SDH/SONET(Synchronous Digital Hierarchy/Synchronous Optical Network:同期ディジタル・ハイアラーキ/同期式光ファイバネットワーク)伝送システムでは、ネットワークで障害が発生した場合の保守のためのラインプロテクションとして、1+1双方向ラインプロテクションや1+1片方向ラインプロテクションを規格化している。ここで、1+1双方向ラインプロテクションは、ラインで発生した障害に対して双方向のラインの受け側を同時に切り替える方式であり、1+1片方向ラインプロテクションはラインで発生した障害に対して、障害を検知した局で受け側のみを切り替える方式である。これら2つのラインプロテクションは、たとえばITU−T(International Telecommunications Union - Telecommunications Standardization Sector:国際電気通信連合の電気通信標準化部門) G.783 Annex A、Annex BあるいはBellcore GR−253−COREで規格化されている。
1+1双方向ラインプロテクションおよび1+1片方向ラインプロテクションでは、共に伝送フレーム中のSOH(Section Over Head)中に配置されるAPS(Automatic Protection Switching)バイトを構成するK1バイトとK2バイトを用いてプロテクションの制御を行っている。具体的には、1+1双方向ラインプロテクションの場合には、K1バイトおよびK2バイトの1ビットから4ビットまでを使用して、障害発生状況やコマンドによる切替要求等の情報を相手側に伝えてプロテクションの制御を行っている。1+1片方向ラインプロテクションの場合には、自局で検知した障害情報と自局で与えられた切替要求を用いてプロテクションの制御を行っている。
ところで、信号を伝達するラインに障害が発生した場合、その障害が発生したラインのインタフェース回路を交換することが通常行われている。SDH/SONETでは、インタフェース回路としての送信回路および受信回路が同一の基板上に実装されている場合が多い。したがって、障害が発生したラインのインタフェース回路を交換するときには、送信回路と受信回路が同時に切り替わる1+1双方向ラインプロテクションの方が都合がよい。また1+1双方向ラインプロテクションの場合には、APSバイトを使用した切替試験(EXERCISE)をサポートしているが、1+1片方向ラインプロテクションの場合にはこの機能をサポートしていない。このような理由により、現在使用されているラインプロテクションは1+1双方向ラインプロテクションの割合が多くなっている。
図20は、従来提案された1+1双方向ラインプロテクション制御システムの構成を示したものである(たとえば特許文献1参照)。この図で左側をA局101Aとし、右側をB局101Bとする。これらの局101A、101Bのワーク(Work;現用)側インタフェース(IF)部111A、111Bの間には、双方向に1本ずつワーク側主信号ライン112、113が配置されている。また、プロテクト(Protect;予備)側インタフェース(IF)部114A、114Bの間には、双方向に1本ずつプロテクト側主信号ライン115、116が配置されている。
A局101Aには、ラインの切り替えを行うスイッチ部117Aと、障害発生時のプロテクション制御を行うプロテクション動作制御部118AおよびAPSバイトの処理を行うAPSバイト処理部119Aが配置されている。B局101Bにも同様に、スイッチ部117B、プロテクション動作制御部118BおよびAPSバイト処理部119Bが配置されている。
このような構成の従来提案された1+1双方向ラインプロテクションシステム100では、主信号のオーバヘッド内に含まれるAPSバイト(K1、K2バイト)121、122を使用することで、自局のスイッチ部117A、117Bの切替状態や、各ライン112、113、115、116のいずれかに障害が発生した場合の障害内容を対局に伝達するようになっている。
1+1双方向ラインプロテクションシステム100では、障害が発生していないとき、A局101Aから送信される信号は現用のワーク側主信号ライン112を伝送されてB局101Bに到達し、スイッチ部117Bで選択される。このとき、スイッチ部117Bのスイッチとしての受信信号切替部124Bの接片は図20に示した状態とは逆の接続状態となっている。B局101Bから送信される信号については、現用のワーク側主信号ライン113を伝送されてA局101Aに到達し、スイッチ部117Aで選択される。このとき、スイッチ部117Aの受信信号切替部124Aの接片も図20に示した状態とは逆の接続状態となっている。以上の状態のとき、予備用のプロテクト側主信号ライン115、116に流れた信号はそれぞれ対局にまで到達するが、スイッチ部117A、117Bがこれらを選択しない。
この1+1双方向ラインプロテクションシステム100で、たとえばワーク側主信号ライン112に障害120が発生したとする。すると、受信側であるB局101Bのワーク側インタフェース部111Bは、障害120により信号が切断されたことを検出し、プロテクション動作制御部118Bに通知する。この通知を受けたプロテクション動作制御部118Bは、APSバイト処理部119Bに対して、障害120が発生したことを通知する処理を依頼する。APSバイト処理部119Bは、この依頼に基づいて、ワーク側主信号ライン112で障害120が発生したことと、プロテクト側主信号ライン115への切り替えを指示するAPSバイト122をプロテクト側インタフェース部114Bを経由してA局101Aに送出する。
A局101Aのプロテクト側インタフェース部114Aは、受信したAPSバイト122をAPSバイト処理部119Aに送る。APSバイト処理部119Aは受け取ったAPSバイト122を解析して、チャネルの切り替えの要求と、切り替えの対象となるライン112を示すAPSバイト121を、プロテクト側インタフェース部114Aを経由してB局101Bに送出する。
B局101Bでは、この受信したAPSバイト121をAPSバイト処理部119Bに送る。APSバイト処理部119BはこのAPSバイト121をプロテクション動作制御部118Bに送って解析させる。プロテクション動作制御部118Bは、切り替えの対象となるワーク側主信号ライン112がA局101AとB局101Bとで相互に一致することを判別して、スイッチ部117Bに対して内蔵の受信信号切替部124Bの切り替えを指示するスイッチ部切替制御信号131Bを出力させる。これにより、スイッチ部117Bの受信信号切替部124Bの接点が図示のように切り替わる。
スイッチ部117Bの受信信号切替部124Bが切り替わったら、プロテクション動作制御部118BはAPSバイト処理部119Bに指示して、切り替えを行ったワーク側主信号ライン112を示したAPSバイト122をA局101Aに送出させる。A局101AではこのAPSバイト122を受信すると、APSバイト処理部119Aを経てプロテクション動作制御部118Aに伝達され、その解析が行われる。この結果、切り替えの対象となるワーク側主信号ライン112がA局101AとB局101Bとで相互に一致するので、プロテクション動作制御部118Aはスイッチ部切替制御信号131Aを出力してスイッチ部117Aの受信信号切替部124Aを切り替えさせる。
このようにして、スイッチ部117A、117Bの受信信号切替部124A、124Bが共に図20に示すように切り替わったことになり、ワーク側主信号ライン112、113を用いた信号の伝送からプロテクト側主信号ライン115、116を用いた信号の伝送に伝送路が切り替わったことになる。この状態で通信動作が開始することになる。
特開平09−074412(第0067段落〜第0071段落、図9)
ところが、この従来提案された1+1双方向ラインプロテクションシステム100では、A局101Aのプロテクション動作制御部118AとAPSバイト処理部119Aのいずれかに障害が発生すると、以上説明したようなAPSバイト121、122を使用したプロテクション制御を行うことができないという問題があった。
図21を用いて、この問題を説明する。この図で図20と同一部分には同一の符号を付しており適宜説明を省略する。ある時点でA局101Aのプロテクション動作制御部118AまたはAPSバイト処理部119Aに障害141が発生したものとする。この状態でワーク側主信号ライン112に障害120が発生したとする。障害120の発生に基づいて、前記したようにプロテクト側主信号ライン115への切り替えを指示するAPSバイト122がB局101BからA局101Aに送出されることになる。
