JP2008030071A - レーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたバルブシート - Google Patents

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Abstract

【課題】 凝着摩耗の激しい環境下で使用される場合においても良好な耐摩耗性を示し、かつ、製造性、肉盛性、仕上性にも優れた特性を示すレーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたレーザー肉盛バルブシートを提供する。
【解決手段】 レーザー肉盛バルブシート用原料粉末において、B:0.5〜5質量%を含有するCu基合金粉末を80〜99質量%と、Mo:5〜40質量%含有するFeまたはCo基合金であり、ビッカース硬さが500HV以上、平均粒径が50〜200μmである粉末1〜20質量%を混合してなるレーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたレーザー肉盛バルブシート。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製造性、肉盛性、耐摩耗性および仕上性に優れたレーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたバルブシートに関するものである。
従来、自動車エンジン等のバルブシートにはFe基粉末焼結材が主に使用されており、これをシリンダーヘッドに圧入しバルブによる摩耗を抑制している。このような焼結バルブシートと比較し、放熱性、薄肉性に優れたレーザー肉盛銅合金バルブシートの技術が開示されている。例えば特開2004−162100号公報(特許文献1)に開示されているように、質量%で、Ni:8.0〜20.0%、Si:1.5〜4.5%、および、Fe、Co、Crの少なくとも1種を合計で、2.0〜15.0%、さらに、Mm、P、Tiの少なくとも1種を合計で、0.1〜1.5%を含み、残部Cuおよび不可避的不純物からなる肉盛用銅合金粉末が提案されている。
その他、特開2005−199278号公報(特許文献2)、特開2005−297051号公報(特許文献3)および特開2005−297052号公報(特許文献4)などが提案されている。また、特公平8−942号公報(特許文献5)には、重量%で、Ni:5〜30%、Si:1〜5%、B:0.5〜3%、Fe:4〜30%を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなり、Cu基マトリックス中にFe−Ni系の珪化物および硼化物の粒子が分散した組織を有する耐摩耗性に優れた分散強化Cu基合金が提案されている。
さらに、特許第2748717号公報(特許文献6)には、重量%で、Ni:10〜30%、Si:1〜5%、Fe:2〜15%、銅および不可避的不純物:残部よりなり、均一微細なデンドライトの銅−ニッケル合金中に鉄−ニッケル系のシリサイドの硬質層が微細に分散した組織を有する肉盛用耐摩耗性銅基合金が提案されている。
特開2004−162100号公報 特開2005−199278号公報 特開2005−297051号公報 特開2005−297052号公報 特公平8−942号公報 特許第2748717号公報
上述した特許文献に開示されている技術における原料粉末に必要とされる特性としては製造性(アトマイズによる製造が容易であること)、肉盛性および耐摩耗性がある。特許文献1では製造性、肉盛性、耐摩耗性、仕上性に優れた肉盛用銅合金粉末を提案しており、この粉末を使用した肉盛りバルブシートは良好な特性バランスを示す。しかしながら、特にA/F(空燃比)が高い使用環境においては、燃焼生成物によるバルブとバルブシートとの凝着抑制効果が低いため、両者は激しく凝着摩耗を起こすことが分かった。
また、このような厳しい摩耗環境において耐摩耗性を改善するには、例えば特許文献5に開示されているように、数十〜数百μm程度の粗大硬質粒子の分散が重要であるとされている。この特許文献5によると、粗大粒子の分散には液相分離が有効とされているが、高融点元素を多量に含むため、アトマイズ時に閉塞を起こすなど製造性に課題があり、また、溶湯の粘性が上がり肉盛性を劣化させたりする。さらに、粗大硬質粒子は切削工具の刃先などを著しく摩耗し、仕上性を劣化させてしまう。このように、耐摩耗性と製造性、肉盛性を両立させることは非常に難しく、なおかつ、粗大粒子の分散と仕上性の両立は本質的に困難であり、これら従来技術の課題となっていた。
