JP2007502117A - モナチンを含有するチューインガムとその製造法 - Google Patents

モナチンを含有するチューインガムとその製造法 Download PDF

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Abstract

天然に存在する強力甘味剤であるモナチンの1つ以上の立体異性体を含むチューインガム組成物が記載される。

Description

発明の分野
本発明は、モナチン(monatin)を含んでなる機能的ガムまたは風船ガムを含む新規チューインガム組成物、およびかかる組成物の製造法に関する。本発明はまた、特定のモナチン立体異性体を含むチューインガム組成物、モナチン立体異性体の特定の混合物、および/またはインビボ(例えば細胞内)もしくはインビトロで生合成経路により産生されるモナチンに関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2003年8月14日に出願された米国仮特許出願第60/495,191号(これは文献によりその全体が本明細書に組み込まれる)の利益を請求する。
背景
小児肥満、II型糖尿病、および関連疾患に対する健康意識の高まりにより、低カロリーの強力な甘味剤の使用が増加している。すなわち、グラニュー糖(ショ糖)のような従来の甘味剤よりはるかに強い甘みを有する甘味剤に対する需要がある。多くの強力甘味剤は、不快な異臭および/または予想外の好ましくない甘味プロフィールを含む。これらの問題を克服するために、業界ではショ糖に似た甘みプロフィールを達成するための、苦み抑制剤、異臭隠蔽技術、および甘味剤混合物に対する多くの研究が続いている。
モナチン(2-ヒドロキシ-2-(インドール-3-イルメチル)-4-アミノグルタール酸)は、南アフリカのトランスバール地方に存在するスクレロキトン・イリシフォリウス(Sclerochiton ilicifolius)から分離された天然の強力甘味剤である。モナチンは、同等の甘みを有するショ糖または他の栄養甘味剤とは異なり、炭水化物や糖を含まず、ほとんどカロリーも無い。
概要
本発明は、下記式:
Figure 2007502117
を有する化合物モナチン(2-ヒドロキシ-2-(インドール-3-イルメチル)-4-アミノグルタール酸)[これは、4-アミノ-2-ヒドロキシ-2-(1H-インドール-3-イルメチル)-ペンタンジオン酸としても、または別の番号付け法に従って、4-ヒドロキシ-4-(3-インドールイルメチル)グルタミン酸としても知られている]を含むチューインガム組成物に関する。
モナチンは天然に存在する強力甘味剤である。モナチンは4つの立体異性体型を有する:2R,4R(「R,R立体異性体」または「R,Rモナチン」)、2S,4S(「S,S立体異性体」または「S,Sモナチン」)2R,4S(「R,S立体異性体」または「R,Sモナチン」)、2S,4R(「S,R立体異性体」または「S,Rモナチン」)。本明細書において特に明記しない場合は、「モナチン」はモナチンの4つのすべての立体異性体、ならびにモナチン立体異性体の任意の組合せ(例えば、モナチンのR,R立体異性体とS,S立体異性体の混合物)を含む。
モナチンは、優れた甘味性を有する。モナチンは、他の強力甘味剤のようにまたはそれ以上にさわやかな甘みプロフィールを有する。モナチンの用量応答曲線はより線形であり、従って他の強力甘味剤(例えばサッカリン)よりショ糖によく似ている。モナチンの優れた甘みプロフィールのために、モナチンはチューインガム組成物、食卓甘味剤、食物、飲料、および他の製品に適したものになっている。
モナチンの異なる立体異性体(R,RとS,S立体異性体を含む)は、別個の成分としてまたは混合物中で甘味剤業界で有望である。モナチンおよびモナチンの立体異性体と他の甘味剤との混合物は、他の強力甘味剤と比較して優れた味特性および/または物理特性があると考えられる。例えばモナチンはアスパルターム(「APM」としても知られている)より安定であり、サッカリンよりさわやかな味を有し、1つの立体異性体(R,Rモナチン)はスクラロースより甘い。同様にモナチン甘味剤は、サッカリンに伴うようなあと味も無く、他のいくつかの強力甘味剤の金臭い、酸性の、渋い、またはのどが焼けるようなあと味は無い。さらにモナチン甘味剤は、いくつかの天然甘味剤(ステビオシドおよびグリチルリチン)に伴うような甘草あと味を示さない。
さらにアスパルターム甘味剤と異なりモナチン甘味剤は、フェニルケトン尿症の患者についてフェニルアラニンの警告を必要としない。同様に発酵性炭水化物を含まないため、う食原生(cariogenic)ではない(すなわち虫歯を促進しない)と予測される。またpH低下試験で試験すると、モナチンは唾液と混合した時のpHを約5.7以下(これは歯に有害である)まで低下させないと予測される。強力甘味剤であるため、特にR,R立体異性体は他の強力甘味剤と比較して経済的に競争できる。
ある態様において本発明は、ガム基剤部分と可溶性部分とを含むチューインガム組成物を提供し、可溶性部分はモナチン、例えばR,R、S,S、R,S、S,Rモナチンまたは異なる立体異性体の混合物を含む。ある実施態様においてガム基剤部分は、3〜50wt%のエラストマー;0.5〜25wt%の軟化剤;2〜30wt%の乳化剤;5〜75wt%の樹脂;および0〜20wt%の充填剤を含む。用語「wt%」は重量パーセントを意味する。例えば1wt%は、100グラムにつき1グラム、または1kgにつき10グラムを意味する。別の実施態様においてガム基剤部分は組成物の15〜30wt%でもよい。別の実施態様においてエラストマーは、天然ゴム、天然ガム、生体分解性ガム、合成エラストマー、およびこれらの組合せから選択される。
例えば天然のゴムは、スモークラテックス、液体ラテックス、およびグアユールゴム(guayule)から選択される。天然および/または生体分解性ガムは、例えばジェルトン(jelutong)、ペリロ(perillo)、ソルバ(sorva)、マッサランズババラタ(massaranduba balata)、マッサランズバチョコレート(massaranduba chocolate)、ニスペロ(nispero)、ロシンヂンハ(rosindinha)、チクル(chicle)、グッタハンカン(gutta hang kang)、アラビノガラクタン、アラビアゴム、キサンタン、およびタンパク質(グルテンおよびゼイン)から製造されるガムから選択される。用語「天然の」は、自然界に存在するかまたはそこから生成されることを意味する。用語「生体分解性」は、生物学的プロセスまたは物質(例えば生きている生物)の活性により腐食または分解することができることを意味する。ある実施態様において生体分解性ガムは、粘性が低いかまたは粘性が無い。合成エラストマーは、例えばブタジエン−スチレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、およびビニルポリマー性エラストマーから選択される。
ある実施態様において軟化剤(可塑剤としても知られている)には、タロー、水素化タロー、水素化植物油、部分水素化植物油、ココアバター、モノステアリン酸グリセロール、トリ酢酸グリセロール、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、脂肪酸、シロップ、例えばポリオールシロップ(例えば、マルチトールシロップ、グリセロールシロップ、およびグリセロール)、および混合ポリオールシロップ、およびこれらの組合せがある。他の実施態様において充填剤は、レシチン、イヌリン、ポリデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、研摩石灰石、ケイ酸アルミニウム、タルク、粘土、アルミナ、二酸化チタン、およびリン酸カルシウムの1つ以上でもよい。他の実施態様において乳化剤は、モノステアリン酸グリセロール、レシチン、ポリグリセロールポリリシノール酸、またはステアリン酸マグネシウムでもよい。他の実施態様において樹脂は、ロジンエステル、テルペン樹脂、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、または酢酸ビニル−ラウリル酸ビニル共重合体でもよい。他の実施態様においてロジンエステルは、部分的水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分的ダイマー化ロジンのグリセロールエステル、ロジンのグリセロールエステル、部分的水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、または部分的水素化ロジンのメチルエステルでもよい。
実施態様において乳化剤と軟化剤、乳化剤と充填剤、および軟化剤と充填剤は異なる化合物である。
他の実施態様において可溶性部分は、バルク甘味剤、例えばトウモロコシ甘味剤、ショ糖、ブドウ糖、転化糖、デキストリン、フルクトース、レブロース、コーンシロップ固体、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、またはこれらの組合せをさらに含む。あるいは可溶性部分はさらに、強力甘味剤または低血糖性炭水化物(すなわち、ショ糖より低血糖性のもの)を含んでよい。例えば強力甘味剤または低血糖性炭水化物は、ソルビトール(非晶質および結晶性ソルビトールを含む)、マンニトール、マルチトール、水素化デンプン加水分解物、キシリトール、アリテーム(alitame)、タウマチン、スクラロース、アスパルターム、アセスルフェムK(acesulfame K)、ジヒドロカルコン、サッカリン、ネオテーム(neotame)、シクラメート、ステビオシド、モグロシド、タガトース、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、グリチルリチン、フィロヅルシン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、クルクリン、ミラクリン、およびペンタジンから選択される。
あるいは可溶性部分はさらに、風味剤を含有してもよい。例えば風味剤は精油または合成風味、またはこれらの組合せでもよい。精油は、例えばペパーミント油、スペアミント油、またはウインターグリーン油でもよい。あるいは風味剤は、例えば果実風味剤(例えば、オレンジ油、レモン油、バナナ、サクランボ、リンゴ、パイナップル、ブドウ、イチゴ、トゥッティフルッティ、スイカ、またはこれらの組合せ)でもよい。
ある実施態様において本発明は、モナチンのR,R立体異性体、モナチンのS,S立体異性体、および/またはモナチンの立体異性体の混合物を含むチューインガム調製物を提供する。モナチンは、立体異性体の混合物中で、固体(例えば、凍結乾燥、結晶、非晶質および/または粉末)型で、および液体型で提供することができる。ある実施態様においてチューインガム組成物は、モナチンまたはその塩を、公知のチューインガム組成物で提供されているショ糖(および/または他の炭水化物)の量により提供される甘みに匹敵する甘みを提供する量で含む。「匹敵する甘み」とは、熟練した官能試験者が、平均して第1の組成物の甘みが第2の組成物の甘みの80〜120%の範囲内であることを確定することを意味する。別の実施態様においてチューインガム組成物は、増強された長期の甘味を提供する量でモナチンまたはその塩を含む。「増強された長期の甘味」とは、同様のチューインガム組成物中のアスパルタームまたはスクラロースにより経時的に提供される甘みと比較して経時的に増強された甘みを意味する。
ある実施態様において、モナチンのR,R立体異性体は組成物の約0.009〜約0.1wt%(例えば、組成物の約0.015〜約0.025wt%)である。他の実施態様において、モナチンのS,S立体異性体は組成物の約0.1〜約1.1wt%(例えば、組成物の約0.15〜約0.88wt%)である。他の実施態様において、可溶性部分はモナチンのS,S立体異性体とアセスルファムKの混合物を含む(例えば、約0.1〜約1.1wt%のモナチンと約0.1〜約0.3wt%のアセスルファムK)。他の実施態様においてモナチンは、単独または他の物質とともに封入される。
用語「約」は、任意の測定値で発生する実験誤差の範囲を含む。特に明記しない場合はすべての測定数値は、たとえ「約」という文字が明瞭に使用されなくても、その前に「約」という語を有すると推定される。「封入される」とは、カバーまたはマイクロカプセル内に封入または保持されることを意味し、ここでマイクロカプセルは封入された物質を防御し、これが咀嚼によりよりゆっくり放出されることが可能にする。
