JP2008232379A - プーリ構造体、及び、これを用いた補機駆動システム - Google Patents

プーリ構造体、及び、これを用いた補機駆動システム Download PDF

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Abstract

【課題】ベルトの張力変動を解消できると共に、共振し難く、且つ、ゴム弾性体に対する負荷が抑制される、プーリ構造体を提供する。
【解決手段】ベルト103が巻き掛けられる筒状の第一回転体1と、この第一回転体1の内周側に枢設される筒状の第二回転体2と、前記の第一回転体1及び第二回転体2の間に設置された弾性体4と、を備える。前記の第一回転体1と第二回転体2の間の相対回転運動に対して摩擦力を付与する摩擦付与ユニット10が前記の第一回転体1及び第二回転体2の間に介設される。以上の構成によれば、前記プーリ構造体200の共振が抑制される。
【選択図】図2

Description

本発明は、プーリ構造体、及び、これを用いた補機駆動システムに関する。
この種の技術として特許文献1は、ベルトが懸架されるリム501と、中央ハブ503と、これらの間に設けられるゴムリング(ゴム弾性体)502と、たわみ制限部510と、から成るプーリ500を開示する。たわみ制限部510は、中央ハブ503の外周面に固定された正方形状の中央プレート512と、リム501の内周側の周縁に規則的に配置された弾性当接部514と、から構成される。リム501と中央ハブ503の相対回転角度が所定の値になると、弾性当接部514は中央プレート512に接触し、変形する。この構成によれば、エンジンの回転開始時の張力変動が抑えられる、とされる。
特開2006−177548号公報
しかし、前述の特許文献1に記載されるプーリ500によると以下の問題が生じる。プーリ500の固有振動数がエンジンのアイドリング時における回転数によって観念される振動数よりも小さい場合、エンジンの回転開始時(又は回転停止時、以下同様。)において、プーリ500は共振する。この結果、リム501と中央ハブ503の相対回転角が急激に大きくなる。このとき、ゴムリング502には過大な力が作用する。もしくは、中央プレート512と弾性当接部514には過大な力が作用する。そのため、ゴムリング502及びたわみ制限部510は破損しやすい。
本発明の主な目的は、ベルトの張力変動を解消できると共に、共振し難く、且つ、ゴム弾性体に対する負荷が抑制される、プーリ構造体を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下のように構成される、プーリ構造体が提供される。即ち、ベルトが巻き掛けられる筒状の第一回転体と、この第一回転体の内周側に枢設される筒状の第二回転体と、前記第一回転体及び前記第二回転体の間に固定されるゴム弾性体と、を備える。さらに、前記第一回転体と前記第二回転体の間の相対回転運動に対して摩擦力を付与する摩擦付与手段が、前記ゴム弾性体と軸方向に関して並列しつつ、前記第一回転体及び前記第二回転体の間に介設される。以上の構成によれば、ゴム弾性体のせん断変形によりベルトの張力変動が解消される。さらに、相対回転運動に対して摩擦力を付与することにより、回転変動が吸収されプーリ構造体の共振が抑制される。また、摩擦力が作用することにより、ゴム弾性体のねじれ過ぎが抑制され、ゴム弾性体に対する負荷を抑えることができる。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記ゴム弾性体が、ゴム又はウレタンエラストマーからなる。以上の構成によれば、弾性体が変形することにより、ベルトの張力変動を解消することができる。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記ゴム弾性体のデュロ硬度が、40〜90である。デュロ硬度が40よりも小さいと、ゴム弾性体がねじれ過ぎるため、ゴム弾性体が破損する場合がある。一方、デュロ硬度が90よりも大きいと、ゴム弾性体がねじれにくくなるため、ベルトの張力変動を低減することができなくなる。そこで、ゴム弾性体の硬度を上記範囲に設定することにより、ゴム弾性体の耐久性を向上させつつ、ベルトの張力変動を解消することができる。