JP4567130B2 - Ct像発生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CT像を発生するために検査すべき生物の身体の周りを動かされるX線源を有するCT装置を用いた、休止および運動相を含めて周期的に動かされる身体範囲のCT像の発生方法に関する
【0002】
【従来の技術】
CTデータ取得中に動く対象物は再構成された像のなかにしばしば線アーティファクトを惹起し、または不鮮明に二重輪郭により表示される。この問題は特に心臓または心臓付近の肺構造のCT撮像の際に像に対するデータ取得時間が心臓周期のオーダーにあるX線源の機械的運動を有するCTシステムにおいて生ずる。その際に運動アーティファクトの原因は、心臓の速い収縮相中に取得されたデータが像再構成のために使用されることにある。このような像はたとえば石灰沈着スクリーニングまたはパーフュージョン撮像のような医学診断の評価方法に対して条件付きでのみ使用され得る。
【0003】
心臓の比較的運動アーティファクトの少ないCT像はいわゆる電子線コンピュータトモグラフィ(EBT)により取得され得る。EBT装置によれば電子線の電磁的偏向によりX線源が無質量で動かされ得る。こうして有意に短いデータ取得時間、従ってまた運動アーティファクトの減少が達成され得る。しかしEBTシステムのコストは従来のCT装置のコストの何倍かである。さらにEBTにより達成可能な像質は、運動アーティファクトの少ない心臓像を別として、従来通常のシステムのそれと競争し得ない。
【0004】
X線源の機械的回転を有する第3および第4世代の従来のCTシステムは現在360°回転(全回転)あたり1秒以内の走査時間を達成する。このようなシステムにより、像再構成のために心臓の休止時間中に測定されたデータのみが使用されるならば、十分に良い像質が得られる。
【0005】
この要求を解決するための可能性はたとえばヨーロッパ特許出願公開第0370341号明細書およびドイツ特許出願公開第19627166号明細書から公知のEKGによりトリガーされるCT撮像技術である。ここでは同時進行するEKG信号のR尖頭波がデータ取得をトリガーする役割をする。部分‐または全回転の測定はR尖頭波の認識の後に描かれたR尖頭波に対する経験的に決定された遅れ時間をもって開始する。同じくEKGにより制御される放射のスイッチオフは心臓の休止相の終了の際に行われない。
【0006】
たとえばドイツ特許第3325939号明細書および米国特許第4182311号明細書に記載されている心臓像を発生するための他の方法はEKG信号を測定中に描き、また像再構成のために可能なかぎり特定の心臓相からのデータのみを使用する。所望の範囲の決定はその際に純粋に経験的に文献から知られている標準値に従って行われる。このことは、遅れ時間が同じく専ら経験的に決定される従来通常のEKGによりトリガーされるCT撮像技術に対しても当てはまる。
このような方法はドイツ特許出願公開第19622075号明細書に記載されている。遅れ時間またはそのデータを利用される心臓サイクルの範囲が経験的に決定される方法の欠点は種々患者に対するEKG信号および機械的な運動の時として強く相違する相関である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭にあげた形式の方法および装置を、運動アーティファクトの生起の危険が減ぜられているように構成することである。
【0008】
方法に関する課題は、本発明によれば
CT像を発生するために検査すべき生物の身体の周りを動かされるX線源を有するCT装置を制御装置が制御する方法であって
CT装置を用いて、休止相および運動相を含めて周期的に動かされる身体範囲のCT像を発生する方法において
a)検査すべき対象物の周りのX線源の少なくとも回転中で、身体範囲の運動の周期に少なくとも等しい継続時間中に像発生に使われる多数の投影を撮像する過程と
b)投影に相応するデータを、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関して解析する過程とを含み
投影に相応するデータの、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関する解析は、相補性の平行投影の互いの偏差σ C (n)が求められ、偏差σ C (n)が上限値σ C,S を越えない平行投影のみが、休止相中に得られたデータとみなされるように行われ、
c)休止相中に得られたデータのみを像再構成のために使用する過程を含む
ことにより解決される。
【0009】
