JP5193085B2 - 薄切片作製装置及び薄切片作製方法 - Google Patents
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Description
まず、ホルマリン固定された生物や動物等の生体試料をパラフィン置換した後、更に周囲をパラフィンで固めて強固にして、ブロック状態の包埋ブロックを作製する。
次に、この包埋ブロックをミクロトームにセットして、粗削り(面出し)を行う。この粗削りによって、包埋ブロックの表面が平滑面となると共に、実験や観察の対象物である包埋された生体試料が表面に露出した状態となる。
粗削りが終了した後、本削りを行う。これは、ミクロトームが有するカッターにより、包埋ブロックを上述した厚みで極薄に切削、つまり薄切する工程である。
以上により、前記切片厚の薄切片を得ることができる。
本発明に係る薄切片作製装置は、生体試料が包埋された包埋ブロックを切削して所望の切片厚の薄切片を作製する薄切片作製装置であって、前記包埋ブロックを支持する支持体と、前記包埋ブロックを切削するカッターと、前記支持体と前記カッターとを一方向に沿って相対的に前進移動させ、前記カッターにより前記包埋ブロックを切削する移動手段と、前記一方向に交差する他方向に沿って前記支持体と前記カッターとを相対的に進退移動させ、前記カッターに対する前記包埋ブロックの前記他方向の位置を調整する調整手段と、前記包埋ブロックを加湿する加湿手段と、前記カッターにより前記包埋ブロックから切削された切削屑を吸引して廃棄する廃棄手段と、前記移動手段、前記調整手段、前記加湿手段及び前記廃棄手段を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記包埋ブロックを前記加湿手段により予備加湿した後、前記移動手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に前進移動させ、前記包埋ブロックを前記カッターにより予備切削し、前記予備切削で切削された前記切削屑を前記廃棄手段により吸引して廃棄し、その後、前記包埋ブロックを前記加湿手段により本加湿すると共に、前記調整手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に前記切片厚だけ前進移動させた後、前記移動手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に、前記予備切削時と同じ速度で前進移動させ、前記包埋ブロックを前記カッターにより本切削して前記薄切片を作製し、前記制御部は、前記予備加湿が終了した後から前記予備切削を開始させるまでの時間と、前記本加湿が終了した後から前記本切削を開始させるまでの時間と、を同じにすると共に、前記予備加湿及び前記本加湿のそれぞれを同じ加湿条件で行うことを特徴とする。
以上により、本切削工程において切削される包埋ブロックの加湿条件、及び本加湿されてから本切削されるまでの切削待時間を、予備切削において切削された包埋ブロックの加湿条件、及び予備加湿されてから予備切削されるまでの切削待時間と、それぞれ一致させることができる。これにより、本切削工程における包埋ブロックでの加湿を起因とする前記他方向の変化量と、予備切削工程における前記変化量とを一致させることが可能となる。従って、調整手段により支持体とカッターとを相対的に前記切片厚だけ前進移動させる調整工程を行った後、本切削工程を行うことで薄切片を前記切片厚で高精度に切削することができる。
また、廃棄工程が、予備切削工程で切削された切削屑を廃棄することから、この切削屑が薄切片の作製の過程において他の作業を妨げることが無いので、薄切片の作製効率を向上させることができる。
図1に示すように、薄切片作製装置1は、生体試料Aが包埋された略直方体の包埋ブロックBを所望の切片厚h1に薄切して薄切片Sを作製する装置である。なお、薄切片Sの切片厚h1は、例えば3〜5μm程度であり、この薄切片作製装置1は、主に薄切片Sに含まれる生体試料Aを検査、観察する過程で使用される。
以下、薄切片作製装置1の構成について説明する。
支持体2は、包埋ブロックBが固定されているカセットCを交換可能に位置決めして固定して包埋ブロックBを支持している。そして、支持体2は、Zステージ5上に設けられたガイドレール13によってX方向に摺動可能に支持されている。なお、図示の例では、支持体2は、包埋ブロックBの厚み方向がZ方向に一致すると共に、包埋ブロックBの表面B2が水平面と一致するように、包埋ブロックBを支持している。
このように構成されたXステージ4は、カッター3に対して支持体2を進退移動させることで、包埋ブロックBに対してカッター3の刃先3aを水平面と平行な走行面3bに沿って相対的に移動させることができる。従って、Xステージ4は、カッター3に対して支持体2を、カッター3の刃先3a側でX方向に離間した待機位置Pから前進移動させることで、カッター3により包埋ブロックBを切削することができる。
