JP2008019979A - 伝動ベルトの多軸駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン等の回転変動に起因して発生するトルク変動による伝動ベルトの張力変動を減少させ、ベルト騒音の低減とオルタネータやクーラコンプレッサ等の補機部品の耐久性を向上させた伝動ベルトの多軸駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置100であり、上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体1を装着し、上記プーリ構造体1が、ベルトを巻回可能にする第1回転体2と、第1回転体2に対し相対回転可能な第2回転体3と、前記第1回転体2と前記第2回転体3との間に形成されるバネ収容室6と、前記バネ収容室6に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリング7からなっている。
【選択図】図3
【解決手段】駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置100であり、上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体1を装着し、上記プーリ構造体1が、ベルトを巻回可能にする第1回転体2と、第1回転体2に対し相対回転可能な第2回転体3と、前記第1回転体2と前記第2回転体3との間に形成されるバネ収容室6と、前記バネ収容室6に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリング7からなっている。
【選択図】図3
Description
本発明は伝動ベルトの多軸駆動装置であり、詳しくは多軸駆動装置においてエンジン等の回転変動に起因して発生するトルク変動による伝動ベルトの張力変動を減少させ、ベルト騒音の低減とオルタネータやクーラコンプレッサ等の補機部品の耐久性を向上させた伝動ベルトの多軸駆動装置に関する。
例えば自動車のクランクシャフトとオルタネータとを連結する回転伝達系では、回転方向の増速、減速が頻繁に繰り返されるような回転変動が生じる。そしてオルタネータは発電軸の慣性モーメントが大きいために、当該発電軸にプーリを取り付けてベルトを介してエンジン動力を伝達して駆動する構成では、ベルト速度が上昇又は低下する際に駆動プーリとベルトとの間で滑りが生じやすく、ベルト鳴きが誘発され易い。また、エンジンの回転変動が発電軸に伝えられると、オルタネータの耐久性を低下させ、発電効率に悪影響を与えるという問題がある。
そこで、前記回転伝達系に好適なプーリ、即ちクランクシャフトの回転変動を吸収するようなプーリとして、例えば相対回転可能な2つの回転体の間に弾性部材と粘性流体を備えたダンパー付きプーリ(特許文献1)や、前記2つの回転体の間に弾性部材のみを設けたプーリが挙げられる。
特許文献1は、弾性部材と特殊な粘性流体とを用いてクランクシャフトの回転変動を吸収するようなプーリ構造体の一例を示している。このプーリ構造体は、互いに相対回転可能な第1回転体と第2回転体との間に、ゴム製の弾性部材と、回転変動が生じる際に発生する剪断力の増大に伴い粘性が増大する性質を有する粘性流体と、から構成されている。 この構成により、例え弾性部材にその弾性限界以上の剪断応力が発生し得るトルクがプーリ構造体に作用しても、粘性流体の高粘度化によって第1回転体と第2回転体との相対角変位が抑制され、弾性部材が降伏あるいは破断により損傷することを防止しようとするものである。
他方、特許文献2には、第1回転体と第2回転体との間に弾性部材のみを設けたプーリ構造体も一例として挙げられる。前記弾性部材はコイルスプリングであって、その端部は第1回転体および第2回転体に設けた円弧状の収容溝に嵌合固定されており、その終端は湾曲され各回転体に係止されている。前記収容溝内であって、前記コイルスプリングの端部が前記円弧状の収容溝による嵌合固定から解放される領域においては、コイルスプリングと円弧状の収容溝との間に一定の間隙が設けられている。
以上のように弾性部材のみを用いて回転変動を吸収しようとする構成においては、特許文献1に比べて大きな相対角変位を確保することができるので、プーリに巻架されたベルトの張力変動を減少させることできる。これにより、ベルト鳴きが抑制され、ベルトの耐久性が改善されるという効果を有する。
特開平8−240246号公報
特許第3268007号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、第1回転体と第2回転体との間に設けられる弾性部材として環状のゴムが採用されているため、一般的にその弾性限界内における弾性変形量、即ち2つの回転体間で許容される相対角変位が十分に確保されていない。
更に、特許文献1で示されているような弾性部材を備えたダンパ付きプーリをオルタネータの軸等に装着した駆動装置では、回転変動を伴うクランクシャフトとオルタネータとを結合すると、回転変動に伴う変動トルクがオルタネータに伝達されにくくなるが、一方、ベルトが張力変動により共振し易くなるので、新たな騒音が発生し、またベルトの耐久性に悪影響を及ぼすこととなる。
更に、特許文献1で示されているような弾性部材を備えたダンパ付きプーリをオルタネータの軸等に装着した駆動装置では、回転変動を伴うクランクシャフトとオルタネータとを結合すると、回転変動に伴う変動トルクがオルタネータに伝達されにくくなるが、一方、ベルトが張力変動により共振し易くなるので、新たな騒音が発生し、またベルトの耐久性に悪影響を及ぼすこととなる。
