JP2008007563A - ポリアミド樹脂組成物の製造方法、及びポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物の製造方法、及びポリアミド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来のポリアミド樹脂の機械的特性、耐熱性、耐薬品性を損なうことなく、更に耐熱エージング性の向上及び銅析出が抑制されたポリアミド樹脂組成物及びその製造方を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、少なくとも一種の還元性リン化合物を添加し、ポリアミド樹脂を得るポリアミド重合工程と、前記ポリアミド樹脂に、銅化合物及びハロゲン化合物(但し、ハロゲン化銅を除く)を添加してポリアミド樹脂組成物を得るポリアミド樹脂組成物製造工程と、を含む製造方法を提供するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形加工中の金属析出の問題点を解消し、耐熱エージング性に優れたポリアミド成形品を提供し得るポリアミド樹脂に関する。
ポリアミド樹脂は、種々の熱履歴を受けた場合、熱劣化及び酸化劣化が起こり、黄色度が増加したり、分子量が変化したり、靭性や耐久性等の機械物性が低下する。種々の熱履歴とは、重合、溶融混練、成形加工(射出、押出、ブロー、紡糸、フィルム等)あるいは高温環境での使用等である。
該熱履歴での劣化の程度を減少させるために、熱安定剤として作用する次亜リン酸ナトリウム等のリン化合物をポリアミド樹脂に添加する方法は良く知られており、またよく用いられる方法である。
一方、耐熱エージング性の向上のために、長期高温環境下での熱安定剤としてヨウ化銅及びヨウ化カリウム等の銅化合物及びハロゲン化合物をポリアミドに添加する方法も良く知られており、またよく用いられる方法である。
また、特開平8−333511号公報(特許文献1)には、上記熱安定剤を組み合わせた技術、すなわち次亜リン酸又はこの酸のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、ハロゲン化銅及びハロゲン化合物との3元安定剤を添加した耐候に優れたポリアミドが開示されている。特許文献1では、この3元安定剤の添加方法について、例えば、重合前又は中に単量体に添加できること、押出し機等を用いて重合体溶融物中に混入しうること、粒状物等として固体重合体の表面あるいは固体成形組成物の表面に適用しうること、好ましくは押出し機を用いて重合体溶融物に導入されること、等が述べられている。
しかしながら、本発明者らが、次亜リン酸ナトリウム等の還元性リン化合物、銅化合物及びハロゲン化合物を併用してポリアミドに添加したところ、銅化合物が金属銅となる酸化還元反応が起こりやすく、重合、押出機あるいは成形機の配管内、装置内、スクリュー表面あるいはシリンダー表面に金属銅が析出する現象も見受けられた。また、析出した金属銅がポリアミド樹脂あるいはその成形品の中に混入し、耐熱エージング性が十分改良されない等の問題を発生させることがわかった。
特開平8−333511号公報
そこで、本発明は、ポリアミドにリン化合物、銅化合物及びハロゲン化合物の3元熱安定剤を添加するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、押出機や成形機内でも金属銅が析出し難く、耐熱エージング性が向上されたポリアミド樹脂組成物を得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂重合工程において還元性リン化合物を添加することにより、ポリアミド樹脂中に残存する還元性リン元素を特定の量まで低減させることができること、こうして得られたポリアミド樹脂に特定量の銅化合物及びハロゲン化合物(ハロゲン化銅は除く)を添加して得られるポリアミド樹脂組成物は、金属銅が析出し難く、耐熱エージング性にも優れていることを見出した。
すなわち本発明は、
〔1〕ポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、少なくとも一種の還元性リン化合物を添加し、ポリアミド樹脂を得るポリアミド重合工程と、前記ポリアミド樹脂に、銅化合物及びハロゲン化合物(但し、ハロゲン化銅を除く)を添加してポリアミド樹脂組成物を得るポリアミド樹脂組成物製造工程と、を含む製造方法;
〔2〕前記ポリアミド重合工程において、該ポリアミド樹脂中に残存する還元性リン元素の量を該ポリアミド樹脂中のポリアミド10gあたりXモルとしたとき、Xが下記式(I)を満たすように、還元性リン元素の量を低減させる、上記〔1〕に記載の製造方法、
0≦X≦0.3・・・(I);
〔3〕前記ポリアミド重合工程において、前記ポリアミド樹脂に添加する銅元素の量を該ポリアミド樹脂中のポリアミド10gあたりYモルとしたとき、Yが下記式(II)を満たす、上記〔1〕または〔2〕に記載の製造方法、
