JP2006177396A - 伝動ベルトの多軸駆動装置 - Google Patents

伝動ベルトの多軸駆動装置 Download PDF

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Shigeru Kawamoto
滋 河本
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Abstract

【課題】トルク変動による伝動ベルトの張力変動を減少させ、ベルト騒音の低減とオルタネータ等の補機部品の耐久性を向上させた伝動ベルトの多軸駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動軸11と、少なくとも従動軸の一つに大きな回転慣性を有する回転体を備え、これらの駆動軸と従動軸に装着した各プーリに伝動ベルトを巻き掛けた伝動ベルトの多軸駆動装置10である。駆動軸11に装着したプーリ構造体31が、コイルスプリング37を第1回転体32と第2回転体33との間に形成されるバネ収容室36に収容し、一端を第1回転体32に、他端を第2回転体33に固定している。第1回転体32及び第2回転体33が、コイルスプリング37に対して間隙なく嵌合するクランプ部41を有し、このクランプ部41の端部からコイルスプリングの反対側の端部に近づくにつれて、コイルスプリング37と収容溝32b,33bとの間隙42をゼロから漸増させている。
【選択図】図3

Description

本発明は伝動ベルトの多軸駆動装置であり、詳しくは多軸駆動装置においてエンジン等の回転変動に起因して発生するトルク変動による伝動ベルトの張力変動を減少させ、ベルト騒音の低減とオルタネータやクーラコンプレッサ等の補機部品の耐久性を向上させた伝動ベルトの多軸駆動装置に関する。
例えば自動車のクランクシャフトとオルタネータとを連結する回転伝達系では、回転方向の増速、減速が頻繁に繰り返されるような回転変動が生じる。そしてオルタネータは発電軸の慣性モーメントが大きいために、当該発電軸にプーリを取り付けてベルトを介してエンジン動力を伝達して駆動する構成では、ベルト速度が上昇又は低下する際に駆動プーリとベルトとの間で滑りが生じやすく、ベルト鳴きが誘発され易い。また、エンジンの回転変動が発電軸に伝えられると、オルタネータの耐久性を低下させ、発電効率に悪影響を与えるという問題がある。
そこで、前記回転伝達系に好適なプーリ、即ちクランクシャフトの回転変動を吸収するようなプーリとして、例えば相対回転可能な2つの回転体の間に弾性部材と粘性流体を備えたダンパー付きプーリ(特許文献1)や、前記2つの回転体の間に弾性部材のみを設けたプーリが挙げられる。
特許文献1は、弾性部材と特殊な粘性流体とを用いてクランクシャフトの回転変動を吸収するようなプーリ構造体の一例を示している。このプーリ構造体は、互いに相対回転可能な第1回転体と第2回転体との間に、ゴム製の弾性部材と、回転変動が生じる際に発生する剪断力の増大に伴い粘性が増大する性質を有する粘性流体と、から構成されている。 この構成により、例え弾性部材にその弾性限界以上の剪断応力が発生し得るトルクがプーリ構造体に作用しても、粘性流体の高粘度化によって第1回転体と第2回転体との相対角変位が抑制され、弾性部材が降伏あるいは破断により損傷することを防止しようとするものである。
他方、第1回転体と第2回転体との間に弾性部材のみを設けたプーリ構造体も一例として挙げられる。前記弾性部材はコイルスプリングであって、その端部は第1回転体および第2回転体に設けた円弧状の収容溝に嵌合固定されており、その終端は湾曲され各回転体に係止されている。前記収容溝内であって、前記コイルスプリングの端部が前記円弧状の収容溝による嵌合固定から解放される領域においては、コイルスプリングと円弧状の収容溝との間に一定の間隙が設けられている。
以上のように弾性部材のみを用いて回転変動を吸収しようとする構成においては、特許文献1に比べて大きな相対角変位を確保することができるので、プーリに巻架されたベルトの張力変動を減少させることできる。これにより、ベルト鳴きが抑制され、ベルトの耐久性が改善されるという効果を有する。
特開平8−240246号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、第1回転体と第2回転体との間に設けられる弾性部材として環状のゴムが採用されているため、一般的にその弾性限界内における弾性変形量、即ち2つの回転体間で許容される相対角変位が十分に確保されていない。
