JP2008031103A - ヒスチジン誘導体を結合させたポルフィリン化合物とそれを含有する人工酸素運搬体 - Google Patents

ヒスチジン誘導体を結合させたポルフィリン化合物とそれを含有する人工酸素運搬体 Download PDF

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Abstract

【課題】赤血球の値により近いP50値を有し、しかもより生体適合性の高い人工酸素運搬体として、有効に作用するポルフィリン化合物を提供すること。
【解決手段】分子内に1−メチルヒスチジン誘導体を結合させたポルフィリン化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸素を可逆的に結合脱離することが可能な人工酸素運搬体として利用できるポルフィリン化合物に関するものである。
ヘモグロビンやミオグロビン中に存在するヘム、すなわちポルフィリン鉄(II)錯体は、酸素分子を可逆的に吸脱着できる。この様な天然のヘムと類似の酸素吸脱着機能を合成のポルフィリン鉄(II)錯体で実現しようとする研究は、これまでにも数多く報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2等)。本出願の発明者らの研究グループは、ヘモグロビンの酸素結合サイトであるヘムポケットの立体構造を模倣し、ポルフィリン鉄錯体1分子に対して、酸素吸着能を有効に発揮させるために必要な塩基性軸配位子、例えばアルキルイミダゾール誘導体を1分子共有結合すれば、安定な酸素錯体が得られると考え、ポルフィリン環の2位にイミダゾリルアルキル基を有するポルフィリン鉄(II)錯体を精密合成した(例えば非特許文献3等)。さらにこれらのポルフィリン鉄(II)錯体をリン脂質小胞体中に包埋させるか、あるいはヒト血清アルブミンに結合させることにより、可逆的な酸素吸脱着が水中でも可能となることを報告している(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
これらのポルフィリン鉄(II)錯体の水溶液や分散液を赤血球の代替物として使用する場合、分子設計の過程で、酸素親和度(P50:全体の50%のヘムに酸素が結合する際の酸素分圧)を適当な値、すなわち生理条件下における赤血球のP50値(28Torr)と同等の値に調整することが望まれる。一般に、N−置換イミダゾールを分子内に結合した場合、P50値は低い(低酸素分圧でも酸素を解離しない)ため、赤血球代替物として使用には不向きである。そこで、P50値を適度に高くする方法として、イミダゾール環の2位にメチル基等の立体障害基を導入し、イミダゾール窒素と中心鉄(II)の結合を弱め、酸素親和度を調節する分子設計が広く行われてきた。しかし、N−アルキルイミダゾール誘導体には薬理作用を持つものがあり、体内毒性の高い場合が多い。
また、ヘモグロビンのヘムに配位結合した近位塩基が、ヒスチジン残基のイミダゾールであることは良く知られている。ヒスチジンを分子内に共有結合した合成ポルフィリン化合物は、すでに本発明者らが報告している。しかし、P50値が低いため、酸素を解離しにくい欠点があった。
J. P. Collman, Acc. Chem. Res., 10, 265 (1977) F. Basolo, B. M. Hoffman, J. A. Ibers, Acc. Chem. Res., 8, 384 (1975) E. Tsuchida et al., J. Chem. Soc. Perkin. Trans. 2, 747-753 (1995) 特開昭59−164791号公報 特開昭59−162924号公報 特開平8−301873号公報
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、赤血球の値により近いP50値を有し、しかもより生体適合性の高い人工酸素運搬体として、有効に作用するポルフィリン化合物を提供することを課題としている。
本発明者らは、生体適合性のより高い塩基性軸配位子を結合した置換ポルフィリン化合物の分子設計と機能発現に鋭意研究を重ねた結果、5,10,15,20−テトラキス(o−置換アミドフェニル)ポルフィリン化合物またはプロトポルフィリン化合物に、1−メチルヒスチジン誘導体をポルフィリン1モルに対して1モルの割合で導入することにより(分子内に軸塩基を持つポルフィリンとなる)、P50を適当な値に保ちながら、安定な酸素錯体を形成し得る新しい酸素運搬体が提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によると、分子内に1−メチルヒスチジン(すなわち、Nτ−メチルヒスチジン)誘導体を結合させたポルフィリン化合物が提供される。
本発明の第1の具体的な側面によると、一般式[I]:
Figure 2008031103
(ここで、R1は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R2はアルキレン基、R3は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン等)を表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物が提供される。
本発明の第2の具体的な側面によると、一般式[II]:
Figure 2008031103
(ここで、R4は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R5はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチド、R6は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン等)を表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物が提供される。
本発明の第3の具体的な側面によると、一般式[III]:
Figure 2008031103
(ここで、R7は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R8はアルキレン基、R9は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン等)を表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物が提供される。
本発明の第4の具体的な側面によると、一般式[IV]:
Figure 2008031103
(ここで、R10は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R11はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチド、R12は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン等)を表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物が提供される。
本発明の第5の具体的な側面によると、一般式[V]:
Figure 2008031103