0.3≦Y≦5・・・(II);
〔4〕前記還元性リン化合物は、亜リン酸類、次亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、次亜リン酸金属塩類、及び亜リン酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、
上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法;
〔5〕前記ポリアミド樹脂組成物製造工程において、前記銅化合物及びハロゲン化合物を溶融混練法によって前記ポリアミド樹脂に添加する、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法;
〔6〕前記ポリアミド樹脂組成物製造工程において、ハロゲン元素と銅元素とのモル比(ハロゲン/銅)が3〜30となるように、前記銅化合物及び前記ハロゲン化合物を前記ポリアミド樹脂に添加する、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法;
〔7〕上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、ポリアミド樹脂組成物、に関するものである。
本発明にかかる製造方法によれば、長期耐熱エージング性に優れ、かつ押出機や成形機内での金属銅の析出が少ないポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
上述のように、本発明に係るポリアミド樹脂組成物の製造方法は、ポリアミド原料に少なくとも一種の還元性リン化合物を添加してポリアミド樹脂を得るポリアミド重合工程と、前記ポリアミド樹脂に、銅化合物及びハロゲン化合物(但し、ハロゲン化銅を除く)を添加してポリアミド樹脂組成物を得る工程と、を含むことを特徴とする。そこで、まず、各工程に用いられる物質及び各工程において製造される物質について以下に述べる。
まず、ポリアミドについて説明する。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体であれば特に限定されないが、例えばポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)、ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))が挙げられる。また、これらのうち2種類以上の異なるポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、あるいは、混合物などであってもよい。アミド結合の有無は、赤外吸収スペクトル(IR)で確認することができる。
本発明で用いるポリアミド原料は、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体を製造するために用いられている周知の原料であれば特に限定されないが、重合可能なアミノ酸、重合可能なラクタム、あるいは重合可能なジアミンとジカルボン酸との塩あるいは混合物、および重合可能なオリゴマー等を挙げることができる。これら原料は、原料そのもので用いてもかまわないし、水溶液として用いてもかまわない。
ポリアミドの分子量は、本発明の課題を達成するという観点から、JIS−K6810に従って測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の相対粘度が、好ましくは2.0〜6.5、より好ましくは2.3〜5.5、更に好ましくは2.5〜5.5である。該範囲にすることにより、各種成形において安定して成形品を得ることが可能となる。
本発明で用いるポリアミドのカルボキシル基濃度比率は、0.40〜0.85であることが好ましく、より好ましくは0.50〜0.80であり、更に好ましくは0.55〜0.75である。
カルボキシル基濃度比率とはポリアミド中のカルボキシル基濃度とアミノ基濃度をそれぞれ〔COOH〕、〔NH〕として{〔COOH〕/(〔COOH〕+〔NH〕)}で計算される値をいう。カルボキシル基濃度比率をこの範囲にすることにより、銅析出や金属腐食を抑制でき、また耐熱エージング性を向上させることができる。
カルボキシル基濃度比率は、前記ポリアミド原料に末端調整剤を添加することに調整できる。
この末端調整剤は、分子構造内にカルボン酸を含有する化合物であれば特に限定されないが、ジカルボン酸とモノカルボン酸が好ましく用いられる。前記ジカルボン酸は、例えばマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸などを挙げることができる。前記モノカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸などを挙げることができる。これらのカルボン酸化合物は単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
