JP2007515689A - 交互の多層スタックを持つ2次元回折格子ネットワーク、その製法そしてそれらのネットワークを備える分光器 - Google Patents

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Abstract

本発明は多色性のもしくは準単色性の光束を分散するための2次元回折ネットワークに係るものであって、表面(3)を有する基板(2)と、基板の厚み方向で周期dの薄い二周期性層の第1のスタック(5)と第2のスタック(6)とを含んでいる。これらのスタックは少なくとも10周期を含んでいて、各周期は少なくとも2つの異なる材料(7,8)の層から形成され、前記のスタック(5,6)は幅p/2の、相互に平行な連続ライン(11)を形成し、これらのラインは基板(2)の表面に平行な方向に沿って周期pで規則的に反復している。前記の第2のスタック(6)は前記の第1のスタック(5)と交互に幅d/2だけずれている。前記のスタック(5,6)は基板(2)が支える厚い格子(9)を形成している。本発明に従って、前記の厚い格子(9)はせいぜいd/2に等しい幅の薄い表面格子(10)を上に配している、同じ基本メッシュの2倍周期の反復により形成されている。

Description

本発明は多色性もしくは準単色性の光束を分散するための2次元回折格子とそれの製法とそれらの格子を含むモノクロメーターと分光器とに係るものである。
2次元格子とは基板の表面方向とこの表面に垂直な方向に沿って同時に広がる格子を言う。
赤外線、可視光線、紫外線そして光子エネルギーが2000eVを越えないX線領域まで反射による格子を従来から利用している。様々な材料(シリコン、石英・…)でつくられた短波長用格子は一般に層板状断面、すなわちせいぜい矩形ストローブに近いプロフイルを持っている。このプロフイルは、精確に磨いた表面をフォトリソグラフィ・マスクを介して化学侵食もしくはイオン衝撃することによりつくられる。この作りかたこそが最高のプロフイルの均整と最高に厳密な彫りの側面とを削り出し、その結果不要の拡散光を排して回折光について最高の性能を発揮させるのである。回折格子は(正もしくは負)の多くのオーダーで光を回折させてしまうと言う欠点を持っている。反復比(cyclic ratio)、窪み/周期を思慮深く選択することにより偶数の次数もしくはオーダーの強度を減らせる。所与のオーダーにおける最大効率は、ストローブの上方部分により回折された光とそれの下方部分により回折された光とが同相となる、すなわち、
Figure 2007515689
(ここで入射角αと回折角αとは回折格子の表面の面に対して決められる)とき得られる。これらの角度は入視射角もしくは視射角と考えられる。
格子の表面は高密度材料、例えばプラチナもしくは金の薄い層で覆われている。X線の領域でのその材料の光学的インデックス1に対し偏りが非常に小さいのでこれらの膜層は、光の非常なすれすれ入射に対してだけ所要の反射特性を、それも弱く呈するだけで、そのため光子のエネルギーは高い。
さらに、モノクロメーターもしくはスペクトロメーターでは、波長は格子への光の入射角により選択される。入視射角に制限されていることが、その波長範囲内で同じ格子を使える波長範囲を狭くする。さらに、「シャドーイング」効果が回折効率をかなり減少させる。これらの「シャドーイング」効果は、格子表面のある部分が入射光を直接受けることができないか、もしくは有用なオーダーの方向に沿って直接放出しないと言う事実から生じてくる。
基板の表面の位置に対してこれらの格子のパラメーターを次第に変えていくことも有用なやり方である。最も多く行っているのは基板表面の周期(ヘトリック エム等;アプライド・オプテイックス;10月23日(1983)3921、ヘトリック エム;アプライド・オプテイックス22(1984)3221)、又基板表面のラインの深さ(フランクス エイ、米国3980883)を次第に変えている。
格子の回折効率を高めるため小さいブレーズ角スケールで格子を使うことが知られている。格子の各ファセットにより光が優位偏光方位に沿って反射され、それにより特定のオーダーにおける回折効率を増強する。それが「ブレーズ」角である。しかしながら、反射率がラメラー格子の角度範囲と同じ角度範囲へ偏向を制限する。しかし、ブレーズ角は小さいままである。keVオーダーの光子エネルギーに対してファセットの角度は1°に近く、そのことがそのようなブレーズド格子の製作を非常に困難なものとする。
多層スタックで被膜した食刻もしくはエングレーブド格子は、前に説明した基板につくった食刻格子であり、その上には薄層のスタックから形成した反射トリートメントを沈着している。高密度要素(高いインデックス)の薄い層と別の低密度要素(低いインデックス)の薄い層とを交互に基板に沈着させてスタックとする。そのような反射膜層の動作原理は可視範囲に対しての多誘電性スタックのそれと同じであって、非常に多数の層の内側への光浸透と次式の位相条件が満足されるときの各インターフエースの協働とに基づいている。
Figure 2007515689
、ここでeは層の厚みであり、αは光のインターフエース上での入視射角であり、λは光の波長である。
米国特許4,915,463(バービー、ティ.ダブリュ.,ジュニアー)(図1)は周期dのラメラー格子から成る反射による回折格子を説明しており、二つの異なる材料の交互の層のスタックである周期dの一組の合成多重層から成る。スタックの周期dと格子のステップの食刻の深さHとがこのタイプの格子に対し満足しなければならない関係は次式の通りである。
Figure 2007515689
、ここでδはスタックの平均インデックスの1に対する偏差であり、Aは入視射角、kはランダムな整数であり、そしてmはブラグのオーダーであって、多層格子を使用している。
しかしながら、ここではH/dの比が高いと言うことを暗に考えている。この式(1)の補正項は、平均インデックス1dの多層内を伝播する光と真空を伝播する光とが所与の深さで同相ではないと言う事実から導出される。この式(1)に至る考えは、垂直に極めて近く入射するときに使用される小さい分散格子に対してのみ有効である単純化を表わしている。
ハインツマン ユ(ジャーナル オブ フイジークIII、4巻、9号、1625−1637頁;01/09/1994)は、食刻の深さと多層の周期との間の関係が様々なオーダーの回折における効率を制御することを証拠を挙げて説明した。それによると、もし食刻の深さがスタックの準周期の奇数倍に等しいと、オーダー0がキャンセルされると言うことである。
ハインツマンが調べた例では食刻の深さは多層の準周期の5倍に等しい。その結果、表面格子の変調深さは、2周期性格子の厚みの19d/2に対して5d/2とかなりになる。真空と多層とが交互となっているこの格子は最適とはされてはいず、有用なオーダーと望ましくないオーダーとの間に結合を生じる。その結果格子の性能が影響を受け、そしてオーダー0のキャンセルが不完全のままとなる。さらに、垂直入射での使用が+1と−1のオーダーにおいて実質的に同じ効率を生じる。
ブレーズ効果を非常に高いオーダーへ増強して非常に高い分散から利益を受けようと思って食刻格子上に多層膜を施してブレーズド格子とする(ライフ ジェイ.シー.等;フイジカ スクリプタ41(1990)418)。
多層スタックを深く食刻して格子を作ることも知られている。エルコの最初の論文(エルコ エイ.アイ等;ニュークリア インストラム.メソ.エイ333(1993)599)からさらに多数の論文がこのタイプの格子の製作法と特性について出版された。これらの出版物の中でも800nmの横周期を持つ無定形金属の多層格子W/Siを、それらの格子の逆格子空間における3次元表現に基づいて研究したミクリクの論文(ミクリク ピー.等;ジェイ.フイジクス ディ:アプライド フイジクス.34(2001)エイ188)が注目される。もし食刻が深く、そしてもし食刻プロフイルの前側面が垂直であると、通常ラメラー多層格子と呼ばれる2周期性構造となる。