更に、特許文献1で示されているような弾性部材を備えたダンパ付きプーリをオルタネータの軸等に装着した駆動装置では、回転変動を伴うクランクシャフトとオルタネータとを結合すると、回転変動に伴う変動トルクがオルタネータに伝達されにくくなるが、一方、ベルトが張力変動により共振し易くなるので、新たな騒音が発生し、またベルトの耐久性に悪影響を及ぼすこととなる。
他方、弾性部材としてコイルスプリングを用い、ダンパを備えないプーリ構造体をオルタネータの軸等に装着した駆動装置は、特許文献1で示されるようなベルトの共振・それに伴う騒音およびベルトの耐久性悪化などの問題は発生しないものの、プーリとオルタネータの発電軸との相対角変位が大きくなり、以下の理由によりコイルスプリングが破損する場合がある。
即ち、前記コイルスプリングであって回転体へ嵌合固定されている領域と前記間隙が設
けられている領域との境界には明確なコーナー部(単なる段差)が形成されているので、
コイルスプリングが弾性変形するたびに、そのコーナー部の近傍において応力集中が発生
する。従って、クランクシャフトの回転変動毎に発生する局所的な繰り返し応力により、コイルスプリングの前記境界部が疲労破壊する恐れをこのプーリ構造体は有している。
従って、本発明は、コイルスプリングが疲労破壊することがないプーリ構造体を用い、またエンジン等の回転変動に起因して発生するトルク変動による伝動ベルトの張力変動を減少させ、ベルト騒音の低減とオルタネータやクーラコンプレッサ等の補機部品の耐久性を向上させた伝動ベルトの多軸駆動装置を提供する。
本願請求項1記載の発明では、駆動軸と、少なくとも従動軸の一つに大きな回転慣性を有する回転体を備え、これらの駆動軸と従動軸に装着した各プーリに伝動ベルトを巻き掛けた伝動ベルトの多軸駆動装置において、
上記駆動軸および大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸から選ばれた少なくとも1つの軸にプーリ構造体を装着し、
該プーリ構造体が、ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、
前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方が、前記コイルスプリングの端部側を収容する円弧状の収容溝と、前記コイルスプリングの湾曲させた終端を係止固定可能な係止部を備えており、前記収容溝が前記コイルスプリングに対して間隙なく嵌合するクランプ部を有するとともに、このクランプ部の端部から前記コイルスプリングの反対側の端部に近づくにつれて、前記コイルスプリングと前記収容溝との間隙をゼロから漸増させている構造からなる伝動ベルトの多軸駆動装置にある。
これにより、駆動軸および大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸から選ばれた少なくとも1つの軸にプーリ構造体を装着し、軸の回転変動を緩やかに吸収する手段として弾性部材としてコイルスプリングを用いることで、弾性部材にゴムなどを用いる場合よりも大きな相対角変位を許容・確保することができ、回転変動をより吸収し易い。それに伴い、ベルトの張力変動を抑制できるので、ベルトの共振を抑制することができ、ベルトにおける新たな騒音の発生が防止でき、更にはベルトの耐久性も向上する。
また、クランプ部の端部より、コイルスプリングとその収容溝との間隙を漸増させることにより、回転変動時のコイルスプリングに対する応力集中が防止でき、従って、クランプ部の端部におけるコイルスプリングの疲労破壊を防止することができる。
本願請求項2記載の発明では、駆動軸のみにプーリ構造体を装着する伝動ベルトの多軸駆動装置である。回転変動している駆動軸(クランク軸)から他の軸に回転を伝える場合には、この回転変動も伝わり駆動軸側の慣性力に応じた変動トルクが発生するが、本発明では駆動軸側の慣性力はベルトを巻付けた第1回転体の慣性モーメントのみとなるために、大きな回転変動があっても変動トルクの発生が小さくなり、この結果ベルトの変動張力が小さく、ベルト騒音の低減し、またベルト及びオルタネータ等の補機部品の耐久性が向上する。
