JP2008018576A - 印刷基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子回路又は光学部材の印刷に用いる版厚精度が高く、耐溶剤性の高い印刷基材を短時間に製造する方法の提供。
【解決手段】(a)円筒状支持体表面に樹脂硬化物層を形成する工程、(b)得られた樹脂硬化物層の表面を調整する工程、(c)形成された樹脂硬化物層表面の少なくとも1箇所に凹パターンを形成する工程を含み、前記工程(c)の凹パターンを形成する方法が、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法であることを特徴とする印刷基材の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は電子部材又は光学部材の製造等で用いられる印刷基材の製造方法に関する。更に詳しくは電子部材形成用の電子材料又は光学部材形成用の光学材料を被印刷基材上に塗布するために使用される印刷基材の製造方法、それによって得られる印刷基材、該印刷基材を用いた電子部材又は光学部材の製造方法、該印刷基材の再生方法に関する。
半導体素子の絶縁膜や液晶表示パネルなどで、パターンを高精度に形成する技術としてはスピンコート法による材料の塗布とフォトリソグラフィーを組み合わせる方法が一般的であるが、パターン形成を大面積で行おうとすると、フォトリソグラフィーでは製造コストが高くなるという大きな問題がある。一方、パターン形成技術としてスクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法などの印刷技術を転用してパターンを高精度に大面積で形成する方法が考えられている。これらの印刷法は多数のパターンを基板上に形成するのに適し、材料の使用量削減やコスト的にもフォトリソグラフィーより有利である。
また、近年、インクジェット印刷法が、この分野へ適用され開発が進んできている。しかしながら、現状の課題として、インクジェットノズルの目詰まり、微細パターン化、印刷スピードなどを挙げることができる。
印刷スピードの観点から、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法が適用され、検討されている。その中でも、特にフレキソ印刷は、樹脂凸版を用いる方法であり、インキは凸部表面に転写され、被印刷体表面には凸部が接触するため、被印刷部位には汚れが発生しないという大きな特長を有する方法である。
フレキソ印刷法は段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられている。フレキソ印刷で使用される印刷版の作製には,通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、又はシート状に成形された固体樹脂版を用い、ネガフィルムを感光性樹脂上に置き、ネガフィルムを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすというフォトリソグラフィーを用いる方法が用いられてきた。フォトリソグラフィーを用いてパターンを形成する感光性樹脂版では、露光工程での硬化収縮や現像工程での未硬化成分の現像液中への抽出により、光硬化したパターンの中央部の厚さが薄くなるカッピングによる版の厚みむらが発生することや、版外周部が反る版反りの問題があった。厚み精度の低い印刷版を用いた場合には、印刷で得られるパターンの膜厚が不均一になり、得られる電子部品又は光学部材の性能においても不均一となってしまう。したがって、感光性樹脂版を用いる系では、得られる印刷版の厚み精度を確保することが大きな課題であった。
電子部材又は光学部材の製造において、印刷法が適用されている具体的な例として、感光性樹脂凸版を使用して、ガラス基板の表面にポリイミド樹脂よりなる配向膜を印刷する方法を挙げることができる。感光性樹脂凸版は、2枚のガラス板の間にネガフィルム、カバーフフィルム、液状感光性樹脂、ベースフィルムを挟み、ネガフィルムを通して光を照射し、架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすという方法が用いられてきた。このような方法で作製された感光性樹脂凸版は、凸部の厚み均一さが充分ではなく、凸部の周辺部の厚みが中央部よりも厚い、フォトリソグラフィー(写真製版技術)での光硬化収縮によるカッピング現象を有している。また、ガラス上に液状感光性樹脂を塗布し、光硬化させる方法では、ガラスのたわみや熱膨張等により大きな寸法の感光性樹脂凸版を形成することが難しかった。
例えば、特許文献1には、感光性樹脂凸版本体とベースフィルム層よりなる積層物の裏面(ベースフィルム層の裏面)に、全体に亙ってほぼ均一な厚みを有する感圧型接着剤層によって、表面が平坦な金属板又は合成樹脂板を、接着積層し貼合することにより、感光性樹脂凸版本体のカッピング現象を低減させる方法が記載されているが、プロセスが複雑であり、貼り合わせ時に気泡を巻き込み印刷版の厚み精度が低下する課題がある。また、特許文献2、特許文献3では、フォトリソグラフィーを用いて形成される感光性樹脂凸版の表面に微小なパターンを作製し、液晶配向膜の塗布に使用している。表面に形成される微小なパターンの作製工程では、露光マスク上に極めて小さなゴミや異物が存在していても、欠陥となって現れるため、非常に高いクリーンな環境での露光が必須であり、その環境維持に必要な設備も大掛かりなものであり、しかも極めて高価である。ゴミや異物によって形成される欠陥は、その後の印刷工程において、印刷不良として再現される大きな問題であった。また、製造される感光性樹脂凸版の製造収率も決して高いものではなかった。したがって、このような微細なパターンを表面に有する感光性樹脂凸版を形成することは大掛かりな高価な装置の設備投資が必須であり、不良品として廃棄される感光性樹脂凸版の量も多大なものであった。また、一度、印刷で使用され、表面のパターンが磨り減ったり欠損したりした感光性樹脂凸版を再度利用することは不可能であり、廃棄物として処理される他なかった。
また、電子部材や光学部材の導体、半導体、絶縁体を形成するために用いられる電子材料又は光学材料中の溶剤成分は、印刷基材を膨潤させたり、印刷基材中の構成成分が抽出され物性が大きく変化するなどの問題があり、耐溶剤性の確保は大きな課題であった。フォトリソグラフィーを用いた感光性樹脂版では、微細パターンの形成機能が特に重要である。そのため、現像工程において用いる現像液への未硬化樹脂の溶解又は分散特性が良好であることが重要な要件あり、感光性樹脂組成物の設計において選択できる材料にも制限があった。そのため、電子材料又は光学材料中の多種多様な溶剤成分に対する耐溶剤特性に関しては決して充分であるとは言えない状況である。
また、近年ではレーザー彫刻法により樹脂表面に凹パターンを形成する方法が進歩しているが、凹パターンの深さが深い程、加工に多大な時間を要することが課題となっている。また、樹脂をレーザー光で溶融除去又は分解除去して凹パターンを形成する際に、粘着性の高い液状カスが多量に発生し、発生した液状カスの付着により印刷基材表面が汚染されたり表面の性状が変化したりする問題もあった。
いずれの従来技術においても、電子材料又は光学材料を塗布して電子部材又は光学部材を製造するための、耐溶剤性が高く、版厚精度の高い印刷基材を、短時間に、しかも簡便に形成できる方法は知られていなかった。
日本国特許3496086号公報 日本国特許3315063号公報 日本国特許3376908号公報
本発明は、電子材料又は光学材料の印刷に好適に用いられる版厚精度が高い印刷基材の製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、電子材料又は光学材料の印刷に好適に用いられる版厚精度が高く、耐溶剤性の高い印刷基材を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、電子材料又は光学材料層が均一に設けられた電子材料部材又は光学材料部材の製造方法を提供すること、使用された印刷基材を簡便に再生する方法を提供することを別の目的とする。
本発明者らは、円筒状に形成した樹脂硬化物に凹パターンを形成することが版厚精度の高い印刷基材を得るために有効であることに着目して検討を進めた結果、凹パターン形成に先立ち、樹脂硬化物層の表面を調整すること、凹パターン形成を切削、研削、研磨等により行うこと、更には、感光性樹脂組成物を円筒状に塗布することにより、版厚精度の高い印刷基材が得られることを見出した。
すなわち、 本発明は下記の通りである。
1.(a)円筒状支持体表面に樹脂硬化物層を形成する工程、(b)得られた樹脂硬化物層の表面を調整する工程、(c)形成された樹脂硬化物層表面の少なくとも1箇所に凹パターンを形成する工程を含み、前記工程(c)の凹パターンを形成する方法が、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法であることを特徴とする印刷基材の製造方法。
2.工程(c)が、該円筒状支持体を円周方向へ回転させながら凹パターンを形成する工程および/または該円筒状支持体を固定して該円筒状支持体の長軸方向へ凹パターンを形成する工程を含む、上記1.記載の印刷基材の製造方法。
3.工程(b)の表面調整により、樹脂硬化物層の厚み精度を30μm以下とする、上記1.又は2.に記載の印刷基材の製造方法。
4.工程(a)が(d)シート状支持体を円筒状支持体表面に巻きつける工程、(e)円筒状支持体表面に巻きつけられたシート状支持体上に樹脂組成物を塗布し樹脂組成物層を形成する工程、(f)形成された樹脂組成物層を硬化させ樹脂硬化物層を形成する工程を含むこと、かつ工程(c)の後に、(g)樹脂硬化物層を前記円筒状支持体の長軸方向に切断することによりシート状に加工する工程を含む、上記1.〜3.のいずれかに記載の印刷基材の製造方法。
5.工程(e)の樹脂組成物が感光性樹脂組成物であること、前記工程(f)の硬化が該感光性樹脂組成物に高エネルギー線を照射することによる硬化である上記4.に記載の印刷基材の製造方法。