他方、特許文献2に示されるように、弾性部材としてコイルスプリングを用い、ダンパを備えないプーリ構造体をオルタネータの軸等に装着した駆動装置は、特許文献1で示されるようなベルトの共振・それに伴う騒音およびベルトの耐久性悪化などの問題は発生しないものの、プーリとオルタネータの発電軸との相対角変位が大きくなり、以下の理由によりコイルスプリングが破損する場合がある。
即ち、前記コイルスプリングであって回転体へ嵌合固定されている領域と前記間隙が設
けられている領域との境界には明確なコーナー部(単なる段差)が形成されているので、
コイルスプリングが弾性変形するたびに、そのコーナー部の近傍において応力集中が発生
する。従って、クランクシャフトの回転変動毎に発生する局所的な繰り返し応力により、コイルスプリングの前記境界部が疲労破壊する恐れをこのプーリ構造体は有している。
けられている領域との境界には明確なコーナー部(単なる段差)が形成されているので、
コイルスプリングが弾性変形するたびに、そのコーナー部の近傍において応力集中が発生
する。従って、クランクシャフトの回転変動毎に発生する局所的な繰り返し応力により、コイルスプリングの前記境界部が疲労破壊する恐れをこのプーリ構造体は有している。
従って、本発明は、コイルスプリングが疲労破壊することがないプーリ構造体を用い、またエンジン等の回転変動に起因して発生するトルク変動による伝動ベルトの張力変動を減少させ、ベルト騒音の低減とオルタネータやクーラコンプレッサ等の補機部品の耐久性を向上させた伝動ベルトの多軸駆動装置を提供する。
本願請求項1記載の発明では、駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、第1回転体及び第2回転体のうち少なくとも何れか一方が、コイルスプリングの端部側を収容する円弧状の収容溝を備えており、前記コイルスプリングの端部には、前記収容溝に圧入される幅広部が少なくとも1つ形成され、前記幅広部の前記収容溝に対する当接部近傍が、湾曲状に形成されている構造からなっている。それに伴い、前記幅広部と前記収容溝との間隙が漸増減するよう構成されているので、回転変動時のコイルスプリングに対する応力集中が防止できる。
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、第1回転体及び第2回転体のうち少なくとも何れか一方が、コイルスプリングの端部側を収容する円弧状の収容溝を備えており、前記コイルスプリングの端部には、前記収容溝に圧入される幅広部が少なくとも1つ形成され、前記幅広部の前記収容溝に対する当接部近傍が、湾曲状に形成されている構造からなっている。それに伴い、前記幅広部と前記収容溝との間隙が漸増減するよう構成されているので、回転変動時のコイルスプリングに対する応力集中が防止できる。
本願請求項2記載の発明では、使用するプーリ構造体は、第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方には、固定溝を設けたカラー材を固着し、コイルスプリングの端部が前記固定溝に圧入固定されている、構造からなっている。カラー材を介してコイルスプリングの端部を確実に固定するとともに、第1回転体又は第2回転体とは別部材であるカラー材を用いることで、固定溝の形成が容易になり、製造コストを低減できる。
本願請求項3記載の発明では、使用するプーリ構造体は、第1回転体及び第2回転体のうち少なくとも何れか一方とスプリングの端部とは、接着剤又はロウ付けを介して固着している、構造からなっている。この構成により、コイルスプリングを回転体に対し確実に且つ簡素な構成で固定できる。
本願請求項4記載の発明では、使用するプーリ構造体は、第1回転体及び第2回転体のうち少なくとも何れか一方から、その外周面の少なくとも一部にテーパ面を備えたスプリング保持部を突出させ、このスプリング保持部に対しコイルスプリングの端部が装着され、この端部の縮径力によって前記スプリング保持部の外周面が圧接されるように構成されている、構造からなっている。これにより、回転体に対しコイルスプリングの端部を簡素な構成で固定できる。
本願請求項5記載の発明では、使用するプーリ構造体は、第1回転体及び第2回転体のうち少なくとも何れか一方に、その内周面の少なくとも一部にテーパ面を備えたスプリング保持部を凹設し、このスプリング保持部に対しコイルスプリングの端部が装着され、この端部の拡径力によって前記スプリング保持部の内周面が圧接されるように構成されている、構造からなっている。これにより、回転体に対しコイルスプリングの端部を簡素な構成で固定できる。
本願請求項6記載の発明では、使用するプーリ構造体は、コイルスプリングの両端が、径の大きさが変化するように弾性変形した状態で配設されているとともに、前記第1回転体及び前記第2回転体によって当該コイルスプリングの径が弾性回復することを抑制された状態で前記第1回転体及び前記第2回転体に当接している、構造からなっている。
この構成によると、コイルスプリングは弾性回復による力を第1回転体に作用しながら
第1回転体に当接するため、当該当接部分の摩擦により第1回転体の回転トルクをコイル
スプリングに伝達することができ、逆にコイルスプリングの回転トルクを第1回転体に伝
達することも可能である。また、同様に、第2回転体とコイルスプリングとの間でも回転
トルクの伝達が可能である。これより、第1回転体と第2回転体との間で回転トルクを伝
達することが可能である。当該回転トルクの伝達の際、コイルスプリングに作用する摩擦
