JP2008282924A - 透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタ - Google Patents

透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に有し、且つ、モアレ等による画質劣化を最小にする透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタを提供する。
【解決手段】透光性電磁波シールド膜10は、透明支持体12と、該透明支持体12上に形成されたメッシュ状の導電性金属薄膜14とを有する。そして、導電性金属薄膜14を構成するメッシュライン16の交差部18に隣接してモアレ抑止部20が形成され、交差部18の面積をSa、モアレ抑止部20の面積をSbとしたとき、Sa×0.01<Sb<Sa×5.00を満足する。第1抑止部20a、第2抑止部20b、第3抑止部20c、第4抑止部20dの各面積をSb1、Sb2、Sb3、Sb4としたとき、Sb=Sb1+Sb2+Sb3+Sb4である。
【選択図】図1

Description

本発明は、透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタに関し、例えばCRT(陰極線管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等のディスプレイ前面、電子レンジ、電子機器、プリント配線板等から発生する電磁波を遮蔽し、且つ、透光性を有する透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタに関する。
近年、各種の電気設備や電子応用設備の利用の増加に伴い、電磁波障害(Electro−Magnetic Interference:EMI)が急増している。EMIは、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、これらの装置のオペレーターにも健康障害を与えることが指摘されている。このため、電子・電気機器では、電磁波放出の強さを規格又は規制内に抑えることが要求されている。
上記EMIの対策には電磁波をシールドする必要があるが、それには金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよいことは自明である。例えば、筐体を金属体又は高導電体にする方法や、回路基板と回路基板との間に金属板を挿入する方法、ケーブルを金属箔で覆う方法等が採用されている。しかし、CRT、PDP等ではオペレーターが画面に表示される文字等を認識する必要があるため、ディスプレイにおける透光性が要求される。前記の方法では、いずれもディスプレイ前面が不透明になることが多く、このため、電磁波のシールド法としては不適切なものであった。
特に、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生するため、より強い電磁波シールド能が求められている。電磁波シールド能は、簡便には表面抵抗率で表すことができ、CRT用の透光性電磁波シールド材料では、表面抵抗率は約300オーム/sq以下であることが要求されるのに対し、PDP用の透光性電磁波シールド材料では、2.5オーム/sq以下が要求され、PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、1.5オーム/sq以下とする必要性が高く、より望ましくは0.1オーム/sq以下という極めて高い導電性が要求されている。
また、透光性に関する要求レベルは、CRT用として約70%以上、PDP用として80%以上が要求されており、さらにより高い透光性が望まれている。
このような優れた透光性と高い電磁波遮断性を備えたプラズマディスプレイパネル(PDP)用電磁波シールドフイルムとしては金属メッシュをフイルム上に形成したものを使用する方法が一般に用いられるが、PDPの画素パターンとの干渉によるモアレが発生する場合がある。
例えば、従来より使用されている繊維メッシュは導電性確保のために線幅を太くしており、モアレが発生しやすい状態にある(例えば特許文献1参照)。モアレ低減のためにはメッシュパターンを細線化することが有効であり、例えば特許文献2には、銅箔エッチングメッシュで10μm程度の細線が得られることが示されている。しかし、この方法では製造工程が複雑となり、コストが高くなるという問題がある。
生産性を改善する方法として、例えば特許文献3〜5には、金属微粒子を触媒としてこれを印刷して、印刷された金属微粒子上に導電性金属を沈積させる無電解めっき法が開示されている。また、特許文献6及び7には、銀塩拡散転写法によるメッシュ状パターン形成方法が提案されている。しかし、いずれも線幅を細くすると電磁波遮断性の指標となる表面抵抗率が大きくなる上に、線形成の解像度も低いので線幅を20〜30μmと太くする必要があり、この場合もモアレの発生を十分に抑制できない。
一方、ハロゲン化銀を現像して得られる導電性金属銀で導電性メッシュを形成する方法、あるいはハロゲン化銀を現像して得られるメッシュ状の現像銀に金属銅をめっきして導電性メッシュを形成する方法も提案されている(例えば特許文献8参照)。
メッシュのバイアス角度をPDP画素パターン毎に最適化してこの問題をある程度は回避できるが、それにはPDP画素パターン毎に適合したフイルムの品種を作る必要がありコスト・在庫増となる。品種数を減らすためには、PDP画素パターンに対してモアレ発生角度の許容領域が広い電磁波シールド材料が必要となる。
特開平5−327274号公報 特開2003−46293号公報 特開平11−170420号公報 特開2004−68119号公報 特開2004−68120号公報 国際公開第04/7810号パンフレット 特開2004−172041号公報 特開2004−221564号公報
メッシュ形成方法によって生産性の改善を図ろうとすると、細線化が表面抵抗率を増大させることや、メッシュ状細線形状の解像度の制約から線幅を細くできずモアレが目立つ場合があるため、メッシュの構成金属の細線化以外の方法でモアレを低減できる方法が望まれていた。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に有し、且つ、モアレ等による画質劣化を最小にする透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタを提供することにある。
モアレ抑制作用と線幅の関連については、上述したように、通常の交線型メッシュパターンでは、線幅が10μm以下の細い場合にモアレは目立ちにくいが、線幅が15μm以上の場合には、線幅が太くなる(拡がる)ほどモアレが目立つようになる。しかし、メッシュ形状を微細化して線幅を細くすることは、モアレ低減効果の点では有利であるが、表面抵抗率の増加や製造工程が複雑になるという問題がある。
本発明者は、上記課題の解決方法を鋭意検討する過程で、メッシュラインの交差部にモアレ抑止部を形成し、さらに、交差部の面積とモアレ抑止部の面積を最適化することで、モアレを低減できることを見出した。この原因は、交差部にモアレ抑止部を形成することで、メッシュ状の導電性金属薄膜を透過する光の積分量が、交差部と交差部以外の部分でほぼ同じになって、メッシュパターンがあたかも消滅したようになり、これにより、モアレが発生しにくくなったものと考えられる。
本発明者が見出した「メッシュラインの交差部にモアレ抑止部を形成し、さらに、交差部の面積とモアレ抑止部の面積を最適化する」という知見をもとに検討を進めた結果、下記の本発明に到達した。
すなわち、上記課題は、以下の発明により達成された。
[1] 第1の本発明に係る透光性電磁波シールド膜は、透明支持体と該透明支持体上に形成されたメッシュ状の導電性金属薄膜とを有する透光性電磁波シールド膜において、前記導電性金属薄膜を構成するメッシュラインの交差部に、モアレ抑止部が形成され、前記交差部の面積をSa、前記モアレ抑止部の面積をSbとしたとき、Sa×0.01<Sb<Sa×5.00(好ましくは、Sa×0.10<Sb<Sa×2.00)であることを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、Sa×0.90<Sb<Sa×1.10であることを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記モアレ抑止部は、第1メッシュラインの一方の側面と、第2メッシュラインの一方の側面との間に形成された第1抑止部と、前記第1メッシュラインの一方の側面と、前記第2メッシュラインの他方の側面との間に形成された第2抑止部と、前記第1メッシュラインの他方の側面と、前記第2メッシュラインの一方の側面との間に形成された第3抑止部と、前記第1メッシュラインの他方の側面と、前記第2メッシュラインの他方の側面との間に形成された第4抑止部とを有することを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記第1抑止部、前記第2抑止部、前記第3抑止部、前記第4抑止部の各面積をSb1、Sb2、Sb3、Sb4としたとき、Sb=Sb1+Sb2+Sb3+Sb4であることを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、前記第1メッシュライン及び前記第2メッシュラインの線幅が5〜40μmであることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、前記第1メッシュライン及び前記第2メッシュラインの線幅が11〜20μmであることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記導電性金属薄膜が、前記透明支持体上に設けられた銀塩感光層を露光して現像することによって形成された金属銀部を有することを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、前記金属銀部は、ハロゲン化銀を現像して形成された現像銀からなることを特徴とする。
[9] 第1の本発明において、前記導電性金属薄膜が第1導電層と第2導電層とを有し、前記第1導電層が前記透明支持体上に設けられた銀塩感光層を露光して現像することによって形成された金属銀部であり、前記第2導電層が前記金属銀部に導電性金属が担持されたものであることを特徴とする。
[10] 第1の本発明において、前記銀塩感光層に対する露光にて使用されるマスクは、前記メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンに対応したマスクパターンを有することを特徴とする。
[11] 第1の本発明において、前記銀塩感光層に対するデジタル書込み露光によって、前記銀塩感光層に、メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンが露光されることを特徴とする。
[12] 第1の本発明において、前記透明支持体上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって前記メッシュ状の導電性金属薄膜が形成されていることを特徴とする。
[13] 第1の本発明において、前記フォトレジスト膜に対する露光にて使用されるマスクは、前記メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンに対応したマスクパターンを有することを特徴とする。
[14] 第1の本発明において、前記フォトレジスト膜に対するデジタル書込み露光によって、前記フォトレジスト膜に、メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンが露光されることを特徴とする。
[15] 第1の本発明において、前記導電性金属薄膜が前記透明支持体上にペーストを印刷することによって形成されたメッシュ状のパターンであることを特徴とする。ここで、ペーストは、導電性ペーストの場合と、触媒(例えば、金属微粒子)を含む場合等がある。従って、前記導電性金属薄膜としては、導電性ペーストのみの態様、触媒+めっきの態様、導電性ペースト+めっきの態様等がある。
[16] 第1の本発明において、前記導電性金属薄膜が第1導電層と第2導電層を有し、前記第1導電層が前記透明支持体上にペーストを印刷することによって形成されたメッシュ状のパターンであり、前記第2導電層が前記メッシュ状のパターンに金属めっきを行うことによって形成されたものであることを特徴とする。
[17] 第1の本発明において、前記透明支持体に前記メッシュ状の導電性金属薄膜がスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって形成されていることを特徴とする。
[18] 第1の本発明において、粘着材層を有することを特徴とする。
[19] 第1の本発明において、剥離可能な保護フイルムを有することを特徴とする。
[20] 第1の本発明において、赤外線遮蔽性、ハードコート性、反射防止性、防眩性、静電気防止性、防汚性、紫外線カット性、ガスバリア性、表示パネル破損防止性から選ばれる機能のうち、少なくとも1つを備えた機能性透明層を有することを特徴とする。
[21] 第1の本発明において、透光性電磁波シールド膜が赤外線遮蔽性を有することを特徴とする。
[22] 次に、第2の本発明に係る光学フィルタは、上述した第1の本発明に係る透光性電磁波シールド膜を備えたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係る透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタによれば、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に有し、且つ、モアレ等による画質劣化を最小にすることができる。
以下、本発明に係る透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタの実施の形態例を図1〜図9を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜10は、図1に示すように、透明支持体12と、該透明支持体12上に形成されたメッシュ状の導電性金属薄膜14とを有する。
そして、導電性金属薄膜14を構成するメッシュライン16の交差部18に隣接してモアレ抑止部20が形成され、交差部18の面積をSa、モアレ抑止部20の面積をSbとしたとき、
Sa×0.01<Sb<Sa×5.00
を満足する。好ましくは、Sa×0.10<Sb<Sa×2.00であり、さらに好ましくは、Sa×0.90<Sb<Sa×1.10である。
具体的には、モアレ抑止部20は、第1メッシュライン16Aの一方の側面と、第2メッシュライン16Bの一方の側面との間に形成された第1抑止部20aと、第1メッシュライン16Aの一方の側面と、第2メッシュライン16Bの他方の側面との間に形成された第2抑止部20bと、第1メッシュライン16Aの他方の側面と、第2メッシュライン16Bの一方の側面との間に形成された第3抑止部20cと、第1メッシュラインの他方の側面と、第2メッシュラインの他方の側面との間に形成された第4抑止部20dとを有する。
そして、第1抑止部20a、第2抑止部20b、第3抑止部20c、第4抑止部20dの各面積をSb1、Sb2、Sb3、Sb4としたとき、
Sb=Sb1+Sb2+Sb3+Sb4
を満足する。
この場合、第1メッシュライン16A及び第2メッシュライン16Bの線幅La及びLbは5〜40μmであり、好ましくは11〜20μmである。
このように、本実施の形態においては、導電性金属薄膜14を構成するメッシュライン16の交差部18に隣接して上述の関係を有するモアレ抑止部20を形成したので、メッシュ状の導電性金属薄膜14を透過する光の積分量が、交差部18と交差部18以外の部分でほぼ同じにすることができ、モアレ等による画質劣化を最小にすることができる。しかも、第1メッシュライン16A及び第2メッシュライン16Bの線幅La及びLbを5〜40μmとしたので、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に持たせることができる。
なお、モアレ抑止部20を構成する第1抑止部20a〜第4抑止部20dの平面形状として、図1に示すように、矩形状でもよいが、図2に示すように、三角形でもよいし、図3に示すように、三角形に円弧状の切欠きが形成された形状でもよいし、図4に示すように、円形を1/4にした形状でもよい。もちろん、非対称の形状にしてもよい。
本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜10は、図5Aに示すように、透明支持体12上に銀塩感光層30を形成し、さらに、図5Bに示すように、銀塩感光層30を露光と現像して金属銀部32と光透過性部34との組み合わせを形成し、図5Cに示すように、金属銀部32に導電性金属36を担持してメッシュ状の導電性金属薄膜14を構成するようにしてもよい。この場合、金属銀部32は、ハロゲン化銀を現像して形成された現像銀からなることが好ましい。