さらに、特許文献6には、Cu基合金粉末にCo基合金やNi基合金粉末を混合した実施例が記載されているが、Cu基合金にはBを添加しておらず(段落[0006]にB添加なしの記述あり)、殻状Mo硼化物の効果を狙ったものでないため、本発明とは全く異なる。
上述したように、従来の課題を解決するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、特に凝着摩耗の激しい環境下で使用される場合においても良好な耐摩耗性を示し、かつ、製造性、肉盛性、仕上性にも優れた特性を示すレーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたレーザー肉盛バルブシートを提供するものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)レーザー肉盛バルブシート用原料粉末において、B:0.5〜5質量%を含有するCu基合金粉末を80〜99質量%と、Mo:5〜40質量%含有するFeまたはCo基合金であり、ビッカース硬さが500HV以上、平均粒径が50〜200μmである粉末1〜20質量%を混合してなることを特徴とするレーザー肉盛バルブシート用原料粉末。(2)前記(1)に記載の混合粉末をレーザー肉盛したことを特徴とするレーザー肉盛バルブシート。
(3)前記(2)に記載のレーザー肉盛層に、Mo:5〜40質量%含有するFeまたはCo基合金を主成分とした相をMo系硼化物が囲んだ殻構造の粗大粒子を有することを特徴とするレーザー肉盛バルブシート。
(4)前記(3)に記載の殻構造の粗大粒子がビッカース硬度500HV以上、平均粒径30〜300μmであることを特徴とするレーザー肉盛バルブシートにある。
以上述べたように、本発明により製造性、肉盛性、耐摩耗性、仕上性に優れたレーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いた耐摩耗性に優れたレーザー肉盛バルブシートを提供することにある。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における最も重要な特徴は、Bを所定量含むCu基合金粉末(肉盛性に優れる)と、Moを所定量含むFeまたはCo基合金粉末(高硬度に優れる)を混合していることにある。この混合粉末をレーザーなどで溶融、凝固させると、Bを含むCu基合金粉末中のBが、Moを含むFeまたはCo基合金粉末中で硼化物を生成しやすいMoと、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の界面で反応し、Mo系硼化物となり、図1に示す殻構造の硬質粒子を形成することである。すなわち、図1は、本発明に係る混合粉末による硬質粒子の光学顕微鏡写真(図1(a))とその模式図(図1(b))である。この方法により、以下の(1)〜(5)の特徴を有する。
(1)生成するMo系硼化物は摩耗環境において潤滑作用を持つ。この潤滑作用については詳細は定かでないが、酸化雰囲気で生成するMo,Bの酸化物により、バルブ、バルブシート表面における、双方への移着が抑制されるためと推測される。この潤滑作用によって、上記のような極めて厳しい凝着摩耗環境下においても良好な耐摩耗性を有することができるものである。
(2)Mo系硼化物を形成するMo,Bが、それぞれ別の粉末に含まれて溶融されることにより、主にその界面にMo系硼化物が生成し、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の成分を主元素とした硬質相の周りをMo系硼化物が囲んだ殻構造となる。さらに、Bの一部はMoを含むFeまたはCo基合金粉末の内部にも拡散しMo系硼化物を生成する。
従って、図1に示すように、Bを含むCu基合金粉末を主成分とした基地相1とMoを含むFeまたはCo基合金粉末を主成分とした硬質相2と、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の内部へBが拡散し生成したMo系硼化物3の混合粗大粒子を殻状Mo系硼化物4が囲んだ構造となる。この構造となることによって高硬度と潤滑作用を併せ持った、凝着摩耗の激しい環境下において極めて有用な粗大粒子となる。
(3)レーザー肉盛バルブシートの耐摩耗性改善には、Cuベースの基地硬度だけでなく、硬質相の粗大さが影響することが知られている。特許文献5によると、肉盛層に凝固ままで粗大な硬質粒子を分散するには液相分離組成を用いることで達成されるとされている。すなわち、Cuに対し液相分離傾向の高いCr,Mo,W,V,Nb,Ta,B,Cなどの元素を含むことにより溶湯を液相分離させ、分離状態の液相を凝固することにより粗大なサイズの液相が硬質粒子として分散する。
