JP2007526939A - チオール・エステル組成物、ならびにそれを生成するプロセスおよびそれを使用する方法 - Google Patents

チオール・エステル組成物、ならびにそれを生成するプロセスおよびそれを使用する方法 Download PDF

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Abstract

本発明はチオール・エステル組成物、ならびにそれを生成するプロセスおよびそれを使用する方法を提供する。いくつかの実施態様では、同チオール・エステル組成物はチオール・エステル、ヒドロキシ・チオール・エステルおよび架橋チオール・エステルを含有する。同チオール・エステル組成物は、架橋チオール・エステル、スルホン酸含有チオール・エステル、スルホン酸塩含有チオール・エステル、チオアクリレート含有チオール・エステルの生成に使用できる。同チオール・エステル組成物はポリチオウレタンの生成にも使用できる。同ポリチオウレタンは肥料および肥料のコーティング材に使用できる。

Description

関連出願との相互参照
本出願は、以下の4件の仮出願の特典を享受する:米国出願番号60/545,260(出願日:2004年2月17日)、米国出願番号60/561,614(出願日:2004年4月13日)、米国出願番号60/561,685(出願日:2004年4月13日)および米国出願番号60/561,885(出願日:2004年4月13日)。これらは全面的に本明細書内に引用されている。
発明の背景
本発明は、一般的には不飽和エステル組成物とチオール基を形成可能な物質との反応によって得られるチオール含有エステル組成物、並びに同組成物を生成するプロセスおよびそれを使用する方法に関する。
化学産業は、豊富に供給可能なより安価な原料を用いてポリマー、肥料、燃料といった製品の生産に努力している。化石燃料は長期的には徐々に枯渇するので、燃料にとって代わる代替源が常に探し求められている。更に、化学産業は、安全および環境問題に関連する潜在的な災害やリスクを低減するために、環境に優しい製品を生成し、また環境に優しい原料を使用するように不断の努力をしている。
発明の要約
本発明はチオール含有組成物を有利に提供し、またこのような組成物を有利に生成する方法を提供する。更に、本発明は、同組成物およびそれを生成する方法の他に、同組成物を含有する製品も提供する。
本発明の一実施態様として、チオール・エステル組成物が有利に提供される。同実施態様では、同組成物は分子当り平均して少なくとも1.5個のチオール基を有するチオール・エステル分子を含有する。同チオール・エステル分子は、分子当り平均して少なくとも1.5個のチオール基を含有する。更に、同チオール・エステル分子での環状硫化物/チオール基のモル比は1.5未満である。
本発明のいくつかの態様では、同チオール・エステル分子での環状硫化物/チオール基のモル比は0〜1.0である。また、他の態様では、チオール・エステル分子は、分子当り平均して1.5〜9個のチオール基を含有する。更に他の態様では、同チオール・エステル分子での炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比は1.5未満である。
同チオール・エステル分子内のチオール系硫黄あるいはメルカプタン系硫黄の量も変化し得る。例えば、いくつかの実施態様では、同チオール・エステル分子は平均して5重量%を超えるチオール系硫黄を含有する。他の実施態様では、同チオール・エステル分子は8〜10重量%のチオール系硫黄を含有する。更に他の実施態様では、同チオール・エステル分子は平均して30分子%未満の硫黄(環状硫化物として存在)を含有する。更に他の実施態様では、同チオール・エステル分子は平均して2分子%未満の環状硫化物として存在する硫黄を含有する。
いくつかの態様では、同チオール・エステル分子は、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖を平均して25重量%未満含有する不飽和エステルから生成される。他の態様では、同チオール・エステル分子内の全側鎖の40%超は硫黄を含有する。
このようなチオール・エステル組成物の他に、本発明の他の実施態様は同チオール・エステル組成物を有利に生成するプロセスも提供する。同組成物を生成するために、硫化水素を不飽和エステルに接触させる。同不飽和エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基を含有する。更に、同不飽和エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を含有する。硫化水素と不飽和エステルは反応して同チオール・エステル組成物を形成あるいは生成する。同チオール・エステル組成物は、環状硫化物/チオール基のモル比1.5未満のチオール・エステル分子を有利に含有する。
硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程でのプロセス変数は、本発明の実施態様によって変化する。一態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。いくつかの実施態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は不均一系触媒の存在下で実施される。また他の態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は遊離ラジカル系反応開始剤あるいは紫外線照射により開始される。硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程の温度は変化し得る。いくつかの態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は−20°Cを超える温度下で実施される。他の例では、同プロセスは連続式であり、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は溶剤が存在しない状態で、−20°Cを超える温度下で、紫外線照射により開始されて実施される。他の種類のプロセス変数およびそれの組み合わせは、当業界の熟練者には周知のように、変化し得る。
チオール・エステル組成物を生成するための他のプロセスも、本発明の他の実施態様として有利に提供される。同プロセスの実施態様では、硫化水素と不飽和エステル組成物が接触される。同不飽和エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基および平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和エステルを含有する。硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は実質的に溶剤が存在しない状態で実施されて同チオール・エステル組成物を生成する。同チオール・エステル組成物はチオール・エステル分子を含有する。同チオール・エステル組成物は環状硫化物/チオール基のモル比が1.5未満のチオール・エステル分子を有利に含有する。
硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程でのプロセス変数は、本発明の実施態様によって変化する。一態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。いくつかの態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は不均一系触媒の存在下で実施される。また他の態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は遊離ラジカル系反応開始剤あるいは紫外線照射により開始される。硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程の温度は変化し得る。いくつかの態様では、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は−20°Cを超える温度下で実施される。
本発明のいくつかの態様では、同不飽和エステル組成物は、本明細書内で言及されているように、天然産の油を含有する。他の態様では、不飽和エステル組成物は大豆油を含有する。他の種類の不飽和エステル組成物も本明細書内で言及されている。
同プロセスにより生成するチオール・エステル分子はいくつかの有利な特性を有している。例えば、いくつかの実施態様では、同チオール・エステル分子は2を超える硫化水素/炭素−炭素二重結合のモル比を有している。他の実施態様での一例では、同チオール・エステル分子は、平均して5重量%超えるチオール系硫黄を含有する。他の態様では、同チオール・エステル分子の全側鎖の40%超は硫黄を含有する。
本発明の他の実施態様は、同チオール・エステル組成物を生成するための他のプロセスも有利に提供する。同実施態様では、ポリオール組成物とチオール・カルボン酸組成物が接触・反応されて同チオール・エステル組成物を生成する。同チオール・エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基および少なくとも1.5個のチオール基を有するチオール・エステル分子を含有する。
本発明の他の実施態様は、チオール・エステル組成物以外の組成物も有利に提供する。例えば、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物が本発明の他の実施態様として提供される。同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基および少なくとも1.5個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有する。
本明細書内に記載されているように、同α−ヒドロキシ・チオール基はアルコール基あるいは水酸基およびチオール基を同一基内に含有する。本発明のいくつかの実施態様では、同α−ヒドロキシ・チオール基は個々のアルコール基およびチオール基に代えることが可能である。これらのいくつかの実施態様では、個々のアルコール基およびチオール基と同数のα−ヒドロキシ・チオール基を用いることができる。例えば、いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は平均して少なくとも1.5個のα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。個々のアルコール基およびチオール基を用いるいくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は平均して少なくとも1.5個のアルコール基と平均して少なくとも1.5個のチオール基を含有する。
いくつかの態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個のα−ヒドロキシ・チオール基を有している。いくつかの実施態様では、同チオール・エステル分子の炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比は1.5未満である。
いくつかの態様では、同チオール・エステル分子は、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖を平均して25重量%未満含有する不飽和エステルから生成される。他の態様では、同α−ヒドロキシ・チオール・エステル分子内の全側鎖の40%超は硫黄を含有している。
同ヒドロキシ・チオール・エステル分子内のチオール系硫黄の量も変化し得る。例えば、いくつかの態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は平均して5重量%を超えるチオール系硫黄を含有する。他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は8〜10重量%のチオール系硫黄を含有する。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子のエポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基のモル比は2未満である。他の態様では、同組成物は実質的にエポキシド基を有していない。
このようなヒドロキシ・チオール・エステル組成物の他に、本発明のいくつかの実施態様は同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を有利に生成する方法あるいはプロセスも提供する。一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成するために硫化水素とエポキシ化不飽和エステルを接触させる工程を包含するプロセスを提供する。同エポキシ化不飽和エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基および平均して少なくとも1.5個のエポキシド基を有するエポキシ化不飽和エステル分子を含有する。硫化水素とエポキシ化不飽和エステルは反応してヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する。
本発明のいくつかの態様では、同エポキシ化不飽和エステル組成物は、本明細書内で言及されているように、エポキシ化された天然産の油を含有する。他のいくつかの実施態様では、同組成物はエポキシ化大豆油を含有する。他の種類のエポキシ化不飽和エステル組成物も本明細書内で言及されている。
いくつかの実施態様では、エポキシ化不飽和エステルでの硫化水素/エポキシド基のモル比は1を超える。
一態様では、硫化水素とエポキシ化不飽和エステルの反応工程は触媒の存在下で実施される。
本発明の他の実施態様は同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する他のプロセスを有利に提供する。同プロセスの実施態様では、ポリオール組成物とヒドロキシ・チオール・カルボン酸組成物を接触・反応させて同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する。同実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基および平均して少なくとも1.5個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有する。
本発明の他の実施態様は、架橋チオール・エステル組成物を有利に提供する。同架橋チオール・エステル組成物は、−S−(ここでQは1超の数値)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーにより形成されるチオール・エステル・オリゴマーを含有する。いくつかの実施態様では、同チオール・エステル・オリゴマーは多硫化物連鎖によって連結された少なくとも3個のチオール・エステル・モノマーを含有する。他の態様では、同チオール・エステル・オリゴマーは多硫化物連鎖によって連結された3〜20個のチオール・エステル・モノマーを含有する。
一態様では、同架橋チオール・エステル組成物は、チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの両方を含有する。いくつかの実施態様では、チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの合計のチオール系硫黄の濃度は0.5〜8重量%であり、また他の実施態様ではその濃度は8〜15重量%である。チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーを合わせた平均分子量は2,000を超えてもよいし、また他の実施態様では2,000〜20,000である。
本発明の他の実施態様では、架橋チオール・エステル組成物は、チオール・エステル組成物を酸化剤と接触させ、同チオール・エステルと酸化剤を反応させてチオール・エステル・オリゴマーを生成する工程を包含するプロセスによって有利に生成される。同実施態様では、同チオール・エステル・オリゴマーは−S−(ここでQは1超の数値)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーを含有する。
同架橋チオール・エステル組成物を生成するプロセスは、本発明の他の実施態様として有利に提供される。同プロセスは、チオール・エステル組成物を酸化剤と接触・反応させて−S−(ここでQは1超の数値)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーを含有するチオール・エステル・オリゴマーを生成する。他の実施態様では、同酸化剤は元素硫黄、酸素あるいは過酸化水素から選ばれる。一態様では、同酸化剤は元素硫黄である。
一態様では、同チオール・エステルはヒドロキシ・チオール・エステルである。他の態様では、元素硫黄/チオール・エステル内チオール系硫黄の重量比は0.5〜32である。
同チオール・エステルと酸化剤を反応させる工程は、25〜150°Cの温度下で実施してよい。同架橋チオール・エステル組成物を生成するプロセスは、生成架橋チオール・エステル組成物から残留硫化水素を除去するためのストリッピング工程も包含してよい。他の態様では、同チオール・エステルと元素硫黄の反応は触媒の存在下で実施してよい。いくつかの実施態様では、同触媒はアミンである。
本発明の他の目的は新規な肥料材料を提供することである。
本発明の更に他の目的は肥料材料を生産する新規なプロセスを提供することである。
従って、本発明はひとつの態様においてポリチオウレタンおよび/あるいはエポキシ・ポリマーでカプセル化され制御された様式で放出される耐摩耗性の肥料材料に関する。
また本発明は他の態様において、コーティング材で被覆された粉末状の植物栄養素からなる制御された様式で放出される肥料材料に関し、同コーティング材は(i)イソシアナートおよび/あるいはエポキシ樹脂から選ばれる第一の成分および(ii)チオール・エステル組成物、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物、架橋チオール・エステル組成物およびその混合物の群から選ばれる第一の活性含水素化合物からなる混合物の反応生成物である。
また本発明は更に他の態様において、コーティング材で被覆された粉末状の植物栄養素からなる制御された様式で放出される肥料材料に関し、同コーティング材は(i)イソシアナートおよび/あるいはエポキシ樹脂および(ii)含硫黄植物油からなる混合物の反応生成物である。
また本発明は更に他の態様において、コーティング材で被覆された粉末状の植物栄養素からなる制御された様式で放出される肥料材料に関し、同コーティング材は(i)イソシアナートおよび/あるいはエポキシ樹脂および(ii)含硫黄大豆油からなる混合物の反応生成物である。
また本発明は更に他の態様において、粉末状の植物栄養素からなる少なくとも1種のコーティング材で被覆された制御された様式で放出される肥料材料に関し、同コーティング材はポリチオウレタンおよび/あるいはエポキシ・ポリマーからなる。
また本発明は更に他の態様において、粉末状の植物栄養素からなる少なくとも1種のコーティング材で被覆された制御された様式で放出される肥料材料に関し、同コーティング材はイソシアナート、ワックスおよび含硫黄植物油を含有する活性含水素化合物からなる混合物の反応生成物である。
また本発明は更に他の態様において、粉末状の植物栄養素からなりポリチオウレタンおよび/あるいはエポキシ・ポリマーでカプセル化された制御された様式で放出される耐摩耗性の肥料材料を生成するプロセスに関し、同プロセスは含硫黄化合物(例えば、チオール・エステル組成物、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物、架橋チオール・エステル組成物、後述の他の含硫黄化合物およびこれらの混合物の少なくとも1種)をウレタンおよび/あるいはエポキシ・ポリマーを形成する混合物に投入する。
本発明のポリチオウレタンでカプセル化された制御された様式で放出される肥料材料の生成においては、好ましくは、1種類の含硫黄化合物(例えば、チオール・エステル組成物、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物、架橋チオール・エステル組成物の少なくとも1種)をイソシアナート反応性成分(単独あるいは他の含水素化合物と組み合わせた)のひとつとして使用する。好ましくは、同含硫黄化合物は含硫黄植物油である。一つの好ましい実施態様では、同含硫黄化合物はメルカプト化植物油(MVO)であり、より好ましくは以下に詳述される植物油、更により好ましくは植物油に硫化水素を添加して得られるMVOである。他の好ましい実施態様では、同含硫黄植物油はメルカプト−ヒドロキシ植物油(MHVO)であり、より好ましくは以下に詳述される植物油、更により好ましくはエポキシ化植物油に硫化水素を添加して得られるMHVOである。更に他の好ましい実施態様では、同含硫黄植物油は硫黄架橋のメルカプト化植物油(CMVO)であり、より好ましくは以下に詳述される植物油、更により好ましくはメルカプト化植物油(MVO)に硫化水素を添加して得られるCMVOである。
本発明のエポキシ・ポリマーでカプセル化された制御された様式で放出される肥料材料の生成においては、好ましくは、1種類の含硫黄化合物(例えば、チオール・エステル組成物、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物、架橋チオール・エステル組成物の少なくとも1種)をイソシアナート反応性成分(単独あるいは他の含水素化合物と組み合わせた)のひとつとして使用する。好ましくは、同含硫黄化合物は含硫黄植物油(例えば、MVOおよび/あるいはMHVOおよび/あるいはCMVO)をエポキシ樹脂反応性成分のひとつとして使用する。
本発明のひとつの好ましい実施態様では、ポリチオウレタンでカプセル化された制御された様式で放出される肥料材料は以下の工程で生産される:
(i)含硫黄植物油(好ましくは本明細書で記載されているMVO、MHVOおよびCMVOの少なくとも1種)を含有するイソシアナート反応性成分を肥料粒子に塗布してコーティングされた肥料粒子を生成する工程、および
(ii)イソシアナートをコーティングされた肥料粒子に塗布して肥料材料を生成する工程。
これらの工程(i)および(ii)は、肥料粒子を封入するカプセルとなるポリチオウレタン・コーティングを望ましい厚さにまで形成するために任意の回数(例えば2〜10回)繰り返してよい。このプロセスで生成される制御された様式で放出される肥料材料はポリチオウレタン・コーティング材をコーティングされた肥料材料全量に対して好ましくは約1.5〜20重量%、より好ましくは約2〜15重量%、最も好ましくは約2.5〜10重量%含有する。
本発明の他の実施態様では、ポリチオウレタンでカプセル化された制御された様式で放出される肥料材料は以下の工程で生産される:
(i)イソシアナート成分を肥料粒子に塗布してコーティングされた肥料粒子を生成する工程、および
(ii)含硫黄植物油(好ましくは本明細書で記載されているMVO、および/あるいはMHVOおよびCMVOの少なくとも1種)を含有する活性含水素化合物をコーティングされた肥料粒子に塗布して肥料材料を生成する工程。この場合も、これらの工程(i)および(ii)は、肥料粒子を封入するカプセルとなるポリチオウレタン・コーティングを望ましい厚さにまで形成するために任意の回数(例えば2〜10回)繰り返してよい。このプロセスで生成される制御された様式で放出される肥料材料はポリチオウレタン・コーティング材をコーティングされた肥料材料全量に対して好ましくは約1.5〜20重量%、より好ましくは約2〜15重量%、最も好ましくは約2.5〜10重量%含有する。
本発明の更に他の実施態様では、ポリチオウレタンでカプセル化された制御された様式で放出される肥料材料は以下の工程で生産される:
(i)イソシアナートおよび含硫黄植物油(好ましくは本明細書で記載されているMVO、およびMHVOおよびCMVOの少なくとも1種)を含有する活性含水素化合物からなるプレポリマーを肥料粒子に塗布してコーティングされた肥料粒子を生成する工程、および
(ii)同プレポリマーをポリチオウレタンに転化して肥料材料を生成する工程。
工程(i)で使用されるプレポリマーは以下の方法で生成してよい:(a)含硫黄植物油(好ましくは本明細書で記載されているMVO、およびMHVOおよびCMVOの少なくとも1種)を含有する活性含水素化合物と(b)イソシアナートを接触させて連続式あるいは回分式で生成する。この際、成分(a)での遊離(つまり未反応)の活性水素種に対する成分(b)での遊離(つまり未反応)のイソシアナート基の比率を約0.8:1〜約2.0:1、好ましくは約0.9:1〜約1.5:1、最も好ましくは約0.95:1〜約1.3:1に維持する。
このようにして、本発明の一実施態様では、工程(i)で使用されるプレポリマーは過剰量のイソシアナートを含有する。この場合、工程(ii)での転化は、工程(i)で使用されるのと同じか異なってもよい活性含水素化合物を更に添加する。他の実施態様では、工程(i)で使用されるプレポリマーは過剰量の活性含水素化合物を含有する。この場合、工程(ii)での転化は、工程(i)で使用されるのと同じか異なってもよいイソシアナートを更に添加する。好ましくは、工程(ii)では、プレポリマー上の実質的に全ての遊離イソシアナートあるいは活性含水素化合物に見合うに十分な量の活性含水素化合物あるいはイソシアナートを添加する。
プレポリマーを使用する実施態様は注意深く実施しなければならない。なぜならば、共反応物質はひとたび混合されると反応は開始し、ポリチオウレタンが生成して粘度が上昇し、肥料粒子に対する成分の塗布性が低下する可能性があるからである。しかしながら、この粘度上昇は、共反応物質を肥料粒子に対して塗布する前の段階で混合時間および温度を制御することにより管理可能である。
その他の好ましい実施態様では、有機添加剤を(1)1種あるいは複数種の共反応物質に添加する(予混合)および/あるいは(2)共反応物質に添加する前に、最初に肥料粒子に添加する(プレコーティング)および/あるいは(3)最終的な工程としてポリチオウレタンでコーティングされた肥料粒子に塗布する(上塗り)。好ましい有機添加剤は、ワックス、ワセリン、アスファルト、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、高級アルコール、シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選んでよいが、これらに限定されない。
更に、コーティング材は、ポリウレタン・ポリマーの生産の熟練者が通常用いる架橋剤を含有してよい。好ましい架橋剤は低分子量ジオール、アミンで開始された反応で生成されるポリエチレン・グリコールおよびポリプロピレン・グリコール、グリセロール、ソルビトール、ネオペンチル・グリコール、アルキル・ジアミン、アリール・ジアミンおよびこれらの混合物からなる群から選んでよい。
更に、触媒の使用(ポリチオウレタンのコーティング材の硬化速度を上げるために通常採用されている)を本発明のポリウレタン生成プロセスに適用してよい。適切な触媒として、ターシャリー・アミン、有機スズ化合物およびこれらの混合物からなる群から選んでよい。
コーティング材の流動性および/あるいは塗布性の向上のための添加剤を本発明のプロセスに用いることも選択可能な方法である。本発明に有用な流動性・塗布性向上剤は、ポリウレタン生産に携わる熟練者が通常使用しているものを包含する。
好ましい一実施態様では、エポキシ・ポリマーでカプセル化され制御された様式で放出される肥料材料を生成するプロセスは以下の工程を包含する:
(i)含硫黄植物油(好ましくは本明細書で記載されているMVO、MHVOおよびCMVOの少なくとも1種)を含有するエポキシ反応性成分を肥料粒子に塗布してコーティングされた肥料粒子を生成する工程、および
(ii)エポキシ樹脂成分をコーティングされた肥料粒子に塗布して肥料材料を生成する工程。
これらの工程(i)および(ii)は、肥料粒子を封入するカプセルとなるエポキシ・コーティングを望ましい厚さにまで形成するために任意の回数(例えば2〜10回)繰り返してよい。このプロセスで生成される制御された様式で放出される肥料材料は、エポキシ・コーティング材をコーティングされた肥料材料全量に対して好ましくは約1.5〜20重量%、より好ましくは約2〜15重量%、最も好ましくは約2.5〜10重量%含有する。
メルカプト化植物油から生成されるエポキシ・ポリマーに関しては、ターシャリー・アミン系触媒の使用が非常に好ましいことが見出されている。同アミン触媒は、メルカプト化植物油中にメルカプチド・アニオンを生成する。エポキシ樹脂に対して反応性を示すのはこのメルカプチド・アニオン型のメルカプト化植物油である(Wicks,Z.W.他、“Organic Coatings:Science and Technology,”Vol.1,Johon wiley & Sons,1992,p.179)。
本発明は、これらのプロセスで生成したカプセル化された肥料組成物にも関する。
肥料材料に関する本発明の態様のために好ましい含硫黄植物油は以下に詳述される植物油である。特に好ましい含硫黄植物油は「ポリメルカプタン358(Chevron Phillips Chemical)」であり、これは大豆油と硫化水素の反応による生成物である。
改良された製品である本発明の制御された様式で放出される(すなわち、ゆっくりと放出される)肥料材料は、驚くべきことにまた予期に反して、ポリチオウレタンでカプセル化された肥料材料を生成するために含硫黄植物油をイソシアナート反応性の成分として用いることによって得られることが見出された。更に、驚くべきことにまた予期に反して、改良された製品である制御された様式で放出される(すなわち、ゆっくりと放出される)肥料材料は、エポキシ・ポリマーでカプセル化された肥料材料を生成するために含硫黄植物油をエポキシ反応性の成分中に用いることによって得られることも見出された。このような含硫黄植物油を用いることにより、多くの利点が得られる。例えば、その結果生成される肥料材料の耐摩耗性が向上する(すなわち、同材料の生産中および/あるいは取り扱い中の耐久性が向上する);含硫黄植物油は天然の再生可能な資源から得られる;含硫黄植物油はその硫黄成分により、より極性の高い酸素官能性基を有する通常型のポリオールに比べて疎水性が高い;そして少ないコーティング量で(例えば、米国特許5,538,531「Hudson」および6,358,296「Markusch」に比べて)規定された放出速度プロファイルを達成できる。
図面の簡単な説明
本発明の特徴、利点および目的、ならびにその他の明らかな項目は、これまで簡単に要約した本発明を本明細書の一部を構成する添付図面に示される実施態様の参照により、より詳細に理解されよう。ただし、これらの図面は本発明の特定の実施態様のみを説明するためのものであり、他の同様に有効な実施態様をも包含し得る本発明の範囲を制限するものではないと解されるべきである。
図1は2種類のグラフを載せており、大豆油のNMR測定結果(上図)と大豆油から本発明の実施態様に従って生成したチオール含有エステルの同測定結果(下図)を比較している。
図2は2種類のグラフを載せており、エポキシ化大豆油のNMR測定結果(上図)とエポキシ化大豆油から本発明の実施態様に従って生成したチオール含有エステルの同測定結果(下図)を比較している。
図3は大豆油から本発明の実施態様に従って生成し更にメタノリシス処理したチオール含有エステルのガスクロマトグラフ(GC)/質量分光計(MS)のトレースを示している。
図4はメタノリシス処理したエポキシ化大豆油のGC/MSのトレースを示している。
図5はエポキシ化大豆油から本発明の実施態様に従って生成し更にメタノリシス処理したヒドロキシ・チオール含有エステルのGC/MSのトレースを示している。
図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。
図7は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例1〜3で生成したCRF材料の水放出性能を示している。
図8は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例4〜6で生成したCRF材料の水放出性能を示している。
図9は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例7〜10で生成したCRF材料の水放出性能を示している。
図10は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例11〜14で生成したCRF材料の水放出性能を示している。
図11は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例15〜17で生成したCRF材料の水放出性能を示している。
発明の詳細な説明
以下の記載において、本明細書内で使用される全ての数値は、それらに関連して「約」とか「近似的に」という言葉が付けられているか否かにかかわりなく近似的な数値である。これらの数値は、1%、2%、5%、場合によっては10〜20%変化し得る。数値範囲の記載において、下限Rおよび上限Rが記載されている場合は、この範囲内にある特定の数値のことを指す。特に、ある範囲内の下記の数値が特定されている:R=R+k*(R−R)、ここでkは1%きざみで1〜100%の範囲内で変化する、すなわちkは1%、2%、3%、4%、5%、....、50%、51%52%、....、95%、96%、97%、98%、99%あるいは100%のことである。更に、上に定義された2種類のR値で規定される数値範囲も特定されている。
本明細書内に記載される「天然産の」という言葉は、天然に生じる果物、木の実、野菜、その他の植物および動物からその方法を問わずに得られる物質を指す。例えば、天然資源油とは天然に生じる果物、木の実、野菜、その他の植物および動物の油から抽出され、必要ならば更に精製されて得られる物質を指す。更に、不飽和の天然資源油とは天然に生じる果物、木の実、野菜、その他の植物および動物の不飽和油から抽出され、必要ならば更に精製されて得られる物質を指す。
本明細書内に記載される「天然資源原料」という言葉は、「天然産の」物質を抽出、化学分解あるいは化学処理することによって得られる物質を指す。この非限定的な例は、天然に生じる果物、木の実、野菜、その他の植物および動物から抽出によって得ることが可能な天然資源油を包含する。他の非限定的な例として、グリセロールおよびカルボン酸あるいはカルボン酸エステル(飽和あるいは不飽和の)は、天然に生じる果物、木の実、野菜、その他の植物および動物の抽出によって得られるトリグリセリドの化学処理によって精製・単離することができる。
本明細書内に記載される「合成(の)」という言葉は、天然資源には直接的には由来していない基本的化学構成単位から得られる物質を指す。例えば、合成不飽和エステル油は、合成エチレン・グリコールと合成カルボン酸、すなわちアクリル酸あるいはプロピオン酸、の反応によって生成し得る。他の種類の合成物質は当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
「天然の」あるいは「合成(の)」の定義にかかわらず、本明細書内に記載される物質は、天然および合成の物質の組み合わせ(すなわち「半合成」物質)から生成し得る。非限定的な例は、合成および天然の資源原料の組み合わせによって生成し得る本明細書内記載の不飽和エステル油である。例えば、同不飽和エステル油は合成エチレン・グリコールと天然資源油から単離されたオレイン酸の反応によって生成し得る。その他の例としては、同不飽和エステル油は天然資源油から単離されたグリセロールと合成カルボン酸、すなわちアクリル酸、の反応によって生成し得る。更にその他の例としては、同不飽和エステル油は天然資源油から単離されたグリセロールとオレイン酸の反応によって生成し得る。
本明細書内に記載される「チオール・エステル組成物」という言葉は、「チオール・エステル分子」を含有するエステル組成物を指す。同チオール・エステル分子は、分子当り少なくとも1個のチオール基と少なくとも1個のエステル基を含有する。
本明細書内に記載される「ヒドロキシ・チオール・エステル組成物」という言葉は、「ヒドロキシ・チオール・エステル分子」を含有するエステル組成物を指す。同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は、分子当り少なくとも1個のチオール基、少なくとも1個のエステル基および少なくとも1個のヒドロキシ基あるいはアルコール基を含有する。場合によっては、アルコール基およびチオール基は同一基で結合していてもよく、これは「α−ヒドロキシ・チオール基」と呼ばれる。
本明細書内に記載される「スルホン酸含有エステル組成物」という言葉は、スルホン酸含有エステル分子を含有するエステル組成物を指す。同スルホン酸含有エステル分子は、分子当り少なくとも1個のスルホン酸基と少なくとも1個のエステル基を含有する。
本明細書内に記載される「スルホン酸塩含有エステル組成物」という言葉は、スルホン酸塩含有エステル分子を含有するエステル組成物を指す。同スルホン酸塩含有エステル分子は、分子当り少なくとも1個のスルホン酸塩基と少なくとも1個のエステル基を含有する。
本明細書内に記載される「不飽和エステル組成物」という言葉は、不飽和エステル分子を含有するエステル組成物を指す。同不飽和エステル分子は、分子当り少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する。
本明細書内に記載される「エポキシ化不飽和エステル組成物」という言葉は、エポキシ化によって得られた不飽和エステル分子を含有するエステル組成物を指す。
本明細書内に記載される「ポリチオウレタン」という言葉は、以下に示す構造を2個以上含有するウレタン組成物を指す。チオウレタン基の存在は当業界の熟練者には周知の方法(例えば、赤外分光分析、ラマン分光分析、および/あるいはNMR)によって知ることができる。
Figure 2007526939
チオール・エステル組成物
本発明は、それの一実施態様としてチオール・エステル組成物を有利に提供する。同チオール・エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のチオール基を有するチオール・エステルを含有する。また同組成物は、本明細書内に記載されているように、1.5未満の環状硫化物/チオール基のモル比も有する。
一般的には、同チオール・エステル組成物は、少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のチオール基を有する分子を含有する。本発明のチオール・エステル組成物は、本明細書内に記載されているように、任意の種類の不飽和エステルからでも生成できる。原料の不飽和エステルは分子内に複数の炭素−炭素二重結合を含有し得るので、炭素−炭素二重結合の反応性および統計的な確率論から観て、同不飽和エステル組成物から生成するチオール・エステル組成物中の各々のチオール・エステル分子は、原料の不飽和エステルと同一数の本明細書内に記載されるチオール基、未反応の炭素−炭素二重結合、環状硫化物、炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比、環状硫化物/チオール基のモル比、官能基のその他の数量および比率を有してはいないであろう。更に、原料の不飽和エステルは、個々に異なった数の炭素−炭素二重結合および/あるいはエステル基を有する不飽和エステルの混合物から構成され得る。従って、ここでは多くのこれらの性状は、チオール・エステル組成物中のチオール・エステル分子当りの異なった平均数あるいは平均比率として記載される。他の実施態様では、チオール・エステル内に存在するチオール系硫黄濃度を制御することが望ましい。硫化水素が不飽和エステル内の全ての炭素−炭素二重結合と反応するとの保証は困難であるので、いくつかのチオール・エステル分子内のチオール基の数は他の分子に比べて多いかもしれないし少ないかもしれない。このようなことから、チオール基の重量%はチオール・エステル組成物中の全チオール分子の平均として表示する。
同チオール・エステルは本明細書で記載される任意の不飽和エステルからでも生成可能である。
同チオール・エステル組成物は、同チオール・エステル分子および/あるいはチオール・エステル組成物の一個あるいは複数の別個あるいは互いに離れた場所に存在する官能基から構成されていると言える。これらの個々の官能基は互いに異なったチオール・エステル分子当りのエステル基の数(あるいは平均数)、チオール・エステル分子当りのチオール基の個数(あるいは平均数)、チオール・エステル分子当りの未反応の炭素−炭素二重結合の数(あるいは平均数)、チオール・エステル組成物中のチオール系硫黄の濃度、チオール・エステル分子当りの硫化物連鎖の濃度(あるいは平均濃度)、およびチオール・エステル分子当りの環状硫化物基の濃度(あるいは平均濃度)を有する。更に、同チオール・エステル組成物は、分子当りの二重結合/チオール基、環状硫化物/メルカプタン基などの個々の比率あるいはこれらの比率の組み合わせによっても規定できる。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同チオール・エステル組成物は分子当り少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のチオール基を有するチオール・エステル分子を含有する。同チオール・エステルは不飽和エステルから生成されるので、同チオール・エステル分子は本明細書で記載されている不飽和エステルと同数のエステル基を含有し得る。一実施態様では、同チオール・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基を含有する。また他の実施態様では、同チオール・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、チオール・エステルは分子当り平均して1.5〜8個、あるいは2〜7個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、チオール・エステルは分子当り平均して3個、あるいは4個のエステル基を含有する。
最低限でも、同チオール・エステルは分子当り平均して少なくとも1個のチオール基を含有する。一実施態様では、同チオール・エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のチオール基を含有する。他の実施態様では、同チオール・エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のチオール基を含有する。更に他の実施態様では、同チオール・エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のチオール基を含有する。
他の実施態様では、同チオール・エステルは分子内に存在するチオール系硫黄濃度によって規定できる。一実施態様では、同チオール・エステルは分子当り平均して少なくとも5重量%のチオール系硫黄を含有し、他の実施態様では、分子当り平均して少なくとも10重量%、あるいは15重量%のチオール系硫黄を含有する。一実施態様では、同チオール・エステルは分子当り平均して5〜25重量%、あるいは5〜20重量%、あるいは6〜15重量%、あるいは8〜10重量%のチオール系硫黄を含有する。
一般的には、チオール・エステル内でのチオール基の位置は特に重要ではなく、またその位置はチオール・エステル生成のために用いられた方法によって決まることになろう。不飽和エステルの接触によってチオール・エステルを生成するいくつかの実施態様では、チオール基の位置は炭素−炭素二重結合の位置によって決まることになろう。炭素−炭素二重結合が内部に存在する場合には、チオール・エステルを生成する方法はセカンダリー・チオール基を与えることになろう。一方、炭素−炭素二重結合が末端部に存在する場合には、プライマリー・チオール基かセカンダリー・チオール基のいずれかを有するチオール・エステルを生成する反応条件の選択が可能である。
同チオール・エステル組成物を生成するいくつかの方法は、チオール基以外の含硫黄官能基を追加的に生成することが可能である。例えば、いくつかの同チオール・エステル組成物を生成する方法では、導入されたチオール基は同一の不飽和エステル中の炭素−炭素二重結合と反応して硫化物連鎖を形成し得る。同チオール基が第二の不飽和エステル中の炭素−炭素二重結合と反応する場合には、単純構造の硫化物連鎖が形成される。しかしいくつかの場合、第二の炭素−炭素二重結合が同一の不飽和エステル分子内に存在することもある。同チオール基が同一の不飽和エステル分子内に存在する第二の炭素−炭素二重結合と反応する場合には硫化物連鎖が形成される。また他の場合には炭素−炭素二重結合は不飽和エステル中の第二のエステル基内に存在することもあり得る。更に他の場合には、炭素−炭素二重結合は不飽和エステル中の同一のエステル基内に存在することもあり得る。
同チオール基が同一の不飽和エステル分子内の第二のエステル基内に存在する炭素−炭素二重結合と反応する場合、環状硫化物は環構造内に2個のエステル基を有することになろう。同チオール基が同一のエステル基内に存在する炭素−炭素二重結合と反応する場合、環状硫化物は環構造内にエステル基を有さないことになろう。本明細書では、この第二のタイプの環状硫化物を環状硫化物と呼ぶことにし、またの第一のタイプの環状硫化物を単純な硫化物と呼ぶことにする。環状硫化物の場合には、硫化物連鎖は同チオール・エステルのひとつのエステル基内で環状硫化物の官能性を発揮する。この連鎖を本出願の目的の観点から環状硫化物と呼ぶ。生成し得るこのような硫化物基のひとつが環状硫化物である。生成し得る環状硫化物の環構造の例として、テトラヒドロチオピラン、チエタンおよびチオファン(テトラヒドロチオフェン)環が挙げられる。
いくつかの実施態様では、同チオール・エステル内に環状硫化物として存在する硫黄の平均濃度を制御することが望ましい。一実施態様では、同チオール・エステル内の環状硫化物として存在する硫黄の平均濃度は30モル%未満である。他の実施態様では同平均濃度は20モル%未満、あるいは10モル%未満、あるいは5モル%未満、あるいは2モル%未満である。更に他の実施態様では環状硫化物/チオール基のモル比を制御することが望ましい。一実施態様では、環状硫化物/チオール基の平均モル比は1.5未満である。他の実施態様では同平均モル比は1未満、あるいは0.5未満、0.25未満あるいは0.1未満である。いくつかの実施態様では、同平均モル比は0〜1、あるいは0.05〜1である。
いくつかの実施態様では炭素−炭素二重結合が同チオール・エステル組成物中に存在することが望ましい場合があり、また他の実施態様では同チオール・エステル組成物中に存在する炭素−炭素二重結合の数を最小限に抑えることが望ましい場合もあり得る。同チオール・エステル中に存在する炭素−炭素二重結合は、炭素−炭素二重結合/チオール系硫黄の平均モル比で規定できる。一実施態様では、同チオール・エステル組成中に残留する未反応炭素−炭素二重結合のチオール系硫黄に対する平均モル比は1.5未満である。他の実施態様では、同平均モル比は1.2未満、あるいは1.0未満、あるいは0.75未満、あるいは0.5未満、あるいは0.2未満、あるいは0.1未満である。
いくつかの特定の実施態様では、同チオール・エステルは不飽和エステル組成物から生成される。原料の不飽和エステルは、或る数のエステル基を含有する特定の組成を有しているので、それから生成されるチオール・エステル組成物も分子当り原料の不飽和エステルとほぼ同数のエステル基を含有することになろう。その他、本明細書内に記載される個々のチオール・エステルの性状も同チオール・エステル組成物の規定に用いることができる。
いくつかの実施態様では、同チオール・エステル分子は、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖を平均して25重量%未満含有する本明細書に記載される不飽和エステルから生成される。いくつかの実施態様では、チオール含有天然資源の全側鎖の40%超は硫黄を含有し得る。また他の実施態様では、チオール含有天然資源の全側鎖の60%超、あるいは50%超、あるいは70%超、あるいは80%超は硫黄を含有し得る。
一実施態様では、同チオール・エステルはチオール含有の本明細書に記載される天然資源油である。同チオール・エステルがチオール含有天然資源油である場合には、同天然資源油に存在する官能基は「チオール・エステル分子当り」あるいは「トリグリセリド当り」で規定できる。同チオール含有天然資源油は同チオール・エステル組成物と実質的に同じ性状(例えば、モル比その他の本明細書に記載される個々の規定要素)を有することができる。
同チオール含有天然資源油中のトリグリセリド当りのチオール基の数は約1.5を超える。いくつかの実施態様では、その数は約1.5〜約9である。
同チオール・エステル組成物は、硫化水素と不飽和エステル組成物の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。同チオール含有天然資源油は、分子量あるいは側鎖の平均分子量によっても規定できる。
ヒドロキシ・チオール・エステル組成物
本発明の実施態様では、同チオール・エステル組成物はヒドロキシ基あるいはアルコール基も含有し得る。同チオール・エステル組成物がヒドロキシ基を含有する場合、同組成物は本明細書ではヒドロキシ・チオール・エステル組成物と呼ぶ。同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物中に存在するアルコール基の量あるいは数は、同組成物中の他の官能基(すなわちチオール基、エステル基、硫化物および環状硫化物)とは別個に同組成物の規定に用いることができる。更に、チオール系硫黄の重量%および官能基の比率(すなわち、環状硫化物/チオール基、エポキシド基/チオール基、エポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基のモル比、ならびに官能基の本明細書に記載される他の量およびチオール基に対するモル比)は、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物の規定に用いることが可能な別個あるいは他とは関係のない規定要素である。同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、同組成物の本明細書に記載される個々の官能基あるいは比率の任意の組み合わせを用いても規定できる。
一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は硫化水素と本明細書に記載されるエポキシ化不飽和エステル組成物の反応によって生成される。エポキシ化不飽和エステル組成物は複数のエポキシド基を含有し得るので、エポキシド基の反応性および統計的な確率論から観て、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物中の全てのヒドロキシ・チオール・エステル分子がエポキシ化不飽和エステル組成物と同一数(あるいは量)のヒドロキシ基、チオール基、α−ヒドロキシ・チオール基、硫化物、環状硫化物、環状硫化物/チオール基のモル比、エポキシド基/チオール基のモル比、エポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基のモル比、チオール系硫黄の重量%、ならびに本明細書に記載される他の官能基の量およびモル比を有してはいないであろう。従って、多くのこれらの性状は平均値あるいはヒドロキシ・チオール・エステル分子に対する平均比率として議論されることになろう。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル中のチオール系硫黄濃度を制御することが望ましい。なぜならば、硫化水素は同エポキシ化不飽和エステル中の全てのエポキシド基と反応するのは困難であるので、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物中の或るヒドロキシ・チオール分子は他の分子に比べてより多くのあるいはより少ないチオール基を有することになろう。従って、チオール基の重量%は全てのヒドロキシ・チオール・エステル分子での平均値として表示できる。
本発明の一態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は分子当り平均して少なくとも1個のエステル基および平均して少なくとも1個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有する。本発明の他の態様では、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基、平均して少なくとも1.5個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有する。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは少なくとも1個のエステル基、少なくとも1個のチオール基および少なくとも1個のヒドロキシ基を含有する。同ヒドロキシ・チオール・エステルはエポキシ化不飽和エステルから生成されるので、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子はエポキシ化不飽和エステルと同数のエステル基を含有し得る。一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基を含有する。また他の実施態様では、同チオール・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、チオール・エステルは分子当り平均して1.5〜8個、あるいは2〜7個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、チオール・エステルは分子当り平均して3個、あるいは4個のエステル基を含有する。
いくつかの実施態様では、ヒドロキシ基およびチオール基は同一基内で結合し、これによってα−ヒドロキシ・チオール基が生成する。他の実施態様では、チオール基はヒドロキシ基あるいはアルコール基と同一基内には存在しない。この場合にチオール・エステル組成物を生成するためには、アルコール基をチオール基とは別個に添加する。例えば、本発明の他の実施態様として、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物はヒドロキシ・チオール・エステル分子を有利に含有する。同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基、平均して少なくとも1.5個のチオール基および平均して少なくとも1・5個のアルコール基を含有する。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは分子当り少なくとも1個のチオール基を含有する。一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のチオール基を含有する。また他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のエステル基を含有する。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物はヒドロキシ・チオール・エステル分子当り平均して少なくとも1個のチオール基を含有する。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物はヒドロキシ・チオール・エステル分子当り平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物はヒドロキシ・チオール・エステル分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の実施態様では、ヒドロキシ基の数はヒドロキシ基/チオール基のモル比によって表すことができる。最低限でも、いくつかの実施態様では、ヒドロキシ基/チオール基の平均モル比は少なくとも0.25である。いくつかの実施態様では、同モル比は少なくとも0.5、あるいは0.75、あるいは1.0、あるいは1.25、あるいは1.5である。他の実施態様では、ヒドロキシ基/チオール基の平均モル比は0.25〜2.0、あるいは0.5〜1.5、あるいは0.75〜1.25である。
同ヒドロキシ・チオール・エステルがエポキシ化不飽和エステルから生成されるいくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルはエステル基とα−ヒドロキシ・チオール基の両方を含有することで規定できる。エステル基の数とα−ヒドロキシ・チオール基の数は別個の規定要素であり、従って同ヒドロキシ・チオール・エステルは本明細書に記載されるエステル基とα−ヒドロキシ・チオール基の任意の組み合わせによって規定できる。最低限でも、同ヒドロキシ・チオール・エステルは分子当り平均して少なくとも1個のα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。いくつかの実施態様では同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物はヒドロキシ・チオール・エステル分子当り平均して少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。他の実施態様では、同α−ヒドロキシ・チオール・エステルは組成物はヒドロキシ・チオール・エステル分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。
同ヒドロキシ・チオール・エステルは、本明細書に記載されているように、エポキシ化された不飽和エステル(エポキシ化不飽和エステル)に接触させることにより生成できる。いくつかの実施態様ではエポキシド基が同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物中に存在することが望ましい場合があり、また他の実施態様では同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物中に存在するエポキシド基の数を最小限に抑えることが望ましい場合もあり得る。従って、残留エポキシド基の存在は、ヒドロキシ・チオール・エステルの規定のための別個の要素となり得る。
ヒドロキシ・チオール・エステル内のエポキシド基は、ヒドロキシ・チオール・エステル分子当りの平均のポキシド基の数、エポキシド基/チオール基のモル比およびエポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基のモル比の各々あるいはどの組み合わせによってでも表される。いくつかの実施態様では同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は分子当り平均して2個未満のエポキシド基を含有する(すなわち、エポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基のモル比が2未満)。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は分子当り平均して1.5個未満、あるいは1個未満、あるいは0.75個未満、あるいは0.5個未満のエポキシド基を含有する。更に他の実施態様では、エポキシド基/チオール基の平均モル比は1.5未満、あるいは1未満、あるいは0.75未満、あるいは0.5未満、あるいは0.25未満、あるいは0.1未満である。更に他の実施態様では、エポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基の平均モル比は1.5未満である。他の実施態様では、エポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基の平均モル比は1未満、あるいは0.75未満、あるいは0.5未満、あるいは0.25未満、あるいは0.1未満である。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物はエポキシド基を実質的に含有していない。
他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは分子内に存在するチオール系硫黄の平均重量%で規定できる。一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は、分子当り平均して少なくとも2.5重量%のチオール系硫黄を含有する。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は、分子当り平均して少なくとも2.5重量%、あるいは少なくとも5重量%、あるいは少なくとも10重量%、あるいは15重量%を超えるチオール系硫黄を含有する。一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は、分子当り平均して5〜25重量%のチオール系硫黄を含有する。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は、分子当り平均して5〜20重量%、あるいは6〜15重量%、あるいは8〜10重量%のチオール系硫黄を含有する。
いくつかの実施態様では、全側鎖の少なくとも20%はα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。また他の実施態様では、全側鎖の少なくとも60%、あるいは少なくとも70%はα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。更に他の実施態様では、全側鎖の少なくとも80%はα−ヒドロキシ・チオール基を含有する。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子の全側鎖の20%超は硫黄を含有する。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子の全側鎖の40%超は、硫黄を含有する。いくつかの態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子の全側鎖の60%超、あるいは70%超、あるいは80%超は硫黄を含有する。
いくつかの特定の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルの合成に用いられたエポキシ化不飽和エステルは、エポキシ化天然資源油を含有するエポキシ化不飽和エステル組成物から生成される。同天然資源油は、その中に存在するエステル基の数に関して特定の組成を有しているので、それから生成されるヒドロキシ・チオール・エステルも同天然資源油とほぼ同数のエステル基を含有することになろう。その他、本明細書内に記載される個々の性状も同ヒドロキシ・チオール・エステルの規定に用いることができる。
他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルの生成に用いられたエポキシ化不飽和エステルは、合成(あるいは半合成)不飽和エステル油から生成される。同合成不飽和エステル油は、その中に存在するエステル基の数に関して特定の組成を有しているので、それから生成されるヒドロキシ・チオール・エステルも同合成不飽和エステル油はとほぼ同数のエステル基を含有することになろう。その他、本明細書内に記載される同不飽和エステル油(それが天然あるいは合成油を含有しているか否かを問わない)の個々の性状も同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物の規定に用いることができる。
同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、硫化水素とエポキシ化不飽和エステル組成物の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。同ヒドロキシ・チオール含有天然資源油も、平均分子量あるいは側鎖の平均分子量によって規定できる。
架橋チオール・エステル組成物
ひとつの態様では、本発明は架橋チオール・エステル組成物に関する。一般的には、同架橋チオール・エステル分子は、−S−(ここでXは1超の整数)構造を有する多硫化物連鎖によって連結されたチオール・エステルのオリゴマーである。同架橋チオール・エステル組成物はチオール・エステルのオリゴマーとして規定されているので、同チオール・エステルはそれによって同架橋チオール・エステルが形成されるモノマーと言える。
ひとつの態様では、同架橋チオール・エステル組成物は−S−(ここでQは1超の整数)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーにより形成されるチオール・エステル・オリゴマーを含有する。ひとつの態様では、同多硫化物連鎖は−S−(ここでQは2,3,4あるいはそれらの組み合わせ)構造を有する。
他の態様では、Qは2、3あるいは4である。
ひとつの態様では、同架橋チオール・エステル組成物は多硫化物連鎖によって連結された少なくとも5個、あるいは7個、あるいは10個のチオール・エステル・モノマーにより形成されるチオール・エステル・オリゴマーを含有する。更に他の実施態様では、同チオール・エステル組成物は多硫化物連鎖によって連結された3〜20個、あるいは5〜15個、あるいは7〜12個のチオール・エステル・モノマーにより形成されるチオール・エステル・オリゴマーを含有する。
ひとつの態様では、同架橋チオール・エステル組成物はチオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーを含有する。いくつかの実施態様では、同架橋チオール・エステル組成物でのチオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの合計の平均分子量は2,000を超える。他の実施態様では、同架橋チオール・エステル組成物でのチオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの合計の平均分子量は5,000、あるいは10,000を超える。更に他の実施態様では、同架橋チオール・エステル組成物でのチオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの合計の平均分子量は2,000〜20,000、あるいは3,000〜15,000、あるいは7,500〜12,500である。
ひとつの態様では、同チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーは合計して0.5重量%を超えるチオール系硫黄を含有する。他の実施態様では、同チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーは合計して1重量%、あるいは2重量%、あるいは4重量%を超えるチオール系硫黄を含有する。更に他の実施態様では、同チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーは合計して0.5〜8重量%、あるいは4〜8重量%、あるいは0.5〜4重量%のチオール系硫黄を含有する。
ひとつの態様では、同チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーは合計して8重量%を超える硫黄を含有する。いくつかの実施態様では、同チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーは合計して10重量%、あるいは12重量%を超える硫黄を含有する。他の実施態様では、同チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーは合計して8〜15重量%、あるいは9〜14重量%、あるいは10〜13重量%のチオール系硫黄を含有する。
同架橋チオール・エステル組成物は、チオール・エステルと酸化剤の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。
硫化物含有のエステル組成物
本発明は、その実施態様として、硫化物含有のエステル組成物を有利に包含する。一般的には、同硫化物含有エステル組成物は、各々の分子当り少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の硫化物基を含有することで規定できる。本発明に使用される硫化物含有のエステルは、本明細書で記載されているように、不飽和エステルあるいはエポキシ化不飽和エステルのいずれかとチオール含有化合物の反応で生成できる。
硫化物基およびエステル基以外にも、同硫化物含有のエステルは、本明細書に記載される他の複数の官能基およびそれらの比率によっても規定できる。これらの他の官能基、その比率、硫化物基の数およびエステル基の数の各々は別個の要素であり、同硫化物含有エステルは本明細書に記載されるこれら別個の要素の任意の組み合わせによっても規定できる。同硫化物含有エステルを規定するこれらの要素は、硫化物含有エステル分子当りの平均エステル基数および硫化物基数、ならびにX種、Y種およびZ種の平均数などを包含するが、これらに限定されない。
原料の不飽和エステルは分子内に炭素−炭素二重結合を含有し得る。しかし、同炭素−炭素二重結合の反応性および統計的な確率論から観て、同不飽和エステル組成物から生成されたチオール含有エステル組成物の各々の硫化物含有エステル分子は同一数(あるいは量)の硫化物基、未反応の炭素−炭素二重結合、炭素−炭素二重結合/硫化物基のモル比、環状硫化物/チオール基のモル比、ならびに本明細書に記載される他の官能基の量およびそれらの比率を有してはいないであろう。更に、原料の不飽和エステルは、異なった数の炭素−炭素二重結合および/あるいはエステル基を有する個々の不飽和エステルの混合物も含有し得る。本明細書では、これらの多くの性状は、硫化物含有エステル組成物内の硫化物含有エステル分子当りの平均基数あるいは硫化物含有エステル分子に対する平均比率として議論されている。
エポキシ化不飽和エステルから生成される同硫化物含有エステルに関する実施態様では、原料のエポキシ化不飽和エステルは分子当り複数のエポキシド基を含有し得る。個々のエポキシド基の反応性および統計的な確率論から観て、同不飽和エステルから生成される同硫化物含有エステル組成物中の全ての硫化物含有エステル分子は同一数(あるいは量)の硫化物基、未反応のエポキシド基、エポキシド基/硫化物基のモル比、および本明細書に記載される他の官能基の量およびモル比を有してはいないであろう。更に、原料のエポキシ化不飽和エステルは、異なった数のエポキシド基および/あるいはエステル基を有する個々の不飽和エステルの混合物も含有し得る。従って、本明細書では、これらの多くの性状は、硫化物含有エステル組成物内の硫化物含有エステル分子当りの平均基数あるいは硫化物含有エステル分子に対する平均比率として議論されている。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステルは分子当り少なくとも1個のエステル基を含有する。いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステルは分子当り少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエステル基を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは1.5〜8個、あるいは2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同硫化物含有エステルは分子当り平均して約3個あるいは約4個のエステル基を含有する。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステル組成物は分子当り少なくとも1個の硫化物基を有する硫化物含有エステルを含有する。いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステル組成物は分子内に平均して少なくとも1.5個の硫化物基を有する硫化物含有エステルを含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル組成物は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個の硫化物基を有する硫化物含有エステルを含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル組成物は分子当り平均して1.5〜9個の硫化物基を有する硫化物含有エステルを含有する。更に他の実施態様では、同硫化物含有エステル組成物は分子当り平均して3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個の硫化物基を有する硫化物含有エステルを含有する。
他の独立した態様では、同硫化物含有エステル組成物は下記の構造のX種を有する分子を含有する:
Figure 2007526939

