JP2008023854A - シート状積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に光沢を有し、耐傷付き性に優れ、加熱成形加工可能なシート状積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂のシートに対して水系ポリウレタンの層を積層してシート状積層体を作成する。水系ポリウレタンとしては、引張破断伸び率(厚さ0.2mmのJIS2号試験片を用い、23℃、引張速度500mm/分で測定したときの値)が100〜800%のポリカーボネート系水系ポリウレタンを用いる。水系ポリウレタンの層は、転写法によって熱可塑性樹脂のシートに積層する。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂のシートに対して水系ポリウレタンの層を積層してシート状積層体を作成する。水系ポリウレタンとしては、引張破断伸び率(厚さ0.2mmのJIS2号試験片を用い、23℃、引張速度500mm/分で測定したときの値)が100〜800%のポリカーボネート系水系ポリウレタンを用いる。水系ポリウレタンの層は、転写法によって熱可塑性樹脂のシートに積層する。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂のシートに対してポリウレタンの層を積層してなるシート状積層体に関するものである。
ABS樹脂等の熱可塑性樹脂から得られるシートは、加熱成形加工を施すことによって種々の形状の成形品を製造することに供されている。これらの成形品は、自動車用の内外装材、建築用の内外装材、物品の被覆・包装材、屋外看板等の種々の用途に好適に使用することができる。
しかしながら、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂は、表面硬度が低く、耐傷付き性が不十分であるため、砂塵等の接触・衝撃によって表面が損傷を受けて、美観、機能が損なわれ、製品価値を著しく低下させたり、短期間で使用不能となったりする。そのため、この種のシートでは、耐傷付き性の向上が望まれている。
この耐傷付き性を向上する方法としては、従来から、二酸化ケイ素などの無機物を真空蒸着して表面を被覆する方法、熱硬化型あるいは紫外線硬化型アクリル系塗料を塗布する方法などがある。例えば、特開平11−42746号公報では、末端NCOを有するプレポリマーとアクリルポリオールからなる二液型ポリウレタン塗料による伸展性を有する塗膜が表面に形成されたアクリル系樹脂成形体が提案されている。また、特開平10−296940号公報では、共押出法により熱可塑性ポリウレタンとゴムと強化スチレン系樹脂とが積層された多層シートが提案されている。さらに、特表2002−529277号公報及び特表2005−511356号公報では、それぞれ架橋剤としてメラミン化合物及びアジリジン化合物を使用したポリカーボネートベースの架橋ポリウレタン層を備えた多層シートが提案されている。
特開平11−42746号公報
特開平10−296940号公報
特表2002−529277号公報
特表2005−511356号公報
しかしながら、無機物を真空蒸着して表面を被覆する方法、紫外線硬化型アクリル系塗料等を塗布する方法によって得られる従来のシート状積層体は、二次成形加工を行うと、クラックが生じるなどの欠点がある。また、特開平11−42746号公報が開示するアクリル系樹脂成形体では、二液硬化型によるポットライフや成形体の硬化熟成に問題があり、また、溶液型ポリウレタン塗料を直接シートに塗布する方法を使用した場合には表面光沢が劣るという欠点がある。また、特開平10−296940号公報に記載の多層シートでは、光沢が劣るなど美装性に欠点がある。
なお、特表2002−529277号公報、特表2005−511356号公報に開示された多層シートのように、ウレタンプレポリマーと架橋剤とを用いて架橋させた架橋ポリウレタン層を形成することも可能であるが、架橋剤としてメラミン化合物を使用するため、架橋時にホルマリン等が発生し、安全性に問題がある。
本発明の目的は、シート表面の光沢を有し、耐傷付き性に優れ、加熱成形加工可能なシート状積層体を提供することにある。
本発明が対象とするシート状積層体は、熱可塑性樹脂のシートに対して水系ポリウレタンの層を積層してなるシート状積層体である。このシート状積層体では、水系ポリウレタンとして、引張破断伸び率(厚さ0.2mmのJIS2号試験片を用い、23℃、引張速度500mm/分で測定したときの値)が100〜800%のポリカーボネート系水系ポリウレタンを用い、かつ熱可塑性樹脂のシートに水系ポリウレタンの層を転写法によって積層する。このようにすると、表面の光沢が優れ、耐傷付き性に優れ、加熱成形加工が可能なシート状積層体が得られる。また、引張破断伸び率が100〜800%のポリカーボネート系水系ポリウレタンを用いるため、シートとの密着性が良好で、しかも加熱成形加工を施す際にクラックが発生せず、耐水性が良好なシート状積層体が得られる。なお、ポリカーボネート系水系ポリウレタンの引張破断伸び率が100%未満では熱可塑性樹脂のシートとの密着性が低下し、加熱成形加工を施す際にクラックが生じ、また、ポリカーボネート系水系ポリウレタンの引張破断伸び率が800%を超えた場合には耐水性に劣る。
なお、本発明のシート状積層体では、架橋剤としてメラミン化合物を使用した架橋を施すことはないため、架橋時にホルマリンが発生する問題は生じない。また 架橋剤としてアジリジン化合物を使用した架橋も施すことはないため、ポットライフが劣る等の問題は生じない。
本発明のシート状積層体では、ポリカーボネート系水系ポリウレタンの組成を、ポリオール化合物、有機ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤からなる組成とし、さらにポリオール化合物成分中に、ポリカーボネートポリオールが40〜95モル%含まれるようにするのが好ましい。ポリオール化合物成分中にポリカーボネートポリオールが40〜95モル%含有されたポリカーボネートポリオール系水系ポリウレタンを使用することによって、耐熱水性が良好で、加熱成形加工時における焼けの発生を抑制することができるため、美装性が良好なシート状積層体が得られる。なお、ポリオール化合物成分中のポリカーボネートポリオールが40モル%より少ないと、耐熱水性がなく、加熱成形加工時における焼けが発生する。またポリオール化合物成分中のポリカーボネートポリオールが95モル%を超えると、水系ポリウレタンの製造が困難になる。
本発明のシート状積層体で使用するポリカーボネートポリオールは、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール及びシクロヘキサンジメタノールから選択された少なくとも一種とするのが好ましい。このようにすると、耐熱性、耐加水分解性、耐候性が良好なシート状積層体が得られる。
なお、本発明のシート状積層体において、ポリオール化合物として、ポリオール化合物成分中に、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールが含まれるポリオール化合物を使用すると、耐水性が良好なシート状積層体が得られる。
本発明のシート状積層体で使用する熱可塑性樹脂としてABS樹脂を用いると、熱可塑性樹脂と水系ポリウレタンとの密着性が良好なシート状積層体を得ることができる。