しかしながら、この方法では冷却速度のバラツキや溶融ビード(プール)の攪拌状態のバラツキにより、粗大粒子のサイズを制御することは難しく、微細すぎると耐摩耗性が劣化し、粗大すぎると仕上性が劣化する。本発明では上述のように、Moを含むFeまたはCo基合金粉末や反応により生成するMo系硼化物が殻構造をもつ粗大硬質粒子となるが、界面に殻状に生成するMo系硼化物(高融点)が障壁となり、高温でこのMo系硼化物が生成した後はBを含むCu基合金粉末とMoを含むFeまたはCo基合金粉末の反応が抑制される。その結果、殻構造をもつ粗大粒子のサイズは、混合するMoを含むFeまたはCo基合金粉末の粒子径でほぼ決まるため、粗大硬質粒子のサイズ制御が容易である。
(4)一般的に粗大な硬質粒子が存在すると機械仕上性が劣化する。しかしながら、本発明における肉盛材は、数百μm程度の粗大硬質粒子が分散しているにも関わらず、表面の機械仕上性が良好である。この理由としては、以下のことが推測される。粗大硬質粒子が存在すると、機械加工時にこの粗大硬質粒子が切削工具の刃先を摩耗したり、疵つけたりするため、その刃先で加工された表面は仕上がりが悪くなる。本発明における粗大硬質粒子は周りを潤滑効果の高いMo系硼化物が覆っているため、その潤滑効果により相手攻撃性が低く、切削工具の刃先を摩耗しないため、表面の仕上がりが良くなるものと推測される。
(5)本発明では、Mo源となるMoを含むFeまたはCo基合金粉末のベース金属をFeまたはCoとしているが、Fe,CoはCu溶湯中に拡散しにくく、また、Moを含んでいるためにさらに拡散しにくい。その上、上記の通り、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の界面に高温で生成する殻状Mo系硼化物が障壁となるため、Moを含むFeまたはCo基合金粉末に含まれる元素が、Bを含むCu基合金粉末の溶湯へ拡散することが極めて少なく抑えられる。従って、Bを含むCu基合金粉末の組成が本来持っている良好な肉盛性を損なうことがない。仮に、Moを含むFeまたはCo基合金粉末をCuと全率固溶となるNiをベースとした合金とすると、殻状Mo硼化物の障壁が生成する前に、ある程度のNiがBを含むCu基合金粉末の溶湯中に拡散し、Bを含むCu基合金粉末の肉盛性を劣化させてしまう。
以上(1)〜(5)に示す通り、Bを含むCu基合金粉末と、Moを含むFeまたはCo基合金粉末を混合し、レーザー肉盛で溶融、凝固させることによって得られた殻構造の粗大硬質粒子を形成することが、本発明における最も重要な特徴である。
ここで、Mo系硼化物を生成するために、仮に所定量のMoを、Bを含むCu基合金粉末中に添加したとすると、Mo,Bを含むCu基合金溶湯は極めて高温でMo系硼化物を晶出するため、アトマイズ時に超粗大晶出粒子となりノズル閉塞を起こしやすい。また、Bを添加しない場合でも、MoとCuは液相でも全く溶け合わないため、非常に高融点となり、アトマイズ性に劣る。
さらに、アトマイズが可能であった場合でも、溶湯の粘性が高く肉盛性に劣り、超粗大晶出粒子のために仕上性が劣ってしまう。さらに、本発明のようにMoを含むFeまたはCo基合金粉末との界面で生成するMo系硼化物が殻状に生成することなく、上記(2)〜(4)に記述した効果も得られない。従って、例え同一成分であったとしても、混合ではなく、単一合金粉末による技術と本発明は全く異なるものである。
以下、本発明に係る成分組成および条件を特定した理由について説明する。
B:0.5〜5質量%
Bは、本肉盛材において、Moを含むFeまたはCo基合金粉末中のMoと反応し、Mo系硼化物を生成するための必須成分である。しかし、0.5%未満ではMo系硼化物の生成が十分ではなく、また、5%を超えるとBを含むCu基合金粉末を主とした基地が脆化し肉盛割れを発生するなど、肉盛性を劣化させる。従って、その範囲を0.5〜5%とする。好ましくは1.0〜4%とする。
Cu基合金
本レーザー肉盛バルブシートは、主にアルミニウム合金のシリンダヘッドに肉盛されるため、Alとの溶接性に優れたCuをベース合金としている。
混合量:80〜99質量%
本発明において、Bを含むCu基合金粉末は、良好な肉盛性を有するCu基合金粉末であり、肉盛層においては基地となる成分であるので、Moを含むFeまたはCo基合金粉末よりも多く混合する。しかし、Bを含むCu基合金粉末の混合量が80%未満では肉盛性が劣化し、99%を超えると耐摩耗性が劣化する。好ましくは85〜95%とする。
Moを含むFeまたはCo基合金粉末について
Mo:5〜40質量%