本願請求項3記載の発明では、大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸であるオルタネータ軸とクーラコンプレッサ軸の少なくとも一方にプーリ構造体を装着した伝動ベルトの多軸駆動装置であり、オルタネータ軸やクーラコンプレッサ軸に大きな回転変動があっても変動トルクの発生が小さく、ベルトの変動張力が小さくなってベルト騒音が低減し、またベルト及びオルタネータ等の補機部品の耐久性が向上する。
本発明の伝動ベルトの多軸駆動装置では、プーリ構造体が大きな相対角変位を許容・確保して回転変動をより吸収し易くし、それに伴いベルトの張力変動を抑制できるので、ベルトの共振を抑制し、ベルトにおける新たな騒音の発生が防止でき、更にはベルト及びオルタネータ等の補機部品の耐久性を向上させることができる。また、クランプ部の端部より、コイルスプリングとその収容溝との間隙を漸増させることにより、回転変動時のコイルスプリングに対する応力集中が防止でき、従ってクランプ部の端部におけるコイルスプリングの疲労破壊を防止することができる。
図1は本発明に係る伝動ベルトの多軸駆動装置を示す概略図、図2は多軸駆動装置に使用する伝動ベルトの断面斜視図である。
図1における多軸駆動装置10では、エンジンのクランク軸からなる駆動軸11とし、そして一つの従動軸12に例えばウォーターポンプ13、他の従動軸14(オルタネータ軸)に大きな回転慣性を有する発電機15を、そして他の従動軸16(クーラコンプレッサ軸)にクーラコンプレッサ17を備え、これらの軸にそれぞれプーリ18、19、20、21を装着して、これらのプーリにVリブドベルト1を懸架し、アイドラープーリ22、そしてベルト張力を自動的に調節するオートテンショナー23をVリブドベルト1の背面に係合させている。
また、多軸駆動装置10では、オートテンショナー23を使用せず、これに代わって通常の固定式のテンションプーリを使用して装置を簡素化することもできる。この場合には、ベルト初張力を40〜150N/リブに設定する必要がある。ベルト初張力が40N/リブ未満になると、張力低下が大きくなってベルトの振れ(弦振動)、スリップが発生し、そしてこれらに起因した発音が生じやすくなる。一方、ベルト初張力が150N/リブを超えると、張力が高くなり、ベルトおよび補機のベアリングの寿命が短くなる。
ここで使用するVリブドベルト1は、カバー帆布3からなる伸張部2と、コードよりなる心線4を埋設した接着ゴム層5と、その下側に弾性体層である圧縮部6からなっている。この圧縮部6は、ベルト長手方向に延びる断面略三角形である台形の複数のリブ7を有している。
前記リブ7には、ゴムとしてエチレン−α−オレフィンエラストマー、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBRが使用される。
そのうち、エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)からなるゴムをいう。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげられる。
エチレン−α−オレフィンエラストマーの加硫剤としてパーオキサイドを添加する。また、共架橋剤(co−agent)としTIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架橋に用いるものである。
この中でもN,N’−m−フェニレンジマレイミドが好ましく、これを添加することによって架橋度を上げて粘着摩耗等を防止することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミドの添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して0.2〜10重量部であり、0.2重量部未満の場合には、架橋密度が小さくなり耐摩耗性、耐粘着摩耗性の改善効果が小さく、一方10重量部を越えると加硫ゴムの伸びの低下が著しく、耐屈曲性に問題が生じる。
更に、上記リブ7には、硫黄をエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して0.01〜1重量部添加することにより、加硫ゴムの伸びの低下を制御することができる。1重量部を越えると、架橋度が期待できる程に向上しないため、加硫ゴムの未耐摩耗性、耐粘着摩耗性も向上しなくなる。
