JP7121428B1 - バイオマス材料含有成形体の製造方法、積層体の製造方法、及び澱粉含有素材 - Google Patents

バイオマス材料含有成形体の製造方法、積層体の製造方法、及び澱粉含有素材 Download PDF

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Abstract

【課題】成形機等での処理量を増加させてバイオマス材料含有成形体を効率よく大量生産することができる製造方法を提供する。また、粒状物の極めて少ない、良質なフィルム、シート等を得ることができる澱粉含有素材を提供する。【解決手段】バイオマス材料含有成形体の製造方法は、外部に発熱部を備えた容器内にバイオマス材料を収容し、発熱部によって容器内を加熱しながら、バイオマス材料を乾燥させ、容器内部における容器内表面にバイオマス材料が付着することを防ぐバイオマス材料乾燥工程と、バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられたバイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、樹脂組成物調製工程で調製されたバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形して成形体を得る成形工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本技術は、バイオマス材料含有成形体の製造方法、積層体の製造方法、及び澱粉含有素材に関する。
石油資源等を原料として製造されたプラスチック成形品は、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用品など産業資材として広範囲の用途に用いられている。一方で、大量消費により温室効果ガスによる地球温暖化や石油資源の枯渇が地球規模で長期的に取り組む重要な課題となっている。さらに、従来から石油系のプラスチック成形品が廃棄された際、自然環境では分解、崩壊し難く、長期にわたり自然の中に残存し、自然環境を汚染することが課題として残っている。
今日、プラスチック成形品の原材料として石油の代替材料となり、温暖化に影響しない、あるいは自然環境の中で比較的速やかに崩壊し、自然環境に優しい新たな材料として、天然素材が着目され、温暖化や資源の枯渇及び環境の汚染の課題を解消する一つの手段として、近年大きく進歩したバイオ技術に着目し、生物由来の有機資源であるバイオマス材料の活用が特に進められている。
そのようなバイオマス材料としてポリ乳酸、澱粉、変性澱粉、セルロース等の天然素材の使用が提案されている。バイオマス材料は、廃棄されても自然環境下で最終的に分解されることから、環境に悪影響を与えないものである。
代表的なバイオマス材料として澱粉が挙げられる。澱粉は、生分解性樹脂や他のバイオマス由来プラスチックに比べて安価であり、生分解性の促進、焼却時の低エネルギー化を実現できるバイオマス材料である。澱粉を充填剤として用いることで、自己分解性、崩壊性の組成物をより安価に提供することができる。また、澱粉は、温暖化や石油資源の枯渇に対応でき、低コスト化を実現することを目的に近年、着目され、使用する割合が増している。
しかしながら、広範な用途にバイオマス材料を適用するためには、機械的特性、熱的特性、溶融加工性などが要求され、環境対応素材の多くは、十分な物性を有さず、成形することが困難である。
そこで、物性や加工性を改善し、プラスチック成形加工材料の代替を可能とするため、バイオマス材料を原料としたポリ乳酸やバイオポリエチレン、澱粉やセルロースを、ポリオレフィン等の合成樹脂材料と複合材料化し、対応したものがある(特許文献1、2)。
特開2001-64458号公報 特開2004-155842号公報
澱粉、セルロース等のバイオマス材料は、空気中の水分を吸収しやすく、吸湿性の大きいものが多く、原料として供給する際に、乾燥させることが必要となる。しかし、バイオマス材料は、高分子量の素材であり、バイオマス材料のままでは通常の形状が微粒体であること、さらにかさ密度が低いことなどにより、粉塵が舞いやすいとともに粉体の流動安定性が悪く、大量に乾燥させる上で難点があり、成形機等での処理量を増加させてバイオマス材料を含有する成形体を効率よく大量生産することが困難であるという課題がある。また、乾燥に際して、乾燥機内で加熱するとバイオマス材料中の水分が蒸発し、蒸発した水分が乾燥機内の壁表面、蓋部表面、底部表面等の内表面で結露し、バイオマス材料が結露した水分と接触して前記内表面に付着させられ、水分の存在下でバイオマス材料が加熱されると「白粒」と称される粒状体が発生し、成形体の品質に悪影響を与えるという課題がある。
本技術は、バイオマス材料の乾燥効率を向上させることにより成形機等での処理量を増加させてバイオマス材料含有成形体を効率よく大量生産することができるバイオマス材料含有成形体の製造方法を提供することを1つの目的とする。また、本技術は、良好な品質のバイオマス材料含有成形体を製造することのできるバイオマス材料含有成形体の製造方法を提供することを他の一つの目的とする。また、本技術は、良好な品質の澱粉含有素材を提供することをさらに、他の一つの目的とする。
本技術は、外部に発熱部を備えた容器内にバイオマス材料を収容し、前記発熱部によって前記容器内を加熱しながら、前記バイオマス材料を乾燥させ、前記容器内部における容器内表面に前記バイオマス材料が付着することを防ぐバイオマス材料乾燥工程と、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、前記樹脂組成物調製工程で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形して成形体を得る成形工程と、を含むバイオマス材料含有成形体の製造方法を提供する。
前記バイオマス材料乾燥工程において、前記バイオマス材料の水分率を5%以下としうる。
前記バイオマス材料含有成形体の製造方法は、さらに、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料を冷却するバイオマス材料冷却工程を含みうる。
前記バイオマス材料含有成形体の製造方法は、さらに、前記バイオマス材料乾燥工程において、前記バイオマス材料と一緒に低融点添加剤が添加されうる。
前記低融点添加剤は、常温で液体、又は固体のエステル化合物でありうる。
前記バイオマス材料乾燥工程において、前記バイオマス材料を120℃以上で加熱しうる。
前記成形工程において、得られる成形体がフィルム若しくはシート、射出成形体、ブロー成形体、又は異型押出成形体でありうる。
本技術は、外部に発熱部を備えた容器内にバイオマス材料を収容し、前記発熱部によって前記容器内を加熱しながら、前記バイオマス材料を乾燥させ、前記容器内部における容器内表面に前記バイオマス材料が付着することを防ぐバイオマス材料乾燥工程と、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、前記樹脂組成物調製工程で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物と、当該バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物とは異なる種類の樹脂組成物を多層押出成形して、異なる種類の樹脂層同士が積層された積層体を得る多層押出成形工程と、を含む積層体の製造方法を提供する。
また、本技術は、澱粉と、熱可塑性樹脂と、を含有し、下記測定方法による押出開始圧力Pstartと押出終了圧力Pendの押出圧力差ΔP(ΔP=Pend-Pstart)が10bar以下である、澱粉含有素材を提供する。
[押出圧力差の測定方法]
(1)澱粉含有素材を105℃、1時間で水分率2%以下となるように乾燥する。
(2)200メッシュ(目開き0.077mm(公称))のメッシュが設置され、200℃に設定され、押出圧力のモニタリングが可能な押出機を用いて、ベースの前記熱可塑性樹脂の押出を行い、押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった後に、前記押出圧力のモニタリングが可能な押出機を設定温度200℃で用いて、前記澱粉含有素材500gの押出を開始する。
(3)ベースの前記熱可塑性樹脂の押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった時点の押出開始圧力Pstartを測定する。
(4)前記澱粉含有素材500gを全て押出した後にベースの前記熱可塑性樹脂に切り替えを行い、押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった際の押出終了圧力Pendを測定する。
(5)押出圧力差ΔPを下記式より算出する。
押出圧力差ΔP=Pend-Pstart
本技術は、澱粉と、熱可塑性樹脂と、を含有し、素材表面を観察した際、210mm×297mmの視野面積当たり、長径が100μm以上の粒状物の個数が10個以下であり、当該粒状物は、赤外吸収スペクトルにおいて、前記澱粉由来の吸収ピークを有し、且つヨウ素染色されないものである、澱粉含有素材を提供する。
本技術に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法により、成形機等での処理量を増加させてバイオマス材料含有成形体を効率よく大量生産することができる。また、本技術に係る澱粉含有素材を用いることにより、粒状物の極めて少ない良好な品質のフィルムやシート等を得ることができる。特に本技術に係る澱粉含有素材を用いることにより、フィルムやシート等の成形時に穴あき等の原因となる白粒と称される粒状物の発生を抑制することができる。