力はコイルスプリングの当接部分に分散して働くためコイルスプリングの一部への応力集
中を抑制することが可能であり、コイルスプリングの疲労破壊を抑制することが可能であ
る。
第1回転体に当接するため、当該当接部分の摩擦により第1回転体の回転トルクをコイル
スプリングに伝達することができ、逆にコイルスプリングの回転トルクを第1回転体に伝
達することも可能である。また、同様に、第2回転体とコイルスプリングとの間でも回転
トルクの伝達が可能である。これより、第1回転体と第2回転体との間で回転トルクを伝
達することが可能である。当該回転トルクの伝達の際、コイルスプリングに作用する摩擦
力はコイルスプリングの当接部分に分散して働くためコイルスプリングの一部への応力集
中を抑制することが可能であり、コイルスプリングの疲労破壊を抑制することが可能であ
る。
本願請求項7記載の発明では、駆動軸のみにプーリ構造体を装着する伝動ベルトの多軸駆動装置である。回転変動している駆動軸(クランク軸)から他の軸に回転を伝える場合には、この回転変動も伝わり駆動軸側の慣性力に応じた変動トルクが発生するが、本発明では駆動軸側の慣性力はベルトを巻付けた第1回転体の慣性モーメントのみとなるために、大きな回転変動があっても変動トルクの発生が小さくなり、この結果ベルトの変動張力が小さく、ベルト騒音の低減し、またベルト及びオルタネータ等の補機部品の耐久性が向上する。
本願請求項8記載の発明では、大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸であるオルタネータ軸とクーラコンプレッサ軸の少なくとも一方にプーリ構造体を装着した伝動ベルトの多軸駆動装置であり、オルタネータ軸やクーラコンプレッサ軸に大きな回転変動があっても変動トルクの発生が小さく、ベルトの変動張力が小さくなってベルト騒音が低減し、またベルト及びオルタネータ等の補機部品の耐久性が向上する。
本発明の伝動ベルトの多軸駆動装置では、プーリ構造体が大きな相対角変位を許容・確保して回転変動をより吸収し易くし、それに伴いベルトの張力変動を抑制できるので、ベルトの共振を抑制し、ベルトにおける新たな騒音の発生が防止でき、更にはベルト及びオルタネータ、クーラコンプレッサ等の補機部品の耐久性を向上させることができる。また、クランプ部の端部より、コイルスプリングとその収容溝との間隙を漸増させることにより、回転変動時のコイルスプリングに対する応力集中が防止でき、従ってクランプ部の端部におけるコイルスプリングの疲労破壊を防止することができる。
図1は本発明に係る伝動ベルトの多軸駆動装置を示す概略図、図2は多軸駆動装置に使用する伝動ベルトの断面斜視図である。
図1における多軸駆動装置100では、エンジンのクランク軸からなる駆動軸111とし、そして一つの従動軸112に例えばウォーターポンプ113、他の従動軸114(オルタネータ軸)に大きな回転慣性を有する発電機115を、そして他の従動軸116(クーラコンプレッサ軸)にクーラコンプレッサ117を備え、これらの軸にそれぞれプーリ118、119、120、121を装着して、これらのプーリにVリブドベルト130を懸架し、アイドラープーリ122、そしてベルト張力を自動的に調節するオートテンショナー123をVリブドベルト130の背面に係合させている。
また、多軸駆動装置100では、オートテンショナー123を使用せず、これに代わって通常の固定式のテンションプーリを使用して装置を簡素化することもできる。この場合には、ベルト初張力を40〜150N/1リブに設定する必要がある。ベルト初張力が40N/1リブ未満になると、張力低下が大きくなってベルトの振れ(弦振動)、スリップが発生し、そしてこれらに起因した発音が生じやすくなる。一方、ベルト初張力が150N/1リブを超えると、張力が高くなり、ベルトおよび補機のベアリングの寿命が短くなる。
ここで使用するVリブドベルト130は、カバー帆布133からなる伸張部132と、コードよりなる心線134を埋設した接着ゴム層135と、その下側に弾性体層である圧縮部136からなっている。この圧縮部136は、ベルト長手方向に延びる断面略三角形である台形の複数のリブ137を有している。
前記リブ137には、ゴムとしてエチレン−α−オレフィンエラストマー、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBRが使用される。
そのうち、エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)からなるゴムをいう。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげられる。
エチレン−α−オレフィンエラストマーの加硫剤としてパーオキサイドを添加する。また、共架橋剤(co−agent)としTIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架橋に用いるものである。
この中でもN,N’−m−フェニレンジマレイミドが好ましく、これを添加することによって架橋度を上げて粘着摩耗等を防止することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミドの添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して0.2〜10重量部であり、0.2重量部未満の場合には、架橋密度が小さくなり耐摩耗性、耐粘着摩耗性の改善効果が小さく、一方10重量部を越えると加硫ゴムの伸びの低下が著しく、耐屈曲性に問題が生じる。
