本発明のさまざまな実施例が図面を参照しながら説明される。図は同じスケールで描かれてはおらず、同じ要素及び機能は同じ符号で示してある。図は本発明の特定の実施例の説明を容易にするよう描かれているに過ぎない。これらは本発明を網羅的に説明するものではなく、また本発明の態様を限定するものでもない。さらに、本発明の特定の実施例とともに説明される態様は必ずしもその実施例に限定されるものではなく、本発明の他の実施例において実施され得るものである。
図1は、本発明の実施例に従うX線断層撮影画像取得装置10を示す。装置10はガントリー12、患者16を支持するためのパネル14、及び位置モニター装置18を含む。ガントリー12は、患者16が少なくとも部分的にX線ソース20と検出器24との間に配置された状態でX線のビームをガントリー12の反対側の検出器24の方向へ投影するX線ソース20を含む。これに限定しないが、X線ビームは円錐形ビームまたは扇形ビームであってもよい。検出器24は、患者16を通過するX線を感知するように構成された複数のセンサー要素を有する。各センサー要素は患者16を通過した際のXビーム強度を表す電気信号を生成する。
X線投影データ(すなわち、CT画像データ)を取得するべく走査中に、位置モニター装置18は患者16の少なくとも一部をモニターしながらガントリー12は患者16の周りを回る。図示した実施例において、位置モニター装置18は、光学デバイス50、マーカーブロック52、及びプロセッサ54を含む。位置モニター装置18はまたデータを表示するためのモニター56、データを入力するためのキーボードまたはマウスのような入力デバイス58を含む。プロセッサ54は光学デバイス50及びガントリー回転制御40に接続される。ガントリー12の回転及びX線ソース20の動作はガントリー回転制御40により制御され、それはX線ソース20に電力及びタイミング信号を与え、光学デバイス50またはプロセッサ54から受信した信号に基づいてガントリー12の位置及び回転速度を制御する。制御40はガントリー12及びプロセッサ54と別個のコンポーネントとして示されているが、他の実施例において、制御40はガントリー12またはプロセッサ54の一部であってもよい。
光学デバイス50はカメラまたはその他の画像デバイスであり、マーカーブロック52の画像を感知するように構成されている。好適に、マーカーブロック52は、可視または不可視波長の光を反射することができる反射または再帰性反射材料から成る。図2Aは、表面に再帰性反射エレメント200が配置された複数の参照位置を有する矩形形状のマーカーブロック52(1)の実施例を示す。図2Bは、表面に複数の再帰性反射エレメントが付けられた半球形状の他のマーカーブロック52(2)を示す。図2Cは円板形状の他のマーカーブロック52(3)を示す。光学デバイス50がマーカーブロック52の位置を正確に示す画像を見て生成することができるように、参照位置のサイズ、周期及び位置が構成される限り、他の形状を有するマーカーブロックも使用可能である。
位置モニター装置18を使用する際、ひとつまたはそれ以上のマーカーブロック52が患者16に配置または固定され、マーカーブロック52を感知するために光学デバイス50が使用される。光学デバイス50は、マーカーブロック52上のマーカーエレメント200に対する画像座標のセットを生成する。マーカーブロック52に配置されたマーカーエレメント200の位置及び距離は、同じマーカーブロック52の他のマーカーエレメント200に対して相対的に認識される。記録された画像フレーム上のマーカーエレメント200間の位置及び距離を、位置モニター装置18に保存された画像及び参照位置と比較することにより、マーカーブロック52の絶対位置及び方向が高精度で決定できる。これは、マーカーブロック52が取り付けられた患者の位置または患者の体の位置に対する正確な位置及び方向推定を与える。同様の生理的ゲート装置は、ここに参考文献として組み込む2001年6月26日出願の米国特許出願第09/893,122号に記載されている。
患者の人体位置を決定するためにビデオまたは光学ベース装置を使用することは、患者への使用の間で測定結果を繰り返すための信頼できるメカニズムを与えるという点で有利である。さらに、このような技術は非侵襲的であり、患者16にケーブルまたは結合はなされない。さらに、マーカーブロック52の使用が実用的でなければ、システムは選択した人体ランドマークに調整された生理的動作の測定を実行することによりブロックマーカー52無しで利用可能である。結局、この方法は外部の解剖学的身体動作の絶対測定に基づくため、より正確である。位置モニター装置18は、呼吸による生理的動きをモニターするのに所望され、その動きのパターン及び周期は鼓動に関するものより予測が困難であり一定ではない。