第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成型体の製造方法で用いる製造装置の一例を示す摸式図である。 第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成型体の製造方法において用いられる加熱撹拌機の一例を示す摸式図である。 第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成型体の製造方法において用いられる押出機の一例を示す摸式図である。 第2の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法で用いる製造装置の一例を示す摸式図である。 第3の実施形態に係る積層体の製造方法を示すフローチャートである。 第3の実施形態に係る積層体の製造方法で用いる多層共押出成形機の一例を示す摸式図である。 第4の実施形態に係る澱粉含有素材に関する押出圧力差ΔPを説明する図である。 第4の実施形態に係る澱粉含有素材に関する押出圧力差ΔPを測定する際に使用する昇圧試験機の一例を示す摸式図である。 ヨウ素染色前の粒状物の光学顕微鏡写真である。 ヨウ素染色後の粒状物の光学顕微鏡写真である。 実施例3のシートから切り出したサンプルの写真である。 比較例3のシートから切り出したサンプル中に存在する目視により確認できた粒状物のうち、実体顕微鏡で長径が100μmを超える粉状物の写真である。 粒状物及び未糊化澱粉の赤外吸収スペクトルである。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲がこれらの実施形態のみに限定されることはない。
本技術について、以下の順序で説明を行う。
1.第1の実施形態(バイオマス材料含有成形体の製造方法の例)
2.第2の実施形態(バイオマス材料含有成形体の製造方法の他の例)
3.第3の実施形態(積層体の製造方法の例)
4.第4の実施形態(澱粉含有素材の例)
5.第5の実施形態(澱粉含有素材の他の例)
6.実施例
1.第1の実施形態(バイオマス材料含有成形体の製造方法の例)
本実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法は、外部に発熱部を備えた容器内にバイオマス材料を収容し、前記発熱部によって前記容器内を加熱しながら、前記バイオマス材料を乾燥させ、前記容器内部における容器内表面に前記バイオマス材料が付着することを防ぐバイオマス材料乾燥工程と、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられたバイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、前記樹脂組成物調製工程で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形して成形体を得る成形工程と、を含みうる。図1は、第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法を示すフローチャートである。図2は、第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法で用いる製造装置の一例を示す摸式図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法は、バイオマス材料乾燥工程(S1)、樹脂組成物調製工程(S2)及び成形工程(S3)を含みうる。図2に示すように製造装置100は、加熱撹拌機101と押出機102とを有しうる。以下、各工程について説明する。
<バイオマス材料乾燥工程(S1)>
バイオマス材料乾燥工程(S1)において、バイオマス材料が容器内に収容される。バイオマス材料が収容される容器は、容器内部を加熱する発熱部を外部に備えている。このような容器として、例えば、ステンレス鋼、鋼製の円筒状容器の周りに加熱ジャケットを有する加熱撹拌機が挙げられる。このような加熱撹拌機として、例えば、図3に示す加熱撹拌機101を用いることができる。加熱撹拌機101は、バイオマス材料をその内部に収容する収容部10の外周が加熱ジャケット11によって被覆されている。図3に示すように収容部10内には、攪拌翼12が設けられている。加熱ジャケット11内は、オイル、熱水又は加熱蒸気等の熱媒が充填されており、加熱ジャケット11は発熱部として機能しうる。加熱ジャケット11は容器内の壁表面、蓋部表面、底部表面等の内表面を加熱することにより前記容器内の収容部10を加熱する。加熱ジャケット11は、容器内の内表面において加熱が不十分な箇所が存在しないように容器内の内表面を加熱する。このように容器内の内表面において加熱が不十分な箇所が存在しないようにすることにより、加熱により蒸発したバイオマス材料中の水分が加熱不十分な箇所と接触して結露することが抑制される。加熱撹拌機内面に結露することを抑制することによって、澱粉等のバイオマス材料が糊化して加熱撹拌機内表面に付着することを防止できる容器の収容部10に収容されたバイオマス材料は、加熱された収容部10内で乾燥させられる。なお、バイオマス材料の乾燥に際しては、図3に示される攪拌翼12を使用してバイオマス材料を常時動かし続けることによって澱粉等のバイオマス材料の糊化を防ぎ、また、乾燥効率を向上できる。攪拌翼12の形状は、プロペラ翼、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン翼、スクリュー翼、アンカー翼、リボン翼、大型格子翼などの任意の形状のものから選択され得る。このような加熱撹拌機を外部加熱ジャケット式ミキサーともいう。
本工程において、バイオマス材料を効率よく乾燥させる観点から、前記容器内の温度は、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは135℃以上であり、さらに好ましくは150℃以上である。また、バイオマス材料が熱劣化することを抑制する観点から、前記容器内の温度は、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは190℃以下であり、さらに好ましくは180℃以下である。
攪拌は、攪拌翼12の回転数を好ましくは500~2000rpmに設定し、より好ましくは750~1750rpmに設定し、さらに好ましくは1000~1500rpmに設定してもよい。
本工程において、前記バイオマス材料を乾燥させる時間は、限定されないが、乾燥効率の観点から、バイオマス材料の量に応じて適宜設定されうる。例えば、好ましくは10~30分、より好ましくは15~30分、さらに好ましくは15~25分であってよい。
本工程において、バイオマス材料が収容される容器内部の容器内表面に前記バイオマス材料が付着することが防がれる。容器内でバイオマス材料が加熱されると、バイオマス材料中に含まれる水分が蒸発する。蒸発した水分は、容器内部の壁面表面、蓋内表面、底面表面等の容器内表面において加熱による温度上昇が不十分な箇所と接触して結露が発生する。容器内に収容されたバイオマス材料が結露の発生した容器内表面に付着すると、バイオマス材料が水分の存在下で加熱される。例えば、バイオマス材料が澱粉の場合、加熱下に澱粉の分子鎖中に水分が入り込むことで分子構造が緩み膨潤化(α化)して、いわゆる「白粒」と称される粒状物が発生する。「白粒」は、赤外吸収スペクトルにおいて、澱粉由来の吸収ピークを有する。このような吸収ピークとしてOH結合由来のピークが挙げられ、3000~3500cm-1の範囲にピークが存在する。また、「白粒」はヨウ素染色により着色しない。通常、澱粉粒子は、長径が10~20μmであるのに対し、「白粒」と称される粒状物は、長径が100~200μmであり、未糊化澱粉粒子よりも大きいものである。なお、未糊化澱粉とは、加熱前または加熱乾燥処理が施されても糊化していない澱粉のことをいう。このような「白粒」は、シート又はフィルムの押出成形時にメッシュ詰まりや白粒のシート混入を引き起こし、茶変色の原因となり、また、成形時に、得られる成形体の穴あきの原因となる。本工程では、外部に備えられた発熱部によって前記容器内部を加熱し、容器内表面において温度上昇が不十分な箇所が存在しないようにすることにより、結露の発生を抑制し、容器内のバイオマス材料が容器内表面に付着することを防止する。このようにバイオマス材料が容器内表面に付着することを防止することにより白粒発生を抑制でき、品質に優れた成形体を効率よく製造することが可能となる。また、容器内において攪拌処理によりバイオマス材料が一カ所に滞留しないようにすることもバイオマス材料が容器内表面に付着することを抑制するために好ましい。
上記は、外部加熱ジャケット式ミキサーを用いるものであるが、本実施形態におけるバイオマス材料乾燥工程(S1)において、加熱ジャケット式真空乾燥機を用いてもよい。この乾燥機は、外部加熱ジャケットを備え、容器内に攪拌翼が設けられているのが好ましく、容器内を真空にすることにより、バイオマス材料を乾燥させることができる。
加熱ジャケット式真空乾燥機を用いる場合、バイオマス材料を効率よく乾燥させる観点から、前記容器内の温度は、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは115℃以上であり、さらに好ましくは130℃以上である。また、バイオマス材料が熱劣化することを抑制する観点から、前記容器内の温度は、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは185℃以下であり、さらに好ましくは170℃以下である。
容器内の真空度は、好ましくは5kPa~30kPaに設定し、より好ましくは5kPa~25kPaに設定し、さらに好ましくは5kPa~20kPaに設定する。
本工程において、前記バイオマス材料を乾燥させる時間は、限定されないが、乾燥効率の観点から、バイオマス材料の量に応じて適宜設定されうる。例えば、好ましくは30~90分であり、より好ましくは40~80分であり、さらに好ましくは50~70分である。本工程において、バイオマス材料の水分率を好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下となるように乾燥してもよい。
[バイオマス材料]
本工程において、乾燥の対象となるバイオマス材料について以下に説明する。
前記バイオマス材料は、好ましくは植物由来のバイオマス材料であり、より具体的には澱粉材料、及びセルロース材料を挙げることができる。前記澱粉材料、及び前記セルロース材料は、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、又は資源穀物に分類されるものであってよい。また、バイオマス材料として、動物由来のものであってもよく、例えば、卵殻を挙げることができる。
前記澱粉材料として、生澱粉を用いることができ、例えば、地下系澱粉の澱粉及び地上系澱粉の澱粉を挙げることができる。地下系澱粉は、地下で蓄積された澱粉であり、例えば、地下茎又は根などに蓄積された澱粉をいう。地下系澱粉として、例えば、タピオカ澱粉(キャッサバ澱粉)、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、クズ澱粉、及びワラビ澱粉を挙げることができるがこれらに限定されない。
