JP2008008467A - 自動平衡装置、回転装置及びディスク駆動装置 - Google Patents

自動平衡装置、回転装置及びディスク駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】騒音を低減でき、かつ、小型化された自動平衡装置、回転装置及びディスク駆動装置を提供すること。
【解決手段】自動平衡装置10は、リング状のケース2と、このケース2の上部に設けられた開口に装着されたリング状のカバーとで構成されるハウジング(回転体)5を備えている。ハウジング5内には、磁性流体9が収容され、さらに複数のバランサマグネット17が収容されている。バランサマグネット17は、ハウジング5のリング状の移動空間14に沿うように円弧ブロック状に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転のバランスを保つための自動平衡装置、当該装置を搭載した回転装置及びディスク駆動装置に関する。
例えばデータを記録/再生する光ディスク装置や磁気ディスク装置等のディスク装置では、記録媒体としてのディスクがターンテーブル上で回転するときに、ディスクの偏心等の理由により、回転がアンバランスとなり記録/再生の安定性が低下する場合がある。
かかるアンバランスを解消する装置として、例えば複数の鋼球をバランサとして用いた自動平衡装置(自動調芯機構)が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの自動調芯機構では、ケース体が回転しているときに、鋼球のバランサ球がアンバランス(偏重心)を打ち消す方向に移動することで、このディスクを含むディスク装置の回転するすべての部材の合成重心が、回転中心に一致する状態となる。これにより、振動系の振動が抑えられ、すなわち、アンバランスが解消される。
特開平11−41857号公報(段落[0011]、図8等) 特開2000−82254号公報(段落[0046]、図5)
上記自動平衡装置では、鋼球のバランサ球が用いられているので、ケース体の回転時のバランサ球の移動によって騒音が発生するという問題がある。
また、一般に、上記のような構造の自動平衡装置では、ケース体内の、バランサ球が移動する空間が広く構成される必要があり、したがって自動平衡装置やこれが搭載されるディスク駆動装置の薄型化、小型化が難しい。特に近年、ディスク駆動装置にあっては、その薄型化、高速化(ディスクの回転速度の高速化)の要請があり、ディスク駆動装置のスピンドルモータが限られた外径で高トルク化を達成することが望まれている。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、騒音を低減でき、かつ、小型化された自動平衡装置、回転装置及びディスク駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る自動平衡装置は、リング状の空間を有する回転可能な回転体と、前記空間内に収容された磁性流体と、前記空間に沿うように円弧ブロック状に形成され、前記空間内で移動可能な、バランサとして機能する複数のマグネットとを具備する。
本発明では、磁性流体がマグネットに吸着し、マグネットと当該空間を構成する壁面との間に磁性流体の膜が形成されるので、バランサとしてのマグネットが空間内で移動するときの騒音が低減される。また、マグネットは、回転体のリング状の空間に沿うように円弧ブロック状に形成されているので、当該空間内でマグネットが体積的に占める割合(体積占有率)が大きくなる。すなわち、従来のような球形のバランサに比べ、各バランサを空間内に密に配置することができる。したがって、本発明に係る自動平衡装置が従来の自動平衡装置と同じバランス能力を発揮する場合でも、従来に比べ回転体の空間を小さくすることができ、自動平衡装置の小型化を達成できる。
本発明において、前記回転体の回転周方向に沿って、前記各マグネットが前記空間内で占める角度は、140〜180°である。
本発明において、例えば、前記マグネットは、4つ設けられている。
本発明に係る回転装置は、リング状の空間を有する回転可能な回転体と、前記空間内に収容された磁性流体と、前記空間に沿うように円弧ブロック状に形成され、前記空間内で移動可能な、バランサとして機能する複数のマグネットと、回転するロータを有し、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構とを具備する。