更に、上記リブ137には、硫黄をエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して0.01〜1重量部添加することにより、加硫ゴムの伸びの低下を制御することができる。1重量部を越えると、架橋度が期待できる程に向上しないため、加硫ゴムの未耐摩耗性、耐粘着摩耗性も向上しなくなる。
リブ137には、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミドからなる短繊維を混入してリブ7の耐側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面になるリブ137の表面にダイヤモンドを電着したグラインダーホイールによって研磨加工して該短繊維を突出させる。リブ137の表面の摩擦係数は低下して、ベルト走行時の騒音を軽減する。
前記接着ゴム層135にもリブ137と同様のゴム組成物が使用される。しかし、心線と良好に接着するために、パーオキサイドを含まない硫黄加硫によるエチレン−α−オレフィンエラストマー組成物や、クロロスルフォン化ポリエチレン組成物もしくは水素化ニトリルゴム組成物を使用することもできる。
上記心線134としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、そしてポリトリメチレンテレフタレート主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚糸したコードを接着処理したものが使用される。このコードの上撚り数は5〜15/10cmであり、また下撚り数は15〜25/10cmである。
ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の撚糸コードは、トータル繊度が1,000〜6,000デニールtexであり、ポリブチレンテレフタレート繊維の撚糸コードは、トータル繊度が4,000〜12,000デニールtexになっている。 総デニールが下限値未満の場合には、ベルトのモジュラス、強力が小さくなり過ぎ、また上限値を越えると、逆にベルトのモジュラスが大きくなってベルトの固有振動数とエンジンの共振回転速度が増加するため、エンジンの厳しい回転速度でベルトの共振が発生する。
クランク軸からなる駆動軸111に装着するプーリ118として、図3に示すプーリ構造体1を使用する。このプーリ構造体1は、その外周に第1回転体2を備え、当該第1回転体2の外周面には、前記ベルトを巻き掛けることが可能なプーリ体2aが設けられている。この第1回転体2は略円筒状に形成されている。
前記第1回転体2の軸方向一端側の内周には軸受4が、軸方向他端側の内周には軸受5が配置されている。これら軸受4及び軸受5により、第2回転体3が第1回転体2に対して相対回転自在に支持されており、この第2回転体3は第1回転体2の内部に収納されている。
上記第2回転体3の外周には、軸受4及び軸受5が外れないように固定するための止め部材31,32がそれぞれ嵌装されている。また、この第2回転体3の軸孔3aは、オルタネータの発電軸(図示せず)や駆動軸が固定可能に形成されている。
尚、本実施例において軸受4及び軸受5として、ボールベアリングを用いているが、これに限らず、例えばドライメタルなどを採用することで構成を簡素化しても良い。
尚、本実施例において軸受4及び軸受5として、ボールベアリングを用いているが、これに限らず、例えばドライメタルなどを採用することで構成を簡素化しても良い。
前記の第1回転体2と第2回転体3、及び軸受4,5により、バネ収容室6が形成されている。前記第1回転体2の軸方向一端側の内壁には円弧状の第1収容溝2bが形成されており、また、バネ収容室6内であって、第2回転体3の外周面上には前記第1収容溝2bと軸方向で対応する位置に円弧状の第2収容溝3bを構成する壁が突設されている。
また、前記バネ収容室6内であって、前記の第1収容溝2bと第2収容溝3bとの間には、その断面が矩形状のコイルスプリング7(角コイルスプリング)が収納されている。
図4は図1のA−A矢視図であり、説明の便宜上、湾曲状(円弧状)に形成される前記第1収容溝2b(第2収容溝3b、以下同様)は本図において直線状に描かれている。
図4に示すように、第1の変形実施形態において前記第1収容溝2bは、前記コイルスプリング7よりも幅広に形成されている。また、当該第1収容溝2bの溝幅は漸増減せずに一定であり、溝の側壁が常に平行の所謂平行溝として形成されている。そして、前記コイルスプリング7の端部(被クランプ部7a)には、前記第1収容溝2bのクランプ部11に圧入により嵌着される波打状の第2蛇行部50が形成されている。
これにより、クランクシャフトの回転変動を緩やかに吸収する手段としての弾性部材にコイルスプリングを用いることで、弾性部材にゴムなどを用いる場合よりも大きな相対角変位を許容・確保することができ、回転変動をより吸収し易い。それに伴い、ベルトの張力変動を抑制できるので、ベルトの共振を抑制することができ、これによりベルトにおける新たな騒音の発生が防止でき、さらにベルトの耐久性も向上する。
また、コイルスプリング7の曲げ変形荷重を前記第2蛇行部50の全体で受け止めることができるので、回転変動時のコイルスプリング7に対する応力集中が防止でき、従って、クランプ部11の端部におけるコイルスプリング7の疲労破壊を防止することができる。また、前記第1収容溝2bは平行溝で十分であって、特別な加工を必要としないので、安価なプーリ構造体1を提供できる。