ところが、この場合にはプロテクション動作制御部118AまたはAPSバイト処理部119Aに障害141が発生している。そこで、障害120を検出したB局101Bからチャネルの切り替えの要求と切り替えの対象となるライン112を示すAPSバイト121がA局101Aに送出されても、プロテクション動作制御部118AまたはAPSバイト処理部119Aの障害141により、これが処理されない。したがって、A局101Aではプロテクション動作制御部118Aが、チャネルの切り替えの要求と切り替えの対象となるライン112を示すAPSバイト121(図示せず)をB局101B側に送出することができない。
この結果、B局101Bでは、切り替えの対象となるワーク側主信号ライン112がA局101AとB局101Bとで相互に一致したことを確認することができず、図20に示したようなスイッチ部切替制御信号131Bが出力されない。すなわち、図21に示した障害141が発生した場合には、受信信号切替部124Bが切り替わらず、図21に示した状態のままとなる。したがって、B局101B側から、これに続いてスイッチ部117Aの受信信号切替部124Aを切り替えさせるためのAPSバイト122がA局101Aに送出されることもなく、A局101A側の受信信号切替部124Aの切り替えも行われないことになる。
以上、A局101Aのプロテクション動作制御部118AまたはAPSバイト処理部119Aのいずれかに障害141が発生した場合について説明したが、プロテクション動作制御部118AとAPSバイト処理部119Aの双方に障害141が発生した場合も同様の結果となる。また、B局101Bのプロテクション動作制御部118BまたはAPSバイト処理部119Bに障害が発生した場合についても同様に受信信号切替部124Aと受信信号切替部124Bの切り替えが行われないことになる。
このように従来の提案では、プロテクション動作制御部118A、118BまたはAPSバイト処理部119A、119Bのいずれかに障害が発生し、1+1双方向ラインプロテクションシステム100の片端でも機能しなくなると、APSバイト121、122を使用したプロテクション制御が実施できなくなる。このため、1+1双方向ラインプロテクションを動作させることができない。すなわち、この場合には、障害120の発生したラインから予備側のラインに受信信号切替部124A、124Bによる切り替えができず、信号が断となってしまう。
そこで従来では、このような事態が発生すると、人手で受信信号切替部124A、124Bの接点を切り替えるようにしていた。このため、通信動作が再開するまでの時間が長時間化するだけでなく、障害120の発生時に対応させるための人員を確保する必要があった。
以上、ワーク側主信号ライン112(113)に障害が発生したときの互いに対向する2局の制御について人手が必要なことを説明した。これら互いに対向する2局の初期設定が「双方向」あるいは「片方向」のラインプロテクションモードについて、初期的に設定ミスを行っていた場合にも、従来では人手によってこれらのモードを一致させる必要があるという問題があった。
そこで本発明の目的は、1+1双方向ラインプロテクション等のラインプロテクションでは回避できなかった障害の回避を人手を介さずに可能にする通信装置、ラインプロテクション制御システムおよびラインプロテクション制御方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、互いに対向する装置間でラインプロテクションモードを整合することのできる通信装置、ラインプロテクション制御システムおよびラインプロテクション制御方法を提供することにある。
請求項1記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路にそれぞれ接続された信号送信手段および信号受信手段と、(ロ)伝送路に障害が発生したとき、自装置側の信号送信手段および信号受信手段を同時に交換する第1の交換モードと、自装置側の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに自装置を設定するモード設定手段と、(ハ)信号送信手段および信号受信手段と伝送路を介して接続された相手側の装置に対して自装置がモード設定手段で設定しているモードを適宜の時間間隔を置いて通知するモード通知手段と、(ニ)相手側の装置からその装置の設定しているモードが通知されたときこれを記憶する相手側モード記憶手段と、(ホ)信号受信手段側の伝送路の障害を検知する伝送路障害検知手段と、(へ)この伝送路障害検知手段が信号受信手段側の伝送路の障害を検知したときでモード設定手段および相手側モード記憶手段から自装置と相手側の装置が共に第1のモードに設定されていると判別されるとき相手側の装置に第2のモードへの遷移を要求する第2のモード遷移要求手段と、(ト)この第2のモード遷移要求手段が相手側の装置に第2のモードへの遷移を要求した後、相手側モード記憶手段によって相手側の装置が第2のモードに遷移したことが確認されたとき自装置を第2のモードに変更する第1のモード・第2のモード変更手段とを通信装置に具備させる。
すなわち本発明では、通信装置がその信号送信手段および信号受信手段によって現用系と予備系によって冗長化された伝送路と接続されている。この通信装置は、モード設定手段によって、伝送路に障害が発生したとき、自装置側の信号送信手段および信号受信手段を同時に交換する第1の交換モードと、自装置側の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに自装置を設定するようになっている。また、伝送路によって接続された相手側の装置とそれぞれの設定されているモードをモード通知手段によって通知しあうようになっている。伝送路に障害が発生したときには、自装置と相手側の装置が共に第1のモードに設定されていると判別されるとき、第2のモード遷移要求手段が相手側の装置に対して第2のモードへの遷移を要求するようになっている。そして、相手側の装置が第2のモードに遷移したことが確認されたときに、自装置を第2のモードに変更することで両装置を第1のモードから第2のモードに変更させるようにしている。
請求項2記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路にそれぞれ接続された信号送信手段および信号受信手段と、(ロ)伝送路に障害が発生したとき、自装置側の信号送信手段および信号受信手段を同時に交換する第1の交換モードと、自装置側の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに自装置を設定するモード設定手段と、(ハ)信号送信手段および信号受信手段と伝送路を介して接続された相手側の装置に対して自装置がモード設定手段で設定しているモードを適宜の時間間隔を置いて通知するモード通知手段と、(ニ)相手側の装置からその装置の設定しているモードが通知されたときこれを記憶する相手側モード記憶手段と、(ホ)信号受信手段側の伝送路の障害の復旧を検知する伝送路障害復旧検知手段と、(へ)この伝送路障害復旧検知手段が信号受信手段側の伝送路の障害の復旧を検知したときでモード設定手段および相手側モード記憶手段から自装置と相手側の装置が共に第2のモードに設定されていると判別されるとき相手側の装置に第1のモードへの遷移を要求する第1のモード遷移要求手段と、(ト)この第1のモード遷移要求手段が相手側の装置に第1のモードへの遷移を要求した後、相手側モード記憶手段によって相手側の装置が第1のモードに遷移したことが確認されたとき自装置を第1のモードに変更する第2のモード・第1のモード変更手段とを通信装置に具備させる。
すなわち本発明では、通信装置がその信号送信手段および信号受信手段によって現用系と予備系によって冗長化された伝送路と接続されている。この通信装置は、モード設定手段によって、伝送路に障害が発生したとき、自装置側の信号送信手段および信号受信手段を同時に交換する第1の交換モードと、自装置側の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに自装置を設定するようになっている。また、伝送路によって接続された相手側の装置とそれぞれの設定されているモードをモード通知手段によって通知しあうようになっている。伝送路の障害が復旧したときには、自装置と相手側の装置が共に第2のモードに設定されていると判別されるとき、第1のモード遷移要求手段が相手側の装置に対して第1のモードへの遷移を要求するようになっている。そして、相手側の装置が第1のモードに遷移したことが確認されたときに、自装置を第1のモードに変更することで両装置を第2のモードから第1のモードに変更させるようにしている。
