JP2008026068A - 薄切片作製装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】搬送手段を、無端状ベルトと、カッターの切れ刃の向きと略平行になるよう切れ刃と近接して配置され、無端状ベルトを折り返すことにより無端状ベルトによる薄切片の搬送起点を形成する第1の折り返し軸と、第1の折り返し軸によって折り返された無端状ベルトを、薄切片の搬送方向に対して逆方向に折り返す第2の折り返し軸と、第2の折り返し軸によって折り返された無端状ベルトを薄切片の搬送方向に対して側方へ折り返す第3の折り返し軸と、第3の折り返し軸によって折り返された無端状ベルトを、第1の折り返し軸の存する方向へ折り返す第4の折り返し軸とを有する構成にした。
【選択図】図1
Description
従来、この作製された薄切片を取り出し、搬送する工程は、薄切片が極薄で、カール、しわ、破れなどの損傷が発生しやすいことから、手作業で行われてきた。一方、例えば、前臨床試験においては、一試験当たり数百個の包埋ブロックを作製し、さらに一包埋ブロック当たり数枚の薄切片を作製する。このため、作業者は膨大な枚数の薄切片を作製し、次工程に搬送する必要があり、これらの工程の自動化が試みられている。
このような装置によれば、カッターで包埋ブロックを薄切する際に、カッターの切れ刃の前方において、押圧装置によって包埋ブロックの表面にテープを押圧することで、作製された薄切片がテープに接着されて搬送される。
本発明は、生体試料が包埋された包埋ブロックを固定する試料台と、該試料台に固定された前記包埋ブロックを薄切して薄切片を作製するカッターと、該カッターによって作製された前記薄切片を前記カッターの後方へ搬送して次工程に引渡す搬送手段と、前記試料台、または、前記カッター及び前記搬送手段のいずれか一方を所定の送り方向に移動させて、前記カッターによって前記包埋ブロックを薄切する送り機構と、を備えた薄切片作製装置であって、前記搬送手段による前記薄切片の搬送方向を、前記送り機構による前記カッターの切削方向に対して逆方向となるように設定し、前記カッターを、切れ刃の向きが該カッターによる切削方向に対し所定鋭角の引き角を持つように配置し、前記搬送手段を、無端状ベルトと、前記カッターの切れ刃の向きと略平行になるよう該切れ刃と近接して配置されて前記無端状ベルトを折り返すことにより該無端状ベルトによる前記薄切片の搬送起点を形成する第1の折り返し軸と、該第1の折り返し軸によって折り返された前記無端状ベルトを前記薄切片の搬送方向に対して逆方向に折り返す第2の折り返し軸と、該第2の折り返し軸によって折り返された前記無端状ベルトを前記薄切片の搬送方向に対して側方へ折り返す第3の折り返し軸と、該第3の折り返し軸によって折り返された前記無端状ベルトを前記第1の折り返し軸の存する方向へ折り返す第4の折り返し軸とを有する構成にしたことを特徴としている。
この発明に係る薄切片作製装置によれば、無端状ベルトの左右部分あるいは中央部分で同じテンションをかけながら均一に搬送するのが理想的であり、それには、いずれかの折り返し軸にその軸線の角度を調整する角度調整手段を設けるのが好ましい。この場合、第1の折り返し軸はカッターの切れ刃の向きに平行、第2の折り返し軸は送り方向に直交というようにそれぞれ向きが予め定められているので、角度調整手段を設けるのは難しい。それに対して、第3の折り返し軸及び第4の折り返し軸は、そのような制約が無く角度調整手段を設けてもなんら支障がない。
θd=90−θa−θc
で表されることが好ましい。
この発明に係る薄切片作製装置によれば、無端状ベルトに載置された薄切片を、無端状ベルトとともに液槽の液体まで搬送することで、無端状ベルトに載置された状態から液槽の液体中へ離脱させて次工程に引き渡すことができる。
