JP2008001669A - 脂溶性還元型補酵素q10組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等の分野において、酸素に対する安定性が極めて高く、かつ還元型補酵素Q10が元来有する高い経口吸収性を兼ね備えた、還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物およびその製造方法を提案することを課題とする。
【解決手段】 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、油溶性化合物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散している、還元型補酵素Q10を含有する顆粒組成物が、高い酸化安定性と高い生体吸収性を兼ね備えた脂溶性の組成物であることを見出し、本発明を完成させた。
【選択図】 なし

Description

本発明は、還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、高い酸化安定性と高い経口吸収性を兼ね備えた還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物およびその製造方法に関する。
補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体に分布する必須成分である。ヒトでは、補酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ、補酵素Q10が主成分であることが知られている。補酵素Q10は、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として存在する生理学的成分であり、生体内において酸化と還元を繰り返すことで電子伝達系における伝達成分としての機能を担っている。
補酵素Q10は生体において、エネルギー生産、膜安定化および抗酸化活性を示すことが知られており、その有用性は広い。補酵素Q10には酸化型と還元型があり、生体内においては通常約40〜90%程度が還元型で存在することが知られている。補酵素Q10のうち、酸化型補酵素Q10(別名ユビキノンまたはユビデカレノン)は、鬱血性心不全薬として医薬用途に、また医薬用途以外でも、ビタミン類同様、栄養剤、栄養補助剤として経口剤および皮膚用剤として広く用いられている。
一方、還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10よりも高い経口吸収性を示し、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有効な優れた化合物である。しかし、還元型補酵素Q10は、分子酸素によって酸化型補酵素Q10に酸化されやすく、還元型補酵素Q10を食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等或いはそれらの素材や組成物に加工する際、及び/又は、加工後取り扱う際の安定化が重要な課題として残されている。上記の取り扱いに際して、完全な酸素の除去或いは遮断は極めて難しく、特に加工時の加温や長期にわたる保存において、残存する或いは混入する酸素が大きな悪影響を及ぼし、酸化型補酵素Q10の副生といった品質面の問題に直結する。
このように還元型補酵素Q10を安定に保持する(酸化から防護する)ことは非常に重要な課題であるが、現在まで還元型補酵素Q10を安定に保持するための方法及び組成物に関する研究はほとんどなされていない。わずかに、還元剤を共存させた組成物並びにその製造法について記述した例(特許文献1:WO01/52822号)及び油脂中で還元型補酵素Q10を安定化させた例を認めるのみである(特許文献2:WO03/62182号)。
この特許文献1には、
1)還元型補酵素Q10が酸化型補酵素Q10に酸化されるのを抑制するために、有効な量の還元剤及び上記還元型補酵素Q10と前記還元剤を溶解するために有効な量の界面活性剤又は、植物油又はこれらの混合物、そして、必要に応じて溶媒からなる組成物
2)上記組成物をゼラチンカプセル又はタブレットに製剤化した経口投与のための組成物
3)更に、酸化型補酵素Q10並びに還元剤を用いてin situで還元型補酵素Q10を含有する上記組成物を調製する方法
が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1には、組成物中に含まれる還元型補酵素Q10の品質や安定化効果等に関する詳細な記述はない。又、上記の組成物やその調製方法は、組成物に複数の役割(すなわち、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に還元する反応の場としての役割及び還元型補酵素Q10を安定に保持する役割)を持たせるため、非常に複雑、煩雑なものとなっている。又、一般にアスコルビン酸類(還元剤)をゼラチンカプセルに封入した場合、ゼラチンカプセルの崩壊性が悪化することが知られており、これは生体への吸収性に悪影響を及ぼす。
更に、上記組成物やその調製方法においては、反応混合物がそのまま用いられている為、必ずしも安全とは言い難い点に注目すべきである。具体的には、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に還元する際に還元剤としてアスコルビン酸類を用いているが、このアスコルビン酸類が酸化されて相当量のデヒドロアスコルビン酸類を生じ、それが上記組成物中に混入する点である。デヒドロアスコルビン酸類や分解により生成したシュウ酸は、アスコルビン酸類とは異なり、有害性が高い。たとえば、肝臓や腎臓中の過酸化脂質量の増加と抗酸化物質の減少や腎臓中のシュウ酸量の増加が報告されており、酸化ストレスに対する抵抗力の低下や尿管結石を発症し易い等の副作用が懸念される。
また、特許文献2には、還元型補酵素Q10を酸化から防護するための方法として、還元型補酵素Q10を、主成分が油脂(但し、オリーブ油を除く)及び/又はポリオールからなり、且つ、還元型補酵素Q10の安定化を実質的に阻害しない組成物とすることを特徴とする還元型補酵素Q10の安定化方法が開示されているが、上述の安定化方法では、還元型補酵素Q10の安定性が不十分な場合もあり、又、特許文献1と同様に油脂及び/又は界面活性剤を使用する為、その適用範囲が限定されていた。