また、本発明では、熱可塑性樹脂シートに転写法によって積層された水系ポリウレタンの層が、離型性樹脂フィルム上に塗膜形成された水系ポリウレタンが、熱可塑性樹脂のシートの押出成形直後に熱可塑性樹脂のシートに積層されて熱溶着されるようにシート状積層体を形成する。このようにすると、熱可塑性樹脂のシートに転写法によって積層された水系ポリウレタンの層が、熱可塑性樹脂のシートに熱溶着され、その後に離型性樹脂フィルムを剥離することができる。その上、離型性樹脂フィルムを剥離した後の水系ポリウレタンの層に、離型性樹脂フィルムの表面性状が付与されるため、熱可塑性樹脂のシートの表面を、直接水系ポリウレタンの層を塗膜形成するときには得られない美装性に優れた表面にすることができる。なお、離型性樹脂フィルムは、その表面性状を水系ポリウレタンの層に離型性樹脂フィルムの表面性状を付与するだけでなく、熱可塑性樹脂のシートに水系ポリウレンタンの層が積層される際に、熱可塑性樹脂のシート及び水系ポリウレタンの層を保護する保護層として機能することができる。
この離型性樹脂フィルムとしては、加熱成形加工により伸展可能なポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムから選ばれた1種を用いるのが好ましい。これらのフィルムはいずれも、伸展性を有するため、離型性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂のシートとを一緒に加熱成形加工することができる。また、加熱成形加工時にこれらの離型性樹脂フィルムが保護膜として機能することができ、加熱成形加工後は離型性樹脂フィルムを剥離することができる。離型性樹脂フィルムを剥離した後は、熱可塑性樹脂のシートの表面に良好な美装性を付与することができる。
なお、離型性樹脂フィルムとして、透明な材料を用いると、離型性樹脂フィルムを通した外観検査が容易になる。
また、本発明のシート状積層体に加熱成形加工を施すと、表面の光沢に優れ、耐傷付き性の良好な成形品を得ることができる。この場合、加熱成形加工する方法として、真空成形法を用いることができる。
本発明によれば、水系ポリウレタンとして、引張破断伸び率が100〜800%のポリカーボネート系水系ポリウレタンを用い、かつ熱可塑性樹脂のシートに水系ポリウレタンの層を転写法によって積層することにより、表面の光沢が優れ、耐傷付き性に優れ、加熱成形加工が可能なシート状積層体が得られる。そのため、このようなシート状積層体は、自動車用の内外装材、建築用の内外装材、物品の被覆・包装材、屋外看板などの用途に使用することができる。
以下、本発明のシート状積層体の実施の形態について詳細に説明する。本発明の実施の形態において、熱可塑性樹脂のシートに用いられる熱可塑性樹脂として、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)が用いられている。ABS樹脂は優れた物性を有し、しかも水系ポリウレタンとの密着性に優れるため、熱可塑性樹脂と水系ポリウレタンとの密着性が良好なシート状積層体を得ることができる。なお、熱可塑性樹脂としては、本発明の実施の形態で用いたABS樹脂だけでなく、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等の塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル系樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルフェート樹脂、ポリ−p−オキシベンゾエート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリールケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂などを用いてもよい。また、上述のABS樹脂、ポリエチレン樹脂等から選択された互いに相溶可能な少なくとも2種以上の混合物を用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂の中で、ポリオレフィン系樹脂や一部のポリエステル系樹脂等は、水系ポリウレタンと十分な密着性が得られないため、例えば、ポリオレフィン系樹脂であらかじめシート表面をコロナ処理等の表面処理を行ったり、ポリオレフィン系樹脂と相溶性があり、且つ、水系ポリウレタンと十分な密着性が得られる樹脂をポリオレフィン系樹脂シートの表面に接着層として配することで本シート状積層体を得ることができる。
また本発明の実施の形態において、水系ポリウレタンとして使用されるポリカーボネート系水系ポリウレタンの組成は、ポリオール化合物、有機ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤からなる組成となっている。特に、ポリオール化合物成分中に、ポリカーボネートポリオールが40〜95モル%を含有するポリカーボネート系水系を用いると、耐熱水性が良好で、しかも加熱成形加工時における焼けの発生を抑制することができる。なお、ポリカーボネートポリオールが95モル%超えると、水系ポリウレタンの製造が困難になる。
ポリオール化合物に含まれるポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の飽和脂肪族ジオールあるいはこれらの混合物と炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネート等の置換カーボネートとのエステル交換法により得られるポリオール、上記飽和脂肪族ジオールとホスゲンとの反応により得られるポリオール等を使用することができる。これらポリカーボネートポリオールの分子量は500〜10000である。
これらのポリカーボネートポリオールの中でも、飽和脂肪族ジオールとして1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のポリカーボネートポリオールを用いられている。これらのうちのいずれかのポリカーボネートポリオールを用いることによって、耐熱性、耐加水分解性、耐候性が良好になるため、これらの材料を用いることが好ましい。
また水系ポリウレタンとしては、ポリオール化合物成分として50モル%を超えない範囲において他のポリオールを使用することができる。使用可能な他のポリオール成分としては、低分子ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類があげられる。
上記低分子ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等脂環式ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の3価以上のポリオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基を含有するポリオール類、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類が挙げられる。
また、ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレンオキサイド付加物、上記の低分子ポリオールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