図1及び図2は、この発明に係る第1の実施形態を示し、図1は平面図、図2は側面図である。図1に示す薄切片作製装置1は、生体試料Aが包埋された包埋ブロックBから厚さ3〜5μm程度の極薄の薄切片を作製し、薄切片に含まれる生体試料Aを検査、観察する過程において、自動的に、包埋ブロックBから薄切片を薄切し、次工程に搬送する装置である。生体試料Aは、例えば、人体や実験動物等から取り出した臓器などの組織であり、医療分野、製薬分野、食品分野、生物分野などで適時選択されるものである。また、包埋ブロックBは、上記のような生体試料Aを包埋剤B1によって包埋、すなわち周囲を覆い固めたものである。このような包埋ブロックBは、より詳しくは、以下のように作製されるものである。
まず、上記の生体試料Aの塊をホルマリンに漬けて、生体試料Aを構成する蛋白質を固定する。そして、組織を固い状態にした後、適当な大きさに切断する。最後に、切断された生体試料Aの内部の水分を包埋剤B1に置き換えたものを、溶解した包埋剤B1の中に埋め込んで、固めることで作製される。ここで、包埋剤B1は、上記のように液状化と冷却固化が容易に可能とされるとともに、有機溶剤に浸漬することで溶解する材質であり、樹脂やパラフィンなどである。以下、薄切片作製装置1の構成について説明する。
また、試料台2の下方には、Xステージ4及びZステージ5を有する送り機構6が設けられ、試料台2に固定された包埋ブロックBを、薄切する送り方向X及び高さ方向Zにそれぞれ位置調整するとともに、送り方向Xに所定の移動速度で送ることが可能である。また、薄切片作製装置1は、カッター3を支持する固定台7を備えるとともに、固定台7の上面7aにはホルダ8が設けられ、このホルダ8にカッター3の上面3aを当接させることで、固定台7との間でカッター3を挟持して固定している。カッター3は、切れ刃3bの向きがこのカッターによる切削方向Xaに対し所定鋭角の引き角(度)θaを持つように配置されている(図3参照)。また、搬送手段20による薄切片Dの搬送方向Xbは、送り機構6の前記カッター3による切削方向Xaに対して逆方向となるように設定されている(図2参照)。
また、カッター3の前方の第1の折り返し軸22と対向する位置には、送風機9が設けられている。
なお、駆動用のモータ31の回転数は、前記無端状ベルト21の移送速度が、送り機構6の送り方向Xへの移動速度と略等しくなるように設定されている。
なお、カッター3の後方、具体的には、無端状ベルト21の搬送方向Xbの端部下方に刃、水等の液体が満たされた液槽35が配置されている。
θd=90−θa−θc
で表される(図3参照)。
つまり、第1〜第4の折り返し軸22〜25の互いの角度の関係が、上記式を満たすとき、これら折り返し軸に巻回された無端状ベルト21は、幾何学的にベルトの左部分、中央部分及び右部分いずれも同じ長さになる。
また、第1の折り返し軸22の前記切削方向に対する引き角をθa(度)、第3の折り返し軸24の搬送方向に対する角度をθc(度)、第4の折り返し軸25の搬送方向に対する角度をθd(度)としたとき、θa、θc、θdが、θd=90−θa−θcを満足する関係になっており、各折り返し軸22,24,25がこの関係を満足するとき、幾何学的に、無端状ベルト21の左部分、中央部分及び右部分いずれも同じ長さになる。このため、無端状ベルト21の一部が皴になったり、異様に引っ張り力が与えられたりするのを防止できる。
図5は、この発明に係る第2の実施形態を示す側断面図である。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5に示すように、この実施形態の薄切片作製装置40においては、前記カッター3の後方に、液体が満たされた液槽35が設けられ、搬送手段20の無端状ベルト21は、第2の折り返し軸23と第3の折り返し軸24との間に設けられた補助折り返し軸42,43により案内されて、液槽35の例えば水等の液体Wに浸漬されるよう、下方へ屈曲される。
例えば、前記各実施形態では、送り機構6が、試料台2を送り方向X及び高さ方向Zに移動可能な構成としたが、これに限ることはなく、試料台2を固定して、カッター3及び搬送手段20を同時に移動させる構成としても良い。少なくとも、カッター3及び搬送手段20に対して、包埋ブロックBを固定している試料台2を相対的に移動することが可能であれば良い。