そのような背景から、補酵素Q10の産業分野では、酸素に対する安定性が高く、還元型補酵素Q10が元来有する高い経口吸収性を兼ね備え、かつ脂溶性である顆粒組成物およびその製造方法が広く求められている。
WO01/052822号 WO03/062182号
本発明は上記の点に解決を与えるため、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等の分野において、酸素に対する安定性が極めて高く、かつ還元型補酵素Q10が元来有する高い経口吸収性を兼ね備えた、還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物およびその製造方法を提案することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散している、還元型補酵素Q10を含有する顆粒組成物が、高い酸素安定性と高い生体吸収性を兼ね備えた脂溶性の組成物であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、提供するのは以下の通りである:
[1] 油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散している脂溶性顆粒組成物。
[2] 油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が5個以上のドメインを形成して多分散している、[1]に記載の脂溶性顆粒組成物。
[3] 体積平均粒子径が50μm〜2cmである、[1]または[2]に記載の脂溶性顆粒組成物。
[4] 油溶性組成物の融点が、20℃〜48℃であることを特徴とする、[1]から[3]いずれかに記載の脂溶性顆粒組成物。
[5] 還元型補酵素Q10を含有する油性成分の融点が、49℃以上であることを特徴とする、[1]から[4]いずれかに記載の脂溶性顆粒組成物。
[6] 顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量が1〜90重量%である、[1]から[5]いずれかに記載の脂溶性顆粒組成物。
[7] 20℃、空気中、遮光条件下に30日間保存後の還元型補酵素Q10の保持率が、50重量%以上である[1]から[6]いずれか記載の脂溶性顆粒組成物。
[8] 融点が20〜48℃の油溶性組成物を、48℃以下で融解させた融液に、融点が49℃以上の還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末を固体状態で添加して懸濁させた後、油溶性組成物の融点以下に保持して、油溶性組成物を固化させることを特徴とする、還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物の製造方法。
[9] 平均粒子径が0.01〜50μmである還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末を使用することを特徴とする[8]に記載の製造方法。
[10] 得られる脂溶性顆粒の体積平均粒子径が50μm〜2cmである、[8]に記載の製造方法。
[11] 顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量が1〜90重量%である、[8]に記載の製造方法。
本発明によれば、還元型補酵素Q10が元来有する高い経口吸収性を維持し、かつ空気中で不安定な還元型補酵素Q10を極めて安定に保持できる還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物が提供される。
本発明の脂溶性顆粒組成物は、油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散している脂溶性顆粒組成物である。
本発明の脂溶性顆粒組成物に含まれる還元型補酵素Q10は、式(1)で示される:
Figure 2008001669
(式中、n=10である)
上述したように、補酵素Q10には還元型と酸化型が存在するが、本発明においては、補酵素Q10として還元型補酵素Q10を対象とする。本発明の顆粒組成物に含有される還元型補酵素Q10は還元型単独であってもよいし、酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物である補酵素Q10としてであっても良い。該粒子状組成物中に、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10の両者を含む場合、還元型補酵素Q10が補酵素Q10の総量(すなわち、還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10の合計量)に占める割合は、特に制限されないが、例えば約20重量%以上、普通約40重量%以上、好ましくは約60重量%以上、より好ましくは約80重量%以上、とりわけ約90重量%以上、なかんずく約96重量%以上である。上限は100重量%であり、特に限定されないが、普通約99.9重量%以下である。
還元型補酵素Q10は、特開平10−109933号公報に記載されているように、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物である補酵素Q10を得た後、クロマトグラフィーを用いて、流出液中の還元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により製造できる。この場合には、上記補酵素Q10中に含まれる酸化型補酵素Q10を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)等の一般的な還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行っても良い。また、還元型補酵素Q10は、既存の高純度酸化型補酵素Q10に上記還元剤を作用させて得ることができる。
好ましくは、既存の高純度酸化型補酵素Q10、あるいは酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物である補酵素Q10を、一般的な還元剤、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸類等を用いて還元することにより得られたものであり、より好ましくは、既存の高純度酸化型補酵素Q10、あるいは酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物である補酵素Q10を、アスコルビン酸類を用いて還元することにより得られたものである。