Moは、本肉盛材において、Bを含むCu基合金粉末中のBと反応し、Mo系硼化物を生成するための必須成分である。しかし、5%未満ではMo系硼化物の生成が十分ではなく、また、40%を超えるとMoを含むFeまたはCo基合金粉末の融点を上昇させ、アトマイズが困難になる。従って、その範囲を5〜40%とした。好ましくは10〜30%とする。
FeまたはCo基合金
Fe,Coは、ともに比較的低融点なため、レーザー肉盛技術での溶融が可能であり、しかも、Cuとの反応性が悪く、必要以上にBを含むCu基合金粉末の溶湯中へ拡散しないため、Bを含むCu基合金粉末が本来持つ良好な肉盛性を損なわない。また、本発明の必須元素であるMoを40%まで添加してもアトマイズ可能な融点(1600℃程度)に抑えることができる。
混合量:1〜20質量%
本発明において、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の混合量は、殻状粗大硬質粒子の量に影響する。しかし、1%未満では粗大硬質粒子の量が十分でないため、耐摩耗性に劣る。また、20%を超えると肉盛層が脆化し肉盛割れが発生するなど肉盛性を劣化させる。従って、その範囲を1〜20%とした。好ましくは5〜15%とする。
ビッカース硬度500HV以上
本発明において、Moを含むFeまたはCo基合金粉末は、添加元素であるMoが一部B(Bを含むCu基合金粉末)と反応し、Mo系硼化物を生成する他、多くは肉盛材においても、元のMoを含むFeまたはCo基合金粉末とほぼ同じ組成で、殻状粗大硬質粒子の内部に留まる。従って、Moを含むFeまたはCo基合金粉末そのものが粗大硬質粒子の硬度に影響する。従って、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の硬度がビッカース硬度500HV未満では、十分な硬度の殻状粗大粒子が得られないため、耐摩耗性改善の効果が十分でない。従って、その下限を500HVとした。好ましくは750HVとする。
平均粒径:50〜200μm
本発明において、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の平均粒径は、殻状粗大硬質粒子のサイズおよびレーザー肉盛時の溶接性に影響を与える。つまり、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の粒径が大きいと、肉盛材中に分散する殻状粗大粒子のサイズも大きくなる傾向にある。ただし、レーザー肉盛時に一旦は溶融するため、全く同じとは限らない。(従って、下記の肉盛層中の粗大粒子サイズの範囲とは完全には一致していない。)そこで、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の平均粒径が50μm未満では十分な殻状粗大粒子のサイズが得られないため、耐摩耗性改善の効果が十分でなく、また、200μmを超えるとレーザー肉盛時に十分に溶解せず、肉盛性を劣化させる。従って、その範囲を50〜200μmとした。好ましくは65〜150μmとする。
肉盛層について
上述したように、Mo系硼化物を囲んだ殻構造の粗大粒子であることにより耐摩耗性、仕上性のバランスが両立できる。また、本発明における粗大粒子の硬度は耐摩耗性に影響するが、500HV未満では耐摩耗性が十分でない。さらに、粗大粒子のサイズは耐摩耗性に影響するが、30μm未満では、耐摩耗性が劣化し、300μmを超えると仕上性が劣化することから、その範囲を30〜300μmとする。好ましくは、100〜250μmとする。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1および表2に示す母材の1.5kgを溶解し、Arアトマイズにて粉末を作製し、Bを含むCu基合金粉末を得、150/63μmに分級し、また、Moを含むFeまたはCo基合金粉末は表2の平均粒径になるように分級した後、Bを含むCu基合金粉末とMoを含むFeまたはCo基合金粉末を混合し、幅4mm、深さ2mmの溝を付けたAl基材上に円環状にレーザー肉盛し、バルブシート形状に切削、研磨加工し、150℃に加熱した状態でバルブによる摩耗評価(A/F比=14.7)をした。
なお、Bを含むCu基合金粉末とMoを含むFeまたはCo基合金粉末の混合条件、殻構造粗大粒子硬度および径を表3に示す。粗大粒子径は肉盛材を研磨した資料の光学顕微鏡写真により画像解析にて測定した。また、レーザー肉盛条件は以下の通りである。
レーザー出力:1.5kw
レーザー形 :矩形
粉末供給量 :50g/min
送り速度 :8mm/s
Ar雰囲気中で行う。
