JP2008015054A - ホログラム異方性反射複合媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】レリーフホログラムにヘアライン条溝による異方性反射を合わせることで偽造防止効果のより高いホログラムを提供する。
【解決手段】レリーフホログラムパターンを透明樹脂8の裏面に有し、そのレリーフホログラムパターン面上に反射層9が設けられてなるレリーフホログラムにおいて、ホログラムレリーフパターンが設けられた面に異方性反射を誘起するヘアライン条溝12に対応する凸部が形成され、そのヘアライン条溝12に対応する凸部間の凹部の底面上にレリーフホログラムパターン11が形成されており、ヘアライン条溝12に対応する凸部とレリーフホログラムパターン11の面上に反射層9が設けられているホログラム異方性反射複合媒体。
【選択図】図2

Description

本発明は、ホログラム異方性反射複合媒体に関し、主にセキュリティ用途に使用されるホログラム異方性反射複合媒体に関するものである。
ホログラムの技術は、目視した際の視認性が特徴的で、かつ、その製造が困難なことから偽造防止分野で使用されてきた。しかし、ホログラム技術自体を取り扱う業者も増えており、一見それらしき偽造が出回るようになってきた。これらの対策として、通常の目視条件では絵柄が確認できないが、レーザー光を照射すると特定の絵柄を再現するレーザー光再生型のホログラムが提案されている(特許文献1、特許文献2等)。
一方、壁紙や床材等の建材の表面装飾や、家具の表面装飾のために用いる化粧シートにおいては、照りと称される光沢模様を表現するために、多数のヘアラインのパターンを直接化粧シートにエンボス加工したり、あるいは透明なシートにヘアラインパターンをエンボス加工してエンボスシートを作成し、そのエンボスシートを木目柄等の模様を印刷した化粧シートに貼り付けて積層構造とすることが広く行われている(特許文献3、特許文献4等)。このように、ヘアラインパターンをエンボス加工することによって照りが表現できる原理は概略次のようなものである。図3は、ヘアラインパターンをエンボス加工して万線条溝Gが形成されたシートEの斜視図であり、この例では、幅W1の万線条溝GがW2の間隔で多数形成されている。シートEの全体の厚みD1に対して、万線条溝Gは深さD2の溝を形成しており、多数の万線条溝Gが略平行に配置されている。このような万線条溝Gからなるパターンは、幅W1を持った凹部と幅W2を持った凸部との二段階の段差構造を有している。このような万線条溝Gが形成されたシートEは、その表面から得られる反射光の強度が位置によって異なることが知られている。つまり、異方性反射を行うのである。そして、このようなシートEを見る視線を連続的に変化させると、強く反射する箇所、すなわち、輝度が高く、明るく光る箇所が変化していく。これが照りの移動と称されるものである。
このような異方性反射を生じるヘアライン条溝を用いて立体像を表現することが特許文献5で提案されている。この原理を簡単に説明すると、図4に示すように、立体模様の原画像となる三次元構造体Mの表面に配置された多数の標本点Qと、これら各標本点Qの所定の記録面Sxy上への投影像に相当する多数の投影点Pとを定義し、各標本点Qのそれぞれについて法線ベクトルNを求め、各標本点Qについての法線ベクトルNの特定の方向に関する方向成分に対して相関を持った方位ベクトルVを、図5に示すように、記録面Sxy上の当該標本点Qに対応する投影点Pの位置に定義し、この記録面Sxy上に定義された多数の方位ベクトルVによって記録面Sxy上にベクトル場を形成し、図6に示すように、このベクトル場に沿った向きに配置された多数のヘアラインHを定義し、これらヘアラインHに相当するヘアライン条溝Gによって凹凸構造を形成するものである。このような凹凸構造が形成されたエンボス化粧シートでは、ヘアライン条溝Gによってベクトル場が表現されており、このベクトル場が、三次元構造体M上の個々の標本点Qについての法線ベクトルの特定の方向成分に相関関係を持った場となっているため、三次元構造体Mに応じた立体模様が観察されるものである。
特開2003−122233号公報 特開2003−122234号公報 特開平10−287033号公報 特開2000−27066号公報 特開2001−138700号公報
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、レリーフホログラムにヘアライン条溝による異方性反射を合わせることで偽造防止効果のより高いホログラムを提供することである。