6.感光性樹脂組成物が20℃において液状であって、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、脂肪族炭化水素骨格から選択される少なくとも1種類の分子骨格を有し、かつウレタン結合、アミド結合、イミド結合から選択される少なくとも1種類の結合を有する化合物を含有することを特徴とする上記5.に記載の印刷基材の製造方法。
7.表面を調整する方法が、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法であって、前記調整が円筒状支持体を円周方向に回転させながら行われることを特徴とする上記1.〜6.いずれかに記載の印刷基材の製造方法。
8.シート状支持体上に樹脂組成物を塗布する方法が、ドクターブレード塗布法、ダイ押し出し法、スプレー塗布法、グラビアコート法、ロールコート法から選択される少なくとも1種類の方法であることを特徴とする上記4.〜7.のいずれかに記載の印刷基材の製造方法。
9.上記1.〜8.のいずれかに記載の方法を用いて作製された印刷基材。
10.液状の電子材料又は光学材料を塗布するために使用されることを特徴とする上記9.に記載の印刷基材。
11.上記9.に記載の印刷基材を、印刷機の円筒状印刷胴に取りつける工程、液状の電子材料又は光学材料を該印刷基材表面に付着させ、被印刷基材上に転写させる工程、前記電子材料又は光学材料を前記被印刷基材上に固定化する工程を含むことを特徴とする電子部材又は光学部材を製造する方法。
12.電子材料又は光学材料が、芳香族炭化水素化合物、含窒素炭化水素化合物、エステル化合物、アミド化合物、グリコールモノエーテル化合物、含ハロゲン炭化水素化合物から選択される少なくとも1種類の化合物を溶剤成分全重量の20wt%以上含有することを特徴とする上記11.に記載の電子部材又は光学部材を製造する方法。
13.被印刷基材が、ガラス板、セラミックス板、フィルム、金属板、紙から選択される少なくとも1種類の基材であることを特徴とする上記11.又は12.に記載の電子部材又は光学部材を製造する方法。
14.印刷工程において使用された上記9.に記載の印刷基材を円筒状支持体上に装着した後、該円筒状支持体を円周方向に回転させながら、該印刷基材の表面を再度調整することを特徴とする印刷基材の再生方法。
本発明によれば、版厚精度が高く、耐溶剤性の高い印刷基材を短時間に製造できる。更に、本発明によれば、使用済みの印刷基材を再生しながら印刷基材を製造することも可能である。
以下、さらに詳細に本発明の好ましい実施態様を説明する。
[印刷基材の製造方法]
本発明の印刷基材は、(a)円筒状支持体表面に樹脂硬化物層を形成する工程、(b)得られた樹脂硬化物層の表面を調整する工程、(c)調整された樹脂硬化物層表面に凹パターンを形成する工程を経て製造される。
円筒状支持体上に樹脂硬化物層を形成する工程(a)では、円筒状支持体上に未硬化状態の樹脂組成物を塗布し、その後、硬化させる方法、又は別途形成されたシート状樹脂硬化物層を円筒状支持体上に巻きつける方法などを採用することができる。用いられる円筒状支持体としては、金属製シリンダー、ゴム製ロール、繊維強化プラスチック製スリーブなどを挙げることができる。
版厚精度を一層向上する点からは、工程(a)において、樹脂組成物を円筒状に塗布した後、硬化することが好ましい。例えば、シート状支持体を用いる場合には、上記(a)工程が、(d)シート状支持体を円筒状支持体表面に巻きつける工程、(e)円筒状支持体表面に巻きつけられたシート状支持体上に樹脂組成物を塗布し樹脂組成物層を形成する工程、(f)形成された樹脂組成物層を硬化させ樹脂硬化物層を形成する工程を含むことが好ましい。円筒状の樹脂硬化物層を形成する工程を経て、その後シート状の樹脂硬化物層に加工することにより、厚み精度が極めて高く、更に、均一な表面粗さを有する印刷基材を得ることが可能となる。
樹脂組成物を塗布する方法は、ドクターブレード塗布法、ダイ押し出し法、スプレー塗布法、グラビアコート法、ロールコート法から選択される少なくとも1種類の方法であることが好ましい。
シート状支持体を用いる場合、円筒状支持体は、シート状支持体の少なくとも1方の端部を保持する機構を有するか、円筒状支持体表面の少なくとも一部分にシート状支持体を固定するための接着剤層が形成されていることが好ましい。シート状支持体の少なくとも1方の端部を保持するための機構として、オフセット印刷機においてシート状ブランケットをブランケット胴にクランプするクランプ機構、シート状印刷版を版胴にクランプするクランプ機構を具体的な例として挙げることができる。これらのクランプ機構については、印刷学会出版部発行の「新・印刷機械入門」(2001年10月31日発行、69ページから72ページ)に詳細の記載がある。また、シート状支持体を固定するための接着剤層は、円筒状支持体表面全面に形成されていても構わないが、シート状支持体を貼り付ける場合に空気を巻き込んだりする可能性があるので、円筒状支持体の長軸方向へ帯状に接着剤層が形成されていることがより好ましい。接着剤層表面の粘着性は、特に限定しないが、少なくとも円筒状支持体を円周方向に回転させた場合に、シート状支持体が剥がれ落ちない程度の粘着性は必要である。
シート状支持体を用いる場合、本発明の製造方法は、g)樹脂硬化物層を前記円筒状支持体の長軸方向に切断することによりシート状に加工する工程を含むことが好ましい。工程(g)において樹脂硬化物層を切断する方法としては、刃物の刃を円筒状支持体の長軸方向に移動させて切断する方法、赤外線レーザー等のレーザー光を円筒状支持体の長軸方向に移動させて切断する方法等を挙げることができる。
樹脂硬化物層の表面を調整する工程(b)として、樹脂硬化物層の厚みを均一にする工程、樹脂硬化物層の表面の粗度を均一にする工程を挙げることができる。樹脂硬化物層の表面を調整する方法として、切削、研削、研磨方法を挙げることができる。これらの方法は、組み合わせて使用することができる。表面を調整する工程では、円筒状支持体を円周方向へ回転させながら切削、研削、研磨することが好ましい。これらの方法では、通常使用されるバイト、フライス刃、セラミックス製のグラインディングホイールやグラインディングロール、サンドペーパー等の研磨布や研磨紙を冶具として使用することが好ましい。
切削、研削、研磨する際に使用する冶具の材質は、加工する樹脂硬化物の種類や表面の仕上げ粗さにより変えることができる。また、切削、研削、研磨等の加工を、乾式で行うことは可能であるが、仕上がり状態や加工速度の観点から湿式で行うことが好ましい。湿式で行う場合、処理液の取り扱い性や後処理の容易性等を考慮すると水系の処理液を使用することがより好ましい。研削、研磨工程で使用されるグラインディングホイールやグラインディングロール、サンドペーパー等の研磨布や研磨紙の目の粗さは各種のものが入手することが可能である。セラミックスやダイヤモンド粒子を表面に付着させたものでは、粒子径により表面の仕上がり粗さをコントロールすることができる。特に研磨工程では、円筒状支持体を円周方向に回転させながら研磨紙を表面に接触させ円周方向に研磨すると同時に、研磨紙が左右に振動する機構を併用することにより円筒状支持体の長軸方向への研磨も行うことができる装置を入手することもできる。また、研磨紙をロールツーロール方式で徐々に送りながら研磨される表面と、新しい研磨紙が接触するようにすることもできる。研磨方法として、ブラスト加工を用いても構わない。ブラスト加工では、セラミックス、金属等の微粒子を被処理表面に高速で吹き付ける方法を挙げることができる。更に、微粒子を含んだ液状処理液を吹き付けるウエットブラス法を用いても構わない。また、切削方法では、高圧水をビーム状にして被処理表面に吹き付ける方法等を実施することもできる。
切削、研削、研磨工程では、カスが発生するのでこれを除去することが好ましい。湿式法で実施した場合には、カスの除去は比較的容易である。また、表面に残存する粘着性のカスについては、使用する樹脂組成を分散又は溶解し易い洗浄液を用いることもできる。洗浄液としては、水系の界面活性剤を含む処理液が好ましい。好ましい界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
上記工程(b)の表面調整後の樹脂硬化物層の厚み精度は、30μm以下であることが好ましい。より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。30μm以下である場合にはより高精度の印刷が可能となり、更に低印圧での印圧も可能となるため好ましい。本発明の厚み精度において、厚み精度が30μmとは、厚み測定の平均値に対し±15μmということである。硬度の低い樹脂硬化物層の表面を調整する際には、樹脂硬化物層表面を冷却するか、円筒状支持体を冷却することが好ましい。硬度の低い樹脂硬化物の目安として、ショアA硬度で、10度以上50度以下の範囲を挙げることができる。
本発明の製造方法では、上記工程(b)の後、形成された樹脂硬化物層表面の少なくとも1箇所に凹パターンを形成する工程(c)を含む。ここで、表面に形成される凹パターンとは、配列するパターン間に存在する溝状のパターンであり、図2に示すように印刷基材の縁部に存在する厚みの薄い部分は含まないこととする。凹パターンの幅は、極めて短時間に凹パターンを形成することが可能となる点から、印刷基材表面において、0.05mm以上50mm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は、0.1mm以上20mm以下、更に好ましくは0.2mm以上10mm以下である。凹パターンの断面形状は、逆三角形、逆台形、四角形、多角形、半円形、半楕円形のいずれであっても構わない。パターンの深さは特に制限はないが、電子材料又は光学材料を塗布する際に、印刷基材の凸となっているパターン表面のみが被印刷基材に接触する点から、0.05mm以上20mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上10mm以下、更に好ましくは0.2mm以上5mm以下である。凹パターンの深さは、印刷基材の場所によって異なっていても構わない。印刷基材表面の凸部のパターンとしては、規則的に配列したパターンであることが好ましい。形成される凹パターンは、直線状のパターンであることが好ましい。形成された凹パターンは、複数本が交差していても構わない。