地上系澱粉は、地上で蓄積された澱粉であり、例えば、種子などに蓄積された澱粉をいう。地上系澱粉として、例えば、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉、ドングリ澱粉及び米澱粉を挙げることができるがこれらに限定されない。
本工程において、好ましくは地上系澱粉が用いられる。
前記澱粉材料は、澱粉の変性物(すなわち変性澱粉)、特には地上系澱粉の変性物であってもよい。このような変性物として、化学的に修飾された化学的変性澱粉が挙げられる。化学的変性澱粉として、例えば、アセト酢酸エステル化澱粉、酢酸エステル化澱粉、ヒドロキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、キサントゲン酢酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、リン酸架橋澱粉、ホルムアルデヒド架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉等が挙げられる。
なお、澱粉材料がトウモロコシ澱粉である場合、その粒子径が好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。粒子径の上限値は、特に限定されないが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。
なお、澱粉材料がタピオカ澱粉である場合、その粒子径が好ましくは2μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。粒子径の上限値は、特に限定されないが、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは25μm以下である。
なお、澱粉材料が馬鈴薯澱粉である場合、その粒子径が好ましくは2μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上である。粒子径の上限値は、特に限定されないが、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。
また、澱粉材料は、好ましくは平衡水分を含むものであってよい。平衡水分の量は、例えば、澱粉材料質量に対して、好ましくは10質量%~15質量%であり、より好ましくは10質量%~14質量%であり、さらに好ましくは10質量%~13質量%であり、さらにより好ましくは11質量%~13質量%でありうる。なお、熱可塑性樹脂と配合する際には、澱粉の水分率は好ましくは3%以下であってよい。
本工程で用いられるセルロース材料として、紙、紙パルプ、綿、又は布の粉砕物を挙げることができる。
セルロース材料の粒子サイズD50(メジアン径)は、例えば、15μm~150μmであり、特には好ましくは20μm~100μmでありうる。粒子サイズD50は、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD-3100、株式会社島津製作所)を用いた湿式測定により決定される。セルロース材料が、上記数値範囲内の粒子サイズを有することにより、熱可塑性樹脂に含まれるセルロース材料の分散性を向上させることに貢献しうる。
セルロース材料を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、セルロース材料を構成する全セルロース繊維の数の65%~100%、好ましくは70%~100%、より好ましくは80%~100%、さらにより好ましくは85%~100%を占める。セルロース繊維の数に関する上記割合は、セルロース材料の全セルロース繊維数のうちの、0μm~9.8μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合(以下、「第一の割合」という)と0μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合(以下、「第二の割合」という)とを、前記レーザ回折式粒度分布測定装置を用いた湿式測定により決定し、前記第二の割合から前記第一の割合を差し引くことによって求められる。前記数値範囲「0μm~9.8μm」及び「0μm~110.6μm」はいずれも、前記湿式測定において、前記レーザ回折式粒度分布測定装置に対して入力される数値範囲である。
この実施形態において、特に好ましくは、セルロース材料を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、セルロース材料を構成する全セルロース繊維の数の0%~30%、好ましくは0%~25%、より好ましくは0%~20%、さらにより好ましくは0%~15%を占める。セルロース繊維の数に関する上記割合は、セルロース材料における全セルロース繊維数のうちの、0μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合(上記「第二の割合」である)と0μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数の割合(以下、「第三の割合」という)とを、前記レーザ回折式粒度分布測定装置を用いた湿式測定により決定し、前記第三の割合から前記第二の割合を差し引くことによって求められる。前記数値範囲「0μm~110.6μm」及び「0μm~998.4μm」はいずれも、前記湿式測定において、前記レーザ回折式粒度分布測定装置に対して入力される数値範囲である。
上記粒子サイズ分布を有するセルロース材料は、例えば、パルプを酸などの化学薬品により処理を行うことで製造されうる。上記粒子サイズ分布を有するセルロース材料として、例えば、KCフロックW400(日本製紙株式会社)を挙げることができる。
上記粒子サイズ分布を有するセルロース粉末を用いることによって、成形体を製造する場合により良い成形性がもたらされる。
特には、セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、9.8μm~110.6μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の80%~100%、さらにより好ましくは85%~100%を占めることによって、熱可塑性樹脂を成形に付して得られる成形体における破れ又は穴の発生を防ぐことができる。成形体の破れ又は穴の発生を防ぐために、特に好ましくは、セルロース粉末を構成するセルロース繊維のうち、110.6μm~998.4μmの粒子サイズを有するセルロース繊維の数が、セルロース粉末を構成する全セルロース繊維の数の0%~20%、さらにより好ましくは0%~15%を占める。
また、他の実施態様において、セルロース粉末は、100メッシュパスが90%以上である粒度を有していてもよい。この実施態様において、より好ましくは、セルロース粉末が、100メッシュパスが90%以上である粒度を有し、かつ、セルロース粉末の見掛け比重が0.30g/ml~0.40g/mlでありうる。
前記粒度は、標準篩い法により測定され、具体的には以下のとおりに測定される。すなわち、試料10gを100メッシュの標準ふるいに入れ、受皿及び蓋を当該標準ふるいにセットし、そして、ロータップ型振とう機で40分間振とうする。そして、試料質量(10g)及び篩い残分の質量から、以下の式により、粒度が求められる。
粒度(%)=[(試料質量(g)-篩い残分(g))/試料質量(g)]×100
前記見掛け比重は、以下のとおりに測定される。すなわち、試料10gを天秤で精秤し、50mlメスシリンダーに入れる。当該試料が飛び散らないようにして当該メスシリンダーの底をゴムシートが敷かれた台の上にあてて叩く。当該叩く作業を、試料がこれ以上詰まらなくなるまで続ける。当該叩く作業の後に、試料の表面を平らにし、その目盛り(容積、ml)を読む。そして、以下の式で見かけ比重が求められる。
見掛け比重(g/ml)=試料(10g)/容積(ml)
上記粒度(又は上記粒度及び上記見掛比重)を有するセルロース粉末は、例えば、パルプを機械的に粉砕(例えば、ジェットミル粉砕)することによって製造されうる。上記粒度(又は上記粒度及び上記見掛比重)を有するセルロース粉末として、例えば、KCフロック100GKを挙げることができる。
本工程においては、バイオマス材料と一緒に添加剤が配合されてもよい。このような添加剤として、熱可塑性樹脂の溶融温度より低い融点温度を有し、比較的低温度で溶融する低融点添加剤を用いてもよい。このような低融点添加剤として、好ましくは100℃以下で溶融するもの、より好ましくは60~100℃で溶融するものである。このような低融点添加剤として、常温で液体、又は固体のエステル化合物が好ましく用いられる。具体的には、低融点添加剤として、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、中鎖脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、特殊脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、グリセリン系脂肪酸エステル等が用いられる。低融点添加剤は、比較的低温度で溶融し、粘性を有し、バイオマス材料粉体に絡み粘着させるように機能しうる。
低融点添加剤は、バイオマス材料100質量部当たり、例えば、好ましくは0.1質量部~5質量部、より好ましくは0.1質量部~3質量部の含有割合で、配合してもよい。
<樹脂組成物調製工程(S2)>
樹脂組成物調製工程(S2)において、前記乾燥工程(S1)で乾燥させられたバイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する。
[熱可塑性樹脂]
本工程で用いる熱可塑性樹脂について以下に説明する。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、若しくはポリエステル系樹脂、又は、これらの樹脂の混合物であってもよい。また、熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂であってもよい。また、当該熱可塑性樹脂は、生分解性を低下させないため生分解性材料を含んでいてもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン類(例えば、α-オレフィン類)を主要なモノマーとする重合により得られる高分子である。ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂若しくはポリプロピレン(PP)樹脂又はこれらの組合せであってもよい。
