以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示す回路パターン検査装置の検査対象1は、例えば、液晶ディスプレイパネルやタッチ式パネルであり、ここでは、ガラス製の基板3上に配設された回路パターンとしての櫛歯状導電パターン2の良否(導電パターンの断線状態、および導電パターン相互の短絡状態)を検査する。なお、櫛歯状導電パターン2は、例えば、これらのパネルにおける張り合わせ前の導電パターンであり、その導電性材料として、例えば、クロム、銀、アルミニウム、ITO等が使用されている。
図1において、制御部15は、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置の全体の制御を行う、例えばマイクロプロセッサであり、検査シーケンスを統括的に制御する。ROM18には、後述する基板検査手順を含む制御手順がコンピュータプログラムとして格納されている。また、RAM17は、制御データ、検査データ等を一時的に格納するための作業領域として使用するメモリである。なお、RAM17の代わりにハードディスクドライブ等の他の記憶手段を用いても良いことは言うまでもない。
ユニット5は、非接触方式で櫛歯状導電パターン2に所定周波数の交流信号を供給可能な給電部12と、検査対象の導電パターン2がオープン状態(パターン断線状態)か否か等を非接触方式で検出するセンサ13と、センサ13が検出した微弱な信号を増幅するための増幅器(アンプ)20からなる。また、ユニット5は、非接触方式で検査を行うため、櫛歯状導電パターン2と所定距離離間した位置に位置決めされる。
撮像装置としてのカメラ50には、図示しないレンズとCCDラインセンサ(一次元イメージセンサ)とが備えられており、櫛歯状導電パターン2に図示しないライン照明装置から照明を当て、この照明による櫛歯状導電パターン2からの反射光をレンズを介してCCDラインセンサが受光して櫛歯状導電パターン2の画像信号を画像処理装置51に送る。なお、図1におけるカメラ50は簡略化して図示されているが、カメラ50に備えられたレンズとCCDラインセンサにより、導電パターン2a〜2e(図2等を参照)に対して平行な方向全体を一次元画像として撮像することが可能である。また後述するように、駆動部16が検査対象1を載置しているステージ14全体を所定方向(導電パターン2a〜2eに対して垂直な方向)に移動させることにより、検査対象基板全体の画像を撮像するようになっている。
画像処理装置51は、カメラ50からの画像信号をアナログ信号からディジタル信号にA/D変換した後、例えば2値化回路で2値化信号に変換して櫛歯状導電パターン2の測定画像データとして制御部15に送る。この後、制御部15に送られた櫛歯状導電パターン2の測定画像データはRAM17に保管され、ROM18もしくはRAM17に保管された不良のない櫛歯状導電パターン2の基準画像データと比較されて、短絡、突起、断線、欠落等が検出される。なお、櫛歯状導電パターン2の測定画像データは、制御部15から表示部25に送られて表示可能に構成されている。また、検出された短絡、突起、断線、欠落等は、検査対象基板上の不良箇所の位置情報として、例えば(X,Y)座標でRAM17に保管される。
なお、この不良箇所の位置情報は、本実施の形態例においては、液晶ディスプレイパネル用のガラス製の基板3であれば通常設けられている座標原点を基準として、例えば導電パターン2a〜2eに対して垂直な方向をX方向とし、導電パターン2a〜2eに対して平行な方向をY方向として説明する。また、不良箇所の位置情報の演算は、例えば駆動部16に設けられたエンコーダによる検査対象1の移動距離をX座標とし、CCDラインセンサ上の位置をY座標とすることで求められる。
駆動部16は、制御部15からの制御信号を受けて、検査対象1を載置しているステージ14全体を所定方向に所定の速度で移動させることで、ユニット5とカメラ50とが、非接触状態で検査対象1の櫛歯状導電パターン2の導電パターン2a〜2eを順次走査できるようにしている。そのため駆動部16は、μmオーダーでステージ14を所定方向へ移動する。
なお、本実施の形態例では、検査対象1が載置されたステージ14を移動すると説明しているが、ステージ14を移動させる代わりに、ユニット5とカメラ50とを所定方向へ移動させて、検査対象の導電パターン等を順次、走査できるようにする構成としても良い。
給電部12には、検査信号の発振器である信号生成部10が接続されており、本実施の形態例では、例えば、200kHzの高周波信号が給電部12に対して出力されている。また、給電部12は、上述したように非接触方式で櫛歯状導電パターン2に交流信号を供給するため平板プレートを備えている。そのため検査信号は、給電部12と導電パターン間の容量結合を介して導電パターンへ供給される。同様に、導電パターンへ供給された検査信号は、導電パターンとセンサ13間の容量結合を介して、導電パターンからセンサ13へ到達する。
給電部12とセンサ13は、ユニット5内において互いに近接した状態で配置されており、ユニット5が、検査の対象である導電パターンの一端部に配されながら、例えば、図2において矢印で示す方向へ移動するように、ステージ14の駆動制御が行われる。このようにすることで、基板3上に櫛歯状に配された導電パターン2a〜2eのオープン状態等を個別に検査できる。
なお、給電部12の長さは、例えば40mmであり、センサ13の長さは、例えば2mmである。また、これら近接配置された給電部12とセンサ13については、センサ13が給電部12からの検査出力信号の影響を直接受けないように、例えば10mmの間隔が空けられている。
