JP5381445B2 - 微細線からなる立体表示画像 - Google Patents

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Description

本発明は、微細線からなる立体表示画像に関し、特にホログラム技術を用いて構成された立体的な回折格子模様及び、その回折格子模様が付された媒体であって、
その回折格子模様は、彩紋等の偽造防止に使用される模様を構成し、観察者がその観察角度を連続的に少し変化させるだけで、その模様が3次元空間において回転等の立体的且つ定まった動きを呈する、偽造防止性に優れた、微細線からなる立体表示画像及びその画像が付された媒体に関するものである。
その回折格子模様及び、その回折格子模様が付された媒体が真正なものであることを、その模様の「3次元空間における回転等の動き」によって判定するため、判定者が、その動きを判定しやすい30μm以上300μm以下の輝線(回折格子で構成する「微細線」。)であって、安定した輝度を有し、その重なる部分(回折格子の多重記録となる部分。)が最小限且つ、回転等の動きを捉えやすい形状を有する、光学的方法若しくは電子線描画法により形成された回折格子線群で構成される彩紋等を用いる。
本発明は、商品券、証券、株券などの金券類、クレジットカード、プリペイドカード、IDカードなどの各種カード、切符、紙幣、パスポート、身分証明書、各種証明書、鑑定書、認証書、公共競技投票券、ビデオソフト、パソコン用ソフトなど(以下、セキュリティ対象物という。)に使用されている真偽判定シート、シール、転写箔、スレッドなどの種々の偽造防止用媒体に用いられる。
一般に可視領域は、「紫」:380nm〜450nm、「青」:450nm〜495nm、「緑」:495nm〜570nm、「黄色」:570nm〜590nm、「橙色」:590nm〜620nm、「赤色」:620nm〜750nmと分けられているがその変化は連続的であり、この分類は一例とされる。
光学的方法若しくは電子線描画法等のホログラム技術を用いて構成された回折格子は、その回折格子を太陽光や、白色蛍光灯などの白色光源を用いて観察すると、その回折格子のもつ「回折格子角度」や「回折格子周期(ピッチ)」に応じて、その波長成分を分離した後、所定の角度に回折するため、観察者からはその観察する角度に応じた様々な色調を観察することができる。
通常は、その回折格子の一次回折光を観察しており、媒体上に設けられた所定の回折格子模様(回折格子領域で形作られた彩紋等の形状を意味する。)をある角度で「赤色の模様」として認識した後、観察角度を10度程度ずつずらすことによって、「黄色」、「緑色」、「青色」とその色の変化を確認することができる。
この回折格子模様の色調の変化する速さは、観察する角度を変化させる速度に応じたものであって、回折格子を連続的に変化させて形成(回折格子角度や回折格子周期を、照明光源の位置及び観察する角度に応じて、連続的に変化させる。)すると、同一色調の領域が回折格子形成面を所定の速度で移動するよう観察され、細かく連続的に変化させれば、その変化が滑らかなものとなる。この回折格子模様が微細線で構成されていると、この微細線が「輝線」として輝きながら動くため、その「動き」をより確実に捉えることが可能となる。
本発明は、この回折格子を両眼視差による立体視を生じるように形成して、回折格子模様を回折格子形成面から離して、3次元空間の中に浮き上がらせ、且つ、この空間に浮いている立体的な回折格子模様を、その空間の中の一点を中心とする球面(楕円体面を含む。)の位置に連続的に形成(点対称な位置等に所定の間隔で断続的に繰り返し形成することで、所定の面上を一定速度で滑るような効果を発現させる。)することにより、その観察角度を少しずつずらせた際、その回折格子模様が、その角度変化に応じて、3次元空間の中のその球面上を移動する(すなわち回転する)動きを、「赤色」から「青色」への色調変化と連動して、発現させることができるものである。
この確認、すなわち判定は、白色光源下でも十分可能であるが、LED等の単色光源を用いることにより、正確、且つ、確実に実施することができる。
この動きを分析して同一のものを作成するためには、3次元空間の動きを数値化した上で、計算機合成ホログラム技術に類似した複雑な処理を必要とするため、偽造することが非常に困難であるにも拘らず、あらかじめその3次元の動きを「真正性の証明パターン」として定義してあることで、また、その再現精度も高いことから、目視にて容易にその真正性を判定することができる、高い利便性と高い偽造防止性を有する偽造防止媒体を提供する。
(主なる用途)
本発明の微細線からなる立体表示画像の主なる用途としては、偽造防止分野、具体的には、クレジットカード等の、偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、各種証明書、鑑定書、認証書、入学試験等の各種受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や各種電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報や、本人識別等の情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれるが、その中でも、その確認方法が目視であって、その目視判定の真正性を証明する機能を有することが特に望まれるものに適用される。
また、上記した用途以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
これらのセキュリティ対象物に、目視判定可能な偽造防止体等を貼付等の形で付加し、その目視判定によって、そのセキュリティ対象物の真正性を証明する。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準である。
(背景技術)
従来、証券、紙幣等の金券には、偽造防止のために印刷による彩紋が使われている。従来の彩紋は、波状線等の細い線を複雑に組み合わせて作った幾何学的模様からなる。しかし、カラーコピー機の高解像度化、色再現性の向上により、こうした金券が偽造されることが増えてきた。
また、偽造防止性を高めるために、回折格子を用いた彩紋も実用化している。回折格子による彩紋は、光の動きを表現でき、また、2次元画像ではあるが高解像度で微細なパターンを表現できるため、高度な偽造防止手段として利用されることが多い。
しかし、従来、高度な偽造防止技術と思われていた回折格子の彩紋パターンも、現在では、顕微鏡による観察や光の動きの観察で記録されているパターンが分かり、また、レーザー2光束干渉による回折格子画像作成装置が普及してきたため、偽造が増えてきた。
ところで、従来、立体像が再生可能な計算機合成ホログラム(CGH)が知られている。そのようなCGHの作成手法には、概略2つの方法があり、その1つは非特許文献1、2等で知られた物体表面を点光源の集合で置き換える方法である。もう1つは、特許文献1、非特許文献3等で知られたホログラフィック・ステレオグラムの方法である。
ここで、代表的なものとして、前者の物体表面を点光源の集合で置き換える方法を説明する。CGHの例として、干渉縞の強度分布を記録したバイナリホログラムであって、再生像が水平方向の視差のみを持ち、上方からの白色光で観察される場合について、その概要を説明すると、図1に示すように、ステップST1で、CGH化する物体の形状で定義される。次いで、ステップST2で、物体、CGH面、参照光の空間配置が定義される。次いで、ステップST3で、物体は、水平面でのスライスにより垂直方向に分割され、さらにスライス面上で点光源の集合に置き換えられる。そして、ステップST4で、これらの空間配置に基き、CGH面上に定義された各サンプル点において、物体を構成する各点光源から到達する光と参照光との干渉縞の強度が演算により求められ、干渉縞データが得られる。次に、ステップST5で、得られた干渉縞データは量子化された後、ステップST6で、EB描画用矩形データに変換され、ステップST7で、EB描画装置により媒体に記録され、CGHが得られる。