請求項3記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路にそれぞれ接続された信号送信手段および信号受信手段と、(ロ)伝送路に障害が発生したとき、自装置側の信号送信手段および信号受信手段を同時に交換する第1の交換モードと、自装置側の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに自装置を設定するモード設定手段と、(ハ)信号送信手段および信号受信手段と伝送路を介して接続された相手側の装置に対して自装置がモード設定手段で設定しているモードを適宜の時間間隔を置いて通知するモード通知手段と、(ニ)相手側の装置からその装置の設定しているモードが通知されたときこれを記憶する相手側モード記憶手段と、(ホ)相手側の装置と通信を開始したとき、モード設定手段および相手側モード記憶手段から自装置と相手側の装置が同一のモードに設定されているかどうかを判別するモード一致有無判別手段と、(へ)このモード一致有無判別手段がモードが一致しないと判別したとき相手側の装置の設定されているモードが自装置の設定されているモードに対して劣位のモードであるかどうかを判別するモード優劣判別手段と、(ト)このモード優劣判別手段で相手側の装置が自装置の設定されているモードに対して劣位のモードであると判別したとき相手側の装置に自装置の設定されているモードへの遷移を要求する優位モード遷移要求手段と、(チ)相手側の装置からその設定されているモードへの遷移が要求されたとき自装置をそのモードに変更する通信開始時モード変更手段とを通信装置に具備させる。
すなわち本発明では、通信装置がその信号送信手段および信号受信手段によって現用系と予備系によって冗長化された伝送路と接続されている。この通信装置は、モード設定手段によって、伝送路に障害が発生したとき、自装置側の信号送信手段および信号受信手段を同時に交換する第1の交換モードと、自装置側の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに自装置を設定するようになっている。また、伝送路によって接続された相手側の装置とそれぞれの設定されているモードをモード通知手段によって通知しあうようになっている。モード一致有無判別手段は、相手側の装置と通信を開始したとき、モード設定手段および相手側モード記憶手段から自装置と相手側の装置が同一のモードに設定されているかどうかを判別する。その結果、モードが一致しないと判別したときには、モード優劣判別手段が相手側の装置の設定されているモードが自装置の設定されているモードに対して劣位のモードであるかどうかを判別する。そして、相手側の装置が自装置の設定されているモードに対して劣位のモードであると判別したときには、優位モード遷移要求手段が相手側の装置に自装置の設定されているモードへの遷移を要求することにしている。また、自装置が相手側の装置からその設定されているモードへの遷移を要求されたときにはそのモードに変更するようにしている。これにより、両装置のモードが一致することになる。
請求項7記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路に障害が発生したとき、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段だけでなくその信号送信手段も同時に交換する第1の交換モードと、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに伝送路を介して接続された第1の装置および第2の装置のモードが設定されている状態で、伝送路に障害が発生したときこれを検知する伝送路障害検知手段と、(ロ)この伝送路障害検知手段によって伝送路の障害が検知されたとき、第1の装置および第2の装置が共に第1のモードに設定されているかどうかを判別する第1のモード設定判別手段と、(ハ)この第1のモード設定判別手段によって第1の装置および第2の装置が共に第1のモードに設定されていることが判別されたとき、伝送路の障害が検知された側の装置から相手側の装置に第2のモードへの遷移を要求させる第2のモード遷移要求手段と、(ニ)この第2のモード遷移要求手段によって相手側の装置に第2のモードへの遷移が要求された後、この相手側の装置が第2のモードに遷移したことを確認する相手側装置遷移確認手段と、(ホ)この相手側装置遷移確認手段によって相手側の装置が第2のモードに遷移したことが確認されたとき伝送路の障害が検知された側の装置を第2のモードに変更する第1のモード・第2のモード変更手段とをラインプロテクションシステムに具備させる。
すなわち本発明では、伝送路障害検知手段によって伝送路の障害が検知されたときには、第1のモード設定判別手段によって第1の装置および第2の装置が共に第1のモードに設定されているかどうかを判別し、共に第1のモードに設定されていることが判別されたときには、第2のモード遷移要求手段が伝送路の障害が検知された側の装置から相手側の装置に第2のモードへの遷移を要求させるようにしている。そして、第2のモード遷移要求手段によって相手側の装置に第2のモードへの遷移が要求された場合には、相手側装置遷移確認手段がこの後、この相手側の装置が第2のモードに遷移したことを確認し、第2のモードに遷移したことが確認されたときには、伝送路の障害が検知された側の装置を第2のモードに変更することで第1のモードから第2のモードへの変更を可能にしている。
請求項8記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路に障害が発生したとき、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段だけでなくその信号送信手段も同時に交換する第1の交換モードと、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに伝送路を介して接続された第1の装置および第2の装置のモードが設定されている状態で、伝送路の障害が復旧したときこれを検知する伝送路障害復旧検知手段と、(ロ)この伝送路障害復旧検知手段で伝送路の障害の復旧が検知されたとき、第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されているかどうかを判別する第2のモード設定判別手段と、(ハ)この第2のモード設定判別手段によって第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されていることが判別されたとき、伝送路の障害の復旧が検知された側の装置から相手側の装置に第1のモードへの遷移を要求させる第1のモード遷移要求手段と、(ニ)この第1のモード遷移要求手段によって相手側の装置に第1のモードへの遷移が要求された後、この相手側の装置が第1のモードに遷移したことを確認する相手側装置遷移確認手段と、(ホ)この相手側装置遷移確認手段によって相手側の装置が第1のモードに遷移したことが確認されたとき伝送路の障害の復旧が検知された側の装置を第1のモードに変更する第2のモード・第1のモード変更手段とをラインプロテクションシステムに具備させる。
すなわち本発明では、伝送路障害復旧検知手段で伝送路の障害の復旧が検知されたときには、第2のモード設定判別手段が第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されているかどうかを判別するようにしている。そして、第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されていることが判別されたときには、第1のモード遷移要求手段が伝送路の障害の復旧が検知された側の装置から相手側の装置に第1のモードへの遷移を要求させる。相手側の装置に第1のモードへの遷移が要求された後、相手側装置遷移確認手段は、この相手側の装置が第1のモードに遷移したことを確認し、相手側の装置が第1のモードに遷移したことが確認されたときには、第2のモード・第1のモード変更手段が伝送路の障害の復旧が検知された側の装置を第1のモードに変更するようにしている。
請求項9記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路に障害が発生したとき、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段だけでなくその信号送信手段も同時に交換する第1の交換モードと、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに伝送路を介して接続された第1の装置および第2の装置のモードが設定されている状態で、これら第1の装置および第2の装置が通信を開始したとき、これらの装置が同一のモードに設定されているかどうかを判別するモード一致有無判別手段と、(ロ)このモード一致有無判別手段によってモードが一致しないと判別されたとき第1の装置および第2の装置のいずれが優位のモードに設定されているかを判別するモード優位装置判別手段と、(ハ)このモード優位装置判別手段によって優位のモードに設定されていると判別された装置から相手側の装置に対して自装置の設定されているモードへの遷移を要求させる優位モード遷移要求手段と、(ニ)この優位モード遷移要求手段によってモードへの遷移を要求された装置をそのモードに変更する通信開始時モード変更手段とをラインプロテクションシステムに具備させる。