また、本図に示す如く、前記第2蛇行部50は、前記第1収容溝2bの側壁と少なくとも3箇所以上で当接していることが好ましい。これにより、前記第1収容溝2bの前記コイルスプリング7の端部に対する係止力を大とできるので、当該端部が当該第1収容溝2bに対して摺動したり、当該第1収容溝2bから抜脱したりするのを防止できる。更に、コイルスプリング7の端部が第1収容溝2bに対して3点で支持されるので、コイルスプリング7の姿勢を安定にできる。
尚、前記第2蛇行部50が、前記第1収容溝2bの側壁と4箇所以上に亘って当接していても、勿論よい。
尚、前記第2蛇行部50が、前記第1収容溝2bの側壁と4箇所以上に亘って当接していても、勿論よい。
前記第2蛇行部50の前記第1収容溝2bに対する圧入代は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。なお本実施形態において当該圧入代は、すべて0.1mm以上0.5mm以下の範囲内である。
上記の如く前記圧入代を0.1mm以上とすることで、前記第1収容溝2bの前記コイルスプリング7の端部に対する係止力を、当該端部が当該第1収容溝2bに対して摺動したり、当該第1収容溝2bから抜脱しない程度に十分に確保できる。一方、前記圧入代を0.5mm以下とすることで、プーリ構造体1の組立性を良好にできる。
上記の如く前記圧入代を0.1mm以上とすることで、前記第1収容溝2bの前記コイルスプリング7の端部に対する係止力を、当該端部が当該第1収容溝2bに対して摺動したり、当該第1収容溝2bから抜脱しない程度に十分に確保できる。一方、前記圧入代を0.5mm以下とすることで、プーリ構造体1の組立性を良好にできる。
次に、本発明に係るプーリ構造体の第2の実施形態に関して説明する。図5は、図4に類似する図である。尚、図5においても、説明の便宜上、湾曲状(円弧状)に形成される前記第1収容溝2b(第2収容溝3b、以下同様)は直線状に描かれている。また、本実施形態においても、上記の第1実施形態の構成部材と類似する部材には原則として同一の符号を付けてある。
図5(a)〜(c)に示すように、この場合も前記第1収容溝2bは、前記コイルスプリング7よりも幅広に形成されている。そして、前記コイルスプリング7の端部(被クランプ部7a)には、前記第1収容溝2bのクランプ部11に圧入により嵌着される幅広部51が2箇所、形成されている。また、当該幅広部51の前記第1収容溝2bに対する当接部51a近傍は、湾曲状に形成されている。
これにより、前述した実施形態と同様に、クランクシャフトの回転変動を緩やかに吸収する手段としての弾性部材にコイルスプリングを用いることで、弾性部材にゴムなどを用いる場合よりも大きな相対角変位を許容・確保することができ、回転変動をより吸収し易い。それに伴い、ベルトの張力変動を抑制できるので、ベルトの共振を抑制することができ、これによりベルトにおける新たな騒音の発生が防止でき、さらにベルトの耐久性も向上する。
また、前記幅広部51と前記第1収容溝2bとの間隙が漸増減するよう構成されているので、回転変動時のコイルスプリング7に対する応力集中が防止でき、従って、クランプ部11の端部におけるコイルスプリング7の疲労破壊を防止することができる。また、前記第1収容溝2bは幅が一定の平行溝で十分であって、特別な加工を必要としないので、安価なプーリ構造体1を提供できる。
上記幅広部51は、2箇所に形成されているので、以下の効果を奏する。
即ち、前記第1収容溝2bの前記コイルスプリング7の端部に対する係止力を大とできるので、当該端部が当該第1収容溝2bに対して摺動したり、当該第1収容溝2bから抜脱したりするのを防止できる。
また、コイルスプリング7の端部が第1収容溝2bに対して3点以上(4点)で支持されるので、コイルスプリング7の姿勢を安定にできる。
また、コイルスプリング7の曲げ変形荷重が、図5(a)に示す如く4つの前記当接部51aにおいて分担して支持されることとなるので、回動変動時のコイルスプリング7に対する応力集中がより確実に防止される。
尚、当該幅広部51が、3箇所以上に形成されていても勿論よい。
即ち、前記第1収容溝2bの前記コイルスプリング7の端部に対する係止力を大とできるので、当該端部が当該第1収容溝2bに対して摺動したり、当該第1収容溝2bから抜脱したりするのを防止できる。
また、コイルスプリング7の端部が第1収容溝2bに対して3点以上(4点)で支持されるので、コイルスプリング7の姿勢を安定にできる。
また、コイルスプリング7の曲げ変形荷重が、図5(a)に示す如く4つの前記当接部51aにおいて分担して支持されることとなるので、回動変動時のコイルスプリング7に対する応力集中がより確実に防止される。
尚、当該幅広部51が、3箇所以上に形成されていても勿論よい。
前記幅広部51は、前記コイルスプリング7の周壁をプレス加工することにより形成される。言い換えれば、幅広部51は、コイルスプリング7をその長手方向と垂直な方向にプレス加工することより形成される。これにより、前記幅広部51を低コストで形成できる。また、プレス量を調節するだけで当該幅広部51の大きさ(幅)を自由に変更できるので、例えば設計変更に伴うコスト増を抑制することができる。
当該プレス加工は、図5(a)〜(c)に例示するような種々の形態が考えれる。尚、これらの図では、前記コイルスプリング7として角コイルスプリングが採用されている。例えば図5(a)に示す如く、コイルスプリング7が前記第1収容溝2bの溝幅方向に拡大変形するように、コイルスプリング7の周壁(側壁)中央のみを適宜にプレス加工するものであってもよい。
また図5(b)に示す如く、コイルスプリング7の周壁(側壁)を平面部材によって押し潰すようなプレス加工であってもよい。
