JP2007534115A - 生物カソードに固定された酵素 - Google Patents

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Abstract

二機能膜を有するカソードを備えた改良された生物燃料電池に関し、そのカソードは、膜の緩衝された区画内に固定された酸素オキシドレダクターゼと、電子伝導性電極からその酸素オキシドレダクターゼにより触媒されるレドックス反応へと電子を移動させる電子移動メディエーターとを有する。この改良された生物燃料電池は、基質としてアルコール等の有機燃料を使用するオキシドレダクターゼ酵素を含むアノードも有している。電流はアノードとカソードとの間を流れる。

Description

本研究は、その一部について海軍研究オフィスの補助を受けた(補助No.N00014-03-0222)。米国政府が本発明についての確かな権利を有する。
本発明は、一般に、生物学的酵素利用燃料電池(別名:生物燃料電池)及びその製造方法並びに利用に関する。さらに詳しくは、本発明は生物カソード及びその製造方法並びに利用に関する。
本明細書で引用された文献は、出典明示により明細書の一部となる。これらの文献についての説明は、単にこれらの著者の主張を要約したものであり、これら文献が先行技術を構成することについて承認を受けたものではない。出願人は、引用文献の正確性と適切性にチャレンジする権利を保有する。
生物燃料電池は、化学反応により得られたエネルギーを生物細胞及び/又はそれらの酵素の触媒活性により電気エネルギーに変換する電気化学デバイスである。生物燃料電池は、通常、酸素を水に還元するに必要な水素イオンをアノードで生成させるとともに、電気用途のための自由電子を生成させるために複雑な分子を用いる。生物カソードは生物燃料電池の電極であり、そこでは、酸素を還元して水にするため、アノードからの電子とプロトンが触媒により使用される。生物燃料電池は、ある種の隔壁又は塩橋、例えば高分子電解質膜により分離されたカソードとアノードとを有する点において、従来の高分子電解質膜(PEM)燃料電池と類似している。生物燃料電池は、電気化学反応を触媒する材料が従来の燃料電池と相違する。触媒に貴金属を用いるのではなく、生物燃料電池は、反応を進行させるために、例えば酵素等の生体分子を用いる。初期の生物燃料電池では、全微生物群の代謝経路を用いたが、この方法には、全微生物群の体積当たりの触媒活性が低く、また出力密度が実施不可能なほど低いという問題があった(パルモア及びホワイトサイド,1994,ACSシンポジウムシリーズ566:271-290)。酵素分離技術の進歩が体積当たりの活性及び触媒能を増大させ、生物燃料電池の実用に関し進歩をもたらした(パルモア及びホワイトサイド,1994,ACSシンポジウムシリーズ566:271-290)。分離された酵素を用いる生物燃料電池は、電子移動に伴う細胞膜のインピーダンスや微生物の成長に伴う燃料の欠乏による障害を克服してパワー出力密度を増大させた。
酵素は非常に効率的な触媒であるが、それらを燃料電池に用いるにはいくつかの問題があった。初期の酵素系燃料電池は、電極表面に固定するのではなく、溶液状態の酵素を用いていた(パルモア及びホワイトサイド,1994,ACSシンポジウムシリーズ566:271-290、及びその中の文献であり、出典明示により明細書の一部となる。)。溶液状態の酵素は数日しか安定ではないが、固定化すると何ヶ月も安定である。酵素系燃料電池の大きな障害の一つは、電極表面に容量領域を形成することなく、電極表面に膜状の酵素を固定して、酵素の寿命を長くし、かつ機械的にも化学的に安定な層を形成することである。ほとんどのH2/O2型の燃料電池は、電極に触媒を保持させるバインダーにナフィオン(登録商標)を用いている。ナフィオンはパーフルオロ化したイオン交換膜であり、イオン導電体として優れた特性を有する。しかしながら、ナフィオンは、生物燃料電池の電極表面に酵素を固定することには成功していない。なぜなら、ナフィオンは、酵素の寿命と活性を低下させる酸性膜を形成するからである。
酵素を固定した生物燃料電池を開発するため、他にもいくつかの試みがなされている。生物燃料電池に使用される酵素の固定化方法には、米国特許第6294291号、米国特許第6531239号、そしてチェンらのJ.Am.Chem.Soc.2001,vol.123:8630-8631に記載された最低限の活性と安定性が必要であり、これらは出典明示により明細書の一部となる。これらの文献には、高分子のゾルゲルマトリックスの上に種々の酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)の固定化方法が記載され、それらマトリックスにはさらに、オスミウム、コバルト又はルテニウム錯体等の電子移動メディエーターが保持されている。しかしながら、ゾルゲルの表面(すなわち、二次元的である)にのみ酵素が固定されていることに注意することは重要であり、緩衝されていない。そのため、これらの文献に記載された酵素は非常に限られた安定性しか有しておらず、最大の活性寿命は、通常7日から10日を超えることはない。
ミンティア(Minteer)らは、改良された生物アノードを含む生物燃料電池を開発しており(特許出願第60/429829号、第60/486076号及び第10/617452号)、特性が低下することなく、45日を超える活性寿命の長さを有している。その一例は、脱水素酵素とNAD+をアノード触媒、そしてエタノールをアノード燃料、そして約20%Ptを担持したVulcan XC-72(E-Tek)からなるELAT電極をカソード触媒、そして溶解した酸素をカソード燃料として用いている。その生物燃料電池の開回路電圧は20℃,pH7.15で0.82V、最大出力密度は2.04 mW/cm2である。
改良された生物アノードは4級アンモニウムブロマイド塩処理した(変性された)ナフィオン膜を含んでおり、安定的な酵素固定の理想的な環境を提供する。改良されたナフィオン膜は、変性されていないナフィオンの電気特性を保持しており、イオンと中性種に対する向上した輸送能と、低酸性度を有し、変性されていないナフィオンに比べ中性付近では緩衝され、酵素等の比較的大きな分子も固定可能に大きな孔径を有することが以前に開示されている(シュレンクらの、2201,J.Membr.Sci.205:3-10を参照されたい。出典明示により明細書の一部となる。)。
本発明に開示された生物カソードの特定の実施例に比べ安定性や効率に劣り、有毒である他の生物カソードは文献に記載されている(例えば、チェンらの2001)。例えば、チェンらの生物カソードは、ヒドロゲル膜を用いており、それは緩衝されず、表面でしか酵素を固定することができず、カソード酵素のラッカーゼ(EC1.10.3.2)は最適pHが5で、塩化物イオンが存在すると不活性であり、電子移動メディエーターとして有毒なオスミウム錯体を含む。塩化物イオンに影響されないカソード酵素と、より毒性の低い電子移動メディエーターと、変性されたミセル内にカソード酵素を含む変性されたイオン交換膜を含むより改良された生物カソードに対するニーズが存在する。
本発明の種々の態様において、生物カソードは、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)電子触媒を含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより、上記電子メディエーターの酸化型と反応可能な還元型を生成し、それにより上記電子メディエーターの還元型と上記電子触媒の酸化型を生成させることができ、上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
また、本発明の別の態様によれば、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)上記電子メディエーターを含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、上記電子メディエーターの酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、上記電子伝導体が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
さらに、本発明の別の態様によれば、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)上記電子メディエーターと電子触媒を含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、その還元型は電子メディエーターの酸化型と反応して、電子メディエーターの還元型と電子触媒の酸化型を生成するものであって、上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
本発明の別の態様によれば、生物カソードが、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)上記電子メディエーターと、酵素を固定化及び安定化する酵素固定材料とを含み、かつ該酵素固定材料は上記酸化剤が透過可能であり、上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、その還元型は電子メディエーターの酸化型と反応して、電子メディエーターの還元型と電子触媒の酸化型を生成するものであって、上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
また、本発明の別の態様に係る発電用の生物燃料電池は、燃料液体と、電子メディエーターと、燃料液体を酸化可能なアノードと、生物カソードとからなり、その生物カソードが、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)電子触媒を含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化し、かつ該酵素固定材料は上記酸化剤が透過可能であり、上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、その還元型は電子メディエーターの酸化型と反応して、電子メディエーターの還元型と電子触媒の酸化型を生成するものであって、上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
本発明の別の態様に係る発電用の生物燃料電池は、燃料液体と、電子メディエーターと、燃料液体を酸化可能なアノードと、生物カソードとからなり、その生物カソードが、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)電子メディエーターを含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化し、かつ該酵素固定材料は上記酸化剤が透過可能であり、上記電子メディエーターの酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、上記電子メディエーターが、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
本発明の別の態様に係る発電用の生物燃料電池は、燃料液体と、電子メディエーターと、燃料液体を酸化可能なアノードと、生物カソードとからなり、その生物カソードが、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)電子メディエーターと電子触媒を含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化し、かつ該酵素固定材料は上記酸化剤が透過可能であり、上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、その還元型は電子メディエーターの酸化型と反応して、電子メディエーターの還元型と電子触媒の酸化型を生成するものであって、上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
また、さらに本発明の別の態様に係る発電用の生物燃料電池は、燃料液体と、電子メディエーターと、燃料液体を酸化可能なアノードと、生物カソードとからなり、その生物カソードが、(a)電子伝導体と、(b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、(c)電子メディエーターを含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化し、かつ該酵素固定材料は上記酸化剤が透過可能であり、上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、その還元型は電子メディエーターの酸化型と反応して、電子メディエーターの還元型と電子触媒の酸化型を生成するものであって、上記電子メディエーターが、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなるものである。
本発明は、さらに、上記の生物燃料電池を用いる発電方法に関し、(a)燃料液体をアノードで酸化する一方、酸化剤を生物カソードで還元し、(b)酸化剤が生物カソードで還元される間に、電子メディエーターの還元型を酸化し、(c)電子触媒を還元し、そして(d)電子伝導体で電子触媒を還元することを含むものである。
本発明は、さらに、上記の生物燃料電池を用いる発電方法に関し、(a)燃料液体をアノードで酸化する一方、酸化剤を生物カソードで還元し、(b)酸化剤が生物カソードで還元される間に、電子メディエーターの還元型を酸化し、(c)電子伝導体で電子メディエーターを還元しことを含むものである。
本発明の別の態様に係る燃料電池は、カソードとアノードとを含み、該カソードは電子伝導体と、カソード酵素と、電子移動メディエーターと、膜を含み、該カソード酵素は膜の緩衝された内部区画内に固定されている。
さらに、本発明の別の態様は、発電方法であり、(a)アノードに取り込まれている少なくとも1種のアノードオキシドレダクターゼ酵素の存在下、アノードで有機燃料を酸化し、(b)酸化された有機燃料からの電子を、レドックス高分子を介してアノード電子伝導材料に移動させ、(c)変性カソードイオン交換高分子膜の緩衝された区画内に固定された酸素オキシドレダクターゼ酵素の存在下、カソードで酸素分子を還元し、そして
(d)変性イオン交換高分子膜の緩衝された区画内に固定された電子移動メディエーターにより、電子伝導材料からの電子を酸素オキシドレダクターゼの基質に移動させ、それにより電流を発生させる。
また、本発明の別の態様は、電気回路から電子を受け容れるに好適な生物カソードであって、2つの用途を持つ膜と、その膜に対して並列配置された電子伝導材料を含み、その膜は、変性イオン交換膜、固定されたカソード酵素、そして電子移動メディエーターを含む。
また、本発明の別の態様は、電気回路から電子を受け容れるに好適な生物カソードであって、2つの用途を持つ膜と、その膜に対して並列配置された電子伝導材料を含み、その膜は、変性イオン交換膜、固定されたカソード酵素、そして電子触媒を含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、酵素固定材料がミセル構造又は逆ミセル構造を含むものである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、酵素固定材料が変性されたパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体を含むものである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、電子伝導体が炭素系材料、金属導電体、半導体、金属酸化物又は変性導電体、特に炭素系材料を含むものである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、電子伝導体が、カーボンクロス、カーボンペーパー、スクリーン印刷された炭素電極、カーボンブラック、炭素粉、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトウォーム、離層された精製フレークグラファイト、高機能グラファイト、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイト又は多結晶グラファイトである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、酵素固定材料が、NH4+よりも大きい疎水性カチオンで変性されており、該疎水性カチオンが、アンモニウム系カチオン、4級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオローゲン、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリン系金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+又は[Fe(フェナントロリン)3]3+を含むことが好ましい。特に、疎水性カチオンは以下の式1で示される4級アンモニウムカチオンを含む。

Figure 2007534115