これらの格子は2周期性であるが、連続ではなく、それらの構造内に間隙を呈している。その結果、多層材料と真空との間での突然の推移が、金属膜の従来のラメラー格子の場合のように、回折のすべてのオーダーにおいて光を送ろうとする。かくして、これらの多層格子が格子の回折効率を改善したとしても、回折のあるオーダーを選択することはできない。
本発明の目的は、設計が簡単で、経済的で、合成クリスタルのように挙動し、そしてユニットセルにおける対称性を得ることができて、あるオーダーにおける回折光を減少もしくは排除し、指定されたオーダーの回折効率を増強する回折格子を提供することである。
この目的を達成する本発明は、表面を有する基板と、厚み方向で周期dの薄い二周期性層の第1のスタックと第2のスタックとを含み、これらのスタックは少なくとも10周期を含んでいて、各周期dは少なくとも2つの異なる材料の層から形成され、前記のスタックは幅p/2の、相互に平行な連続ラインを形成し、これらのラインは基板の表面に平行な方向に沿って周期pで反復し、前記の第2のスタックは前記の第1のスタックと交互に幅d/2だけずれていて、これらのスタックは基板が支える厚い格子を形成している、多色性のもしくは準単色性の光束を分散するための2次元回折格子に係るものである。
本発明に従って、前記の厚い格子は同じユニットセルの2倍周期の反復から成っていて、せいぜいd/2に等しい振幅の薄い表面格子を頂部に配している。
異なる実施例において本発明は個々にもしくは技術上組合せが可能である以下の特徴を備えている。
‐2次元格子の外表面は薄い表面格子を含んでいない。
‐厚い格子は周期pの、相互に平行なラインを含み、そしてスタックの一つと同相のラインを含むエンボスド面を有する。
‐基板のエンボスド面は三角形の断面を呈し、この三角形の底辺の幅はp/2で、深さはせいぜいd/2で、そしてスタックと同相の周期p/2である。
‐基板の上面は平坦面である。
‐基板の上面は凹面、凸面、球面もしくは非球面である。
‐格子のラインの周期pが基板の表面の位置に従って連続的に変わる。
‐薄い層の周期dが基板の表面の位置に従って連続的に変わる。
‐第1と第2のスタックに保護層が沈着している。
‐基板と各スタックの第1の層との間にフッキング層を設けている。
‐2次元回折格子は順次の材料の間にバリヤー層を設けている。
‐ユニットセルを形成する材料のインデックスの分布が対称的であったり、もしくは反対称的であって、使用するとき回折を少なくとも1桁弱くしたり、強くしたりする。
‐ユニットセルを形成する材料のインデックスの分布が前記のユニットセルに対して対称的である。
‐ユニットセルは異なる光学的インデックスを有する2つの材料から成る。
‐格子の周期pとスタックの周期dとは、比d/pが何処の点でも変らないように格子の表面の位置に従って連続的に変化している。
本発明は2次元回折格子の製法にも係るものである。
異なる実施例において本発明は個々にもしくは技術上組合せが可能である以下の特徴を備えている。
‐エンボスド面は高さもしくは深さd/2の周期的なエンボスドパターンまたはくぼみパターンを基板の上に含んでいる。
‐少なくとも2つの異なる材料の層から成る周期dの薄い周期層のスタックを沈着し、 第1スタックと第2スタックとを形成し、これらのスタックは同じ形で、交互の連続性の、そして基板の表面に垂直な、周期dの方向に沿ってd/2だけ位相がずれている。
‐周期的なくぼみパターンを原位置エングレービング法により形成する。
‐周期的なくぼみパターンを原位置沈着法により形成する。
‐2次元回折格子の製法はエンボスド面を滑らかにする手段を含んでいる。
本発明は少なくとも一つの2次元回折格子を含んでいる発光源を分析もしくはフイルタする分光器に係るものである。
本発明に従って前記の格子は既述の回折格子である。
異なる実施例において本発明は個々にもしくは技術上組合せが可能である以下の特徴を備えている。
‐分光器は光源が発光する波長λを中心とした少なくとも一つの光を含む光ビームを受けるようにつくられていて、格子による波長λの回折光が入射ビームと偏差角Dを成すようになっている。
本発明では、
‐2次元回折格子に垂直な法線が偏差角Dにおいて光軸角等分線と±10%内で一定の角度Bを成すように回折格子を配向する。
‐角度Dと前記の光の波長λは次式により変化し、
Figure 2007515689
、ここでpは格子の表面の周期であり、qはこの方向に沿う回折の程度である。
‐角度Bが次式で求められ、
Figure 2007515689
ここでdは格子の表面に垂直な軸に沿う格子の周期であり、rはこの方向に沿う回折のオーダーであり、そして
Figure 2007515689
は格子の平均インデックスである。
‐分光器は、2次元回折格子とその格子の前か後に置いた鏡とを含む分散装置を含む。
‐前記の鏡は多層構造を含んでおり、その多層構造は同じ材料から成っており、そして回折格子の層の第1と第2のスタックと同じ周期性を表面に対する法線方向に有している。
‐前記の鏡はそれの表面に対して入射角D/2で回折した光ビームを受けるように配向され、それにより回折格子により回折され、そして分光器を出るビームが入射ビームに対して平行となるようにしている。
本発明の実施例を以下に添付図を参照して詳述する。
図1は、先行技術の多層回折格子の略図である。
図2は、本発明の第1実施例の回折格子の略図である。
図3は、本発明の第2実施例の回折格子の略図である。
図4は、波ベクトル
Figure 2007515689
と波長λで決められるすれすれ入射に対して、波ベクトル
Figure 2007515689
により特徴付けられる回折オーダーを決めることができるエワルドの作図。
図5は、本発明の第3実施例の回折格子の略図である。
図6は、1nmの波長で図2の回折格子に‐1、0、+1のオーダーでのすれすれ入射についての回折効率のデジタルシミュレーションの略図であって、従来の金属格子と対比。
図7は、図2の回折格子に‐1、0、+1のオーダーでのすれすれ入射についての回折効率の測定を示す略図であって、図6のデジタルシミュレーションに対応。
図8は、1nmの波長で図2の回折格子に‐1、0、+1のオーダーでの3つの固定入射に対し偏向角Dについての当該格子の回折効率の測定を示す略図。
図9−24は、本発明の回折格子の異なる事例を示す。
本発明の第1の実施例の回折格子を図2に示す。厚み方向における周期dの2周期層の第1スタック5と第2スタック6とは少なくとも10周期(表示せず)を含んでおり、各周期dは少なくとも2つの異なる材料7,8の層から形成されている。スタック5,6が形成する幅p/2の連続ライン11は相互に平行で、基板2の表面3に平行に周期pで周期的に反復している。第2スタック6は第1スタック5と交互になっていて、幅d/2だけずれており、スタック5,6は基板2に支えられている厚い格子9を形成している。
本発明に従って厚い格子9は、せいぜいd/2に等しい振幅を持つ表面格子10を頂部として、同じユニットセルの二重周期反復から成っている。
本発明の回折格子は多色性のもしくは準単色性の入射ビームで使用することを意図している。
薄い表面格子10を構成しているラインは、せいぜいd/2の厚みの第1の材料7から成り、周期pで、そしてせいぜいd/2の厚みの真空によって分離されている。
薄い表面格子10が回折するエネルギーは比較的小さく、以下に示す特性は殆ど影響されることはない。
第1と第2の材料7,8は同じ容積を占めているのがよく(図2)、第1の材料7の層の高さは第2の材料8の層の高さに等しく、d/2であり、そして薄い表面格子10の窪みの深さはできるだけ浅いのがよい。
厚い格子9が載っている基板2は相互に平行なライン11を含む窪んだ表面を含んでおり、これらのラインの周期はpであり、そして一方のスタックと同相である(図3)。基板2は厚い格子9の材料とは異なる材料から構成されていても、同じ材料から構成されていてもよい。
基板2の上面3は平らでも、凹面でも、凸面でも、球面、もしくは非球面でもよい。
厚い格子9は2つ、もしくはいくつかの異なる材料(m、m、m)を含んでいてもよい。それは層間での材料の拡散を防ぐバリヤー層を備えていてもよい。それはフッキング層を備えていてもよい。厚い格子9と薄い表面格子10とは表面3に沈着した保護層を備えていてもよい。