本発明において、前記回転体は、前記ロータの回転外周側に配置されている。これにより、回転装置の回転軸方向での薄型化を実現することができる。また、上記したように空間を狭く形成することができるので、本発明のように回転体がロータの外側に配置されていても、回転装置がその回転径方向に大きくなることはない。
本発明に係るディスク駆動装置は、信号を記録可能なディスク状の記録媒体を保持する保持部と、リング状の空間を有する回転可能な回転体と、前記空間内に収容された磁性流体と、前記空間に沿うように円弧ブロック状に形成され、前記空間内で移動可能な、バランサとして機能する複数のマグネットと、回転するロータを有し、前記保持部と回転体とを一体的に回転駆動する回転駆動機構とを具備する。
以上のように、本発明によれば、自動平衡装置の騒音を低減でき、小型化を実現することができる。また、回転装置及びディスク駆動装置の薄型化を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
まず、自動平衡装置の原理について説明する。これは、Thearlの自動平衡装置により説明されている。Thearlの自動平衡装置についての詳細は、理工学社出版「機械力学」(昭和57年3月)P146、147を参照されたい。
図1を参照して、Thearlの自動平衡装置101を簡単に説明する。Thearlの自動平衡装置101とは、回転円板102と該回転円板102の溝103の中に自在に動くことができるように配された2個の鋼球(バランス部材)104、104と回転軸105とから構成されており、回転円板102の回転数が、回転軸105の固有円振動数(危険速度)を超えたときに、Me=2mR・cosα(M:回転円板102と回転軸105のロータ部質量、e:ロータ部偏心量、m:鋼球104の質量、r:鋼球起動半径、α:偏心方向と鋼球104のなす角度)を満足する位置に鋼球104、104が自動的に位置され、回転円板102の偏心を無くし、ロータ部の振動を軽減する装置である。なお、この式は、鋼球104を質点とみなしたときの式であるが、剛体の系で考え、鋼球4の半径をrとすると、上式は、Me=2m(R−r)・cosαとなる。
ここで、Thearlの自動平衡装置101が、回転軸105の固有円振動数を超えたときに作動する理由を簡単に述べれば、回転円板102の重心Gの運動と鋼球104、104の運動が逆位相となり、偏心方向とは逆方向に鋼球104、104が移動して位置されるためである。
図2は、本発明の一実施の形態に係る自動平衡装置の上から見た断面図である。図3は、図2におけるA−A線断面図である。
自動平衡装置10は、リング状のケース2と、このケース2の上部に設けられた開口に装着されたリング状のカバー1とで構成されるハウジング(回転体)5を備えている。ハウジング5内には、磁性流体9が収容され、さらに複数のバランサマグネット17が収容されている。カバー1の下面である上路面1a、ケース2内の下路面2a、内周壁面2b及び外周壁面2cで囲まれる空間が、バランサマグネット17及び磁性流体9が移動する移動空間14となる。移動空間14の高さaや幅b(図3参照)は、バランサマグネット17が移動空間14内で上下方向で反転しないような寸法に設計されている。バランサマグネット17が、上下反転すると、着磁方向が反転し、各バランサマグネット17同士が互いに吸着してしまうからである。
カバー1とケース2とは、例えば、溶着、圧着、レーザ接合、超音波接合等により接合されるが、これらの接合方法に限られない。カバー1やケース2の構成材料としては、後述するバランサマグネット17の磁気の影響を受けない材料で構成される。その材料としては、例えばポリカーボネイト等のプラスチック、アルミ合金、ブロンズ合金、セラミックス等の材料がある。
バランサマグネット17は、図2に示すように、例えば4つ設けられるが、原理的には2つ以上であれば何個でもよい。バランサマグネット17の材料としては、例えばフェライト、あるいはネオジウム等が用いられるが、これらに限られるものではない。