ポリアミド樹脂を製造する方法は、周知の方法を用いることができる。例えば、ε−カプロラクタムなどのラクタム類をポリアミド原料とする開環重縮合法、ヘキサメチレンアジパミドなどのジアミン・ジカルボン酸塩あるいはその混合物を原料とする熱溶融法などを用いることができる。また、ポリアミド原料の固体塩あるいはポリアミドの融点以下の温度で行う固相重合法、ジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分を用いた溶液法なども用いることができる。これらの方法は必要に応じて組み合わせてもかまわない。中でも熱溶融法、熱溶融法と固相重合を組み合わせた方法が最も効率的である。
また、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。また、重合装置も特に制限されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いることができる。
次に、還元性リン化合物について説明する。
本発明で用いられる還元性リン化合物は、(1)亜リン酸類および次亜リン酸類、(2)亜リン酸金属塩類および次亜リン酸金属塩類、および(3)亜リン酸エステル類等の亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物から選ぶことができる。
前記(1)の亜リン酸類および次亜リン酸類は、例えば亜リン酸、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、二亜リン酸が挙げられる。前記(2)の亜リン酸金属塩類および次亜リン酸金属塩類とは、前記(1)亜リン酸類および次亜リン酸類と周期律表第1族及び第2族、マンガン、亜鉛、アルミニウム、アンモニア、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、ジアミンとの塩が挙げられる。前記(3)の亜リン酸エステル類とは下記一般式で表される。
亜リン酸エステル;(OR)P(OH)3−n
ここで、nは1、2あるいは3を表し、Rはアルキル基、フェニル基、あるいはそれらの基の一部が炭化水素基などで置換された置換基アルキル基を表す。nが2以上の場合、前記一般式内の複数の(RO)基は同じでも異なっていてもよい。前記Rとしては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基、オレイル基などの脂肪族基、フェニル基、ビフェニル基などの芳香族基、あるいはヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基などの置換基を有する芳香族基が挙げられる。
還元性リン化合物のポリアミド原料10gに対する添加量は、リン元素にして0.01〜5モルが好ましく、0.03〜4モルがより好ましく、0.05〜3モルが最も好ましい。この範囲にすることにより、耐熱エージング性の向上が達成される。
次に、銅化合物とハロゲン化合物について説明する。
本発明で用いられる銅化合物としては、ハロゲン化銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅、ステアリン酸銅などや、エチレンジアミン(en)、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤に配位した銅錯塩が挙げられる。これら銅化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合しても良い。この中でも、好ましいものとしてはヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、酢酸銅が挙げられる。
本発明で用いられるハロゲン化合物(但し、ハロゲン化銅を除く)としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素、臭素ナトリウム、臭素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムが挙げられる。中でもヨウ化カリウムが最も好ましく用いられる。
ハロゲン化合物の添加量は、ポリアミド中のハロゲン元素と銅元素とのモル比(ハロゲン/Cu)で好ましくは3〜30、より好ましくは5〜25、最も好ましくは5〜22になるように添加する。この範囲にすることにより、銅析出の抑制や耐熱エージング性の向上が達成される。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物の製造方法では、上述した材料を用い、まず、ポリアミド重合工程において、少なくとも一種の還元性リン化合物を添加する。