このように構成された搬送手段10においては、カッター3により包埋ブロックBから切削される薄切片Sが、切削されながらその先端側が上方に捲り上げられて搬送ベルト10cによって受け取られる。そして、モータ10fが作動して搬送ベルト10cを無限走行させることで、この薄切片Sを次工程に向けて搬送することができる。
このように構成された加湿手段6によれば、ミスト発生部16によって発生されたミストを案内部17により案内し、このミストを前記待機位置Pに位置する包埋ブロックBの表面B2に当たるように吹き付けることができる。これにより、包埋ブロックBを一定の加湿温度Tで加湿することができる。
また、本実施形態では、加湿手段6は、加湿時間が制御部7により制御可能とされている。
また、コンピュータ22には、各種データを外部入力可能な入力部23が接続されている。本実施形態では、コンピュータ22には、カッター3の刃先3aのX方向の位置座標と、包埋ブロックBのX方向に沿った大きさと、所望する薄切片Sの切片厚h1とが入力部23を用いて予め入力され記憶されている。また、ステージコントローラ21には、後述する移動工程(予備切削工程)及び本切削工程におけるXステージ4の移動速度vが入力部23を用いて予め入力され記憶されている。
なお、本実施形態では、コンピュータ22には、ディスプレイ24が接続されており、下記に示す各工程の進捗状況や、切削検出手段9による検出結果などが表示可能である。
始めに、図3に示すように、支持体2を前記待機位置Pに移動させ、包埋ブロックBが固定されたカセットCを支持体2にセットする準備工程を行う。この際、本実施形態では、カッター3の刃先3aの走行面3bと、包埋ブロックBの表面B2とのZ方向の位置が一致するようにカセットCをセットする。
なお以下では、前記加湿条件Hで予備加湿された包埋ブロックBは、予備加湿される前の包埋ブロックBに比べて、Z方向に変化量h2(但し、h2<h1)だけ収縮するものとして説明する。つまり、予備加湿された包埋ブロックBの表面B2は、カッター3の走行面3bよりも下側に位置することになる。
また、コンピュータ22は、予備加湿工程後から移動工程を開始するまでの時間t2を計測し、記憶しておく。
以上で切削検出工程が終了する。
この際、まず、コンピュータ22は、カッター3の刃先3aのX方向の位置座標と、包埋ブロックBのX方向に沿った大きさと、サンプリング回路20に記憶された検出データDと、に基づいて、前記検出期間における切削力データD2がこの検出期間の前後に比べて大きくなっているか否かを判定し、切削の有無を判定する。
また、図7に示すように、コンピュータ22は、ステージコントローラ21によりXステージ4を作動させ、支持体2を前記待機位置Pまで後退移動させる。
また、コンピュータ22は、本加湿工程が終了した時点を記憶しておく。
本実施形態では、コンピュータ22が、予備切削工程で記憶された予備加湿工程後から予備切削工程を開始するまでの時間t2と、本加湿工程が終了した時点と、に基づいて、本切削工程を開始する。この際、ステージコントローラ21が、包埋ブロックBをカッター3に対して相対的に前記移動速度vで前進移動させる。
以上により、本切削工程において切削される包埋ブロックBの加湿条件H、及び本加湿されてから本切削されるまでの切削待時間を、予備切削において切削された包埋ブロックBの加湿条件H、及び予備加湿されてから予備切削されるまでの切削待時間t3と、をそれぞれ一致させることができる。これにより、本切削工程における包埋ブロックBでの加湿を起因とするZ方向の変化量と、予備切削工程における前記変化量とを一致させることが可能となる。従って、Zステージ5により支持体2とカッター3とを相対的に前記切片厚h1だけ前進移動させる本調整工程を行った後、本切削工程を行うことで薄切片Sを前記切片厚h1で高精度に作製することができる。
また、本実施形態では、判定工程において切削されたと判定した後に、次の工程である廃棄工程に移行するので、予備切削を複数回繰り返す恐れがなく、予備切削後、円滑に次の工程に移行することができる。
例えば、前記実施形態では、準備工程において、カッター3の走行面3bと、包埋ブロックBの表面B2とのZ方向の位置が一致するように支持体2にカセットCをセットするものとしたが、これに限られるものではなく、包埋ブロックBの表面B2がカッター3の走行面3bに対して下側や上側に位置していても良い。
また、前記実施形態では、X方向を水平面と平行な方向とし、Z方向を水平面それぞれと直交する鉛直方向としたが、これに限られるものではなく、X方向とZ方向とは互いに交差していれば良い。
また、前記実施形態では、調整手段であるZステージ5は、カッター3に対して支持体2を進退移動させることで両者を相対的に進退移動させるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、調整手段は、カッター3及び支持体2の両者を移動させても良く、また、カッター3を支持体2に対して移動させても良い。
また、前記実施形態では、本加湿工程の後に本調整工程を行うものとしたが、両工程が本切削工程の前に行われれば、工程順序はこれに限られるものではなく、例えば本調整工程の後に本加湿工程を行っても良く、また、本加湿工程と本調整工程とを並行して行っても良い。