また、リブ7には、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミドからなる短繊維を混入してリブ7の耐側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面になるリブ7の表面にダイヤモンドを電着したグラインダーホイールによって研磨加工して該短繊維を突出させる。リブ37の表面の摩擦係数は低下して、ベルト走行時の騒音を軽減する。
前記接着ゴム層5にもリブ7と同様のゴム組成物が使用される。しかし、心線と良好に接着するために、パーオキサイドを含まない硫黄加硫によるエチレン−α−オレフィンエラストマー組成物や、クロロスルフォン化ポリエチレン組成物もしくは水素化ニトリルゴム組成物を使用することもできる。
また、上記心線4としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、そしてポリトリメチレンテレフタレート主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚糸したコードを接着処理したものが使用される。このコードの上撚り数は5〜15/10cmであり、また下撚り数は15〜25/10cmである。
ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の撚糸コードは、トータル繊度が1,000〜6,000デニールtexであり、ポリブチレンテレフタレート繊維の撚糸コードは、トータル繊度が4,000〜12,000デニールtexになっている。 総デニールが下限値未満の場合には、ベルトのモジュラス、強力が小さくなり過ぎ、また上限値を越えると、逆にベルトのモジュラスが大きくなってベルトの固有振動数とエンジンの共振回転速度が増加するため、エンジンの厳しい回転速度でベルトの共振が発生する。
クランク軸からなる駆動軸11に装着するプーリ18として、図3に示すプーリ構造体31を使用する。このプーリ構造体31は、その外周に前記ベルト1を巻き掛けることが可能なプーリ体32aを有する第1回転体32を備えている。この第1回転体32は略円筒状に形成されている。
第1回転体32の軸方向一端側の内周には軸受34が、軸方向他端側の内周には軸受35が配置されている。この軸受34および軸受35により、第2回転体33が第1回転体32に対して相対回転自在に支持されており、第2回転体33は第1回転体32の内部に収納されている。
第2回転体33の外周には、軸受34および軸受35が外れないように固定するための止め部材51,52がそれぞれ嵌装されている。第2回転体33の軸孔33aには駆動軸11を固定できるようになっている。
ここで、本実施例では、軸受34および軸受35としてボールベアリングを採用している。しかしこれに限らず、ドライメタルなどを採用することで構成を簡素化しても良い。
第1回転体32と軸受34と第2回転体33と軸受35とによりバネ収容室36が形成されている。一方、第1回転体32の軸方向一端側の内壁には円弧状の第1収容溝32bが形成されており、他方バネ収容室36内であって、第2回転体33の外周面上に前記第1収容溝32bと軸方向で対応する位置に円弧状の第2収容溝33bが突設されている。
第1収容溝32bと第2収容溝33bとの間には、その断面が矩形状のコイルスプリング37が介在されている。
コイルスプリング37は、プーリ構造体31の回転軸線とこの軸線を一致させるようにバネ収容室36の内部に配置されると共に、一端を第1収容溝32bの内壁に、他端を第2収容溝33bの内壁に圧入して嵌合固定され、且つコイルスプリング37の湾曲した終端37bでもって係止部32cに係止固定されている。この結果、第1回転体32と第2回転体33とは、コイルスプリング37を介して弾性的に連結される。
第1収容溝32bは、コイルスプリング37のバネ線の三方を囲むように、且つバネ収容室36側を開放させるように形成されている。同様に、第2収容溝33bも、コイルスプリング37のバネ線の三方を囲むように且つバネ収容室36側を開放させるように形成されている。そしてコイルスプリング37の両端付近は、第1収容溝32bおよび第2収容溝33bに収容されている。
ここで、前記収容溝32b,33bのクランプ部41は、コイルスプリング37の断面よりも小に凹設されている。そしてコイルスプリング37の被クランプ部37aを前記クランプ部41へ圧入し嵌合することで、双方を強固に固定している。
