JP2008000688A - 塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、少なくとも1層の下層塗料(I)の半硬化塗膜を形成し、該半硬化塗膜上に、上塗塗料(II)を塗装し、次いで加熱硬化することを特徴とする塗膜形成方法。
上塗塗料(II):特定組成(A)と組成(B)を、組成(A)と組成(B)の固形分合計100質量部に基づいて、組成(A)/組成(B)=30/70〜80/20(質量部)で含有する。
【選択図】 なし
Description
樹脂の何れか1つ又は両方からなる架橋剤が配合された上塗り塗膜層を形成しているプレコートメタルに関する発明が開示されている(特許文献2)。
素材:
本発明に用いる素材としては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛、ニッケル−亜鉛、亜鉛−アルミニウムなどの合金メッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板等の金属類、等が挙げられる。
金属類に塗装する場合に被塗装材である金属表面が油等汚染物質で汚染されていなければそのまま塗装してもかまわないが、塗膜との間の付着性、耐食性を改善するために公知の金属表面処理を施すのが望ましい。これら公知の表面処理方法としてリン酸塩系表面処理、クロム酸塩系表面処理、さらにはクロム酸系塗装剤による塗布処理が挙げられる。
次いで、少なくとも1層の下層塗料(I)を塗装する。下層塗料(I)としては、例えば着色カラー鋼板塗装分野、産業用機械塗装分野、金属部品塗装分野などで用いられている、従来から公知のプライマー塗料や着色塗料が適用できる。
プライマー塗料は、被塗装材の種類、金属表面処理の種類によって適宜選択されるが、特にエポキシ樹脂系のプライマー、ポリエステル樹脂系のプライマー及びそれらの変性プライマーが好適であり、加工性が特に要求される場合はポリエステル樹脂系のプライマーが好適である。
方法(1):下層塗料(I)の半硬化塗膜上に、上塗塗料(II)を塗装し、加熱硬化してなる2コート1ベーク方式(2C1B)、方法(2):下層塗料(I)の半硬化塗膜に、着色塗料を塗装し、該着色塗料の半硬化塗膜上に、さらに上塗塗料(II)を塗装し、加熱硬化してなる3コート1ベーク方式(3C1B)、方法(3):下層塗料(I)の硬化塗膜上に、着色塗料を塗装し、該着色塗料の半硬化塗膜上に、さらに上塗塗料(II)を塗装し、加熱硬化してなる3コート2ベーク方式(3C2B)、が挙げられる。これらの塗膜形成方法によって、下層塗料(I)又は着色塗料の半硬化塗膜と上塗塗料(II)の塗膜が一部相溶し、いっそうの塗膜間密着性を向上することができることを見出せた。
下層塗料(I)の半硬化塗膜上に塗装される上層塗料(II)は、特定の組成(A)と組成(B)を、組成(A)と組成(B)の固形分合計100質量部に基づいて、組成(A)/組成(B)=30/70〜80/20(質量部)で配合してなる塗料である。
組成(A)は、1分子中に少なくとも2個のSi−H結合を有するオルガノポリシロキサン(a1)と1分子中にアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン(a2)を含有する。
Ra SiO(4-a)/2・・・式(2)
(式中、Rは、同一でも異なってもいてもよく、少なくとも1個がアルケニル基であることを条件として、非置換または置換の一価炭化水素基、水酸基、及びアルコキシ基から選択された基であり、aは、1.9〜2.4の数である)で表されるものが一般的に使用される。
ケイ素原子に結合している置換基Rは、少なくも1個がアルケニル基であることを条件として、上記で例示した一価の炭化水素基や、水酸基、アルコキシ基の何れであってもよいが、アルケニル基としてはビニル基が好ましく、またそれ以外の基としては、メチル基及びフェニル基が好ましい。 また、これらのアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。このような、 オルガノポリシロキサン(a2)の市販品としては、SLJ7241H(旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名)が挙げられる。
プレコートメタル用塗料における組成(B)は、下記式(1)で示されるオルガノポリシロキサン(b1)と、加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサン(b2)を含有する。
(式中、R2は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素を示し、a及びbは、0.2≦a≦2、0.1≦b≦3、a+b<4の関係を満たす)
R2は、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、3−グリシドキシプロピル基〔γ−グリシドキシプロピル基とも言う〕、3−メタクリロイルオキシプロピル基〔γ−メタクリロイルオキシプロピル基とも言う〕、3−アミノプロピル基〔γ−アミノプロピル基とも言う〕、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換炭化水素基、より好ましくはメチル基、エチル基等のアルキル基である。
(注2)重量平均分子量:JIS K 0124−83に準じて行ない、分離カラムにT