本発明では、工程(c)の凹パターン形成は、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法による。これらの方法によることで、レーザー彫刻等に比べて加工速度が格段に向上する。上記方法の中でも、特に、バイト、フライス刃等を用いた切削方法、円筒状のグラインディングホイールを用いた研削方法が、加工速度の観点から好ましい。更に、これらの加工は、コンピュータにより位置制御されて実施されることが好ましい。凹パターンの形成は、一度の切削、研削、研磨操作で作製しても、複数回に分けて少しずつ深さを増して形成しても構わない。
本発明の製造方法では、平板に凹パターンを形成する方法に比較して、形成される凹パターンの深さ精度を確保できる観点から、工程(c)において、円筒状支持体を円周方向へ回転させながら凹パターンを形成する工程および/または円筒状支持体を固定して該円筒状支持体の長軸方向へ凹パターンを形成する工程を更に含むことが好ましい。
本発明で用いる樹脂硬化物としては、感光性樹脂組成物に高エネルギー線を照射して硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂を熱硬化させて得られる樹脂硬化物、ゴム系材料を加硫して得られる硬化ゴム材料等を挙げることができる。硬化速度の観点から、感光性樹脂組成物が特に好ましい。感光性樹脂組成物を硬化させるのに用いる高エネルギー線として、紫外線領域や可視光線領域に発光波長を有する光、電子線、X線、分子線等を挙げることができる。
本発明で用いる樹脂組成物として特に好ましい感光性樹脂組成物について以下に記載する。
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、数平均分子量が1000以上50万以下の樹脂(α)、数平均分子量1000未満の重合性反応基を有する有機化合物(β)を含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物は20℃において液状であっても固体状であっても構わないが、成形性の容易さから20℃において液状であることが特に好ましい。
樹脂(α)は、20℃において液状であっても固体状であっても構わないが、成型加工性の観点から20℃で液状樹脂であることが好ましい。ここで言う液状樹脂とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対応する言葉である。樹脂(α)が20℃において液状樹脂である場合には、感光性樹脂組成物も20℃において液状となり、シート状、もしくは円筒状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を得ることができる。液状感光性樹脂を用いる場合、感光性樹脂組成物の粘度は、好ましくは、20℃において10Pa・s以上10kPa・s以下である。さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。粘度が10Pa・s以上であれば、作製される印刷基材の機械的強度が十分であり、円筒状に成形する際であっても形状を保持し易く、加工し易い。粘度が10kPa・s以下であれば、高温にしなくとも変形し易く、加工が容易である。シート状又は円筒状の印刷基材に成形し易く、プロセスも簡便である。特に厚み精度の高い印刷基材を得るためには、該感光性樹脂組成物が重力により液ダレ等の現象を起こさないように粘度を100Pa・s以上、より好ましくは200Pa・s以上、更に好ましくは500Pa・s以上の比較的粘度の高い感光性樹脂組成物であることが望ましい。
樹脂(α)の数平均分子量は、1000以上50万以下、より好ましくは5000以20万以下、更に好ましくは1万以上10万以下である。樹脂(α)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して作製する原版が強度を保ち、印刷基材として用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。また、樹脂(α)の数平均分子量の上限は、50万以下が好ましい。50万以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度が過度に上昇することもなく、シート状、又は円筒状に成形する際に加熱押し出し等の複雑な加工方法は必要ない。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
樹脂(α)は、分子内に重合性不飽和基を有していても構わない。特に好ましいものとして1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーを挙げることができる。1分子あたり平均で0.7以上であれば、感光性樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度に優れ、レーザー彫刻時にレリーフ形状が崩れ難くなる。さらにその耐久性も良好で、繰り返しの使用にも耐えられるのものとなり好ましい。印刷原版の機械強度を考慮すると、樹脂(α)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。樹脂(A)の重合性不飽和基の存在比率については、高分解能核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて定量化することができる。ここで言う分子内とは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。本発明の重合性不飽和基とは、ラジカルまたは付加重合反応に関与する重合性不飽和基と定義する。ラジカル重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、ビニル基、アセチレン基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。付加重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等が挙げられる。
樹脂(α)分子内に重合性不飽和基を導入する方法としては、例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
特にガラス、セラミックス等の硬い被印刷基材上に材料を塗布する場合には、樹脂(α)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を用いることが好ましい。このような液状樹脂として、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類、アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類、(メタ)アクリル酸及び/またはその誘導体の重合体及びこれらの混合物やコポリマー類があげられる。その含有量は、樹脂(α)全体に対して30wt%以上含有することが好ましい。特に電子材料又は光学材料に含有される溶剤に対する耐性の観点から、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、脂肪族炭化水素骨格から選択される少なくとも1種類の分子骨格を有し、かつウレタン結合、アミド結合、イミド結合から選択される少なくとも1種類の結合を有する化合物を含有することが好ましい。
有機化合物(β)は、数平均分子量が1000未満、分子内に重合性反応基を有する化合物であることが好ましい。重合性反応基は、ラジカル重合反応、付加重合反応、開環付加重合反応に寄与する官能基である。ラジカル重合反応に関与する重合性反応基の好ましい例としては、ビニル基、アセチレン基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。付加重合反応に関与する重合性反応基の好ましい例としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等が挙げられる。樹脂(α)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下が好ましい。有機化合物(β)は例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等があげられるが、その種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。
有機化合物(β)の分子構造として、シクロアルキル骨格、ビシクロアルキル骨格、シクロアルケン骨格、ビシクロアルケン骨格などの脂環族炭化水素骨格、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、ナフチル基、ピレニル基等を有する芳香族炭化水素骨格、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基等を有する分子構造、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物などがあげられる。
本発明において、これら重合性反応基を有する有機化合物(β)は、その目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。印刷基材として電子材料又は光学材料を塗布する場合、該電子材料又は光学材料に含まれる溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
