JP2008013731A - めっき用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

めっき用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Takahiro Nakamura
崇浩 中村
Toshiaki Furuta
俊昭 古田
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Abstract

【課題】ノンクロムプロセスを含めたいずれのめっきプロセスを適用しても、めっき密着強度を高く、表面外観を良好にできる上に、成形品を薄肉化しても充分な耐衝撃性を確保できるめっき用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明のめっき用熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体(a)の存在下にて、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを共重合してなる第1の硬質共重合体(B)と、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と不飽和カルボン酸化合物とを共重合してなり、不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.5〜20質量%である第2の硬質共重合体(C)とを含有し、第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種めっき処理に適しためっき用熱可塑性樹脂組成物に関する。
ABS樹脂は、優れた加工性、耐衝撃性、機械特性、耐薬品性を有していることから、車両分野、家電・OA分野などの広範囲な分野にて、各種構成部品の成形材料として広く使用されている。
ABS樹脂を使用した構成部品においては、銅やニッケルなどの金属めっきを施し、高級感を付与させて使用されることがある。ところが、ABS樹脂を成形した成形品に外観不良が生じると、めっき密着強度が低くなり、めっき膨れ等の不良が発生して、製品の品質が低下するという問題が発生した。
そこで、ABS樹脂のめっき適性を向上させる検討がなされており、例えば、特許文献1では、特定のABS樹脂に有機ケイ素化合物を配合させた熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
特開平8−193162号公報
しかし、本発明者らが、実際の製品程の大きさでかつ複雑な形状の成形品によって調べたところ、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物は、めっき密着強度が低く、また、表面の光沢が不均一で表面外観に優れたものではなかった。
ところで、めっき処理においては、通常、めっきされる成形品表面をエッチングするためにクロム酸処理が施されるが、クロム酸を使用すると排水処理の負荷が増大する。そのため、近年、環境汚染防止の観点から、クロム酸を用いない処理(以下、この処理のことをノンクロムプロセスという。)が適用されることがある。しかし、従来の熱可塑性樹脂組成物は、ノンクロムプロセスに適したものとはいえなかった。
また、近年、コストダウンや軽量化に対応するために、めっき処理が施された構成部品を薄肉化する傾向にある。ABS樹脂を使用した構成部品を薄肉化するためには、例えば、ABS樹脂のゴム含有量を減らし、樹脂の溶融粘度を低下させて、成形加工性を向上させる方法が採られる。しかし、ゴム含有量を減らした結果、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性が低くなった。これは、ABS樹脂等のゴム含有スチレン系樹脂の耐衝撃性は、ゴム含有量に強く影響されるためである。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、ノンクロムプロセスを含めたいずれのめっきプロセスを適用しても、めっき密着強度を高く、表面外観を良好にできる上に、成形品を薄肉化しても充分な耐衝撃性を確保できるめっき用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、検討した結果、ABS樹脂中に不飽和カルボン酸化合物を共重合した硬質共重合体を含有させることで、めっき適性が向上し、しかも耐衝撃性を確保できることを見出した。そして、その知見に基づいて、さらに検討して、以下のめっき用熱可塑性樹脂組成物を発明した。
すなわち、本発明のめっき用熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体(a)の存在下にて、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)25〜50質量部と、
芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを共重合してなる第1の硬質共重合体(B)45〜70質量部と、
芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と不飽和カルボン酸化合物とを共重合してなり、不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.5〜20質量%である第2の硬質共重合体(C)3〜25質量部とを含有し、
第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする。
本発明のめっき用熱可塑性樹脂組成物においては、グラフト共重合体(A)に含まれるゴム質重合体(a)のゲル含有量が70〜95質量%であることが好ましい。