さらに、ポリエステルポリオール類としては、上記に例示の低分子ポリオール等のポリオールと、その化学量論量より少ない量の多価カルボン酸又はそのエステル、無水物、ハライド等のエステル形成性誘導体、及び/又は、ラクトン類、若しくはその加水分解開環して得られるヒドロキシカルボン酸との直接エステル化反応及び/又はエステル交換反応により得られるものが挙げられる。多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類、トリメリト酸、トリメシン酸、ヒマシ油脂肪酸の3量体等のトリカルボン酸類、ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類などの多価カルボン酸が挙げられる。これらの多価カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらの酸無水物、該多価カルボン酸のクロライド、ブロマイド等のハライド、該多価カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル等の低級脂肪族エステルが挙げられる。上記ラクトン類としてはγ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類を使用することができる。
上記有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス及び/又はシス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4及び/又は(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等;トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネートトリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート及びこれらの混合物があげられる。これらは、カルボジイミド変性、ヌレート変性、ビウレット変性等の変性物の形で用いてもよく、各種のブロッキング剤によってブロックされたブロックイソシアネートの形で用いてもよい。
上記鎖延長剤成分としては、例えば、前記例示の低分子ジオールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたものであるエチレンジアミン、プロピレンジアミン等の低分子ジアミン類、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリエーテルジアミン類、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ジアミン類、m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ジアミン類などのポリアミン;ジカルボン酸ジヒドラジド;2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールなどがあげられる。
本発明の実施の形態で使用する水系ポリウレタンは、上記ポリオール化合物成分の一部として、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基を含有するポリオール類、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類を使用してアニオン性基を導入し、これに、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類、N,N−ジアルキルアルカノールアミン類、N−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリアルカノールアミン類等の3級アミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の塩基性化合物等のアニオン性基中和剤を併用する方法によって水性化させたものである。
これらカルボキシル基又はスルホン酸基を含有するポリオール化合物の使用量は任意であるが、良好な水系ポリウレタンを得るためには、ポリオール化合物中5〜50モル%の範囲の使用量とするのが好ましい。
なお、本発明に使用される水系ポリウレタンの製造方法については、特に制限されず、周知一般の方法を適用することができる。製造方法としては、反応に不活性且つ水との親和性の大きい溶媒中で反応させプレポリマーを合成してから、これを水にフィードして分散させるプレポリマー法が好ましい。
上記の水系ポリウレタンの製造方法に使用される反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン等を使用することができる。これらの溶媒は、通常、プレポリマーを製造するために用いられる上記原料の合計量に対して、3〜100質量%が用いられる。これら溶媒の中で、沸点100℃以下の溶媒はプレポリマー合成後、減圧留去することが好ましい。
上記の製造方法において、各成分の配合比については、任意とすることができる。この配合比は、反応させる段階でのイソシアネート基と各成分のイソシアネート反応性基とのモル比に置き換えることができ、このモル比については、イソシアネート基1に対して、イソシアネート反応性基は0.30〜0.99が好ましく、0.50〜0.99がより好ましい。
また、本発明に使用される水系ポリウレタンにおいて、その固形分の量は、任意の量とすることができる。ただし、固形分の分散性が良く、良好な塗膜及び成形体を得るため、固形分の量は1〜60質量%とするのが好ましく、特に5〜40質量%とするのが好ましい。
本発明の実施の形態に使用される水系ポリウレタンには、ポリウレタン分子に架橋構造を与えるため、必要に応じて、安全性及びポットライフ等に悪影響を及ぼさない条件の下で、一般に用いられる架橋剤を用いてもよい。水系ポリウレタン組成物に好適な架橋剤としては、水性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂エマルション、水性ポリカルボジイミド、水性ポリオキサゾリン、水性イソシアネート等を使用することができる。
本発明に使用される水系ポリウレタンには、必要に応じて、水系ポリウレタンに使用される周知一般の乳化剤を用いてもよい。乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子系界面活性剤、反応性界面活性剤等を使用することができる。
上記のアニオン系界面活性剤としては、例えばナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、アンモニウムポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート等のポリオキシエチレンエーテルサルフェート類;ナトリウムスルホリシノレート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トルエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;N−アシルアミノ酸塩;N−アシルメチルタウリン塩等を使用することができる。