本発明による方法は、取得された測定データが測定データ事態の解析により患者固有に、それらが使用可能である、すなわち心臓の休止相中に得られたか、使用不可能であるか、すなわち心臓の休止相中に得られたかについて分類される自動的な方法であり、その際に心臓の休止相中に得られた測定データのみが像再構成のために利用される。本発明による方法は通常の軸線方向スキャンに対してもらせんスキャン(ヘリカルスキャン)に対しても1つまたはそれ以上の検出器行を有する第3または第4世代の任意のCT装置に応用可能である。本発明による方法に相応して使用可能と分類された投影は任意の種類の再構成方法に対して使用され得る。
【0010】
本発明の変形例により測定データを分類するためそのつどの患者のEKG信号が利用されるならば、EKG信号と心臓の実際の機械的な運動との相関が一方では参照検査すなわち多数の検査投影、および同期して捕捉されたEKG信号の測定データおよび(または)CT像の自動的または相互作用的な評価により行われ得る。この仕方でEKGによりトリガーされるCT撮像に対してもEKG信号のR尖頭波と放射のトリガー時点との間の患者固有の遅れが量的に捕捉され得る。
このことは本質的に改善された像発生および本質的に効率的な検査進行に通ずる。
【0011】
本発明によれば、検査すべき対象物の周りを運動するX線源を有するCT装置において、CT装置が第1および第2の作動形式で作動可能であり、
CT装置が第1の作動形式では
検査すべき対象物の周りのX線源の少なくとも回転中で、少なくとも身体範囲の運動の周期に等しい継続時間中に、患者の心電図(EKG)の同時の取得のもとに多数の投影が撮像され、
テスト像が投影から再構成され、
CT装置が、テスト像を運動アーティファクトとして特徴付け得るテスト像を指示するための手段と入力手段とを有し、CT装置が、運動アーティファクトとして同定されたテスト像に基づいて、データが休止相中に取得され得る少なくとも1つの利用可能な時間間隔を同定し、
CT装置が第2の作動形式では
像発生の役割をするデータを取得し、
休止相中に取得されたデータのみを像再構成のために利用する
CT装置が提案される
すなわち、本発明による装置の場合に一人の取扱者に対して、相互作用的に決定された像を運動アーティファクトとして特徴付ける可能性が存在する。すなわち、本発明による装置の場合に一人の取扱者に対して、相互作用的に決定された像を運動アーティファクトとして特徴付ける可能性が存在する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を以下に添付図面により一層詳細に説明する。
【0013】
関係文献から十分に知られているようにEKG信号と実際の心臓筋肉収縮または心臓筋肉緩和との間に相関が存在し、たとえば特に強い運動を有する比較的短い相中に得られる投影はアーティファクトの少ない像再構成には適しておらず、また再構成のために使用不可能なものとして分類されなければならない。従って、わずかな運動の期間中に得られる、または得られた使用可能と分類された測定データを利用し得る像のみが再構成される。その際に使用されるCT装置の可能性に応じて全または部分回転の際に得られた測定データからの軸線方向の再構成も(十分なデータカバリッジにおける)らせん再構成も1つまたはそれ以上の検出器行に対して行われ得る。
【0014】
図1はRR間隔TRRを有する周期中のEKG信号および機械的な心臓運動の原理的な相関を示す。機械的な心臓運動は心室の相対的な体積変化ΔV/Vにより量的に表される。
【0015】
特に心室の機械的な収縮を有するEKG信号のなかのP波とQRS複合との間の患者ごとに異なる時間的関係は像計算のために使用可能な再構成時間間隔すなわち像の再構成のために使用される測定データが得られる時間間隔の決定に影響する。
【0016】
EKG信号に関係付けての心臓の機械的な休止相の相対的な位置は参照検査により求められ得る。
【0017】
検査対象物の周りのX線源の少なくとも1つの、好ましくはいくつかの少数の全回転の際に少なくとも1つの、好ましくはいくつかの心臓周期を覆う適当な心臓サイクルに関する測定データから、短く相い続く時点に対応付けるべき像が再構成される。その際に像の時点とは、再構成のために使用されるデータの時間中央点を意味する。いま、参照検査の運動アーティファクトの少ない像に心臓の休止相からのデータのみが寄与したとみなされる。それに対して、運動相中に撮像された投影に基づく像は明白な運動アーティファクトを有する。
【0018】
図2は相対的な体積変化ΔV/Vへの、種々の再構成すべき像に属する再構成時間間隔の時間的な対応付けを示す。わずかな運動アーティファクトおよびより強い運動アーティファクトを有する像列への再構成された像の区分により、または測定データの解析によっても、心臓サイクル中の心臓の休止相に相応する時間間隔が決定され得る。たとえば、参照検査のなかの運動アーティファクトの少ない像列の選択により、投影が心臓の休止相のなかで得られた時間間隔が決定されることによって、参照検査からEKG信号に対して相対的な心臓の休止相の位置が推定され得る。
