JP5046598B2 - 半球状光硬化物パターンの形成方法 - Google Patents
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Description
従来技術において、スペーサーとして用いられてきた部材として、粒子径を非常に狭い範囲に制御して作製された樹脂製微粒子、ガラス製微粒子あるいはセラミックス製微粒子が使用されていた。しかしながら、これらの微粒子を用いる方法では、微粒子を噴霧して基板上に散布するプロセスを採るため、微粒子の位置を規定することが不可能であった。微粒子の位置が規定されないので、液晶層の厚さを全面的に均一に保つことが難しく、振動により微粒子が移動してしまい厚さの均一性を損なうという課題があった。また、微粒子が表示部画素上にも散布されるため、光抜けや微粒子周辺部では配向不良等により表示品質の低下が問題となっていた。
特許文献1(特開2001−108813号公報)には、インクジェット印刷を用いて粗いパターンを形成し、その後、フォトリソグラフィーを用いて正確な寸法のパターン形成が行われる方法の記載がある。この方法では、現像工程において除去される材料を少なくできるメリットはあるものの、フォトリソグラフィーを用いてパターンを形成するため工程が複雑であり、特に露光マスクの位置合わせに多大な時間を要するという大きな問題があった。また、インキ滴を飛び出させる印刷ヘッドの目詰まりによる欠陥の発生、一度に印刷できるドットパターンの厚さは、1μm以下であり、スペーサーとして機能させるためには、複数回同じ場所にインキ滴を的中させる必要があるなど、印刷工程でのプロセス時間が多大に必要であるなどの問題があった。
いずれの従来技術においても、液晶ディスプレイ製造で必要な部材であるスペーサーを形成する方法としては、複雑であり、不要な材料が発生するなど問題があり、スペーサーを簡便に形成できる方法は知られていなかった。
(1)半球状光硬化物パターンを形成する方法であって、(i)感光性樹脂組成物(α)を含有する液状インキを、印刷法を用いて被印刷基材上の特定の位置に塗布する工程、(iii)塗布された感光性樹脂組成物を加熱することにより半球状に成形する工程、(iv)半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)の全面に高エネルギー線を照射し硬化させ半球状光硬化物パターンを形成する工程を含むことを特徴とする半球状光硬化物パターンの形成方法。
(2)工程(i)と工程(iii)の間に、更に、(ii)感光性樹脂組成物(α)を、固体状の感光性樹脂組成物(β)に変化させる工程を含む、上記(1)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(3)感光性樹脂組成物(α)を固体状の感光性樹脂組成物(β)に変化させる方法が、感光性樹脂組成物(α)中の溶剤成分を除去する方法である、上記(2)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(4)工程(iii)の後に、更に、該半球状化した感光性樹脂組成物(γ)を冷却する工程を含む、上記(1)〜(3)のいずれかの半球状光硬化物パターンの形成方法。
(5)液状インキを塗布する方法が、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である、上記(1)〜(4)のいずれかの半球状光硬化物パターンの形成方法。
(6)感光性樹脂組成物(α)が、樹脂(a)、有機化合物(b)、光重合開始剤(c)とを含有し、樹脂(a)が20℃において固体状であり、数平均分子量が1000以上50万以下であり、有機化合物(b)が重合性官能基を有し数平均分子量が1000未満である、上記(1)〜(5)のいずれかの半球状光硬化物パターンの形成方法。
(7)感光性樹脂組成物(α)が、更に、有機珪素化合物および/又は有機フッ素化合物を含有する、上記(6)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(8)光重合開始剤(c)が、崩壊型光重合開始剤および水素引き抜き型重合開始剤を含むか、あるいは崩壊型光重合開始剤として機能する部位と水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位を有する化合物を含む、上記(6)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(9)被印刷基材が、ガラス基板、セラミックス基板、金属製基板、フィルム、紙からなる群より選択される少なくとも1種類の基材である、上記(1)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(10)半球状光硬化物パターンが、液晶ディスプレイ用のスペーサー材料として使用される、上記(1)〜(9)のいずれかの半球状光硬化物パターンの形成方法。