また、前記各実施形態では、液槽35には水が満たされているとしたが、水を主体とする液体でも良く、また、薄切片Dの包埋剤B1を溶解しない性質の液体であれば、液体としては、種々選択可能である。
また、前記各実施形態では、各折り返し軸22〜25を、それぞれカッターの切り刃3bの包埋ブロックBに対して相対移動する仮想平面Sに平行に配置しているが、これに限られることなく、例えば、第3及び第4の折り返し軸24,25を3次元的に配置してもよい。この場合、角度調整手段26は、前記仮想平面Sに沿って折り返し軸の角度調整行うのではなく、3次元的な角度調整を行うことが必要になる。
また、各折り返し軸22〜25には、必要に応じて、それら折り返し軸に巻回される無端状ベルト21の巾方向の位置ずれを防止する、例えば突起等の位置規制手段を折り返し軸に設けてもよい。
Claims (5)
- 生体試料が包埋された包埋ブロックを固定する試料台と、該試料台に固定された前記包埋ブロックを薄切して薄切片を作製するカッターと、該カッターによって作製された前記薄切片を前記カッターの後方へ搬送して次工程に引渡す搬送手段と、前記試料台、または、前記カッター及び前記搬送手段のいずれか一方を所定の送り方向に移動させて、前記カッターによって前記包埋ブロックを薄切する送り機構と、を備えた薄切片作製装置であって、
前記搬送手段による前記薄切片の搬送方向を、前記送り機構による前記カッターの切削方向に対して逆方向となるように設定し、
前記カッターを、切れ刃の向きが該カッターによる切削方向に対し所定鋭角の引き角を持つように配置し、
前記搬送手段を、無端状ベルトと、前記カッターの切れ刃の向きと略平行になるよう該切れ刃と近接して配置されて前記無端状ベルトを折り返すことにより該無端状ベルトによる前記薄切片の搬送起点を形成する第1の折り返し軸と、該第1の折り返し軸によって折り返された前記無端状ベルトを前記薄切片の搬送方向に対して逆方向に折り返す第2の折り返し軸と、該第2の折り返し軸によって折り返された前記無端状ベルトを前記薄切片の搬送方向に対して側方へ折り返す第3の折り返し軸と、該第3の折り返し軸によって折り返された前記無端状ベルトを前記第1の折り返し軸の存する方向へ折り返す第4の折り返し軸とを有する構成にしたことを特徴とする薄切片作製装置。 - 前記第3の折り返し軸と前記第4の折り返し軸との少なくとも一方には、それら折り返し軸の軸線の傾き角を調整する角度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の薄切片作製装置。
- 前記第2の折り返し軸には、前記無端状ベルトの張力を調整するテンション機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の薄切片作製装置。
- 前記第1〜第4の折り返し軸は、いずれも前記カッターの切り刃が前記包埋ブロックに対して相対移動する仮想平面に平行に配置され、
第1の折り返し軸の前記切削方向に対する引き角をθa(度)、第3の折り返し軸の前記搬送方向に対する角度をθc(度)、前記第4の折り返し軸の前記搬送方向に対する角度をθd(度)としたとき、θa、θc、θdの関係が、
θd=90−θa−θc
で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄切片作製装置。 - 前記カッターの後方には、液体が満たされた液槽が設けられ、
前記搬送手段の無端状ベルトは、前記第2の折り返し軸と前記第3の折り返し軸との間に設けられた補助折り返し軸により案内されて、前記液槽の前記液体に浸漬されるよう下方へ屈曲されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄切片作製装置。
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