ある実施態様において可溶性部分はさらに、バルク甘味剤、強力甘味剤、または低血糖性炭水化物、および風味剤を含むことができる。他の実施態様において可溶性部分は、モナチンとシクラメートとの混合物を含むことができる。他の実施態様において複数の甘味剤(モナチンを含む)ならびに甘味剤(モナチンを含む)/風味混合物は、封入され、同時加工され、同時乾燥される。
ある実施態様においてチューインガム組成物は、基本的にS,SまたはR,Rモナチンからなるモナチンを含む。他の実施態様において組成物は主にS,SまたはR,Rモナチンを含有する。「主に」とは、組成物中に存在するモナチン立体異性体について、90%を超える特定の立体異性体を含有することを意味する。ある実施態様において、組成物はS,SまたはR,Rモナチンと実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、組成物中に存在するモナチン立体異性体について、組成物は2%未満の特定の立体異性体を含むことを意味する。さらにまたはあるいは、生合成経路で産生されるモナチンを記載するために使用される時、「実質的に含まない」とは、異なる特定の立体異性体(例えばR,Rモナチン)を産生するために、キラル特異的酵素(例えば、D-アミノ酸脱水素酵素またはD-アミノ酸アミノ転移酵素)および/またはキラル特異的基質(例えば、R-立体配置の炭素を有するもの)を含む生合成経路中の副産物として産生される立体異性体(例えばS,Sモナチン)の量を包含する。
本発明の別の態様において、チューインガム組成物が提供され、これは生合成経路で産生される立体異性体的に過剰のモナチン混合物を含む。「立体異性体的に過剰のモナチン混合物」とは、混合物が2つ以上のモナチン立体異性体を含有し、混合物中のモナチン立体異性体の少なくとも60%が特定の立体異性体(例えば、R,R、S,S、S,R、またはR,S)であることを意味する。他の実施態様において混合物は、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%を超える特定のモナチン立体異性体を含有する。別の実施態様においてチューインガム組成物は、立体異性体的に過剰のR,RまたはS,Sモナチンを含む。「立体異性体的に過剰の」R,Rモナチンは、モナチンが少なくとも60%のR,Rモナチンを含むことを意味する。「立体異性体的に過剰の」S,Sモナチンは、モナチンが少なくとも60%のS,Sモナチンを含むことを意味する。別の実施態様において「立体異性体的に過剰の」モナチンは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%のR,RもしくはS,Sモナチンを含む。
本発明の別の態様においてチューインガム組成物の製造法が提供される。この方法は、インビボまたはインビトロで生合成的にモナチンを産生することを含む。「生合成経路」は、少なくとも1つの生物学的変換工程を含む。ある実施態様において生合成経路は多工程プロセスであり、少なくとも1つの工程は生物学的変換工程である。他の実施態様において生合成経路は、生物学的変換工程と化学的変換工程の両方を含む多工程プロセスである。ある実施態様において産生されるモナチンは、立体異性体的に過剰のモナチン混合物である。
本発明の別の態様において、グルコース、トリプトファン、インドール-3-乳酸、ならびにインドール-3-ピルビン酸、および2-ヒドロキシ2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸(「モナチン前駆体」、「MP」またはアルファケト型のモナチンとしても知られている)から選択される基質からモナチンを製造するための、いくつかの生合成経路が存在する。モナチンまたはその中間体を産生または製造するための生合成経路の例は、図1〜3および11〜13に開示され、これは、四角の中に可能な中間体生成物と最終生成物とを示す。例えばある生成物から別の生成物への変換、例えばグルコースからトリプトファン、トリプトファンからインドール-3-ピルビン酸、インドール-3-ピルビン酸からMP、MPからモナチン、またはインドール-3-乳酸(インドール−乳酸)からインドール-3-ピルビン酸への変換は、これらの経路で起きる。
生合成経路内でのこれらの変換は、化学的および/または生物学的変換により促進される。用語「変換する」は、第1の中間体を第2の中間体に変化させる反応において、化学的手段または少なくとも1つのポリペプチドを使用することを意味する。変換はインビボまたはインビトロで起きる。用語「化学的変換」は、ポリペプチドにより活発に促進はされない反応を意味する。用語「生物学的変換」は、1つ以上のポリペプチドにより活発に促進される反応を意味する。生物学的変換が使用される時、ポリペプチドおよび/または細胞は、化学的結合によりポリマー支持体上に固定化することができる。変換は当業者に公知の反応槽を使用して、例えばバッチ反応槽または連続的反応槽中で行われる。
生物学的変換を行うのに使用できるポリペプチドおよびそのコード配列の例を、図1〜3と11〜13に示す。修飾されるポリペプチドの基質特異性および/または活性を可能にする1つ以上の点突然変異を有するポリペプチドを使用して、モナチンが製造される。かかるポリペプチドを発現する単離された組換え細胞を、モナチンを産生するのに使用することができる。これらの細胞は、任意の細胞、例えば植物、動物、細菌、酵母、藻類、古細菌、または真菌細胞でもよい。
例えばモナチン産生細胞は1つ以上の(例えば2つ以上の、または3つ以上の)以下の活性を有する:トリプトファンアミノ転移酵素(EC2.6.1.27)、チロシン(芳香族)アミノ転移酵素(EC2.6.1.5)、トリプトファン脱水素酵素(EC1.4.1.19)、グルタミン酸脱水素酵素(EC1.4.1.2、1.4.1.3、1.4.1.4)、フェニルアラニン脱水素酵素(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.28)、多基質アミノ転移酵素(EC2.6.1.-)、アスパラギン酸アミノ転移酵素(EC2.6.1.1)、L-アミノ酸酸化酵素(EC1.4.3.2)、トリプトファン酸化酵素(EC番号無し、Hadarら、J. Bacteriol. 125:1096-1104, 1976、およびFuruyaら、Biosci Biotechnol Biochem 64:1486-93, 2000)、D-トリプトファンアミノ転移酵素(KoshibaとMito、第8回ビタミンB6とカルボニル触媒の国際シンポジウムの議事録、大阪、日本、1990)、D-アミノ酸脱水素酵素(EC1.4.99.1)、D-アミノ酸酸化酵素(EC1.4.3.3)、D-アラニンアミノ転移酵素(EC2.6.1.21)、シンターゼ/リアーゼ(EC4.1.3.-)、例えば4-ヒドロキシ-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.16)または4-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17)、および/またはシンターゼ/リアーゼ(4.1.2.-)。
他の例では細胞は1つ以上の(例えば2つ以上の、または3つ以上の)以下の活性を有する:インドール酢酸脱水素酵素(EC1.1.1.110)、R-4−ヒドロキシフェニル酢酸脱水素酵素(EC1.1.1.222)、3-(4)-ヒドロキシフェニルピルビン酸還元酵素(EC1.1.1.237)、乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.27、1.1.1.28、1.1.2.3)、(3-イミダゾール-5-イル)乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.111)、乳酸酸化酵素(EC1.1.3.-)、シンターゼ/リアーゼ(4.1.3-)、例えば4-ヒドロキシ-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.16)または4-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17)、シンターゼ/リアーゼ(4.1.2.-)、トリプトファンアミノ転移酵素(EC2.6.1.27)、チロシン(芳香族)アミノ転移酵素(EC2.6.1.25)、トリプトファン脱水素酵素(EC1.4.1.19)、グルタミン酸脱水素酵素(EC1.2.1.2、1.4.1.3、1.4.1.4)、フェニルアラニン脱水素酵素(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.28)、多基質アミノ転移酵素(EC2.6.1.-)、アスパラギン酸アミノ転移酵素(EC2.6.1.1)、D-トリプトファンアミノ転移酵素、D-アミノ酸脱水素酵素(EC1.4.99.1)、および/またはD-アラニンアミノ転移酵素(EC2.6.1.21)。
さらに細胞は1つ以上の(例えば2つ以上の、または3つ以上の)以下の活性を有する:トリプトファンアミノ転移酵素(EC2.6.1.27)、チロシン(芳香族)アミノ転移酵素(EC2.6.1.5)、トリプトファン脱水素酵素(EC1.4.1.19)、グルタミン酸脱水素酵素(EC1.4.1.2、1.4.1.3、1.4.1.4)、フェニルアラニン脱水素酵素(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.28)、多基質アミノ転移酵素(EC2.6.1.-)、アスパラギン酸アミノ転移酵素(EC2.6.1.1)、L-アミノ酸酸化酵素(EC1.4.3.2)、トリプトファン酸化酵素、D-トリプトファンアミノ転移酵素、D-アミノ酸脱水素酵素(EC1.4.99.1)、D-アミノ酸酸化酵素(EC1.4.3.3)、D-アラニンアミノ転移酵素(EC2.6.1.21)、インドール乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.110)、R-4-ヒドロキシフェニル乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.222)、3-(4)-ヒドロキシフェニルピルビン酸還元酵素(EC1.1.1.237)、乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.27、1.1.1.28、1.1.2.3)、(3-イミダゾール-5-イル)乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.111)、乳酸酸化酵素(EC1.1.3.-)、シンターゼ/リアーゼ(EC4.1.3.-)、例えば4-ヒドロキシ-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.16)または4-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17)、および/またはシンターゼ/リアーゼ(4.1.2.-)。
さらなる例として、細胞は1つ以上の以下のアルドラーゼ活性を有する:KHGアルドラーゼ、ProAアルドラーゼ、KDPGアルドラーゼおよび/または関連ポリペプチド(KDPH)、トランスカルボキシルベンザルピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ、4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブテ-2-エノエートアルドラーゼ、トランス-O-ヒドロキシベンジリデンピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ、3-ヒドロキシアスパラギン酸アルドラーゼ、ベンゾインアルドラーゼ、ジヒドロネオプテリンアルドラーゼ、L-スレオ-3-フェニルセリンベンズアルデヒド−リアーゼ(フェニルセリンアルドラーゼ)、4-ヒドロキシ-2-オキソバレリン酸アルドラーゼ、1,2-ジヒドロキシベンジルピルビン酸アルドラーゼ、および/または2-ヒドロキシベンザルピルビン酸アルドラーゼ。
モナチンは、トリプトファンおよび/またはインドール-3-乳酸に第1のポリペプチドを接触させ[ここで第1のポリペプチドは、トリプトファンおよび/またはインドール-3-乳酸をインドール-3-ピルビン酸に変換する(トリプトファンまたはインドール-3-乳酸のDまたはL型を基質として使用することができ、これはインドール-3-ピルビン酸に変換される;この工程で選択されるポリペプチドは適切な特異性を有することが理想的であることを、当業者は理解するであろう)]、生じるインドール-3-ピルビン酸に第2のポリペプチドを接触させ[ここで第2のポリペプチドは、インドール-3-ピルビン酸を2-ヒドロキシ2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸(MP)に変換する]、そしてMPに第3のポリペプチドを接触させる(ここで第3のポリペプチドはMPをモナチンに変換する)ことを含む方法により産生することができる。これらの変換に使用できるポリペプチドの例を図2と3に示す。