(11)液状インキを塗布する方法がフレキソ印刷法であって、フレキソ印刷法で用いる表面に凸パターンを有する印刷基材が、写真製版技術を用いて前記パターンが形成された感光性樹脂印刷版であるか、あるいはレーザー彫刻法を用いて前記パターンが形成されたレーザー彫刻印刷版である、上記(1)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(12)工程(iii)において、感光性樹脂組成物を60℃以上200℃以下に加熱し、、熱源が熱線、赤外線、マイクロ波から選択される少なくとも1種類の熱源である、上記(1)〜(11)のいずれかの半球状光硬化物パターンの形成方法。
(13)工程(ii)で得られる感光性樹脂組成物(β)の厚さよりも、工程(iii)で得られる感光性樹脂組成物(γ)の厚さが厚い、上記(2)の半球状光硬化物パターンの形成方法。
(14)上記(1)〜(13)のいずれかの方法で形成された半球状光硬化物パターン。
(15)半球状光硬化物パターンの高さばらつきが±5%以内の範囲である、上記(14)の半球状光硬化物パターン。
本発明は、被印刷基材上の特定の位置に半球状光硬化物パターンを簡便に形成する方法に関する。本発明の方法は、(i)感光性樹脂組成物(α)を含有する液状インキを、印刷法を用いて被印刷基材上の特定の位置に塗布する工程、(ii)塗布された感光性樹脂組成物を加熱することにより半球状に成形する工程、(iv)半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)の全面に高エネルギー線を照射し硬化させ半球状光硬化物パターンを形成する工程を含む。
本発明の工程(i)では、印刷法を用いて感光性樹脂組成物(α)を含有する液状インキを、被印刷基材上の特定の位置に塗布する。本発明で用いる印刷法は、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法から選択される少なくとも1種類の方法であることが好ましく、更にはフレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法から選択される少なくとも1種類の方法であることが好ましい。インクジェット印刷法では、液状インキ滴を射出するインクヘッドから被印刷基材上に吐出される。インクヘッドの機構は、ピエゾ素子や袋を膨らませることによりインキ滴を射出するものである。フレキソ印刷法は、比較的柔らかい素材から形成される凸版を用いて、凸部表面に載せたインキを被印刷基材上の直接転写させる方法である。グラビア印刷法は、印刷版表面に形成された凹部にインキを溜め、柔らかい被印刷基材上に直接転写する方法である。オフセット印刷法は、表面に親水性・疎水性の部分を形成された印刷版表面に疎水性インキを載せ、柔らかい素材から形成されたブランケット表面を介して、被印刷基材上にインキが転写される方法である。凸版印刷版を用いたドライオフセット印刷法もオフセット印刷法の1つである。スクリーン印刷法は、メッシュ素材表面に樹脂でパターンを形成したスクリーンの片側にインキを載せ、開口部からインキを通過させることにより、反対側に設置されている被印刷基材上にインキを転写させる方法である。これらの印刷方法のうち、インキが載っている凸部のみが被印刷基材と接触すること、比較的低い印圧条件で印刷ができることから、フレキソ印刷法が最も好ましい方法である。
本発明では、上記工程(i)で塗布された感光性樹脂組成物を加熱することにより半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)を得る。本発明は、このような工程を含むことにより従来技術のようにフォトリソグラフィーを用いることなく簡便に半球状パターンを形成でき、プロセス時間を大幅に短縮化できるという効果を奏する。加熱方法として、加熱された高温状態の雰囲気に曝す方法(熱線)、赤外線あるいはマイクロ波を照射する方法などを挙げることができる。特に、均一に加熱処理できる点から熱源が熱線、赤外線、マイクロ波のいずれかであることが好ましい。加熱温度は、工程(ii)において溶剤成分を乾燥除去できる温度よりも高い温度で熱処理することが好ましい。特に、省エネルギーと被印刷基材の変形等の影響がない点からは60℃以上200℃以下であることが好ましい。
本発明では、工程(i)と工程(iii)の間に、更に、工程(ii)として、感光性樹脂組成物(α)を固体状の感光性樹脂組成物(β)に変化させる工程を含むことが好ましい。このような工程を経ることで、均一な膜厚を確保できるという効果を奏する。
固体状の感光性樹脂組成物(β)を得る方法は、感光性樹脂組成物(α)中に含有される溶剤成分を乾燥除去する方法、および溶剤を含有しない感光性樹脂組成物(α)に弱く光硬化させ半硬化状態にする方法を挙げることができる。したがって、感光性樹脂組成物(α)が溶剤を含有する場合には、感光性樹脂組成物(α)を塗布後、加熱することにより溶剤成分が揮発除去される。無溶剤型の感光性樹脂組成物(α)の場合、弱く光硬化させ半硬化状態にするが、ここで半硬化状態とは、完全に硬化して得られる樹脂硬化物の硬度を基準として、50%以下の硬度を有する状態と定義する。
本発明では、更に、半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)は、高エネルギー線照射により光硬化される。用いる高エネルギー線として、紫外線、可視光線、真空紫外線、電子線、X線、γ線等を挙げることができる。これらのうち、装置の簡便さの観点からは、光、すなわち紫外線あるいは可視光線、もしくは電子線の照射により硬化させる方法が好ましい。