ここで、本発明においてポリアミド重合工程とは、ポリアミド原料から重合度が約10程度のプレポリマーを製造する工程をいう。本発明においては銅析出の抑制や耐熱エージング性の向上が達成されやすいという観点から、還元性リン化合物をポリアミド原料に添加する方法が最も好ましいが、ポリアミド重合工程内であればいずれの段階で還元性リン化合物を添加してもよい。
ポリアミド重合工程内で添加された還元性リン化合物は、その後の重合工程および溶融混練工程で、その一部は還元性を有した次亜リン酸あるいは亜リン酸化合物として残存するが、その他はリン酸、その金属塩あるいはエステル化合物などの非還元性リン化合物に酸化される。ポリアミド樹脂中に残存する還元性リン元素とは、残存する次亜リン酸化合物及び亜リン酸化合物のリン元素を意味している。ポリアミド樹脂中の還元性及び非還元性リン化合物のリン元素の濃度は、例えば、キャピラリー電気泳動法を用いて測定することができる。より具体的には、まず濃度が既知の次亜リン酸イオン標準液、亜リン酸イオン標準液、リン酸イオン標準液を、キャピラリー電気泳動法を用いて測定してキャリブレーションカーブを作成する。次に、ポリアミド樹脂を水に懸濁させ、室温状態で超音波処理した後、ろ別し、残液を用いてキャピラリー電気泳動法を用いて測定して、キャリブレーションカーブから次亜リン酸イオン、亜リン酸イオン及びリン酸イオン濃度を求めることができる。求まった次亜リン酸イオン及び亜リン酸イオン濃度を、ポリアミド10gに対するリン元素のモル量に換算することにより、ポリアミド樹脂に残存する還元性リン元素濃度を求めることができる。
ポリアミド樹脂中に残存する還元性リン元素の量をポリアミド10gあたりXモルとすると、0≦X≦0.3の範囲であり、0≦X≦0.27の範囲が好ましく、0≦X≦0.25の範囲が最も好ましい。ここで、ポリアミド10gとは、ポリアミド樹脂中のポリアミド成分10gを意味する。この範囲にすることにより、銅析出の抑制や耐熱エージング性の向上が達成されやすい。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物の製造方法では、ポリアミド樹脂に、銅化合物及びハロゲン化合物(但し、ハロゲン化銅を除く)を添加する。
銅化合物及びハロゲン化合物の添加は、粉状、顆粒状、水溶液状態、マスターバッチのいずれで実施してもかまわない。また、ポリアミド表面にブレンド、コーティングして添加してもかまわないし、溶融混練して添加してもかまわないが、中でも、銅析出の抑制や耐熱エージング性の向上が達成されやすいという観点から、溶融混練する方法が好ましく、特に銅化合物とハロゲン化合物とをマスターバッチにして溶融混練する方法が好ましい。
溶融混練としては、一般に実用化されている混練機が適用でき実施できる。例えば一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーを用いればよい。
ポリアミド樹脂に添加する銅元素の量を、ポリアミド樹脂中のポリアミド10gあたりYモルとすると、0.3≦Y≦5の範囲であり、0.5≦Y≦4.5が好ましく、0.5≦Y≦4が最も好ましい。この範囲にすることにより、銅析出の抑制や耐熱エージング性の向上が達成される。
また、ポリアミド樹脂中に残存する還元性リン元素のモル量Xと、銅化合物の添加量Yの関係は、0.25≦(Y−X)≦2.0の範囲が好ましく、0.50≦(Y−X)≦1.5の範囲がより好まし。この範囲にすることにより、銅析出の抑制や耐熱エージング性の向上が達成されやすい。
本発明のポリアミド樹脂組成物を各種部品に成形する場合、本発明のポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.05〜0.5質量部の高級脂肪酸化合物を添加することにより、流動性、可塑化、離型性等の成形性を改良できるとともに、より顕著に本発明の課題である耐熱エージング性の向上、銅析出の抑制をすることが可能である。
高級脂肪酸化合物は、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド及び高級脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一つの化合物である。中でも好ましい高級脂肪酸化合物は、高級脂肪酸はステアリン酸やエルカ酸、高級脂肪酸金属塩は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、高級脂肪酸アミドは、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド、N−ステアリルステアリルアミド、高級脂肪酸エステルはステアリルステアレートを例示することができる。この中でも、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド、N−ステアリルステアリルアミド等の高級脂肪酸アミドを用いるこが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない程度で、ポリアミドに慣用的に用いられる添加剤、例えば顔料、染料、成形性改良剤、有機酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、可塑化剤、難燃剤、蛍光漂白剤、核剤、ゴム並びに強化材を添加することもできる。