本発明の有機化合物(β)の数平均分子量(Mn)の測定方法について説明する。有機化合物(β)が溶解する溶剤に溶かし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)で分析し、分子量既知の標準ポリスチレンに対して換算して数平均分子量(Mn)を算出する。分子量分布の広い化合物については、この方法で求める。分子量分布に関する尺度として、数平均分子量(Mn)と、Mnと同時に算出される重量平均分子量(Mw)の比、すなわち多分散度(Mw/Mn)を用いる。多分散度が1.1以上である場合、分子量分布が広いとして、GPC法で求められる数平均分子量を採用する。また、多分散度が1.1未満のものは分子量分布が極めて狭いため、分子構造解析が可能であり、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)又は質量分析法を用いて算出した分子量を数平均分子量とする。
本発明の樹脂組成物より得られる印刷基材の機械強度を高めるためには、有機化合物(β)としては脂環族炭化水素骨格または芳香族炭化水素骨格を有する化合物を少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(β)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。
本発明の樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物、加硫ゴム系材料を用いる場合には、熱を用いて樹脂硬化物を得る。高温の反応槽内に設置する方法、赤外線ランプ等を用いて直接加熱する方法等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合、該感光性樹脂組成物を光、すなわち紫外線又は可視光線、もしくは電子線の照射により硬化させる方法が好ましい。紫外線又は可視光線を用いて光硬化させる場合には、光重合開始剤を添加する事が出来る。光重合開始剤は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブックー基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の光重合開始剤などが使用できる。ラジカル重合反応を誘起させる光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊形光重合開始剤が、特に効果的な光重合開始剤として用いられる。
水素引き抜き型光重合開始剤として、特に限定するものではないが、芳香族ケトンを用いることが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率よく励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応気候が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。本発明で用いる水素引き抜き型光重合開始剤として励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であればなんでも構わない。芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヘラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類を挙げることが出来、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノン或いはその誘導体を指し、具体的には3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヘラーケトン類とは、ミヘラーケトンおよびその誘導体をいう。キサンテン類とは,キサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をさし、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等を挙げることが出来る。アントラキノン類とは、アントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、液状感光性樹脂組成物を大気中で硬化させた場合にも、硬化物表面の硬化性は十分確保でき、また、耐光性を確保することが出来るので好ましい。
崩壊型光重合開始剤とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を指し、特に限定するものではない。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシー2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イソウ化合物類、ジケトン類等を挙げることが出来、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンゾインイソブチルエーテル、「感光性高分子」(講談社、1977年出版、頁228)に記載の化合物を挙げることが出来る。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることが出来る。
アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることが出来る。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニルー1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることが出来る。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることが出来る。有機イオウ化合物としては、芳香族チオール、モノおよびジスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、S−アシルジチオカルバメート、チオスルホネート、スルホキシド、スルフェネート、ジチオカルボネート等を挙げることが出来る。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることが出来る。崩壊型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合にも、硬化物内部の硬化性は十分に確保出来るので好ましい。
特に酸素濃度が5vol%以上である雰囲気において光硬化させたいラジカル重合系の感光性樹脂組成物の場合、光重合開始剤として、水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊型光重合開始剤との組み合わせ、又は同一分子内に水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を両方有する光重合開始剤を使用することが好ましい。酸素を5vol%以上含有する雰囲気においては、酸素による硬化阻害のため特に表面近傍の硬化が不十分となる問題があった。そのため、硬化阻害を防止するために、不活性ガス雰囲気、水中の雰囲気、又は感光性樹脂組成物の表面を光透過性フィルムで被覆し、酸素を遮断するなどの特別な工夫が必要であり、露光するための装置においても特別な機構を取り付ける必要があった。特に円筒状の感光性樹脂硬化物層を形成する際には、極めて複雑な機構が必要となる。
樹脂(α)又は有機化合物(β)が、分子鎖中に存在する酸素原子又は窒素原子に対しα位に存在する水素原子を有する化合物、チオールのような硫黄原子に直接結合している水素原子を有する化合物を、感光性樹脂組成物全体量の少なくとも20wt%以上含有することが好ましい。より好ましくは40wt%以上である。前記酸素原子の由来原子団としては、アルコール、エーテル、エステル、カーボネート等を挙げることができ、また前記窒素原子の由来原子団としてはウレタン、ウレア、アミド等を挙げることができる。詳しい反応メカニズムは明確ではないが、樹脂(α)又は有機化合物(β)の分子中に存在する前記α位水素や硫黄原子に直接結合している水素を、水素引き抜き型光重合開始剤の励起三重項状態が効率良く引き抜く反応によりラジカル種が発生し、生成したラジカル種が架橋反応に寄与するためと考えられる。水素引き抜き型光重合開始剤は200nm〜300nmの波長領域に強い光吸収を示す化合物が多く、これらの光は感光性樹脂組成物層内部で急速に減衰するため、特に表面での効率が高いものと推定される。
その他、本発明の樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
本発明の樹脂組成物には、無機微粒子或いは無機有機複合微粒子を添加することができる。特にこれらの粒子は多孔質体であることが好ましい。多孔質体とは、粒子中に微小細孔を有する、又は微小な空隙を有する微粒子であり、表面の調整工程において樹脂硬化物層表面には熱がかかるため、切削、研削、研磨工程において発生する粘稠性の液状カスを吸収除去することに効果があり、表面のタック防止効果も有する。
本発明の樹脂組成物をシート状、もしくは円筒状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、ドクターブレードと塗布法、ダイ押し出し法、スプレー塗布法、グラビアコート法、ロールコート法等を挙げることができる。また、塗布した樹脂組成物層をロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等を採ることができる。その際、樹脂組成物の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。PETやニッケルなどの素材からなるシート状支持体の上に成形される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー等の円筒状支持体上に成形する場合、エアーシリンダー上に装着されたスリーブ等の中空円筒状支持体上に成形される場合もある。シート状支持体、円筒状支持体又は中空円筒状支持体の役割は、印刷基材の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択する必要がある。