図4(A)及び図4(B)は、バランサマグネット17を示す斜視図である。図4(A)は、内周側から見た図であり、図4(B)は外周側から見た図である。バランサマグネット17は、ハウジング5のリング状の移動空間14に沿うように円弧ブロック状に形成されている。バランサマグネット17は、例えば、ハウジング5の回転の径方向に着磁され、かつ、周方向にも多極着磁されている。各バランサマグネット17は、移動空間14内で互いに反発し合うように着磁方向が定められてそれぞれ配置されている。マグネット17の磁極の数や、着磁方向については、適宜変更可能である。例えば、図3において、軸方向(Z方向)に着磁され、その場合に、周方向には着磁されていなくてもよいし、または図4(A)、(B)に示すように、多極着磁されていてもよい。
磁性流体9は、バランサマグネット17の周りに吸着しており、ハウジング5の静止時において、バランサマグネット17は移動空間14内で浮遊した状態にある。磁性流体9の代わりに、磁気抵抗流体(MR流体(Magneto-Rheological Fluid))等が用いられてもよい。磁性流体9の溶媒としては、水、油、ポリタングステン酸ナトリウム等が用いられるが、これらに限られない。
図5は、自動平衡装置10が搭載されるディスク駆動装置を示す斜視図である。図6は、その図5のディスク駆動装置の要部を示す断面図である。
ディスク駆動装置100は、スピンドルモータ61及び光学ピックアップ99が搭載されるメカシャーシ63と、ベースシャーシ64に対してメカシャーシ63をフローティング支持する複数のダンパ62、62、・・・とを備えている。光学ピックアップ99は上記メカシャーシ63にガイドシャフト98、98を介してディスク保持部65に装着された光ディスクDの半径方向に移動自在に支持されている。光学ピックアップ99は、移動ベース94と、対物レンズ97を支持し移動ベース94に搭載されたアクチュエータ93とを有する。光学ピックアップ99は、レーザダイオードの如き図示しない光源及び光検出器を有し、光源より発せられるレーザ光を対物レンズ97を介して光ディスクDに照射し、また、レーザ光の光ディスクDからの反射光を光検出器によって検出する。
スピンドルモータ61は、例えば駆動電流が流れるコイル61dが備えられたステータ61bと、リング状のマグネット61eが取り付けられ軸受け61aを介して回転可能に設けられたロータ61cと、回転軸部材16とを有している。ロータ61cの上面の中央には、回転軸部材16が挿通されるボス部材12が固定され、このボス部材12の周囲には光ディスクDが装着されて保持されるディスク保持部65が設けられている。ロータ61cの外周面61fが、自動平衡装置10のハウジング5の内周面5aに当接するように、スピンドルモータ61が配置されている。ロータ61c、ボス部材12及びディスク保持部65は、一体成型により形成されていてもよい。
このようなディスク駆動装置100の構成によれば、スピンドルモータ61が回転駆動することにより、自動平衡装置10と光ディスクDとが一体的に回転する。以下、一体的に回転する部材である、光ディスクD、回転軸部材16、自動平衡装置10、ディスク保持部65、ボス部材12、及び、マグネット61eを搭載したロータ61cをまとめて「合成回転体」という。また、以下、合成回転体の重心を「合成重心」という。
上記複数のダンパ62や図5に示す光学ピックアップ99も含め、ダンパ62より上方にある各部品により振動系95が構成される。かかる振動系95の共振周波数は、当該ディスク駆動装置100が12倍速のディスク駆動装置である場合には、例えば、75Hz(4500rpm)になるように上記ダンパ62、62、・・・の弾性係数が設定される。これは、12倍速のディスク駆動装置の使用回転数域が約3000〜6000rpmであり、現在多くあるディスク駆動装置にあっては、回転駆動開始直後、最内周側の信号を読みに行くのが一般的で、その最内周の信号を読みに行った時が最大回転数(6000rpm)となるため、この最大回転数になるまでにバランスが取れていればよいことによる。
なお、光ディスクとは、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(登録商標))、その他ホログラム等の光学的な方法で信号の記録または再生が可能なディスクが挙げられる。また、光ディスクに限られず、本発明に係るディスクとは、MO(Magneto Optical disk)やMD(Mini-Disk)等の光磁気ディスク、ハードディスクのような磁気ディスク等であってもよい。