上記目的を達成する本発明のホログラム異方性反射複合媒体は、レリーフホログラムパターンを透明樹脂の裏面に有し、そのレリーフホログラムパターン面上に反射層が設けられてなるレリーフホログラムにおいて、前記ホログラムレリーフパターンが設けられた面に異方性反射を誘起するヘアライン条溝に対応する凸部が形成され、そのヘアライン条溝に対応する凸部間の凹部の底面上に前記レリーフホログラムパターンが形成されており、前記ヘアライン条溝に対応する凸部と前記レリーフホログラムパターンの面上に反射層が設けられていることを特徴とするものである。
この場合に、前記異方性反射を誘起するヘアライン条溝が立体像を表現するものであることができる。
また、前記ヘアライン条溝に対応する凸部の幅Wと深さ(高さ)Dは、W=2〜50μm、D=1〜3μmの範囲にあることが望ましい。
また、前記レリーフホログラムパターンとしては、原画像のフーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして記録されたレリーフホログラムパターンからなっていても、他の計算機ホログラムパターンからなっていても、二光束干渉によるレリーフホログラムパターンからなっていても、レリーフ回折格子パターンからなっていても、さらには、レーザー光再生型ホログラムを記録した微小区域と回折格子を記録した微小区域とが2次元的に隣接配列されてなるパターンからなっていてもよい。
以上の本発明によると、ヘアライン条溝からの光沢模様の形状、位置等とレリーフホログラムからのホログラム再生像とを組み合わせることで偽造防止効果がより高まる。さらに、レリーフホログラムによる立体像表現、グラデーション表現と、ヘアライン条溝による光沢模様表現の相乗効果によりこれまでにないアイキャッチ効果が生まれる。
以下に、本発明のホログラム異方性反射複合媒体を実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明のホログラム異方性反射複合媒体の作製工程の1実施例を示す断面図である。まず、図1(a)に示すように、レリーフホログラム原版1を用意する。レリーフホログラム原版1としては、二光束干渉によって原画像を記録したレリーフホログラムの原版でも、計算機ホログラム(CGH)の一種である原画像のフーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして記録したレーザー光再生型ホログラム(特許文献1、2参照)の原版でもよい。
次いで、図1(b)に示すように、レリーフホログラム原版1のレリーフ面にフォトレジスト2を塗布する。フォトレジスト2としては、紫外線硬化型のものでも可視光硬化型のものでもよく、また、ポジ型でもネガ型でもよい。
次に、図1(c)に示すように、異方性反射を起こすようにデザインされたヘアライン条溝に対応する遮光パターン4が設けられているフォトマスク3を用意し、そのフォトマスク3をフォトレジスト2上に密着させ、フォトマスク3に所定の露光光5を照射することにより、フォトレジスト2にマスクパターンを焼き付ける。
ここで、例えば特許文献5に記載の方法を用いて異方性反射を起こさせる場合には、特許文献5に記載の方法に基づいて画像処理ソフトにより遮光パターン4をデザインし、その版下データを透明フィルムに出力してフォトマスク3が作製される。
図1に戻って、マスクパターンが焼き付けられたフォトレジスト2を現像することで、図1(d)に示すように、遮光パターン4に対応した部分6が残っているレジストパターン2’が形成される。
図1の例ではフォトレジスト2としてポジ型のものを使用しているので、露光光5が当たった位置に開口が形成されるが、フォトレジスト2としてネガ型のものを使用する場合は、フォトマスク3としてはヘアライン条溝に対応する開口が設けられたネガパターンを用いる。
図1(d)の状態では、レジストパターン2’の開口の底にレリーフホログラム原版1のレリーフ面が露出している。このレリーフ面の上にレジストパターン2’が設けられた状態のレリーフホログラム原版1の上に例えば紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射してその紫外線硬化樹脂を硬化させて剥離することで、露出されたレリーフ面とレジストパターン2’とが複製されてなる図1(e)のような樹脂版7が得られる。この樹脂版7が複製原版7として用いられる。
次に、図1(e)の複製原版7のレリーフパターン上に、例えば紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射してその紫外線硬化樹脂を硬化させて剥離することで、図1(f)に示すような複製品8が得られる。
複製品8のレリーフパターン上に、例えばアルミニウムからなる反射層9を蒸着することで、本発明によるホログラム異方性反射複合媒体10が得られる。