ここで、R1,R2,R3及びR4は、独立に、水素、炭化水素基、置換された炭化水素基又は複素環基であって、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1つは水素以外である。別の態様では、R1,R2,R3及びR4は、独立に、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基又はテトラデシル基であり、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1つは水素以外である。あるいは、R1,R2,R3及びR4が同一であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基である。好ましくは、式1の4級アンモニウムカチオンは、テトラブチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム又はドデシルトリメチルアンモニウムである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、酵素がオキシドレダクターゼを含み、特に、グルコースオキシダーゼ、アルコール系オキシダーゼ又はコレステロール系オキシダーゼを含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、酵素がpH約6.5から約7.5に最適活性を有する酸素オキシドレダクターゼを含み、特に、ラッカーゼ、シトクローム cオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ又はペルオキシダーゼ、特に好ましくはビリルビンオキシダーゼである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、電子メディエーターが、金属タンパク質、共役した有機化合物、糖、ステロール、脂肪酸又は補酵素又はオキシダーゼの基質であり、特に、電子メディエーターの酸化型は、ステラシアン、ビリルビン、グルコース又はコレステロールを含み、さらに好ましくは、電子メディエーターの酸化型はビリルビンを含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、電子メディエーターのための電子触媒が、+0.4Vより大きい標準還元電位を有する有機金属カチオンを含み、特に電子メディエーターのための電子触媒が、オスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム又はコバルト錯体を含み、特に電子メディエーターのための電子触媒の還元型が、Ru(phen)3 +2、Fe(phen)3 +2、Ru(bpy)3 +2又はOs(bpy)3 +2又はOs(terpy)3 +2を含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、電子メディエーターのための電子触媒の還元型がRu(bpy)3 +2を含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、電子触媒の濃度が約100mM〜約3M、より好ましくは約250mM〜約2.25M、さらに好ましくは約500mM〜約2M、最も好ましくは、約1M〜約1.5Mである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、酸化剤が、酸素又はペロオキダーゼを含み、特に酸化剤は酸素を含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、燃料液体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース-1、D-グルコース、L-グルコース、グルコース-6-リン酸、ラクテート、ラクテート-6-リン酸、D-ラクテート、L-ラクテート、フルクトース、ガラクトース-1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、コエンザイムA、アセチルCo-A、マレート、イソサイトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、サイトレート、L-グルコネート、β-ヒドロキシステロイド、α-ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、桂皮アルコール、ギ酸塩、長鎖アルデヒド、ピルビン酸塩、ブタナール、アシルCo-A、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2又は水素を含み、特に燃料液体は、メタノール、エタノール又はプロパノールを含み、さらに好ましくはエタノールを含む。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体は、テトラブチルアンモニウムブロマイドで変性されたものである。
本発明は、さらに上記生物燃料電池、生物カソードそして発電方法の1以上に関するものであって、アノードが生物アノードである。
本発明の種々の態様において、用途に用いるための固定された酵素を含む生物カソードは、酵素が高い安定性を有することは有利であり、特に生物燃料電池に用いる場合には有利である。生物カソードに用いる場合、固定材料は障壁を形成することにより機械的及び化学的安定性を提供し、その固定材料に十分な濃度の電子メディエーター又は電子触媒を保持させることにより、その固定材料は電子メディエーターとして働く。それにより、以前知られているよりも長い期間に亘り安定化され、固定材料を通しての電子移動が最大化される。本発明の目的のため、少なくとも初期触媒活性の約75%を少なくとも約30日から約365日保持することができた場合、酵素は固定されている。本発明の種々の態様の中の別の態様は燃料電池であり、それは有機燃料(又は水素、アンモニア又は炭化水素を含む燃料液体)を用い、酵素に媒介されたレドックス反応(酸化/還元)により発電する。本発明の別の態様は、アノードと生物カソードを含む生物燃料電池である。生物カソードは、酸化剤が透過可能であり、酵素を固定及び安定させ、さらに電子メディエーター又は電子触媒を固定及び安定させる酵素固定材料を含んでいる。固定された酵素は、安定であれば、生物燃料電池は、初期電流の少なくとも約75%を少なくとも約30日から約365日の間、生成させることができる。
ここで開示される本発明の別の態様は、改良された生物燃料電池であり、その生物燃料電池は、4級アンモニウム塩処理したナフィオン膜のミセルの中に脱水素酵素を取り込む又は”トラップする”生物カソード又は生物アノードを有している(米国特許出願第60/429,829号、第60/486,076号、第10/617,452号、シュレンクらのJournal of membrane Science 205(2002)3-10、トーマスらのJournal of membrane Science 213(2003)55-66、これらは出典明示により明細書の一部となる。)。改良された生物アノードのいくつかの利点は、イオン交換高分子の中に酵素が3次元的に取り込まれることにより、酵素に緩衝を提供するのみならず、出力密度や酵素の安定性も増大させ、それにより今までの生物燃料電池に比べ、酵素の実質的な寿命を劇的に増大させることができる。
1.生物燃料電池
本発明の種々の態様において、生物燃料電池は燃料液体を用い、固定された酵素を有する電極で起きるレドックス反応を酵素に媒介させることにより発電するものである。標準的な電気化学セルでは、アノードは燃料液体の酸化反応が起きる場所であり、同時に電子が放出される。アノードからの電子は電気コネクターを介していくつかの電力消費デバイスへ向けられる。電子はデバイスを通って別の電気コネクターへ移動し、そのコネクターにより電子は生物燃料電池の生物カソードに移動させられ、そこで電子は酸化剤を還元して水を生成させるために使用される。このようにして、本発明の生物燃料電池は、接続された外部電気負荷のためのエネルギー源として働く。燃料液体のレドックス反応を促進させるため、電極は、電子伝導体、電子メディエーター、電子メディエーターのための電子触媒、酵素、そして酵素固定材料を有している。
本発明によれば、電子メディエーターは電子を受容あるいは電子を放出する化合物である。ここでの好ましい生物燃料電池は、生物アノードにおいて、電子メディエーターの酸化型が燃料液体と反応し、酵素は燃料液体の酸化型と電子メディエーターの還元型を生成させる。続いてあるいは同時に、電子メディエーターの還元型は電子触媒の酸化型と反応して、電子メディエーターの酸化型と電子触媒の還元型を生成させる。次いで、電子触媒の還元型は生物アノードで酸化され、発電のための電子を生成させる。生物アノードにおけるレドックス反応は、燃料液体の酸化を除いて、可逆的であり、それ故、酵素、電子メディエーター、そして電子触媒は消費されない。電子メディエーター及び/又は電子触媒を加えてさらに反応物を提供する場合には、必要に応じて、レドックス反応を不可逆にすることもできる。
また、電子伝導体と酵素を用い、非変性電極において、生物アノードと接触する電子メディエーターが自身の酸化型と還元型との間で電子を移動させることができる。電子メディエーターが非変性電極において自身の酸化型と還元型との間で電子を移動させることができる場合、それに続く電子触媒と電子メディエーターとの間の反応が不要となり、電子メディエーター自身が生物アノードで酸化されて電子を生成させ、それにより電気を発生させる。
生物カソードでは、生物アノードから発生した電子は生物カソードの電子伝導体に流入する。そこで、電子は、電子伝導体と接触する電子触媒の酸化型と結合する。この反応により、電子触媒の還元型が生成し、今度はその還元型が電子メディエーターの酸化型と反応し、電子メディエーターの還元型と電子触媒の酸化型を生成させる。次に、電子メディエーターの還元型は酸化剤の酸化型と反応し、電子メディエーターの酸化型と水を生成させる。一実施形態において、酸化剤に対し透過可能な酵素固定材料が存在し、その固定材料は、電子触媒、必要により電子メディエーターを含み、酵素を固定及び安定化することができる。
生物カソードの別の実施形態では、電子触媒は存在しない。この実施形態では、電子は電子メディエーターの酸化型と結合し、電子メディエーターの還元型を生成させる。次いで、電子メディエーターの還元型は酸化剤の酸化型と反応し、電子メディエーターの酸化型と水を生成させる。一実施形態では、酸化剤に対し透過可能な酵素固定材料が存在し、その固定材料は必要により電子メディエーターを含み、酵素を固定及び安定化することができる。
本発明の生物燃料電池は、生物カソードとアノードを含む。一実施形態では、アノードは生物アノードである。一般に、生物アノードは燃料液体の酸化に影響を与える要素を含んでおり、それにより電子は放出されて外部電気負荷に向けられる。得られた電流は電気負荷に供給され、続いて電子は生物カソードに向けられ、そこで酸化剤は還元され、水が生成する。
本発明者らは改良された生物カソードの開発に成功し、その生物カソードは上記の生物アノードとともに、実用電気用途のための生物燃料電池として用いることができる。
A.生物カソード
本発明の生物カソードは、電子伝導体と、酵素固定材料に固定された酵素と、電子メディエーターと、電子触媒を有する。一実施形態においては、これら成分は互いに近接しており、それらは物理的あるいは化学的に適切な手段により接続されていることを意味する。
1.電子伝導体
電子伝導体(電極)は、電子を伝導させる物質である。電子伝導体は、その材料を通して電子を伝導させることができれば、有機物でも無機物でも良い。電子伝導体には、炭素系材料、ステンレス鋼、ステンレス鋼メッシュ、金属導電体、半導体、金属酸化物又は変性導電体を用いることができる。好ましい態様としては、電子伝導体はカーボンクロスである。
特に好ましい電子伝導体は炭素系材料である。炭素系材料の例としては、カーボンクロス、カーボンペーパー、スクリーン印刷された炭素電極、カーボンペーパー(東レ)、カーボンペーパー(ELAT)、カーボンブラック(Vulcan XC-72,E-tek)、カーボンブラック、炭素粉、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラス状カーボン、そしてメソポーラスカーボンを挙げることができる。さらに、他の炭素系材料として、グラファイト、非圧縮グラファイトウォーム、離層された精製フレークグラファイト(Superior(登録商標) graphite)、高機能グラファイト及び炭素粉(Formula BT(登録商標), Superior(登録商標) graphite)、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイト、そして多結晶グラファイトである。好ましい電子伝導体(支持膜)は、カーボンクロスのシートである。
さらに、別の実施形態として、金属製の電子伝導体を用いることができる。好ましい電子伝導体は、金、白金、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステンそして電極構造に適した他の金属から作製することができる。さらに、金属導電体からなる電子導電体として、コバルト、炭素、そして他の適切な金属から調製されたナノ粒子から作製したものを用いることもできる。他の金属電子伝導体として、銀メッキしたニッケルのスクリーン印刷電極を用いることもできる。
さらに、電子伝導体には半導体を用いることもできる。好ましい半導体材料には、他の元素をドープしたシリコンやゲルマニウムを挙げることができる。半導体には、リン、ホウ素、ガリウム、砒素、インジウム又はアンチモン、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
他の電子伝導体としては、金属酸化物、金属硫化物、主族化合物(main group compound)(すなわち、遷移金属化合物)、電子伝導体で変性された材料を挙げることができる。このタイプの電子導電体の例として、ナノポーラス酸化チタン、酸化スズ被覆ガラス、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、窒化ホウ素ナノチューブ、炭素等の導電材料で変性されたアエロゲル、炭素等の導電材料で変性されたゾルゲル、ルテニウムカーボンアエロゲル、そして炭素等の導電材料で変性されたメソポーラスシリカを挙げることができる。
2.電子メディエーター
電子メディエーターは、電子を受容あるいは付与できる化合物である。換言すれば、電子メディエーターは、電子を受容し還元型を形成することのできる酸化型を有し、還元型は電子を付与して酸化型を生成させる。電子メディエーターは、固定材料の中に拡散できる、及び/又は固定材料の中に取り込まれる化合物である。
一実施形態においては、電子メディエーターの拡散係数が最大化される。換言すれば、電子メディエーターの還元型の物質移動を可能な限り速くすることができる。電子メディエーターの速い物質移動は、それを用いる生物燃料電池に大きな電流と出力密度を可能とする。
生物カソードの電子メディエーターには、ステラシアニン、ビリルビン等のタンパク質副生物、グルコース等の糖、コレステロール等のステロール、脂肪酸又は金属タンパク質を挙げることができる。電子メディエーターには、補酵素又はオキシダーゼの基質も挙げることができる。好ましい一実施形態では、生物カソードでの電子メディエーターはビリルビンである。
当業者であれば、本発明の実施にあたり、多くの異なる電子移動メディエーター、特に芳香族配位子を有する遷移金属錯体が本発明の実施に有用であることを理解するであろう。換言すれば、芳香族配位子を有する遷移金属錯体と高分子電解質膜(PEM)との相互作用により、PEMの電子特性が変化しレドックス高分子となる。
3.電子メディエーターのための電子触媒
一般に、電子触媒(電子移動メディエーター又はレドックス高分子)は、電子メディエーターの標準還元電位を低下させることにより電子伝導体での電子の放出を促進させる物質である。
一般に、本発明の電子触媒は、+0.4Vより大きい標準還元電位を有する有機金属カチオンである。電子触媒の例は、オスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム、レニウム、そしてコバルト錯体等の遷移金属錯体を挙げることができる。これら錯体に用いる好ましい有機カチオンは、大きな電子自己交換速度が得られる大きな有機芳香族配位子を含む。大きな有機芳香族配位子の例としては、1,10-フェナントロリン(phen)、2,2'-ビピリジン(bpy)、そして2,2',2"-ターピリジン(terpy)が挙げられ、例えば、Ru(phen)3 +2, Fe(phen)3 +2、Ru(bpy)3 +2、Os(bpy)3 +2、そしてOs(bpy)3 +2、Os(terpy)3 +2を挙げることができる。好ましい実施形態では、電子触媒はルテニウム化合物である。最も好ましくは、生物カソードの電子触媒はRu(bpy)3 +2(式1で表される)である。
Figure 2007534115
電子触媒は、電子の効率的な移動を促進することが可能な程度の濃度存在している。電子触媒は、酵素固定材料に電子を伝導させるに足る濃度存在していることが好ましい。特に、電子触媒は、約100mMから約3M、より好ましくは約250mMから約2.25M、さらに好ましくは約500mMから約2M、そして最も好ましくは約1.0Mから約1.5Mである。
レドックス高分子には、電子移動メディエーター(例えば、オスミウム又はルテニウム錯体、あるいは芳香族有機カチオン)を含むようにさらに変性されたイオン交換膜を挙げることができる。多くの電子移動メディエーター又はレドックス高分子は、本発明の実施に有用なものであり、公知であり、米国特許第5,262,035号、第5,262,305号、第5,320,725号、第5,264,105号、第5,356,786号、第5,593,852号、第5,665,222号、第6,294,281号、第6,531,239号に記載されており、これらは出典明示により明細書の一部となる。
4.酵素
本発明によれば、酵素は生物カソードで酸化剤を還元する。一般に、天然酵素、人造酵素、人工酵素、変性された天然酵素を用いることができる。さらに、自然又は有向進化により改変された改変酵素(engineered enzyme)を用いることもできる。換言すれば、酵素の特性を模倣した有機又は無機分子を本発明の一実施形態において用いることができる。
特に、生物カソードに用いる酵素の例は、オキシドレダクターゼである。オキシドレダクターゼに含まれるものは、ラッカーゼや、グルコースオキシダーゼ、アルコール系オキシダーゼ、そしてコレステロール系オキダーゼ等のオキシダーゼである。好ましい実施形態において、酵素はペルオキシダーゼ又は酸素オキシドレダクターゼであり、それぞれ、過酸化水素と酸素の還元を触媒する。酸素オキシドレダクターゼの例としては、ラッカーゼ、チトクローム cオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、そしてペルオキシダーゼが含まれる。さらに好ましくは、酵素は、pHが約6.5〜約7.5の間に最適活性を有する酸素オキシドレダクターゼである。pHが約6.5〜約7.5の間に最適活性を有する酸素オキシドレダクターゼは、植物又は人間又は動物等の生理学的環境に対する適用には有用である。最も好ましい酵素はビリルビンオキシダーゼである。
5.酵素固定材料