次に、自動平衡装置10の動作について説明する。図7は、その動作を順に示す図である。
図7(A)に示すように、例えば振動系95にアンバランス15が存在しているとする。すなわち、合成重心15が、合成回転体の回転中心位置(回転軸部材16の位置)がずれているとする。ディスク保持部65に光ディスクDがセットされ、スピンドルモータ61が回転し始めると、上記振動系95が振動し始める。スピンドルモータ61の回転初期(低速回転時)には、バランサマグネット17と磁性流体9とが一体となって回転し始める。これは、磁性流体9の粘性による力や、バランサマグネット17が磁性流体9を介して移動空間14の例えば上路面1bまたは下路面2dに対して働く摩擦力が、ハウジング5の回転による遠心力より大きいことによるものである。
スピンドルモータ61の回転数が上昇すると、バランサマグネット17は磁性流体9とともに遠心力を受けて移動空間14内で外周側へ移動する。この状態で、図7(B)に示すように、各バランサマグネット17は、外周壁面2cに遠心力で押し付けられた状態となる。また、このとき、磁性流体9は、外周壁面2cに膜を形成するように均一に広がっている。そして、例えばスピンドルモータ61の所定の回転数(共振周波数)付近において振動系95の共振が生じ、バランサマグネット17の引き込み現象が生ずる。「引き込み現象」とは、各バランサマグネット17が、磁性流体9を介して外周壁面2cに接した状態で、アンバランス15を打ち消す方向に移動する現象をいう。
具体的には、共振周波数付近の回転数において、ハウジング5の振動と、各バランサマグネット17の振動とが逆位相となり、図7(C)に示すように、4つのマグネットバランサ17の総合的な重心位置は、アンバランス15の方向と逆方向A1に移動する。これにより、振動系95の振動が減少し、問題ない程度に小さくなる。
以上のように、本実施の形態に係る自動平衡装置10では、磁性流体9がバランサマグネット17に吸着し、バランサマグネット17と、上路面1a、下路面2a、あるいは外周壁面2cとの間に磁性流体9の膜が形成される。これにより、バランサマグネット17が移動空間14内で移動するときの騒音が低減される。
また、バランサマグネット17は、リング状の移動空間14に沿うように円弧ブロック状に形成されているので、当該空間14内におけるバランサマグネット17の体積占有率が大きくなる。すなわち、従来のような球形のバランサに比べ、各バランサマグネット17を移動空間14内に密に配置することができる。したがって、自動平衡装置10が従来の自動平衡装置と同じバランス能力を発揮する場合でも、従来に比べ移動空間14を小さくすることができ、自動平衡装置10の小型化を達成できる。
また、図6に示したように、自動平衡装置10が、スピンドルモータ61の外周側に配置されているので、ディスク駆動装置100の薄型化を実現することができる。すなわち、ディスク駆動装置100の光ディスクDの回転軸16方向の厚さを薄くすることができる。上記したように移動空間14を狭く形成することができるので、本実施の形態のようにハウジング5がロータ61cの外側に配置されていても、スピンドルモータ61及び自動平衡装置10で構成される回転装置が、その回転径方向に大きくなることはない。
さらに、本実施の形態に係る自動平衡装置10では、上記のように移動空間14を小さくすることができる結果、以下に説明するように、ハウジング5の内径を極力小さくすることができる。
上記特許文献1(特開平11−41857)によれば、
バランサ球の個数nをn=(180/θ)+0.5(小数点以下切り捨て)・・・(1)
(θ:最外周側に位置した1個のバランサ球11が占める角度)
の場合、
θ=2Sin-1{r/(R-r)}・・・(2)
R:回転中心Oから最外周側に位置したバランサ球11の中心までの半径
r:バランサ球の半径
とするとき、最も無駄なく振動をキャンセルすることができると記載されている。
また、アンバランス量Bは下記の式(3)、(4)のように表すことができる。
バランサ球の個数が偶数の場合、
(n-1)/2
B= m(R-r) + Σ 2m(R-r)cos(kθ)・・・(3)
