JP2008021964A - 導電膜及びその製造方法、並びに透光性電磁波シールド膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁波シールド能を有し、かつ表面が黒化層で覆われたパターン状の導電性金属膜を透明支持体上に設けてなる透光性電磁波シールド膜であって、該黒化層がニッケル/亜鉛の質量比が0.5〜50であるニッケルと亜鉛の合金からなることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
【選択図】なし
Description
しかしながら、上記のシールド層の形成材料となる例えば銅箔は、金属光沢を有するのでパネル外部からの光を反射し、画面のコントラストが悪くなる他、銅箔の反射色が見える問題がある。また画面内から発生する光をも反射し、表示パネルの画像表示品質が悪くなるという問題がある。
特に、プラズマディスプレイパネル用銅箔の黒化処理被膜としては、黒化処理被膜の面が均一でスジむらの発生がないか又は極めて少ないこと、エッチング性が良好であること、経時での変色が小さいこと、黒化処理層が剥れにくいこと(密着性に優れること)などが望まれる。
であり、これをPDP用の電磁波シールド膜に適用しようとすると、経時での変色が大きく問題であった。
例えば、特許文献6では、銀塩を含有する感光材料を露光および現像処理し、さらに現像銀に物理現像またはめっき処理を加えることによって電磁波シールド膜を製造する方法が開示されている。特許文献6によれば、他の方式に比べて細線パターンを精密に形成でき、高い透明性、安価に大量生産が可能などのような優れた電磁波シールド膜が得られるとされている。
さらに、電磁波シールド層として望ましくは、プラズマディスプレイパネルの保護膜としての機能、電磁波防止機能、近赤外線防止機能、色調補正機能、迷光防止機能、外光遮断機能を持つと同時に、黒化処理被膜の上記の性状・特性をも備えていることが特に要求されている。従来は、これらの機能を満足させるプラズマディスプレイパネル用金属メッシュはなかったと言える。
本発明の更なる目的は、上記性能に加えて、安価で高い生産性を維持しつつ、光透過率が高く、かつ経時での色味変化が改善され密着性に優れた透光性電磁波シールド膜を提供することである。尚、本発明の透光性電磁波シールド膜を住宅又は工場などの窓ガラスに張って使用したり、自動車の窓ガラスにはって使用したりすることも可能であり、その他の用途として提供することも可能である。
本発明の透光性電磁波シールド膜は、電磁波シールド能を有し、かつ表面が黒化層で覆われたパターン状の導電性金属膜を透明支持体上に設けてなる透光性電磁波シールド膜であって、該黒化層がニッケル/亜鉛の質量比が0.5〜50(好ましくは0.8〜20、さらに好ましくは0.5〜2.0)であるニッケルと亜鉛の合金を含有する。
前記導電性金属膜を構成する金属の総量は、0.2〜10.0g/m2であることが好ましい。
前記ニッケルと亜鉛の合金の合計量は、0.06〜5.0g/m2であることが好ましい。
前記導電性金属膜は、銀0.05〜2.0g/m2(好ましくは0.1〜1.0g/m2)および銅0.2〜10g/m2(好ましくは0.2〜5.0、より好ましくは1.0〜4.0g/m2)を含有し、かつ黒化層が、ニッケル0.06〜2.0g/m2(好ましくは0.08〜1.0g/m2)および亜鉛0.02〜2.0g/m2(好ましくは0.06〜2.0g/m2、さらに好ましくは0.08〜1.0g/m2)を含有することが好ましい。
前記導電性金属膜を構成する金属は、銀及び/又は銅であることが好ましい。
前記導電性金属膜が、銀を含有する銀層と銅を含有する銅層の2層構成であることが好ましい。このとき、銀層が支持体上に形成され、その後、銅層が銀層上に形成される。このような導電性金属膜としては、支持体上に銀塩を含有する銀塩含有層を有する銀塩感光材料を露光して現像することにより形成された現像銀層と、前記現像銀層上に電解めっきによって形成された金属層とを含むものがある。このとき、現像銀層はパターン状に形成されることが好ましい。
前記透光性電磁波シールド膜は、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物から選ばれる少なくとも1種を0.03〜0.3g/m2含有することが好ましい。
前記透光性電磁波シールド膜は、ゼラチンを含有することが好ましい。
また、本発明の導電膜は、支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された導電性金属膜と、前記導電性金属膜上に形成された黒化層とを有する導電膜であって、前記黒化層がニッケル及び亜鉛を含有し、ニッケル及び亜鉛の質量比が下記式(1)を満たす。また、本発明の導電膜は、上記透光性電磁波シールド膜の各構成を採用することが好ましい。
Ni:Za=0.5:1〜50:1 (1)
また、本発明の導電膜の製造方法は、支持フィルムと前記支持フィルム上に形成された銀塩含有層とを有する銀塩感光材料を露光して現像し、金属銀部を形成する工程と、
前記金属銀部にめっきを施しめっき層を形成するめっき工程と、
ニッケルおよび亜鉛を含有するめっき液を用いて、ニッケル及び亜鉛の質量比が下記式(1)を満たす黒化層を、前記めっき層上に形成する黒化層形成工程と、を有する。
Ni:Za=0.5:1〜50:1 (1)
上記本発明の導電膜を製造する場合、黒化層形成工程でめっき液中のニッケルおよび亜鉛の質量比を、得られる黒化層のニッケル及び亜鉛の質量比が上記範囲になるように設定することで、めっきムラが抑制され、均一な黒化層が形成できる。したがって、本発明の導電膜は、視認性に優れる。ニッケル及び亜鉛の質量比が上記下限値未満の場合には、銀塩感光材料から剥離した透明成分(例えば、ゼラチン)が増加し、めっき後の導電膜に透明成分が付着し、外観不良となる。また、上記上限値を超えると、黒味が不十分となり、外観不良となる。なお、このような外観不良は、PDP用途に使用する場合には、製品不良とみなされ、製品の生産効率を低下させる要因となる。また、金属銀部を細線メッシュ状に形成することことが好ましい。
また、黒化層形成工程では、前記黒化層がニッケルおよび亜鉛を含有する第一黒化めっき液、並びにニッケルおよび亜鉛を含有する第二黒化めっき液を用いて2段階以上で形成され、第一めっき液のニッケルの含有比が前記第二めっき液のニッケルの含有比よりも大きいことが好ましい。このとき、黒化層は2層以上からなる。2層以上からなる黒化層は、表層の黒化層ほど、亜鉛含有量がニッケルの含有量より大きいことが好ましい。この製造方法によれば、透明成分の析出がより抑制され、外観不良をさらに十分に抑制できる。
黒化層を2段階以上で形成する場合、外観不良を抑制するという観点から、前記第一めっき液のニッケルおよび亜鉛の含有モル比が下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(2-a)を満たすことがより好ましく、この処理が第二めっき液の前段に行われることが好ましい。
Ni:Za=10:1〜100:1 (2)
Ni:Za=20:1〜60:1 (2-a)
また、第二めっき液のニッケルおよび亜鉛の含有モル比が下記式(3)を満たすことが好ましく、下記式(3-a)を満たすことがより好ましい。
Ni:Za=1:1〜20:1 (3)
Ni:Za=2:1〜10:1 (3-a)
さらに、これらをフレキシブル配線板やプラズマディスプレイに組み込んで導電性や電磁波遮蔽性能を向上させることが出来る。
このような特定のNi/Zn質量比のニッケル・亜鉛合金を用いたことが黒化層の安定性を高めて長期の、又は高温度、高湿度のもとでの経時性を向上させ、しかも膜表面の光反射を効果的に抑制して、発明の目的を達成させている。そしてこの黒化層を表面に担持する金属膜がメッシュ状の銀を基体とした金属である場合、とくにハロゲン化銀感光材料を現像して得た現像銀を基体とした金属である場合に黒化層の黒さ(低反射性)と密着性(耐剥離性)が向上して電磁波シールド膜としての性能を更に高めている。ここで、「銀を基体とした金属」とは銀自体及び銀の上に銅などの銀表面へのめっき可能な金属層を設けた金属又は合金を指す。