同X種の構造において、Qは水素あるいはヒドロキシ基;RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;RはC〜C20のオルガニル基あるいはC〜C20のヒドロカルビル基;そして同X種の価数(ここには示していない)は同硫化物含有エステルの残りの分子に対応する。Q、R、RおよびRは、同X種の別個の要素であり、これによって同種は更に本明細書に記載されるQ、R、RおよびRの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、RおよびRは水素であり、Rは本明細書に記載されるC〜C20のオルガニル基からなる群から選ばれる基である。
いくつかの特定の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のX種を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のX種を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
特定の態様では、同硫化物含有エステル組成物は下記の構造のY種を有する分子を含有する:
Figure 2007526939

同Y種の構造において、RおよびRは各々水素、C〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;RはC〜C20のオルガニル基あるいはC〜C20のヒドロカルビル基;そして同Y種の価数(ここには示していない)は同硫化物含有エステルの残りの分子に対応する。R、RおよびRは、同Y種の別個の要素であり、これによって同種は更に本明細書に記載されるR、RおよびRの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの実施態様では、RおよびRは水素であり、Rは本明細書に記載されるC〜C20のオルガニル基からなる群から選ばれる基である。
いくつかの特定の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のY種を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のY種を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
他の特定の態様では、同硫化物含有エステル組成物は下記の構造のZ種を有する分子を含有する:
Figure 2007526939

同Z種の構造において、RおよびRは各々水素およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選ばれる;RはC〜C20のオルガニル基あるいはC〜C20のヒドロカルビル基;そして同Z種の価数(ここには示していない)は同硫化物含有エステルの残りの分子に対応する。R、RおよびRは、同Z種の別個の要素であり、これによって同種は更に本明細書に記載されるQ、R、RおよびRの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの実施態様では、RおよびRは水素であり、Rは本明細書に記載されるC〜C20のオルガニル基からなる群から選ばれる基である。
いくつかの特定の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のZ種を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のZ種を含有する。他の実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
いくつかの実施態様では、Rは少なくとも1個の官能基を含有する。一態様では、同官能基はヒドロキシ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アミノ基、硫化物基および第二のチオール基からなる群から選ばれる基である。いくつかの態様では、Rは少なくとも2個の官能基を含有する。いくつかの態様では、同官能基はヒドロキシ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アミノ基、硫化物基、第二のチオール基およびこれらの混合物からなる群から選ばれる基である。
本発明の他の一実施態様として、硫化物含有エステル分子を含有する硫化物含有エステル組成物が有利に提供される。同実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のX種を含有する。同X種は本明細書に記載される構造を有する。更に、エステル基の数とX種の数は別個の要素である。このようにして、同硫化物含有エステル組成物の同硫化物含有エステル分子はエステル基の数と本明細書に記載されるX種の数の任意の組み合わせを有することができる。
本発明の他の一実施態様として、硫化物含有エステル分子を含有する硫化物含有エステル組成物が有利に提供される。同実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のY種を含有する。同Y種は本明細書に記載される構造を有する。更に、エステル基の数とY種の数は別個の要素である。このようにして、同硫化物含有エステル組成物の同硫化物含有エステル分子はエステル基の数と本明細書に記載されるY種の数の任意の組み合わせを有することができる。
本発明の他の一実施態様として、硫化物含有エステル分子を含有する硫化物含有エステル組成物が有利に提供される。同実施態様では、同硫化物含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のZ種を含有する。同Z種は本明細書に記載される構造を有する。更に、エステル基の数とZ種の数は別個の要素である。このようにして、同硫化物含有エステル組成物の同硫化物含有エステル分子はエステル基の数と本明細書に記載されるZ種の数の任意の組み合わせを有することができる。
同硫化物含有エステル組成物は、不飽和エステルとメルカプタンの接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。他の実施態様では、同硫化物含有エステル組成物は、エポキシ化不飽和エステルとメルカプタンの接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。
チオアクリレート・エステル組成物
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート・エステル組成物が有利に提供される。同チオアクリレート・エステル組成物の記述おいては、「アクリレート」および「チオアクリレート」という用語は、チオアクリレート・エステルの記述要素を規定するために使用できる。チオアクリレート基はアクリレート種を構成する要素ではあるが、本明細書で記載されるチオアクリレート・エステル組成物の観点からは、アクリレートという言葉は以下の一般構造を有する。
Figure 2007526939

またチオアクリレートという言葉は以下の一般構造を有する。
Figure 2007526939

このような一般的なチオアクリレート構造内において、上式には示されていないアクリレートおよびチオアクリレートの二重結合の価数は本明細書内にさらに規定される。
一般的に、同チオアクリレート・エステル組成物は、チオアクリレート分子内に存在する任意の種類のアクリレート・エステル基あるいはチオアクリレート・エステル基以外に少なくとも1個のエステル基を有し、更に少なくとも1個のチオアクリレート・エステル基を有するチオアクリレート・エステル分子を含有することで規定できる。同チオアクリレート・エステル分子内に存在するアクリレート・エステル基あるいはチオアクリレート・エステル基以外のこの追加的なエステル基のことを本明細書では「補助エステル基」と呼ぶ。本明細書で記載されるチオアクリレート・エステル組成物は、アクリレート組成物をチオール含有エステル組成物および/あるいはヒドロキシ・チオール基を含有するエステル組成物と接触させることにより生成でき、これら両方法は本明細書に記載されている。
チオアクリレート基および補助エステル基の他に、同チオアクリレート・エステル組成物は、本明細書で記載される他の官能基およびそれらのモル比率によっても更に規定できる。同チオアクリレート分子内に存在するチオアクリレート基、補助エステル基、その他の官能基およびその比率は同チオアクリレート・エステル分子の別個の要素であり、本明細書で記載されるこれら要素の任意の組み合わせによってチオアクリレート・エステル組成物は規定できる。同チオアクリレート・エステルを規定する別個の規定要素の非限定的な例として、補助エステル基の個数、チオアクリレート・エステル分子当りの補助エステル基の平均個数、チオアクリレート・エステル分子当りのアクリレート基の平均個数、X種の個数、チオアクリレート・エステル分子当りのX種の平均個数、Y種の個数、チオアクリレート・エステル分子当りのY種の平均個数、Z種の個数、チオアクリレート・エステル分子当りのZ種の平均個数、などが挙げられる。
原料のチオール・エステル組成物および/あるいはヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、平均的な数のエステル基、チオール基、ヒドロキシ基ならびに本明細書で記載される一定の比率の他の基を有する分子の混合物を含有し得る。更に、同チオール含有エステルおよび/あるいはヒドロキシ・チオール含有エステル組成物内の個々のチオール基およびヒドロキシ基の反応性および統計的な確率論から観て、生成した同チオアクリレート・エステル組成物中の各々のチオアクリレート・エステル分子は、同一数のエステル基、チオアクリレート基、アクリレート基、ならびに本明細書内に記載される他の官能基、種を有してはいないであろうし、またこれらの官能基および種のモル比も異なるであろう。従って、同チオアクリレート・エステル組成物中のチオアクリレート・エステル分子の多くのこれらの性状は、同チオアクリレート・エステル組成物中のチオアクリレート・エステル分子当りの平均基数あるいは平均比率として記載される。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル組成物は、チオアクリレート・エステル分子当り少なくとも1個の補助エステル基を含有する。いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステルは分子当り少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個の補助エステル基を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは1.5〜8個、あるいは2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜5個、あるいは3〜4個の補助エステル基を含有する。更に他の実施態様では、同チオアクリレート・エステルは分子当り平均して約3個あるいは4個の補助エステル基を含有する。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は、分子当り少なくとも1個のチオアクリレート基を含有する。本発明のいくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のチオアクリレート基を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のチオアクリレート基を含有する。一態様では、同チオアクリレート・エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のチオアクリレート基を含有する。
本発明のいくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は、更にアクリレート基を含有する。いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1個のアクリレート基を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のアクリレート基を含有する。一態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個アクリレート基を含有する。
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート・エステル分子を含有するチオアクリレート組成物は、チオアクリレート・エステル分子当り平均して少なくとも1個の補助エステル基と平均して少なくとも1個の下記の構造のX種を有する:
Figure 2007526939

同X種の構造において、Rt1およびRt2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Qt1は各々水素およびアルリレート基からなる群から選択される;そしてTAは以下の構造のチオアクリレート基である:
Figure 2007526939

同X種の価数(ここには示していない)は同硫化物含有エステルの残りの分子に対応する。同チオアクリレート・エステル分子がX種を含有する実施態様において、チオアクリレート・エステル分子当りの平均的な補助エステル基および平均的なX種の個数は別個の要素である。
更に他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のX種を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のX種を含有する。一態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
いくつかの態様では、同チオアクリレート・エステル分子は下記の構造のチオアクリレート基を含有する:
Figure 2007526939