本発明の顆粒状組成物においてマトリックスを形成する油溶性組成物は、油溶性組成物全体としての融点が、20〜48℃の範囲であれば特に制限はない。ここでいう融点は、油溶性組成物が単一成分でない場合、該組成物が軟化し流動性を生じる温度範囲の下限を融点に準じるものとして採用することができる。油溶性組成物の融点を、20〜48℃の範囲とする方法は特に限定されず、適当な融点あるいは軟化点を有する成分を適宜混合することで達成できるが、油溶性組成物として、融点が20〜48℃の範囲にある脂質を単一であるいは主成分として使用するのが好ましい。その場合の、油溶性組成物における、融点が20〜48℃の脂質の含有量は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが最も好ましい。好ましい上限はいうまでもなく100重量%である。油溶性組成物における、融点が20〜48℃の脂質の含有量が50重量%未満の場合は、油溶性組成物全体の融点を20〜48℃の範囲とするのが複雑になるだけでなく、油溶性組成物全体の融点を20〜48℃の範囲とした場合においても、得られる顆粒組成物の硬さが弱く、輸送中あるいは保管時に顆粒が変形し易い顆粒が得られる傾向にあり、あまり好ましくない。しかし、油溶性組成物の成分として融点が20〜48℃の範囲にある脂質を50重量%未満しか使用しないあるいはまったく使用しない場合においても、例えば、融点が20℃未満の液体油と融点が48℃を超える固体脂とを適宜混合させて、油性組成物全体の融点が20〜48℃の範囲になるよう調整し、さらに必要に応じて賦形剤を混合させるなどして、実用に耐えうる油溶性顆粒のマトリックス成分とすることは可能である。
上記融点が20〜48℃の脂質としては、食品に許容できるものであれば特に制限はないが、例えば、シア油、カカオ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、乳脂、豚脂等や、液体脂を適宜加工(水素添加、分別など)して融点を該範囲に調整したものなどが好ましく使用される。
また、本発明の顆粒状組成物における、油溶性組成物に含有することができる、融点が20〜48℃の脂質以外の油状成分としては、融点が20〜48℃以外のその他の油脂、固形油脂、脂溶性界面活性剤、脂肪酸およびそのエステル誘導体、その他油溶性の被覆剤として使用できる成分等が挙げられる。
上記、油脂としては、例えば、植物油脂としては、例えば、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、サル脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油等を挙げることができ、動物油脂としては、例えば、魚油、牛脂等を挙げることができ、更に、これらを分別、水素添加、エステル交換等により加工した油脂(例えば、硬化油)も挙げることができる。言うまでもなく、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)も使用しうる。又、これらの混合物を使用しても良い。
上記、固形油脂としては、例えば、ミツロウ、モクロウ、キャディラロウ、米ぬかロウ、カルマウバロウ、雪ロウ等の食用ワックス類が挙げられるが、これらに限定されない。
上記、脂溶性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリンエステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン類等の内、好ましくはHLBが10以下、より好ましくはHLBが8以下の脂溶性界面活性剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
脂肪酸およびそのエステル誘導体としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸およびこれらのエステル類、例えば、これらのメチルエステル、エチルエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記油溶性の被覆剤としては、一般的に使用されている公知の被覆剤を使用でき、例えば、高級脂肪酸の糖エステル、シェラック、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ツェインなどが挙げられる。
本発明の顆粒状組成物においてドメインを形成する、還元型補酵素Q10を含有する油性成分は、還元型補酵素Q10を含有する油性成分で、油性成分全体の融点が49℃以上であれば特に制限はない。還元型補酵素Q10を含有する油性成分中における、還元型補酵素Q10の含有量は、10重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが最も好ましい。還元型補酵素Q10を含有する油性成分中における、還元型補酵素Q10の含有量が10重量%未満の場合は、最終的に得られる脂溶性顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含量が低くなり、所定量の還元型補酵素Q10を経口投与する際に、多量の顆粒組成物を摂取することが必要となるため好ましくない。
また、還元型補酵素Q10および酸化型補酵素Q10の融点が49℃以上であることから、還元型補酵素Q10を含有する油性成分として、還元型補酵素Q10単独、あるいは、還元型と酸化型の混合物である補酵素Q10を単独で使用することができる。尚、上記、融点は、示差走査熱量計等、公知の測定方法により求めることができる。
本発明における、還元型補酵素Q10を含有する油性成分には、還元型補酵素Q10以外に、目的に応じ、その他の脂溶性成分を添加することができる。その他脂溶性成分としては、油脂、固形油脂、脂溶性界面活性剤、脂肪酸およびそのエステル誘導体等が挙げられる。