図3は第2の実施例の回折格子を示す。この回折格子は基板2と、薄い層の第1と第2のスタック5,6から成る厚い格子9とを含む。この回折格子をつくるには、先ず適当な材料の基板2に一定厚みの樹脂を沈着する。2つのコヒーレントな光波をこの層の上で干渉させる。それらの光波は2つの遠い空間点から、多分無限遠点のレーザーから最初発生され、樹脂層が両方の波の干渉部分を受け、その光エネルギーがその干渉部分の樹脂を重合もしくは単量体へ分解する。
次いで溶剤が作用し、既に重合させられた樹脂かもしくは重合させられていない樹脂のどちらかを溶解して基板2の表面に浮出し模様を形成するラインを現出させる。これは原位置エングレービング法である。
変調深さを一般に大きくしなければならないが、マイクロエレクトロニクスで使われているのと同じような選択エングレービング法(化学、イオン、反応性エングレービング等)により行うのが有利である。
こうして準備した基板2の表面3に平行なエンボスドライン11がつくられ、それは規則的なラメラー断面を有し、多分小さい側面幅の台形で、周期p、深さh=d/2そして反復比1/2であって、すなわち、それはその断面について同じ幅、高さそして低い面を示す。比d/pは関係(7)に従って何度かのブレーズ角を得るように選定される。
この基板2の上に、原位置沈着法により、第1の材料(m)の薄い層7と第2の材料(m)の薄い層8とを交互に沈着させてそれらの間で所与のスペクトル領域における高いインデックス変化を持たせる。このようにして形成した本発明の回折格子は厚い格子9を備え、この厚い格子9は薄い層の第1と第2のスタック5と6とを含んでおり、第1のスタック5は周期d(少なくとも10周期を含んでいる)で、相互に平行で、周期pで周期的に離されている幅p/2のラインを形成しており、第2のスタック6は第1のスタック5と同じように配置された周期dの周期性薄層であって、相互に平行で、周期pで周期的に離されている幅p/2のライン11を形成している。この第2のスタック6は第1のスタック5と組合され、第1のスタック5と連続しており、窪み深さh=d/2の基板2に垂直な方向に第1のスタック5に対してずらされている。両材料7,8のそれぞれの層は同じ厚みを有し、それは下の基板2の窪み深さh=d/2に等しい。両材料7,8の分布はユニット・セルの中心に対して対称である。
上に述べた構造からの結果として、回折格子はそれの表面において最初、薄い層の第1のスタック5と第2のスタック6との間の高さの差によって形成された薄い表面格子10を現している。
図3に示すように回折格子は薄い表面格子10を含まないのが有利である。そうするためこの表面を例えば、イオン加工により磨く。
第1と第2のスタック5,6から成る厚い格子9の内側で入射波が急速に減衰するので、深い層は光により影響を受けることはない,もしくは殆ど影響を受けない。
ある実施例では格子のピッチpと薄い層の周期dとは可変であるが、比d/pはすべての点において同じままである。dとpの値は100mmで15%だけ変化するのが典型である。
少数の指定された回折波、多分一つの回折波に対するこの回折格子の回折効率をかなり大きくできることを説明する理論的な解析ができている。その理論によると、基板2の表面3に垂直な方向と、水平な方向との2つの異なる方向における二重周期性を示すこのタイプの厚い格子9は合成クリスタルのように振舞うと言うことになる。その二重周期構造体4を波ベクトル
Figure 2007515689
の入射波が伝播すると、それは結合して波
Figure 2007515689
の回折ベクトル波を生じる。ただし、両ベクトル波の間の差
Figure 2007515689
(回折ベクトルと呼ぶ)が考慮している回折格子の2周期性構造の反復格子のベクトルであればそのような回折ベクトル波を生じる(ブラッグ条件)。
Figure 2007515689
、ここでモジュールK=2π/p、K=2π/dの
Figure 2007515689

Figure 2007515689
は厚い格子9の反復格子の基本ベクトルであり、そしてqとrとは考慮している方向に沿う回折のオーダーと呼ばれる2つの整数である。両方の波が平均インデックス
Figure 2007515689
(nは第1の材料7のインデックスであり、nは第2の材料8のインデックスである)の同じ媒体を伝播するものとすると、
Figure 2007515689
である。
こうして、従来の回折格子とは反対に、入射波は回折ビームとは必ずしもならない。しかしながら、ブラッグ条件は完全なクリスタルに対すると同じように厳格ではない。光の垂直浸透は何十と言う対の層への吸収により制限されるからである。回折波ΔK/K=1/Nとの結合をもたらすKzの値に不確実性を生じる。ここでNは、回折波の形成に関与する薄い層の第1と第2のスタック5,6の周期の数である。水平方向に沿って大きな格子表面を照らすことはあり得、そしてKの不確実性は非常に小さい。
クリスタルのオプティックスとの別の興味深い類似性は、ユニットセルの構造が回折の特定のオーダーを許可したり、拒否したりすることである。波ベクトル
Figure 2007515689
の入射波と波ベクトル
Figure 2007515689
の回折波
Figure 2007515689
との間の結合効率は、ユニットセルにおける光学インデックスの変化分布のフーリエ変換の値ポア
Figure 2007515689
に比例している。例えば、ユニットセルが2つの材料7,8、mとmから成る場合、このインデックスの分布は
Figure 2007515689
で表わせる。ここで、M(x,z)はスタック5、6の第1の材料7における+1と第2の材料8における‐1とに等しい関数である、異なるオーダーの間の相対的な強度を記述する構造F(q,r)のファクターは|TF〔M〕|に比例する、ここでTF〔M〕は関数M(x,z)のフーリエ変換である。もし第1の材料7と第2の材料8とがセル内で比較的等しく、そして規則的に分布していると、構造ファクターはインデックスにつれて急速に減少する。両方向で反復比1/2の格子の場合、すなわち、ユニットセルの中心の周りでの2つの材料7,8の等しい、そして対称的な分布の場合、構造ファクタはzにおけるようにxにおいて偶数オーダーのすべての拡散に対してゼロであることを示すのは容易であり、それが一つのファクター内で次式になることを示すのは容易である。
Figure 2007515689
一般的に言って、ユニットセルを形成している異なる材料7,8のインデックスの分布における対称性もしくは反対称性が、構造ファクタをキャンセルするか、もしくは反復格子のある節にしていく。
最後に、第2の条件、式(3)|k|=|k|を考慮すると、入射波は非常に少数の回折波、多分一つの回折波とだけ結合させられることができ、そしてこれらの特権オーダーにおける回折はかなり強められる。この強化はブレーズ効果と形式上均等である。
特定の実施例の回折格子により選択される所与のオーダーに対する一致条件を説明する。便宜のため、波の伝播方向は視射角により、すなわち基板2の表面3に平行な面と波ベクトル
Figure 2007515689
とにより形成される角αにより示す。αは入射角、そしてαは回折角である。上方に伝播する波は正の角度に対応し、下方に伝播する波は負の角度に対応する。入射光はインデックス
Figure 2007515689
の媒体内では波長λを有し、そして入射面は格子のラインに垂直である。これらの条件下でインデックスqとrのオーダーの回折角と入射角とは式(2)、(3)から導出した以下の関係となる。
Figure 2007515689
これらの式を書き直して偏差角Dと非対称角Bとを明らかにすると、α=‐D/2+Bであり、そしてα=‐D/2+Bである。
Figure 2007515689
いずれの波長においても一致条件に合致するには一定の非対称角Bを持つ格子を使用すべきであり、従って
Figure 2007515689