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記ゴム弾性体は、前記第一回転体の内周面及び前記第二回転体の外周面に固定される。以上の構成によれば、弾性体が周方向に変形することにより、ベルトの張力変動を解消することができる。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記ゴム弾性体が、前記第一回転体及び前記第二回転体の間に、径方向に圧縮又は引張状態で介装されている。以上の構成によれば、ゴム弾性体は自己弾性復元力により、第一回転体及び第二回転体の何れか一方に圧着される。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第一回転体及び前記第二回転体の間に介装された状態における、前記ゴム弾性体の圧縮率又は引張率が、30%以下である。圧縮率又は引張率が大きすぎると、ゴム弾性体がねじれたときの負荷が大きすぎるため、ゴム弾性体が破損する場合がある。従って、圧縮率又は引張率を30%以下に設定することにより、ゴム弾性体の負荷を抑えることができる。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記摩擦付与手段が、環状の摩擦部材と、前記摩擦部材を軸方向へ付勢する第一付勢部材と、から構成される。以上の構成によれば、摩擦部材と付勢部材の位置関係が、第一回転体に対する第二回転体の挿入方向と概ね一致することとなるから、この点、組み立て作業性の良好なプーリ構造体が実現される。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第一付勢部材が、皿バネである。以上の構成によれば、第一付勢手段が簡素な構成で実現される。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記摩擦付与手段が、環状の摩擦部材と、前記摩擦部材を径方向へ付勢する第二付勢部材から構成される。以上の構成によれば、前記摩擦部材に対して作用される全ての付勢力は軸心から見ると概ね相殺されることとなるから、これらの付勢力が相殺されない構成と比較して、部品点数が少なく、或いは、簡素な構成が実現される。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第二付勢部材が、孔又はスリットが形成された環状バネからなり、前記摩擦部材に接着されており、前記第二回転体又は前記第一回転体には、前記孔又はスリットに対して係合する突起部が設けられている。以上の構成によれば、第二付勢手段が簡素な構成で実現される。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記2つの回転体の相対回転角が所定の値よりも大きくなった場合に限り、前記摩擦付与手段が前記相対回転運動に対して摩擦力を付与する。以上の構成によれば、第一回転体1と第二回転体2との間に大きな相対回転運動が生じた場合に限り摩擦部材による摩擦力が発揮されるので、摩擦が必要以上に行われることがなく、摩擦付与手段の耐久性が向上する。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記孔又はスリットの周方向における長さは、前記突出部の周方向における長さよりも大きく設定される。以上の構成によれば、第2つの回転体の相対回転角が所定の値よりも大きくなったときに限り、その相対回転運動に対し摩擦力を付与する摩擦付与手段が、簡素な構成により実現される。
上記のプーリ構造体は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第一回転体と前記第二回転体の間の、所定の相対回転角度以上の、相対回転を規制する相対回転規制手段が設けられる。以上の構成によれば、2つの相対回転角度が所定の値を超えないため、ゴム弾性体のねじれ過ぎを防止することができる。従って、ゴム弾性体に対する負荷が確実に制限される。