ポリエチレン樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE: Low DensityPolyethylene)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE: High DensityPolyethylene)、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE:Very LowDensity Polyethylene)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE: Linear LowDensity Polyethylene)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)等のエチレン共重合体、又は超高分子量ポリエチレン樹脂(UHMW-PE: Ultra HighMolecular Weight-Polyethylene)又はこれらの組合せであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、好ましくはバイオマス由来のポリオレフィン系樹脂(例えば、バイオマス由来ポリエチレン樹脂など)であってよく、例えば、バイオマスポリエチレン樹脂でありうる。バイオマスポリエチレン樹脂は、例えば、LDPE、LLDPE、又はHDPEでありうる。これによりCO排出量を削減することができる。
ポリオレフィン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂であってもよい。すなわち、熱可塑性樹脂は、例えば、メタロセン触媒系のポリエチレン樹脂若しくはポリプロピレン樹脂であってよく、又は、これらの組合せであってもよい。
ポリスチレン系樹脂は、メタロセン触媒系のポリスチレン系樹脂であってよい。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合によりモノマーが重合した高分子である。ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、若しくはポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂(PBAT)、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(PHA)、又はこれらのうち2以上を組み合わせたものであってもよい。
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーが重合した高分子である。ポリスチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン樹脂、ゴム強化ポリスチレン樹脂(耐衝撃性ポリスチレン樹脂、HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸エステル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体、並びにアクリロニトリル・エチレンプロピレン・スチレン共重合体等又はこれらのうち2以上を組み合わせたものであってもよい。
本実施形態において、熱可塑性樹脂の種類は、例えば、成形体の用途に応じて当業者により適宜選択されてよく、加工温度が低い熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、食料品包装用容器に使用されるシートの場合、熱可塑性樹脂は、例えば、好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、より好ましくはポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂であり、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂でありうる。
本実施形態において、熱可塑性樹脂の融点は、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは165℃以下でありうる。より低い融点を有する熱可塑性樹脂を採用することによって、成形時の温度を低くすることができる。また、熱可塑性樹脂の融点は、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは95℃以上でありうる。
熱可塑性樹脂としては、ペレット状の粒状物が用いられてもよい。熱可塑性樹脂の含有割合は、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して、好ましくは3質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上93質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上90質量%以下である。
前記生分解性材料として、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子材料、各種アクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどのエマルジョン、脂肪族ポリエステル系樹脂であるカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体などを挙げることができる。
本工程において、乾燥されたバイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合するに際しては、例えば、乾燥されたバイオマス材料と熱可塑性樹脂とを、単純に乾燥状態で混合して、粉末状のバイオマス材料とペレット状の熱可塑性樹脂との混合物であるバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製してもよく、また、乾燥された前記バイオマス材料と熱可塑性樹脂を、同時に、図4に示す押出機102にフィーダーを介して投入し、回転数、攪拌時間及び温度などの制御を行い、加熱混練することによりバイオマス材料と熱可塑性樹脂を均一に混練、混合して、押出機102内に存在する溶融混練した状態のバイオマス材料と熱可塑性樹脂の混合物をバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物としてもよい。さらに、溶融混練した状態のバイオマス材料と熱可塑性樹脂の混合物を押出機102から押出し、冷却してペレット化したものをバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物としてもよい。このような押出機102として、一軸押出機、二軸押出機を用いることができる。また、バイオマス材料と熱可塑性樹脂を押出機102に投入する際、同時に添加剤を投入してもよく、このような添加剤として、例えば、低融点添加剤、高融点添加剤が挙げられる。また、バイオマス材料、熱可塑性樹脂、添加剤のそれぞれを個別にフィーダーを介して所定の配合量で投入してもよい。
前記バイオマス材料と前記熱可塑性樹脂等を押出機102中で混合するに際し、材料の劣化、退色を抑制する観点から加熱加工温度(シリンダ温度)を、好ましくは熱可塑性樹脂が溶融する温度以下、又は高融点添加剤の融点以上の温度に設定し、混合してもよい。例えば、加熱加工温度(シリンダ温度)を100~190℃に設定してもよい。
本実施形態において、バイオマス材料の含有割合は、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して、好ましくは4質量%以上95質量%以下、より好ましくは6質量%以上93質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上90質量%以下である。
本工程に配合される添加剤として、前記バイオマス材料乾燥工程(S1)で用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より低い融点温度を有し、比較的低温度で溶融する低融点添加剤を用いてもよい。
本工程において、低融点添加剤は、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して、例えば、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の含有割合で、樹脂組成物に含まれうる。
また、樹脂組成物には、低融点添加剤よりも高い融点を有する高融点添加剤が含まれていてもよい。このような高融点添加剤は、低融点添加剤よりも高い融点を有し、その融点が、好ましくは100~150℃の範囲にあり、低融点添加剤よりも先に固化し、熱可塑性樹脂の溶融温度よりも低い融点を有するものであってよい。このような高融点添加剤として、脂肪酸金属塩、炭化水素系、高級アルコール系、脂肪族アミド系、脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム等が用いられる。
高融点添加剤は、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して、例えば、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の含有割合で、樹脂組成物に含まれうる。
その他の添加剤として、バイオマス材料と熱可塑性樹脂との親和性を向上させるため相溶化剤を用いることができる。相溶化剤は、熱可塑性樹脂の種類に応じて選択されてよい。このような相溶化剤として、例えば、酸変性ポリオレフィン、酸変性ナイロン、酸変性ポリスチレン、酸変性EVA、酸変性エチレン共重合ポリマー、酸変性アクリレート、アクリル酸変性EVA、及び変性エチレンアクリレートなどを挙げることができる。
熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、相溶化剤は好ましくは酸変性ポリオレフィンであり、特には無水カルボン酸変性ポリオレフィン又はオレフィン系のコモノマーでありうる。
当該無水カルボン酸変性ポリオレフィンを構成する無水カルボン酸は、好ましくは無水マレイン酸でありうる。相溶化剤は、例えば、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂であり、より特には無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、及び無水マレイン酸変性エチレン-プロピレン共重合体からなる群から選ばれる1つ又は2以上の組合せであってよい。相溶化剤には、ゴム成分が分散されていてもよい。