(1)肉盛性:肉盛ビード断面の縦横比および肉盛割れの有無で評価(高さ/幅≦0.6、かつ肉盛割れなし:○、高さ/幅>0.6、または/および、肉盛割れあり:×)
(2)耐摩耗性:摩耗評価後のバルブシートの摩耗深さで評価(摩耗深さ≦60μm:○、摩耗深さ>60μm:×)
(3)仕上性:バルブシート状に研磨した後の表面粗さで評価(Ra≦0.2μm:○、Ra>0.2μm:×)
Figure 2008030071
Figure 2008030071
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表1は、Bを含むCu基合金粉末の組成を示し、A−1〜A−5は本発明例であり、A−6〜A−7は比較例である。また、表2は、Moを含むFeまたはCo基合金粉末の組成を示す。B−1〜B−5は本発明例であり、B−6〜10は比較例である。なお、比較例として、Co(残部)−10Fe−10Ni−45Moをアトマイズにより製造を試みたが、Mo母材が溶け残った。
表3は、混合条件、殻構造粗大粒子硬度および径と肉盛性、耐摩耗性および仕上性について示す。No.1〜5、No.11〜14は本発明例であり、No.6〜10、No.15〜19は比較例である。比較例No.6は混合粉末(B)であるMoを含むFeまたはCo基合金粉末の成分組成がNi基であることから、レーザー肉盛による肉盛性および仕上性が悪い。比較例No.7は混合粉末(B)であるMoを含むFeまたはCo基合金粉末の平均粒径が大きいために殼構造粗大粒子径が大きくなり、その結果、肉盛性および仕上性が悪い。
比較例No.8は混合粉末(B)であるMoを含むFeまたはCo基合金粉末の殼構造粗大粒子硬度が低いために耐摩耗性が悪い。比較例No.9は混合粉末(B)であるMoを含むFeまたはCo基合金粉末のMo含有量が低いためにMo系硼化物の殼構造が出来ず耐摩耗性および仕上性が悪い。比較例No.10は混合粉末(B)であるMoを含むFeまたはCo基合金粉末の平均粒径が小さいために殼構造粗大粒子径が小さくなり、その結果、耐摩耗性が悪い。
比較例No.15は混合粉末(A)であるBを含むCu基合金粉末のB含有量が高いために肉盛性が悪い。比較例No.16は混合粉末(A)であるBを含むCu基合金粉末中にBが含有しないために殼構造粗大粒子が形成されず、そのために耐摩耗性および仕上性が悪い。比較例No.17は混合粉末(B)であるMoをを含むFeまたはCo基合金粉末の混合量が低いために耐摩耗性が悪い。
比較例No.18は混合粉末(B)であるMoをを含むFeまたはCo基合金粉末の混合量が高いために肉盛性が悪い。比較例No.19は混合粉末(B)であるMoをを含むFeまたはCo基合金粉末の混合量が低く、殼構造粗大粒子径が小さいために耐摩耗性が悪い。なお、本発明例であるNo.1、5、13の組成を単一合金としてアトマイズにより製造を試みたが、いずれもノズル閉塞が起こりアトマイズで製造することが不可能となった。
これに対し、本発明例であるNo.1〜5、No.11〜14は、いずれも本発明の条件を満たしていることから、その特性とする肉盛性、耐摩耗性および仕上性に優れていることが分かる。
本発明に係る混合粉末による硬質粒子の光学顕微鏡写真とその模式図である。
符号の説明
1 Bを含むCu基合金粉末を主成分とした基地相
2 Moを含むFeまたはCo基合金粉末を主成分とした硬質相
3 Moを含むFeまたはCo基合金粉末の内部にBが拡散して生成したMo系硼化物 4 殻状Mo系硼化物


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社 他1名
代理人 弁理士 椎 名 彊


Claims (4)

  1. レーザー肉盛バルブシート用原料粉末において、B:0.5〜5質量%を含有するCu基合金粉末を80〜99質量%と、Mo:5〜40質量%含有するFeまたはCo基合金であり、ビッカース硬さが500HV以上、平均粒径が50〜200μmである粉末1〜20質量%を混合してなることを特徴とするレーザー肉盛バルブシート用原料粉末。
  2. 請求項1に記載の混合粉末をレーザー肉盛したことを特徴とするレーザー肉盛バルブシート。
  3. 請求項2に記載のレーザー肉盛層に、Mo:5〜40質量%含有するFeまたはCo基合金を主成分とした相をMo系硼化物が囲んだ殻構造の粗大粒子を有することを特徴とするレーザー肉盛バルブシート。
  4. 請求項3に記載の殻構造の粗大粒子がビッカース硬度500HV以上、平均粒径30〜300μmであることを特徴とするレーザー肉盛バルブシート。
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