エンジンの出力軸と、この出力軸に設けられるプーリとしての第一プーリと、オルタネータの駆動軸と、この駆動軸に設けられるプーリとしての第二プーリと、前記第一プーリ及び前記第二プーリに対して巻き掛けられる共通のベルトと、を含んで構成される補機駆動システムにおいて、前記第一プーリ又は前記第二プーリのうち少なくとも一方に対して、上記のプーリ構造体が適用されることが好ましい。以上の構成によれば、長期にわたって安定してベルトの張力変動を低減することができる補機駆動システムを提供できる。
<第一実施形態>
先ず、自動車の補機駆動システムを概説する。図1は、自動車の補機駆動システムの構成概略図である。本実施形態において補機駆動システム100は、エンジンのクランク軸(Crank)と、このクランク軸に同軸状に設けられるプーリとしての第一プーリ101と、オルタネータの駆動軸(Alt)と、この駆動軸に同軸状に設けられるプーリとしての第二プーリ102と、前記の第一プーリ101及び第二プーリ102に対して巻き掛けられる共通のベルト103と、を含んで構成される。更に、補機駆動システム100は、エアコンプレッサー(A/C)104、パワーステアリング(P/S)105、ウォーターポンプ(W/P)106、などを含んで構成される。そして、第一プーリ101によりベルト103へ動力が伝達されると、このベルト103を介することにより該動力がオルタネータやエアコンプレッサーに伝達されるように構成される。以下、上記第二プーリ102に対して適用されるプーリ構造体について詳細に説明する。
図2を参照されたい。図2は、本発明の第一実施形態に係るプーリ構造体の軸方向断面図である。本実施形態においてプーリ構造体200は、図略のベルト103が巻き掛けられる筒状の第一回転体1と、この第一回転体1の内周側に枢設される筒状の第二回転体2と、第一回転体1及び第二回転体2の間に設置される弾性体(ゴム弾性体)4と、を備えて成る。そして、第一回転体1と第二回転体2の間の相対回転運動に対して摩擦力を付与する摩擦付与ユニット(摩擦付与手段)10が、弾性体4と軸方向に関して並列しつつ、第一回転体1及び第二回転体2の間に介設される。以下、更に詳しく説明する。
第一回転体1の軸方向一端側端部の外周面上には、巻き掛けられる図略のベルト103の軸方向への移動を適宜に規制する断面鋸状のプーリ体(リブプーリ)1aが形成される。一方、第二回転体2の内周面には、図略のオルタネータの駆動軸が螺合される。そして、第一回転体1に対して第二回転体2が同軸状に挿入された状態で、軸方向一端側において転がり軸受5が介装されることで、第二回転体2は第一回転体1の内周側に枢設される。なお、転がり軸受5は、略示の止め輪5aと係合して軸方向において固定される。
第一回転体1の軸方向他端側に形成される支持部6は第一回転体1とは別体とされ、第一回転体1の内周面に対して圧入固定される。支持部6が第一回転体1と別体に構成されるのは、プーリ構造体200の組立て作業性を考慮したものである。
弾性体4は、ゴム又はウレタンエラストマーを材料とし、図示する如く筒状体に形成される。また、弾性体4は、そのデュロ硬度が40〜90のものが好適に用いられる。その理由については後述する。弾性体4は、第一回転体1と第二回転体2との間に配され、第一回転体1の軸方向略中央の内周面であるゴム支持面15と、第二回転体2の軸方向略中央の外周面であるゴム支持面16に固定されている。弾性体4は、ゴム支持面15に対して圧入固定される。また、ゴム支持面16の径は、無負荷状態における弾性体4の内径よりも若干大きくなるように設定されている。そして、弾性体4を接着剤の付されたゴム支持面16に、僅少の拡径変形を伴いながら外嵌することにで、弾性体4は接着剤による接着力及び縮径方向に作用する自己弾性復元力により第二回転体2に固定される。このときの弾性体4の引張率は、30%以下であることが好ましい。引張率が大きすぎると、弾性体4がねじれたときの負荷が大きすぎるため、弾性体4が破損する場合がある。従って、圧縮率又は引張率を30%以下に設定することにより、弾性体4の負荷を抑えることができる。
次に、摩擦付与ユニット10の構成について詳細に説明する。この摩擦付与ユニット10は、第一回転体1と第二回転体2との間の軸方向他端側に配され、弾性体4と並列する位置関係となる。摩擦付与ユニット10は、第一回転体1の支持部6の軸方向一端側の面に固定される環状の摩擦部材11と、この摩擦部材11の軸方向一端側に当接する押圧板13、この押圧板13を軸方向他端側へ付勢する皿バネ(第一付勢手段)12と、から構成される。