増幅器20は、センサ13で検出された微小な信号を所定の増幅度で増幅するため、例えば、演算増幅器(オペアンプ)等で構成されている。本実施の形態例では、ユニット5内においてセンサ13の直後に増幅器20を配することで、検出信号に対する外来ノイズ等の影響を排除している。
増幅器20からの出力信号は、信号処理部21へ送られる。この信号処理部21は、増幅後の交流信号を直流レベルの信号に変換する波形処理や、アナログ信号をデジタル信号に変換する等の変換処理を行う。そして、制御部15は、信号処理部21で処理して得られた結果と、あらかじめ設定した基準値とを比較し、処理結果が基準値以上か否かを判定する。この判定結果は、制御部15から表示部25へ送られる。また、この判定の結果、処理結果が基準値以上となった検査対象1の導電パターンの位置情報はRAM17に保管される。なお、処理結果が基準値以上となった検査対象1の導電パターンの位置情報の演算は、例えば駆動部16に設けられたエンコーダによる検査対象1の移動距離をX座標とすることで求められる。
なお、上述した検査の結果、カメラ50と画像処理装置51とにより得られた櫛歯状導電パターン2の測定画像データと、不良のない櫛歯状導電パターン2の基準画像データとの比較により検出された短絡、突起、断線、欠落等の不良箇所の位置情報は、(X,Y)座標としてRAM17に保管されており、また、センサ13で検出された信号を処理して得られた結果と、あらかじめ設定された基準値との比較により判定された、処理結果が基準値以上となった検査対象1の導電パターンの位置情報は、X座標としてRAM17に保管されている。
このうち、(X,Y)座標として保管されている、カメラ50と画像処理装置51とで得られた櫛歯状導電パターン2の測定画像データから検出された短絡、突起、断線、欠落等は、例えば回路パターンの一部が膨らんでしまったといった短絡はしていないが正常ではない箇所や、回路パターンの一部が欠けてしまったといった断線はしていないが正常ではない箇所や、または回路パターン上の微細な異物や傷といった、補修の必要なしに液晶ディスプレイ装置としての性能を維持することが可能であるような不良も検出されている。
また、X座標として保管されている、センサ13で検出された信号を処理して得られた結果をもとに判定された、櫛歯状導電パターン2の電気的な短絡と断線は、導電パターン2a〜2eのうちのどの導電パターンが断線や短絡をしているかは、X座標により特定することは可能ではあるが、特定された導電パターン上のどの箇所が断線や短絡をしているかの特定することが不可能であった。
よって本実施の形態例では、制御部15は、電気的な短絡と断線をしている導電パターンの位置情報をセンサ13で検出された信号から得られたX座標によりとして特定し、当該導電パターン上のY座標上のどの箇所が電気的な短絡と断線をしているかの特定は、測定画像データから検出された複数の短絡、突起、断線、欠落等の(X,Y)座標のうち、X座標が同じである短絡、突起、断線、欠落等のY座標を利用して特定する。
表示部25は、例えば、CRTや液晶表示器等からなり、制御部15から送られた櫛歯状導電パターン2の測定画像データや、櫛歯状導電パターン2の導電パターン2a〜2eのうちの不良箇所がある導電パターン(センサ13で検出された信号を処理することにより得られた電気的な短絡と断線をしている導電パターン)のパターン番号やX座標等や、電気的に短絡または断線している導電パターン上のY座標や、または、単に検査対象基板の良否等を、検査員が解る形式で可視表示する。なお、検査結果の表示は、可視表示に限定されず、音声等の形式で出力してもよい。また、可視表示と音声を混在させてもよい。
次に、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置における電気的な短絡と断線とを検査する検査原理について説明する。図2は、上述した給電部12とセンサ13を内蔵するユニット5と、検査対象(導電パターン)との位置関係を示す平面図である。図3は、正常な導電パターンにおけるユニットと導電パターンを流れる検査信号の測定結果の一例を示す図である。一方、図4は、導電パターンにオープン箇所がある場合における、ユニットと導電パターンを流れる検査信号の測定結果の一例を示す図である。
図2に示すように、基板(図1参照)上には、検査すべき櫛歯状導電パターン2が配されており、その櫛部分に相当する導電パターン2a〜2eは、その一端が開放され、基部がショートバー4で短絡された構成を有する。また、給電部12とセンサ13を内蔵してなるユニット5は、図2に示すように検査時において導電パターン2a〜2eの開放端近傍に配され、矢印方向に移動することで、導電パターン2a〜2eそれぞれのオープン状態の有無を判定する。
本実施の形態例に係る回路パターン検査装置では、基板検査の際、ガラス製の基板3の上に櫛歯状導電パターン2が配された検査対象1全体をステージ14に乗せており、そのステージ14は電気的に接地されている。そのため、櫛歯状導電パターン2の各導電パターン2a〜2eには、ガラス3とステージ14を含んでなる容量(キャパシタ)が等価的に接続されていることになり、給電部12からの信号電流は、各導電パターンを介して、これらの容量へ流れ込む。
図7は、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置における検査信号の流れを模式的に示す回路図である。図7において、抵抗R1,R2はそれぞれ、非接触状態にある給電部−導電パターン間の結合容量、導電パターン−センサ間の結合容量に相当するインピーダンスである。また、R3は、増幅器20の入力インピーダンス、R4は、ステージと接地(アース)間の容量に相当するインピーダンスである。