この干渉縞の計算の際に、隠面消去処理等が行われる。隠面消去処理とは、ある視点から物体を観察したときに、手前の物体に隠される部分を見えないようにする処理であり、この処理により物体の重なり合いの情報が網膜像に付加され、立体感を得ることができる処理である。
なお、このような物体表面を点光源の集合で置き換える方法によるGGHにおいて、白色光で再生した場合にカラーを再現するものも、特許文献2で提案している。
特許文献3には、ホログラム中に、局所的に見たときに少なくとも2本の立体的な線状のパターンであって、2本の立体的な線状のパターンの中、1本の線状のパターンが、他の線状のパターンと手前側で交差する部分と奥側で交差する部分とを各々1か所以上有するように再生可能に記録されてなる立体彩紋を提示している。
すなわち、線状のパターン相互が交差する部分の奥側の部分の情報の存在が気付かれ難く、さらに、ルーペ等の拡大観察手段で拡大して観察しても、通常の観察方向ではその存在が気付かれ難く、さらに、カラーコピー機ではこの情報が複写できず、さらには、回折格子画像作成装置では偽造できないので、彩紋の偽造防止効果が高い。さらに、このような立体彩紋を転写箔あるいはラベルとして構成し、これを転写あるいは貼り付けた証券、紙幣等の書類とすることもできる。
特許第3,155,263号公報 特開2000−214751号公報 特開2004−133330号公報
「画像ラボ」1997年4月号(Vol.8,No.4)34〜37頁 「3次元画像コンファレンス'99−3D Image Conference'99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」 ホログラフィック・ディスプレイ研究会(日本光学会、応用物理学会)主催「第3回Hodic講演会講演論文集」(平成8年11月15日、日本大学駿河台キャンパス1号館第二会議室)、論文「ホログラフィック・ステレオグラムのための2次元画像列生成の高速化」
以上述べた回折格子等による彩紋は、その形成面上に固定されたものであり、部分的には光の動きを表現できるものの、その光の動きは、固定された彩紋デザイン上を、照明光源の形をした光る領域部分(線状の蛍光灯の場合は線状の領域となる。)が、虹の移動のように動くのみであり、記録した彩紋は立体感をもたず、また微動もせず、光の動きと彩紋の形との間にはなんら関連性を持たない。
また、特許文献3における立体彩紋は、彩紋を計算機合成ホログラム等で構成し、立体的に表現してあり、一部に隠し情報を含ませる等の工夫がされているものの、彩紋そのものは、動く効果に乏しく、ましてや、立体的な彩紋が移動したり、回転するかのような動き(効果)を発現する技術は提案されていない。
以上のように、偽造防止用の「彩紋」と称されているものは、例えれば、従来技術である紙面上への凹版印刷等と同様に、彩紋が媒体(紙面)上に固定されており、その印刷厚さの微妙な変化を有するのみであって、カラーコピー機による複写が困難であって、「同一物の作製が困難」というハードルを持つものに過ぎず、目視にて観察する上で、その見え方に大きな変化はなく、目視判定によってその真正性の判定が容易に確実に可能という観点ではややセキュリティ性に劣っていた。
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、これまでの目視判定用の「彩紋」には存在しない新たな効果を奏するものであって、観察する角度を少しずらすだけで、彩紋そのものが回転するように動くものである。そして、両眼視差による擬似立体感を利用することによって、3次元物体そのものの計算機合成ホログラム処理よりもその処理負担を低減でき、且つ、立体像そのものがより明るく鮮明なものとなり、さらに、その「動き」として、3次元空間内を定めた速さ、位置関係において高い再現性を有して動かせることが可能となり、目視にて容易に信頼性の高い真正性の判定ができる、微細線からなる立体表示画像及び、その立体表示画像が付された媒体を提供する。
上記の課題を解決するために、
本発明の第1の態様は、
1の回折格子角度及び1の回折格子周期を有する回折格子が、微細線で表される形状を
基本形状として持つ1つの回折格子領域を形成しており、
当該基本形状と同一形状の回折格子領域が、1つの点を中心として回転方向に断続的に複数形成され、
前記回折格子領域の各々の領域を形成する回折格子が同一の回折格子周期dと、断続的に変化する回折格子角度θを持つ回折格子領域の集合体で構成される微細線からなる立体表示画像であって、
前記回折格子領域の各々の領域に接して、前記回折格子角度θに対して回折格子角度がαだけ異なる(回折格子角度=θ+α)、前記基本形状と同一形状の隣接回折格子領域が、隣接する領域と領域の少なくとも一部が重なるよう設けられていることを特徴とする
本発明の第2の態様は、
1の回折格子角度及び1の回折格子周期を有する回折格子が、微細線で表される形状を
基本形状として持つ1つの回折格子領域を形成しており、
当該基本形状と同一形状の回折格子領域が、1つの点を中心として回転方向に断続的に複数形成され、
前記回折格子領域の各々の領域を形成する回折格子が同一の回折格子周期dと、断続的に変化する回折格子角度θを持つ回折格子領域の集合体で構成される微細線からなる立体表示画像であって、
前記回折格子領域の各々の領域に隣接して、前記回折格子周期dに対して回折格子周期がd0だけ異なる(回折格子周期=d+d0)、前記基本形状と同一形状の隣接回折格子領域が、隣接する領域と領域の少なくとも一部が重なるよう設けられていることを特徴とする
発明の第3の態様は、
請求項1記載の微細線からなる立体表示画像において、各々の領域を形成する回折格子が、同一の回折格子角度θと、断続的に変化する回折格子周期dを持つことを特徴とする
発明の第4の態様は、
請求項2記載の微細線からなる立体表示画像において、各々の領域を形成する回折格子が、同一の回折格子角度θと、断続的に変化する回折格子周期dを持つことを特徴とする
発明の第5の態様は、
微細線からなる立体表示画像において、隣接する回折格子領域が、各々の領域を水平方向へ所定の移動Dをしたものであり、前記移動Dが40μm〜400μmの範囲内であることを特徴とする
彩紋とは、直線、曲線、波線状、弧、又は円などを組み合わせた幾何学的な模様をいい、そのデザインの複雑さ、さらには、凹版印刷による彩紋のように、細線の太さが徐々に細くなったり、筆毛書きのように複数の線に分かれたりしたものをいうが、本発明における微細線であらわされる形状(基本形状を意味する。)は、ホログラム技術(以下の説明には、電子線描画方法を用いる回折格子形成方法を用いて説明する。)を用いて構成された立体的な回折格子模様であって、その回折格子模様は、観察者がその観察角度を連続的に少し変化させるだけで、その模様が3次元空間において回転等の立体的且つ定まった速さの動きを呈するものをいう。
すなわち、3次元空間における中心点のまわりに回転する模様であって、単色(単一波長)の光源で観測すると、所定の観察条件下で一つの模様のみが観察され、所定方向へ観察角度を変えるとその模様が消えて、所定角度回転した位置にあるその基本形状と同一形状の(別の)模様が観察され、所定方向にさらに観察角度を変えると、元の模様及び所定角度回転した位置にある模様が消えて、さらに回転した位置にある同一形状の(さらに別の)模様が観察されて、最後に、点対称形の模様では、180回転し、模様内に無い点を中心とした回転では360度回転して、元の位置に戻る動きを観察することができる。
すなわち、「断続的に形成」とは、「3次元空間内で、所定の方向に所定の間隔で飛び飛びに形成」してあることを意味する。
この動きは、両眼視差による立体感を持って観察されるため、