酵素固定材料を、生物燃料電池の生物アノード及び/又は生物カソードにおいて用いる。一実施形態において、生物アノードの酵素固定材料は、燃料液体が透過可能であり、酵素を固定及び安定化する。酵素固定材料が燃料液体に透過可能であるので、生物アノードにおける燃料の酸化反応は固定酵素により触媒される。
一般に、酵素は、生物アノード及び/又は生物カソードでレドックス反応を触媒するのに用いられる。本発明の電極では、酵素を固定及び安定化する酵素固定材料の中に酵素が固定されている。典型的には、溶液中のフリーの酵素は2,3時間から2,3日間でその活性を失うのに対し、適切に固定及び安定化された酵素は、その活性を少なくとも約30日から約365日保持している。触媒活性の保持性は、酵素がその初期活性の少なくとも約75%を保持している状態として規定され、化学蛍光法、電気化学法、紫外可視分光法、放射化学法又は蛍光アッセイにより測定することができる。
固定酵素は、その活性を保持しながら、酵素固定材料の特定の領域内に物理的に閉じ込められている酵素である。酵素固定には、担体結合法、架橋法、そして閉じ込め法等の種々の方法がある。担体結合法は、水不溶の担体に酵素を結合する方法である。架橋法は、二官能又は多官能の試薬を用いて酵素を分子間架橋する方法である。閉じ込め法は、半透過性材料の格子の中に酵素を閉じ込める方法である。酵素固定材料が、(1)酵素を固定し、(2)酵素を安定化し、そして(3)燃料液体又は酸化剤に対し透過可能である限り、特定の酵素固定方法が重要であるということはない。
酵素固定材料の燃料液体又は酸化剤に対する透過性に関し、一実施形態においては、固定材料は、酵素よりも小さい化合物に対しては透過性である。別の方法で説明すると、酵素固定材料は、通過する燃料液体や酸化剤の化合物の移動を許容するので、その化合物は酵素に接触することができる。酵素固定材料は、内部空孔、溝、開口又はそれらの組み合わせを有するように作製することができ、酵素固定材料を通しての化合物の移動を可能とする一方、酵素固定材料内の実質的に同じ領域に酵素を閉じ込める。その束縛により、酵素は触媒活性を保持することができる。好ましい一実施形態において、酵素は、実質的に酵素と同じ大きさ及び形状の領域に閉じ込められており、酵素は実質的にその触媒活性のすべてを保持している。空孔、溝又は開口は、上記の要求を満たし、かつ固定される酵素の大きさ及び形状に依存した物理的大きさを有している。
一実施形態において、酵素は酵素固定材料の空孔内に配置されるのが好ましく、それにより、化合物は移動溝を通って酵素固定材料から出入りできる。空孔と移動溝の相対的な大きさは、空孔が酵素を固定するに十分な大きさであり、移動溝は酵素がそれを通過するには狭すぎて通過できない大きさである。さらに、移動溝は少なくとも約10nmの直径を持つことが好ましい。さらに別の実施形態によれば、空孔直径の移動溝直径に対する比率が少なくとも、約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1又はそれ以上である。さらに別の実施形態によれば、移動溝の直径は少なくとも10nmであり、かつ空孔直径の移動溝直径に対する比率が少なくとも、約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1又はそれ以上であることが好ましい。
酵素の安定化に関し、酵素固定材料は酵素の変性を防止あるいは妨げる化学的及び機械的障壁を提供する。この目的のため、酵素固定材料は物理的に酵素を固定し、酵素の折り畳みが解されるのを防ぐ。酵素がその折り畳まれた3次元構造から解されるプロセスは、酵素の変性の一つのメカニズムである。一実施形態において、固定材料は、酵素を安定化し、酵素の触媒活性を少なくとも約35日から約365日保持することが好ましい。触媒活性の保持性は、酵素がその初期活性の少なくとも約75%を維持できる日数で規定される。酵素活性は、化学蛍光法、電気化学法、紫外可視分光法、放射化学法又は蛍光アッセイにより測定することができ、特性の強度は、最初の時間に測定する。典型的には、蛍光アッセイを用いて酵素活性を測定する。溶液中のフリーの酵素は、2,3時間から2,3日でその活性を失う。そのため、酵素を固定すると安定性については顕著な効果が得られる。別の実施形態においては、固定酵素は、その初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約
30,45,60,75,90,105,120,150,180,210,240,270,300,330,365日又はそれ以上保持することが好ましく、さらに好ましくは、その初期触媒活性の少なくとも約80%、85%、90%、95%又はそれ以上を、少なくとも約30,45,60,75,90,105,120,150,180,210,240,270,300,330,365日又はそれ以上保持することである。
一実施形態において、酵素固定材料は自然界に存在しないコロイド材料である。別の実施形態において、酵素固定材料は、リポゾーム等の非細胞コロイド材料である。非細胞材料は細胞で構成されておらず、細胞も含んでいない。コロイド材料は別の物質に分散粒子からなり、通常の光学顕微鏡では識別できないほど小さいが、半透膜を通過することはできない。さらに、コロイド材料は、原子や通常の分子よりも実質的に大きい粒子からなるが、小さすぎて肉眼で見ることはできない。それらの大きさは10-7〜10-3cmであり、種々の方法で連結又は結合されている。
さらに別の実施形態においては、酵素固定材料はミセル構造又は逆ミセル構造を有する。一般に、ミセルを構成する分子は両性であり、これは、それらが極性の親水基と、非極性の親油基を有することを意味する。分子群は集合してミセルを形成し、極性基は集合体の表面に配列し、炭化水素の非極性基は集合体の内側に配列する。集合体を形成する両性分子群は、極性基同士が互いに近接し、そして非極性基同士が互いに近接するように配列する限りにおいて、種々の方法で配列する。また、分子群は、非極性基同士が向き合う一方、極性基が互いに離間するように配向することにより二層を形成する。あるいは、二層中で極性基同士が向き合い、非極性基が互いに離間するように配向することにより二層を形成する
一般に、ミセル又は逆ミセルの酵素固定材料には、高分子、セラミック、リポゾームあるいはミセル構造又は逆ミセル構造を形成するあらゆる他の材料を用いることができる。ミセル又は逆ミセル酵素固定材料には、パーフルオロスルホン酸-ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)共重合体(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)(ナフィオン(登録商標)又はフレミオン(登録商標))、変性パーフルオロスルホン酸-ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)共重合体(又は変性パーフルオロ化イオン交換高分子)(変性ナフィオン(登録商標)又は変性フレミオン(登録商標))、ポリスルホン、ミセル高分子、ポリエチレンオキサイド系ブロック高分子、マイクロエマルション及び/又はミセル重合から作製された高分子、そしてアルキルメタクリレートと、アルキルアクリレートと、スチレンとの共重合体である。他のミセル又は逆ミセル固定材料は、セラミックス、ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネートナトリウム塩、ジオクチルスルホスクシネートナトリウム塩、脂質、リン脂質、ドデシル硫酸ナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、(4-[2-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸モノナトリウム塩、リノール酸、リノレン酸、コロイド、リポゾーム、そしてミセル網状構造である。
好ましい一実施形態によれば、ミセル酵素固定材料は、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(又は変性パーフルオロ化イオン交換高分子)(変性ナフィオン(登録商標)又は変性フレミオン(登録商標))である。パーフルオロ化イオン交換高分子膜は、アンモニウムイオン(NH4+)よりも大きい疎水性カチオンにより変性されている。疎水性カチオンは、(1)膜の孔径を決定する役割と、(2)空孔のpH値を維持するのを助ける化学緩衝剤としての役割の2つの役割を有しており、その両方により酵素をさらに安定化する。
疎水性カチオンの第1の役割に関し、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)を疎水性カチオンとともに混合塗布して、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又は変性パーフルオロ化イオン交換高分子)(変性ナフィオン(登録商標)又は変性フレミオン(登録商標))を製造して酵素固定材料とし、これにより、空孔の大きさは疎水性カチオンの大きさに依存する。この疎水性カチオンの働きにより、疎水性カチオンの大きさを変えることにより、特定の酵素に適合するように空孔の大きさを大きくしたり小さくしたりすることができる。
疎水性カチオンの第2の役割に関し、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)の特性は、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)の-SO3 -基の対イオンとしてプロトンを疎水性カチオンとイオン交換することにより変化させることができる。この対イオンの変更は、pHに対する緩衝効果を与える。なぜなら、疎水性カチオンはプロトンよりも-SO3 -基に対する親和性が大きいからである。膜のこの緩衝効果により、溶液のpHを変えても、空孔内のpHを実質的に一定に維持するができ、別の表現では、空孔のpHは溶液のpHに抵抗する。また、膜は機械的障壁となり、さらに固定酵素を保護する。
以下の表は、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜の緩衝効果を示すものである。値は、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜のグラム当たりのプロトンと交換可能なサイト数を表し、プロトンと交換可能なサイト数が減少すると、固定酵素に対しての膜の緩衝能が増大する。膜の略号のより以下の膜を定義し、NH4Brはアンモニウムブロマイドによる変性ナフィオン膜、TMABrはテトラメチルアンモニウムブロマイドによる変性ナフィオン膜、TEABrはテトラエチルアンモニウムブロマイドによる変性ナフィオン膜、TPropABrはテトラプロピルアンモニウムブロマイドによる変性ナフィオン膜、TBABrはテトラブチルアンモニウムブロマイドによる変性ナフィオン膜、TPentABrはテトラペンチルアンモニウムブロマイドによる変性ナフィオン膜である。

Figure 2007534115
変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)を調製するには、第1段階として、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)、特にナフィオンの懸濁液を疎水性カチオンの溶液とともに塗布して膜を作製する。膜から過剰の疎水性カチオンとそれらの塩を取り除いた後、膜を再塗布する。再塗布すると、膜は、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又はパーフルオロ化イオン交換高分子)の-SO3 -基と結合した疎水性カチオンを含んでいる。
より安定で、かつ再現性のある4級アンモニウム塩処理したナフィオン膜を作製するためには、塗布溶液から過剰のブロマイド塩を除く必要がある。この塩抽出膜は、最初の膜から4級アンモニウムブロマイドとHBr塩を抽出した後、混合物塗布した膜を再塗布することにより作製する。膜の塩抽出を行うと、スルホン酸の交換サイトには4級アンモニウムを残した状態とする一方、空孔内に取り込まれたりあるいは平衡状態の膜に空隙を生成させる原因となる過剰の塩によりもたらされる問題を減らすことができる。塩抽出された膜の化学的及び物理的特性は、酵素を固定する前に、ボルタモメトリ、イオン交換容量測定、そして蛍光顕微鏡により検討することができる。疎水性カチオンの例としては、アンモニウム系カチオン、4級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオローゲン、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリン系金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+、そして[Fe(フェナントロリン)3]3+を挙げることができる。
好ましい一実施形態として、疎水性カチオンはアンモニウム系カチオンである。特に、疎水性カチオンは4級アンモニウムカチオンが好ましい。別の実施形態では、4級アンモニウムカチオンは式(2)で示される。
Figure 2007534115
ここで、R1,R2,R3及びR4は、独立に、水素、炭化水素基、置換された炭化水素基又は複素環基であって、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1つは水素以外である。さらに別の実施形態では、好ましくは、R1,R2,R3及びR4は、独立に、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基又はテトラデシル基であり、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1つは水素以外である。また、別の実施形態によれば、好ましくは、R1,R2,R3及びR4が同一であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基である。さらに別の実施形態によれば、好ましくは、R1,R2,R3及びR4はブチル基である。4級アンモニウムカチオンは、テトラブチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム又はドデシルトリメチルアンモニウムが好ましい。
4級アンモニウム塩又は界面活性剤(例えば、TBAB、トリエチルヘキシルアンモニウムブロマイド、トリメチルドデシルアンモニウムブロマイド、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイド)とナフィオンとの混合物塗布膜は、膜を通過する小さな検体の物質移動を増加させ、酵素固定膜のアニオンに対する選択性を減少させる。これらの酵素固定膜は、非変性ナフィオンと同様の伝導性を有するが、プロトンよりも4級アンモニウムブロマイドに対する親和性が大きく、これは酵素固定膜におけるプロトンの交換可能なサイト数を滴定することにより示される。そのため、これらの膜は同様の電気特性を有するが、非常に異なる酸/塩基特性を有する。処理された酵素固定膜は、広い緩衝pH域においてそれらの中性pHを維持する。これらの利点により、好ましい酵素固定材料は、4級アンモニウム塩で処理したパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又は変性パーフルオロ化イオン交換高分子)(変性ナフィオン(登録商標)又は変性フレミオン(登録商標))である。さらに好ましくは、酵素固定材料はTBAB変性ナフィオン膜材料である。さらにより好ましくは、酵素固定材料は、トリエチルヘキシルアンモニウムブロマイドにより変性したナフィオン膜材料、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイドにより変性したナフィオン膜材料、又はトリメチルオクチルアンモニウムブロマイドにより変性したナフィオン膜材料である。
好ましい実施形態において、膜はミセル又は逆ミセルを形成可能な材料を含み、それらはレドックス酵素を取り込みかつ安定化するとともに、電子移動メディエーターを取り込む。好ましくは、膜材料は変性イオン交換膜である。さらに好ましくは、膜材料は4級アンモニウム、界面活性剤又はホスホニウム塩で処理したパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又は変性パーフルオロ化イオン交換高分子。例えば、変性ナフィオン(登録商標)又は変性フレミオン(登録商標))である。最も好ましい膜材料は、テロラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)で処理したナフィオン膜材料である。変性により、イオン交換膜のミセル内で中性付近のpH(〜7.4)が得られた。
6.生物カソードの実施形態
一実施形態において、生物カソードは酵素固定材料を含み、それはカソードの酵素を固定化するために作用する一方、生物カソードで起きるレドックス反応を促進させる。酵素、電子触媒、そして電子メディエーターが、酵素固定材料のポケット又はミセルに配置されることが好ましい。好ましい実施形態において、酵素固定材料は、酵素を取り込み安定化するミセル又は逆ミセルを形成し、かつ電子触媒や電子メディエーターを取り込む空孔、溝、開口又はそれらの組み合わせ等の他の領域を形成する材料を含んでいる。ミセルも緩衝能を持つことが好ましく、すなわち、ミセル構造は緩衝部分を有する。酵素固定材料のこの緩衝されたミセル構造は、電極そして電子触媒又は電子メディエーターへの又はそれらからの電子の直接移動を促進する。
種々の実施形態に多くにおいては、好適には、酵素固定材料中の電子触媒又は電子メディエーターの濃度は、酵素固定材料を電子伝導させるに十分なものである。酵素固定材料中の電子触媒又は電子メディエーターの濃度は、約100mMから約3M、より好ましくは約250mMから約2.25M、さらに好ましくは約500mMから約2M、そして最も好ましくは約1.0Mから約1.5Mである。電子触媒又は電子メディエーターのこの濃度が、電子移動速度を増加させ、電流密度を最大化することを可能とする。酵素固定材料が高分子の場合、上記の電子触媒又は電子メディエーターの濃度が高分子酵素固定材料の電子特性を変化させて、その固定材料をレドックス高分子にすることが好ましい。