また、ノニオン系界面活性剤としては、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類、炭素数1〜18のアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、アルキレングリコール及び/又はアルキレンジアミンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等を使用することができる。このノニオン系界面活性剤を構成する炭素数1〜18のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、デカンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
また、アルキルフェノールとしては、フェノール、メチルフェノール、2,4−ジ第3ブチルフェノール、2,5−ジ第3ブチルフェノール、3,5−ジ第3ブチルフェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−イソオクチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−第3オクチルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられ、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を使用することができ、アルキレンジアミンとしては、これらのアルキレングリコールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたものを使用することができる。また、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物とは、ランダム付加物でもブロック付加物でもよい。
カチオン系界面活性剤としては、第一アミン塩、第二アミン塩、第三アミン塩、第四級アミン塩、ピリジニウム塩等を使用することができる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型、硫酸エステル型、スルホン酸型等などを使用することができる。
高分子系界面活性剤としては、例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;またこれらの重合体構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体または他の単量体との共重合体などがあげられる。また、クラウンエーテル類などの相関移動触媒と称されるものも界面活性を示すものとして有用である。
反応性界面活性剤としては、分子内に上記不飽和単量体と共重合し得る不飽和結合を有するものであれば、ノニオン系、アニオン系を問わず使用することができる。
また、本発明の水系ポリウレタン組成物には、さらに必要に応じて、一般に用いられる各種添加剤を用いてもよい。この添加剤としては、例えば、顔料;染料;造膜助剤;硬化剤;外部架橋剤;粘度調整剤;レベリング剤;消泡剤;ゲル化防止剤;界面活性剤等の分散安定剤;紫外線吸収剤;ヒンダードアミン等の光安定剤;フェノール系、リン系、硫黄系等の酸化防止剤;ラジカル捕捉剤;耐熱性付与剤;無機及び有機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;補強剤;触媒;揺変剤;抗菌剤;防カビ剤;防腐触剤;防錆剤等を使用することができる。また、シートに用いる熱可塑性樹脂と水系ポリウレタン組成物のシートに対する密着性を改良するためにシランカップリング剤、コロイダルシリカ、テトラアルコキシシラン及びその縮重合物、キレート剤、エポキシ化合物を用いてもよい。
本発明の水系ポリウレタンは、引張破断伸び率を100〜800%(厚さ0.2mmのJIS2号試験片を用い、23℃、引張速度500mm/分で測定したときの値)とする。引張破断伸び率が100%未満では熱可塑性樹脂のシートとの密着性が低下したり、加熱成形加工を施す際にクラックを生じたりするなど問題を生じるおそれがあり、引張破断伸び率が800%を超えた場合には耐水性に劣るなどの欠点がある。
本発明のシート状積層体の構造は、熱可塑性樹脂のシートと水系ポリウレタンの層から構成されるものであるが、熱可塑性樹脂のシートは、シート層、着色層等の層状構造を有してもよく、さらに、水系ポリウレタン層と接する面が、水系ポリウレタン層と熱溶着性があることを条件として金属等の層との複合シートであってもよい。また、熱可塑性樹脂のシートは、その用途に応じて異なるものであるが、通常は10μm〜10mm程度の厚さである。水系ポリウレタン層は1μm〜500μm、特に10〜250μmが好ましく、1μm未満では耐傷付き性向上効果が不十分であり、500μmを超えた場合には加熱成形加工時に剥離が生じやすくなるおそれがあるため好ましくない。
本発明の実施の形態のシート状積層体は、熱可塑性樹脂のシートに水系ポリウレタンの層を転写法によって積層してなるものである。転写法によって製造することによって、シート表面の光沢の優れたシート状積層体が得られる。
本発明の実施の形態で用いられる水系ポリウレタンは、必要に応じて、顔料、染料などを配合して水系ポリウレタンを主成分とする塗布液として用いてもよい。
熱可塑性樹脂のシートに水系ポリウレタンの層を積層する方法としては、得られる積層体の表面平滑性を制御でき美装性に優れた積層体が得られるため、転写法が好ましい。
転写法は、離型性樹脂フィルム上に水系ポリウレタンの層を塗膜形成しておき、塗膜側を熱可塑性樹脂のシートに積層し、熱溶着により一体化してシート状積層体を製造する方法である。離型性樹脂フィルムは、熱溶着後の適宜の段階で剥離される。離型性樹脂フィルムを剥離した後の水系ポリウレタンの層は、離型性樹脂フィルムの表面性状が付与されており、スプレー塗装、刷け塗り、こて塗り、流し塗り、ロール塗り、浸漬法等で熱可塑性樹脂のシートの表面に直接水系ポリウレタンの層を塗膜形成するときには得られない美装性に優れた表面になる。
本発明の実施の形態においては、離型性樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられている。このポリプロピレンフィルムは、加熱成形加工時の伸展性が良好で、しかも耐熱性の高い物性を備えているため、本発明の実施の形態で用いる離型性樹脂フィルムとして好ましい。なお、離型性樹脂フィルムの厚みは、加熱成形加工時の伸展性を良好にするため25μm前後の厚みとするのが好ましい。またポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムを用いてもよい。この場合、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムの厚みは、上述のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合と同様の理由で、60μm前後の厚みが好ましい。また、上記の離型性樹脂フィルムの伸展性として、熱可塑性樹脂シートを熱加工する温度で3倍以上の伸展性を有するグレードの離型性樹脂フィルムを使用するのが好ましい。伸展性が3倍未満であると成形時に熱可塑性樹脂シートに追従せず、離型性樹脂フィルムの伸展限界に熱可塑性樹脂シートが引きずられて伸展せず、目的とする型形状が得られなくなる。
