JP4941648B2 - 薄切片作製装置、並びに、包埋ブロックの切削方法及び薄切片の作製方法 - Google Patents
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Description
本発明は、生体試料が包埋された包埋ブロックを切削して薄切片を作製する薄切片作製装置であって、前記包埋ブロックを固定する試料台と、該試料台に固定された前記包埋ブロックを切削するカッターと、該カッターを固定するホルダと、前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する切削方向に、前記カッターを前記試料台に固定された前記包埋ブロックに対して相対的に移動させることが可能なXステージと、前記包埋ブロックの厚さ方向に、前記カッターと前記試料台に固定された前記包埋ブロックとの相対的位置を調整可能なZステージと、開口部が前記カッターの刃先近傍に配置された吸引ノズル及び該吸引ノズルから前記包埋ブロックを切削した際に生じる切削屑を吸引可能な吸引機を有する切削屑除去手段と、前記カッターの前記刃先に近接する吸引位置と離間する退避位置とで前記吸引機の前記吸引ノズルを進退させる進退手段と、を備え、前記進退手段は、前記包埋ブロックを切削して前記生体試料を露出させる粗削り時において、前記吸引ノズルを前記吸引位置に配置し、前記生体試料が露出した状態で前記包埋ブロックを切削して前記薄切片を作製する本削り時において、前記吸引ノズルを前記退避位置に配置し、前記進退手段は、前記吸引位置において、前記吸引ノズルの前記開口部の縁端の一部を前記カッターまたは前記ホルダに当接配置させ、前記吸引ノズルは、前記カッターが延びる方向において前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する範囲全体を吸引可能な大きさの前記開口部を有していることを特徴としている。
この発明に係る薄切片作製装置によれば、切削屑除去手段の吸引ノズルによって吸引する際、空気及び切削屑とともに、空気中や包埋ブロックに付着した水分も同時に吸引することとなる。このような水分の一部は、吸引ノズルの内周面に付着し、結合して水滴となる。そして、水滴は、一定の大きさに成長することで吸引力よりも重力の方が大きくなり、吸引ノズルの内周面を伝って降下し、水受け部に回収されることとなる。このため、この水滴が吸引ノズルの開口部からカッターまたは包埋ブロックに落下し、切削に支障となってしまうのを防ぐことができる。
この発明に係る薄切片作製装置によれば、排出管によって水受け部に滞留した水滴を適宜排出させることができ、滞留した水滴の影響を受けること無く、連続して吸引し切削することができる。
本発明の包埋ブロックの切削方法によれば、切削しながら吸引ノズルによって切削屑を吸引することで、切削屑が支障となってしまうこと無く、包埋ブロックを切削することが可能であり、これにより良好な切断面の薄切片を作製することができる。
本発明の薄切片の作製方法によれば、上記の包埋ブロックの切削方法で包埋ブロックを切削することで、切削屑の影響を受けずに、良好な切断面の薄切片を作製することができる。
図1及び図2は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1及び図2に示す薄切片作製装置1は、生体試料Sが包埋された包埋ブロックBから厚さ3〜5μm程度の極薄の薄切片B1を作製し、薄切片B1に含まれる生体試料Sを検査、観察する過程において、自動的に、包埋ブロックBを切削して、薄切片B1を作製する装置である。生体試料Sは、例えば、人体や実験動物等から取り出した臓器などの組織から切除された試料であり、医療分野、製薬分野、食品分野、生物分野などで適時選択されるものである。また、包埋ブロックBは、上記のような生体試料Sを包埋剤B2によって包埋、すなわち周囲を覆い固めたものである。そして、包埋ブロックBは、樹脂などで形成された包埋カセットCに搭載して取り扱われている。このような包埋ブロックBは、より詳しくは、以下のように作製されるものである。まず、上記の生体試料Sの塊をホルマリンに漬けて、生体試料Sを構成する蛋白質を固定する。そして、組織を固い状態にした後、適当な大きさに切断する。最後に、切断された生体試料Sの内部の水分を包埋剤B2に置き換えたものを、溶解した包埋剤B2の中に埋め込んで、固めることで作製される。ここで、包埋剤B2は、上記のように液状化と冷却固化が容易に可能とされるとともに、有機溶媒に浸漬することで溶解する材質であり、樹脂やパラフィンなどである。以下、薄切片作製装置1の構成について説明する。
次に、制御部7は、Zステージ5を駆動して、Z方向でカッター3に近接する方へ、予め設定された送り量だけ包埋ブロックBを移動させる。そして、制御部7は、切削屑除去手段6の吸引機12を駆動させて吸引ノズル10の開口部10aから外気を吸引する状態にさせる。この状態で、制御部7は、Xステージ4を駆動して、X方向でカッター3に向う方に、所定の移動速度で包埋ブロックBを移動させる。これにより、包埋ブロックBはカッター3によって切削され、切削屑として、Zステージ5の送り量と対応する厚さの切片B5が形成されていくとともに、細かく砕けた細片B6が形成されていく。ここで、カッター3によって包埋ブロックBを切削するとともに、切削除去手段6の吸引機12によって吸引ノズル10の開口部10aから吸引していることで、切削屑である切片B5及び細片B6は外気とともに吸引されることとなる。このため、切削屑が除去された状態で、カッター3によって包埋ブロックBを切削していくことができる。また、吸引ノズル10の開口部10aの形状が、刃先3aが延びる方向に開口幅を拡大させているとともに、切削方向であるX方向に開口幅を縮小させていることで、切削屑が発生する範囲を効率的に、かつ、効果的に吸引することができる。