現像銀を基体とした場合の本発明の電磁波シールド膜としての上記の優れた特性は、使用した感光材料の感光層のバインダーであるゼラチンの保護作用の寄与に基いているものと推定している。また、感光材料中には、ハロゲン化銀粒子のかぶり防止のために感光層中にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物か含まれる場合が多いが、本発明においては、感光材料中での上記効果とは関係はないが、シールド膜中にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物を含有させると膜の経時安定性が向上することが判明した。
しかしながら、前記のように銀塩感光材料に後述する操作を施した現像済みフィルムが、本発明の適用対象として特に好ましいので、以下の導電性シールド膜の材料及び作製方法は、銀塩感光材料を用いる方法に準拠して説明するが、これに限定されるものではない。
また、フィルムは銀のメッシュ状パターン(銀メッシュパターン)を有するフィルムであることが望ましく、フィルム上の銀メッシュパターンは連続している(電気的に途切れていない)ことが好ましい。一部でも繋がっていればよく、導電性パターンが途切れると第1槽目の電解めっき槽でめっきがつかない部分ができたり、ムラになったりするおそれがある。この連続した銀メッシュパターン上に上記めっき処理を施すことで銀メッシュ上に導電性金属被膜が形成され、めっき処理後のフィルム(導電性膜)は、例えば絶縁体フィルム上に形成されるプリント配線基板、PDP用電磁波シールド膜等として有用である。
なお、一般的には「メッシュ」は、篩の目の密度を表すものとしても用いられるが、本明細書で「メッシュ」とは、当業界の慣用的用法で網目状の金属パターンを指している。
本発明は、前述のように、銀塩乳剤層を支持体上に有する写真乳剤にメッシュ状パターン露光と現像処理して得られる銀メッシュパターンに適用することが最も好ましい態様であり、銀メッシュパターンは本発明のめっき処理によって凹凸がなくかつ堅牢な透光性電磁波シールド膜となる。したがって、以下に銀塩乳剤から透光性電磁波シールド膜を得る一連の工程のうち、めっき処理以外について説明する。
[乳剤層]
上記感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む乳剤層を有することが好ましい。支持体上に乳剤層を形成するには、公知の塗布技術を用いて行うことが可能である。また、乳剤層には、銀塩乳剤のほか、必要に応じて、染料、バインダー、溶媒等を含有することができる。以下、乳剤層を構成する各成分について説明する。
(染料)
乳剤層には染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
銀塩乳剤としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩および酢酸銀などの有機銀塩が挙げられ、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施形態に係る感光材料においても用いることができる。
ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
て調製することができる。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号等の各公報に記載されている。
好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は、用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号広報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く銀を成長させることが好ましい。
乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
〔ML6〕‐n
(ここで、MはRu、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。)
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Br5〕-2、〔OsCl6〕-3、〔OsCl5(NO)〕-2、〔Os(NO)(CN)5〕-2、〔Os(NS)Br5〕-2、〔Os(CN)6〕-4、〔Os(O)2(CN)5〕-4。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀の表層に存在させることも好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーを用いることができる。バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であることが好ましく、50〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
感光材料に用いられる支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
プラスチックフィルムおよびプラスチック板の厚みは200μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm〜180μm、最も好ましくは50μm〜120μmである。
感光材料には、乳剤層上にゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる保護層を設けていてもよい。保護層を設けることにより擦り傷防止や力学特性を改良することができる。しかし、保護層はめっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方(厚みが例えば0.2μm以下)が好ましい。上記保護層の塗布方法の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
本発明の導電膜の製造方法は、上記の感光材料を露光して現像し、金属銀部を形成する工程と、前記金属銀部にめっきを施しめっき層を形成するめっき工程(導電性金属膜形成工程)と、ニッケルおよび亜鉛を含有するめっき液を用いて、ニッケル及び亜鉛の質量比が下記式(1)を満たす黒化層を、前記めっき層上に形成する黒化層形成工程と、を有する。なお、金属銀部は、メッシュパターン状とすることが好ましい。
Ni:Za=0.5:1〜50:1 (1)
[露光]
露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもでき、リス現像液としては、KODAK社製のD85などを用いることができる。
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/Lの量で用いられるのが好ましく、0.23モル/L以上で使用するのがより好ましく、さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/Lの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/L、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/L、後者を0.06モル/L以下、さらに好ましくは0.03モル/L〜0.003モル/Lの量で用いるのが好ましい。
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。
すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。定着液に用いられる定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどが挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物などが挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
水洗処理または安定化温度における浴温度および時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
また、物理現像は、上記現像処理と同時に行っても現像処理後に別途行ってもよい。