また図5(c)に示す如く、コイルスプリング7の周壁(側壁)に予め開口しておいた孔に、パンチ工具等を押圧することによって当該孔を径方向に拡張するようなプレス加工であってもよい。また、当該プレス加工を孔の一側からのみ施す場合と、両側から施す場合とが考えられ、前者の場合には截頭円錐状の孔が形成され、後者の場合には本図に示すような鼓状の孔が形成されることとなる。
また図5(b)に示す如く、コイルスプリング7の周壁(側壁)を平面部材によって押し潰すようなプレス加工であってもよい。
また図5(c)に示す如く、コイルスプリング7の周壁(側壁)に予め開口しておいた孔に、パンチ工具等を押圧することによって当該孔を径方向に拡張するようなプレス加工であってもよい。また、当該プレス加工を孔の一側からのみ施す場合と、両側から施す場合とが考えられ、前者の場合には截頭円錐状の孔が形成され、後者の場合には本図に示すような鼓状の孔が形成されることとなる。
また本実施形態においても、前記幅広部51の前記第1収容溝2bに対する圧入代は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。同様に当該圧入代は、コイルスプリング7の終端7bから離れるにつれて小となることが好ましい。さらに、当該圧入代は、コイルスプリング7の終端7bから遠い側は0.1mm未満であり、近い側は0.1mm以上であることが好ましい。
次に、本発明に係るプーリ構造体の第3の実施形態を説明する。図6は本発明の第3の実施形態に係るプーリ構造体の断面図、図7は図6におけるF−F断面矢視図である。なお、図6において円弧状に描かれるべき収容溝は、説明の便宜上の理由から直線状に描かれている。また、本実施形態において、前述した実施形態と類似する部材には原則として同一の符号を付している。
図6に示すように、コイルスプリング7を収容するために第1回転体2に設けられる円弧状の収容溝2bは、当該コイルスプリング7よりも幅広に形成されている。そして、この収容溝2bには、図7に示すように断面コ字状のカラー材70が固着されている。
図6に示すように、このカラー材70の内周側及び外周側の外壁面には係合凸部71,71が形成される一方、前記収容溝2bの内壁面には係合凹部72,72が形成されている。そしてカラー材70は、その係合凸部71を係合凹部72に嵌合させるようにして、前記収容溝2b内に固着される。
カラー材70には固定溝73が形成され、この固定溝73にコイルスプリング7の端部が圧入固定されている。この固定溝73は、緩やかに湾曲させた円弧状に形成されるとともに、長手方向両端を開放させた形状に構成されている。コイルスプリング7の端部は、その端点Qを上記固定溝73の一側の開放端から若干突出させた状態で、前記固定溝73内に設置され、クランプされている。
なお、第2回転体3に設けられる円弧状の収容溝3bにも、同様にカラー材70が固着され、当該カラー材70に形成した固定溝73にコイルスプリング7の他端側が圧入固定される。
固定溝73において、前記端点Qから遠い側の開放端においては、その端面に近づくにつれて固定溝73の断面積を徐々に広げるように、固定溝73の内壁面に曲面部74,74が形成されている。この曲面部74,74により、コイルスプリング7の被クランプ部7aから他側の端部(端点Qから遠い側)へ向かうにつれて、コイルスプリング7と固定溝73との間の間隙12がゼロから漸増するようになっているので、応力集中によるコイルスプリング7の疲労破壊を防止することができる。この曲面部74,74は、例えば円弧面に構成することができる。
以上に示すように、本実施形態では、固定溝73を設けたカラー材70を第1回転体2(及び第2回転体3)に固着し、コイルスプリング7の端部を前記固定溝73に圧入固定する構成になっている。これにより、カラー材70を介してコイルスプリング7の端部を確実に固定できる。また、第1回転体2及び第2回転体3とは別部材であるカラー材70を用いることで、固定溝73の形成が容易になり、製造コストを低減できる。
また、前記カラー材70は、前記コイルスプリング7の端部側を収容する収容溝2b,3bの中に固着されている。これにより、カラー材70を収容溝2b,3bへ収容するコンパクトな構成が実現され、プーリ構造体のコンパクト化が容易になる。
次に、本発明に係るプーリ構造体の第4の実施形態を説明する。図8は本発明の第4の実施形態に係るプーリ構造体の断面図、図9は図8におけるI−I断面矢視図である。
本実施形態では図8に示すように、第1回転体2に一体的に形成されている第1フランジ41'に対し、コイルスプリング7の一端部のバネ線がロウ付け部75によって固着される。同様に、第2回転体3に一体的に形成されている第2フランジ42'に対し、コイルスプリング7の他端部のバネ線がロウ付け部75によって固着されている。
図8のI−I断面矢視図としての図9に示すように、ロウ付け部75は、バネ線の端部の約1/4周にわたって配置されている。ただしこれに限定されず、ロウ付けされるバネ線の長さは適宜決定することができる。
図8の構成では、バネ線の底面を単にロウ付け部75でロウ付けしている。しかしながらこれに限らない。
次に、本発明に係るプーリ構造体の第5の実施形態を説明する。図10は本発明の第5実施形態に係るプーリ構造体の断面図である。
この第5実施形態では、図10に示すように、第1回転体2に一体形成した第1フランジ41'から、截頭円錐状のスプリング保持部81を第2フランジ42'に向けて突出させている。このスプリング保持部81の外周面は、3°〜15°程度のテーパ角を有するテーパ面83とされている。