コイルスプリング37の前記収容溝32b,33bへ嵌合固定されている部分、すなわち被クランプ部37aでは、コイルスプリング37と前記収容溝32b,33bとの間に間隙42がなく、従ってプーリ構造体31の作動時においても双方が互いに摩擦し合うことはない。これにより、コイルスプリング37の被クランプ部37aにおける磨耗を防止している。
無論、前記収容溝32b,33bの形状を円弧ではなく部分的に蛇行させ、またこれに収容される被クランプ部37aも部分的に圧肉にすることによって、被クランプ部37aをクランプ部41へ強く圧入し嵌合して双方を強固に固定することができる。
また、図3に見られるように、第2収容溝33bの外周側壁面は薄く形成されている。このように、収容溝の壁面を肉薄とすることで、コイルスプリング37の被クランプ部37aを圧入・嵌着し易いようになっている。更にはこれによって、プーリ構造体31の作動時に、コイルスプリング37が被クランプ部37aにおいても弾性変形できるので、応力集中を招くような不均一な変形を抑制することができる。
同様の理由で、第2収容溝33bの外周側壁面のみならず、内周側壁面が薄肉であっても良いし、若しくはその双方の壁面が薄肉であっても良い。
図4に示すように、前記クランプ部41の端部から、コイルスプリング37の反対側の端部に近づくにつれて、コイルスプリング37と前記収容溝32b,33bとの間隙42がゼロから漸増するように前記収容溝32b,33bが形成されている。これにより、プーリ構造体31の作動時でコイルスプリング37が繰り返し弾性変形した際に、前記クランプ部41の端部において応力集中が発生するのを防止している。
好ましくは、クランプ部41の端部からコイルスプリング37の反対側の端部へ、プーリ構造体31の中心を軸として5度だけ近づいた地点での前記収容溝32b,33bとコイルスプリング37との間隙42が、0.02〜0.1mmであると良い。これにより、より確実にクランプ部41の端部において応力集中を防止することができる。
図4に示すように、コイルスプリング37の終端37bは、プーリ構造体31の中心軸から離れる方向へ大きく湾曲している。係止部32cは、終端37bが引っ掛けられ、もってコイルスプリング37の端部を確実に係止できるように形成されている。
本実施形態のプーリ構造体31は以上説明したとおり、第1回転体32と第2回転体33とを弾性的に連結する弾性体として、コイルスプリング37が採用されている。即ち、第1回転体32と第2回転体33との間に筒状のバネ収容室36を設け、このバネ収容室36内にコイルスプリング37を設置して、一端を第1収容溝32bに、他端を第2収容溝33bにそれぞれ固定している。ここでコイルスプリング37は、バネ線を螺旋状に巻くという構造上の理由で、その許容できる相対角変位を環状のゴムなどに比べて大とすることができる。従って、第1回転体32と第2回転体33との間で許容できる相対角変位を大きくでき、回転変動を効率よく吸収することができる。また、それに伴い、ベルトの張力変動を抑制できるので、ベルトの共振を抑制することができ、これによりベルトにおける新たな騒音の発生が防止でき、さらにベルトの耐久性も向上する。
また、例えば図3示す肉抜部32dのように、第1回転体32は積極的に軽量化されていることが好ましい。これにより、第1回転体32の回転慣性モーメントを低減することができるので、プーリ体32aのある点における速度をベルトの速度に維持するために必要とするベルトの張力を緩和することができる。したがって、プーリ体32aとベルトとの間の静止摩擦力を上回る力の発生を抑制できるので、ベルトが磨耗することがなく、寿命を延長することができる。
さらに、第1回転体32の素材として、例えばアルミニウムなどの軽合金を採用することが好ましい。これにより、第1回転体32の回転慣性モーメントをさらに低減することができるので、前述の肉抜きによる軽量化による効果と同様に、ベルトの寿命を延長することができる、という効果を奏する。
また、クランプ部41の端部より、コイルスプリング37と前記収容溝との間隙42を漸増させることにより、回転変動時のコイルスプリング37に対する応力集中を防止することができ、従って、クランプ部41の端部におけるコイルスプリング37の疲労破壊を防止することができる。
さらに粘性流体などのダンパー部材を用いないため、構造が単純で部品点数を削減することができるが、ダンパー部材を設けても良い。
