JP2007278442A - プーリ - Google Patents
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Abstract
【課題】外周面に巻き掛けられるベルトのリブと当該外周面に形成されたリブとの間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制する。
【解決手段】プーリ3にベルト4が巻き掛けられると、ベルト4がプーリ3の中心軸線の軸線方向において当該中心軸線に向かってへこむように湾曲し、その湾曲によってベルト4の各リブ19が互いに離れる方向に変位しようとする。従って、周回移動するベルト4がプーリ3の周方向に対し斜めに延びた状態で、プーリ3のリブにベルト4のリブ19が噛み合うとき、プーリ3のリブ20に対するベルト4のリブ19の押し付けが、ベルト4の湾曲に伴いリブ19が上述したように変位しようとする分だけ弱くなる。このため、プーリ3のリブ20と噛み合うベルト4のリブ19との間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
【選択図】図3
【解決手段】プーリ3にベルト4が巻き掛けられると、ベルト4がプーリ3の中心軸線の軸線方向において当該中心軸線に向かってへこむように湾曲し、その湾曲によってベルト4の各リブ19が互いに離れる方向に変位しようとする。従って、周回移動するベルト4がプーリ3の周方向に対し斜めに延びた状態で、プーリ3のリブにベルト4のリブ19が噛み合うとき、プーリ3のリブ20に対するベルト4のリブ19の押し付けが、ベルト4の湾曲に伴いリブ19が上述したように変位しようとする分だけ弱くなる。このため、プーリ3のリブ20と噛み合うベルト4のリブ19との間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、プーリに関するものである。
従来より、駆動源から被駆動体への駆動力の伝達として、プーリ及びベルトを用いて駆動力を伝達することが知られている。
例えば、自動車等においては、内燃機関を駆動源とするとともに各種補機を被駆動体とし、内燃機関の出力軸及び補機の入力軸にそれぞれプーリを固定するとともに、それらプーリの外周面にループ状のベルトを巻き掛けるようにしている。この場合、ベルトが巻き掛けられる両プーリの外周面と当該ベルトとの間の摩擦力によって、それらプーリとベルトとの間での駆動力の伝達が行われる。従って、内燃機関の運転時に同機関が回転すると、内燃機関側のプーリとベルトとの間の摩擦力によって、同ベルトが上記プーリの回転に伴い周回移動する。更に、そのベルトと補機側のプーリとの間の摩擦力によって、そのプーリが上記ベルトの周回移動に伴い回転する。以上により、内燃機関の駆動力がプーリを介して及びベルトを介して補機に伝達され、その駆動力の伝達を通じて補機が駆動されるようになる。なお、内燃機関側のプーリとしては、プーリの回転方向についての捩り振動を抑制することのできる特許文献1に示されるようなダンパプーリを採用することが好ましい。
例えば、自動車等においては、内燃機関を駆動源とするとともに各種補機を被駆動体とし、内燃機関の出力軸及び補機の入力軸にそれぞれプーリを固定するとともに、それらプーリの外周面にループ状のベルトを巻き掛けるようにしている。この場合、ベルトが巻き掛けられる両プーリの外周面と当該ベルトとの間の摩擦力によって、それらプーリとベルトとの間での駆動力の伝達が行われる。従って、内燃機関の運転時に同機関が回転すると、内燃機関側のプーリとベルトとの間の摩擦力によって、同ベルトが上記プーリの回転に伴い周回移動する。更に、そのベルトと補機側のプーリとの間の摩擦力によって、そのプーリが上記ベルトの周回移動に伴い回転する。以上により、内燃機関の駆動力がプーリを介して及びベルトを介して補機に伝達され、その駆動力の伝達を通じて補機が駆動されるようになる。なお、内燃機関側のプーリとしては、プーリの回転方向についての捩り振動を抑制することのできる特許文献1に示されるようなダンパプーリを採用することが好ましい。
ところで、こうしたプーリ及びベルトを用いた駆動力の伝達では、プーリの外周面とベルトとの間の摩擦力を大きくすることが好ましく、それを実現するためにベルトに周方向に延びる複数のリブを形成するとともに、プーリの外周面に上記ベルトの各リブと噛み合う複数のリブを当該外周面の周方向に延びるように形成することが考えられる。この場合、プーリの外周面とベルトとにそれぞれ形成されたリブによって両者の接触面積の拡大が図られるため、プーリの外周面とベルトとの間の摩擦力を大きくすることができる。