本発明のめっき用熱可塑性樹脂組成物は、ノンクロムプロセスを含めたいずれのめっきプロセスに対してもめっき適性が高く、具体的には、めっき密着強度を高く、表面外観を良好にできる。その上、成形品を薄肉化しても充分な耐衝撃性を確保できる。このような本発明のめっき用熱可塑性樹脂組成物は、家電製品等の大型成形材料として好適に利用でき、その工業的な実用価値は極めて大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のめっき用熱可塑性樹脂組成物(以下、熱可塑性樹脂組成物と略す。)は、グラフト共重合体(A)と、第1の硬質共重合体(B)と、第2の硬質共重合体(C)とを含有するものである。
[グラフト共重合体(A)]
グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a)の存在下にて、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるものである。
グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a)としては、例えば、アクリル系ゴム、ジエン系ゴム等が挙げられる。
アクリル系ゴムとしては、例えば、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体が挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン;ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−ビニルトルエン共重合体等のブタジエン−芳香族ビニル化合物共重合体;ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−メタクリロニトリル共重合体等のブタジエン−シアン化ビニル化合物共重合体;ブタジエン−アクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等のブタジエン−アクリル酸アルキルエステル共重合体;ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−メタクリル酸エチル共重合体等のブタジエン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体;等が挙げられる。さらにはブタジエン単位50質量%以上から構成される三元共重合体も挙げられる。また、ジエン系ゴム質重合体には、例えば、ブタジエン重合体を芯(コア)とし、その外層にアクリル酸ブチルを重合してなるいわゆる多層共重合体(コア−シェル重合体)も含まれる。
ゴム質重合体(a)のゲル含有量は70〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましく、80〜90質量%であることが特に好ましい。
ゴム質重合体(a)のゲル含有量が70質量%以上であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形加工性をより向上させることができる。その結果、成形品の表面外観および残留ひずみを抑制することができ、めっき適性をより向上させることができる。また、ゴム質重合体(a)のゲル含有量が95質量%以下であれば、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保できる。
ゴム質重合体(a)のゲル含有量は、以下の方法により求められる。
まず、ゴム質重合体を含むラテックスを凝固、乾燥させて測定用試料を得て、その質量を測定する。次いで、測定用試料をトルエンに室温(23℃)で20時間溶解させてトルエン溶液を得る。次いで、トルエン溶液を100メッシュ金網によりろ過し、得られた固形物を回収し、固形物中の溶媒を乾燥して、乾燥固形物(トルエン不溶解分)を得る。そのトルエン不溶解分の質量を測定し、次式によりゲル含有量を求める。
ゲル含有量(質量%)=[不溶解分の質量(g)/溶解前の質量(g)]×100
ゴム質重合体(a)の平均粒子径は100〜600nmであることが好ましく、150〜500nmであることがより好ましく、200〜400nmであることがより好ましい。ゴム質重合体(a)の平均粒子径が100nm以上であれば、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保でき、600nm以下であれば、表面光沢が良好になる。
ゴム質重合体(a)にグラフト重合される芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、これらの中でも、特にスチレンが好ましい。
ゴム質重合体(a)にグラフト重合されるシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらの中でも、特にアクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体の他に、これらと共重合可能な他の単量体をグラフト重合させてもよい。他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸またはアクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸化合物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グラフト共重合体(A)を合成するためのグラフト重合方法としては、いかなる公知重合方法も採用できるが、グラフト共重合体(A)を容易に製造できる点では、乳化グラフト重合が好ましい。
[第1の硬質共重合体(B)]
第1の硬質共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを共重合してなるものである。
第1の硬質共重合体(B)を構成する芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体としては、グラフト共重合体(A)に使用されるものと同様のものが挙げられる。
第1の硬質共重合体(B)におけるシアン化ビニル単量体単位の含有量は20〜30質量%であることが好ましく、25〜30質量%であることがより好ましい。第1の硬質共重合体(B)におけるシアン化ビニル単量体単位の含有量が20質量%以上であれば、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保でき、30質量%以下であれば、混練性、成形加工性がより向上する。