本発明では、半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)の全面に高エネルギー線が照射される点で、フォトリソグラフィーを用いてパターンが形成される従来技術とは異なる。すなわち、フォトリソグラフィーを用いてパターンが形成される従来技術においては、高エネルギー線は、マスク等を通じて感光性樹脂組成物の一部に照射され、照射後未硬化部分が現像される事等により感光性樹脂組成物が半球状化されるのに対して、本発明では、半球状化は高エネルギー線照射に先立つ加熱、すなわち工程(iii)でなされる。そして、半球状化された後になされる、感光性樹脂組成物(γ)への高エネルギー線の照射は、マスク等を通さず、感光性樹脂組成物(γ)の全面になされるものであってすでに半球状化された組成物を硬化するものである。本発明の方法は、工程(iii)の後に現像工程を経る必要がなく、従来技術に比べて簡便である。
以下、本発明で用いる材料、印刷版等について説明する。
本発明では、感光性樹脂組成物(α)を含有する液状インキを用いる。感光性樹脂組成物(α)は樹脂(a)、有機化合物(b)、光重合開始剤(c)とを含有することが好ましい。また、最終的に形成される半球状の光硬化物が、長期間に使用される場合、機械的物性、耐候性、耐熱性等の特性が良好であることが好ましい。
樹脂(a)は、数平均分子量が1000以上50万以下であることが好ましい。より好ましくは1万以上40万以下、更に好ましくは5万以上30万以下である。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
樹脂(a)として、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)等のポリスチレン系熱可塑性高分子、ポリウレタン系熱可塑性高分子、ポリエステル系熱可塑性高分子、ポリ塩化ビニル系熱可塑性高分子、EPM、EPDM等のポリオレフィン系熱可塑性高分子、ポリアミド系熱可塑性高分子、シリコーン系熱可塑性高分子、ポリスルホン系熱可塑性高分子、ポリアクリル系熱可塑性高分子、フッ素ゴム系熱可塑性高分子、ポリフェニレンエーテル系熱可塑性高分子等を挙げることができる。
有機化合物(b)の分子構造として、シクロアルキル骨格、ビシクロアルキル骨格、シクロアルケン骨格、ビシクロアルケン骨格などの脂環族炭化水素骨格、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、ナフチル基、ピレニル基等を有する芳香族炭化水素骨格、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基等を有する分子構造、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物などがあげられる。
有機化合物(b)の数平均分子量(Mn)の測定方法について説明する。重合性モノマー成分が溶解する溶剤に溶かし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)で分析し、分子量既知の標準ポリスチレンに対して換算して数平均分子量(Mn)を算出する。分子量分布の広い化合物については、この方法で求める。分子量分布に関する尺度として、数平均分子量(Mn)と、Mnと同時に算出される重量平均分子量(Mw)の比、すなわち多分散度(Mw/Mn)を用いる。多分散度が1.1以上である場合、分子量分布が広いとして、GPC法で求められる数平均分子量を採用する。また、多分散度が1.1未満のものは分子量分布が極めて狭いため、分子構造解析が可能であり、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)あるいは質量分析法を用いて算出した分子量を数平均分子量とする。
上記工程(iv)において、半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)を紫外線あるいは可視光線を用いて光硬化させる場合には、感光性樹脂組成物(α)に光重合開始剤(c)を添加する事が好ましい。光重合開始剤(c)は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブックー基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の光重合開始剤などが使用できる。ラジカル重合反応を誘起させる光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊形光重合開始剤が、特に効果的な光重合開始剤として用いられる。
感光性樹脂組成物(α)は、更に、有機珪素化合物あるいは/および有機フッ素化合物を含有することが好ましい。有機珪素化合物として、シランカップリング剤やシリコーンオイル等の化合物を挙げることができる。また、有機フッ素化合物としては、分子中の一部分に含フッ素官能基を有する化合物を用いることができる。これらの化合物は、感光性樹脂組成物を加熱した際に、表面エネルギーを調整する効果があり、最終的に得られる半球状光硬化物パターンの高さばらつきを低減する効果がある。