【0019】
参照検査は減ぜられた線量において行われ得る。
【0020】
心臓の休止相および運動相への測定データのなお説明すべき自動的な対応付けは、並列に記録されるEKG信号なしに心臓の休止相のなかで像の合目的的な回顧的な再構成の可能性を与える。
【0021】
図3によれば心臓の休止相はEKG信号の2つのR尖頭波の間の長さΔT=T2−T1の関連のある時間間隔〔T1、T2〕に位置している。そのつどのRR間隔TRRすなわち時点TR1およびTR2で記録されるRパルスにより制限される心臓サイクル、のなかの心臓の休止相の相対的な位置は2つの定数C1およびC2により記述され得る。すなわち
1=TR1+C1RR, T2=T1+C2RR (1)
が成り立つ。
【0022】
そのつどのRR間隔の継続時間の一部分である定数C1およびC2は患者固有であり、参照検査から適当な量的評価により本来の検査の前に決定されなければならない。本来の検査に対してはC1およびC2は一定とみなされる。心臓の休止相の位置および継続時間は次いであらゆる時点で現在存在するRR間隔TRRから導き出され得る。図4はこの進行を可変の継続時間の例について示す。
【0023】
EKG信号に対して相対的な心臓の休止相を求める別の可能性は一人の取扱者による運動アーティファクトの少ない参照検査の像列の相互作用的な選択にある。その際に像はすべての参照検査のデータから、たとえば部分回転再構成により、短く相い続く時点TB=iΔTBにおいて計算される。時点TBでの像にそのつどの再構成時間間隔〔TB1−ΔTR,TB2+ΔTR〕からの測定データが寄与する。時間間隔〔TB1,TB2〕のなかの運動アーティファクトの少ない像列は時間間隔〔TB1−ΔTR,TB2+ΔTR〕のなかの現在のRR間隔に対する心臓の休止相を定義する。この仕方でも次いで、図5に示されているように、定数C1およびC2が決定され得る。
【0024】
相互作用的な像選択を有する方法とならんで再構成された参照像または測定データの自動的な解析によりパラメータC1およびC2を有する心臓の休止相の決定が行われ得る。
【0025】
このような自動的な解析はたとえば平行ジオメトリでの相補性の投影の比較として実行され得る。相補性の平行投影は180°だけずらされた投影角度に属する。今日のCT装置は通常はファン投影で撮像するので、これから平行投影が適当な内挿および分類規則たとえば公知のレビニング(Rebinning)により始めて発生されなければならない。平行投影はその場合に種々の時点で測定されたファン投影の測定値から構成されている。平行投影の測定時点としてその場合にたとえばその中央チャネルの測定時点を定義し得る。動かない対象物の場合には測定チャネルの数に相応する数の行に配置されている検出器要素を有する対称な検出器では相補性の平行投影P(n,k)に対して対称セット
P(N+n,K−k−1)=P(n,k)
(n=0(1)(N−1),k=0(1)(K−1)) (2)
ここで
n:投影番号、
k:チャネル番号(検出器行の連続した番号付け、その際に中央チャネルは中央のチャネルである)、
N:180°回転角度あたり測定された平行投影の数、
K:平行投影あたりのチャネルの数
が成り立つ。
【0026】
従って動かされない対象物では差P(N+n,K−k−1)=P(n,k)は0に等しい。従って0からのこの差の偏差は投影nとn+Nとの間の半回転中の時間TROT/2(放射源の回転時間の半分)内の測定される対象物の運動に対する尺度である。適当な尺度数はたとえば相補性の平行投影σCの絶対的な偏差の和である。ここで
Figure 0004567130
【0027】
開始および終了チャネルKaおよびKeは、心臓が期待通りに撮像される内側範囲を決定する。
【0028】
平行投影nに対する誤り尺度σc(n)が特定の閾値σcsの下側に位置するならば、投影〔n,n+N〕が心臓の休止相中に撮像されたことから出発され得る。
【0029】
図6は例としてN=528を有する500の平行投影に対する相補性の誤り尺度σC(n)の経過を開始投影の関数として示す。閾値σcsの応用により、投影が間隔n∈〔N1,N2+N〕で撮像された時間間隔に相応する時間間隔のなかで心臓の休止相を定義する関連のある投影間隔〔N1,N2〕(≒〔185,440〕)が同定される。
【0030】
図7には、図6中にマークされた開始投影N0i(i=1(1)4)により投影n∈〔N0i,N0i+N−1〕から再構成された像1〜4が示されている。これらの像は導入された誤り尺度σc(n)と運動アーティファクトの程度との意味のある相関を示す。像1および像2は心室の明らかな二重輪郭を示し、他方において図3および図4は運動アーティファクトをほとんど有していない。