1つ以上の生物学的変換により生合成経路でモナチンを産生することは、いくつかの利点を有する。例えば特異的ポリペプチドおよび/またはいくつかの基質を生合成経路で使用することにより、特定の立体異性体が過剰の混合物を産生することができ、および/または1つ以上の立体異性体を実質的に含まないモナチン混合物を産生することができる。
モナチン組成物は、モナチン合成で使用される方法の結果として不純物を含有することができる。純粋に合成的手段(すなわち、少なくとも1つの生物学的変換を含まない)により産生されるモナチン組成物は、生合成経路により産生されるモナチン組成物とは異なる不純物を含有する。例えば使用される原料により、純粋に合成的手段により産生されるモナチン組成物は、ヒトが消費するのに適さない石油化学的、毒性の、および/または他の有害な汚染物質(例えば、LDA、水素−Pd/C、ジアゾメタン、KCN、グリニャール試薬、およびNa/Hg)を含むことがある。一方生合成経路により産生されるモナチン組成物は、食用および/または飲用可能な不純物を含むが、石油化学的、毒性の、および/または他の有害な物質は含まないと考えられる。
1つ以上の生物学的変換を介して生合成経路でモナチンを産生する方法は、純粋に合成的な手段と比較して、毒性のまたは有害性のより小さい汚染物質を産生し、および/またはより高率の特定の立体異性体を提供することができる。例えば、D-アミノ酸脱水素酵素、D-アラニン(アスパラギン酸)アミノ転移酵素、D-芳香族アミノ転移酵素、またはD-メチオニンアミノ転移酵素を使用してモナチンを製造する時は、少なくとも60%のR,Rモナチンと40%未満のS,S、S,Rおよび/またはR,Sモナチンとを得ることができると考えられる。また例えば、上記D-酵素、ならびにR-立体配置の炭素を有する少なくとも1つの基質(例えば、モナチン前駆体)を使用してモナチンを製造する時、少なくとも95%のR,Rモナチンと5%未満のS,S、S,Rおよび/またはR,Sモナチンとを得ることができる。これに対して純粋に合成的手段によりモナチンを製造する時は、約25%〜50%の所望の立体異性体が得られると考えられる。
ある実施態様において、例えば1つ以上の生物学的変換を含む生合成経路を介してモナチンを製造する方法は、石油化学的、毒性の、および/または他の有害な汚染物質は生成しない。「石油化学的、毒性の、および/または他の有害な汚染物質」は、石油化学的、毒性の、有害な、および/またはヒトが消費するのに不適切な任意の物質であり、純粋に合成的手段を介してモナチンを製造する時に原料として提供されるかまたは生成される汚染物質を含む。別の実施態様において、例えば1つ以上の生物学的変換を含む生合成経路を介してモナチンを産生する方法は、食用または飲用の物質のみを生成する。「食用または飲用の物質」とは、ヒトが食べたり飲んだりするのに適しているか、またはヒトが消費するのに安全な1つ以上の化合物または物質を意味する。食用または飲用の物質の例には、モナチン、トリプトファン、ピルビン酸、グルタミン酸、他のアミノ酸、ならびに体内に自然に存在する他の化合物もしくは物質を意味する。
ある実施態様においてチューインガム組成物は、ガム基剤部分と可溶性部分とを含み、可溶性部分はモナチンまたはその塩を含む。別の実施態様において、可溶性部分はさらに柑橘類風味を含む。別の実施態様において可溶性部分はさらに柑橘類風味を含み、ここでモナチンまたはその塩は柑橘類風味により与えられる風味を増強する量で存在する。別の実施態様において可溶性部分はさらに、シクラメートおよび/またはエリスリトールを含む。
別の実施態様において、モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物は、モナチンまたはその塩の代わりにショ糖を含有する同じ量のチューインガム組成物より、少ないカロリーと炭水化物とを含む。別の実施態様においてチューインガム組成物はモナチンまたはその塩を含み、う食原生が無い。別の実施態様においてチューインガム組成物は、チューインガム組成物中にモナチンの代わりにアスパルタームまたはスクラロースが使用された他の強力甘味剤と比較して、長期の甘味と明らかなまたは増強された風味を与える量で存在するモナチンまたはその塩を含む。
別の実施態様において、モナチンにより与えられる増強された長期の甘味を有するモナチンで甘くしたチューインガム組成物の製造法は、(a)生合成経路を介してモナチンまたはその塩を産生するステップ;(b)モナチンまたはその塩を他の成分と組合せるステップ;および(c)チューインガム組成物を生成するステップとを含んでなる。別の実施態様においてチューインガム組成物はモナチンまたはその塩を含み、モナチンまたはその塩は増強された長期の甘味を与える量で存在する。ある実施態様においてチューインガム組成物は、アスパルタームまたはスクラロースと比較して長期の甘味を与える量で存在するモナチンまたはその塩を含む。
別の実施態様においてチューインガム組成物は、約0.001〜約1.1wt%のモナチンまたはその塩を含む。例えばチューインガム組成物は約0.25wt%〜約1.1wt%のモナチンまたはその塩を含有してもよい。別の実施態様においてチューインガム組成物は約0.009〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩を含有する。例えばチューインガム組成物は約0.015〜約0.025wt%のR,Rモナチンまたはその塩を含有してもよい。別の実施態様においてチューインガム組成物は約0.1〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含有する。例えばチューインガム組成物は約0.25〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含有するか、または約0.15〜約0.88wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含有するか、または約0.25wt%〜約0.88wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含有してもよい。別の実施態様においてチューインガム組成物は約0〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含有し、約0〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩を含有する。
別の実施態様においてチューインガム組成物は、S,Sモナチンまたはその塩を実質的に含まないかまたはR,Rモナチンまたはその塩を実質的に含まないモナチンまたはその塩を含む。他の実施態様においてチューインガム組成物は、約0.1wt%またはそれ以下のR,Rモナチンまたはその塩を含み、S,S、S,R、またはR,Sモナチンまたはその塩を実質的に含まない。ある実施態様においてチューインガム組成物は、約1.1wt%またはそれ以下のS,Sモナチンまたはその塩を含み、R,R、S,R、またはR,Sモナチンまたはその塩を実質的に含まない。
ある実施態様においてチューインガム組成物は、基本的にR,Rモナチンまたはその塩からなるか、または基本的にS,Sモナチンまたはその塩からなる。別の実施態様においてチューインガム組成物は、立体異性体的に過剰のR,Rモナチンまたはその塩を含むか、または立体異性体的に過剰のS,Sモナチンまたはその塩を含む。ある実施態様においてモナチンまたはその塩は少なくとも95%のR,Rモナチンまたはその塩、または少なくとも95%のS,Sモナチンまたはその塩を含む。
ある実施態様においてチューインガム組成物は、生合成経路により産生されたモナチンまたはその塩を含む。ある実施態様においてチューインガム組成物は、ガム基剤部分と、モナチンまたはその塩を含む可溶性部分とからなり、該部分のすべての成分は天然のものである。別の実施態様において、モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物は生体分解性である。生体分解性チューインガム組成物は、例えば乳酸共重合体、タンパク質、ジェルトン、ペリロ、ソルバ、マッサランズババラタ、マッサランズバチョコレート、ニスペロ、ロシンヂンハ、チクル、グッタハンカン、アラビノガラクタン、アラビアゴム、キサンタン、またはこれらの混合物を含んでよい。
別の実施態様において、チューインガム組成物はガム基剤部分と可溶性部分とを含み、ここで可溶性部分は立体異性体的に過剰のモナチン混合物を含み、かつモナチン混合物は生合成経路により産生される。別の実施態様において生合成経路は多工程経路であり、多工程経路の少なくとも1つの工程は化学的変換である。別の実施態様においてモナチン混合物は主にR,Rモナチンまたはその塩であるか、または主にS,Sモナチンまたはその塩である。別の実施態様において、チューインガム組成物はガム基剤部分と可溶性部分とを含み、ここで可溶性部分は生合成経路により産生されたモナチン組成物を含み、かつモナチン組成物は石油化学的、毒性の、または有害な汚染物質を含有しない。他の実施態様において、チューインガム組成物は生合成経路により産生され組換え細胞から単離されたモナチンまたはその塩を含み、かつ組換え細胞は石油化学的、毒性の、または有害な汚染物質を含有しない。
ある実施態様においてチューインガム組成物はガム基剤部分と可溶性部分とを含み、ここでガム基剤部分は3〜50wt%のエラストマー;0.5〜25wt%の軟化剤;2〜30wt%の乳化剤;5〜75wt%の樹脂;および0〜20wt%の充填剤を含む。ある実施態様においてエラストマーは、天然ゴム、天然ガム、および合成エラストマーから選択される。ある実施態様において天然ゴムは、スモークラテックス、液体ラテックス、およびグアユールゴムから選択される。ある実施態様において天然ガムは、ジェルトン、ペリロ、ソルバ、マッサランズババラタ、マッサランズバチョコレート、ニスペロ、ロシンヂンハ、チクル、グッタハンカンから選択される。ある実施態様において合成エラストマーは、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、およびビニルポリマー性エラストマーから選択される。
ある実施態様において軟化剤には、1つ以上のタロー、水素化タロー、水素化植物油、部分水素化植物油、ココアバター、モノステアリン酸グリセロール、トリ酢酸グリセロール、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、脂肪酸を含む。ある実施態様において充填剤は、1つ以上のレシチン、イヌリン、ポリデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、研摩石灰石、ケイ酸アルミニウム、タルク、粘土、アルミナ、二酸化チタン、およびリン酸カルシウムを含む。ある実施態様において乳化剤は、モノステアリン酸グリセロール、レシチン、ポリグリセロールポリリシノール酸、またはステアリン酸マグネシウムである。ある実施態様において樹脂は、ロジンエステル、テルペン樹脂、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、または酢酸ビニル−ラウリル酸ビニル共重合体である。ある実施態様においてロジンエステルは、部分的水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分的ダイマー化ロジンのグリセロールエステル、ロジンのグリセロールエステル、部分的水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、または部分的水素化ロジンのメチルエステルである。ある実施態様において乳化剤と軟化剤は異なる化合物である。別の実施態様において乳化剤と充填剤は異なる化合物である。別の実施態様において軟化剤と充填剤は異なる化合物である。