相溶化剤は、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して、例えば、0.1質量%~10質量%、より好ましくは1.0質量%~5.0質量%の含有割合で、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物に含まれうる。
その他の添加剤として、着色剤を用いることができる。
着色剤は、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物に着色を施すために用いられうる。着色剤として、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、染料、及び顔料を挙げることができる。
また、前記他の成分として、例えば、酸化防止剤、架橋剤、紫外線吸収剤、発泡剤及び耐衝撃剤などが用いられてもよい。これら添加剤として、市販のものが用いられてもよい。
<成形工程(S3)>
本工程において、前記樹脂組成物調製工程(S2)で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形して成形体を得る。例えば、前記樹脂組成物調製工程(S2)において押出機102中でバイオマス材料と熱可塑性樹脂等を十分加熱し、混合してバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製した後、前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形機へ移送し、当該成形機を用いてバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形してフィルム又はシート等の成形体を形成する。なお、フィルム又はシートを成形することを、成膜といい、フィルム又はシートを成形する工程を成膜工程ともいう。フィルム又はシートを成形する際の温度を、好ましくは熱可塑性樹脂の溶融温度以上に設定してもよく、例えば、150~220℃に設定し、成形圧力を適宜設定してもよい。
フィルム又はシートの成膜に際しては、成膜工程において、Tダイ押出機、カレンダー成形機、インフレーション成形機等の各種成膜機を用いることができる。成膜機により、例えば、フィルム状又はシート状に成形されたバイオマス材料含有成形体は、成膜された後、直ちに、引取りロールの温度を適宜設定し、所定の厚さに成形したフィルム又はシートを冷却し、原反ロールとして引取り、巻き取ってもよい。なお、フィルムとは厚みの薄い膜状のものをいい、フィルムの厚みは、例えば、200μm未満でありうる。また、フィルムやシート以外の成形体を成形するに際しては、ブロー成形機、射出成形機(インジェクション成形機)、熱成形機、異形押出成形機を用いてもよい。当該ブロー成形機によって、例えば、ボトル容器が成形されうる。射出成形機によって、例えば、ボトルキャップ又は容器が製造されうる。異形押出成形機によって、例えば、プラダンボールが成形されうる。
2.第2の実施形態(バイオマス材料含有成形体の製造方法の他の例)
本実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法は、第1の実施形態のバイオマス材料含有成形体の製造方法において、さらに、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料を冷却するバイオマス材料冷却工程を含みうる。図5は、第2の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法を示すフローチャートである。図6は、第2の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法で用いる製造装置の一例を示す摸式図である。
図5に示すように、第2の実施形態に係るバイオマス材料含有成形体の製造方法は、バイオマス材料乾燥工程(S1)、バイオマス材料冷却工程(S4)、樹脂組成物調製工程(S2)及び成形工程(S3)を含みうる。なお、バイオマス材料乾燥工程(S1)、樹脂組成物調製工程(S2)及び成形工程(S3)は、第1の実施形態と同じ工程であるので説明は省略する。以下、バイオマス材料冷却工程(S4)について説明する。
<バイオマス材料冷却工程(S4)>
図5に示すように、バイオマス材料冷却工程(S4)を、バイオマス材料乾燥工程(S1)と樹脂組成物調製工程(S2)との間に設けてもよい。本実施形態は、例えば、図6に示す製造装置200を用いて実現され得る。製造装置200は、加熱撹拌機201と、冷却撹拌機202と、押出機203と、を有しうる。なお、押出機203としては、図4に示す押出機102を用いてもよい。
図6に示す加熱撹拌機201内でバイオマス材料と熱可塑性樹脂とが加熱攪拌される。加熱撹拌機201内でバイオマス材料と熱可塑性樹脂と低融点添加剤とが加熱攪拌されてもよい。その後、バイオマス材料と熱可塑性樹脂等との混合物は、冷却撹拌機202に移され、低融点添加剤の溶融温度以上であって、その溶融温度近傍まで冷却撹拌機202中で攪拌されながら冷却されてもよい。なお、バイオマス材料と熱可塑性樹脂等との混合物を攪拌せずに冷却してもよい。
3.第3の実施形態(積層体の製造方法の例)
本実施形態は、外部に発熱部を備えた容器内にバイオマス材料を収容し、前記発熱部によって前記容器内を加熱しながら、攪拌して、前記バイオマス材料を乾燥させるバイオマス材料乾燥工程と、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられたバイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、前記樹脂組成物調製工程で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物と、当該バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物とは異なる種類の樹脂組成物を多層押出成形して、異なる種類の樹脂層同士が積層された積層体を得る多層押出成形工程と、
を含みうる。
図7は、第3の実施形態に係る積層体の製造方法を示すフローチャートである。図8は、第3の実施形態に係る積層体の製造方法で用いる多層共押出成形機の一例を示す摸式図である。
図7に示すように、第3の実施形態に係る積層体の製造方法は、バイオマス材料乾燥工程(S1)、樹脂組成物調製工程(S2)及び多層押出成形工程(S5)を含みうる。なお、バイオマス材料乾燥工程(S1)、及び樹脂組成物調製工程(S2)は、第1の実施形態と同じ工程であるので説明は省略する。また、バイオマス材料乾燥工程(S1)と樹脂組成物調製工程(S2)との間に第2の実施形態に係るバイオマス材料冷却工程(S4)が設けられてもよい。以下、多層押出成形工程(S5)について説明する。
<多層押出成形工程(S5)>
多層押出成形工程(S5)においては、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物とは異なる種類の樹脂組成物を押出し、異なる種類の樹脂層同士が積層されるように成形して積層体を得る。積層体は、例えば、図8に示す多層共押出成形機300を用いて得ることができる。多層共押出成形機300は、A層用押出機301と、B層用押出機302と、C層用押出機303と、フィードブロック304と、ダイス305とを有しうる。多層共押出成形機300により、バイオマス材料を含有するB層を中層とし、A層とC層とを表層とする、A層とB層とC層とが積層された三層構造シート306が共押出しされる。B層用押出機302は、前記樹脂組成物調製工程(S2)で調製されたバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を押出し、A層用押出機301とC層用押出機303のそれぞれは、B層用押出機302から押出されるバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物とは異なる種類の熱可塑性樹脂組成物を押出す。
4.第4の実施形態(澱粉含有素材の例)
本実施形態に係る澱粉含有素材は、澱粉と、熱可塑性樹脂と、を含有し、下記測定方法による押出開始圧力Pstartと押出終了圧力Pendの押出圧力差ΔP(ΔP=Pend-Pstart)が10bar以下であり、好ましくは8bar以下であってよく、より好ましくは6bar以下であってよい。
[押出圧力差の測定方法]
(1)澱粉含有素材を105℃、1時間乾燥する。
(2)200メッシュ(目開き0.077mm(公称))のメッシュが設置され、200℃に設定され、押出圧力のモニタリングが可能な押出機を用いて、ベースの前記熱可塑性樹脂の押出を行い、押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった後に、前記押出圧力のモニタリングが可能な押出機を設定温度200℃で用いて、前記澱粉含有素材500gの押出を開始する。
(3)ベースの前記熱可塑性樹脂の押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった時点の押出開始圧力Pstartを測定する。
(4)前記澱粉含有素材500gを全て押出した後にベースの前記熱可塑性樹脂に切り替えを行い、押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった際の押出終了圧力Pendを測定する。
(5)押出圧力差ΔPを下記式より算出する。
押出圧力差ΔP=Pend-Pstart
以下、澱粉含有素材の押出圧力差ΔPの測定方法について、より詳細に説明する。
[澱粉含有素材の押出圧力差ΔP]
澱粉含有素材の押出圧力差ΔPとは、ベースの熱可塑性樹脂の押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった時点の押出開始圧力Pstartと平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった押出終了圧力Pendとの圧力差を表す指標をいう。単位は、barで表す。換言すれば、澱粉含有素材に含まれる前述の白粒等の異物や分散不良物の存在を示す指標として使用されうる。この数値が低いほど、メッシュ詰まりが発生せず、白粒等の異物や分散不良物が少ないことを意味する。
本実施形態に従う澱粉含有素材において、押出圧力差ΔPは、昇圧試験機「LFT44-GP」(ラボテック社製)を使用して測定され得る。