また、銀塩感光層30に対する露光にて使用されるマスクは、メッシュライン16の交差部18にモアレ抑止部20が形成されたパターンに対応したマスクパターンを有するようにしてもよい。
あるいは、銀塩感光層30に対するデジタル書込み露光によって、銀塩感光層30に、メッシュライン16の交差部18にモアレ抑止部20が形成されたパターンを露光するようにしてもよい。
この場合、図6に示す露光エネルギと像濃度分布の特性でみたとき、第1メッシュライン16A及び第2メッシュライン16Bをデジタル書込み露光する場合に、像濃度が飽和する領域の第1露光エネルギE1で露光を行い、交差部18に対するデジタル書込み露光の際に、像濃度が飽和する領域の第2露光エネルギE2で露光を行う。このとき、第1露光エネルギE1<第2露光エネルギE2とする。
露光エネルギを高くすることによって、交差部18の隣接部分への光漏れが生じ、これにより、光のにじみ領域が発生し、その後の現像処理にて、光のにじみ領域が、交差部18に隣接してモアレ抑止部20として具現されることになる。この手法は、露光エネルギを位置に応じて選択的に切り替えるだけでよいため、交差部18に隣接してモアレ抑止部20を容易に形成することができ、製造コストの低廉化も図ることができる。
その他の形成方法としては、図7Aに示すように、例えば透明支持体12上に形成された銅箔40上のフォトレジスト膜42を露光、現像処理してレジストパターン44を形成し、図7Bに示すように、レジストパターン44から露出する銅箔40をエッチングすることによって、メッシュ状の導電性金属薄膜14を形成するようにしてもよい。この場合、フォトレジスト膜42に対する露光にて使用されるマスクは、メッシュライン16の交差部18にモアレ抑止部20が形成されたパターンに対応したマスクパターンを有するようにしてもよい。
あるいは、フォトレジスト膜42に対するデジタル書込み露光によって、フォトレジスト膜42に、メッシュライン16の交差部18にモアレ抑止部20が形成されたパターンを露光するようにしてもよい。
また、図8Aに示すように、透明支持体12上に金属微粒子を含むペースト50を印刷することによってメッシュ状のパターン52を形成し、図8Bに示すように、メッシュ状のパターン52に金属めっき54を行うことによって、メッシュ状の導電性金属薄膜14を形成するようにしてもよい。
あるいは、図9に示すように、透明支持体12に金属薄膜60をスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成してメッシュ状の導電性金属薄膜14を構成するようにしてもよい。
次に、本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜10において、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる透光性導電性金属薄膜の作製方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜10は、上述したように、透明支持体12上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって露光部及び未露光部に、それぞれ金属銀部32及び光透過性部34を形成し、さらに金属銀部32に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部32に導電性金属36を担持させることで製造することができる。
本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜10の形成方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの態様が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部32を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部32を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部32を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
(感光材料)
[透明支持体]
本実施の形態の製造方法に用いられる感光材料の透明支持体としては、プラスチックフイルム、プラスチック板、及びガラス板等を用いることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
本実施の形態においては、透光性、耐熱性、取り扱い易さ及び価格の点から、上記プラスチックフイルムはポリエチレンテレフタレートフイルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
ディスプレイ用の電磁波シールド材では透光性が要求されるため、支持体の透光性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフイルム又はプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフイルム及びプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本実施の形態におけるプラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フイルムとして用いることも可能である。
本実施の形態における透明支持体12としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイ用電磁波シールド膜の用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、且つ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
[保護層]
用いられる感光材料は、後述する乳剤層上に保護層を設けていてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層に形成される。上記保護層は、めっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方が好ましい。その厚みは0.2μm以下が好ましい。上記保護層の塗布方法の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
[乳剤層]
本実施の形態の製造方法に用いられる感光材料は、透明支持体12上に、光センサとして銀塩を含む乳剤層(銀塩含有層)を有することが好ましい。本実施の形態における乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて、染料、バインダ、溶媒等を含有することができる。
<染料>
感光材料には、少なくとも乳剤層に染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルタ染料としてもしくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本実施の形態に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
このほか、本実施の形態に使用することができる染料としては以下のものがある。すなわち、現像又は定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料として、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料及びアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料及び同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物及び特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料及びアゾ染料が挙げられる。中でも本発明においては、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料及びベンジリデン染料が有用である。本発明に用い得る水溶性染料の具体例としては、英国特許第584,609号明細書、同第1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許第2,274,782号明細書、同第2,533,472号明細書、同第2,956,879号明細書、同第3,148,187号明細書、同第3,177,078号明細書、同第3,247,127号明細書、同第3,540,887号明細書、同第3,575,704号明細書、同第3,653,905号明細書、同第3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止等の効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
<銀塩>
本実施の形態で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩が好ましく、特に銀塩がハロゲン化銀写真感光材料用ハロゲン化銀粒子の形で用いられるのが好ましい。ハロゲン化銀は、光センサとしての特性に優れている。
ハロゲン化銀写真感光材料の写真乳剤の形で好ましく用いられるハロゲン化銀について説明する。
本実施の形態では、光センサとして機能させるためにハロゲン化銀を使用することが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施の形態においても用いることができる。
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
なお、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角平板状、三角形平板状、四角形平板状等)、八面体状、14面体状等、様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
本実施の形態に用いられる乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P.Glafkides著 Chimie etPhysique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikmanほか著 Making and Coating Photographic Emulsion(The ForcalPress刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、上記ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせ等のいずれを用いてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号の各公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類及び目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
上記コントロールド・ダブルジェット法及びハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本実施の形態において好ましく用いることができる。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において早期に銀を成長させることが好ましい。本実施の形態における乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
本実施の形態に用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
本実施の形態に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物等を含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってもよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等や、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾール等)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、予めロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
イリジウム化合物としては、K2IrCl6、K3IrCl6等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕‐n
ここで、MはRu、又はOsを表し、nは0、1、2、3又は4を表す。
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
〔RuCl6-3、〔RuCl4(H2O)2-1、〔RuCl5(NO)〕-2、〔RuBr5(NS)〕-2、〔Ru(CO)3Cl3-2、〔Ru(CO)Cl5-2、〔Ru(CO)Br5-2、〔OsCl6-3、〔OsCl5(NO)〕-2、〔Os(NO)(CN)5-2、〔Os(NS)Br5-2、〔Os(CN)6-4、〔Os(O)2(CN)5-4
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、本実施の形態では、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。また、Pd(II)イオンを後熟時に添加する等の方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解めっきの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解めっき触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本実施の形態において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
本実施の形態では、さらに光センサとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等のカルコゲン増感、金増感等の貴金属増感、還元増感等を用いることができる。これらは、単独又は組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法等の組み合わせが好ましい。
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさ等の種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型及び/又は非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に、特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)及び(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
上記テルル増感法に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面又は内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635頁(1980)、同1102頁(1979)、同645頁(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1巻,2191頁(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellunium Compounds)、1巻(1986)、同2巻(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に、特開平5−313284号公報中の一般式(II)(III)及び(IV)で示される化合物が好ましい。
本実施の形態で用いることのできるセレン増感剤及びテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般に、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)等が挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成又は物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩等を共存させてもよい。