このようにして得られたポリアミド樹脂組成物は、周知の成形方法で成形品を得ることができる。該成形方法は、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、溶融紡糸などを挙げることができる。また、得られた成形品は、多くの成形用途(自動車部品、工業用用途部品、電機電子部品、ギア等)や押出用途(チューブ、棒、フィラメント、フィルム、ブロー等)において有用である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。以下の実施例、比較例において記載した物性評価は、以下のように行った。
(1)ポリアミドの相対粘度
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド樹脂1g)/(98%硫酸100ml)の割合)を作成し、25℃の温度条件下で測定した。
(2)ポリアミドのカルボキシル基濃度比率
カルボキシル基濃度は、ペレットや粉砕した成形品等を、ベンジルアルコールに溶解して測定した。より具体的には試料約4.0gにベンジルアルコール50mlを加え170℃に加熱しフェノールフタレインを加える。溶解させた後、0.1規定NaOH水溶液で滴定し、カルボシキル基濃度を求める。
カルボキシル基濃度[COOH]=(f×0.1×A/S)×100f
但し、f=0.1規定NaOH水溶液のファクター
A=0.1規定NaOH水溶液の消費量(ml)
S=試料質量(g)
一方、アミノ基濃度は、ペレットや粉砕した成形品等を、フェノール水溶液に溶解して測定した。より具体的には試料約3.0を90%フェノール水溶液100mlに溶解させた後、1/40N塩酸を滴下し中和し中和点までに要した塩酸の量を求める。試料を加えない状態で同様の測定をし、ブランクとする。
アミノ基濃度[NH]={F×(1/40)×(A−B)/S}×1000F
但し、f=1/40N塩酸のファクターA
A=1/40N塩酸の消費量〔ml〕
B:1/40N塩酸の消費量(ブランク時)〔ml〕
S:試料質量〔g〕
このようにして測定した[COOH]と[NH]とを用いて
カルボキシル基濃度比率(%)=〔COOH〕/(〔COOH〕+〔NH〕)}を算出した。
(3)ポリアミド中のリン元素濃度及び還元性リン元素濃度
(3−1)リン元素の濃度:試料0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解した。冷却後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで濃縮した。再び冷却し、純水で500mlとした。装置はThermo Jarrell Ash製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)にて定量した。リン元素の濃度は、この定量値を用いて、ポリアミド10gに対するリン元素の濃度CP(モル)で表した。
(3−2)リン元素の濃度:試料50gに100ccの水を加え、室温で15分間の超音波処理後ろ別し、ろ液を得た後、ヒューレットパッカード社製キャピラリー電気泳動装置HP3Dを用いて、次亜リン酸イオン、亜リン酸イオン及びリン酸イオンの濃度(モル)比率を測定した。濃度比の算出には、濃度が既知の次亜リン酸イオン標準液、亜リン酸イオン標準液、リン酸イオン標準液を同様に測定してキャリブレーションカーブを作成して行った。
還元性リン元素の濃度Xは、以下の式を用いて、ポリアミド10gに対するリンのモル量に換算して求めた。
還元性リン元素の濃度X=CP×(CP+CP)/(CP+CP+CP
CP:(3−1)で求めたポリアミド10gに対するリン元素の濃度(モル)
CP:(3−2)で求めた次亜リン酸イオンの濃度(モル)比率
CP:(3−2)で求めた亜リン酸イオンの濃度(モル)比率
CP:(3−2)で求めたリン酸イオンの濃度(モル)比率
(4)ポリアミド中のハロゲン元素、銅元素濃度及びハロゲン元素と銅元素とのモル比(ハロゲン/Cu)
ハロゲン化合物中のハロゲン元素濃度(Z)は、ヨウ素を例にとると、試料を高純度酸素で置換したフラスコ中で燃焼し、発生したガスを吸収液に捕集し、該捕集液中のヨウ素を1/100N硝酸銀溶液による電位差滴定法を用いて定量し、ポリアミド10gに対するモル量に換算した。
銅元素濃度(Y)は、試料に硫酸を加え、加熱しながら硝酸を滴下し有機分を分解し、該分解液を純水にて定容してICP発光分析(高周波プラズマ発光分析)法により定量し、ポリアミド10gに対するモル量に換算した。ICP発光分析装置は、SEIKO電子工業社製Vista−Proを用いた。
