固化することにより熱可塑性樹脂の粒状体の表面に澱粉を含む粉粒体の被覆層が形成される状態を観察し、確認することにより、最適温度下に冷却撹拌することで造粒化し、形成された粒体の形態、形状を維持し取り出すことができる。複合中間粒体の形成する過程で低融点添加剤と高融点添加剤の添加量が少ない場合、澱粉と熱可塑性樹脂の粒状体との親和性が低下するためか澱粉が付着して被膜層ができず、粉状のままあるいは被覆層からの澱粉の脱落が生じ、複合中間粒体と粉状体との混合物(図2b参照)となり、押出ができなかった。複合中間粒体を低融点添加剤の溶融温度より十分に高い温度で排出すると、表面被覆層の粉粒体が流動変形し得るため、落下時の衝撃で粒体の形状、形態が変形し、型崩れを生じ、かつ粒体が塊状になり、流動安定性が低下する。
本発明は、その造粒された粒体の外観をみながら、外観の仕上がりのよい状態を確認しながら、低融点添加剤の成分の固化が進まない温度域で冷却撹拌機から排出してストックタンク中に落下させ、澱粉・樹脂複合中間粒体形状の中間原料として取り出され、ストックされる。こうして得られた澱粉・樹脂複合中間粒体は、粉落ちのほとんどない、形態安定性の優れた複合中間粒体であり、この澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料とすることにより高品質な澱粉・樹脂複合成形加工材料を形成することができる。
加熱、冷却撹拌工程により製造される澱粉・樹脂複合中間粒体は、バッチ式で製造されるものであり、一方、澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造では、該中間粒体を連続的に混練し押し出す原材料であるので、この澱粉・樹脂複合中間粒体をストックタンクに貯蔵することは、該中間粒体を澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造に組み入れるバッファ量となり、バラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を連続的に一貫して製造できるように利用できるものである。
本発明により、上記のように簡単かつ少ない操作により粉落ちのない、形態安定性のよい澱粉・樹脂複合中間粒体を製造することができ、品質にバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を得るための中間原料として用いることができ、均一で均質な澱粉・樹脂複合成形加工材料を安定的に安価に調製することが可能になり、バイオマス複合材料の安定的な利用、提供ができる。
(澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を製造する方法により製造された澱粉・樹脂複合中間粒体は、各成分材料が併存した集合体の澱粉・樹脂複合材料であることから、各種成形加工法の澱粉・樹脂複合成形加工材料を澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料として製造するには、澱粉・樹脂複合中間粒体を製造する方法を、該澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造工程中に組み込むことで澱粉・樹脂複合成形加工材料の中間原材料としてストックすることを可能にする製造ラインとするか、あるいは、澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造工程とは別に複合中間粒体の製造ラインとして設けることで、性質や形状の異なる原材料の安定供給を可能にし、バラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料の連続的な製造を可能するための原材料として澱粉・樹脂複合中間粒体を供給でき、利用できる。
澱粉・樹脂複合中間粒体から製造された澱粉・樹脂複合成形加工材料は、さらに、シート状又はフィルム状に成形されたり、ブロー成形されたり、あるいは真空成形され、最終
製品の成形加工材料として利用することもできる。
具体的には、本発明のストックされた澱粉・樹脂複合中間粒体から、各種成形加工法に用いることができる澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するため、通常のプラスチックの成形加工技術のように、例えば、ヘンシエルミキサー、タンブラー型混合機、バーバリミキサー、ニーダーミキサーなどの混合機により澱粉や添加剤等を混合する必要なく、澱粉・樹脂複合中間粒体を直接二軸押出機に投入、供給し、通常のプラスチック成形加工と同様に回転数、撹拌時間及び温度などの制御を行い、加熱混練することにより澱粉と熱可塑性樹脂を均一に混練、混合することが可能になる。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を二軸押出機中で加熱混練する処理に際し、加熱加工温度(シリンダ温度)を100℃〜190℃、熱可塑性樹脂が溶融する温度以下の温度、添加剤の溶融温度以上の温度に設定し、加熱混練し、流動性の澱粉・樹脂複合成形加工材料の溶融樹脂澱粉複合混合物を形成する前段階として、剪断と温度上昇を抑えつつ、十分に撹拌混練する。これにより、材料の劣化、退色させずに均一に混練することができ、均一で均質なバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造できる。
そして、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、十分な加熱混練の後、プラスチックの溶融押出工程と同様、流動性のある澱粉・樹脂複合材料を一軸押出機により熱可塑性樹脂の溶融温度以上、150〜220℃、押出圧力を適宜設定し、熱可塑性樹脂を安定状態で溶融押出することにより均一で均質なバラツキの少ない澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するために利用できる。