押圧板13は、第二回転体2の外周面に固定されている。また、第二回転体2の外周面には、軸方向略中央において段差面14が形成されている。皿バネ12の軸方向一端側は段差面14に当接すると共に、皿バネ12の軸方向他端側は押圧板13に当接する。この構成で、皿バネ12の自己復元力により押圧板13は断面略矩形の摩擦部材11に向かって付勢されて、押圧板13と摩擦部材11が強力に密着される。そして、第一回転体1と共に回転する押圧板13と、第二回転体2と共に回転する摩擦部材11と、が互いに摺動し合うことで、第一回転体1と第二回転体2の間の相対回転運動に対して摩擦力が付与されるようになっている。なお、摩擦部材11の素材としては、例えば真鍮、メッキ処理が為された真鍮、青銅、メッキ処理が為された青銅、ナイロン(合成樹脂)、ポリアセタール(合成樹脂)、ポリアリレート(合成樹脂)が挙げられる。
以上説明したように上記実施形態においてプーリ構造体200は、以下のように構成される。即ち、ベルト103が巻き掛けられる筒状の第一回転体1と、この第一回転体1の内周側に枢設される筒状の第二回転体2と、第一回転体1及び第二回転体の間に設置される弾性体4と、を備える。さらに、第一回転体1と第二回転体2の間の相対回転運動に対して摩擦力を付与する摩擦付与ユニット10が、弾性体4と軸方向に関して並列しつつ、前記の第一回転体1及び第二回転体2の間に介設される。以上の構成によれば、弾性体4のせん断変形によりベルト103の張力変動が解消される。さらに、相対回転運動に対して摩擦力を付与することにより、回転変動が吸収されプーリ構造体200の共振が抑制される。また、摩擦力が作用することにより、弾性体4のねじれ過ぎが抑制され、弾性体4に対する負荷を抑えることができる。
上記のプーリ構造体200は、更に、以下のように構成される。即ち、弾性体4が、ゴム又はウレタンエラストマーからなる。以上の構成によれば、弾性体4が変形することにより、ベルト103の張力変動を解消することができる。
上記のプーリ構造体200は、更に、以下のように構成される。即ち、弾性体4は、第一回転体1の内周面及び第二回転体2の外周面に固定される。以上の構成によれば、弾性体4が周方向に変形することにより、ベルト103の張力変動を解消することができる。
上記のプーリ構造体200は、更に、以下のように構成される。即ち、弾性体4が、第一回転体1及び第二回転体2の間に、径方向に引張状態で介装されている。以上の構成によれば、ゴム弾性体は自己弾性復元力により、第二回転体2に圧着される。
上記のプーリ構造体200は、更に、以下のように構成される。即ち、摩擦付与ユニット10は、環状の摩擦部材11と、この摩擦部材11を軸方向へ付勢する皿バネ12と、から構成される。以上の構成によれば、プーリ構造体200が簡素な構成で実現される。さらに、前記の摩擦部材11と皿バネ12との位置関係が、第一回転体1に対する第二回転体2の挿入方向と概ね一致することとなるから、この点、組立て作業性の良好なプーリ構造体200が実現される。
以上に本発明の好適な実施形態として第一施形態を説明したが、上記第一実施形態は以下のように変更して実施できる。
◆ 即ち、上記実施形態において弾性体4は、圧入による機械的接着により第一回転体1に固定されることとしたが、接着材により第一回転体1に固定される構成でもよい。また、圧入による接着又は接着剤による接着に加えて、拡径方向に作用する自己弾性復元力により第一回転体1に固定される構成でもよい。
◆ また、上記実施形態において弾性体4は、接着剤による接着力と縮径方向に作用する自己弾性復元力により第二回転体2に固定されることとしたが、圧入による機械的接着力と自己弾性復元力により第二回転体2に固定される構成でもよい。また、圧入による接着又は接着剤による接着だけで第二回転体2に固定される構成でもよい。
◆ また、上記実施形態において弾性体4は、第一回転体1と第二回転体2に加硫接着により固定される構成でもよい。この場合は、弾性体4の材料はゴムに限られる。