さらに別の実施形態では、本発明を燃料電池に適用することができ、その燃料電池は、生物カソードとアノードを含み、その生物カソードは電子触媒、酵素固定材料そして酵素を含む。酵素は、酵素固定材料のミセル領域内に取り込まれている。好ましくは、酵素固定材料は、塩抽出された4級アンモニウム処理したパーフルオロ化イオン交換高分子である。市販のパーフルオロ化イオン交換高分子には、ナフィオン(デュポン)とフレミオン(旭硝子)が含まれる。好ましくは、パーフルオロ化イオン交換高分子は、ナフィオン高分子又はフレミオン高分子である。好ましい4級アンモニウム塩はテトラブチルアンモニウムブロマイドである。好ましい電子触媒は、ポリメチレングリーンである。生物カソードは1以上の異なる酵素を含むこともできる。
図1は、好ましい実施形態において、生物カソードで起きるレドックス反応を示す模式図である。電子伝導体(電極)(13)からの電子は、(15)内に配置された電子触媒(Ru(bpy)3 +2)、電子メディエーター(ビリルビン)、酵素(ビリルビンオキダーゼ)(14)、そして酸化剤(11)との間のレドックス反応に使用され、副生物として水が生成する。酵素(14)は酵素固定材料(10)のミセル構造(12)の中で安定化される。
一実施形態において、本発明は改良された生物カソードに適用され、その生物カソードは、1以上のオキシドレダクターゼ酵素と、1以上の電子移動メディエーターを含むイオン交換膜を利用し、生物カソードの効率的な製造及び効率的な働きを促進する。その膜を、ここでは、「二機能膜」(dual function membrane)という。二機能膜は、いかなる電子伝導材料にも適用できる。
本発明は、二機能膜を含む生物カソードにも適用でき、その生物カソードは、酵素固定膜、レドックス膜、カソード酵素、これは二機能膜のポケット又はミセル内に配置されることが好ましく、そして電子移動メディエーターとしての機能も有する。
本発明の生物カソードは、優れた出力密度と安定な酵素を有しており、酵素は、生理学的あるいは中性に近いpHで働き、長期間に亘り、すなわち室温で10日より長く、活性を維持している。一般に、生物カソードは、酸素オキシドレダクターゼ等のレドックス酵素を含んでおり、その酵素はアノードから提供される電子(完結した電気回路から)を用いて酸素を還元する。本発明の生物カソードは、あらゆるタイプのアノードと組み合わせて燃料電池の一部として用いることができる。好ましくは、生物燃料電池の生物アノードを組み合わせて用いることができる。
好ましい実施形態において、生物カソードの二機能膜は、カソード酵素を有しており、そのカソード酵素は、好ましくは酸素オキシドレダクターゼであり(例えば、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ)、さらに好ましくは中性pH又はその近傍に最適活性を有する、例えばビリルビンオキシダーゼのような酸素オキシドレダクターゼであり、緩衝能を有するミセルの中に固定される。カソード酵素はパーフルオロ化イオン交換膜に固定されることが好ましく、その膜はミセル構造の中に酵素を収容可能に変性されており、そのミセル構造はアンモニウムイオン又はホスホニウムイオン等の緩衝部分を有している。最も好ましくは、カソード酵素が、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、トリエチルヘキシルアンモニウムハライド(TEHA)、又はトリメチルドデシルアンモニウムハライド(TMDA)で処理され、塩抽出されたナフィオン膜(米国特許出願第10/617,452号と、以下に好ましい生物アノードへの利用として記載されている)に固定されることである。さらに、この緩衝ミセル膜は、芳香族配位子を有する、ルテニウム、ニッケル、レニウム、ロジウム、鉄、コバルト又はオスミウム等の錯体からなる電子メディエーターを含んでおり、電極及び酵素触媒への及びこれらからの電子の直接移動を促進する。また、この緩衝ミセル膜は、芳香族配位子を有する、ルテニウム、ニッケル、レニウム、ロジウム、鉄、コバルト又はオスミウム等の錯体からなる電子触媒を含んでおり、電極及び酵素触媒への及びこれらからの電子の直接移動を促進する。
B.生物アノード
一実施形態において、生物アノードは、電子伝導体と、酵素固定材料中に固定された酵素を含んでいる。別の実施形態において、生物アノードは、必要により、電子メディエーターのための電子触媒を含むこともできる。生物アノードが、電子伝導体において可逆なレドックス反応を行うことのできる電子メディエーターに接触している場合には、電子触媒を生物アノードの中に存在させる必要はない。生物アノードの上記の成分は、互いに近接しており、これはそれらが物理的あるいは化学的に適切な手段により接続されていることを意味する。他の実施例は、後でI.A.6で説明する。成分は生物カソード成分と概ね同じであるので、以下の説明は、必要な箇所において、各要素の組成の違い及び機能の違いついて行っている。
1.電子伝導体
生物カソードと用いる場合と同様に、生物アノードの電子伝導体には、材料を電子が伝導可能である限りにおいて有機物又は無機物を用いることができる。一実施形態においては、生物アノードの電子伝導体は、カーボンクロスである。
2.電子メディエーター
生物アノードの電子メディエーターは電子を受容又は付与する働きをし、速やかに酸化型を還元型に変化させる。電子メディエーターは固定材料の中に拡散する、及び/又は固定材料の中に取り込まれる化合物である。生物カソードの場合と同様に、電子メディエーターの拡散係数が最大化されることが好ましい。
電子メディエーターの例としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)又はピロロキノリンキノン(PQQ)あるいはこれらと同等のものを挙げることができる。他の電子メディエーターの例としては、フェナジンメトサルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノン、フェリシアン化カリウム、タンパク質、金属タンパク質、そしてステラシアニンを挙げることができる。好ましい一実施形態として、生物アノードの電子メディエーターは、NAD+である。
電子伝導体において電子メディエーター自身がレドックス反応を起こすことができない場合、生物アノードは、電子伝導体において電子の放出を促進する、電子メディエーターのための電子触媒を含む。また、0.0V±0.5Vの標準還元電位を有する可逆なレドックス対を、電子メディエーターとして用いる。換言すれば、電子伝導体表面に可逆な電気化学を提供する電子メディエーターを用いることができる。電子メディエーターを、その電子メディエーターに依存する天然酵素や、その電子メディエーターに依存するように変性された酵素や、あるいはその電子メディエーターに依存する合成酵素と組み合わせることができる。電子伝導体表面で可逆な電気化学を提供できる電子メディエーターの例は、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フェナジンメトサルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンそしてフェリシアン化カリウムである。この実施形態において、生物アノードともに用いる好ましい電子メディエーターはPQQである。電子伝導体表面で可逆な電気化学を提供できる電子メディエーターの能力により、本実施形態ではレドックス反応を触媒する電子触媒は不要である。
生物アノードのレドックス高分子による電子触媒反応のための基質となる化合物には、還元されたアデニンジヌクレオチド、例えば、NADH、FADH2、そしてNADPH等が含まれる。
3.電子メディエーターのための電子触媒
一般に、電子触媒とは、電子伝導体における電子の放出を促進する物質である。換言すれば、電子触媒は、電子メディエーターの還元又は酸化の速度を向上させるので、電子メディエーターによる還元又は酸化がより低い標準還元電位で起きる。電子触媒は生物アノードで可逆的に酸化され、電子を生成させ、それにより電気を発生させる。電子触媒が電子伝導体に近接している場合、電子触媒と電子伝導体は、互いに電気的に接触するが、必ずしも互いに物理的に接触する必要はない。一実施形態において、電子伝導体は、電子メディエーターのための電子触媒と部分的に結合、あるいは近接している。
一般に、電子触媒には、アジン、導電性高分子又は電気活性高分子を用いることができる。電子触媒の例としては、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロフルオレノン誘導体、アジン類、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコールペンダントターピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属配位子、1,10-フェナントロリン-5,6-ジオン、1,10-フェナントロリン-5,6-ジオール、[Re(phen-dione)(CO)3Cl]、[Re(phen-dione)3](PF6)2、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン類、ジイミン類、ジアミノピリジン類、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ポリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4-b]チオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフタレン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4-ジシアノメチレン-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン)、ポリ(3-(4-フルオロフェニル)チオフェン)、ポリ(ニュートラルレッド)、タンパク質、金属タンパク質又はステラシアニンを挙げることができる。好ましい一実施形態では、電子メディエーターのための電子触媒はポリ(メチレングリーン)である。
4.酵素
酵素は、生物アノードで燃料液体の酸化を触媒する。酵素は生物カソードで酸化剤を還元するので、それらについては上記のI.A.4に記載されている。一般に、天然酵素、人造酵素、人工酵素、そして変性された天然酵素を用いることができる。また、自然にあるいは定方向進化により改変された改変酵素を用いることもできる。換言すれば、酵素の特性を模倣する有機又は無機分子を本発明の実施形態で用いることができる。
特に、生物アノードに用いる酵素の例としては、オキシドレダクターゼである。好ましい一実施形態において、オキシドレダクターゼは、燃料(アルコール類、アンモニア化合物、炭水化物、アルデヒド類、ケトン類、炭化水素類、脂肪酸類等)のCH-OH基又はCH-NH基に作用する。
別の好ましい実施形態として、酵素は脱水素酵素である。本実施形態の酵素の例としては、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、ホルメート脱水素酵素、ホルムアルデヒド脱水素酵素、グルコース脱水素酵素、グルコースオキシダーゼ、乳酸塩(lactatic)脱水素酵素、ラクトース脱水素酵素又はピルビン酸塩脱水素酵素である。好ましくは、酵素はアルコール脱水素酵素(ADH)である。
本願の好ましい実施形態において、酵素は、PQQ依存アルコール脱水素酵素である。PQQは、PQQ依存ADHの補酵素であり、PQQ依存ADHに静電的に結合しており、そのため酵素は膜内に残り、生物燃料電池のための寿命と活性が増大する。PQQ依存アルコール脱水素酵素は、グルコノバクターから抽出される。PQQ依存ADHを抽出する時、それは次の2つの状態で存在し、すなわち、(1)PQQがPQQ依存ADHに静電的に結合している状態、あるいは(2)PQQがPQQ依存ADHに静電的に結合していない状態である。2番目の状態では、PQQはPQQ依存ADHに静電的に結合しておらず、PQQは生物アノードの集合時にADHに添加される。本願の好ましい実施形態において、PQQ依存ADHはPQQが静電的に結合したグルコノバクターから抽出される。
5.酵素固定材料
上記のI.AとI.Bに記載したように、酵素固定材料は、生物燃料電池の生物アノード及び/又は生物カソードに用いられる。酵素固定材料の組成及び固定メカニズムの詳細は、上記のI.A.5に記載されている。一実施形態において、生物アノードの酵素固定材料は、燃料液体は透過可能であり、酵素を固定及び安定化する。燃料液体は固定材料を透過可能であるので、生物アノードにおける燃料液体の酸化は、固定酵素により触媒される。好ましくは、酵素固定材料は4級アンモニウム塩で処理したパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(又は変性パーフルオロ化イオン交換高分子)(変性ナフィオン又は変性フレミオン)である。さらに好ましくは、酵素固定材料は、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)で処理したナフィオン膜材料である。さらにより好ましくは、酵素固定材料は、トリエチルヘキシルアンモニウムブロマイドで処理したナフィオン膜材料、トリメチルオクチルアンモニウムブロマイドで処理したナフィオン膜材料、又はフェニルトリメチルアンモニウムブロマイドで処理したナフィオン膜材料である。
6.生物アノードの実施形態
別の実施形態では、好ましくは、生物アノードは、電子触媒を電子伝導体上に吸着、重合あるいは共有結合させることにより変性した電子伝導体で構成される。この実施形態によれば、電子伝導体の表面積を増加させることができる利点を有する。作製に先立ち、電子伝導体の表面に電子触媒を吸着させる処理を行い、続いて電子触媒の化学的あるいは電気化学的な重合を行うことにより、その処理を行わない電子伝導体に比べ、より高い触媒活性が得られる。
別の実施形態では、電子メディエーターを物理的に酵素に結合させることができる。物理的な結合は、電子メディエーターと酵素の間の共有結合あるいはイオン結合である。さらに、別の実施形態では、電子メディエーターが電子伝導体において可逆な電気化学が可能であれば、電子メディエーターを酵素に物理的に結合し、かつ電子メディエーターを電子伝導体に物理的に結合することもできる。
さらに別の実施形態では、電子メディエーターを固定材料の中に固定することができる。好ましい実施形態では、カチオンで変性されたパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(カチオンで変性されたナフィオン)の中に固定された酸化型NAD+である。この実施形態では、電池に燃料を添加すると、NAD+はNADHに還元され、NADHはカチオンで変性されたパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜(カチオンで変性されたナフィオン)を通って拡散する。
別の実施形態では、脱水素酵素は、塩抽出されたテトラブチルアンモニウム/パーフルオロ化イオン交換高分子膜(例えば、ナフィオン膜又はフレミオン膜(旭硝子株式会社、東京))に固定される。塩抽出された高分子の懸濁液は中性であり、緩衝された酵素溶液をこの懸濁液に添加することができる。その混合物を生物アノードに塗布して変性された生物アノードを作製するが、これにより酵素は生物アノードの表面近くに固定される。
別の実施形態では、生物アノードは変性された酵素固定材料を含んでおり、これにより材料のミセルの内部は中性であり、1以上の酵素はその酵素固定材料のミセルの中に取り込まれる。好ましい酵素固定材料は、ナフィオン高分子である。好ましい酵素は、脱水素酵素等のレドックス酵素であり、有機燃料を酸化し、電子メディエーターを還元する。
さらに別の実施形態では、本発明は生物アノードと生物カソードを含む燃料電池に関し、生物アノードは電子触媒、酵素固定材料、そして酵素を含む。酵素は、酵素固定材料のミセル領域の中に取り込まれている。好ましくは、酵素固定材料は、4級アンモニウムで処理したパーフルオロ化イオン交換高分子を塩抽出したものである。市販のパーフルオロ化イオン交換高分子には、ナフィオン(デュポン)とフレミオン(旭硝子)が含まれる。好ましくは、パーフルオロ化イオン交換高分子は、ナフィオン高分子とフレミオン高分子である。好ましい4級アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウムブロマイドである。好ましい電子触媒は、ポリメチレングリーンである。生物アノードは、アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素等の1以上の異なる酵素を含むことができる。
生物アノードの作製方法は、本発明の生物カソードを含む生物燃料電池の製造と使用に有用なものであり、公知である。好ましい生物アノードは、米国特出願第10/617,452号に記載されており、出典明示により明細書の一部となる。他の有用な生物アノードは、米国特許第6,531,239号、第6,294,281号に記載されており、出典明示により明細書の一部となる。
簡単に言うと、好ましい生物アノードの一実施形態において、その生物アノードは上記の生物カソードを含む生物燃料電池の製造と使用に有用なものであり、有機燃料の酸化を触媒するアノードレドックス酵素を含んでいる。一般に、アノードは、電気回路又は電位のための電子源を提供する。好ましい生物アノードは、炭素繊維クロス又はカーボンフェルトのシート等の支持用の膜又は構造体を有しており、それはレドックス高分子に近接配置され、アノードレドックス酵素が固定されている緩衝されたミセルを含む変性イオン交換高分子膜に近接配置されている。
本願の好ましい生物アノードは、カチオンで変性されたパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体に固定されたPQQ依存アルコール脱水素酵素で被覆された炭素の電子伝導体を含むものである。炭素の電子伝導体には、ガラス状カーボン電極、カーボンフェルト、カーボンペーパー等を用いることができる。
C.燃料液体及び酸化剤
生物アノードで酸化され電子を生成する燃料液体と、生物カソードで還元され水を生成する酸化剤は、本発明の生物燃料電池の要素である。