一般的には、同チオアクリレート基の構造において、R、RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される。更にいくつかの実施態様においては、R、RおよびRは各々水素、C〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいは各々C〜Cのオルガニル基およびC〜Cのヒドロカルビル基からなる群から選択される。或る実施態様では、R、RおよびRは各々水素およびメチル基からなる群から選択される。いくつかの特定の実施態様ではRおよびRは水素でありRは各々水素、メチル基およびそれらの混合物からなる群から選択され、他の実施態様ではRおよびRは水素でRはメチル基、更に他の実施態様ではR、RおよびRは水素である。
いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は下記の構造のアクリレート基を含有する:
Figure 2007526939

一般的には、同アクリレート基の構造において、R、RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される。更にいくつかの実施態様では、R、RおよびRは各々水素、C〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいは各々C〜Cのオルガニル基およびC〜Cのヒドロカルビル基からなる群から選択される。或る実施態様では、R、RおよびRは各々水素およびメチル基からなる群から選択される。いくつかの特定の実施態様ではRおよびRは水素でありRは水素、メチル基およびそれらの混合物からなる群から選択され、他の実施態様ではRおよびRは水素でありRはメチル基、更に他の実施態様ではR、RおよびRは水素である。
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート分子を含有するチオアクリレート組成物が有利に提供される。同実施態様において、同チオアクリレート分子は分子当り平均して少なくとも1個の補助エステル基と平均して少なくとも1個の下記の構造のY種を含有する:
Figure 2007526939

同Y種の構造において、Rt1およびRt2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そしてTAは以下の構造のチオアクリレート基である。
Figure 2007526939

同Y種の価数(ここには示していない)はチオアクリレート・エステルの残りの分子に対応する。同チオアクリレート・エステル分子がY種を含有する実施態様では、チオアクリレート・エステル分子当りの平均的な補助エステル基の数および平均的なY種の数は別個の要素である。
更に他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のY種を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のY種を含有する。一態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート分子を含有するチオアクリレート組成物が有利に提供される。同実施態様において、同チオアクリレート分子は分子当り平均して少なくとも1個の補助エステル基と平均して少なくとも1個の下記の構造のZ種を含有する:
Figure 2007526939

同Z種の構造において、Rt1およびRt2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Qt1は各々水素およびアルリレート基からなる群から選択される;そしてTAは以下の構造のチオアクリレート基であり:また
Figure 2007526939

Aは以下の構造のアクリレート基である。
Figure 2007526939

同Z種の価数(ここには示していない)は同チオアクリレート・エステルの残りの分子に対応する。同チオアクリレート・エステル分子がZ種を含有する実施態様では、チオアクリレート・エステル分子当りの平均的な補助エステル基および平均的なZ種の数は別個の要素である。
更に他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のZ種を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のZ種を含有する。一態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のZ種を含有する。
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート・エステル分子を含有するチオアクリレート・エステル組成物が有利に提供される。同実施態様において、同チオアクリレート・エステル分子は、分子当り平均して少なくとも1個の補助エステル基と平均して少なくとも1個のX種を含有する。X種は本明細書に記載されている構造を有する。更に、チオアクリレート・エステル分子当りの平均的な補助エステル基および平均的なX種の数は別個の要素である。
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート・エステル分子を含有するチオアクリレート・エステル組成物が有利に提供される。
同実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は、分子当り平均して少なくとも1個の補助エステル基と平均して少なくとも1個のY種を含有する。Y種は本明細書に記載されている構造を有する。更に、チオアクリレート・エステル分子当りの平均的な補助エステル基および平均的なY種の数は別個の要素である。
本発明の他の一実施態様として、チオアクリレート・エステル分子を含有するチオアクリレート・エステル組成物が有利に提供される。
同実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り平均して少なくとも1個の補助エステル基と平均して少なくとも1個のZ種を含有する。Z種は本明細書に記載されている構造を有する。更に、チオアクリレート・エステル分子当りの平均的な補助エステル基および平均的なZ種の数は別個の要素である。
いくつかの態様では、1個の補助エステル基と下記の構造のチオアクリレート基を含有するチオアクリレート・エステル分子が提供される:
Figure 2007526939

同チオアクリレート基の構造において、R、RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される。同チオアクリレート・エステル分子内の補助エステル基とチオアクリレート基は別個の要素である。同チオアクリレート・エステル分子は本明細書に記載されるこれらの要素の任意の組み合わせを有することができる。更に、同チオアクリレート構造での各々のR、RおよびR基は別個の要素である。本明細書に記載される同チオアクリレート構造はR、RおよびR基の任意の組み合わせを有することができる。
いくつかの実施態様では、補助エステル基とチオアクリレート基を有する同チオアクリレート・エステル分子は分子当り少なくとも1個の補助エステル基を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は分子当り少なくとも2個あるいは3個の補助エステル基を含有する。他の実施態様では、補助エステル基とチオアクリレート基を有する同チオアクリレート・エステル分子は2〜9個、あるいは2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは3〜5個、あるいは3〜4個の補助エステル基を含有する。更に他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は3あるいは4個の補助エステル基を含有する。
更に他の実施態様では、補助エステル基とチオアクリレート基を有する同チオアクリレート・エステル分子は少なくとも1個、あるいは2個、あるいは3個のチオアクリレート基を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のチオアクリレート基を含有する。
他の実施態様では、補助エステル基とチオアクリレート基を有する同チオアクリレート・エステル分子は更に下記の構造のアクリレート基を含有する:
Figure 2007526939

同アクリレート基の構造において、R、RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は少なくとも2個あるいは3個のアクリレート基を含有する。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のアクリレート基を含有する。
いくつかの実施態様では、同チオアクリレート・エステル分子は少なくとも1個の補助エステル基と少なくとも1個の下記の構造のY種を含有する:
Figure 2007526939

同Y種の構造において、Rt1およびRt2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そしてTAは以下の構造のチオアクリレート基である。
Figure 2007526939

同Y種の価数(ここには示していない)は同チオアクリレート・エステルの残りの分子に対応する。同チオアクリレート・エステル分子の補助エステル基およびY種は別個の要素である。同チオアクリレート・エステル分子は本明細書に記載されるこれらの要素の任意の組み合わせを有することができる。同補助エステル基の数に関する他の実施態様は、本明細書に記載されている。更に、R、RおよびR基を含有するチオアクリレート構造に関する他の実施態様も本明細書に記載されている。
補助エステル基とY種を含有する同チオアクリレート・エステル分子は、本明細書に記載される補助エステル基の数の任意の組み合わせ、および任意の数のY種を有することができる。補助エステル基とY種を含有する同チオアクリレート・エステル分子内のエステル基の数は本明細書に記載されている。更に他の実施態様では、補助エステル基とY種を含有する同チオアクリレート・エステル分子は、少なくとも1個、あるいは2個、あるいは3個のアクリレート基を含有し得る。他の実施態様では、補助エステル基とY種を含有する同チオアクリレート・エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
同チオアクリレート・エステルは、チオール含有のエステル組成物とアクリレート組成物の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。他の実施態様では、同チオアクリレート・エステル組成物は、ヒドロキシ・チオール含有のエステル組成物とアクリレート組成物の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。
スルホン酸含有エステル
本発明は、その実施態様として、スルホン酸含有エステルを有利に提供する。一般的には、本発明のスルホン酸含有エステルは、少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のスルホン酸基を有するスルホン酸含有エステル分子を含有する。本明細書で記載されるスルホン酸含有エステルはチオール・エステルと本明細書で記載される酸化剤を接触させることで生成できる。同スルホン酸含有エステル生成のための原料は複数のチオール基を含有し得るので、個々のチオール基の反応性および統計的な確率論から観て、スルホン酸含有エステル分子を含有する各々の同スルホン酸含有エステルは同一数のスルホン酸基を有してはいないであろう。更に、原料のチオール・エステルも異なった数のチオール基および/あるいはエステル基を有する個々のチオール・エステル分子の混合物を含有し得る。従って、同スルホン酸含有エステル内に存在する基の多くは、本明細書ではスルホン酸含有エステル分子当りの平均個数あるいは平均比率として記載される。
スルホン酸含有エステル内に存在するスルホン酸基およびエステル基は別個の要素であり、同スルホン酸含有エステルは本明細書に記載されるこれら別個の要素の任意の組み合わせによって規定できる。同スルホン酸含有エステルを規定するこれらの要素は、エステル基数、スルホン酸含有エステル分子当りの平均エステル基数、スルホン酸基数、スルホン酸含有エステル分子当りの平均スルホン酸基数、ならびにX種の数、スルホン酸含有エステル分子当りのX種の平均数、Y種の数、スルホン酸含有エステル分子当りのY種の平均数、Z種の数、およびスルホン酸含有エステル分子当りのZ種の平均数などを包含するが、これらに限定されない。
最低限でも、同スルホン酸含有エステルは分子当り少なくとも1個のエステル基を含有する。いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエステル基を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは1.5〜8個、あるいは2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して3個あるいは4個のエステル基を含有する。
最低限でも、同スルホン酸含有エステルは、分子当り少なくとも1個のスルホン酸基を含有する。いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のスルホン酸基を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のスルホン酸基を含有する。
他の態様では、同スルホン酸含有エステル分子は、更にヒドロキシ基を含有する。いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個ヒドロキシ基を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステルは実質的にチオール基を含有していない。
他の独立した実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個の下記の構造のX種を含有する:
Figure 2007526939

同X種の構造において、Qs1は水素あるいはヒドロキシ基であり、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そして同X種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸含有エステル分子の残りの分子に対応する。Qs1、Rs1およびRs2は同X種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるQs1、Rs1およびRs2の任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。
特定の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のX種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のX種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
他の独立した実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個の下記の構造のY種を含有する:
Figure 2007526939

同Y種の構造において、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そして同Y種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸含有エステル分子の残りの分子に対応する。Rs1およびRs2は同Y種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるRs1およびRs2の任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。
特定の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のY種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のY種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
他の独立した実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個の下記の構造のZ種を含有する:
Figure 2007526939

同Z種の構造において、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そして同Z種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸含有エステル分子の残りの分子に対応する。Rs1およびRs2は同Z種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるRs1およびRs2の任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。
特定の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のZ種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のZ種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のZ種を含有する。
本発明の他の一実施態様では、スルホン酸含有エステル分子を含有するスルホン酸含有エステルが有利に提供される。同実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のX種を含有する。同X種は本明細書に記載される構造を有する。更に、エステル基の平均数とX種の平均数は別個の要素であり、これによって同スルホン酸含有エステルのスルホン酸含有エステル分子はエステル基の平均数と本明細書に記載されるX種の平均数の任意の組み合わせを有することができる。
本発明の他の一実施態様として、スルホン酸含有エステル分子を含有するスルホン酸含有エステルが有利に提供される。同実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のY種を含有する。同Y種は本明細書に記載される構造を有する。更に、エステル基の平均数とY種の平均数は別個の要素であり、これによって同スルホン酸含有エステル組成物のスルホン酸含有エステル分子はエステル基の平均数と本明細書に記載されるY種の平均数の任意の組み合わせを有することができる。
本発明の他の一実施態様として、スルホン酸含有エステル分子を含有するスルホン酸含有エステルが有利に提供される。同実施態様では、同スルホン酸含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のZ種を含有する。同Z種は本明細書に記載される構造を有する。更に、エステル基の平均数とZ種の平均数は別個の要素であり、これによって同スルホン酸含有エステル組成物のスルホン酸含有エステル分子はエステル基の平均数と本明細書に記載されるZ種の平均数の任意の組み合わせを有することができる。
いくつかの実施態様では、少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のスルホン酸基を含有するスルホン酸含有エステルが提供される。エステル基の数とスルホン酸基の数は別個の要素であり、これによって同スルホン酸含有エステル分子は任意の数のエステル基とスルホン酸基を有することができる。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は少なくとも2個、あるいは3個のエステル基を含有する。一態様では、同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個、あるいは2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは3〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は3個あるいは4個のエステル基を含有する。
更に他の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のスルホン酸を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は少なくとも2個、あるいは3個のスルホン酸基を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のスルホン酸基を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のX種を含有する。エステル基とX種を含有する同スルホン酸含有エステルは、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるX種の任意の数を有することができる。エステル基とX種を含有する同スルホン酸含有エステル内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。他の実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸含有エステルは、少なくとも1個、あるいは2個、あるいは3個のX種を含有する。他の実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のY種を含有する。エステル基とY種を含有する同スルホン酸含有エステルは、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるY種の任意の数を有することができる。エステル基とY種を含有する同スルホン酸含有エステル内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。他の実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸含有エステルは、少なくとも1個、あるいは2個、あるいは3個のY種を含有する。他の実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のZ種を含有する。エステル基とZ種を含有する同スルホン酸含有エステルは、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるZ種の任意の数を有することができる。エステル基とZ種を含有する同スルホン酸含有エステル内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。他の実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸含有エステル分子は、少なくとも1個、あるいは2個、あるいは3個のZ種を含有する。他の実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のZ種を含有する。
同スルホン酸含有エステルは、チオール・エステル組成物と本明細書に記載される酸化剤の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定できる。
スルホン酸塩含有エステル組成物
最低限でも、いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは、分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のスルホン酸塩を含有する。一般的には、同スルホン酸塩含有エステルは、本明細書に記載されるスルホン酸含有エステルと塩基の反応によって生成される。原料のスルホン酸含有エステルは、異なった数のエステル基と異なった数のスルホン酸基を有する複数のスルホン酸塩含有エステル分子の混合物を含有し得るので、同スルホン酸塩含有エステル内に存在する基の数量はスルホン酸塩含有エステル組成物中のスルホン酸塩含有エステル分子当りの平均個数あるいは平均比率として記載され得る。
エステル基の個数およびスルホン酸塩含有エステル分子当りのエステル基の平均個数、スルホン酸塩基の個数およびスルホン酸塩含有エステル分子当りのスルホン酸塩基の平均個数は同スルホン酸塩含有エステルを規定する別個の要素であり、またX種の個数およびX種の平均個数、Y種の個数およびY種の平均個数、Z種の個数およびZ種の平均個数、X種の個数およびX種の平均個数、Y種の個数およびY種の平均個数、およびZ種の個数およびZ種の平均個数も別個の要素である。スルホン酸塩含有エステルはスルホン酸含有エステルから生成されるので、同スルホン酸塩含有エステルは、スルホン酸含有エステルに関して述べられたのと同様にして、任意のエステル基の個数あるいはスルホン酸塩含有エステル分子当りの任意のエステル基の平均個数を有することができる。同スルホン酸塩含有エステル内の個々のスルホン酸塩およびその個数、ならびにX種、Y種、Z種、X種、Y種およびZ種およびそれらの個数は更に本明細書に記載される。
最低限でも、いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは、分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のスルホン酸塩基を含有する。スルホン酸塩含有エステル分子当りのエステル基の潜在的な平均個数は既に本明細書に記載されている。いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のスルホン酸塩基を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のスルホン酸塩基を含有する。
他の態様では、同スルホン酸塩含有エステルは、更にヒドロキシ基を含有する。いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1個のヒドロキシ基を含有する。
他の独立した態様では、同スルホン酸塩含有エステル組成物はスルホン酸塩含有エステル分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の下記の構造のX種を含有する:
Figure 2007526939

同X種の構造において、Qs1は水素あるいはヒドロキシ基であり、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Mは酸化数nの金属原子、yは1〜酸化数nの範囲内にある;そして同X種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸塩含有エステル分子の残りの分子に対応する。Qs1、Rs1、Rs2、M、nおよびyは同X種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるQs1、Rs1、Rs2は、M、nおよびyの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。他の実施態様では、nは1〜3の整数である。一態様では、金属原子はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびこれらの混合物の群から選ばれる。他の実施態様では同金属原子はナトリウムである。更に他の態様では同金属原子はカルシウムあるいはマグネシウムである。更に他の態様では同金属原子はバリウムである。
特定の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のX種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のX種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
他の独立した態様では、同スルホン酸塩含有エステル組成物はスルホン酸塩含有エステル分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の下記の構造のY種を含有する:
Figure 2007526939

同Y種の構造において、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Mは酸化数nの金属原子、yは1〜酸化数nの範囲内にある;そして同Y種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸塩含有エステル分子の残りの分子に対応する。Rs1、Rs2、M、nおよびyは同Y種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるQs1、Rs1、Rs2、M、nおよびyの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。他の実施態様では、nは1〜3の整数である。一態様では、金属原子はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびこれらの混合物の群から選ばれる。他の実施態様では同金属原子はナトリウムである。更に他の態様では同金属原子はカルシウムあるいはマグネシウムである。更に他の態様では同金属原子はバリウムである。
特定の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のY種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のY種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
他の独立した態様では、同スルホン酸塩含有エステル組成物はスルホン酸塩含有エステル分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の下記の構造のZ種を含有する:
Figure 2007526939

同Z種の構造において、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Mは酸化数nの金属原子、yは1〜酸化数nの範囲内にある;そして同Z種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸塩含有エステル分子の残りの分子に対応する。Rs1、Rs2、M、nおよびyは同Z種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるRs1、Rs2、M、nおよびyの任意の組み合わせを有することができる。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。他の実施態様では、nは1〜3の整数である。一態様では、金属原子はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびこれらの混合物の群から選ばれる。他の実施態様では同金属原子はナトリウムである。更に他の態様では同金属原子はカルシウムあるいはマグネシウムである。更に他の態様では同金属原子はバリウムである。
特定の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のZ種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のZ種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のZ種を含有する。
他の独立した態様では、同スルホン酸塩含有エステル組成物はスルホン酸塩含有エステル分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の下記の構造のX種を含有する:
Figure 2007526939

同X種の構造において、Qs1は水素あるいはヒドロキシ基であり、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Rs3、Rs4およびRs5は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そして同X種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸塩含有エステル分子の残りの分子に対応する。Qs1、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4およびRs5は同X種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるQs1、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4およびRs5の任意の組み合わせを有することができる。いくつかの態様では、NRs3s4NRs5構造はトリアルキルアミン、ジアルキルアミンおよびモノアルキルアミンの群から選ばれる化合物である。いくつかの実施態様では、NRs3s4NRs5構造はトリアルキルアミンである。
いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。
特定の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のX種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のX種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
他の独立した態様では、同スルホン酸塩含有エステル組成物はスルホン酸塩含有エステル分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の下記の構造のY種を含有する:
Figure 2007526939

同Y種の構造において、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Rs3、Rs4およびRs5は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そして同Y種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸塩含有エステル分子の残りの分子に対応する。Rs1、Rs2、Rs3、Rs4およびRs5は同Y種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるRs1、Rs2、Rs3、Rs4およびRs5の任意の組み合わせを有することができる。いくつかの態様では、NRs3s4NRs5構造はトリアルキルアミン、ジアルキルアミンおよびモノアルキルアミンの群から選ばれる化合物である。いくつかの実施態様では、NRs3s4NRs5構造はトリアルキルアミンである。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。
特定の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のY種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のY種を含有する。他の態様では、同スルホン酸含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
他の独立した態様では、同スルホン酸塩含有エステル組成物はスルホン酸塩含有エステル分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個の下記の構造のZ種を含有する:
Figure 2007526939

同Z種の構造において、Rs1およびRs2は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;Rs3、Rs4およびRs5は各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される;そして同Z種の価数(ここには示していない)は同スルホン酸塩含有エステル分子の残りの分子に対応する。Rs1、Rs2、Rs3、Rs4およびRs5は同Z種の別個の要素であり、これによって同種は本明細書に記載されるRs1、Rs2、Rs3、Rs4およびRs5の任意の組み合わせを有することができる。いくつかの態様では、NRs3s4NRs5構造はトリアルキルアミン、ジアルキルアミンおよびモノアルキルアミンの群から選ばれる化合物である。いくつかの実施態様では、NRs3s4NRs5構造はトリアルキルアミンである。いくつかの特定の実施態様では、Rs1およびRs2は水素である。
特定の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個のZ種を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個のZ種を含有する。他の態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個の種を含有する。
いくつかの実施態様では、少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のスルホン酸塩基を含有するスルホン酸塩含有エステルが提供される。エステル基の数とスルホン酸塩基の数は別個の要素であり、これによって同スルホン酸塩含有エステルは本明細書に記載される任意の数のエステル基とスルホン酸塩基を有することができる。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも2個のエステル基を含有する。いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも3個のエステル基を含有する。一態様では、同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個のエステル基を含有する。一態様では、同スルホン酸含有エステル分子は2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは3〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は3個あるいは4個のエステル基を含有する。
更に他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のスルホン酸塩基を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有する。他の実施態様では、同スルホン酸含有エステル分子は2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のスルホン酸塩基を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のX種を含有する。いくつかの実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるX種の任意の数を有することができる。エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。更に他の実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有し得る。他の実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のY種を含有する。いくつかの実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるY種の任意の数を有することができる。エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。更に他の実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有し得る。他の実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のZ種を含有する。いくつかの実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるZ種の任意の数を有することができる。エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。更に他の実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有し得る。他の実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のZ種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のX種を含有する。いくつかの実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるX種の任意の数を有することができる。エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。更に他の実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有し得る。他の実施態様では、エステル基とX種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のX種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のY種を含有する。いくつかの実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるY種の任意の数を有することができる。エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。更に他の実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有し得る。他の実施態様では、エステル基とY種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のY種を含有する。
いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル分子は少なくとも1個のエステル基と少なくとも1個のZ種を含有する。いくつかの実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、エステル基の数の任意の組み合わせおよび本明細書に記載されるZ種の任意の数を有することができる。エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子内のエステル基の数は本明細書に既に記載されている。更に他の実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、少なくとも2個あるいは3個のスルホン酸塩基を含有し得る。他の実施態様では、エステル基とZ種を含有する同スルホン酸塩含有エステル分子は、2〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のZX種を含有する。
同スルホン酸塩含有エステル組成物は、スルホン酸と塩基の接触を包含するプロセスによって得られる製品によっても規定でき、更に本明細書に記載されるプロセスによっても規定できる。
チオール・エステル組成物生成プロセス
本発明は、その実施態様として、チオール・エステル組成物生成プロセスを有利に提供する。一実施態様として、本発明は硫化水素と不飽和エステルを含有する不飽和エステル組成物を接触させ、硫化水素と不飽和エステルを反応させることにより同チオール・エステル組成物を形成あるいは生成するプロセスを有利に包含する。本発明の他の実施態様として、同チオール・エステル組成物を生成するプロセスが有利に提供される。同実施態様では、同プロセスはポリオール含有組成物とチオール含有カルボン酸組成物からなる組成物を接触させ、同ポリオールとチオール含有カルボン酸組成物を反応させることによる同チオール・エステル組成物の生成を包含する。
チオール・エステル組成物の生成を包含する本発明のいくつかの実施態様では、同不飽和エステル組成物は天然資源油である。一態様では大豆油あるいはヒマシ油である。他の適切な不飽和エステル組成物の種類は本明細書に記載されており、これらもチオール・エステル組成物を生成する同プロセスに使用できる。
不飽和エステルからのチオール・エステル
本発明の一実施態様として、本明細書に記載されるチオール・エステルは、硫化水素と不飽和エステルを含有する不飽和エステル組成物を接触させ、硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程を包含する同プロセスにより生成できる。一実施態様では、同不飽和エステル組成物は、不飽和エステル分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和エステルを含有する。同実施態様では、同チオール・エステル組成物は、環状硫化物/チオール基のモル比1.5未満のチオール・エステル分子を含有する。
同チオール・エステル組成物を生成する同プロセスは、本明細書に記載されるどのような種類の不飽和エステルに対しても適用可能であり、また本明細書に記載されるどのような種類の不飽和エステルの生成に対しても適用可能である。同チオール・エステル組成物を生成する同プロセスは、本明細書に記載されるどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。
いくつかの態様では、硫化水素と不飽和エステルの反応は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、硫化水素と不飽和エステルの反応は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。溶剤が使用される場合には、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物、アルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。更に他の実施態様では、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテルあるいは芳香族化合物から選択され得る。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族溶剤を含有する場合には、同脂肪族溶剤はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族溶剤を含有する場合には、同芳香族溶剤はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がアルコールを含有する場合には、同アルコールはメタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノールあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらの混合物から選ばれる。他の種類の適切な溶剤は当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
溶剤が不飽和エステルと硫化水素の反応に使用される場合には、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同不飽和エステルに対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍未満、あるいは15倍未満、あるいは10倍未満、あるいは5倍未満である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは4〜15倍、あるいは5〜10倍である。
同チオール・エステル組成物を生成するためのプロセスで使用される硫化水素/不飽和エステル中の炭素−炭素二重結合のモル当量比は望ましいチオール・エステルを生成するいかなる値でもよい。不飽和エステル中の炭素−炭素二重結合のモル当量は下式で与えられる:
Figure 2007526939