図3は、本発明の実施例に従うCT画像データを収集するための方法300を示す。最初に、ユーザーは呼吸サイクルが分割されるべきインターバル数Nを選択する(ステップ302)。例示のために、N=3で、呼吸インターバルの対応するN個の位相は120°、240°及び360°(または0°)であると仮定する。しかし、呼吸サイクルは、特定の応用に応じて、他のインターバル数に分割されてもよい。概して、呼吸サイクルが分割されるインターバル数Nが多いほど、呼吸サイクル中に再構成されるCT画像の数が多くなり、CT画像が連続して表示される際フレーム間の移行がよりスムーズになる。
次に、ガントリーの回転がM×N個の円弧セグメントまたはシーケンスに画分される。ここで、Mは平均呼吸周期Tbにより割り算された最小ガントリー回転周期Tminに少なくとも等しい(すなわち、M≧Tmin/Tb)(ステップ304)。Mは一回のガントリーの回転によりカバーされる呼吸サイクルの数を表す。ひとつの実施例において、Mは最も近い整数までTmin/Tbを丸めることにより決定される。例えば、Tb=5秒と仮定すると、ガントリー回転の最速スピードが1回転あたり62秒であれば、Tmin=62秒、M=13である。平均呼吸周期Tbは装置18を使って決定される。図4は36個の円弧セグメントに分割されたガントリー回転の例を示す(ここで、M=12、N=3)。呼吸サイクルのインターバルは、N=3に対応して、A、B及びCとして示されている。図5は、呼吸信号チャートであり、各呼吸サイクルはN=3個のインターバルに分割され、対応するインターバルはA、B及びCである。
次に、位置モニターシステム18が患者16の呼吸動作をモニターしながら、ガントリー12はCT画像データを収集するために患者の回りを回転する(ステップ306)。ガントリーの回転中、装置10はM×Nセットの画像データを収集し、各セットは呼吸サイクルの位相に対応する。
ひとつの実施例において、ガントリー12は一定の速度で患者16の回りを回転し、体系的にCT画像データを収集する。ガントリー12が患者16の回りを回転している間、位置モニター装置18は患者16の呼吸に関する動きデータを記録する。収集したCT画像データは、それらが後に記録された動きデータと同期するようにタイムスタンプされる。ひとつの実施例において、装置10がCT画像データを収集している間、呼吸命令が患者16に与えられる。これは、患者16の呼吸位相がガントリー回転の円弧セグメントとほぼ一致することを保証する利点を有する。
他の実施例において、ガントリー12は患者16の回りを一定速度では回転せず、呼吸サイクルの検出された位相に基づいてその速度を調節する。この場合、ガントリーが患者16の回りを回転するに従い、位置モニター装置18は患者16の呼吸の様子をモニターし、患者16上のマーカーブロック52の検出位置に基づいて呼吸サイクルの位相を決定する。その後、プロセッサ54は、ガントリー12の位置(すなわち、ガントリーの位相)が呼吸サイクルの分割されたインターバルに関連する所定の位相と一致するか否か、すなわち、ガントリー回転の円弧セグメントが呼吸サイクルのその関連位相と一致するか否かを決定する。ガントリー位相が呼吸サイクルの対応する位相の後方であれば、プロセッサ54は、後続の円弧セグメントが呼吸サイクルのそれらの対応する位相と一致するように、ガントリー12の速度を増加する。ガントリーの位相が呼吸サイクルの対応する位相の前方であれば、プロセッサ54は、ガントリー12の速度を減少させる。ガントリーの回転速度は、各円弧セグメントが呼吸サイクルの位相に対応した状態で、ガントリーの回転がM×N個の円弧セグメントに画分されるように制御される。
ひとつの実施例において、装置10はガントリー12の速度を所定の増分だけ調節(増加または減少)し、ガントリーの位相が患者16の呼吸サイクルの検出された位相と一致するまで、調節を繰り返す。他の実施例において、ガントリー12の速度調節の量は、ガントリーの位相と検出された呼吸位相との間の差に基づいている。この場合、ガントリーの位相と検出された呼吸位相との間の差が大きいほど、ガントリー12に対する速度調節がより多く規定される。さらに他の実施例において、ガントリー12の速度調節の量は呼吸サイクルの予測された位相に基づいている。この場合、プロセッサ54はパターンマッチングを実行し、呼吸サイクルの次の位相を推定するために収集した動きデータの反復性を検出する。カレントのガントリー回転速度に基づいて、プロセッサは未来の時間ポイントでのガントリーの位相を決定し、未来のガントリーの位相と患者16の推定した次の呼吸位相との間の差を評価することができる。その後、プロセッサ54は、その差を補償するためにガントリー12がその速度をどのくらい増減する必要があるのかを決定する。生理的サイクルの位相を予測推定する方法を以下で説明する。