(ここで、R13は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基、R14はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチド、R15およびR16は、メチル基であるか、または水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であって、R15がメチル基であるとき、R16は、水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であり、R15が水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であるとき、R16はメチル基であり、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン等)を表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物を提供する。
さらに本発明は、前記本発明のポルフィリン化合物をアルブミンに包接させてなるアルブミン−ポルフィリン複合体を提供する。
さらにまた、本発明は、本発明のアルブミン−ポルフィリン複合体に、アルブミン1分子当りの平均結合分子数が1〜15となるようにポリ(エチレングリコール)鎖を共有結合させた表面修飾アルブミン−ポルフィリン複合体を提供する。
加えて、本発明は、本発明のアルブミン−ポルフィリン複合体を含有する人工酸素運搬体を提供する。
本発明により、赤血球の値に近い酸素親和性を有し、かつ毒性の低いポルフィリン化合物が提供される。この化合物は、2位に塩基性軸配位子として機能する1−メチルヒスチジン(すなわち、Nτ−メチルヒスチジン)誘導体を有するため、N−置換イミダゾールを共有結合させることなく優れた酸素結合性を示し、人工酸素運搬体のほか、ガス吸着剤、酸素吸脱着剤、酸化還元触媒、酸素酸化反応触媒等としても有効に作用するものである。
本発明のポルフィリン化合物は、1−メチルヒスチジン誘導体を結合させたものであるが、より具体的には、上記式[I]、[II]、[III]、[IV]、または[V]で示されるものが好ましい。
式[I]において、R1は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基である。R1は1位に置換基を有する直鎖または脂環式炭化水素基が好ましい。そのような直鎖または脂環式炭化水素基の例を挙げると、1,1−二置換C1〜C10アルキル基、1−置換シクロプロピル基、1−置換シクロペンチル基、1−置換シクロヘキシル基、2−置換ノルボルニル基(これら基における置換基は、メチル基、アルキルアミド基(R’CONH−)、アルキルエステル基(R’OOC−)またはアルキルエーテル基(R’O−))、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、または1−アダマンチル基等である。ここで、R’で表されるアルキル基としてはC1〜C6アルキル基が好ましい。
式[I]において、R2はアルキレン基であり、好ましくはC1〜C10アルキレン基である。
式[I]において、R3は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基である。アルキルオキシ基のアルキル鎖長は、C1〜C10が好適である。
式[I]において、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは中心遷移金属イオン(周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン)である。X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示し、X-の個数nは前記遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数である。
式[II]において、R4は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基である。R4は1位に置換基を有する直鎖または脂環式炭化水素基が好ましい。そのような直鎖または脂環式炭化水素基の例を挙げると、1,1−二置換C1〜C10アルキル基、1−置換シクロプロピル基、1−置換シクロペンチル基、1−置換シクロヘキシル基、2−置換ノルボルニル基(これら基における置換基は、メチル基、アルキルアミド基(R’CONH−)、アルキルエステル基(R’OOC−)またはアルキルエーテル基(R’O−))、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、または1−アダマンチル基等である。ここで、R’で表されるアルキル基としてはC1〜C6アルキル基が好ましい。
式[II]において、R5はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチドであり、好ましくは疎水性残基を有するα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチドである。α−アミノ酸の例を挙げると、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン、アラニン、グリシン等である。
式[II]において、R6は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基である。アルキル基の鎖長はC1〜C18が好適である。また、アルキルカルボニル基およびアルキルオキシカルボニル基におけるアルキル鎖長は、C1〜C10が好適である。
式[II]において、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは中心遷移金属イオン(周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン)である。X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示し、X-の個数nは前記遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数である。
式[III]において、R7は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基である。R7は1位に置換基を有する直鎖または脂環式炭化水素基が好ましい。そのような直鎖または脂環式炭化水素基の例を挙げると、1,1−二置換C1〜C10アルカン基、1−置換シクロプロピル基、1−置換シクロペンチル基、1−置換シクロヘキシル基、2−置換ノルボルニル基(これら基における置換基は、メチル基、アルキルアミド基(R’CONH−)、アルキルエステル基(R’OOC−)またはアルキルエーテル基(R’O−))、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、または1−アダマンチル基等である。ここでR’で表されるアルキル基としてはC1〜C6アルキル基が好ましい。
式[III]において、R8はアルキレン基であり、好ましくはC1〜C10アルキレン基である。
式[III]において、R9は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基である。アルキルオキシ基のアルキル鎖長はC1〜C10が好適である。
式[III]において、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは中心遷移金属イオン(周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン)である。X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示し、X-の個数nは前記遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数である。