特開平4−151045公報
上述したようにプーリの外周面及びベルトにそれぞれリブを形成することで、両者の間に生じる摩擦力を大きくすることができるようにはなる。ただし、図5に示されるように、プーリ51が傾いた状態となって同プーリ51の中心軸線Lがベルト52の延びる方向(図中の上下方向)に対して垂直にならない場合、周回移動するベルト52がプーリ51の周方向に対し斜めに延びた状態で当該プーリ51の外周面に接触するため、ベルト52のリブがプーリ51のリブに押しつけられる。そして、こうしたプーリ51のリブへのベルト52のリブの押し付けが問題を引き起こす要因となる。
図6はこのときのベルトのリブとプーリのリブとの噛み合いの状態を示しており、図7は上記ベルト及びプーリを図6の矢印A−A方向から見た状態を示している。図6から分かるように、図5のようなプーリ51傾きが生じると、同プーリのリブ53が矢印B方向に変位し、そのリブ53におけるベルトのリブ54と噛み合い始める部分に当該リブ54が押し付けられることになる。すなわち、図7において、プーリ51のリブ53に対し、ベルト52のリブ54が矢印C方向に押し付けられる。より詳しくは、図8に示されるプーリのリブ53における図中の右側面に、ベルトのリブ54における図中の左側面が押し付けられることとなる。
このように、プーリにおけるリブの側面に対し、ベルトにおけるリブの側面が押し付けられると、プーリのリブとベルトのリブとの間に滑りと静止との繰り返し(いわゆるスティックスリップ)が生じ、それに伴う異音の発生が問題となる。なお、こうした問題は、内燃機関から補機への駆動力の伝達に用いられるプーリに限らず、それ以外の駆動力伝達用のプーリにおいても共通したものとなっている。
また、内燃機関から補機への駆動力の伝達を行うプーリにおいては、同機関が発生する駆動力に変動が生じることは避けられないことから、上記スティックスリップ及びそれに伴う異音が発生しやすくなる。すなわち、内燃機関の駆動力をプーリ及びベルトによって伝達する場合、内燃機関の駆動力をプーリ側からベルト側に伝達したり、或いはベルト側からプーリ側に伝達したりする際、同駆動力の変動時に上記スティックスリップが発生しやすくなり、それに伴う異音も発生しやすくなるという問題がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、外周面に巻き掛けられるベルトのリブと当該外周面に形成されたリブとの間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することのできるプーリを提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、ループ状のベルトが巻き掛けられる外周面と当該ベルトとの間の摩擦力によって同ベルトとの間で駆動力の伝達を行い、前記外周面には前記ベルトに形成された周方向に延びる複数のリブと噛み合う複数のリブが当該外周面の周方向に延びるように形成され、前記ベルトとの間での駆動力の伝達時には中心軸線周りに回転するプーリにおいて、前記外周面における前記中心軸線からの距離は、その外周面における当該中心軸線の軸線方向中央で最小とされるとともに軸線方向両縁で最大とされていることを要旨とした。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、ループ状のベルトが巻き掛けられる外周面と当該ベルトとの間の摩擦力によって同ベルトとの間で駆動力の伝達を行い、前記外周面には前記ベルトに形成された周方向に延びる複数のリブと噛み合う複数のリブが当該外周面の周方向に延びるように形成され、前記ベルトとの間での駆動力の伝達時には中心軸線周りに回転するプーリにおいて、前記外周面における前記中心軸線からの距離は、その外周面における当該中心軸線の軸線方向中央で最小とされるとともに軸線方向両縁で最大とされていることを要旨とした。
上記構成によれば、プーリの外周面にベルトが巻き掛けられたとき、その外周面に対応してベルトが変形する。すなわち、ベルトにおける上記中心軸線の軸線方向両縁がプーリの外周面における当該軸線方向両縁に当たった状態で、ベルトにおける上記軸線方向中央部分が上記中心軸線側に引き込まれる。その結果、ベルトがその各リブを互いに離間させるように湾曲し、当該湾曲に伴い上記各リブが互いに離れる方向に変位しようとする。
ここで、プーリの中心軸線がベルトの延びる方向に対して垂直になっていない場合、周回移動するベルトがプーリの周方向に対し斜めに延びた状態で当該プーリの外周面に接触する。このため、プーリのリブにおけるベルトのリブと噛み合い始める部分に当該ベルトのリブが押し付けられ、その部分にてプーリのリブとベルトのリブとの間が滑りと静止とを繰り返す、いわゆるスティックスリップが生じ、それに伴い異音が発生するおそれがある。