ここで、本発明の技術的な意義について説明する。先ず、摩擦付与ユニットを設けない従来のプーリ構造体をオルタネータの駆動軸に設けた場合について説明する。従来のプーリ構造体は、一般に、エンジンのアイドリング時における回転数よりも低い回転数の際に共振するような固有振動数を有するように構成されていた(なお、振動系として質量側はオルタネータのロータが該当し、バネ側はプーリ構造体内に設けられるゴム弾性体が該当する。)。そのため、エンジンの回転開始時や回転停止時においてエンジンの回転数が特定の値を通過するたびにロータの角速度が大きく変動して、プーリとロータの相対角変位が大きくなって、ゴム弾性体に対して過大なトルクが作用して、ゴム弾性体自体が破損する虞があった。
上記第一実施形態に係るプーリ構造体を採用した場合、第一回転体1と第二回転体2の相対回転運動に対しては常時、摩擦力(摩擦トルク)が作用する。そのため、プーリとロータの角速度の変動が歩み寄って略一致する。そのため、上述の従来のプーリ構造体が共振を起こすエンジンの回転数と同一の回転数を設定した場合であっても、プーリ構造体は共振しない。一方、第一回転体1と第二回転体2の相対回転運動に対して付与される摩擦トルクが大きすぎると、弾性体4の本来的な機能(ベルトの張力変動を吸収する機能)を発揮できない。従って、摩擦付与ユニット10により発揮される摩擦力は適切な値に設定されることにより、ベルトの張力変動を低減すると共に、プーリ構造体200の共振を抑制することが可能になる。
さらに、第一回転体1と第二回転体2の間の相対回転運動に対して摩擦力が付与されることにより、摩擦付与ユニット10が設けられなかった場合と比較して、弾性体4のねじれ過ぎが抑制されるため、弾性体4の負担を抑えることができる。
ここで、弾性体4のデュロ硬度が、40〜90であることが好ましい理由について説明する。弾性体4のデュロ硬度が40よりも小さいと、弾性体4がねじれ過ぎるため、弾性体4が破損する場合がある。一方、弾性体4のデュロ硬度が90よりも大きいと、弾性体4がねじれにくくなるため、ベルトの張力変動を低減することができなくなる。そこで、弾性体4の硬度を上記範囲に設定することにより、弾性体4の耐久性を向上させつつ、ベルトの張力変動を低減することができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。図3、4を参照されたい。図3は、本発明の第二実施形態に係るプーリ構造体の軸方向断面図であり、図2に類似する図であり、図4は、図3のIV−IV線断面図である。以下、本実施形態に係るプーリ構造体200が上記第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
本実施形態において摩擦付与ユニット10Aは、第一回転体1の内周面に対して摺動する環状の摩擦部材11Aと、この摩擦部材11Aの内周側に配され、摩擦部材11Aを径方向外周側へ付勢する環状バネ(第二付勢手段)12Aと、から構成される。
また、プーリ構造体200の軸方向他端側端部には、環状板20aと軸部20bを備える環状部材20が設けられている。環状部材20は第二回転体2とは別体とされ、その軸部20aは第二回転体2の他端側外周面に対し固定されている。環状部材20の軸部20bの外周面には、径方向に沿って外周側に延出する突起部20cが形成されている。突起部20cは、後述する環状バネ12Aのスリット21に対して係合する。
摩擦部材11Aの軸方向一端側側面は、第一回転体1の内周面に形成された段差22と当接すると共に、摩擦部材11Aの軸方向他端側側面は環状部材20の環状板20aに当接する。これにより、摩擦部材11Aの軸方向のズレが防止される。この摩擦部材11Aの内周面に、断面略矩形の環状バネ12Aの外周面が当接する。環状バネ12Aの周上の一部には軸方向に延びるスリット21が形成され、このスリット21の存在により環状バネ12Aは径方向へ拡縮可能とされ、このスリット21を挟む環状バネ12Aの両端部12a・12aは何れも内周側へ略直角に屈曲される。同様に、摩擦部材11Aの周上の一部にもスリットが形成され、この摩擦部材11Aのスリットと環状バネ12Aのスリット21とが軸心からみて一致するように環状バネ12Aの外周面は摩擦部材11Aの内周面に接着される。なお、摩擦部材11Aの素材としては、例えば真鍮、メッキ処理が為された真鍮、青銅、メッキ処理が為された青銅、ナイロン(合成樹脂)、ポリアセタール(合成樹脂)、ポリアリレート(合成樹脂)が挙げられる。