式[IV]において、R10は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基である。R10は1位に置換基を有する直鎖または脂環式炭化水素基が好ましい。そのような直鎖または脂環式炭化水素基の例を挙げると、1,1−二置換C1〜C10アルカン基、1−置換シクロプロピル基、1−置換シクロペンチル基、1−置換シクロヘキシル基、2−置換ノルボルニル基(これら基における置換基は、メチル基、アルキルアミド基(R’CONH−)、アルキルエステル基(R’OOC−)またはアルキルエーテル基(R’O−))、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、または1−アダマンチル基等である。ここでR’で表されるアルキル基としてはC1〜C6アルキル基が好ましい。
式[IV]において、R11はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチドであり、好ましくは疎水性残基を有するα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチドである。α−アミノ酸の例を挙げると、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン、アラニン、グリシン等である。
式[IV]において、R12は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基である。アルキル基の好ましい鎖長はC1〜C18である。また、アルキルカルボニル基およびアルキルオキシカルボニル基の好ましいアルキル鎖長は、C1〜C10である。
式[IV]において、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは中心遷移金属イオン(周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン)である。X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示し、X-の個数nは前記遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数である。
式[V]において、R13は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基である。アルキルオキシ基のアルキル鎖長は、C1〜C10が好ましい。
式[V]において、R14はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチドであり、好ましくは疎水性残基を有するα−アミノ酸、または2つの該α−アミノ酸により構成されるジペプチドである。α−アミノ酸の例を挙げると、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン、アラニン、グリシン等である。
式[V]において、R15およびR16は、メチル基であるか、または水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であって、R15がメチル基であるとき、R16は、水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であり、R15が水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であるとき、R16はメチル基である。
式[V]において、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子(すなわち、金属フリー)、もしくは中心遷移金属イオン(周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン)である。X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示し、X-の個数nは前記遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数である。
式[I]〜式[V]のポルフィリン化合物において、MがCo、Fe等の周期律表第4〜5周期の遷移金属イオンである場合には、当該遷移金属イオンは、+2価または+3価の状態を取り得、このポルフィリン化合物は、ポルフィリン金属錯体である。そして、MがCo、Fe等の周期律表第4〜5周期の+2価の遷移金属イオンである場合には、分子内のヒスチジンのイミダゾール残基が配位できる状態となる。このようなポルフィリン金属錯体は、当該分子のみで酸素結合能を発揮できるものである。また、本発明のポルフィリン化合物では、近位塩基であるヒスチジン誘導体のイミダゾール環4位に存在するCβに結合したメチレン基が適度な立体障害基として作用するため、酸素親和性を適当な値に保ちつつ、安定な酸素配位錯体が生成される。しかも、このヒスチジン誘導体は天然アミノ酸由来のものであるため、生体適合性に優れていることはいうまでもない。
以上より、本発明のポルフィリン化合物は、使用時に軸塩基濃度を極限まで低減できることはもちろんのこと、適度な酸素親和度を実現し、体内毒性の高いN−置換イミダゾール誘導体を結合させる必要なく、生体内へ投与しても安全性の高い、人工酸素運搬体として有効に作用する。この場合、本発明のポルフィリン化合物は、遷移金属イオンMとして、+2価のFeを有することが好ましい。
ポルフィリン化合物は、酸化還元反応、酸素酸化反応、酸素添加反応の触媒としても作用するものである。したがって、本発明のポルフィリン化合物は、人工酸素運搬体として利用できるだけでなく、ガス吸着剤、酸化還元触媒、酸素酸化反応触媒、酸素添加反応触媒としても利用可能なものである。
本発明のポルフィリン化合物は、どのような方法で製造されてもよいが、例えば、次の一般式[VI]:
Figure 2008031103
で示される5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−アミノフェニル)ポルフィリンを出発物質として合成できる。
具体的には、J. P. Collman et al., J. Am. Chem. Soc., 97, 1427 (1975)に記載の方法に従って合成された5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−アミノフェニル)ポルフィリンを適当な乾燥有機溶剤(例えば乾燥テトラヒドロフラン)に溶解し、塩基(例えばピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等)と脂肪酸クロライド(例えば2,2−ジメチルアルカン酸クロライドや1−メチルシクロヘキサン酸クロライド等)を加えて、暗所、氷冷するか、または室温で撹拌する。その後、溶媒を減圧除去し、これをクロロホルム等の有機溶媒で抽出し、水で洗浄、脱水後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして、5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンが得られる。
