JP2007528859A - 重水素化(メタ)アクリル酸ノルボルニル、その製造法、その重合体、及び光学部材 - Google Patents

重水素化(メタ)アクリル酸ノルボルニル、その製造法、その重合体、及び光学部材 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 下記一般式[1](式中、R1及びR2はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、R4はノルボルニル基であり、当該基が有する水素原子の4つ以上が重水素原子である)で表される新規な化合物、及び前記化合物を含有する重合性組成物を重合してなる新規な重合体である。
【化1】
Figure 2007528859

【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な重水素化(メタ)アクリル酸エステル化合物、特に耐熱性や透明性に優れた光ファイバ用ポリマーの原料として有用な、重水素化(メタ)アクリル酸エステル化合物及びこれを用いて得られるポリマーに関する。
部分的に重水素化された(メタ)アクリル酸ノルボルニルと重水素化メタクリル酸メチルとを共重合させて得られるポリマーは、光ファイバ原料用ポリマーとして有用であることが知られている。しかし、従来、原料モノマーとして使用されている、部分的に重水素化された(メタ)アクリル酸ノルボルニルは、その全体の重水素化率が低く、化合物中にC−H結合が依然として多く存在しているため、該化合物と重水素化メタクリル酸メチルとを共重合して得られるポリマーの特定波長での透明性が悪く、これを光ファイバ原料として使用した場合には特定波長における光伝送損失が大きくなるという問題を有している(特開昭63−130563号公報)。そこで、より重水素化率の高い(メタ)アクリル酸ノルボルニルが望まれている。
本発明の目的は、工業的に安価に製造可能で、且つ重水素化率の高い重水素化(メタ)アクリル酸ノルボルニル及びこれを用いて得られるポリマーを提供することである。また、本発明の他の目的は、透明性に優れ、光伝送損失の少ない光ファイバ用の原料ポリマーとなる、重水素化率の高い(メタ)アクリル酸ノルボルニルを提供することである。また、本発明の他の目的は、重水素化(メタ)アクリル酸ノルボルニルを工業的に安価に製造可能な方法を提供することである。
本発明は、前記目的を達成するため、下記一般式[1]
Figure 2007528859
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、R4はノルボルニル基であり、当該基が有する水素原子の4つ以上が重水素原子である)で表される化合物を提供する。
また、R4で表されるノルボルニル基が有する水素原子のうち、5つ以上、より好ましくは6つ以上が重水素原子であるのが好ましい。
また、別の観点から、本発明によって、4つ以上の重水素原子を有するノルボルネオールと、下記一般式[2]:
Figure 2007528859
(式中、R1及びR2は各々独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基又はアルコキシ基を表す)で表される化合物と、を反応させる、前記一般式[1]で表される化合物の製造方法が提供される。
また、別の観点から、本発明によって、前記一般式[1]で表される化合物を含有する重合性組成物を重合させてなる重合体;重合体が有する水素原子の50%以上が重水素原子である前記重合体;前記重合体を含む領域を有する光学部材;および重水素化率0%の重合体と比較して910nmにおける吸光度が70%以下である前記光学部材;が提供される。
本明細書において、「水素原子」とは軽水素原子及び重水素原子を総称するものであり、重水素原子とはジュウテリウム(D)又はトリチウム(T)を意味する。
さらに、本明細書において、「重水素原子比率」とは、化合物中又は基中の全水素原子の総数に対する重水素原子の数の比を意味する。
発明の実施の形態
本発明の実施の形態について、以下詳細に説明する。
本発明は、下記一般式[1]で表される化合物に関する。
Figure 2007528859
式中、R1及びR2はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、R4はノルボルニル基であり、当該基が有する水素原子の4つ以上が重水素原子である。
1及びR2は、何れか一方が重水素原子であるものがより好ましく、R1及びR2の両方が重水素原子であるものがさらに好ましい。
前記式中、R3が水素原子を表す場合には、それが重水素原子であるのが好ましく、R3がメチル基を表す場合には、該メチル基の3つの水素原子のうち、少なくとも1つが重水素原子であるのが好ましく、少なくとも2つが重水素原子であるのがより好ましく、3つの水素原子全てが重水素原子であるのがさらに好ましい。尚、R3は、3つ全ての水素原子が重水素化されたメチル基であることが最も好ましい。
前記式中、R4で表されるノルボルニル基は、当該基が有する水素原子の4つ以上、好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ以上が重水素原子である。
なお、R4で表されるノルボルニル基は、C−H結合を含まないハロゲン原子、トリフルオロメチル基、ニトリル基、カルボニル基のような置換基を有していてもよい。