所定の模様(「基本形状を持つ回折格子領域」と、「その基本形状と同一の形状を有し、観察する両眼に対して水平方向に所定の距離で隣接して、なお且つ、その基本形状の回折格子と所定の関係を有する回折格子からなる回折格子領域」、との間の中央に位置するように見える「その基本形状と同一形状の回折格子領域」が記録面から、観察方向に対して奥側もしくは手前側に浮いて見える、その模様を意味する。)
が、記録面から離れた3次元空間の一点もしくは一つの線を中心に回転するように観察される。個々の模様が3次元空間内に浮いているように観察される場合には、その動きは数学的な点対称もしくは線対称から僅かにズレたものとなっているが、「目視判定」という観点からは十分な対称性を持っており、その動きを「判定要素」として使用可能である。もちろん、観察される3次元空間内の立体配置は容易に算出可能であるので、この結果を元に、回転して観察される立体配置が厳密な点対称や線対称となるよう設計することも可能である。
但し、目視判定では、奥行きについての判定精度が、観察する方向に対して垂直な面内での動きに対する判定精度より劣るため、目視判定における回転の対象性は、もっぱらその垂直面内での対象性が重要となる。
回転する動きは、
3次元形状を有する物体が、3次元空間において回転する場合と、微細線状の模様が同一空間内で回転する場合を比較すると、微細線状の模様の方がその動きを鮮明に且つ正確に捉えることができる。ましてや、3次元形状を有する物体が、光源の照明により結像させた「光の物体」である場合には、この差が顕著となる。
また、微細線状の模様の場合には、微細線で表された形状の端から端まで明るく再生することが可能であって、隠面消去処理等の必要もなく、真正性判定に適している。
さらに、計算機合成ホログラムにより3次元空間を回転する3次元形状を有する物体の干渉縞を記録面に「多重記録」により形成した場合と異なり、「輝線」であるがゆえに、非常に明るく、その明るさが均一であって、また、「細い線」であるがゆえに、回折格子を形成する領域が重なる部分を最小限に抑えることができるとともに、計算機処理の処理時間を大幅に短縮できる。
従って、真正性の判定において、必須である、立体表示画像及びその動きの再現性の精度、及び再生画像の明確さ、シャープさを持ち合わせている。
例えば、線幅100μmの一つの楕円曲線を想定すると、その曲線上の回折格子の仕様として、回折格子角度を10度、回折格子周期を1.4μmの一様な回折格子とし、赤色LED光源を用いて、所定の観察条件下で、高い回折効率の赤色の楕円曲線を観察することができるが、その楕円曲線に隣接して、水平方向200μmの位置(線間隔100μm。)に同一線幅、同一形状の回折格子からなる楕円曲線を形成し、且つ、その回折格子の仕様を、回折格子角度25度、回折格子周期を1.4μmとすると、この二つの楕円曲線を所定の観察条件下で観察すると、回折格子形成面より浮き上がり、一つの明るい輝線からなる楕円曲線が空中に浮いているように見える。
このような楕円曲線の対を、最初の楕円曲線の中心点の周りに、30度づつ回転し、且つ回折格子周期を1.4μmとしたまま、回折格子角度を10度ずつ増加させて形成すると、所定の観察条件下において、最初に垂直方向0度の楕円曲線が、空間中に浮いて見え、その形成面を10度傾けると、30度回転した位置の楕円曲線が輝き、と同時に、最初の楕円曲線が消失するため、観察者には、その楕円曲線が所定の中心点の周りに所定の速度で30度回転したごとく観察され、さらに10度傾けるとさらに回転運動を続けるように観察される。
このとき、水平方向の距離200μmを、180μmとすると、30度回転すると同時に手前側に近づいてくるように観察され、60度、90度、120度、150度と回転させると同時に、水平方向の距離を、160μm、140μm、160μm、180μmとすると、一定速度で回転する楕円曲線が一定の速度で、一旦近づき、再び遠ざかるように観察される。
すなわち、形成面とは離れた空間中の一点を中心として、3次元空間中を回転するように観察される。奥行きを変化させた場合は、その対称性は失われるが、回転する動きは十分認識できる。
これらの動きは、一般的な観察環境(例えば、商品取引場所、事務手続き場所等。)での複数の蛍光灯下や、拡散光源(拡散板を介した照明等。)の下では、この微細線からなる立体表示画像を観察した際の6本の楕円曲線状の模様(複雑な虹色に輝いて見えるのみ。)からは想像できない動きであり、且つ、その動きは、白色光源でも1本のみの蛍光灯下や、1つの白熱電球、さらには、簡易なペンライト程度の光源で容易に且つ正確に目視観察できるものである。
同様に、この所定の移動Dを固定値D0とすると、このD0は、楕円曲線の位置(上部、中部、下部等。)によって任意の値をとることができるが、それらの値の組(相関する位置関係。)を、他の楕円曲線と同一の組とすることを意味し、その場合は、空間内で奥行き方向に傾いたり、曲線そのものが手前や奥へ変形したものと観察される3次元曲線が、同一の傾きや変形状態を維持しつつ、上記したように回転するように観察される。この場合は、一般的な観察環境で6本の楕円曲線がより複雑な色調に見えるものの、所定の光源下では手前側と奥側に所定の変形をしたまま一定の速度で回転するように観察されるとは予想もつかず、その意外性を高めることができる。
この場合、実際の記録時には、基本形状を有する模様を記録面に形成し、その位置から固定値(例えばD0)だけ記録面上を水平移動した位置に基本形状と同一形状の模様を記録することになるが、本発明において、「1つの点を中心として回転方向に断続的に複数形成され」とは、この2つの同一形状の中央に1つの仮想的な同一模様を1つの点を中心として回転方向に断続的に複数位置決めし、その左右に1/2D0だけ水平移動したところに2つの同一形状の回折格子領域を記録することになる。これが2つ(偶数の場合は同様。)の回折格子領域を隣接する場合であるが、3つ(奇数の場合は同様。)の回折格子領域を隣接した設ける場合には、中央に一つの基本形状の回折格子領域を実際に記録するので、その中央の一つの基本形状が「1つの点を中心として回転方向に断続的に複数形成され」ることを意味するものとなる。
さらに、移動Dを、各楕円曲線において、ランダムに設定すると、この回転運動は楕円曲線が手前や奥に切り替わるだけでなく、楕円曲線そのものが複雑な変形動作を示すなど、非常に複雑且つ不思議な動きとなり、もはや、その「動き」の観察から回折格子の詳細を解析するということは物理的に不可能とすることができる。
しかも、真正性判定者は、その「動き」に関する情報をあらかじめ知っているため、その全体の回転速度を確認してもよいし、部分的な動きを確認して、若しくはその組み合わせを持って確認してその真正性を判定することができるため、偽造防止性が高く、目視判定の容易な立体的な回折格子模様及び、その回折格子模様が付された媒体を提供することができる。
また、上記した楕円曲線の中心点でなく、その曲線で囲まれた空間の外側に中心点を取り、楕円曲線全体が、その中心点のまわりに回転するように設定すると、例えば、中心点から水平方向20mmで、奥側へ5mmの位置に長径10mm短径3mmの楕円曲線を置き、この楕円曲線が、180度回転したときに、水平方向(−20)mmで手前側へ5mmの位置を通過する3次元空間内の楕円体面上を回転するように設定することができる。このとき、回折格子形成面上の多重記録部分を最小とするため、楕円曲線の長軸を45度方向へ傾ける。
この動きは、これまでの彩紋からは想像のつかない動きであり、より偽造防止性が高いものとなる。
基本となる回折格子の形状そのものが小さいものであれば(例えば、小さい星マークのような彩紋等)、3次元空間内の球面上を動かせることが可能であり、その等速度で対称性の高い滑らかな動きは真正性判定をより容易なものとする。この場合は、一つの星マークの動きだけでなく、多重記録領域が増加しない範囲で、2つ若しくはそれ以上の星マークを同時に、それぞれの速度でそれぞれの方向に動かせることができる。