すなわち本発明では、第1の装置および第2の装置が通信を開始したとき、モード一致有無判別手段がこれらの装置が同一のモードに設定されているかどうかを判別するようにしている。そして、両者のモードが一致しないと判別されたときには、モード優位装置判別手段によって第1の装置および第2の装置のいずれが優位のモードに設定されているかを判別し、優位モード遷移要求手段は、優位のモードに設定されていると判別された装置から相手側の装置に対して自装置の設定されているモードへの遷移を要求させる。また、通信開始時モード変更手段が優位モード遷移要求手段によってモードへの遷移を要求された装置をそのモードに変更するようにしている。これにより、両装置のモードが一致することになる。
請求項10記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路に障害が発生したとき、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段だけでなくその信号送信手段も同時に交換する第1の交換モードと、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに伝送路を介して接続された第1の装置および第2の装置のモードが設定されている状態で、伝送路に障害が発生したときこれを検知する伝送路障害検知ステップと、(ロ)この伝送路障害検知ステップで伝送路の障害が検知されたとき、第1の装置および第2の装置が共に第1のモードに設定されているかどうかを判別する第1のモード設定判別ステップと、(ハ)この第1のモード設定判別ステップで第1の装置および第2の装置が共に第1のモードに設定されていることが判別されたとき、伝送路の障害が検知された側の装置から相手側の装置に第2のモードへの遷移を要求させる第2のモード遷移要求ステップと、(ニ)この第2のモード遷移要求ステップで相手側の装置に第2のモードへの遷移が要求された後、この相手側の装置が第2のモードに遷移したことを確認する相手側装置遷移確認ステップと、(ホ)この相手側装置遷移確認ステップによって相手側の装置が第2のモードに遷移したことが確認されたとき伝送路の障害が検知された側の装置を第2のモードに変更する第1のモード・第2のモード変更ステップとをラインプロテクション制御方法に具備させる。
すなわち本発明では、伝送路障害検知ステップによって伝送路の障害が検知されたときには、第1のモード設定判別ステップで第1の装置および第2の装置が共に第1のモードに設定されているかどうかを判別する。そして、共に第1のモードに設定されていることが判別されたときには、第2のモード遷移要求ステップで伝送路の障害が検知された側の装置から相手側の装置に第2のモードへの遷移を要求させるようにしている。そして、第2のモード遷移要求ステップで相手側の装置に第2のモードへの遷移が要求された場合には、相手側装置遷移確認ステップで、この後、この相手側の装置が第2のモードに遷移したことを確認し、第2のモードに遷移したことが確認されたときには、第1のモード・第2のモード変更ステップで、伝送路の障害が検知された側の装置を第2のモードに変更することにしている。
請求項11記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路に障害が発生したとき、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段だけでなくその信号送信手段も同時に交換する第1の交換モードと、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに伝送路を介して接続された第1の装置および第2の装置のモードが設定されている状態で、伝送路の障害が復旧したときこれを検知する伝送路障害復旧検知ステップと、(ロ)この伝送路障害復旧検知ステップで伝送路の障害の復旧が検知されたとき、第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されているかどうかを判別する第2のモード設定判別ステップと、(ハ)この第2のモード設定判別ステップで第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されていることが判別されたとき、伝送路の障害の復旧が検知された側の装置から相手側の装置に第1のモードへの遷移を要求させる第1のモード遷移要求ステップと、(ニ)この第1のモード遷移要求ステップで相手側の装置に第1のモードへの遷移が要求された後、この相手側の装置が第1のモードに遷移したことを確認する相手側装置遷移確認ステップと、(ホ)この相手側装置遷移確認ステップによって相手側の装置が第1のモードに遷移したことが確認されたとき伝送路の障害の復旧が検知された側の装置を第1のモードに変更する第2のモード・第1のモード変更ステップとをラインプロテクション制御方法に具備させる。
すなわち本発明では、伝送路障害復旧検知ステップによって伝送路の障害の復旧が検知されたときには、第2のモード設定判別ステップで第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されているかどうかを判別するようにしている。そして、第1の装置および第2の装置が共に第2のモードに設定されていることが判別されたときには、第1のモード遷移要求ステップによって伝送路の障害の復旧が検知された側の装置から相手側の装置に第1のモードへの遷移を要求させる。相手側の装置に第1のモードへの遷移が要求された後、相手側装置遷移確認ステップで、この相手側の装置が第1のモードに遷移したことを確認し、相手側の装置が第1のモードに遷移したことが確認されたときには、第2のモード・第1のモード変更ステップによって伝送路の障害の復旧が検知された側の装置を第1のモードに変更するようにしている。
請求項12記載の発明では、(イ)現用系と予備系によって冗長化された伝送路に障害が発生したとき、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段だけでなくその信号送信手段も同時に交換する第1の交換モードと、信号の受信に障害の発生した装置の信号受信手段のみを交換する第2の交換モードのいずれかのモードに伝送路を介して接続された第1の装置および第2の装置のモードが設定されている状態で、これら第1の装置および第2の装置が通信を開始したとき、これらの装置が同一のモードに設定されているかどうかを判別するモード一致有無判別ステップと、(ロ)このモード一致有無判別ステップでモードが一致しないと判別されたとき第1の装置および第2の装置のいずれが優位のモードに設定されているかを判別するモード優位装置判別ステップと、(ハ)このモード優位装置判別ステップで優位のモードに設定されていると判別された装置から相手側の装置に対して自装置の設定されているモードへの遷移を要求される優位モード遷移要求ステップと、(ニ)この優位モード遷移要求ステップでモードへの遷移を要求された装置をそのモードに変更する通信開始時モード変更ステップとをラインプロテクション制御方法に具備させる。
すなわち本発明では、第1の装置および第2の装置が通信を開始したとき、モード一致有無判別ステップでこれらの装置が同一のモードに設定されているかどうかを判別するようにしている。そして、両者のモードが一致しないと判別されたときには、モード優位装置判別ステップで第1の装置および第2の装置のいずれが優位のモードに設定されているかを判別し、優位モード遷移要求ステップで、優位のモードに設定されていると判別された装置から相手側の装置に対して自装置の設定されているモードへの遷移を要求させる。また、通信開始時モード変更ステップで、優位モード遷移要求手段によってモードへの遷移を要求された装置をそのモードに変更するようにしている。これにより、両装置のモードが一致することになる。
以上説明したように本発明によれば、たとえばAPSバイト等の相手装置への伝達情報に状態の遷移に関する情報を付加するといった手法を採用することで、障害の発生に対してプロテクションモードの自動切り替えを実現することができる。したがって、ラインの障害発生と通信装置内部の障害発生が重複したような事態が発生しても、装置間を伝送される信号の断を極力防止することができる。