R1,R2は、空気ギャップに相当するため高いインピーダンス値を有し、増幅器の入力抵抗であるR3も高抵抗である。また、R4は、ショートバーを含む導電パターンの接地インピーダンスであるため、そのインピーダンス値は、R1,R2等に比べて非常に小さい。例えば、本回路パターン検査装置における検査信号の周波数に対して、R1,R2が500kΩ、R3は100kΩ、R4は500Ω〜1kΩである。
そこで、導電パターンが正常な場合(オープン箇所がない場合)、給電部10から供給された検査交流信号は、上述した抵抗の分割比に従い、R1と導電パターン2を介して、インピーダンスの小さいR4に流れ込む(図7では、その電流をiで示す)。しかし、導電パターンにオープン箇所があれば、検査信号の大部分が、R2を介して増幅器20へ流れる。
すなわち、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置では、増幅器20に流れ込む電流i’による入力抵抗R3における電圧降下の値を求め、それが基準値以上か否かをもって導電パターンの断線の有無を判定している。
検査対象である櫛歯状導電パターン2の導電パターン2a〜2eのいずれにもオープン箇所がない場合、図3(a)に示すように、ユニット5が矢印方向に所定距離だけ移動すると、それぞれの移動位置(位置III,V,VII,IX)の直下にある導電パターンに交流信号が供給され、その電流が図7に示すR4に流れ込む。
図3(b)は、いずれの導電パターンにもオープン箇所のない正常な場合におけるセンサ13での信号検出レベルを示している。図3(b)において、横軸はユニット5の移動距離(μm)、縦軸はセンサ13による検出電圧レベル(mVpp)(より具体的には、センサ13で検知し、増幅器20の入力抵抗R3に現れた電圧値である)。
ユニット5のセンサ13は、上述したようにセンサ13と導電パターン間の容量結合を介して、それぞれの導電パターンを流れる信号を検出するが、導電パターンが正常な場合、R3に流れ込む電流はほとんどないため、その検出レベルは非常に小さい。しかし、検出電圧のレベルは小さくても、ユニット5が移動して、検査対象の導電パターン上に位置するときレベルが最大となり、ユニット5が導電パターン上にないときは、電圧レベルが低下するという状態が繰り返される。
すなわち、図3(a)に示すように、ユニット5が矢印方向へ移動して、導電パターン上に位置するとき(図中の位置I,III,V,VII,IXに対応)は、図3(b)に示すように、センサ13での検出電圧レベルが最大になる。また、ユニット5が、隣接する導電パターンの間に位置する(つまり、その直下に導電パターンがない)ときには、センサ13で検出される電圧レベルが低下する(図中の位置II,IV,VI,VIII,Xに対応している)。
一方、検査対象である導電パターンにオープン箇所がある場合、例えば、図4(a)に示すように導電パターン2bにおいて、符号41で示す箇所がオープン状態になっている場合について説明する。この場合、ユニット5が導電パターン2a上に位置するとき(位置I)、給電部12からの交流信号の大部分が、導電パターン2aを介して、インピーダンスの小さいR4(図7参照)に流れ込む。このときのセンサ13での検出電圧レベルは、図4(b)において“位置I”に対応して示すレベルとなる。
ところが、ユニット5が、一部にオープン箇所41のある導電パターン2b上に位置したときには(このときのユニット位置は、図4(a)に示すように“位置III”である)、給電部12からの交流信号は、オープン箇所41があるため阻止され、R4に流れ込むことはない。
この場合、図6に示すように、給電部12から供給された交流信号iは、その大部分が、給電部12→給電部12−導電パターン2b間の結合容量C1→導電パターン2b→導電パターン2b−センサ13間の結合容量C2の経路を辿ってセンサ13に達することになる。つまり、検査対象の導電パターンにオープン箇所がある場合、給電部12からの交流信号のうち大部分の電流(i’)が、その給電部12に近接して設けたセンサ13を経由して、増幅器20の入力抵抗R3に流れ込む。
その結果、センサ13で検出され、増幅器20の抵抗R3に現れた、“位置III”における電圧レベルは、図4(b)に示すように、通常状態(導電パターンにオープン箇所がない正常なとき)に比べて著しく上昇する。例えば、通常状態での検出レベルを1とした場合、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置におけるユニット5のセンサ13での検出レベルは、7〜8となる。
そして、ユニット5がそのまま所定方向へ移動して、導電パターン2b上から導電パターン2c上に達したとき(位置V)、給電部12からの交流信号は、そのパターン2cが正常であるため、インピーダンスの小さいR4(図7参照)に流れ込む。また、これ以降においてユニット5が走査するいずれの導電パターンにも、図4(a)に示すようにオープン箇所がないので、図3(b)に示す場合と同様、ユニット5の位置に対応して、センサ13における検出電圧レベルの上昇と低下が繰り返される、という検査結果が得られることになる(図4(b)参照)。
なお、上述した例では、検査対象である導電パターンの一端が開放され、その基部がショートバーで短絡された構成を有するとして説明したが、導電パターンの構成は、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、ショートバーを有しないパターンにおいても、ユニット5によって導電パターン2a〜2eを順次、走査することによって、上記と同じ原理でパターンの良否を判定できる。特にパターン長が長い場合、その等価的な回路は、ショートバーがある場合と同じと考えることができる。