第1の硬質共重合体においては、必要に応じて、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体が共重合されていてもよい。
第1の硬質共重合体における芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。
なお、第1の硬質共重合体(B)における芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体には、不飽和カルボン酸化合物は含まれない。
第1の硬質重共合体(B)の質量平均分子量は70,000〜200,000であることが好ましく、80,000〜150,000であることがより好ましい。第1の硬質共重合体(B)の質量平均分子量が70,000以上であれば、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保でき、200,000以下であれば、成形加工性がより向上する。
第1の硬質共重合体(B)の質量平均分子量は、例えば、重合の際に使用する連鎖移動剤の量によって調整できる。
第1の硬質共重合体(B)の製造方法としては、乳化、懸濁、塊状またはこれらを複合化した公知の重合方法を採用できる。
第1の硬質共重合体(B)を重合する際には、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、α−スチレンダイマーなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[第2の硬質共重合体(C)]
第2の硬質共重合体(C)は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と不飽和カルボン酸化合物を共重合してなるものである。
第2の硬質共重合体(C)を構成する芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体としては、グラフト共重合体(A)に使用されるものと同様のものが挙げられる。
第2の硬質共重合体(C)におけるシアン化ビニル単量体単位の含有量は20〜30質量%であることが好ましく、25〜30質量%であることがより好ましい。第2の硬質共重合体(C)におけるシアン化ビニル単量体単位の含有量が20質量%以上であれば、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保でき、30質量%以下であれば、混練性、成形加工性および成形品の外観がより向上する。
第2の硬質共重合体(C)に使用される不飽和カルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸化合物の中でも、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保できることから、メタクリル酸が好ましい。
第2の硬質共重合体(C)中の不飽和カルボン酸化合物単位の含有量は、めっき適性がより高くなることから、0.5〜20質量%であり、5〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
第2の硬質共重合体(C)の質量平均分子量は50,000〜200,000であることが好ましく、70,000〜150,000であることがより好ましく、80,000〜120,000であることが特に好ましい。質量平均分子量が50,000以上であれば、該熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品を薄肉化しても耐衝撃性を充分に確保でき、200,000以下であれば、成形加工性がより向上する。
第2の硬質共重合体(C)の質量平均分子量は、例えば、重合の際に使用する連鎖移動剤の量によって調整できる。
第2の硬質共重合体(C)の製造方法としては、乳化、懸濁、塊状またはこれらを複合化した公知の重合方法を採用できる。
第2の硬質共重合体(C)を重合する際にも、連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、第1の硬質共重合体(B)の製造で用いたものと同様のものを使用できる。
[熱可塑性樹脂組成物]
上記熱可塑性樹脂組成物では、第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.1〜1.0質量%であり、0.2〜1.0質量%であることが好ましく、0.3〜0.7質量%であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物における第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が前記下限値未満であっても前記上限値を超えてもめっき適性が低下して、めっき密着強度が低くなり、表面外観に不良が生じる。
また、上記熱可塑性樹脂組成物では、グラフト共重合体(A)の含有量が25〜50質量部、第1の硬質共重合体(B)の含有量が45〜70質量部、第2の硬質共重合体(C)の含有量が3〜25質量部である(ただし、グラフト共重合体(A)と第1の硬質共重合体(B)と第2の硬質共重合体(C)の合計を100質量部とする)。これらの範囲を満たさない場合には、成形材料としての実用性が損なわれる。
具体的には、グラフト共重合体(A)の含有量が25質量部未満であると、耐衝撃性が低下し、50質量部を超えると、成形加工性が低くなる。
第1の硬質共重合体(B)の含有量が45質量部未満であると、成形加工性が低くなり、70質量部を超えると、耐衝撃性が低くなる。
第2の硬質共重合体(C)の含有量が3質量部未満にて、第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位含有量を前記範囲にしようとすると、めっき処理後の表面外観に斑が生じる等の不具合が生じる。一方、第2の硬質共重合体(C)の含有量が70質量部を超える場合にて、第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位含有量を前記範囲にしようとすると、耐衝撃性または成形加工性が低くなる。