この関係が示していることは、インデックスqとrのオーダーにおける回折は、同じインデックスqとrの網状面上のブラッグ反射として、結晶学の言語で解釈できると言うことである(図3と比較)。それはまた、ブレーズ条件として従来の光学の言葉で理解もできる。
回折させられる傾向にあるオーダーの波ベクトルをエワルドの作図により決定できる(図4)。波ベクトル9
Figure 2007515689

Figure 2007515689
の端が半径2π/λの同じ円10に属し、そしてピッチ2π/pと2π/dの反復格子の節に位置する。これらの節は、スタック5,6の厚み内を光が僅か浸透すると言う理由で方向
Figure 2007515689
に沿って広げられる。格子は、光を角度的に分散する普通の平らな格子として狭い波長域にわたって作用する。回折強度は関係式(5)、(6)によって決定される中心波長の周りで急速に減少する。ブレーズの条件が遵守されるとき、すなわち入射光軸角等分線に対し、そして式(8)により与えられる出射方向に対して一定の角度Bだけ格子が傾けられているとき、最大回折強度が得られる。非対称角Bが小さく選定されている、すなわち5度よりも小さいと有利である。
波長λの単色ビームの入射光が格子にあたっており、そしてこのビームがインデックスqとrについてブラッグ条件(7)を満たしているとすると、同じ波長λであるが、異なる方向に他のビームが回折させられる。すれすれ入射で動作するよう設計されている格子は小さいブレーズ角Bを有し、従って周期dとpとの間の差は非常に大きい。確かなこととして、他の回折させられるオーダーは整数の連続として変化するインデックスrを有するが、ほぼrのように変化するインデックスqを有する。インデックスを持つ(式(4)で決まる)構造ファクタの急減が漂遊オーダーとの入射波の非常に小さい結合を生じる。実際に、q=+1、r=1もしくはq=−1、r=1のオーダーで働くようにし、そして両方向で1/2に近い反復比を得ようとする。偶数のインデックスqもしくはrの対に一致するオーダーは伝播できないので、波長λにおいて回折させられるエネルギーの最大部分は、非常に増強された効率で選択されたオーダーで回折させられ、その残りは格子に吸収される。
オーダー(q、r)に従って回折させるように配向された格子が多色性のビームによって照明されているとすると、式(5)、(6)は合致波長のハーモニック波長λ’=λ/kがインデックスq’=kq、r’=krのオーダーでオーダー(q,r)と同じ方向で回折させられることを示している。構造ファクタにおける急減を考慮して、上方のハーモニックスにより回折させられるビームの汚染を高度に減少させることを期待できる。この汚染はX線領域における従来の一次元格子の大きな欠点の一つである。上に述べたように、回折格子が反復比1/2を有し、オーダー(1,1)もしくは(−1、1)で使用されている特定の実施例では回折させられた第1のハーモニックはハーモニック3であり、そしてそれの理論的な回折効率は、光学的インデックスの変化分を無視して、ハーモニック1のそれの1/81に過ぎない。
しかしながら、今まで使ってきた波の方向は、平均インデックスが
Figure 2007515689
の回折格子の内側を伝播する波の方向であり(nは第1材料7のインデックス、nは第2材料8のインデックス)、そして使われている波長λはこの媒体内の入射ビームの波長であって、すなわち
Figure 2007515689
である(ここでλは入射ビームの真空内の波長)。以下に例示だけの目的で、VUVとX線の波長領域で適用できるブレーズ角Bの簡単にした決定を示す。VUVとX線の波長領域で光学的なインデックスは1に非常に近いが、1よりも小さく、それは
Figure 2007515689
で表わす。真空内の波の伝播角α’と格子の媒体におけるそれの角度αとの間の関係を次式に示す。
Figure 2007515689
真空内の波の入射角が、すれすれ入射のまま全反射角から十分に離れていれば、
Figure 2007515689
、近似式
Figure 2007515689
を用いることができる。その場合式(7)と均等の修正式を得る。
Figure 2007515689
横方向の格子による回折の関係は不変であることを知る。唯一の変化は、波長に応じて修正が必要であるブレーズ条件である。D’とB’とが修正されていない値であるとすることによりブレーズ角の近似値を得る。
Figure 2007515689
丁度今説明した格子の基本特性は次の事によるのである。
‐横方向と深さとにおけるニ重の周期性、そして典型的には(1,1)もしくは(‐1、1)オーダーの、ブレーズ角の小さいすれすれ入射でのX線における使用、それ故、そのことは所与のオーダーにおける所与の入射光に対して回折させる波長を制限する。
‐材料7,8が規則的に交互となって分布していること。そのため基板2の表面3に平行な方向と垂直な方向とに沿う反復比が1/2に近くなり、そのことが効果的に回折させられるオーダーの数を制限し、そしてそれの能力を高める。
本発明は交互の多層となっている格子を分光器に使用することにも係るものである。既述の利点を利用することが非対称角Bを一定に保ち、そしてそれ故、格子の回折角を変えるだけで分光器を波長に同調させれる。その場合分光器で有利となることは、格子の前後何れかに鏡を配することであって、それの役割は到来ビームの軸に分光器から出ていくビームの方向を揃えることである。この鏡はD/2に等しいすれすれ入射で常に機能する。この鏡の反射を高めるにはそれの表面を、格子の第1と第2のスタックと同じ材料から成る薄い層を積み重ねて覆うのがよい。最大反射を得るために鏡の多層スタックへ与える周期はブラッグ関係によって決められる。
Figure 2007515689
、ここでr’はブラッグ反射のオーダーである。式(7)と比較すると、r’=rのとき鏡の薄層のスタックの最適周期はd’=dcosBである。しかしながら、角度Bが小さいと、すなわち、B<5度であると、誘導される周期の変化分は(d−d’/d)反射プロフイルの幅(Δλ/λ)の前では無視できる。d’の代りに周期dのスタックを鏡に使用することにより生じるであろう効率損失は無視できる。
本発明の第3の実施例を図5に示す。この実施例の回折格子が備える基板2には周期d/2、深さd/2=p/2tanβ(ここでβは三角形の斜辺11の傾斜角)の三角形断面の格子を形成している。次に、第1の材料7と第2の材料8の規則的なスタックでこの基板2を覆う。各層の厚みはd/2に等しく、それぞれ既述のごとく周期はpとdであって、薄い層5の第1のスタックと薄い層6の第2のスタックとから成る回折格子が形成されている。非対称角B、もしくはインデックス(q,r)のオーダーでの回折を特徴としているブレーズ角はB=Atan(qd/rp)により決定されるが、優先ブレーズ方向は異なり、そしてオーダー(1,2)のそれであり、B1,2≒2β(図5)。
基板2の平均表面に凡そ垂直な断面を呈する窪みパターンをつくることは極端に難しく、不可能ですらある。せいぜい台形のパターンとするぐらいである。そのような基板2に交互の層を沈着することによりつくられる本発明の回折格子のユニットセルの構造ファクタは偶数オーダーの回折に対して精確にニルではない。しかしながら、台形の側面の幅が周期pに対して十分に小さいと、得られる回折格子は回折のオーダーを選択し、そしてこれら指定されたオーダーにおける回折効率を高める。
本発明の新規で有用な様々な回折格子の実施例を説明するが、それらはいずれも産業的に生産可能であり、得られる効果が優れていることを示している。これらの格子によりカバーされるスペクトル領域はX線(実施例1)から紫外線を経て赤外線までである(実施例2ないし6)。
実施例1
図6ないし図8は本発明の回折格子の第1の実施例である。この回折格子は基板2を備えている。この基板2は平面3に形成されたエンボスド表面を有する格子である。このエンボスはh=3.8±0.2nmの深さの層状断面を有する相互に平行なライン11を備えている。ライン11の密度は2400ライン/mm、すなわちライン11の上方部分の幅は、幅l=125±4nmであり、下方部分の幅は、幅l=292±4nmである。ライン11は台形であって、それの縁13の傾斜は12°と15°の間である。