一方、第2回転体3に一体形成した第2フランジ42'からも、截頭円錐状のスプリング保持部82を第1フランジ41'に向けて突出させている。このスプリング保持部82の外周面は、3°〜15°程度のテーパ角を有するテーパ面84とされている。
そして、一側のスプリング保持部81に対し前記コイルスプリング7の軸方向一端が挿入され、他側のスプリング保持部82に対しコイルスプリング7の軸方向他端が挿入される。
この端部(装着部)85,86において、コイルスプリング7の端部の内径は、弾性変形のない状態で、前記スプリング保持部81,82の外径より小さく設定されている。従って、コイルスプリング7をスプリング保持部81,82にそれぞれ挿入したときに、拡径方向に弾性変形されるコイルスプリング7の端部には縮径方向の復元力が作用するので、スプリング保持部81,82の根元側を締め付けることになる。こうして、スプリング保持部81,82のテーパ状の外周面が圧接される形となって、コイルスプリング7はスプリング保持部81,82に装着される。
なお、本実施形態では上記スプリング保持部81,82の外周面全部にテーパ面83,84が形成されているが、外周面の一部にのみテーパ面を形成して、それ以外の部分を例えば円筒面(軸心に平行な面)としても良い。ただし、少なくともコイルスプリング7の端部と接触する部分においては、テーパ面とする必要がある。
本実施形態では以上に示すように、第1回転体2及び第2回転体3から、テーパ面83,84を備えたスプリング保持部81,82を突出させ、このスプリング保持部81,82に対しコイルスプリング7の端部が挿入され、その挿入されたコイルスプリング7の端部としての装着部85,86の縮径力によって前記スプリング保持部81,82の外周面が圧接されるように構成されている。これにより、回転体2,3に対しコイルスプリング7の端部を簡素な構成で固定できる。
また、前記コイルスプリング7の端部の内径が、弾性変形なしの状態で前記スプリング保持部81,82の(根元部の)外径より小さく設定されており、このコイルスプリング7の端部が前記スプリング保持部81,82を締め付ける状態で装着されている。これにより、コイルスプリング7の縮径方向の復元力を利用して、その端部を回転体2,3に強固に固定できる。
更に、前記スプリング保持部81,82のテーパ面83,84の角度が3°以上15°以下に設定されているので、コイルスプリング7の端部の固定を確実にできるとともに、組立て時におけるスプリング端部の差込みも容易になる。
この第6実施形態の変形例としては、図11に示すように、第1フランジ41'に截頭円錐状の凹部であるスプリング保持部81'を形成し、第2フランジ42'にも同様に截頭円錐状の凹部であるスプリング保持部82'を形成するように変更することができる。
この場合、互いに対向するスプリング保持部81',82'の内周面としてのテーパ面83',84'は、コイルスプリング7の軸方向中央から離れるに従って細くなるように形成する。
この場合、互いに対向するスプリング保持部81',82'の内周面としてのテーパ面83',84'は、コイルスプリング7の軸方向中央から離れるに従って細くなるように形成する。
そして、一側のスプリング保持部81'に対し前記コイルスプリング7の軸方向一端が挿入され、他側のスプリング保持部82'に対しコイルスプリング7の軸方向他端が挿入される。このとき、この端部(装着部)85',86'において、コイルスプリング7の端部の外径は、弾性変形のない状態で、前記スプリング保持部81',82'の内径より小さく設定されている。従って、コイルスプリング7をスプリング保持部81',82'にそれぞれ挿入したときに、縮径方向に弾性変形されるコイルスプリング7の端部には拡径方向の復元力が作用するので、スプリング保持部81',82'の内底部側を押し広げるように密着することになる。こうして、スプリング保持部81',82'のテーパ状の内周面が圧接される形となって、コイルスプリング7はスプリング保持部81',82'に装着される。
この変形例においても、回転体2,3に対しコイルスプリング7の端部を簡素な構成で固定できる。また、コイルスプリング7の拡径方向の復元力を利用することで、その端部を回転体2,3に強固に固定できる。なお、本変形例でも上記の第8実施形態と同様に、上記スプリング保持部81',82'の内周面全部にテーパ面83',84'を形成せず
に、内周面の一部にのみテーパ面が形成されても良い。
に、内周面の一部にのみテーパ面が形成されても良い。
更に、第7の実施形態においては、図12および図13に示すように、バネ収容室6に面した第1回転体2の内面に、第1収容溝2bが設けられ、第1収容溝2bにおいて回転軸の半径方向に指向する外側の内周面を第1スプリングガイド面2dとし、コイルスプリング7の端部に位置する第1当接部7aが第1スプリングガイド面2dに当接するようにコイルスプリング7が装着されている。また、第1スプリングガイド面2dには、硬質クロムめっきが施されている。尚、第1収容溝2bの回転軸の半径方向の幅については、コイルスプリング7を構成する線状体を収容できるだけの幅は必要であるが、ここではその上限を特に制限しない。
コイルスプリング7の端部は、径が装着前の径よりも小さくなるように弾性変形した状態で装着されており、当該コイルスプリング7の弾性回復により図13に示すA−A断面において矢印Xで示す方向にプーリ内面が付勢されている。また、コイルスプリング7の線状体先端部7cは、角部が除去されており、プーリ内周面と当接する面と、コイルスプリング7の線状体端面とが互いに滑らかに連続する面として形成されている。