【0031】
投影間隔〔N1,N2〕からいま図8にハッチングにより示されている投影間隔n∈〔N1,N2+N〕からの休止相が時間間隔〔T1,T2〕=〔T(N1),T(N+N2)〕で定義され得る。パラメータ化するため再び(1)による定数C1およびC2が利用される。
【0032】
相補性のデータの自動的な解析は別として本発明の範囲内で再構成された像の自動的な評価も可能である。たとえば時間的に相い続く像の差が線アーティファクトまたは二重輪郭における無視可能な尺度を有するならば、これらの像は心臓の休止相に対応付けられ得る。こうして運動アーティファクトが少ないと評価された像の中断されない列は心臓の休止相を確定する。
【0033】
心臓の休止相のなかに位置する投影間隔の自動的な決定がたとえば相補性のデータ解析により行われるならば、検査中のEKG記録は完全に省略されてもよい。参照検査はその場合に、心臓の休止相のなかに位置する投影間隔の自動的な決定を行うための心臓の適当なシフトの撮像とこの撮像の適当な対象物部分の選定とに制限される。検査中にそのために相補性の誤り尺度σc(t)が“オンライン”で計算される。図9には相補性の誤り尺度σc(t)の考えられる経過に対して、どのように閾値σcsの応用により、わずかな運動の範囲が同定され、これらの範囲から心臓の休止相に位置する投影間隔が導き出され、これらの範囲に既に説明されたようにそれぞれなお半回転時間TROT/2を加算すべきであるかが示されている。心臓のこの休止相のなかで測定されたすべての投影はそれによって運動アーティファクトの少ない再構成のために使用され得る。
【0034】
心臓の休止相は図9に参照符号Rを付して、運動相は参照符号Bを付して示されている。
【0035】
図10には説明された方法を実施するためのCT装置が概要を示されている。
【0036】
CT‐装置は、ファン状(扇形状)のX線束2を送り出すX線源1と、1つまたは多くの行の個別検出器たとえばそれぞれ512の個別検出器から構成されている検出器3とから成る測定ユニットを有する。X線束2が出発するX線源1の焦点は参照符号4を付されている。検査対象物5(図示されている実施例の場合には患者)は寝台6の上に横たわっており、この寝台はガントリ8の測定開口7を通って延びている。
【0037】
ガントリ8にはX線源1および検出器3が互いに向かい合って取付けられている。ガントリ8はCT装置の参照符号zを付されているz軸線の周りに回転可能に支えられており、α方向に検査対象物5を走査するため参照符号αを付されている矢印の方向に、少なくとも1つの180°(π)とファン角度βfan(ファン状のX線束2の開き角度)との和に等しい大きさの角度αgだけ回転させられる。その際に発生器装置9により作動させられるX線源1から出発するX線束2が円形横断面の測定フィールド10を捕捉する。X線源1の焦点4は、z軸線の上に位置している回転中心の周りに円形に湾曲している半径RFを有する焦点軌道15の上を運動する。
【0038】
測定ユニット1、3の予め定められた角度位置いわゆる投影角度において測定値がいわゆる投影の形態で取得され、その際に相応の測定値が検出器3からコンピュータ11に到達し、このコンピュータが投影に相応する測定点の列から画素マトリックスの画素の減弱係数を再構成し、これらをディスプレイ装置12上に像として再現する。こうしてディスプレイ装置12上に検査対象物5の透視照射された層の像が現れる。
【0039】
各々の投影は特定の角度位置すなわち投影角度に対応付けられており、検出器要素の数すなわちチャネル数に相応する数の測定点を含んでおり、これらの測定点にそれぞれ相応の測定値が対応付けられており、その際にそれぞれのチャネルは、検出器要素のどれからそれぞれの測定値が発するかを示す付属のファン角度により定義されている。ファン角度β0 は中央のチャネルいわゆる中央チャネルに対応付けられている。
【0040】
検出器3が多くの行の検出器要素を有するので、必要の際に検査対象物5の多くの層に関する投影が同時に撮像され得る。その際に投影角度あたり能動的な検出器行の数に相応する数の投影が撮像される。
【0041】
ガントリ8に対応付けられている駆動装置13がガントリ8の部分または全回転のために十分であるだけでなく、ガントリ8を永久的に回転させるのにも適しており、またさらに寝台6、従ってまた検査対象物5と、測定ユニット1、3を有するガントリ8との間のz方向の相対的変位を可能にする別の駆動装置が設けられているので、いわゆるらせんスキャンも実行され得る。
【0042】