また、基板上における検査対象の導電パターンの配設は、基板上に図2に示すパターンのみが配された例に限定されず、同一基板上に縦横とも複数組の検査パターンが配設されたものにも、本発明の検査方法を適用できる。
さらに、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置では、導電パターンのショート状態についても、上述した導電パターンのオープン状態の判定と同様に検出可能である。例えば、隣接する導電パターン同士が短絡(ショート)している場合、給電部12からの検査信号の供給開始とともに、給電部と導電パターン間の容量結合を介して、検査対象とする導電パターンおよびそれと短絡している導電パターンの両方にほぼ同時に検出信号が流れ込む。そのため、短絡のない場合と比較して検出信号の強度に差異が生じる。その結果、センサ13が感知する電圧レベルにも変化が生じる。
よって、導電パターンがショートしている場合、ショートのない正常時における検査電流以上の電流が、給電部12に近接して配したセンサ13の直下を瞬時に流れることになる。そのため、そのときのセンサ13での電圧検出レベルが上昇する。そこで、正常時の電圧検出値(すなわち、連続信号がどのように変化するか)をあらかじめ測定しておき、検査工程でそれと異なる電圧値(信号変化)が得られた場合には、導電パターンがショート状態にあると判定できる。
このように導電パターンが、隣接する他のパターンとショート状態にあるときの電圧検出レベルの上昇度合いは、上述したオープン状態の判定時に検知される著しい電圧レベルの上昇とは明らかに異なる、わずかな変化であるため、導電パターンのオープン状態とショート状態の区別は容易である。
なお、一部にオープン箇所のある導電パターン上にユニット5が位置した場合の電圧レベルの著しい上昇や、隣接する導電パターン同士がショートしている場合の検出信号の強度に差異による電圧レベルの変化は、図3(b)や図4(b)に示される、ユニット5が検査対象の導電パターン上にあるときは電圧レベルが大きくなり、ユニット5が導電パターン上にないときは電圧レベルが低下するというセンサ13からの信号検出レベルを、例えば、微分回路等を使用してソフト的に除去しておくことで、さらに容易にオープン状態自身やショート状態自身の検出が可能となるとともに、オープン状態とショート状態との区別もより容易となる。
次に、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置における光学的な短絡、突起、断線、欠落等を検査する検査原理について説明する。図8は、上述したカメラ50とライン照明装置52と、検査対象(導電パターン)との位置関係を示す平面図である。基板上の検査対象の導電パターン(回路パターン)としての櫛歯状導電パターン2の構成は、図2で説明した櫛歯状導電パターン2と同様である。
撮像装置としてのカメラ50には、図示しないレンズとCCDラインセンサ(一次元イメージセンサ)とが備えられており、櫛歯状導電パターン2にライン照明装置52から照明を当て、この照明による櫛歯状導電パターン2からの反射光をレンズを介してCCDラインセンサが受光して櫛歯状導電パターン2の画像信号を画像処理装置51に送る。なお、図8におけるカメラ50は簡略化して図示されているが、カメラ50に備えられたレンズとCCDラインセンサにより、導電パターン2a〜2eに対して平行な方向(Y方向とする)全体を一次元画像として撮像することが可能である。
本実施の形態例に係る回路パターン検査装置では、基板検査の際、ガラス製の基板3の上に櫛歯状導電パターン2が配された検査対象1全体をステージ14に乗せている。カメラ50とライン照明装置52は、図8に示すように検査時において導電パターン2a〜2e上を矢印方向(導電パターン2a〜2eに対して垂直な方向(X方向とする))に移動することで、櫛歯状導電パターン2の全体の画像を撮像するようになっている。
図9は、上記の構成を持つカメラ50とライン照明装置52により撮像される測定画像データの例である。図9において、41は導電パターン2bの断線、42は導電パターン2cの欠け(欠落)、43は導電パターン2dの膨らみ(突起)、44は導電パターン2dと2eの間のゴミまたは傷等を示している。
これら41乃至44の導電パターン上の不良は、画像信号としてカメラ50で撮像された後に、画像処理装置51でアナログ信号からディジタル信号にA/D変換され、例えば2値化回路で2値化信号に変換して櫛歯状導電パターン2の測定画像データとして制御部15に送られて、RAM17で保管されるとともに、必要に応じて表示部25で表示される。また、このRAM17で保管された測定画像データは、例えばROM18に保管された不良のない櫛歯状導電パターン2の基準画像データと比較されて、短絡、突起、断線、欠落等の不良が検出された箇所の座標データとして別途RAM17で保管される。なお、不良が検出された箇所の座標データも表示部25で表示可能に構成することも可能である。
これらの短絡、突起、断線、欠落等の不良が検出された箇所の座標データ(不良箇所の位置情報)は、例えば液晶ディスプレイパネル用のガラス製の基板3であれば通常設けられている座標原点を基準として、例えば導電パターン2a〜2eに対して垂直な方向をX方向とし、導電パターン2a〜2eに対して平行な方向をY方向としてRAM17に保管される。具体的には不良41であれば(XIII,Y1)、不良42であれば(XV,Y2)、不良43であれば(XVIII,Y3)、不良44であれば(XVIII,Y4)といった座標として保管される。