上記一般式[1]で表される化合物としては、R1、R2及びR3で表される基が有する水素原子のうち、重水素原子の割合が大きい程好ましく、全ての水素原子が重水素原子であることが最も好ましい。
本発明の製造方法は、4つ以上の重水素原子を有するノルボルネオールと、下記一般式[2]:
Figure 2007528859
で表される化合物と、を反応させる前記一般式[1]で表される化合物の製造方法である。式中、R1、R2及びR3は前記一般式[1]中の各々と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式[2]中、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基又はアルコキシ基を表す。Xで表されるハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも塩素原子及び臭素原子が好ましく、その中でも特に塩素原子が好ましい。Xで表されるアルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でも或いは環状でもよく、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロプロピル基等が挙げられる。
上記一般式[2]で表される化合物としては、R1、R2及びR3で表される基が有する水素原子のうち、重水素原子の割合が大きい程好ましく、全ての水素原子が重水素原子であることが最も好ましい。尚、Xがヒドロキシル基又はアルコキシ基である場合、それら基が有する水素原子は軽水素原子であっても重水素原子であってもよい。
上記した如き本発明の製造法において用いられる、4つ以上の重水素原子を有するノルボルネオールは、例えば分子中に有する水素原子の全て或いは一部が軽水素原子であるノルボルネオールを、軽水素ガス雰囲気下、パラジウム触媒を用いて重水と反応させることによって合成することができる。また、分子中に有する水素原子の全て或いは一部が軽水素原子であるノルボルナノンを、パラジウム触媒の存在下、軽水素ガス雰囲気下で重水と反応させて重水素化し、それを例えば重水素化アルミニウムリチウム、重水素化ホウ素ナトリウム等の金属重水素化物で還元することによっても合成することができる。
前記一般式[2]で表される化合物は、例えば、特開昭63−130563号公報等に記載の公知の方法に従って合成することができる。即ち、例えば、一般式[2]で表される化合物が有する水素原子の全て或いは一部が軽水素原子である化合物を、アルカリ土類金属塩及び重合防止剤の存在下、重水中で反応させればよい。
上記本発明の製造方法において、一般式[2]中のXがハロゲン原子である化合物を用いる態様には、これを適当な塩基を用いて、所望により適当な溶媒中でノルボルネオールと反応させてもよい(以下、「第一の態様」という)。
第一の態様では、ノルボルネオールの使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0.8〜1000倍モル、より好ましくは0.8〜100倍モル、さらに好ましくは0.8〜50倍モル、さらにより好ましくは0.8〜10倍モルである。
第一の態様において使用される塩基としては、酸ハロゲン化物とアルコールとの一般的なエステル化反応に使用できるものが挙げられ、具体的には、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミン類、例えば水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム等のアルカリ金属化合物類等が挙げられる。
第一の態様において、塩基の使用量は、使用する一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは1〜50倍モル、より好ましくは1〜20倍モル、さらに好ましくは1〜5倍モルである。
第一の態様において、所望により用いられる反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、例えばアセトニトリル等のニトリル類;例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
第一の態様において、反応溶媒の使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0〜200倍体積、より好ましくは0〜50倍体積、さらに好ましくは0〜20倍体積となる量である。
第一の態様の製造方法において、反応温度は、好ましくは−20〜200℃、より好ましくは−20〜100℃、さらに好ましくは−10〜70℃である。また、反応時間は、好ましくは0.5〜200時間、より好ましくは0.5〜36時間、さらに好ましくは0.5〜12時間である。
また、本発明の製造法において、一般式[2]におけるXがヒドロキシル基である化合物を用いる場合には、これを適当な脱水縮合剤或いは酸触媒を用いて、所望により適当な溶媒中でノルボルネオールと反応させてもよい(以下、前者を「第二の態様」および後者を「第三の態様」という)。
前記第二及び第三の態様において、ノルボルネオールの使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0.8〜1000倍モル、より好ましくは0.8〜100倍モル、さらに好ましくは0.8〜50倍モル、さらにより好ましくは0.8〜10倍モルである。