2 支持体
3 カッター
3a 刃先
3b 走行面
4 Xステージ(移動手段)
5 Zステージ(調整手段)
6 加湿手段
7 制御部
8 廃棄手段
B 包埋ブロック
C カセット
S 薄切片
S1 切削屑
h1 切片厚
Claims (4)
- 生体試料が包埋された包埋ブロックを切削して所望の切片厚の薄切片を作製する薄切片作製装置であって、
前記包埋ブロックを支持する支持体と、
前記包埋ブロックを切削するカッターと、
前記支持体と前記カッターとを一方向に沿って相対的に前進移動させ、前記カッターにより前記包埋ブロックを切削する移動手段と、
前記一方向に交差する他方向に沿って前記支持体と前記カッターとを相対的に進退移動させ、前記カッターに対する前記包埋ブロックの前記他方向の位置を調整する調整手段と、
前記包埋ブロックを加湿する加湿手段と、
前記カッターにより前記包埋ブロックから切削された切削屑を吸引して廃棄する廃棄手段と、
前記移動手段、前記調整手段、前記加湿手段及び前記廃棄手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記包埋ブロックを前記加湿手段により予備加湿した後、
前記移動手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に前進移動させ、前記包埋ブロックを前記カッターにより予備切削し、
前記予備切削で切削された前記切削屑を前記廃棄手段により吸引して廃棄し、
その後、前記包埋ブロックを前記加湿手段により本加湿すると共に、前記調整手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に前記切片厚だけ前進移動させた後、
前記移動手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に、前記予備切削時と同じ速度で前進移動させ、前記包埋ブロックを前記カッターにより本切削して前記薄切片を作製し、
前記制御部は、
前記予備加湿が終了した後から前記予備切削を開始させるまでの時間と、前記本加湿が終了した後から前記本切削を開始させるまでの時間と、を同じにすると共に、
前記予備加湿及び前記本加湿のそれぞれを同じ加湿条件で行うことを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項1に記載の薄切片作製装置であって、
前記制御部は、前記予備加湿が終了した後から前記予備切削を開始するまでの時間と、前記本加湿が終了した時点と、に基づいて、前記本切削を開始することを特徴とする薄切片作製装置。 - 生体試料が包埋された包埋ブロックを支持する支持体と、
前記包埋ブロックを切削するカッターと、
前記支持体と前記カッターとを一方向に沿って相対的に前進移動させ、前記カッターにより前記包埋ブロックを切削する移動手段と、
前記一方向に交差する他方向に沿って前記支持体と前記カッターとを相対的に進退移動させ、前記カッターに対する前記包埋ブロックの前記他方向の位置を調整する調整手段と、
前記包埋ブロックを加湿する加湿手段と、
前記カッターにより前記包埋ブロックから切削された切削屑を吸引して廃棄する廃棄手段と、
を備える薄切片作製装置を用いて、前記包埋ブロックを切削して所望の切片厚の薄切片を作製する薄切片作製方法であって、
前記包埋ブロックを前記加湿手段により予備加湿する予備加湿工程と、
前記移動手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に前進移動させ、予備加湿された前記包埋ブロックを前記カッターにより予備切削する予備切削工程と、
前記予備切削工程で切削された前記切削屑を前記廃棄手段により吸引して廃棄する廃棄工程と、
予備切削された前記包埋ブロックを前記加湿手段により本加湿する本加湿工程と、
前記予備切削工程後、前記調整手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に前記切片厚だけ前進移動させる調整工程と、
前記調整工程後、前記移動手段により前記支持体と前記カッターとを相対的に、前記予備切削工程時と同じ速度で前進移動させ、本加湿された前記包埋ブロックを前記カッターにより本切削して前記薄切片を作製する本切削工程と、
を備え、
前記予備加湿工程が終了した後から前記予備切削工程を開始させるまでの時間と、前記本加湿工程が終了した後から前記本切削工程を開始させるまでの時間と、が同じであると共に、
前記予備加湿工程及び前記本加湿工程のそれぞれを同じ加湿条件で行うことを特徴とする薄切片作製方法。 - 請求項3に記載の薄切片作製方法であって、
前記予備加湿工程が終了した後から前記予備切削工程を開始するまでの時間と、前記本加湿工程が終了した時点と、に基づいて、前記本切削工程を開始することを特徴とする薄切片作製方法。
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