しかし、プーリの外周面に巻き掛けられたベルトは、上述したように湾曲して同ベルトの各リブが互いに離れる方向に変位しようとする。このため、ベルトにおける各リブが互いに離れる方向へと変位しようとする分だけ、プーリのリブにおけるベルトのリブと噛み合い始める部分に対する当該ベルトのリブが押し付けが弱くなる。従って、プーリのリブに対するベルトのリブの押し付けによる上記スティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記外周面は、前記中心軸線の軸線方向において、その中心軸線に向かってへこむ円弧状に形成されていることを要旨とした。
上記構成によれば、プーリの外周面にベルトが巻き掛けられたとき、上記中心軸線の軸線方向においてベルトが同中心軸線に向けて膨らむ円弧状に湾曲し、それに伴いベルトの各リブが互いに離れる方向に変位しようとする。このようにプーリに巻き掛けられたベルトが円弧状に湾曲するため、その湾曲によってプーリに巻き掛けられた状態でのベルトの周回移動が支障を来すことはなく、同ベルトが滑らかに周回移動するようになる。
以下、本発明を内燃機関における各種補機への駆動力伝達に用いられるプーリに具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示される内燃機関1においては、その出力軸であるクランクシャフト2にプーリ3が固定されるとともに、そのプーリ3の外周面にループ状のベルト4の内側面が巻き掛けられており、それらプーリ3及びベルト4によって各種補機への駆動力の伝達を行うようにしている。なお、上記プーリ3としては、内燃機関が発生する駆動力を変動のない状態で各種補機へと伝達するため、その駆動力の変動を減衰させる機能を有するダンパプーリが用いられる。
図1に示される内燃機関1においては、その出力軸であるクランクシャフト2にプーリ3が固定されるとともに、そのプーリ3の外周面にループ状のベルト4の内側面が巻き掛けられており、それらプーリ3及びベルト4によって各種補機への駆動力の伝達を行うようにしている。なお、上記プーリ3としては、内燃機関が発生する駆動力を変動のない状態で各種補機へと伝達するため、その駆動力の変動を減衰させる機能を有するダンパプーリが用いられる。
一方、内燃機関1の駆動力が伝達される各種補機としては、パワーステアリング用オイルポンプ5、オルタネータ6、ウォータポンプ7、及びエアコンディショナ用コンプレッサ8といったものがあげられる。これら各種補機の入力軸9〜12にはそれぞれプーリ13〜16が固定されている。そして、パワーステアリング用オイルポンプ5、オルタネータ6、及びエアコンディショナ用コンプレッサ8のプーリ13,14,16の外周面には上記ベルト4の内側面が巻き掛けられている。
オルタネータ6のプーリ13とエアコンディショナ用コンプレッサ8のプーリ14と間にはウォータポンプ7のプーリ15が位置しており、このプーリ15の外周面には上記ベルト4の外側面が巻き掛けられている。このようにプーリ15を配置するとともにベルト4を巻き掛けることにより、上記プーリ14,16とベルト4との接触長さの拡大が図られている。
また、クランクシャフト2のプーリ3とパワーステアリング用オイルポンプ5のプーリ13との間には、ベルト4を常に張った状態に保つためのオートテンショナ17が設けられている。このオートテンショナ17は、ばね力等によりウォータポンプ7側に付勢されるとともに回転可能に支持されるプーリ18を備えている。プーリ18の外周面には上記ベルト4がその外側面を接触させた状態で巻き掛けられている。そして、プーリ18によって上記ベルト4を所定の圧力でウォータポンプ7側に押圧することで、ベルト4に経時変化に伴う伸びが生じたとしても、同ベルト4が常に張った状態に保たれる。また、上記のようにプーリ18を配置するとともにベルト4を巻き掛けることにより、上記プーリ3,13とベルト4との接触長さの拡大が図られている。
内燃機関1の駆動によりクランクシャフト2と共にプーリ3が回転すると、そのプーリ3とベルト4との間の摩擦力によって同ベルト4が周回移動する。このことは、プーリ3とベルト4との間の駆動力の伝達が、それらプーリ3とベルト4との間の摩擦力によって行われていることを意味する。更に、ベルト4が周回移動すると、そのベルト4とプーリ13〜16との間の摩擦力によって当該プーリ13〜16,18が回転する。このことは、ベルト4とプーリ13〜16,18との間の駆動力の伝達が、それらベルト4とプーリ13〜16との間の摩擦力によって行われていることを意味する。そして、ベルト4の周回移動に伴いプーリ13〜16が回転することにより、パワーステアリング用オイルポンプ5、オルタネータ6、ウォータポンプ7、及びエアコンディショナ用コンプレッサ8といった各種補機が駆動される。