ガントリー回転中、ガントリーの回転速度及びCT画像データの収集速度に応じて、800〜1500個の投影データが得られる。ひとつの実施例において、CT画像データ収集速度はガントリーの回転速度と無関係に一定のままである。他の実施例において、CT画像データ収集速度は、投影取得間で分離角度が均一のままであるように、ガントリー回転の速度の変更に応答して増減されてもよい。例えば、カレント位相でガントリー12が前の位相の2倍速く回転していれば、カレント位相に対するCT画像データ収集速度は前の位相に対するものより半分だけ減少する。これは、ガントリー回転中にデータの比較的より均一な角度分布を得るという利点を有する。
図3に戻って、次にプロセッサ54は、実行されたガントリー回転数がNに達したか否かを決定する(ステップ308)。ガントリー回転数がNに達しなければ、実行されたガントリー回転数がNに達するまで、ガントリー12はさらに回転させられる。各ガントリー回転の開始位相は好適には約360/(M×N)だけ異なり、それにより、生理的サイクルのN回の位相の各々に対して360°のカバレッジが可能になる。図4に示されるように、第2ガントリー回転の円弧セグメントが第1ガントリー回転によりカバーされなかった完全なガントリー位相(すなわち、360°)の一部を完成させるように、ガントリー12の第2回転は、第1ガントリー回転の対応する円弧セグメントから第2ガントリー回転の円弧セグメントをオフセットするように調整される。同様に、第3ガントリー回転の円弧セグメントが第1及び第2ガントリー回転によりカバーされなかった完全なガントリー位相の一部を完成させるように、ガントリー12の第3回転は第2ガントリー回転の対応する円弧セグメントから第3ガントリー回転の円弧セグメントをオフセットするように調整される。明確化のために、第2及び第3ガントリー回転に対する円弧セグメントのすべては図示されていない。与えられた呼吸位相インターバルに対して、連続回転における適正なガントリー角度制御とともに、十分な投影画像がCT画像を再構成するのに利用できるような方法で各ガントリー回転の円弧セグメントが位置合わせされる。
他の実施例において、各ガントリー回転の開始位相は360/(M×N)以下だけ異なり、それにより、呼吸サイクルの各位相に対して画像データのオーバーラップが許容される。この場合、N個の呼吸インターバルの各々に対して360°カバレッジを与えるのに必要なガントリー回転の数は、少なくともN+1である。ガントリー回転の数は、NまたはN+1に限定されるべきものではなく、CT画像を再構成するのに必要な付加的な画像データを得るために、プロセッサ54はガントリー12をさらに回転させることができる。付加的な回転は、患者のせきまたは他の患者の動きにより生じる任意のギャップを満たすのにも使用される。この明細書で使用される際、ギャップとは周期性が無いため有効な位相を有しない画像として定義される。
ガントリー回転数は上記したものに限定されず、ガントリー12の回転数は他の数であってもよい。例えば、ある実施例において、N回転する代わりに、ガントリー12はN回以下で回転することができる。その場合、その方法はN回の呼吸インターバルの各々に対して360°カバレッジを与えない。しかし、CT画像は収集されたCT画像データを使って再構成することができる。また他の実施例において、ガントリー12は所望の数のCT画像データが収集されるまで、N回以上回転することができる。
他の実施例において、呼吸サイクルのN個の位相の各々に対してCT画像データを収集する代わりに、CT画像データは呼吸サイクルの所望の位相レンジに対してのみ収集される。例えば、呼吸サイクルはN=3インターバルに分割されてもよいが、CT画像データは呼吸サイクルの最初の1/3のみに対して収集されることが所望される。ある実施例において、CT画像データは呼吸サイクルの最初の1/3の間に収集される。呼吸サイクルの最初の1/3の後、ガントリー12は次の所望の呼吸インターバル(すなわち、次の呼吸サイクルの最初の1/3)を待つために回転を停止し、呼吸サイクルの次の所望の位相が生じたとき(または生じると予測されたとき)回転を開始する。その実施例において、ガントリー12は呼吸サイクルの所定の位相レンジに対して360°カバレッジを与えるよう1度だけ回転する。その実施例から分かるように、呼吸サイクルのある位相レンジに対する収集すべき画像データを規定することにより、ガントリー12は所定の位相レンジに対してカバレッジを与えるのにN回以下で回転することができる。他に、同様な方法が使用可能である。概して、所望の時刻に所望の位置に達するように回転の一部で、ガントリーは停止され、遅くまたは速くされる。