上記の構成で、第二回転体2と摩擦部材11Aの間の相対回転は、該第二回転体2から順に、軸部20bと、突起部20cと、この突起部20cが周方向に当接する環状バネ12Aの両端部12a・12aと、環状バネ12Aと、を介して規制され、摩擦部材11Aが第一回転体1の内周面に対して摺動することで、第一回転体1と第二回転体2の間の相対回転運動に対して摩擦力が付与されるようになっている。
以上説明したように本実施形態においてプーリ構造体200は、以下のように構成される。即ち、摩擦付与ユニット10は、環状の摩擦部材11Aと、この摩擦部材11Aを径方向へ付勢する環状バネ12Aと、から構成される。以上の構成によれば、前記摩擦部材11Aに対して作用されるすべての付勢力は軸心からみると概ね相殺されることとなるから、これらの付勢力が相殺されない構成と比較して、部品点数が少なく、或いは、簡素な構成が実現される。
以上に本発明の好適な実施形態として第二実施形態を説明したが、上記第二実施形態は以下のように変更して実施できる。
◆ 即ち、上記実施形態において環状バネ12Aには軸方向に延びる1本のスリット21が形成されるとしたが、これに代えて、環状バネ12Aの周方向における連続性を害しない孔が形成され、この孔に前記の突起部20cが係合して成る構成も考えられる。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態を説明する。図5を参照されたい。図5は、図4に類似する図であって、本発明の第三実施形態に係るプーリ構造体の断面図である。以下、本実施形態に係るプーリ構造体200が上記第二実施形態と相違する点を中心に説明する。
本実勢形態においてプーリ構造体200は、2つの回転体1、2の相対回転角が所定の値よりも大きくなった場合に限り、摩擦付与ユニット10Aは2つの回転体の相対回転運動に対して摩擦力を付与する。即ち、環状バネ12Aに形成されるスリット21の周方向における長さαは、該スリット21に対して係合する突起部20cの周方向における長さβよりも大きく設定される。以上の構成で、第一回転体1に対して第二回転体2が相対回転すると、該相対回転が比較的小さい相対角変位内のものである場合には突起部20cが摩擦付与ユニット10Aに対して当接することがないので、摩擦部材11Aの外周面において摩擦力は発生し得ない。一方、該相対回転が比較的大きな相対角変位で為される場合には突起部20cが摩擦付与ユニット10Aの環状バネ12Aの両端部12a・12aに当接することもあり、当接したときには摩擦部材11Aの外周面において摩擦力が発生する。なお、摩擦部材11Aに対する第二回転体2の相対回転運動は、例えば42±10[deg.]程度に許容されるとよく、勿論、エンジンの特性に応じて適宜に増減するとよいだろう。
以上説明したように本実施形態においてプーリ構造体200は、以下のように構成される。即ち、2つの回転体1、2の相対回転角が所定の値よりも大きくなった場合に限り、摩擦付与ユニット10Aがその相対回転運動に対して摩擦力を付与する。以上の構成によれば、第一回転体1と第二回転体2との間に大きな相対回転運動が生じた場合に限り摩擦部材11Aによる摩擦力が発揮されるので摩擦が必要以上に行われることがなく、摩擦付与ユニット10Aの耐久性が向上する。
上記のプーリ構造体200は、更に、以下のように構成される。即ち、スリット21の周方向における長さαは、突起部20cの周方向における長さβよりも大きく設定される。以上の構成によれば、上述の構成を有する摩擦付与ユニット10Aが、簡素な構成で実現される。
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態を説明する。図6、7を参照されたい。図6は、図3に類似する図であって、本発明の第四実施形態に係るプーリ構造体の軸方向断面図である。図7(a)は、プーリ構造体を軸方向他端側から見た側面図である。図7(b)は、図4に類似する図であって、図6のVII−VII線断面図である。以下、本実施形態に係るプーリ構造体200が上記第二実施形態と相違する点を中心に説明する。