前記第二の態様において使用可能な脱水縮合剤としては、例えば一般に脱水縮合剤として使用されるものであればよく、例えば五酸化二リン、無水塩化亜鉛等の無機脱水剤類;例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩等のカルボジイミド類;例えばポリリン酸、無水酢酸、カルボニルジイミダゾ−ル、p−トルエンスルホニルクロライド;等が挙げられる。
前記第二の態様において、脱水縮合剤の使用量は、一般式[3]で表される化合物に対して好ましくは1〜50倍モル、より好ましくは1〜30倍モル、さらに好ましくは1〜10倍モルである。
前記第二の態様において、所望により用いられる反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘキサノン、t−ブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;例えばクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;例えばアセトニトリル等のニトリル類;例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
前記第二の態様において、反応溶媒の使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0〜100倍体積、より好ましくは0〜50倍体積、さらに好ましくは0〜20倍体積となる量である。
前記第二の態様において、反応温度は、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは−20〜80℃、さらに好ましくは−10〜50℃である。また、反応時間は、好ましくは0.5〜200時間、より好ましくは0.5〜36時間、さらに好ましくは0.5〜12時間である。
また、前記第三の態様において、使用可能な酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、無水リン酸等の鉱酸類;p−トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸類;例えば三フッ化ホウ素エーテラート等のルイス酸;等が挙げられる。
前記第三の態様において、酸触媒の使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0.01〜0.5倍モル、より好ましくは0.01〜0.2倍モル、さらに好ましくは0.01〜0.1倍モルである。
前記第三の態様において、所望により用いられる反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
前記第三の態様において、反応溶媒の使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0〜100倍体積、より好ましくは0〜50倍体積、さらに好ましくは0〜20倍体積となる量である。
前記第三の態様において、反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは20〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.5〜200時間、より好ましくは0.5〜36時間、さらに好ましくは0.5〜12時間である。
さらにまた、本発明の製造法において、一般式[2]におけるXがアルコキシ基である化合物を用いる態様(以下、「第四の態様」という)では、これを適当な酸又は塩基触媒下、所望により適当な溶媒を用いてノルボルネオールとエステル交換反応させてもよい。
前記第四の態様において、ノルボルネオールの使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0.8〜1000倍モル、より好ましくは0.8〜100倍モル、さらに好ましくは0.8〜50倍モル、さらにより好ましくは0.8〜10倍モルである。
前記第四の態様において、使用される酸又は塩基触媒としては、エステルとアルコールの一般的なエステル交換に使用されるものが挙げられ、酸触媒の具体例としては、例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、塩基触媒の具体例としては、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。
前記第四の態様において、所望により用いられる反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;例えばアセトニトリル等のニトリル類;例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
前記第四の態様において、反応溶媒の使用量は、一般式[2]で表される化合物に対して、好ましくは0〜100倍体積、より好ましくは0〜50倍体積、さらに好ましくは0〜20倍体積となる量である。
前記第四の態様において、反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは20〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.5〜200時間、より好ましくは0.5〜36時間、さらに好ましくは0.5〜12時間である。