図2において、(a)はベルト4の断面図であり、(b)はプーリ3の外周面付近の断面図である。
図2(a)に示されるように、ベルト4においては、その外側面(図中の上側面)が平らに形成されており、ベルト4の内側面(図中の下側面)には当該内側面から突出する複数のリブ19が同ベルト4の周方向に延びるように形成されている。また、図2(b)に示されるように、プーリ3の外周面3aは同プーリ3の中心軸線の軸線方向(図中の左右方向)において、その中心軸線の存在する図中の下方に向かってへこむ円弧状に形成されている。従って、プーリ3の外周面3aにおける上記中心軸線からの距離は、上記軸線方向中央で最小とされるとともに上記軸線方向両縁で最大とされる。また、この外周面3aには、当該外周面3aから突出する複数のリブ20がプーリ3の周方向に延びるように形成されている。
図2(a)に示されるように、ベルト4においては、その外側面(図中の上側面)が平らに形成されており、ベルト4の内側面(図中の下側面)には当該内側面から突出する複数のリブ19が同ベルト4の周方向に延びるように形成されている。また、図2(b)に示されるように、プーリ3の外周面3aは同プーリ3の中心軸線の軸線方向(図中の左右方向)において、その中心軸線の存在する図中の下方に向かってへこむ円弧状に形成されている。従って、プーリ3の外周面3aにおける上記中心軸線からの距離は、上記軸線方向中央で最小とされるとともに上記軸線方向両縁で最大とされる。また、この外周面3aには、当該外周面3aから突出する複数のリブ20がプーリ3の周方向に延びるように形成されている。
プーリ3の外周面にベルト4の内側面が巻き掛けられると、図3(a)に示されるように、ベルト4のリブ19がプーリ3のリブ20と噛み合う。これにより、プーリ3とベルト4との接触面積をリブ19,20によって拡大することができ、プーリ3とベルト4との間の摩擦力を大きくして両者間での駆動力の伝達を好適に行うことができる。
また、プーリ3の外周面3aにベルト4の内側面が巻き掛けられると、そのベルト4がプーリ3の外周面3aに対応して変形する。すなわち、ベルト4における上記中心軸線の軸線方向両縁がプーリ3の外周面3aにおける当該軸線方向両縁に当たった状態で、ベルト4における上記軸線方向中央部分が上記中心軸線側(図中下側)に引き込まれる。その結果、ベルト4がその各リブ19を互いに離間させるように湾曲し、当該湾曲に伴い上記各リブ19が図中の矢印Dで示されるように互いに離れる方向に変位しようとする。
なお、プーリ13,14,16の外周面においては、プーリ3の外周面3aと同じく円弧状に形成されるとともに、プーリ3と同じく複数のリブが形成されている。従って、プーリ13,14,16のそれぞれの外周面にベルト4の内周面が巻き掛けられると、ベルト4におけるそれら外周面に巻き掛けられた部分は、図3(a)に示される状態と同じ状態になる。また、ベルト4の外側面と接触するプーリ15,18の外周面は、ベルト4の外側面に対応して平らに形成されている。そして、それらプーリ15,18の外周面とベルト4の外側面との間の摩擦力によって、両者の間での駆動力の伝達が行われる。
ところで、ベルト4が巻き掛けられるプーリ3,13〜16,18においては、必ずしも、それらの中心軸線が互いに平行となるよう取り付けられているとは限らない。仮に、プーリの中心軸線が他のプーリの中心軸線に対し傾いていると、その中心軸線の傾いたプーリの中心軸線がベルト4の延びる方向に対し垂直にならなくなる。ここで、ベルト4の内側面が巻き掛けられるプーリ3,13,14,16の中心軸線が他のプーリの中心軸線に対し傾いていると、周回移動するベルト4がプーリ3,13,14,16の周方向に対し斜めに延びた状態で当該プーリ3の外周面に接触する。このため、ベルト4のリブ19がプーリ3,13,14,16のリブに押しつけられ、これが問題を引き起こす要因となる。
図4は、プーリ3に上述した中心軸線Lの傾きが生じているときのベルト4のリブ19とプーリ3のリブ20との噛み合いの状態を示す略図である。なお、プーリ13,14,16に上述した中心軸線の傾きが生じた場合にも、この図3(a)に示されるベルト4のリブ19とプーリ3のリブ20との噛み合いの状態と同じ状態で、ベルト4のリブ19とプーリのリブとが噛み合うことになる。