以下、本発明のシート状積層体の製造方法について説明する。まず、離型性樹脂フィルム上に水系ポリウレタンの層を塗膜形成する。具体的には、離型性樹脂フィルム上に水系ポリウレタン塗料を塗布した後、加熱乾燥をする。この場合に、速やかに乾燥させるためには高温での乾燥が望ましい。そのため、離型性樹脂フィルムは、耐熱性の高いポリエチレンテレフタレートフィルムを選択するのが好ましい。なお、離型性樹脂フィルムとしては、透明性ある材料を選択することが好ましい。離型性樹脂フィルムは、最終的には剥がして不要となる補助資材であるため、その色調等を問うものではない。しかし、離型性樹脂フィルムを透明にすると離型性樹脂フィルムを通しての外観検査が容易になる。
この離型性樹脂フィルム上に水系ポリウレタンの層を塗膜形成する方法は、例えば、コンマコート、ダイコート、グラビアコート、ロールコート等により、長尺の離型性樹脂フィルムを移送しながら水系ポリウレタン塗料を連続塗工する方法が好ましい。そして、乾燥炉に通して塗料中の溶媒を揮散させ、塗膜を十分に熱乾燥した複合樹脂フィルムとする。これを一旦巻き取ってロール状物とする。このロール状物は、以下に説明するように、引出して、水系ポリウレタンの層側を熱可塑性樹脂のシートに積層し、熱溶着により一体化して本発明のシート状積層体とする。
また、本発明のシート状積層体の好ましい製造方法は、熱可塑性樹脂のシートを押出成形し、そのシートの送りに合わせて上記のロール状物から複合樹脂フィルムを引出して水系ポリウレタンの層側を、押出直後のまだ熱い状態の熱可塑性樹脂のシートに積層して熱溶着する。具体的には、押出成形のダイスから引き取りロールに至るまでの間に、ロール状物から引出した複合樹脂フィルムを熱可塑性樹脂のシートに導入する。そして、熱可塑性樹脂のシートが引き取りロールと冷却ロールを通りシート状に成形される間に水系ポリウレタンの層を熱溶着する。
熱可塑性樹脂のシートは、共押出による複数種の樹脂の積層体であってもよく、予め作製した熱可塑性樹脂シートやフィルムを、上記の複合樹脂フィルムの導入と一緒に熱溶着したものであってもよい。予め作製した熱可塑性樹脂シートやフィルムは、金属層(金属箔、蒸着やスパッタリングによる金属層)を含んでいてもよい。
本実施の形態のシート状積層体の製造方法では、熱可塑性樹脂のシートの押出成形時に、複合樹脂フィルムから熱可塑性樹脂のシートへ水系ポリウレタンの層を熱溶着により転写している。なお、複合樹脂フィルムから熱可塑性樹脂のシートへの水系ポリウレタン層の転写は押出成形後に行っても良い。しかし、水系ポリウレタン層の転写を押出成形後に行うと、シート状積層体の製造する際にバッチ方式を採用せざるを得ないため作業性・生産性が低下するおそれがある。そのため、本実施の形態のように、一連の操作の中で押出成形直後に転写を行って複合樹脂フィルムからシートへ水系ポリウレタンの層を熱溶着するのが好ましい。
本発明のシート状積層体は、通常は加熱成形加工を実施して製品となるものであるが、本発明のシート状積層体に施すことのできる加熱成形方法は、熱曲げ、エンボス加工、真空成形、圧空成形、アウトサート成形加工などの成形方法を適用することができる。
本発明のシート状積層体を加熱成形加工するとき、離型性樹脂フィルムを剥離してから実施してもよいし、貼り付けたまま実施してもよい。貼り付けたまま加熱成形加工を実施する場合は、離型性樹脂フィルムにより製品の表面を保護した状態を維持できるため好ましい。貼り付けたまま加熱成形加工を実施する場合としては、例えば、加熱成形加工を行って不要部分をトリミングした後に初めて離型性樹脂フィルムを剥離する場合である。なお、上述のとおり、離型性樹脂フィルムとして、耐熱性が高く、加熱成形加工時の伸展性が高い材料(ポリエチレンテレフタレート等)を採用すると、離型性樹脂フィルムを貼り付けたまま加熱成形加工を行っても加熱成形加工の形状付与性を妨げないため好都合である。
本発明のシート状積層体は、自動車用の内外装材、建築用の内外装材、物品の被覆・包装材、屋外看板などの用途に使用することができる。
以下製造例及び実施例を示して本発明のシート状積層体を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
分子量1000のポリカーボネートポリオール450g(0.90当量)、トリメチロールプロパン4g(0.089当量)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)222g(0.20当量)及びメチルエチルケトン100gを反応フラスコに仕込み、窒素気流下70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ6.28NCO%となったことを確認した。次いで、ジメチロールブタン酸29g[0.392当量(アルコール性水酸基)]を加え70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ、2.19NCO%となったことを確認した。次いで、トリエチルアミン19g(0.188当量)を添加し、50〜60℃にて30分反応させて、ポリウレタン(PU1)を得た。なお、NCO%の測定方法はJISK1556に準拠した方法で測定した。
分子量1000のポリカーボネートポリオール450g(0.90当量)、トリメチロールプロパン4g(0.089当量)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)222g(0.20当量)及びメチルエチルケトン100gを反応フラスコに仕込み、窒素気流下70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ6.28NCO%となったことを確認した。次いで、ジメチロールブタン酸29g[0.392当量(アルコール性水酸基)]を加え70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ、2.19NCO%となったことを確認した。次いで、トリエチルアミン19g(0.188当量)を添加し、50〜60℃にて30分反応させて、ポリウレタン(PU1)を得た。なお、NCO%の測定方法はJISK1556に準拠した方法で測定した。
水500g中にシリコーン系消泡剤0.2g、トリエチルアミン5.45g(0.054当量)を加え、攪拌した水溶液の中に上記で得られたポリウレタン(PU1)460g(60〜65℃)を加え、20〜40℃×15min攪拌を行った後、エチレンジアミン/水混合液25g(0.2当量)を滴下し、20〜40℃×10min攪拌した。その後アジピン酸ジヒドラジド5g(0.057当量)水溶液を加え20〜40℃×1時間攪拌し、NCO基消失まで攪拌を継続し、その後メチルエチルケトンを減圧条件化にて留去して水系ポリウレタンU−1を得た。
得られた水系ポリウレタンを、乾燥後の厚さが0.2mmになるよう離型性樹脂フィルム上に塗布し、120℃で1時間加熱硬化した。このように作製した水系ポリウレタンの硬化シートよりJIS2号試験片を切り出し、23℃、引張速度500mm/分で引張破断伸び率を測定したところ、400%であった。(以下も同様の条件にて測定した。)
[製造例2]
イソホロンジイソシアネート(IPDI)222g(2.0当量)を水添MDI(H−MDI)250g(1.91当量)とHDIイソシアヌレート15g(0.08当量)に変更する以外製造例1と同様の方法によって水系ポリウレタンU−2を得た。JIS2号試験片の引張破断伸び率は、300%であった。
[製造例2]