この5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンを適当な乾燥有機溶剤(例えば乾燥クロロホルム)に溶解し、塩化銅二水和物とトリエチルアミンのメタノール溶液を加えて、60℃で1時間、還流する。反応溶液の可視吸収スペクトルから、銅イオンがポルフィリンに挿入されたことを確認した後、溶媒を減圧除去し、これをクロロホルム等の有機溶媒で抽出、水で洗浄、脱水後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして、5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリン銅(II)が得られる。
次に、十分に脱気したジメチルホルムアミドを氷水で冷却し、オキシ塩化リンを加え、室温で1〜2時間撹拌してヴィルスマイヤー試薬を調製する。ここに乾燥ジクロロメタンまたはクロロホルムに溶解した5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリン銅を室温で滴下する。このとき、反応溶液は瞬時に赤色からイミニウム塩由来の緑色に変化する。これを12〜24時間沸点還流させ、放冷後、飽和酢酸ナトリウム水溶液を反応溶液に加え、緑色から紫色に変化することを確認した後、更に20〜40℃で20〜120分間撹拌を続ける。これを適当な有機溶剤で抽出し、水で洗浄、脱水、乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして2−ホルミル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリン銅が得られる。
この2−ホルミル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリン銅を適当な有機溶媒(例えばジクロロメタン)に溶解、濃硫酸を加え、室温で10分間激しく攪拌させると、溶液の色は緑色に変化する。この溶液を、クロロホルムと氷水の二層溶液中へ滴下し、炭酸ナトリウムで中和、クロロホルム層を純水で数回洗浄した後、クロロホルム等の有機溶媒で抽出し、水で洗浄、脱水、乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして、2−ホルミル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンが得られる。
この2−ホルミル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンを適当な有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン等)に溶解し、メタノールを加えて窒素で十分に脱気する。氷冷下、水素化ホウ素ナトリウムを加え5〜15分間撹拌した後、水を加えて反応を停止させる。これをクロロホルム等の有機溶媒で抽出し、水で洗浄、乾燥、濾過後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして2−ヒドロキシメチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンが得られる。
このようにして得た2−ヒドロキシメチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンの2−ヒドロキシメチル基へのヒスチジン誘導体の導入は、例えば以下の方法により達成できる。
2−ヒドロキシメチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンを適当な乾燥有機溶剤(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ベンゼン等)に溶解し、ジカルボン酸の環状無水物(例えば、グルタル酸無水物等)、4−ジメチルアミノピリジンを加え、窒素雰囲気下で、10〜24時間沸点環流させる。溶媒を減圧除去した後、これをクロロホルム等の有機溶媒で抽出し、水で洗浄、乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして2−((カルボキシアルカノイル)オキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンを得る。
この2−カルボキシアルカノイルオキシメチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリン、トリエチルアミンを無水ジメチルホルムアミドに溶解させ、10〜30分間窒素置換する。カップリング試薬であるベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロリン酸(BOP)を加え、さらに窒素雰囲気下で10〜30分間攪拌する。その後、1−メチルヒスチジン誘導体、例えばL−(o−アルコキシ)(1−メチル)ヒスチジン・2塩酸塩を加え、窒素雰囲気下、遮光しながら室温で10〜18時間攪拌する。反応の進行をTLCで確認後、これを純水中に滴下し、ポルフィリンを沈殿させる。沈殿物をG4グラスフィルターでろ別し、ろ物を適当な有機溶媒(例えばクロロホルム)に溶解して採取する。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画精製する。こうして目的物2−(((o−アルコキシ)(1−メチル)ヒスチジンアミド)アルカノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−置換アミドフェニル)ポルフィリンが得られる。
なお、この生成物は、一重項酸素によりイミダゾール環が分解してしまうので、精製操作は暗所にて行うことが好ましい。
こうして得られたポルフィリンへの中心金属Mの導入は、例えばD. Dolphin 編、The Porphyrin、1978年、アカデミック・プレス社等に記載の一般法により達成され、相当のポルフィリン化合物として得られる。一般に、鉄錯体の場合にはポルフィリン鉄(III)錯体が、コバルト錯体の場合にはポルフィリンコバルト(II)錯体が得られる。
なお、上記ポルフィリン化合物の内、鉄(III)錯体の形を有する場合は、適当な還元剤(亜二チオン酸ナトリウム、アスコルビン酸等)を用い、常法により中心金属を3価から2価へ還元すれば、酸素結合活性が付与できる。
本発明のポルフィリン化合物の鉄(II)錯体は、リン脂質分子から成る二分子膜小胞体に包埋したり、リン脂質被覆脂肪乳剤中へ内包し、ヒトまたはウシ血清アルブミンに包接し、組換えヒト血清アルブミンに包接し、あるいは、アルブミン多量体に包接するなどしてもよい。これらの包埋物、内包物、包接物等においても、ポルフィリン鉄(II)錯体は、酸素との接触により速やかに安定な酸素錯体を生成できる。
これらアルブミン−ポルフィリン複合体に、アルブミン1分子当りの平均結合分子数が1〜15本となるようにポリ(エチレングリコール)鎖を共有結合させて表面修飾アルブミン−ポルフィリン複合体を提供することができる。この場合、ポリ(エチレングリコール)は、1,000〜20,000の数平均分子量を有することが好ましい。アルブミン−ポルフィリン複合体をポリエチレングリコールで表面修飾するためには、例えば、以下に示す方法を行う。すなわち、アルブミン−ポルフィリン複合体(アルブミン濃度:0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%、ポルフィリン/アルブミン:1〜8(モル/モル))のリン酸緩衝生理塩水溶液(PBS、pH7.4)に、例えばイミノチオラン(ピアス・ケミカル製)(イミノチオラン/アルブミン:3〜40(モル/モル)、好ましくは10〜30)を加え、室温で1〜12時間、好ましくは2〜6時間攪拌する。続いて、片末端マレイミド片末端メチル−ポリ(エチレングリコール)(例えば、サンブライトメマール50−H、Mw:5,000、日本油脂製)(ポリ(エチレングリコール)/アルブミン:3〜40(モル/モル)、好ましくは10〜30)を添加し、同条件で0.5〜6時間、好ましくは1〜3時間反応させる。得られた混合物を限外濾過装置(アドバンテック製、UHP−76K、限外分子量膜:5kDa)を用い、数リットルのPBS溶液で濃縮・洗浄を繰り返す。得られた赤色の表面修飾アルブミン−ポルフィリン複合体水溶液を0.45μmの除菌フィルター(アドバンテック製、DISMIC 25CS045AS)を通過させて最終調整する。表面修飾アルブミン−ポルフィリン複合体の分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法−質量分析(MALDI−TOFMS)(島津製作所製、KRATOS AXIMA−CFR)により測定できる。この結果から、アルブミン表面に結合したポリ(エチレングリコール)鎖の本数が1〜15本であることがわかる。