なお、不良42乃至不良44については、測定画像データ上は不良として認識されても、補修の必要なしに液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置としての性能を維持することが可能であることもある。このため、これらの不良41乃至不良44を別途確認せずに、上述したセンサ13で検出された電気的な短絡や断線がある導電パターンの位置情報と、不良41乃至不良44の座標とを比較することで、補修しないと液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置としての性能を維持できない電気的な断線や短絡の特定を行うと、検査時間の大幅な短縮を図ることが可能である。
具体的には、断線41によりセンサ13で検出される電圧レベルが著しく上昇した“位置III”のX座標(XIII)と、不良41乃至不良44により測定画像データで検出された座標(XIII,Y1)、(XV,Y2)、(XVII,Y3)、(XVIII,Y4)とを比較し、X座標の異なる(XV,Y2)、(XVII,Y3)、(XVIII,Y4)は補修の必要がない不良と判断し、X座標が同じである座標(XIII,Y1)は、断線がY座標(Y1)に存在すると判断する。
このように、導電パターンの電気的な断線や短絡の不良位置の特定と、光学的な不良箇所の座標を利用することによって、センサ13で検出される電気的な断線や短絡が、どの導電パターンであるかは特定することが可能であるが、当該導電パターン上のどの位置に電気的な断線や短絡があるかを、別途特定する工程や装置を用いることなく特定することができるので、検査時間の大幅な短縮が可能となる。
また、測定画像データ上は不良として認識されても、補修の必要なしに液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置としての性能を維持することが可能であるような不良42乃至不良44については、センサ13で電気的な断線や短絡が検出されなかったことを利用して別途確認を行う必要がないと判断することができるので、検査時間の大幅な短縮が可能となる。
次に、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置における検査手順等について説明する。図10は、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置での処理手順を示すフローチャートである。図10のステップS1において、その表面に検査対象である導電パターンが形成されたガラス基板(検査対象基板)が、不図示の搬送路に従って、回路パターン検査装置の所定位置に搬送されてくる。そして、ステップS2で、検査対象基板が上述した基板を搭載するステージ14により保持され、位置決めされる。
この基板搭載ステージ14は、XYZθ角度の4軸制御により三次元位置制御が可能に構成されており、検査対象基板をセンサ位置より一定距離離反させた測定前の基準となる位置に位置決めする。例えば、ユニット5とカメラ50が、図2に示す導電パターンのうち、最も左側の導電パターン2a側にくるように位置決めする。
このように、検査対象基板の測定位置への位置決め後、ステップS3において、例えば、制御部15によって画像処理部51を制御して、カメラ50の電源をONにし、導電パターンを撮像し、撮像したの画像信号が画総処理部51へ送られるようにする。
また、検査対象基板の測定位置への位置決め後、ステップS4において、例えば、制御部15によって信号生成部10を制御して、上述した200kHzの高周波信号(検査信号)が給電部12に供給されるようにする。なお、ステップS3とステップS4の順序は逆になってよい。
次にステップS5において、制御部15により駆動部16を制御してステージ14の移動を開始することでステージ14に保持されたより検査対象基板の移動を開始する。なお、このステップS5では、ステージ14を移動するように説明したが、ユニット5とカメラ50等を一体的に保持した保持部を別途の駆動部で移動させることで、ユニット5とカメラ50等をガラス基板上で走査しても良いし、また、ユニット5とカメラ50等を各々保持した保持部を、各々別途の駆動部で移動させることにより、ユニット5とカメラ50等とを別々にガラス基板上で走査しても良い。またさらに、ユニット5とカメラ50等を各々保持した保持部を、各々別途の駆動部で移動させる場合では、ユニット5をガラス基板上で走査した後にカメラ50等をガラス基板上で走査しても良いし、カメラ50等をガラス基板上で走査した後にユニット5をガラス基板上で走査しても良い。
次に、ステップS6で、上述した測定画像データを作成するための画像処理を行う。また、ステップS7で、信号処理部21において、上述した波形処理や信号変換処理等を行う。
次に制御部15は、ステップS8において、これらの画像処理および波形処理や信号変換処理の結果をメモリ(RAM17)に格納する。
ステップS9において、検査対象とする全ての導電パターンについて処理が終了したかどうかを判定する。この判定は、例えば、検査対象基板の移動距離が、全ての導電パターン幅の合計と、それらのパターン間隔の合計とを合算して得た距離に合致しているか否かに基づいて行う。このステップS9での判定の結果、全導電パターンの処理が終了していない場合には、制御部15は、ステップS10において、引き続き、制御部15により駆動部16を制御してステージ14とステージ14に保持されたより検査対象基板の移動を所定距離移動するまで行う。
また、ステップS9での判定の結果、全導電パターンの処理が終了している場合には、導電パターンの良否判定のステップへ進む。
以上説明したセンサ出力信号の処理および画像信号の処理のステップS5からS10の手順では、これらの処理結果が、検査すべき導電パターンについて連続して実行され、RAM17には、各パターンに対応した処理結果が順次、蓄積されることになる。