本発明では、押出に際し、押出機による成形品の製造、Tダイ押出機によるシートの製造、インフレーション成形機によるフィルムの製造、カレンダー成形機によるシートの製造、インジェクション成形機による成形品の製造などの成形加工技術及び成形加工機を採用し、各種成形加工法に適した澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するのに利用できる。
例えば、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体は、Tダイスを用い、150〜220℃に温度設定し、澱粉・樹脂複合成形加工材料をシート状物として押出し、シート状成形加工材料を得るのに利用できる。
得られたシート状物は、押し出された後、直ちに、圧延ローラによりシート化しつつ冷却して澱粉・樹脂複合成形加工材料シートとし、冷却された厚み0.1〜2.0mmの澱粉・樹脂複合成形加工シートを得、各種成形加工法の原材料シートとして又は該シートを粉砕又はカットして粒状体を得ることによりインジェクション成形、インフレーション成形、ブロー成形に適した原材料ペレットの成形加工材料を製造するために用いることができる。
押出機によりシート状に押し出し成形した澱粉・樹脂複合成形加工材料シートは、引取りロールの温度を60℃以下に設定し、所定の厚さに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取ることにより原反ロールとするか、澱粉・樹脂複合成形加工材料の原反シートをロールに冷却機能を持たせてその表面を冷却して行なう三本圧延ロールの間を通過させ、圧延ロールにより厚みを制御された、表面スキン層を形成した成形加工材料シートとすることもできる。あるいは表面スキン層のない成形加工材料シートとすることもできる。
澱粉・樹脂複合成形材料シートの厚さと表面スキン層の有無及び厚みを制御し、さらにシート表面温度の温度制御をすることにより、所望の成形加工シート又は粉砕又はカット可能な成形加工材料シートを得ることができる。また、圧延ロールによってシート状に成形するので、澱粉樹脂シートの厚さが均一になり、均質なペレットを得る。加えて圧延ロ
ールの作用によってシートの表裏に平滑なスキン層を形成することにより、ペレット化後の水分吸収を減ずることができるものを製造するのに利用できる。
以下、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体について実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
(実施形態)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体及び澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するための実施例及び比較例における使用原料及び試料作成方法は、以下のとおりである。
(澱粉・樹脂複合中間粒体の製造)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体及び澱粉・樹脂複合成形加工材料を形成するため配合した原材料は、以下のとおりである。
澱粉 : コーンスターチ 50〜70重量%
低融点添加剤: グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノステアレート 0.1〜10.0重量%
高融点添加剤: ステアリン酸金属塩 ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム
1.0〜15重量%
熱可塑性樹脂: ポリプロピレンペレット 20〜40重量%
上記した各原材料を表1の配合割合にしたがって用いた。
(1)加熱撹拌1
高温撹拌機を110〜160℃、回転数5〜50Hzに設定し、澱粉としてコーンスターチ50〜70重量%と低融点添加剤としてグリセリンモノステアレート0.1〜10.0重量%を配合し、材料を加熱撹拌、混合する。グリセリンモノステアレートの融点以上の温度で加熱撹拌して溶融し、コーンスターチに溶融したグリセリンモノステアレートを絡ませ、グリセリンモノステアレートが付着し、含有する澱粉にする。
(2)加熱撹拌2
高温撹拌機中で十分に混合し、乾燥したコーンスターチを澱粉・樹脂複合材料とするため、ポリプロピレン20.0〜40.0重量%、高融点添加剤としてステアリン酸金属塩であるステアリン酸亜鉛0.5〜5.0重量%、ステアリン酸マグネシウム0.5〜10重量%、及びその他必要な添加剤、例えば、白色顔料、相溶化剤を投入し、撹拌しながら、110〜160℃まで昇温し、上記ステアリン酸の金属石鹸を溶融し、流動性の澱粉・樹脂複合材料の混合物が形成されるまで混合撹拌する。
(3)冷却撹拌
次いで、澱粉・樹脂複合中間粒体を形成するため、流動性の澱粉・樹脂複合材料の混合物を形成した後、高温撹拌機から排出し、冷却撹拌機中に移し、110〜160℃の澱粉・樹脂複合材料の混合物を60〜100℃に冷却しながら回転数5〜40Hzで冷却撹拌し、降温させ、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンの粒状体をコア部とし、そのコア部表面に、グリセリンモノステアレートを付着し、含有する澱粉を含む粉粒体が付着し被覆した澱粉・樹脂複合中間粒体の形成を確認するまで低融点添加剤のグリセリンモノステアレートの融点以上の温度で冷却撹拌する。
(4)ストックタンクへの排出
冷却撹拌により澱粉・樹脂複合中間粒体が形成されたことが確認された後、澱粉・樹脂複合中間粒体の破壊、粉体の剥離を防止するため低融点添加剤のグリセリンモノステアレートの溶融温度以上の温度を維持しつつ、直ちに澱粉・樹脂複合中間粒体を連続製造工程