また、本実施の形態においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物等を用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州特許出願公開第293917号明細書に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明に用いられる感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
<バインダ>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、且つ、乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダを用いることができる。本発明において、上記バインダとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
乳剤層中に含有されるバインダの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダ等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
次に、電磁波シールド膜作製の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、交差部18に隣接してモアレ抑止部20を付加した複合メッシュパターンを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、複合メッシュパターンを露光と現像等によって形成する。すなわち、透明支持体12上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記光源としては、必要に応じて可視スペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
複合メッシュパターン像を形成させる露光方式としては、均一光をマスクパターンを介して感光面に照射してマスクパターンを像様形成させる面露光方式と、レーザ光等のビームを走査してパターン状の照射部を感光性面上に形成させる走査露光方式とがある。
前者の場合は、上記の各光源を使用できるほか、好ましくは汎用のタングステンランプ、写真プリント作製用のハロゲンランプ、LED、蛍光ランプ等を適宜使用することができる。この場合の焼付け露光は、感光材料の搬送に伴って移動する露光面とマスク変調された照射光との速度を同期させる連続搬送露光方式と、搬送を一時的に停めてフラッシュ露光を行う間歇搬送・間歇照射露光方式のいずれによって行ってもよい。
また、後者の場合では、露光面を移動させながら、照射ビームを露光面の移動方向と直角方向に移動させながら、複合メッシュパターン像の描画を行う。複合メッシュパターン像を描画するには、交線パターン描画用の主照射と交差部のみに間歇照射を行う副照射とを組合わせて行うのが適切である。主照射と副照射は、1回の露光面移動中に同時に行ってもよく、主照射の走査露光後、再度露光面移動させて副照射露光を行ってもよい。また、交線パターン描画用の主照射は、連続ビーム照射でも、断面が矩形のビームを図形状に間歇照射して描画するデジタルビーム照射でもよい。
露光は、種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本実施の形態における露光は、ガスレーザ、発光ダイオード、半導体レーザ、半導体レーザ又は半導体レーザを励起光源に用いた固体レーザと非線形光学結晶を組合わせた第2高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらに、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2レーザ等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザ、半導体レーザあるいは固体レーザと非線形光学結晶を組合わせた第2高調波発生光源(SHG)を用いて行うことがより好ましい。特に、コンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザを用いて行うことが最も好ましい。
露光のエネルギとしては、ハロゲン化銀を用いる場合には、1mJ/cm2以下が好ましく、100μJ/cm2以下がより好ましく、50μJ/cm2以下がさらに好ましい。
レーザ光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザ(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザ(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザ、波長約685nmの赤色半導体レーザ(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザ(日立タイプNo.HL6501MG)等が好ましく用いられる。
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、レーザービームによる走査露光が好ましい。特に特開2000−39677号公報記載のキャプスタン方式のレーザ走査露光装置が好ましく、さらには該キャプスタン方式においてポリゴンミラーの回転によるビーム走査の代わりに特開2004−1224号公報記載のDMDを光ビーム走査系に用いることも好ましい。
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
リス現像液としては、KODAK社処方のD85等を用いることができる。本発明では、上記の露光及び現像処理を行うことにより露光部に金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。
本実施の形態の製造方法においては、上記現像液としてジヒドロキシベンゼン系現像主薬を用いることができる。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩等が挙げられるが、特にハイドロキノンが好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類やp−アミノフェノール類が挙げられる。本発明の製造方法において用いる現像液としては、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と1−フェニル−3−ピラゾリドン類との組合せ;又はジヒドロキシベンゼン系現像主薬とp−アミノフェノール類との組合せが好ましく用いられる。
補助現像主薬として用いられる1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はその誘導体と組み合わせられる現像主薬としては、具体的に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等がある。
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましいが、本発明においては、0.23モル/リットル以上で使用するのが特に好ましい。さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/リットルの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/リットル、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下、さらに好ましくは0.03モル/リットル〜0.003モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
本実施の形態においては、現像開始液及び現像補充液の双方が、「該液1リットルに0.1モルの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.5以下」である性質を有することが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験対象の現像開始液ないし現像補充液のpHを10.5に合わせ、次いで、この液1リットルに水酸化ナトリウムを0.1モル添加し、この際の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.5以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明の製造方法では、特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.4以下である現像開始液及び現像補充液を用いることが好ましい。
現像開始液及び現像補充液に上記の性質を与える方法としては、緩衝剤を使用した方法によることが好ましい。上記緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報記載のホウ酸、特開昭60−93433号公報記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)等を用いることができ、好ましくは炭酸塩、ホウ酸が用いられる。上記緩衝剤(特に炭酸塩)の使用量は、好ましくは、0.25モル/リットル以上であり、0.25〜1.5モル/リットルが特に好ましい。
本実施の形態においては、上記現像開始液のpHが9.0〜11.0であることが好ましく、9.5〜10.7の範囲であることが特に好ましい。上記現像補充液のpH及び連続処理時の現像タンク内の現像液のpHもこの範囲である。pH設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。
本実施の形態の製造方法において、感光材料1平方メートルを処理する際に、現像液中の現像補充液の含有量は323ミリリットル以下、好ましくは323〜30ミリリットル、特に225〜50ミリリットルである。現像補充液は、現像開始液と同一の組成を有していてもよいし、現像で消費される成分について開始液よりも高い濃度を有していてもよい。
本実施の形態で感光材料を現像処理する際の現像液(以下、現像開始液及び現像補充液の双方をまとめて単に「現像液」という場合がある)には、通常用いられる添加剤(例えば、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。上記保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩が挙げられる。該亜硫酸塩は、0.20モル/リットル以上用いられることが好ましく、さらに好ましくは0.3モル/リットル以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/リットルとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/リットルである。また、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。ここでアスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸、及び、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)等を包含する。上記アスコルビン酸誘導体としては、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。上記アスコルビン酸誘導体の添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。上記保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
上記以外に現像液に用いることのできる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾール又はその誘導体等の現像促進剤や、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤又は黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。上記ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的に、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾール等を挙げることができる。これらベンゾイミダゾール系化合物の含有量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mモルであり、より好ましくは、0.1〜2mモルである。
さらに上記現像液中には、各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。上記無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。一方、上記有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸及び有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
上記有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
上記アミノポリカルボン酸としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号、同55−67747号、同57−102624号の各公報、及び特公昭53−40900号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
有機ホスホン酸としては、米国特許第3214454号、同第3794591号の各明細書、及び西独国特許出願公開第2227639号明細書等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
上記アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号の各公報及び同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
有機ホスホノカルボン酸としては、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号等の各公報、及び前述のリサーチ・ディスクロージャー18170号等に記載の化合物を挙げることができる。これらのキレート剤はアルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。
これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10-4〜1×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。現像処理温度及び時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がさらに好ましい。また、現像時間は5秒〜2分が好ましく、7秒〜1分30秒がさらに好ましい。
現像液の搬送コスト、包装材料コスト、省スペース等の目的から、現像液を濃縮化し、使用時に希釈して用いるようにする態様も好ましい。現像液の濃縮化のためには、現像液に含まれる塩成分をカリウム塩化することが有効である。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。
すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。本発明に用いられる定着液の定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
上記界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルホン化物等のアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤等が挙げられる。また、上記定着液には、公知の消泡剤を添加してもよい。
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコール等が挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物等が挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸等の有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩等の無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