線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。
例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロス又は不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
また、支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸又は被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物又は金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子など用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
本発明で用いるシート状支持体、円筒状支持体、又は中空円筒状支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、感光性樹脂組成物層又は接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線又は真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
成形された感光性樹脂組成物層は、光照射により硬化させ、感光性樹脂硬化物層を形成する。また、成型しながら光照射により硬化させることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
本発明では、凹パターンを形成される樹脂硬化物層の下部にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。一般的にレーザー彫刻される層の厚さは、0.1〜数mmであるため、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が10から70度のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が10度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、70度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。特にシート状又は円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、プラストマー樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状組成物などを挙げることができる。本発明では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、ある程度の機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の非硫黄架橋型ゴムを用いることもできる。
更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
[印刷基材]
上記の製造方法により得られた印刷基材は版厚精度が高く、好適には液状の電子材料又は光学材料を塗布するために使用される。
本発明の製造方法を用いて製造される印刷基材としては、シリンダー等の円筒状支持体やスリーブ等の中空円筒状支持体上に形成された円筒状印刷基材や、シート状支持体上に形成されたシート状印刷基材を挙げることができる。中空円筒状印刷基材を製造するためには、円筒状支持体としてエアーシリンダーを用いて、該円筒状支持体上に中空円筒状支持体である金属製又は繊維強化プラスチック製スリーブを装着することが好ましい。
本発明の印刷基材の表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、電子材料又は光学材料への濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜等を挙げることができる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更に本発明のシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、又は長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。
また、チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルスルフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等の化合物を挙げることができる。
表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、又は電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
本発明では、上記のカップリング剤に、必要に応じ、水−アルコール、或いは酢酸水−アルコール混合液で希釈して、調整する。処理液中のカップリング剤の濃度は、0.05〜10.0重量%が好ましい。
本発明におけるカップリング剤処理法について説明する。前記のカップリング剤を含む処理液を、作製された印刷基材表面に塗布して用いられる。カップリング剤処理液を塗布する方法に特に限定はなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、或いは刷毛塗り法等を適応することが出来る。また、被覆処理温度、被覆処理時間についても特に限定はないが、5〜60℃であることが好ましく、処理時間は0.1〜60秒であることが好ましい。更に樹脂版表面上の処理液層の乾燥を加熱下に行うことが好ましく、加熱温度としては50〜150℃が好ましい。
カップリング剤で印刷版表面を処理する前に、キセノンエキシマランプ等の波長が200nm以下の真空紫外線領域の光を照射する方法、又はプラズマ等の高エネルギー雰囲気に曝すことにより、印刷版表面に水酸基を発生させ高密度にカップリング剤を固定化することもできる。
また、無機多孔質体粒子又は有機無機複合多孔質体微粒子を含有する層が印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の有機物層を若干エッチング除去することにより印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により印刷版表面のタックを低減させること、および表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによりインク濡れ性が向上する効果も期待できる。
本発明の印刷基材において、凹パターンを形成した後、得られた印刷基材の表面に紫外線を照射して、表面のべたつきを除去する工程を経ても構わない。紫外線を照射する雰囲気は、大気中、不活性ガス雰囲気下、水中などを挙げることができる。また、紫外線照射の前に、光重合開始剤を含有する処理液で印刷基材表面を処理することも好ましい方法である。
[印刷基材の再生方法]
印刷基材は、印刷工程において長期間に渡り使用され使用頻度が極めて高い場合などに、表面が若干磨耗し、表面の粗度が初期と変化する場合がある。その場合でも、印刷基材を再度、円筒状支持体上に固定し、表面を切削、研削、研磨等の手法を用いて調整することにより、印刷基材を再生することが可能である。このような方法の好適な例としては、例えば、印刷工程において使用された印刷基材を円筒状支持体上に装着した後、該円筒状支持体を円周方向に回転させながら、該印刷基材の表面を再度調整することを特徴とする印刷基材の再生方法がある。
[電子材料又は光学材料の製造方法]
本発明の製造方法によって得られる印刷基材は、特に液状の電子材料又は光学材料を塗布するための印刷基材に適している。
次に、電子部材又は光学部材の製造方法について詳述する。
電子部材又は光学部材の製造方法は、上記方法により得られた印刷基材を、印刷機の円筒状印刷胴に取りつける工程、液状の電子材料又は光学材料を該印刷基材表面に付着させ、被印刷基材上に転写させる工程、前記電子材料又は光学材料を前記被印刷基材上に固定化する工程を含むことが好ましい。
電子材料又は光学材料を印刷法により被印刷基材上に塗布する方法において、電子材料又は光学材料を被印刷基材上に形成する方法として、特に被印刷基材への印圧が低いこと、被印刷基材表面に電子材料又は光学材料が表面に付着した凸部のみが被印刷基材と接触するという特長から、フレキソ印刷法が特に好ましい。
フレキソ印刷法で用いる樹脂凸版において、最表面の寸法が200μm角であって高さ500μmの凸パターンを形成した場合に、該凸パターンの中央部とエッジ部における高低差が30μm以下であることが好ましい。該凸パターンの中央部とエッジ部における高低差が30μm以下であれば、印刷を行った際、低い印圧で印刷することができ、印刷膜厚が均一となる。従来の写真製版技術を用いて形成される感光性樹脂版で課題であったカッピング現象、すなわち光硬化収縮によりパターンの中央部の膜厚が薄くなる現象を、本発明では容易に解決できる。本発明では、一度全面的に硬化させた樹脂硬化物層表面を切削、研削、研磨等の手法を用いて調整し、その後、調整された表面に凹パターンを形成する方法を採るためである。