内に配置したストックタンクに排出し、中間原材料として貯蔵する。
貯蔵される複合中間粒体は、熱可塑性樹脂のコア部と、少なくとも低融点添加剤のグリセリンモノステアレートを含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層が高融点添加剤のステアリン酸亜鉛及びマグネシウムの再固化により付着された、密接に結合した状態にある、粉粒体の脱落又は剥離のない安定した澱粉・樹脂複合中間粒体として形成される。
(澱粉・樹脂複合中間粒体の評価)
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体の評価方法は、以下の要領で行った。中間原材料として、複合中間粒体を排出時の粉落ちの有無、及び熱可塑性樹脂をコアとし、表面が澱粉で被覆された粒体の形成割合を観察し、形態安定性を評価した。
粉落ちの有無:ほとんど粉落ちなし〇、粉落ち生じる×、
さらに、得られた澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料とし、製造した澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造し、製造した澱粉・樹脂複合成形加工材料の比重及び引張伸度並びにそのバラツキの程度により中間粒体を評価した。
(澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造)
澱粉・樹脂複合中間粒体を評価するため二軸混練可塑化一軸押出機を用い、澱粉・樹脂複合成形加工材料を次のように製造した。
(澱粉・樹脂複合中間粒体の混練)
澱粉複合中間粒子をストックタンクから二軸混練可塑化押出機に投入し、シリンダ温度120〜190℃、樹脂圧1〜4MPaに設定し、混練する。
(澱粉・樹脂複合成形加工材料の成形)
澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するため、上記1段目の二軸押出機中で混練、可塑化して調製された澱粉・樹脂複合成形加工材料を、加熱帯域の設定温度をポリプロピレンの溶融温度以上の160〜210℃、樹脂圧3〜20MPaに設定した2段目の一軸押出機に供給し、澱粉・樹脂複合溶融ポリプロピレンを押し出した。
(澱粉・樹脂複合成形加工材料の作成)
本発明の中間粒体から形成した成形加工材料の成形加工性、作業性に対する影響評価を行なうため次のような後処理を行なった。
その評価方法は、以下の要領で行った。
(試験シート作成)
澱粉・溶融ポリプロピレン複合成形加工材料をシート状物として製造するため、T−ダイ押出機を使用して、シート状に押し出し、引取りロールの温度を40〜60℃に設定し、所定の厚さ0.7mmに成形したシートを冷却し、引取り、紙管に巻き取った。
また、必要に応じて冷却三本ロールでカレンダー圧延処理して、シートの厚みを制御し、あるいは、シート表面にスキン層を形成し、つやのあるシートを製造することもできる。
さらに、押出成形により製造された澱粉・樹脂複合成形加工材料を各種成形加工法の原材料として利用するため、厚み制御した又は表面層を有する成形したシートをペレタイズ化するため、さいの目状に裁断した。
成形した澱粉・樹脂複合成形加工材料原反シートの長さ100mあたり10箇所からシート片(2×20cm)をサンプリング抽出し、
(a)材料の比重関して、上記サンプリングシート片をJIS K7112に従って3回測定し、平均値を求め、その平均値を測定値とする。長手方向の位置を異にするシート片につい
て同様に測定し、平均値を求め各位置における測定値とする。材料の原反シートの各測定値の平均値を求め、各測定値と平均値の変動値を求め、原反シートの比重の測定値の変動幅によりバラツキを確認した。
(b)材料の引張伸度に関して、上記サンプリングシート片をJIS K 7161に従って、シート片を引張り、クリープ現象が起きる前までの最大引張伸度を3回測定し、平均値を求め、その平均値を測定値とする。長手方向の位置を異にするシート片について同様に測定し、平均値を求め各位置における測定値とする。材料の原反シートの各測定値の平均値を求め、各測定値と平均値の変動値を求め、原反シートの該最大引張伸度の測定値の変動幅によりバラツキを確認した。
(容器の試験成形)
澱粉・樹脂複合成形加工材料から製造された上記シートの成形性を確認するために成形したシートを、真空圧空機;(株)脇坂エンジニアリング社製、FVS−500P型を用いて、成形条件:設定温度450℃に加熱した後、円錐カップとなるように真空圧空機により成形した。
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
澱粉・樹脂複合成形加工材料の原材料として、上記実施態様において示したような製造条件の成分組成に従い原料を準備し、各製造工程の製造条件に従い工程処理し、それぞれ、実施例1〜7及び比較例1〜5の澱粉・樹脂複合中間粒体及び澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造した。
製造した澱粉・樹脂複合成形加工材料を、上記の試料作成に従って評価用試料として澱粉・樹脂複合中間粒体及び澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造し、調製した試験試料を用いて、上記した評価項目に従い材料の物性及び成形することを通じて澱粉・樹脂複合中間粒体及び澱粉・樹脂複合成型加工材料の成形加工性を、及び複合成形材料として重要な材料の均一性及び均質性については、引張伸度、比重のバラツキを評価した。
シートの成形加工性については、上記T−ダイ一軸押出機(LAB TECHエンジニアリング社製)でシートが成形できるかを確認した。成形したシートを真空圧空機;(株)脇坂エンジニアリング社製、FVS−500P型により円錐カップとなるように真空圧空成形して深絞りの容器が成形できるかを確認した。また、インジェクション成形機で容器が成形できるかについても評価した。