ある実施態様において可溶性部分は、バルク甘味剤を含む。バルク甘味剤は、例えばトウモロコシ甘味剤、ショ糖、ブドウ糖、転化糖、デキストリン、フルクトース、レブロース、コーンシロップ固体、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、またはこれらの組合せでもよい。ある実施態様において可溶性部分は、強力甘味剤または低血糖性炭水化物をさらに含む。強力甘味剤または低血糖性炭水化物は、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、水素化デンプン加水分解物、キシリトール、アリテーム、タウマチン、スクラロース、アスパルターム、アセスルフェムK、ジヒドロカルコン、サッカリン、ネオテーム、シクラメート、ステビオシド、モグロシド、タガトース、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、グリチルリチン、フィロヅルシン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、クルクリン、ミラクリン、およびペンタジンでもよい。
ある実施態様において可溶性部分はさらに、風味剤を含有する。例えば風味剤は、精油、果実風味剤、合成風味、またはこれらの組合せでもよい。精油は、例えばペパーミント油、スペアミント油、またはウインターグリーン油でもよい。ある実施態様において果実風味剤は、例えば、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、グレープフルーツ、シトロン、キンカン、バナナ、サクランボ、リンゴ、パイナップル、ブドウ、イチゴ、トゥッティフルッティ、スイカ、またはこれらの組合せの抽出物、エッセンスまたは油を含む。
ある実施態様においてチューインガム組成物は、ガム基剤部分と可溶性部分とを含み、ここで可溶性部分はR,RとS,Sモナチンまたはその塩の混合物を含む。別の実施態様において可溶性部分は、モナチンまたはその塩とアセスルフェムKとの混合物を含む。ある実施態様においてチューインガム組成物は約0.1〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩と約0.1〜約0.3wt%のアセスルフェムKとを含むか、または約0.25wt%以上〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩と約0.1〜約0.3wt%のアセスルフェムKとを含む。別の実施態様においてチューインガム組成物は、約0.05〜約0.7wt%のS,Sモナチンまたはその塩と約0.01〜約0.2wt%のアセスルフェムKとを含むか、または約0.009〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩をと約0.01〜約0.3wt%のアセスルフェムKとを含む。
ある実施態様においてチューインガム組成物は、ガム基剤部分と可溶性部分とを含み、ここで可溶性部分は封入されたモナチン混合物を含む。ある実施態様においてガム基剤部分は15〜30wt%の組成物を含む。別の実施態様において可溶性部分は、バルク甘味剤、強力甘味剤、または低血糖性炭水化物、および風味剤をさらに含む。
ある実施態様においてモナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物の製造法は、グルコース、トリプトファン、インドール-3-乳酸、インドール-3-ピルビン酸、およびモナチン前駆体から選択される少なくとも1つの基質からモナチンまたはその塩を産生することを含む。ある実施態様においてこの方法は、モナチンまたはその塩を、モナチンまたはその塩ではない少なくとも1つの他の成分と組合せることを含む。ある実施態様において本発明により製造されるチューインガム組成物は、約0〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含有し、約0〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩を含有する。ある実施態様において本発明により製造されるチューインガム組成物は、約0.25〜約1.1wt%のモナチンまたはその塩を含有する。
別の実施態様においてモナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物の製造法は、生合成経路を介してモナチンまたはその塩を産生することを含む。別の実施態様においてモナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物の製造法は、少なくとも1つの生物学的変換を使用してモナチンまたはその塩を産生することを含む。
ある実施態様においてモナチン組成物を含むチューインガム組成物の製造法は、(a)組換え細胞中で生合成経路を介してモナチンまたはその塩を産生する;(b)組換え細胞からモナチン組成物を単離することを含み、ここでモナチン組成物はモナチンまたはその塩と他の食用または飲用の物質とからなる。別の実施態様においてチューインガム組成物は、モナチンまたはその塩と、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、アリテーム、タウマチン、スクラロース、アスパルターム、アセスルフェムK、ジヒドロカルコン、サッカリン、ネオテーム、シクラメート、ステビオシド、モグロシド、タガトース、イソマルト、ラクチトール、グリチルリチン、フィロヅルシン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、クルクリン、ミラクリン、およびペンタジンから選択される少なくとも1つの他の成分とを含む。
ある実施態様においてモナチン組成物を含むチューインガム組成物の製造法は、生合成経路でモナチン組成物を産生することを含み、ここでモナチン組成物は石油化学的、毒性の、または有害な汚染物質を含まない。別の実施態様においてモナチン組成物を含むチューインガム組成物の製造法は、多工程プロセスで基質からモナチン組成物を製造することを含み、ここで多工程経路の1つ以上の工程は生物学的変換工程であり、モナチン組成物は石油化学的、毒性の、または有害な汚染物質を含まない。
ある実施態様においてモナチン組成物を含むチューインガム組成物の製造法は、生合成経路でモナチン組成物を産生することを含み、ここでモナチン組成物はモナチンまたはその塩と他の食用または飲用の物質からなる。別の実施態様においてモナチン組成物を含むチューインガム組成物の製造法は、多工程プロセスで基質からモナチン組成物を製造することを含み、ここで多工程経路の1つ以上の工程は生物学的変換工程であり、モナチン組成物はモナチンまたはその塩と他の食用または飲用の物質とからなる。
本明細書に記載の教示から、本発明の具体例は上記態様ならびに他の態様の1つまたは組合せに関することは、当業者に明らかであろう。
詳細な説明
モナチン産生のための生合成経路の概説
用語と方法の以下の説明は、本開示をより詳細に説明し、本開示の実施において当業者を助けるように提供される。本明細書において「含む」は「含んでなる」を意味する。さらに単数形「a」または「an」または「the」は、特に明記しない場合は複数形も含む。本明細書において「チューインガム」はすべてのタイプのチューインガムに言及し、機能性ガムおよび風船ガムを含む。「機能性ガム」は、少なくとも1つの機能的または医学的成分を含むチューインガムを意味する。例えば機能性ガムは薬物(例えばニコチン、アスピリン、または乗り物酔い治療薬(例えば、ジメンヒドリネート))、または栄養物質(例えばビタミンおよび/またはミネラル))、または化粧品成分(例えば、歯の白化および/または息清涼化成分)を与えることができる。
図1〜3および11〜13に示すように、モナチンまたはその中間体(例えばインドール-3-ピルビン酸またはMP)を産生するのに多くの生合成経路を使用することができる。各基質(例えば、グルコース、トリプトファン、インドール-3-乳酸、インドール-3-ピルビン酸、およびMP)の各生成物(例えば、トリプトファン、インドール-3-ピルビン酸、MPおよびモナチン)への変換のために、いくつかの異なるポリペプチドを使用することができる。さらにこれらの反応は、インビボ、インビトロ、またはインビボ反応とインビトロ反応の組合せ(例えば非酵素的化学反応を含むインビトロ反応)により行うことができる。従って図1〜3および11〜13は例示的であり、所望の生成物を得るのに使用可能な複数の異なる経路を示す。
グルコースからトリプトファンへ
多くの生物はグルコースからトリプトファンを合成することができる。グルコースおよび/またはトリプトファンからモナチン、MP、および/またはインドール-3-ピルビン酸を産生するのに必要な遺伝子を含有する構築体を、かかる生物中にクローニングすることができる。トリプトファンはモナチンに変換できることが本明細書で証明される。
他の例では、公知のポリペプチドを使用してトリプトファンを産生するように、またはトリプトファンを過剰産生するように生物を操作することができる。例えば米国特許第4,371,614号は、野生型トリプトファンオペロンを含有するプラスミドで形質転換した大腸菌(E.coli)株を記載する。
米国特許第4,371,614号に開示されたトリプトファンの最大力価は約230ppmである。同様に国際公開第8701130号パンフレットは、トリプトファンを産生するように遺伝子操作した大腸菌(E.coli)株を記載し、L-トリプトファンの発酵生産の上昇を考察している。当業者は、グルコースからトリプトファンを産生できる生物はまた、他の炭素源およびエネルギー源を使用して、同様の結果でグルコースまたはフルクトース-6-リン酸に変換できることを認識するであろう。炭素源とエネルギー源の例には、特に限定されないがショ糖、フルクトース、デンプン、セルロース、またはグリセロールがある。
トリプトファンからインドール-3-ピルビン酸へ
トリプトファンをインドール-3-ピルビン酸に変換するのにいくつかのポリペプチドを使用することができる。ポリペプチドの例には、特に限定されないが、酵素分類(EC)2.6.1.27、1.4.1.19、1.4.99.1、2.6.1.28、1.4.3.2、1.4.3.3、2.6.1.5、2.6.1.-、2.6.1.1、および2.6.1.21のメンバーがある。これらのクラスには特に限定されないが、トリプトファンアミノ転移酵素と呼ぶポリペプチド(L-フェニルアラニン-2-オキソグルタル酸アミノ転移酵素、トリプトファントランスアミナーゼ、5-ヒドロキシトリプトファン-ケトグルタル酸トランスアミナーゼ、ヒドロキシトリプトファンアミノ転移酵素、L-トリプトファンアミノ転移酵素、L-トリプトファントランスアミナーゼ、およびL-トリプトファン:2-オキソグルタル酸アミノ転移酵素とも呼ばれる)、これはL-トリプトファンおよび2-オキソグルタル酸をインドール-3-ピルビン酸とL-グルタミン酸に変換する;D-トリプトファンアミノ転移酵素、これはD-トリプトファンと2-オキソ酸をインドール-3-ピルビン酸とアミノ酸に変換する;トリプトファン脱水素酵素(NAD(P)-L-トリプトファン脱水素酵素、L-トリプトファン脱水素酵素、L-Trp-脱水素酵素、TDHおよびL-トリプトファン:NAD(P)酸化還元酵素(脱アミノ化)とも呼ばれる)、これはL-トリプトファンとNAD(P)をインドール-3-ピルビン酸とNH3およびNAD(P)Hに変換する;D-アミノ酸脱水素酵素、これはD-アミノ酸とFADをインドール-3-ピルビン酸とNH3およびFADH2に変換する;トリプトファン-フェニルアラニントランスアミナーゼ(L-トリプトファン-α-ケトイソカプロン酸アミノ転移酵素およびL-トリプトファン:フェニルピルビン酸アミノ転移酵素とも呼ばれる)、これはL-トリプトファンとフェニルピルビン酸をインドール-3-ピルビン酸とL-フェニルアラニンに変換する;L-アミノ酸酸化酵素(オフィオ-アミノ酸酸化酵素およびL-アミノ酸:酸素酸化還元酵素(脱アミノ化)とも呼ばれる)、これはL-アミノ酸およびH2OおよびO2を2-オキソ酸およびNH3およびH2O2に変換する;D-アミノ酸酸化酵素(オフィオ-アミノ酸酸化酵素およびD-アミノ酸:酸素酸化還元酵素(脱アミノ化)とも呼ばれる)、これはD-アミノ酸およびH2OおよびO2を2-オキソ酸およびNH3およびH2O2に変換する;およびトリプトファン酸化酵素、これはL-トリプトファンおよびH2OおよびO2をインドール-3-ピルビン酸およびNH3およびH2O2に変換する。これらのクラスはまた、チロシン(芳香族)アミノ転移酵素、アスパラギン酸アミノ転移酵素、D-アミノ酸(またはD-アラニン)アミノ転移酵素、および広域(多基質)アミノ転移酵素を含有し、これらは複数のアミノ転移酵素活性を有し、その一部はトリプトファンと2-オキソ酸とインドール-3-ピルビン酸とアミノ酸に変換することができる。