この格子はMoとSiの同じ厚みの交互の層20対の膜で覆われている。各層の実質的な厚みは3.9nmであり、厚い格子9と薄い表面格子10とを形成し、せいぜいd/2の振幅を有する。こうして形成された回折格子は第1の周期スタック5と第2の周期スタック6とから成り、第1の周期スタック5は相互に平行なライン11を形成する周期d=7.8nmの薄い層のスタックで、そのラインは幅l=125nmであり、292nm離し、従って周期p=417nmで規則的に間隔があいている。第2の周期スタック6は相互に平行なライン11を形成する同じ周期dの薄い層のスタックで、そのラインは幅l=292nmであり、125nm離し、同じ周期pで規則的に間隔があいている。この第2のスタック6は第1のスタック5と交互になっていて、エングレービング深さh=d/2だけ基板2に垂直な方向にずらされている。
こうしてつくられた回折格子は予期した理想的な幾何学的形状を正確につくっているものではない。基板2に平行な方向に沿う反復比は0.5に近いそれの所望値からは程遠い。この比はここでは基板2を成形する格子の反復比l/pに等しい、すなわちl/p=0.70±0.01である。逆に、エングレーブ深さの測定値hと垂直周期との一致は優れている。
図6は二つのタイプの反射膜に対して1nmの波長、すなわち1240eVで反復比0.70のこの格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を与えている。二つのタイプの反射膜とは従来のプラチナの薄い層の膜と、測定されたhの値に適合した、層当たり3.8nmの厚みの多層膜Mo/Siとである。一方の膜については、周期pの格子の屈折(−1,0,+1)のオーダーに対応する3つの方向において回折効率を独立して示している。横軸14は入射角を度で表わし、そして縦軸15は回折効率を表わしている。プラチナ層で覆われている格子の効率は3度よりも小さい角度に対してオーダー0(実線の曲線16)でかなりの反射率を示している。−1のオーダーの効率(破線の曲線17)と+1のオーダーの効率(鎖線の曲線18)とはそれぞれ1.95度と4.45度のすれすれ入射に対して最大4%を示す大きな変化曲線を有している。
第2組の曲線は厚みが同じ3.8nmに等しいMoとSiの交互の層で覆われている本発明で説明した格子に対応する。オーダー0(円19を付けた細い線の曲線)は非常なすれすれ入射に対してかなりの反射率を示しているが、小さい角度でカット・オフが生じている。多層のブラッグ角度q=0、r=1、すなわち4.27度において鋭い反射率のピークも示している。オーダーq=‐1の効率(下向三角形20の付いた細い曲線)とオーダーq=+1の効率(上向三角形21の付いた太い曲線)とはそれぞれ非対称角Bに等しい0.92度の角度的なずれをもってオーダー0のピークの両側15%で鋭い最大値を示す。これら両曲線20,21上の2次最大値22,23はオーダー(r=0,q=±1)に対応する表面格子のピークの位置において非常に減衰している。最後に、オーダー(q=±1)の最大と一致して、オーダー0における2つの相対的な最小が存在し、これはブレーズド・オーダーすなわち指定されたオーダーの方へのエネルギーの優先結合の存在を確認させる。
図7は波長1nmの入射光に対して得た測定結果を示す。使用した測定器は2軸ゴニメーターであり、一方の軸は本発明の回折格子を担持し、第二の軸はは検出器を担持している。格子は平行光で照らされ、そして回折させられたオーダーを隔離しており、小さい孔を通して検出器の広がりを制限している。この図7は入射光のすれすれ入射角度に対し格子の回折効率を表わしている。横軸14は入射角度を表わし、そして縦軸15は回折効率を表わしている。第1の曲線24(破線)はオーダーq=‐1に対し、第2の曲線25(実線)はオーダーq=0に対し、そして第3の曲線26(鎖線)はオーダーq=+1に対して得た結果を表わしている。図6の曲線の様相は幾つかの理由で正確に表わされていない。先ず、その応答は測定システムの角度応答により広げられており、その角度応答は入射ビームの幅による孔の大きさのコンボルーションに比例している。その場合、ピークの頂点で測定された強度は小さめで、15%の代りに9%であって、それはやや台形の断面から生じ、他方シミュレーションは矩形断面を想定しているが、すれすれ入射角におけるそれらの位置は正確であって、シミュレーションのそれと一致する。
入射光を固定し、そして検出器の角度位置を変えることにより得られたこの同じ格子の3つの効率曲線を図8は示している。角度は入射ビームの方向からマークされており、偏向角Dとされる。横軸14は偏向角を表わし、そして縦軸15は回折効率を表わす。第1曲線27(破線)はオーダー−1に対して得られた結果を表わし、第2曲線28(太い実線)はオーダー0に対して得られた結果を表わし、第3曲線29(鎖線)はオーダー+1に対して得られた結果を表わしている。3つの曲線27−29は、効率が最大である入射角で対応し、オーダー−1において3.35度、オーダー0において4.25度、そしてオーダー+1において5.2度に対応する。8.55度における効率ピーク値は対称的ではなく、大きい角度の側で肩30−32を表わしている。このことは格子とは関係なく、入射ビームのジェオメトリと測定孔のジェオメトリとに関り、そして格子なしでなされた較正測定に因る。入射角3.35度で測定されたオーダー+1の測定、第3曲線29では2次ピーク33が6.7度に出て、これは格子のオーダー0に対応する。そのピークは非常に減衰しているが、全くなくされているのではない。基本格子の反復比が0.5であるそれの所望値の代りに0.7だからである。オーダー0の小さいピークも第3曲線、すなわちオーダー+1に対して5.2度でなされた測定の10.4度で見える。8.55度における3つのピークも理論とシミュレーションとにより想像されたように、正確に重ねられたものではない。このことは測定ゴニオメータのアライメントと較正誤差に因るのである。
実施例2
図9ないし図12は波長193nmで作用している本発明の回折格子の第2の実施例である。この回折格子は基板2を備えている。この基板2は平面3に形成されたエンボスド表面を有する格子である。このエンボスはh=40nmの深さの層状断面を有する相互に平行なライン11を備えている。ライン11の密度は3245.9ライン/mm、すなわち周期p=308nmである。この格子の窪み/周期の比は0.50であり、すなわちライン11の上方部分の幅は、幅l=154nmであり、下方部分の幅は、幅l=154nmである。ライン11は矩形である。
この格子はMgFとLaFの同じ厚みの交互の層60対から成る膜で覆われている。各層の実質的な厚みは40nmである。こうして形成された回折格子は2つの周期スタック5、6とから成り、スタック5、6は相互に平行なライン11を形成する周期d=80nmの薄い層のスタックで、そのラインは幅l=154nmで、154nm離し、周期p=308nmで規則的に間隔をあけている。これらのスタックは交互になっていて、エングレービング深さh=d/2だけ基板2に垂直な方向にずらされている。
こうしてつくられた回折格子は、波長193nmの光ビームに対して回折オーダーq=−3においてリトロー形で作動する予期された理想的なジェオメトリを正確につくっている
光束の入射角度は70°に等しい。「入射角度」とはここでは格子表面の垂直線に対し光ビームが格子表面に落ちる角度として定義されている。従って格子表面に垂直に入射する光ビームの入射角度はゼロである。
図9,10は直線偏光TE(横電気)成分とTM(横磁気)成分に対し190nmから197nmの範囲のスペクトル領域でのこの格子の効率のデジタル・シュミレーションの結果を示している。第1の曲線(曲線36;破線)は、本発明の格子の第2実施例(図3)で説明したような、薄い表面格子10を含んでいない格子について得られたものである。第2の曲線(曲線37;太い線)は、本発明の格子の第1実施例(図2)で説明したような、薄い表面格子10を含む格子について得られたものである。この薄い表面格子はMgFのラインを備えている。第3の曲線(曲線38;細い線)は、本発明の格子の第1実施例(図2)で説明したような、薄い表面格子10を含む格子について得られたものである。この薄い表面格子はLaFのラインである。