現像処理後の現像銀部に酸化処理を施してもよい。酸化処理を行うことにより、例えば、現像銀部以外の光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光および現像処理後、或いは物理現像またはめっき処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像またはめっき処理後のそれぞれで行ってもよい。
さらに露光および現像処理後の現像銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により電解めっきまたは物理現像速度を促進させることができる。
特に、ゼラチンを含有する感光材料をめっきする場合、その前処理として硬膜処理することが好ましい。硬膜剤としては、グルタルアルデヒド、ミョウバン、ホルムアルデヒドなどが好ましく用いられる。
本発明では、前記露光および現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像および/またはめっき処理を行う。本発明では物理現像またはめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。尚、金属銀部に物理現像および/またはめっき処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
<無電解めっき>
本発明では、露光および現像処理後の金属銀部を、さらに無電解めっき用溶液で処理することもできる。無電解めっきには、パラジウム化合物水溶液で処理する方法、還元剤又は銀イオン配位子あるいはその両方で処理する方法が好ましい。
前者については、露光および現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することによって行われる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっきまたは物理現像速度を促進させることができる。パラジウムによる無電解めっきは、日本科学会編、化学便覧応用化学編の「無電解めっき」の章に詳記されている。
無電解めっきを行う場合は、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
無電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤として、ホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子として、EDTA,トリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性向上の為の添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。
還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元可能であればよく、例えば、二酸化チオ尿素、ロンガリット、塩化錫(II)、水素化ホウ素ナトリウム、ソジウムトリアセトキシボロハイドライド、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン、ピリジンボラン、ボランなどが挙げられる。
銀イオン配位子としては、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、チオシアネートイオンなどの擬ハロゲンイオン、ピリジン、ビピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物、亜硫酸イオン、また、1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート類(例えば、1,2,4-トリメチル-1,2,4-トリアゾリウム-3-チオラート)などのメソイオン化合物、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールなどのチオエーテル化合物などが
挙げられる。
以下に電解めっき処理方法の好ましい態様について図面を参照して具体的に説明する。上記の電解めっき処理を好適に実施するためのめっき装置は、乳剤層を露光し、現像処理したフィルムが巻き付けられた繰り出し用リール(図示せず)から、順次繰り出されたフィルムを電気めっき槽に送り込み、めっき後のフィルムを巻取り用リール(図示せず)に順次巻き取る構成となっている。
アノード板13は、電線(図示せず)を介して電源装置(図示せず)のプラス端子に接続され、給電ローラ12a,12bは、電源装置(図示せず)のマイナス端子に接続されている。
まずめっき浴11にめっき液15を貯留する。めっき液としては、銅めっきの場合は、銅供給源化合物として、硫酸銅、シアン化銅、ホウフッ化銅、塩化銅、ピロリン酸銅炭酸銅等の1つ以上を含む銅めっき液が挙げられる。建浴費が安く、管理が容易などの点から硫酸銅を含むめっき液を用いることが好ましく、硫酸銅五5水和塩あるいは予め水に溶かした硫酸銅水溶液を用いることがより好ましい。
銅めっき液において、前記以外の銅イオン源としては、通常酸性溶液において溶解するとともにpH3以下の酸性銅めっき液を形成できればる銅化合物である限り特に制限はないなく用いることができる。この前記以外の銅イオン源の具体例としては、酸化銅、メタンスルホン酸銅、プロパンスルホン酸銅などのアルカンスルホン酸銅、プロパノールスルホン酸銅などのアルカノールスルホン酸銅、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などの有機酸銅及びその塩などがあげられる。銅化合物は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
通常、電解めっきを行う場合、めっき液における銅イオン濃度は80g〜100g/Lとすることが多い。しかしながら、本発明のように表面抵抗が高いフィルムに電解めっきを行う場合、電子が広い面積に行き渡りにくいため、単位面積当りの電流密度が高くなり、通常用いられる範囲の銅イオン濃度では電子の供給に対して銅イオンの供給が追いつかず、フィルム表面で水素が発生して質の悪い銅めっき(いわゆる「焦げ」)が付着し、均一にムラなくめっき被膜を形成することが困難となる。そこで、本発明では、めっき液の銅イオン濃度を150g/L以上とすることが好ましく、この「焦げ」の発生を防止し、均一でムラのないめっき被膜形成することができる。
なお、銅イオン濃度を300g/L以下を好ましい範囲としたのは、300g/Lを超えて使用しても効果がほとんど増大せず不経済であり、また、溶解に時間が掛かる、析出し易い等の問題があるためである。
次に、銅めっき液に添加する有機系添加剤について説明する。有機系添加剤は、めっき反応を抑制する有機化合物(めっき抑制剤)、めっき反応を促進する有機化合物(めっき促進剤)及びめっき過程で電着形成する姻族膜を平坦化する有機化合物(めっき平坦化剤)であり、これらから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することが好ましく、2種以上を組み合わせて含有することがより好ましく、特にめっき反応を抑制する有機化合物、めっき反応を促進する有機化合物及びめっき成長を平坦化する有機化合物の全てを併用して添加することが最も好ましい。
ポリマー成分としては、ポリアルキレングリコール類が好ましく、その場合のアルキレン基の炭素数は2〜8が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合型(プルロニック型)界面活性剤、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールグラフト共重合型(テトロニック型)界面活性剤、グリセリンエーテル、ジアルキルエーテルからなる群から選ばれる化合物を用いることができ、好ましくは分子量1000〜10000、より好ましくは2000〜6000のポリエチレングリコール、分子量100〜5000、より好ましくは200〜2000のポリプロピレングリコール、分子量1000〜10000、より好ましくは1500〜4000のポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合体が挙げられ、2000〜6000のポリエチレングリコールが最も好ましい。なお、水溶性基を有する鎖状ポリマーポリマー成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリマー成分の濃度としては、10〜5000mg/Lが好ましく、50〜2000mg/Lがより好ましい。