一方、バネ収容室6に面した第2回転体3の外面には第2収容溝3bが設けられ、第2収容溝3bにおいて回転軸の半径方向に指向する外側の内周面を第2スプリングガイド面3dとし、コイルスプリング7の第2収容溝3b側端部に位置する第2当接部7bが第2スプリングガイド面3dに当接するようにコイルスプリング7が装着されている。
コイルスプリング7における第2当接部7bは、第1当接部7aと同様にして径が装着前の径よりも小さくなるように弾性変形した状態で装着されており、先端部において角部が除去されるとともに、第2当接部7bにはクラウニングが施されている。
本実施例では駆動軸111に装着したプーリ118としてプーリ構造体1を設けた場合を説明したが、それに限らず、発電機115を備えた従動軸(発電軸)114のプーリ120とクーラコンプレッサ117を備えた従動軸(コンプレッサ軸)116のプーリ121、もしくはどちらか一方のプーリに上記プーリ構造体1を設置してもよい。この場合、発電軸やコンプレッサ軸の回転が第2回転体3からコイルスプリング7を介して第1回転体2へ伝達され、第1回転体2からVリブドベルト130を介して動力が出力されることになる。
本発明に係る伝動ベルトの多軸駆動装置は、自動車用エンジンなどの多軸駆動装置に広く使用することができる。
1 プーリ構造体
2 第1回転体
2b 第1収容溝
3 第2回転体
3b 第2収容溝
4,5 軸受
6 バネ収容室
7 コイルスプリング
100 多軸駆動装置
111 駆動軸
112 従動軸
113 ウォーターポンプ
114 従動軸
115 発電機
117 クーラコンプレッサ
130 Vリブドベルト
2 第1回転体
2b 第1収容溝
3 第2回転体
3b 第2収容溝
4,5 軸受
6 バネ収容室
7 コイルスプリング
100 多軸駆動装置
111 駆動軸
112 従動軸
113 ウォーターポンプ
114 従動軸
115 発電機
117 クーラコンプレッサ
130 Vリブドベルト
Claims (8)
- 駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方が、前記コイルスプリングの端部側を収容する円弧状の収容溝を備えており、前記コイルスプリングの端部には、前記収容溝に圧入される幅広部が少なくとも1つ形成され、前記幅広部の前記収容溝に対する当接部近傍が、湾曲状に形成されている、構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。 - 駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方には、固定溝を設けたカラー材を固着し、前記コイルスプリングの端部が前記固定溝に圧入固定されている、構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。 - 駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方とスプリングの端部とは、接着剤又はロウ付けを介して固着している、構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。 - 駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方から、その外周面の少なくとも一部にテーパ面を備えたスプリング保持部を突出させ、このスプリング保持部に対し前記コイルスプリングの端部が装着され、この端部の縮径力によって前記スプリング保持部の外周面が圧接されるように構成されている、構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。 - 駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方に、その内周面の少なくとも一部にテーパ面を備えたスプリング保持部を凹設し、このスプリング保持部に対し前記コイルスプリングの端部が装着され、この端部の拡径力によって前記スプリング保持部の内周面が圧接されるように構成されている、構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。 - 駆動軸と、少なくとも1つの従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記従動軸の1つが大きな回転慣性を有する回転体を備えた軸であり、
上記従動軸と駆動軸の少なくとも1つにプーリ構造体を装着し、
上記プーリ構造体が、
ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、前記コイルスプリングの両端が、径の大きさが変化するように弾性変形した状態で配設されているとともに、前記第1回転体及び前記第2回転体によって当該コイルスプリングの径が弾性回復することを抑制された状態で前記第1回転体及び前記第2回転体に当接している、構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。 - 駆動軸のみにプーリ構造体を装着する請求項1乃至6記載の伝動ベルトの多軸駆動装置。
- 大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸であるオルタネータ軸とクーラコンプレッサ軸の少なくとも一方にプーリ構造体を装着する請求項1乃至6記載の伝動ベルトの多軸駆動装置。
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