さらに、本発明の効果が顕著に発揮されることから、熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、グラフト共重合体(A)の含有量が30〜40質量部、第1の硬質共重合体(B)の含有量が50〜60質量部、第2の硬質共重合体(C)の含有量が5〜10質量部である(ただし、グラフト共重合体(A)と第1の硬質共重合体(B)と第2の硬質共重合体(C)の合計を100質量部とする)。
熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、更に、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤など各種添加剤が、熱可塑性樹脂組成物の物性を損なわない範囲内で含まれてもよい。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に制限されないが、グラフト共重合体(A)と第1の硬質共重合体(B)と第2の硬質共重合体(C)とを混合した後に溶融混練する方法が好ましい。その際の溶融混練では、例えば、押出し機、バンバリーミキサー等が適用される。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<合成例1:グラフト共重合体(A−1)の製造>
オートクレーブに、ゲル含有量85%のポリブタジエン(a−1)45部(固形分換算)と表1に示す量の不均化ロジン酸カリウムとイオン交換水とを仕込み、60℃に加熱した。これに、スチレン20部とアクリロニトリル8部とを添加し、さらに、表1に示す量の硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖、t−ドデシルメルカプタンおよびクメンハイドロパーオキサイドを添加し30分保持した。次いで、65℃に昇温し、スチレン19部とアクリロニトリル7部と1時間かけて連続添加し、その後、2時間保って反応を完結させて、グラフト共重合体ラテックスを得た。
次いで、得られたグラフト共重合体ラテックスに硫酸を添加して、重合体を凝固させ、これにより得られた凝固物を充分に水洗した後、乾燥してグラフト共重合体(A−1)を得た。
合成例1および後述の合成例2,3で使用したゴム質重合体のゲル含有量は、以下の方法を求めた値である。
まず、ゴム質重合体を含むラテックスを凝固、乾燥させて測定用試料を得て、その質量Wcを測定した。次いで、トルエンに室温(23℃)で20時間溶解させてトルエン溶液を得た。次いで、得られたトルエン溶液を100メッシュ金網によりろ過し、得られた固形物を回収し、固形物中の溶媒を60℃で24時間乾燥して取り除き、乾燥固形物(トルエン不溶解分)を得た。そのトルエン不溶解分の質量Wgを測定し、次式によりゲル含有量を求めた。
ゲル含有量(%)=[Wg(g)/Wc(g)]×100
Figure 2008013731
<合成例2:グラフト共重合体(A−2)の製造>
ポリブタジエン(a−1)の代わりにゲル含有量60%のポリブタジエン(a−2)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、グラフト共重合体(A−2)を得た。
<合成例3:グラフト共重合体(A−3)の製造>
ポリブタジエン(a−1)の代わりにゲル含有量60%のポリブタジエン(a−3)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、グラフト共重合体(A−3)を得た。
<合成例4:第1の硬質共重合体(B−1)の製造>
窒素置換した反応器に表2に示す成分からなる単量体混合物を添加し、反応器内の温度を60℃で5時間維持した後、120℃に昇温し、続いて4時間反応させて重合を完結させた。その際の最終転化率は96%であった。
得られた第1の硬質共重合体(B−1)の質量平均分子量Mおよび数平均分子量Mを、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(東ソー(株)製 HLC8020)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて求めた。
また、アクリロニトリル単位含有量を、200℃の加熱板にて得た薄膜フィルムを測定試料として用い、FT−IR(HORIBA製 FT−720)を測定することにより求めた。それらの結果を表2に示す。
Figure 2008013731
<合成例5:第2の硬質共重合体(C−1)の製造>
窒素置換した反応器に表2に示す成分からなる単量体混合物を添加し、反応器内の温度を60℃で5時間維持した後、120℃に昇温し、続いて4時間反応させて重合を完結させた。その際の最終転化率は96%であった。
得られた第2の硬質共重合体(C−1)の質量平均分子量Mおよび数平均分子量Mを、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(東ソー(株)製 HLC8020)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて求めた。
また、アクリロニトリル単位含有量およびメタクリル酸単位含有量を、200℃の加熱板にて得た薄膜フィルムを測定試料として用い、FT−IR(HORIBA製 FT−720)を測定することにより求めた。それらの結果を表2に示す。
<合成例6:第2の硬質共重合体(C−2)の製造>
メタクリル酸の量を5部に変更した以外は合成例5と同様に重合して第2の硬質共重合体(C−2)を得た。その際の最終転化率は98%であった。
得られた第2の硬質共重合体(C−2)の質量平均分子量およびアクリロニトリル単位含有量およびメタクリル酸単位含有量を合成例5と同様にして測定した。それらの結果を表2に示す。
<合成例7:第2の硬質共重合体(C−3)の製造>