窒素化合物としては、ポリアルキレンイミン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン塩、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート4級塩、ポリビニルピリジン4級塩、ポリビニルアミジン、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン酸、オーラミンおよびその誘導体、メチルバイオレットおよびその誘導体、クリスタルバイオレットおよびその誘導体、ヤヌスブラックおよびその誘導体、ヤヌスグリーンからなる群から選ばれる化合物を用いることができる。なお、窒素化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。窒素化合物の濃度としては、0.1〜1000mg/Lが好ましく、0.5〜150mg/Lがより好ましい。
銅めっき槽の総数の和は、好ましくは2〜40槽であり、さらに好ましくは4〜30槽であり、とくに好ましくは10〜20槽である。前記銅めっき液の前半に対する後半の槽数の比は、0.5〜2.0が好ましい。
銅めっき液の浴温は、15〜40℃が好ましく、20〜35℃が特に好ましい。
アノード板13および給電ローラ12a,12bに電圧を印加し、フィルム16を給電ローラ12a,12bに接触させながら搬送する。フィルム16をめっき浴11に導入し、めっき液15に浸せきして銅めっきを形成する。液切りローラ17間を通過する際に、フィルム16に付着しためっき液15を拭い取り、めっき浴11に回収する。これを複数の電解めっき槽で繰り返し、最後に水洗した後、巻取りリール(図示せず)に巻き取る。
フィルム16の搬送速度は、1〜30m/分の範囲で設定される。フィルム16の搬送速度は、好ましくは、1〜10m/分の範囲であり、より好ましくは、2〜5m/分の範囲である。
給電ローラ12a,12bはフィルム全面(接触している面積のうちの実質的に電気的に接触している部分が80%以上)と接触していることが好ましい。
次に電磁波シールド膜に好ましく施される防錆処理及びその処理によって膜中に含まれる防錆剤について説明する。
本発明において、電磁波シールド膜に含ませるのが好ましい防錆剤は、シールド膜作製用の材料である感光材料中(例えば乳剤層中や表面保護粗中)に含まれていてもよく、該感光材料をパターン露光後現像処理する際の現像液中、定着液中または安定液中に含まれていて処理中にシールド膜中に取り込まれてもよく、あるいは現像処理後の電解めっき液や無電解めっき液、酸化液、さらには独立の防錆剤浴中に含まれていて処理中にシールド膜中に取り込まれてもよい。特に、後述する黒化処理後に防錆剤浴に浸漬して防錆剤を膜中に取り込ませることが最も好ましい。
防錆剤は、メッシュ状の細線に吸着しているものと推定され、その状態で防錆・安定化効果を発揮するものと考えられ、経時後の色味変化を低減する効果がある。本発明の黒化層を形成した後に、防錆剤を吸着させた方が吸着効率が著しく高くなり、好ましい吸着量を吸着させることが可能となる。防錆剤の好ましい吸着量は0.01〜0.5g/m2、特に好ましくは0.03〜0.3g/m2である。吸着量が少なすぎると経時後の色味変化を抑える効果が小さくなり、多すぎると黒化層の密着性を悪化させる。
本発明に用いられる防錆剤としては、含窒素ヘテロ環化合物や有機メルカプト化合物が好ましく、中でも含窒素ヘテロ環化合物が好ましく用いられる。
含窒素有機ヘテロ環化合物の好ましい例は、5−又は6-員環アゾール類が好ましく、中でも5-員環アゾール類が好ましい。本発明に用いられる防錆剤としては、含窒素有機ヘテロ環化合物や、有機メルカプト化合物が好ましく用いられ用いられる。
ヘテロ環としては例えばテトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環等があげられる。Ra1はカルボン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩)、スルホン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩)、ホスホン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、置換もしくは無置換のアミノ基(例えば無置換アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルアミノ、ビスメトキシエチルアミノ)、置換もしくは無置換のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルベンジルアンモニウム)を表す。
即ち、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾインダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピリジン、キノリン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、キノキサリン、モルホリンなどが挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、などの置換基を有してよい。
好ましい含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン環、ピリミジン、4−メチルピリミジン、ピリジン、ピロリンがあげられる。
アルキルメルカプト化合物としては、システインやチオリンゴ酸などが挙げられ、アリールメルカプト化合物としては、チオサリチル酸などが挙げられ、ヘテロ環メルカプト化合物としては、2−フェニル-1−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾイミ
ダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトピリミジン、2,4−ジメルカプトピリミジン、2−メルカプトピリジンなどが挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、などの置換基を有してよい。
本発明の防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、テトラゾール、5-アミノテトラゾール、5-メチルテトラゾール、5-フェニルテトラゾールが特に好ましく、ベンゾトリアゾールが最も好ましい。
防錆剤水溶液は、防錆剤化合物を、1リットル中、0.0001〜0.1molの濃度、好ましくは0.001〜0.05molの濃度として含有するのが好ましい。防錆剤の可溶化剤として、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類またはジエチレングリコールなどのグリコール類を添加して用いることができ、メタノール、エタノールが特に好ましい。また、水溶液のpHは、防錆剤を溶解する観点から、2〜12に調整することが好ましく、4〜8が特に好ましい。pH調整は通常の水酸化ナトリウムや硫酸などのアルカリや酸のほか、緩衝剤として、リン酸やその塩、炭酸塩、酢酸やその塩、ホウ酸やその塩などを用いることができる。
本発明の導電膜(例えば、透光性電磁波シールド膜)や、それを組み込んだ光学フィルムは、導電性金属膜(めっき層)に黒化処理を行う。
本発明の黒化処理では、導電性金属表面に少なくとも二ッケルと亜鉛をNi/Zn質量比が0.5〜50の範囲で含有する黒化層を設ける。Ni/Zn質量比は、より好ましくは0.8〜20、さらに好ましくは0.5〜2.0であり、特に好ましくは0.8〜1.2である。