例えば、ある実施例において、1回以上であるが呼吸位相の数より少ない回転数が、ガントリーがその位相の間所望の位置にあるとき所望の位相に対するデータを取得することにより使用される。カレントの回転の後の部分及び/または1回またはそれ以上の後の回転において、前の回転で取得されなかった位置からの所望の位相に対するデータを取得するのにそれが所望の位置にあるように、他の位相の間、ガントリーは停止され、遅くされまたは速くされる。さらに、ある場合において、所望の位相に対する360°カバレッジ用のデータを有することをやめ、その代わり目的の十分な品質の画像を生成するために十分な数の角度からのその位相に対するデータを有することにより、より少ない回転が使用可能である。
ガントリー回転数が所望の数に達したら、CT画像データ収集処理は終了し、CT画像は収集されたCT画像データを使って再構成される(ステップ312)。CT画像の再構成は周知の技術または方法を使って実行される。ひとつの実施例において、プロセッサ54は呼吸サイクルの位相セグメントに従いCT画像データをそれが取得された時間でソートし、呼吸サイクルの与えられた位相に対応するデータがその位相に対する画像を再構成するのに結合されるように収集したCT画像データを同期させる。呼吸サイクルのすべての位相に対するCT画像が再構成されたとき、CT画像はビデオを形成するべく連続して表示される。
上記方法は、CT画像を再構成するデータの完全なセットが患者の呼吸を考慮しながら効率的に収集されるように、CT画像データを収集するための体系的な処理を与える。特に、方法は、ガントリーの回転周期が患者16の呼吸サイクルに比べ比較的長い場合に有利である。しかし、方法は、高速のガントリー回転能力を有するCT画像装置に対しても使用可能である。
上記したように、ある状況において、呼吸サイクルの予測位相に基づいてガントリーの回転を調節することが所望される。図6は、生理的動きサイクルを検出しかつ予測推定するための方法を示す。
最初に、図1の位置モニター装置18を使用して、所望の生理的動きを表すデータ信号を生成する(ステップ602)。ある実施例において、データ信号は、検査中の生理的動きを表す信号波を全体として形成するデジタルデータサンプルのストリームを構成する。与えられた時間間隔の間の生理的動きに対して多くの離散的な測定サンプルが取られる。例えば、呼吸測定を目的とする本発明の実施例において、約7秒の時間インターバルに対して約200から210個のデータサンプルが測定される。
次に、パターンマッチング解析が測定データサンプルに対して実行される(ステップ604)。実施例において、生理的信号に対する最も最近のデータサンプルのセットが、信号の周期及び反復性を決定するためにすぐ前のデータサンプルのセットと相関させられる。このパターンマッチングを実行するために自動相関関数が使用される。生理的動きまたは生理的モニター信号の新しいサンプルポイントの各々に対して、処理は最後のn個の信号サンプルの自動相関関数を計算する。ここで、nは約1.5から2個の信号呼吸周期に対応する。その後、自動相関関数の二次ピークが信号の周期及び反復性を決定するために識別される。
他の実施例において、自動相関関数の代わりに絶対差関数が使用される。二次ピークの代わりに、絶対差の二次最小値が探知される。生理的動きまたは生理的モニターセンサー信号の新しいサンプルポイントの各々に対して、処理はオーバーラップするデータサンプルの範囲にわたって2つのセットのデータ間の絶対差の最小値を計算する。二次最小値は、データサンプルの最近のセットをデータサンプルの前のセットと最適一致させるデータ位置に対応する。
さらに他の実施例は、測定されている生理的動作モデルに基づいたパターンマッチングを実行する。モデルは生理的動きまたは生理的動作に対する生理的モニターセンター信号のダイナミックな表現である。最近のデータサンプルのセットは反復処理のパラメータを推定するべくモデルに対してマッチングされる。
測定した生理的信号を使ったパターンマッチングは、反復処理に対して最適一致する位置ばかりでなく一致の程度に関する情報を与える。ステップ604で、自動相関関数が使用されると、二次ピークの相対的強度は信号の反復がどのようなものであるかの測定を与える。データサンプルの2つのセットの間の一致の程度の識別を与えるべく閾値範囲が定義される。二次ピークの強度が定義した閾値範囲内にあれば(ステップ608)、一致の程度は信号が反復性であることを示し、二次ピーク位置は信号周期の推定を与える。ステップ604において絶対差関数が使用されれば、二次最小値の相対値は信号の反復性はどのようなものかの測定を与える。二次最小値が定義した閾値範囲と一致すれば(ステップ608)、一致の程度は信号が反復性であることを示し、二次最小値位置は信号周期の推定を与える。