本発明の定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩が挙げられる。上記硬膜剤として好ましい化合物は、水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バン等が挙げられる。上記硬膜剤の好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットルであり、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段等)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、すなわち、定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号の各公報等に記載のスクイズローラ、クロスオーバーローラの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルタ濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴又は安定化浴に防かび手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴又は安定化浴からのオーバーフロー液の一部又は全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止及び/又はスクイズローラに付着する処理剤成分が処理されたフイルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
また、上記水洗処理又は安定化処理においては、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。また、水洗処理に続いて安定化処理においては、特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号の各公報に記載の化合物を含有した浴を、感光材料の最終浴として使用してもよい。この際、必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程又は安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩等)等によって殺菌された水を使用することが好ましい。また、特開平4−39652号公報、特開平5−241309号公報記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。水洗処理又は安定化温度における浴温度及び時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
本実施の形態に用いられる現像液や定着液等の処理液の保存には、特開昭61−73147号公報に記載された酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。また、補充量を低減する場合には処理槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラ搬送型の自動現像機については米国特許第3025779号明細書、同第3545971号明細書等に記載されており、本明細書においては単にローラ搬送型プロセッサとして言及する。また、ローラ搬送型プロセッサは現像、定着、水洗及び乾燥の4工程からことが好ましく、本実施の形態においても、他の工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この4工程を踏襲するのが最も好ましい。また、水洗工程の代わりに安定工程による4工程でも構わない。
上記各工程においては、現像液や定着液の組成から水を除いた成分を固形にして供給し、使用に当たって所定量の水で溶解して現像液や定着液として使用してもよい。このような形態の処理剤は固形処理剤と呼ばれる。固形処理剤は、粉末、錠剤、顆粒、粉末、塊状又はペースト状のものが用いられる。上記処理剤の、好ましい形態は、特開昭61−259921号公報記載の形態あるいは錠剤である。該錠剤の製造方法は、例えば特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号の各公報、英国特許第1,213,808号明細書等に記載される一般的な方法で製造できる。さらに顆粒の処理剤は、例えば特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号、同3−39739号の各公報等に記載される一般的な方法で製造できる。また、粉末の処理剤は、例えば特開昭54−133332号公報、英国特許第725,892号、同第729,862号、独国特許発明第3,733,861号の各明細書等に記載される一般的な方法で製造できる。
上記固形処理剤の嵩密度は、その溶解性の観点と、0.5〜6.0g/cm3のものが好ましく、特に1.0〜5.0g/cm3のものが好ましい。
上記固形処理剤を調製するに当たっては、処理剤を構成する物質の中の、少なくとも2種の相互に反応性の粒状物質を、反応性物質に対して不活性な物質による少なくとも1つの介在分離層によって分離された層になるように層状に反応性物質を置き、真空包装可能な袋を包材とし、袋内から排気しシールする方法を採用してもよい。ここにおいて、「不活性」とは、物質が互いに物理的に接触されたときにパッケージ内の通常の状態下で反応しないこと、もしくは何らかの反応があっても著しくないことを意味する。不活性物質は、2つの相互に反応性の物質に対して不活性であることは別にして、2つの反応性の物質が意図される使用において不活性であればよい。さらに不活性物質は、2つの反応性物質と同時に用いられる物質である。例えば、現像液においてハイドロキノンと水酸化ナトリウムは直接接触すると反応してしまうので、真空包装においてハイドロキノンと水酸化ナトリウムの間に分別層として亜硫酸ナトリウム等を使うことで、長期間パッケージ中に保存できる。また、ハイドロキノン等をブリケット化して水酸化ナトリウムとの接触面積を減らすことにより保存性が向上し、混合して用いることもできる。これらの真空包装材料の包材として用いられるのは不活性なプラスチックフイルム、プラスチック物質と金属箔のラミネートから作られたバッグである。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行う。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。尚、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
無電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤として、ホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子として、EDTA,トリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性向上の為の添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。
本実施の形態において、現像銀上に金属層を付加して導電性金属部の導電性を向上させる目的では、無電解めっきや物理現像に比べて電着速度が速く生産効率に優れる点と電着される金属種の選択範囲が広がる点で電解めっきが特に好ましい。電解めっきの方法としては、現像銀への電着が行われる限り、金属加工やプリント配線等に汎用されている公知の電解めっき方法を適宜選択して使用することができる。
好ましい電解めっきは、電解銅めっきであり、その場合の電解銅めっき浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
本実施の形態におけるめっき処理時のめっき速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/hr以上の高速めっきも可能である。めっき処理において、めっき液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTA等の配位子等、種々の添加剤を用いることができる。
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理等、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光及び現像処理後、あるいは物理現像又はめっき処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像又はめっき処理後のそれぞれで行ってもよい。
本実施の形態では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっき又は物理現像速度を促進させることができる。
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部は、透光性電磁波シールド材料としての用途である場合、メッシュ状金属パターンの交線が描く形状は、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)n角形、円、楕円、星形等を組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることがさらに好ましい。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。本発明では、上記ラインパターンに加えて、その交差部に隣接してモアレ抑止部の面積パターンが重畳される。
透光性電磁波シールド材料の用途において、上記導電性金属部の線幅は1μm以上40μm以下にする必要があり、好ましくは5μm以上30μm以下、最も好ましくは10μm以上25μm以下である。線間隔は50μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは200μm以上400μm以下、最も好ましくは250μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、複合メッシュをなす金属部を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、透光性電磁波シールド膜のうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
本実施の形態におけるメッシュパターンは3m以上連続していることが透光性電磁波シールド膜の生産性を高く維持するのに好都合である。メッシュパターンの連続数が多いほどその効果は大きく、従って、光学フィルタ材料を生産する場合のロスが低減できる優れた態様であるといえる。交差部18に隣接してモアレ抑止部20を付加した本実施の形態に係る複合メッシュパターンの長尺ロールへの焼き付け露光の方法は、上述したようにパターンマスクを介して一様照射露光を行う方法と搬送移動される長尺ロールへレーザービームを照射する走査露光のいずれで行うこともできる。
連続して焼き付けられるメッシュパターンの升目が多いと、ロール状にした場合にロール径が大きくなる、ロールの重量が重くなる、ロールの中心部の圧力が強くなり接着や変形等の問題を生じ安くなる等の理由で2000m以下であることが好ましい。好ましくは100m以上1000m以下、さらに好ましくは200m以上800m以下、最も好ましくは300m以上500m以下である。
同様の理由により透明支持体の厚みは200μm以下が好ましく、さらに好ましくは20μm以上180μm以下、最も好ましくは50μm以上120μm以下である。
本実施の形態においてメッシュが実質的に平行である直線状細線の交差するパターンとは、いわゆる格子模様を意味し、格子を構成する隣り合う直線が平行又は平行±2°以内の場合をいう。
該光ビームの走査方法としては、搬送方向に対して実質的に垂直な方向に配列したライン状の光源又は回転ポリゴンミラーによって露光する方法が好ましい。この場合、光ビームは2値以上の強度変調を行う必要があり、直線はドットの連続としてパターニングされる。ドットの連続であるため一ドットの細線の縁は階段状になるが、細線の太さはくびれた部分の一番狭い長さを意味する。
本実施の形態において複合メッシュ状パターンは搬送方向に対して30°から60°傾かせることが好ましい。より好ましくは40°から50°であり、最も好ましくは43°から47°である。これはメッシュパターンが枠に対して45°程度の傾きとなるマスクの作成が一般的に難しく、ムラが出やすいあるいは価格が高い等の問題を生じやすいのに対して、本方式はむしろ45°付近にてムラが出にくいため、本実施の形態の効果がマスク密着露光方式のフォトリソグラフィやスクリーン印刷によるパターニングに対してより顕著な効果がある。
[透光性電磁波シールド膜]
本発明の透光性電磁波シールド膜における透明支持体12の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
物理現像及び/又はめっき処理前の透明支持体12上に設けられる金属銀部32の厚さは、透明支持体12上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部32の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部32はパターン状であることが好ましい。金属銀部32は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部32がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。このようにして形成された多層構造のパターン状金属銀部を含む透光性電磁波シールド膜10は、高密度なプリント配線板として利用することができる。
導電性金属部の厚さは、ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。さらに、導電性配線材料の用途としては、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属36からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部32を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する透光性電磁波シールド膜10であっても容易に形成することができる。
なお、従来のエッチングを用いた方法では、金属薄膜の大部分をエッチングで除去、廃棄する必要があったが、本実施の形態では必要な量だけの導電性金属を含むパターンを透明支持体12上に設けることができるため、必要最低限の金属量だけを用いればよく、製造コストの削減及び金属廃棄物の量の削減という両面から利点がある。
<接着剤層>
本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜10は、光学フィルタや、液晶表示板、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示グラットパネル、あるいはCCDに代表される撮像用半導体集積回路等に組み込まれる際には、接着剤層を介して接合される。
接着剤層における接着剤の屈折率は1.40〜1.70のものを使用することが好ましい。これは、本実施の形態で使用するプラスチックフイルム等の透明基材と接着剤の屈折率との関係で、その差を小さくして、可視光透過率が低下するのを防ぐためであり、屈折率が1.40〜1.70であると可視光透過率の低下が少なく良好である。
また、接着剤は、加熱又は加圧により流動する接着剤であることが好ましく、特に、200℃以下の加熱又は1Kgf/cm2以上の加圧により流動性を示す接着剤であることが好ましい。このような接着剤を用いることにより、この接着剤層に導電層が埋設されている本発明おける透光性電磁波シールド膜10を被着体であるディスプレイやプラスチック板に接着剤層を流動させて接着することができる。流動できるので透光性電磁波シールド膜10を被着体にラミネートや加圧成形、特に加圧成形により、また、曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。透光性電磁波シールド膜10の用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
上記のような加熱又は加圧により流動する接着剤としては、主に以下に示す熱可塑性樹脂が代表的なものとしてあげられる。たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)等の(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.456)等のポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)等のポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)等も使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレート等のように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。これらの接着剤となるポリマーの軟化温度は、取扱い性から200℃以下が好適で、150℃以下がさらに好ましい。透光性電磁波シールド膜の用途から、使用される環境が通常80℃以下であるので接着剤層の軟化温度は、加工性から80〜120℃が最も好ましい。一方、ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下するおそれがある。本発明で使用する接着剤には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤等の添加剤を配合してもよい。接着剤の層の厚さは、10〜80μmであることが好ましく、導電層の厚さ以上で20〜50μmとすることが特に好ましい。