また、導電性金属膜(このとき、導電性金属膜には黒化層も含む)の構成については、導電性金属の総量が0.2〜10.0g/m2であって、黒化層のニッケルと亜鉛の合計量が0.06〜5.0g/m2であるように導電性金属の総量及び黒化層量を調整するのが好ましい。より好ましくは導電性金属の総量が、1.0〜7.0g/m2であって、かつニッケルと亜鉛の合計量が0.10〜2.0g/m2である。
導電性金属量が少な過ぎると表面抵抗値が大きくなり、好ましい電磁波シールド能が得られなくなり、多すぎると光透過性が低下し、またヘイズが高くなり好ましくない。また、黒化層のニッケルと亜鉛の合計量が少なすぎると経時での色味変化が大きくなり、多すぎると密着性が悪化して好ましくない。
安価かつ容易に導電性金属を形成するため銀現像を応用することが好ましく、そのために銀は0.05g/m2以上あることが好ましく、2.0g/m2より多くなると光透過性が低下し,また安価にできなくなるため好ましくない。銅は安価にかつ表面抵抗を下げるため好ましく、0.2g/m2より少ないと好ましい表面抵抗値が得られず、5.0g/m2を超えると光透過性が低下し、ヘイズも大きくなり好ましくない。ニッケルと亜鉛の重量比が本発明の範囲にあれば本発明の効果が得られるが、ニッケルまたは亜鉛が0.06g/m2より少ないと経時後の色味変化が大きくなるので好ましくなく、2.0g/m2を超えると黒化層の密着性が悪化しまた光透過性も低下するため好ましくない。
メッシュ状の現像銀の上面(支持体と反対側表面)に銅が選択的に電着するように印加電圧と電解液組成を調整してパターン状の導電性金属膜が、銀と銅の2層の積層構成であり、銀層が支持体側となるようにめっきを行ってさらに黒化層を設けることが特に好ましい。
黒化処理まで実施した後のメッシュ線幅は5〜30μmが好ましく、8〜20μmがより好ましい。メッシュのピッチ間隔は50〜600μmが好ましく、100〜400μmが特に好ましい。光透過率を高めるため、線幅を細くし、かつピッチ間隔を広くした方が好ましいが、電磁波シールド能がトレードオフの関係にあるため前記最適範囲が決まる。線幅は均一であっても、交点が太くなっていても、逆に交点が細く交点間の線中央部が太くなっていても構わない。導電性金属をPDP用の電磁波シールド膜として使用する場合、メッシュの格子状パターンは膜の端面に対して30〜70度の角度になっていることが好ましく、40〜65度の角度が特に好ましい。メッシュが格子状パターンでなくて放射状にくもの巣のような形を取ることもできるが、いずれにしても本発明の黒化層を有することが必要である。
Ni:Za=0.5:1〜50:1 (1)
黒化層形成工程では、前記黒化層がニッケルおよび亜鉛を含有する第一黒化めっき液、並びにニッケルおよび亜鉛を含有する第二黒化めっき液を用いて2段階以上で形成され、第一めっき液のニッケルの含有比が前記第二めっき液のニッケルの含有比よりも大きいことが好ましい。このとき、黒化層は2層以上からなる。2層以上からなる黒化層は、表層の黒化層ほど、亜鉛含有量がニッケルの含有量より大きい
黒化層を2段階以上で形成する場合、前記第一めっき液のニッケルおよび亜鉛の含有モル比が下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(2-a)を満たすことがより好ましい。
Ni:Za=10:1〜100:1 (2)
Ni:Za=20:1〜60:1 (2-a)
また、第二めっき液のニッケルおよび亜鉛の含有モル比が下記式(3)を満たすことが好ましく、下記式(3-a)を満たすことがより好ましい。
Ni:Za=1:1〜20:1 (3)
Ni:Za=2:1〜10:1 (3-a)
前記めっき液のニッケルの供給源として硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケルが好ましく、亜鉛の供給源として硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛が好ましく、特に硫酸ニッケル、硫酸亜鉛として用いることが好ましい。好ましい添加量は、硫酸ニッケル6水和物として50〜200g/L、より好ましくは80〜150g/Lであり、硫酸亜鉛7水和物として1〜50g/L、より好ましくは2〜35g/Lである。また、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウムを用いることが好ましく、特にチオシアン酸アンモニウムを用いることが好ましい。チオシアン酸アンモニウムの好ましい添加量は8〜30g/L、より好ましくは12〜20g/Lである。ニッケルめっき液の光沢剤として知られているナフタレンスルホン酸塩、サッカリン、1,4−ブチンジオール、プロパギルアルコールのような添加剤やピット防止剤としてラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤を添加して用いることもできる。
黒化処理液の好ましい温度は20〜60℃で、より好ましくは25〜40℃である。液の攪拌は通常良く知られたエアー攪拌、液を小さいノズルから噴出すジェット攪拌、タンク液を循環させて攪拌する方法が好ましい。
ニッケル電極は、ニッケル板やチタン製の籠に入ったニッケルチップを用いることができる。
ニッケルアノードを用いる場合は、めっき処理によってpHが高くなっていくため、硫酸や塩酸などの酸でpHを調整することが好ましい。この場合はアルカリ添加による水酸化ニッケルの発生がないため液中の汚れやフィルムへの汚れ付着が少ない。
黒化処理のカソード面における電流密度(電流値/液中のメッシュフィルム面積)は0.1〜5A/dm2、好ましくは0.2〜1A/dm2である。連続的に黒化処理する場合、線速は0.1〜30m/分が好ましく、0.5〜10m/分が特に好ましい。電流密度が高いほどニッケル/亜鉛の比が小さくなる傾向にある。また、黒化処理におけるトータル電流量でニッケルと亜鉛の量を制御することができ、電流密度を小さくしてその分、線速を遅くするか、黒化処理浴数を増やすことによっても、めっき量を変えずにニッケル/亜鉛の比を変更することが可能である。
上記のように銀塩乳剤を含む感光材料に露光・現像・めっき・黒化処理することにより得られる黒化銀メッシュパターンを有する透光性導電性膜が得られる。
この透光性導電性膜は、高い電磁波シールド性および透光性を有しているため、CRT、EL、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示フラットパネル、あるいはCCDに代表される撮像用半導体集積回路などに組み込んで、電磁波シールド膜として用いることができる。また、本発明に係る導電性金属膜の用途としては、上記表示装置等に限定されず、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞくための窓や筐体や、電波塔や高圧線等により電磁波障害を受ける恐れのある建造物の窓や自動車の窓等に設けることができる。
導通部はメッシュパターンにより形成されていてもよいし、パターニングされていない、例えば金属箔ベタにより形成されていてもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタのようにパターニングされていないことが好ましい。
透光性電磁波シールド膜に接着剤層を設ける位置は、導電性金属部が形成されている側の面でも良いし、導電性金属部が形成されている側とは反対の面でもよい。透光性電磁波シールド膜と他の層(ガラス板、保護フィルム、機能性フィルム等)との貼合部分に形成してもよい。接着剤層の厚さは、金属銀部(または導電性金属部)厚さ以上とすることが好ましく、例えば、10〜80μmの範囲とすることができ、20〜50μmとすることがより好ましい。
性を示す接着剤であることが好ましい。
このような接着剤を用いることにより、透光性電磁波シールド膜を被着体であるディスプレイやプラスチック板に接着剤層を流動させて接着することができるので、ラミネートや加圧成形、特に加圧成形により、また曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。
このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。透光性電磁波シールド膜の用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ(103MPa・s)以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