以下、プーリ3に上述した中心軸線Lの傾きが生じた場合を例に、ベルト4の内側面を巻き掛けたプーリが傾いたときの不具合及びその対処について説明する。
同図に示されるように、プーリ3の上記中心軸線Lの傾きが生じている場合、同プーリ3のリブ20が矢印E方向に変位し、そのリブ20におけるベルト4のリブ19と噛み合い始める部分に当該リブ20が押し付けられることになる。すなわち、図3(a)において、プーリ3のリブ20に対し、ベルト4のリブ19が矢印F方向に押し付けられる。より詳しくは、図3(b)に示されるプーリ3のリブ20における図中の右側面に、ベルト4のリブ19における図中の左側面が押し付けられることとなる。
同図に示されるように、プーリ3の上記中心軸線Lの傾きが生じている場合、同プーリ3のリブ20が矢印E方向に変位し、そのリブ20におけるベルト4のリブ19と噛み合い始める部分に当該リブ20が押し付けられることになる。すなわち、図3(a)において、プーリ3のリブ20に対し、ベルト4のリブ19が矢印F方向に押し付けられる。より詳しくは、図3(b)に示されるプーリ3のリブ20における図中の右側面に、ベルト4のリブ19における図中の左側面が押し付けられることとなる。
このように、プーリ3におけるリブ20の側面に対し、ベルト4におけるリブ19の側面が押し付けられると、プーリ3のリブ20とベルト4のリブ19との間に滑りと静止との繰り返し(いわゆるスティックスリップ)が生じるおそれがあり、それに伴う異音の発生も問題となる。特に、内燃機関1においては、発生する駆動力に変動が生じることは避けられないことかから、上記スティックスリップ及びそれに伴う異音が発生しやすい。すなわち、内燃機関1の駆動力をプーリ3,13〜16及びベルト4によって伝達する場合、内燃機関1の駆動力をプーリ3側からベルト4側に伝達したり、或いはベルト4側からプーリ13,14,16側に伝達したりする際、同駆動力の変動時に上記スティックスリップが発生しやすくなり、それに伴う異音も発生しやすくなる。
しかし、プーリ3の外周面に巻き掛けられたベルト4は、上述したように湾曲し、同ベルト4の各リブ19が図3(a)の矢印Dで示されるように互いに離れる方向に変位しようとする。このため、ベルト4における各リブ19が互いに離れる方向へと変位しようとする分だけ、プーリ3のリブ20におけるベルト4のリブ19と噛み合い始める部分に対する当該ベルト4のリブ19の押し付けが弱くなる。すなわち、図3(b)のリブ19にベルト4の湾曲による上記矢印Fと逆方向である矢印G方向への力が働き、この力の分だけリブ19のリブ20への押し付けが弱くなる。従って、プーリ3のリブ20に対するベルト4のリブ19の押し付けによるスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)プーリ3,13,14,16にベルト4が巻き掛けられると、ベルト4がプーリの中心軸線の軸線方向において当該中心軸線に向かってへこむように湾曲し、その湾曲によってベルト4の各リブ19が互いに離れる方向に変位しようとする。従って、周回移動するベルト4がプーリ3,13,14,16の周方向に対し斜めに延びた状態で、プーリ3,13,14,16のリブにベルト4のリブ19が噛み合うとき、プーリ3,13,14,16のリブに対するベルト4のリブ19の押し付けが、ベルト4の湾曲に伴いリブ19が上述したように変位しようとする分だけ弱くなる。このため、プーリ3,13,14,16のリブと噛み合うベルト4のリブ19との間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
(1)プーリ3,13,14,16にベルト4が巻き掛けられると、ベルト4がプーリの中心軸線の軸線方向において当該中心軸線に向かってへこむように湾曲し、その湾曲によってベルト4の各リブ19が互いに離れる方向に変位しようとする。従って、周回移動するベルト4がプーリ3,13,14,16の周方向に対し斜めに延びた状態で、プーリ3,13,14,16のリブにベルト4のリブ19が噛み合うとき、プーリ3,13,14,16のリブに対するベルト4のリブ19の押し付けが、ベルト4の湾曲に伴いリブ19が上述したように変位しようとする分だけ弱くなる。このため、プーリ3,13,14,16のリブと噛み合うベルト4のリブ19との間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