本実施形態においては、押出圧力差ΔPは、以下の手順で測定される。図10は、本実施形態に係る澱粉含有素材に関する押出圧力差ΔPを測定する際に使用する昇圧試験機の一例を示す摸式図である。図10に示す昇圧試験機40は、単軸スクリュー押出機43、ギアポンプ42と、メッシュ41とを備える。昇圧試験機40において、ギアポンプ入口側圧力P1と、ギアポンプ出口側圧力P2が測定され得る。押出圧力差ΔPの測定に際し、ギアポンプ42の回転数が30RPMで一定となるように設定し、ギアポンプ入口側圧力P1を50barに設定し、P1が50barを維持するように単軸スクリュー押出機43の回転数を連動制御させるようにし、ギアポンプ出口側圧力P2の値を測定する。押出圧力差ΔPの測定は、例えば、以下の手順で行われる。
(1)澱粉含有素材を105℃、1時間で水分率2%以下となるように乾燥する。
(2)図10に示す、200メッシュ(目開き0.077mm(公称))のメッシュ41が設置され、押出圧力のモニタリングが可能な昇圧試験機40を用いて、ベースの前記熱可塑性樹脂の押出を行い、昇圧試験機40のギアポンプ出口側圧力P2において押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった後に、前記押出圧力のモニタリングが可能な昇圧試験機40を設定温度200℃で用いて、前記澱粉含有素材500gの押出を開始する。
(3)図10に示す昇圧試験機40のギアポンプ出口側圧力P2において押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった時点の押出開始圧力Pstartを測定する。
(4)澱粉含有素材500gを全て昇圧試験機40から押出した後にベースとなる熱可塑性樹脂に切り替えを行い、ギアポンプ出口側圧力P2において圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった際の押出終了圧力Pendを測定する。
(5)押出圧力差ΔPを下記式より算出する。
押出圧力差ΔP=Pend-Pstart
5.第5の実施形態(澱粉含有素材の他の例)
本実施形態に係る澱粉含有素材は、澱粉と、熱可塑性樹脂と、を含有し、素材表面を観察した際、210mm×297mmの視野面積当たり、長径が100μm以上の粒状物の個数が10個以下であり、好ましくは5個以下、より好ましくは0個であってよい。本実施形態において、210mm×297mmの視野面積当たり、長径が100μm以上の粒状物の個数が10個を超えると、成形時に押出機のメッシュが詰まり、圧力上昇による茶変色や成形時に穴あきが発生するおそれがある。本実施形態では、前記粒状物の長径は、好ましくは90μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは70μm以下であってよい。粒状物の長径の測定方法について以下に説明する。
[長径の測定方法]
本実施形態において、粒状物の長径は、例えば、実体顕微鏡を用いて測定される。実体顕微鏡として、「ECLIPSE LV100」(株式会社ニコン製)を用いることができ、視野内のスケールで粒状物の長径を実測してもよい。その他、顕微鏡から取得した画像を画像ソフトウェアで画像処理し、長径を測定してもよい。
前記粒状物は、赤外吸収スペクトルにおいて、澱粉由来の吸収ピークを有する。澱粉由来の吸収ピークとして、OH結合由来のピークが挙げられ、3000~3500cm-1の範囲に吸収ピークが存在する。赤外吸収スペクトルの測定方法について以下に説明する。
[赤外吸収スペクトル]
本実施形態において、粒状物の赤外吸収スペクトルは、顕微赤外分光分析法(顕微FT-IR)により測定される。顕微赤外分光分析法により赤外吸収スペクトルを測定する際、顕微赤外分光光度計を用いることができる。このような顕微赤外分光光度計として、例えば、「IRT-5000」(日本分光株式会社製)を用いることができる。赤外吸収スペクトルの測定は、例えば、以下の手順に従って行われる。
(1)サンプルから測定対象となる粒状物の部分を切り出す。
(2)切り出した粒状物をKBr片に挟み込んでクランプし、測定検体を作製する。
(3)作製した測定検体を顕微赤外分光光度計の測定部にセットし、測定を行う。
また、粒状物はヨウ素染色により着色しない。本実施形態に係る澱粉含有素材において、前記粒状物は、前記1で説明した「白粒」に相当する。澱粉中には、アミロースとアミロペクチンが共存している。澱粉がヨウ素染色されると、アミロースの螺旋構造内部にヨウ素原子が入り込み、青紫色に発色する。一方、熱により澱粉が変性(α化、糊化、膨潤化)した場合、ヨウ素原子の入り込みが発生しないため、青紫色に発色しない。前記粒状物は、熱により変性し、ヨウ素染色されない、澱粉であると推測される。
図11は、ヨウ素染色前の粒状物の光学顕微鏡写真である。図12は、ヨウ素染色後の粒状物の光学顕微鏡写真である。図11、図12において、丸で囲った部分に粒状物が存在する。図12に示されるように、図11に示される白色部分は、ヨウ素染色によっても発色せず、白色を維持していることが分かる。このように粒状物は、ヨウ素染色されないものである。なお、本実施形態において、粒状物とは、粒状を呈するもののほか、各種形状、各種断面のものが包含され得る。粒状物の形状として、例えば、球形、楕円球形、円柱形、角柱形円板状、角板状等が挙げられる。
粒状物のヨウ素染色について以下に説明する。
[ヨウ素染色]
本実施形態において、ヨウ素染色は以下の手順で行われる。図13は、比較例3のシートから切り出したサンプル中に存在する目視により確認できた粒状物のうち、実体顕微鏡で長径が100μmを超える粉状物の写真である。
(1)図13の丸で囲った部分に示される、目視で確認できる粒状物付近を切り出す。
(2)市販のうがい薬(製品名「コサジン・ガーグルTY」、大洋製薬社製、有効ヨウ素濃度0.7g/100mL)にサンプルを5分間浸漬する。
(3)サンプルを取り出し、流水で洗浄して、うがい薬を洗い落とす。
(4)光学顕微鏡にて観察する。
6.実施例
以下、実施例に基づいて本発明を、さらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明の範囲は、これらの実施例のみに限定されるものでない。実施例中、用いる評価方法及び評価基準は下記のとおりである。
(1)澱粉の乾燥評価
乾燥時の澱粉処理能力に応じて、下記基準で評価した。
処理能力A:澱粉処理量:100kg/h以上、処理能力が高い
処理能力B:澱粉処理量:100kg/h未満、乾燥は可能だが、乾燥時間が長く、処理能力が低い
処理能力C:粉舞が発生し、乾燥できなかった
(2)多層押出評価
乾燥後の澱粉を使用してバイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製し、当該バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を多層共押出成形機に供給し、シートを成形した。シート成形時の多層押出性を、下記基準で評価した。
A:シート成形が可能であった
B:シート成形は可能であるが、押出圧力が上昇した
C:押出ができなかった
(実施例1)
図6に示す装置200の加熱撹拌機201(外部加熱ジャケット式ミキサー、株式会社カワタ)内で、各成分の合計100質量部(乾燥前トウモロコシ澱粉比率)に対して、初期水分率が14%のトウモロコシ澱粉(昭和産業株式会社製)57質量部と、グリセリン脂肪酸エステル0.6質量部とを混合し、加熱ジャケット温度150℃にて20分乾燥を行った。澱粉の乾燥評価はAであり、乾燥後のトウモロコシ澱粉の水分率は2%であり、乾燥時間が短く、加熱撹拌機201は処理能力が高いものであった。前記混合により得られたトウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物を、図6に示す装置の冷却撹拌機202内に移し、混合物の材料温度が20~40℃となるまで、5~15分間冷却した。その後、冷却された、トウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物と、ポリプロピレン(商品名:CS356M、サンアロマー株式会社製)19.2質量部と、ポリプロピレン(商品名:FH1016、住友化学社製)10.1質量部と、ステアリン酸亜鉛1質量部と、ステアリン酸マグネシウム3質量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:セプトン(登録商標)4033、クラレ社製)3質量部と、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂(商品名:フサボンド(登録商標)N493、デュポン社製)3.1質量部と、白色顔料3質量部とを、二軸押出機(株式会社池貝 PCM30、スクリュー径:30φ)を用いてコンパウンドし、ペレットを得た。得られたペレットを図8に示す多層共押出成形機300(LAB TECHエンジニアリング社製)のB層用押出機302にホッパー(図示しない)を介して供給した。
また、図8に示す多層共押出成形機300(LAB TECHエンジニアリング社製)のA層用押出機301にホッパー(図示しない)を介してポリプロピレン樹脂組成物(商品名:EG6D、日本ポリプロ株式会社製)と、C層用押出機303にホッパー(図示しない)を介してポリプロピレン樹脂組成物(商品名:EG6D、日本ポリプロ株式会社製)を供給し、A層用押出機、B層用押出機、C層用押出機のそれぞれに供給された樹脂組成物を共押出して、B層を中層とする三層構造の多層シートを得た。
なお、A層用押出機301(型番:LE25-30/C(LAB TECHエンジニアリング社製)、L/D:30、φ:250mm)、B層用押出機302(型番:LE25-30/C(LAB TECHエンジニアリング社製)、L/D:30、φ:250mm)、及びC層用押出機303(型番:LE25-30/C(LAB TECHエンジニアリング社製)、L/D:30、φ:250mm)のシリンダー温度とアダプタ温度をそれぞれ200℃に設定した。また、B層用押出機302のスクリュー速度を90RPMとし、A層用押出機301とC層用押出機303それぞれのスクリュー速度を20RPMとした。
多層押出評価はAであり、当該多層押出成形によって、厚み0.5mmのシート(以下、「実施例1の澱粉含有シート」ともいう)を得た。A層の厚みは35μmであり、B層の厚みは430μmであり、C層の厚みは35μmであった。
本実施例では、加熱攪拌20分で水分率が2%以下となり乾燥合格基準を達成することができた。
(実施例2)