かかる活性を有するアミノ転移酵素クラスの11個のメンバーは後述の実施例1に記載され、配列番号11と12に示す新規アミノ転移酵素を含む。従って本開示は、配列番号11と12に記載の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する、それぞれ単離された核酸配列およびアミノ酸配列を提供する。また本開示には、配列番号11と12に記載の配列の断片および融合体が包含され、これらは、アミノ転移酵素活性を有するかまたはアミノ転移酵素活性を保持するポリペプチドをコードする。断片の例には特に限定されないが、配列番号11の少なくとも10、12、15、20、25、50、100、200、500、または1000個の連続的ヌクレオチド、または配列番号12の少なくとも6、10、15、20、25、50、75、100、200、300、または350個の連続的アミノ酸配列がある。開示された配列(およびその変種、断片、および融合体)はベクターの一部でもよい。ベクターは宿主細胞を形質転換し、こうしてトリプトファンからインドール-3-ピルビン酸を産生できる組換え細胞を産生し、ある例ではさらにMPおよび/またはモナチンを産生することができる。
L-アミノ酸酸化酵素(1.4.3.2)は公知であり、配列はいくつかの異なる供給源、例えばビペラ・レベチン(Vipera lebetine)(sp P81375)、オフィオファグス・カナー(Ophiophagus hannah)(sp P81383)、アグキストロドン・ロドストーマ(Agkistrodon rhodostoma)(sp P81382)、クロタルス・アトロクス(Crotalus atrox)(sp P56742)、ブルコルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、アラビドプシス・タリアーナ(Arabidopsis thaliana)、カウロバクタ・クレセンツス(Caulobacter cresentus)、緑藻クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、およびロードコッカス(Rhodococcus)株から単離することができる。さらに、トリプトファン酸化酵素が文献に記載されており、例えば、コプリヌス(Coprinus)種SF-1、根こぶ病を有するチャイニーズキャベツ、アラビドプシス・タリアーナ(Arabidopsis thaliana)、および哺乳動物の肝臓から単離することができる。トリプトファンをインドール-3-ピルビン酸に変換できるL-アミノ酸酸化酵素クラスの1つのメンバーが、後述の実施例3に、および分子クローニングの別の供給源として考察される。多くのD-アミノ酸酸化酵素遺伝子は分子クローニングのデータベースから入手できる。
トリプトファン脱水素酵素は公知であり、例えばホウレン草、ピスム・サチブム(Pisum sativum)、プロソピス・ジュリフローラ(Prosopis juliflora)、エンドウ(pea)、メスキート(mesquite)、コムギ、トウモロコシ、トマト、タバコ、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)、および乳酸菌(Lactobacilli)から単離することができる。多くのD-アミノ酸脱水素酵素の遺伝子配列が公知である。
図11〜13に示すように、アミノ酸酸化酵素(例えばトリプトファン酸化酵素)がトリプトファンをインドール-3-ピルビン酸に変換するために使用されるなら、カタラーゼを加えて過酸化水素の存在を低下または排除することができる。
インドール-3-乳酸からインドール-3-ピルビン酸へ
インドール-3-乳酸をインドール-3-ピルビン酸に変換する反応は、種々のポリペプチド(例えば1.1.1.110、1.1.1.27、1.1.1.28、1.1.2.3、1.1.1.222、1.1.1.237、1.1.3.-、または1.1.1.111クラスのポリペプチドのメンバー)により触媒される。1.1.1.110クラスのポリペプチドには、インドール乳酸脱水素酵素(インドール乳酸:NAD+酸化還元酵素とも呼ばれる)がある。1.1.1.27、1.1.1.28および1.1.2.3クラスには、乳酸脱水素酵素(乳酸脱水素酵素、乳酸塩:NAD+酸化還元酵素とも呼ばれる)。1.1.1.222クラスは、(R)-4-ヒドロキシフェニル乳酸脱水素酵素(D-芳香族乳酸脱水素酵素、R-芳香族乳酸脱水素酵素、およびR-3-(4-ヒドロキシフェニル)乳酸:NAD(P)+2-酸化還元酵素とも呼ばれる)を含み、1.1.1.237クラスは、3-(4-ヒドロキシフェニルピルビン酸)還元酵素(ヒドロキシフェニルピルビン酸還元酵素および4-ヒドロキシフェニル乳酸:NAD+酸化還元酵素とも呼ばれる)を含む。1.1.3.-クラスは乳酸酸化酵素を含み、1.1.1.111クラスは(3-イミダゾール-5-イル)乳酸脱水素酵素((S)-3-(イミダゾール-5-イル)乳酸:NAD(P)+酸化還元酵素とも呼ばれる)を含む。これらのクラスのポリペプチドのいくつかのは、インドール-3-乳酸からのインドール-3-ピルビン酸の産生を可能にする。本変換の例は実施例2に提供される。
またインドール-3-乳酸をインドール-3-ピルビン酸に変換するのに化学反応を使用することもできる。かかる化学反応には、いくつかの方法を使用して行われる酸化工程がある、例えば:B2触媒(China Chemical Reporter, vol.13, no.28, pg.18(1), 2002)、希薄過マンガン酸塩および過塩素酸塩または過酸化水素を金属触媒の存在下で使用する空気酸化。
インドール-3-ピルビン酸から2-ヒドロキシ2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸(MP)へ
いくつかの公知のポリペプチドを使用して、インドール-3-ピルビン酸をMPに変換することができる。ポリペプチドクラスの例には、4.1.3.-、4.1.3.16、4.1.3.17、および4.1.2.-がある。これらのクラスは、炭素−炭素シンターゼ/リアーゼ(例えば2つのカルボン酸基質の変換を触媒するアルドラーゼ)がある。ポリペプチドクラスEC4.1.3.-は、求電子体としてオキソ酸基質(例えばインドール-3-ピルビン酸)を使用して炭素−炭素結合を形成するシンターゼ/リアーゼであり、EC4.1.2.-は、求電子体としてアルデヒド基質(例えばベンズアルデヒド)を使用して炭素−炭素結合を形成するシンターゼ/リアーゼである。
例えばEP1045-029に記載のポリペプチド(EC4.1.3.16、4−ヒドロキシ-2-オキソグルタル酸グリオキシレートリアーゼ、4-ヒドロキシ-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ、2-オキソ-4-ヒドロキシグルタル酸アルドラーゼ、またはKHGアルドラーゼとも呼ばれる)は、グリオキシル酸とピルビン酸を4−ヒドロキシ-2-ケトグルタル酸に変換し、ポリペプチド4−ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17、4−ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸ピルビン酸−リアーゼまたはProAアルドラーゼとも呼ばれる)は2つのケト酸(例えば2つのピルビン酸)を縮合させて4−ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタレートを与える。これらのリアーゼを利用する反応は本明細書に記載される。
図1〜2と11〜13は、これらの反応(3-炭素(C3)分子がインドール-3-ピルビン酸と組合わされる)の略図を示す。EC4.1.2.-と4.1.3.-の多くのメンバー(特にPLP-利用ポリペプチド)が、アミノ酸(例えばセリン、システイン、およびアラニン)であるC3分子またはこれらの誘導体を利用することができる。EC4.1.2.-と4.1.3.-の代表に触媒されるアルドール縮合は、ピルビン酸またはピルビン酸の誘導体になるためにこの経路の3炭素分子を必要とする。しかし、他の化合物はC3炭素源として機能し、ピルビン酸に変換することができる。アラニンは、多くのPLP-利用性トランスアミナーゼ(その多くは前述した)によりトランスアミネート化されてピルビン酸を与える。ピルビン酸とアンモニアは、L-セリン、L-システイン、および充分な脱離基(例えば、O-メチル-L-セリン、O-ベンジル-L-セリン、S-メチルシステイン、S-ベンジルシステイン、S-アルキル-L-システイン、O-アシル-L-セリン、および3-クロロ-L-アラニン)を有するセリンとシステインの誘導体のベータ脱離反応(例えば、トリプトファナーゼまたはβ-チロシナーゼにより触媒されるもの)により得ることができる。アスパラギン酸は、PLP-介在ベータリアーゼ反応、例えばトリプトファナーゼ(EC4.1.99.1)および/またはまたはβ-チロシナーゼ(EC4.1.99.2、チロシン−フェノールリアーゼとも呼ばれる)により触媒されるもの反応でピルビン酸の供給源として機能する。ベータリアーゼ反応の速度は、Mouratouら(J. Biol. Chem. 274:1320-5、1999)と実施例8に記載のように(4.1.99.1〜2)ポリペプチドに部位特異的突然変異誘発を行うことにより上昇させることができる。これらの修飾は、ポリペプチドがジカルボキシアミノ酸基質を受容することを可能にする。乳酸塩もまたピルビン酸の供給源として機能し、乳酸脱水素酵素および酸化補助因子または乳酸酸化酵素と酸素の添加により、ピルビン酸に酸化することができる。これらの反応の例は後述される。例えば図2と図11〜13に示すように、ピルビン酸がC3分子として使用される時、ProAアルドラーゼをインドール-3-ピルビン酸と接触させることができる。
MPはまた、化学反応(例えば、実施例5に記載のアルドール縮合反応)を使用して生成することができる。
MPからモナチンへ
MPからモナチンへの変換は以下の1つ以上により触媒することができる:トリプトファンアミノ転移酵素(2.6.1.27)、トリプトファン脱水素酵素(1.4.1.19)、D-アミノ酸脱水素酵素(1.4.99.1)、グルタミン酸脱水素酵素(1.4.1.2-4)、フェニルアラニン脱水素酵素(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(2.6.1.28)、またはより一般的にアミノ転移酵素ファミリー(2.6.1.-)のメンバー、例えばアスパラギン酸アミノ転移酵素(EC2.6.1.1)、チロシン(芳香族)アミノ転移酵素(2.6.1.5)、D-トリプトファンアミノ転移酵素、またはD-アラニン(2.6.1.21)アミノ転移酵素(図2)。アミノ転移酵素クラスの11個のメンバーは後述され(実施例1)、配列番号11と12に示すクラスの新規メンバーを含み、アミノ転移酵素および脱水素酵素の活性を証明する反応を実施例7に示す。
この反応は化学反応を使用して行うこともできる。ケト酸(MP)のアミノ化は、アンモニアとシアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用して還元アミノ化により行われる。
図11〜13は、MPをモナチンに変換するのに使用でき、インドール-3-ピルビン酸またはトリプトファンからのモナチンの収率を上昇させる追加のポリペプチドを示す。例えばアミノドナーとしてアスパラギン酸が使用されるなら、アスパラギン酸アミノ転移酵素を使用してアスパラギン酸をオキサロ酢酸に変換することができる(図11)。オキサロ酢酸は、ジカルボキシラーゼ(例えばオキサロ酢酸ジカルボキシラーゼ)によりピルビン酸と二酸化炭素に変換される(図11)。さらに、リジンがアミノドナーとして使用されるなら、リジンイプシロンアミノ転移酵素を使用してリジンをアリシンに変換することができる(図12)。アリシンは自然に1-ピペリデイン6-カルボキシレートに変換される(図12)。MPをモナチンに変換するのに、還元アミノ化反応を触媒することが可能なポリペプチド(例えば、グルタミン酸脱水素酵素)が使用されるなら、NAD(P)Hをリサイクルしおよび/または揮発性生成物を産生することができるポリペプチド(図13)(例えばギ酸脱水素酵素)を使用することができる。
生合成経路の設計における追加の考慮事項
インドール-3-ピルビン酸、MP、および/またはモナチンを作製するのにどのポリペプチドが使用されるかに依存して、生成物生成を増強させるために産生株に補助因子、基質、および/または追加のポリペプチドを提供することができる。さらに遺伝子修飾を設計して、インドール-3-ピルビン酸、MP、および/またはモナチンのような生成物の産生を増強することができる。同様にモナチン産生に使用される宿主細胞を最適化することができる。
過酸化水素の除去