本発明のポルフィリン化合物は、酸素分圧に応じて酸素を吸脱着できるものである。つまり、このような酸素結合解離は可逆的に繰り返し行うことができるものであり、本発明のポルフィリン化合物は、酸素吸脱着剤や酸素運搬体として有効に作用するのである。
また、以上のとおりのポルフィリン化合物は、金属に配位できる気体であれば、酸素に限らず、例えば、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素等を結合することもできる。したがって、本発明のポルフィリン化合物は、均一系、不均一系での酸化還元反応触媒やガス吸着剤としても応用できるものである。
以下、この発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例のものに限定されない。
例1
2−ヒドロキシメチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン(0.54g、0.45mmol)の蒸留テトラヒドロフラン溶液(15mL)にグルタル酸無水物(155mg、1.35mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(32.7mg、0.27mmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で、18時間反応させた。溶媒を減圧除去してから、これをクロロホルムで抽出し、純水で数回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧除去した。残渣を少量のクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラム(クロロホルム/酢酸エチル:5/1(容量/容量))で分画精製し、目的物を集め、真空乾燥した。こうして、紫色の2−(4−カルボキシブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリンを収量0.45g(収率79%)で得た。
得られた2−(4−カルボキシブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリンの分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル:5/1(容量/容量)):Rf=0.49(モノスポット)
赤外吸収スペクトル(cm-1):1688(νC=O(アミド))、1734(νC=O(エステル))、3427(νNH)。
紫外可視吸収スペクトル(CHCl3):λmax=423、517、547、591、646nm
FAB−MSスペクトル(m/z):1315([M]+
1H−NMRスペクトル(CDCl3):δ(ppm)=-2.6 (s, 2H, inner H), 0.1(m, 12H, 1-メチル), 0.3-1.0(m, 40H, シクロヘキサン), 2.0 (t, 2H, -CH2COOH), 2.4 (m, 4H, -CH 2CH2C(=O)O-), 5.3 (q, 2H, -CH2OC(=O)-), 7.4-7.5(m,8H, アミド-H, フェニル-4), 7.7-7.8(m、8H、フェニル-3,5), 8.6(s, 1H, ピロール-βH), 8.7-8.8(m, 10H, ピロール-βH, フェニル-6)。
例2
例1で得られた2−(4−カルボキシブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン(677mg、515μmol)とトリエチルアミン(TEA)(580μL、4.53mmol)の蒸留DMF溶液(30mL)に、10分間窒素を通気して脱気した後、BOP(2.23g、5.04mmol)を加え、さらに窒素雰囲気下、室温で10分攪拌した。その後、(1−メチル)ヒスチジンメチルエステル(900mg、4.92mmol)を加えて、窒素雰囲気下、室温で遮光しながら、12時間攪拌した。反応の進行をTLCで確認した後、反応液を純水に滴下して、ポルフィリンを沈殿させた。沈殿物をG4グラスフィルターで濾別、濾物をクロロホルムに溶解させて採取した後、クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過、溶媒を減圧除去した。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール:10/1(容量/容量))で分画精製し、目的物を集め、真空乾燥した。こうして、紫色の2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリンを収量419mg(収率55%)で得た。
2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリンの分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:8/1(容量/容量)):Rf=0.56(モノスポット)。
赤外吸収スペクトル(cm-1):1676(νC=O(アミド))、1739(νC=O(エステル))、3426(νNH)。
紫外可視吸収スペクトル(CHCl3):λmax=419、514、543、589nm)。
FAB−MSスペクトル(m/z):1480([M+H]+)。
1H−NMRスペクトル(CDCl3):δ(ppm)= -2.6 (2H, s, innerH), 0.0-0.1 (12H, m, 1-Me), 0.3-1.0 (40H, m, シクロヘキサン), 1.9 (2H, t, -CH 2CH2CONH), 2.3 (2H, t, -CH2CH 2CONH), 2.4 (2H, t, -O(C=O)CH2-), 3.1 (2H, m, イミダゾール-CH2), 3.6 (3H, d, ヒスチジン-OMe), 3.7 (3H, m, ヒスチジン(CH3)), 4.8 (1H, br, イミダゾール-CH2CH), 5.2-5.4 (2H, m, Por-CH2O-), 6.7 (1H, s, ヒスチジン), 7.3-7.9 (14H, m, アミド-H, フェニル-H, ヒスチジン), 8.6-8.8 (11H, m, ピロール-βおよびフェニル-H)。
例3
ポルフィリンへの鉄導入反応は、例えばD. Dolphin 編、The Porphyrin、1978年、アカデミック・プレス社等に記載の一般法により達成できる。