同式において、UES GMWは不飽和エステルの平均グラム分子量、UES Massは原料不飽和エステルの質量、そしてUES C=Cは不飽和エステル分子当りの二重結合数である。いくつかの実施態様では、チオール・エステル分子の硫化水素/不飽和エステル中の炭素−炭素二重結合のモル比は2を超える。他の実施態様では、同モル比は5、あるいは10、あるいは15、あるいは20を超える。他の実施態様では、同モル比は2〜500、あるいは5〜500、あるいは10〜100、あるいは100〜200である。
いくつかの態様では、不飽和エステルと硫化水素の反応は触媒の存在下で実施される。いくつかの態様では、不飽和エステルと硫化水素の反応は不均一系あるいは均一系の触媒の存在下で実施される。他の実施態様では、不飽和エステルと硫化水素の反応は遊離ラジカル系反応開始剤あるいは紫外線(UV)照射により開始される。他の触媒を使用する方法および反応を開始する方法は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同不均一系触媒は、酸性粘土(例えばEnglehardの社のFiltrol(R)−24)、酸性ゼオライト(例えばUOP社のLZY−84)、担持されたコバルト/モリブデン酸化物系の触媒(例えばHaldor−Topsoe社のTK−554)、および担持されたニッケル/モリブデン酸化物系の触媒(例えばHaldor−Topsoe社のTK−573)からなる群から選択される。均一系の触媒の例としてメタンスルホン酸あるいはトルエンスルホン酸が挙げられる。他の適切な不均一系あるいは均一系の触媒種は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
遊離ラジカル系反応開始剤は、熱あるいは光による光分解条件下で遊離ラジカルを形成できるものであればどのようなものでもよい。一般的には、遊離ラジカル系反応開始剤は−N=N−基あるいは−O−O−基を有する一般的な種類の化合物から選択される。特定の種類の遊離ラジカル系反応開始剤の例として、ジアゾ化合物、ジアルキル過酸化物、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシ・エステルが挙げられる。特定の開始剤の例として、アゾベンゼン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレル酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、メチルプロピオニトリル、アゾジカルボキサミド、t−ブチル・ヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチル・ヒドロペルオキシドおよびオクチルペルベンゾアートが挙げられる。いくつかの実施態様では、同遊離ラジカル系反応開始剤により開始される反応は、同開始剤の1時間半減期温度の±50°C以内の反応温度下で実施される。他の実施態様では、同遊離ラジカル系反応開始剤により開始される反応は、同開始剤の1時間半減期温度の±25°C、あるいは±20°C、あるいは±15°C、あるいは±10°C以内の反応温度下で実施される。同不飽和エステルと硫化水素の遊離ラジカル系反応開始剤触媒の存在下での反応が光分解によって開始される実施態様では、そのための光は遊離ラジカルを形成できるものであればどのようなものでもよい。いくつかの実施態様では同光は紫外線(UV)である。
他の態様では、同不飽和エステルと硫化水素の反応はUVの照射によって開始される。これらの実施態様では、照射されるUVの種類は、同不飽和エステルと硫化水素の反応を開始できるものであればどのようなものでもよい。いくつかの態様では、UVは中程度の電圧の水銀灯から照射される。ここではUVが光源として記載されたが、他の適切な種類の光源は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同不飽和エステルと硫化水素の反応は回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。連続式反応器の例として連続攪拌式反応器が挙げられる。回分式反応器の例としてUVにより反応が開始される形式の反応器が挙げられる。本発明の実施態様に使用可能な他の形式の回分式あるいは連続式の反応器は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
連続式の反応器が採用される場合、望ましいチオール・エステルを生成するための原料の不飽和エステルの時間当たりの重量基準空間速度は0.1〜5が採用できる。他の実施態様では、同空間速度は0.1〜5あるいは0.1〜2である。他の実施態様では、同空間速度は0.1、あるいは0.25、あるいは2である。
同不飽和エステルと硫化水素の反応に要する時間は、本明細書に記載されるチオール・エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同不飽和エステルと硫化水素の反応の時間は少なくとも5分である。いくつかの実施態様では、同反応時間は5分〜72時間、あるいは10分〜48時間、あるいは15分〜36時間である。
いくつかの実施態様では、同チオール・エステル生成プロセスは、硫化水素と同不飽和エステル組成物の反応終了後に過剰のあるいは残留硫化水素を除去するための工程を包含する。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度下で実施される。他の実施態様では、硫化水素を除去するために同チオール・エステルは不活性ガスにより噴霧される。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度で噴霧される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。一般的には、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは0.1重量%未満の硫化水素を含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは0.05重量%、あるいは0.025量%、あるいは0.01重量%未満の硫化水素を含有する。
同不飽和エステルと硫化水素の反応は、同チオール・エステルを生成できる温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同不飽和エステルと硫化水素は−20°Cを超える温度で反応できる。他の実施態様では、同不飽和エステルと硫化水素は0°C、あるいは20°C、あるいは50°C、あるいは80°C、あるいは100°Cを超える温度で反応できる。更に他の実施態様では、同不飽和エステルと硫化水素は−20〜200°C、あるいは120〜240°C、あるいは170〜210°C、あるいは185〜195°C、あるいは20〜200°C、あるいは20〜170°C、あるいは80〜140°Cの温度で反応できる。
同不飽和エステルと硫化水素の反応は、硫化水素を部分的に液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同不飽和エステルと硫化水素の反応は100〜2000psigの圧力下で実施できる。他の実施態様では、同不飽和エステルと硫化水素の反応は、150〜1000psig、あるいは200〜600psigの圧力下で実施できる。
低環状硫化物濃度のチオール・エステルは本明細書に開示されるプロセスで生成できる。一態様では、同チオール・エステル生成プロセスは、環状硫化物/チオール基のモル比が1.5未満のチオール・エステルを形成あるいは生成できる。それ以外の環状硫化物/チオール基のモル比は本明細書に開示されている。
より低濃度の環状硫化物を含有するチオール・エステルの他に、低炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比を有するチオール・エステルも本明細書に開示されているプロセスで生成できる。一態様では、本明細書に開示されているプロセスは、炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比が1.5未満のチオール・エステルを生成する。それ以外の炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比は本明細書に開示されている。
いくつかの態様では、本明細書に記載されるプロセスは、平均して5重量%超のチオール系硫黄を含有するチオール・エステル分子を生成する。それ以外のチオール系硫黄の濃度は本明細書に開示されている。他の態様では、同チオール・エステル生成プロセスは、チオール・エステルの全側鎖の40%超が硫黄を含有するチオール・エステルを生成する。それ以外の硫黄含有全側鎖の割合は本明細書に開示されている。
いくつかの実施態様では、同チオール・エステル組成物生成プロセスは、不飽和エステルと硫化水素を接触・反応させてチオール・エステルを生成する。同チオール・エステルは環状硫化物/チオール基のモル比が1.5未満のチオール・エステル分子を含有する。
ポリオールおよびチオール含有カルボン酸誘導体からのチオール・エステル
本発明の他の実施態様として、同チオール・エステル組成物を生成する他のプロセスが有利に提供される。同実施態様では、同プロセスはポリオール含有組成物をチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の組成物と接触させ、ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体を反応させて、同チオール・エステル組成物を生成する工程を包含する。同プロセスは、本明細書に記載されるどのようなポリオール、チオール含有カルボン酸あるいはチオール含有カルボン酸誘導体に対しても適用可能である。同チオール・エステル組成物生成プロセスは、本明細書に記載される他のどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。更には、同チオール・エステル組成物生成プロセスは本明細書に記載されるどのような種類のチオール・エステル組成物をも形成し得る。
いくつかの実施態様では、同チオール・エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1・5個のエステル基と平均して少なくとも1・5個のチオール基を有するチオール・エステル分子を含有する。
ポリオールおよびチオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物(例えば、チオール・カルボン酸メチルエステル)の接触により同チオール・エステルを生成するために使用されるポリオールは、本明細書に記載されるチオール含有エステルを生成できるどのようなポリオールあるいはそれの混合物であってよい。
一態様では、同チオール・エステル生成に使用される同ポリオールは2〜20個の炭素原子を含有し得る。他の実施態様では、同ポリオールは2〜10個、あるいは2〜7個、あるいは2〜5個の炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオールは平均して2〜20個、あるいは2〜10個、あるいは2〜7個、あるいは2〜5個の炭素原子を含有するポリオールの混合物であってよい。
他の態様では、同チオール・エステル生成に使用される同ポリオールは、本明細書に記載されるチオール・エステル生成に必要とされるどのような数のヒドロキシ基を含有し得る。いくつかの実施態様では、同ポリオールは2個、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個、あるいは6個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ポリオールは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個、あるいは6個のヒドロキシ基を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオールは2〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の態様では、同チオール・エステル生成に使用される同ポリオールはいくつかの種類のポリオールの混合物である。一実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個、あるいは4個のヒドロキシ基を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して1.5〜8個、あるいは2〜6個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜4個、2.5〜3.5個、あるいは2.5〜4.5個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の態様では、同チオール・エステル生成に使用される同ポリオールあるいはポリオール混合物は500未満の分子量あるいは平均分子量を有する。他の実施態様では、同ポリオールあるいはそれの混合物は300未満、あるいは200未満、あるいは150未満、あるいは100未満の分子量あるいは平均分子量を有する。
ポリオールおよびチオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物の接触により同チオール・エステルを生成するために使用されるチオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は、本明細書に記載されるチオール含有エステルを生成できるチオール・カルボン酸、チオール・カルボン酸相当化合物あるいはチオール・カルボン酸相当化合物の混合物を含有するどのようなチオール・カルボン酸の混合物であってよい。同チオール・カルボン酸相当化合物(1種あるいは複数種)の特性(例えば、炭素原子数、平均炭素原子数、分子量あるいは平均分子量、チオール基数および平均チオール基数)に関しては、これらの特性はチオール・エステルを生成するためにポリオールに添加される同チオール・カルボン酸相当化合物部分に適用されることが理解されよう。
一態様では、同チオール・エステル組成物の生成のために使用される同チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は2〜28個の炭素原子を含有する。一実施態様では、同チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は4〜26個、あるいは8〜24個、あるいは12〜24個、あるいは14〜20個の炭素原子を含有する。他の実施態様では、チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物を含有する混合物は、チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物の分子当り平均して2〜28個、あるいは4〜26個、あるいは8〜24個、あるいは12〜24個、あるいは14〜20個の炭素原子を含有する。
他の態様では、同チオール・エステルの生成のために使用されるチオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は少なくとも1個あるいは2個のチオール基を含有する。いくつかの実施態様では、チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物含有混合物は、チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物の分子当り平均して0.5〜3個、あるいは1〜2個のチオール基を含有する。
他の態様では、同チオール・エステルの生成のために使用される同チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は100、あるいは180、あるいは240、あるいは260を超える分子量を有する。他の実施態様では、同チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は100〜500、あるいは120〜420、あるいは180〜420、あるいは240〜420、あるいは260〜360の分子量を有する。いくつかの実施態様では、チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物含有混合物は、チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物分子当り100、あるいは180、あるいは240、あるいは260を超える平均分子量を有する。更に他の実施態様では、チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物含有混合物は、チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物の分子当り100〜500、あるいは120〜420、あるいは180〜420、あるいは240〜420、あるいは260〜360の平均分子量を有する。
いくつかの態様では、ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応が溶剤の存在下で実施される態様では、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物、およびそれらのどのような混合物からなる群から選択される。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族炭化水素を含有する場合には、同脂肪族炭化水素はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族化合物を含有する場合には、同芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。
溶剤が、ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応に使用される場合には、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同チオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体に対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍未満、あるいは15倍、あるいは10倍、あるいは5倍である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは5〜10倍である。
同チオール・エステル組成物を生成するプロセスで使用されるポリオール・ヒドロキシ基に対するチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体のモル比(以後「カルボン酸/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比」と称する)は、望ましいチオール・エステル組成物を生成するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同カルボン酸/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比は0.4を超える。他の実施態様では、同カルボン酸/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比は0.6、あるいは0.8、あるいは1、あるいは1.1を超える。他の実施態様では、同カルボン酸/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比は0.4〜1.3、あるいは0.6〜1.2、あるいは0.8〜1.1である。
いくつかの態様では、ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は触媒の存在下で実施される。いくつかの実施態様では、同触媒は鉱物系の酸(例えば、硫酸あるいはリン酸)である。他の実施態様では、同触媒は有機酸である。いくつかの実施態様では、同有機酸触媒は例えばメタンスルホン酸あるいはトルエンスルホン酸である。他の適切な触媒の種類は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、本明細書に記載される回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、同チオール・エステルを生成できる温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、20°Cを超える温度で実施できる。他の実施態様では、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は50°C、あるいは75°C、あるいは100°Cを超える温度で実施できる。更に他の実施態様では、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、20〜250°C、あるいは50〜200°C、あるいは75〜175°C、あるいは100〜150°Cの温度で実施できる。
同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応に要する時間は、本明細書に記載されるチオール・エステル油を生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応の時間は少なくとも5分である。いくつかの実施態様では、少なくとも30分、あるいは1時間あるいは2時間である。更に他の実施態様では、同反応時間は5分〜72時間、あるいは30分〜48時間、あるいは1〜36時間、あるいは2〜24時間である。
連続式の反応器が採用される場合、望ましいチオール・エステルを生成するための原料のポリオールの時間当たりの重量基準空間速度は0.1〜5を採用できる。他の実施態様では、同空間速度は0.1〜5あるいは0.1〜2である。他の実施態様では、同空間速度は0.1、あるいは0.25、あるいは2である。
同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、同ポリオール、チオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体を液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、0〜2000psiaの圧力下で実施する。他の実施態様では、同反応圧力は0〜1000psia、あるいは0〜500psia、あるいは0〜300psiaである。
いくつかの実施態様では、ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応により同チオール・エステルを生成するプロセスは、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応終了後に過剰のあるいは残留する同ポリオール、チオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体を除去するための工程を包含し得る。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度下で実施される。他の実施態様では、過剰の同ポリオール、チオール含有カルボン酸および/あるいはチオールを除去するために同チオール・エステルは不活性ガスにより噴霧される。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度で噴霧される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。一般的には、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは5重量%未満の過剰の同ポリオール、チオール含有カルボン酸あるいはチオール含有カルボン酸誘導体を含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは2重量%、あるいは1重量%、あるいは0.5重量%未満の過剰の同ポリオール、チオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体を含有する。
ヒドロキシ・チオール・エステル組成物生成プロセス
本発明は、その実施態様として、ヒドロキシ・チオール・エステル生成プロセスを有利に提供する。一実施態様として、本発明は同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成するプロセスを有利に包含する。同プロセスは、硫化水素とエポキシ化不飽和エステル組成物を接触させ、硫化水素とエポキシ化不飽和エステルを反応させることにより同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する工程を包含する。本発明の他の実施態様として、同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成する他のプロセスも提供する。同実施態様では、同プロセスはポリオール含有組成物とヒドロキシ・チオール含有カルボン酸組成物あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体組成物を接触させ、同ポリオールとチオール含有カルボン酸組成物あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体組成物を反応させることにより同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成する工程を包含する。
硫化水素とエポキシ化不飽和エステルからのヒドロキシ・チオール・エステル
本発明の一実施態様として、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、硫化水素とエポキシ化不飽和エステル組成物を接触させ、硫化水素とエポキシ化不飽和エステルを反応させる工程を包含する同プロセスにより生成される。
いくつかの実施態様では、同エポキシ化不飽和エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のエポキシド基を有するエポキシ化不飽和エステルを含有する。
同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成あるいは調製する同プロセスは、本明細書に記載されるどのような種類のエポキシ化不飽和エステルに対しても適用可能であり、また本明細書に記載されるどのような種類のエポキシ化不飽和エステルの生成に対しても適用可能である。同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成する同プロセスは、本明細書に記載されるどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。更に、同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成する同プロセスは、本明細書に記載されるどのようなヒドロキシ・チオール・エステルをも生成できる。
いくつかの実施態様では、同エポキシ化不飽和エステル組成物はエポキシ化天然資源油である。いくつかの実施態様では、同エポキシ化不飽和エステル組成物は大豆油である。他の種類の適切なエポキシ化不飽和天然資源油組成物(本明細書に記載される天然資源油を含む)は当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは、硫化水素とエポキシ化不飽和エステル組成物の接触を包含し、同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成する反応条件下で任意の触媒の存在下で実施されるプロセスにより生成される。いくつかの実施態様では、不均一系あるいは均一系の触媒が使用できる。適切な触媒は本明細書に記載されている。他の適切な触媒は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
いくつかの態様では、エポキシ化不飽和エステルと硫化水素の反応は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、エポキシ化不飽和エステルと硫化水素の反応は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。溶剤が使用される態様では、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族炭化水素を含有する場合には、同脂肪族炭化水素はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族化合物を含有する場合には、同芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらの混合物から選ばれる。他の種類の適切な溶剤は当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
溶剤が硫化水素とエポキシ化不飽和エステルの反応に使用される場合には、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同エポキシ化不飽和エステルに対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍、あるいは15倍、あるいは10倍、あるいは5倍未満である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは4〜15倍、あるいは5〜10倍である。
同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成するためのプロセスで使用される硫化水素/エポキシ化不飽和エステル中のエポキシド基のモル当量比(以後「硫化水素/エポキシド基のモル比」と称する)は望ましいヒドロキシ・チオール・エステルを生成するいかなる値でもよい。エポキシ化不飽和エステル中のエポキシ化基のモル当量は下式で与えられる:
Figure 2007526939

同式において、EUES GMWはエポキシ化不飽和エステルの平均グラム分子量、EUES Massはエポキシ化不飽和エステルの質量、そしてEUES Epoxideはエポキシ化不飽和エステル分子当りのエポキシド基の平均数である。いくつかの実施態様では、同硫化水素/エポキシド基のモル比は0.2を超える。いくつかの実施態様では、同硫化水素/エポキシド基のモル比は0.5、あるいは1、あるいは2を超える。他の実施態様では、同モル比は0.2〜5、あるいは0.5〜4、あるいは0.75〜3である。いくつかの実施態様では、同硫化水素/エポキシド基のモル比は2を超える。他の実施態様では、同硫化水素/エポキシド基のモル比は5、あるいは10、あるいは15、あるいは20を超える。他の実施態様では、同モル比は0.2〜500、あるいは0.5〜400、あるいは1〜300、あるいは2〜250、あるいは5〜200、あるいは10〜100である。
同エポキシ化不飽和エステルと硫化水素の反応は回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。適切な形式の回分式および連続式反応器は本明細書に記載されている。他の適切な形式の回分式あるいは連続式の反応器は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同エポキシ化不飽和エステルと硫化水素の反応に要する時間は、本明細書に記載されるヒドロキシ・チオール・エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同エポキシ化不飽和エステルと硫化水素の反応の時間は少なくとも15分である。いくつかの実施態様では、同反応時間は15分〜72時間、あるいは30分〜48時間、あるいは45分〜36時間である。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、分子当り平均して2.5重量%を超えるチオール系硫黄を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有する。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、分子当り平均して5重量%を超えるチオール系硫黄を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有する。あるいは、いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル分子は平均して8〜10重量%のチオール系硫黄を有する。
他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する同プロセスは、硫化物含有エステルの全側鎖の40%超が硫化物基を含有するヒドロキシ・チオール・エステル分子の生成を包含する。同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物がある濃度の硫化物含有エステル全側鎖を含有する他の実施態様は本明細書に記載されている。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成プロセスは、硫化水素と同エポキシ化不飽和エステル組成物の反応終了後に残留硫化水素を除去するための工程を包含する。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度下で実施される。いくつかの実施態様では、硫化水素を除去するために同ヒドロキシ・チオール・エステルは不活性ガスにより噴霧される。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度で噴霧される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。一般的には、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは0.1重量%未満の硫化水素を含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは0.05重量%、あるいは0.025量%、あるいは0.01重量%未満の硫化水素を含有する。
硫化水素と同エポキシ化不飽和エステルとの反応は、同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成できる温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同エポキシ化不飽和エステルと硫化水素は−20°Cを超える温度で反応できる。他の実施態様では、同反応温度は0°C、あるいは20°C、あるいは50°C、あるいは80°Cを超える。更に他の実施態様では、同反応温度は−20〜200°C、あるいは20〜170°C、あるいは80〜240°Cである。
同エポキシ化不飽和エステルと硫化水素の反応は、十分な量の硫化水素を液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同反応圧力は100〜2000psigである。他の実施態様では、同反応圧力は150〜1000psig、あるいは200〜600psigである。
他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成プロセスは、エポキシド基/チオール基のモル比が3.3未満のヒドロキシ・チオール・エステルを生成する。他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成プロセスは、エポキシド基/チオール基のモル比が2未満のヒドロキシ・チオール・エステルを生成する。これら以外のエポキシド基/チオール基のモル比は本明細書に記載されている。他の態様では、エポキシド基/チオール基のモル比は1.5、あるいは1.0、あるいは0.5、あるいは0.25、あるいは0.1未満であってよい。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは実質的にエポキシド基を含有しなくてもよい。
他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成プロセスは、側鎖の少なくとも20%がα−ヒドロキシ・チオール基を含有するヒドロキシ・チオール・エステルを生成する。α−ヒドロキシ・チオール基を有する側鎖を或る割合で含有することに関する実施態様は本明細書に記載されている。
ポリオールおよびヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体からのヒドロキシ・チオール・エステル
本発明の他の実施態様として、同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成する他のプロセスが有利に提供される。同実施態様では、同プロセスはポリオール含有組成物をヒドロキシ・チオール含有カルボン酸組成物および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体組成物と接触させ、ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体を反応させて、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する工程を包含する。同プロセスは、本明細書に記載されるどのようなポリオール、ヒドロキシ・チオール含有カルボン酸あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体に対しても適用可能である。同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物生成プロセスは、本明細書に記載される他のどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。更には、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物生成プロセスは本明細書に記載されるどのような種類のチオール・エステル組成物をも生成し得る。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物は、分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステルを含有する。
ポリオールおよびヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物(例えば、チオール・カルボン酸メチルエステル)の接触により同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成するために使用されるポリオールは、本明細書に記載されるチオール含有エステルを生成できるどのようなポリオールあるいはそれの混合物であってよい。
一態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成に使用される同ポリオールは2〜20個の炭素原子を含有し得る。他の実施態様では、同ポリオールは2〜10個、あるいは2〜7個、あるいは2〜5個の炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオールは平均して2〜20個、あるいは2〜10個、あるいは2〜7個、あるいは2〜5個の炭素原子を含有するポリオールの混合物であってよい。
他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成に使用される同ポリオールは、本明細書に記載されるヒドロキシ・チオール・エステル生成に必要とされるどのような数のヒドロキシ基をも含有し得る。いくつかの実施態様では、同ポリオールは2個、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個、あるいは6個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ポリオールは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個、あるいは6個のヒドロキシ基を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオールは2〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成に使用される同ポリオールはいくつかの種類のポリオールの混合物である。一実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個、あるいは4個のヒドロキシ基を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して1.5〜8個、あるいは2〜6個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜4個、あるいは2.5〜3.5個、あるいは2.5〜4.5個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステル生成に使用される同ポリオールあるいはポリオール混合物は500未満の分子量あるいは平均分子量を有する。他の実施態様では、同ポリオールあるいはそれの混合物は300、あるいは200、あるいは150、あるいは100未満の分子量あるいは平均分子量を有する。
ポリオールおよびヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物の接触により同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成するために使用されるヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物は、本明細書に記載されるヒドロキシ・チオール含有エステルを生成できるヒドロキシ・チオール・カルボン酸、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物の混合物あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物含有混合物を含有するどのようなヒドロキシ・チオール・カルボン酸の混合物であってよい。同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物(1種あるいは複数種)の特性(例えば、炭素原子数、平均炭素原子数、分子量あるいは平均分子量、チオール基数および平均チオール基数)に関しては、これらの特性はヒドロキシ・チオール・エステルを生成するためにポリオールに添加される同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物部分に適用されることが理解されよう。
一態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルの生成のために使用される同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物は2〜28個の炭素原子を含有する。一実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物は4〜26個、あるいは8〜24個、あるいは12〜24個、あるいは14〜20個の炭素原子を含有する。他の実施態様では、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物を含有する混合物は、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物の分子当り平均して2〜28個、あるいは4〜26個、あるいは8〜24個、あるいは12〜24個、あるいは14〜20個の炭素原子を含有する。
他の態様では、同チオール・エステルの生成のために使用されるヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはチオール・カルボン酸相当化合物は少なくとも1個あるいは2個のチオール基を含有する。いくつかの実施態様では、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物含有混合物は、カルボン酸および/あるいはカルボン酸相当化合物の分子当り平均して0.5〜3個、あるいは1〜2個のチオール基子を含有する。
他の態様では、同チオール・エステルの生成のために使用される同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物は、少なくとも1個あるいは2個のヒドロキシ・チオール基子を含有する。いくつかの実施態様では、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物含有混合物はヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物分子当り平均して0.5〜3個、あるいは1〜2個のヒドロキシ・チオール基子を含有する。
他の態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルの生成のために使用される同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物は100、あるいは180、あるいは240、あるいは260を超える分子量を有する。他の実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物は100〜500、あるいは120〜420、あるいは180〜420、あるいは240〜420、あるいは260〜360の分子量を有する。いくつかの実施態様では、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物含有混合物は、カルボン酸および/あるいはカルボン酸相当化合物分子当り100、あるいは180、あるいは240、あるいは260を超える平均分子量を有する。更に他の実施態様では、ヒドロキシ・チオール・カルボン酸含有混合物および/あるいはヒドロキシ・チオール・カルボン酸相当化合物含有混合物は、カルボン酸および/あるいはカルボン酸相当化合物の分子当り平均して100〜500、あるいは120〜420、あるいは180〜420、あるいは240〜420、あるいは260〜360の平均分子量を有する。
いくつかの態様では、ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応が溶剤の存在下で実施される態様では、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物、およびそれらのどのような混合物からなる群から選択される。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族炭化水素を含有する場合には、同脂肪族炭化水素はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族化合物を含有する場合には、同芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。
溶剤が、ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応に使用される場合には、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同ヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体に対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍、あるいは15倍、あるいは10倍、あるいは5倍未満である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは5〜10倍である。
同ヒドロキシ・チオール・エステルを生成するプロセスで使用されるポリオール・ヒドロキシ基に対するヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体のモル比(以後「カルボン酸基/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比」と称する)は、望ましいヒドロキシ・チオール・エステルを生成するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同カルボン酸基/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比は0.4を超える。他の実施態様では、同カルボン酸基/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比は0.6、あるいは0.8、あるいは1、あるいは1.1を超える。他の実施態様では、同カルボン酸基/ポリオール・ヒドロキシ基のモル比は0.4〜1.3、あるいは0.6〜1.2、あるいは0.8〜1.1である。
いくつかの態様では、同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は触媒の存在下で実施される。いくつかの実施態様では、同触媒は鉱物系の酸(例えば、硫酸あるいはリン酸)である。他の実施態様では、同触媒は有機酸である。いくつかの実施態様では、同有機酸触媒は例えばメタンスルホン酸あるいはトルエンスルホン酸である。他の適切な触媒の種類は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は、本明細書に記載されているように回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は、同チオール・エステルを生成できる温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は、20°Cを超える温度で実施できる。他の実施態様では、同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は50°C、あるいは75°C、あるいは100°Cを超える温度で実施できる。更に他の実施態様では、同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は、20〜250°C、あるいは50〜200°C、あるいは75〜175°C、あるいは100〜150°Cの温度で実施できる。
同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応に要する時間は、本明細書に記載されるチオール・エステル組成物を生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同反応時間は少なくとも5分である。いくつかの実施態様では、同反応時間は少なくとも30分、あるいは1時間あるいは2時間である。更に他の実施態様では、同反応時間は5分〜72時間、あるいは30分〜48時間、あるいは1〜36時間、あるいは2〜24時間である。
同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応は、同ポリオール、ヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体を液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同ポリオールとチオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体の反応は、0〜2000psiaの圧力下で実施する。他の実施態様では、同反応圧力は0〜1000psia、あるいは0〜500psia、あるいは0〜300psiaである。
いくつかの実施態様では、ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応により同ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成するプロセスは、同ポリオールとヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体の反応終了後に過剰のあるいは残留する同ポリオール、ヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体を除去するための工程を包含し得る。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度下で実施される。他の実施態様では、過剰の同ポリオール、ヒドロキシ・チオール含有カルボン酸および/あるいはヒドロキシ・チオールを除去するために同ヒドロキシ・チオール・エステルは不活性ガスにより噴霧される。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ・チオール・エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度で噴霧される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。一般的には、ストリッピングあるいは噴霧されたヒドロキシ・チオール・エステルは5重量%未満の過剰の同ポリオール、ヒドロキシ・チオール含有カルボン酸あるいはヒドロキシ・チオール含有カルボン酸誘導体を含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは2重量%、あるいは1重量%、あるいは0.5重量%未満の過剰の同ポリオール、チオール含有カルボン酸および/あるいはチオール含有カルボン酸誘導体を含有する。
チオアクリレート・エステル生成方法
本発明の他の実施態様として、チオアクリレート含有エステル組成物の生成プロセスが有利に提供される。同チオアクリレート含有エステルの生成プロセスは、チオール・エステルとアクリレートを接触させ、少なくとも1個のチオール基をチオール・アクリレート基に転化する。同プロセスは本明細書に記載されるどのようなチオール・エステルおよびチオアクリレート・エステルに対しても適用可能である。同チオアクリレート・エステル生成プロセスもどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。
同アクリレート化合物は、チオール基と反応して同チオール・アクリレート基を生成できるものであればどのようなものでもよい。いくつかの実施態様では、同アクリレート化合物はハロゲン化アクリル酸でもよい。他の実施態様では、同アクリレート化合物はアクリル酸でもよい。更に他の実施態様では、同アクリレート化合物は無水アクリル酸でもよい。
本発明のいくつかの実施態様では、同アクリレート組成物は以下の構造を有する:
Figure 2007526939

同アクリレート組成物の構造において、Yは水素、ハロゲンあるいはORからなる群から選択される;そしてR、RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される。更にいくつかの実施態様では、R、RおよびRは各々水素、C〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいは各々C〜Cのオルガニル基およびC〜Cのヒドロカルビル基からなる群から選択される。或る実施態様では、R、RおよびRは各々水素およびメチル基からなる群から選択される。いくつかの特定の実施態様ではRおよびRは水素でありRは水素、メチル基およびそれらの混合物からなる群から選択され、他の実施態様ではRおよびRは水素でありRはメチル基、更に他の実施態様ではR、RおよびRは水素である。いくつかの実施態様では、RはC〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいはC〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいはC〜Cのオルガニル基およびC〜Cのヒドロカルビル基からなる群から選択される。
他の実施態様では、同アクリレート化合物は以下の構造を有する無水アクリル酸でもよい:
Figure 2007526939

同無水アクリル酸の構造において、Yは水素、ハロゲンあるいはORからなる群から選択され;そしてR、RおよびRは各々水素、C〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択される。更にいくつかの実施態様では、R、RおよびRは各々水素、C〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいは各々C〜Cのオルガニル基およびC〜Cのヒドロカルビル基からなる群から選択される。或る実施態様では、R、RおよびRは各々水素およびメチル基からなる群から選択される。いくつかの特定の実施態様ではRおよびRは水素でありRは水素、メチル基およびそれらの混合物からなる群から選択され、他の実施態様ではRおよびRは水素でありRはメチル基であり、更に他の実施態様ではR、RおよびRは水素である。いくつかの実施態様では、RはC〜C20のオルガニル基およびC〜C20のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいはC〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択され、あるいはC〜Cのオルガニル基およびC〜Cのヒドロカルビル基からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施態様では、同アクリレート組成物中のYはハロゲン化物でもよい。例えば、同ハロゲンは塩素、臭素あるいはヨウ素であってよい。同アクリレート組成物は塩化アクリロイル、塩化メタクリロイルあるいはそれらの混合物を含有してよい。無水アクリル酸化合物は、無水アクリル酸、無水メタクリル酸あるいはそれらの混合物を含有してよい。
いくつかの実施態様では、チオール基のチオアクリレート基への転化は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、同転化は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。このようなチオール基のチオアクリレート基への転化において溶剤が使用される態様では、同溶剤として脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物が使用できる。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族炭化水素を含有する場合には、同脂肪族炭化水素はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族化合物を含有する場合には、同芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらの混合物から選ばれる。
溶剤がチオール基のチオアクリレート基への転化に使用される場合には、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同チオール・エステルに対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍、あるいは15倍、あるいは10倍、あるいは5倍未満である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは4〜15倍、あるいは5〜10倍である。
いくつかの態様では、チオール基のチオアクリレート基への転化は触媒の存在下で実施される。いくつかの実施態様では、同触媒は均一系の触媒である。いくつかの実施態様では、同触媒は有機酸である。適切な有機アミンの例としてトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびピリジンが挙げられる。いくつかの実施態様では、同触媒は不均一系の触媒である。適切な触媒の例として、アンバーリストA−21およびアンバーリストA−26が挙げられる。他の適切な触媒は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
チオール基のチオアクリレート基への転化は、チオール基をチオアクリレート基への転化を可能とする温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同転化温度は−20°Cを超える。他の実施態様では、同転化温度は0°C、あるいは20°C、あるいは50°C、あるいは80°C、あるいは100°Cを超える。更に他の実施態様では、同転化温度は−20〜250°C、あるいは20〜200°C、あるいは50〜150°Cである。
チオール基のチオアクリレート基への転化に要する時間は、本明細書に記載されるチオアクリレート含有エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同転化時間は少なくとも5分である。いくつかの実施態様では、同転化時間は少なくとも15分、あるいは30分、あるいは45分、あるいは1時間である。他の実施態様では、同転化時間は15分〜12時間、あるいは30分〜6時間、あるいは45分〜3時間である。
チオール基のチオアクリレート基への転化は、チオール・エステルおよびアクリレート化合物を液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同転化圧力は0〜2000psiaである。他の実施態様では、同反応圧力は0〜1000psia、あるいは0〜500psiaである。
架橋チオール・エステル生成プロセス
本発明の一実施態様として、架橋チオール・エステル組成物の生成プロセスが有利に提供される。最低限でも、いくつかの実施態様では、同架橋チオール・エステル組成物生成プロセスは、チオール・エステル組成物を酸化剤と接触させ、同チオール・エステル組成物と酸化剤を反応させてチオール・エステル・オリゴマーを生成する工程を包含する。同実施態様では、同チオール・エステル・オリゴマーは−S−(ここでQは1超の整数)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーを含有する。ここで開示される方法は、本明細書に記載されるどのような架橋チオール・エステル組成物を生成するための本明細書に記載されるどのようなチオール・エステルに対しても適用可能である。同架橋チオール・エステル組成物生成プロセスは本明細書に記載されるどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。
一態様では、同酸化剤は元素硫黄、酸素あるいは過酸化水素から選ぶことができる。いくつかの実施態様では、元素硫黄が同酸化剤として使用できる。他の実施態様では、酸素が同酸化剤として使用できる。いくつかの酸化剤に関する実施態様では、同酸化剤は空気である。更に他の実施態様では、同酸化剤は過酸化水素である。
元素硫黄が同酸化剤として使用される場合には、同架橋チオール・エステル組成物を生成するために使用される元素硫黄の量は、同チオール・エステル組成物中のチオール系硫黄濃度の関数として決定される。一態様では、チオール系硫黄に対する元素硫黄の重量比は少なくとも0.5である。いくつかの実施態様では、同重量比は少なくとも5、あるいは10、あるいは15、あるいは20である。他の実施態様では、同重量比は0.5〜32、あるいは1〜24、あるいは2〜16、あるいは3〜10である。
一態様では、同チオール・エステルと元素硫黄の反応は触媒の存在下で実施される。同触媒は、少なくとも2個のチオール・エステルのモノマーの間で多硫化物連鎖の形成に対して触媒作用を有するものであればどのようなものでもよい。いくつかの実施態様では、同触媒はアミンである。他の実施態様では、同触媒はターシャリー・アミンである。
同架橋チオール・エステルの生成は本明細書に記載される回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。同架橋チオール・エステルの生成は同チオール・エステルの生成を可能とする温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは25°Cを超える温度で生成できる。他の実施態様では、同チオール・エステルは50°C、あるいは70°C、あるいは80°Cを超える温度で生成できる。更に他の実施態様では、同チオール・エステルは25〜150°C、あるいは50〜150°C、あるいは70〜120°C、あるいは80〜110°Cの温度で生成できる。
同架橋チオール・エステルの生成に要する時間は、望ましい架橋チオール・エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同架橋チオール・エステルの生成に要する時間は少なくとも15分である。いくつかの実施態様では、同架橋チオール・エステルの生成に要する時間は少なくとも30分、あるいは1時間、あるいは2時間である。更に他の実施態様では、同架橋チオール・エステルの生成に要する時間は15分〜72時間、あるいは30分〜48時間、あるいは1〜36時間、あるいは2〜24時間である。
いくつかの実施態様では、同架橋チオール・エステル生成プロセスは、残留硫化水素を除去するための工程を包含する。いくつかの実施態様では、同架橋チオール・エステルは減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同架橋チオール・エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°C、あるいは75〜150°Cの温度下で実施される。いくつかの実施態様では、残留硫化水素を除去するために同架橋チオール・エステル油は不活性ガスにより噴霧される。他の実施態様では、同架橋チオール・エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°C、あるいは75〜150°Cの温度で噴霧される。更に他の実施態様では、減圧ストリッピングは、同架橋チオール・エステルを不活性ガスにより噴霧させつつ実施される。更に他の実施態様では、減圧ストリッピングは、同架橋チオール・エステルを不活性ガスにより噴霧させつつ25〜250°C、あるいは50〜200°C、あるいは75〜150°Cの温度で実施される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。
一般的には、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは0.1重量%未満の硫化水素を含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧されたチオール・エステルは0.05重量%、あるいは0.025重量%、あるいは0.01重量%未満の硫化水素を含有する。
硫化物含有エステル組成物生成プロセス
本発明はその実施態様として、硫化物含有エステルを生成するプロセスを有利に提供する。一般的には、同硫化物含有エステルは2種類のプロセスによって生成できる。本発明の一実施態様として、硫化物含有エステルを生成するために使用される第一のプロセスは、不飽和エステルとメルカプタンを接触させ、これらを反応させることにより硫化物含有エステルを生成する。本発明は他の実施態様としての硫化物含有エステルを生成するために使用される第二のプロセスは、エポキシ化不飽和エステルと硫化メルカプタンを接触させ、これらを反応させることにより硫化物含有エステルを生成する。これら二種類の硫化物含有エステル生成プロセスに関するその他の態様を以下に記載する。
不飽和エステルからの硫化物含有エステル
本明細書に記載される硫化物含有エステルおよび硫化物含有エステル組成物は、メルカプタンと不飽和エステルを接触させ、これらを反応させることにより硫化物含有エステルを生成するプロセスにより生成できる。同プロセスは、本明細書に記載されるどのような種類の不飽和エステルおよびメルカプタンに対しても適用可能である。同硫化物含有エステル生成プロセスは本明細書に記載されるどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。更に、同硫化物含有エステル生成プロセス、本明細書に記載されるどのような硫化物含有エステルをも生成できる。
いくつかの態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。同反応が溶剤の存在下で実施される場合には、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物、アルコールおよびそれらのどのような混合物からなる群から選択される。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族炭化水素を含有する場合には、同脂肪族炭化水素はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族化合物を含有する場合には、同芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がアルコールを含有する場合には、同アルコールはメタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノールあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。
溶剤が同メルカプタンと不飽和エステルの反応に使用される場合には、当業界の熟練者には周知のように、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同不飽和エステルに対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍、あるいは15倍、あるいは10倍、あるいは5倍未満である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは4〜15倍、あるいは5〜10倍である。
同硫化物含有エステルを生成するプロセスで使用される、不飽和エステルの炭素−炭素二重結合に対するメルカプタンのモル比(以後「メルカプタン/炭素−炭素二重結合のモル比」と称する)は、望ましい硫化物含有エステルを生成するいかなるものでもよい。不飽和エステル中の炭素−炭素二重結合のモル当量は下式で与えられる:
Figure 2007526939