上記した、中心点の周りに回転する点対称模様としては、この再現性精度及び再生画像の明確さを確保するため、各領域の回折格子の多重記録範囲を最小限に抑えることが可能なものとする。
すなわち、中心点を通過する一本の直線は中心点のみで重なるが、回転方向に2本の微細直線を有するものは、1つの同心円上に複数の多重記録領域を持つことになる。従って、中心点近くでは、中心点を通過する一本の直線であって、中心点から離れた位置で複雑な形状を有するものとすると、最も多重記録領域が小さくなる。
また、目視にて回転の動きを認識しやすい形状として、細長い楕円形、細長いひし形等があり、アスペクト比(長辺/短辺の比)が3以上あるものを用いることができる。この場合は、多重記録領域が10箇所以上発生するため、その領域において以下の処理を行う。
多重記録領域について、2本線の重なり部分は、10μm〜50μm角の回折格子領域を市松模様状に形成することで、各線の明るさを確保することができる。3本線以上の重なりについては、それぞれ3分割、4分割等とする。10μm角以下では、その領域内にある回折格子群の干渉効果が望めず、回折光が暗いものとなる。50μm角以上では、その市松模様が目視にて明るさのムラのように観察され、真正性判定に不向きである。
微細線の幅は、「輝線」として目視判定をするため、50μm以上必要であり、隣接する領域の対応する部分と同一の幅とする。この幅が異なると、両眼視差による立体視において、回折格子形成面からの距離感が不安定となる。
従って、線幅や、距離感、そして動きを精度よく観察可能とするためには、電子線描画による高いパターン形状精度及び、回折効率を一定とする高精度なフォトレジスト工程による凹凸形状の均一性、さらには、高精度な物理的凹凸の複製工程、そして、均一な反射性を有する反射膜形成工程等が必要となる。回折効率にして数%異なると判定精度に影響がでる。
回転の動きを目視判定する際に、鮮明な動きとするために、回転方向0度から180度乃至は、0度から360度の間に、同一の形状を持つ回折格子領域(一つの彩紋等。)を3から18個形成する。3個未満では、回転の動きを認識できず、18個を超えると、回転の動きが非常に滑らかになるものの、微細線の重なり部分が非常に多くなることにより、立体視及び領域が表示する領域そのものが不鮮明になる。均等な角度で5個から9個形成することにより、非常に鮮明、且つ、動きが滑らかで、その動きの速さを確実に認識可能なものとなる。
目視判定をするため、参照光原は、可視領域(例えば380nm〜750nm。)のものを想定し、その照明下における微細線による立体表示画像の回転を観察する。
すなわち、セキュリティ対象物上に設けられた本発明の微細線からなる立体表示画像を、想定される真正性判定場面、例えば、上方の白色点光源もしくは、一本の白色蛍光灯のもとに、そのセキュリティ対象物を45度傾けて、そのセキュリティ対象物から30〜40cm離れた位置から目視にて観察した際、そのセキュリティ対象物をゆるやかに−30度〜+30度へと連続的に傾けたときに、微細線幅を確実に認識でき、従って1つの回折格子領域、すなわち、その微細線で表された一つの立体表示画像を隅から隅まで認識して、その回折格子領域が、その領域の中心の周り(もしくは、所定の空間内の中心の周り)に、例えば180度乃至は360度回転するような動きを認識することができ、しかも、その時、その回折格子領域が、あたかもその形成面から離れて浮き上がっており、回転しつつ近づいたり、離れたり、若しくは、遠近方向に傾いたりするという意外な動きを醸し出すものである。
遠近方向の動きを含めることにより、同一の動きを観察手段のみから再現することは、物理的に不可能であり、そういう意味で偽造防止性が高いものとなっている。
しかも、その動きは、設計段階で詳細に決定可能であり、出来上がった後は、その詳細な動きを真贋判定において容易に確認することができる。
さらに、その偽造防止性を高めるため、
観察角度をゆっくり変えると、一瞬全ての立体表示画像が消える角度を存在させることも可能であり、その存在を確実に判定可能とするため、観察角度幅で5度〜10度程度の間、画像再生がされないように、回折格子領域の回折格子角度(10度〜20度)もしくは、回折格子周期(0.2μm〜0.4μm)を不連続とすることができる。
また、観察角度をゆっくり変えると、動きが止まる角度が存在するように、回転方向の次の回折格子領域をその回折格子領域に接して(重ねるように)設けることもできる。
さらに、隣接距離を一部異ならせて、形状が奥行き方向に一部変形するようにして、その変形部分を真正性判定のポイントとすることもできる。
この場合には、隣接距離Dに対して、一部領域(回転の動きの中で、飛び出す部分を認識できる大きさとして、線分長さにして、10mm〜20mmが望ましい。)をD/2〜D/5とするか、その一部領域のDを回転方向で一つ前の回折格子領域のDと同一として、その一部領域のみが回転上取り残されたように観察させることができる。
さらには、上記、消える角度、止まる角度が、セキュリティ対象物上の印刷等のデザインと同調し、デザイン上の特定の数字や文字等を示す位置でこの現象を起こし、その数字や文字が、何らかの「隠し情報」の「答え」を示唆するものとなっている等の応用も可能である。例えば、円状に印刷されたランダムな数字の中央に本発明の立体表示媒体を形成し、彩紋がその円の内側を回転するようにして、上記消える角度乃至は、止まる角度に該当する「数字」が、懸賞の「当たり」に相当し、「はずれ」として他の数字を示すものを多数混入させる等の偽造の困難な「くじ」として使うこともできる。
観察条件は、本発明の記録媒体を確認する一般的取引場所や、事務的作業を行う事務所における蛍光灯による照明等、且つ、目視判定を想定して、記録媒体から浮き上がる距離は5mm以内が望ましい。
上記の例では、線幅100μmの一つの楕円曲線を想定し、その曲線上の回折格子の仕様を、回折格子周期1.4μmの一様な回折格子とし、回折格子角度を変化させたが、逆に、回折格子角度を一定とし、回折格子周期を0.6μm〜1.6μmへと変化させても同様の効果が得られる。回折格子領域の形状により、回折格子の回折効果のより最適な方(すなわち、回折効率の高さ、及びその一定性を考慮する。)を選択する。
また、両眼視差を引き出す隣接する回折格子領域の回折格子角度、若しくは、回折格子周期は元の回折格子領域の回折格子角度に対して、回折格子角度を所定角度(±5度〜±45度。)変化させたものであってもよいし、回折格子周期を所定量(±0.05μm〜±0.40μm。)変化させたものであってよい。0.05μm未満、もしくは0.40μmを超えるともはや両眼視差を認識しづらい。0.05μm未満の変化では、やや立体感に乏しく、0.4μmを超える変化では、別の回折格子領域と認識しやすくなる。さらに、この範囲内でも、0.10μm〜0.20μmの変化量が最適である。
いずれも、回折効率の高さと一定性を考慮して選択する。
回折格子は、同一長さの凹凸形状が多く並ぶほど高い回折現象を発生し、10周期以上さらには30周期以上あることが望ましい。
回折格子領域が曲面の多い微細線からなる場合には、その曲面に垂直な角度を有する回折格子には(回折格子の長さが一定であるので。例えば、幅は100μmと一定。)、回折格子周期を変化させ、その曲面の接線に平行な回折格子の場合には、回折格子角度を変化させることで(直交するように変化させる。)高く安定した回折光を得ることができる。
発明の第の態様は、
回折格子記録媒体が、上記いずれかの態様の微細線からなる立体表示画像が形成されたものであることを特徴とする。