本発明の電子材料を塗布して形成される電子材料とは、絶縁体、半導体、導体から選ばれる少なくとも1種類をパターン化して形成されたものを指す。特に限定するものではないが、具体的にはコイル、アンテナ、電極、配線等を形成する導体パターン、コンデンサ等の誘電体、層間絶縁膜、液晶ディスプレイ用の配向膜等形成するための絶縁体パターン、トランジスタ、ダイオード、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層、電荷移動層、電荷注入層等を形成するための有機半導体パターンなどをあげることができる。前記絶縁体には、プロセスレジスト、永久レジスト等のレジスト材料も含まれる。また、光学材料を塗布して形成される光学部材とは、反射防止膜、フィルター膜、偏光膜、導光板等の薄膜光学部品を挙げることができる。フィルター膜には、フラットパネルディスプレイ等で使用されるカラーフィルター、ブラックマトリックスも含まれる。
電子材料又は光学材料中に含まれる溶剤は、これらの材料中の不揮発成分の溶解性や印刷工程中での乾燥性などにより決定されるが、芳香族炭化水素化合物、含窒素炭化水素化合物、エステル化合物、アミド化合物、グリコールモノエーテル化合物、含ハロゲン炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、溶剤全体量の20wt%以上含有していることが好ましい。
本発明の印刷基材において、使用する電子材料又は光学材料に含有される溶剤に耐性を有する感光性樹脂硬化物を設計することができる。本発明の電子部材又は光学部材を形成するための電子材料又は光学材料において、機能性化合物を溶解又は分散させる溶剤として、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、γ−ブチルラクトン等のエステル化合物、γ−ブチルラクタム等のアミド化合物、テトラヒドロフラン、オキシラン、ジブチルエーテル等のエーテル化合物、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールモノエーテル化合物、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン炭化水素化合物、メチルピロリドン、ピリジン等の含窒素炭化水素化合物等を挙げることができる。本発明の印刷基材の電子材料又は光学材料に含有される溶剤に対する耐溶剤性は、溶剤浸漬膨潤テストにて評価し、前記溶剤への浸漬前後の重量変化率が10wt%以下であることが好ましい。より好ましくは5wt%以下である。本発明における溶剤浸漬膨潤テストは、テストサンプルを室温において24時間、溶剤に浸漬して実施される。重量変化率が10wt%以下であれば、印刷基材の寸法変化が小さく、微細なパターンの印刷が可能であり、薄膜の均一塗布も可能となる。
耐溶剤性の高い印刷基材用の材料を設計する指針として、用いる樹脂(α)を構成する主要部位と溶剤との溶解度パラメータの差が大きいものを選択することが好ましい。溶解度パラメータ(Solubility Parameter、以下SPと略す)とは、溶解度因子ともよばれ、物質の極性を示す指標であり、親和性の指標となる。溶解度パラメータについては、化学大辞典(東京化学同人社、1989年発行)にも記載がある。一般的に両者のSP値が近いほど互いに溶け合いやすく、また、一方が固体の時には濡れやすく、接着剤や溶剤の選択の一つの目安として使用されている。本発明においては、使用する電子材料又は光学材料に含有される溶剤に耐性を有していることが必要であるので、用いる樹脂(α)を構成する主要部位と溶剤との溶解度パラメータの差が大きいものを選択することが好ましい。
例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ケロシン、アマニ油、大豆油、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物に対しては、炭化水素系のポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格を有するプレポリマーを選択するよりも、不飽和ポリエステルやポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールを用いた不飽和ポリウレタンなどが好ましい。また、メチルピロリドン、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの含窒素炭化水素化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、γ−ブチロラクトンに対しては、ポリエステル、ポリウレタンを選択するよりも、ポリブタジエン等のポリアルキレン骨格を有するプレポリマーが好ましい。ブトキシエタノール、エトキシエタノールに対しては、不飽和ポリウレタン、ポリアルキレン骨格を有するポリマーが好ましい。クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素化合物に対しては、不飽和ポリエステルが好ましい。安息香酸エステル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル化合物に対しては、不飽和ポリエステル、ポリカーボネートジオールを骨格に持つ不飽和ポリウレタンが好ましい。
本発明で用いる電子材料又は光学材料を印刷するための被印刷基材は、ガラス板、セラミックス板、フィルム、金属板、金属シート、紙から選択される少なくとも1種類の基材であることが好ましい。フィルムとしては、プラスチック製フィルムや金属製フィルム、表面にセラミックスや金属薄膜が形成されたプラスチック製フィルムなどの異種材料を積層したプラスチック製フィルムや金属製フィルムも含まれ、また、紙としては、繊維状物から形成されているものであれば何でも構わない。織布であっても不織布であっても構わない。繊維状物の材料として、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維等を挙げることができる。また、ガラス板として、表面にITO、酸化亜鉛等の電極材料の薄膜が被覆されているものであっても構わない。
本発明の印刷法において被印刷基材上に印刷できる印刷パターンの厚さは、電子材料又は光学材料中の溶剤成分を乾燥除去した後に、1nm以上10μm以下が好ましい。より好ましくは5nm以上5μm以下、更に好ましくは10nm以上1μm以下である。膜厚が1nm以上であれば、絶縁体、半導体、導体の機能を発現させることができ、また、10μm以下であれば電子材料又は光学材料中の溶剤成分の除去が容易に行うことができる。
本発明の印刷基材を用いて、被印刷基材上に電子材料又は光学材料を塗布し、電子部材又は光学部材を製造する際に使用する印刷機は、樹脂凸版を用いて印刷できるタイプの印刷機であれば特に限定するものでなく、市販のフレキソ印刷機、ドライオフセット印刷機、液晶配向膜印刷機等を挙げることができる。ロールからロールへの形態で印刷を行うフィルム、紙等への印刷を行う印刷機、枚様の被印刷基材に印刷する印刷機が市販されている。また、シート状印刷基材を版胴に巻きつけて使用する印刷機、中空円筒状印刷基材をエアーシリンダーに装着して使用するスリーブ対応印刷機であっても構わない。被印刷基材上に形成される電子材料又は光学材料の膜厚は、印刷基材の表面の粗度、電子材料又は光学材料の粘度および非揮発成分の濃度、印刷機のアニロックスロール表面のセル密度およびセル容量などの要因で決まる。これらの要因を組み合わせることにより、膜厚制御の自由度は高い。膜厚として10nm程度の超薄膜から10μm程度の薄膜まで、成形することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)数平均分子量の測定
樹脂(α)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置「HLC−8020」(商標、日本国、東ソー社製)とポリスチレン充填カラム「TSKgel GMHXL」(商標、日本国、東ソー社製)を用い,テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調整し、注入量10μlとした。また、検出器としては、紫外吸収検出器を使用した。本発明の実施例或いは比較例で用いる樹脂(α)は、GPC法で求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。
[実施例1]
(樹脂(α)の製造)
温度計、攪拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量2500のポリオキシエチレン(EO)−ポリオキシプロピレン(PO)ブロック共重合体ジオール(EO/POモル比1/4)51重量部、数平均分子量3000のポリ(3−メチルー1,5−ペンタンジオールアジペート)33.9重量部、触媒としてジブチルチンスズジラウレート0.003重量部、2、6−ジーtert−ブチル−4−メチルフェノール0.1重量部を入れ、攪拌混合した。系内の水分量を400ppmに調整した。次に、トリレンジイソシアネート6重量部を外温40℃で攪拌しながら滴下添加し、その後徐々に外音を上昇させ80℃において5時間反応させた。さらに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート4重量部を添加し、2時間反応させることによって不飽和ポリウレタンを得た。このもののGPCによるポリスチレン換算数平均分子量は22500であった。
(感光性樹脂組成物の調整)
上記のように製造した不飽和ポリウレタン65重量部に対し、有機化合物(β)としてジエチレングリコールー2−エチルヘキシルエーテルアクリレート13重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート20重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、ベンゾフェノン1重量部、添加剤として無機多孔質体「サイロスフェアーC−1504」(商標、富士シシリア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカ、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)、重合禁止剤として2,6−ジーt−ブチルー4−メチルフェノール0.05重量部を混合し、感光性樹脂組成物アを得た。