同式において、UES GMWは不飽和エステルの平均グラム分子量、UES Massは同不飽和エステルの質量、そしてUES C=Cは不飽和エステル分子当りの平均二重結合数である。いくつかの実施態様では、同メルカプタン/炭素−炭素二重結合のモル比は0.25を超える。他の実施態様では、同モル比は0.5、あるいは0.75、あるいは1、あるいは1.25、あるいは1.5を超える。他の実施態様では、同モル比は0.25〜2、あるいは0.5〜1.5、あるいは0.75〜1.25である。
いくつかの実施態様では、同メルカプタンと不飽和エステルは触媒の存在下で実施される。本明細書に記載されるように、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は均一系あるいは不均一系触媒の存在下で実施される。いくつかの態様では、また他の態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は遊離ラジカル系反応開始剤あるいは紫外線照射により開始される。
不均一系触媒が使用される場合には、同触媒は酸性粘土、ゼオライト、担持されたコバルト/モリブデン酸化物系の触媒、および担持されたニッケル/モリブデン酸化物系の触媒からなる群から選択される。適切な触媒の例は本明細書に記載されている。
遊離ラジカル系反応開始剤は、熱あるいは光分解条件下で遊離ラジカルを形成できるものであればどのようなものでもよい。一般的には、遊離ラジカル系反応開始剤は−N=N−基あるいは−O−O−基を有する一般的な種類の化合物から選択される。特定の種類の遊離ラジカル系反応開始剤の例として、ジアゾ化合物、ジアルキル過酸化物、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシ・エステルが挙げられる。特定の開始剤の例として、アゾベンゼン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレル酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、メチルプロピオニトリル、アゾジカルボキサミド、t−ブチル・ヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチル・ヒドロペルオキシドおよびオクチルペルベンゾアートが挙げられる。いくつかの実施態様では、同遊離ラジカル系反応開始剤により開始される同メルカプタンと不飽和エステルの反応は、同開始剤の1時間半減期温度の±50°C以内の反応温度下で実施される。他の実施態様では、同遊離ラジカル系反応開始剤により開始される反応は、同開始剤の1時間半減期温度の±25°C、あるいは±20°C、あるいは±15°C、あるいは±10°C以内の反応温度下で実施される。同メルカプタンと不飽和エステルの遊離ラジカル系反応開始剤触媒の存在下での反応が光による光分解によって開始される実施態様では、そのための光は遊離ラジカルを形成できるものであればどのようなものでもよい。いくつかの実施態様では同光は紫外線(UV)である。遊離ラジカルを形成できる他の適切な種類の光源は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
他の態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応はUV照射によって開始される。これらの実施態様では、UVは同メルカプタンと不飽和エステルの反応を開始できるのであればどのような種類のものでもよい。いくつかの実施態様では、UVは中程度の電圧の水銀灯から照射される。
同メルカプタンと不飽和エステルの反応は回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。本明細書に記載されるどのような回分式あるいは連続式の反応器が同反応に使用できる。他の適切な形式の回分式あるいは連続式の反応器は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同メルカプタンと不飽和エステルの反応に要する時間は、同硫化物含有エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同反応時間は少なくとも5分である。いくつかの実施態様では、同反応時間は5分〜72時間、あるいは10分〜48時間、あるいは15分〜36時間である。
いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステル生成プロセスは、同メルカプタンと不飽和エステルの反応終了後に全ての残留メルカプタンを除去するための工程を包含する。いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステルは残留メルカプタンを除去するために減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度下で実施される。他の実施態様では、残留メルカプタンを除去するために同硫化物含有エステルは不活性ガスにより噴霧される。いくつかの実施態様では、同硫化物含有エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度で噴霧される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。一般的には、ストリッピングあるいは噴霧された硫化物含有エステルは5重量%未満のメルカプタンを含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧された同硫化物含有エステルは2重量%、あるいは1重量%、あるいは0.5重量%未満のメルカプタンを含有する。
同メルカプタンと不飽和エステルの反応は、同硫化物含有エステルを生成できる温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同メルカプタンと不飽和エステルは−20°Cを超える温度で反応できる。他の実施態様では、同反応温度は0°C、あるいは20°C、あるいは50°C、あるいは80°C、あるいは100°Cを超える。更に他の実施態様では、同メルカプタンと不飽和エステルは−20〜250°C、あるいは20〜200°C、あるいは80〜160°Cの温度で反応できる。
同メルカプタンと不飽和エステルの反応は、十分な量の同メルカプタンと不飽和エステルを液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は100〜2000psigの圧力下で実施できる。他の実施態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は、0〜1000psig、あるいは0〜500psig、あるいは0〜200psigの圧力下で実施できる。
低炭素−炭素二重結合/硫化物基モル比の硫化物含有エステルは本明細書に記載されるプロセスにより生成できる。一態様では、同硫化物含有エステル生成プロセスは、1.5未満の炭素−炭素二重結合/硫化物基モル比の硫化物含有エステルを生成する。それ以外の炭素−炭素二重結合/硫化物基のモル比は本明細書に開示されている。
他の態様では、同硫化物含有エステル生成プロセスは、硫化物含有エステル内の少なくとも40%の側鎖が硫化物基を有している硫化物含有エステル分子の生成を包含する。それ以外の硫化物含有エステル側鎖の濃度に関する実施態様は本明細書に開示されている。
エポキシ化不飽和エステルからの硫化物含有エステル
本発明の他の実施態様として、硫化物含有エステル種(ヒドロキシ硫化物含有エステルを含む)を生成する他のプロセスが有利に提供される。同実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステルおよびヒドロキシ硫化物含有エステル組成物は、メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルを接触させ、これらを反応させることによりヒドロキシ硫化物含有エステルを生産あるいは生成する工程を包含するプロセスにより生成できる。同プロセスは、本明細書に記載されるどのような種類のメルカプタンおよび/あるいはエポキシ化不飽和エステルに対しても適用可能である。同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは本明細書に記載されるどのような追加的なプロセス工程あるいはプロセス条件をも包含し得る。更に、同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは本明細書に記載されるどのようなヒドロキシ硫化物含有エステルをも生成できる。
いくつかの態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は溶剤の存在下で実施される。他の態様では、同メルカプタンと不飽和エステルの反応は実質的に溶剤が存在しない状態で実施される。同反応が溶剤の存在下で実施される場合には、同溶剤は脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族化合物およびそれらのどのような混合物からなる群から選択される。一般的には、同溶剤は、その化学種にかかわらず、1〜20個、あるいは3〜10個の炭素原子を有する。同溶剤が脂肪族炭化水素を含有する場合には、同脂肪族炭化水素はブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤が芳香族化合物を含有する場合には、同芳香族化合物はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。同溶剤がエーテルを含有する場合には、同エーテルはジエチル・エーテル、ジプロピル・エーテル、テロラヒドロフランあるいはそれらのどのような混合物から選ばれる。
溶剤が同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応に使用される場合には、当業界の熟練者には周知のように、同溶剤量は同反応を促進するいかなるものでもよい。いくつかの実施態様では、同溶剤の同エポキシ化不飽和エステルに対する重量比は30倍未満である。他の実施態様では、同重量比は20倍、あるいは15倍、あるいは10倍、あるいは5倍未満である。他の実施態様では、同重量比は2〜20倍、あるいは3〜15倍、あるいは4〜15倍、あるいは5〜10倍である。
同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルは、本明細書に記載されるα−ヒドロキシ・チオール・エステルを生成できるのであれば、エポキシ化不飽和エステル中のエポキシド基に対するメルカプタンのモル当量比(以後「メルカプタン/エポキシド基のモル比」と称する)のどのような値でも実施できる。エポキシ化不飽和エステル中のエポキシ化基のモル当量は下式で与えられる:
Figure 2007526939
同式において、EUES GMWはエポキシ化不飽和エステルの平均グラム分子量、EUES Massはエポキシ化不飽和エステルの質量、そしてEUES Epoxideはエポキシ化不飽和エステル分子当りのエポキシド基の平均数である。いくつかの実施態様では、同メルカプタン/エポキシド基のモル比は0.2を超える。他の実施態様では、同メルカプタン/エポキシド基のモル比は0.5、あるいは1、あるいは2を超える。他の実施態様では、同硫化水素/エポキシド基のモル比は0.2〜10、あるいは0.5〜8、あるいは0.75〜5、あるいは1〜3である。
いくつかの態様では、同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応は触媒の存在下で実施される。一般的には、同触媒は、望ましいヒドロキシ・チオール・エステルを生成する同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応に対して触媒作用を有するものであればどのようなものでもよい。一態様では、同触媒は均一系および不均一系触媒からなる群から選ばれる。他の態様では、同触媒は、ゼオライト、不均一系触媒、均一系触媒およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。他の態様では、同触媒はアミンである。他の実施態様では、同触媒は環状共役アミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]5−ノネンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
いくつかの態様では、同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応は触媒の存在下で実施される。一般的には、同触媒は、望ましいヒドロキシ・チオール・エステルを生成する同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応に対して触媒作用を有するものであればどのようなものでもよい。一態様では、同触媒は有機塩基である。一態様では、同触媒は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセンである。
同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの生成は回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。本明細書に記載されるどのような回分式あるいは連続式の反応器でも同反応に使用できる。他の適切な形式の回分式あるいは連続式の反応器は当業界の熟練者には周知であり、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応に要する時間は、本明細書に記載されるヒドロキシ硫化物含有エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同反応時間は少なくとも15分である。いくつかの実施態様では、同反応時間は15分〜72時間、あるいは30分〜48時間、あるいは45分〜36時間である。
いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは、同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応終了後に残留メルカプタンを除去するための工程を包含する。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステルは減圧下でストリッピングされる。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステルの減圧下でのストリッピングは25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度下で実施される。他の実施態様では、メルカプタンを除去するために同ヒドロキシ同硫化物含有エステルは不活性ガスにより噴霧される。いくつかの実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステルは不活性ガスにより25〜250°C、あるいは50〜200°Cの温度で噴霧される。いくつかの実施態様では、同不活性ガスは窒素である。一般的には、ストリッピングあるいは噴霧されたヒドロキシ硫化物含有エステルは5重量%未満のメルカプタンを含有する。他の実施態様では、ストリッピングあるいは噴霧された同硫化物含有エステルは2重量%、あるいは1量%、あるいは0.5重量%未満のメルカプタンを含有する。
同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応は、同ヒドロキシ硫化物含有エステルを生成できる温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同反応温度は−20°Cを超える。他の実施態様では、同反応温度は0°C、あるいは20°C、あるいは50°C、あるいは80°Cを超える。更に他の実施態様では、同反応温度は−20〜200°C、あるいは20〜170°C、あるいは80〜140°Cである。
同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルの反応は、十分な量の同メルカプタンとエポキシ化不飽和エステルを液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同反応圧力は0〜2000psigである。他の実施態様では、同反応圧力は0〜1000psig、あるいは0〜500psig、あるいは0〜200psigである。
他の態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは、エポキシド基/硫化物基のモル比が2未満のヒドロキシ硫化物含有エステルを生成する。それ以外の同ヒドロキシ硫化物含有エステルのエポキシド基/硫化物基のモル比は本明細書に記載されている。他の態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステルのエポキシド基/チオール基のモル比は1.5、あるいは1.0、あるいは0.5、あるいは0.25、あるいは0.1未満であってよい。他の実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステルは実質的にエポキシド基を含有しなくてもよい。
他の態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは、側鎖の少なくとも20%がヒドロキシ硫化物基を含有するヒドロキシ硫化物含有エステルを生成する。ヒドロキシ硫化物基を含有するそれ以外の側鎖の割合は、他のヒドロキシ硫化物含有エステル関連の実施態様に記載されている。他の実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは、側鎖の少なくとも平均して20%がZ種を含有するヒドロキシ硫化物含有エステルからなるヒドロキシ硫化物含有エステル組成物を生成する。他の実施態様では、同ヒドロキシ硫化物含有エステル生成プロセスは、全側鎖の少なくとも平均して40%、あるいは60%、あるいは70%、あるいは80%がZ種を含有するヒドロキシ硫化物含有エステルからなるヒドロキシ硫化物含有エステル組成物を生成する。
スルホン酸含有エステルおよびスルホン酸塩含有エステル生成プロセス
本発明の一実施態様として、スルホン酸含有エステルおよびスルホン酸塩含有エステルの生成プロセスが有利に提供される。一般的には、同スルホン酸含有エステル生成プロセスは、チオール・エステルと酸化剤を接触させて同チオール・エステル中の少なくとも1個のチオール基を酸化してスルホン酸基を生成する。同スルホン酸塩含有エステル生成プロセスは、スルホン酸含有エステルと塩基を接触させてスルホン酸塩含有エステルを生成する。
スルホン酸含有エステル生成プロセス
一実施態様では、同スルホン酸含有エステル生成プロセスは、同チオール・エステルと酸化剤を接触させて同チオール・エステルを酸化することにより同スルホン酸含有エステルを生成する。一般的には、酸化剤は同チオール・エステル中の少なくとも1個のチオール基を酸化してスルホン酸基を生成する。同スルホン酸含有エステル生成プロセスは、本明細書に記載されるどのようなスルホン酸含有エステルを生成するために本明細書に記載されるどのようなチオール・エステルに対しても適用可能である。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルはヒドロキシ基を含有する。例えば、同チオール・エステルは本明細書に記載されるどのようなヒドロキシ・チオール・エステルでよい。同酸化剤として本明細書に記載されるどのような酸化剤も使用可能である。
いくつかの実施態様では、同チオール・エステルの酸化は溶剤の存在下で実施される。いくつかの実施態様では、同溶剤は水である。
同チオール・エステルに接触させる酸化剤は、チオール基をスルホン酸基に酸化できるどのようなものでもよい。いくつかの実施態様では、同酸化剤は酸素である。他の実施態様では、同酸化剤は塩素である。他の実施態様では、同酸化剤はジメチル・スルホキシドである。更に他の実施態様では、同酸化剤はハロゲン化水素と触媒量の硫化ジアルキル(例えばジメチル・スルホキシド)の混合物である。他の適切な酸化剤は当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
同チオール・エステルの酸化は、同チオール・エステルのスルホン酸含有エステルへの酸化を可能とする温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは−20°Cを超える温度で酸化される。他の実施態様では、同チオール・エステルは0°C、あるいは20°C、あるいは50°Cを超える温度で酸化される。
同チオール・エステルの酸化に要する時間は、望ましいスルホン酸含有エステルを生成するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同チオール・エステルの酸化に要する時間は少なくとも15分、あるいは30分、あるいは45分、あるいは1時間である。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルの酸化に要する時間は15分〜12時間、あるいは30分〜6時間、あるいは45分〜3時間である。
同チオール・エステルの酸化は、同チオール・エステルをスルホン酸含有エステルに酸化するために、同チオール・エステルと酸化剤を適切な状態(これは必ずしも液相状態を意味しない)に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。例えば、同酸化剤が塩素の場合には、塩素は気体状態でよい。いくつかの実施態様では、同チオール・エステルは0〜2000psigの圧力下で実施される。他の実施態様では、同チオール・エステルは0〜1000psigあるいは0〜500psigの圧力下で実施される。
同チオール・エステルの酸化は本明細書に記載される回分式あるいは連続式の反応器によって実施できる。更に、同スルホン酸含有エステル生成プロセスは、当業界の熟練者には周知のように、追加的なプロセス工程を包含し得る。
スルホン酸塩含有エステル生成プロセス
本発明の一態様では、同スルホン酸塩含有エステルを生成するプロセスが有利に提供される。一実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル生成プロセスは、スルホン酸含有エステルと塩基を接触させてスルホン酸塩含有エステル組成物を生成する。同スルホン酸塩含有エステル生成プロセスは、本明細書に記載されるどのようなスルホン酸塩含有エステルを生成するために本明細書に記載されるどのようなスルホン酸含有エステルに対しても適用可能である。いくつかの態様では、同スルホン酸塩含有エステル生成プロセスは、同スルホン酸塩含有エステル生成工程に追加して、本明細書に記載される同スルホン酸含有エステル生成プロセス工程を包含する。
いくつかの態様では、同スルホン酸塩含有エステルの生成は溶剤の存在下で実施される。いくつかの態様では、同溶剤は水である。
いくつかの態様では、同塩基として金属水酸化物を使用できる。いくつかの実施態様では、同金属水酸化物の金属はナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの混合物の群から選ばれる。特定の実施態様では、同金属水酸化物は水酸化ナトリウムである。他の態様では、同金属水酸化物は水酸化カルシウムあるいは水酸化マグネシウムである。更に他の態様では、同金属水酸化物は水酸化バリウムである。他の態様では、同塩基は有機アミンである。いくつかの実施態様では、同アミンはNRs3Rs4Rs5の構造を有する。ここでRs3、Rs4およびRs5は各々水素、C〜C10のオルガニル基およびC〜C10のヒドロカルビル基からなる群から選択される。他の実施態様では、同有機アミンはトリアルキルアミン、ジアルキルアミンあるいはモノアルキルアミンである。特定の一実施態様では、NRs3Rs4Rs5はトリアルキルアミンである。
同スルホン酸塩含有エステルの生成は、同スルホン酸含有エステル中のスルホン酸基のスルホン酸塩基への転化を可能とする温度であればどのような温度下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルは−20°Cを超える温度で生成される。他の実施態様では、同チオール・エステルは0°C、あるいは20°C、あるいは50°Cを超える温度で酸化される。更に他の実施態様では、同チオール・エステルは0〜250°C、あるいは0〜150°C、あるいは20〜100°Cの温度で酸化される。
同スルホン酸塩含有エステルの生成に要する時間は、スルホン酸含有エステルのスルホン酸基をスルホン酸塩基に転化するに必要などのようなものでもよい。一般的には、同スルホン酸塩含有エステルの生成に要する時間は少なくとも15分、あるいは30分、あるいは45分、あるいは1時間である。いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルの生成に要する時間は15分〜12時間、あるいは30分〜6時間、あるいは45分〜3時間である。
同スルホン酸塩含有エステルの生成は、同スルホン酸含有エステル、塩基および任意の溶剤を液相に維持できる圧力であればどのような圧力下でも実施できる。いくつかの実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルの生成は0〜2000psigの圧力下で実施される。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステルの生成は0〜1000psigあるいは0〜500psigの圧力下で実施される。
同スルホン酸塩含有エステル生成プロセスの一態様では、回分式プロセスとして実施される。他の実施態様では、同スルホン酸塩含有エステル生成プロセス連続式プロセスとして実施される。
ポリチオウレタンおよび/あるいはエポキシ・ポリマーでカプセル化され制御された様式で放出される肥料材料
本発明はその態様のひとつにおいてポリチオウレタンおよび/あるいはエポキシ・ポリマーでカプセル化され制御された様式で放出される肥料材料に関する。「制御された様式で放出される肥料材料」と「CRF材料」は本明細書を通じて交互に使用され同義である。更に、本明細書を通じて使用されている「植物油」という用語は、大豆油、とうもろこし油、カノーラ油、菜種油のような脂肪酸トリグリセリド源を含む広義の意味で使用されている。本発明に最も好ましい植物油は大豆油である。
一般的には、肥料材料は粒状の植物の栄養素を含有する。本発明のCRF材料に有用な粒状植物栄養素の選定には特に制限がなく、当業界の熟練者の知識の範囲内にある。
例えば、本発明に使用される植物栄養素はHudsonによって開示されたものから選んでよい。好ましくは、このような植物栄養素は水溶性化合物を含有しており、より好ましくは窒素、リン、カリウム、硫黄、微量栄養素およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する化合物から選ばれる。好ましいこのような植物栄養素は尿素を含有する。他の有用な植物栄養素は米国特許5,571,303「Bexton」および/あるいは米国特許6,663,686「Geiger他」に開示されており、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムおよびこれらの混合物が例示される。有用な微量栄養素の非限定的な例として、銅、亜鉛、ホウ素、マンガン、鉄およびこれらの混合物からなる群から選ばれるものが挙げられる。
植物栄養素は、同栄養素基準で好ましくは約0.1〜20重量%、より好ましくは約2〜15重量%、最も好ましくは約2.5〜10重量%のコーティング材で被覆される。
本発明の好ましい実施態様においては、硫黄含有植物油がイソシアナートと反応する(例えば、望ましいコーティング材がポリチオウレタンの場合)あるいはエポキシ樹脂成分(すなわち、望ましいコーティング材がエポキシ・ポリマーの場合)と反応する唯一の活性な水素含有化合物として作用する。他の実施態様では、硫黄含有植物油と他の種類の活性な水素含有化合物(例えばポリオール)との混合物を使用することも可能である。
ポリオールの選定には特に制限がなく、当業界の熟練者の知識の範囲内にある。本明細書に記載されるポリオールは、イソシアナート反応性の活性な水素含有化合物のことである。同ポリオールは単独種のポリオールでもよいし、異なったポリオールの混合物でもよい。例えば、同ポリオールは、ヒドロキシ末端を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジエンおよびポリカプロラクトンからなる群から選ばれる化合物を骨格部分としてよい。好ましくは、そのようなポリオールは、ヒドロキシ末端を有するポリ炭化水素、脂肪酸トリグリセリド、ヒドロキシ末端を有するポリエステル、ヒドロキシメチル末端を有するポリエステル、ヒドロキシメチル末端を有するペルフルロメチレン、ポリアルキレンエーテル・グリコール、ポリアルキレンアリールエーテル・グリコールおよびポリアルキレンエーテル・トリオールからなる群から選ばれる。より好ましいこのようなポリオールは、ポリエチレン・グリコール、アジピン酸/エチレン・グリコール・ポリエステル、ポリ(ブチレン・グリコール)、ポリ(プロピレン・グリコール)およびヒドロキシ末端を有するポリブタジエンからなる群から選ばれる(例えば、英国特許1,482,213を参照されたい)。最も好ましいこのようなポリオールは、ポリエーテル・ポリオールである。好ましくは、このようなポリエーテル・ポリオールは約60〜20,000、より好ましくは約60〜10,000、最も好ましくは約60〜8,000の分子量を有する。
ポリオールが使用される場合には、約2〜12個のヒドロキシ種を有しているポリオールが特に好ましい。このようなポリオールは低当量、高官能性のものが好ましい。それの好ましい当量は29〜400、最も好ましくは29〜150である。本明細書で使用されるポリオールの官能性とは基本的単位(すなわちモノマー)が有する好ましい官能性を指す。好ましくは、同ポリオールの官能性は約2〜12、より好ましくは約3〜8、最も好ましくは約3〜6である。より好ましくは、そのようなポリエーテル。ポリオールはアミンを開始剤として使用して生成される。最も好ましくは、同ポリオールはHuntsman社のJeffol A480TMと他のポリオール(このましくはヒマシ油)の混合物からなる。
更に、ポリオールが使用される場合には、例えば大豆油、とうもろこし油、カノーラ油、菜種油等のような脂肪酸トリグリセリドから得られる(すなわち、天然油を改質する)。カノーラ油ベースのこのような合成ポリオールの例として、Urethane Soy System Corp.(イリノイ州プリンストン)のポリオール(官能性は約3)が挙げられる。予め決められた比率で混合され予め決められた分子量分布を有する複数種のポリオール混合物が使用できる。この例として、Huntsman社のJeffol A480TMあるいは800TMとエチレン・グリコールの混合物、Huntsman社のJeffol A480TMあるいは800TMとオレオ・ポリオールの混合物、Huntsman社のJeffol A480TMあるいは800TMとポリエチレン・グリコールの混合物、Huntsman社のJeffol A480TMあるいは800TMとポリプロピレン・グリコールの混合物、およびHuntsman社のJeffol A480TM、あるいは800TMとポリプロピレン(あるいはポリエチレン)グリコールの混合物が挙げられる。このような混合物は異なった官能性と分子量を有する。
同コーティングを形成するための適切なイソシアナートは特に制限はなく、イソシアナートの選定は当業界の熟練者の知識の範囲内にある。同イソシアナートは単一種でもよく異なったイソシアナートの混合物でもよい。一般的には、適切なイソシアナートは以下の一般式で表される:
Q(NCO)i
ここで、iは2以上の整数、そしてQは原子価iを有する有機ラジカルである。Qは置換あるいは非置換の炭化水素基(例えばアルキレンあるいはアリーレン基)である。更にQは以下の一般式で表されるものでよい:
Q1−Z−Q1
ここで、Q1はアルキレンあるいはアリーレン基;そしてZは−O−、−O−Q1−、−CO−、−S−、−S−Q1−S−および−SO2−からなる群から選ばれる基である。上で規定される範囲にあるイソシアナート化合物の例として以下の化合物が挙げられる:ヘキサメチレン・ジイソシアナート、1,8−ジイソシアナト−p−ナフタレン、キシリル・ジイソシアナート、(OCNCHCHCHOCHO)、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、フェニレン・ジイソシアナート、トリレン・ジイソシアナート、クロロフェニレン・ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、トリフェニルメタン−4,4’、4”−トリイソシアナートおよびイソプロピルベンゼン−α−4−ジイソシアナート。
他の実施態様では、Qは更に原子価iを有するポリウレタン・ラジカルでもよい。この場合、Q(NCO)は当業界では一般にプレポリマーと呼ばれている。一般的には、プレポリマーは当量関係から見て過剰の上述のイソシアナート化合物と上述の硫黄含有植物油および/あるいは上述のポリオールの反応により得られる。同実施態様では、同ポリイソシアナートは、例えば硫黄含有植物油および/あるいはポリオール中の活性水素部分に対して当量関係から見て約5〜200%過剰に使用してよい。
本発明のプロセスに使用される適切なイソシアナート化合物はイソシアナートのダイマーあるいはトリマー、あるいは更に以下の一般構造を有するジイソシアナートのポリマーから選んでよい:
Figure 2007526939

ここで、iおよびjは各々2以上の整数であり、Q”は多官能性の有機ラジカルおよび/あるいは同反応混合物での追加的な成分としての以下の一般式で表される化合物である:
Figure 2007526939