過酸化水素(H2O2)は、生成した場合、産生細胞、産生されるポリペプチドまたは生成物(例えば、中間体)を傷害する可能性がある。上記のL-アミノ酸酸化酵素はH2O2を生成物として産生する。従ってL-アミノ酸酸化酵素が使用されるなら、生じるH2O2を除去しそのレベルを低下させて、細胞または生成物への傷害の可能性を低下させるすることができる。
細胞中のH2O2のレベルを低下させるのにカタラーゼを使用することができる(図11〜13)。産生細胞はカタラーゼ(EC1.11.1.6)をコードする遺伝子またはcDNA配列を発現することができ、カタラーゼは水と酸素ガスへの過酸化水素の分解を触媒する。例えばカタラーゼは、産生細胞でトランスフェクトしたベクターから発現することができる。使用可能なカタラーゼの例には特に限定されないが以下がある:tr|Q9EV50(スタフィロコッカス・キシローサス(Staphylococcus xylosus))、tr|Q9KBE8(バシルス・ハロヅランス(Bacillus halodurans))、tr|Q9URJ7(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans ))、tr|P77948(ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor))、tr|Q9RBJ5(キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris))(スイスプロット(SwissProt)受け入れ番号)。L-アミノ酸酸化酵素、D-アミノ酸酸化酵素、またはトリプトファン酸化酵素を使用する生物触媒性反応物質はまた、カタラーゼポリペプチドを含有してもよい。
ピリドキサール5'-リン酸(PLP)利用可能性の調節
図1に示すように、PLPは本明細書に記載の生合成工程の1つ以上で使用することができる。PLPの濃度は、PLPが反応の全体効率の律速にならないように補足することができる。
ビタミンB6(PLPの前駆体)の生合成経路は大腸菌(E.coli)で詳細に研究されており、一部のタンパク質は結晶化されている(Laberら、FEBS Letters, 449:45-8, 1999)。2つの遺伝子(epdまたはgapBとserC)が他の代謝経路で必要であり、3つの遺伝子(pdxA、pdxB、およびpdxJ)がピリドキサールリン酸生合成に特異的である。大腸菌(E.coli)経路中の出発物質の1つは1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸(DXP)である。共通の2および3炭素の中心代謝物からのこの前駆体の合成は、ポリペプチドの1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸シンターゼ(DXS)により触媒される。他の前駆体は、4-炭素糖であるD-エリトロース-4-リン酸から生成されるスレオニン誘導体である。ホスホ-4-ヒドロキシル-Lスレオニン(HTP)への変換に必要な遺伝子は、epd、pdxB、およびserCである。PLPの生成の最後の反応は複雑な分子内縮合とDXPとHTPとの閉環反応であり、pdxAとpdxJの遺伝子生成物により触媒される。
モナチンを産生するための発酵中にPLPが律速栄養物質になるなら、産生宿主細胞中の経路遺伝子の1つ以上の発現上昇によりモナチンの収率を上昇させることができる。宿主生物は、その未変性の経路遺伝子の複数のコピーを含有することができるか、または非未変性の経路遺伝子のコピーを生物のゲノムに導入してもよい。さらにサルベージ経路遺伝子の複数のコピーを宿主生物中にクローニングしてもよい。
すべての生物で保存されている1つのサルベージ経路は、ビタミンB6の種々の誘導体を活性PLP型にリサイクルする。この経路に関与するポリペプチドは、pdxKキナーゼ、pdxH酸化酵素、およびpdxYキナーゼである。これらの遺伝子の1つ以上の過剰発現は、PLP利用可能性を上昇させることができる。
ビタミンB6レベルは、宿主生物中の生合成経路遺伝子の代謝制御の排除または抑制により上昇させることができる。PLPは、細菌ルラボバクテリウム(Flavobacterium)種238-7株の前駆体スレオニン誘導体の生合成に関与するポリペプチドを抑制する。代謝制御のはずれたこの細菌株はピリドリサール誘導体を過剰産生し、20mg/LまでのPLPを放出する。同様の方法でモナチンを産生する宿主生物の遺伝子操作は、生合成経路遺伝子の過剰発現無しでPLPの産生上昇を可能にするであろう。
アンモニウム利用
トリプトファナーゼ反応は、アンモニアをより利用し易くし水を除去することにより、合成方向(インドールからトリプトファンの合成)に向かわせることができる。例えばグルタミン酸脱水素酵素により触媒されるような還元アミノ化反応はまた、過剰のアンモニウムにより前進させられる。
アンモニウムは、炭酸またはリン酸緩衝液系で炭酸アンモニウムまたはリン酸アンモニウム塩として利用できるようになる。あるいはアンモニアはまた、ピルビン酸アンモニウムまたはギ酸アンモニウムとして提供することができる。あるいは反応が、アンモニアを生成する反応と共役している(例えばグルタミン酸脱水素酵素またはトリプトファン脱水素酵素)なら、アンモニアを供給することができる。アンモニアはEC4.1.99.-の天然の基質(チロシンまたはトリプトファン)の添加により生成することができ、これはフェノールまたはインドール、ピルビン酸、およびNH3に加水分解される。これはまた、酵素がその好適な基質を加水分解することを可能にして、通常の平衡量以上に合成生成物の収率を上昇させることを可能にする。
生成物と副産物の除去
トリプトファンアミノ転移酵素を介するトリプトファンからインドール-3-ピルビン酸への変換は、グルタミン酸を産生し同時基質である2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)を必要とするため、インドール-3-ピルビン酸の産生速度に悪影響を与える。グルタミン酸は、アミノ転移酵素の阻害を引き起こし、反応は多量の同時基質を消費する。さらにグルタミン酸の高濃度は下流の分離プロセスに有害である。
ポリペプチドであるグルタミン酸脱水素酵素(GLDH)はグルタミン酸を2-オキソグルタル酸に変換し、こうしてトリプトファンアミノ転移酵素により触媒される反応で同時基質をリサイクルさせる。GLDHはまた、還元性同等物(NADHまたはNADPH)を生成し、これは好気的条件下で細胞のエネルギー(ATP)を生成するのに使用することができる。GLDHによるグルタミン酸の利用はまた、副産物の生成を低下させる。さらにこの反応はアンモニアを生成し、これは細胞の窒素源となり、図1に示す最終工程の還元アミノ化の基質として機能する。従ってGLDHポリペプチドを過剰発現する産生細胞は、収率を上昇させ培地および/または分離プロセスのコストを低下させるのに使用することができる。
トリプトファンからモナチンへの経路において、適切な酵素クラスからのアミノ転移酵素が使用されるなら、第3の工程のアミノドナー(例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸)は工程1に必要なアミノアクセプター(例えば、2-オキソグルタル酸またはオキサロ酢酸)に逆変換することができる。この経路の2つの別のトランスアミナーゼの利用(ここで、1つのトランスアミナーゼの基質は他のトランスアミナーゼの活性を競合的に阻害はしない)は、この経路の効率を上昇させることができる。
記載の経路の反応の多くは可逆性であり、従って基質と生成物との間で平衡に達する。経路の収率は、ポリペプチドから生成物の連続的除去により上昇させることができる。例えば、パーミアーゼまたは他の輸送タンパク質を使用する発酵ブロスへのモナチンの分泌、または基質の同時リサイクルを有する生物触媒性反応物流からのモナチンの選択的結晶化は、反応収率を上昇させるであろう。
追加の酵素反応を介するかまたはアミノドナー基の置換を介する副産物の除去は、反応収率を上昇させる他の方法である。いくつかの例が実施例13に記載され、図11〜13に示される。例えば、相変化(蒸発)によりまたは非反応性の最終生成物(例えば二酸化炭素)への自然の変換により、逆方向の反応に利用できない副産物を産生することができる。
基質プールの調節
トリプトファン前駆体の産生を上昇させるかおよび/またはインドール-3-ピルビン酸および/またはトリプトファンが関与する分解経路を改変することにより、インドールプールを調節することができる。例えば、インドール-3-ピルビン酸からのインドール-3-酢酸の産生は、宿主細胞中のEC4.1.1.74をコードする遺伝子を機能的に欠失させることにより低下または排除することができる。トリプトファンからのインドールの産生は、宿主細胞中のEC4.1.99.1をコードする遺伝子を機能的に欠失させることにより低下または排除することができる。あるいは過剰のインドールを、EC4.1.99.1をコードする増加した量の遺伝子(Kawasakiら、J. Ferm. and Bioeng., 82:604-6, 1996)と組合せて、インビトロまたはインビボプロセスの基質として利用することができる。さらに遺伝子修飾を行って、D-エリトロース-4-リン酸およびコリスミ酸のような中間体のレベルを上昇させることができる。
トリプトファン産生は多くの生物で制御されている。1つの機構は経路のいくつかの酵素のフィードバック阻害を介するものである;トリプトファンレベルが上昇するとトリプトファン産生速度が低下する。すなわちトリプトファン中間体を介してモナチンを産生するように操作した宿主細胞を使用すると、トリプトファン濃度に感受性ではない生物を使用することができる。例えば、種々のトリプトファン類似体による増殖阻害に対して耐性であるカタランツス・ロゼウス(Catharanthus roseus)の株は、高濃度の5-メチルトリプトファンへの繰り返し暴露により選択された(SchallenbergとBerlin, Z Naturforsch 34:541-5, 1979)。この株の生じるトリプトファンシンターゼ活性は、おそらく遺伝子中の変異のために、生成物阻害の影響をあまり受けなかった。同様に、モナチン産生に使用される宿主細胞は最適化することができる。
トリプトファン産生は、生成物阻害にあまり感受性ではないポリペプチドを進化させるための有向進化(directed evolution)の使用により最適化することができる。例えば、培地中にトリプトファンを含有しないプレートでスクリーニングを行うことができるが、高レベルの非代謝性トリプトファン類似体を使用する。米国特許第5,756,345号;4,742,007号;および4,371,614号は、発酵生物中のトリプトファン生産性を上昇させるのに使用される方法を記載する。トリプトファン生合成の最後の工程は、インドールへのセリンの添加である;従ってセリンの利用可能性を上昇させてトリプトファン産生を上昇させることができる。
発酵微生物により産生されるモナチンの量は、宿主生物により産生されるピルビン酸の量を増加させることにより増加させることができる。いくつかの酵母、例えばトリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)(Wangら、Lett. Appl. Microbiol. 35:338-42, 2002)およびトルロプシス・グラブラータ(Torulopsis glabrata)(Liら、Appl Microbiol. Biotechnol. 57:451-9, 2001)、はピルビン酸を過剰産生し、本明細書に開示の方法を実施するのに使用することができる。さらにピルビン酸産生を促進するために、例えば大腸菌(E.coli)株W1485lip2(Kawasakiら、J. Ferm. and Bioeng. 82:604-6, 1996)のような生物に遺伝子修飾を行うことができる。
キラリティーの制御
モナチンの味プロフィールは、その立体化学(キラリティ)を制御することにより改変できる。例えば異なる食物系について異なる混合物の濃度中で、異なるモナチン立体異性体が好ましい。キラリティは、pHとポリペプチドの組合せを介して制御することができる。
Figure 2007502117
アルファ炭素の脱プロトン化と再プロトン化によりモナチンのC-4位置のラセミ化(上記の番号付けした分子を参照)が起き、これはpHのシフト、またはラセマーゼのような酵素に結合したかまたは溶液中で遊離の補助因子PLPとの反応により起きる。微生物では、pHはラセミ化を引き起こすのに充分なシフトは起きにくいが、PLPは豊富である。ポリペプチドのキラリティを制御する方法は、モナチン産生に使用される生合成経路に依存する。