外部加熱ジャケット式ミキサーの代わりに外部加熱ジャケット式真空乾燥機(大川原製作所製)を用い、加熱温度150℃にて60分乾燥を行う以外は実施例1と同じ条件で多層押出成形を行った。澱粉の乾燥評価はBであり、乾燥後のトウモロコシ澱粉の水分率は2%であったが、実施例1よりも乾燥時間が長く、処理能力が若干低いものであった。また、多層押出評価はBであり、多層押出成形によりシートを得ることができたが、押出圧力の上昇が確認された。
(比較例1)
外部加熱ジャケット式ミキサーの代わりに材料を回転させながら熱風をあてる熱風乾燥機を用い、乾燥条件(乾燥温度:150℃、乾燥風量:0.5m/s、回転数:2RPM、乾燥時間:40分)を変更する以外は、実施例1と同じ方法でシートの成形を試みた。澱粉の乾燥評価Cであり、熱風式乾燥機であるため乾燥時に熱風で澱粉が舞い上がってしまい澱粉を乾燥させることができなかった。また、多層押出ができなかったので多層押出評価はCであった。
(比較例2)
外部加熱ジャケット式ミキサーの代わりに回転シェル内の主管から熱風が送られ、回転材料に熱風を吹き付けて乾燥させる熱風乾燥機を用い、乾燥条件(吹き込み温度:200℃、吹き込み風量:7.8m/min)を変更する以外は、実施例1と同じ方法でシートの成形を試みた。澱粉の乾燥評価Cであり、熱風式乾燥機であるため乾燥時に熱風で澱粉が舞い上がってしまい澱粉を乾燥させることができなかった。また、多層押出ができなかったので多層押出評価はCであった。
(実施例3)
図6に示す装置200の糊化した澱粉の付着防止機構を有した加熱撹拌機201(外部加熱ジャケット式ミキサー、株式会社カワタ)内で、各成分の合計100質量部(乾燥前トウモロコシ澱粉比率)に対して、初期水分率が14%のトウモロコシ澱粉(昭和産業株式会社製)57質量部と、グリセリン脂肪酸エステル0.6質量部とを混合し、加熱ジャケット温度150℃にて20分乾燥を行った。澱粉の乾燥評価はAであり、乾燥後のトウモロコシ澱粉の水分率は2%であり、乾燥時間が短く、加熱撹拌機201は処理能力が高いものであった。前記混合により得られたトウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物を、図6に示す装置の冷却撹拌機202内に移し、混合物の材料温度が20~40℃となるまで、5~15分間冷却した。その後、冷却された、トウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物と、ポリプロピレン(商品名:CS356M、サンアロマー株式会社製)19.2質量部と、ポリプロピレン(商品名:FH1016、住友化学社製)10.1質量部と、ステアリン酸亜鉛1質量部と、ステアリン酸マグネシウム3質量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:セプトン(登録商標)4033、クラレ社製)3質量部と、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂(商品名:フサボンド(登録商標)N493、デュポン社製)3.1質量部と、白色顔料3質量部とを、二軸押出機(株式会社池貝 PCM30、スクリュー径:30φ)を用いてコンパウンドし、澱粉含有素材(以下、実施例3の澱粉含有素材と称す)のペレットを得た。
得られた澱粉含有素材について押出圧力差ΔPを下記方法に基づいて測定した。澱粉含有素材を105℃、1時間乾燥した。図10に示す、200メッシュ(目開き0.077mm(公称))のメッシュが設置され、押出圧力のモニタリングが可能な昇圧試験機40(型番LFT44-GP、ラボテック社製)を用いて、澱粉含有素材に含まれるベースとなるポリプロピレン樹脂(J106、株式会社プライムポリマー社製)のみの押出を行い、押出圧力が平衡状態になった後に、200℃に設定した昇圧試験機40に澱粉含有素材500gを投入し、押出を開始した。図10に示す昇圧試験機40のギアポンプ出口側圧力P2において澱粉含有素材の押出開始時の押出開始圧力Pstartを測定した。押出開始圧力Pstartは14.8barであった。澱粉含有素材500gを全て昇圧試験機40から押出した後にベースとなるポリプロピレン樹脂(J106、株式会社プライムポリマー社製)に切り替えを行い、ギアポンプ出口側圧力P2において圧力が平衡状態になった際の押出終了圧力Pendを測定した。押出終了圧力Pendは19.9barであった。押出圧力差ΔPを下記式より算出した。
押出圧力差ΔP=Pend-Pstart
押出圧力差ΔPは5.1barとなった。
得られた実施例3の澱粉含有素材を単層押出機にホッパーを介して供給し、澱粉含有素材を押出してフィルムを成形した。得られたフィルムから210mm×297mmのサンプルを切り出した。図13は、210mm×297mmのサンプルの写真である。サンプルを実態顕微鏡にて観察したところ、粒状物は0個であった。
(比較例3)
外部加熱ジャケット式ミキサーの代わりに材料を回転させながら熱風をあてる熱風乾燥機を用いる以外は、実施例3と同じ方法で澱粉含有素材(以下、比較例3の澱粉含有素材と称す)を調製した。実施例3と同じ方法で押出開始圧力Pstartを測定した。押出開始圧力Pstartは14.1barであった。実施例3と同じ方法で押出終了圧力Pendを測定した。押出終了圧力Pendは34.9barであった。押出圧力差ΔPは20.8barとなり、昇圧試験機40のメッシュ詰まりが発生した。
得られた比較例3の澱粉含有素材から、実施例3と同様にしてフィルムを成形した。得られたフィルムから210mm×297mmのサンプルを切り出した。図14は、210mm×297mmのサンプル中に存在する目視により確認できた粒状物のうち、実体顕微鏡で長径が100μmを超える粒状物の写真である。粒状物は83個であった。図14において丸で囲った箇所に粒状物が存在する。図14の丸で囲った粒状物付近をサンプルとして切り出した。市販のうがい薬(製品名「コサジン・ガーグルTY」、大洋製薬社製、有効ヨウ素濃度0.7g/100mL)にサンプルを5分間浸漬した。サンプルを取り出し、流水で洗浄して、うがい薬を洗い落とした。光学顕微鏡にて観察した。粒状物は、ヨウ素染色によっても染色されなかった。また、顕微赤外分光光度計「IRT-5000」(日本分光株式会社製)により粒状物を分析した。図15は、粒状物及び未糊化澱粉の赤外吸収スペクトルである。図15に示すように、粒状物及び未糊化澱粉は、波長3000~3500cm-1の範囲にOH結合由来の吸収ピークが存在し、澱粉由来であることが分かる。
実施例1~2及び比較例1~2から、以下のことが分かる。
実施例1~2は、水分率が2%以下となり乾燥合格基準を達成することができた。実施例1は、実施例2よりも水分率が2%以下となる時間が短く、より乾燥効率に優れていたことが示された。
実施例3と比較例3とを比べると、210mm×297mmのサンプル中に粒状物の個数が10個以下の場合、押出圧力差が小さく、成形性に優れ、かつ、成形体の品質が優れていたことが示される。
(実施例4)
[フィルム成形]
図6に示す装置200の加熱撹拌機201(外部加熱ジャケット式ミキサー、株式会社カワタ)内で、各成分の合計100質量部(乾燥前トウモロコシ澱粉比率)に対して、初期水分率が14%のトウモロコシ澱粉(昭和産業株式会社製)60質量部と、グリセリン脂肪酸エステル0.6質量部とを混合し、加熱ジャケット温度150℃にて20分乾燥を行った。澱粉の乾燥評価はAであり、乾燥後のトウモロコシ澱粉の水分率は2%であり、乾燥時間が短く、加熱撹拌機201は処理能力が高いものであった。前記混合により得られたトウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物を、図6に示す装置の冷却撹拌機202内に移し、混合物の材料温度が20~40℃となるまで、5~15分間冷却した。その後、冷却された、トウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物と、直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SP0540、株式会社プライムポリマー製)23.6質量部と低密度ポリエチレン(商品名:LJ902、日本ポリエチレン株式会社)、ステアリン酸亜鉛0.9質量部と、ステアリン酸マグネシウム1.9質量部と酸変性ポリエチレン4質量部を二軸押出機(株式会社池貝 PCM30、スクリュー径:30φ)を用いてコンパウンドし、ペレットを得た。
得られたペレットについて押出圧力差ΔPを下記方法に基づいて測定した。ペレットを105℃、1時間乾燥した。図10に示す、200メッシュ(目開き0.077mm(公称))のメッシュが設置され、押出圧力のモニタリングが可能な昇圧試験機40(型番LFT44-GP、ラボテック社製)を用いて、ペレットに含まれるベースとなるポリプロピレン樹脂(J106、株式会社プライムポリマー社製)のみの押出を行い、押出圧力が平衡状態になった後に、200℃に設定した昇圧試験機40に澱粉含有素材500gを投入し、押出を開始した。図10に示す昇圧試験機40のギアポンプ出口側圧力P2において澱粉含有素材の押出開始時の押出開始圧力Pstartを測定した。押出開始圧力Pstartは14barであった。澱粉含有素材500gを全て昇圧試験機40から押出した後にベースとなるポリプロピレン樹脂(J106、株式会社プライムポリマー社製)に切り替えを行い、ギアポンプ出口側圧力P2において圧力が平衡状態になった際の押出終了圧力Pendを測定した。押出終了圧力Pendは19barであった。押出圧力差ΔPを下記式より算出した。
押出圧力差ΔP=Pend-Pstart
押出圧力差ΔPは5.0barとなった。
得られたペレットを、インフレーション成形機(LAB TECHエンジニアリング社製、ダイス径70φ)を用いて押出を行い、澱粉含有素材のフィルムを得た。得られたフィルムは、穴あき等が見られない、良好な成形性を有するものであった。
(実施例5)
[射出成形]
図6に示す装置200の加熱撹拌機201(外部加熱ジャケット式ミキサー、株式会社カワタ)内で、各成分の合計100質量部(乾燥前トウモロコシ澱粉比率)に対して、初期水分率が14%のトウモロコシ澱粉(昭和産業株式会社製)33質量部と、グリセリン脂肪酸エステル0.3質量部とを混合し、加熱ジャケット温度150℃にて20分乾燥を行った。澱粉の乾燥評価はAであり、乾燥後のトウモロコシ澱粉の水分率は2%であり、乾燥時間が短く、加熱撹拌機201は処理能力が高いものであった。前記混合により得られたトウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物を、図6に示す装置の冷却撹拌機202内に移し、混合物の材料温度が20~40℃となるまで、5~15分間冷却した。その後、冷却された、トウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物と、ポリプロピレン(商品名:AX564E2、住友化学社製)63質量部、ステアリン酸亜鉛0.6質量部と、ステアリン酸マグネシウム0.6質量部と無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂2.5質量部を二軸押出機(株式会社池貝 PCM30、スクリュー径:30φ)を用いてコンパウンドし、ペレットを得た。