尚、上記した如き種々の反応(前記第一〜第四の態様を含む)において、反応液から本発明の一般式[1]で表される化合物を精製する際には、一般式[1]で表される化合物がその分子中に重合性二重結合を有していることから、重合禁止剤を使用して該化合物が重合しないようにすることが好ましい。
重合禁止剤としては、一般的に重合禁止剤(重合防止剤)として使用されるものであればよく、具体的には、例えばp−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名:イルガノックス1010)等のフェノール系化合物;例えばハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ハイドロキノン等のハイドロキノン系化合物;例えばN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩等のニトロソアミン系化合物;無機塩として臭化リチウム;等が挙げられる。尚、重合禁止剤の使用量は、一般式[1]で表される化合物の重量に対して好ましくは10〜10000ppm、より好ましくは100〜500ppmとなる量である。本発明の化合物を光ファイバ用途とする場合、残留する重合禁止剤は、損失悪化、特に高温時の着色に伴う損実悪化が懸念される。そのため、蒸留やカラムによる吸着などの既知の方法で除くことができる重合禁止剤、例えばテトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等を好ましく用いることができる。また、その除去の目安としては、残留量がモノマーに対する質量換算で50ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。
本発明の一般式[1]で表される化合物は、分子中に重合性二重結合を有していることから、それを単独で或いは種々のモノマーと共に重合反応に付すことにより、容易にホモポリマー或いは種々のコポリマーが得られる。具体的には、本発明の前記一般式[1]で表される化合物とともに、該化合物が硬化可能な範囲で種々の添加剤を含有する重合性組成物を調製し、該組成物を重合することによって、種々の組成の重合体を得ることができる。重合条件や得られる重合体の物性を調整するために、重合開始剤および連鎖移動剤をはじめとする各種添加剤を任意に添加して構成することができる。本明細書において、一般式[1]で表される化合物それ自体、又は該化合物と添加剤との混合物を重合性組成物という。
本発明の一般式[1]で表される化合物の一種或いは二種以上を重合して得られるポリマーのガラス転移温度(以下、Tgと略記する場合がある。)は、好ましくは100〜130℃、より好ましくは120〜130℃である。
また、本発明の一般式[1]で表される化合物は、R1、R2及びR3で表される基が有する水素原子の一部または全部を重水素化するだけでなく、R4で表されるノルボルニル基が有する水素原子の4つ以上が重水素化されていることから、これを重合して得られるポリマーは、R4で表されるノルボルニル基が有する水素原子の全て或いは5つ以上が軽水素原子である化合物に比べ特定波長領域における透明性に優れている。尚、一般式[1]で表される化合物が有する水素原子のうちの重水素原子の割合(重水素化率)が高くなるにつれ、該化合物を重合して得られるポリマーの特定波長領域における透明性も向上する。なお。本明細書において、前記一般式[1]で表される化合物もしくはその化合物を重合させてなる重合体が有する水素原子のうち重水素原子に置換された比率を重水素化率とする。また、重水素化率0%とは、化合物もしくは重合体の有する水素原子がすべて軽水素からなることを意味する。なお、重水素の天然存在比は0.015%のため重水素置換を行わない化合物の重水素化率は0%と見なすことができる。
前記一般式[1]で表される化合物(「本発明の化合物」という)は、反応機構や物質代謝などを調査する際の標識化合物として有用であり、またこれを重合或いは他のモノマーと共重合して得られるポリマーは、例えば、光学部材、レジスト材料、レンズ用材料、光データ記録媒体などの材料に有用であり、その優れた透明性を生かした透明性製品等にも利用可能である。本発明の化合物を用いることによって得られる光学部材には、例えば、光導性素子類、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠鏡用、眼鏡用、プラスチックコンタクトレンズ用、太陽光集光用等のレンズ類、凹面鏡等が挙げられる。中でも、光導性素子類、レンズ類に用いられるのが好ましい。
中でも、本発明の化合物と重水素化されたメタクリル酸メチルとを共重合することによって得られるコポリマーは、光ファイバ用のポリマーとして非常に有用である。また、重水素化されたメタクリル酸メチルに加え、種々の用途に合わせて、例えばフッ素含有モノマーや各種官能基を有するモノマー等と本発明の化合物とを共重合させることによっても、光ファイバとして有用なポリマーが得られる。