発明の第1〜の態様において、その回折格子は、所定の回折格子模様に対して設定する空間配置等により算出した回折格子に関するデータを、電子線描画データ編集PCに入力して、電子線描画装置の電子線描画データに編集し、電子線装置を用いて、電子線描画レジスト上に記録し、現像処理を行って、回折格子原盤を得る。この回折格子原盤を、基材と透明樹脂を積層したレリーフ形成用シート上に重ねて、所定の加熱・加圧により複製を行い、透明樹脂上に所定の回折格子のレリーフ(立体的な回折格子模様)を形成した後、反射性薄膜を形成し、粘着剤を塗布して回折格子ラベル(回折格子模様が付された媒体)すなわち、回折格子記録媒体とすることができる。もちろん、転写箔として転写形成することもできるし、スレッドとして紙媒体等に漉き込むこともできる。
この回折格子記録媒体は、種々のセキュリティ対象物に貼付等することができ、セキュリティ対象物の真正性判定に用いることができる。
本発明によれば、これまでの目視判定用の「彩紋」には存在しない新たな効果を奏するものであって、観察する角度を少しずつずらしていくだけで、彩紋そのものがある空間中の点を中心として定まった回転をするように動くものであり、且つ、両眼視差による擬似立体感を利用して、3次元物体そのものの計算機合成ホログラム処理よりもその処理負担を大幅に低減できる上、立体像そのものがより明るく隅々まで鮮明なものとなり、さらに、その「動き」は、3次元空間内を定めた速さ、定めた位置関係において高い再現性を持って動くものであって、簡易な光源もしくは、一般環境下において照明環境を選ぶことにより、目視にて容易に信頼性の高い真正性の判定ができる、微細線からなる立体表示画像及び、その立体表示画像が付された媒体を提供する。
従来の計算機合成ホログラム(CGH)による物体表面を点光源の集合で置き換える方法を示す図。 本発明の基本形状の一例である楕円曲線を(その中心点の周りに)所定の回転方向に並べた図。 本発明の立体表示画像の一実施例を示す図。(両眼視差を発現する例。一部のみ記載。残りの部分省略。) 本発明の立体表示画像の他の実施例を示す図。(両眼視差を発現する例。移動Dを一定値とした。一部のみ記載。残りの部分省略。) 本発明の立体表示画像の他の実施例を示す図。(両眼視差を発現する例。移動Dを変化させて空間内の一点を中心に3次元空間内を回転する例。一部のみ記載。残りの部分省略。) 本発明の回折格子記録媒体の作成方法。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
本発明に用いられる回折格子は、可視光光源(例えば380nm〜750nmの波長を持つ光源。)に対して回折現象を生じるものであり、回折格子周期は0.6μm〜1.6μmであって、その回折格子深さは、0.1μm〜0.4μmの凹凸構造をしており、その回折格子領域を10mm角内に一様に形成した際、回折効率が20%以上であるものを用いる。
回折格子は、図6に示す回折格子記録媒体作成工程により、作成される。
本発明に用いられる立体的な回折格子模様は、彩紋のような偽造防止に使用される模様等であって、直線、曲線、波線状、弧、又は円などを組み合わせた幾何学的な模様を用いる。
本発明の実施形態を説明するため、以下では、単純な「楕円形状」をその模様の一例として用いる。
図2には、その単純な一つの楕円形状の中心点を回転の中心として、6つの楕円形状A〜Fを重ね合わせたものを表している。この楕円形状は、幅100μmの一様な回折格子で形成されているものとする。
回折格子の仕様は、回折格子角度0度(水平)、回折格子周期1.2μmである。微細線内の部分的な向き(方向)としては、0度方向(水平方向)を向いている領域は僅かであり、ほとんどが90度方向(垂直方向)を向いているため、安定した高い回折光を得ることができる。その楕円形状を30度、60度、90度、120度、150度回転した位置に形成するが、それぞれ、回折格子角度を10度ずつ時計回りの方向へ回転したものを用いるため、30度回転した楕円形状のものは回折格子角度10度、60度の楕円形状のものでは回折格子角度20度、90度回転した楕円形状のものは回折格子角度30度等々となっている。
これに対して、この回折格子変化を回折格子周期とすると、90度回転した楕円形状の回折格子仕様が、回折角度0度で回折格子周期が0.9μm(例えば、1.2−0.3=0.9。)である回折格子となり、かなりの回折格子線が楕円形状の水平部分において、その長さが非常に短いものから長いものへと変化することになり、不均一な回折光となる。従って、この例の場合は、回折格子周期を一定として回折格子角度を変化させる方が望ましい。
この回折格子模様に、さらに両眼視差による立体感を付与するため、図3にあるように、一つの楕円形状に隣接して、それぞれもう一つの楕円形状を設ける。この隣接する距離は楕円形状の上部と下部でその大きさが異なる。例えば上部の水平方向の移動Dは150μmであって、下部の水平方向の移動Dは250μmとなっている。回折格子の仕様は、元の楕円形状の回折格子角度に対して、それぞれα度(例えば15度)だけ加えたものとなっている。
(一部のみ表示。その他の部分は省略してある。)
図3の回折格子を所定の照明下で観察すると、回折格子形成面より浮き上がった位置に楕円形状に輝く細線を観察することができる。この場合は、楕円形状の上部が回折格子面に近く、楕円形状の下部が回折格子面より離れている。さらに、単色光源であるLEDを用いて観察すると、所定の角度で元の楕円形状(回転角度0度)の回折格子が空中に斜めに浮いた状態で一様に同色を呈し、観察角度を徐々に変化させると回転角度0度の回折格子が消えて、回転角度30度の楕円形状が同様に空中に浮いた上体で同色を呈する。同様にして、観察角度を一定の速さで変化させると、楕円形状もすり鉢状の器の中の壁面上を一定速度で滑るように回転する状況を確認することができる。これによって、この「すり鉢状の動き」をあらかじめ所定情報として得ている判定者には、この立体的な回折格子模様を有する回折格子記録媒体が真正なものであることを容易に判定することができる。
以上のごとく、6つの楕円形状の回折格子仕様を、回折格子角度変化・周期固定若しくは回折格子角度固定・周期変化としてもよいし、もちろん回折格子角度変化・周期変化としてもよい。さらに、このそれぞれに対して、隣接する楕円形状の回折格子仕様を、回折格子角度増減タイプとしてもよいし、回折格子周期増減タイプとしてもよい。その変化割合は、上記と同様の範囲とする。
また、移動Dを、それぞれの楕円形状に対して、それぞれ異なる値(ランダムな値。例えば、上部を250μm、150μm、300μm等々とし、下部を130μm、120μm、250μm等々。図示せず。)とすると、楕円形状が回転しつつ、楕円形状の上部や下部がそれぞれ別々に手前へ動いたり、後方へ動いたりする複雑な動きを呈するが、「この動き」をあらかじめ所定情報として得ている判定者には、上記と同様に、この立体的な回折格子模様を有する回折格子記録媒体が真正なものであることを容易に判定することができる。
このことは、楕円形状の上部と下部の移動Dの変化を同一(上部250→200→150等々、下部350→300→250等々。図示せず。)として形成すると、楕円形状がその傾きを維持しつつ回転しながら、回折格子形成面に近づいたり遠ざかったりする動きを観察することができる。
さらに、中心点を上記した楕円形状の中心点でなく、その曲線で囲まれた空間の外側に中心点を取り、楕円形状全体が、その中心点のまわりに回転するように設定すると、例えば、長径5mm短径2mmの楕円形状が、回折格子形成面上の1点を中心点として、その周りの半径4mmの球面上を左下から右上に向かって回転するように設定することもできる。この場合、回折格子の重なりを低減するため、その楕円形状の長軸を左45度に傾けると同時に、左下と右上には配置しないようにして(左下、右上の位置にくると楕円形状の側面しか見えないため、楕円形状の曲線そのものが重なるため。)、所定の角度を向いている楕円形状をそれぞれの位置に配置する球面処理を行う。移動Dもその配置に従った値をとることになる。
観察者は、楕円形状が、3次元空間中の半径4mmの球体面上をなぞるように等速度で動く状況を観察することができる。その精度の高い空間対象性は、容易に得られるものでないことから、真正なものでることを容易に判定できる。