上記、油脂としては、例えば、植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、サル脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油等を挙げることができ、動物油脂としては、例えば、豚脂、乳脂、魚油、牛脂等を挙げることができ、更に、これらを分別、水素添加、エステル交換等により加工した油脂(例えば、硬化油)も挙げることができる。言うまでもなく、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)も使用しうる。又、これらの混合物を使用しても良い。
上記、固形油脂としては、例えば、ミツロウ、モクロウ、キャディラロウ、米ぬかロウ、カルマウバロウ、雪ロウ等の食用ワックス類が挙げられるが、これらに限定されない。
上記、脂溶性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリンエステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン類等の内、好ましくはHLBが10以下、より好ましくはHLBが8以下の脂溶性界面活性剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
脂肪酸およびそのエステル誘導体としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸およびこれらのエステル類、例えば、これらのメチルエステル、エチルエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においては、油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が5個以上のドメインを形成して多分散していることが好ましい。油溶性組成物から成るマトリックス中における、還元型補酵素Q10を含有する油性成分のドメイン数が5個未満の場合は、最終的に得られる脂溶性顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含量が低くなり、所定量の還元型補酵素Q10を経口投与する際に、多量の顆粒組成物を摂取することが必要となるため好ましくない。
本発明における、顆粒組成物の体積平均粒子径には特に制限はないが、50μm〜2cmの範囲であることが好ましく、100μm〜1.5cm以下の範囲であることがより好ましく、200μm〜1cm以下の範囲であることが最も好ましい。顆粒組成物の体積平均粒子径が50μm以下の場合は、顆粒の表面積が大きくなり、酸素安定性が低下する傾向にある。一方、顆粒組成物の体積平均粒子径の上限には特に制限はないが、顆粒のハンドリング性を考慮すると、2cm以下であることが好ましい。
本発明における、顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量は、1〜90重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましく、15〜70重量%の範囲であることが最も好ましい。顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量が1重量%未満の場合は、最終的に得られる脂溶性顆粒中の還元型補酵素Q10の含量が低くなり、所定量の還元型補酵素Q10を経口投与する際に、多量の顆粒を摂取することが必要となるため好ましくない。また、顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量が90重量%より多い場合は、顆粒の酸素安定性が低下する傾向にあり好ましくない。
本発明の顆粒組成物は、20℃、空気中、遮光条件下に30日間保存後の還元型補酵素Q10の保持率(%)(初発の還元型補酵素Q10の重量に対する比率)が、50重量%以上であることが好ましい。保存雰囲気中の湿度は、特に限定されないが、普通相対湿度約90%以下、好ましくは相対湿度約75%以下、更に好ましくは相対湿度約60%以下、特に好ましくは相対湿度約40%以下である。
続いて、本発明の脂溶性顆粒組成物の好ましい製造方法について説明する。
本発明においては、融点が20〜48℃の油溶性組成物を、48℃以下で融解させた融液に、融点が49℃以上の還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末を固体状態で添加して懸濁させた後、油溶性組成物の融点以下に保持して、融解状態にある油溶性組成物を固化させることにより、還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物が製造され得る。
ここで、油溶性組成物の融液に添加混合される還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末は、平均粒子径が0.01〜50μmの範囲のものを使用するのが好ましい。このような還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末の調製方法としては、晶析で得た還元型補酵素Q10を粉砕する方法、あるいは還元型補酵素Q10を含有する油性成分の融液を冷却して得た固形物を凍結粉砕する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においては、融点が20〜48℃の油溶性組成物をマトリックス成分として用いることにより、融点が49℃以上の還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末の大部分を、溶解させることなく油溶性組成物中に懸濁分散させることができ、本発明の還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散している顆粒組成物を得ることができる。
還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散していることにより、局所的に高濃度に還元型補酵素Q10を含有するドメインが融点20〜48℃の油溶性組成物にコーティングされ、顆粒の内部に局在化しやすくなる。これにより、顆粒表面から進行すると考えられる、分子酸素による酸化を大幅に軽減することができる。