また、幾何学図形を被覆する接着剤は、透明プラスチック基材との屈折率の差が0.14以下とされる。また透明プラスチック基材が接着層を介して導電性材料と積層されている場合においては、接着層と幾何学図形を被覆する接着剤との屈折率の差が0.14以下とされる。これは、透明プラスチック基材と接着剤の屈折率、又は接着剤と接着層の屈折率が異なると可視光透過率が低下するためであり、屈折率の差が0.14以下であると可視光透過率の低下が少なく良好となる。そのような要件を満たす接着剤の材料としては、透明プラスチック基材がポリエチレンテレフタレート(n=1.575;屈折率)の場合、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリアルコール・ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂、脂環式やハロゲン化ビスフェノール等のエポキシ樹脂(いずれも屈折率が1.55〜1.60)を使うことができる。エポキシ樹脂以外では天然ゴム(n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.5125)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)等の(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.4563)、ポリオキシプロピレン(n=1.4495)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.4591)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.4563)等のポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.4665)、ポリビニルプロピオネート(n=1.4665)等のポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)等を挙げることができる。これらは、好適な可視光透過率を発現する。
一方、透明プラスチック基材がアクリル樹脂の場合、上記の樹脂以外に、ポリエチルアクリレート(n=1.4685)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.4638)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.4728)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.4746)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.4868)、ポリテトラカルバニルメタクリレート(n=1.4889)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.4889)、ポリメチルメタクリレート(n=1.4893)等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使うこともできる。
さらに、アクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート等も使うこともできる。特に、接着性の点から、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートは分子内に水酸基を有するため接着性向上に有効であり、これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。接着剤の主成分となるポリマーの重量平均分子量は、1,000以上のものが使われる。分子量が1,000以下だと組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下する。
接着剤の硬化剤としては、トリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、エチルメチルイミダゾール等を使うことができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらの架橋剤の添加量は上記ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で選択するのがよい。この添加量が、0.1重量部未満であると硬化が不十分となり、50重量部を越えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。本発明で使用する接着剤の樹脂組成物には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤や粘着付与剤等の添加剤を配合してもよい。そして、この接着剤の樹脂組成物は、透明プラスチック基材の表面に導電性材料で描かれた幾何学図形を設けた構成材料の基材の一部又は全面を被覆するために、塗布され、溶媒乾燥、加熱硬化工程を経た後、接着フイルムにする。上記で得られた電磁波シ−ルド性と透光性を有する接着フイルムは、該接着フイルムの接着剤によりCRT、PDP、液晶、EL等のディスプレイに直接貼り付け使用したり、アクリル板、ガラス板等の板やシートに貼り付けてディスプレイに使用する。また、この接着フイルムは、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞくための窓や筐体に上記と同様にして使用する。さらに、電波塔や高圧線等により電磁波障害を受ける恐れのある建造物の窓や自動車の窓等に設ける。そして、導電性材料で描かれた幾何学図形にはアース線を設けることが好ましい。
透明プラスチック基材上の導電性材料が除去された部分は密着性向上のために意図的に凹凸を有していたり、導電性材料の背面形状を転写したりするためにその表面で光が散乱され、透光性が損なわれるが、その凹凸面に透明プラスチック基材と屈折率が近い樹脂が平滑に塗布されると乱反射が最小限に押さえられ、透光性が発現するようになる。さらに透明プラスチック基材上の導電性材料で描写された幾何学図形は、ライン幅が非常に小さいため肉眼で視認されない。またピッチも十分に大きいため見掛け上透光性を発現すると考えられる。一方、遮蔽すべき電磁波の波長に比べて、幾何学図形のピッチは十分に小さいため、優れたシールド性を発現すると考えられる。
特開2003−188576号公報に示すように、透明基材フイルムと金属箔との積層は、透明基材フイルムとして、熱融着性の高いエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、もしくはアイオノマー樹脂等の熱融着性樹脂のフイルムを単独、又は他の樹脂フイルムと積層して使用するときは、接着剤層を設けずに行なうことも可能であるが、通常は、接着剤層を用いたドライラミネート法等によって積層を行なう。接着剤層を構成する接着剤としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、もしくはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等の接着剤を挙げることができ、これらの他、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等)を用いることもできる。
一般的には、ディスプレイの表面はガラス製であるので、粘着材を用いて貼り合わせるのは透明プラスチックフイルムとガラス板となり、その接着面に気泡が生じたり剥離が生じたりすると画像が歪む、表示色がディスプレイ本来のものと異なって見える等の問題が発生する。また、気泡及び剥離の問題はいずれの場合でも粘着材がプラスチックフイルム又はガラス板より剥離することにより発生する。この現象は、プラスチックフイルム側、ガラス板側ともに発生する可能性が有り、より密着力の弱い側で剥離が発生する。従って、高温での粘着材とプラスチックフイルム、ガラス板との密着力が高いことが必要となる。具体的には、透明プラスチックフイルム及びガラス板と粘着材層との密着力は80℃において10g/cm以上であることが好ましい。30g/cm以上であることがさらに好ましい。ただし、2000g/cmを超えるような粘着材は貼り合わせ作業が困難となるために好ましくない場合がある。ただし、かかる問題点が発生しない場合は問題なく使用できる。さらに、この粘着材の透明プラスチックフイルムと面していない部分に不必要に他の部分に接触しないように合い紙(セパレータ)を設けることも可能である。
粘着材は透明であるものが好ましい。具体的には全光線透過率が70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、85〜92%が最も好ましい。さらに、霞度が低いことが好ましい。具体的には、0〜3%が好ましく、0〜1.5%がさらに好ましい。本発明で用いる粘着材は、ディスプレイ本来の表示色を変化させないために無色であることが好ましい。ただし、樹脂自体が有色であっても粘着材の厚みが薄い場合には実質的には無色とみなすことが可能である。また、後述のように意図的に着色を行なう場合も同様にこの範囲ではない。
上記の特性を有する粘着材としては例えば、アクリル系樹脂、α−オレフィン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル共重合物系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン−ビニルアセテート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの内、アクリル系樹脂が好ましい。同じ樹脂を用いる場合でも、粘着材を重合法により合成する際に架橋剤の添加量を下げる、粘着性付与材を加える、分子の末端基を変化させる等の方法によって、粘着性を向上させることも可能である。また、同じ粘着材を用いても、粘着材を貼り合わせる面、すなわち、透明プラスチックフイルム又はガラス板の表面改質を行なうことにより密着性を向上させることも可能である。このような表面の改質方法としては、コロナ放電処理、プラズマグロー処理等の物理的手法、密着性を向上させるための下地層を形成する等の方法が挙げられる。
透光性、無色性、ハンドリング性の観点から、粘着材層の厚みは、5〜50μm程度であることが好ましい。粘着材層を接着剤で形成する場合は、その厚みは上記範囲内で薄くするとよい。具体的には1〜20μm程度である。ただし、上記のようにディスプレイ自体の表示色を変化させず、透光性も上記の範囲に入っている場合には、厚みが上記範囲を超えてもよい。
<剥離可能な保護フイルム>
本発明に係る透光性電磁波シールド膜10には、剥離可能な保護フイルムを設けることができる。
保護フイルムは、必ずしも、透光性電磁波シールド膜10の両面に有していなくてもよく、特開2003−188576号公報の図2(a)に示すように、積層体(10)のメッシュ状の金属箔(11’)上に保護フイルム(20)を有するのみで、透明基材フイルム(14)側に有していなくてもよい。また、上記公報の図2(b)に示すように、積層体(10)の透明基材フイルム(14)側に保護フイルム(30)を有するのみで、金属箔(11’)上に有していなくてもよい。なお、上述の括弧付きの参照符号は、参照する公報の部材に対する参照符号を示す。以下同じである。
透光性電磁波シールド膜10における透明支持体12及び開口部が密に配列したメッシュパターンからなる透光性を有する電磁波遮蔽層とが少なくとも積層されて構成された積層体の層構成、及び積層体の製造プロセスについて、次に上記公報の図3(a)〜(f)を引用しながら説明する。なお、保護フイルム(保護フイルム(20)又は/及び保護フイルム(30))の積層については、積層体の製造プロセスの説明の後に、改めて説明する。
まず、上記公報の図3(a)に示すように、透明基材フイルム(14)(透明支持体12)及び金属箔(11)が接着剤層(13)を介して積層された積層体を準備する。透明基材フイルム(14)としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリサルホン樹脂、もしくはポリ塩化ビニル樹脂等のフイルムを用いることができる。通常は、機械的強度が優れ、透光性が高いポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂のフイルムを好ましく用いる。透明基材フイルム(14)の厚みは、特に限定されないが、機械的強度があり、折り曲げに対する抵抗性を大きくする点から、50μm〜200μm程度であることが好ましく、さらに厚みが増してもよいが、電磁波遮蔽用シート(1)(透光性電磁波シールド膜10)を他の透明基板に積層して使用する場合には、必ずしも、この範囲以上の厚みでなくてもよい。必要に応じ、透明基材フイルム(14)の片面もしくは両面にコロナ放電処理を施したり、あるいは易接着層を設けるとよい。
電磁波遮蔽用シート(1)は、後に上記公報の図4を引用して説明するように、上記の積層体を赤外線カットフィルタ層を介する等して基板上に積層したものの表裏に、さらに、最表面の強化、反射防止性の付与、防汚性の付与等の効果を有するシートを積層して使うものであるので、上記の保護フイルムは、このようなさらなる積層の際には剥離する必要があり、このため、保護フイルムの金属箔側への積層は、いわゆる剥離可能に行なうことが望ましい。
保護フイルムは金属箔上に積層した際の剥離強度は5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フイルムが剥離するおそれがあり好ましくなく、また、上限を超えると、剥離のために大きな力を要する上、剥離の際に、メッシュ状の金属箔が透明基材フイルム(もしくは接着剤層)から剥離するおそれがあり、やはり好ましくない。
電磁波遮蔽用シート(1)において、透明基材フイルム(14)上に接着剤層(13)を介してメッシュ状の金属箔が積層された積層体(黒化層を伴なってもよい。)の下面側、即ち、透明基材フイルム側に積層する保護フイルムは、透明基材フイルムの下面が、取扱い中や不用意な接触により損傷しないよう、また、金属箔上にレジスト層を設けてエッチングする各工程において、特にエッチングの際に透明基材フイルムの露出面が汚染もしくは侵食を受けないよう、保護するためのものである。
前述した保護フイルムの場合と同様、この保護フイルムも、積層体のさらなる積層の際には剥離する必要があるので、保護フイルムの透明基材フイルム側への積層も、剥離可能に行うことが望ましく、剥離強度としては、保護フイルムと同様、5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フイルムが剥離するおそれがあり好ましくなく、また、上限を超えると、剥離のために大きな力を要するからである。
透明基材フイルム側に積層する保護フイルムは、エッチング条件に耐える、例えば、50℃程度のエッチング液、特にそのアルカリ成分によって数分間の浸漬中、侵食されないものであることが好ましく、あるいは、ドライエッチングの場合には100℃程度の温度条件に耐えるものであることが望ましい。また、感光性樹脂層を積層する際に、積層体をディップコーティング(浸漬コーティング)するときは、コーティング液が積層体の反対面にも付着するので、エッチング等の工程の際に、感光性樹脂が剥離してエッチング液の中を漂うことがないよう、感光性樹脂の密着力が得られるものであることが好ましいし、エッチング液を用いるときは、塩化鉄や塩化銅等を含むエッチング液による汚染に耐える耐久性、もしくは、アルカリ液等のレジスト除去液による侵食もしくは汚染等に耐える耐久性を有するものであることが好ましい。
上記の各点を満足させるために、保護フイルムを構成するフイルムとしては、ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはアクリル樹脂等の樹脂フイルムを用いることが好ましく、また、上記した観点により、少なくとも、保護フイルムの、積層体に適用した際に最表面となる側の面にコロナ放電処理を施しておくか、易接着層を積層しておくことが好ましい。
また、保護フイルムを構成する粘着材としては、アクリル酸エステル系、ゴム系、もしくはシリコーン系のものを使用することができる。
上記した保護フイルム用のフイルムの素材、及び粘着材の素材は、金属箔側に適用する保護フイルムについても、そのまま適用できるので、両保護フイルムとしては、異なるものを使用してもよいが、同じ物を、両保護フイルムとすることができる。
[黒化処理]