もちろん、より大きさの小さい楕円形状、例えば、長径1mm短径0.3mmのものを同一の球体面上を直交する方向に動かすことで、その判定精度を高めることができる。
両眼視差による立体視について、隣接する楕円形状を一つ設け、1対とする方法を上述したが、より立体感を醸し出すため、2対〜4対とすることもできる。いずれも、左右対称とすることが望ましく、2対であれば、その4つの楕円形状間の距離を、左から120μm、150μm、120μmと、4対であれば、40μmの微細線に対して、50μm、50μm、55μm、60μm、55μm、50μm、50μmとする。
また、元の楕円形状を中心として、同様に左右に1対〜4対を形成することもできる。中心に楕円形状があることで、より明るさ及び安定性が増す。
この隣接する楕円形状の回折格子仕様は、1対であれば、左側を−15度とし、右側を+15度、2対であれば、左側を−20度と、−10度、右側を+10度、+20度と対象にする。3対、4対も同様に設定できる。
元の楕円形状を中心に置く場合は、これらの中心に回折格子角度0度のものを設定する。
また、回折格子周期により立体視をさせる場合には、1対であれば、左側と右側の周期差を0.2μm(1.0μmと1.2μm。)、2対であれば、左側と右側の周期差を0.1μm、0.2μm(0.95μm、1.0μm、1.1μm、1.15μm。)とする。3対、4対及び、元の楕円形状を中心に置く場合も同様に設定することができる。
微細線幅については、3次元空間に浮いた状態においても安定した輝度を発する必要があることから、その幅は50μm以上である必要がある。この幅は、複雑な形状をする彩紋においても、その曲線の接線方向に50μmを確保して、その輝度を維持する。その輝度はほぼその幅の大きさに比例するが、輝線の位置を表すためのものであるため、その位置を確認できるレベルを維持しておれば十分である。従って、立体的な運動を認識しやすくするため300μm以下とし、且つ、3次元空間の回転運動において、その微細線を斜視する必要がある場合は、例えば、100μm幅のものが、70μmや60μmとなることもある。この場合も最小値が50μm未満とならないように設定する。
次に、図6のごとく、これら所定の回折格子模様に対して設定する微細線の空間配置等により算出した隣接回折格子を含む全回折格子に関するデータを、電子線描画データ編集PC(パーソナルコンピューター)に入力して、電子線描画装置を動作させる電子線描画データに編集し、編集データを電子線装置に入力することにより、あらかじめ準備した電子線描画レジスト上に、電子線描画装置を用いて、所定の露光(記録)を行い、現像処理を行って、回折格子原盤を得る。
生成した凹凸形状を精密に写し取るため、金属薄膜等を介せず、直接、硬化タイプの樹脂を用いて精密複製を行い、電子線レジスト上の凹凸を忠実に再現した複製原盤を得る。
(回折格子記録媒体)
回折格子記録媒体を作成するためには、まず透明基材上に、上記した凹凸を精密に複製可能な透明樹脂をコーティングした複製用シートを用いる。
透明基材としては、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、回折格子記録媒体のシート、ラベル、及び転写シートを製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものを使用する。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材の厚さは、同様の配慮から、5〜50μm、特に5〜15μmとすることが望ましい。転写シートを形成する際、透明基材に、通常用いられる酢酸セルロース樹脂やメタクリル樹脂等からなる剥離層を設けても良い。
(回折格子形成層)
回折格子形成層を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化樹脂等の各種樹脂材料が選択可能である。例えば、熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独、または2種類以上の共重合体として使用することができる。また、これらの樹脂は単独、または2種類以上を各種イソシアネート樹脂や、ネフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱または紫外線硬化剤を配合してもよい。また、電離放射線硬化型樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。このような電離放射線硬化型樹脂に架橋構造、粘度調整等を目的として、他の単官能または多官能モノマー、オリゴマー等を抱合させることができる。
回折格子形成層は、上記した複製用原盤の型面を上記の樹脂材料に押し付けることによる賦型によって形成する。
型面に未硬化の熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を密着させたまま、加熱または電離放射線照射により硬化を行い、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面に精密な回折格子の微細凹凸を形成することができる。
電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、好ましくはポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示できる。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
(回折格子形成層の形成)
回折格子形成層の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂を主成分とし、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、透明基材上に、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどコーティング方法で塗布し乾燥して、微細凹凸を賦型後に電離放射線で反応(硬化)させればよい。回折格子形成層の厚さは、通常、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μmである。
回折格子形成層には、反射層を設けてもよい。その凹凸面に追従するように反射性薄膜層を形成する。この薄膜層は、入射した光を反射する必要があるため、回折格子形成層よりも高い屈折率を有する薄膜層であれば、特に限定されない。
反射性薄膜層としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成される金属薄膜などの可視光をほぼ全波長域に渡り反射する金属光沢反射層、又は、特定の波長の光のみを反射するため、観察方向等により透明に見える透明反射層のいずれも用いることができるが、金属光沢反射層を部分的に設けたり、透明反射層を設けた場合は、その透明反射層を通してセキュリティ対象物のデザイン等を確認できるので好ましい。
反射性薄膜層を形成するための金属材料としては、Al、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Mg、Sb、Pb、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、もしくはRb等の金属、またはそれら金属の酸化物もしくは窒化物等を用いることができ、これらのうちから1種もしくは2種以上を組み合わせ用いることができる。これらの中でも、Al、Cr、Ni、Ag、またはAu等が特に好ましく、その膜厚としては1nm〜10,000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜200nmである。