生物アノードの燃料液体は、電子メディエーターと固定酵素との酸化反応により消費される。燃料液体の分子の大きさは十分に小さく、酵素固定材料を通過する際の拡散係数は大きい。燃料液体としては、水素、アンモニア、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、イソプロパノール等)、アリルアルコール類、アリールアルコール類、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物類(グルコース、グルコース-1、D-グルコース、L-グルコース、グルコース-6-リン酸、ラクテート、ラクテート-6-リン酸、D-ラクテート、L-ラクテート、フルクトース、ガラクトース-1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース等)、グリセレート、コエンザイムA、アセチルCo-A、マレート、イソサイトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、サイトレート、L-グルコネート、β-ヒドロキシステロイド、α-ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、桂皮アルコール、ギ酸塩、長鎖アルデヒド、ピルビン酸塩、ブタナール、アシルCo-A、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2、炭化水素、そしてアミン類を挙げることができる。好ましい実施形態においては、燃料液体はアルコール、より好ましくはメタノール及び/又はエタノール、最も好ましくはエタノールである。
生物カソードの酸化剤は、生物アノードから供給される電子を用い、電子メディエーターと固定酵素の還元反応により消費される。酸化剤分子の大きさは十分小さく、酵素固定材料を通過する際の拡散係数は大きい。酸化剤源の供給方法は、公知の種々の方法を用いることができる。
好ましい実施形態において、酸化剤は気体状酸素であり、拡散により生物カソードに移送される。別の好ましい実施形態は、酸化剤は過酸化物である。
II.生物燃料電池の実施形態
別の実施形態では、本発明は、改良された生物カソードを含む生物燃料電池に関する。一般に、生物燃料電池は、エネルギー源としての有機燃料(炭化水素、アミン類、アルコール類、炭水化物等)と、その有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を用いる。本発明の生物燃料電池は、電気供給の必要な用途に用いることができるが、それに限定されず、電子デバイス、装置、おもちゃ、ノベリティ商品、体内用医用デバイス、そして電気自動車にも用いることができる。本発明の燃料電池は、生体内に埋め込むこともでき、その場合、有機燃料は生体から入手し、生体内に埋め込まれたデバイスに燃料電池が電力を供給する。
ミンティーらは、特許出願第60/429,829号、第60/486,076号、そして第10/617,452号に開示された実用燃料電池を、生物電極及びその製造方法を開発することにより、さらに改良することに成功した。その生物電極は、カソード酵素(例えば、ラッカーゼ、オキシダーゼ、ペリオキシダーゼ等)を4級アンモニウム塩(又は4級ホスホニウム)で処理したパーフルオロ化イオン交換膜(例えば、ナフィオンとフレミオン)の中に取り込ませるのみならず、さらに、芳香族配位子を有する、ルテニウム、鉄、コバルト、オスミウム、ニッケル、クロム、レニウム又はロジウムの錯体等の電子移動メディエーターを4級アンモニウム塩(又は4級ホスホニウム)で処理したパーフルオロ化イオン交換膜の中に取り込ませたものである。そのため、高分子/酵素錯体は、レドックス高分子(二機能膜)として働く。この新規な方法により、酵素と電極の間の電子移動の効率を増大させることができる。
別の実施形態では、本発明は、非生理学的環境だけでなく生理学的環境でも電流を発生させることができる生物燃料電池に関し、それは前述の生物カソードとアノードを含むものである。好ましくは、アノードは、緩衝された内部領域を有するミセルを形成できかつ固定されたアノード酵素を含む膜を有する生物アノードである。その生物アノードは、メチレングリーンの高分子等の別の電子伝導膜(レドックス膜)を含むこともできる。また、固定されたアノード酵素を含む緩衝されたミセル膜が、レドックス膜として働くこともでき、前述の生物カソードで説明したように、ミセル膜はさらに電子移動メディエーターを含むこともできる。
本発明の生物燃料電池は、アノード室とカソード室を分離さうる高分子電解質膜(PEM又は塩橋、例えばナフィオン117)を含むことができる。しかしながら、それぞれイオン交換膜に固定されたアノード酵素とカソード酵素を有する場合には、生物燃料電池の別の実施形態では、アノード室とカソード室を分離するPEMは不要である(膜なし生物燃料電池)。膜なし生物燃料電池を作製するには、生物カソードと生物アノードを用いる。酸化剤又は燃料液体との反応の触媒となる生物アノードと生物カソードに使用される酵素は選択性が高いため、アノード室をカソード室から物理的に分離することは不要である。
本願の好ましい実施形態では、生物燃料電池は、ビリルビンとビリルビンオキシダーゼを含み、4級アンモニウムで変性されたナフィオン膜で被覆されたカーボンクロスを含む生物カソードを有している。被覆されたカーボンクロスは、1mM Ru(bpy)3 2+に浸漬され、レドックスメディエーターであるRu(bpy)3 2+を膜内に濃縮させる。さらに、生物燃料電池は、カチオンで変性されたパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体に固定されたPQQ依存アルコール脱水素酵素で被覆されたカーボンクロスを含む生物アノードを有している。生物カソードと生物アノードで起きている反応の模式図を図13に示す。実施例5に記載した通り、生物カソードと生物アノードはNAD+とエタノールを含むビーカーの中に配置されており、そして空気に曝されて、生物燃料電池を構成している。

Figure 2007534115
上記のアノード実施形態、カソード実施形態、そして分離実施形態の組み合わせは、本発明の範囲に含まれる。
III.発電方法
さらに別の実施形態では、本発明は発電方法に関し、その方法は、本発明の生物カソードを用いて酸素を水へと還元するが、有機燃料を酸化してプロトンと電子を生成させる生物アノードを組み合わせる。
さらに別の実施形態では、本発明は、前述の1以上の生物燃料電池の実施形態を用いる発電方法を含み、その発電方法は、(a)燃料液体をアノードで酸化する一方、酸化剤を生物カソードで還元し、(b)酸化剤が生物カソードで還元される間に、電子メディエーターの還元型を酸化し、(c)電子触媒を酸化し、そして(d)電子伝導体において電子触媒を還元することを含むものである。
別の実施形態では、本発明は、前述の1以上の生物燃料電池の実施形態を用いる発電方法を含み、ここで生物カソードは、前述の電子メディエーターを含む酵素固定材料を含んでおり、その発電方法は、(a)燃料液体をアノードで酸化する一方、酸化剤を生物カソードで還元し、(b)酸化剤が生物カソードで還元される間に、電子メディエーターの還元型を酸化し、(c)電子伝導体を還元することを含むものである。
別の実施形態では、本発明は発電方法に関し、その発電方法は、(a)アノードに取り込まれている少なくとも1種のアノードオキシドレダクターゼ酵素の存在下、アノードで有機燃料を酸化し、(b)酸化された有機燃料からの電子を、レドックス高分子を介してアノード電子伝導材料に移動させ、(c)変性カソードイオン交換高分子膜の緩衝された区画内に固定された酸素オキシドレダクターゼ酵素の存在下、カソードで酸素分子を還元し、そして、(d)変性イオン交換高分子膜の緩衝された区画内に固定された電子移動メディエーターにより、電子伝導材料からの電子を酸素オキシドレダクターゼの基質に移動させ、それによって電流を発生させる。
本発明の生物燃料電池は、生理学的環境を含め、種々のpH環境で使用できる。金属錯体の代わりに酸化/還元(レドックス)反応を触媒できる酵素を用いる生物燃料電池は、中性pH近傍で働くよう最適化することができる。
定義
本明細書で用いる「レドックス高分子」、「レドックス高分子フィルム」又は「レドックス高分子膜」という用語は、化合物からの電子を受容又は付与することができ、その結果、化合物をそれぞれ酸化又は還元する高分子を意味し、電気回路へ移送可能な電子を発生させる。
ここで用いている、「4級アンモニウム」又は「4級アンモニウム塩」という用語は、式2に示すように4つの有機官能基に共有結合した窒素を含む化合物である。Nは窒素、R1-R4は有機官能基である。好ましくは、R1,R2,R3そしてR4は、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等からなる群から選択される。好ましくは、R1,R2,R3そしてR4は、同じ官能基である。別の実施形態では、R1,R2そしてR3はメチル基又はエチル基であり、R4はヘキシル基、ペプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。さらに別の実施形態では、4級ホスホニウム塩を用いることができ、その塩は、例えば式2でN+をリンイオンで置換した4級ホスホニウムを用いることができる。4級アンモニウム(又はホスホニウム)イオンに対する対イオンには、すべてのアニオンを用いることができるが、例えば、ブロマイドイオン(Br-)である。

Figure 2007534115
ここで用いる「燃料電池」は、アノードとカソードを含み、電気的短絡を防ぐために分離されているものである。アノードとカソードは高分子電解質膜で分離されていることが好ましい。生物燃料電池は、燃料液体と、その燃料液体の酸化を触媒する酵素を利用する。一実施形態では、「生物燃料電池」は、燃料源としての有機燃料と、その有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を利用する。用語「燃料電池」と「生物燃料電池」は、本明細書では、互換可能に使用されている。一実施形態では、本発明の燃料電池は、電気供給を必要とする用途に用いることができるが、それに限定されず、電子デバイス、装置、おもちゃ、体内用医用デバイス、そして電気自動車等に用いることができる。別の実施形態では、本発明の燃料電池は、生体内に埋め込むことができ、その場合、有機燃料は生体から入手し、生体に埋め込まれたデバイスに電力を供給する。
ここで用いる用語「有機燃料」は、エネルギーを貯蔵するすべての炭素系化合物を意味する。有機燃料には、核酸類、炭水化物類(グルコース等)、アルコール類、脂肪酸類、そして他の炭化水素類、ケトン類、アルデヒド類、アミノ酸類、そしてタンパク質類が含まれるが、これらには限定されない。有機燃料は生体内の生体物質でも良い。好ましい燃料は、アルコール類、これにはメタノール、エタノール、ブタノール、そしてイソプロパノールが含まれ、そして炭水化物類、特にグルコース又はその高分子が含まれる。好ましいアルコール類は、エタノールとメタノールである。
ここで用いる用語「生物アノード」は、燃料液体の酸化を触媒する酵素を含むアノードを意味する。一実施形態では、用語「生物アノード」は、有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を含む。アノードは、電気回路又は電位のための電子源を提供する。ここで用いる用語「生物カソード」は、酸化剤の還元を触媒するレドックス酵素を含むカソードを意味する。
ここで用いる用語「支持膜」は、電流が流れ、かつ生物燃料電池電極の高分子膜を支持できる剛体又は半剛体の不活性材料である。支持膜には、あらゆる導電材料を用いることができ、例えば、ステンレス鋼、ステンレス鋼メッシュ、炭素、カーボンナノチューブ、白金又は半導体材料を用いることができる。好ましい支持膜は、カーボンフェルトのシートである。用語「カーボンフェルト」、「カーボンクロス」、そして「カーボンクロス支持膜」は互換可能に用いられている。
ここで用いる用語「イオン交換高分子」は、それを通してイオン伝導の可能な高分子を指す。好ましいイオン交換高分子は、パーフルオロ化イオン交換高分子、例えばナフィオン(デュポン、ウィルミントン、デラウェア)である。本発明は、パーフルオロ化イオン交換高分子に関するものでもあり、その高分子は変性部を有し、その変性部はスルホン酸の交換サイトに4級アンモニウムイオンを含んでいる。変性により、イオン交換高分子のミセル内では中性pHが得られる。本発明によれば、4級アンモニウムで処理され、塩抽出されたパーフルオロ化イオン交換高分子のミセル(又は「ミセル領域」)の内部に1以上のレドックス酵素が取り込まれる。
一実施形態では、用語「酵素」又は「レドックス酵素」は、化学反応において触媒として働くタンパク質を指す。
用語「ハイドロカーボン」と「ヒドロカルビル」は、炭素と水素の元素だけからなる有機化合物又はラジカルを表すために用いている。これらには、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、そしてアリル基が含まれる。これらには、また、アルカリル基、アルケナリル基、アルキナリル基等の他の脂肪族基又は環状炭化水素基で置換された
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、そしてアリル基も含まれる。特に示さない限り、これらの基は1〜20の炭素原子を含む。
ここに記載されている「置換されたヒドロカルビル」は、炭素以外の少なくとも1個の原子が置換されたヒドロカルビル基であり、炭素鎖の原子は、窒素、酸素、シリコン、リン、ホウ素、硫黄又はハロゲン原子等のヘテロ原子で置換されたものである。これらの置換基には、ハロゲン、ヘテロ環、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリルオキシ、ヒロドキシ、保護されたヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル、そしてエーテル等の基が含まれる。
特に示さない限り、ここに記載したアルキル基は、好ましくは、主鎖に1から8の炭素原子を含み、全体の炭素数が20以下の低級アルキル基である。それらは、直鎖又は分岐鎖又は環状であっても良く、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を含む。
特に示さない限り、ここに記載されたアルケニル基は、好ましくは、主鎖に1から8の炭素原子を含み、全体の炭素数が20以下の低級アルケニル基である。それらは、直鎖又は分岐鎖又は環状であっても良く、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等を含む。
特に示さない限り、ここに記載されたアルキニル基は、好ましくは、主鎖に1から8の炭素原子を含み、全体の炭素数が20以下の低級アルキニル基である。それらは、直鎖又は分岐鎖又は環状であっても良く、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、イソブチニル基、ヘキシニル基等を含む。
用語「アリル」又は「ar」は、ここでは単独又は他の基の一部として用い、必要に応じて置換されたホモ環状芳香族基を指し、好ましくは、環部分に6〜12の炭素を含む単環式又は二環式の基であり、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、置換フェニル基、置換ビフェニル基又は置換ナフチル基等を含む。好ましいアリルは置換フェニ基である。
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、ここでは単独又は別の基の一部として使用され、塩素、臭素、フッ素そしてヨウ素を指す。
用語「アシル」は、ここでは単独又は別の基の一部として使用され、有機カルボン酸の-COOH基から水酸基を取ることにより形成された部分を意味し、例えば、RC(O)-、ここで、RはR1,R1O-,R1R2N-又はR1S-であり、R1はヒドロカルビル基、ヘテロ置換ヒドロカルビル基又はヘテロ環を、R2は水素、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を指す。
用語「アシルオキシ」は、ここでは単独又は別の基の一部として使用され、前述のアシル基が酸素結合(-O-)を介して結合したものを指し、例えば、RC(O)O-で、Rは用語「アシル」と関連して規定されている。
用語「ヘテロ原子」は、炭素と水素以外の原子を指す。
用語「ヘテロシクロ」又は「ヘテロサイクリック」は、ここでは単独又は別の基の一部として使用され、必要に応じて置換された完全飽和又は非飽和の単環式又は二環式の、芳香族又は非芳香族基であって、少なくとも1つの環において少なくとも1個のヘテロ原子を含み、さらに好ましくは各環が少なくとも5又は6個の原子を有するものである。ヘテロシクロ基は、各環に、1又は2個の酸素原子、1又は2個の硫黄原子及び/又は1又は2個の窒素原子を含むことが好ましく、分子の残部に炭素原子又はヘテロ原子を介して結合させることができる。ヘテロシクロ基の例としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ピロリル基、インドリル基、キノリニル基又はイソキノリニル基等を挙げることができる。置換基の例としては、1以上の以下の基が含まれ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリルオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルそしてエーテルが含まれる。
ここで用いられている用語「ヒドロキシル保護基」と「ヒドロキシ保護基」は、フリーのヒドロキシ基(保護されたヒドロキシル基)を保護する基であり、保護が必要な反応の後で、分子の残部に影響を与えることなく取り除くことができる。ヒドロキシル基の種々の保護基及びその合成方法は、"Protective Groups in Organic Synthesis",T.W.Greene,John Wiley and Sons,1981、又はFieser & Fieserに記載されている。ヒドロキシル保護基の例としては、メトキシメチル、1-エトキシエチル、ベンジルオキシメチル、(β-トリメチルシリルエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、t-ブチル(ジフェニル)シリル、トリアルキルシリル、トリクロロメトキシカルボニル、そして2,2,2-トリクロロエトキシメチルを挙げることができる。
以下の実施例を用いて本発明を説明する。
実施例.