以下は、本発明の化合物の実施態様の一つである光学部材について光ファイバを例として説明する。本実施の形態は、本発明の化合物を重合性モノマーとして使用した重合体を含む領域を有する光ファイバに関する。本実施の形態には、前記重合体を含む領域の屈折率が均一である態様と、分布を持つ態様とがある。その分布構造に応じて、ステップインデックス型プラスチック光ファイバ(SI型POF)、マルチステップインデックス型プラスチック光ファイバ(MSI型POF)、グレーデッドインデックス型プラスチック光ファイバ(GI型POF)と称され、分類されるが、本発明の化合物はいずれの態様のファイバであってもよい。この中でも、GI型POFへの適用が帯域の観点から最も好ましい。MSIやGIにおいて、屈折率を付与する方法として、ドーパントを加える、或いは、屈折率の異なるポリマーを組み合わせる方法が知られている。
本発明の重合体を光学部材、特に光ファイバに用いる場合には重合体は透明ポリマーであることが好ましい。なお、本明細書において、「透明ポリマー」とは、利用する波長においてその光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上であるポリマーをいうものとする。なお、専ら特定波長域において用いる場合は、全波長領域において光線透過率が高いことは必要ではない。
特に、前記一般式[1]で表される化合物を単独重合させた、または他の重合性モノマーと共重合させたポリマーを、光ファイバとして用いると、C−H4倍音に帰属される約910nmの吸収を顕著に減少させることができる。市販されている850nmの光源(VCSEL)対応の光ファイバでは、該光ファイバの910nmの吸収の裾が伝送損失に影響を与える場合がある。前記ポリマーからなる光ファイバは、約910nmの吸収が顕著に小さいので、その影響も少なく、伝送損失を格段に軽減させることができる。前記ポリマーの波長910nmの吸収の吸光度は、同一構造を有する重水素化率0%の重合体と比較して、70%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましい。
本発明の化合物の単独重合、もしくは本発明の化合物と不飽和エチレン性モノマーとの共重合することによって、光ファイバの材料として使用可能な透明性ポリマーを製造することができる。本発明の化合物と共重合可能な不飽和エチレン性モノマーとしては、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、マレイミド類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、アリル化合物、オレフィン酸、ビニルエーテル類、N−ビニルアミド類、ビニル異節環化合物、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、フマル酸エステル類、クロトン酸エステル類などがある。この中では、(メタ)アクリル酸エステル類が、特に好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、メタクリル酸エステル類がより好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。また、ポリマーの透明性の観点から、これらの不飽和エチレン性モノマーは重水素化されているのが好ましい。特に、本発明の化合物と重水素化メチルメタクリレートとを共重合することによって得られるコポリマーは、光ファイバ用のポリマーとして非常に有用である。なお、共重合比は目的とする特性値、用いる共重合モノマーの種類に応じて、適切な値に調整することができる。
該透明性ポリマーを調製する際には、目的とする光学部材に合わせて、公知の重合開始剤、連鎖移動剤を用いて適当な分子量に調整することが可能である。好ましい開始剤、連鎖移動剤は国際公開WO03/19252号公報に記載のパーオキサイド系化合物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は勿論これらに限定されるものではなく、2種類以上を併用して用いることができる。重合体の分子量としては、機械特性や透明性などの各物性をバランスよく満足させるために重量平均分子量で10000〜1000000の範囲とする事が好ましい。重合法も溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などを公知の重合法を採用でき、透明性の観点からは塊状重合が好ましい。さらに、屈折率調整成分を添加して屈折率を調整することも可能であり、界面ゲル重合法を利用すれば、所望の方向に沿って屈折率分布を付与することも可能である。
屈折率調整成分は、これを添加することにより重合性組成物のみからなる重合体に、それが元々有する屈折率と異なる屈折率を付与する成分であり、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。その屈折率差(屈折率調整成分によって生じる屈折率差)は、0.005以上であるのが好ましい。屈折率調整成分は、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有するものを用いるのが好ましい。また、屈折率調整成分は重合性化合物であってもよく、重合性化合物が屈折率調整成分の場合は、これを共重合成分として含む共重合体がこれを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いるのが好ましい。上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、屈折率調整成分として用いることができる。この屈折率調整成分をポリマーマトリクスに加えることにより、用途や目的に応じて屈折率の値や分布の形態を所望の値に調整することができる。例えば、国際公開WO03/19252号公報、特開2003−75656号公報、特開2003−149463号公報に記載の方法によれば、コア部の屈折率が分布する様に形成することができ、得られる光学部材は広い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光学部材となる。