47%臭化水素酸水溶液20mLを十分に脱気し、脱酸素を行った後、素早く電解鉄(790mg、14.1mmol)を加え、80℃まで昇温、1時間撹拌した。溶液の色は無色透明から薄緑色へと変化した。電解鉄が完全に溶けたら130℃まで昇温し、臭化水素酸、および水を蒸発させ、白色固体の臭化第一鉄を得た。次に、例2で得た2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン(419mg、283μmol)、2,6−ルチジン(1.65mL、14.1mmol)のテトラヒドラフラン溶液を調製した臭化第一鉄に窒素雰囲気で滴下し、2時間沸点還流させた。溶媒を減圧除去後、これをクロロホルムで抽出し、水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、また溶媒を減圧除去した。シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール(8/1)(容量/容量))で分画精製し、目的物を集め、真空乾燥した。こうして、2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン鉄(III)臭化物を収量190mg(収率44%)で得た。
得られた2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン鉄(III)臭化物の分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:8/1(容量/容量)):Rf=0.47(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル(cm-1):1690(νC=O(アミド))、1741(νC=O(エステル))、3423(νNH)。
紫外可視吸収スペクトル(CHCl3):λmax=416、507、574nm)。
FAB−MSスペクトル(m/z):1535([M−Br]+)。
例4
既報(特開2002−128781号公報)に従って得た2−ヒドロキシメチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(ピバルアミド)フェニル)ポルフィリン(713mg、685μmol)とTEA(877μL、6.85mmol)の蒸留DMF溶液(50mL)に、10分間窒素を通気して脱気した後、BOP (3.03g、6.85mmol)を加え、さらに窒素雰囲気下、室温で10分攪拌した。その後、グリシル−L−(1−メチル)ヒスチジン t−ブチルエステル(2.23g、6.85mmol)を加えて、窒素雰囲気下、室温で遮光しながら、12時間攪拌した。反応の進行をTLCで確認した後、DMFを減圧除去し、クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過、溶媒を減圧除去した。これをクロロホルムで抽出、水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧除去した。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール:10/1(容量/容量))で分画精製し、目的物を集め、真空乾燥した。こうして、紫色の2−(((O−t−ブチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(ピバルアミド)フェニル)ポルフィリンを収量471mg(収率51%)で得た。
得られた2−(((O−t−ブチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(ピバルアミド)フェニル)ポルフィリンの分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:10/1(容量/容量)):Rf=0.43(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル(cm-1):1714(νC=O(ウレタン))、1682(νC=O(アミド))、1738(νC=O(エステル))、3426(νNH)。
紫外可視吸収スペクトル(CHCl3):λmax=420、515、543、588nm)。
FAB−MSスペクトル(m/z):1349([M+H]+)。
1H−NMRスペクトル(CDCl3):δ(ppm)=-2.5 (2H, s, innerH), 0.0-0.1 (36H, m, ピバル), 1.4 (9H, m, t-ブトキシカルボニル), 3.0 (2H, m, イミダゾール-CH2), 3.7 (3H, m, ヒスチジン(CH3)), 4.2 (2H, m, -C(=O)CH2-), 4.9 (1H, br, イミダゾール-CH2CH), 5.2-5.4 (2H, m, Por-CH2O-), 6.6 (1H, s, ヒスチジン), 7.2-7.9 (17H, m, アミド-H, フェニル-H, ヒスチジン), 8.6-8.8 (11H, m, ピロール-βおよびフェニル-H)。
例5
既報(特許公開2006−008622号公報)に従って得た5,10,15−トリス(α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)−20−モノ(β−o−((N−トリフェニルメチル)アミノ)フェニル)ポルフィリン(200mg、155μmol)、クロロホルム(30mL)を加え、塩化水素ガスを吹き込みながら15分間撹拌した。このとき溶液の色は赤紫色から緑色に変化した。純水、炭酸水素ナトリウムを添加し、pHを7に調整後、クロロホルムにて抽出、水洗後、無水硫酸ナトリウムで脱水、溶媒を減圧除去し、紫色固体を得た。これをTHF溶液(30mL)に溶解させ、無水コハク酸(23mg、230μmol)、4−ジメチルアミノピリジン(49mg、400μmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で、18時間反応させた。溶媒を減圧除去してから、クロロホルムにて抽出し、純水で数回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧除去する。残渣を少量のクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール:10/1(容量/容量))で分画精製し、目的物を集め、真空乾燥した。こうして、紫色の5,10,15−トリス(α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)−20−モノ(β−o−((3−カルボキシ)プロパンアミド)フェニル)ポルフィリンを収量142mg(収率80%)で得た。
得られた5,10,15−トリス(α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)−20−モノ(β−o−((3−カルボキシ)プロパンアミド)フェニル)ポルフィリンの分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:8/1(容量/容量)):Rf=0.43(モノスポット)
赤外吸収スペクトル(cm-1):1715(νC=O(カルボン酸))、1686(νC=O(アミド))
紫外可視吸収スペクトル(クロロホルム):λmax=420、514、544、588、643nm)
FAB−MSスペクトル(m/z):1147([M+H]+)。
1H−NMRスペクトル(CDCl3):δ(ppm)=-2.8 (s, 2H, innerH), -0.2 (s, 9H,メチル シクロヘキサン), -0.1-1.0 (m, 30H, シクロヘキサン), 2.5 (t, 2H, -NH-C(=O)-CH 2-), 2.7 (t, 2H, -CH 2COOH), 7.0-8.5 (m, 22H, N-H(アミド), フェニル), 8.5-8.8 (m, 8H, ピロール-β)