二次ピークまたは二次最小値の相関値が定義した閾値範囲と一致しなければ、規則的な生理的動きからの逸脱が検出され、それにより、患者16の生理的動きの不規則性が示される(ステップ610)。この不規則性は例えば、患者16の突然の動きまたは咳により生じる。
一致の程度が反復性を示せば、周期が妥当な範囲内にあるか否かを決定するべく、最適一致のポイントが試験される。二次ピークまたは二次最小値の位置は生理的動きの周期の推定を与える。実施例において、最適一致のポイントは閾値範囲と比較される(ステップ609)。最適一致のポイントが閾値範囲内になければ、規則的な生理的動作からの逸脱が検出される(ステップ610)。最適一致のポイントが閾値範囲内にあれば、信号は反復性があるとして受け取られる(ステップ612)。
最適一致のポイントに基づく周期の推定は、信号に対するデータサンプルの次のセットの呼吸セットの位相のような周期及び波形パラメータを予測するのに使用される。処理工程604、608及び609は、これらのサンプルの範囲にわたって複数のデータサンプルに基づいて反復性を試験する。しかし、ある環境において、規則的な生理的動きからの有意な逸脱が解析中の新しいまたは最も最近のデータサンプル内で実際に起こり得るが、データサンプルのすべてのセットが反復性を示すため(例えば、比較されているデータサンプルの範囲にわたって絶対差を平均することにより)、処理工程604、608及び609は逸脱を検出しない。急速な逸脱の試験を実行するために、ステップ614から予測された値は、次の対応するデータサンプルと比較される(ステップ615)。予測値が、定義した閾値範囲内で実際のデータサンプル値と一致しなかれば、逸脱が検出される(ステップ610)。予測値と実際のデータサンプル値の比較が定義した閾値範囲内にあれば、反復性が確認され、そのデータサンプル範囲に対して逸脱は検出されない(ステップ616)。
ある実施例において、最初に図6の処理が実行され、ステップ604のパターンマッチングがデータサンプルの全範囲にわたって実行される。その後、パターンマッチング処理動作は、処理のすぐ前の実行結果により定義される限定された検索インターバルにわたって実行される。例えば、ステップ614からの予測値は、データサンプルの次のセットに対する検索インターバルの位置を定義するのに使用される。しかし、処理動作608、609及び614が最初の検索インターバルの解析に基づいて逸脱を検知したら、検索インターバルは、逸脱が実際に発生したことを保証するために拡張される。図6の処理は、最初の検索インターバルの外側で最適一致するポイントを発見するべく、増加した検索インターバルで繰り返される。ある実施例において、この増加した検索インターバルはデータサンプルの全範囲を構成する。他に、増加した検索インターバルはデータサンプルの全範囲の拡張された部分のみを構成してもよい。生理的動きサイクルの予測推定及び検出方法はここに参考文献として組み込む米国特許出願第09/893,122号に記載されている。
図7Aは生理的動きの周期からの逸脱を検出するための他のアプローチのフローチャートを示す。これは例示に過ぎず、本発明の態様を限定するものではなく、以下の説明は呼吸動作の周期に関して為される。この処理は周期的信号の位相をトラックし、各呼吸信号サンプルに対して、このアプローチは患者の呼吸サイクル位相を示す位相値の推定(すなわち、サイクルの完了の程度を表す)を与える。ここに説明する実施例において、位相角度範囲は、呼吸信号の吸気極値付近に対応する0及び2πを有する0から2p(0から360°)である。図7Cは、呼吸振幅信号752の例に重ねられた呼吸信号サンプルの位相値チャート750の例を示す。
まず、呼吸データサンプルが受信される(ステップ702)。呼吸信号の新しいサンプルの各々に対して、処理は、最近の吸気及び最近の排気極値の推定値、並びに呼吸信号の対応する時間ポイントを取得しかつ更新する。これらの値は、排気周期、吸気周期、及び呼吸の全周期Tの最近の推定値を確立するのに使用される(ステップ704)。
ステップ706において、処理は新たに取得した呼吸信号サンプルの位相値を推定する。実施例において、これはステップ704で推定された周期Tを有するコサイン波形と最も最近の信号のT秒長のセグメントとの内積を計算することにより実行される。これは、周期Tのサイン波形との内積を計算することにより繰り返される。これら2つの内積はそれぞれ、信号の同相成分及び直角位相成分と呼ばれる。直角位相成分値を同相成分値で割り算した逆タンジェントは、カレントの呼吸信号サンプルに対する推定位相を与える。