本発明で用いる被印刷基材は、ガラス板、セラミックス板、フィルム、金属板、金属シート、紙から選択される少なくとも1種類の基材であることが好ましい。フィルムとしては、プラスチック製フィルムや金属製フィルム、表面にセラミックスや金属薄膜が形成されたプラスチック製フィルムなどの異種材料を積層したプラスチック製フィルムや金属製フィルムも含まれ、また、紙としては、繊維状物から形成されているものであれば何でも構わない。織布であっても不織布であっても構わない。繊維状物の材料として、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維等を挙げることができる。また、ガラス板として、表面にITO、酸化亜鉛等の電極材料の薄膜が被覆されているものであっても構わない。
本発明で用いる印刷方法として、フレキソ印刷法が最も好ましい方法である。フレキソ印刷法で用いられる印刷基材として、シリンダー等の円筒状支持体やスリーブ等の中空円筒状支持体上に形成された円筒状印刷基材や、シート状支持体上に形成されたシート状印刷基材を挙げることができる。フレキソ印刷版の表面には凹凸パターンが形成される。凹凸パターンの形成方法として、写真製版技術を用いて露光、現像工程を経てパターン化される方法、レーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより凹パターンが形成されるレーザー彫刻法を挙げることができる。写真製版技術を用いる方法では、感光性樹脂を露光マスクを通して露光して感光性樹脂組成物に潜像を形成し、未硬化部分を現像により除去する工程を経る。また、レーザー彫刻法では、従来、加硫ゴムが使用されていたが、レーザー彫刻性から近年では感光性樹脂を組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物を用いられるようになってきた。レーザー彫刻法において用いられる感光性樹脂組成物には、現像液へ溶解あるいは分散し易いという制約条件がないため、材料の選択範囲が広いという大きな利点がある。したがって、インキ中に含有される各種の溶剤に対する耐性の高い材料を開発することが容易となる。
本発明で用いる感光性樹脂組成物(d)は、数平均分子量が1000以上50万以下の樹脂(A)、数平均分子量1000未満の重合性反応基を有する有機化合物(B)を含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物(d)は20℃において液状であっても固体状であっても構わないが、成形性の容易さから20℃において液状であることが特に好ましい。
本発明において、これら重合性反応基を有する有機化合物(B)は、その目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。印刷基材として電子材料あるいは光学材料を塗布する場合、該電子材料あるいは光学材料に含まれる溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
感光性樹脂組成物(δ)より得られる印刷基材の機械強度を高めるためには、有機化合物(B)としては脂環族炭化水素骨格または芳香族炭化水素骨格を有する化合物を少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(B)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。
感光性樹脂組成物(δ)として熱硬化性樹脂組成物、加硫ゴム系材料を用いる場合には、熱を用いて樹脂硬化物を得る。高温の反応槽内に設置する方法、赤外線ランプ等を用いて直接加熱する方法等を挙げることができる。
樹脂(A)あるいは有機化合物(B)は、樹脂(a)や有機化合物(b)と同様、分子鎖中に存在する酸素原子あるいは窒素原子に対しα位に存在する水素原子を有する化合物、チオールのような硫黄原子に直接結合している水素原子を有する化合物を、感光性樹脂組成物全体量の少なくとも20wt%以上含有することが好ましい。より好ましくは40wt%以上である。
感光性樹脂組成物(δ)には、無機微粒子或いは無機有機複合微粒子を添加することができる。特に多孔質体、あるいは超微粒子であることが好ましい。多孔質体とは、粒子中に微小細孔を有する、あるいは微小な空隙を有する微粒子であり、表面の調整工程において樹脂硬化物層表面には熱がかかるため、切削、研削、研磨工程において発生する粘稠性の液状カスを吸収除去することに効果があり、表面のタック防止効果も有する。また、超微粒子とは数平均粒子径が5nm以上100nm以下の微粒子とする。超微粒子を添加することによっても、同様の効果が期待できる。
また、支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子など用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