例6
例2において、2−(4−カルボキシブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリンの代わりに、例5で得た5,10,15−トリス(α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)−20−モノ(β−o−((3−カルボキシ)プロパンアミド)フェニル)ポルフィリンを用いて、5,10,15−トリス(α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)−20−モノ(β−o−((3−(O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)プロパンアミド)フェニル)ポルフィリンを合成した。
得られた5,10,15−トリス(α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)−20−モノ(β−o−((3−(O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)プロパンアミド)フェニル)ポルフィリンの分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:8/1(容量/容量)):Rf=0.45(モノスポット)
赤外吸収スペクトル(cm-1):1732(νC=O(エステル))、1686(νC=O(アミド))
紫外可視吸収スペクトル(クロロホルム):λmax=421、514、544、589、643nm
FAB−MSスペクトル(m/z):1147([M+H]+
1H−NMRスペクトル(CDCl3):δ(ppm)=-2.8 (s, 2H, innerH), -0.2 (s, 9H,メチル シクロヘキサン), -0.1-1.0 (m, 30H, シクロヘキサン), 2.6 (m, 4H, -NH-C(=O)-(CH 2)2-), 3.2 (m, 2H, イミダゾール-CH2-), 3.6 (d, 3H, ヒスチジン-OMe), 3.7 (m, 3H, ヒスチジン-CH3), 4.8 (br, 1H, イミダゾール-CH2-CH),6.6 (s, 1H, ヒスチジン), 7.0-8.5 (m, 21H, N-H(アミド), フェニル), 8.5-8.8 (m, 8H, ピロール-β)。
例7
プロトポルフィリンIX(400mg、0.71mmol)をピリジン40mLに溶解し、室温で10分間撹拌した。そこにBOP(840mg、1.9mmol)を加え、さらに10分間撹拌した。DMF15mLにグリシル−L−(1−メチル)ヒスチジン メチルエステル(136mg、0.57mmol)を溶解し、滴下漏斗を用いて反応溶液にゆっくりと滴下した。室温、遮光下で2.5時間撹拌後、メタノール5mLを加え、さらに18時間攪拌を続けた。得られた反応溶液を氷水2L中に滴下し、遠心分離(7000g、30分)により沈殿物をG4グラスフィルターでろ過、クロロホルム/メタノール溶液に溶解させた。溶媒を減圧除去した後、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=10/1(v/v))で分画精製した。得られた成分を真空乾燥し、3,18−ジビニル−8−(3−メトキシカルボニル)エチル−12−(2−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシンアミドエチル)−2,7,13,17−テトラメチルポルフィリンを収量142mg(収率25%)で得た。
得られた3,18−ジビニル−8−(3−メトキシカルボニル)エチル−12−(2−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシンアミドエチル)−2,7,13,17−テトラメチルポルフィリンの分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1(容量/容量)):Rf=0.50(モノスポット)
赤外吸収スペクトル(cm-1):1636(νC=O(アミド))、1725(νC=O(エステル))。
可視吸収スペクトル(クロロホルム):λmax=627、577、541、505、405nm
FAB−MSスペクトル:801([M+H]+
1H−NMRスペクトル(d6−DMSO、TMS基準):δ(ppm)= -4.6 (s, 2H, inner-NH), 2.7-2.9 (m, 2H, イミダゾール-CH2-), 3.0-3.5 (m, 20H, por-CH3, -CH2-CH2-CO-NH-), 3.6(s, 3H,-OCH3), 3.7(m, 3H,ヒスチジン-CH3),4.0-4.3 (d, 4H, por-CH2-), 4.3-4.5 (m, 1H, α-CH), 6.0-6.4 (m, 4H, ビニル=CH2), 7.4 (s, 1H, ヒスチジン), 8.0-8.3 (m, 5H, ビニル-CH=, ヒスチジン), 9.8-10 (m, 4H, メソ-H)
例8
例4で得た2−(((O−t−ブチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(ピバルアミド)フェニル)ポルフィリンを、2,6−ルチジンを含む乾燥テトラヒドロフラン中で、塩化コバルトと反応させ、コバルト錯体である2−(((O−t−ブチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(ピバルアミド)フェニル)ポルフィリンコバルト(II)を定量的に合成した。
得られた2−(((O−t−ブチル)(1−メチル)ヒスチジル)グリシルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(ピバルアミド)フェニル)ポルフィリンコバルト(II)の分析結果は、以下のとおりであった。
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:10/1(容量/容量)):Rf=0.40(モノスポット)。
赤外吸収スペクトル(cm-1):1738(νC=O(エステル))、1714(νC=O(ウレタン))、1682(νC=O(アミド))。
紫外可視吸収スペクトル(CHCl3):λmax=404、521、555nm。
FAB−MSスペクトル(m/z):1406([M]+)。
応用例1
例3で合成した2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン鉄(III)臭化物0.1μmolを10mLの無水トルエン溶液とし、窒素置換後、亜二チオン酸水溶液と不均一系で約2時間混合攪拌し、鉄(II)へ還元した。窒素雰囲気下、トルエン層だけを抽出、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥後、濾別し、得られたトルエン溶液を測定セルに移し密閉した。こうして、2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン鉄(II)錯体のトルエン溶液を得た。