ステップ708において、処理は、信号の周期を決定するために、カレントの呼吸サンプルのベクトル(例えば、振幅、位相)を前のデータサンプル値と比較する。この比較工程を実行するひとつのアプローチは、呼吸信号の記録中に蓄積した信号vs位相値の二次元ヒストグラムアレイを使用することである。図7Dは振幅-位相値の二次元ヒストグラムアレイ760の実施例を示す。ヒストグラムアレイ760は、水平軸に0から2π位相をカバーし、垂直軸に呼吸信号振幅のレンジを表す64×64ビンのアレイである。新しいサンプルの振幅及び推定位相は、ヒストグラムアレイ760内の対応するビンを増分するのに使用される。
ひとつの実施例において、クラスタ因子は、カレントの呼吸データサンプルベクトルが観測された値のクラスタにどのくらい近いかを決定する。各信号サンプルの振幅-位相ベクトルをそれに隣接する前の値のクラスタと比較することにより、処理は信号の周期の測定を与える。クラスタ因子が定義した閾値または許容レベルより上である場合、信号はカレントのサンプル時間中、周期的であると考えられる(714)。さもければ、信号は非周期的であると表示される(712)。ひとつのアプローチは、カレントのデータサンプル中に、8振幅×5位相を包囲するビンに対して、ビンの数の和を計算することである。累積したすべてのヒストグラムビンの総数の割合として、この数は、新しいサンプルが周期的信号に属する度合を決定する。この割合値に閾値を適応することにより、信号サンプルは周期的または非周期的として表示される。この閾値は周期性からの逸脱を検出するためのアルゴリズムの感度としてユーザーにより設定可能である。図7Dの例において、データサンプルセット762内の値により決定された割合値は閾値を超えると仮定すると、データサンプルセット762は、それが一般の人体のデータサンプル値764から実質的に逸脱しているため、おそらく非周期的として表示される。
ひとつの実施例に従い、図7Aのステップ704に従う吸気及び排気周期の推定はこれらの周期の仮定開始を識別することにより始まる。処理が始まったばかりであるか、周期性の損失を回復しているのであれば、通常または既定値(吸気周期=1.6秒、排気周期=3.4秒など)が使用される。これらの値の和は、生理的動き周期のカレントの推定である。この実施例のアプローチは、呼吸動作により生じる最小及び最大値の位置及び値を推定するために信号の最も最近のn個のサンプルを使用する。ひとつの実施例は周期の1/20のインターバルで信号をサブサンプリングすることにより7個のサンプルを選択する。7個のサンプルの選択により、補間処理の計算負荷が扱いやすくなり、同時にサブサンプリングにより信号のより大きい部分のカバレッジが可能になり、よって、ノイズによる局所的な最大値及び最小値の誤検出を回避することができる。新たに検知した各信号サンプルに対して、上記したように選択されたn個のサンプルは、その対応するインターバルが最小値または最大値を含むことを確認するべく、最初に認証される。これは、サンプルトレインの2つのエンドの絶対差を中心サンプルと2つのエンドサンプルの差の平均と比較することにより実行される。ひとつの実施例は、サンプルトレインが最小値及び最大値を含むか否かを決定するために、テスト:Abs(Y(0)-Y(6))<0.2*Abs(Y(0)+Y(6)-2*Y(3))を使用する。この例において、7つのサンプルのトレイン、Y(0)、Y(1)、Y(2)、Y(3)、Y(4)、Y(5)、Y(6)がひとつの周期のカレントの推定を構成するサンプルの数の1/20でサブサンプリングされる。このテストの結果が正であれば、サンプルに対して、曲線の当てはめが実行される。ひとつの実施例は7つのポイントのサンプルトレインの中央の5つに対して二次曲線を当てはめる。この曲線の最小値または最大値の位置及び値が補間法を使って計算される。このポイントにおいても、トレインの最終サンプルを中央サンプルと比較することにより推定ポイントが最小値か最大値かが決定される。最小または最大ポイントの推定位置は、後に平均するためのそれぞれのアキュムレータ変数に加算される。
上記処理は、上記テスト結果が負となる最初のサンプルに出くわすまで、次に感知した信号サンプルに対して繰り返される。これは、最大値または最小値が推定されたポイントのランが終了したことを指示する。このポイントにおいて、アキュムレータ変数は、ランからの平均位置及び値を得るためにラン内のポイント数で割り算される。
処理は、新しく感知された信号サンプル以前のサンプルトレインで上記テストを繰り返すことにより続行される。テスト結果が正であると、上記平均化処理が再開される。図7Bはサンプルトレインの3つの例を示す。サンプルトレイン760は極大値を含み、サンプルトレイン762は極小値を含み、サンプルトレイン764は極大値も極小値も含まない。