成形された感光性樹脂組成物(δ)層は、光照射により硬化させ、感光性樹脂硬化物層を形成する。また、成型しながら光照射により硬化させることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。特にシート状あるいは円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、プラストマー樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状組成物などを挙げることができる。本発明では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、ある程度の機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
本発明の印刷基材の電子材料あるいは光学材料に含有される溶剤に対する耐溶剤性は、溶剤浸漬膨潤テストにて評価し、前記溶剤への浸漬前後の重量変化率が10wt%以下であることが好ましい。より好ましくは5wt%以下である。本発明における溶剤浸漬膨潤テストは、テストサンプルを室温において24時間、溶剤に浸漬して実施される。重量変化率が10wt%以下であれば、印刷基材の寸法変化が小さく、微細なパターンの印刷が可能であり、薄膜の均一塗布も可能となる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更に本発明のシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、あるいは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。
本発明の印刷基材は、印刷工程において長期間に渡り使用され使用頻度が極めて高かった場合などに、表面が若干磨耗し、表面の粗度が初期と変化する場合がある。その場合でも、印刷基材を再度、円筒状支持体上に固定し、表面を切削、研削、研磨等の手法を用いて調整することにより、印刷基材を再生することが可能である。
(1)数平均分子量の測定
樹脂(A)及び(a)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置「HLC−8020」(商標、日本国、東ソー社製)とポリスチレン充填カラム「TSKgel GMHXL」(商標、日本国、東ソー社製)を用い,テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調整し、注入量10μlとした。また、検出器としては、紫外吸収検出器を使用した。本発明の実施例或いは比較例で用いる樹脂(A)及び(a)は、GPC法で求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。
(2)粘度
感光性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(3)重合性不飽和基の数の測定
合成した樹脂(A)及び(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。
樹脂(A)として水添ポリブタジエンジオールとトリレンジイソシアネートとからウレタン化により両末端が水酸基のポリウレタンを合成し、更に、該ポリウレタンの両末端にメタクリロキシイソシアネートを付加させた不飽和ポリウレタンを作製した。合成された不飽和ポリウレタンの数平均分子量は、約20000であった。不飽和ポリウレタン78重量部、有機化合物(B)としてラウリルメタクリレート(分子量245)13重量部と1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(分子量226)3重量部およびポリプロピレングリコールジメタクリレート(分子量660)3重量部、光重合開始剤(C)として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン1重量部を混合し感光性樹脂組成物(ア)を調製した。感光性樹脂組成物(ア)の20℃における粘度は、35Pa・sであった。不飽和ポリウレタン末端の重合性不飽和基の数は、H−NMR法により2であることを確認した。
得られたレーザー彫刻用印刷原版を、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いてレーザー彫刻して、表面形状が四角形の凸パターン、すなわち四角錐台パターンを形成した。印刷版表面での四角形パターンの一辺の長さは10μm、底部での幅は20μmで、XY方向にピッチ100μmで10×10配列させた。また、形成したパターンの深さは50μmであった。
このようにして得られた感光性樹脂組成物(β)を、更に赤外線ヒーターを用いて約180℃で熱処理して溶融させることにより中央部が若干盛り上がった半球状の感光性樹脂組成物(γ)に変形させることができた。
次に、得られた感光性樹脂組成物(γ)の全面に超高圧水銀灯の光を照射し、光硬化させて半球状の光硬化物を得た。得られた半球状パターンの底面の直径は約6μm、高さは約6μmであった。得られた10×10配列の100個のパターンについて高さのばらつきは、平均値である5.7に対し±0.2μmの範囲であった。
液状インキを塗布してから半球状のパターンが形成されるまでに要した時間は、5分以内であった。
スペーサー形成用感光性樹脂組成物「オプトマーNN700」(JSR社製、商標)を、スピンコーター「1H−360S」(ミカサ社製、商標)を用いて、回転数を段階的に上げる条件で厚さ8μmに塗布し、その後、溶剤を乾燥除去し感光性樹脂層を形成した。この際、ガラス基板上に滴下したスペーサー用感光性樹脂組成物の重量とガラス基板上に残存した乾燥前のスペーサー用感光性樹脂組成物の重量から、95wt%のインキがガラス基板外に排出された。