一方、接着剤ポリマーの質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下するおそれがある。
透光性電磁波シールド膜上に接着剤層を形成するには、上記の接着剤ポリマー、硬化剤、その他添加剤等を含む接着剤層組成物を、導電性金属部の一部または全面を被覆するように塗布し、溶媒乾燥、加熱硬化することにより形成することができる。
本発明に係る透光性電磁波シールド膜には、保護フィルムを貼付することができる。保護フィルムは、透過性電磁波シールド膜の両面に有していてもよいし、片面のみ(例えば、導電性金属部上)に有していてもよい。
透光性電磁波シールド膜は後述するように、最表面の強化、反射防止性の付与、防汚性の付与等の効果を有する機能性フィルムをさらに貼合することが多いので、このような機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜上に設ける場合には、保護フィルムを剥離することが望ましい。そこで、保護フィルムは剥離可能なものであることが望ましい。
保護フィルムの剥離強度は、5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フィルムが剥離する恐れがあり、好ましくなく、また上限を超えると、剥離のために大きな力を要する上、剥離の際に、メッシュ状の金属箔が透明基材フィルム(もしくは接着剤層から)剥離する恐れがあり、やはり好ましくない。
透光性電磁波シールド膜をディスプレイ(特にプラズマディスプレイ)に用いる場合には、以下に説明する機能性を有する機能性フィルムを貼付することにより、各機能性を付与することが好ましい。機能性フィルムは粘着剤等を介して透光性電磁波シールド膜に貼付することができる。
透光性電磁波シールド膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、または、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、またはその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型または光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値または表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
防眩性層を設けた場合の透光性電磁波シールド膜のヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
透光性電磁波シールド膜に耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層および/または防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性および/または防眩性を有する機能性フィルムが得られ、好適である。
ハードコート性が付与された透光性電磁波シールド膜の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、透過性電磁波シールド膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
帯電防止性を有する機能性フィルムとしては、導電性の高いフィルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011Ω/□程度以下であれば良い。
導電性の高いフィルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成しても良い。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
透光性電磁波シールド膜が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
透光性電磁波シールド膜には、後述する色素や透明基材の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、透明基材自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や透明基材上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射または吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散または溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
また、機能性フィルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
透光性電磁波シールド膜を常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用すると、水分により後述する色素が劣化したり、貼り合せに用いる接着剤中や貼合界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で接着剤が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、透光性電磁波シールド膜はガスバリア性を有していることが好ましい。
このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や接着剤層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フィルムの水蒸気透過度が10g/m2・day以下、好ましくは5g/m2・day以下であることが好適である。
プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、透光性電磁波シールド膜を特にプラズマディスプレイに用いる場合は、赤外線遮蔽性(特に近赤外遮断性)を付与することが好ましい。
近赤外線カット性を有する機能性フィルムとしては、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下であるものが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
また、色素によっては耐光性に乏しいものもあるが、このような色素を用いることでプラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、前述のように機能性フィルムに紫外線吸収剤を含有させたり、紫外線を透過しない層を設けることによって、紫外線や可視光線による色素の劣化を防止することが好ましい。
熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルターの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下する場合がある。
また、透明基材を形成するための樹脂組成物や、塗布層を形成するための塗布組成物中に溶解または分散させるために、色素は溶媒への溶解性や分散性も高いことが好ましい。
機能性フィルムに色素を含有させる場合、透明基材の内部に含有していてもよいし、基材表面に色素を含有する層をコーティングしてもよい。また、粘着剤層中に色素を含有させてもよい。また、異なる吸収波長を有する色素2種類以上を混合して一つの層中に含有させてもよいし、色素を含有する層を2層以上有していても良い。
(ハロゲン化銀感光材料の作製)
水媒体中のAg60gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9およびK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/m2となるようにポリエチレンテレフタレート(PET)からなる支持体上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/2とした。