心臓または患者5の身体の心臓活動のリズムで動かされる心臓付近能動的範囲の検査を実行するため、図10によるスサ装置はさらにそれ自体は公知の心電計17を有する。この心電計は電極(電極のうち1つが図10中に示され、また参照符号18を付されている)を介して患者5と接続可能であり、またCT装置による検査に平行して検査対象物のEKG信号を捕捉する役割をする。CT装置にはEKG信号に相応する好ましくはディジタルのデータが供給されている。
【0043】
心電計17の電極は可能なかぎり、それらが患者5の検査を阻害しないように、患者5の身体に取付けられている。
【0044】
コンピュータ11には、CT装置の取扱を可能にするキーボード19およびマウス20が接続されている。さらにコンピュータ11には別のモニター21が接続されており、このモニター上に後でまた一層詳細に説明する図12ないし14に示されている取扱メニューが表示される。
【0045】
図11には例として、どのようにして、参照検査が図10によるCT装置を用いて本来の検査すなわち主検査の前に、自動的および(または)相互作用的な評価を組み合わせてEKG信号に基づいて心臓の休止相を定義するための定数C1およびC2を求めるために実行されるかが概要プロセスチャートで示されている。
【0046】
図12ないし14には、それ自体は公知のグラフィックなユーザーインタフェースの形式に応じて、たとえばマウス20により取扱可能であり、参照検査の実行の際にモニター14の像スクリーン上に現れる取扱メニューが示されている。
それらの機能は以下に説明される。
【0047】
テスト投影の撮像の後に粗いタイムラスター(たとえば0.5秒)のなかで測定フィールド10のなかに位置する患者Pの範囲の断層像が再構成される。これらの像は図12中に示されている第1の取扱メニューの左上の範囲21に示されている。ボタン22、23の操作により範囲21の種々の部分、たとえば部分1×1または部分2×2を選ぶ可能性が存在する。第1の場合には図12中に示されているようにすべての範囲21を満たす像が表示され、他方において第1の場合には2つの行および列に4つの相応に縮小された像が表示される。さらに、選択領域24が存在しており、それにより参照像が再構成される粗いタイムラスターが設定可能である。
【0048】
参照像内に存在する運動アーティファクトの強さを自動的に決定するために、たとえば円形または図12に示されているように長方形であってよいいわゆる関心領域(ROI)25により有意味な像領域を選択する可能性が存在する。
【0049】
ROI25はたとえばマウス20または図示されていない他の適当な入力手段により位置および大きさを変更可能である。
【0050】
選択領域16で、心臓の休止相の像オリエンティッドかつ(または)自動的な決定の基礎として用いられる像の再構成が行われる通常はより細かいタイムラスターが設定される。
【0051】
第1の取扱メニューの右側の範囲には心電図17により得られたEKG信号26が時短tの関数として表示されている。説明される実施例の場合にはこれは2つの重なって配置され時間的に次々と続く全体として2秒間のセクションで行われる。
【0052】
テスト像が再構成されるべき再構成時間間隔はたとえば相互作用的にEKG信号26のなかに開始マーク27および終了マーク28を挿入することにより確定される。開始および終了マーク27または28は選択領域29によりそのつどの必要に相応してずらされ得る。その際に開始マーク27の位置は時点tMINに、終了マーク28の位置は時点tMAXに相応する。
【0053】
EKG信号26の提供される表示範囲が不適当である場合には、これは選択領域30を用いてずらされ得る。その際に時点tSTARTはEKG信号26の表示されているセクションの開始に、時点tENDはEKG信号26の表示されているセクションの終了に相応する。選択領域30に属するスケール上の線マークはEKG信号26の表示されているセクションの中央を示す。
【0054】
参照符号31、32を付されているボタンにより、心臓の休止相の自動的決定の基礎として用いられる方法を選択することが可能である。参照符号Auto/Datsを付されているボタン31が操作されると、心臓の休止相の自動的な決定が相補性の平行投影の説明される自動的な検出に基づいて行われる。それに対して、参照符号Auto/Imagを付されているボタン32が操作されると、心臓の休止相の自動的な決定が運動アーティファクトの説明される自動的な検出に基づいて行われる。
【0055】
参照符号RECONを付されているボタン33の操作によりテスト像の再構成が選択領域29により予め定められた再構成時間間隔および選択領域16により予め定められたタイムラスターのなかで開始し、ボタン31、32により選択された方法に従って心臓休止相の自動的な決定を開始する。
【0056】