(シート状感光性樹脂硬化物の作製)
幅1m、直径318.47mmのシリンダーの長軸方向に幅10mm、厚さ50μmの両面接着テープを貼り付けた。厚さ180μmのPETフィルムを円筒状支持体であるシリンダー表面に巻きつけ、前記両面接着テープの部分にPETフィルムの両端部が来るように位置を合わせ、固定した。
調整した感光性樹脂組成物アをPETフィルム上に厚さ2.8mmのシート状に成形し、シリンダーを回転させながら、メタルハライドタンプ「M056−L21」(アイ・グラフィックス社製、商標)から出てくる光を,大気中で感光性樹脂層が露出している面から照射し、光硬化物を得た。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)であった。照射面でのランプ照度は、UVメーター「UV−M02」(オーク製作所社製、商標)を用いて測定した。UV−35−APRフィルターを使用して測定したランプ照度は、100mW/cm、UV−25−フィルターを使用して測定したランプ照度は、14mW/cmであった。
シリンダーを回転させながら、得られた光硬化物の表面をバイトで切削し、その後、シリンダーおよびカーボランダム製グラインディングホイールを回転させながら研削し、1000番のサンドペーパーを用いて表面を研磨した。
PETフィルムを円筒状支持体表面に巻きつける工程から、研磨工程までに要した時間は、約20分であった。
得られた光硬化物の厚みは均一であり、PETフィルムを含めた厚さ精度は2.8mm±10μmであった。尚、厚さ測定は、1μmまで測定可能な装置「デジマチックインジケーター ID−C112」(商品名、ミツトヨ社製)を用いて3cm間隔で測定を行った。
(シート状印刷基材の作製)
上記のようにして得られた光硬化物の表面に、30cm間隔でバイトを用いて幅20mm、深さ1mmの帯状凹パターンを、シリンダーを回転させながら切削方法により形成した。更に、シリンダーを固定し、幅20mmのグラインディングホイールを回転させながら、シリンダーの長軸方向へ移動させながら深さ1mmの凹パターンを20cm間隔で形成した。形成したパターンをシート状印刷基材の上部から見た図を図2(A)に示した。
更に、シート状支持体として用いたPETフィルムの両端部の継ぎ目部でカッターを用いて光硬化物層を切断し、シート状印刷基材1をシリンダーから剥がし取った。
光硬化物の表面に凹パターンを形成するのに必要な時間は、約10分であった。
(印刷評価)
上記のようにして得られたシート状印刷基材1と液晶配向膜印刷機を用いて、印刷評価を実施した。ガラス基板の洗浄処理面に、銀の超微粒子(平均粒子径7nm)を分散させた導電性インキ「銀ナノペースト」(商品名、ハリマ化成社製、溶剤 テトラデカン、溶剤含有率30wt%)の粘度を溶剤成分で調整して使用し、焼成後のインキの膜厚が1μmとなるように印刷、乾燥、焼成(温度150℃)を行った。シート状印刷基材には18cm×28cmの凸状パターンが形成されており、その寸法のべたパターンが、ガラス表面に均一に形成された。焼成後の膜厚は1μmで均一であった。
(膨潤率の測定)
試験サンプルは、前記感光性樹脂組成物アを10mm×50mm、厚さ1mmに塗布し、フレキソ製販機「ALF製版機」(商標、旭化成ケミカルズ社製)を用いて1800mJ/cmのエネルギーを照射することにより硬化させ調整した。
作製した試験サンプルを、上記「銀ナノペースト」(商品名)の希釈溶剤であるテトラデカン中に、20℃、24時間浸漬後、表面に付着した液滴を拭き取り、重量増加量を測定することにより膨潤率を求めた。その結果、膨潤率は3.0%であった。
[実施例2]
(樹脂(α)の製造)
温度計、攪拌機を備えた2Lのセパラブルフラスコにジエチレングリコール212重量部、プロピレングリコール152重量部、1,4―ブタンジオール90重量部及びアジピン酸511重量部、フマル酸87重量部、テトラヒドロ無水フタル酸127重量部、p−メトキシフェノール1.2重量部を窒素雰囲気中で常圧、230℃で4時間反応させ、次いで100mmHg減圧下でさらに4時間反応させ、酸価23の不飽和ポリエステルを得た。
この不飽和ポリエステル560重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6重量部及び2、6−ジーtert−ブチル−4−メチルフェノール0.6重量部を80℃で4時間混合・反応させ、次いでこの反応物にヒドロキシプロピルメタクリレート43.2重量部及びジブチルチンスズジラウレート0.2重量部を添加し、さらに80℃で2時間反応させることによって不飽和ポリエステルウレタンを得た。このもののGPCによるポリスチレン換算数平均分子量は7000であった。
(感光性樹脂組成物の調整)
上記のように製造した不飽和ポリエステルウレタン66.8重量部に対し、有機化合物(β)としてジエチレングリコールジメタクリレート16.63重量部、ジアセトンアクリルアミド8.28重量部、ジエチレングリコールジメタクリレート8.28重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、ベンゾフェノン1重量部、添加剤として無機多孔質体「サイロスフェアーC−1504」(富士シシリア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカ、商標、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)5重量部、重合禁止剤として2,6−ジーt−ブチルー4−メチルフェノール0.05重量部を混合し、感光性樹脂組成物イを得た。
(シート状感光性樹脂硬化物の形成)
感光性樹脂組成物イを用いる以外は、実施例1と同様にしてシート状印刷基材を作製した。
得られたシート状印刷基材の厚みは均一であり、その精度は2.8mm±10μmであった。尚、測定は実施例1に記載の方法で行った。
(シート状印刷基材の作製)
得られたシート状感光性樹脂硬化物に、実施例1と同様にして凹パターンを形成し、シリンダーから剥がすことによりシート状印刷基材2を得た。
(印刷評価)
上記のようにして得られたシート状印刷基材2を用いて、実施例1と同じ印刷機を用いて、有機高EL発光層の印刷評価を実施した。被印刷基材としては、厚さ0.7mmのガラス基板(ソーダライムガラス)の表面に、真空蒸着法によって厚さ0.1μmのITO膜(陽極)を形成後、UV−オゾン洗浄を施し、有機物等の付着物を除去した後、当該機材のITO膜側の表面にスピンコート法により正孔輸送材料として、ポリエチレンジオキシチオフェンを含有するコーティング液「Baytron P」(商標、ポリエチレンジオキシチオフェンーポリスチレンスルフォネート(PEDT/PSS)、バイエル社製)を塗布し、70〜80℃で乾燥させることにより正孔輸送層を作製した。有機高分子発光体にはポリ(9,9−ジアルキルフルオレン(PDAF))を用い、固形分濃度が2wt%となるように溶剤(キシレン)で中に溶解させて、発光層形成用のインキとして使用し、印刷を行った。その結果、上記正孔輸送層上に印刷されたインキの厚み(乾燥前)は6μmであり、80℃で30分乾燥後の発光層の厚みは0.12μmで均一であった。
(膨潤率の測定)
試験サンプルは、前記感光性樹脂組成物イを10mm×50mm、厚さ1mmに塗布し、フレキソ製販機「ALF製版機」(商標、旭化成ケミカルズ社製)を用いて1800mJ/cmのエネルギーを照射することにより硬化させ調整した。
作製した試験サンプルを、上記発光層形成用のインキの溶剤であるキシレン中に、20℃、24時間浸漬後、表面に付着した液滴を拭き取り、重量増加量を測定することにより膨潤率を求めた。その結果、膨潤率は1.1%であった。
[実施例3]
(樹脂(α)の製造)
温度計、攪拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール「PCDL L4672」(商標、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1990、OH価56.4)100重量部とトリレンジイソシアネート6.9重量部を加え80℃に加温下3時間反応させたのち、2―メタクリロイルオキシイソシアネート3.3重量部を添加し、更に3時間反応させて不飽和ポリウレタンを得た。このもののGPCによるポリスチレン換算数平均分子量は約10000であった。
(感光性樹脂組成物の調整)
上記のように製造した不飽和ポリウレタン100重量部に対し、有機化合物(β)としてベンジルメタクリレート25重量部、シクロメタクリレート19重量部、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート6重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、ベンゾフェノン1重量部、添加剤として無機多孔質体「サイロスフェアーC−1504」(富士シシリア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカ、商標、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)5重量部、重合禁止剤として2,6−ジーt−ブチルー4−メチルフェノール0.05重量部を混合し、感光性樹脂組成物ウを得た。
(シート状印刷基材の作製)
感光性樹脂組成物ウを用いる以外は、実施例1と同様にしてシート状印刷基材3を作製した。得られたシート状印刷基材の厚みは均一であり、その精度は2.8mm±10μmであった。尚、測定は実施例1に記載の方法で行った。
(印刷評価)
シート状印刷基材3を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷評価を行った。その結果、焼成後の膜厚は1μmで均一であった。
(膨潤率の測定)
試験サンプルは、前記感光性樹脂組成物ウを10mm×50mm、厚さ1mmに塗布し、フレキソ製販機「ALF製版機」(商標、旭化成ケミカルズ社製)を用いて1800mJ/cmのエネルギーを照射することにより硬化させ調整した。