実験方法
本発明者らは、燃料電池に用いる生物カソードとして有用な2つの特性を持つ膜を開発した。2つの特性を持つとは、膜が、カソード酵素を含む触媒として、かつRu(bpy)3 +2等の電子移動メディエーターを含む電子伝導膜として働くことを意味する。電子移動メディエーター(メディエーター)Ru(bpy)3 +2の4級アンモニウムブロマイドで処理したナフィオン膜への導入は、いくつかの異なる方法で試みた。すなわち、カソード酵素(例えばビリルビンオキシダーゼ)を取り込む前又は後で、電子移動メディエーターを取り込むために混合物塗布又はイオン交換により行った。本研究では、生物カソード作製のために3つのプロトコルを検討した。用いた特定のプロトコルに関係なく、膜においては、Ru(bpy)3 +2の濃度が1.0〜1.5 Mであれば、変性ナフィオン膜の空孔構造の内部にRu(bpy)3 +2分子を近接して存在させることができ、これにより、酵素と電極との間の自己交換系(self-exchange-based)電子伝導が可能となる。これにより、単一膜を備えた生物カソードであって、単一膜がカソード酵素を捕捉しかつ安定化する働きをし、そして酵素と電極との間に電子をシャトル移動させるレドックス高分子としても働くものを得ることができた。
実施例1.酵素が固定された塩抽出膜の作製
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIの作製
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIは、Ru(bpy)3 +2塩をナフィオンの懸濁液を直接添加することにより作製した(混合物塗布)。
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンI塩抽出膜(ナフィオンI)を作製するため、0.15 mmolのRu(bpy)3 +2を4 mlのナフィオンに添加し、3〜4時間ボルテックスミキサーで混合し、恒温ウォーターバス中で超音波照射した。次に、混合物を秤量ボートに注ぎ、一晩乾燥させた。乾燥させた後、Ru(bpy)3 +2/ナフィオン混合物を脱イオン水中に浸け、ボルテックスミキサーを用いて塩抽出し、その後で遠心分離した。すべての塩は抽出されると、抽出溶液はオレンジから透明になった。塩抽出膜を濯いで乾燥し、その後、80%エタノール4 mlの中に再溶解させた(低級脂肪族アルコールと30%までの水との混合物に再溶解させることができる)。
カソード酵素を、Ru(bpy)3 +2/ナフィオンI塩抽出膜に以下の方法により固定した。4級アンモニウムブロマイドを取り込んだナフィオン膜は、ナフィオンの5重量%の懸濁液(ソルーション・テクノロジー社製)と4級アンモニウムブロマイドを一緒に塗布して作製した。混合物塗布用溶液は、5重量%の懸濁液に4級アンモニウムブロマイドを添加することにより調製した。すべての混合物塗布用溶液は、4級アンモニウムブロマイドの濃度が、ナフィオンの懸濁液中のスルホン酸のサイト濃度よりも過剰となるように調製した。最適化検討により、最も安定でかつ再現性がある膜を作製するため、4級アンモニウムブロマイドの濃度を交換サイトの濃度の3倍とした。
塗布溶液1 mlを秤量ボートの上に置き、乾燥させた。以前の研究によれば、膜に導入されたすべてのブロマイドイオンは、膜が水の中にあると浸漬することにより膜から追い出されることが分かっている。そのため、18MΩの水7.0 mlを秤量ボートに添加し、一晩漬けておいた。水を除き、フィルムを18MΩの水で十分に洗浄し、乾燥させた。次に、フィルムを1.0 mlのメタノールに再分散させた。続いて、約1 mgの電子メディエーターと約0.5〜1 mgのカソード酵素を100 mlのRu(bpy)3 +2/ナフィオンI塩抽出膜(上記)に添加し、十分に混合した(この場合、20分ボルテックスミキサーで混合した)。
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIIの作製
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIIは、再分散させる前かつビリルビンオキシダーゼを固定する前に、1 mMのRu(bpy)3 +2に浸漬したTBAB/ナフィオンフィルムである。
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンII塩抽出膜(ナフィオンII)を作製するため、0.3 mmolのテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(0.09672g)を、ナフィオン1 mlにそれぞれ添加し、10分間ボルテックスミキサーで混合した。混合物を秤量ボートに注ぎ、一晩乾燥させた(この時点で、膜混合物はライトイエローである)。乾燥後、TBAB処理したナフィオンを脱イオン水に24時間浸漬し、3回脱イオン水で洗浄して乾燥した(この時点で、膜混合物は透明である)。乾燥させた塩抽出層をRu(bpy)3 +2溶液(1 mMのRu(bpy)3 +2となるように、緩衝液、水又は電解質に溶解したもの)に一晩浸漬した後、乾燥させ、次いで1 mlのエタノールに再溶解させた。前述のプロトコルに従い、カソード酵素を変性膜の中に固定した。
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIIIの作製
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIIIは、ビリルビンオキシダーゼを固定した後でかつ電極作製の後で、1 mMのRu(bpy)3 +2に浸漬したTBAB/ナフィオンフィルムである。
Ru(bpy)3 +2/ナフィオンIII塩抽出膜(ナフィオンIII)を作製するため、0.3 mmolのテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(0.09672g)を、ナフィオン1 mlにそれぞれ添加し、10分間ボルテックスミキサーで混合した。混合物を秤量ボートに注ぎ、一晩乾燥させた(この時点で、膜混合物はライトイエローである)。乾燥後、TBAB処理したナフィオンを脱イオン水に24時間浸漬し、3回脱イオン水で洗浄して乾燥した(この時点で、膜混合物は透明である)。乾燥させた塩抽出層を1 mlのエタノールに再溶解させた。前述のプロトコルに従い、カソード酵素を変性膜の中に固定した。固定されたビリルビンオキシダーゼを含むTBAB−変性ナフィオンを電極上に塗布し、乾燥させ、次いで、試験前に上記のRu(bpy)3 +2溶液に最大48時間、好ましくは2〜3時間浸漬した。
実施例2.電極作製
ガラス状カーボン電極上へのRu(bpy)3 +2/ナフィオンIIIの作製
カソード酵素/膜の塗布溶液を調製するため、〜1 mgのビリルビンと〜0.5-1 mgのビリルビンオキシダーゼを100 mlのRu(bpy)3 +2/ナフィオンIII塩抽出膜(上記のもの)に添加し、十分に混合した(この場合、ボルテックスミキサーで20分間)。2 mlのカソード酵素/膜の塗布溶液を研磨したガラス状カーボン電極(直径3mm)に塗布し、乾燥した。乾燥後、カソード酵素/膜/カーボン電極を窒素で脱ガスしたRu(bpy)3 +2溶液に3時間浸漬した。Ru(bpy)3 +2に対してTBABの交換を行った後、カーボン電極を、窒素で脱ガスしたpH7.4のリン酸緩衝液中に投入し、1時間浸漬した。平衡後、カソードについて、スキャン速度0.05と0.1 V/sでサイクリックボルタモメトリーの試験を行った。その後、緩衝液を酸素で10分間飽和させ、上記の試験を行った。
1 cm2のカーボンフェルト(Alfa Aesar)上へのRu(bpy)3 +2/ナフィオンIIIの作製
カソード酵素/膜の塗布溶液を調製するため、〜1 mgのビリルビンと〜0.5-1 mgのビリルビンオキシダーゼを100 mlのRu(bpy)3 +2/ナフィオンIII塩抽出膜(上記のもの)に添加し、十分に混合した(この場合、ボルテックスミキサーで20分間)。10 mlのカソード酵素/膜の塗布溶液を、それぞれ1 cm2のカーボンフェルト電極に塗布し乾燥させた。乾燥後、カソード酵素/膜/カーボンフェルト電極をRu(bpy)3 +2溶液に浸漬した。Ru(bpy)3 +2に対してTBABの交換を行った後、カーボンフェルト電極を、窒素で脱ガスしたpH7.4のリン酸緩衝液中に投入し、pH7.4のリン酸緩衝液を含むU型の円筒状ガラス管中で1時間浸漬した。アノード側には、TBAB/ナフィオン膜に固定された脱水素酵素が、1 mM NAD+と1.0 mM エタノール溶液に浸漬されている。
実験結果
「ナフィオンI」法、「ナフィオンII」法又は「ナフィオンIII」法(上記のもの)に基づいて作製した種々のプロトタイプの生物カソードのそれぞれの特性を調べるため、サイクリックボルタモメトリーを行った。
各作製方法について、最高、中間、最低の電流密度を表す代表的なボルタモグラムを示している。図2〜10は、これらのボルタモグラムを示している。これらの結果をまとめると、TBAB-ナフィオン/Ru(bpy)3 +2III膜(ナフィオンIII)は酵素の不活性化や変性を伴うことなく効果的にビリルビンオキシダーゼ酵素を固定していることが示され、触媒担持での電流として、少なくとも2.0 mA/cm2が得られた。
実施例3.
生物燃料電池
生物アノードを含むプロトタイプの生物燃料電池(図11)を組み立てた。生物アノードは、TBABで改質されたナフィオンに固定されたアルコール脱水素酵素を含んでおり(特許出願第60/429,829号、第60/486,076号、第10/617,452号に記載されている。)、本発明のナフィオンIII膜は、ビリルビンオキシダーゼ、ビリルビン、そしてRu(bpy)3 +2を含んでいる(二機能生物カソード膜を表す図1を参照されたい。)。この最適生物燃料電池、この燃料電池はアノード溶液とカソード溶液を分離するPEM(ナフィオン117)膜を有しており、その触媒担持量は前述のボルタモグラムの試験より最大で28%程度であり、開回路電圧は0.4179〜0.819 V、最大電流密度は0.224 mA/cm2〜2.23 mA/cm2、最大出力は0.951 mW/cm2(図1を参照。そこには、このプロトタイプの出力曲線が示されている。)。
実施例4.