図3は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4及び図5は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6から図8は、この発明に係る第4の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9は、この発明に係る第5の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
2 試料台
3 カッター
3a 刃先
4 Xステージ
5 Zステージ
6、21、31、41 切削屑除去手段
7 制御部
9 ホルダ
10、22、32 吸引ノズル
10a、22a、32b 開口部
12 吸引機
15 進退手段
22c 縁端
32a 内周面
33 水受け部
34 排出管
42 吹出しノズル
42a 開口部
44 吹出し機
B 包埋ブロック
B1 薄切片
B3 切削面
B5 切片(切削屑)
B6 細片(切削屑)
P 吸引位置
Q 退避位置
S 生体試料
W1 水滴
X 切削方向
Z 厚さ方向
Claims (10)
- 生体試料が包埋された包埋ブロックを切削して薄切片を作製する薄切片作製装置であって、
前記包埋ブロックを固定する試料台と、
該試料台に固定された前記包埋ブロックを切削するカッターと、
該カッターを固定するホルダと、
前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する切削方向に、前記カッターを前記試料台に固定された前記包埋ブロックに対して相対的に移動させることが可能なXステージと、
前記包埋ブロックの厚さ方向に、前記カッターと前記試料台に固定された前記包埋ブロックとの相対的位置を調整可能なZステージと、
開口部が前記カッターの刃先近傍に配置された吸引ノズル及び該吸引ノズルから前記包埋ブロックを切削した際に生じる切削屑を吸引可能な吸引機を有する切削屑除去手段と、
前記カッターの前記刃先に近接する吸引位置と離間する退避位置とで前記吸引機の前記吸引ノズルを進退させる進退手段と、を備え、
前記進退手段は、
前記包埋ブロックを切削して前記生体試料を露出させる粗削り時において、前記吸引ノズルを前記吸引位置に配置し、
前記生体試料が露出した状態で前記包埋ブロックを切削して前記薄切片を作製する本削り時において、前記吸引ノズルを前記退避位置に配置し、
前記進退手段は、前記吸引位置において、前記吸引ノズルの前記開口部の縁端の一部を前記カッターまたは前記ホルダに当接配置させ、
前記吸引ノズルは、前記カッターが延びる方向において前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する範囲全体を吸引可能な大きさの前記開口部を有していることを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項1に記載の薄切片作製装置において、
前記吸引ノズルの内、少なくとも、前記カッターまたは前記ホルダと当接される前記開口部の前記縁端の一部は、前記カッターと当接することで弾性変形可能な軟性材で形成されていることを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項1または請求項2に記載の薄切片作製装置において、
前記吸引ノズルの内周面には、該内周面を伝わる水滴を回収可能な水受け部が設けられていることを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項3に記載の薄切片作製装置において、
前記吸引ノズルの前記水受け部には、該水受け部に回収された水滴を外部に適宜排出可能な排出管を備えることを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の薄切片作製装置において、
前記切削屑除去手段は、開口部が前記カッターの前記刃先近傍に配置された吹出しノズルと、
該吹出しノズルから前記カッターの前記刃先に向かって圧縮空気を送出可能な吹出し機とを有することを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項5に記載の薄切片作製装置において、
前記Xステージを駆動して前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する際の切削時間、及び、該切削時間の前後のそれぞれ一定時間の間、前記切削屑除去手段の前記吸引機によって吸引させるとともに、前記切削時間経過後前記吸引機によって吸引を行っている内の一定時間の間、前記吹出し機によって圧縮空気を送出させる制御部を備えることを特徴とする薄切片作製装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の薄切片作製装置を用いて、前記生体試料が包埋された前記包埋ブロックを切削することを特徴とする包埋ブロックの切削方法。
- 請求項7に記載の包埋ブロックの切削方法において、
前記切削屑を吸引するとともに、前記カッターの前記刃先近傍に吹出しノズルを配置して、該吹出しノズルから前記カッターの前記刃先に向かって圧縮空気を送出させることを特徴とする包埋ブロックの切削方法。 - 請求項8に記載の包埋ブロックの切削方法において、
前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する際の切削時間、及び、該切削時間の前後のそれぞれ一定時間の間、前記吸引ノズルから前記切削屑の吸引を行うとともに、前記切削時間経過後吸引を行っている内の一定時間の間、前記吹出しノズルから圧縮空気の送出を行うことを特徴とする包埋ブロックの切削方法。 - 請求項7から請求項9に記載の包埋ブロックの切削方法によって前記包埋ブロックを切削して所望の切断面を形成した後に、所定の厚さで前記包埋ブロックを再度切削して薄切片を作製することを特徴とする薄切片の作製方法。
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