その後、フォトリソグラフィーを用いて露光、現像工程を経てスペーサー用パターンを形成した。露光工程では、マスクアライナー「PLA−600」(キヤノン社製、商標)を用いて、ガラスクロムマスクを通して光を照射して潜像を形成し、その後アルカリ系現像液での現像工程、純水でのリンス工程を経てスペーサーパターンを形成した。得られたパターンの形状は円錐台状で、底面の直径が約7μm、上部の直径が約4μm、高さは約6μmであった。現像工程において、スピンコート法で形成された感光性樹脂層の95%は未硬化部として除去された。
スペーサー用感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布してから、スペーサーパターンが形成されるまでに要した時間は、10分以上であった。
Claims (14)
- 半球状光硬化物パターンを形成する方法であって、(i)感光性樹脂組成物(α)を含有する液状インキを、印刷法を用いて被印刷基材上の特定の位置に塗布する工程、(iii)塗布された感光性樹脂組成物を加熱することにより半球状に成形する工程、(iv)半球状に成形された感光性樹脂組成物(γ)の全面に高エネルギー線を照射し硬化させ半球状光硬化物パターンを形成する工程を含み、前記感光性樹脂組成物(α)が、樹脂(a)、有機化合物(b)、光重合開始剤(c)とを含有し、前記樹脂(a)が20℃において固体状であり、且つ数平均分子量が1000以上50万以下であり、前記有機化合物(b)が重合性官能基を有し、且つ数平均分子量が1000未満であることを特徴とする半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 工程(i)と工程(iii)の間に、更に、(ii)感光性樹脂組成物(α)を、固体状の感光性樹脂組成物(β)に変化させる工程を含む、請求項1に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 感光性樹脂組成物(α)を固体状の感光性樹脂組成物(β)に変化させる方法が、感光性樹脂組成物(α)中の溶剤成分を除去する方法である、請求項2に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 工程(iii)の後に、更に、該半球状化した感光性樹脂組成物(γ)を冷却する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 液状インキを塗布する方法が、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 感光性樹脂組成物(α)が、更に、有機珪素化合物および/又は有機フッ素化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 光重合開始剤(c)が、崩壊型光重合開始剤および水素引き抜き型重合開始剤を含むか、あるいは崩壊型光重合開始剤として機能する部位と水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位を有する化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半球状光硬化
物パターンの形成方法。 - 被印刷基材が、ガラス基板、セラミックス基板、金属製基板、フィルム、紙からなる群より選択される少なくとも1種類の基材である、請求項1に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 半球状光硬化物パターンが、液晶ディスプレイ用のスペーサー材料として使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 液状インキを塗布する方法がフレキソ印刷法であって、フレキソ印刷法で用いる表面に凸パターンを有する印刷基材が、写真製版技術を用いて前記パターンが形成された感光性樹脂印刷版であるか、あるいはレーザー彫刻法を用いて前記パターンが形成されたレーザー彫刻印刷版である、請求項1に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 工程(iii)において、感光性樹脂組成物を60℃以上200℃以下に加熱し、熱源が熱線、赤外線、マイクロ波から選択される少なくとも1種類の熱源である、請求項1から10のいずれか1項に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 工程(ii)で得られる感光性樹脂組成物(β)の厚さよりも、工程(iii)で得られる感光性樹脂組成物(γ)の厚さが厚い、請求項2に記載の半球状光硬化物パターンの形成方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で形成された半球状光硬化物パターン。
- 半球状光硬化物パターンの高さばらつきが、±5%以内の範囲である、請求項13に記載の半球状光硬化物パターン。
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