特開2003−188576号公報に示す構成図を例にして述べると、金属箔は、透明基材フイルム側に、黒化処理による黒化層を有したものであってよく、防錆効果に加え、反射防止性を付与することができる。黒化層は、例えば、Co−Cu合金めっきによって形成され得るものであり、金属箔(11)の表面の反射を防止することができる。さらにその上に防錆処理としてクロメート処理をしてもよい。クロメート処理は、クロム酸もしくは重クロム酸塩を主成分とする溶液中に浸漬し、乾燥させて防錆被膜を形成するもので、必要に応じ、金属箔の片面もしくは両面に行なうことができるが、市販のクロメート処理された銅箔等を利用してもよい。なお、予め黒化処理された金属箔を用いないときは、後の適宜な工程において、黒化処理してもよい。なお、黒化層の形成は、後述する、レジスト層となり得る感光性樹脂層を、黒色に着色した組成物を用いて形成し、エッチングが終了した後に、レジスト層を除去せずに残留させることによっても形成できるし、黒色系の被膜を与えるめっき法によってもよい。
また、黒化層を含む構成の例としては、特開平11−266095号公報に示した構成であってもよい。上記の電磁波遮蔽板において、例えば、横方向のライン(x)と縦方向のライン(y)とが交差して構成するメッシュ状の導電性パターン(P)を形成する第1の黒化層(3a)、第2の黒化層(3b)等を構成する黒化層としては、次に述べる考え方に基づいて適宜に選択して利用することにより形成することができる。本発明においては、主目的であるメッシュパターンを形成する方法として例えば以下のような2つの方法があり、その1つの方法は、金属めっき法であり、他の方法は、エッチング法である。本実施の形態においては、上記のいずれかの方法を採用することにより、第1の黒化層(3a)、第2の黒化層(3b)等の形成法、使用する材料等が異なる。すなわち、本発明において、第1の黒化層(3a)、第2の黒化層(3b)等の上に、導電性パターン(P)を金属めっき法等で形成するためには、金属めっきが可能な導電性黒化層が必要であり、また、エッチング法又は電着法等により最終工程において黒化する場合には、非導電性材料等を使用して非導電性黒化層を形成することができる。上記の導電性黒化層は、一般に、導電性金属化合物、例えば、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)等の化合物を使用して形成することができ、また、非導電性黒化層は、ペースト状黒色高分子材料、例えば、黒色インキ等、あるいは、黒化化成材料、例えば、金属めっき表面を化成処理してなる黒色化合物を形成したもの、さらには、電着性イオン性高分子材料、例えば、電着塗装材料等を使用して形成することができる。本発明においては、上記のような黒化層形成方法を利用し、電磁波遮蔽板の製造法における製造工程等に応じた適宜の方法を選択し、それを採用して黒化層を形成することができる。
次に、黒化層を設ける方法としては、特開平11−266095号公報の図5に示すように、上記で作製した金属板等の導電性基板(11)の上に電着を阻害する絶縁性膜で構成するメッシュ状のレジストパタ−ン(12)を有する電着基板(14)を、まず、例えば、黒化銅、黒化ニッケル等の電解液中に浸漬し、電気化学的な公知のめっき法でめっきして、黒化銅層、あるいは、黒化ニッケル層等からなるメッシュ状の第2の黒化層(3b)を形成する。なお、本実施の形態において、上記の黒色めっき浴は、硫酸ニッケル塩を主成分とする黒色めっき浴を使用することができ、さらに、市販の黒色めっき浴も同様に使用することができ、具体的には、例えば、株式会社シミズ製の黒色めっき浴(商品名、ノーブロイSNC、Sn−Ni合金系)、日本化学産業株式会社製の黒色めっき浴(商品名、ニッカブラック、Sn−Ni合金系)、株式会社金属化学工業製の黒色めっき浴(商品名、エボニークロム85シリーズ、Cr系)等を使用することができる。
また、上記の黒色めっき浴としては、Zn系、Cu系、その他等の種々の黒色めっき浴を使用することができる。次に、本発明においては、同じく、上記公報図5に示すように、上記で第2の黒化層(3b)を設けた電着基板(14)を、電磁波遮蔽用の金属の電解液中に浸漬して、該電着基板(14)の第2の黒化層(3b)に相当する箇所に、所望の厚さにメッシュ状の導電性パターン(4)を積層、電着する。上記において、メッシュ状の導電性パターン(4)を構成する材料としては、前述の良導電性物質としての金属が最も有利な材料として使用することができる。そして、上記の金属電着層を形成する場合には、汎用金属の電解液を使用することができるので、多種類の、安価な金属電解液が存在し、目的に適った選択を自由に行うことができるという利点がある。一般に、安価な良導電性金属としては、Cuが多用されており、本発明においても、Cuを使用することが、その目的にも合致して有用なものであり、勿論、その他の金属も同様に用いることができるものである。
また、本実施の形態において、メッシュパターンは、単一金属層のみで構成する必要はなく、例えば、図示しないが、上記の例のCuからなるメッシュパターンは、比較的に柔らかく傷がつき易いので、その保護層として、NiやCr等の汎用の硬質金属を用いて2層からなる金属電着層とすることもできる。次に、本実施の形態においては、同じく、上記でメッシュパターンを形成した後、例えば、該メッシュパターンの表面を化成処理して、具体的には、例えば、メッシュパターンが銅(Cu)からなるものであれば、硫化水素(H2 S)液処理して、銅の表面を硫化銅(CuS)として黒化して、該メッシュパタ−ンを構成する金属電着層の表面を黒化処理して第1の黒化層(3a)を形成し、上記の第2の黒化層(3b)、導電性パターン層(4)、及び、第1の黒化層(3a)の順で順次に重層して構成したメッシュパターンを形成するものである。なお、本実施の形態において、上記の銅表面の黒化処理剤としては、硫化物系や硫化物系化合物を用いて容易に製造でき、さらにまた、市販品も多種類の処理剤があり、例えば、商品名・コパ−ブラックCuO、同CuS、セレン系のコパ−ブラックNo.65等(アイソレ−ト化学研究所製)、商品名・エボノ−ルCスペシャル(メルテックス株式会社製)等を使用することができる。
上記の電磁波遮蔽板において、エッチングレジストパターン(35)は、除去してもよく、また、残留させてもよく、さらに、エッチングレジストパターン(35)を除去する場合には、エッチングレジストパターン(35)を除去後、残留する導電性金属層(33)の表面を黒化処理することができる。そして、上記の黒化処理には、例えば、ブラック銅(Cu)、ブラックニッケル(Ni)等のめっき法や化学的な黒化処理法等の公知の黒化処理方法を利用して行うことができる。
[光学フィルタ]
本実施の形態に係る光学フィルタは、上記の透光性電磁波シールド膜の他に、複合機能層を備えた機能性フイルムを有することができる。
<複合機能層>
ディスプレイは、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうので、機能性フイルムは、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、又は、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、又はその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能を有していることが必要である。光学フィルタ表面の可視光線反射率が低いと、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。
反射防止性を有する機能性フイルムは、反射防止膜を有し、具体的には、可視域において屈折率が1.5以下、好適には1.4以下と低い、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物又はシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したものがあるが、これらに限定されるものではない。反射防止性を有する機能性フイルムの表面の可視光線反射率は2%以下、好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
防眩性を有する機能性フイルムは、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する可視光線に対して透明な防眩膜を有している。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物又は有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを、基体上に塗布、硬化させる。粒子の平均粒径は、1〜40μmである。又は、上記の熱硬化型又は光硬化型樹脂を基体に塗布し、所望のグロス値又は表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても防眩性を得ることができるが、必ずしもこれら方法に限定されるものではない。防眩性を有する機能性フイルムのヘイズは0.5%以上20%以下であり、好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
光学フィルタに耐擦傷性を付加させるために、機能性フイルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート膜としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。これらの膜の厚さは、1〜50μm程度である。ハードコート性を有する機能性フイルムの表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともH、好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。ハードコート膜上に反射防止膜及び/又は防眩膜を形成すると、耐擦傷性・反射防止性及び/又は防眩性を有する機能性フイルムが得られ好適である。
光学フィルタには、静電気帯電によりホコリが付着しやすく、また、人体が接触したときに放電して電気ショックを受けることがあるため、帯電防止処理が必要とされる場合がある。従って、静電気防止能を付与するために、機能性フイルムが導電性を有していてもよい。この場合に必要とされる導電性は表面抵抗率で1011オーム/sq程度以下であればよい。導電性を付与する方法としてはフイルムに帯電防止剤を含有させる方法や導電層を形成する方法が挙げられる。帯電防止剤として具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。導電層としてはITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜が挙げられる。ハードコート膜や反射防止膜、防眩膜が、導電膜を有していたり導電性微粒子を含有していると好適である。
機能性フイルムの表面が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。防汚性を有するものとしては、水及び/又は油脂に対して非濡性を有するものであって、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素系防汚剤として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。反射防止膜に、これら防汚性のある層を用いると、防汚性を有する反射防止膜が得られて好適である。
機能性フイルムは、後述する色素や高分子フイルムの劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を有していることが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フイルムは、後述する上記の高分子フイルムに紫外線吸収剤を含有させることや紫外線吸収膜を付与する方法が挙げられる。
光学フィルタは、常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用されると、フイルムを透過した水分により後述する色素が劣化したり、貼り合わせに用いる粘着材中や貼り合せ界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で粘着材中の粘着付与剤等が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、機能性フイルムがガスバリア性を有していると好ましい。このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や粘着材層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フイルムの水蒸気透過度が10g/m2・day以下、好ましくは5g/m2・day以下であることが好適である。
本実施の形態において、高分子フイルム、導電メッシュ層、機能性フイルム及び必要に応じて後述する透明成型物は、可視光線に対して透明な任意の粘着材又は接着剤(第1透光性粘着材層及び第2透光性粘着材層)を介して貼り合わされる。粘着材又は接着剤(第1透光性粘着材層及び第2透光性粘着材層)として具体的にはアクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等が挙げられ、実用上の接着強度があればシート状のものでも液状のものでもよい。粘着材は感圧型接着剤でシート状のものが好適に使用できる。シート状粘着材貼り付け後又は接着材塗布後に各部材をラミネートすることによって貼り合わせを行う。液状のものは塗布、貼り合わせ後に室温放置又は加熱により硬化する接着剤である。塗布方法としては、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法等が挙げられるが、接着剤の種類、粘度、塗布量等から考慮、選定される。層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜30μmである。粘着材層を形成される面、貼り合わせられる面は、予め易接着コート又はコロナ放電処理等の易接着処理により濡れ性を向上させておくことが好適である。本発明においては、前述の可視光線に対して透明な粘着材又は接着剤を透光性粘着材と呼ぶ。
本実施の形態においては、導電性メッシュ層上に機能性フイルムを貼り合わせる際、特に、第1透光性粘着材層を用いる。第1透光性粘着材層に用いる透光性粘着材の具体例としては前記と同じだが、その厚さが導電性メッシュ層の凹部を十分埋め込むことができることが肝要である。導電性メッシュ層の厚さより薄すぎると、埋め込み不十分で間隙ができて凹部に気泡を噛み込み、濁りのある、透光性の不足したディスプレイ用フィルタとなってしまう。また、厚すぎると粘着材を作製するコストがアップしたり部材のハンドリングが悪くなる等の問題が生じる。導電性メッシュ層の厚さがdμmの時、第1透光性粘着材の厚さは(d−2)〜(d+30)μmであることが好ましい。
光学フィルタの可視光線透過率は、30〜85%が好ましい。さらに好ましくは35〜70%である。30%未満であると輝度が下がりすぎ視認性が悪くなる。また、ディスプレイ用フィルタの可視光線透過率が高すぎると、ディスプレイのコントラストを改善できない。なお、本発明における可視光線透過率は、可視光線領域における透過率の波長依存性からJIS(R−3106)に従って計算されるものである。
また、機能性フイルムを第1透光性粘着材層を介して導電性メッシュ層上に貼り合せると、凹部に気泡を噛み込み、濁って透光性が不十分になることがあるが、この場合、例えば加圧処理すると、貼り合わせ時に部材間に入り込んだ気体を脱泡又は、粘着材に固溶させ、濁りを無くして透光性を向上させることができる。加圧処理は、機能性フイルム/第1透光性粘着材層/導電性メッシュ層/高分子フイルムの構成の状態で行っても、本実施の形態のディスプレイ用フィルタの状態で行ってもよい。
加圧方法としては、平板間に積層体を挟み込みプレスする方法、ニップロール間を加圧しながら通す方法、加圧容器内に入れて加圧する方法が挙げられるが、特に限定はされない。加圧容器内で加圧する方法は、積層体全体に一様に圧力がかかり加圧のムラがなく、また、一度に複数枚の積層体を処理できるので好適である。加圧容器としてはオートクレーブ装置を用いることができる。
加圧条件としては、圧力が高い程、噛み込んだ気泡をなくすことができ、且つ、処理時間を短くすることができるが、積層体の耐圧性、加圧方法の装置上の制限から、0.2MPa〜2MPa程度、好ましくは0.4MPa〜1.3MPaである。また、加圧時間は、加圧条件によって変わり特に限定されないが、長くなりすぎると処理時間がかかりコストアップとなるので、適当な加圧条件において保持時間が6時間以下であることが好ましい。特に加圧容器の場合は、設定圧力に到達後、10分〜3時間程度保持することが好適である。
また、加圧時に同時に加温すると好ましい場合がある。加温することによって、透光性粘着材の流動性が一時的に上がり噛み込んだ気泡を脱泡しやすくなったり、気泡が粘着材中に固溶しやすくなる。加温条件としては光学フィルタを構成する各部材の耐熱性により、室温以上80℃以下程度であるが、特に限定を受けない。