このように、この図10における処理手順において、ステップS5からステップS10の手順は、カメラ50による導電パターンの撮像(ステップS3の状態)と、給電部に検査信号が供給された状態(ステップS4の状態)とを維持しながら、検査対象基板が移動(即ちユニット5とカメラ50等とが検査対象の導電パターン上を相対的に順次走査)することになる。なお、この検査対象基板の移動は、検査対象基板を一定距離移動(ステップS10)して、画像信号の処理(ステップS6)とセンサ出力信号の処理(ステップS7)と処理結果の格納(ステップS8)とを行う間、停止していても良いし、検査対象基板を一定距離移動(ステップS10)しながら画像信号の処理(ステップS6)とセンサ出力信号の処理(ステップS7)と処理結果を格納(ステップS8)とを行いながら、検査対象基板を停止させずに連続して移動しても良い。特に検査時間の短縮には、ステップS5からステップS10の手順は、検査対象基板を停止させずに連続して移動させると有効である。
一方、検査対象とする全ての導電パターンについての処理が終了した場合、つまり、検査対象基板の移動距離が全導電パターン幅の合計とパターン間隔の合計との合算値に一致した場合(ステップS9でYES)は、導電パターンの良否判定のステップへ進むこととなる。
次に、導電パターンの良否判定のステップを説明する。図11は、本実施の形態例に係る回路パターン検査装置での良否判定の手順を示すフローチャートである。
最初に、ステップS21において、カメラ50で撮像された画像信号が画像処理部51で画像処理されてRAM17に格納されていた測定画像データが確認される。この確認は、例えば、測定画像データ上は不良として認識されて、さらに補修しなかった場合には液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置としての性能を維持することが不可能な不良を確認する作業や、測定画像データ上の短絡、突起、断線、欠落等の不良が検出された箇所の座標データを確認する作業のことである。なお、例えば、これらの短絡、突起、断線、欠落等の不良が検出された箇所の座標データは、予めステップS7のセンサ信号処理において演算され、別途RAM17に格納されている手順とすることができるので、次のステップS22でセンサ信号出力が正常でなかった場合に、すぐに読み出すことが可能である。
次にステップS22で、センサ13で測定されたセンサ出力信号が信号処理部21で波形処理や信号変換処理されてRAM17に格納された結果を読み出し、信号が正常であるかを判断する。この判断は、例えば、一部にオープン(断線)箇所のある導電パターン上にユニット5が位置した場合の電圧レベルの著しい上昇や、隣接する導電パターン同士がショート(短絡)している場合の検出信号の強度に差異による電圧レベルの変化と、正常な導電パターンでのセンサ出力信号とを比較して行われる。
このステップS22において、センサ出力信号が正常である、即ち各導電パターンの検出信号レベルが全て所定範囲内にあれば、全導電パターンが正常であるとして、制御部15は、例えば検査対象が良品である旨の表示をするよう表示部25を制御する。
このように検査対象が良品の場合、検査対象基板を搬送位置まで下降させて搬送路上に載置して検査を終了する。なお、連続した検査を行う場合は、ステップS1に戻って、次に検査する基板を回路パターン検査装置の所定位置に搬送する。
しかし、このステップS22において、センサ出力信号が正常でない、即ち各導電パターンの検出信号レベルが1箇所でも所定範囲内になければ、次にステップS24に進み、当該検査対象基板は不良品として、制御部15は表示部25に対して検査対象が不良品である旨の表示をするよう制御するとともに、補修のために導体パターン上の不良位置の特定の作業が行われる。
ステップS24で不良品となった検査対象基板は、次のステップS25で、RAM17に格納された測定画像データ上で短絡、突起、断線、欠落等の不良が検出された箇所の座標データと、センサ13で測定されたセンサ出力信号が信号処理部21で波形処理や信号変換処理されてRAM17に格納された結果のうち、センサ出力信号が正常でない(即ち電気的な短絡や断線がある)箇所の導電パターンの位置情報とが比較されて、導電パターン上の不良位置が特定される。
具体的には、例えば図9における測定画像データ上の不良箇所41乃至44)の座標データは、例えば液晶ディスプレイパネル用のガラス製の基板3であれば通常設けられている座標原点を基準として、導電パターン2a〜2eに対して垂直な方向をX方向とし、導電パターン2a〜2eに対して平行な方向をY方向として、不良41(XIII,Y1)、不良42(XV,Y2)、不良43(XVII,Y3)、不良44(XVIII,Y4)といった座標データとしてRAM17に格納されている。
また、センサ13で測定されたセンサ出力信号が信号処理部21で波形処理や信号変換処理されてRAM17に格納された導電パターンの位置情報は、断線41により電圧レベルが著しく上昇した“位置III”のX座標(XIII)となる。
ステップS25では、このX座標(即ち検査対象基板上で断線または短絡がある導電パターン位置)と、不良41乃至不良44の座標データ(XIII,Y1)、(XV,Y2)、(XVII,Y3)、(XVIII,Y4)と、が比較される。具体的には、(XV,Y2)、(XVII,Y3)、(XVIII,Y4)は、センサ出力信号の電圧レベルが著しく上昇した“位置III”のX座標(XIII)とX座標が異なるので、無関係と判断され、座標(XIII,Y1)は、“位置III”のX座標(XIII)とX座標が同じであるので、断線箇所は、“位置III”のX座標(XIII)に配設された導電パターン2b上のY座標(Y1)に存在すると判断される。