また本実施例では、コイルスプリングの断面が矩形状の角コイルスプリングが採用されている。これにより、断面が円形であるコイルスプリングと当該角コイルスプリングとを比較して以下のような効果が得られる。即ち、同じ相対角変位・同じ巻き数・同じばね定数であっては後者のコイルスプリングに発生する最大引張(圧縮)応力を約70%となるよう低減することができ、一方同じ相対角変位において発生する最大引張(圧縮)応力が同じであり且つ同じばね定数であっては後者の必要巻き数が70%となる効果を奏する。 以上の理由から角コイルスプリングを採用することが好ましいが、コイルスプリングの断面形状は円形であっても良い。
また本実施例では、第1収容溝32bおよび第2収容溝33bにコイルスプリング37の端部がそれぞれ収容されている。このようにコイルスプリング37の端部を第1収容溝32bおよび第2収容溝33bに収容させて設けることで、コイルスプリング37を傾いたりすることなく確実にまっすぐ安定させて設置できる。即ち、コイルスプリング37が傾いて設置されていると、プーリ構造体31に加わる回転変動によってコイルスプリング37の一部分に過大な力が加わり易くなり、コイルスプリング37が破損し易くなってしまう。この点、本実施形態ではコイルスプリング7の取付け向きが斜めになることを第1収容溝32bおよび第2収容溝33bによって確実に回避できるから、プーリ構造体31に加わる回転変動をバネ線全体で均等に受け止めることができ、コイルスプリング37の寿命を延ばすことができる。
本実施例では駆動軸11に装着したプーリ1としてプーリ構造体31を設けた場合を説明したが、それに限らず、発電機15を備えた従動軸(発電軸)14のプーリ20とクーラコンプレッサ17を備えた従動軸(コンプレッサ軸)16のプーリ21、もしくはどちらか一方のプーリに上記プーリ構造体31を設置してもよい。この場合、発電軸やコンプレッサ軸の回転が第2回転体33からコイルスプリング37を介して第1回転体32へ伝達され、第1回転体32からベルト1を介して動力が出力されることになる。
本発明に係る伝動ベルトの多軸駆動装置は、自動車用エンジンなどの多軸駆動装置に広く使用することができる。
本発明に係る伝動ベルトの多軸駆動装置の概略図である。 本発明に使用する伝動ベルトの断面斜視図である。 本発明に使用するプーリ構造体の断面図である。 図3のA−A断面図であって、コイルスプリングと収容溝との間隙の漸近状態を示す図である。
符号の説明
1 Vリブドベルト
10 多軸駆動装置
11 駆動軸
12 従動軸
13 ウォーターポンプ
14 従動軸
15 発電機
17 クーラコンプレッサ
31 プーリ構造体
32 第1回転体
32b 第1収容溝
33 第2回転体
33b 第2収容溝
36 バネ収容室
37 コイルスプリング
41 クランプ部
42 間隙

Claims (3)

  1. 駆動軸と、少なくとも従動軸の一つに大きな回転慣性を有する回転体を備え、これらの駆動軸と従動軸に取付けた各プーリに伝動ベルトを装着した伝動ベルトの多軸駆動装置において、
    上記駆動軸および大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸から選ばれた少なくとも1つの軸に装着したプーリ構造体が、
    ベルトを巻回可能にする第1回転体と、前記第1回転体の内側で当該第1回転体に対し相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に形成されるバネ収容室と、前記バネ収容室に収容されるとともに、一端を前記第1回転体に固定し、他端を前記第2回転体に固定したコイルスプリングからなり、
    前記第1回転体及び前記第2回転体のうち少なくとも何れか一方が、前記コイルスプリングの端部側を収容する円弧状の収容溝と、前記コイルスプリングの湾曲させた終端を係止固定可能な係止部を備えており、前記収容溝が前記コイルスプリングに対して間隙なく嵌合するクランプ部を有するとともに、このクランプ部の端部から前記コイルスプリングの反対側の端部に近づくにつれて、前記コイルスプリングと前記収容溝との間隙をゼロから漸増させている構造からなることを特徴とする伝動ベルトの多軸駆動装置。
  2. 駆動軸のみにプーリ構造体を装着する請求項1記載の伝動ベルトの多軸駆動装置。
  3. 大きな回転慣性を有する回転体を備えた従動軸であるオルタネータ軸とクーラコンプレッサ軸の少なくとも一方にプーリ構造体を装着する請求項1記載の伝動ベルトの多軸駆動装置。
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