SK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HXL(東
ソー社製)を用いて40℃で流速1.0ml/分、溶離液にGPC用テトラヒドロフランを用いて、RI屈折計で得られたクロマトグラフとポリスチレンの検量線から計算により求めた。以下の重量平均分子量は、(注2)の記載内容によるものである。
硬化触媒によって、オルガノポリシロキサン(b1)の水酸基とオルガノポリシロキサン(b2)のアルコキシ基とに基づき反応して硬化する。
さらに、本発明の塗膜形成方法の上層塗料(II)には、適宜必要に応じて、硬化触媒(C)を使用することができ、加工性や下塗り塗膜との密着性の向上に寄与することができる。
オルガノポリシロキサン(b1)及びオルガノポリシロキサン(b2)の固形分合計に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%程度が、塗料安定性と硬化性の面から好ましい。
4つ口フラスコに、水1000部、アセトン50部を入れ、その混合溶液中に、メチルトリクロロシラン59.7部(0.4モル)、ジメチルジクロロシラン51.6部(0.4モル)、フェニルトリクロロシラン42.3部(0.2モル)をトルエン200部に溶解したものを攪拌下で滴下しながら加水分解した。
滴下終了から40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロートに移し入れて静置し、二層に分離したうちの下層を分液除去した。後に残った上層のオルガノポリシロキサンのトルエン溶液を減圧ストリッピングにかけ、この溶液中で残存している水と塩酸を過剰のトルエンとともに留去することにより、樹脂固形分100%、重量平均分子量約3,000のオルガノポリシロキサンNo.1を得た。
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取付けた4つ口フラスコに、メチルトリメトキシシラン80部及びジメチルジメトキシシラン20部を加え、攪拌下0.05N塩酸水10部を滴下し、68℃で1時間加水分解縮合をした。これを120℃まで加熱して副生メタノールを系外に留去して冷却し、ろ過を行って、樹脂固形分100%、重量平均分子量約2,500の加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサンNo.2を得た。
SLJ7241A(注3)60部(固形分)、SLJ7241A(注4)40部(固形分)、製造例1で得たオルガノポリシロキサンNo.1を50部(固形分)、製造例2で得たオルガノポリシロキサンNo.2を50部(固形分)、亜鉛−2−エチルオクトエートを1部(固形分)加えて攪拌し、次いで、サイロイド74(注8)5部、CR−97(注9)50部を加え、均一に撹拌し、シクロヘキサンノン/ソルベッソ150(「ソルベッソ150」は、エッソ石油株式会社製、によって粘度80秒(フォードカップ#4、25℃)に調整してプレコートメタル塗料No.1を得た。
表1の配合内容とする以外は、製造例3と同様にして、プレコートメタル用塗料No.2〜No.13を得た。
(注4)SLJ7241H(旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(a2)に相当、重量平均分子量約5,000)
(注5)KR−311(信越化学工業社製、商品名、ヒドロキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン(b1)に相当、重量平均分子量約30,000)
(注6)KR−510(信越化学工業社製、商品名、メトキシシリル基を有するオルガノポリシロキサン(b2)に相当、重量平均分子量約3,000)
(注7)CAT.AC:信越化学工業社製、商品名、アルコキシアルミニウム化合物
(注8)サイロイド74:富士デヴィゾン株式会社製、無定形シリカ微粉末
(注9)CR−97:石原産業株式会社製、商品名、チタン白
(注10)ST−21:(石原産業株式会社、商品名、微粒子チタン白、光触媒)
実施例1
下記の工程(1)〜工程(4)によって試験板No.1を作成した。
工程1:鋼板(注11)上に、プライマー塗料(注12)を乾燥膜厚が5μmになるように塗装する工程、
工程2:被塗物の素材到達最高温度が180℃で、50秒間加熱乾して半硬化させた。耐溶剤性(注14)の評価は、「△」であった。
工程3:該塗膜上に、製造例3で得られたプレコートメタル塗料No.1をバーコーターで乾燥膜厚12μmとなるように塗装した。
工程4:被塗物の素材到達最高温度が235℃となるように50秒間焼付けて試験板No.1を得た。 耐溶剤性(注14)の評価は、「○」であった。
(注12)プライマー塗料:KPカラー8630プライマー、関西ペイント社製、商品名、エポキシ変性ポリエステル系プライマー。
表2の塗料種及び工程(1)〜工程(4)とする以外は、実施例1と同様にして、試験板No.2〜No.8を得た。
表3の塗料種及び工程(1)〜工程(4)とする以外は、実施例1と同様にして、試験板No.9〜No.17を得た。
これらの試験板No.1〜No.17を下記試験条件に従って試験に供した結果を併せて、表2及び表3に示す。
実施例9
工程1:鋼板(注11)上に、プライマー塗料(注12)を乾燥膜厚が5μmになるように塗装する工程、