横軸34はオングストロームで波長を表わしている。縦軸35は周期pの格子の回折‐3のオーダーに対応する回折効率を表わしている。第1の曲線36はTEとTMとの両偏光に対して193nm付近で非常に大きい反射率(90%以上)を示している。第2曲線37に対して得た効率はやや少ない。偏光効率TMは3.5nmのスペクトル幅を表わし、偏光TEで得られたよりも大きい。
図11と図12は、直線偏光TE(横電気)とTM(横磁気)の要素に対する格子の回折のオーダー‐3における190nmから197nmの範囲のスペクトル領域についてのこの格子の効率のデジタルシュミレーションの結果を示す。4つの曲線39−42は、異なる交互の層の対が60(太い実線39)、40(細い実線40)、30(太い破線41)、そして20(細い破線42)について入射光の波長に対して格子の回折効率をそれぞれ示している。横軸34はオングストロームで波長を表わし、そして縦軸35は回折効率を表わしている。
格子の回折効率は高く、多層膜のスタックの周期の数は入射光の偏光とは関係なく大きい。最小30対の層は効率50%を超えるのに必要であり、そして60対を越える層でこの実施例で最大効率に到達した。
実施例3
図13ないし図15は波長1054nmで作用している本発明の回折格子の第3の実施例である。この回折格子は基板2を備えている。この基板2は平面3に形成されたエンボスド表面を有する格子である。このエンボスはh=195nmの深さの層状断面を有する相互に平行なライン11を備えている。ライン11の密度は1740ライン/mm、すなわち周期p=575nmである。この格子の窪み/周期比は0.50であり、すなわちライン11の上方部分の幅は、幅l=287.5nmであり、下方部分の幅は、幅l=287.5nmである。ライン11は矩形である。
この格子はHfOとSiOの同じ厚みの交互の層60対から成る膜で覆われている。各層の実質的な厚みは195nmである。こうして形成された回折格子は2つの周期スタック5、6とから成り、スタック5、6は相互に平行なライン11を形成する周期d=390nmの薄い層のスタックで、そのラインは幅l=287.5nmで、287.5nm離し、周期p=575nmで規則的に間隔をあけている。これらのスタックは交互になっていて、エングレービング深さh=d/2だけ基板2に垂直な方向にずらされている。
こうしてつくられた回折格子は、波長1054nmの光ビームに対して回折オーダーq=−1においてリトロー形に近い形の予期された理想的なジェオメトリを正確につくっている。光ビームの入射角は(格子の垂直線に対し)66°に等しい。
図13と図14は、偏光TE(図13)と偏光TM(図14)において980nmから1100nmの範囲のスペクトル領域についてのこの格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を示す。本発明の格子の第2の実施例(図3)で説明したような薄い表面格子10を含まない格子に対して第1の曲線(破線43)を得ている。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第2の曲線(太い実線44)を得ている。この薄い表面格子10はHfOのラインを含む。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第3の曲線(細い実線45)を得ている。この薄い表面格子10はSiOのラインを含む。
横軸34はオングストロームで波長を表わしている。縦軸35は周期pの格子の回折‐1のオーダーに対応する回折効率を表わしている。
第1の曲線43は、広い(1010nmから1070nm)スペクトル帯域で1054nmの付近で偏光TMの直線成分に対して非常に大きい回折効率(95%以上)を示している。3つの曲線40−42について偏光TMにおける効率は、波長1054nm付近の広いスペクトル領域で88%以上である。偏光TMにおける効率のプロファイルは偏光TEにおいて得られた効率のプロファイルよりも大きいスペクトル幅を表わしている。第3の曲線45は偏光TEにおいて第1曲線43のスペクトル幅よりも大きいスペクトル幅を示す。
60°と80°との間で変わる入射角に対し、そして交互の対の数が変わっている(細い実線の曲線46は60対;太い破線の曲線47は20対;太い実線の曲線48は15対;そして細い破線の曲線49は10対)、薄い表面格子のない格子の偏光TEにおける回折効率のデジタルシミュレーションの結果を図15に示す。横軸50は波長1054nmの入射ビームの入射角を表わし、そして縦軸51は回折オーダー‐1の回折効率を表わしている。
厚い格子9のスタックの周期の数が多いほど格子の回折効率は高くなる。この実施例で可能とされる最大効率(98%)に到達するのに最小20対の層が必要であり、この最大値(97%)の99%に近づくには15対の層で足りる。この格子の効率はリトロー形態で作動するための最大値である。
実施例4
図16と図17は波長800nmで作用している本発明の回折格子の第4の実施例である。この回折格子は基板2を備えている。この基板2は平面3に形成されたエンボスド表面を有する格子である。このエンボスはh=129.25nmの深さの層状断面を有する相互に平行なライン11を備えている。ライン11の密度は1480ライン/mm、すなわち周期p=676nmである。この格子の孔/周期比は0.50であり、すなわちライン11の上方部分の幅は、幅l=338nmであり、下方部分の幅は、幅l=338nmである。ライン11は矩形である。
この格子はHfOとSiOの同じ厚みの交互の層60対から成る膜で覆われている。各層の実質的な厚みは129.25nmである。こうして形成された回折格子は2つの周期スタック5、6とから成り、薄い層は相互に平行なライン11を形成し、周期d=258.5nmであって、そのラインは幅l=338nmで、338nm離し、周期p=676nmで規則的に間隔をあけている。これらのスタックは交互になっていて、エングレービング深さh=d/2だけ基板2に垂直な方向にずらされている。
こうしてつくられた回折格子は、波長800nmの光ビームに対して回折オーダーq=−1においてリトロー形に近い形の動作で予期された理想的なジェオメトリを正確につくっている。
この格子の光ビームの入射角は(格子の垂直線に対し)41.5°である。
図16と図17は、偏光TE(図16)と偏光TM(図17)において750nmから850nmの範囲のスペクトル領域についてのこの格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を示す。本発明の格子の第2の実施例(図3)で説明したような薄い表面格子10を含まない格子に対して第1の曲線(破線52)を得ている。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第2の曲線(太い実線53)を得ている。この薄い表面格子はHfOのラインを含む。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第3の曲線(細い実線54)を得ている。この薄い表面格子10はSiOのラインを含む。
横軸55はオングストロームで波長を表わしている。縦軸56は周期pの格子の回折‐1のオーダーに対応する回折効率を表わしている。
第1の曲線52に対応する格子の効率は、広いスペクトル帯域で800nmの付近で偏光TEとTMの両方に対し非常に大きい値(95%以上)を示している。3つの曲線52−54について偏光TMにおける効率は、波長1054nm付近の広いスペクトル領域で88%以上である。偏光TMにおける効率曲線は偏光TEにおいて得られた効率曲線よりも大きいスペクトル幅を表わしている。第3の曲線54は偏光TEにおいて第1曲線52のスペクトル幅よりも大きいスペクトル幅を示す。
この第4実施例の動作は実施例3の動作と非常に似ている。
実施例5