イソホロンジイソシアネート(IPDI)222g(2.0当量)を水添MDI(H−MDI)250g(1.91当量)とHDIイソシアヌレート15g(0.08当量)に変更する以外製造例1と同様の方法によって水系ポリウレタンU−2を得た。JIS2号試験片の引張破断伸び率は、300%であった。
[比較製造例1]
分子量1000のポリカーボネートポリオールに代えて1,4−ブタンジオール及びアジピン酸よりえら得る末端アルコール性OHを有する分子量1000のポリエステルポリオールを使用する以外、製造例1と同様の方法によって水系ポリウレタンHU−1を得た。JIS2号試験片の引張破断伸び率は、600%であった。
分子量1000のポリカーボネートポリオールに代えて1,4−ブタンジオール及びアジピン酸よりえら得る末端アルコール性OHを有する分子量1000のポリエステルポリオールを使用する以外、製造例1と同様の方法によって水系ポリウレタンHU−1を得た。JIS2号試験片の引張破断伸び率は、600%であった。
[比較製造例2]
分子量1000のポリエステルポリオール 144g(0.288当量)、トリメチロールプロパン24g(0.537当量)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)308g(2.77当量)及びメチルエチルケトン313gを反応フラスコに仕込み、窒素気流下70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ10.35NCO%となったことを確認した。次いで、ジメチロールブタン酸42g[0.568当量(アルコール性水酸基)]を加え70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ、6.96NCO%となったことを確認した。次いで、トリエチルアミン32g(0.317当量)を添加し、50〜60℃にて30分反応させて、ポリウレタン(HPU2)を得た。
分子量1000のポリエステルポリオール 144g(0.288当量)、トリメチロールプロパン24g(0.537当量)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)308g(2.77当量)及びメチルエチルケトン313gを反応フラスコに仕込み、窒素気流下70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ10.35NCO%となったことを確認した。次いで、ジメチロールブタン酸42g[0.568当量(アルコール性水酸基)]を加え70℃〜90℃にて2.5〜3.0時間反応させ、6.96NCO%となったことを確認した。次いで、トリエチルアミン32g(0.317当量)を添加し、50〜60℃にて30分反応させて、ポリウレタン(HPU2)を得た。
水780g中にシリコーン系消泡剤2g、トリエチルアミン4g(0.054当量)を加え、攪拌した水溶液の中に上記で得られたポリウレタン(HPU2)863g(60〜65℃)を加え、20〜40℃×15min攪拌を行った後、エチレンジアミン/水混合液61g(0.2当量)を滴下し、20〜40℃×10min攪拌した。その後アジピン酸ジヒドラジド11g(0.057当量)水溶液を加え20〜40℃×1時間攪拌し、NCO基消失まで攪拌を継続し、その後メチルエチルケトンを減圧条件化にて留去して水系ポリウレタンHU−2を得た。JIS2号試験片の引張破断伸び率は、80%であった。
製造例1で得られた水系ポリウレタン(U−1)100部に対して、エタノール5部ブチルセロソルブ10部及びレベリング剤としてBYK−348(ビッグケミー・ジャパン株式会社製)0.5部を増粘剤としてUH−540(株式会社ADEKA製)0.1部を加えて水性ポリウレタン塗料を調整した。この塗料を(P−1)とする。
製造例2で得られた水系ポリウレタンU−2も、上記と同様にして水性ポリウレタン塗料を調整した。この塗料を(P−2)とする。
比較製造例1で得られた水系ポリウレタン(HU−1)100部にエタノール5部ブチルセロソルブ10部及びレベリング剤としてBYK−348(ビッグケミー・ジャパン株式会社)0.5部を増粘剤としてUH−540(株式会社ADEKA製)0.1部を加えて水性ポリウレタン塗料を調整した。この塗料を(HP−1)とする。
比較製造例2で得られた水系ポリウレタンHU−2も、上記と同様にして水性ポリウレタン塗料を調整した。この塗料を(HP−2)とする。
[実施例1]
25μm厚の無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に7μm厚になるように水系ポリウレタン塗料(P−1)を塗布した。この時の塗布条件は、ポリエチレンテレフタレートフィルムを10m/minの速度で移送しながら、その片面にダイコートにより塗布を行う。続いて、40〜120℃の乾燥炉内を移送しながら十分に乾燥を行う。このように製造した複合樹脂フィルムを一旦ロール状に巻き上げておく。
25μm厚の無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に7μm厚になるように水系ポリウレタン塗料(P−1)を塗布した。この時の塗布条件は、ポリエチレンテレフタレートフィルムを10m/minの速度で移送しながら、その片面にダイコートにより塗布を行う。続いて、40〜120℃の乾燥炉内を移送しながら十分に乾燥を行う。このように製造した複合樹脂フィルムを一旦ロール状に巻き上げておく。
約230℃に溶融したアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂を2mm厚のシート状に押出成形し、まだ熱い溶融状態のシートに、上記ロール状物から引出した複合樹脂フィルムの水系ポリウレタン層側を重ねて一体に貼り付け、シート状積層体(S−1)を製造した。
[実施例2]
実施例1において、水系ポリウレタン塗料(P−1)を水系ポリウレタン塗料(P−2)に代える以外は実施例1と同様にしてシート状積層体(S−2)を製造した。
実施例1において、水系ポリウレタン塗料(P−1)を水系ポリウレタン塗料(P−2)に代える以外は実施例1と同様にしてシート状積層体(S−2)を製造した。
[実施例3]
実施例1において、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代える以外は実施例1と同様にしてシート状積層体(S−3)を製造した。
実施例1において、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代える以外は実施例1と同様にしてシート状積層体(S−3)を製造した。
[実施例4]
実施例3において、離型性樹脂フィルムである無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がしたシート状積層体(S−4)を製造した。
実施例3において、離型性樹脂フィルムである無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がしたシート状積層体(S−4)を製造した。
[比較例1]
25μm厚の無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に7μm厚になるように水系ポリウレタン塗料(HP−1)を塗布した。塗布条件は、実施例1に準じ、複合樹脂フィルムを一旦ロール状物に巻き上げておく。