さらにまた、加圧処理、又は、加圧加温処理は、光学フィルタを構成する各部材間の貼り合わせ後の密着力を向上させることができ、好適である。
本実施の形態の光学フィルタは、高分子フイルムの導電性メッシュ層が形成されていない他方の主面に第2透光性粘着材層を設ける。第2透光性粘着材層に用いる透光性粘着材の具体例は前述の通りであり、特に限定はされない。厚みも、特に限定されるものではないが、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜30μmである。第2透光性粘着材層を形成される面、貼り合わせられる面は、予め易接着コート又はコロナ放電処理等の易接着処理により濡れ性を向上させておくことが好適である。
第2透光性粘着材層上に離型フイルムが形成されていてもよい。すなわち、少なくとも機能性フイルム/第1透光性粘着材層/導電性メッシュ層/高分子フイルム/第2透光性粘着材層/離型フイルムである。離型フイルムは、粘着材層と接する高分子フイルムの主面上にシリコーン等をコーティングしたものである。本実施の形態の光学フィルタを後述の透明成形物の主面に貼り合せる際、又は、ディスプレイ表面、例えばプラズマディスプレイパネルの前面ガラス上に貼り合せる際には、離型フイルムを剥離して第2透光性粘着材層を露出せしめた後に貼り合わせる。
本実施の形態の光学フィルタは、主として各種ディスプレイから発生する電磁波を遮断する目的で用いられる。好ましい例として、プラズマディスプレイ用フィルタが挙げられる。
前述したように、プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、光学フィルタは、実用上問題ないレベルまで電磁波だけでなく近赤外線もカットする必要がある。波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下とすることが必要である。また、プラズマディスプレイに用いる光学フィルタは、その透過色がニュートラルグレー又はブルーグレーであることが要求される。これは、プラズマディスプレイの発光特性及びコントラストを維持又は向上させる必要があったり、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。さらにまた、カラープラズマディスプレイはその色再現性が不十分と言われており、その原因である蛍光体又は放電ガスからの不要発光を選択的に低減することが好ましい。特に、赤色表示の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示しており、比較的強い短波長側の発光ピークにより赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。これら光学特性は、色素を用いることによって制御できる。つまり、近赤外線カットには近赤外線吸収剤を用い、また、不要発光の低減には不要発光を選択的に吸収する色素を用いて、所望の光学特性とすることができ、また、光学フィルタの色調も可視領域に適当な吸収のある色素を用いて好適なものとすることができる。
色素を含有させる方法としては、(1)色素を少なくとも1種類以上、透明な樹脂に混錬させた高分子フイルム又は樹脂板、(2)色素を少なくとも1種類以上、樹脂又は樹脂モノマー/有機系溶媒の樹脂濃厚液に分散・溶解させ、キャスティング法により作製した高分子フイルム又は樹脂板、(3)色素を少なくとも1種類以上を、樹脂バインダと有機系溶媒に加え、塗料とし、高分子フイルム又は樹脂板上にコーティングしたもの、(4)色素を少なくとも1種類以上を含有する透明な粘着材、のいずれか一つ以上選択できるが、これらに限定されない。本実施の形態でいう含有とは、基材又は塗膜等の層又は粘着材の内部に含有されることは勿論、基材又は層の表面に塗布した状態を意味する。
上記の色素は可視領域に所望の吸収波長を有する一般の染料又は顔料、又は、近赤外線吸収剤であって、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、イモニウム系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、ジチオール系化合物、ジイミニウム系化合物等の一般に市販もされている有機色素があげられる。その種類・濃度は、色素の吸収波長・吸収係数、光学フィルタに要求される透過特性・透過率、そして分散させる媒体又は塗膜の種類・厚さから決まり、特に限定されるものではない。
プラズマディスプレイパネルはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときは特に光学フィルタの温度も上がるため、色素は、例えば80℃で分解等によって顕著に劣化しない耐熱性を有していることが好適である。また、耐熱性に加えて色素によっては耐光性に乏しいものもある。プラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、紫外線吸収剤を含む部材や紫外線を透過しない部材を用いることによって、色素の紫外線による劣化を低減すること、紫外線や可視光線による顕著な劣化がない色素を用いることが肝要である。熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化するとディスプレイ用フィルタの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下してしまう。さらには、媒体又は塗膜中に分散させるために、適宜の溶媒への溶解性や分散性も重要である。また、本発明においては異なる吸収波長を有する色素2種類以上を一つの媒体又は塗膜に含有させてもよいし、色素を含有する媒体、塗膜を2つ以上有していてもよい。
上記の色素を含有させる方法(1)〜(4)は、本実施の形態においては、色素を含有する高分子フイルム(A)、色素を含有する機能性フイルム(C)、色素を含有する透光性粘着材(D1)、(D2)、その他貼り合わせに用いられる色素を含有する透光性の粘着材又は接着剤のいずれか1つ以上の形態をもって、本実施の形態の光学フィルタに使用できる。
一般に色素は紫外線で劣化しやすい。光学フィルタが通常使用条件下で受ける紫外線は、太陽光等の外光に含まれるものである。従って、色素の紫外線による劣化を防止するためには、色素を含有する層自身及び該層より外光を受ける人側の層から選ばれる少なくとも1層に、紫外線カット能を有する層を有していることが好適である。例えば、高分子フイルムが色素を含有する場合、第1透光性粘着材層及び/又は機能性フイルムが、紫外線吸収剤を含有したり、紫外線カット能を有する機能膜を有していれば、外光が含む紫外線から、色素を保護できる。色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。紫外線カット能を有する機能膜は、紫外線吸収剤を含有する塗膜であっても、紫外線を反射又は吸収する無機膜であってもよい。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散又は溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。なお、紫外線カット能を有する層又はフイルムは、可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。色素を含有する機能性フイルムにおいては、色素を含有する層が形成されている場合はその層よりも人側のフイルム又は機能膜が紫外線カット能を有すればよく、高分子フイルムが色素を含有する場合はフイルムより人側に紫外線カット能を有する機能膜や機能層を有していればよい。
色素は、金属との接触によっても劣化する場合がある。このような色素を用いる場合、色素は導電メッシュ層とできるだけ接触しないように配置することがさらに好ましい。具体的には色素含有層が機能性フイルム、高分子フイルム、第2透光性粘着材層であることが好ましく、特には第2透光性粘着材層であることが好ましい。
本実施の形態の光学フィルタは、高分子フイルム、導電性メッシュ層、機能性フイルム、第1透光性粘着材層及び第2透光性粘着材層が、機能性フイルム/第1透光性粘着材層/導電性メッシュ層/高分子フイルム/第2透光性粘着材層の順に構成され、好ましくは導電性メッシュ層と高分子フイルムとからなる導電性メッシュフイルムと機能性フイルムとが第1透光性粘着材層で貼合され、高分子フイルムの導電性メッシュ層とは反対側の主面に第2透光性粘着材層が付されている。
本実施の形態の光学フィルタをディスプレイに装着する際には機能性フイルムを人側に、第2透光性粘着材層がディスプレイ側となるように装着する。
本実施の形態の光学フィルタを、ディスプレイの前面に設けて使用する方法としては、後述の透明成形物を支持体とした前面フィルタ板として使用する方法、ディスプレイ表面に第2透光性粘着材層を介して貼り合せて使用する方法がある。前者の場合、光学フィルタの設置が比較的容易であり、透明支持体により機械的強度が向上し、ディスプレイの保護に適している。後者の場合は、支持体がなくなることにより、軽量化・薄化が可能であり、また、ディスプレイ表面の反射を防止することができ、好適である。
透明成形物としては、ガラス板、透光性のプラスチック板があげられる。機械的強度や、軽さ、割れにくさからは、プラスチック板が好ましいが、熱による変形等の少ない熱的安定性からガラス板も好適に使用できる。プラスチック板の具体例を挙げると、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をはじめとするアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明ABS樹脂等が使用できるが、これらの樹脂に限定されるものではない。特に、PMMAはその広い波長領域での高透光性と機械的強度の高さから好適に使用できる。プラスチック板の厚みは十分な機械的強度と、撓まずに平面性を維持する剛性が得られればよく、特に限定されるものではないが、通常1mm〜10mm程度である。ガラスは、機械的強度を付加するために化学強化加工又は風冷強化加工を行った半強化ガラス板又は強化ガラス板が好ましい。重量を考慮すると、その厚みは1〜4mm程度である事が好ましいが、特に限定されない。透明成形物はフイルムを貼り合せる前に必要な各種公知の前処理を行うことができるし、光学フィルタ周縁部となる部分に黒色等の有色の額縁印刷を施してもよい。
透明成形物を用いる場合の光学フィルタの構成は、少なくとも機能性フイルム/第1透光性粘着材層/導電性メッシュ層/高分子フイルム/第2透光性粘着材層/透明成形物である。また、透明成形物の第2透光性粘着材層と貼り合せられる面とは反対の主面に、機能性フイルムが透光性粘着材層を介して設けられてもよい。この場合、人側に設けられる機能性フイルムと同じ機能・構成を有する必要はなく、例えば、反射防止能を有している場合は、透明支持体を有する光学フィルタの裏面反射を低減することができる。同じく、透明成形物の第2透光性粘着材層と貼り合せられる面とは反対の主面に、反射防止膜等の機能膜を形成してもよい。この場合は、機能性膜を人側にしてディスプレイに設置することもできるが、前述の通り、紫外線カット能を有する層を色素含有層及び色素含有層より人側の層に設けることが好ましい。
電磁波シールドを必要とする機器には、機器のケース内部に金属層を設けたり、ケースに導電性材料を使用して電磁波を遮断する必要があるが、ディスプレイのように、表示部に透光性が必要である場合には、本実施の形態の光学フィルタのように、透光性の導電層を有した窓状の電磁波シールドフィルタを設置する。ここで、電磁波は、導電層において吸収されたのち電荷を誘起するため、アースをとることによって電荷を逃がさないと、再び光学フィルタがアンテナとなって電磁波を発振し電磁波シールド能が低下する。従って、光学フィルタとディスプレイ本体のアース部が電気的に接触している必要がある。そのため、前述の第1透光性粘着材層及び機能性フイルムは、外部から導通を取ることができる導通部を残して導電性メッシュ層上に形成されている必要がある。導通部の形状は特に限定しないが、光学フィルタとディスプレイ本体の間に、電磁波の漏洩する隙間が存在しないことが肝要である。従って、導通部は、導電性メッシュ層の周縁部且つ連続的に設けられている事が好適である。すなわち、ディスプレイの表示部である中心部分を除いて、枠状に、導通部が設けられている事が好ましい。
導通部はメッシュパターン層であっても、パターニングされていない、例えば金属箔ベタの層であってもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とするためには、金属箔ベタ層のようにパターニングされていない導通部であることが好ましい。
導通部が、例えば金属箔ベタのようにパターニングされていない場合、及び/又は、導通部の機械的強度が十分強い場合は、導通部そのままを電極として使用できて好適である。
導通部の保護のため、及び/又は、導通部がメッシュパターン層である場合にアース部との電気的接触を良好とするために、導通部に電極を形成することが好ましい場合がある。電極形状は特に限定しないが、導通部をすべて覆うように形成されている事が好適である。
電極に用いる材料は、導電性、耐触性及び透明導電膜との密着性等の点から、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、カーボン等の単体もしくは2種以上からなる合金や、合成樹脂とこれら単体又は合金の混合物、もしくは、ホウケイ酸ガラスとこれら単体又は合金の混合物からなるペーストを使用できる。ペーストの印刷、塗工には従来公知の方法を採用できる。また、市販の導電性テープも好適に使用できる。導電性テープは両面ともに導電性を有するものであって、カーボン分散の導電性接着剤を用いた片面接着タイプ、両面接着タイプが好適に使用できる。電極の厚さは、これもまた特に限定されるものではないが、数μm〜数mm程度である。
本実施の形態によれば、プラズマディスプレイの輝度を著しく損なわずに、その画質を維持又は向上させることができる、光学特性に優れた光学フィルタを得ることができる。また、プラズマディスプレイから発生する健康に害をなす可能性があることを指摘されている電磁波を遮断する電磁波シールド能に優れ、さらに、プラズマディスプレイから放射される800〜1000nm付近の近赤外線線を効率よくカットするため、周辺電子機器のリモコン、伝送系光通信等が使用する波長に悪影響を与えず、それらの誤動作を防ぐことができる光学フィルタを得ることができる。さらにまた、耐候性にも優れた光学フィルタを低コストで提供することができる。
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg60gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/m2となるようにポリエチレンテレフタレート(PET)上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/2とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
(露光)
ハロゲン化銀感光材料の露光は特開2004−1224号公報の発明の実施の形態記載のDMD(デジタル・ミラー・デバイス)を用いた露光ヘッドを25cm幅になるように並べ、感光材料の感光層上にレーザ光が結像するように露光ヘッド及び露光ステージを湾曲させて配置し、感材送り出し機構及び巻取り機構を取り付けた上、露光面のテンション制御及び巻取り、送り出し機構の速度変動が露光部分の速度に影響しないようにバッファー作用を有する撓みを設けた連続露光装置にて行った。露光の波長は400nmで、ビーム形は12μmの略正方形、及びレーザ光源の出力は100μJであった。
露光のパターンは12μm画素が45度の格子状にピッチが300μm間隔で幅24cm長さ10m連続するように行った。露光は、メッシュパターンを焼き付けられるように、下記の設定に従って行った。メッシュパターンを構成する第1メッシュライン16A及び第2メッシュライン16Bの線幅、交差部18の面積Sa、モアレ抑止部20の面積Sb等は表1に示した。
感光層上における第1メッシュライン16A及び第2メッシュライン16Bの交差部18に隣接してモアレ抑止部20が形成された複合メッシュパターンとなるように露光を行うには、3個の露光ヘッドを連動させる露光方式を採用した。
すなわち、第1の露光ヘッドは、レーザービームが感光層の搬送方向に直角の方向に往復運動しながら単一のビームを照射して感光層上に露光パターンを描画する。従って、ビームは感光層の搬送速度と搬送方向と直角方向へのヘッドの移動速度の比に応じた斜線状に感光層に45°斜め描画を行い、感光層の端部に達するとヘッドの往復運動に連動して反転斜め方向に描画を行う。