また、本発明では各通信装置のモード設定について初期的なミスがあっても、これを予め定めたモードに正しく設定することができる。したがって、人手によるモードの設定を省略することも可能である。
図1は、本発明の第1の実施例におけるラインプロテクション制御システムを構成する局を示したものである。ここでは、システムを構成する局の1つとしてのA局201Aの構成を表わしている。後に説明するB局201Bも回路構成は同一であるが、説明のために両者を区別する必要がある。そこでA局201Aを構成するそれぞれの回路部品を表わす数字の末尾に記号「A」を付記しており、この図1には示していないB局201Bについては記号「A」の代わりに記号「B」を付すことにする。
第1の実施例のラインプロテクション制御システムを構成するA局201Aは、ワーク(Work;現用)側インタフェース(IF)部211Aが図示しない対局(B局201B)のワーク側インタフェース回路との間に2本のワーク側主信号ライン212(送信方向)、213(受信方向)を接続している。また、プロテクト(Protect;予備)側インタフェース(IF)部214Aが図示しない対局(B局201B)のプロテクト側インタフェース回路との間に2本のプロテクト側主信号ライン215(送信方向)、216(受信方向)を接続している。
A局201Aには、ラインの切り替えを行うスイッチ部217Aと、障害発生時のプロテクション制御を行うプロテクション動作制御部218AおよびAPSバイトの処理を行うAPSバイト処理部219Aが配置されている。更に、第1の実施例のA局201Aには、図20に示した従来のA局101Aと比較すると、APSバイト処理監視部221A、固定APSバイト挿入回路222A、固定プロテクション制御指示回路223A、セレクタ224Aおよびセレクタ指示回路225Aが新たに追加されている。
またA局201Aには、従来から備えられている回路として、APSバイト処理部219Aにおけるセレクタ224Aと対向する側にはAPSバイト送信回路231Aが配置され、APSバイト処理部219Aにおけるプロテクト側インタフェース部214Aと対向する側にはAPSバイト受信回路232Aが配置されている。更に従来から備えられている回路として、ワーク側インタフェース部211Aにおけるプロテクション動作制御部218Aと対向する側にはワーク側インタフェース受信アラーム送信回路233Aが配置され、プロテクト側インタフェース部214Aにおけるプロテクション動作制御部218Aと対向する側にはプロテクト側インタフェース受信アラーム送信回路234Aが配置されている。
ここで、APSバイト処理部219Aは、ワーク側インタフェース部211Aおよびプロテクト側インタフェース部214Aで受信したSDH/SONET信号から取り出したAPSバイト(K1、K2バイト)を終端する。そして、対向側(B局201B)の切替要求および障害発生状態を認識して、自局に対するプロテクションの切替状態の指示をプロテクション動作制御部218Aに伝えるようになっている。また、APSバイト処理部219Aが、プロテクション動作制御部218Aの障害を検知した場合に、APSバイト送信回路231Aを通してAPSバイトのK2における6から8ビットに「UNI遷移」コードを送信するようになっている。
APSバイト処理監視部221Aは、APSバイト処理部219Aの状態を監視するようになっている。そして、APSバイト処理部219AがAPSバイトに関して受信不能あるいは送信不能、またはAPSバイト処理部219A自体がフリーズ状態等の異常な状態になった際には、これを検知する。そして、APSバイト処理監視部221Aは、固定APSバイト挿入回路222Aを通して固定値として、K1バイトおよびK2バイトの1から4ビットについて「切替状態正常」を表わす値をAPSバイト送信回路231Aに挿入すると共に、K2バイトの6から8ビットについては「010(片方向遷移)」を同様にAPSバイト送信回路231Aに挿入するようになっている。
またAPSバイト処理監視部221Aは、この異常な状態になった際には、固定プロテクション制御指示回路223Aを通じてプロテクション動作制御部218Aに対して、1+1片方向ラインプロテクションへ変更する指示を表わした信号を供給するようになっている。これは、第1の実施例では所定の障害発生時に1+1片方向ラインプロテクションへ自動的に変更することでこの障害に一時的に対処することにし、最終的には保守作業等の場で基板を交換して1+1双方向ラインプロテクションに移行させるようにしている。
スイッチ部217Aは、送信する信号をワーク側主信号ライン212とプロテクト側主信号ライン215に分岐して対局に送出するための送信信号分岐部241Aと、ワーク側主信号ライン213およびプロテクト側主信号ライン216を経て対局である図示しないB局201Bから送られてきた受信信号の一方を選択するスイッチとしての受信信号切替部242Aから構成されている。このようなスイッチ部217Aの構成自体は、従来と同様である。
なお、図1に示したワーク側インタフェース部211A、プロテクト側インタフェース部214A、プロテクション動作制御部218A、APSバイト処理部219A、APSバイト処理監視部221A等の回路主要部は、それぞれ独自に図示しないCPU(Central Processing Unit)を備えており、同じく図示しない記憶媒体に格納された制御用プログラムを実行することで所定の制御を行うようになっている。また、A局201Aには全体を制御するCPUも備えられており、A局201Aとしての統一的な制御が行われている。
図2は、第1の実施例におけるラインプロテクション制御システムの構成の概要を表わしたものである。このラインプロテクション制御システム200では、A局201AとB局201Bの間で信号が送受信されるものとしている。A局201Aの構成は図1よりも簡略化して示している。B局201Bの構成についても同様である。
この図2では、伝送路に障害の発生していない1+1双方向ラインプロテクションの正常状態を表わしている。この状態で、A局201AとB局201Bの双方のプロテクション動作制御部218A、218Bは、双方向ラインプロテクションで動作している。このとき、APSバイト処理部219A、219Bは、K2の6〜8ビットが、「双方向」を示すコードで構成されたAPSバイトを互いに送信している。
この正常状態で、A局201Aから送出される信号は、現用系としてのワーク側主信号ライン212および予備系としてのプロテクト側主信号ライン215を用いてB局201Bのスイッチ部217Bに到達し、ここでワーク側主信号ライン212の信号が選択される。また、B局201Bから送出される信号は現用系としてのワーク側主信号ライン213および予備系としてのプロテクト側主信号ライン216を用いてA局201Aのスイッチ部217Aに到達し、ここでワーク側主信号ライン213の信号が選択される。
ところで第1の実施例では、APSバイトのうちのK2バイトの6から8ビットに対して新たに「010(片方向遷移)」、「011(双方向遷移)」の2つを新たに規定している。従来からあるコード「101(双方向)」、「100(片方向)」はそれぞれ自局の動作する1+1ラインプロテクションのモードを表わし、相手に伝えることで両者が同一のモードになっていることを確認するだけのためのコードである。
第1の実施例で新たに規定した「010(片方向遷移)」コードは、相手局が1+1片方向ラインプロテクションに遷移することを要求するコードである。相手局が1+1片方向ラインプロテクションのモードとなっており、自局が1+1双方向ラインプロテクションのモードとなっているときには、モードが不一致でシステムが動作しないので、一致させるためにこの要求を行う。また、「011(双方向遷移)」コードは相手局の1+1ラインプロテクションモードを1+1双方向ラインプロテクションに遷移させる要求を行うコードである。
第1の実施例のラインプロテクション制御システム200では、新規に追加したこれら2つのコード「010(片方向遷移)」、「011(双方向遷移)」と、従来から規定されている2つのコード「101(双方向)」、「100(片方向)」を組み合わせることで、プロテクションモードの自動切替シーケンスを実現している。