25μm厚の無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に7μm厚になるように水系ポリウレタン塗料(HP−1)を塗布した。塗布条件は、実施例1に準じ、複合樹脂フィルムを一旦ロール状物に巻き上げておく。
以下、実施例1と同様にしてシート状積層体(HS−1)を製造した。
[比較例2]
2mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シート上に7μm厚になるように水系ポリウレタン塗料(U−1)を直接塗布しシート状積層体(HS−2)を製造した。塗布にはバーコータを用い、80℃で乾燥し塗布層を硬化した。
2mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シート上に7μm厚になるように水系ポリウレタン塗料(U−1)を直接塗布しシート状積層体(HS−2)を製造した。塗布にはバーコータを用い、80℃で乾燥し塗布層を硬化した。
[比較例3]
熱可塑性樹脂のシート表面に半硬化樹脂層を構成するための樹脂液として、単官能アクリレート/水酸基含有アクリルアクリレート(OH当量40)/光硬化剤/アダクトタイプポリイソシアネート(熱硬化助剤)を、25/75/5/5の質量部割合でトルエンに溶解したものを準備した。
熱可塑性樹脂のシート表面に半硬化樹脂層を構成するための樹脂液として、単官能アクリレート/水酸基含有アクリルアクリレート(OH当量40)/光硬化剤/アダクトタイプポリイソシアネート(熱硬化助剤)を、25/75/5/5の質量部割合でトルエンに溶解したものを準備した。
上記樹脂液を、長尺の熱溶着性樹脂フィルム(厚み75μmのPMMAフィルム)に塗布し、80℃の熱風乾燥炉内を移送して20μm厚の半硬化樹脂層を構成した。そして、半硬化樹脂層表面を透明な(紫外線透過領域を含む)離型性樹脂フィルムで被覆して、複合樹脂フィルムとしロール状に巻き取った。
押出成形した2mm厚のまだ熱いアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シートに、上記複合樹脂フィルムをロールから引き出しながら、その熱溶着性樹脂フィルム側を熱溶着により順次貼り合せ、熱可塑性樹脂多層シートを構成した。これら熱可塑性樹脂多層シートは、一定寸法に裁断し積み重ねて一時保管した。
上記の熱可塑性樹脂多層シートを所定寸法に整え、高さ40mm、幅90mm、長さ150mmで伸展度が約2.4倍の箱型成形品に真空成形した。真空成形後に、離型性樹脂フィルムを通して、メタルハライドランプを光源とする紫外線を18mW/cm2の線量で、成形品の半硬化樹脂層に1分間照射し、ハードコート層を形成した。このようにして、シート状積層体(HS−3)を製造した。
[比較例4]
押出成形により、2mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シート(HS−4)を製造した。
押出成形により、2mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シート(HS−4)を製造した。
[比較例5]
2mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シート上に10μm厚になるように焼付け塗装用アクリル樹脂系塗料を直接塗布しシート状積層体(HS−5)を製造した。塗布は吹き付け塗装で行い、80℃で乾燥し塗布層を硬化した。
2mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂シート上に10μm厚になるように焼付け塗装用アクリル樹脂系塗料を直接塗布しシート状積層体(HS−5)を製造した。塗布は吹き付け塗装で行い、80℃で乾燥し塗布層を硬化した。
[比較例6]
実施例1において、水系ポリウレタン塗料(P−1)を水系ポリウレタン塗料(HP−2)に代える以外は実施例1と同様にしてシート状積層体(HS−6)を製造した。
実施例1において、水系ポリウレタン塗料(P−1)を水系ポリウレタン塗料(HP−2)に代える以外は実施例1と同様にしてシート状積層体(HS−6)を製造した。
[性能評価]
上記実施例及び比較例により得られたシート状積層体を用いて以下の性能評価を実施した。その結果を表1に示した。
上記実施例及び比較例により得られたシート状積層体を用いて以下の性能評価を実施した。その結果を表1に示した。
(耐温水性)
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、70℃温水中に300時間浸漬した後の水系ポリウレタン樹脂被覆面を目視により観察し、○、△または×の3段階で評価した(○:変化なし、△:表面がわずかに白化、×:表面が白化)。
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、70℃温水中に300時間浸漬した後の水系ポリウレタン樹脂被覆面を目視により観察し、○、△または×の3段階で評価した(○:変化なし、△:表面がわずかに白化、×:表面が白化)。
(耐傷付き性)
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、水系ポリウレタン樹脂被覆面を#0000番手のスチールウールを用いて5N荷重で毎分30往復の速さで10往復した際の傷付きの有無を目視により観察し、○、△または×の3段階で評価した(○:変化なし、△:わずかに傷付きがみられる、×:傷付きが激しい)。
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、水系ポリウレタン樹脂被覆面を#0000番手のスチールウールを用いて5N荷重で毎分30往復の速さで10往復した際の傷付きの有無を目視により観察し、○、△または×の3段階で評価した(○:変化なし、△:わずかに傷付きがみられる、×:傷付きが激しい)。
(耐薬品性)
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、樹脂被覆面をメタノール及びメチルエチルケトン(MEK)を滲み込ませたガーゼで5回拭き、乾燥後の表面状態を目視により観察し、○、△または×の3段階で評価した(○:変化なし、△:わずかに白濁する、×:膨潤や塗膜がはがれる)。
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、樹脂被覆面をメタノール及びメチルエチルケトン(MEK)を滲み込ませたガーゼで5回拭き、乾燥後の表面状態を目視により観察し、○、△または×の3段階で評価した(○:変化なし、△:わずかに白濁する、×:膨潤や塗膜がはがれる)。
(美装性/クラック)
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、高さ40mm、幅90mm、長さ150mmで伸展度が約2.4倍の箱型成形品に真空成形する前(成形前)および真空成形した後(成形後)における成形品表面のクラック発生の有無を目視で確認し、○、△または×の3段階で評価した(○:クラック発生なし、△:クラック発生ないが荒れている、×:クラック発生あり)。
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、高さ40mm、幅90mm、長さ150mmで伸展度が約2.4倍の箱型成形品に真空成形する前(成形前)および真空成形した後(成形後)における成形品表面のクラック発生の有無を目視で確認し、○、△または×の3段階で評価した(○:クラック発生なし、△:クラック発生ないが荒れている、×:クラック発生あり)。