k=1
バランサ球11が奇数の場合、
n/2
B= Σ 2m(R-r)cos[(θ/2)+kθ]・・・(4)
k=0
m:バランサ球の質量(=(4πr3ρ)/ 3)、ρ:密度
図8に示すように、このような従来の自動平衡装置において、バランサ球11が転がる最大範囲の直径Dを28mmとして1g・cmのアンバランス量をキャンセルすることができるバランサ球11の個数n及びバランサ球11の半径rを上記各式(1)〜(4)により計算する。なお、バランサ球の材質は、ステンレス鋼(SUS440C)とし、その密度ρ=7.7g/cm3とする。図9は、図8に示す従来の自動平衡装置において、バランサ球の個数とキャンセル可能なアンバランス量との関係を示すグラフである。
図9及び上記式(1)〜(4)によれば、1g・cmのアンバランスをキャンセル可能にするには、n=14、r=1.4mm(直径2.8mm)となる。よって、従来の自動平衡装置10の内径d1はおおよそφ21.8となる。
一方、本実施の形態に係る自動平衡装置10(図10参照)について、同様にバランサマグネット17が移動する最大範囲である直径D(図2参照)を同じくφ28として、1g・cmのアンバランスをキャンセルすることができる具体的な寸法を以下に計算する。バランサマグネット17はSm-Co系、その密度を8.5g/cm3とする。本実施の形態の場合のアンバランス量Bは、下記の式(5)によって表される。
B=(2/3)[(D/2)3-r3]ρtsin(α/2) ・・・(5)
ρ:バランサマグネットの密度、
α:バランサマグネット全体がなす角度
γ:回転中心Oから最外周側に位置したバランサマグネット17の内周面までの距離
t:バランサマグネットの軸方向(回転軸方向)の厚さ
上式(5)からαとBを計算し、それらの関係を示したグラフが、図11に示すグラフである。すなわち、この図11は、図9に対応するグラフであり、各バランサマグネット全体がなす角度αと、キャンセル可能なアンバランス量との関係を示すグラフである。γ=12.67mm、α=180°付近の時に1g・cmのアンバランスをキャンセル可能となる。この時の自動平衡装置10の内径d2はおおよそφ24.5となる。また、αが180°を超えるとバランサマグネット17の体積を増してもキャンセル効果はない事が明らかである。以上の結果より、d2-d1=24.5−21.8=2.7であり、この分、スピンドルモータ61のロータ61cの外径を大きくする事ができる。したがって、スピンドルモータ61のトルク性能低下を最小にとどめることができる。
また、図11において、アンバランスの最大キャンセル量の95%程度のキャンセル量を達成するαが約140°である。α=150°の場合、最大キャンセル量の97%程度を達成できる。したがって、α=140°〜180°に設定されることが望ましい。
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
上記実施の形態で示したバランサマグネット17に代えて、図12(A)、(B)に示すようなバランサが用いられてもよい。このバランサ19は、上記したバランサマグネット17にヨーク13が取り付けられて構成されている。マグネット17には、少なくとも内周面17eが被覆されるようにヨーク13が接合されている。この例では、内周面17e及び両側面17dがヨーク13により被覆されている。つまり、マグネット17は、上面17a、下面17b及び外周面17cが露出している。マグネット17とヨーク13の接合方法としては、溶着、圧着、レーザ接合、超音波接合、またはその他の接合方法がある。このようなヨーク13が設けられることにより、バランサ19の内周側より、外周側の方により多くの磁性流体9が吸着する。これにより、ハウジング5の回転開始時に、磁性流体9に遠心力が加えられてもバランサ19の外周側に、より多くの磁性流体膜が形成され、静音性を確保しながらバランサ19が滑らかに動く。また、外周側に磁場が広がることで、各マグネット17同士の反発力が軽減され、各バランサ19が動きやすくなる。なお、この場合、磁性流体9は、マグネット17の上面17a及び下面17bにも吸着するので、図3に示すように、バランサ19は移動空間14内で浮遊した状態を維持することができる。