PET支持体の厚さは90μm、幅30cmのものを用いた。幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行い、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
ハロゲン化銀感光材料の露光は特開2004-1244号公報の発明に記載のDMD(デジタル・ミラー・デバイス)を用いた露光ヘッドを25cm幅になるように並べ、感光材料の感光層上にレーザー光が結像するように露光ヘッドおよび露光ステージを湾曲させて配置し、感材送り出し機構および巻取り機構を取り付けた上、露光面のテンション制御および巻取り、送り出し機構の速度変動が露光部分の速度に影響しないようにバッファー作用を有する撓みを設けた連続露光装置にて行った。露光の波長は400nmで、ビーム形は10μmの略正方形、およびレーザー光源の出力は100μJであった。
露光のパターンは、線幅10μmの格子状のパターンが45度の角度になるようにし、ピッチが300μm間隔で幅24cm長さ10m連続するように行った。
ハイドロキノン 22 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 4 g
ポリエチレングリコール4000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.2に調整
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
ランニング処理条件として、感光材料の処理量を100m2/日で現像液の補充量を500ml/m2、定着液の補充量を640ml/m23日間のランニング処理を行った。
以上のようにして透明フィルム上に銀メッシュパターンが格子状に作製されたフィルムを作製した。このフィルムの表面抵抗は、45.2Ω/□であった。
上記処理により銀メッシュパターンが形成されたフィルムに対して、図1に示す電解めっき槽10と実質的に同じ機能槽構成であるが、銅めっき液A(15)を満たしためっき槽11に代表される第1段階の複数の槽と、銅めっき液B(18)を満たしためっき槽19に代表される第2段階の複数の槽とを後述する工程になるように連続構成とし、後述の処理の実施が可能となるようにめっき槽を接続した電解めっき装置を用い、めっき処理を行った。なお、フィルムの銀メッシュ面が下向きとなるように(銀メッシュ面が給電ローラと接するように)、電解めっき装置にとり付けた。めっき槽11および19のサイズは、各浴ともに80cm×80cm×80cmであった。
なお、給電ローラ12a,12bとして、鏡面仕上げしたステンレス製ローラ(10cmφ、長さ70cm)を使用し、ガイドローラ14およびその他の搬送ローラとしては、5cmφ、長さ70cmのローラを使用した。また、ガイドローラ14の高さを調製することで、ライン速度が違っても一定の液中処理時間が確保されるようにした。
銅めっき槽のアノードは銅ボールを使用し、黒化槽のアノードはカーボン電極を使用した。
化学処理液の組成 (補充液も同組成)
グルタルアルデヒド 20g
水を加えて 1L
化学処理液の補充量は、感材1m2に対して20mlに設定した。
硫酸銅5水塩 220g
硫酸(47%) 220mL
塩酸(2N) 0.5mL
ポリエチレングリコール4000
(平均分子量4000) 0.4g
ヤヌスグリーンB 0.05g
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 0.05g
純水を加えて 1L
pH−0.1
硫酸銅5水塩 200g
硫酸(47%) 200mL
純水を加えて 1L
pH−0.1
銅めっき液AとBの補充量は、感材1m2に対して40mlに設定した。
硫酸ニッケル6水塩 120g
チオシアン酸アンモニウム 17g
硫酸亜鉛7水塩 表2
硫酸ナトリウム 16g
純水を加えて 1L
pH5.0(硫酸と水酸化ナトリウムでpH調整)
黒化液の補充量は、感材1m2に対して60mlに設定し、0.6Nの水酸化ナトリウムを感材1m2に対して20mlの割合で別途滴下した。
ベンゾトリアゾール 2.0g 3.0g
メタノール 20ml 20ml
純水を加えて 1L 1L
防錆液の補充量は、感材1m2に対して100mlに設定した。
また、全ての銅めっき液、水洗水及び化学処理液、防錆液の温度は25〜30℃、黒化液の温度は30℃、乾燥温度は50℃〜70℃で処理を行った。
水洗 30秒
水洗 30秒 乾燥 30秒
めっき1 30秒 電圧 20V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき2 30秒 電圧 18V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき3 30秒 電圧 17V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき4 30秒 電圧 12V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき5 30秒 電圧 10V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき6 30秒 電圧 9V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき7 30秒 電圧 8V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき8 30秒 電圧 7V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき9 30秒 電圧 5V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき10 30秒 電圧 4V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき11 30秒 電圧 4V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき12 30秒 電圧 3V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき13 30秒 電圧 3V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき14 30秒 電圧 2V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき15 30秒 電圧 2V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき16 30秒 電圧 1V
水洗 30秒
水洗 30秒
乾燥 30秒
黒化処理1 45秒 電圧 6V
水洗 30秒
乾燥 30秒
黒化処理2 45秒 電圧 3V
水洗 30秒
乾燥 30秒
防錆 45秒
水洗 30秒
乾燥 1分 50℃〜70℃
(試料中の金属量定量)
10%硝酸を作製し、10%硝酸100mlに試料を一定面積(7cm×3.5cm)浸漬したものを超音波装置に約2時間セットし、完全に試料中の金属を抽出する。その後、液中の金属濃度をICP発光分析装置(島津製作所製)を用いて定量し、フィルム試料1m2当りの金属量として求めた。金属としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛について定量し、ニッケル/亜鉛の質量比を求めた。
(試料中の防錆剤の定量)
前記金属定量に用いた抽出液について、液体クロマトグラフィーを用いて防錆剤濃度を定量し、フィルム試料1m2当りの防錆剤量として求めた。
得られた試料について、以下のようにして、金属メッシュフィルムの欠陥・ムラ、及び、湿熱経時後の色味変化と密着性について評価した。得られた結果を表1に示す。
得られた試料の中央の幅5cmを長さ1mに渡って、目視及び光学顕微鏡で観察し、金属メッシュの欠陥の観察した。この場合の欠陥は金属メッシュの断線及び、黒化層が被覆されていない金属銅表面の露出部分、金属メッシュに接した透明フィルム部分に観られるえぐれや異物などの欠陥等であり、欠陥が10個以上観測されるものを×、それ以下のものを○とした。