前記屈折率調整成分としては、低分子化合物として、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジルn−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられる。中でも、BEN、DPS、TPP、およびDPSOが好ましい。前記屈折率調整成分としては、一般式[1]で表される化合物と共重合可能なモノマーとして、例えば、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ブロモフェニルメタクリレートなどが挙げられる。なお、本発明に用いられる態様においては特にこれらの化合物中に存在する水素原子を重水素原子に置換するのが好ましく、例えば重水素化ブロモベンゼンなども広い波長域での透明性を向上させる目的で用いることが出来る。
これらの屈折率調整成分の濃度および分布を調整することによって、屈折率を所望の値に変化させることができるが、その種類や添加量は、用途に応じて適宜選ばれる。屈折率調整成分は、複数種類添加してもよい。
本発明の光学材料、部品の製造方法としては、射出成形法、圧縮成形法、マイクロモールド法、フローティングモールド法、インジェクションコンプレッション成形法、キャスティング成形法等の公知の成形法を利用することができる。さらに、上記のような成形法により得られた成形品表面に、各種のコーティングを施すことにより、耐湿性、光学特性、耐薬品性、耐磨耗性、曇り止めなどを向上させてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
(参考例1:2−ノルボルナノンの重水素化)
2−ノルボルナノン 40.0g及びパラジウムカーボン(Pd 10%) 4.0gを重水(D2O) 680mLに懸濁させ、反応系を水素置換した後、油浴中180℃で約24時間反応させた。反応終了後、反応液にn−ヘキサンを加えて触媒を濾去し、有機層を分液した後溶媒を減圧留去して、重水素化2−ノルボルナノン 35.0gを得た(収率85%)。
(参考例2:重水素化ノルボルネオールの合成)
参考例1で得られた、重水素化2−ノルボルナノン 35.0gを無水テトラヒドロフラン 150mLに溶解した溶液を、窒素気流下、予め重水素化リチウムアルミニウム 4.6gを懸濁させた無水テトラヒドロフラン 150mLに氷冷下で滴下し、約2時間反応させた。反応終了後、さらに一夜放置した後、反応溶液中に生成した結晶が溶解するまで反応溶液に希塩酸を滴下し、これをエーテルで抽出した後、溶媒を減圧留去して、重水素化ノルボルネオール34.2gを得た(収率96%)。得られた重水素化物の1H−NMR及び2H−NMRを測定して構造解析を行ったところ、重水素化物の平均重水素化率は49%であった。
(参考例3:ノルボルネオールの重水素化)
ノルボルネオール 20.0g及びパラジウムカーボン(Pd 10%)2.0gを重水(D2O)340mLに懸濁させ、油浴中180℃で約24時間反応させた。反応終了後、反応液にn−ヘキサンを加えて触媒を濾去し、有機層を分液した後、溶媒を減圧留去して、重水素化ノルボルネオール11.8gを得た(収率59%)。得られた重水素化物の1H−NMR及び2H−NMRを測定して構造解析を行ったところ、重水素化物の平均重水素化率は51%であった。
(実施例1:本発明の化合物の製造)
参考例2で得られた重水素化ノルボルネオール28.8g及びトリエチルアミン25.3gをジクロロメタン75mLに溶解し、この溶液に氷冷下で、全ての水素原子が重水素化されている塩化メタクリロイル 30.1gを滴下し、室温で2時間反応させた。反応終了後、析出した結晶を濾去し、濾液にp−メトキシフェノールを加えたものを減圧蒸留して、沸点61〜65℃/1Torrの無色油状ノルボルニルメタクリレート 35.2gを得た(収率75%)。得られた重水素化物の1H−NMR及び2H−NMRを測定して構造解析を行ったところ、化合物全体の重水素化率は66.8%(以下、「WDM−3」という)であった。
(実施例2:ホモポリマーの合成)
実施例1で得られたWDM−3 1.0gにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)[和光純薬工業社製、商品名V−601]1mgを添加した後、真空下70℃で6時間、重合反応させた。重合反応終了後、得られた反応液にメタノールを注入して沈殿させ、析出した固体を濾取し、これを減圧乾燥して白色粉末状の重水素化ポリ(ノルボルニルメタクリレート)0.8gを得た。得られたポリマーのガラス転移温度は約143℃であった。
(実施例3:コポリマーの合成)