本実施形態におけるプーリ構造体200には、第一回転体1と第二回転体2との間の、所定の相対角変位以上の、相対回転を規制する相対回転規制構造24(相対回転規制手段)が2セット、設けられる。この相対回転規制構造24は、第一回転体1に設けられた突部25と、環状部材20の環状板20aに形成された突部収容溝26とから構成される。突部25は第一回転体1の軸方向他端側側面から軸方向他端側に向かって軸方向と平行に延在する。突部収容溝26は、突部25が挿入され、周方向に沿って所定の相対角変位rの範囲内に限り移動自在となるように形成される。そして、該突部25が突部収容溝26の周方向における側面26aに当接したときに第一回転体1と第二回転体2の間のそれ以上の相対回転が確実に規制されるようになっている。
以上説明したように上記実施形態においてプーリ構造体200は、以下のように構成される。即ち、第一回転体1と第二回転体2との間の、所定の相対角変位以上の、相対回転を規制する相対回転規制構造24が設けられる。以上の構成によれば、2つの回転体1、2の相対回転角度が所定の値を超えないため、弾性体4のねじれ過ぎを防止することができる。従って、弾性体4に対する負荷が確実に制限される。
以上に本発明の好適な実施形態として第四実施形態を説明したが、上記第四実施形態は以下のように変更して実施できる。
◆ 即ち、上記実施形態において相対回転規制構造24は2セットで設けられることとしたが、これに代えて、1セットのみで設けられてもよいし、3セット以上で設けられてもよい。
◆ また、摩擦付与ユニット10Aが設けられていなくてもよい。この構成によれば、プーリ構造体200の共振が発生しても、弾性体4に対する負荷を制限することができる。
◆ また、図8に示すように、2つの回転体1、2の相対回転角が、所定の値よりも大きくなった場合に限り、摩擦付与ユニット10が2つの回転体の相対回転運動に対して摩擦力を付与する構成としてもよい。即ち、環状バネ12Aに形成されるスリット21の周方向における長さαが、該スリット21に対して係合する突起部20cの周方向における長さβよりも大きく設定されてもよい。この場合、摩擦力が発揮される相対回転角は、相対回転規制構造24により規制される相対回転角変位rの範囲内に設定される。以上の構成によれば、2つの回転体の相対回転角が所定の値よりも大きくなったときに限り摩擦力が発揮され、摩擦が必要以上に行われることがなく、摩擦付与ユニット10Aの耐久性が向上すると共に、2つの回転体の相対回転角度が所定の値を超えないため、弾性体4のねじれ過ぎを防止し、弾性体4の耐久性を向上させることができる。
以上に本発明の好適な実施形態として、第一実施形態乃至第四実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
◆ 即ち、上記各実施形態においてプーリ構造体200は、オルタネータの駆動軸に同軸状に設けられるプーリとしての第二プーリ102に適用されるとしたが、これに代えて、出力軸に同軸状に設けられるプーリとしての第一プーリ101に対して適用されることとしてもよいし、第一プーリ101及び第二プーリ102の双方に対して適用されることとしてもよい。更に、それに代えて/加えて、エアコンプレッサー104の駆動軸に同軸状に設けられるプーリや、パワーステアリング105の油圧ポンプ用モータの駆動軸に同軸状に設けられるプーリ、ウォーターポンプ106の駆動軸に同軸状に設けられるプーリなど、その適用対象としてのプーリに特段の制限はない点を理解されよう。
自動車の補機駆動システムの構成概略図である。 本発明の第一実施形態に係るプーリ構造体の軸方向断面図である。 本発明の第二実施形態に係るプーリ構造体の軸方向断面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 本発明の第三実施形態に係るプーリ構造体の断面図であり、図4に類似する図である。 本発明の第四実施形態に係るプーリ構造体の断面図である。 (a)は第四実施形態に係るプーリ構造体の側面図、(b)は図6のVII−VII線断面図である。 本発明の第四実施形態に係るプーリ構造体の変形例を示す図である。
符号の説明
100 補機駆動システム
101 第一プーリ
102 第二プーリ
103 ベルト
200 プーリ構造体
1 第一回転体
2 第二回転体
4 弾性体(ゴム弾性体)
10、10A 摩擦付与ユニット