第2の露光ヘッドは、レーザービームが感光層の搬送方向に直角の方向に往復運動しながら単一のビームを照射して感光層上に露光パターンを描画する点では第1の露光ヘッドと同じであるが、ヘッドの移動開始期が第1のヘッドと移動開始期と180度又はその倍数周期だけ隔たっている。従って、第1の露光ヘッドが感光層の一方の端部から斜め描画するときに、第2の露光ヘッドが感光層の他方の端部から第1の露光ヘッドの移動方向と逆の方向に移動しつつ、感光層上に逆斜め描画する。このようにして、メッシュパターンが形成される。
第3の露光ヘッドは、上記第1と第2の露光ヘッドのレーザービームが感光層の搬送方向に直角の方向に往復運動する移動型ヘッドであるのに対して固定型ヘッドであって、上記第1と第2の露光ヘッドのレーザービームの交差部をヘッドが通過するように設けられる。感光層の幅方向に複数の交差部が描画される場合は、その数に対応する第3ヘッドが設けられる。第3ヘッドから照射されるレーザービームは上記交差部を第3ヘッドが通過するときにのみ短時間の間欠レーザービーム照射が施されるようにレーザ発振周期が設定される。また、照射時間は望みのサイズのモアレ抑止部20が描画できる時間に設定される。
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
ランニング条件として、感材の処理量を100m2/日で現像液の補充を500ml/m2、定着液を640ml/m2で3日間行った。このとき、めっき処理後の銅のパターンが12μm線幅300ミクロンピッチであることが確認された。
さらに、めっき液(硫酸銅0.06モル/L,ホルマリン0.22モル/L,トリエタノールアミン0.12モル/L,ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α‘−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuめっき液)を用い、45℃にて無電解銅めっき処理を行った後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行ない、電磁波シールド膜の各試料を得た。
ここで、表1に示すように、実施例1は、線幅が14μm、交差部の面積Saが196μm2、モアレ抑止部の面積Sbが196μm2であり、実施例2は、線幅が11μm、交差部の面積Saが121μm2、モアレ抑止部の面積Sbが121μm2であり、実施例3は、線幅が20μm、交差部の面積Saが400μm2、モアレ抑止部の面積Sbが400μm2であり、比較例1は、線幅が14μm、交差部の面積Saが196μm2、モアレ抑止部の面積Sbが0μm2であり(モアレ抑止部なし)、比較例2は、線幅が7μm、交差部の面積Saが49μm2、モアレ抑止部の面積Sbが0μm2であり(モアレ抑止部なし)、比較例3は、線幅が30μm、交差部の面積Saが900μm2、モアレ抑止部の面積Sbが6390μm2である。
〔評価〕
(表面抵抗率の測定)
表面抵抗率の均一性を評価するために、電磁波シールド膜試料の表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の200箇所測定した。
(モアレの評価)
表面の電磁波シールドフイルムを外した松下電器製PDP(TH−42PX300)を準備し、その上に得られた電磁波シールド膜試料を設置するための回転盤を配置する。回転盤は厚さ5mmのガラスでできており、PDP前面板を模している。さらに、角度目盛がついており、設置した電磁波シールド膜のバイアス角がわかるようになっている。PDPに電源を入れ、PDPのHDMI端子とパターンジェネレータ(ASTROVG828D)を接続する。パターンジェネレータから出力値最大の白色255信号をPDPへ送る。電磁波シールド膜が撓まないようテープで回転盤の上に固定する。部屋を暗室にし、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。モアレの視認性はPDPの正面から観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を◎、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を○、モアレが顕在化した場合を×とした。総合評点として、◎となる角度範囲が10°以上の場合をA、◎となる角度範囲が10°未満の場合はB、◎となる角度範囲がなく×となる角度範囲が30°未満の場合はC、◎となる角度範囲がなく×となる角度範囲が30°以上ある場合をDとした。
(評価結果)
表1に結果を示す。実施例1は、◎となる角度範囲が10°以上有り、モアレ程度が良好で、導電性も良好で、透光性も良好であった。実施例2は、バイアス角−36°〜+49°の範囲でモアレは顕在化せず、導電性も良好で、透光性も良好であった。実施例3は、◎となる角度範囲が10°以上有り、モアレ程度が良好で、導電性も良好で、透光性も良好であった。
これに対して、比較例1は、導電性及び透光性は良好であったが、◎となる角度範囲が数度と狭かった。比較例2は、透光性について最も良好で、モアレも問題のないレベルであったが、導電性が悪いという結果であった。比較例3は、導電性について最も良好であったが、モアレが顕在化し、透光性も悪いという結果であった。
この評価結果からもわかるように、交差部の面積Sa、モアレ抑止部の面積SbがSa×0.01<Sb<Sa×5.00を満足することで、モアレは顕在化せず、導電性も良好で、透光性も良好になることがわかる。
Figure 2008282924
上述の実施例に係る電磁波シールド膜試料を、銅黒化処理液で処理して銅表面を黒化した。使用した黒化処理液は市販のコパーブラック(株式会社アイソレート化学研究所製)を用いた。PET面側に、総厚みが28μmの保護フイルム(パナック工業(株)製、品番;HT−25)をラミネーターローラを用いて貼り合わせを行った。
また、電磁波シールド膜(金属メッシュ)側に、ポリエチレンフイルムにアクリル系粘着材層が積層された総厚みが65μmの保護フイルム((株)サンエー化研製、品名;サニテクトY−26F)をラミネーターローラを用いて貼り合わせを行った。
次いで、PET面を貼り合わせ面にして厚さ2.5mm、外形寸法950mm×550mmのガラス板に透明なアクリル系粘着材を介して貼り合わせた。
次に、外縁部20mmを除いた内側の該導電性メッシュ層上に、厚さ25μmのアクリル系透光性粘着材を介して、厚さ100μmPETフイルム、反射防止層、近赤外線吸収剤含有層からなる反射防止機能付近赤外線吸収フイルム(住友大阪セメント(株)製:商品名クリアラスAR/NIR)を貼り合わせた。該アクリル系透光性粘着材層中にはディスプレイ用フィルタの透過特性を調整する調色色素(三井化学製 PS−Red−G、PS−Violet−RC)を含有させた。さらに、該ガラス板の反対の主面には、粘着材を介して反射防止フイルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック8201)を貼り合わせ、ディスプレイ用フィルタを作製した。
得られたディスプレイ用フィルタは、保護フイルムを有した電磁波シールドフイルムを用いて作成されたため、傷や金属メッシュの欠陥な極めて少ないものであった。また、金属メッシュが黒色であってディスプレイ画像が金属色を帯びることがなく、また、実用上問題ない電磁波遮蔽能及び近赤外線カット能(300〜800nmの透過率が15%以下)を有し、両面に有する反射防止層により視認性に優れていた。また、色素を含有させることによって、調色機能を付与できており、プラズマディスプレイ等のディスプレイ用フィルタとして好適に使用できる。
なお、本発明に係る透光性電磁波シールド膜及び光学フィルタは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜を一部省略して示す平面図である。 本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜の他の例を一部省略して示す平面図である。 本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜のさらに他の例を一部省略して示す平面図である。 本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜のさらに他の例を一部省略して示す平面図である。 図5A〜図5Cは本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜の製造方法の一例を示す工程図である。 銀塩感光層に対するデジタル書込み露光における露光エネルギと像濃度の関係を示す特性図である。 図7A及び図7Bは本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜の製造方法の他の例を示す工程図である。 図8A及び図8Bは本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜の製造方法のさらに他の例を示す工程図である。 本実施の形態に係る透光性電磁波シールド膜の製造方法のさらに他の例を示す工程図である。
符号の説明
10…透光性電磁波シールド膜 12…透明支持体
14…導電性金属薄膜 16…メッシュライン
16A…第1メッシュライン 16B…第2メッシュライン
18…交差部 20…モアレ抑止部
20a〜20d…第1抑止部〜第4抑止部

Claims (22)

  1. 透明支持体と、該透明支持体上に形成されたメッシュ状の導電性金属薄膜とを有する透光性電磁波シールド膜において、
    前記導電性金属薄膜を構成するメッシュラインの交差部に、モアレ抑止部が形成され、
    前記交差部の面積をSa、前記モアレ抑止部の面積をSbとしたとき、
    Sa×0.01<Sb<Sa×5.00
    であることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  2. 請求項1記載の透光性電磁波シールド膜において、
    Sa×0.90<Sb<Sa×1.10
    であることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  3. 請求項1又は2記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記モアレ抑止部は、
    第1メッシュラインの一方の側面と、第2メッシュラインの一方の側面との間に形成された第1抑止部と、
    前記第1メッシュラインの一方の側面と、前記第2メッシュラインの他方の側面との間に形成された第2抑止部と、
    前記第1メッシュラインの他方の側面と、前記第2メッシュラインの一方の側面との間に形成された第3抑止部と、
    前記第1メッシュラインの他方の側面と、前記第2メッシュラインの他方の側面との間に形成された第4抑止部とを有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  4. 請求項3記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記第1抑止部、前記第2抑止部、前記第3抑止部、前記第4抑止部の各面積をSb1、Sb2、Sb3、Sb4としたとき、
    Sb=Sb1+Sb2+Sb3+Sb4
    であることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  5. 請求項3又は4記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記第1メッシュライン及び前記第2メッシュラインの線幅が5〜40μmであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  6. 請求項5記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記第1メッシュライン及び前記第2メッシュラインの線幅が11〜20μmであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記導電性金属薄膜が、前記透明支持体上に設けられた銀塩感光層を露光して現像することによって形成された金属銀部を有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  8. 請求項7記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記金属銀部は、ハロゲン化銀を現像して形成された現像銀からなることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記導電性金属薄膜が第1導電層と第2導電層とを有し、
    前記第1導電層が前記透明支持体上に設けられた銀塩感光層を露光して現像することによって形成された金属銀部であり、
    前記第2導電層が前記金属銀部に導電性金属が担持されたものであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記銀塩感光層に対する露光にて使用されるマスクは、前記メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンに対応したマスクパターンを有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  11. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記銀塩感光層に対するデジタル書込み露光によって、前記銀塩感光層に、メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンが露光されることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記透明支持体上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって前記メッシュ状の導電性金属薄膜が形成されていることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  13. 請求項12記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記フォトレジスト膜に対する露光にて使用されるマスクは、前記メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンに対応したマスクパターンを有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  14. 請求項12記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記フォトレジスト膜に対するデジタル書込み露光によって、前記フォトレジスト膜に、メッシュラインの交差部にモアレ抑止部が形成されたパターンが露光されることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  15. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記導電性金属薄膜が前記透明支持体上にペーストを印刷することによって形成されたメッシュ状のパターンであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記導電性金属薄膜が第1導電層と第2導電層を有し、
    前記第1導電層が前記透明支持体上にペーストを印刷することによって形成されたメッシュ状のパターンであり、
    前記第2導電層が前記メッシュ状のパターンに金属めっきを行うことによって形成されたものであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  17. 請求項1記載の透光性電磁波シールド膜において、
    前記透明支持体に前記メッシュ状の導電性金属薄膜がスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって形成されていることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    粘着材層を有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    剥離可能な保護フイルムを有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド膜において、
    赤外線遮蔽性、ハードコート性、反射防止性、防眩性、静電気防止性、防汚性、紫外線カット性、ガスバリア性、表示パネル破損防止性から選ばれる機能のうち、少なくとも1つを備えた機能性透明層を有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  21. 請求項20記載の透光性電磁波シールド膜において、
    赤外線遮蔽性を有することを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜を備えたことを特徴とする光学フィルタ。
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