図18ないし図21は波長1550nmで作用している本発明の回折格子の第5の実施例である。この回折格子は基板2を備えている。この基板2は平面3に形成されたエンボスド表面を有する格子である。このエンボスはh=286.35nmの深さの層状断面を有する相互に平行なライン11を備えている。ライン11の密度は1200ライン/mm、すなわち周期p=833nmである。この格子の窪み/周期の比は0.50であり、すなわちライン11の上方部分の幅は、幅l=416.6nmであり、下方部分の幅は、幅l=416.6nmである。ライン11は矩形である。
この格子はHfOとSiOの同じ厚みの交互の層20対から成る膜で覆われている。各層の実質的な厚みは286.35nmである。こうして形成された回折格子は2つの周期スタック5、6とから成り、薄い層は相互に平行なライン11を形成し、周期d=572.7nmであって、そのラインは幅l=416.6nmで、416.6nm離し、周期p=833nmで規則的に間隔をあけている。これらのスタックは交互になっていて、エングレービング深さh=d/2だけ基板2に垂直な方向にずらされている。
こうしてつくられた回折格子は、波長1550nmの光ビームに対して回折オーダーq=−1においてリトロー形に近い形の動作で予期された理想的なジェオメトリを正確につくっている。
この格子の光ビームの入射角は(格子の垂直線に対し)68.44°である。
図18と図19は、偏光TE(図18)と偏光TM(図19)において1450nmから1620nmの範囲のスペクトル領域についてのこの格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を示す。本発明の格子の第2の実施例(図3)で説明したような薄い表面格子10を含まない格子に対して第1の曲線(破線57)を得ている。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第2の曲線(太い実線58)を得ている。この薄い表面格子10はHfOのラインを含む。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第3の曲線(細い実線59)を得ている。この薄い表面格子10はSiOのラインを含む。
横軸60はミクロンで波長を表わしている。縦軸61は周期pの格子の回折‐1のオーダーに対応する回折効率を表わしている。
第1の曲線57に対応する格子の効率は、広いスペクトル帯域(1470nmから1580nm)で1550nmの付近で偏光TMに対し非常に大きい値(90%以上)を示している。3つの曲線57−59について偏光TMにおける効率は、波長1550nm付近の広いスペクトル領域で85%以上である。偏光TMにおける効率曲線は偏光TEにおいて得られた効率曲線よりも大きいスペクトル幅を表わしている。第3の曲線59は偏光TEにおいて第1曲線57のスペクトル幅よりも大きいスペクトル幅を示す。
第3曲線に至る格子のこの実施例は、低い偏光比で作動し、そして広いスペクトル領域で高い効率示す。
55°と88°との間で変る入射角に対して、そして交互の層の対数を20対(太い実線の曲線62)、15対(細い破線の曲線63)、10対(細い実線の曲線64)そして5対(太い破線の曲線65)と変えていった、表面格子10のない格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を図20に示す。横軸66は(入射が格子に垂直のとき0°と決めているときの)入射角を表わし、そして縦軸67は回折効率を表わす。
多層膜のスタックの周期の数が大きいほど格子の効率は高くなる。最小でも15ないし20対の層はこの実施例によって可能とされる最大効率(99%)に到達するに必要である。
図21は、1550nmの波長で、直線偏光TE(実線の曲線68)とTM(破線の曲線69)に対して同じ範囲の入射角で図20の格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を比較している。横軸70は(格子に垂直に入射するとき0°と決めたときの)入射角度を表わし、縦軸71は回折効率を表わしている。この実施例はどのような入射角であっても低い偏光比での作動を可能としている。効率はどの入射角でもリトロー型回折動作に最適である。
実施例6
図22ないし図24は波長1550nmで働いている本発明の回折格子の第6の実施例である。この回折格子は基板2を備えている。この基板2は平面3に形成されたエンボスド表面を有する格子である。このエンボスはh=260.7nmの深さの層状断面を有する相互に平行なライン11を備えている。ライン11の密度は900ライン/mm、すなわち周期p=1111nmである。この格子の窪み/周期の比は0.50であり、すなわちライン11の上方部分の幅は、幅l=555.5nmであり、下方部分の幅も、幅l=555.5nmである。ライン11は矩形である。
この格子はHfOとSiOの同じ厚みの交互の層20対から成る膜で覆われている。各層の実質的な厚みは260.7nmである。こうして形成された回折格子は2つの周期スタック5、6とから成り、それの薄い層は相互に平行なライン11を形成し、周期d=521.4nmであって、そのラインは幅l=555.5nmで、555.5nm離し、周期p=1111nmで規則的に間隔をあけている。これらのスタックは交互になっていて、エングレービング深さh=d/2だけ基板2に垂直な方向にずらされている。
こうしてつくられた回折格子は、波長1550nmの光ビームに対して回折オーダーq=−1においてリトロー形に近い形の動作で予期された理想的なジェオメトリを正確につくっている。
この格子の光ビームの入射角は(格子の垂直線に対し)44.23°である。
図22と図23は、偏光TE(図22)と偏光TM(図23)において1450nmから1700nmの範囲のスペクトル領域についてのこの格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を示す。本発明の格子の第2の実施例(図3)で説明したような薄い表面格子10を含まない格子に対して第1の曲線(破線72)を得ている。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第2の曲線(太い実線73)を得ている。この薄い表面格子10はHfOのラインを含む。本発明の格子の第1の実施例(図2)で説明したような薄い表面格子10を含む格子に対して第3の曲線(細い実線74)を得ている。この薄い表面格子10はSiOのラインを含む。
横軸75はミクロンで波長を表わしている。縦軸76は周期pの格子の回折‐1のオーダーに対応する回折効率を表わしている。
第1の曲線72に対応する格子の効率は、広いスペクトル帯域(1480nmから1620nm)で1550nmの付近で偏光TMに対し非常に大きい値(90%以上)を示している。3つの曲線72−74について偏光TMにおける効率は、波長1550nm付近の広いスペクトル領域で85%以上である。偏光TMにおける効率は偏光TEにおいて得られた効率よりも大きいスペクトル幅を表わしている。第3の曲線74は偏光TEにおいて第1曲線72のスペクトル幅よりも大きいスペクトル幅を示す。
第3曲線74に至る格子のこの実施例は、低い偏光比で作動し、そして広いスペクトル領域で高い効率示す。その領域は実施例5のそれよりもさらに広がっている。
波長1550nmの直線偏光TE(実線の曲線77)とTM(破線の曲線78)について、20°と88°との間で変る入射角に対し、薄い表面格子10のない格子の効率のデジタルシミュレーションの結果を図24に示す。横軸79は(入射が格子に垂直のとき0°と決めている)入射角を表わし、そして縦軸80は回折効率を表わす。この実施例はどのような入射角であっても低い偏光比での動作を可能としている。効率はどの入射角でもリトロー型回折動作に最適である。
上記の実施例は、赤外におけるX線のスペクトル領域において本発明を使用できることを明示している。