それに続いて図13による取扱メニューが現れる。
【0057】
これは像表示に使われる範囲34に再構成されたテスト像を指示する。ボタン35ないし38により選択可能な1×1ないし4×4への範囲34の分割を有するそれぞれROI25に相応する像部分のみが表示される。
【0058】
心臓の休止相を求める際に休止相に対応付けられたテスト像は囲いにより標識されている。
【0059】
選択領域39により、範囲34に表示されるテスト像が由来する時間間隔が変更され得る。その際にtMINはテスト像の表示により覆われる時間間隔の開始時点を、tMAXは終了時点を示し、その際に選択領域39に属するスケールの線マークはこの時間間隔の中央を指示する。
【0060】
第2の取扱メニューの右上の範囲のなかにテスト像の表示により覆われる時間間隔に相応するEKG信号26の一部分が示されている。その際に、図13中に示されているように、相応の開始および終了マーク41、42をEKG表示にフェードインする可能性が存在する。さらにEKG信号26の表示のなかに自動的に求められた休止相43が相応の開始および終了マーク44、45によりフェードインされている。
【0061】
その下に、心臓の休止相の自動的な決定が相補性の平行投影の比較により行われた場合に対して、EKG信号26の表示に相応する時間間隔に対して相補性の誤り尺度σcが時間tの関数として示されている。さらにEKG信号26の表示と類似して開始および終了マーク44または45を有する休止相43がフェードインされている。
【0062】
参照符号PARAMETER DETAILSを付されているボタン47が操作されると、さもなければ図13による取扱メニューと合致する図14に示されている取扱メニューのなかで、パラメータウインドー49に、任意のRR間隔のなかの心臓の休止相を定義するための現在求められた定数C1、C2ならびにそれらの計算基礎すなわちΔT,TRRおよびT1に対する値が表示される。
【0063】
図12ないし16に示されている取扱メニューの機能は、一人の取扱者に心臓の休止相の自動的に決定された位置に相互作用的に影響し、必要であれば、テスト像を表示する役割をする範囲34への介入によってもEKG信号の表示または相補性の誤り尺度46の表示への介入によっても補正する可能性を提供することである。取扱メニューの上記の範囲はこの目的で論理的に結合されている。
【0064】
範囲34のなかでたとえばマウス20によるテスト像の選択および選択取消が可能である。囲いにより標識されている、選択されたテスト像は心臓休止相に対応付けられる。心臓の休止相の定義範囲はEKG信号26および相補性の誤り尺度46の表示のなかの開始および終了マーク44、45を相応に自動的にずらすことにより適合され、またパラメータウインドー49に指示される値が相応に変更され、または新たに計算される。範囲34でテスト像により示される時間間隔が変更されると、EKG信号26および相補性の誤り尺度46の表示のなかで時間軸および開始および終了マーク41および42または開始および終了マーク44、45の位置が相応に変化する。
【0065】
逆に、EKG信号26および相補性の誤り尺度46の表示において範囲34でテスト像により示される時間空間も休止相43も継続時間および位置に関して、開始および終了マーク41、42または開始および終了マーク44、45をずらすことにより、相互作用的に変更され得る。範囲34に表示される像の選択および心臓の休止相のなかに位置するテスト像のマーキングは次いで相応に適合される。
【0066】
取扱者が心臓の休止相の定義を了解したならば、計算された定数C1およびC2が以後の本来の検査に対して参照符号ACCEPTを付されているペタン24の操作により受け入れられ得る。次いで本来の検査に対する作動パラメータを設定するための別の図示されていない従来通常の取扱メニューが開く。
【0067】
心臓の休止相の定義の際に満足な結果が得られなかったならば、取扱者は参照符号NEWを付されているボタン25の操作により図12に示されている取扱メニューに戻り、また変更された値を選び得る。それに基づいて先に説明した仕方で心臓の休止相の新たな決定が行われる。
【0068】
心臓の休止相の決定が患者のEKGの捕捉なしに行われる場合に対しては、心臓の休止相の決定のために必要な取扱メニューは、心臓の休止相の自動的な決定のために必要なROIがマークされ得ることによって、参照像の表示に限られる。すなわち取扱メニューは本質的に図12に示されている範囲21に相当する。
本来の検査はROIの選択にすぐ続いて開始され得る。
【0069】