図2は、図1のような作製工程を経て得られたホログラム異方性反射複合媒体10の断面図である。このホログラム異方性反射複合媒体10には、透明な樹脂の複製品8の平面側から光が入射し、その反対側に設けられたレリーフパターン上の反射層9で反射あるいは反射回折され、複製品8の平らな面から反射回折光あるいは散乱反射光が出るものである。複製品8のレリーフパターンは、異方性反射を起こすヘアライン条溝12と、ヘアライン条溝12間の凸部の上面(裏面側から見ると凹部の底面)に設けられたレリーフホログラム11とからなり、レリーフホログラム11は、レジストパターン2’の開口部から露出しているレリーフホログラム原版1のレリーフ面を複製したものである。また、ヘアライン条溝12はフォトマスク3の遮光パターン4に対応するものである。ヘアライン条溝12は、ホログラム異方性反射複合媒体10の裏面側から見ると、溝ではなく凸条部となっている。
レリーフホログラム11のレリーフ面は、CGHの場合には、フーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして記録された多段構造のものであり、二光束干渉によって記録したレリーフホログラムの場合は、干渉縞に対応する正弦波状あるいはそれを多値化した多段構造のものであり、凹凸パターンのピッチpはp=0.1〜5.0μm、凹凸の深さtはt=0.05〜0.5μm程度である。また、ヘアライン条溝12は断面が略矩形状で、その幅Wと深さDがぞれぞれレリーフホログラム11の凹凸パターンのピッチp、深さtに比較して相対的に大きなものからなり、概ねW=1〜100μm、D=1〜10μmである。なお、特許文献5に記載の方法を用いて、立体像を表現する異方性反射を起こさせる場合には、ヘアライン条溝12の幅Wと深さDを略2:1の関係にすることで、最も有効な異方性反射を誘起することができる。
本発明のホログラム異方性反射複合媒体10は以上のような構成であるので、例えば白色光下で透明な複製品8の平面側から観察すると、レリーフホログラム11から再生されるホログラム再生像とヘアライン条溝12からの異方性反射による光沢模様とが重畳して観察できる。その光沢模様は視点位置の移動、照明方向の変化に伴って移動する。一方、ホログラム再生像は限られた視野範囲内及び限られた照明方向でのみ観察可能である。そして、フーリエ変換によるレーザ再生型ホログラムの場合、所定方向からレーザー光を照射することで、通常の目視条件では確認できない特定の絵柄をホログラム再生像として再現することができる。
したがって、ヘアライン条溝12からの光沢模様の形状、位置等とレリーフホログラム11からのホログラム再生像とを組み合わせることで、本発明のホログラム異方性反射複合媒体の偽造防止効果がより高まる。
さらに、レリーフホログラム11による立体像表現、グラデーション表現と、ヘアライン条溝12による光沢模様表現の相乗効果により、これまでのホログラムのみの立体表現やグラデーション効果に加え、新たな見た目効果が創造でき、これまでにないアイキャッチ効果が生まれる。
そして、図1の作製方法から明らかなように、レリーフホログラム原版1の作製と、異方性反射を起こすヘアライン条溝のフォトマスク3の作製は別工程で行われるため、既存のホログラム原版に異方性反射部を付加することも可能であり、初期費用を抑えて原版をつくることができる。また、異方性反射部を作製するに当たり高価な装置は不要であり、煩雑な作業や工程も少ないため簡易に作製することができる。
ところで、本発明のホログラム異方性反射複合媒体10は、ID(本人確認)用のカード、銀行等の預貯金カード、クレジットカード、身分証明書等として用いることができる。また、必ずしもカード形態ではない受験票、パスポート等として用いることができる。また、紙幣、金券、商品券、株券、証券、預金通帳、乗車券、航空券等、あるいは、交通機関や公衆電話用のプリペイドカードでも用いることができる。
また、本発明のホログラム異方性反射複合媒体10は、必ずしも情報を有していないが、ホログラム異方性反射複合媒体10を積層したことにより情報が付与された種々の物品に適用できる。種々の物品とは、例えば、高級腕時計、貴金属、宝飾品等の、いわゆるブランド品と言われる、世界的に著名な高級商品、それらの収納箱やケース等の物品であり、これらは通常、高価なものであるので、偽造の対象となりやすいものである。場合により、商品にぶら下げられるタグも、ホログラム異方性反射複合媒体10の基材となり得る。
音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、若しくは、ゲームソフト等が記録された記憶媒体、それらのケース等の物品にも、同様に、基材として、ホログラム異方性反射複合媒体10を積層し得る。これらは、必ずしも高価なものではないが、不正に大量複製されて市販されると、正規品の販売元が重大な損害を被る恐れがあるものである。