ハロゲン元素と銅元素のモル比(ハロゲン/Cu)は、上記それぞれのモル量を用い、(Y+Z)/Yの式に従って算出した。
(5)ポリアミド樹脂の成形機内滞留時の銅析出性
標準成形(a)で得た成形品と滞留成形(b)で得た成形品の銅濃度の差異を成形機内で析出した銅とし、下記式で成形機内滞留時の銅析出性を評価した。
成形機内滞留時の銅析出性=(標準成形品(a)の銅濃度−滞留成形品(b)の銅濃度)×100/標準成形品(a)の銅濃度
なお、標準成形品(a)と滞留成形品(b)は以下の条件で製造した。
(a)標準成形品:射出成形機は日精樹脂製PS−40E、金型はASTM−D638型を用いた。シリンダー温度は280℃、金型温度は80℃、可塑化ストロークは63mm、スクリュー回転数は200rpm、射出時間は10秒、冷却時間は15秒の条件で実施し射出成形品を得た。可塑化時の滞留時間は1分とした。
(b)滞留成形品:射出成形機は日精樹脂製PS−40E、金型はASTM−D638型を用いた。シリンダー温度は280℃、金型温度は80℃、可塑化ストロークは63mm、スクリュー回転数は200rpm、射出時間は10秒、冷却時間は15秒の条件で実施し射出成形品を得た。可塑化時の滞留時間は60分とした。
(6)ポリアミド樹脂成形品の長期耐熱エージング性
上記(5)の標準成形品(a)を熱風オーブン中で180℃、所定時間処理した後、ASTM−D638に準じて引張強度を測定した。そして熱処理前に測定した引張強度に対する熱処理後の引張強度を引張強度保持率として算出し、引張強度保持率が50%となる熱処理時間を半減期とした。
[実施例1]
<ポリアミド重合工程>
バッチ重合で実施した。ポリアミド66原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)を含有する50質量%水溶液に、次亜リン酸ナトリウムを添加した。この水溶液を濃縮槽に仕込み、約50℃の温度条件で混合し窒素で置換した。次に温度を約50から約150℃まで昇温した。この際濃縮槽内の圧力をゲージ圧にして約0.05〜0.15MPaに保つため水を系外に除去しながら加熱を続け約80%まで濃縮した。該濃縮溶液をオートクレーブに移送し温度を150℃から約220℃まで昇温して圧力をゲージ圧にして約1.77MPaまで上昇させた。その後、温度を約220℃から約260℃まで昇温するが、圧力は約1.77MPaで保つように水を系外に除去しながら加熱を行った。最後に温度を約280℃まで昇温しながら圧力を大気圧までゆっくり降圧した。窒素で加圧し下部ノズルからストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出した。得られたペレットを窒素気流中150℃の条件下で乾燥しポリアミド樹脂を得た。10gのポリアミド66に対して、リン元素は2.26モル含有されていた。このうち、還元性リン元素は0.23モルであった。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミド樹脂に対して、銅化合物としてのヨウ化銅(CuI)とハロゲン化合物としてのヨウ化カリウム(KI)とを、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ0.787モルと3.937モルになるように添加した。評価結果を表1に示す。長期エージング性は700時間と長く、また、銅析出性は12%と低く、良好なポリアミド樹脂組成物を得られることがわかった。
[実施例2]
<ポリアミド重合工程>
バッチ重合で実施した。ポリアミド66原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)を含有する50質量%水溶液に、次亜リン酸ナトリウムを添加した。また、末端基調整剤としてアジピン酸を添加した。この水溶液を濃縮槽に仕込み、約50℃の温度条件で混合し窒素で置換した。次に温度を約50から約150℃まで昇温した。この際濃縮槽内の圧力をゲージ圧にして約0.05〜0.15MPaに保つため水を系外に除去しながら加熱を続け約80%まで濃縮した。該濃縮溶液をオートクレーブに移送し温度を150℃から約220℃まで昇温して圧力をゲージ圧にして約1.77MPaまで上昇させた。その後、温度を約220℃から約260℃まで昇温するが、圧力は約1.77MPaで保つように水を系外に除去しながら加熱を行った。最後に温度を約280℃まで昇温しながら圧力を大気圧までゆっくり降圧した。窒素で加圧し下部ノズルからストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出した。得られたペレットを窒素気流中150℃の条件下で乾燥しポリアミド樹脂を得た。10gのポリアミド66に対して、リン元素は2.26モル含有されていた。このうち、還元性リン元素は0.20モルであった。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミド樹脂に対して、ヨウ化銅(CuI)とヨウ化カリウム(KI)とを、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ0.787モルと3.937モルになるように添加した。評価結果を表1に示す。長期エージング性は625時間と長く、また、銅析出性は10%と低く、良好なポリアミド樹脂組成物を得られることがわかった。