図2に示す経路を使用してモナチンが生成される時、以下が考慮される。生物触媒反応では炭素-2のキラリティは、インドール-3-ピルビン酸をMPに変換する酵素により測定することができる。複数の酵素(例えば、EC4.2.1.-、4.1.3.-から)がインドール-3-ピルビン酸をMPに変換し、従って所望の立体異性体を生成する酵素が選択される。あるいはインドール-3-ピルビン酸をMPに変換する酵素の鏡像異性を有向進化を使用して修飾するか、または触媒性抗体を操作して所望の反応を触媒することができる。いったんMPが産生されると(酵素的にまたは化学的縮合により)、例えば本明細書に記載のようなトランスアミナーゼを使用して立体異性的にアミノ基を付加することができる。D-またはL-芳香族酸アミノ転移酵素が使用されるかどうかにより、炭素-4のRまたはS配向を生成する。ほとんどのアミノ転移酵素はL-立体異性体に特異的である;しかしいくつかの植物にはD-トリプトファンアミノ転移酵素が存在する(KohibaとMito、第8回ビタミンB6とカルボニル触媒の国際シンポジウムの議事録、大阪、日本、1990)。さらにD-アラニンアミノ転移酵素(2.6.1.21)、D-メチオニン-ピルビン酸アミノ転移酵素(2.6.1.41)、および(R)-3-アミノ-2-メチルプロパン酸アミノ転移酵素(2.6.1.61)と(S)-3-アミノ-2-メチルプロパン酸アミノ転移酵素(2.6.1.22)の両方が同定されている。いくつかのアミノ転移酵素は、C2炭素の特定の配向のみでこの反応の基質を受容する。従ってMPへの変換が立体異性的ではなくても、トランスアミナーゼの適切な選択により最終生成物の立体化学を制御することができる。反応は可逆的であるため、未反応のMP(好ましくない立体異性体)はその成分に戻して、MPのラセミ混合物を再生成することができる。
基質の活性化
本明細書に開示の反応にホスホエノールピルビン酸(PEP)のようなリン酸化基質を使用することができる。リン酸化基質はエネルギー的により好ましく、従って反応速度および/または収率を上昇させるのに使用することができる。アルドール縮合では、リン酸基の付加は求核性基質のエノール互変異性を安定化させ、こうしてより反応性にする。他の反応ではリン酸化基質は良好な脱離基を提供する。同様に基質は、CoA誘導体またはピロリン酸誘導体への変換により活性化することができる。
チューインガム組成物におけるモナチンの使用
モナチンのS,S立体異性体はショ糖より重量で約50〜200倍甘い。モナチンのR,R立体異性体はショ糖より重量で約2000〜2400倍甘い。モナチンの甘味は甘味比較法(試験甘味溶液は、一連の標準溶液の1つに対して甘味強度を一致させる)により熟練した官能評価者を使用して計算される。
特に、ショ糖と比較した甘味剤の甘味が、甘味評価法に熟練した官能評価者のパネルを使用して評価される。すべての試料(同じ緩衝液中)は二重測定で22℃±1℃の温度で提供される。試料溶液は、例えば0.16%(v/w)クエン酸と0.02%(v/w)クエン酸ナトリウム(ほぼpH3.0)からなる緩衝液を使用して調製される。3桁のランダム数字コードでコードした試験溶液をランダムな順序で個別にパネリストに提供する。0.5%(w/v)ショ糖の段階的に上昇する2.0〜10.0%(w/v)の範囲のショ糖参照標準物質も提供する。パネリストは、試験溶液の甘味をショ糖標準物質と比較して甘味を評価するように求められる。これは試験溶液を3回すすって次に水を1回すすり、次にショ糖を3回すすって次に水を1回すすったりして行われる。パネリストは、甘味を小数点1桁(例えば6.8、8.5)まで評価するように求められる。試験溶液の評価の間には5分間の休憩を入れる。パネリストはまた、キャリーオーバー作用を小さくするために、よくすすいでクラッカーを食べる用に求められる。
熟練官能評価者のパネルにより測定されたショ糖相当値(SEV)(例えば、%ショ糖)は、モナチン濃度の関数としてプロットして用量応答曲線を得る。用量応答曲線に多項曲線あてはめを適用し、これを使用して、ショ糖相当値(SEV)をモナチン濃度(例えば%モナチン)で割って特定の点(例えば8%SEV)の甘味強度または力価を計算する。例えば図15(R,R/S,Sモナチン用量応答曲線);図14(R,Rモナチン用量応答曲線)を参照されたい。
モナチンは消費に適した濃度では水溶液に可溶性である。モナチン立体異性体の種々の混合物はいくつかのマトリックス中で、または他の甘味剤と混合すると定性的に優れている。モナチンと他の甘味剤との混合物を使用して、甘味強度および/またはプロフィールを最大にし、コストを最小にすることができる。モナチンは、ショ糖に似ている一時的プロフィールを生成するためにまたは他の利点のために、他の甘味剤および/または他の成分と組合せて使用される。
例えばモナチンは、特定の風味プロフィールまたはカロリー目標を達成するために、他の栄養性および非栄養性甘味剤と混合してもよい。すなわち甘味剤組成物は、モナチンと以下の甘味剤例の1つ以上との組合せを含む:(1)糖アルコール(例えば、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ラクチロール、キシリトール、イソマルト、低血糖性シロップ剤);(2)他の強力甘味剤(例えば、アスパルターム、スクラロース、サッカリン、アセスルフェムK、ステビオシド、シクラメート、ネオターム、タウマチン、アリテーム、ジヒドロカルコン、モネリン、グリチルリチン、モグロシド、フィロヅルシン、マビンリン、ブラゼイン、クルクリン、ペンタジンなど)、および(3)栄養甘味剤(例えば、ショ糖、タガトース、転化糖、フルクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)、グルコース/デキストロース、トレハロース、イソマルツロースなど)。モナチンは、あと味を抑え、他の風味(例えばレモン)を増強するかまたは一時的に風味プロフィールを改善するために、味調節物質としてかかる混合物で使用される。データはまた、モナチンがシクラメート(これはヨーロッパで使用されている)と定量的に相乗作用性であるが、アスパルターム、サッカリン、アセスルフェムK、スクラロース、または炭水化物甘味剤とで有意な定量的相乗作用は観察されていないことを示す。
モナチンは炭水化物ではないため、モナチンはチューインガム組成物中の炭水化物含量を低減させるように使用することができる。ある実施態様においてモナチンチューインガム組成物の量(例えばスティック)は、糖(例えば、ショ糖または高フルクトースコーンシロップ)を含有するチューインガム組成物の同じ量より、カロリーと炭水化物含量が少ない。別の実施態様においてモナチンを含むチューインガム組成物(例えばモナチンと1つ以上の炭水化物を含む)は、甘味剤として炭水化物のみを含む同様のガム組成物に匹敵する食感、風味、および甘味を与える。ある実施態様においてモナチンを含むチューインガム組成物の量は、モナチンの代わりにショ糖を含むチューインガム組成物の同じ量より少ないカロリーと炭水化物を含有する。
モナチンは乾燥型で安定であり、単独でまたは炭水化物と混合して好ましい味プロフィールを有する。不可逆的に分解することはないようであるが、低pH(水性緩衝液中)でラクトンおよび/またはラクタムを形成し、平衡に達する。これは、経時的に溶液中で4位でラセミ体を形成するが、典型的にはこれは高pHで起きる。一般にモナチンの安定性はアスパルタームに匹敵するかまたはそれ以上であり、モナチンの味プロフィールは他の甘味剤(例えば、アスパルターム、アリテーム、およびスクラロース)に匹敵するかまたはそれ以上である。モナチンは、他の強力甘味剤(例えばサッカリンおよびステビオシド)のような不快な後味が無い。
いくつかの実施態様において本発明のチューインガム組成物は、ガム基剤部分と、モナチンを含有する可溶性部分とを含む。用語「可溶性部分」中の用語「可溶性」は、この部分が口中および/または唾液中で溶解できることを意味する。ガム基剤部分は咀嚼の間口の中に保持され、可溶性部分は咀嚼中に経時的に風味の部分とともに消費される。ある実施態様において可溶性部分は、追加の成分(例えば、風味剤、着色剤、他の甘味剤、および/またはコーティング剤)を含有する。
一部の糖化ガムの例は、ショ糖であるコーティングを含む。他の実施態様においてチューインガム組成物は、糖を含まないと考えられる程度に調製される。いくつかの糖を含まないガムの例は、ソルビトール、マルチトール、イソルマルト、キシリトール、またはエリスリトールであるコーティング(シロップまたは結晶型で)を含む。チューインガム組成物は、風味、凍結乾燥フルーツおよび/または着色剤であるコーティングを随時含む。
ある実施態様においてモナチンは、チューインガム組成物の0.001〜1.1wt%(例えば、0.009〜1wt%、0.01〜0.3wt%、0.01〜0.04wt%、または0.02〜0.1wt%)の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値を含む(例えば、チューインガム組成物の0.001wt%、0.005wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、または0.025wt%)。モナチンは、1つの特定の立体異性体でもまたは異なる立体異性体の混合物でもよい。例えばモナチンのR,R立体異性体の0.009〜0.1wt%(例えば0.015〜0.025wt%)、またはモナチンのS,S立体異性体の0.1〜1.1wt%(例えば0.15〜0.08wt%)を、チューインガム組成物で使用することができる。
ガム基剤
ガム基剤の組成は典型的には、ガムがチューインガムであるか、風船ガムであるか、または機能性ガムであるかを決定する。ある実施態様においてガム基剤は不活性で非栄養性であり、以下の成分の組合せから作製される:エラストマー、軟化剤(可塑剤)、乳化剤、樹脂、および充填剤。組成物内の成分は一般に食物等級であると考えられ、一般に安全(GRAS)であるか、および/または米国食品医薬品局(FDA)認可されている。エラストマーはガムにゴム様の粘性を与え、例えば1つ以上の天然ゴム(例えば、スモークラテックス、液体ラテックス、およびグアユールゴム)、天然ガム、または合成エラストマーを含む。ある実施態様において天然ガムは、ジェルトン、ペリロ、ソルバ、マッサランズババラタ、マッサランズバチョコレート、ニスペロ、ロシンヂンハ、チクル、およびグッタハンカンを含む。例えばチクルは特に有用な天然ガムである。別の実施態様において合成エラストマーは、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、およびビニルポリマー性エラストマーを含む。ある実施態様においてエラストマーはガム基剤中に3〜70wt%(例えば、ガム基剤の3〜60wt%、3〜50wt%、5〜45wt%、10〜50wt%、15〜45wt%、または20〜40wt%)の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値を含む(例えば、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、または65wt%)。
樹脂はガム基剤の硬さを変化させるために使用することができ、ガム基剤のエラストマー成分を軟化させることを助ける。適当な樹脂の非限定例は以下の1つ以上を含む:ロジンエステル、テルペン樹脂(例えばα-ピネン、β-ピネンおよび/またはd-リモネンからのテルペン樹脂)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、および酢酸ビニル−ラウリル酸ビニル共重合体。ある実施態様においてロジンエステルは、部分的水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分的ダイマー化ロジンのグリセロールエステル、ロジンのグリセロールエステル、部分的水素化ロジンのペンタノエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、または部分的水素化ロジンのメチルエステルでもよい。ある実施態様において樹脂は、ガム基剤の約5〜75wt%の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値を含む。例えば樹脂は、ガム基剤の約5〜45wt%、10〜75wt%、10〜30wt%、15〜60wt%、または20〜50wt%の範囲の量で存在してもよい。