また、ハウジング5の内周面5aにリング状のマグネット(バランサ吸引用のマグネット)(図示せず)が装着されていてもよい。この場合、そのバランサ吸引用マグネットが発生する磁界により、バランサマグネット17が引き付けられる。これにより、ハウジング5の回転時に、高回転数になるまでバランサマグネットを内周側に引き付けておくことができるので、n倍速等の高回転数域で自動平衡装置を使用することが可能となる。しかも、この場合において、図12(A)及び(B)に示したバランサ19が用いられると、さらに次のような有利な効果を奏する。すなわち、バランサ19のヨーク13がマグネット17の少なくとも内周側に設けられているので、バランサ19の内周側へ磁界を漏らさないようにすることができ、そのバランサ19の内周側で磁束密度が均一な場を生成することができる。これにより、バランサ19とバランサ吸引用マグネットとの間で、磁極の極性によって部分的に吸引力や反発力が発生することはなく、バランサ19はスムーズにハウジング5内で移動可能となる。
Thearlの自動平衡装置の動作原理を説明するための図である。 本発明の一実施の形態に係る自動平衡装置の上から見た断面図である。 図2におけるA−A線断面図である。 図4(A)は、内周側から見た図であり、図4(B)は外周側から見た図である。 自動平衡装置が搭載されるディスク駆動装置を示す斜視図である。 図5に示すディスク駆動装置の要部を示す断面図である。 自動平衡装置の動作を順に示す図である。 従来の自動平衡装置の各部の寸法について説明するための図である。 図8に示す従来の自動平衡装置において、バランサ球の個数とキャンセル可能なアンバランス量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る自動平衡装置の各部の寸法について説明するための図である。 各バランサマグネット全体がなす角度と、キャンセル可能なアンバランス量との関係を示すグラフである。 図12(A)は、他の実施の形態に係るバランサマグネットの内周側から見た図であり、図12(B)は、そのバランサマグネットの外周側から見た図である。
符号の説明
D…光ディスク
O…回転中心
5…ハウジング
9…磁性流体
10…自動平衡装置
14…移動空間
17…バランサマグネット
19…バランサ
61…スピンドルモータ
61c…ロータ
65…ディスク保持部
95…振動系
100…ディスク駆動装置

Claims (6)

  1. リング状の空間を有する回転可能な回転体と、
    前記空間内に収容された磁性流体と、
    前記空間に沿うように円弧ブロック状に形成され、前記空間内で移動可能な、バランサとして機能する複数のマグネットと
    を具備することを特徴とする自動平衡装置。
  2. 請求項1に記載の自動平衡装置であって、
    前記回転体の回転周方向に沿って、前記各マグネットが前記空間内で占める角度は、140〜180°であることを特徴とする自動平衡装置。
  3. 請求項1に記載の自動平衡装置であって、
    前記マグネットは、4つ設けられていることを特徴とする自動平衡装置。
  4. リング状の空間を有する回転可能な回転体と、
    前記空間内に収容された磁性流体と、
    前記空間に沿うように円弧ブロック状に形成され、前記空間内で移動可能な、バランサとして機能する複数のマグネットと、
    回転するロータを有し、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構と
    を具備することを特徴とする回転装置。
  5. 請求項4に記載の回転装置であって、
    前記回転体は、前記ロータの回転外周側に配置されていることを特徴とする回転装置。
  6. 信号を記録可能なディスク状の記録媒体を保持する保持部と、
    リング状の空間を有する回転可能な回転体と、
    前記空間内に収容された磁性流体と、
    前記空間に沿うように円弧ブロック状に形成され、前記空間内で移動可能な、バランサとして機能する複数のマグネットと、
    回転するロータを有し、前記保持部と回転体とを一体的に回転駆動する回転駆動機構と
    を具備することを特徴とするディスク駆動装置。
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