この溶液の可視吸収スペクトルはλmax:440、543、565nmで、当該錯体はイミダゾールが1つ配位した5配位デオキシ型に相当するものであった。この溶液に、酸素ガスを吹き込むと直ちにスペクトルが変化し、λmax:426、547nmのスペクトルが得られた。これより、錯体が酸素化錯体になっていることが確認された。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを1分間吹き込むことにより、可視吸収スペクトルは酸素化型スペクトルからデオキシ型スペクトルへ可逆的に変化し、酸素の吸脱着が可逆的に生起することを確認した。さらに、酸素を吹き込み、次に窒素を吹き込む操作を繰り返したところ、酸素吸脱着が連続して行えることも確認された。この酸素配位錯体はトルエン中に含まれる微量の水により徐々に酸化劣化していったが、その半減期は約12時間(25℃)であった。また、P50値は、10Torr(25℃)で、赤血球の値(8Torr)に近い。
応用例2
例3で合成した2−(4−((O−メチル)(1−メチル)ヒスチジンアミド)ブタノイルオキシ)メチル−5,10,15,20−テトラキス(α,α,α,α−o−(1−メチルシクロヘキサンアミド)フェニル)ポルフィリン鉄(III)臭化物(20μM)を特開平8−301873号公報に記載の手法に従ってヒト血清アルブミン(2.5μM)に包接し、調製したアルブミン−ヘム複合体(ポルフィリン/アルブミン:8(mol/mol))のリン酸緩衝水溶液(pH7.4、1/30mM)3mLを石英製分光測定用セルに移し、窒素雰囲気下で密封した。その可視吸収スペクトルはλmaxが440、542、563nmであり、包接されたポルフィリン鉄(II)錯体は分子内軸塩基が1つ配位したFe(II)高スピン5配位錯体を形成していることが確認された。
この分散液に酸素を通気したところ、その可視吸収スペクトルのλmaxは425、546nmへ移行し、酸素化錯体の形成が示された。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを1分間吹き込むことにより、可視吸収スペクトルは酸素化型スペクトルからデオキシ型スペクトルへと可逆的に変化したことから、酸素の吸脱着が可逆的に生起することが確認された。なお、酸素を吹き込み、次に窒素を吹き込む操作を繰り返したところ、酸素吸脱着を連続して行えることが確認された。P50値は、15Torr(37℃、pH7.4)で、赤血球の値(28Torr)に近い。

Claims (14)

  1. 分子内に1−メチルヒスチジン誘導体を結合させたポルフィリン化合物。
  2. 一般式[I]:
    Figure 2008031103
    (ここで、R1は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R2はアルキレン基、R3は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオンを表し、X-の個数nは金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物。
  3. 一般式[II]:
    Figure 2008031103
    (ここで、R4は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R5はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチド、R6は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオンを表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物。
  4. 一般式[III]:
    Figure 2008031103
    (ここで、R7は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R8はアルキレン基、R9は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオンを表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物。
  5. 一般式[IV]:
    Figure 2008031103
    (ここで、R10は置換基を有してもよい直鎖または脂環式炭化水素基、R11はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチド、R12は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオンを表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物。
  6. 一般式[V]:
    Figure 2008031103
    (ここで、R13は水酸基、アルキルオキシ基、またはベンジルオキシ基、R14はα−アミノ酸、または2つのα−アミノ酸により構成されるジペプチド、R15およびR16は、メチル基であるか、または水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であって、R15がメチル基であるとき、R16は、水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であり、R15が水素原子、ビニル基、エチル基、1−メトキシエチル基、1−ブロモエチル基、アセチル基もしくはホルミル基であるとき、R16はメチル基であり、Mはポルフィリン環における4つのピロール窒素のうち2つのピロール窒素に結合する2つの水素原子、もしくは周期律表第4〜5周期の遷移金属イオン、X-はハロゲンイオンを表し、X-の個数nは遷移金属イオンMの価数から2を差し引いた数を示す)で示されるポルフィリン化合物。
  7. MがFeまたはCoであることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のポルフィリン化合物。
  8. Feの価数が+2価または+3価である請求項7記載のポルフィリン化合物。
  9. Coの価数が+2価である請求項7記載のポルフィリン化合物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポルフィリン化合物をアルブミンに包接させてなるアルブミン−ポルフィリン複合体。
  11. アルブミンがヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、組換えヒト血清アルブミン、アルブミン多量体である請求項10に記載のアルブミン−ポルフィリン複合体。
  12. 請求項10または11に記載のアルブミン−ポルフィリン複合体に、アルブミン1分子当りの平均結合分子数が1〜15本となるようにポリ(エチレングリコール)鎖を共有結合させた表面修飾アルブミン−ポルフィリン複合体。
  13. ポリ(エチレングリコール)の平均分子量が1,000〜20,000である請求項12に記載の表面修飾アルブミン−ポルフィリン複合体。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項に記載のアルブミン−ポルフィリン複合体を含有する人工酸素運搬体。
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CN111693691A (zh) * 2019-03-14 2020-09-22 天津华科泰生物技术有限公司 一种基于卟啉结构的聚合物标签
US11331304B2 (en) 2016-05-11 2022-05-17 The Jackson Laboratory YAP1 inhibitors and methods
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