先行技術の多層回折格子の略図である。 本発明の第1実施例の回折格子の略図である。 本発明の第2実施例の回折格子の略図である。 波ベクトルk(kの上に→)と波長λで決められるすれすれ入射に対して、波ベクトルk−1,1、k−4,2、k−12,3、k−13,3(いずれもkの上に→)により特徴付けられる回折オーダーを決めることができるエワルドの作図。 本発明の第3実施例の回折格子の略図である。 1nmの波長で図2の回折格子に‐1、0、+1のオーダーでのすれすれ入射についての回折効率のデジタルシミュレーションの略図であって、従来の金属格子と対比。 図2の回折格子に‐1、0、+1のオーダーでのすれすれ入射についての回折効率の測定を示す略図であって、図6のデジタルシミュレーションに対応。 1nmの波長で図2の回折格子に‐1、0、+1のオーダーでの3つの固定入射に対し偏向角Dについての当該格子の回折効率の測定を示す略図。 本発明の回折格子の異なる事例を示す。
符号の説明
1 回折格子
2 基板
3 表面
5 第1のスタック
6 第2のスタック
7 材料
9 厚い格子
10 薄い表面格子
11 ライン

Claims (23)

  1. 表面(3)を有する基板(2)と、
    厚み方向で周期dの薄い二周期性層の第1のスタック(5)と第2のスタック(6)とを含み、これらのスタックは少なくとも10周期を含んでいて、各周期dは少なくとも2つの異なる材料(7,8)の層から形成され、前記のスタック(5,6)は幅p/2の、相互に平行な連続ライン(11)を形成し、これらのラインは基板(2)の表面に平行な方向に沿って周期pで反復し、前記の第2のスタック(6)は前記の第1のスタック(5)と交互に幅d/2だけずれて、前記のスタック(5,6)が基板(2)が支える厚い格子(9)を形成している、
    多色性のもしくは準単色性の光束を分散するための2次元回折格子において、
    前記の厚い格子(9)は同じユニットセルの2倍周期の反復から成っていて、せいぜいd/2に等しい振幅の薄い表面格子(10)を頂部に配したことを特徴とする2次元回折格子。
  2. 2次元格子の外表面は薄い表面格子(10)を含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の2次元回折格子。
  3. 厚い格子(9)の下になっている基板(2)は、周期pの、相互に平行なライン(11)を含み、そしてスタックの一つと同相となっているエンボスド面を有していることを特徴とする請求項1に記載の2次元回折格子。
  4. 基板(2)のエンボスド面は三角形の断面を呈し、この三角形の底辺の幅はp/2で、深さはせいぜいd/2で、そしてスタックと同相の周期p/2であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の2次元回折格子。
  5. 基板(2)の上面は平坦面(3)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の2次元回折格子。
  6. 基板(2)の上面は凹面、凸面、球面もしくは非球面(3)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の2次元回折格子。
  7. 格子のライン(11)の周期pが基板(2)の表面(3)の位置に従って連続的に変わることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の2次元回折格子。
  8. 薄い層の周期dが基板(2)の表面(3)の位置に従って連続的に変わることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の2次元回折格子。
  9. 第1と第2のスタック(5,6)に保護層が沈着していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の2次元回折格子。
  10. 基板(2)と各スタック(5,6)の第1の層との間にフッキング層を設けたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の2次元回折格子。
  11. 順次の材料(7,8)の間にバリヤー層を設けたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の2次元回折格子。
  12. ユニットセルを形成する材料(7,8)のインデックスの分布が対称的であったり、もしくは反対称的であって、使用するとき回折を少なくとも1桁弱くしたり、強くしたりすることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の2次元回折格子。
  13. ユニットセルを形成する材料(7,8)のインデックスの分布がユニットセルの中心に対して対称的であることを特徴とする請求項12に記載の2次元回折格子。
  14. ユニットセルは異なる光学的インデックスを有する2つの材料(7.8)から成ることを特徴とする請求項12もしくは13に記載の2次元回折格子。
  15. 格子の周期pとスタック(5,6)の周期dとが比d/pが何処の点でも変らないように格子の表面(12)の位置に従って連続的に変化していることを特徴とする請求項1ないし14の何れかに記載の2次元回折格子。
  16. 高さもしくは深さd/2の周期的なエンボスドパターンまたはくぼみパターンを含んでいるエンボスド面を基板(2)の上につくり、
    少なくとも2つの異なる材料(7,8)の層から成る周期dの薄い周期層のスタックを沈着し、
    第1スタック(5)と第2スタック(6)とを形成し、これらのスタックは同じ形で、交互の連続性の、そして基板(2)の表面(3)に垂直な、周期dの方向に沿ってd/2だけ位相がずれている
    ことを特徴とする請求項1ないし15の何れかに記載の2次元回折格子の製法。
  17. 周期的なくぼみパターンを原位置エングレービング法により形成することを特徴とする請求項16に記載の2次元回折格子の製法。
  18. 周期的なくぼみパターンを原位置沈着法により形成することを特徴とする請求項16に記載の2次元回折格子の製法。
  19. エンボスド面を滑らかにする手段を含んでいることを特徴とする請求項16に記載の2次元回折格子の製法。
  20. 格子が請求項1ないし15の何れかに記載の回折格子であることを特徴とする少なくとも一つの2次元回折格子を含み、発光源を分析もしくはフイルタする分光器。
  21. 光源が発光する波長λを中心とした少なくとも一つの光を含む光ビームを受けるようにつくられていて、格子による波長λの回折光が入射ビームと偏差角Dを成している、請求項19に記載の分光器において、
    2次元回折格子に垂直な法線が偏差角Dにおいて光軸角等分線と±10%内で一定の角度Bを形成するように回折格子を配向し、
    角度Dと前記の光の波長λは次式により変化し、
    Figure 2007515689
    、ここでpは格子の表面の格子の周期であり、qはこの方向に沿う回折の程度であることを特徴とした分光器。
  22. 角度Bが次式で求められ、
    Figure 2007515689
    ここでdは格子の表面に垂直な軸に沿う格子の周期であり、rはこの方向に沿う回折のオーダーであり、そして
    Figure 2007515689
    は格子の平均インデックスであることを特徴とした請求項21に記載の分光器。
  23. 前記の2次元回折格子とその格子の前か後に置いた鏡とを含む分散装置を含み、
    前記の鏡は多層構造を含んでおり、その構造は同じ材料から成っており、そして回折格子の層の第1と第2のスタック(5,6)と同じ周期性を表面に対する法線方向に有しており、
    前記の鏡はそれの表面に対して入射角D/2で光が入射したときに回折した光ビームを受けるように配向され、回折格子により回折され、そして分光器を出るビームが入射ビームに対して平行となるようにしたことを特徴とした請求項20と21とに記載の分光器。
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