本発明の製造方法における、融解状態にある油溶性組成物を固化する方法としては、油溶性組成物の融点以下の雰囲気下に保持する操作であれば特に制限はなく、例えば、ドライアイスで冷却した有機溶剤中あるいは液体窒素中に接触、あるいは浸漬する、あるいは油溶性組成物の融点以下に調整した気相雰囲気中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が微分散した融解状態にある油溶性組成物を滴下し、気相中で固化させる操作などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においては、必要に応じ、得られた顆粒組成物を、さらに脂溶性成分でコーティングすることもできる。コーティングに用いることのできる脂溶性成分としては、例えば、ミツロウ、モクロウ、キャディラロウ、米ぬかロウ、カルマウバロウ、雪ロウ等の食品用ワックス類、シェラック、ゼイン等が挙げられるが、本発明の顆粒組成物の酸素安定性を向上させることのできる脂溶性のコーティング成分であれば、特に制限はない。
本発明の顆粒組成物は、油脂類等の脂溶性成分と、加温で容易に均一混合することができ、例えば、ソフトカプセルの充填物として好適に用いることができる。
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(還元型補酵素Q10の純度)
還元型補酵素Q10の純度及び還元型補酵素Q10の重量比(%)は下記HPLC分析により求めた(重量比(%)=還元型補酵素Q10/(酸化型補酵素Q10+還元型補酵素Q10)×100)。以下、HPLC分析条件を記載する。
カラム:SYMMETRY C18(Waters製)250mm(長さ)4.6mm(内径)、移動相;C25OH/CH3OH=4/3(v/v)、検出波長;210nm、流速;1.0ml/min、還元型補酵素Q10の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時間;13.3min。
(製造例)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10結晶、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて撹拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノール400g、水100gを添加した。このエタノール溶液を撹拌しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、冷エタノール、冷水の順で洗浄し、得られた湿結晶を減圧乾燥することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。なお、減圧乾燥を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の純度は99.1%、還元型補酵素Q10の重量比(%)は99.0%であった。
ここで得た還元型補酵素Q10の白色の乾燥結晶を乳鉢で粉砕し、還元型補酵素Q10の粉末(平均粒子径10μm)を得た。
(実施例1)
40℃に加熱した液状のシア油70g(融点が38℃)に、上記製造例で得られた還元型補酵素Q10粉末30gを添加し、還元型補酵素Q10粉末がシア油中に分散したスラリーを作成した。その後、シア油成分が半固形状態となるよう、スラリーを30℃程度にまで冷却し、ある程度粘度の高くなったスラリーを、直径1cmの半球状の型に流し込み、その後2℃で24時間冷却し、半球状〜球状の還元型補酵素Q10を含有する顆粒を得た。
(実施例2)
40℃に加熱した液状のシア油50g(融点が38℃)に、上記製造例で得られた還元型補酵素Q10粉末50gを添加し、還元型補酵素Q10粉末がシア油中に分散したスラリーを作成した。その後、シア油成分が半固形状態となるよう、スラリーを30℃程度にまで冷却し、ある程度粘度の高くなったスラリーを、直径1cmの半球状の型に流し込み、その後2℃で24時間冷却し、半球状〜球状の還元型補酵素Q10を含有する顆粒を得た。

Claims (11)

  1. 油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が平均粒子径0.01〜50μmのドメインを形成して多分散している脂溶性顆粒組成物。
  2. 油溶性組成物から成るマトリックス中に、還元型補酵素Q10を含有する油性成分が5個以上のドメインを形成して多分散している、請求項1に記載の脂溶性顆粒組成物。
  3. 体積平均粒子径が50μm〜2cmである、請求項1または2に記載の脂溶性顆粒組成物。
  4. 油溶性組成物の融点が、20℃〜48℃であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の脂溶性顆粒組成物。
  5. 還元型補酵素Q10を含有する油性成分の融点が、49℃以上であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項に記載の脂溶性顆粒組成物。
  6. 顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量が1〜90重量%である、請求項1〜5いずれか1項に記載の脂溶性顆粒組成物。
  7. 20℃、空気中、遮光条件下に30日間保存後の還元型補酵素Q10の保持率が、50重量%以上である請求項1〜6いずれか1項記載の脂溶性顆粒組成物。
  8. 融点が20〜48℃の油溶性組成物を、48℃以下で融解させた融液に、融点が49℃以上の還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末を固体状態で添加して懸濁させた後、油溶性組成物の融点以下に保持して、油溶性組成物を固化させることを特徴とする、還元型補酵素Q10を含有する脂溶性顆粒組成物の製造方法。
  9. 平均粒子径が0.01〜50μmである還元型補酵素Q10を含有する油性成分からなる粉末を使用することを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
  10. 得られる脂溶性顆粒の体積平均粒子径が50μm〜2cmである、請求項8に記載の製造方法。
  11. 顆粒組成物中の還元型補酵素Q10の含有量が1〜90重量%である、請求項8に記載の製造方法。
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WO2023120558A1 (ja) * 2021-12-24 2023-06-29 株式会社カネカ 還元型補酵素q10の保存方法

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