PQQ依存アノード
改質ナフィオン膜を2段階プロセスで作製した。第1段階は、テトラブチルアンモニウムブロマイドが溶解したナフィオンの懸濁液を塗布した。第2段階は、過剰のテトラブチルアンモニウムブロマイドとHBrの塩を膜から抽出した後、これらの最初の膜を再塗布した。5重量%のナフィオン懸濁液を秤量ボートに入れることにより、改質ナフィオン膜はテトラブチルアンモニウムブロマイドを取り込んだ。混合物塗布溶液は、テトラブチルアンモニウムブロマイド塩濃度が、ナフィオン懸濁液のスルホン酸サイトの濃度の3倍過剰となるように調製した。以前に研究によれば、膜を水に浸漬すると、膜からすべてのブロマイドイオンが追い出されることがわかっている。そのため、18 MΩの水を秤量ボートに添加し、一晩浸漬した。この工程は、すべての過剰のHBrと4級アンモニウム塩を取り除くために必要である。膜を一晩浸漬した後、水を取り除き、フィルムを18 MΩの水で洗浄し乾燥した。次いで、フィルムをエタノールに再分散させた。分散させたフィルムは、酵素/膜の塗布溶液を形成するのに用いた。
PQQ依存アルコール脱水素酵素(ADH)を得るために、市販のグルコノバクターsp.33をGYC媒体、30℃で約1週間、好気的に培養した。遠心分離した細胞ペーストを0.9% NaClで洗浄し、使うまで-20℃で保存した。解凍した細胞ペーストを、1 mM CaCl2を含むpH7.0の0.2 Mリン酸緩衝液に分散させ、試料の加熱を防ぐためアイスバス中で超音波照射を1分間行い破砕した。そのままの細胞を20分間遠心分離し、ナトリウムデオキシコレートの105溶液を添加した(最終濃度が0.5%となるように)。溶液をゆっくり攪拌しながら4℃で1時間培養し、その後1時間遠心分離して不溶分を除いた。透明な上澄み液に、10% CaCl2を最終的に0.5%となるまで添加した。得られたカルシウムリン酸ゲルを遠心分離により回収し、pH7.2の0.3 Mリン酸カリウム緩衝液に分散させ、ゆっくり10〜20分間攪拌した。30分の遠心分離後、不溶分は捨てた。上澄み液に固体の硫酸アンモニウムを添加し、生成した沈殿を遠心分離後捨てた。この工程を繰り返し、得られた上澄み液を、1 mM CaCl2と1%スクロースを含むpH7.2の20 mMトリス-HCl緩衝液に溶解し、同じ緩衝液を用い一晩透析した。
透析した酵素は、不溶沈殿物を遠心分離で除いた後、透析緩衝液で平衡させたDEAE Toyo-pear 650Mカラムに適用した。カラムは、同じ緩衝液を2倍容のベッドボリューム流し、かつ1 mM CaCl2と1%スクロースを含むpH7.2の75 mMトリス-HCl緩衝液を2倍容のベッドボリューム流して洗浄した。PQQ依存ADHは、0.2% TritonX-100を含む同じ緩衝液で溶出させた。PQQ依存ADHを含むフラクションを回収し、濃縮し、酵素をポリエチレングリコール6000で沈殿させた。15分の遠心分離により沈殿を回収し、1 mM CaCl2を含むpH7.2の5 mMリン酸カリウム緩衝液に溶解させ、1 mM CaCl2と1%スクロースを含むpH7.2の5 mMリン酸カリウム緩衝液で平衡させたCM-セファローズカラムに適用した。PQQ依存ADH活性を有するフラクションを回収し、文献3の方法により過剰の水をカルボキシメチルセルロースに吸着させた。
精製した酵素を、酵素と5重量%の膜懸濁液が2:20の比率となるようにTBAB/ナフィオン膜に固定し、ガラス状カーボン電極の表面に塗布した。比較電極は、2μLのTBAB/ナフィオン塗布溶液をガラス状カーボン電極に塗布して作製し、両方の電極を15分間デシケータ中に入れて乾燥させた。乾燥させた電極を、1.0 mMPQQ/1.0mMエタノール/pH7.15のリン酸緩衝液の中に1時間浸漬して平衡させた。サイクリックボルタモメトリーを用いて生物アノードの電気化学を検討した。
PQQ依存ADHとTBABで改質したナフィオン膜で作製したアノード1は、以下の特性を与えた。アノード1の寿命は作製時から152日であった。作製8日後で、最大出力は2.47 mW/cm2、最大電流は7.05mAであった。作製100日後で、最大開回路電圧は1.08 Vであった。PQQ依存ADHとトリエチルヘキシルアンモニウムブロマイドで改質したナフィオン膜で作製した別のアノードは、最大出力が3.01 mW/cm2、最大電流が7.50 mA、開回路電圧が0.62〜1.005 Vであった。このアノードの寿命は35日であった。
実施例5.
膜なし生物燃料電池
膜なしの生物アノード/生物カソード電池の予備実験を行った。その電池は、アノード溶液とカソード溶液を分離するPEM(ナフィオン117)膜を持たない以外は、図11のプロトタイプ生物燃料電池(上記のもの)に示されたものをすべて有している(それ故、「膜なし」という用語を用いる)。NAD依存生物アノードを有するプロトタイプの膜なし生物燃料電池の開回路電圧は0.4063〜0.7385 V、最大電流密度は0.288 mAmps/cm2〜5.38 mAmps/cm2、最大出力は0.46 mW/cm2である。
テトラブチルアンモニウムブロマイド(シグマ製)を、5重量%のナフィオン懸濁液1100EW、アルドリッチ製)に添加し、ボルテックミキサーで最大10分間混合した。すべてのプロトンをテトラブチルアンモニウムカチオンで置換するため、ナフィオンのスルホン酸基の3倍過剰となるようにテトラブチルアンモニウム塩を添加した。混合物塗布溶液を秤量ボートに塗布し一晩乾燥させた。乾燥後、混合物塗布フィルムを18 MΩの水に24時間浸漬してすべての過剰のブロマイド塩を除去した。塩抽出後、18 MΩの水で3回フィルムを十分に洗浄し乾燥させた。酵素固定のために、フィルムを無水エタノールに再分散させた。
1 gのビリルビン(シグマ製)と0.5 mgのビリルビンオキシダーゼ(ミロテシウム ベルカリア、活性単位=10 Units/mg、シグマ製)を、テトラブチルアンモニウム塩で改質したナフィオン膜の懸濁液100 mlに添加し、ボルテックスミキサーで20分間混合した。10 μLの酵素/膜の塗布溶液を、1 cm2のカーボンファイバーペーパー(バラード マテリアル プロダクト社製)に滴下し乾燥させた。乾燥後、1.0 mM Ru(bpy)3 +2と0.1 M 硫酸ナトリウム溶液に一晩浸漬した(TBA+に対してのRu(bpy)3 +2のイオン交換のため)。電極は、使用前に18 MΩの水で洗浄した。
TBA+に対してのRu(bpy)3 +2のイオン交換後速やかに、データ取得のため、生物カソードを電池の中に組み込んだ。2つのタイプの電池を用いた。従来型の燃料電池は、アノード室とカソード室がナフィオン117PEM膜(Alfa Aesar製)で分離されたU字型のガラスセルを用いて試験した。アノード室とカソード室には、それぞれ約50 mlの溶液が入る。アノード室は、1 mMエタノールを含むpH7.15の緩衝液を含む溶液で満たし、必要に応じて、用いる酵素がNAD依存であれば1 mM NAD+をアノード室に添加した。カソード室は、空気に暴露した、pH7.15の緩衝液を含む溶液で満たした。実験の間、唯一の酸素源は溶液を空気に暴露することにより得られた。組み立てた生物カソードは生物アノードとともに区画の中に導入し、試験を行った(米国出願第10/617,452号の方法に基づき作製した)。検討した第2のタイプの燃料電池は(膜なし燃料電池)、燃料溶液を含む50 mLのビーカーに生物カソードと生物アノードを導入したものである。燃料溶液は、1 mMエタノールを含むpH7.15の緩衝液と、必要に応じて、用いる酵素がNAD依存であれば1 mM NAD+を添加した。緩衝液中に酸素が十分に溶解するように、試験前に溶液を空気と平衡にさせた。2つの電極が互いに接触することのないように、約1 cm離して配置した。
すべての電気化学測定は、室温で行ったが、20〜25℃である。測定は、PCコンピュータに接続されたCHインスツルメントのポテンショスタット モデル810を用いて行った。ポテンショスタットは、開回路電圧を測定し、そして電流の測定や電位を維持しながら燃料電池へ種々の負荷を与えるために用いた。
膜なしエタノール/酸素生物燃料電池の出力と時間との関係を図15に示す。生物燃料電池の種々の実施形態からの電気化学データを以下の表に示す。特に規定しない限り、以下の実施形態における生物カソードは、上記の実施例2に記載された方法で作製した。実施形態1は、NAD依存生物アノード、生物カソード、そしてアノード室とカソード室を分離する膜を有する生物燃料電池である。実施形態2は、NAD依存生物アノードと生物カソードを有する生物燃料電池であり、膜なしである。実施形態3は、NAD依存生物アノードと生物カソードを有する生物燃料電池であり、膜なしであり、特定の温度で電気化学データを取得したものである。実施形態4は、PQQ依存生物アノードと生物カソードを有する生物燃料電池であり、膜なしである。実施形態5は、PQQ依存生物アノードと、50μLのTBAB/ナフィオンを含む70 μLの1 mM酵素溶液を塗布して得られた生物カソードを有する生物燃料電池であり、膜なしである。実施形態6は、PQQ依存生物アノードとFe(bpy)系生物カソードを有する生物燃料電池であり、膜なしである。実施形態7は、PQQ依存生物アノード、生物カソード、燃料液体としてビールを含む生物燃料電池であり、膜なしである。実施形態8は、生物アノードにPQQ依存ADHを有するTBABで改質されたナフィオン膜を含み、生物カソードにはトリメチルヘキシルアンモニウムブロマイドで改質したナフィオン膜を含む生物燃料電池である。実施形態1〜7は、TBABで改質されたナフィオン膜を含む生物アノードと生物カソードを含んでいる。

Figure 2007534115
以上の説明から明らかなように、本発明のいくつかの目的が達成され、さらに他の効果も得られた。
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法において種々の変更が可能であり、上記の説明又は添付の図面に記載された事項はすべて例示であって、限定して解釈されるべきではない。
クレームに含まれる他の実施形態は、明細書を検討することによりあるいはここで開示した本発明を実施することにより、当業者には自明である。実施例に続くクレームにより示される本発明の範囲及び精神に基づき、明細書、そして実施例も単に例示的なものであると理解されるべきである。
2つの機能を持つ生物カソードの一例を示す模式図である。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIを含む生物燃料電池について得られた最良の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIを含む生物燃料電池の中程度の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIを含む生物燃料電池について得られた最悪の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIIを含む生物燃料電池について得られた最良の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIIを含む生物燃料電池の中程度の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIIを含む生物燃料電池について得られた最悪の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIIIを含む生物燃料電池について得られた最良の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIIIを含む生物燃料電池の中程度の電流密度を示すボルタモグラムである。 実施例1に記載された方法で作製された生物カソードであるナフィオンIIIを含む生物燃料電池について得られた最悪の電流密度を示すボルタモグラムである。 固定されたアルコール脱水素酵素とポリメチレングリーンレドックス膜、ナフィオンPEM、そして固定されたビリルビンオキシダーゼとRu(bpy)3 +2を含む生物カソードを含む生物アノードを備えたプロトタイプの生物燃料電池を示す模式図である。 図11のプロトタイプの生物燃料電池の出力曲線である。 エタノール/酸素型の生物燃料電池の生物カソードと生物アノードで起きている化学反応を示す模式図である。 TBAB/ナフィオン膜に固定されたPQQ-依存アルコール脱水素酵素の、pH7.15リン酸バッファ中、1.0mM PQQ/1.0mMエタノールの、100mV/sでの代表的なサイクリックボルタモグラムである。 NAD-依存生物アノードを有する代表的な膜なしエタノール/酸素型生物電池の、pH7.15リン酸バッファ中、室温、1.0mMエタノール及び1mM NAD+溶液における、調製後の出力の時間変化を示すグラフである。

Claims (110)

  1. (a)電子伝導体と、
    (b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子触媒を含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、
    上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより、上記電子メディエーターの酸化型と反応可能な還元型を生成し、それにより上記電子メディエーターの還元型と上記電子触媒の酸化型を生成させることができ、
    上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなる生物カソード。
  2. (a)電子伝導体と、
    (b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、
    (c)上記電子メディエーターを含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、
    上記電子メディエーターの酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより還元型を生成し、
    上記電子メディエーターが、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなる生物カソード。
  3. (a)電子伝導体と、
    (b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、
    (c)上記電子メディエーターと電子触媒を含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、
    上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより、上記電子メディエーターの酸化型と反応可能な還元型を生成し、それにより上記電子メディエーターの還元型と上記電子触媒の酸化型を生成させることができ、
    上記電子触媒が、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなる生物カソード。
  4. (a)電子伝導体と、
    (b)電子メディエーターの還元型と酸化剤とを反応させ、電子メディエーターの酸化型と水とを生成させる少なくとも1つの酵素と、
    (c)上記電子メディエーターを含む酵素固定材料とを含み、該酵素固定材料は酵素を固定化及び安定化することが可能でかつ上記酸化剤が透過可能であり、
    上記電子触媒の酸化型は上記電子伝導体から電子を受取ることにより、上記電子メディエーターの酸化型と反応可能な還元型を生成し、それにより上記電子メディエーターの還元型と上記電子触媒の酸化型を生成させることができ、
    上記電子メディエーターが、上記酵素固定材料に電子を伝導させるに十分な濃度存在してなる生物カソード。
  5. 燃料液体と、
    電子メディエーターと、
    上記燃料液体を酸化可能なアノードと、
    請求項1記載の生物カソードとを有する発電用生物燃料電池。
  6. 燃料液体と、
    上記燃料液体を酸化可能なアノードと、
    請求項2記載の生物カソードとを有する発電用生物燃料電池。
  7. 燃料液体と、
    上記燃料液体を酸化可能なアノードと、
    請求項3記載の生物カソードとを有する発電用生物燃料電池。
  8. 燃料液体と、
    上記燃料液体を酸化可能なアノードと、
    請求項4記載の生物カソードとを有する発電用生物燃料電池。
  9. 上記酵素固定材料が、ミセル構造又は逆ミセル構造を有する請求項1記載の生物カソード。
  10. 上記酵素固定材料が、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体である請求項1記載の生物カソード。
  11. 上記電子伝導体が、炭素系材料、金属導電体、半導体、金属酸化物又は変性導電体である請求項1記載の生物カソード。
  12. 上記電子伝導体が、炭素系材料からなる請求項1記載の生物カソード。
  13. 上記電子伝導体が、カーボンクロス、カーボンペーパー、スクリーン印刷された炭素電極、カーボンブラック、炭素粉、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトウォーム、離層された精製フレークグラファイト、高機能グラファイト、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイト又は多結晶グラファイトからなる請求項1記載の生物カソード。
  14. 上記酵素固定材料が、NH4+よりも大きい疎水性カチオンで変性されている請求項1記載の生物カソード。
  15. 上記疎水性カチオンが、アンモニウム系カチオン、4級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオローゲン、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム金属錯体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリン系金属錯体、[Ru(ビピリジン)3]2+又は[Fe(フェナントロリン)3]3+を含む請求項14記載の生物カソード。
  16. 上記疎水性カチオンが、以下の式1で示される4級アンモニウムカチオンを含む請求項14記載の生物カソード。ここで、R1,R2,R3及びR4は、独立に、水素、炭化水素基、置換された炭化水素基又は複素環基であって、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1つは水素以外である。