また、反射性を高めるために、透明反射層を付加してもよい。透明反射層は、微細凹凸面へ、透明反射層へ設けることにより、回折効果を高める。透明反射層としては、真空薄膜法などによる透明反射層である。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率が回折格子形成層形成層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できる。例えば、回折格子形成層形成層よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上混合したもの等が例示できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、回折格子形成面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
(粘着層・接着層)
接着層としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
粘着性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、酢酪酸ビニル樹脂、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ウレタン樹脂等がある。
もしくは、熱接着性と共に、粘着性をも有する粘着性接着層としては、粘着性と熱接着性を有するアクリル系樹脂やゴム系樹脂、又は粘着性樹脂と熱接着性樹脂との混合物などが適用できる。
これらの樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1〜30μmの層を得る。セキュリティ対象物の表面がフィルムシートの様に平滑な場合は、1〜5μmの厚さが好適。
セキュリティ対象物の表面が、紙や布のように30μm以上の表面粗さを持つ場合には、粘着層・接着層の厚さとしては、5μm〜30μmの厚さ、さらには、20μm〜30μmの厚さが好適となる。
剥離層を有す転写シート構成の場合は、セキュリティ対象物の表面の所定の位置に、転写シートを重ね、所定の加熱・加圧後、透明基材を剥離して、所望の形で回折格子形成層を転写することにより、回折格子記録媒体を転写することができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶剤を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
図2のごとく、微細線幅を40μmの6つの楕円形状を重ね合わせたものにおいて、基本形状である水平の楕円形状をAとし、時計回りに、B、C、D、E、Fとしたとき、
A、B、C、D、E、Fの
長径:20mm、短径:5mm
回折格子周期 :全て1.0μm
回折格子角度 :−5度、5度、15度、25度、35度、45度
とし、
それぞれに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :1.0μm
回折格子角度(−15度):−20度、−10度、0度、15度、20度、30度
と設定した。
図2において、微細線が重なる部分は、「2本の微細線が重なる箇所」として「48箇所」あるが、隣接する6つの楕円形状を重ね合わせると、全体で「240箇所」あるため、この部分については、それぞれの微細線の回折格子を、20μm角の市松文様状に交互に形成した。
これらの回折格子に関するデータを、電子線描画データ編集PC(パーソナルコンピューター)に入力して、電子線描画装置を動作させる電子線描画データに編集し、編集データを電子線装置に入力することにより、あらかじめ準備した電子線描画レジスト上に、電子線描画装置を用いて、所定の露光(記録)を行い、現像処理を行って、回折格子原盤を得た。
厚さ50μmの透明基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)の片面に物理特性の高い電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、上記回折格子原盤の型面を接触させたまま電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、厚さ5μmの回折格子形成層及び回折格子の微細凹凸を形成した。この微細凹凸の上に、反射性アルミニウム薄膜100nmを真空蒸着法により設け、この反射性アルミニウム薄膜形成面に、下記組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が20μmになるように、塗工し70℃で乾燥させて、粘着層を形成した後、直径25mmの円形シール状として、実施例1の回折格子記録媒体を得た。
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
これを、商品券の上に貼付し、拡散板を介した複数の蛍光灯下で観察すると、6つの楕円形状が虹色に見えるのみであったが、簡易なペンライトで観察すると、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」を鮮明に確認することができた。
この「動き」の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。
(実施例2)
楕円形状A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を、
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :0.8μm
回折格子角度 :A、B、C、D、E、Fと同一
とした以外は全て、実施例1と同様にして、実施例2を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」を鮮明に確認することができた。
この「動き」の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。
(実施例3)
楕円形状A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を、
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6μm
回折格子角度 :A、B、C、D、E、Fと同一
とした以外は全て、実施例1と同様にして、実施例3を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」を鮮明に確認することができた。
この「動き」の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。

(実施例4)
楕円形状A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を、
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6μm
回折格子角度(−15度):−30度、−10度、10度、30度、50度、70度
とした以外は全て、実施例1と同様にして、実施例4を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」と、動きに合わせて色調が変化することを鮮明に確認することができた。
この「動き」及び色調の変化の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。
(実施例5)
A、B、C、D、E、Fの
長径:20mm、短径:5mm
回折格子周期 :0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6μm
回折格子角度 :全て5度
とし、それぞれに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :A、B、C、D、E、Fと同一