本発明による方法は以上に第3世代のコンピュータトモグラフの例について説明された。しかしそれは第4世代のコンピュータトモグラフにも応用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】EKG信号および機械的な心臓運動の相関を示し、EKG信号および心室の相対的な体積変化ΔV/Vにより量的に表される機械的な心臓運動が時間の関数として示されている図。
【図2】運動アーティファクトの少ない像の投影間隔を説明するための図。
【図3】RR間隔に関係する心臓休止相のパラメータ化を説明するための図。
【図4】RR間隔からの心臓の休止相の導出を説明するための図。
【図5】参照検査からの運動アーティファクトの少ない像列の相互作用的な選択による心臓休止相の決定を説明するための図。
【図6】相補性のデータ誤り尺度σC による心臓休止相の定義を説明するための図。
【図7】心臓休止相を自動的に決定するための像例を説明するための図。
【図8】データ誤り尺度σC によるEKG信号のなかの心臓休止相の決定を説明するための図。
【図9】EKG信号なしの心臓休止相中のデータ間隔の自動的な決定を説明するための図。
【図10】本発明による方法を実施するのに適したCT装置を示す概略図。
【図11】心臓休止相を決定するための参照検査の概要プロセスを説明するための図。
【図12】心臓休止相を決定するための参照検査を実行するための取扱メニューを説明するための図。
【図13】心臓休止相を決定するための取扱メニューを説明するための図。
【図14】開かれたパラメータウインドーを有する、心臓休止相を決定するための取扱メニューを説明するための図。
【符号の説明】
1 X線源
2 X線束
3 検出器
4 焦点
5 患者
6 寝台
7 測定開口
8 ガントリ
9 発生器装置
10 測定フィールド
11 コンピュータ
12 ディスプレイ装置
13 駆動装置
14 モニター
15 焦点軌道
16 選択領域
17 心電図
18 電極
19 キーボード
20 マウス
21 モニター
22、23 ボタン
24 選択領域
25 関心領域(ROI)
26 EKG信号
27 開始マーキング
28 終了マーキング
29、30 選択領域
31、32、33 ボタン
34 範囲
35〜38 ボタン
39 選択領域
41 開始マーク
42 終了マーク
43 休止相
44 開始マーク
45 終了マーク
46 誤り尺度
47、48 ボタン
49 パラメータウインドー

Claims (16)

  1. CT像を発生するために検査すべき生物の身体の周りを動かされるX線源を有するCT装置を制御装置が制御する方法であって、
    CT装置を用いて、休止相および運動相を含めて周期的に動かされる身体範囲のCT像を発生する方法において、
    a)検査すべき対象物の周りのX線源の少なくとも回転中で、身体範囲の運動の周期に少なくとも等しい継続時間中に像発生に使われる多数の投影を撮像する過程と、
    b)投影に相応するデータを、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関して解析する過程とを含み、
    投影に相応するデータの、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関する解析は、相補性の平行投影の互いの偏差σC(n)が求められ、偏差σC(n)が上限値σC,Sを越えない平行投影のみが、休止相中に得られたデータとみなされるように行われ、
    c)休止相中に得られたデータのみを像再構成のために使用する過程を含む
    ことを特徴とするCT像発生方法。
  2. 投影に相応するデータの、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関して解析する過程が、
    多数の投影からテスト像を再構成する過程と、
    運動アーティファクトの存在に関してテスト像を点検する過程と、
    運動アーティファクトの強さが複数個の相い続くテスト像のなかで上限値を越えない少なくとも1つの利用可能な時間間隔を同定する過程と
    により行われ、その利用可能な時間間隔で撮像された投影が休止相中に取得されたデータとみなされることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 像再構成のために、休止相中に得られたとみなされるデータが休止相中に得られたものとして像再構成のために利用されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 心臓または心臓リズムで動かされる身体範囲のCT像を発生するため、投影の撮像中に生物の心電図が捕捉され、休止相中に得られたとみなされるデータを用いて心電図の2つの相い続くR尖頭波の間にそれぞれ位置する少なくとも1つの利用可能な時間間隔が同定され、その利用可能な時間間隔内で得られたデータが休止相中に得られたものとして像再構成のために利用されることを特徴とする請求項1ないし3の1つに記載の方法。