[実施例3]
<ポリアミド重合工程>
連続重合法で実施した。ポリアミド66原料を含有する50質量%水溶液に、次亜リン酸ナトリウム添加した。この水溶液を約3000Kg/hrの速度で濃縮層/反応器に注入し、約90%まで濃縮した。次いでフラッシャーに排出し、圧力をゆっくり大気圧まで降圧した。次の容器に移送し、約280℃の温度、大気圧以下の条件下で保持した。次いで、樹脂は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなり、ポリアミド樹脂を得た。10gのポリアミド66に対して、リン元素は1.13モル含有されていた。このうち、還元性リン元素は0.03モルであった。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミド樹脂に対して、ヨウ化銅(CuI)とヨウ化カリウム(KI)とを、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ0.53モルと9.98モルになるように添加した。評価結果を表1に示す。長期エージング性は625時間と長く、また、銅析出性は10%と低く、良好なポリアミド樹脂組成物を得られることがわかった。
[実施例4]
<ポリアミド重合工程>
連続重合法で実施した。ポリアミド66原料を含有する50質量%水溶液に、次亜リン酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウム(Na1.42Al0.86)を添加した。この水溶液を約3000Kg/hrの速度で濃縮層/反応器に注入し、約90%まで濃縮した。次いでフラッシャーに排出し、圧力をゆっくり大気圧まで降圧した。次の容器に移送し、約280℃の温度、大気圧以下の条件下で保持した。次いで、樹脂は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなり、ポリアミド樹脂を得た。10gのポリアミド66に対して、リン元素は0.40モル含有されていた。このうち、還元性リン元素は0.00モルであった。また、アルミニウム元素は0.69モルであった。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミド樹脂に対して、ヨウ化銅(CuI)とヨウ化カリウム(KI)とを、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ0.53モルと9.98モルになるように添加した。評価結果を表2に示す。長期エージング性は650時間と長く、また、銅析出性は8%と低く、良好なポリアミド樹脂組成物を得られることがわかった。
[実施例5]
<ポリアミド重合工程>
連続重合法で実施した。ポリアミド66原料を含有する50質量%水溶液に、次亜リン酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウム(Na1.42Al0.86)を添加した。この水溶液を約3000Kg/hrの速度で濃縮層/反応器に注入し、約90%まで濃縮した。次いでフラッシャーに排出し、圧力をゆっくり大気圧まで降圧した。次の容器に移送し、約280℃の温度、大気圧以下の条件下で保持した。次いで、樹脂は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなり、ポリアミド樹脂を得た。10gのポリアミド66に対して、リン元素は0.40モル含有されていた。このうち、還元性リン元素は0.00モルであった。また、アルミニウム元素は0.69モルであった。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミド樹脂に対して、ヨウ化銅(CuI)、ヨウ化カリウム(KI)とエチレンビスステアリルアミドを、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ1.25モルと6.25モルになるように添加した。また、エチレンビスステアリルアミドはポリアミド100重量部に対して、0.1重量部になるように添加した。評価結果を表2に示す。長期エージング性は750時間と長く、また、銅析出性は12%と低く、良好なポリアミド樹脂組成物を得られることがわかった。
Figure 2008007563
[比較例1]
<ポリアミド重合工程>