ここでiは1以上の整数であり、Lは一官能性あるいは多官能性の原子あるいはラジカルである。上で規定される範囲にあるイソシアナート化合物の例として以下の化合物が挙げられる:エチルホスホン酸ジイソシアナート、フェニルホスホン酸ジイソシアナート、=Si−NCO基を有する化合物、スルホンアミド(QSONCO)から誘導されるイソシアナート化合物、シアン酸およびチオシアン酸。
更に、例えば英国特許1,482,213を参照されたい。
適切なイソシアナートの非限定的な例として以下の化合物が挙げられる:1,6−ヘキサメチレン・ジイソシアナート、1,4−ブチレン・ジイソシアナート、フルフリリデン・ジイソシアナート、2,4−トルエン・ジイソシアナート、2,6−トルエン・ジイソシアナート、2,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアナート、4,4’−ジフェニルプロパン・ジイソシアナート、4,4’−ジフェニルー3,3’−ジメチル・メタン・ジイソシアナート、1,5−ナフタレン・ジイソシアナート、1−メチル−2,4−ジイソシアナート−5−クロロベンゼン、2,4−ジイソシアナト−s−トリアジン、1−メチル−2,4−ジイソシアナト・シクロヘキサン、p−フェニレン・ジイソシアナート、m−フェニレン・ジイソシアナート、1,4−ナフタレン・ジイソシアナート、ジアニシジン・ジイソシアナート、ビトルエン・ジイソシアナート、1,4−キシリレン・ジイソシアナート、1,3−キシリレン・ジイソシアナート、ビス−(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ポリフェニレン・ポリフェニル・ポリイソシアナートおよびこれらの混合物。
特に好ましいイソシアナート種はHudsonおよびMarkuschが開示している。
好ましくは、同イソシアナートは分子当り約1.5〜16個、より好ましくは約2〜16個、最も好ましくは約3〜16個のNCO基を含有する。
好ましくは、同イソシアナートは約10〜50重量%、より好ましくは約12〜50重量%、最も好ましくは約15〜50重量%のNCO基を含有する。
本発明のCRF材料に使用される同硫黄含有植物油は、好ましくは本明細書に詳述されているものから選ばれる。
好ましい硫黄含有植物油はChevron Phillips ChemicalのMVO(商標ポリメルカプタン358)である。[ポリメルカプタン358]は、硫化水素の遊離ラジカルを大豆油内の炭素−炭素二重結合に付加することにより得られる。典型的には、「ポリメルカプタン358」は5〜10%のチオール系硫黄を含有し、これらは640〜320の当量に対応する。
イソシアナート反応性成分の一部として本発明に使用されるその他の適切な硫黄含有植物油はメルカプトヒドロキシ大豆油のようなMHVOである。本明細書に記載されているように、好ましいメルカプトヒドロキシ大豆油は硫化水素の遊離ラジカルをエポキシ化大豆油に付加することにより得られる。典型的には、メルカプトとヒドロキシの官能性は同程度であり、メルカプタン濃度は約8.3%(チオール系硫黄として)である。同物質の当量は192(メルカプトおよびヒドロキシの官能性を含む)である。
イソシアナート反応性成分の一部として本発明に使用される更にその他の適切な硫黄含有植物油は硫黄架橋のメルカプト化大豆油のようなCMVOである。硫黄架橋のメルカプト化大豆油は元素硫黄をメルカプト化大豆油に付加することにより得られる。同プロセスでは、一部のメルカプタン基は硫黄架橋サイトとして消費される。Chevron Phillips Chemicalの典型的な硫黄架橋のメルカプト化大豆油の例としてRun#22,194,195,196および197が挙げられる。これらの商品はチオール系硫黄を約8.0〜1.4%含有し、これらは約400〜2250の当量に対応する。
その他のイソシアナート反応性成分は、ポリチオウレタン・コーティング材の架橋密度を高めるために硫黄含有植物油と共に使用できる。これらの例として、低分子量のポリエチレン・グリコールおよびポリプロピレン・グリコール、アミンにより開始された反応により生成したポリエチレン・グリコールおよびポリプロピレン・グリコール、芳香族アミンにより開始された反応により生成したポリエチレン・グリコールおよびポリプロピレン・グリコール、グリセロール、ソルビトール、ネオペンチル・グリコール、エチレン・ジアミンおよびトルエン・ジアミンが挙げられるが、架橋剤に関する熟練者にとってはこれらに限定されない。架橋剤とその量の選定は当業界の通常の熟練者の知識の範囲内にあり、これらはコーティング材の望ましい特性によって変わる。
同硫黄含有植物油とイソシアナートの反応での触媒の使用は通常の操作である。同触媒の選定は当業界の通常の熟練者の知識の範囲内にある。適切な触媒の例として、ターシャリー・アミンおよび有機スズ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な触媒はアミンにより開始された反応により生成したポリプロピレン・グリコールである。なぜならば、これらは、各々の触媒作用を発揮すると同時に架橋剤としても働くからである。
コーティング材の親水性および/あるいは取り扱い性の向上のためにそうすることが望ましいのであれば、有機添加剤をCFR材のコーティングのフォーミュレーションに対して任意に添加することができる。同有機添加剤は、イソシアナート反応性成分あるいはポリイソシアナート成分に対して、これら成分を肥料粒子に添加する前に添加してよい。適切な有機添加剤の例として、ワックス(合成あるいは天然)、ワセリン、アスファルト、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、シリコーンおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な有機添加剤は、Chevron Phillips Chemicalの合成アルファ・オレフィン・ワックス(例えばC20+アルファ・オレフィン・ワックス)である。他の有用な有機添加剤はカルワックス社の微結晶ワックス(例えばCalwaxTM170)である。
好ましくは、有機添加剤あるいはそれの混合物はコーティング材に対して90%まで、好ましくは約0.1〜90%、より好ましくは約1〜80%、最も好ましくは約2〜50%添加する。
他の添加剤を、イソシアナート反応性成分あるいはポリイソシアナート成分に対して、これら成分を肥料粒子に添加する前に添加してよい。
使用可能な添加剤の例として、流動助剤、界面活性剤、消泡剤および当業界での通常の熟練者には周知の他の添加剤が挙げられる。肥料粒子をカプセル化するポリウレタンのコーティングの形成を促進するどのような添加剤を上記のひとつあるいは両方の成分に対して添加してよい。
本発明の目的のために、メルカプト化植物油と共に使用する適切なエポキシ樹脂の例として、液状ビスフェノールAジグリシジル・エーテル(例えばDow PlasticsのD.E.R.331および324、Resolutioin Performance ProductsのEpon Resin 282および8121、およびこれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、エポキシ化大豆油も他の種類のエポキシ樹脂と共に使用できる。このようなエポキシ化大豆油の例としてAtoChemのVikoflex 7170およびそれの混合物が挙げられる。
エポキシ・ポリマーでカプセル化された硫黄含有植物油製CFR材料に関しては、ターシャリー・アミン触媒の使用が非常に好ましいことが分かっている。同触媒の使用量は、カプセル化されゆっくりと放出される肥料製品の生成のための望ましい反応速度を与えるに十分な量とする。適切なアミン触媒の非限定的な例としてジアゾビシクロウンデカセンが挙げられる。これは、1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン「CAS#6674−22−2」あるいは「DBU」としても知られており、コーティング材に対して約0.1〜0.5重量%の割合で使用するのが好ましい。他の適切な触媒物質は当業界の通常の熟練者には周知であろう。
好ましくは、同アミン触媒は硫黄含有植物油と予混合され、次いで同混合物はエポキシ樹脂と共に同時にあるいは順々に(その順序は問わない)肥料粒子に塗布される。
エポキシ・ポリマーでカプセル化されたCFR材料の生成のために使用される好ましい硫黄含有植物油は、例えばメルカプト・ヒドロキシ大豆油のようなMHVOである。このような物質の例としてChevron Phillips ChemicalのMHSO 556−84が挙げられる。同好ましい物質はチオール系硫黄を8.33%含有し、メルカプタン官能性に基づくその当量は384である。
コーティング材の親水性および/あるいは取り扱い性の向上のためにそうすることが望ましいのであれば、有機添加剤をCFR材のコーティング組成に対して任意に添加することができる。同有機添加剤は、イソシアナート反応性成分および/あるいは硫黄含有植物油成分に対して、これら成分を肥料粒子に添加する前に添加してよい。適切な有機添加剤の例として、ワックス(合成あるいは天然)、ワセリン、アスファルト、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、シリコーンおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な有機添加剤は、Chevron Phillips Chemicalの合成アルファ・オレフィン・ワックスである。
好ましくは、エポキシ・ポリマーと共に使用される同有機添加剤あるいはそれの混合物は、コーティング材に対して約90重量%までの割合で使用される。それのコーティング材に対する割合は、好ましくは約0.1〜90重量%、より好ましくは約1〜80重量%、最も好ましくは約2〜50重量%である。
更に、その他の添加剤をエポキシ反応性成分(硫黄含有植物油)あるいはエポキシ樹脂成分に対して、これら成分を肥料粒子に添加する前に添加してよい。使用可能な添加剤の例として、流動助剤、界面活性剤、消泡剤および当業界での通常の熟練者には周知の他の添加剤が挙げられる。肥料粒子をカプセル化するポリウレタンのコーティングの形成を促進するどのような添加剤を上記のひとつあるいは両方の成分に対して添加してよい。
好ましい一実施態様によれば、本発明のCFR材料はイソシアナート反応性成分をポリイソシアナート成分と共に周囲温度(例えば約20〜30°C)で塗布することにより生成できる。好ましくは、同肥料粒子は約50〜100°C、より好ましくは約60〜80°Cに予熱される。
好ましい他の実施態様によれば、本発明のCFR材料はエポキシ樹脂反応性成分(アミン触媒を含有)をエポキシ樹脂成分と共に周囲温度(例えば約20〜30°C)で塗布することにより生成できる。好ましくは、同肥料粒子は約50〜100°C、より好ましくは約60〜80°Cに予熱される。
コーティング操作中に、同肥料粒子が互いに連続的に低せん断、低衝撃性の相対運動を維持するための器具を使用することが好ましい。適切な混合装置の例として、同肥料粒子の連続的な低せん断性運動を維持できる流動層、回転ドラム、パン・ペレタイザーなどが挙げられる。
好ましくは、ポリチオウレタンでカプセル化されたCFR材料は以下の工程で生成される:(i)一定量の肥料粒子を用意する、(ii)同肥料粒子の穏やかな混合を維持するように攪拌する、(iii)硫黄含有植物油(上述の架橋剤、親水性添加剤あるいはその他の添加剤の1種あるいは複数種を含有しているかもしれないし、含有していないかもしれない)を含有するイソシアナート反応性成分を攪拌された肥料粒子に添加する、(iv)イソシアナート(上述の親水性添加剤あるいはその他の添加剤の1種あるいは複数種を含有しているかもしれないし、含有していないかもしれない)を攪拌された肥料粒子に添加する−この場合のNCO基/イソシアナート反応性官能基の比率を約0.8/1〜2.0/1、好ましくは約0.9/1〜1.5/1、最も好ましくは約0.95/1〜1.3/1に維持する量のイソシアナートを使用する、(v)イソシアナートとイソシアナート反応性成分を反応させて肥料粒子上に固化したポリチオウレタンのコーティング材を生成する、そして(vi)コーティングされた肥料粒子を、連続的に穏やかに攪拌しながら、室温あるいはそれよりは幾分高い温度にまで冷却する。
ゆっくりと放出される望ましい肥料粒子を得るために複数のコーティング層が必要とされるのであれば、上記の工程(ii)〜(vi)を何回も(例えば2〜10回)繰り返す。
本発明のCFR材料によれば、同肥料粒子がイソシアナート反応性の官能基を含有することは必須ではない。
同肥料粒子の与えられた放出速度プロファイルを得るためのポリチオウレタンでの同粒子のカプセル化は、いくつかの要件に依存する:(i)共反応物と添加剤の正確な秤量、(ii)比較的精密な温度制御、(iii)穏やかかつ低せん断の状態で肥料粒子を実質的に連続的に流動させる、(iv)連続した複数の層(複数のコーティング層が塗布される場合)を塗布する以前の段階でイソシアナート反応性成分とイソシアナート成分の反応の完結の確保のために適切な種類の触媒を適切量使用する、および/あるいは(v)最終製品の凝集を予防するためにコーティングされた同肥料粒子を冷却する。
好ましい一実施態様によれば、同硫黄含有植物油は親水性の有機添加剤(これが使用される場合)と共にイソシアナート塗布の前の段階で別個のストリームとして肥料粒子に塗布される。更に、好ましくは、同触媒および架橋剤((これらが使用される場合)は別個のストリームとして肥料粒子に塗布される。これらの塗布の順序は重要ではなく、当業界の熟練者の知識の範囲内にある。
好ましくは、エポキシ・ポリマーでカプセル化されたCFR材料は以下の工程で生成される:(i)一定量の肥料粒子を用意する、(ii)同肥料粒子の穏やかな混合を維持するように攪拌する、(iii)硫黄含有植物油(上述の架橋剤、親水性添加剤あるいはその他の添加剤の1種あるいは複数種を含有しているかもしれないし、含有していないかもしれない)を含有するエポキシ反応性成分を攪拌された肥料粒子に添加する、(iv)エポキシ樹脂成分(上述の親水性添加剤あるいはその他の添加剤の1種あるいは複数種を含有しているかもしれないし、含有していないかもしれない)を攪拌された肥料粒子に添加する−この場合のエポキシ樹脂内オキシラン基/エポキシ反応性官能基の比率を約0.8/1〜2.0/1、好ましくは約0.9/1〜1.5/1、より好ましくは約0.95〜1.3/1、最も好ましくは約0.95〜1.05/1に維持する量のエポキシ樹脂を使用する、(v)エポキシ樹脂とエポキシ反応性成分を反応させて肥料粒子上に固化したエポキシ・ポリマーのコーティング材を生成する、そして(vi)コーティングされた肥料粒子を、連続的に穏やかに攪拌しながら、室温あるいはそれよりは幾分高い温度にまで冷却する。
ゆっくりと放出される望ましい肥料粒子を得るために複数のコーティング層が必要とされるのであれば、上記の工程(ii)〜(vi)を何回も(例えば2〜10回)繰り返す。
同肥料粒子の与えられた放出速度プロファイルを得るためのエポキシ・ポリマーでの同粒子のカプセル化は、いくつかの要件に依存する:(i)共反応物と添加剤の正確な秤量、(ii)比較的精密な温度制御、(iii)穏やかかつ低せん断の状態で肥料粒子を実質的に連続的に流動させる、(iv)連続した複数の層(複数のコーティング層が塗布される場合)を塗布する以前の段階でエポキシ反応性成分とエポキシ樹脂成分の反応の完結の確保のために適切な種類の触媒を適切量使用する、および(v)最終製品の凝集を予防するためにコーティングされた同肥料粒子を冷却する。
好ましい一実施態様によれば、同硫黄含有植物油は親水性の有機添加剤(これが使用される場合)と共にエポキシ樹脂塗布の前の段階で別個のストリームとして肥料粒子に塗布される。更に、好ましくは、同触媒および架橋剤((これらが使用される場合)は別個のストリームとして肥料粒子に塗布される。これらの塗布の順序は重要ではなく、当業界の熟練者の知識の範囲内にある。
本発明の他の実施態様によれば、エポキシ・ポリマー層とポリチオウレタン層の組み合わせを肥料粒子に塗布して、CFR材料のための複合コーティング層を形成してよい。エポキシ・ポリマーとポリチオウレタンのコーティング層の塗布順序は任意に選ばれる。
原料物質
不飽和エステル
本明細書に記載されるチオール・エステル組成物生成のために原料として使用される不飽和エステルは、多くの異なった方法により規定できる。同不飽和エステル原料を規定するひとつの方法は、各々の不飽和エステル分子を構成するエステル基の数と炭素−炭素二重結合の数である。本明細書に記載される同チオール・エステル組成物生成のために原料として使用される適切な不飽和エステルは、最低限でも1個のエステル基と1個の炭素−炭素二重結合を含有する。しかし、このような必要数を超える不飽和エステル内のエステル基と炭素−炭素二重結合の数は別個の要素であり、これらは各々他方から独立して変化し得る。このように、同不飽和エステルは、本明細書に別個に記載されるエステル基数と炭素−炭素二重結合数のどのような組み合わせをも有することができる。適切な不飽和エステルは更にアルコール基、アルデヒド基、ケトン基、エポキシ基、芳香族基およびこれらの組み合わせといった追加的な官能基も含有できる。一例として、同不飽和エステルはヒドロキシ基も含有できる。ヒドロキシ基を含有する不飽和エステルの一例がヒマシ油である。他の種類の適切な不飽和エステルは当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
最低限でも、同不飽和エステルは少なくとも1個のエステル基を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルは2〜8個、あるいは2〜7個、あるいは3〜5個のエステル基を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルは3個、あるいは4個のエステル基を含有する。
他の実施態様では、同不飽和エステルは複数の不飽和エステルの混合物からなる。このような場合には、エステル基数は不飽和エステル組成物を構成する不飽和エステル分子当りの平均的なエステル基数で最もよく規定される。いくつかの実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエステル基を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して1.5〜8個、あるいは2〜7個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜4個のエステル基を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して約3個、あるいは約4個のエステル基を含有する。
最低限でも、同不飽和エステルは分子当り少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する。一実施態様では、同不飽和エステルは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個の炭素−炭素二重結合を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは2〜9個、あるいは2〜4個、あるいは3〜8個、あるいは4〜8個の炭素−炭素二重結合を含有する。
いくつかの実施態様では、同不飽和エステルは複数の不飽和エステルの混合物からなる。この態様では、同不飽和エステル混合物での炭素−炭素二重結合数は不飽和エステル分子当りの平均的な炭素−炭素二重結合数で最もよく規定される。いくつかの実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個の炭素−炭素二重結合を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個の炭素−炭素二重結合を含有する。
エステル基数(あるいは平均数)および炭素−炭素二重結合数(あるいは平均数)は同不飽和エステルを規定する別個の要素ではあるが、ここでは説明の目的のために特定の実施態様を述べる。一実施態様では、同不飽和エステル分子は分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステル分子は分子当り平均して少なくとも3個のエステル基と平均して1.5個の炭素−炭素二重結合、あるいは平均して少なくとも3個のエステル基と平均して1.5〜9個の炭素−炭素二重結合、あるいは平均して2〜8個のエステル基と平均して1.5〜9個の炭素−炭素二重結合を含有する。
同不飽和エステル内のエステル基数(あるいは平均数)および炭素−炭素二重結合数(あるいは平均数)の他に、2個以上の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和エステル内の同炭素−炭素二重結合の配置も考慮事項となり得る。同不飽和エステルが2個以上の炭素−炭素二重結合を含有するいくつかの実施態様では、これら二重結合は共役で結合できる。他の実施態様では、2個の同炭素−炭素二重結合は1個の炭素原子のみによって隔離され得る。これらの炭素−炭素二重結合が、それに結合した2個の水素原子を有する1個の炭素原子(例えばメチレン基)によって隔離されている場合、それをメチレン基を挟んだ炭素−炭素二重結合と称してよい。更に他の実施態様では、これらの炭素−炭素二重結合は互いに孤立している、例えば2個以上の炭素原子によって隔離されている。更に他の実施態様では、これらの炭素−炭素二重結合はカルボニル基によって共役している。
いくつかの態様では、同不飽和エステルはポリオールと不飽和カルボン酸のエステルとして規定できる。この定義に基づくならば、同不飽和エステル中の不飽和カルボン酸部分はポリオール側鎖(あるいはより簡単に側鎖)と呼ぶことができる。いくつかの実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の30%未満がメチレン基を挟む二重結合を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の30%超がメチレン基を挟む二重結合を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の25%未満がメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の25%未満がリノレン酸を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の25%超がメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の25%超がリノレン酸を含有する。更に他の実施態様では、同不飽和エステルはその側鎖の少なくとも30%がメチレン基を挟んで連続する2個の炭素−炭素二重結合を含有し、25%未満がメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を含有する。
上記以外の官能基も同不飽和エステル内に存在し得る。これらの官能基の非限定的な例として、ヒドロキシ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、アミン基、カルボン酸基など、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、同不飽和エステルはヒドロキシ基を含有し得る。いくつかの実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して少なくとも1個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のヒドロキシ基を含有する。一実施態様では、同不飽和エステルは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同不飽和エステルは2〜9個、あるいは2〜4個、あるいは3〜8個、あるいは4〜8個のヒドロキシ基を含有する。
不飽和エステル油源
本発明の原料として使用される不飽和エステル油は、分子当りに本明細書に記載される数のエステル基と炭素−炭素二重結合を含有しているのであればどのような不飽和エステル油でもよい。同不飽和エステル油は天然産物質、天然産原料からの合成物質、合成原料から生成する物質、天然および合成物質から生成する物質、およびこれらの混合物から得ることができる。
不飽和天然資源油
一実施態様では、同不飽和エステル油は不飽和天然資源油である。同不飽和天然資源油は、天然に生じる木の実、野菜、その他の植物および動物から得ることができる。一実施態様では、同不飽和エステル油は遺伝操作により改質された木の実、野菜、その他の植物および動物から得られる。一実施態様では、同不飽和エステル油は遺伝操作により改質された木の実、野菜、その他の植物および動物から得られるトリグリセリドを含有する。
一態様では、同不飽和天然資源油は、獣脂、オリーブ油、落花生油、トウゴマ実油、ひまわり油、ゴマ油、ケシ油、種油、パーム油、アーモンド種油、ハシバミ実油、菜種油、カノーラ油、大豆油、とうもろこし油、紅花油、綿実油、カメリナ油、アマニ油あるいはクルミ油であってよい。いくつかの実施態様では、同不飽和天然資源油は、大豆油、とうもろこし油、トウゴマ実油、紅花油、カノーラ油、綿実油、カメリナ油、アマニ油あるいはクルミ油であってよい。いくつかの実施態様では、同不飽和天然資源油は、大豆油、あるいはとうもろこし油、あるいはトウゴマ実油あるいはカノーラ油であってよい。
同不飽和天然資源油は、グリセロールと不飽和カルボン酸のエステルとして規定できるトリグリセリドを含有する。この定義に基づくならば、同トリグリセリド中の不飽和カルボン酸部分はグリセロール側鎖(あるいはより簡単に側鎖)と呼ぶことができる。いくつかの実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の30%未満がメチレン基を挟む二重結合を含有する。他の実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の30%超がメチレン基を挟む二重結合を含有する。更に他の実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の25%未満がメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を含有する。更に他の実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の25%未満がリノレン酸を含有する。更に他の実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の25%超がメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を含有する。更に他の実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の25%超がリノレン酸を含有する。更に他の実施態様では、同トリグリセリドはその側鎖の少なくとも30%がメチレン基を挟んで連続する2個の炭素−炭素二重結合を含有し、25%未満がメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を含有する。
他の実施態様では、同不飽和天然エステル油は不飽和天然資源油からの「天然」トリグリセリドを含有する。一実施態様では、同不飽和天然エステル油は合成物質である。一実施態様では、同不飽和天然エステル油は合成物質と天然原料を含有する。一実施態様では、同不飽和天然エステル油は合成トリグリセリドを含有する。
合成不飽和エステル
本発明での態様に原料として使用される合成不飽和エステルは、当業界の熟練者には周知の各種エステル基生成プロセスにより生成できる。ここで使用される「エステル基」という用語はヒドロキシ基とカルボン酸あるいはそれの誘導体の反応によって生成する種を意味する。典型的には、同エステルはアルコールとカルボン酸の反応、カルボン酸エステルとアルコールの間のエステル交換反応、アルコールと無水カルボン酸の反応、あるいはアルコールとハロゲン化カルボン酸の反応によって生成できる。本発明での態様に原料として使用される合成不飽和エステルの生成のために、これらのいずれの方法を用いてもよい。同不飽和エステル生成のための原料であるアルコール、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和無水カルボン酸は天然物質、合成物質、遺伝操作により生成した物質、あるいは天然物質、合成物質、遺伝操作により生成した物質のどのような混合物から得られる。
本発明での各種態様での原料として使用される合成不飽和エステルの生成のためのポリオールと不飽和カルボン酸、単純な不飽和カルボン酸エステルあるいは不飽和無水カルボン酸は各々別個の要素である。すなわち、これらの要素は互いに他から独立して変化させることが可能であり、本明細書に記載される組成物を生成するための原料として使用される不飽和エステルの生成、あるいは本明細書に記載されるプロセスの原料のためにどのような組み合わせでも使用できる。
合成不飽和エステル油−ポリオール成分
同不飽和エステル油を生成するために使用されるポリオールとしては、不飽和カルボン酸、単純な不飽和カルボン酸エステル、不飽和無水カルボン酸あるいはハロゲン化カルボン酸と当業界の熟練者には周知の反応条件下で反応できるのであればどのようなポリオールあるいはその混合物であってよい。
ポリオール中の炭素原子数は特に重要ではない。一態様では、同不飽和エステル生成に使用されるポリオールは2〜20個の炭素原子を含有し得る。他の実施態様では、同ポリオールは2〜10個、あるいは2〜7個、あるいは2〜5個の炭素原子を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオールは平均して2〜20個、あるいは2〜10個、あるいは2〜7個、あるいは2〜5個の炭素原子を含有するポリオールの混合物でよい。
他の実施態様では、同不飽和エステル生成に使用される同ポリオールは本明細書に記載される不飽和エステルの生成に必要とされるどのような数のヒドロキシ基を含有し得る。いくつかの実施態様では、同ポリオールは2個、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個、あるいは6個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ポリオールは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個、あるいは6個のヒドロキシ基を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオールは2〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の実施態様では、同不飽和エステル生成に使用される同ポリオールは複数のポリオールの混合物からなる。一実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基を含有する。他の実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して少なくとも2個、あるいは2.5個、あるいは3個、あるいは4個のヒドロキシ基を含有する。更に他の実施態様では、同ポリオール混合物はポリオール分子当り平均して1.5〜8個、あるいは2〜6個、あるいは2.5〜5個、あるいは3〜4個、あるいは2.5〜3.5個、あるいは2.5〜4.5個のヒドロキシ基を含有する。
更に他の実施態様では、同不飽和チオール・エステル生成に使用されるポリオールあるいはそれの混合物は、500未満の分子量あるいは平均分子量を有する。他の実施態様では、同ポリオールあるいはそれの混合物は、300未満、あるいは200未満、あるいは150未満、あるいは100未満の分子量あるいは平均分子量を有する。
いくつかの実施態様では、適切なポリオールは以下を包含する:2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレン・グリコール、トリエチレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール、ジプロピレン・グリコール、トリプロピレン・グリコールおよびポリプロピレン・グリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1,4−キシリレンジメタノールおよび1−フェニル−1,2−エタンジオール;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、4−キシリレンジメタノールおよび1−フェニルー1,2−エタンジオール;あるいはこれらのどのような混合物。他の実施態様では、同ポリオールはグリセロール、ペンタエリスリトールあるいはこれらの混合物である。他の実施態様では、同ポリオールはグリセロールあるいはペンタエリスリトールである。
合成不飽和エステル油−カルボン酸あるいはカルボン酸相当成分
同不飽和エステル油のカルボン酸成分は炭素−炭素二重結合を含有するどのようなカルボン酸あるいはそれの混合物でよい。同カルボン酸成分は、平均して1.5個超のヒドロキシ基あるいは本明細書に記載されるどのような数のヒドロキシ基を含有するポリオールあるいはそれの混合物と結合されるので、本明細書に記載される原料の要求事項を満たす不飽和エステルを生成する不飽和カルボン酸を含有するどのような混合物でもよい。いくつかの実施態様では、同カルボン酸成分は飽和カルボン酸と本明細書に記載される原料の要求事項を満たす不飽和エステルを生成する不飽和カルボン酸のどのような混合物であってよい。従って、同合成不飽和エステル油の生成に使用されるカルボン酸あるいはそれの混合物はカルボン酸分子当りに特定の元素の平均数で規定できる。
カルボン酸を規定する別個の要素としては、カルボン酸分子当りのカルボン酸基の平均個数、炭素原子の平均個数、炭素−炭素二重結合の平均個数などが挙げられる。その他の別個の要素としては、炭素鎖中の二重結合の位置、更には二重結合が複数個存在する場合にはそれらの相対的な位置が挙げられる。
同不飽和エステル油の生成に使用されるカルボン酸組成物の成分としての特定のカルボン酸は、カルボン酸分子当り3〜30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施態様では、同カルボン酸は直鎖状である。いくつかの実施態様では、同カルボン酸は分岐状である。いくつかの実施態様では、同カルボン酸は直鎖状と分岐状のカルボン酸の混合物である。いくつかの実施態様では、同カルボン酸は、アルコール基、アルデヒド基、ケトン基およびエポキシド基などの追加的な官能基をも含有し得る。
不飽和カルボン酸組成物の成分として使用可能な適切なカルボン酸は約3〜30個、あるいは8〜25個、あるいは12〜20個の炭素原子を含有し得る。他の実施態様では、同不飽和カルボン酸組成物の成分としての複数のカルボン酸は平均して2〜30個、あるいは8〜25個、あるいは12〜20個の炭素原子を含有する。
同炭素−炭素二重結合は炭素−炭素鎖のどの位置にも存在し得る。一実施態様では、同二重結合は末端に位置し得る。他の実施態様では、同炭素−炭素二重結合は同鎖中に位置し得る。更に他の実施態様では、同カルボン酸あるいはそれの混合物は鎖の末端および鎖中の両方に位置する炭素−炭素二重結合を含有し得る。同二重結合は、炭素−炭素二重結合に結合した置換基数によっても規定可能である。いくつかの実施態様では、同炭素−炭素二重結合は、1,2,3、あるいは4箇所で置換されていてもよく、あるいは1,2,3、あるいは4箇所で置換された炭素−炭素二重結合の混合物であってよい。
適切なカルボン酸は以下を包含する:アクリル酸、アゴナンドイック酸、アゴナドリック酸、アルクロノイック酸、アンブレトリン酸、アンゲリン酸、アスクレピン酸、オーリコリン酸、アベノレイン酸、アクシラレン酸、ブラシジン酸、カプロレイン酸、セテラジン酸、セトレイン酸、シベチン酸、CLA,コリオリン酸、コロナリン酸、クレペニニン酸、デンシポリン酸、ジホモリノレイン酸、ジホモタクソレイン酸、ジモルホコリン酸、エライジン酸、エフェドレイン酸、エルシン酸、ガデライジン酸、ガドレイン酸、ガイジン酸、ゴンドロ酸、ゴルリン酸、ヘレニノリン酸、ヒドロソルビン酸、イソリシノレイン酸、ケテレエロニン酸、ラベレン酸、ローロレイン酸、レスキロリン酸、リレナイジン酸、リンデリン酸、リノール酸、ルメキン酸、マルバリン酸、マンゴールド酸、マルガロリン酸、メガトミン酸、ミクッシュ酸、ミコリペニン酸、ミリステライジン酸、ネルボイン酸、オブツシリン酸、オレイン酸、パルミテライジン酸、ペトロセライジン酸、ペトロセリニン酸、ホロミン酸、フィセテリン酸、フィテノイン酸、フィルリン酸、リセネライジン酸、ルメニン酸、セラコレイン酸、ソルビン酸、ステアロリン酸、ステクリン酸、ステクリニン酸、スチリンジン酸、ストファンサス酸、タリリン酸、タコレイン酸、トラマチン酸、ツドイン酸、ツズイン酸、ウンデシレン酸、バセニン酸、ベルノリン酸、キシメニン酸、キシメニニン酸、キシメメニロリン酸およびこれらの混合物。更に他の実施態様では、適切な不飽和カルボン酸はオレイン酸、パルミトレイン酸、リシノレイン酸、リノール酸およびこれらの混合物である。
いくつかの実施態様では、同不飽和エステルは、本明細書に記載されるカルボン酸あるいはそれの混合物の単純なエステルと本明細書に記載されるポリオール組成物の間のエステル交換反応によって生成できる。いくつかの実施態様では、同単純なエステルはカルボン酸あるいはそれの混合物のメチルあるいはエチル・エステルである。他の実施態様では、同単純なカルボン酸エステルは本明細書に記載されるカルボン酸のメチル・エステルである。
エポキシ化不飽和エステル
一態様では、エポキシ化不飽和エステルは、本明細書に記載される物質およびそれを生成する本明細書に記載されるプロセスの原料として使用される。一般的には、同エポキシ化不飽和エステルは本明細書に記載されるどのような不飽和エステルのエポキシ化によって生成できる。同不飽和エステル油は天然産物質、天然産原料からの合成物質、合成原料から生成する物質、天然および合成物質から生成する物質、およびこれらの混合物から得ることができる。
最低限でも、同エポキシ化不飽和エステルは少なくとも1個のエポキシド基を含有する。一実施態様では、同エポキシ化不飽和エステルは少なくとも2個、あるいは3個、あるいは4個のエポキシド基を含有する。他の実施態様では、同エポキシ化不飽和エステルは2〜9個、あるいは2〜4個、あるいは3〜8個、あるいは4〜8個のエポキシド基を含有する。
いくつかの実施態様では、同不飽和エステルは複数のエポキシ化不飽和エステルの混合物からなる。このような態様では、エポキシ化不飽和エステル内のエポキシド基数は不飽和エステル分子当りの平均的なエポキシド基数で最もよく規定される。いくつかの実施態様では、同エポキシ化不飽和エステルは分子当り平均して少なくとも1.5個、あるいは2個、あるいは2.5個、あるいは3個のエポキシド基を含有する。他の実施態様では、同エポキシ化不飽和エステルは分子当り平均して1.5〜9個、あるいは3〜8個、あるいは2〜4個、あるいは4〜8個のエポキシド基を含有する。
一実施態様では、同エポキシ化不飽和エステルはエポキシ化された不飽和天然資源油である(エポキシ化不飽和天然資源油)。同不飽和天然資源油は、天然に生じる木の実、野菜、その他の植物および動物から得ることができる。一実施態様では、同不飽和エステル油は遺伝操作により改質された木の実、野菜、その他の植物および動物から得られる。一実施態様では、同不飽和エステル油は遺伝操作により改質された木の実、野菜、その他の植物および動物から得られるトリグリセリドを含有する。
一態様では、同エポキシ化不飽和天然資源油は、獣脂、オリーブ油、落花生油、トウゴマ実油、ひまわり油、ゴマ油、ケシ油、種油、パーム油、アーモンド種油、ハシバミ実油、菜種油、カノーラ油、大豆油、とうもろこし油、紅花油、綿実油、カメリナ油、アマニ油あるいはクルミ油であってよい。いくつかの実施態様では、同エポキシ化不飽和天然資源油は、大豆油、とうもろこし油、トウゴマ実油、紅花油、カノーラ油、綿実油、カメリナ油、アマニ油あるいはクルミ油であってよい。他の実施態様では、同エポキシ化不飽和天然資源油は、大豆油、あるいはとうもろこし油、あるいはトウゴマ実油あるいはカノーラ油であってよい。
同チオール組成物はトリグリセリド分子当り平均して0を超え約4個までのエポキシド基を含有できる。同チオール組成物はトリグリセリド分子当り平均して1.5を超え約9個までのエポキシド基も含有できる。
メルカプタン
いくつかの実施態様では、不飽和エステルあるいはエポキシ化不飽和エステルをメルカプタンと接触させる。これらの実施態様では、同メルカプタンは1〜20個の炭素原子を含有するどのようなメルカプタンであってもよい。一般的には、同メルカプタンは以下の構造を有する:

HS−R
ここで、R3はC〜C20のオルガニル基あるいはC〜C20のヒドロカルビル基である。他の実施態様では、R3はC〜C10のオルガニル基あるいはC〜C10のヒドロカルビル基であってよい。いくつかの実施態様では、同メルカプタン組成物は溶剤を含有する。一態様では、同メルカプタン組成物は少なくとも1個の他の官能基を含有する。
このような少なくとも1個の他の官能基は、いくつかの異なった基から選ぶことができる。例えば、このような少なくとも1個の他の官能基はアルコール基、カルボン酸アルコール基、カルボン酸エステル基、アミン基、硫化物基、チオール基、カルボン酸基内のメチル・エステル基あるいはエチル・エステル基あるいはこれらの組み合わせである。他の種類の官能基は当業界の熟練者には周知であろうし、これらもまた本発明の範囲内にあると解される。
いくつかの実施態様では、同メルカプタンは以下の化合物からなる群から選ばれる:3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、メルカプトピルビン酸、メルカプトコハク酸、2−メルカプトニコチン酸、6−メルカプトニコチン酸、2−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトベンジル・アルコール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、2−メルカプトエタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチル・エーテル、硫化2−メルカプトエチル、16−メルカプトヘキサデカン酸、6−メルカプト−1−ヘキサノール、4’−メルカプトアセタニリド、メルカプト酢酸、2−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプトチアゾリン、3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール、11−メルカプトウンデカン酸、11−メルカプト−1−ウンデカノール、およびこれらの混合物。
いくつかの実施態様では、同メルカプタンは以下の化合物からなる群から選ばれる:ベータ−メルカプトエタノール、2−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール、1−メルカプト−2−プロパノール、1−メルカプト−3−プロパノール、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプトベンジルアルコール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、2−メルカプトエチル・エーテル、硫化2−メルカプトエチル、6−メルカプト−ヘキサノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、メルカプトコハク酸、およびこれらの混合物。他の実施態様では、同メルカプタンは以下の化合物からなる群から選ばれる:ベータ−メルカプトエタノール、1−メルカプト−2−プロパノール、1−メルカプト−3−プロパノール、2−メルカプトベンジルアルコール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、6−メルカプト−ヘキサノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、およびこれらの混合物。更に他の実施態様では、同メルカプタンは以下の化合物からなる群から選ばれる:2−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール、およびこれらの混合物。更に他の実施態様では、同メルカプタンは以下の化合物からなる群から選ばれる:メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、メルカプトコハク酸、およびこれらの混合物。
イソシアナート
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される本発明の組成物はイソシアナート化合物と反応させてポリチオウレタン組成物を生成する。同イソシアナートは、本明細書に記載されるチオール・エステル、ヒドロキシ・チオール・エステルあるいは架橋チオール・エステルと反応してポリチオウレタン組成物を生成できるものであればどのようなものでもよい。一般的には、同イソシアナート化合物は少なくとも2個のイソシアナート基を含有する。
一態様では、同イソシアナートは以下の化合物からなる群から選ぶことができる:1、4−テトラメチレン・ジイソシアナート、1、6−ヘキサメチレン・ジイソシアナート、2,2、4−トリメチルー1,6−ヘキサメチレン・ジイソシアナート、1、12−ドデカメチレン・ジイソシアナート、シクロヘキサン−1、3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1、4−ジイソシアナート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチル・シクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロン・ジイソシアナート、IPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシル・メタン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、アルファ、アルファ、アルファ’、アルファ’−テトラメチル−1,3−キシリレン・ジイソシアナート、アルファ、アルファ、アルファ’、アルファ’−テトラメチル−1,4−キシリレン・ジイソシアナート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチル・シクロヘキサン、2,4−ヘキサヒドロ−トルイレン・ジイソシアナートおよび/あるいは2,6−ヘキサヒドロ−トルイレン・ジイソシアナート、1,3−フェニレン・ジイソシアナートおよび/あるいは1,4−フェニレン・ジイソシアナート、2,4−トルイレン・ジイソシアナートおよび/あるいは2,6−トルイレン・ジイソシアナート、2,4−ジフェニルメタン・ジイソシアナートおよび/あるいは4,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアナート、1,5−ジイソシアナト・ナフタレン、およびこれらの混合物。いくつかの実施態様では、同イソシアナート化合物は以下の化合物からなる群から選ばれる:ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、1、6−ヘキサメチレン・ジイソシアナート、イソホロン・ジイソシアナート、アルファ、アルファ、アルファ’、アルファ’−テトラメチル−1,3−キシリレン・ジイソシアナートおよび/あるいはアルファ、アルファ、アルファ’、アルファ’−テトラメチル−1,4−キシリレン・ジイソシアナート、2,4−トルイレン・ジイソシアナートおよび/あるいは2,6−トルイレン・ジイソシアナート、および2,4−ジフェニルメタン・ジイソシアナートおよび/あるいは4,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアナート。他の実施態様では、同イソシアナート化合物は以下の化合物からなる群から選ばれる:イソホロン・ジイソシアナート、2,4−トルイレン・ジイソシアナート、および2,4−トルイレン・ジイソシアナートと2,6−トルイレン・ジイソシアナートの混合物。更に他の実施態様では、同イソシアナート化合物は4,4’−メチレンビス(フェニル)ジイソシアナート(MDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアナート(水素化MDI)、トリレン−2,4−ジイソシアナート(TDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)あるいはLuprinateTM M20Sであってよい。
実施例
メルカプタン化大豆油
本明細書に記載されるプロセス工程に従って、大豆油を反応開始剤の存在下で硫化水素と反応させてメルカプト化大豆油を生成した。いくつかの実施例を同じ手順で実施した。
UV照射下で大豆油を硫化水素と反応させた実施例では下記の原料を使用した:精製(食品グレード)大豆油(Cargill);未精製、未脱ゴム大豆油(ADM Supplier);硫化水素(Tessenderlo Sourcing、 Air Products、純度:99.9%超);およびトリ−n−ブチル亜リン酸(Aldrich、90%)。
チオール系硫黄を定量的に測定するために、ASTM D3227試験法に準拠して硝酸銀滴定を用いて分析を実施した。ただし、銀塩によるプローブの汚れを最小限に抑えるために同方法を以下のように修正した:試料を既知量のテトラヒドロフランで希釈した。硝酸銀濃度は0.01N(ヨウ化カリに対して基準化)であった。
実施例1
大豆油(上記の出所を参照されたい、500mL)を5リットルのステンレス鋼のオートクレーブ反応器に入れた。同反応器には100ワットのHanoviaの中程度電圧のUV灯を封入した水平に延びる石英管が装備されていた。同システムを窒素ガスによりパージし、周囲圧力下で封じた。次いで、液状硫化水素(1.96kg)を同反応器内に入れた。同反応器内の圧力は307psigであった。18°Cに維持された循環浴を用いて過剰の熱を放出した。同反応器に装備された撹拌器の作動を開始した。次いで、同UV灯からUV光を30分間照射した。その後、同反応器内の気体を頂部に設置された入口ベントから高圧フレア・ラインを通じて放出することにより徐々に降圧した。次いで、同高圧フレア・ラインを通じて反応器内を窒素でパージした。粗メルカプト化大豆油を反応器下部のドレイン弁を通じて排出した。
生成したメルカプト化大豆油に対して100°Cの減圧下で窒素を4時間噴霧して残留する硫化水素を除去した。
チオール系硫黄を3種類の異なった試験法で分析した。第一の方法が修正ASTM D3227試験法であり、これにより測定されたチオール系硫黄濃度は4.64%であった。同チオール系硫黄の分析に用いられた第二の方法はSLP−1204であった。同方法はChevron Phillips Chemical LLPが開発した方法である。同方法により測定されたチオール系硫黄濃度は4.28%であった。第3の方法は燃焼法による全硫黄分の分析であった。これにより測定された全硫黄濃度は4.27%であった。
実施例2
野菜油(42kg)を100ガロンの保持容器に入れた。同容器内を窒素ガスによりパージし、内部圧力を大気圧に戻した。硫化水素(174kg)を同容器内に注入した。同容器内の圧力を典型的には380〜400psigに維持しつつ温度を25〜30°Cに制御した。反応物を連続的に同容器からステンレス鋼の管型光化学反応器に導入した。同反応器には石英管内に封入された7.5KWのHanoviaの中程度電圧のUV灯が装備されていた。反応期間を通じて同反応器内の温度、圧力および組成をモニターした。反応はチオール系硫黄分の望ましい組成が得られるまで続けたので反応時間はそのときの条件により変化した。反応が完結したならば、未反応の硫化水素をゆっくりと系外に放出した。残留HSは、窒素噴霧管を通じて窒素を注入しつつ、100°C、減圧下で除去した。同生成物は反応器下部からクリーンなドラム内に排出した。チオール系硫黄濃度は11.0%(修正ASTM D3227試験法)および8.74%(SLP−1204法)であり、全硫黄分濃度は11.21%(燃焼法)であった。
実施例3
大豆油(上記の出所を参照されたい、180mL)とトリ−n−ブチル亜リン酸(1.8mL)を1.5リットルのステンレス鋼のオートクレーブ反応器に入れた。同反応器には100ワットのHanoviaの中程度電圧のUV灯を封入した水平に延びる石英管が装備されていた。同システムを窒素ガスによりパージし、周囲圧力下で封じた。次いで、液状硫化水素(1.96kg)を同反応器内に入れた。同反応器内の圧力は307psigであった。循環浴の作動を開始し、同浴温度を18°Cに維持した。同反応器に装備された撹拌器の作動を開始した。次いで、同UV灯からUV光を30分間照射した。その後、同反応器内の気体を頂部に設置された入口ベントから高圧フレア・ラインを通じて放出することにより徐々に降圧した。次いで、同高圧フレア・ラインを通じて反応器内を窒素でパージした。粗メルカプト化大豆油を反応器下部のドレイン弁を通じて排出した。
生成したメルカプト化大豆油に対して100°Cの減圧下で窒素を4時間噴霧して残留する全ての硫化水素を除去した。チオール系硫黄濃度は13.0%(修正ASTM D3227試験法)および9.82%(SLP−1204法)であり、全硫黄分濃度は11.69%(燃焼法)であった。
実施例1〜3で生成したメルカプト化大豆油の性状を表1に示す。
Figure 2007526939
改質大豆油と改質亜麻仁油の試料も、米国特許3,991,089(本明細書内に参照されている)に開示される手順に実質的に従ってメタノリシス処理をした。1gのメルカプト化大豆油を丸底フラスコ内に入れた。ナトリウム・メトキシドのメタノール溶液(25%、2.0mL)を同メルカプト化大豆油に添加し、同混合物を室温で約1時間撹拌した。それに、トルエン(10mL)および蒸留水(5mL)を添加した。同混合物を、0.5NのHClによりpHが約2〜3になるまで酸性化した。その結果生じた分離相を分離し、上相をMgSOで乾燥した後にろ過した。その結果得られた試料をGC−MSにより分析した。
実施例4
大豆油を、1000ガロン容量で6個の中程度電圧、7500ワットのUV灯を装備した反応器内で硫化水素と反応させた。合計5種類のメルカプト化大豆油生成実験を実施した。その一般的な手順を以下に記載している。
大豆油を1000ガロンの撹拌器装備の反応器に入れた。次いで、硫化水素を反応器に入れた。硫化水素を入れた後、撹拌およびUV照射を開始し、温度と圧力が系内に蓄積するように反応を進行させた。同反応をチオール系硫黄濃度が少なくとも8重量%に達するまで続けた。反応終了後、過剰に存在する硫化水素を反応器からフラッシングにより除去した。実験番号2〜5の実験では、同メルカプト化大豆油生成物を更にストリッピング処理して硫化水素を除去した(実験番号2〜5の実験のみ)。同ストリッピングは減圧下(50mmHg)で250°Cの条件下で実施した。
表2に1000ガロン反応器により実施した5実験に使用した大豆油および硫化水素のチャージ量を示している。また同表に炭素−炭素二重結合/硫化水素の近似的なモル比も示している(同比は大豆油分子当り平均して4.5個の炭素−炭素二重結合に基づいている)。更に、同表に大豆油と硫化水素の反応での温度および圧力条件も示している。
Figure 2007526939
表3に1000ガロン反応器により実施した5実験により生成したメルカプト化大豆油の詳細な分析結果を示している。
Figure 2007526939
メルカプタン化トウゴマ実油(ヒマシ油)
本明細書に記載されるプロセス工程に従って、ヒマシ油を反応開始剤の存在下で硫化水素と反応させてメルカプト化ヒマシ油を生成した。いくつかの実施例を同じ手順で実施した。トウゴマ実油を硫化水素と反応させた実施例では下記の原料を使用した:ヒマシ油精製(Aldrich);硫化水素(Tessenderlo Sourcing、 Air Products、純度:99.9%超);およびトリ−n−ブチル亜リン酸(Aldrich、90%)。
実施例1
ヒマシ油(140mL)を1.5リットルのステンレス鋼のオートクレーブ反応器に入れた。同反応器には100ワットのHanoviaの中程度電圧のUV灯を封入した水平に延びる石英管が装備されていた。同システムを窒素ガスによりパージし、周囲圧力下で封じた。次いで、液状硫化水素(0.76kg)を同反応器内に入れた。同反応器内の圧力は419psigであった。同反応器に装備された撹拌器の作動を開始し、その回転速度を800rpmに調節した。次いで、同UV灯からUV光を2時間照射した。反応温度は33.9〜40.8°Cの間に変化させた。同反応器内の圧力は最終的には448psigであった。次いで同UV灯を停止し、同反応器内の気体を頂部に設置された入口ベントから高圧フレア・ラインを通じて放出することにより徐々に降圧した。次いで、同高圧フレア・ラインを通じて反応器内を窒素でパージした。粗メルカプト化大豆油を反応器下部のドレイン弁を通じて排出した。
実施例2
ヒマシ油(140mL)とトリ−n−ブチル亜リン酸(1.4mL)を1.5リットルのステンレス鋼のオートクレーブ反応器に入れた。同反応器には100ワットのHanoviaの中程度電圧のUV灯を封入した水平に延びる石英管が装備されていた。同システムを窒素ガスによりパージし、周囲圧力下で封じた。次いで、液状硫化水素(0.76kg)を同反応器内に入れた。同反応器内の圧力は418psigであった。同反応器に装備された撹拌器の作動を開始し、その回転速度を800rpmに調節した。次いで、同UV灯からUV光を4時間照射した。反応温度は33.2〜40.9°Cの間に変化させた。同反応器内の圧力は最終的には456psigであった。次いで同UV灯を停止し、同反応器内の気体を頂部に設置された入口ベントから高圧フレア・ラインを通じて放出することにより徐々に降圧した。次いで、同高圧フレア・ラインを通じて反応器内を窒素でパージした。粗メルカプト化大豆油を反応器下部のドレイン弁を通じて排出した。
2種類のメルカプト化ヒマシ油生成物の分析された性状を表4に示す。
Figure 2007526939
エポキシ化大豆油(700g、約0.7mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、4.7g、30.5mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れた。同反応器は630psigまでの圧力下で圧力検査されていた。次いで、硫化水素(HS、132.0g、3.87mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し8時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高351psigから219psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(5mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を7.53重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(2.5SH/分子、2.35meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:64.37%、H:10.20%、N:0.15%未満、S:9.51%の組成を有していた。
実施例2(CPC407−83)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れ、同反応器を630psigまでの圧力下で圧力検査した。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら97°Cまで加熱し14時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高509psigから229psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(90〜95°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を4.14重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(1.4SH/分子、1.29meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:65.18%、H:10.17%、N:0.15%未満、S:7.80%の組成を有していた。
実施例3(CPC407−86)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れ、同反応器を630psigまでの圧力下で圧力検査した。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し10時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高578psigから489psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を8.28重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(2.8SH/分子、2.58meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:65.24%、H:9.52%、N:0.18%、S:9.53%の組成を有していた。
実施例4(CPC407−88)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れた。同反応器は630psigまでの圧力下で圧力検査されていた。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し12時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高587psigから498psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を8.24重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(2.8SH/分子、2.57meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:63.39%、H:10.01%、N:0.15%未満、S:8.76%の組成を有していた。
実施例5(CPC407−93)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れ、同反応器を630psigまでの圧力下で圧力検査した。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し8時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高606psigから537psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を7.34重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(2.5SH/分子、2.29meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:64.47%、H:10.18%、N:0.15%未満、S:8.40%の組成を有していた。
実施例6(CPC407−94)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れた。同反応器は630psigまでの圧力下で圧力検査されていた。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し6時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高586psigから556psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を5.93重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(2.0SH/分子、1.85meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:65.26%、H:10.19%、N:0.15%未満、S:8.43%の組成を有していた。
実施例7(CPC407−95)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れ、同反応器を630psigまでの圧力下で圧力検査した。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し4時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高595psigから554psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を5.36重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(1.8SH/分子、1.67meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:65.67%、H:10.17%、N:0.34%、S:9.84%の組成を有していた。
実施例8(CPC407−97)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れた。同反応器は630psigまでの圧力下で圧力検査されていた。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し4時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高577psigから519psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を5.85重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(2.0SH/分子、1.82meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:65.09%、H:10.15%、N:0.35%、S:10.63%の組成を有していた。
実施例9(CPC407−98)
エポキシ化大豆油(600g、約0.6mol)と1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU、5.0g、32.4mmol)を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れ、同反応器を630psigまでの圧力下で圧力検査した。次いで、硫化水素(HS、204.0g、5.99mol)を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し2時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は最高577psigから508psigにまで低下した。撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態(80〜85°C)である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を80〜85°Cの暖かい状態で排出した。同反応生成物を減圧下(5mmHg未満)、130〜140°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。その結果生成した薄黄色で高粘度の油はチオール系硫黄を5.07重量%(修正ASTM D3227試験法による滴定で求めた)含有していた(1.7SH/分子、1.58meqSH/分子)。燃焼試験法による分析結果によれば、同生成物はC:63.69%、H:10.01%、N:0.35%、S:11.22%の組成を有していた。
実施例1〜10で生成したメルカプトヒドロキシ大豆油の性状を表5に示す。
Figure 2007526939
実施例1L
複数の追加的なメルカプトヒドロキシ大豆油を異なった量のエポキシ化大豆油、硫化水素および触媒を使用して異なった温度および反応時間条件下で生成した。その一般的な手順を以下に記載している。
エポキシ化大豆油と触媒を1LのハステロイCのオートクレーブ反応器に入れ、同反応器を1000psigまでの圧力下で圧力検査した。次いで、硫化水素を液相内に挿入した管を通じて撹拌中の反応器内容物内に圧力下で入れた。同反応混合物を撹拌しながら決められた温度にまで加熱し12時間その温度を維持した。この期間中に反応器内圧力は通常は低下した。反応終了後撹拌器を停止し、反応器が暖かい状態である間に過剰のHSを低圧フレア・ラインを通じてゆっくりと放出した。同反応器内の蒸気空間をNで1時間パージし、反応器内容物を排出した。同反応生成物を減圧下(50mmHg未満)、100°Cの条件下で16時間Nで噴霧して残留HSを除去した。表6にいくつかの実験でメルカプトヒドロキシ大豆油の生成に用いた反応条件と生成メルカプトヒドロキシ大豆油のチオール系硫黄濃度を示す。
Figure 2007526939
実験番号407−86で生成したメルカプトヒドロキシ大豆油はナトリウム・メトキシドを用いたメタノリシス手順で処理し、次いでGC/MSにより分析した。同分析結果によれば、同生成油でのエポキシド基/チオール基のモルは約0.14であった。またメタノリシス処理された同メルカプトヒドロキシ大豆油は、平均してそれの80.4%が硫黄を含有していた。
オリゴマー化MSO(メルカプタン化大豆油)
実施例1
メルカプト化大豆油(900.1g、チオール系硫黄濃度:10.92%)を元素硫黄ペレット(9.6g)と共に三つ口フラスコに入れた。同反応混合物を硫黄が溶解するまで120°Cに加熱し、次いで99°Cまで冷却した。トリブチルアミン(4.8g)を同反応混合物に漏斗により滴下した。同混合物を90°Cで2時間混合した。HSの発生が認められた。同反応生成物(904.8g)を減圧下、110°Cの条件下で4時間Nで噴霧して残留HSを除去した。最終生成物である薄黄色の油はチオール系硫黄を6.33重量%(修正ASTM D3227試験法で求めた)含有していた。元素燃焼分析によれば、同生成物はC:70.19%、H:10.37%、S:11.21%の組成を有していた。
実施例2
メルカプト化大豆油(900.1g、チオール系硫黄濃度:10.92%)を元素硫黄ペレット(36.0g)と共に三つ口フラスコに入れた。同反応混合物を硫黄が溶解するまで120°Cに加熱し、次いで100°Cまで冷却した。トリブチルアミン(4.8g)を同反応混合物に漏斗により滴下した。同混合物を90°Cで36時間混合した。HSの発生が認められた。同反応生成物(825.6g)を減圧下、90°Cの条件下で36時間Nで噴霧して残留HSを除去した。同反応生成物を減圧下、110°Cの条件下で3時間Nで噴霧して残留HSを除去した。最終生成物である薄黄色の油はチオール系硫黄を2.36重量%(修正ASTM D3227試験法で求めた)含有していた。元素燃焼分析によれば、同生成物はC:68.90%、H:11.07%、S:12.25%の組成を有していた。
実施例3
メルカプト化大豆油(900.1g、チオール系硫黄濃度:10.92%)を元素硫黄ペレット(18.0g)と共に三つ口フラスコに入れた。同反応混合物を硫黄が溶解するまで125°Cに加熱し、次いで101°Cまで冷却した。トリブチルアミン(4.8g)を同反応混合物に漏斗により滴下した。同混合物を90°Cで2時間混合した。HSの発生が認められた。同反応生成物(901.5g)を減圧下、110°Cの条件下で4時間Nで噴霧して残留HSを除去した。最終生成物である薄黄色の油はチオール系硫黄を4.9重量%(修正ASTM D3227試験法で求めた)含有していた。元素燃焼分析によれば、同生成物はC:69.58%、H:11.25%、S:11.31%の組成を有していた。
実施例4
メルカプト化大豆油(900.1g、チオール系硫黄濃度:10.92%)を元素硫黄ペレット(45.0g)と共に三つ口フラスコに入れた。同反応混合物を硫黄が溶解するまで125°Cに加熱し、次いで100°Cまで冷却した。トリブチルアミン(4.8g)を同反応混合物に漏斗により滴下した。同混合物を90°Cで2時間混合した。HSの発生が認められた。同反応生成物(915.0g)を減圧下、110°Cの条件下で4時間Nで噴霧して残留HSを除去した。最終生成物である薄黄色の油はチオール系硫黄を1.41重量%(修正ASTM D3227試験法で求めた)含有していた。元素燃焼分析によれば、同生成物はC:68.35%、H:10.98%、S:13.28%の組成を有していた。
表7に実施例1〜4で生成したオリゴマー化したメルカプト化大豆油(架橋メルカプト化大豆油)の異なった温度での粘度を示す。
Figure 2007526939
異なった同オリゴマー混合物をGPCで分析した。GPC結果は20個までのトリグリセリドが互いに連結された各種のオリゴマーの存在を示していた。
ポリチオウレタン・ポリマーの生成
メルカプト化大豆油(MSO)、メルカプトヒドロキシ大豆油(MHSO)あるいは架橋メルカプト化大豆油(CMSO−オリゴマー化MSO)(これらの全ては以降架橋剤と称する)を秤量してポリエチレンのビーカーに入れた。同架橋剤に望ましい上記ポリイソシアナートを添加した。同反応混合物に対して望ましい上記の触媒を添加した。同三成分系の反応混合物を木製のポプシクル棒(アイスキャンデー棒)を用いて手で撹拌した。この結果生成したプレポリマー混合物を全量適切な鋳型に入れて硬化させた。実施例で用いた同鋳型は直径が50mmあるいは70mmのアルミニウム製のパンが装備されていた。次いで同試料を望ましいプロファイルA,BあるいはCに基づいて硬化させた。硬化時間経過後、同試料をプラスチック製の再密封式サンドイッチ・バッグに入れて2週間室温下で保存した。次いで、同試料をアルミニウム鋳型から取り出し、ASTM D2240−02B、ASTM E1545−95Aおよび/あるいはE228−95により試験するか、あるいは保存のためにサンドイッチ・バッグ内に再密封した。
Figure 2007526939
本明細書に記載されるポリチオウレタン生成プロセスによりチオール・エステル組成物を触媒の存在下でジイソシアナートと反応させて多くの種類のポリチオウレタン組成物を生成した。同組成物を、表8に示す異なった原料物質、ジイソシアナート、量論比および触媒を使用して生成した。これらの異なった組み合わせにより、1200を超える種類の組成物を生成した。すなわち、表8に示す異なった原料物質、ジイソシアナート、量論比および触媒を組み合わせて1200を超える種類の組成物を生成した。同量論比はジイソシアナートに対するチオール・エステル組成物(MSO、MHSO、CMSOあるいはMCO)の活性水素(チオールおよびヒドロキシ基内の)の当量比に基づいた。例えば、ヒマシ油をJeffol(R)A−480触媒の存在下でトルエン・ジイソシアナートと量論比1.25で反応させた。他の例では、チオール・エステル組成物をDABCO触媒の存在下でメタン・ジイソシアナートと量論比0.9で反応させた。
上記のマトリックスに基づいて生成したポリチオウレタンの他に、メルカプト化ヒマシ油(MCO)から2種類のポリチオウレタンを生成した。
第一のMCO系ポリチオウレタン例では、MCOを秤量してポリエチレン製ビーカーに入れた。同MCO剤に対してLuprinateをチオール/イソシアナートモル比0.95となるように添加した。同反応混合物に対して、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)を全成分に対して0.125重量%の割合となるように添加した。同三成分系の反応混合物を木製のポプシクル棒(アイスキャンデー棒)を用いて手で撹拌した。この結果生成したプレポリマー混合物を全量鋳型に入れてプロファイルBに基づいて硬化させた。硬化時間が経過後、上記手順によりポリチオウレタン・ポリマーが生成したことが確認された。
第二のMCO系ポリチオウレタン例では、MCOを秤量してポリエチレン製ビーカーに入れた。同MCO剤に対してLuprinate M20Sをチオール/イソシアナートモル比1.00となるように添加した。同反応混合物に対して、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)を全成分に対して0.125重量%の割合となるように添加した。同三成分系の反応混合物を木製のポプシクル棒(アイスキャンデー棒)を用いて手で撹拌した。この結果生成したプレポリマー混合物を全量鋳型に入れてプロファイルBに基づいて硬化させた。硬化時間が経過後、上記手順によりポリチオウレタン・ポリマーが生成したことが確認された。
これらのポリチオウレタン組成物において、使用された原料チオエステル組成物はMSO(メルカプト化大豆油)、MHSO(メルカプトヒドロキシ大豆油)、CMSO(架橋メルカプト化大豆油)、ヒマシ油およびMCO(メルカプト化ヒマシ油)などであった。これらの組成物生成に使用されたジイソシアナートは、MDI(4,4’−メチレンビス(フェニル)ジイソシアナート)、HMDI(4,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアナート、これは水素化MDIとしても知られている)、TDI(トリレン−2、4−ジイソシアナート)、HDI(1,6ジイソシアナヘキサン、これはヘキサメチレン・ジイソシアナートとしても知られている)、およびLuprinateTM M20S(オリゴマー化MDI、BASF CorporationのポリマーMDIとも称される)などである。使用された触媒は、DABCO(ジアザビシクロオクタン−ジーターシャリーアミン)、DBTDL(ジラウリン酸ジブチルスズ、これは有機金属系の触媒である)、Jeffol(R)A−480(Huntsman Based Chemicalsのターシャリー・アミン・ポリオール)、およびBDMA(ベンジルジメチルアミン)などである。
1200超の生成ポリチオウレタン組成物から無作為に抽出した試料に対して各種性状を分析した。同結果を、図7A〜7Fでの表に示す。これらの実施例で使用した硬化プロファイルを以下に記載する。A:室温で1〜8時間、次いで65°Cで1晩、次いで95°Cで8時間硬化した;B:65°Cで1晩、次いで95°Cで24時間硬化した;そしてC:120°Cで3時間、次いで95°Cで24時間硬化した。CTE1はガラス転移温度と第一の転移温度の間の熱膨張係数のことであり、CTE2は第一の転移温度と第二の転移温度の間の熱膨張係数のことである。
肥料実施例
本発明の実施態様を以下の実施例により説明するが、これらは本発明を限定するために使用されるべきではなく、またそれを限定すると解されるべきではない。当業界での通常の熟練者は以下の肥料実施例に記載される特定の条件あるいは方法は同一あるいは同様の組成物生成のために変更できることを容易に理解されよう。別段の記載がない限り、実施例で用いられている温度は摂氏温度であり、また全ての成分の割合は重量%である。
肥料実施例では以下の物質を使用した。
Å:肥料粒子−粒状の肥料グレードの尿素(AgriumのSGN250);
B1:メルカプト化大豆油(上記のMHVOの一例)−Chevron Phillips Chemicalの「ポリメルカプタン358」、チオール系硫黄濃度:8.65%、当量:370、粘度:510cSt@21°C;
B2:メルカプトヒドロキシ大豆油(上記のMHVOの一例)−メルカプトヒドロキシ大豆油は硫化水素の遊離ラジカルをエポキシ化大豆油に付加することにより得られた;メルカプトとヒドロキシの官能性は同程度、チオール系硫黄濃度:8.335%、当量:192(メルカプトおよびヒドロキシの官能性を含む);
B3:硫黄で架橋されたメルカプト化大豆油(上記のCMVOの一例)−硫黄で架橋されたメルカプト化大豆油は元素硫黄をメルカプト化大豆油に付加することにより得られた;チオール系硫黄濃度:6.33%、当量:506;
B4:硫黄で架橋されたメルカプト化大豆油(上記のCMVOの一例)−硫黄で架橋されたメルカプト化大豆油は元素硫黄をメルカプト化大豆油に付加することにより得られた;チオール系硫黄濃度:7.64%、当量:419;
C1:BASF Canadaのイソシアナート#17(ポリマーMDI)、当量:133;
C2:ITW Devcom,Danvers,MA 01923 USAのエポキシ樹脂(5分間エポキシ樹脂)、当量:198;
D1:Chevron Phillips ChemicalのGulftene C30−HA(有機添加剤−アルファ・オレフィン・ワックス)、融点:65〜80°C;
D2:Calwax Corporationの微結晶ワックス有機添加剤(Calwax170);
E:架橋剤−Huntsman PolyuretanesのJeffol A480、当量:120、官能性:4.0、粘度:4000cSt@25°C;
F1:Huntsman Polyuretanesのアミン触媒(Exp−9);および
F2:アミン触媒:1,8−ジアザビシクロ「5,4,0」−7−ウンデセン(DBU),CAS#6674−22−2。
肥料実施例1〜6
一連のCFR物質を下記の方法に従って表4に示すフォーミュレーションに基づいて生成した。各肥料実施例でコーティングされた肥料粒子(A)の量は1000gであった。
ステンレス鋼製のコーティング・ドラム(直径:12インチ、深さ:6インチ)には各々中央部に8インチ径の開口部を有する裏板と表板が内蔵されていた。同ドラムには、4個の同一ピッチで配置された軸方向に延びるバッフル(各々約1/2インチ高)が装備され、また変速駆動機に連結されこれにより18rpmの速度で回転するようにセットされた。
同ドラムおよびその内容物は、運転期間中には変速電気式加熱銃により約70°Cに維持された。同コーティング材成分は、個々の自動マクロピペットにより添加された。同ピペットは単一操作で各成分の1/3を添加する能力を有していた。換言すれば、コーティングは3コーティング層を形成するように実施された。合計の同コーティング層重量は表4に示されている。肥料実施例#2、3および6では、3コーティング層の上に更にワックスのオーバーコートを塗布した。同コーティング操作終了時には、室温の空気を同ドラム内に吹き込むことにより同ドラムおよびその内容物を40°Cに冷却した。同内容物を抜き出した後、プラスチック製バッグ内に保存した。
肥料実施例で生成した各製品の機械的取り扱い耐久性を評価するために塗装シェーカー試験を実施した。同「塗装シェーカー・シミュレーション」試験は、制御された様式で肥料を放出するコーティング層の損傷をシミュレートするために下記の方法に従って塗装シェーカー機を用いて実施した。
最初に、ゆっくりと放出される肥料の200gを蓋付きの金属性カン(直径:6インチ、深さ:5.5インチ)に入れる。次いで、8個の溝付頭を有するマシン・ボルト(1/4インチ×1/4インチ)と8個の角頭ナット(1/4インチ)を同カンに入れる。ゆっくりと放出される肥料、ナットおよびボルトが入れられた同カンを塗装コンディショナー/シェーカー(Red Devilの1/4H.P.モデル)内に固定する。試験試料を塗装シェーカー内で730サイクル/分の頻度で6分間強くシェークしてコンディションする。運転時間は電子式タイマー(Gralabのモデル451)により制御する(同タイマーは決められた時間が経過すれば自動的に同塗装シェーカーを停止する)。同塗装シェーカーのサイクルが終了すれば、同カンを取り出して、内容物を3−1/2メッシュ・スクリーンを通過させて同ナットおよびボルトを取り除く。同ゆっくりと放出される肥料をパン内に回収して、放出速度分析のために試料バッグに戻す。
同塗装シェーカーでのシミュレーション効果と損傷度合いを関連付ける比較試験をいくつかの商業規模の肥料ブレンダーを用いて実施していた。同塗装シェーカーの運転時間とボルトおよびナットの必要個数を比較試験結果に基づいて決める。これらの運転パラメーターを本発明の取り扱い試験のためにプリセットすることにより、同商業規模の肥料ブレンダー内での損傷度合いを適切にシミュレートできる。
次いで、塗装シェーカー・シミュレーション試験前後の同ゆっくりと放出される肥料の水放出プロファイルを求めた。同分析では、TechniconのAutoAnalyzerTMを「尿素およびアンモニア性窒素の自動分析(ミズリー大学、1980年)」の記載事項に基づいて較正した。同分析は下記の手順で実施した。
1.精秤した15g(±0.1mg)試料を計量皿に入れ、同試料を計量する。次いで、同試料を三角フラスコに移す。
2.75mLの脱塩水を添加し、フラスコを封じる。
3.全肥料粒子が沈降するまで同試料と水を穏やかに撹拌する。
4.一定温度下(典型的には室温)で同試料を決められた期間静置する。
5.同フラスコを穏やかにシェークして、溶液のみを100mLの容量分析フラスコに移す。
6.同容量分析フラスコに脱塩水を添加して同試料をリンスする。
7.容量計量後、同容量分析フラスコ内容物を完全に混合する。
8.同試験をもう一度繰り返す場合には、ステップ2から始める。
9.TechniconのAutoAnalyzer IIをオンライン設置したならば、同溶液の一部(必要に応じて必要程度希釈する)を同分析器の試料カップに移して分析する。
10.結果のN−NH濃度をppm単位で記録する(島津の積算器で直接的に読み取る)。
肥料実施例1〜3で生成したCRF材料の水放出性能を図8に示す。各々のケースについて、同水放出性能は塗装シェーカーを用いた取り扱い試験前後の値である。肥料実施例4〜6で生成したCRF材料の水放出性能を図9に示す。各々のケースについて、同水放出性能は塗装シェーカーを用いた取り扱い試験前後の値である。
図7および8に示される結果は、望ましいゆっくりと放出する性状を有するCFR材料を与えるポリチオウレタン・コーティング材がメルカプト化大豆油を用いて生成できることを示している。更にこれらの結果は、放出性能は有機添加剤(例えばワックス)の選択により制御できることも示している。
肥料実施例7〜10
一連のCFR材料を上記の肥料実施例1〜6で用いた方法と表5に示すフォーミュレーションにより生成し試験した。
肥料実施例7〜10で生成したCRF材料の水放出性能を図9に示す。各々のケースについて、同水放出性能は塗装シェーカーを用いた取り扱い試験前後の値である。
図9に示される結果は、望ましいゆっくりと放出する性状を有するCFR材料を与えるポリチオウレタン・コーティング材が硫黄で架橋されたメルカプト化大豆油を用いて生成できることを示している。更にこれらの結果は、放出速度を低下するために架橋剤をコーティング・フォーミュレーションに添加できることも示している。
肥料実施例11〜14
一連のCFR材料を上記の肥料実施例1〜6で用いた方法と表6に示すフォーミュレーションにより生成し試験した。
肥料実施例11〜14で生成したCRF材料の水放出性能を図10に示す。各々のケースについて、同水放出性能は塗装シェーカーを用いた取り扱い試験前後の値である。
図10に示される結果は、望ましいゆっくりと放出する性状を有するCFR材料を与えるポリチオウレタン・コーティング材がメルカプトヒドロキシ大豆油を用いて生成できることを示している。更にこれらの結果は、望ましいゆっくりと放出する性状を有するCFR材料を生成するために、ポリチオウレタン・コーティング材がメルカプト化大豆油とメルカプトヒドロキシ大豆油の混合物を用いて生成できることも示している。
肥料実施例15〜17
一連のCFR材料を上記の肥料実施例1〜6で用いた方法と表7に示すフォーミュレーションにより生成し試験した。
肥料実施例15〜17で生成したCRF材料の水放出性能を図11に示す。各々のケースについて、同水放出性能は塗装シェーカーを用いた取り扱い試験前後の値である。
図11に示される結果は、望ましいゆっくりと放出する性状を有するCFR材料を生成するために、エポキシ・ポリマーのコーティング材がメルカプトヒドロキシ大豆油を用いて生成できることを示している。
本発明は説明用の実施態様および実施例により説明してきたが、これらの記載事項は本発明の限定を意図したものではない。上記の説明用の実施態様および本発明の他の実施態様の各種の変更は、本明細書を読んだ当業界の熟練者にとっては明らかであろう。従って、本明細書に記載される特許請求の範囲はこのような変更あるいは実施態様のどのようなものも包含すると解される。
本明細書内に引用された全ての出版物、特許および特許出願は全面的に本明細書内に参照されている。その全面的な度合いは、これらの各々の出版物、特許および特許出願があたかもそれらが特定的かつ個々にそっくりそのまま本明細書内に記載されたと同様である。
分析
チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルの分析
チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステル、架橋チオール含有エステル、不飽和エステルおよびエポキシ化不飽和エステルの特定の態様は特定の分析技術により分析した。チオール系硫黄濃度はASTM D3227試験法に準拠した硝酸銀滴定法あるいはラマン分光分析により求めた。炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比、および環状硫化物/チオール基のモル比は、チオール含有エステルあるいはヒドロキシ・チオール含有エステルの側鎖の13C NMRおよび/あるいはGC分析により求めた。
ラマン分光分析によるチオール系硫黄濃度の測定
チオール系硫黄濃度はASTM D3227試験法に準拠した硝酸銀滴定法およびラマン分光分析の両方により求めた。ラマン分光分析は、チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのラマン・スペクトラを測定し、同スペクトラを既知の量のチオール基を含有する既知のチオール化合物の較正基準と比較することにより実施される。一般的には、較正基準のチオール化合物は分析されるチオール含有エステルと同様な構造を有する。
同チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのチオール濃度は、これらのラマン・スペクトラを較正基準と比較することにより求めた。ここで、同較正基準は、メルカプタン化オレイン酸メチルを既知のチオール系硫黄濃度まで大豆油で希釈することにより調整した。同チオール系硫黄の較正基準は、メルカプタン化オレイン酸メチルを複数の既知のチオール系硫黄濃度まで大豆油で希釈することにより調整した。
同較正基準ならびにチオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのラマン・スペクトラはKaiser Hololab 5000 プロセス・ラマン分光分析器および785 nmのレーザーを用いて測定した。同チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルならびに較正基準のラマン・スペクトラは4個の10秒間走査データを集め、これらをHoloreactのソフトウエアで処理することにより求めた。次いで、同チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのチオール系硫黄濃度をチオールのSHピーク(中心点:2575cm−1、ピーク幅:2500〜2650cm−1)とC=Oピーク(中心点:1745cm−1、ピーク幅:1700〜1800cm−1)のピーク面積比を用い、これらを較正基準のピーク面積比と比較し、同チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのチオール系硫黄濃度を内挿することにより計算した。ラマン分光分析により求めたチオール系硫黄濃度の再現性は、3.1〜10.6重量%のチオール系硫黄を含有する5試料を2ヶ月間測定した結果、標準偏差は0.05〜0.1、%RSDは0.6〜1.5であった。
チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのチオール系硫黄濃度を求めるためのラマン分光分析技術は、大豆油から得られたチオール含有エステルを用いて説明した。しかしながら、当業界の熟練者はラマン分光分析技術を本明細書に記載される他の種類のチオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルのチオール系硫黄濃度を求めるために使用したり適用することができるのを理解されよう。
13C NMRによるC=C/チオール基および環状硫化物基/チオール基のモル比の測定
炭素−炭素二重結合/チオール基および環状硫化物基/チオール基のモル比を13C NMRにより求めた。チオール含有エステルの13C NMRスペクトラをVarian Mercury INOVA400 NMR、Varian Mercury Plus NMR あるいは同等の分光分析器(75.5MHzの13C NMR)により得た。環状硫化物、チオール基HS−Cおよび炭素−炭素二重結合内の炭素のピーク面積を下記に示す13C NMR領域について求めた:
Figure 2007526939
チオール含有エステルの環状硫化物基/チオール基のモル比は、同環状硫化物炭素原子の13C NMRピーク面積を2で割り(環状硫化物基内に2個の炭素原子が存在するので)、同商をチオール基HS−C炭素原子の13C NMRピーク面積で割ることにより計算した。チオール含有エステルの炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比は、C=C炭素原子の13C NMRピーク面積を2で割り(炭素−炭素二重結合内に2個の炭素原子が存在するので)、同商をチオール基HS−C炭素原子の13C NMRピーク面積で割ることにより計算した。大豆油および本明細書に記載されるプロセスにより大豆油から生成されたチオール含有エステルに関するオフセット試料の13C NMRスペクトラを図1に示す。
不飽和エステル分子当りの炭素−炭素二重結合の平均個数は、カーボニル基あるいはC−Oエステル基のいずれかの炭素原子13C NMRピーク面積と炭素−炭素二重結合の13C NMRピーク面積を用いた同様の方法により求めることができる。
不飽和エステルおよび不飽和エステルから生成されたチオール含有エステルのNMR技術による分析は、大豆油および大豆油から生成されたチオール含有エステルに対する13C NMRによって説明した。しかしながら、当業界の熟練者はH NMRあるいは13C NMR分析技術を不飽和エステルおよび本明細書に記載される不飽和エステルから生成されるチオール含有エステルの分析のために使用したり適用することができるのを理解されよう。
13C あるいはH NMRによるエポキシド基/チオール基のモル比の測定
エポキシド基/チオール基のモル比をH あるいは13C NMRにより求めた。ヒドロキシ・チオール含有エステルのH あるいは13C NMRスペクトラをVarian Mercury INOVA400 NMR、Varian Mercury Plus NMR あるいは同等の分光分析器(H NMR:300MHz、13C NMR:75.5MHzの)により得た。エポキシド基および環状硫化物基のピーク面積を下記に示す13C あるいはH NMR領域について求めた:
Figure 2007526939
ヒドロキシ・チオール含有エステルのエポキシド基/チオール基のモル比は、同エポキシド基炭素原子のH NMRピーク面積を2で割り(エポキシド基炭素原子には2個の水素原子が結合しているので)、同商をチオール基HS−C炭素原子に結合した水素原子のC NMRピーク面積で割ることにより計算した。ヒドロキシ・チオール含有エステルのエポキシド基/チオール基のモル比は、同様にして13H NMRピーク面積を用いて計算した。
エポキシ化不飽和エステル分子当りのエポキシド基の平均個数は、カーボニル基あるいはC−Oエステル基のいずれかの炭素原子13C NMRピーク面積とエポキシド基の13C NMRピーク面積を用いた同様の方法により求めることができる。エポキシ化大豆油およびエポキシ化大豆油から生成されたチオール含有エステル試料のH NMRスペクトラを図2に示す。
エポキシ化不飽和エステル(ヒドロキシ・チオール含有不飽和エステル)およびエポキシ化不飽和エステルから生成されたチオール含有エステルのNMR技術による分析は、エポキシ化大豆油およびエポキシ化大豆油から生成されたチオール含有エステルに対するH NMRによって説明した。しかしながら、当業界の熟練者はH NMRあるいは13C NMR分析技術をエポキシ化不飽和エステルおよび本明細書に記載されるエポキシ化不飽和エステルから生成されるチオール含有エステルの分析のために使用したり適用することができるのを理解されよう。
メタノリシスによる不飽和エステル、エポキシ化不飽和エステル、チオール含有エステルヒドロキシ・チオール含有エステルの分析
不飽和エステル、エポキシ化不飽和エステル、チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルの多くの性状は、これらの複合エステル分子を各々のポリオールおよびカルボン酸メチル・エステル成分に転化することにより求めた、あるいは求めることができる。同転化処理を受けたエステルは次いでガスクロマトグラフィ(GC)および/あるいはガスクロマトグラフィ/質量分光分析(GCMS)により分析して同複合エステルの側鎖の組成を求める。カルボン酸メチル・エステルのメタノリシス、次いでGCあるいはGCMSにより求める(あるいは求められる)性状は、チオール基含有側鎖の個数、チオール基硫黄の割合、エステル分子当りの二重結合の個数(あるいは平均個数)、エステル側鎖分子量分布(あるいは平均分子量)、エステル分子当りのエポキシド基の個数(あるいは平均個数)、環状硫化物/チオール基のモル比、炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比、およびエポキシド基/チオール基のモル比などがある。
メタノリシス処理を受ける物質にも依るが、本明細書に記載される実験で言及された不飽和エステル、エポキシ化エステル、チオール含有エステルおよびヒドロキシ・チオール含有エステルの処理に使用されたメタノリシス手順には2種類ある。
不飽和エステルおよび不飽和エステルから生成されたチオール含有エステルは塩化水素を用いるメタノリシス手順で処理された。同塩化水素を用いるメタノリシス手順では、50〜100mgの同チオール含有エステルを3mLの3N HClメタノール溶液に接触させて50°Cの温度下で2時間反応させる。次いで同溶液を冷却し、希重炭酸ナトリウム溶液により中和する。次いで同溶液の有機成分をエチル・エーテルにより抽出し、GCおよび/あるいはGCMSで分析する。塩化水素のメタノール溶液を用いるメタノリシス手順の追加的な詳細については、SpelcoによるHClメタノール溶液(0.5Nおよび3N)の製品仕様書シートに記載されている。
エポキシ化不飽和エステルおよびエポキシ化不飽和エステルから生成されたヒドロキシ・チオール含有エステルはナトリウム・メトキシドを用いるメタノリシス手順で処理された。同ナトリウム・メトキシドを用いるメタノリシス手順は米国特許3,991,089に開示される手順に基づいた。同ナトリウム・メトキシドを用いるメタノリシス手順では、約1gの同エステルを5.0mLの25%ナトリウム・メトキシドのメタノール溶液および10mLのメタノールと共に50mLの容器に入れた。同混合物を室温で約1時間振とうさせた。この期間中に同溶液は単一相化した。同混合物を25mLの蒸留水中に注いだ。ジエチル・エーテル(25mL)を同溶液に添加し、次いで同溶液を0.5NのHClでpH約5まで酸性化した。生じた有機層を分液漏斗により水性層から分離した。同有機層を蒸留水(15mL)および引き続き塩水(15mL)で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。同硫酸マグネシウムをろ過により有機溶液から分離し、同溶剤をロータリー・エバポレーターにより蒸発除去した。
次いで、いずれかのメタノリシス手順により処理された生成物をGCおよび/あるいはGCMSにより分析した。同GCあるいはGCMS分析条件を以下に示す。
Figure 2007526939