以上のように、ステップS25で特定された導電パターン上の不良(断線)位置の座標データや測定画像データは、制御部15により、例えば表示部25表示されると共にRAM17に格納される。
その後、当該検査対象基板は、検査対象基板を搬送位置まで下降されて搬送路上に載置され、修復の工程にまわされることになる。
なお、本発明で説明してきた回路パターンの検査装置において、導電パターンの電気的な断線および短絡を非接触で検査する検査装置びついては、下記のような優れた特徴を有している。
すなわち、基板上に列状に配設された導電パターンの良否を非接触で検査する際、検査信号を供給する給電部と、その信号を検知するためのセンサとを近接して配することで、オープン状態のない正常な導電パターン上にセンサがある場合とオープン箇所のある導電パターン上にセンサが位置したときとで、そのセンサによる検査電流の検出レベルに顕著な相違が生じるため、導電パターンのオープン状態の検出精度が格段に向上するという特徴がある。
また、導電パターンにオープン箇所がある場合、給電部からの交流信号は、他の導電パターンに流れ込むことがないため、導電パターンとセンサ間の結合容量を介して、その給電部に近接して配されたセンサに殆どの信号が流入する。その結果、センサでの検出電圧レベルが、導電パターンにオープン箇所がない正常なときに比べて著しく上昇するので、オープン状態の判別が容易になるという特徴も有している。
さらに、導電パターンが、隣接する他の導電パターンと短絡(ショート)しているときにも、センサの電圧検出レベルがわずかに上昇し、その変化の程度は、導電パターンのオープン状態のときに検知される著しい電圧レベルの上昇とは明らかに異なる。そのため、給電部とセンサが内蔵された単一のユニットで、導電パターンのオープン状態とショート状態の両方を判別できるので、従来のようにオープン/ショートを個別に検査する場合に比べて検査効率が向上し、検査時間を大幅に短縮することができる。また、これに伴い、検査プログラム(検査ロジック)を簡素化することができるという特徴も有している。
さらには、給電部とセンサを同一のユニット内に近接して配置しているため、ユニットの小型化が可能となり、回路パターン検査装置そのものの製造コストも低減することができる。また、従来のように給電部とセンサをパターンの一端部と他端部とに分ける構造をとる必要がないため、1種類の検査ユニットで、液晶表示パネルやタッチ式パネル等に配された、あらゆる長さを有するパターンの良否検査に対応できるという利点もある。
本実施の形態例に係る回路パターン検査装置における他の検査装置の構成について説明する。図12は、上述した給電部12とセンサ13と、検査対象(導電パターン)との位置関係を示す平面図である。なお、図1と同様の構成については、同じ符号を用いて説明する。
図12に示すように、基板3上には、検査すべき複数の導電パターン2がお互いに短絡せずに(ショートバーなしで)平行に配されており、当該導電パターンの一端に給電部12が、他端にセンサ13が各々とも導電パターンとは接触せずに一定の空間を有して配設されている。また、給電部12とセンサ13によって、導電パターン2の電気的な断線および短絡を検査する際には、給電部12が矢印方向に移動しながら導電パターンに非接触で検査信号を供給し、センサ13が矢印方向に移動しながら導電パターンから非接触で検査信号を受信する。なお、この際、センサ13は複数の導電パターンを同時に覆う大きさを有していることにより、一つのセンサ13で導電パターンの断線と短絡を同時に検出することが可能に構成されている。
上記のような構成をとなっている回路パターン検査装置における、断線と短絡の検出の原理は、非接触であるためにある一定の閾値で判断することが難しいため、断線や短絡がある導電パターンの位置の特定は、ある程度一定の連続した検出信号値の中に現れるオ断線や短絡による不良の検出信号値の数値差、即ち検出信号の相対的な数値の変化を利用することで行っている。
なお、図12の検査装置においては、給電部12とセンサ13とは、駆動部16から延直する2本のレール上を、各々独立して移動することが可能であるが、給電部12からの検査信号をセンサ部13で検出するためには、一端で検査信号を供給された導電パターンの他端で検査信号を受信すると効率的であるので、例えば駆動部16から延直する2本のレールを掛け渡すガントリーに給電部12とセンサ13とを配置して導電パターンを横切り移動する構成としても良い。
また、駆動部16から延直する2本のレールには、カメラ50が設けられており、このカメラ50が導電パターン2上を横切り移動することで導電パターン2上の短絡、突起、断線、欠落等の不良が検出可能に構成されている。
また図12において、カメラ50は、駆動部16から延直する2本のレールを掛け渡すように構成されているが、カメラ50は、ラインセンサ等を利用した1つのカメラでも良いし、また、複数のカメラを配置させても良いことは言うまでもない。
さらにまた、カメラ50は、前述した給電部12とセンサ部13を配置したガントリーに取り付けても良い。また、給電部12とセンサ部13による電気的な断線や短絡の検査と、カメラ50による導電パターン2上の短絡、突起、断線、欠落等の不良の検出は、同時に行っても良いし、また、順序に制限なく、どちらか片方ずつ行っても良いことは言うまでもない。
本実施の形態例に係る回路パターン検査装置における、さらに他の検査装置の構成について説明する。図13は、給電部12と2つのセンサ13a、センサ13bと、検査対象(導電パターン)との位置関係を示す平面図である。なお、図12と同様の構成については、同じ符号を用いて説明するとともに、同様の構成は説明を省略する。