この方法は、サンプルトレインの長さにより、最大値または最小値の実際の位置より遅い時間ポイントでの極大値及び極小値の位置を推定する。吸気または排気周期のカレントの推定はこの時間ポイントで更新される。例えば、吸気周期に対して、これは最近の最小値の時間位置から最近の最大値の時間位置を引き算することにより実行される。これらの推定は全周期のカレントの値を更新するのに使用される。
生理的動きの周期性からの逸脱を検出するための上記方法は、ここに参考文献として組み込む米国出願番号第10/678,741号に記載されている。
ここに説明された実施例は呼吸の周期性を測定するためのツールを与え、それにより、例えば、患者の咳または動きにより生じる通常の呼吸からの逸脱のような通常の生理的動きからの逸脱の検出が可能となる。これは、治療、映像、及び通常の患者の動きのモニターを必要とする介入処置に使用可能である。さらに、生理的動作の位相の知識は、既知の遅延後にこれらの装置が応答する状況において、画像取得または放射線治療ビームの開始の予測または予想トリガーを可能にする。
コンピュータシステムアーキテクチャー
図8は、本発明の実施例が実行されるところのコンピュータシステム800の実施例を示すブロック図である。コンピュータシステム800は、情報通信用のバス802または他の通信機構、及び情報処理用のバス802に接続されたプロセッサ804を含む。プロセッサ804は、図1のプロセッサ54の一例であり、他に、プロセッサ54のコンポーネントの一例であってもよい。コンピュータシステム800は、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスのようなメインメモリ806を含み、それはプロセッサ804により実行されるべき情報または命令を格納するためにバス802に接続されている。メインメモリ806は、プロセッサ804により実行されるべき命令の実行中に時間変数または他の中間情報を格納するためにも使用される。コンピュータシステム800はさらに、プロセッサ804に対する静的情報及び命令を格納するためのバス802に接続されたリードオンリーメモリ(ROM)808または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光学ディスクのようなデータ記憶デバイス810が情報及び命令を格納するために与えられ、バス802に接続される。
コンピュータシステム800は、ユーザーに情報を表示するためのCRTのようなディスプレイ87にバス802を介して接続される。英数字または他のキーを含む入力デバイス814が、プロセッサ804へ情報及び命令選択を通信するためのバス802へ接続される。他のタイプのユーザー入力デバイスは、方向情報及び命令選択をプロセッサに通信しかつディスプレイ87上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キーのようなカーソル制御器816である。典型的に、この入力デバイスは2つの軸線方向に、2つの自由度を有し、第1軸(例えば、x)及び第2軸(例えば、y)は面内でのデバイスの位置を特定することができる。
本発明は画像データを収集しかつ処理するためのコンピュータシステム800の使用に関する。本発明のひとつの実施例に従い、このような使用は、メインメモリ806内に含まれるひとつまたはそれ以上の命令のひとつまたはそれ以上のシーケンスを実行するプロセッサ804に応答するコンピュータシステム800により与えられる。この命令は、記憶デバイス810のような他のコンピュータ読み取り可能媒体からメインメモリ806内に読み込まれる。メインメモリ806に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ804は、ここに記載された処理ステップを実行する。多重処理装置におけるひとつまたはそれ以上のプロセッサが、メインメモリ806内に含まれる命令のシーケンスを実行するために使用されてもよい。他の実施例において、ハード配線回路が、本発明を実施するためのソフトウエア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて使用されてもよい。したがって、本発明の実施例は、ハードウエア回路及びソフトウエアの任意の特定の組み合わせに限定されない。
ここで使用されるコンピュータ読み取り可能媒体の用語は、実行用の命令をプロセッサ804に与えるための任意の媒体を指すものである。このような媒体は、これに限定されないが、非揮発性媒体、揮発性媒体、及び送信媒体を含む多くの形式をとる。非揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス810のような光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ806のような動的メモリを含む。送信媒体は、バス802を構成する配線も含め、同軸ケーブル、銅配線及び光ファイバーを含む。送信媒体はラジオ波及び赤外線データ通信中に生成されるような音響または光の波の形式をとることもできる。