工程2:被塗物の素材到達最高温度が180℃となるように50秒間焼付けて半硬化させた。耐溶剤性(注14)の評価は、「△」であった。
工程3:カラーコート(注13)を乾燥膜厚が15μmになるように塗装する工程、
工程4:被塗物の素材到達最高温度が235℃となるように50秒間焼付けた。耐溶剤性(注14)の評価は、「○」であった。
工程5:該塗膜上に、製造例3で得られたプレコートメタル塗料No.1をバーコーターで乾燥膜厚12μmとなるように塗装した。
工程6:被塗物の素材到達最高温度が225℃となるように50秒間焼付けて試験板No.9を得た。 耐溶剤性(注14)の評価は、「○」であった。
表4の塗料種及び工程(1)〜工程(6)とする以外は、実施例9と同様にして、試験板No.18〜No.23を得た。
表5の塗料種及び工程(1)〜工程(6)とする以外は、実施例9と同様にして、試験板No.24〜No.27を得た。
これらの試験板No.1〜No.17を下記試験条件に従って試験に供した結果を併せて、表4及び表5に示す。
◎:100回以上擦って問題なし
○:往復の擦り回数が50回以上で、かつ100回未満で塗膜が溶解する
△:往復の擦り回数が5回以上で、かつ50回未満で塗膜を溶解する(半硬化状態) ×:往復の擦り回数が5回未満で塗膜を溶解する。
○:塗膜の剥離が全く認められない
△:塗膜がわずかに剥離したが、マス目は90個以上残存
×:塗膜が剥離し、マス目の残存数は50個未満。
◎:塗膜にワレ、ハガレなどの異常が認められない
○:塗膜にワレが僅かに認められる
△:塗膜にワレがかなり認められる
×:塗膜にワレが著しく認められる。
2)に準拠(水スプレー時間12分間、ブラックパネル温度60℃)し、カーボンアーク灯式促進耐候性試験機サンシャインウェザオメーターを使用して測定して、暴露試験前の光沢に対する光沢保持率が80%を割る時間を測定した。さらに塗膜表面を目視により観察した。
◎:光沢保持率が80%を割る時間が1,500時間を越える
○:光沢保持率が80%を割る時間が1,000時間以上、かつ2,500時間未満
△:光沢保持率が80%を割る時間が500時間以上、かつ1,000時間未満
×:光沢保持率が80%を割る時間500時間未満。
◎:全く問題なくきれいに拭き取れる。
○:ほとんど問題なくきれいに拭き取れる。
△:ややマジックの跡が見られる
×:マジック跡がはっきりみえる。
Claims (4)
- 表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、少なくとも1層の下層塗料(I)の半硬化塗膜を形成し、該半硬化塗膜上に、下記組成の上塗塗料(II)を塗装し、次いで加熱硬化することを特徴とする塗膜形成方法。
上塗塗料(II):下記の組成(A)と組成(B)を、組成(A)と組成(B)の固形分合計100質量部に基づいて、組成(A)/組成(B)=30/70〜80/20(質量部)で含有する上塗塗料であって、
組成(A):1分子中に少なくとも2個のSi−Hを有するオルガノポリシロキサン(a1)と1分子中にアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン(a2)を、オルガノポリシロキサン(a1)とオルガノポリシロキサン(a2)の固形分合計に対して、オルガノポリシロキサン(a1)60〜95質量%、オルガノポリシロキサン(a2)5〜40質量%含有する組成物
組成(B):下記式(1)で示されるオルガノポリシロキサン(b1)と加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサン(b2)を、オルガノポリシロキサン(b1)とオルガノポリシロキサン(b2)固形分合計に対して、オルガノポリシロキサン(b1)50〜80質量%、オルガノポリシロキサン(b2)20〜50質量%含有する組成物
R2 aSi(OH)bO(4−a−b)/2・・・式(1)
(式中、R2は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価炭化水素を示し、a及びbは、0.2≦a≦2、0.1≦b≦3、a+b<4の関係を満たす) - 上塗塗料(II)が、オルガノポリシロキサン(a1)とオルガノポリシロキサン(a2)とオルガノポリシロキサン(b1)とオルガノポリシロキサン(b2)との固形分合計に対して、チタン、鉄、亜鉛、アルミニウム及び錫から選ばれる金属の金属化合物である触媒(C)を0.1〜10質量%含有する請求項1に記載の塗膜形成方法。
- 表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、少なくとも1層の下層塗料(I)を塗装し、次いで上塗塗料(II)側の下層塗料(I)塗膜を素材到達最高温度が80〜190℃で20〜90秒間加熱して半硬化塗膜を形成し、該半硬化塗膜上に、上層塗料(II)を塗装し、次いで下層塗料(I)の半硬化塗膜形成温度より素材到達最高温度が5℃以上高く、かつ素材到達最高温度が160℃〜270℃の範囲内の温度で30〜120秒間加熱硬化することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜形成方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜形成方法によって得られたプレコート鋼板。
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