次亜リン酸ナトリウムを添加しない点を除いて、実施例2と同様の方法でバッチ重合法を実施しポリアミドを得た。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミドに対して、次亜リン酸ナトリウム、ヨウ化銅(CuI)及びヨウ化カリウム(KI)を、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。次亜リン酸ナトリウム、ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ2.26モル、0.79モル及び3.94モルになるように添加した。
評価結果を表2に示す。本比較例では、ポリアミド樹脂重合工程で還元性リン化合物を添加せず、押出機による溶融混練法の実施時に添加したので、還元性リン化合物がほとんど酸化されず、還元性を持ったまま残存したものと考えられる。その結果、長期エージング性は500時間と短く、また、銅析出性は35%と高く、高品質のポリアミド樹脂組成物を得られないことがわかった。
[比較例2]
<ポリアミド重合工程>
比較例1と同様の方法でポリアミドを得た。
<ポリアミド樹脂組成物製造工程>
得られたポリアミドに次亜リン酸ナトリウムを添加し、二軸押出機で溶融混練してポリアミド樹脂を得た。このポリアミド樹脂中のリン濃度は、10gのポリアミド66に対して、リン元素は2.26モル含有されていた。このうち還元性リン元素は、2.20モルであった。
得られたポリアミド樹脂に対して、ヨウ化銅(CuI)及びヨウ化カリウム(KI)を、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて290℃の温度条件で、溶融混練法で添加した。ヨウ化銅及びヨウ化カリウムの添加量は、ポリアミド10gに対して、それぞれ0.787モル及び3.937モルになるように添加した。
評価結果を表2に示す。本比較例においても、ポリアミド樹脂重合工程で還元性リン化合物を添加せず、押出機による溶融混練法の実施時に添加したので、還元性リン化合物がほとんど酸化されず、還元性を持ったまま残存したものと考えられる。その結果、その結果、長期エージング性は500時間と短く、また、銅析出性は30%と高く、高品質のポリアミド樹脂組成物を得られないことがわかった。
Figure 2008007563
以上のように、本発明に係る製造方法によれば、長期エージング性に優れ、銅析出性の低いポリアミド樹脂組成物を得られることが確認された。
本発明は、従来のポリアミド樹脂の機械的特性、耐熱性、耐薬品性を損なうことなく、更に耐熱エージング性の向上、銅析出が抑制されたポリアミド樹脂組成物及びその製造方法を提供するものであり、多くの成形用途(自動車部品、工業用途部品、電気電子部品、ギアなど)や押出用途(チューブ、棒、フィラメント、フィルム、ブローなど)において好適に利用される。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、
    少なくとも一種の還元性リン化合物を添加し、ポリアミド樹脂を得るポリアミド重合工程と、
    前記ポリアミド樹脂に、銅化合物及びハロゲン化合物(但し、ハロゲン化銅を除く)を添加してポリアミド樹脂組成物を得るポリアミド樹脂組成物製造工程と、を含む製造方法。
  2. 前記ポリアミド樹脂重合工程において、該ポリアミド樹脂中に残存する還元性リン元素の量を該ポリアミド樹脂中のポリアミド10gあたりXモルとしたとき、Xが下記式(I)を満たすように、還元性リン元素の量を低減させる、請求項1に記載の製造方法。
    0≦X≦0.3・・・(I)
  3. 前記ポリアミド重合工程において、前記ポリアミド樹脂に添加する銅元素の量を該ポリアミド樹脂中のポリアミド10gあたりYモルとしたとき、Yが下記式(II)を満たす、請求項1または2に記載の製造方法。
    0.3≦Y≦5・・・(II)
  4. 前記還元性リン化合物は、亜リン酸類、次亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、次亜リン酸金属塩類、及び亜リン酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記ポリアミド樹脂組成物製造工程において、前記銅化合物及びハロゲン化合物を溶融混練法によって前記ポリアミド樹脂に添加する、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記ポリアミド樹脂組成物製造工程において、ハロゲン元素と銅元素とのモル比(ハロゲン/銅)が3〜30となるように、前記銅化合物及び前記ハロゲン化合物を前記ポリアミド樹脂に添加する、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、ポリアミド樹脂組成物。
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