実施例1で得られたWDM−3 1.0g、重水素化メチルメタクリレート(MMA−d8)5.0gを混合し、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)[和光純薬工業社製、商品名V−601]1mg、ラウリルメルカプタン 1.5mgを添加した後、真空下70℃で6時間、重合反応させた。重合反応終了後、得られた反応液にメタノールを注入して沈殿させ、析出した固体を濾取し、これを減圧乾燥して白色粉末状の重水素化ポリ(ノルボルニルメタクリレート/メチルメタクリレート)5.7gを得た。得られたポリマーの重量平均分子量は9.9万、分子量分布は2.0であった。ガラス転移温度は約115℃であった。
(実施例4)
実施例1で得られたWDM−3、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を前記WDM−3に対して0.14重量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンを前記WDM−3に対して0.2重量%配合して重合性組成物を調製した。該重合性組成物を窒素にて5分間脱気した後、密閉して、70℃で24時間、90℃で24時間、さらに105℃で3時間重合させて、ポリマーロッドを作製した。こうして得られたポリマーロッドの両末端をダイヤモンドカッターで切断し、さらに切断表面を光学的な研磨を施し、実施例4とした。近赤外吸収スペクトルを測定した。その結果を図1に示す。
(比較例1及び2)
本発明の化合物であるWDM−3を、NBXMA−d5(全重水素化率31.3%、側鎖重水素化率(即ち式[1]中のR4の重水素化率)0%)またはNBXMA(全重水素化率0%)に代えた以外は実施例4と全く同じようにしてポリマーロッドを得(比較例1及び2)、同様にして近赤外吸収スペクトルを測定した。測定結果を図1に示す。
図1の近赤外吸収スペクトルの測定結果より、本発明の化合物であるWDM−3を含有する組成物を重合して得られたポリマーロッドは、比較例化合物の重合体からなるポリマーロッドと比較して、約730nmや約910nmのC−H4倍音の吸収が顕著に減少していることがわかる。このことは、例えば、WDM−3を含有する組成物を重合して得られたポリマーを、市販されている850nmの光源(VCSEL)用の光ファイバの材料として用いた場合、910nmの吸収の裾が伝送損失に影響をほとんど与えず、透明で、伝送損失が小さい光ファイバとなることがわかる。さらにプラスチック光ファイバによく用いられているPMMAのガラス転移温度105℃より高いため、良好な耐熱性も有している。従って、前記ポリマーを、例えば、国際公開WO03/019252号公報に記載の方法で延伸し、ファイバ化することで耐熱性が高くC−H高調波振動吸収の非常に小さい、透明な光ファイバを得ることができる。
本発明によれば、重水素化率が高く、且つその原料が安価であり、したがってコスト面で工業的に有利に使用し得る、一般式[1]で表される重水素化化合物を提供することができる。また、各種モノマーと共重合させることにより、高温環境等の過酷な条件下でも使用し得る耐熱性を有し、透明性に優れ光伝送損失の少ない、大容量高速伝送システム等に使用可能な光ファイバ用の原料ポリマーを得ることが可能となる。
実施例4、比較例1および2の近赤外吸収スペクトルの測定結果である。

Claims (8)

  1. 下記一般式[1]で表される化合物:
    Figure 2007528859
    式中、R1及びR2はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、R4はノルボルニル基であり、当該基が有する水素原子の4つ以上が重水素原子である。
  2. 4で表されるノルボルニル基が有する水素原子のうち、5つ以上が重水素原子である請求項1の化合物。
  3. 4で表されるノルボルニル基が有する水素原子のうち、6つ以上が重水素原子である請求項1の化合物。
  4. 下記一般式[1]で表される化合物:
    Figure 2007528859
    式中、R1及びR2はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、R4はノルボルニル基であり、当該基が有する水素原子の4つ以上が重水素原子である;の製造方法であって、
    4つ以上の重水素原子を有するノルボルネオールと、下記一般式[2]:
    Figure 2007528859
    式中、R1及びR2は各々独立して軽水素原子又は重水素原子を表し、R3は軽水素原子、重水素原子又はメチル基{但し、該メチル基の3つの水素原子はそれぞれ独立して軽水素原子又は重水素原子である}を表し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基又はアルコキシ基を表す)で表される化合物と、を反応させることを含む、前記一般式[1]で表される化合物の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項の化合物を含有する重合性組成物を重合させてなる重合体。
  6. 重合体が有する水素の重水素化率が50%以上である請求項5の重合体。
  7. 請求項5または6の重合体を含む領域を有する光学部材。
  8. 全水素原子が軽水素である以外は同一構造を有する重合体と比較して910nmにおける吸光度が70%以下である請求項7の光学部材。

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