Figure 2007526939
表10は上記メタノリシス手順により処理されGC/MS分析(HP−5 30m×0.32mm id×0.25μm フィルム厚さのGCカラム使用)された大豆油のGC/MSトレースに関するGC/MSトレース・ピークの割り当てを示す。
Figure 2007526939
図3にメルカプト化大豆油のGC/MSトレースを示す。同大豆油はメタノリシス手順により処理されGC/MS分析された(HP−5 30m×0.32mm id×0.25μm フィルム厚さのGCカラム使用)。表11にGC/MSトレース・ピークの割り当てを示す。
Figure 2007526939
図4にエポキシ化大豆油のGC/MSトレースを示す。同大豆油はメタノリシス手順により処理されGC/MS分析された(HP−5 30m×0.32mm id×0.25μm フィルム厚さのGCカラム使用)。表12にGC/MSトレース・ピークの割り当てを示す。
Figure 2007526939
図5に硫化水素に接触したエポキシ化大豆油(ヒドロキシ・チオール含有エステル)のGC/MSトレースを示す。同大豆油はメタノリシス手順により処理されGC/MS分析された(HP−5 30m×0.32mm id×0.25μm フィルム厚さのGCカラム使用)。表13にGC/MSトレース・ピークの割り当てを示す。
Figure 2007526939
メタノリシスおよびGC/MS分析の手順を大豆油ならびにエポキシ化大豆油およびチオール含有エステル生成物(各々大豆油およびエポキシ化大豆油から生成される)を用いて説明した。しかしながら、当業界の熟練者は他の不飽和エステルならびにエポキシ化不飽和エステルおよびチオール含有エステル生成物(各々本明細書に記載される不飽和エステルおよびエポキシ化不飽和エステルから生成される)の分析のために同手順を使用したり適用することができるのを理解されよう。
ポリチオウレタンの分析
同チオール含有エステル、ヒドロキシ・チオール含有エステルおよび架橋チオール含有エステルから生成されるポリチオウレタンは、ASTM E−1545−95AおよびE228−95に従ってガラス転移温度および熱膨張係数を測定した。同ポリチオウレタンのショア硬さはASTM D2240−02Aに従って測定した。更に、同ポリチオウレタンは、硬さ、可撓性、ゴム性、剛性、靭性、脆性およびその他の性状で分類するために主観的な方法で分析した。
Figure 2007526939
Figure 2007526939
Figure 2007526939
Figure 2007526939
本発明の実施態様は、本明細書に記載される肥料関連の使用に加えて、他の多くの適用に対しても有用である。例えば、本発明の実施態様は各種のポリマーへの適用に有用である。これらのポリマーの比限定的な例として以下が挙げられる:ポリチオウレタン;発泡体;粘着剤;エポキシ硬化剤;、塗料およびポリエステル樹脂のためのポリアクリレートおよびポリメタアクリレートの型板;印刷インキのバインダー・ポリマー、アルキド樹脂架橋剤;硫黄系塗料型板;照射硬化型ポリマー、採鉱および掘削用化成品;特殊な連鎖移動剤;ゴム改質剤;等々。原料物質は経済的かつ容易に入手可能であるので、本発明の実施態様は上記の適用およびその他に対して有用と考えられる。
本発明は、いくつかの好ましい実施態様を参照しつつ説明された。しかしながら、これらに対する自明の変更は当業界の熟練者には明らかであろうから、本発明は上記実施態様に限定されない。
図1は2種類のグラフを載せており、大豆油のNMR測定結果(上図)と大豆油から本発明の実施態様に従って生成したチオール含有エステルの同測定結果(下図)を比較している。 図2は2種類のグラフを載せており、エポキシ化大豆油のNMR測定結果(上図)とエポキシ化大豆油から本発明の実施態様に従って生成したチオール含有エステルの同測定結果(下図)を比較している。 図3は大豆油から本発明の実施態様に従って生成し更にメタノリシス処理したチオール含有エステルのガスクロマトグラフ(GC)/質量分光計(MS)のトレースを示している。 図4はメタノリシス処理したエポキシ化大豆油のGC/MSのトレースを示している。 図5はエポキシ化大豆油から本発明の実施態様に従って生成し更にメタノリシス処理したヒドロキシ・チオール含有エステルのGC/MSのトレースを示している。 図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。 図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。 図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。 図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。 図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。 図6A〜6Fは、本発明の実施態様に従って生成した多くのポリチオウレタン組成物の物理性状を示す表である。 図7は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例1〜3で生成したCRF材料の水放出性能を示している。 図8は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例4〜6で生成したCRF材料の水放出性能を示している。 図9は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例7〜10で生成したCRF材料の水放出性能を示している。 図10は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例11〜14で生成したCRF材料の水放出性能を示している。 図11は、本発明の一実施態様に従って肥料実施例15〜17で生成したCRF材料の水放出性能を示している。

Claims (82)

  1. 分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個のチオール基を有し、環状硫化物/チオール基のモル比が1.5未満であるチオール・エステル分子を含有するチオール・エステル組成物。
  2. 該チオール・エステル分子での環状硫化物/チオール基のモル比が0〜1.0の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  3. 該チオール・エステル分子が分子当り平均して1.5〜9個のチオール基を有することを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  4. 該チオール・エステル分子での炭素−炭素二重結合/チオール基のモル比が1.5未満であることを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  5. 該チオール・エステル分子が平均して2重量%を超えるチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  6. 該チオール・エステル分子が平均して8〜10重量%のチオール系硫黄を有することを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  7. 該チオール・エステル分子が平均して30分子%未満の環状硫化物として存在する全硫黄分を含有することを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  8. 該チオール・エステル分子が平均して10分子%未満の環状硫化物として存在する全硫黄分を含有することを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  9. 該チオール・エステル分子での全側鎖の40%超が硫黄を含有することを特徴とする請求項1に記載のチオール・エステル組成物。
  10. 以下の工程:
    a)硫化水素を分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和エステル分子を含有する不飽和エステル組成物と接触させる工程、および
    b)同硫化水素と不飽和エステル組成物を反応させて、環状硫化物/チオール基のモル比が1.5未満のチオール・エステル分子を含有するチオール・エステル組成物を生成する工程
    を包含するチオール・エステル組成物を生成するプロセス。
  11. 該不飽和エステル組成物が天然資源油を含有することを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  12. 該不飽和エステル組成物が大豆油を含有することを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  13. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は溶剤の存在下で実施されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  14. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は実質的に溶剤が存在しない状態で実施されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  15. 該チオール・エステル分子での硫化水素/炭素−炭素二重結合のモル比が2を超えることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  16. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は不均一系あるいは均一系の触媒の存在下で実施されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  17. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程が遊離ラジカル系反応開始剤あるいは紫外線照射により開始されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  18. 該チオール・エステル組成物が平均して5重量%を超えるチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  19. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程が−20°Cを超える温度下で実施されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  20. 該チオール・エステル分子での全側鎖の40%超が硫黄を含有することを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  21. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程が連続式であり、溶剤が存在しない状態で−20°Cを超える温度下で紫外線照射により開始されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
  22. 以下の工程:
    a)硫化水素を分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和エステル分子を含有する不飽和エステル組成物と接触させる工程、および
    b)同硫化水素と不飽和エステル組成物を実質的に溶剤が存在しない状態で反応させて、チオール・エステル分子を含有するチオール・エステル組成物を生成する工程
    を包含するチオール・エステル組成物を生成するプロセス。
  23. 該不飽和エステル組成物が天然資源油を含有することを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  24. 該不飽和エステル組成物が大豆油を含有することを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  25. 該チオール・エステル分子での環状硫化物/チオール基のモル比が1.5未満であることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  26. 該チオール・エステル分子での硫化水素炭素−炭素二重結合のモル比が1を超えることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  27. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程は不均一系あるいは均一系の触媒の存在下で実施されることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  28. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程が遊離ラジカル系反応開始剤あるいは紫外線照射により開始されることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  29. 該チオール・エステル組成物が平均して5重量%を超えるチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  30. 該硫化水素と不飽和エステルを反応させる工程が−20°Cを超える温度下で実施されることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  31. 該チオール・エステル分子での全側鎖の40%超が硫黄を含有することを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  32. 以下の工程:
    a)ポリオール組成物をチオール・カルボン酸組成物と接触させる工程、および
    b)同ポリオール組成物をチオール・カルボン酸組成物と反応させて、分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個のチオール基を有するチオール・エステル分子を含有するチオール・エステル組成物を生成する工程
    を包含するチオール・エステル組成物を生成するプロセス。
  33. 分子当り平均して少なくとも1.5個のエステル基と平均して少なくとも1.5個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有するヒドロキシ・チオール・エステル組成物。
  34. 該チオール・エステル分子が平均して1.5〜9個のα−ヒドロキシ・チオール基を有することを特徴とする請求項33に記載の組成物。
  35. 該チオール・エステル分子が平均して2.5重量%を超えるチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項33に記載の組成物。
  36. 該チオール・エステル分子が平均して8〜10重量%のチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項33に記載の組成物。
  37. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子でのエポキシド基/α−ヒドロキシ・チオール基のモル比が2未満であることを特徴とする請求項33に記載の組成物。
  38. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子での全側鎖の40%超が硫黄を含有することを特徴とする請求項33に記載の組成物。
  39. 該組成物が実質的にエポキシド基を含有しないことを特徴とする請求項33に記載の組成物。
  40. 分子当り平均して少なくとも1個のエステル基、平均して少なくとも1個のチオール基および平均して少なくとも1個のアルコール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有するヒドロキシ・チオール・エステル組成物。
  41. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子が平均して1.5〜9個のチオール基を有することを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  42. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子が平均して1.5〜9個のアルコール基を有することを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  43. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子が平均して2.5重量%を超えるチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  44. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子が平均して8〜10重量%のチオール系硫黄を含有することを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  45. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子でのエポキシド基/チオール基のモル比が2未満であることを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  46. 該ヒドロキシ・チオール・エステル分子での全側鎖の40%超が硫黄を含有することを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  47. 該組成物が実質的にエポキシド基を含有しないことを特徴とする請求項40に記載の組成物。
  48. 以下の工程:
    a)硫化水素を分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のエポキシド基を有するエポキシ化不飽和エステル分子を含有するエポキシ化不飽和エステル組成物と接触させる工程、および
    b)同硫化水素とエポキシ化不飽和エステル組成物を反応させて、ヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する工程
    を包含するヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成するプロセス。
  49. 該エポキシ化不飽和エステル組成物がエポキシ化天然資源油を含有することを特徴とする請求項48に記載のプロセス。
  50. 該エポキシ化不飽和エステル組成物がエポキシ化大豆油を含有することを特徴とする請求項48に記載のプロセス。
  51. 該エポキシ化不飽和エステルでの硫化水素/エポキシド基のモル比が1を超えることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
  52. 該硫化水素とエポキシ化不飽和エステルを反応させる工程は触媒の存在下で実施されることを特徴とする請求項48に記載のプロセス。
  53. 該ヒドロキシ・チオール・エステル組成物が平均して5重量%を超えるチオール系硫黄を含有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有することを特徴とする請求項48に記載のプロセス。
  54. 該ヒドロキシ・チオール・エステル組成物が平均して8〜10重量%のチオール系硫黄を含有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有することを特徴とする請求項48に記載のプロセス。
  55. 該ヒドロキシ・チオール・エステル組成物が全側鎖の40%超が硫黄を含有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有することを特徴とする請求項48に記載のプロセス。
  56. 以下の工程:
    a)ポリオール組成物をヒドロキシ・チオール・カルボン酸組成物と接触させる工程、および
    b)同ポリオール組成物をヒドロキシ・チオールカルボン酸組成物と反応させて、分子当り平均して少なくとも1個のエステル基と平均して少なくとも1個のα−ヒドロキシ・チオール基を有するヒドロキシ・チオール・エステル分子を含有するヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成する工程
    を包含するヒドロキシ・チオール・エステル組成物を生成するプロセス。
  57. −S−(ここでQは1超の数値)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーにより形成されるチオール・エステル・オリゴマーを含有する架橋チオール・エステル組成物。
  58. 該チオール・エステル・オリゴマーが多硫化物連鎖によって連結された少なくとも3個のチオール・エステル・モノマーを含有することを特徴とする請求項57に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  59. 該チオール・エステル・オリゴマーが多硫化物連鎖によって連結された3〜20個のチオール・エステル・モノマーを含有することを特徴とする請求項57に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  60. 該架橋チオール・エステル組成物がチオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの両方を含有することを特徴とする請求項57に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  61. 該チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの合計のチオール系硫黄の濃度が0.5〜8重量%であることを特徴とする請求項60に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  62. 該チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーを合わせた平均分子量が2,000を超えることを特徴とする請求項60に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  63. 該チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの平均分子量が2,000〜20,000であることを特徴とする請求項60に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  64. 該チオール・エステル・モノマーとチオール・エステル・オリゴマーの全硫黄濃度が8〜15重量%であることを特徴とする請求項60に記載の架橋チオール・エステル組成物。
  65. 以下の工程:
    a)チオール組成物を酸化剤と接触させる工程、および
    b)同チオール組成物を酸化剤と反応させて、−S−(ここでQは1超の数値)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーを含有するチオール・エステル・オリゴマーを生成する工程
    を包含する架橋チオール・エステル組成物を生成するプロセスによって生成された架橋チオール・エステル組成物。
  66. 以下の工程:
    a)チオール組成物を酸化剤と接触させる工程、および
    b)同チオール組成物を酸化剤と反応させて、−S−(ここでQは1超の数値)構造を有する多硫化物連鎖によって連結された少なくとも2個のチオール・エステル・モノマーを含有するチオール・エステル・オリゴマーを生成する工程
    を包含する架橋チオール・エステル組成物を生成するプロセス。
  67. 該酸化剤が元素硫黄、酸素あるいは過酸化水素であることを特徴とする請求項66に記載のプロセス。
  68. 該酸化剤が元素硫黄であることを特徴とする請求項66に記載のプロセス。
  69. 該チオール・エステルがヒドロキシ・チオール・エステルであることを特徴とする請求項66に記載のプロセス。
  70. 該チオール・エステルでの元素硫黄/チオール・エステル内チオール系硫黄の重量比は0.5〜32であることを特徴とする請求項66に記載のプロセス。
  71. 該チオール・エステルと酸化剤を反応させる工程は、25〜150°Cの温度下で実施することを特徴とする請求項66に記載のプロセス。
  72. 残留硫化水素を生成された該架橋チオール・エステル組成物からストリッピングによりを除去することを特徴とする請求項66に記載のプロセス。
  73. 該チオール・エステルと元素硫黄の反応は触媒の存在下で実施することを特徴とする請求項68に記載のプロセス。
  74. 該触媒がアミンであることを特徴とする請求項73に記載のプロセス。
  75. すべてのまたは一部の水、酸プロトンを減らすことを包含する、又は、クロム含有化合物を含む組成物からも、
    クロム含有化合物を含むオレフィンのオリゴマー化に使用するための触媒の製造方法。
  76. クロム含有化合物を、非ハロゲン金属アルキルと接触させる、請求項75に記載の方法。
  77. 非ハロゲン金属アルキルがトリエチルアルミニウムである、請求項76に記載の方法。
  78. クロム含有化合物を溶媒と接触させて溶液を形成させ、該溶液を共沸蒸留にかける、請求項75に記載の方法。
  79. 溶媒が、芳香族化合物、ハロゲン化物、パラフィン、又はそれらの混合物を含む、請求項78に記載の方法。
  80. 溶媒が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、混合キシレン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、又はそれらの混合物を含む芳香族化合物である、請求項78に記載の方法。
  81. クロム含有化合物を吸収剤と接触させて水を除去する、請求項75に記載の方法。
  82. 吸収剤が、3−オングストローム分子篩、5−オングストローム分子篩、アルミナ、シリカ、又はそれらの混合物を含む、請求項81に記載の方法。
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