その原料の成分組成及び製造された複合中間粒体及び複合成形加工材料についての試験結果は、表1のとおりである。
表1に示すとおり、実施例1ないし実施例3では、形態安定性のある、安定した組成の中間粒体が製造でき、それを原材料として溶融押出して製造された澱粉・樹脂複合成形加工材料は、各実施例の材料の1ロッドの中で上記試験法により測定した平均引張伸度が36〜160%、平均比重が1.08〜1.21の範囲の複合成形材料であって、実施例毎の引張伸度の測定値のバラツキは、実施例1〜3、それぞれ、34〜39%、73〜77%及び148〜164%の変動幅を有するものであり、変動幅が大きくても±7%以内、比重の測定値は、±0と変動がなく、バラツキの少ない優れた物性を有するものである。
その製造した材料を用いた各成形加工法による成形加工性についても、シート化、及び容器の成形もでき、深絞りも可能な材料を製造することができた。
これに対し、比較例に示したとおり本発明の複合中間粒体を経ない澱粉・樹脂複合成形加工材料では、シート化できるが、成形できないか、材料に滑性がなく押出できず、又は
複合中間粒体が大きすぎ、シート化することができないか、あるいは成形加工材料として溶融押出して製造された複合成形加工材料が1ロッドの中での平均引張伸度が15%、測定値の変動は7〜21%、変動幅が±50%、平均比重が1.24、測定値が1.19〜1.26の変動幅を有し、1ロット内でばらついた値を示すなど、引張伸度等の機械的物性が低下する又は機械的物性が悪く、あるいは比重がバラツキ、安定しない。また、成形加工性の点でも、シート化はできても、シート表面がべたついている、あるいは材料が粉のまま又は塊状となり、成形加工できないなどの材料であった。また、容器の成形はできなかった。
本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料として製造された澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造した場合の方が優れた物性、性状及び成形性のものが得られることが確認され、澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料とする方が澱粉・樹脂複合成形加工材料として優れていることが明らかとなった。
実施例、比較例は、表1のとおりの配合組成の澱粉・樹脂複合成形加工材料の組成物とした。実施例2で用いた澱粉・樹脂複合成形加工材料の配合組成のうち、実施例4、5では、主としてモノグリセリッドの配合量を、0.1重量%;10.0重量%に大幅に変更、実施例6、7では、ステアリン酸亜鉛及びマグネシウムの配合量をそれぞれ、0.5、0.5;5.0、10.0重量%に大幅に変更して各添加剤の造粒化、成形加工性への影響について確認した。
製造された澱粉・樹脂複合成形加工材料から実施例1と同様の方法で、ペレット、シートを製造するとともに、そのシートを真空圧空成形で実施例1と同じ寸法の容器に成形し、実施例1と同様に成形加工性の評価をした。また、引張伸度、比重について、上記で説明した測定法に従い測定し、評価した。さらに、比較例として、澱粉とポリプロピレンの配合量、モノグリセリッドの配合量及びステアリン酸金属石鹸の配合量をそれぞれ変更し、表1に示すように形成された成形品を評価しつつ、添加する量の範囲を広げ、組成物を調製し、同様の測定を行ない評価した。
その結果を表1に示す。
実施例、比較例を比較して分かるように低融点添加剤のモノグリセリッド、高融点添加剤のステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムを添加する量によって造粒化できる場合とできない場合が生じることが分かる。さらに、含有量により、シート化及びその容器の成形加工性が期待できない場合とできる場合が生じることも分かる。
実施例と比較例によれば、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料として用いた複合成形加工材料の方が、T−ダイ押出機によるシート成形など可能であり、成形加工性が優位にあることが分かり、本発明の澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料とする澱粉・樹脂複合成形加工材料は、物性等が優れたものが得られる。従来法や極端な成分組成を原材料とする澱粉・樹脂複合成形加工材料では同じ成分系であっても中間体ができない、比重が安定しない、澱粉が舞ってしまうあるいは押出時、滑性がないため圧力が掛かりすぎシート化できない、シート化した際ブリードが激しくべたつく、又は中間体同士がくっつき、粒体が大きくなりすぎ、成形機に供給できないなど成形加工性が阻害されていることが確認され、本発明の中間粒体を形成し、澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造する方法が優れていることが確認できた。
本発明により得られる澱粉・樹脂複合中間粒体は、従来の石油系プラスチックに代替し得るバイオマス材料由来の、押出機による成形品の製造、Tダイ押出機によるシートの製造、インフレーション成形機によるフィルムの製造、カレンダー成形機によるシートの製
造、インジェクション成形機による成形品の製造などの各種成形加工技術及び成形加工機に採用でき、各種成形加工法に適した澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するのに有用なものである。

Claims (10)

  1. 澱粉と、低融点添加剤と、低融点添加剤より高融点を有する高融点添加剤と、粒状体の熱可塑性樹脂を含む複合材料組成物から形成された澱粉・樹脂複合中間粒体であって、粒状体の熱可塑性樹脂をコア部とし、該粒状体のコア部表面に高融点添加剤により付着した、少なくとも低融点添加剤を含有する澱粉を含む粉粒体の被覆層を備える、澱粉・樹脂複合成形加工材料を製造するための澱粉・樹脂複合中間粒体。