図13に示すように、基板3上には、検査すべき複数の導電パターン2がお互いに短絡せずに(ショートバーなしで)平行に配されており、当該導電パターンの一端に給電部12が、他端に2つのセンサ13a、センサ13bが各々とも導電パターンとは接触せずに一定の空間を有して配設されている。なお、センサ13aとセンサ13bはユニット化されている。また、給電部12とセンサ13a、センサ13bによって、導電パターン2の電気的な断線および短絡を検査する際には、給電部12が矢印方向に移動しながら導電パターンに非接触で検査信号を供給し、センサ13aが矢印方向に移動しながら導電パターンから非接触で検査信号を受信して断線を検出し、センサ13bが矢印方向に移動しながら導電パターンから非接触で検査信号を受信して短絡を検出する。なお、図12との違いは、図12におけるセンサ13が複数の導電パターンを同時に覆う大きさを有していることに対して、図13では、2つのセンサ13aとセンサ13bとが、ほぼ導電パターン1本分の幅を有する独立したセンサであることである。
上記のような構成をとなっている回路パターン検査装置における、断線と短絡の検出の原理は、図12での回路パターン検査装置と同様に、非接触であるためにある一定の閾値で判断することが難しいため、断線や短絡がある導電パターンの位置の特定は、ある程度一定の連続した検出信号値の中に現れるオ断線や短絡による不良の検出信号値の数値差、即ち検出信号の相対的な数値の変化を利用することで行っている。
なお、図13の検査装置においては、給電部12とセンサ13a、センサ13bとは、駆動部16から延直する2本のレール上を、各々独立して移動することが可能であるが、給電部12からの検査信号をセンサ部13で検出するためには、一端で検査信号を供給された導電パターンの他端で検査信号を受信すると効率的であるので、例えば駆動部16から延直する2本のレールを掛け渡すガントリーに給電部12とセンサ13とを配置して導電パターンを横切り移動する構成としても良い。
なお、図13の検査装置において、給電部12とセンサ13a、センサ13bとは全て導電パターンに対してある一定の空間を有して非接触で配設されていると説明したが、その一部もしくは全てが導電パターンに接触するプローブ状の端子でも検査自体は同様に行うことが可能である。
また、図12の検査装置において、給電部12は導電パターンに対してある一定の空間を有して非接触で配設されていると説明したが、導電パターンに接触するプローブ状の端子でも検査自体は同様に行うことが可能である。
またさらに、図12や図13の検査装置においては、給電部12とセンサ13、センサ13a、センサ13bは導電パターン上を横切り移動すると説明したが、これらの中のいずれかが移動しなくても検査自体は同様に行うことが可能である。
なお、上述した回路パターンの検査装置においては、ガラス基板3上に列状に配設された導電パターン2に検査信号を供給する給電部12と、その信号を検出するためのセンサ13から構成される導電パターンの電気的な断線と短絡の検査装置と、導電パターン2を含むガラス基板3上の短絡、突起、断線、欠落等を検出するカメラ50等から構成される検査装置とが一つの装置として構成されていると説明したが、本発明はこの構成に限定されることはなく、例えば、カメラ50で撮像した測定画像データ上の不良箇所の座標データを外部に出力可能な自動光学式検査装置であれば、導電パターンの電気的な断線と短絡の検査を行う検査装置に当該座標データを入力可能と構成することにより、導電パターンの電気的な断線と短絡の検査を行う検査装置のみで、センサ13で検出されたセンサ出力信号が正常ではない導電パターンの位置情報と当該座標データとを比較することにより、特定の導電パターン上の不良位置を特定することが可能であることは言うまでもない。
なお、自動光学式検査装置と電気的な断線や短絡を検査する検査装置を組み合わせについて、自動光学式検査装置は、決して小さいとは言えない撮像装置(ラインセンサを利用したカメラや複数のカメラ)が必須であり、電気的な断線や短絡を検査する検査装置と組み合わせることは、検査装置の大型化を招くため容易ではなかった。しかしながら、本発明の回路パターン検査装置は、例えば給電部とセンサが一つのユニットで構成されるため小型であり、組み合わせても装置の大型化を避けることができた。
また、自動光学式検査装置では、検査対象基板上を、一度でなるべく広い範囲を撮像できれば、検査時間の短縮を図ることが可能であるが、従来の電気的な断線や短絡を検査する検査装置は、例えばフライングプローブと一般に呼ばれるプローブが検査対象基板上を絶えず移動、接触するような検査装置や、検査対象基板全体またはその一部をプローブカードと呼ばれる治具で覆う検査装置等では、自動光学式検査装置のカメラの撮像範囲を広くすることができなかったため、自動光学式検査装置と電気的な断線や短絡を検査する検査装置を組み合わせる発想の発現は不可能であった。しかしながら、本発明の電気的な断線や短絡を検査する検査装置は、上記説明の複数の実施例の通り、検査対象基板全体を1回横切り移動すれば検査が完了するため、自動光学式検査装置のカメラの撮像範囲を広くすることが可能であり、独創的な本発明の完成に至ったものである。
1・・・検査対象、2・・・櫛歯状導電パターン、3・・・ガラス製の基板、5・・・ユニット、10・・・信号生成部、12・・・給電部、13・・・センサ、14・・・ステージ、15・・・制御部、16・・・駆動部、17・・・RAM、18・・・ROM、20・・・アンプ、21・・・信号処理部、25・・・表示部、50・・・カメラ、51・・・画像処理部、52・・・ライン照明装置