図3は、第1の実施例のAPSバイト処理部の処理動作を表わしたものである。図2における2つのAPSバイト処理部219A、219Bは、共にこの図3に示すテーブル245A、245Bを備えており、これに基づいてAPSバイトの処理を行うことになる。テーブル245A(245B)で「自分の出すAPSバイト」とは、たとえばA局201Aを自局とすると、APSバイト処理部219Aの処理によってB局201Bに送出されるAPSバイトをいい、「相手から来るAPSバイト」とは、この例ではB局201BからA局201Aに送られてくるAPSバイトをいう。「動作モード」とは、この例では相手のB局201Bから送られてくるAPSバイトによってA局201Aの変更後のモードであり、「送信APS」とは、そのときにA局201AがB局201Bに送信するAPSバイトをいう。たとえばA局201Aが「双方向遷移」を表わしたAPSバイトを送信中にB局201Bから「片方向」を表わしたAPSバイトを受けたときには、A局201Aはそのプロテクションモードを「片方向」に変化させると共に、B局201Bに対して「双方向遷移」のAPSバイトを送信することになる。
図4は、A局とB局の送出するAPSバイトの変化の様子とプロテクションモードの関係を表わしたものである。図2および図3と共に説明する。第1の実施例のラインプロテクション制御システム200では、何らの障害も発生していない状態で、A局201AとB局201Bが1+1双方向ラインプロテクションのモードとなっている。この状況では、図4の区間301に示したようにA局201AとB局201Bは、互いに所定の時間を置きながら、現在の自局の状態である「101(双方向)」のAPSバイト(K1、K2バイト)251、252を送出している。
この正常状態で、A局201Aから「双方向」を表わしたAPSバイト251がB局201Bに送出される。B局201BのAPSバイト処理部219Bは、この「双方向」を表わしたAPSバイト251を受け取ると、現在のB局201Bも「双方向」のモードなので、図3のテーブル245A(245B)で示したように「双方向」のモードを維持し、「双方向」を表わしたAPSバイト252を送出することになる。B局201Bから「双方向」を表わしたAPSバイト252がA局201Aに送出された場合にも、同様の処理が行われる。このようにして、A局201AとB局201Bは、障害が発生するまで、定期的にAPSバイト251、252を出しながら1+1双方向ラインプロテクションのモードを保持する。
<APSバイト処理部に障害が発生した場合の動作>
図5は、B局のAPSバイト処理部に障害が発生した場合を表わしたものである。まず、APSバイト処理部219Bに障害311が発生した場合のラインプロテクション制御システム200の動作を説明する。APSバイト処理部219Bに障害311が発生すると、APSバイト処理監視部221Bがこれを検知する。この検知の手法は、各種の公知の障害検知に関する手法を活用することができる。たとえばAPSバイト処理部219Bが一定の間隔を置いてAPSバイト処理監視部221Bに対して正常であることを示す信号を送出するようにして、この信号が来なくなったとき障害311が発生したことを検知するようにしてもよい。反対に、APSバイト処理監視部221Bが間隔を置いてAPSバイト処理部219Bに健全性の有無を問い合わせ、これに対する返答の有無あるいは返答の内容をチェックしてAPSバイト処理部219Bに障害311が発生したかどうかを検知することもできる。
APSバイト処理監視部221BがAPSバイト処理部219Bの障害311を検知すると、プロテクション動作制御部218Bをその直前の「双方向」のモードから「片方向」のモードに変更する。また、APSバイト処理監視部221Bは、固定APSバイト挿入回路222Bから「010(片方向遷移)」コードをセレクタ224Bに出力させ、セレクタ指示回路225Bの指示によってこの「010(片方向遷移)」コードを用いたAPSバイト252をセレクタ224Bから出力させる。このAPSバイト252は、プロテクト側インタフェース部214BからA局201Aに送出される。
このとき、A局201Aのプロテクション動作制御部218Aは、まだ「双方向」のモードを維持している。したがって、この状態ではA局201AからB局201Bへは「101(双方向)」のAPSバイト251が依然として出力されている。
図4の区間302の開始時点でB局201Bから「010(片方向遷移)」のAPSバイト252が出力されると、これがA局201Aのプロテクト側インタフェース部214Aを介してAPSバイト処理部219Aに到達する。APSバイト処理部219Aでは、自局の出すAPSバイトが「双方向」で相手から来るAPSバイトが「片方向遷移」ということになるので、A局201Aを「片方向」のモードに変更する。A局201Aはモードの切り替えを完了させると、APSバイト251のK2、6から8ビットに「100(片方向)」コードを挿入(上書き)する。そして、この変更後のAPSバイト251をB局201Bに送出する。このAPSバイト251はB局201BのAPSバイト処理部219Bに到達するが、APSバイト処理部219は障害311を発生させているので、動作しない。このようにして1+1片方向ラインプロテクションへの自動切替が完了となる。
図6は、図4に示す区間302の後半の状態を表わしたものである。A局201Aからは「100(片方向)」のAPSバイト251が出力され、B局201Bからは「010(片方向遷移)」のAPSバイト252が出力されている。また、この状態でB局201Bのプロテクション動作制御部218BのみでなくA局201Aのプロテクション動作制御部218Aも「片方向」のモードに設定されている。
図6の状態において、プロテクション動作制御部218A、218Bは片方向ラインプロテクションにて動作している為、ワーク側のライン212、213に障害が発生した際にはAPSバイト処理部219A、219Bを使用せずにプロテクション側ライン215、216へ切り替えることができる。したがって、B局201BからA局201Aの方向のラインに障害が発生した場合とA局201AからB局201Bの方向のラインに障害が発生した場合の双方において、プロテクション制御により信号を救済することができる。
図7は、B局に生じた障害が復旧した際のラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。この図7に示すように障害311が復旧すると、APSバイト処理監視部221Bがこれを検知する。この検知は、障害311の発生の検知動作と同様にして行うことができる。この段階でAPSバイト処理監視部221Bは、固定APSバイト挿入回路222Bと固定プロテクション制御指示回路223Bへ供給していた信号を停止する。
一方、APSバイト処理部219Bは障害311の復旧と共に障害発生前の動作で動き始める。障害311が復旧したことにより、APSバイト処理部219Bはプロテクション動作制御部218Bに対して双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を供給する。プロテクション動作制御部218Bで「片方向」から「双方向」にモードの切り替えが完了すると、プロテクション動作制御部218BはAPSバイト処理部219Bに対して切替完了通知を供給する。
APSバイト処理部219Bは切替完了通知を受けて、APSバイト252に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)して、APSバイト送信回路231BからA局201Aに送信する。この時点でA局201Aは「片方向」のモードのままである。したがって、図7に示したようにA局のラインプロテクションモードとB局のラインプロテクションモードが食い違う状況になる。
図8は、障害が復旧してB局のモードが切り替えられた後、A局からこれと違うモードを表わしたAPSバイトが到来したときのシステムの動作を表わしたものである。前記したようにA局201Aは「片方向」のモードのままなので、図4の区間302の後半に示すように、B局201BのAPSバイト処理部219BはAPSバイト251によって「100(片方向)」コードを与えられることになる。すると、APSバイト処理部219Bはラインプロテクションモードの相違を基にして「011(双方向遷移)」コードを挿入(上書き)するように変化する。これにより、区間303の前半に示すように、B局201Bから「011(双方向遷移)」のAPSバイト252がA局201Aに送出される。
これにより、A局201AのAPSバイト処理部219Aは、B局201Bから「011(双方向遷移)」コードを与えられることになる。APSバイト処理部219Aは、図3のテーブル245A(245B)に従って、動作モードが「片方向」から「双方向」に切り替わる。APSバイト処理部219Aはこれに基づいて、プロテクション動作制御部218Aに対して双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を供給する。プロテクション動作制御部218Aで、この指示に基づいたモードの切り替えが完了すると、APSバイト処理部219Aに切替完了通知が供給される。APSバイト処理部219Aは、これを基にして、APSバイト251に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)して、B局201Bに送出させる。図4の区間303の後半は、このAPSバイト251がA局201AからB局201Bに送出される様子を表わしている。