(金属メッシュフィルムのムラ)
得られた試料中央の幅5cmを長さ1mに渡って、目視にて観測し、ムラの観られるものを×、観測されないものを○とした。
(湿熱経時後の色味変化)
めっき直後の色味を日立の分光光度計U3410にて透過スペクトルを測定し、測定値に基づいてCIED65標準光源下でのL*b*c*の色度座標のb*値を求めてb*(Fr)とし
た。次いで、この試料を60℃90%の恒温恒湿条件下で500時間保管し、再び同様にして色度座標値b*を求めてb*(500hr)として、高温保管中の色味変化として両測定値
の差(Δb*)を求めた。
Δb* = b*(500hr)−b*(Fr)
Δb*が小さいほど、色味変化が小さく好ましい。Δb*が3.0より大きいと、PDP用の電磁波シールド膜としての使用には不適当である。
めっき処理直後の試料を、セロハンテープ(ニチバン(株)製のCT24)を用いて指の腹で試料に密着させた後剥離した。目視にて剥離状況を確認した。
× 一部ではあるが明らかな剥離が見られる
×× 全体的に明らかな剥離が見られる
得られた試料に対して、ダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて行い、先頭及び末尾から1mをのぞく任意の場所10ヶ所を測定し、その平均値を求めた。0.4Ω/□以下であることが電磁波シールド性から好ましい。
(全光透過率)
ヘイズメーターNDH2000(NIPPON DENSHOKU製)にてJISK7105に基づいて全光透過率を測定した。値が大きいほど透過率が高く好ましい。
(ヘイズ)
ヘイズメーターNDH2000(NIPPON DENSHOKU製)にてヘイズを測定した。値が小さいほどヘイズが小さく好ましい。
また上記の本発明の試料は、湿熱経時後の色味変化が小さく、密着性に優れていた。また、表面抵抗は、0.4Ω/□以下、全光線透過率は80%以上、ヘイズは5%以下であり、PDP用の電磁波シールドフィルムとして好適に使用できる。
実施例1のNi:Zn=7:1の条件において、黒化槽アノードをカーボン電極からニッケル板に変更(pH調整は0.1N硫酸を使用)し下記の黒化液を用いて処理を行ったところ、金属メッシュフィルムの欠陥やムラおよび透明付着汚れが全く見られず、更に実施例1で見られたフィルム縁部の白い汚れが全く見られなかった。
[実施例3]
実施例1の実験101の電解めっき処理後の試料に、PET支持体の金属メッシュと反対の面側に、総厚みが28μmの保護フィルム(パナック工業(株)製、品番;HT−25)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせた。また、金属メッシュ側にも、ポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤層が積層された総厚みが65μmの保護フィルム(株)サンエー化研製、品名;サニテクトY−26F)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせを行った。
さらに、ガラス板には、粘着材を介して反射防止フィルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック8201)を貼り合わせ、光学フィルターを作製した。
(実施例a-1〜6及び比較例a-1〜2)
No.101の黒化処理1及び2で使用するめっき液の硫酸亜鉛7水塩の濃度を下記表2のように変更し、目的のNi:Znの質量比の黒化層を形成した。この処理以外は、No.101と同様にして導電膜を製造した。
5:汚れが発生しなかった。
4:汚れがほとんど発生しなかった。
3:汚れは発生したが、実用上問題なし。
2:フィルムに汚れが少し発生した。
1:フィルムに汚れが発生した。
11(19) めっき浴
12a,12b 給電ローラ
13 アノード板
14 ガイドローラー
15(18) めっき液
16 フィルム
17 液切ローラー
Claims (15)
- 電磁波シールド能を有し、かつ表面が黒化層で覆われたパターン状の導電性金属膜を透明支持体上に設けてなる透光性電磁波シールド膜であって、該黒化層がニッケル/亜鉛の質量比が0.5〜50であるニッケルと亜鉛の合金を含有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
- 前記導電性金属膜を構成する金属の総量が、0.2〜10.0g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の透光性電磁波シールド膜。
- 前記ニッケルと亜鉛の合金の合計量が、0.06〜5.0g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透光性電磁波シールド膜。
- 前記導電性金属膜を構成する金属が、銀及び/又は銅であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
- 前記導電性金属膜が銀0.05〜2.0g/m2および銅0.2〜10g/m2を含有し、かつ黒化層が、ニッケル0.06〜2.0g/m2および亜鉛0.02〜2.0g/m2を含有することを特徴とする請求項4に記載の透光性電磁波シールド膜。
- 前記ニッケル/亜鉛の質量比が0.8〜20であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
- 前記導電性金属膜が、銀を含有する銀層と銅を含有する銅層の2層構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
- ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物から選ばれる少なくとも1種を0.03〜0.3g/m2含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
- ゼラチンを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
- 前記導電性金属膜が、支持体上に銀塩を含有する銀塩含有層を有する銀塩感光材料を露光して現像することにより形成された現像銀層と、前記現像銀層上に電解めっきによって形成された金属層とを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
- 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された導電性金属膜と、前記導電性金属膜上に形成された黒化層とを有する導電膜であって、
前記黒化層がニッケル及び亜鉛を含有し、ニッケル及び亜鉛の質量比が下記式(1)を満たすことを特徴とする導電膜。
Ni:Za=0.5:1〜50:1 (1) - 支持フィルムと前記支持フィルム上に形成された銀塩含有層とを有する銀塩感光材料を露光して現像し、金属銀部を形成する工程と、
前記金属銀部にめっきを施しめっき層を形成するめっき工程と、
ニッケルおよび亜鉛を含有するめっき液を用いて、ニッケル及び亜鉛の質量比が下記式(1)を満たす黒化層を、前記めっき層上に形成する黒化層形成工程と、
を有することを特徴とする導電膜の製造方法。
Ni:Za=0.5:1〜50:1 (1) - 前記黒化層がニッケルおよび亜鉛を含有する第一黒化めっき液、並びにニッケルおよび亜鉛を含有する第二黒化めっき液を用いて2段階以上で形成され、前記第一めっき液のニッケルの含有比が前記第二めっき液のニッケルの含有比よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の導電膜の製造方法。
- 前記第一めっき液のニッケルおよび亜鉛の含有モル比が下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項13に記載の導電膜の製造方法。
Ni:Za=10:1〜100:1 (2) - 前記第二めっき液のニッケルおよび亜鉛の含有モル比が下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項13に記載の導電膜の製造方法。
Ni:Za=1:1〜20:1 (3)
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