(2)プーリ3,13,14,16の外周面にベルト4が巻き掛けられたとき、同ベルト4はその中心軸線の軸線方向において当該中心軸線に向けて膨らむ円弧状に湾曲する。このようにプーリ3,13,14,16に巻き掛けられたベルト4が円弧状に湾曲するため、その湾曲によってプーリ3,13,14,16に巻き掛けられた状態でのベルト4の周回移動が支障を来すことはなく、同ベルト4が滑らかに周回移動するようになる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・プーリ3,13,14,16の外周面を円弧状に形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、それらプーリの外周面において、プーリの中心軸線の軸線方向中央部に周方向に延びる凹部を形成することで、その軸線方向中央部分における上記中心軸線との間の距離を最小とし、上記軸線方向両縁部分における上記中心軸線との間の距離を最大としてもよい。この場合においても上記(1)に準じた効果が得られるようになる。
・プーリ3,13,14,16の外周面を円弧状に形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、それらプーリの外周面において、プーリの中心軸線の軸線方向中央部に周方向に延びる凹部を形成することで、その軸線方向中央部分における上記中心軸線との間の距離を最小とし、上記軸線方向両縁部分における上記中心軸線との間の距離を最大としてもよい。この場合においても上記(1)に準じた効果が得られるようになる。
・ループ状をなすベルト4の外側面に複数のリブを形成するとともに、そのベルト4の外側面が巻き掛けられるプーリ15,18の外周面に上記各リブと噛み合う複数のリブを形成してもよい。この場合、プーリ15,18の外周面を例えばプーリ3の外周面3aと同様に円弧状に形成することで、互いに噛み合うプーリ15,18のリブとベルト4のリブとの間でのスティックスリップの発生、及びそれに伴う異音の発生を抑制することができる。
・上記において、プーリ15,18の外周面を円弧状に形成する代わりに、上述したように当該外周面に凹部を形成するようにしてもよい。すなわち、プーリ15,18の外周面におけるそれらプーリ15,18の中心軸線の軸線方向中央部に周方向に延びる凹部を形成し、それによって当該外周面における上記軸線方向中央部分の上記中心軸線との距離を最小にするとともに、上記軸線方向両縁部分における上記中心軸線との間の距離を最大とする。
・内燃機関の駆動力を各種補機に伝達するためのプーリに本発明を適用したが、その他の駆動力伝達用のプーリに本発明を適用してもよい。
1…内燃機関、2…クランクシャフト、3…プーリ、3a…外周面、4…ベルト、5…パワーステアリング用オイルポンプ、6…オルタネータ、7…ウォータポンプ、8…エアコンディショナ用コンプレッサ、9,10,11,12…入力軸、13,14,15,16…プーリ、17…オートテンショナ、18…プーリ、19,20…リブ。
Claims (2)
- ループ状のベルトが巻き掛けられる外周面と当該ベルトとの間の摩擦力によって同ベルトとの間で駆動力の伝達を行い、前記外周面には前記ベルトに形成された周方向に延びる複数のリブと噛み合う複数のリブが当該外周面の周方向に延びるように形成され、前記ベルトとの間での駆動力の伝達時には中心軸線周りに回転するプーリにおいて、
前記外周面における前記中心軸線からの距離は、その外周面における当該中心軸線の軸線方向中央で最小とされるとともに軸線方向両縁で最大とされている
ことを特徴とするプーリ。 - 前記外周面は、前記中心軸線の軸線方向において、その中心軸線に向かってへこむ円弧状に形成されている
請求項1記載のプーリ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8496552B2 (en) | 2010-09-14 | 2013-07-30 | Ford Global Technologies, Llc | Angled spoke pulley design |
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2006
- 2006-04-10 JP JP2006107766A patent/JP2007278442A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8496552B2 (en) | 2010-09-14 | 2013-07-30 | Ford Global Technologies, Llc | Angled spoke pulley design |
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