回折格子角度(−15度):−10度
とした以外は全て、実施例1と同様にして、実施例5を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」を鮮明に確認することができた。
この「動き」の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。
(実施例6)
A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期(+0.1μm)
:0.7、0.9、1.1、1.3、1.5、1.7μm
回折格子角度 :全て5度
とした以外は全て、実施例1と同様にして、実施例6を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」を鮮明に確認することができた。
この「動き」の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。
(実施例7)
A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を
移動D :120、160、200、240、280、320μm
回折格子周期 :1.0μm
回折格子角度(−25度):−30度、−20度、−10度、5度、10度、20度
及び、元の楕円形状と隣接する楕円形状の中間にもう一つずつ、
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :1.0μm
回折格子角度(−15度):−20度、−10度、0度、15度、20度、30度
と設定した以外は全て、実施例1と同様にして、実施例6を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が実施例1より少し強くなっており、AからFへ一定の速さで回転しつつ、一定の速さで形成面から遠ざかって元に戻る「動き」を鮮明に確認することができたとともに、立体視できる角度(視野角)が拡がっていることを確認できた。
この「動き」の仕方により、その商品券が真正なものであると判定できた。
(比較例1)
A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状を設けなかったこと以外は全て、実施例1と同様にして、比較例1を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転したものの、立体的な動きはなく、その商品券が真正なものであると判定することはできなかった。
(比較例2)
A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を
移動D :100、200、400、600、800、1000μm
回折格子周期 :1.0μm
回折格子角度(−15度):−20度、−10度、0度、15度、20度、30度
と設定した以外は全て、実施例1と同様にして、比較例2を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転したものの、A、B、Cまで立体的に動く様子を確認できたが、D、E、Fは、立体的な動きではなく、2つの楕円形状が輝いていると観察されその商品券が真正なものであると判定することはできなかった。
(比較例3)
A、B、C、D、E、Fに隣接する楕円形状の移動D、回折格子周期、及び回折格子角度を
移動D :60、80、100、120、140、160μm
回折格子周期 :1.0μm
回折格子角度(A、B:−15度、C、D:−40度、E、F:−50度)
:−20度、−10度、−25度、−10度、−15度、―5度
と設定した以外は全て、実施例1と同様にして、比較例3を得た。
実施例1と同様に観察したところ、回折格子記録媒体を傾ける動きに応じて、楕円形状の輝線が、AからFへ一定の速さで回転したものの、A、Bまで立体的に動く様子を確認でき、C、Dでも立体感を持った動きを確認することができたが、E、Fでは、立体的な動きではなく、2つの楕円形状が輝いていると観察され、その商品券が真正なものであると判定することはできなかった。
(評価結果)
実施例1〜7は、楕円形状が立体的に回転する動きを確実に判定することができた。特に実施例4は動きと併せた色調変化も確認でき、実施例7では、輝度の強まりと視野角の広がりをも確認することができた。
また、観察光源として、一本の蛍光灯下、一つの白熱灯下、ハンディタイプのLED光源においても判定が可能であった。
比較例1は、立体的な動きが全く無く、比較例2及び3も一部立体感を確認できたものの一部は立体視できず、単なる2つの楕円形状の輝線を確認できるのみであり、真正性確認には不十分と思われた。
ST1〜ST7 :計算機合成ホログラム(CGH)作成のための各工程
A,B,C,D,E :楕円形状の回折格子
1 :各々の領域(回折格子領域。隣接回折格子領域を1つずつ形成した場合)
2 :隣接回折格子領域(1つずつ形成した場合)
3 :各々の領域(回折格子領域。隣接回折格子領域を2つずつ形成した場合)
4 :隣接回折格子領域(2つずつ形成した場合の右側)
5 :隣接回折格子領域(2つずつ形成した場合の左側)
ST10〜ST18 :回折格子記録媒体作成のための各工程

Claims (6)

  1. 1の回折格子角度及び1の回折格子周期を有する回折格子が、微細線で表される形状を基本形状として持つ1つの回折格子領域を形成しており、
    当該基本形状と同一形状の回折格子領域が、1つの点を中心として回転方向に断続的に複数形成され、
    前記回折格子領域の各々の領域を形成する回折格子が同一の回折格子周期dと、断続的に変化する回折格子角度θを持つ回折格子領域の集合体で構成される微細線からなる立体表示画像であって、
    前記回折格子領域の各々の領域に接して、前記回折格子角度θに対して回折格子角度がαだけ異なる、前記基本形状と同一形状の隣接回折格子領域が、隣接する領域と領域の少なくとも一部が重なるよう設けられていることを特徴とする微細線からなる立体表示画像。
  2. 1の回折格子角度及び1の回折格子周期を有する回折格子が、微細線で表される形状を基本形状として持つ1つの回折格子領域を形成しており、
    当該基本形状と同一形状の回折格子領域が、1つの点を中心として回転方向に断続的に複数形成され、
    前記回折格子領域の各々の領域を形成する回折格子が同一の回折格子周期dと、断続的に変化する回折格子角度θを持つ回折格子領域の集合体で構成される微細線からなる立体表示画像であって、
    前記回折格子領域の各々の領域に隣接して、前記回折格子周期dに対して回折格子周期がd0だけ異なる、前記基本形状と同一形状の隣接回折格子領域が、隣接する領域と領域の少なくとも一部が重なるよう設けられていることを特徴とする微細線からなる立体表示画像。
  3. 前記各々の領域を形成する回折格子が、同一の回折格子角度θと、断続的に変化する回折格子周期dを持つことを特徴とする請求項1記載の微細線からなる立体表示画像。
  4. 前記各々の領域を形成する回折格子が、同一の回折格子角度θと、断続的に変化する回折格子周期dを持つことを特徴とする請求項2記載の微細線からなる立体表示画像。
  5. 前記隣接回折格子領域が、前記各々の領域を水平方向へ所定の移動だけ移動したものであり、前記移動Dが40μm〜400μmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の微細線からなる立体表示画像。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の微細線からなる立体表示画像が形成されたことを特徴とする回折格子記録媒体。
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