作製した試験サンプルを、上記「銀ナノペースト」(商品名)の希釈溶剤であるテトラデカン中に、20℃、24時間浸漬後、表面に付着した液滴を拭き取り、重量増加量を測定することにより膨潤率を求めた。その結果、膨潤率は0.9%であった。
[比較例1]
(感光性樹脂版の作製)
実施例1と同じ感光性樹脂組成物アを用い、フレキソ版用製版機のガラス面に、寸法が1100mm×1000mm、厚さ180μmのPETフィルムの片面に厚さ数μmの接着剤が塗布されている感光性樹脂版用ベースフィルムを接着剤層の塗布されている面が上になるように置き、真空密着させた。このベースフィルム上に、前記感光性樹脂組成物アを、寸法1000mm×900mmの領域に厚みを2.62mmに設定して、キャリッジを用い、かつ厚さ100μmの透明カバーフィルムを用いて成形展着した。前記キャリッジとは、ラミネートローラー、バケット(樹脂溜め)、フィルムおよびガイド等の付いた走行式の成形展着装置であり、ガラス面に沿ったスペーサー(版の厚みを規制するため上下動するレール)上を走りながら感光性樹脂組成物を流延し、フィルムを送り込みながら所定の厚さに感光性樹脂組成物層を展着(コート)する装置である。
次に、得られた積層体の上部から前記製版機に備え付けられた露光装置により紫外線を照射し、感光性樹脂組成物アを硬化させた。露光終了後、カバーフィルムを剥離し、感光性樹脂硬化物を得た。PETベースフィルムおよび感光性樹脂硬化物の厚みを測定したところ、その精度は2.8mm±50μmで、実施例1に比較して不均一であった。尚、測定は実施例1に記載の方法で行った。
(レーザー彫刻)
得られた感光性樹脂硬化物表面を、炭酸ガスレーザー彫刻機「ZED−mini−1000」(ZED社製、商標)を用いて、実施例1と同様の凹パターンを彫刻した。レーザー彫刻に用いたレーザー彫刻機の1本のレーザービームは、約25μmの径に集光され、レーザーの平均出力は250Wであった。レーザー彫刻を完了させるのに要した時間は、3時間であった。
(印刷評価)
実施例1と同様にして印刷評価を行った。その結果、ガラス表面に形成された280mm×180mmのべたパターンにおいて、実施例1に比較して不均一が劣っており、干渉縞が見られ、ムラも目立った。
[比較例2]
(感光性樹脂版の作製)
実施例1と同じ感光性樹脂組成物アを用い、フレキソ版用製版機のガラス面に、厚さ180μmのPETフィルムの片面に厚さ数μmの接着剤が塗布されている感光性樹脂版用ベースフィルムを接着剤層の塗布されている面が上になるように置き、真空密着させた。このベースフィルム上に、前記感光性樹脂組成物Aを厚み2.62mmにキャリッジを用い、かつ凸パターン形成用のネガフィルムを用いて成形展着した。前記キャリッジとは、ラミネートローラー、バケット(樹脂溜め)、ネガフィルムおよびガイド等の付いた走行式の成形展着装置であり、ガラス面に沿ったスペーサー(版の厚みを規制するため上下動するレール)上を走りながら感光性樹脂組成物を流延し、ネガフィルムを送り込みながら所定の厚さに感光性樹脂組成物層を展着(コート)する装置である。前記ネガフィルムには、実施例1と同様に280mm×180mmの開口パターンが規則的に配列したパターンが形成されていた。
次に、得られた積層体の上部から前記製版機の下部に備え付けられた露光装置により先ず紫外線を照射し、ベースとなる部分を全面露光し、更に上部に備え付けられた光源から前記ネガフィルムを通して露光することにより、感光性樹脂組成物アを硬化させた。露光終了後、ネガフィルムを剥離し、紫外線の照射されていない未硬化部分をへらで掻き落とし回収し、次いで弱アルカリ洗浄剤で該未硬化部を完全に除去した。更に、水中において紫外線を照射し、樹脂版を完全に硬化させ、その後、熱風式乾燥機を用いて水分を除去することにより、シート状印刷基材を得た。すなわち、版厚2.8mm、凹パターンの深さ1mmを有するシート状印刷基材を得た。このシート状印刷基材の280mm×180mmのべたパターンの中央部は、周辺部に比較して低く、高低差は約50μmであった。尚、測定は商品名「システム電動生物顕微鏡 BX−61」(オリンパス光学工業社製)で行った。
(印刷評価)
上記のようにして得られたシート状印刷基材を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷評価を行った。その結果、280mm×180mmのべたパターンは、印圧の低い条件では、べたパターンの外周部のみが印刷され、中央部では印刷されていない状態であった。また、印圧を高く設定した条件での印刷においても、べたパターンの端部が厚く、中央部が薄いものであった。
本発明は電子部材又は光学部材等の製造で用いられる印刷基材の製造方法に関するものであり、更に詳しくは電子部材形成用の電子材料又は光学部材形成用の光学材料を被印刷基材上に塗布するための印刷基材の製造方法、電子部品又は光学部材の製造方法、印刷基材の再生方法として好適である。本発明により得られる刷基材は、導体、半導体、絶縁体パターン形成、レジスト材料パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料のパターン形成、更には液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成に適したものである。
本発明で使用する円筒状支持体の一例を示す概略図である。 (A)は本発明でシート状印刷基材のパターンを上から見た概略図である。(B)は本発明のシート状印刷基材を線Cで切断した場合の断面図である。
符号の説明
1 円筒状支持体表面
2 円筒状支持体の長軸
3 凹パターンの間隔
4 凹パターンの幅
5 凹パターンの深さ
6 シート状印刷基材の厚さ

Claims (14)

  1. (a)円筒状支持体表面に樹脂硬化物層を形成する工程、(b)得られた樹脂硬化物層の表面を調整する工程、(c)形成された樹脂硬化物層表面の少なくとも1箇所に凹パターンを形成する工程を含み、前記工程(c)の凹パターンを形成する方法が、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法であることを特徴とする印刷基材の製造方法。
  2. 工程(c)が、該円筒状支持体を円周方向へ回転させながら凹パターンを形成する工程および/または該円筒状支持体を固定して該円筒状支持体の長軸方向へ凹パターンを形成する工程を含む、請求項1記載の印刷基材の製造方法。
  3. 工程(b)の表面調整により、樹脂硬化物層の厚み精度を30μm以下とする、請求項1又は2に記載の印刷基材の製造方法。
  4. 工程(a)が(d)シート状支持体を円筒状支持体表面に巻きつける工程、(e)円筒状支持体表面に巻きつけられたシート状支持体上に樹脂組成物を塗布し樹脂組成物層を形成する工程、(f)形成された樹脂組成物層を硬化させ樹脂硬化物層を形成する工程を含むこと、かつ工程(c)の後に、(g)樹脂硬化物層を前記円筒状支持体の長軸方向に切断することによりシート状に加工する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷基材の製造方法。
  5. 工程(e)の樹脂組成物が感光性樹脂組成物であること、前記工程(f)の硬化が該感光性樹脂組成物に高エネルギー線を照射することによる硬化である請求項4に記載の印刷基材の製造方法。
  6. 感光性樹脂組成物が20℃において液状であって、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、脂肪族炭化水素骨格から選択される少なくとも1種類の分子骨格を有し、かつウレタン結合、アミド結合、イミド結合から選択される少なくとも1種類の結合を有する化合物を含有することを特徴とする請求項5に記載の印刷基材の製造方法。
  7. 表面を調整する方法が、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法であって、前記調整が円筒状支持体を円周方向に回転させながら行われることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の印刷基材の製造方法。
  8. シート状支持体上に樹脂組成物を塗布する方法が、ドクターブレード塗布法、ダイ押し出し法、スプレー塗布法、グラビアコート法、ロールコート法から選択される少なくとも1種類の方法であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の印刷基材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法を用いて作製された印刷基材。
  10. 液状の電子材料又は光学材料を塗布するために使用されることを特徴とする請求項9に記載の印刷基材。
  11. 請求項9に記載の印刷基材を、印刷機の円筒状印刷胴に取りつける工程、液状の電子材料又は光学材料を該印刷基材表面に付着させ、被印刷基材上に転写させる工程、前記電子材料又は光学材料を前記被印刷基材上に固定化する工程を含むことを特徴とする電子部材又は光学部材を製造する方法。
  12. 電子材料又は光学材料が、芳香族炭化水素化合物、含窒素炭化水素化合物、エステル化合物、アミド化合物、グリコールモノエーテル化合物、含ハロゲン炭化水素化合物から選択される少なくとも1種類の化合物を溶剤成分全重量の20wt%以上含有することを特徴とする請求項11に記載の電子部材又は光学部材を製造する方法。
  13. 被印刷基材が、ガラス板、セラミックス板、フィルム、金属板、紙から選択される少なくとも1種類の基材であることを特徴とする請求項11又は12に記載の電子部材又は光学部材を製造する方法。
  14. 印刷工程において使用された請求項9に記載の印刷基材を円筒状支持体上に装着した後、該円筒状支持体を円周方向に回転させながら、該印刷基材の表面を再度調整することを特徴とする印刷基材の再生方法。
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