11、11A 摩擦部材
12 皿バネ
12A 環状バネ
21 スリット
20c 突起部
24 相対回転規制構造(相対回転規制手段)

Claims (14)

  1. ベルトが巻き掛けられる筒状の第一回転体と、
    この第一回転体の内周側に枢設される筒状の第二回転体と、
    前記第一回転体及び前記第二回転体の間に設置されるゴム弾性体と、
    を備えるプーリ構造体であって、
    前記第一回転体と前記第二回転体の間の相対回転運動に対して摩擦力を付与する摩擦付与手段が、前記ゴム弾性体と軸方向に関して並列しつつ、前記第一回転体及び前記第二回転体の間に介設されることを特徴とするプーリ構造体。
  2. 前記ゴム弾性体が、ゴム又はウレタンエラストマーからなることを特徴とする請求項1に記載のプーリ構造体。
  3. 前記ゴム弾性体のデュロ硬度が、40〜90であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプーリ構造体。
  4. 前記ゴム弾性体が、前記第一回転体の内周面及び前記第二回転体の外周面に固定されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプーリ構造体。
  5. 前記ゴム弾性体が、前記第一回転体及び前記第二回転体の間に、径方向に圧縮又は引張状態で介装されていることを特徴とする請求項4に記載のプーリ構造体。
  6. 前記第一回転体及び前記第二回転体の間に介装された状態における、前記ゴム弾性体の圧縮率又は引張率が、30%以下であることを特徴とする請求項5に記載のプーリ構造体。
  7. 前記摩擦付与手段が、環状の摩擦部材と、前記摩擦部材を軸方向へ付勢する第一付勢部材と、から構成されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプーリ構造体。
  8. 前記第一付勢部材が、皿バネであることを特徴とする請求項7に記載のプーリ構造体。
  9. 前記摩擦付与手段が、環状の摩擦部材と、前記摩擦部材を径方向へ付勢する第二付勢部材から構成されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプーリ構造体。
  10. 前記第二付勢部材が、孔又はスリットが形成された環状バネからなり、前記摩擦部材に接着されており、
    前記第二回転体又は前記第一回転体には、前記孔又はスリットに対して係合する突起部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載のプーリ構造体。
  11. 前記2つの回転体の相対回転角が所定の値よりも大きくなった場合に限り、前記摩擦付与手段が前記相対回転運動に対して摩擦力を付与することを特徴とする請求項10に記載のプーリ構造体。
  12. 前記孔又はスリットの周方向における長さは、前記突出部の周方向における長さよりも大きく設定されることを特徴とする請求項11に記載のプーリ構造体。
  13. 前記第一回転体と前記第二回転体の間の、所定の相対回転角度以上の、相対回転を規制する相対回転規制手段が設けられることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載のプーリ構造体。
  14. エンジンの出力軸と、
    この出力軸に設けられるプーリとしての第一プーリと、
    オルタネータの駆動軸と、
    この駆動軸に設けられるプーリとしての第二プーリと、
    前記第一プーリ及び前記第二プーリに対して巻き掛けられる共通のベルトと、
    を含んで構成される補機駆動システムにおいて、
    前記第一プーリ又は前記第二プーリのうち少なくとも一方が、請求項1〜13の何れかに記載のプーリ構造体が適用される、
    ことを特徴とする補機駆動システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014509370A (ja) * 2010-12-14 2014-04-17 ザ ゲイツ コーポレイション アイソレータ・デカプラ

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