コンピュータ読み取り可能媒体の通常の形式は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップまたはカートリッジ、以下で説明するキャリア波、あるいはコンピュータが読み取れる他の媒体を含む。
コンピュータ読み取り可能媒体のさまざまな形式は、実行用のひとつまたはそれ以上の命令のひとつまたはそれ以上のシーケンスをプロセッサ804へ運ぶことに関連する。例えば、最初に、命令は遠隔コンピュータの磁気ディスクに保持される。遠隔コンピュータは命令を動的メモリ中にロードし、その命令をモデムを使って電話線を通じて送信する。コンピュータシステム800に接続したモデムが電話回線を通じてデータを受信し、データを赤外線信号に変換するために赤外線送信機を使用する。バス802に接続された赤外線検出器は赤外線信号内で運ばれたデータを受信し、そのデータをバス802に置くことができる。バス802はメインメモリ806へデータを運び、そこからプロセッサ804は命令を検索しかつ実行する。付加的に、メインメモリ806により受信した命令は、プロセッサ804による実行の前後のいずれかにおいて記憶デバイス810に格納されてもよい。
コンピュータシステム800はバス802に接続された通信インターフェース818を含む。通信インターフェース818はローカルネットワーク822に接続されたネットワークリンク820と繋がる二方向データ通信を与える。例えば、通信インターフェース818は、電話回線の種類に対応するデータ通信接続を与えるためのISDNカードまたはモデムである。他の実施例として、通信インターフェース818は、互換LANへのデータ通信接続を与えるLANカードであってもよい。無線リンクも実行可能である。この実行において、通信インターフェース818は、さまざまな種類の情報を表すデータストリームを運ぶ電気的、電磁気的または光学信号を送受信する。
典型的に、ネットワークリンク820はひとつまたはそれ以上のネットワークを通じて他のデバイスへデータ通信を与える。例えば、ネットワークリンク820は、ローカルネットワーク822を通じて、放射線ビームソースまたはそれに接続されたスイッチのような医療機器826またはホストコンピュータ824への接続を与える。ネットワークリンク820を通じて転送されたデータストリームは電気的、電磁気的または光学信号から成る。コンピュータシステム800との間でデータを運搬する、さまざまなネットワークを通じた信号、ネットワークリンク820上及び通信インターフェース818を通じた信号は、情報を伝達するキャリア波の形式を有する。コンピュータシステム800は、ネットワーク、ネットワークリンク820、及び通信インターフェース818を通じて、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信する。
装置及び方法の実施例は呼吸同期に基づいてCT画像を生成することに関連して説明されてきたが、本発明に従う装置及び方法は、鼓動または他の生理的動きの同期化に基づいてCT画像を生成するのに実行されてもよい。さらに、ガントリー12はイメージデータ取得中に患者16の周りを360°回転するように説明されてきたが、必ずしもその必要はない。例えば、完全な円錐形検出器が使用されれば、ガントリー12が180°+ビームパターンの角度だけ回転する間データを取得できる。使用されている特定のシステムに応じて、他の回転角度が使用されてもよい。さらに、CT処理の代わりに、上記した技術または類似の技術が、層断層撮影処理、MRI処理、PET処理または複数の画像データの生成が所望される他の画像処理において実行可能である。ガントリー12は上記したような回転構造には限定されず、特定の応用または処理に応じて、スライドまたは平行移動のような他の構成を有することもできる。
本発明の特定の実施例が説明されてきたが、本発明はこの好適実施例に限定されるものではない。また本発明の思想及び態様から離れることなくさまざまな変更及び修正が可能であることは当業者の知るところである。例えば、プロセッサ54により実行される動作は、本発明の態様内で、ハードウエア及びソフトウエアの任意の組み合わせにより実行可能であり、プロセッサの特定の定義を構成する特定の実施例に限定されない。したがって、明細書及び図面は例示に過ぎない。本発明は特許請求の範囲により画定される発明の思想及び態様の範囲内で変形、修正、同等を含むものである。