(美装性/光沢)
上記の美装性(光沢)評価と同様の条件で真空成形する前(成形前)および真空成形した後(成形後)における成形品表面の光沢の有無を目視で確認し、○、△または×の3段階で評価した(○:表面が滑らかで光沢がある、△:表面は滑らかであるが光沢がない、×:表面が荒れて光沢がない)。
上記の美装性(光沢)評価と同様の条件で真空成形する前(成形前)および真空成形した後(成形後)における成形品表面の光沢の有無を目視で確認し、○、△または×の3段階で評価した(○:表面が滑らかで光沢がある、△:表面は滑らかであるが光沢がない、×:表面が荒れて光沢がない)。
(リサイクル性)
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、粉砕機にて粉砕した後、再度押出成形により樹脂シートを製造した時の表面状態を、○または×の2段階で評価した(○:シート表面に異物が認められず滑らかで光沢がある、×:シート表面に多数の異物が発生し荒れていて光沢が無い)。
上記により得られたシート状積層体(離型性樹脂フィルムが積層されたシート状積層体については離型性樹脂フィルムを剥がした後のシート状積層体)について、粉砕機にて粉砕した後、再度押出成形により樹脂シートを製造した時の表面状態を、○または×の2段階で評価した(○:シート表面に異物が認められず滑らかで光沢がある、×:シート表面に多数の異物が発生し荒れていて光沢が無い)。
表1から明らかなように、まず比較例1(HS−1:熱可塑性樹脂のシートに対してポリエステル系水系ポリウレタンの層を転写法により積層して得られるシート状積層体)については、耐温水性が悪い結果となった。この結果は、ポリエステル結合の加水分解に起因する白化によるものであると考えられる。比較例2(HS−2:熱可塑性樹脂シートに対してポリカーボネート系水系ポリウレタンを直接塗布法により積層して得られるシート状積層体)については、加熱成形加工後の成形品として光沢の劣るものしか得られなかった。比較例3(HS−3:アクリル系塗料を使用したシート状積層体)については、加熱成形加工後の成形品にクラックが生じ、かつ光沢が劣り、さらにリサイクル性が劣る結果となった。
また、比較例4(HS−4:ABS樹脂シートのみを使用したシート状積層体)については、傷付き性および耐薬品性が悪い結果となった。比較例5(HS−5:アクリル系塗料を使用したシート状積層体)については、加熱成形加工後の成形品にクラックが生じ、またリサイクル性が劣る結果となった。比較例6(HS−6:十分な伸び率が無い水系ウレタンの層を転写法により積層して得られるシート状積層体)については、加熱加工後の成形品にクラックが生じ、また光沢が劣る結果となった。比較例6において、成形品にクラックが生じた理由としては、加熱成形加工時の熱可塑性樹脂シートの伸びに水系ポリウレタンの塗膜が十分に追従しないことが考えられる。
これに対して、実施例1および実施例2(S−1,S−2:熱可塑性樹脂のシートに対してポリカーボネート系水系ポリウレタンの層を転写法により積層して得られるシート状積層体)については、耐水性、耐傷付き性、耐薬品性が良好で、加熱成形加工の前後に拘わらずクラックの発生は無くかつ光沢があり(美装性に優れ)、かつリサイクル性が良好な成形品が得られた。
また、実施例3及び実施例4(S−3,S−4:無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたシート状積層体)については、実施例1及び2とほぼ同様に、耐水性、耐傷付き性、耐薬品性が良好で、美装性に優れ、かつリサイクル性が良好な成形品が得られた。なお、実施例3では、離型性樹脂フィルムを貼り付けたまま加熱成形加工をすることができない。これは離型性樹脂フィルムが伸展性のない2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであるため、加熱成形加工時の熱可塑性樹脂シートの伸びに2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの伸びが追従できなことによるものと考えられる。しかしながら、実施例3において離型性樹脂フィルムを剥がした実施例4を用いることで、離型性樹脂フィルムの影響を受けずに真空成形が可能となる上に、上述のとおり実施例1および実施例2と同様の効果が得られる。
このように、本発明の実施の形態によれば、耐水性、耐傷付き性、耐薬品性が良好で、加熱成形加工の前後に拘わらずクラックの発生は無くかつ光沢を有し(美装性に優れ)、かつリサイクル性が良好な成形品が得られる。したがって、本実施の形態のシート状積層体は、自動車用の内外装材、建築用の内外装材、物品の被覆・包装材、屋外看板などの用途に使用することができる。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂のシートに対して水系ポリウレタンの層を積層してなるシート状積層体であり、前記水系ポリウレタンが、引張破断伸び率(厚さ0.2mmのJIS2号試験片を用い、23℃、引張速度500mm/分で測定したときの値)が100〜800%のポリカーボネート系水系ポリウレタンであり、かつ前記熱可塑性樹脂のシートに前記水系ポリウレタンの層が転写法によって積層されてなることを特徴とするシート状積層体。
- 前記ポリカーボネート系水系ポリウレタンが、ポリオール化合物、有機ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤からなり、前記ポリオール化合物成分中に、ポリカーボネートポリオールが40〜95モル%含まれている請求項1に記載のシート状積層体。
- 前記ポリカーボネートポリオールが、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール及びシクロヘキサンジメタノールから選択された少なくとも一種である請求項2に記載のシート状積層体。
- 前記ポリオール化合物成分中に、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールが含まれている請求項2又は3に記載のシート状積層体。
- 前記熱可塑性樹脂が、ABS樹脂である請求項1、2、3または4に記載のシート状積層体。
- 前記熱可塑性樹脂シートに転写法によって積層された前記水系ポリウレタンの層は、離型性樹脂フィルム上に塗膜形成された前記水系ポリウレタンが、前記熱可塑性樹脂のシートの押出成形直後に前記熱可塑性樹脂のシートに積層されて熱溶着されたものである請求項1、2、3、4または5に記載のシート状積層体。
- 前記離型性樹脂フィルムが、加熱成形加工により伸展可能なポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムから選ばれた1種であることを特徴とする請求項6に記載のシート状積層体。
- 前記離型性樹脂フィルムが透明である請求項6又は7に記載のシート状積層体。
- 真空成形加工用に供されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1つに記載のシート状積層体。
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