図9は、A局に「011(双方向遷移)」コードが与えられたときのラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。APSバイト処理部219Bが「011(双方向遷移)」コードのAPSバイト252を送出している段階で、B局201Bは前記した処理で「101(双方向)」コードが挿入されたAPSバイト251を受信する。これを基にAPSバイト処理部219Bはプロテクション動作制御部218Bに対して双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を供給する。
プロテクション動作制御部218Bは既に双方向にて動作している。したがって、APSバイト処理部219Bからこの指示を受けると、A局201Aに「双方向遷移」の指示が伝達されたことを判別することができ、APSバイト処理部219Bに切替完了通知を送出する。APSバイト処理部219Bはこの切替完了通知を受けると、「011(双方向遷移)」コードをAPSバイト252として送出する必要がなくなったことを判別し、それ以後は図9に示すようにAPSバイト252に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)する。この状態で1+1双方向ラインプロテクションへの自動切替が完了する。図4の区間304がB局201BのこのAPSバイト252の送出を表わしている。
これ以後は、障害が発生しない限り、図4の区間305あるいは区間301で示すように、A局201AとB局201Bはそれぞれ自局が「双方向」のモードに設定されていることを示すAPSバイト251あるいはAPSバイト252を定期的に送出することになる。
<プロテクション動作制御部に障害が発生した場合の動作>
次に、プロテクション動作制御部218Bに障害が発生した場合のラインプロテクション制御システム200の動作を説明する。プロテクション動作制御部218Bに障害が発生する前のラインプロテクション制御システム200は、図2に示した1+1双方向ラインプロテクションの正常状態の動作となっている。このとき、APSバイト処理部219A、219Bは、K2の6〜8ビットが、「双方向」を示すコードで構成されたAPSバイトを互いに送信している(図4の区間301参照)。
図10は、B局のプロテクション動作制御部に障害が発生した状況を示したものである。プロテクション動作制御部218Bに障害321が発生すると、APSバイト処理部219Bはこれを検知する。障害321の検知には公知の手法を使用することができる。APSバイト処理部219Bは、この検知結果を基にしてAPSバイト送信回路231Bに対して「010(片方向遷移)」コードを供給する。
この結果、B局201BからA局201Aに対して、図4の区間302の前半に示すように「010(片方向遷移)」のAPSバイト252が送出される。このとき、A局201Aは以前と同様に「101(双方向)」のAPSバイト251をB局201Bに送出している。
図11は、「010(片方向遷移)」のAPSバイトを受信したA局の動作を表わしたものである。A局201AのAPSバイト処理部219Aは、B局201Bから「010(片方向遷移)」コードのAPSバイト252を与えられると、図3に示したテーブル245A(245B)に従って、プロテクション動作制御部218Aに対して片方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を供給する。プロテクション動作制御部218Aはこの指示に従って「片方向」へのモードの切り替えを完了させて、APSバイト処理部219Aに切替完了通知を送出する。
APSバイト処理部219Aは、切替完了通知を受信すると、APSバイト251に「100(片方向)」コードを挿入(上書き)して、APSバイト送信回路231AからB局201Bに送信する。これは、図4の区間302における後半部分に示す通りである。
B局201Bでは、A局201Aに対してAPSバイト処理部219Bから「010(片方向遷移)」コードのAPSバイト252を送信中に、A局201Aから「100(片方向)」コードのAPSバイト251を受信する。APSバイト処理部219Bは、A局201Aからこの「010(片方向遷移)」コードのAPSバイト252を受信すると、プロテクション動作制御部218Bに対して片方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を送出する。しかしながら、プロテクション動作制御部218Bは障害321が発生しているので、この指示によっては「片方向」のモードへの切り替えが完了しない。したがって、B局201Bの出すAPSバイト252は「010(片方向遷移)」コードのままである。すなわち、この状態で1+1片方向ラインプロテクションへの自動切替が完了となる。
この図11に示した状況では、A局201Aのみが1+1片方向リニアプロテクションで動作する。したがって、B局201BからA局201Aの方向のラインに障害が発生した場合には、プロテクション制御により信号を救済することができる。これとは逆のA局201AからB局201Bの方向のラインに障害が発生した場合は、プロテクション動作制御部218Bに障害が発生しているので、送られてくる信号を救済することはできない。
図12は、B局のプロテクション動作制御部の障害が復旧した際のラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。この図12に示すように障害321が復旧すると、プロテクション動作制御部218BはAPSバイト処理部219Bから送信される片方向へのモード変更指示をこの時点から受け入れることができるようになる。プロテクション動作制御部218Bは、片方向へのモード変更指示を受け入れたとき、「双方向」のモードから「片方向」のモードへと変更する。このようにしてモードの切り替えが完了すると、プロテクション動作制御部218BはAPSバイト処理部219Bに切替完了通知を出力する。APSバイト処理部219Bは、切替完了通知を受け取ると、APSバイト252に「011(双方向遷移)」コードを挿入(上書き)して、APSバイト送信回路231BからA局201Aに送信する。これは、図4の区間303の前半部分に対応する。
図13は、A局に「011(双方向遷移)」コードが与えられたときのラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。「011(双方向遷移)」コードが挿入されたAPSバイト252がA局201Aに到達すると、APSバイト処理部219Aはプロテクション動作制御部218Aに対して双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を供給する。プロテクション動作制御部218Aは、これを基にしてモードの切り替えを完了させて、APSバイト処理部219Aに切替完了通知を送出する。APSバイト処理部219Aは、切替完了通知を受け取ると、APSバイト251に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)して、APSバイト送信回路231AからB局201Bに送信する。これは、図4の区間303の後半部分に対応する。
図14は、B局に「101(双方向)」コードが与えられたときのラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。B局201BのAPSバイト処理部219Bは、「011(双方向遷移)」コードの挿入されたAPSバイト252を送信中にA局201Aから「101(双方向)」コードの挿入されたAPSバイト251を受信する。すると、APSバイト処理部219Bは、プロテクション動作制御部218Bに対して、双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を供給する。
プロテクション動作制御部218Bは、この指示に基づいて「片方向」のモードから「双方向」のモードへ切り替える。この切り替えが完了すると、プロテクション動作制御部218BはAPSバイト処理部219Bに対して切替完了通知を送出する。APSバイト処理部219Bはこの切替完了通知を受信すると、APSバイト252に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)して、APSバイト送信回路231BからA局201Aに送信する。これは、図4の区間304に対応する。