何れのホログラム異方性反射複合媒体10も、ホログラム異方性反射複合媒体10以外の部分が情報を有している場合と、情報を有していない場合とにかかわらず、ホログラム異方性反射複合媒体10を有することにより、ホログラム異方性反射複合媒体10の真正性を確認することにより、ホログラム異方性反射複合媒体10を有する基材の真正性を確認することが可能になる。
以上、本発明のホログラム異方性反射複合媒体を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、レリーフホログラム11のレリーフ面は、原画像のフーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして記録されたレリーフホログラムパターン、あるいは、二光束干渉によるレリーフホログラムパターンとして説明してきたが、他の形式のレリーフ型の計算機ホログラムパターンであってもよく、さらには、レリーフ回折格子パターンであってもよい。また、特許文献2等で提案されているレーザー光再生型レリーフホログラムを記録した微小区域とレリーフ回折格子を記録した微小区域とを2次元的に隣接配列されてなるものであってもよい。
本発明のホログラム異方性反射複合媒体の作製工程の1実施例を示す断面図である。 図1のような作製工程を経て得られたホログラム異方性反射複合媒体の断面図である。 ヘアラインパターンをエンボス加工して万線条溝が形成されたシートの斜視図である。 従来の異方性反射を生じるヘアライン条溝を用いて立体像を表現する原理を説明するための図である。 図4の記録面での方位ベクトルを示す図である。 ベクトル場に沿った向きに配置されたヘアラインを定義する図である。
符号の説明
1…レリーフホログラム原版
2…フォトレジスト
2’…レジストパターン
3…フォトマスク
4…遮光パターン
5…露光光
6…遮光パターンに対応した部分
7…樹脂版(複製原版)
8…複製品
9…反射層
10…ホログラム異方性反射複合媒体
11…レリーフホログラム
12…ヘアライン条溝
G…万線条溝(ヘアライン条溝)
E…シート
M…三次元構造体
Q…標本点
Sxy…記録面
P…投影点
N…法線ベクトル
V…方位ベクトル
H…ヘアライン

Claims (8)

  1. レリーフホログラムパターンを透明樹脂の裏面に有し、そのレリーフホログラムパターン面上に反射層が設けられてなるレリーフホログラムにおいて、前記ホログラムレリーフパターンが設けられた面に異方性反射を誘起するヘアライン条溝に対応する凸部が形成され、そのヘアライン条溝に対応する凸部間の凹部の底面上に前記レリーフホログラムパターンが形成されており、前記ヘアライン条溝に対応する凸部と前記レリーフホログラムパターンの面上に反射層が設けられていることを特徴とするホログラム異方性反射複合媒体。
  2. 前記異方性反射を誘起するヘアライン条溝が立体像を表現するものであることを特徴とする請求項1記載のホログラム異方性反射複合媒体。
  3. 前記ヘアライン条溝に対応する凸部の幅Wと深さ(高さ)Dは、W=2〜50μm、D=1〜3μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載のホログラム異方性反射複合媒体。
  4. 前記レリーフホログラムパターンが、原画像のフーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして記録されたレリーフホログラムパターンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラム異方性反射複合媒体。
  5. 前記レリーフホログラムパターンが、計算機ホログラムパターンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラム異方性反射複合媒体
  6. 前記レリーフホログラムパターンが、二光束干渉によるレリーフホログラムパターンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラム異方性反射複合媒体。
  7. 前記レリーフホログラムパターンが、レリーフ回折格子パターンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラム異方性反射複合媒体。
  8. 前記レリーフホログラムパターンが、レーザー光再生型ホログラムを記録した微小区域と回折格子を記録した微小区域とが2次元的に隣接配列されてなるパターンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラム異方性反射複合媒体。
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