メタクリル酸の量を20部に変更した以外は合成例5と同様に重合して第2の硬質共重合体(C−3)を得た。その際の最終転化率は98%であった。
得られた第2の硬質共重合体(C−3)の質量平均分子量およびアクリロニトリル単位含有量およびメタクリル酸単位含有量を合成例5と同様にして測定した。それらの結果を表2に示す。
<実施例1〜6、比較例1〜5>
合成例1〜7により得た各重合体を表3,4に示す割合で配合し、さらに0.5部の滑剤(「PRN−208」日本油脂(株)製)を添加し、ヘンシェルミキサにより混合した。これにより得た混合物を、220℃に設定した2軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX−44)にて溶融混合し、ペレット化して熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを4オンス射出成形機((株)日本製鋼所製)で成形温度240℃にて成形し、必要なテストピースを作製した。そして、そのテストピースを用いて以下の評価を行った。評価結果を表3,4に示す。
Figure 2008013731
Figure 2008013731
(シャルピー衝撃強度)ISO179に準拠して測定した。
(めっき密着強度)
下記に示すめっき処理(ハイクロムプロセスまたはノンクロムプロセス)でめっき用タブ付平板(50mm×90mm×3mm)にめっき処理を施し、荷重測定器上でめっき膜を垂直方向に引き剥がしてその強度を測定した。
(表面外観)
50×200×2(mm)の試験片を作製し、これに下記に示すめっき処理(ハイクロムプロセスまたはノンクロムプロセス)を施し、得られためっき品の表面外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:極めて均一な光沢性を示した。
○:光沢ムラは、僅かであり、実用可能な範囲であった。
△:部分的な光沢ムラがあり、実用に耐えない。
×:光沢ムラが顕著であった。
××:光沢ムラが極めて顕著であった。
[めっき処理]
・ハイクロムプロセス(クロム酸処理を有するプロセス)
(1)脱脂(60℃,3分)→(2)水洗→(3)エッチング(クロム酸)→(4)水洗→(5)酸処理(常温1分)→(6)水洗→(7)触媒化処理(25℃,3分)→(8)水洗→(9)活性化処理(40℃,5分)→(10)水洗→(11)化学Niめっき(40℃,5分)→(12)水洗→(13)電気銅めっき(めっき膜厚35μm,20℃,60分)→(14)水洗→(15)乾燥
・ノンクロムプロセス(クロム酸処理を有さないプロセス)
(1)脱脂(60℃,3分)→(2)水洗→(3)エッチング(硫酸)→(4)水洗→(5)酸処理(常温1分)→(6)水洗→(7)触媒化処理(25℃,3分)→(8)水洗→(9)活性化処理(40℃,5分)→(10)水洗→(11)化学Niめっき(40℃,5分)→(12)水洗→(13)電気銅めっき(めっき膜厚35μm,20℃,60分)→(14)水洗→(15)乾燥
特定のグラフト共重合体(A)と第1の硬質共重合体(B)と第2の硬質共重合体(C)とを含有する実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性が確保されている上に、めっき密着強度が高く、表面外観にも優れていた。特に、環境への負荷が少ないノンクロムプロセスにおいても充分なめっき密着強度および表面外観が得られた。
これに対し、第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位含有量が1.0%を超えていた比較例1,3の熱可塑性樹脂組成物は、ノンクロムプロセスでのめっき密着強度が低く、表面外観も不充分であった。したがって、ノンクロムプロセスを適用できるものではなかった。
第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位含有量が0.1%未満であった比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、ノンクロムプロセスでのめっき密着強度が低く、ノンクロムプロセスでの表面外観も不充分であった。したがって、ノンクロムプロセスを適用できるものではなかった。
グラフト共重合体(A)の含有量が25部未満であった比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、めっき密着強度、表面外観のいずれもが不足していた。
グラフト共重合体(A)の含有量が25部未満であり、第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位含有量が1.0%を超えていた比較例5の熱可塑性樹脂組成物は、めっき密着強度、表面外観のいずれもが不足していた。

Claims (2)

  1. ゴム質重合体(a)の存在下にて、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)25〜50質量部と、
    芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを共重合してなる第1の硬質共重合体(B)45〜70質量部と、
    芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と不飽和カルボン酸化合物とを共重合してなり、不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.5〜20質量%である第2の硬質共重合体(C)3〜25質量部とを含有し、
    第2の硬質共重合体(C)由来の不飽和カルボン酸化合物単位の含有量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とするめっき用熱可塑性樹脂組成物。
  2. グラフト共重合体(A)に含まれるゴム質重合体(a)のゲル含有量が70〜95質量%であることを特徴とする請求項1に記載のめっき用熱可塑性樹脂組成物。
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