この時点で、1+1双方向ラインプロテクションへの自動切替が完了となる。これ以後は、障害が発生しない限り、図4の区間305あるいは区間301で示すように、A局201AとB局201Bはそれぞれ自局が「双方向」のモードに設定されていることを示すAPSバイト251あるいはAPSバイト252を定期的に送出することになる。
以上説明した本実施例のラインプロテクション制御システム200によれば、1+1片方向ラインプロテクションで切替動作にAPSバイトを使用していない。そして、自局で検知したラインの障害情報およびコマンドのプロテクション制御情報のみを切替要因としたプロテクションを実施する。このため、対局の切替状態および障害発生状態に依存せず、自局の制御のみでプロテクションを実施することができる。
本実施例では、1+1双方向ラインプロテクションが機能しなくなった際に、自動的に1+1片方向ラインプロテクションへプロテクションモードへ変更している。これにより、通常の1+1双方向ラインプロテクションでは救済できなかった、プロテクション動作制御部218またはAPSバイト処理部219の障害時におけるラインの障害発生時に、APSバイト処理部およびプロテクション動作制御部の障害が発生していない局で検知したライン障害を1+1片方向ラインプロテクションによって、救済することができる。
ここで、救済できる信号は故障した個所により異なる。プロテクション動作制御部218が故障した場合は、障害が発生していないノードで受信する方向の信号のみを救済することができる。従って、信号全体のうち、半分を救済できる。APSバイト処理部219のみが故障した場合には、自局内でプロテクション動作制御部218に自動的に1+1片方向ラインプロテクションになるような命令を挿入することにより、すべてのライン障害を救済することができる。すなわち、この場合には信号全体を救済することができる。
プロテクション動作制御部218またはAPSバイト処理部219の故障発生の際に、手動で1+1双方向ラインプロテクションから1+1片方向ラインプロテクションに変更することは従来でも可能である。しかしながら、従来のシステムでは障害発見からプロテクションモード変更までにかかる時間が大きく、また障害の発生していないノードしか変更することができない。
図15は、本発明の第2の実施例におけるラインプロテクション制御システムを構成する局を示したものである。ここでは、システムを構成する局の1つとしてのA局401Aの構成を表わしている。後に説明するB局401Bも回路構成は同一である。また、図15で図1と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。図1と対比すると分かるように、第2の実施例のA局401Aは、図2におけるAPSバイト処理監視部221A、固定APSバイト挿入回路222A、固定プロテクション制御指示回路223A、セレクタ224Aおよびセレクタ指示回路225Aが削除された構成となっている。
図16は、この第2の実施例におけるラインプロテクション制御システムの構成の概要を表わしたものである。このラインプロテクション制御システム400では、A局201AとB局201Bの間で信号が送受信されるものとしている。A局201Aの構成は図15よりも簡略化して示している。B局201Bの構成についても同様である。
ところで、このラインプロテクション制御システム400では、互いに一致させて初期設定すべき「双方向」あるいは「片方向」のラインプロテクションモードについて、設定ミスで間違って設定した場合、あるいは設定自体を行わなかった場合に、自動的にモードを整合させることができるようになっている。本実施例では、プロテクションモード誤設定時に自動モード切替により1+1双方向ラインプロテクションのモードに修正する場合を説明する。図16におけるA局401Aのプロテクション動作制御部218Aは初期的に「片方向」のモードに設定されており、B局401Bのプロテクション動作制御部218Bは初期的に「双方向」のモードに設定されている。
したがって、ラインプロテクション制御システム400が立ち上がると、A局401AからB局401Bには、「100(片方向)」コードのAPSバイト251が送出される。また、B局401BからA局401Aには、「101(双方向)」コードのAPSバイト252が送出されることになる。
図17は、B局のAPSバイト処理部がA局から「100(片方向)」コードを与えられたときのラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。B局401BのAPSバイト処理部219Bは、A局401Aから「100(片方向)」コードの挿入(上書き)されたAPSバイト251を受け取る。そして、図3に示すテーブル245A(245B)に従って、自局が「双方向」のモードで相手局が「片方向」のモードなので、自局を「双方向」のモードのままに保持して、APSバイト252に「011(双方向遷移)」コードを挿入(上書き)する。したがって、この時点で、A局401AからB局401Bには、「100(片方向)」コードのAPSバイト251が送出され、B局401BからA局401Aには、「011(双方向遷移)」コードのAPSバイト252が送出されることになる。
図18は、A局のAPSバイト処理部がB局から「011(双方向遷移)」コードを与えられたときのラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。A局401AのAPSバイト処理部219Aは、B局401Bから「011(双方向遷移)」コードのAPSバイト252を受け取る。そこで、APSバイト処理部219Aは、プロテクション動作制御部218Aに双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を出力する。プロテクション動作制御部218Aはこの指示を受け取ると「双方向」のモードに切り替える。この切り替えが完了すると、プロテクション動作制御部218Aは切替完了通知をAPSバイト処理部219Aに出力する。
APSバイト処理部219Aは切替完了通知を受け取ると、図3に示すテーブル245A(245B)の内容から、自局が「片方向」のモードで相手局が「双方向遷移」のモードなので、自局を「双方向」のモードに変更して、APSバイト251に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)してB局401Bに送出する。したがって、この時点で、A局401AからB局401Bには、「101(双方向)」コードのAPSバイト251が送出され、B局401BからA局401Aには、「011(双方向遷移)」コードのAPSバイト252が送出されることになる。
図19は、B局がこの後にA局から「101(双方向)」コードを受信した場合のラインプロテクション制御システムの動作を表わしたものである。B局401BのAPSバイト処理部219Bは、「011(双方向遷移)」コードの挿入(上書き)されたAPSバイト252の送信中にA局401Aから「101(双方向)」コードの挿入(上書き)されたAPSバイト251を受信する。すると、APSバイト処理部219Bは、プロテクション動作制御部218Bに対して双方向ラインプロテクションで動作するよう指示する信号を出力する。
ここで、プロテクション動作制御部218Bはこの時点で既に「双方向」のモードで動作している。したがって、プロテクション動作制御部218BはAPSバイト処理部219Bに対して切替完了通知を出力する。この切替完了通知を受け取ったAPSバイト処理部219Bは、APSバイト252に「101(双方向)」コードを挿入(上書き)して、APSバイト送信回路231BからA局201Aに送信する。これは、図4の区間304に対応する。
この時点で、1+1双方向ラインプロテクションへの自動切替が完了となる。これ以後は、障害が発生しない限り、図4の区間305あるいは区間301で示すように、A局201AとB局201Bはそれぞれ自局が「双方向」のモードに設定されていることを示すAPSバイト251あるいはAPSバイト252を定期的に送出することになる。
なお、第2の実施例では図15に示したようにA局401A等の各局の構成を図1よりも簡略化したが、もちろん、図1と同一の構成となっていてもよい。この場合には、第1の実施例で説明したように各種の障害に対応できるようになる。
また、第1および第2の実施例では1+1双方向ラインプロテクションと1+1片方向ラインプロテクションについて説明したが、現用系のラインが“N”(Nは1以上の任意の整数)に対して予備系のラインが“1”の1+N双方向ラインプロテクションと1+N片方向ラインプロテクションについても本発明を同様に適用することができる。