  5. 投影に相応するデータを、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関して解析する過程
    多数の投影の撮像の前に多数のテスト投影が検査すべき対象物の周りのX線源の少なくとも回転中で、身体範囲の運動の周期に少なくとも等しい継続時間中に患者の心電図の同時の捕捉のもとに撮像される過程と、
    相補性の相補性の平行投影の互いの偏差σc(n)が求められる過程と、
    心電図の2つの相い続くR尖頭波の間にそれぞれ位置する、その間に偏差σc(n)が上限値σCSを越えない少なくとも1つの利用可能な時間間隔が同定される過程と、
    像発生の役割をする多数の投影の撮像中に患者の心電図を捕捉し、撮像された投影の心電図への時間的対応付けを形成する過程と、
    それぞれ利用可能な時間間隔中に撮像された平行投影のみを休止相中に得られたデータとして像再構成のために使用する過程と
    を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 偏差としてデータ誤り尺度σC(n)が式
    σc(n)=SUM(kKa(l)Ke{ABS〔P(N+n,K−k−1)−
    P(n,k)〕}
    ここで
    P(n,k):平行投影
    n: 投影番号
    k: チャネル番号
    N: 180°回転あたりの平行投影の数
    K: 平行投影あたりのチャネルの数
    a: 開始チャネル
    e: 終了チャネル
    に従って計算されることを特徴とする請求項1または5記載の方法。
  7. 相補性の平行投影の比較関心のある像範囲に対してのみ実行されることを特徴とする請求項記載の方法。
  8. 多数のテスト投影または像発生に使われる投影を撮像する前に関心のある像範囲を求めるための参照像が発生されることを特徴とする請求項記載の方法。
  9. 多数のテスト投影または像発生に使われる投影としてファン投影が撮像され、ファン投影に相応するデータの分類し直しまたは内挿し直しにより平行投影が得られることを特徴とする請求項5,7または8に記載の方法。
  10. 投影に相応するデータを、それらが休止相中に得られたかまたは運動相中に得られたかに関して解析する過程が、
    多数の投影の撮像の前に多数のテスト投影が検査すべき対象物の周りのX線源の少なくとも回転中で、身体範囲の運動の周期に少なくとも等しい継続時間中に患者の心電図の同時の捕捉のもとに撮像される過程と、
    テスト像がテスト投影から再構成される過程と、
    テスト像が運動アーティファクトの存在に関して点検される過程と、
    心電図の2つの相い続くR尖頭波の間にそれぞれ位置する、その間に運動アーティファクトの強さが多数の相い続くテスト像のなかで上限値を越えない少なくとも1つの利用可能な時間間隔が同定される過程と、
    像発生に使われる多数の投影から像が再構成され、心電図を考慮に入れて、利用可能な時間間隔で得られたデータに基づいて再構成された像が求められる過程と
    を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 運動アーティファクトの存在に関するテスト像の点検の際に線アーティファクトまたは二重輪郭が運動アーティファクトに関する指摘として考慮に入れられることを特徴とする請求項または10記載の方法。
  12. 運動アーティファクトの存在に関するテスト像の点検が相い続く像の差し引きにより得られる差像を用いて行われることを特徴とする請求項2、10または11記載の方法。
  13. テスト像の再構成が減ぜられた計算能力または分解能により行われ、または部分回転再構成として行われることを特徴とする請求項2または10ないし12の1つに記載の方法。
  14. 運動アーティファクトの存在に関するテスト像の点検が関心のある像範囲に対してのみ実行されることを特徴とする請求項10記載の方法。
  15. テスト投影から関心のある像範囲を求めるための参照像が発生されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 利用可能な時間間隔として、そのつどの心臓周期のそれぞれ予め定められた第1の部分をそのつどの心臓周期を開始するR尖頭波の後に開始し、またそのつどの心臓周期の第2の予め定められた部分に等しい継続時間とを有する時間間隔が同定されることを特徴とする請求項4ないし15の1つに記載の方法。
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