    Figure 2007534115
  17. R1,R2,R3及びR4は、独立に、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基又はテトラデシル基であり、R1,R2,R3及びR4の少なくとも1つは水素以外である請求項16記載の生物カソード。
  18. R1,R2,R3及びR4が同一であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基である請求項16記載の生物カソード。
  19. 上記の変性されたパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体が、テトラブチルアンモニウムハロゲン化物、トリエチルヘキシルアンモニウムハロゲン化物又はトリメチルドデシルアンモニウムハロゲン化物で変性されている請求項10記載の生物カソード。
  20. 上記の変性されたパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体が、テトラブチルアンモニウムハロゲン化物又はトリエチルヘキシルアンモニウムハロゲン化物で変性されている請求項10記載の生物カソード。
  21. 上記の変性されたパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体が、トリエチルヘキシルアンモニウムハロゲン化物で変性されている請求項10記載の生物カソード。
  22. 上記酵素がオキシドレダクターゼである請求項1記載の生物カソード。
  23. 上記酵素が、グルコースオキシダーゼ、アルコール系オキシダーゼ又はコレステロール系オキダーゼである請求項1記載の生物カソード。
  24. 上記酵素が、ラッカーゼ、チロクロームC オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ又はペルオキシダーゼである請求項1記載の生物カソード。
  25. 上記酵素が、pH約6.5〜約7.5の範囲で最適活性を有する酸素オキシドレダクターゼである請求項1記載の生物カソード。
  26. 上記酵素が、ビリルビンオキシダーゼである請求項1記載の生物カソード。
  27. 上記電子メディエーターが、金属タンパク質、共役した有機化合物、糖、ステロール、脂肪酸又は補酵素又はオキシダーゼの基質である請求項1記載の生物カソード。
  28. 上記電子メディエーターの酸化型が、ステラシアン、ビリルビン、グルコース又はコレステロールである請求項1記載の生物カソード。
  29. 上記電子メディエーターの酸化型が、ビリルビンである請求項1記載の生物カソード。
  30. 上記電子メディエーターのための電子触媒が、+0.4Vより大きい標準還元電位を有する有機金属カチオンを含む請求項1記載の生物カソード。
  31. 上記電子メディエーターのための電子触媒が、オスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム又はコバルト錯体を含む請求項1記載の生物カソード。
  32. 上記電子メディエーターのための電子触媒の還元型が、Ru(phen)3 +2、Fe(phen)3 +2、Ru(bpy)3 +2又はOs(bpy)3 +2又はOs(terpy)3 +2を含む請求項1記載の生物カソード。
  33. 上記電子メディエーターのための電子触媒の還元型が、Ru(bpy)3 +2を含む請求項1記載の生物カソード。
  34. 上記電子触媒の濃度が約100mM〜約3Mである請求項1記載の生物カソード。
  35. 上記電子触媒の濃度が約250mM〜約2.25Mである請求項1記載の生物カソード。
  36. 上記電子触媒の濃度が約500mM〜約2Mである請求項1記載の生物カソード。
  37. 上記電子触媒の濃度が約1M〜約1.5Mである請求項1記載の生物カソード。
  38. 上記酸化剤が酸素又は過酸化物を含む請求項5記載の生物燃料電池。
  39. 上記酸化剤が酸素を含む請求項5記載の生物燃料電池。
  40. 上記燃料液体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース-1、D-グルコース、L-グルコース、グルコース-6-リン酸、ラクテート、ラクテート-6-リン酸、D-ラクテート、L-ラクテート、フルクトース、ガラクトース-1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、コエンザイムA、アセチルCo-A、マレート、イソサイトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、サイトレート、L-グルコネート、β-ヒドロキシステロイド、α-ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、桂皮アルコール、ギ酸塩、長鎖アルデヒド、ピルビン酸塩、ブタナール、アシルCo-A、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2又は水素を含む請求項5記載の生物燃料電池。
  41. 上記燃料液体が、メタノール、エタノール又はプロパノールを含む請求項5記載の生物燃料電池。
  42. 上記燃料液体がエタノールを含む請求項5記載の生物燃料電池。
  43. 上記アノードが生物アノードである請求項5記載の生物燃料電池。
  44. 上記生物アノードが、変性パーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体を含む請求項43記載の生物燃料電池。
  45. 上記の変性パーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体が、テトラブチルアンモニウムハロゲン化物、トリエチルヘキシルアンモニウムハロゲン化物又はトリメチルドデシルアンモニウムハロゲン化物により変性されている請求項44記載の生物燃料電池。
  46. 上記の変性パーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体が、トリエチルヘキシルアンモニウムハロゲン化物により変性されている請求項44記載の生物燃料電池。
  47. 上記生物アノードが、静電的に結合されたPQQ分子を含むPQQ従属アルコール脱水素酵素を含む請求項43記載の生物燃料電池。
  48. 上記生物アノードと上記生物カソードが、塩橋又は高分子電解質膜を介して分離されている請求項47記載の生物燃料電池。
  49. (a)燃料液体をアノードで酸化する一方、酸化剤を生物カソードで還元し、
    (b)酸化剤が生物カソードで還元される間に、電子メディエーターの還元型を酸化し、
    (c)電子触媒を酸化し、そして
    (d)電子伝導体において電子触媒を還元する、請求項5記載の生物燃料電池を用いる発電方法。
  50. (a)燃料液体をアノードで酸化する一方、酸化剤を生物カソードで還元し、
    (b)酸化剤が生物カソードで還元される間に、電子メディエーターの還元型を酸化し、そして
    (c)電子伝導体において電子触媒を還元する、請求項6記載の生物燃料電池を用いる発電方法。
  51. 上記酸化剤が、酸素又は過酸化物である請求項49記載の方法。
  52. 上記酸化剤が、酸素である請求項49記載の方法。
  53. 上記燃料液体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース-1、D-グルコース、L-グルコース、グルコース-6-リン酸、ラクテート、ラクテート-6-リン酸、D-ラクテート、L-ラクテート、フルクトース、ガラクトース-1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、コエンザイムA、アセチルCo-A、マレート、イソサイトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、サイトレート、L-グルコネート、β-ヒドロキシステロイド、α-ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、桂皮アルコール、ギ酸塩、長鎖アルデヒド、ピルビン酸塩、ブタナール、アシルCo-A、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2又は水素を含む請求項49記載の方法。
  54. 上記燃料液体が、メタノール、エタノール又はプロパノールを含む請求項49記載の方法。
  55. 上記燃料液体がエタノールを含む請求項49記載の方法。
  56. 上記酵素がオキシドレダクターゼを含む請求項49記載の方法。
  57. 上記酵素が、グルコースオキシダーゼ、アルコール系オキシダーゼ又はコレステロール系オキシダーゼを含む請求項49記載の方法。
  58. 上記酵素が、ラッカーゼ、シトクロームc オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ又はペルオキダーゼを含む請求項49記載の方法。
  59. 上記酵素がビリルビンオキシダーゼを含む請求項49記載の方法。
  60. 上記電子メディエーターが、金属タンパク質、共役した有機化合物、糖、ステロール、脂肪酸又は補酵素又はオキシダーゼの基質である請求項49記載の方法。
  61. 上記電子メディエーターが、ステラシアニン、ビリルビン、グルコース又はコレステロールを含む請求項49記載の方法。
  62. 上記電子メディエーターの酸化型がビリルビンを含む請求項49記載の方法。
  63. 上記電子メディエーターのための電子触媒が、+0.4Vより大きい標準還元電位を有する有機金属カチオンを含む請求項49記載の方法。
  64. 上記電子メディエーターのための電子触媒が、オスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム又はコバルト錯体を含む請求項49記載の方法。
  65. 上記電子メディエーターのための電子触媒の還元型が、Ru(phen)3 +2、Fe(phen)3 +2、Ru(bpy)3 +2又はOs(bpy)3 +2又はOs(terpy)3 +2を含む請求項49記載の方法。
  66. 上記電子メディエーターのための電子触媒の還元型が、Ru(bpy)3 +2を含む請求項49記載の方法。
  67. カソードとアノードを備え、該カソードが電子伝導体、カソード酵素、電子移動メディエーター、そして膜を有しており、上記カソード酵素が上記膜内の緩衝された内部区画内に固定されている燃料電池。
  68. 上記カソード酵素が酸素オキシドレダクターゼである請求項67記載の燃料電池。
  69. 上記カソード酵素がビリルビンオキシダーゼである請求項68記載の燃料電池。
  70. 上記カソード酵素がラッカーゼである請求項68記載の燃料電池。
  71. 上記電子移動メディエーターが、膜の緩衝された内部区画内に固定されている請求項67記載の燃料電池。
  72. 上記電子移動メディエーターが、遷移金属化合物である請求項71記載の燃料電池。
  73. 上記電子移動メディエーターが、ルテニウムを含む化合物である請求項71記載の燃料電池。
  74. 上記電子移動メディエーターが、Ru(bpy)3 +2である請求項71記載の燃料電池。
  75. 上記膜が変性イオン交換高分子膜である請求項67記載の燃料電池。
  76. 上記膜が、4級アンモニウム塩化されたパーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体である請求項75記載の燃料電池。
  77. 上記膜が、テトラブチルアンモニウムブロマイド化したナフィオン膜である請求項75記載の燃料電池。
  78. 上記電子伝導体が、カーボンクロス、カーボンペーパー、スクリーン印刷された炭素電極、カーボンブラック、炭素粉、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトウォーム、離層された精製フレークグラファイト、高機能グラファイト、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイト又は多結晶グラファイトからなる群から選択された炭素系材料である請求項67記載の燃料電池。
  79. 上記電子伝導体がカーボンフェルトである請求項78記載の燃料電池。
  80. 上記アノードが生物アノードである請求項67記載の燃料電池。
  81. 上記生物アノードが、電子伝導体、レドックス高分子膜、変性イオン交換高分子膜、そして変性イオン交換高分子膜の緩衝された内部区画内に固定されたアノード酵素を含む請求項80記載の燃料電池。
  82. 上記レドックス高分子膜がポリメチレングリーンである請求項81記載の燃料電池。
  83. 上記変性イオン交換膜が、4級アンモニウム塩化したパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体である請求項81記載の燃料電池。
  84. 上記膜が、テトラブチルアンモニウムブロマイド化したナフィオン膜である請求項83記載の燃料電池。
  85. 上記アノード酵素が、有機化合物基質を有するオキシリダクターゼ酵素である請求項81記載の燃料電池。
  86. 上記アノード酵素が、アルコール脱水素酵素である請求項85記載の燃料電池。
  87. 上記生物アノードが、第2の生物アノード酵素を含む請求項86記載の燃料電池。
  88. 上記第2の生物アノード酵素がアルデヒド脱水素酵素である請求項87記載の燃料電池。
  89. 上記電子伝導体が、カーボンクロス、カーボンペーパー、スクリーン印刷された炭素電極、カーボンブラック、炭素粉、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、グラファイト、非圧縮グラファイトウォーム、離層された精製フレークグラファイト、高機能グラファイト、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイト又は多結晶グラファイトからなる群から選択された炭素系材料である請求項81記載の燃料電池。
  90. 上記電子伝導体がカーボンフェルトである請求項89記載の燃料電池。
  91. 燃料電池が、カソード室とアノード室を分離する高分子電解質膜を有する請求項80記載の燃料電池。
  92. 燃料電池が、カソード室とアノード室を分離する、塩橋も高分子電解質膜も有していない請求項80記載の燃料電池。
  93. (a)アノードに取り込まれている少なくとも1種のアノードオキシドレダクターゼ酵素の存在下、アノードで有機燃料を酸化し、
    (b)酸化された有機燃料からの電子を、レドックス高分子を介してアノード電子伝導材料に移動させ
    (c)変性カソードイオン交換高分子膜の緩衝された区画内に固定された酸素オキシドレダクターゼ酵素の存在下、カソードで酸素分子を還元し、そして
    (d)変性イオン交換高分子膜の緩衝された区画内に固定された電子移動メディエーターにより、電子伝導材料からの電子を酸素オキシドレダクターゼの基質に移動させ、それにより電流を発生させる発電方法。
  94. 上記酸素オキシドレダクターゼがビリルビンオキシダーゼであり、基質が酸素である請求項93記載の方法。
  95. 上記アノードオキシドレダクターゼ酵素がアルコールレダクターゼであり、有機燃料がアルコールである請求項93記載の方法。
  96. 上記レドックス高分子が、ポリメチレングリーンである請求項93記載の方法。
  97. 上記変性カソードイオン交換高分子が、4級アンモニウムブロマイド化したナフィオン高分子である請求項93記載の燃料電池。
  98. 上記電子移動メディエーターが、遷移金属と芳香族配位子錯体を含む請求項93記載の方法。
  99. 上記電子移動メディエーターがRu(bpy)3 +2である請求項96記載の方法。
  100. 上記アノードが生物アノードであり、該生物アノードは、変性アノードイオン交換膜と、少なくとも1種のアノードオキシドレダクターゼ酵素を含んでおり、該酵素は変性アノードイオン交換膜の緩衝された区画内に固定されている請求項93記載の方法。
  101. 上記変性アノードイオン交換膜が、4級アンモニウムブロマイド化したナフィオン高分子である請求項100記載の方法。
  102. 上記アノードオキシドレダクターゼ酵素が、アルコール脱水素酵素である請求項100記載の方法。
  103. 上記生物アノードは、第1のアノードオキシドレダクターゼ酵素と第2のアノードオキシドレダクターゼ酵素を含んでおり、これら酵素は変性アノードイオン交換膜の緩衝された区画内に固定されており、第1のアノードオキシドレダクターゼ酵素がアルコール脱水素酵素であり、第2のアノードオキシドレダクターゼ酵素がアルデヒド脱水素酵素である請求項100記載の方法。
  104. 電気回路から電子を受け容れるに好適な生物カソードであって、
    2つの用途を持つ膜と、その膜に対して並列配置された電子伝導材料を含み、その膜は、変性イオン交換膜、固定されたカソード酵素、そして電子移動メディエーターを含む生物カソード。
  105. 上記変性イオン交換膜が、4級アンモニウム塩化したパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体である請求項104記載の生物カソード。
  106. 上記変性イオン交換膜が、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)化したナフィオン膜である請求項105記載の生物カソード。
  107. 上記カソード酵素が、(a)変性イオン交換膜の緩衝されたミセル内に固定され、(b)酸素オキシドレダクターゼ酵素である請求項104記載の生物カソード。
  108. 上記カソード酵素がビリルビンオキシダーゼである請求項107記載の生物カソード。
  109. 上記電子移動メディエーターが、遷移金属と芳香族配位子とを錯体として含む請求項104記載の生物カソード。
  110. 上記電子移動メディエーターがRu(bpy)3 +2である請求項109記載の生物カソード。
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