  2. 低融点添加剤が、グリセリン系有機酸エステル又はグリコール脂肪酸エステルの群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  3. 低融点添加剤が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、中鎖脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルの群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  4. 高融点添加剤が、脂肪酸金属塩、炭化水素系、高級アルコール系、脂肪族アミド系、脂肪酸エステルの群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  5. 高融点添加剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン鎖アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムの群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  6. 相溶化剤、着色剤、賦形剤、崩壊剤、改質剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、流動促進剤の群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  7. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  8. 熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はスチレン−アクリル酸−ブチレン共重合体樹脂の群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  9. 澱粉・樹脂複合中間粒体が、澱粉50重量%以上含み、熱可塑性樹脂の粒状体が20重量%以上50重量%未満と、低融点添加剤成分が0.1〜10重量%、高融点添加剤成分が1.0〜15重量%を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の澱粉・樹脂複合中間粒体を原材料とする、発泡剤を含むもしくは含まない、射出成形、ブロー成形、押出成形、キャストフィルム成形、インフレーション成形、コンプレッション成形、カレンダー成形、トランスファー成形、回転成形に適した澱粉・樹脂複合成形加工材料ペレットもしくはシート、又は、発泡剤を含むもしくは含まない、真空成形品もしくは真空圧空成形品、射出成形品、ブロー成形品、押出成形品、キャストフィルム成形品、インフレーション成形品、コンプレッション成形品、カレンダー成形品又はトランスファー成形品。
JP2016255264A 2016-12-28 2016-12-28 澱粉複合中間粒体 Active JP6850125B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016255264A JP6850125B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 澱粉複合中間粒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016255264A JP6850125B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 澱粉複合中間粒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018104627A true JP2018104627A (ja) 2018-07-05
JP6850125B2 JP6850125B2 (ja) 2021-03-31

Family

ID=62785485

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016255264A Active JP6850125B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 澱粉複合中間粒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6850125B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111718554A (zh) * 2020-07-28 2020-09-29 中国科学院长春应用化学研究所 一种汽车悬置含凝胶的降噪阻尼液及其制备方法
CN114786739A (zh) * 2019-12-16 2022-07-22 库珀轮胎和橡胶公司 二氧化硅涂覆的淀粉

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08502308A (ja) * 1992-10-07 1996-03-12 パーク・デービス・アンド・カンパニー デンプンエステルの線状ポリエステルとの混合物
JP2001064458A (ja) * 1999-08-25 2001-03-13 Naoki Yoshimi 生化学的崩壊性を有するポリプロピレン組成物とその製造方法
JP2001106925A (ja) * 1999-10-13 2001-04-17 Kao Corp 複合体
JP2004155842A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 J Wing:Kk 生崩壊性シート及びその製造方法