得られたペレットについて押出圧力差ΔPを実施例4と同じ方法で測定した。押出開始圧力Pstartは14barであった。押出終了圧力Pendは18.8barであった。押出圧力差ΔPは4.8barとなった。得られたペレットを射出成形機(住友重機械工業株式会社 SH125、C360)を用いて成形を行い、澱粉含有素材の射出成形品を得た。得られた射出成形品は、良好な成形性を有するものであった。
(実施例6)
[ブロー成形]
図6に示す装置200の加熱撹拌機201(外部加熱ジャケット式ミキサー、株式会社カワタ)内で、各成分の合計100質量部(乾燥前トウモロコシ澱粉比率)に対して、初期水分率が14%のトウモロコシ澱粉(昭和産業株式会社製)33質量部と、グリセリン脂肪酸エステル0.3質量部とを混合し、加熱ジャケット温度150℃にて20分乾燥を行った。澱粉の乾燥評価はAであり、乾燥後のトウモロコシ澱粉の水分率は2%であり、乾燥時間が短く、加熱撹拌機201は処理能力が高いものであった。前記混合により得られたトウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物を、図6に示す装置の冷却撹拌機202内に移し、混合物の材料温度が20~40℃となるまで、5~15分間冷却した。その後、冷却された、トウモロコシ澱粉と低融点添加剤との混合物と、高密度ポリエチレン(商品名:HB420RJ、日本ポリエチレン株式会社)48.7質量部、直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SP0540、株式会社プライムポリマー製)12.2質量部、ステアリン酸亜鉛0.8質量部と、ステアリン酸マグネシウム1.0質量部と無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂3質量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:セプトン(登録商標)4033、クラレ社製)2質量部を二軸押出機(株式会社池貝 PCM30、スクリュー径:30φ)を用いてコンパウンドし、ペレットを得た。
得られたペレットについて押出圧力差ΔPを実施例4と同じ方法で測定した。押出開始圧力Pstartは14barであった。押出終了圧力Pendは18.7barであった。押出圧力差ΔPは4.7barとなった。得られたペレットをブロー成形機(TPF454、株式会社タハラ製)を用いて成形を行い、澱粉含有素材のブロー成形品を得た。得られたブロー成形品は、良好な成形性を有するものであった。
上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等を用いてもよい。
また、上述の実施形態及び実施例の構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階における数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階における数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
101 加熱撹拌機
10 収容部
11 加熱ジャケット
12 攪拌翼
102 押出機
200 製造装置
201 加熱撹拌機
202 冷却撹拌機
203 押出機
300 多層共押出成形機
301 A層用押出機
302 B層用押出機
303 C層用押出機
304 フィードブロック
305 ダイス

Claims (11)

  1. 外部に発熱部を備えた容器内に未乾燥バイオマス材料を収容し、前記発熱部によって前記容器内における容器内表面を加熱しながら、前記バイオマス材料を乾燥させ、前記容器内部における容器内表面に前記バイオマス材料が付着することを防ぐバイオマス材料乾燥工程と、
    前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、
    前記樹脂組成物調製工程で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を成形して成形体を得る成形工程と、
    を含み、
    前記発熱部は、加熱ジャケットであり、当該加熱ジャケットにより前記容器内の壁表面、蓋部表面及び底部表面の内表面を加熱し、当該壁表面、当該蓋部表面及び当該底部表面の内表面において加熱が不十分な箇所が存在しないようにし、前記加熱により蒸発した前記バイオマス材料中の水分が前記容器内表面で結露することを抑制する、バイオマス材料含有成形体の製造方法。
  2. 前記バイオマス材料乾燥工程において、前記バイオマス材料の水分率を5%以下とする、請求項1に記載のバイオマス材料含有成形体の製造方法。
  3. さらに、前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料を冷却するバイオマス材料冷却工程を含む請求項1又は2に記載のバイオマス材料含有成形体の製造方法。
  4. さらに、前記バイオマス材料乾燥工程において、前記バイオマス材料と一緒に低融点添加剤が添加される、請求項1~3のいずれか1項に記載のバイオマス材料含有成形体の製造方法。
  5. 前記低融点添加剤は、常温で液体、又は固体のエステル化合物である、請求項4に記載のバイオマス材料含有成形体の製造方法。
  6. 前記バイオマス材料乾燥工程において、前記バイオマス材料を120℃以上で加熱する、請求項1~5のいずれか1項に記載のバイオマス材料含有成形体の製造方法。
  7. 前記成形工程において、得られる成形体がフィルム若しくはシート、射出成形体、ブロー成形体、又は異型押出成形体である、請求項1~6のいずれか1項に記載のバイオマス材料含有成形体の製造方法。
  8. 外部に発熱部を備えた容器内に未乾燥バイオマス材料を収容し、前記発熱部によって前記容器内における容器内表面を加熱しながら、前記バイオマス材料を乾燥させ、前記容器内部における容器内表面に前記バイオマス材料が付着することを防ぐバイオマス材料乾燥工程と、
    前記バイオマス材料乾燥工程で乾燥させられた前記バイオマス材料と熱可塑性樹脂とを混合して、バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製する樹脂組成物調製工程と、
    前記樹脂組成物調製工程で調製された前記バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物と、当該バイオマス材料含有熱可塑性樹脂組成物とは異なる種類の樹脂組成物を多層押出成形して、異なる種類の樹脂層同士が積層された積層体を得る多層押出成形工程と、
    を含み、
    前記発熱部は、加熱ジャケットであり、当該加熱ジャケットにより前記容器内の壁表面、蓋部表面及び底部表面の内表面を加熱し、当該壁表面、当該蓋部表面及び当該底部表面の内表面において加熱が不十分な箇所が存在しないようにし、前記加熱により蒸発した前記バイオマス材料中の水分が前記容器内表面で結露することを抑制する、積層体の製造方法。
  9. 澱粉を澱粉含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して4質量%以上95質量%以下、
    ポリプロピレン樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性樹脂を澱粉含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して3質量%以上95質量%以下、
    グリセリン脂肪酸エステルを澱粉含有熱可塑性樹脂組成物の質量に対して0.1質量%以上5質量%以下含有し、
    下記測定方法による押出開始圧力Pstartと押出終了圧力Pendの押出圧力差ΔP(ΔP=Pend-Pstart)が10bar以下である、澱粉含有熱可塑性樹脂組成物。
    [押出圧力差の測定方法]
    (1)澱粉含有熱可塑性樹脂組成物を105℃、1時間で水分率2%以下となるように乾燥する。
    (2)200メッシュ(目開き0.077mm(公称))のメッシュが設置され、200℃に設定され、押出圧力のモニタリングが可能な押出機を用いて、ベースの前記熱可塑性樹脂の押出を行い、押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった後に、前記押出圧力のモニタリングが可能な押出機を設定温度200℃で用いて、前記澱粉含有熱可塑性樹脂組成物500gの押出を開始する。
    (3)ベースの前記熱可塑性樹脂の押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった時点の押出開始圧力Pstartを測定する。
    (4)前記澱粉含有熱可塑性樹脂組成物500gを全て押出した後にベースの前記熱可塑性樹脂に切り替えを行い、押出圧力が平衡状態(直近5分間の圧力変化が±0.5%以下になった状態)になった際の押出終了圧力Pendを測定する。
    (5)押出圧力差ΔPを下記式より算出する。
    押出圧力差ΔP=Pend-Pstart
  10. 澱粉を澱粉含有成形体の質量に対して4質量%以上95質量%以下、
    ポリプロピレン樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性樹脂を澱粉含有成形体の質量に対して3質量%以上95質量%以下、
    グリセリン脂肪酸エステルを澱粉含有成形体の質量に対して0.1質量%以上5質量%以下含有し、
    前記成形体表面を観察した際、210mm×297mmの視野面積当たり、長径が100μm以上の粒状物の個数が10個以下であり、当該粒状物は、赤外吸収スペクトルにおいて、前記澱粉由来の吸収ピークを有し、且つヨウ素染色されないものである、澱粉含有成形体。
  11. 前記成形体がシート又はフィルムである、請求項10記載の澱粉含有成形体。
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