JP2004331984A (ja) * 2001-06-08 2004-11-25 Daito M Ii Kk 生分解性樹脂組成物の製造方法
JP2008031200A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Daicel Chem Ind Ltd 熱可塑性樹脂が水溶性材料で被覆された複合樹脂固形物およびその製造方法
JP2009511714A (ja) * 2005-10-11 2009-03-19 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー デンプンを含む水安定性組成物及び物品、並びにその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08502308A (ja) * 1992-10-07 1996-03-12 パーク・デービス・アンド・カンパニー デンプンエステルの線状ポリエステルとの混合物
JP2001064458A (ja) * 1999-08-25 2001-03-13 Naoki Yoshimi 生化学的崩壊性を有するポリプロピレン組成物とその製造方法
JP2001106925A (ja) * 1999-10-13 2001-04-17 Kao Corp 複合体
JP2004331984A (ja) * 2001-06-08 2004-11-25 Daito M Ii Kk 生分解性樹脂組成物の製造方法
JP2004155842A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 J Wing:Kk 生崩壊性シート及びその製造方法
JP2009511714A (ja) * 2005-10-11 2009-03-19 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー デンプンを含む水安定性組成物及び物品、並びにその製造方法
JP2008031200A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Daicel Chem Ind Ltd 熱可塑性樹脂が水溶性材料で被覆された複合樹脂固形物およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114786739A (zh) * 2019-12-16 2022-07-22 库珀轮胎和橡胶公司 二氧化硅涂覆的淀粉
CN114786739B (zh) * 2019-12-16 2023-10-31 固特异轮胎和橡胶公司 二氧化硅涂覆的淀粉
CN111718554A (zh) * 2020-07-28 2020-09-29 中国科学院长春应用化学研究所 一种汽车悬置含凝胶的降噪阻尼液及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6850125B2 (ja) 2021-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101993558A (zh) 用淀粉纤维废塑料生产薄膜
RU2352597C1 (ru) Биоразлагаемая гранулированная полиолефиновая композиция и способ ее получения
KR102163344B1 (ko) 바이오플라스틱의 제조 방법, 이에 의해 제조된 바이오플라스틱 및 이를 사용한 필름, 쉬트 또는 용기
JP2015532334A (ja) 溶融処理された、ヤシ科に属する木の葉鞘に由来するポリマー組成物
JP6850125B2 (ja) 澱粉複合中間粒体
JP6901856B2 (ja) 澱粉・樹脂複合成形加工材料の製造方法
JP6829598B2 (ja) 澱粉・樹脂複合成形加工材料
JP6901855B2 (ja) 澱粉・樹脂複合中間粒体の製造方法
JP2009292875A (ja) 防湿澱粉組成物
JP7121428B1 (ja) バイオマス材料含有成形体の製造方法、積層体の製造方法、及び澱粉含有素材
EP1877480A2 (en) Pva-containing compositions
JP2013049760A (ja) 樹脂組成物の製造方法、並びに、成形体、フィルム及び袋の製造方法
CN1847294A (zh) 一种全生物降解塑料合金及其制备方法
JP7425774B2 (ja) 熱可塑性ポリマー造粒物および熱可塑性ポリマー造粒物の製造方法
US7576145B2 (en) Method for producing degradable polymers
JPWO2009078309A1 (ja) 発泡性樹脂組成物及び発泡体
JP4970017B2 (ja) シート又はフィルム巻取用コア
EP1591216B1 (en) Method for producing degradable polymers
JP7433682B2 (ja) 粒子及び樹脂組成物
JP7246691B2 (ja) 樹脂組成物
JP7454097B1 (ja) 結晶性ポリマーの粉体造粒物及びその製造方法
WO2022259984A1 (ja) 樹脂複合材料の製造方法および製造装置
JP7387950B1 (ja) 熱可塑性樹脂粉体造粒物
JP2010001441A (ja) 熱可塑性組成物の製造方法及び成形体の製造方法
JP5918485B2 (ja) ポリマーペレットの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200923

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6850125

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250