軟化剤(可塑剤としても知られている)は、チューインガム組成物の咀嚼の容易さおよび/または食感を修飾するのに使用することができる。ある実施態様において軟化剤は、油、脂肪、蝋、および乳化剤を含む。使用可能な非限定例には、例えばタロー、水素化タロー、ラード、水素化植物油、部分水素化植物油(例えば、ダイズ、カノーラ、綿実、ヒマワリ、ヤシ、ココナツ、トウモロコシ、ベニバナ、またはパーム核油)、ココアバター、モノステアリン酸グリセロール、トリ酢酸グリセロール、アビエチン酸グリセロール、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、および遊離脂肪酸がある。通常使用される蝋には、例えばポリプロピレン/ポリエチレン/フィッシャー-トロプシュ(Fisher-Tropsch)蝋、パラフィン、微結晶、および天然蝋(例えば、カンデリラ蝋、蜜蝋、およびカルナウバ蝋)がある。微結晶蝋(特に高度の結晶性を有するもの)はまた、増粘剤または品質改良剤と見なされる。ある実施態様においていくつかのコーンシロップ(例えばグローブ(Globe))は、他の糖と混合する前にガム基剤の軟化、およびこくと湿潤性を与える。別の実施態様において軟化剤は、ガム基剤の約0.5〜30wt%(例えば、0.5〜25wt%、0.5〜15wt%、または1〜7wt%)の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値を含む。
乳化剤は、非可溶性/可溶性相の均一な分散の生成を助け、また可塑性を有する。ある実施態様において適切な乳化剤には、モノステアリン酸グリセロール(GMS)、レシチン(ホスファチジルコリン)、ポリグリセロールポリリシノール酸(PPGR)、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、ジステアリン酸グリセロール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、トリ酢酸グリセロール、およびステアリン酸マグネシウムがある。別の実施態様において乳化剤は、ガム基剤の約1〜30wt%(例えば、ガム基剤の2〜30wt%、3〜20wt%、または5〜15wt%)の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値(例えば、5、10、15、20、または25wt%)を含む。
さらにチューインガム組成物は、組成物のガム基剤および/または可溶性部分中にアジュバントまたは充填剤を含む。適当なアジュバントまたは充填剤には、例えばレシチン、イヌリン、ポリデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、研摩石灰石、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、粘土、アルミナ、二酸化チタン、およびリン酸カルシウムがある。ある実施態様においてレシチンは、不活性充填剤として粘度を低下させるために使用される。別の実施態様において乳酸共重合体、タンパク質(例えばグルテンおよび/またはゼイン)、および/またはアラビアゴムをまた、より容易に生体分解性のガムを作製するために使用することができる。別の実施態様においてアジュバントまたは充填剤は、ガム基剤の最大20wt%(例えば、ガム基剤の1〜20wt%、1〜15wt%、1〜10wt%、2〜18wt%、または5〜15wt%)の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値を含む。
同様に、着色剤と漂白剤もまたチューインガム組成物に随時加えられ、例えばFD&Cタイプのレーキ、フルーツおよび植物抽出物、二酸化チタン、熱修飾アミノ酸、ココア粉末、またはこれらの混合物を含む。ある実施態様において着色剤と漂白剤は、ガム基剤の約0〜5wt%(例えば、0〜1wt%)の範囲の量で存在し、その範囲内の特定の値を含む。
ガム基剤の追加の成分は、1つ以上の抗酸化剤または保存剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール、βカロチン、没食子酸プロピル、酸味料(例えばビタミンC)を含むことができる。ある実施態様において抗酸化剤または保存剤はガム基剤の0〜0.2wt%(例えば、0〜約0.05wt%、0〜0.08wt%、0.05wt%、または0.1wt%)でもよい。
ある実施態様において組成物のガム基剤部分は、3〜50wt%のエラストマー、0.5〜25wt%の軟化剤、2〜30wt%の乳化剤、5〜75wt%の樹脂、および0〜20wt%の充填剤を含み、ガム基剤部分の総wt%は100である。ガム基剤は、例えば30wt%のテルペン樹脂、15wt%の水素化植物油(例えば水素化綿実油)、2wt%のレシチン、2.5wt%のポリイソブチレン、27wt%のポリ酢酸ビニル、12.45wt%の炭酸カルシウム、11wt%のイソブチレン−イソプレン共重合体、および0.05wt%のBHTを含有してもよい。
ある実施態様においてガム基剤部分はチューインガム組成物の約5〜95wt%でもよく、組成物の総wt%は100である。例えばガム基剤は、チューインガム組成物の約5〜80wt%、10〜50wt%、15〜30wt%、または約20〜35wt%でもよい。
可溶性部分
本発明のある実施態様においてチューインガム組成物の可溶性部分は、モナチン以外に、バルク甘味剤、軟化剤、強力甘味剤、風味剤、着色剤、アジュバント、充填剤、機能性ガムの成分(例えばニコチン)、またはこれらの組合せを含む。例えばバルク甘味剤は、こくと粘度ならびに所望のレベルの甘味を提供するのに使用することができる。ある実施態様においてバルク甘味剤は、糖有りと糖無しの両方があり、低血糖性炭水化物成分を含み、チューインガムのチューインガム組成物の約5〜95wt%(例えば、20〜80wt%、または30〜60wt%)を構成する。別の実施態様において糖甘味剤には、ショ糖、デキストロース(例えばセレロース(Cerelose)デキストロース)、マルトース、デキストリン、乾燥転化糖、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ固体などの単独または組合せがある。無糖の甘味剤および低血糖性炭水化物成分には特に限定されないが、タガトース、および糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マルチトール、水素化デンプン加水分解物、イソマルト、トレハロースなどの単独または組合せがある。
ある実施態様においてモナチンチューインガム組成物は、他の強力甘味剤および/または無糖の甘味剤を含む。多くの強力甘味剤はショ糖より少なくとも20倍甘い。これらには特に限定されないが、スクラロース、アスパルターム、アセスルフェム(例えばアセスルフェムK)、アリテーム、サッカリンとその塩、シクラミン酸とその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン(例えば、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン)、タウマリン、モネリン、ネオテーム、ステビオシド(ステビア・レバウジアーナ(Stevia rebbaudiana)の葉から抽出される)、モグロシド(ローハングオ(Lo Han Guo)フルーツから抽出される)、フィロヅルシン(ヒドランジア・マクロフィラ(Hydrangea macrophylla)の葉から抽出される、ショ糖より約400〜600倍甘い)、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジンなどの単独または組合せがある。ある実施態様において強力甘味剤はチューインガム組成物の0.001〜5wt%(例えば、チューインガム組成物の0.009〜1wt%)の範囲であり、その範囲内の特定の値を含む。例えば、アリテーム(ショ糖より2000倍甘い、2000×ショ糖)およびタウマチン(1600〜3000×ショ糖)のような強力甘味剤は、チューインガム組成物の約0.02〜0.10wt%で存在し、アスパルタームおよび同様の化合物(200×ショ糖)はチューインガム組成物の約0.1〜0.3wt%で存在する。別の実施態様において、モナチンおよび強力甘味剤(例えばシクラミン酸またはアセスルフェムK)はチューインガム組成物で使用することができる。例えば0.05〜0.7wt%のモナチン(例えばモナチンのS,S立体異性体)および0.01〜0.2wt%のアセスルフェムKをチューインガム組成物で使用することができる。
ある実施態様において、甘味増強剤(これは酸のような他の化合物の存在下でのみ甘い)もまたチューインガム組成物で使用することができる。甘味増強剤の非限定例にはクルクリンとミラクリン(100×ショ糖)がある。
別の実施態様において、甘味剤水溶液(例えば、ソルビトール、水素化デンプン加水分解物、コーンシロップ、ポリオールシロップ(例えば、マルチトールシロップ)、またはこれらの組合せを含むもの)もまた、ガム組成物の軟化剤および結合剤として使用することができる。
別の実施態様においてモナチンチューインガム組成物は、風味剤(天然のまたは人工的風味、およびこれらの組合せを含む)を含む。例えば風味剤はチューインガム組成物の約0.1〜15wt%(例えば、チューインガム組成物の0.1〜10wt%、0.2〜5wt%、または0.5〜3wt%)の範囲の量で存在してもよい。ある実施態様において風味剤は、精油、例えば植物または果実から得られる油、ペパーミント油、スペアミント油、他のミント油、クローブ油、シナモン油、ウインターグリーン、ベイ、タイム、シーダー葉、ナツメグ、オールスパイス、セージ、メース、アーモンド、アニスなどの油でもよい。別の実施態様において風味剤は、植物抽出物または果実エッセンス、例えばリンゴ、バナナ、スイカ、西洋ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、サクランボ、プラム、パイナップル、およびアプリコット、または果実風味剤の組合せ(例えばトゥッティフルッティ)である。別の実施態様において風味剤は、柑橘類風味、例えばレモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、グレープルルーツ、シトロンまたはキンカンの抽出物、エキスまたは油である。ある実施態様においてこれらの風味剤は、液体型または固体型、および個々にまたは混合物中で使用される。
随時成分、例えば着色剤、乳化剤、薬剤(例えば、ニコチン、アスピリン、ジメチルヒドリネート、カフェイン)、または栄養物質(例えば、カルシウムまたはビタミン)もまたチューインガム中に加えられる。適当な着色剤や乳化剤は前述した。
ある実施態様においてチューインガム組成物の1つ以上の成分を封入してもよい。例えばモナチンおよび/または他の強力甘味剤、着色剤、および/または風味剤を封入することができる。モナチンおよび/または他の強力甘味剤の封入は、目立つ甘味強度を増強し、甘味の持続を延長し、甘味剤の防御と安定性を改良する。封入はまた、風味剤を防御することができる。例えばかかる成分の封入法については米国特許第4,981,698号、5,004,595号、および5,266,335号を参照されたい。
任意のガム組成物がモナチンを含有することができる。ある実施態様においてガム組成物は、約17〜23wt%のガム基剤(例えば20wt%)、55〜65wt%のバルク甘味剤(例えば60wt%)、15〜21wt%のグルコースシロップ(例えば18wt%)、0.05〜0.15wt%の風味(例えば0.1wt%)、および0.05〜0.15wt%の他の添加剤(例えば0.1wt%)を含有する。ある実施態様においてチューインガム組成物は約20wt%のガム基剤、約3wt%のグリセリン、約8wt%のグルコース、約0.5wt%のレシチン、約1wt%の果実風味(例えば、イチゴ)、約0.07wt%の着色剤(例えば赤い着色剤)、約47wt%の糖、約20wt%のイヌリンまたはポリデキストリン充填剤、約0.15wt%のアセスルフェムK、および0.5wt%のS,Sモナチンを含有する。ある実施態様において約0.02wt%のモナチンを代用することによりアセスルフェムK/S,Sモナチン混合物の代わりにR,Rモナチンを使用することができ、残りはバルク糖または充填剤で充填することができる。
別の実施態様において無糖のガム組成物は、約21〜27wt%(例えば24.5wt%)の無糖のガム基剤、約13〜19wt%(例えば16.1wt%)のソルビトール溶液、約0.5〜2.0wt%(例えば1.5wt%)の風味剤(例えばミント風味)、約2〜3.5wt%(例えば2.8wt%)のグリセリン、および約0.009〜1.1wt%のモナチン(使用されるモナチン立体異性体の混合物により)、および約50〜60wt%(例えば55wt%)のソルビトール粉末を含む。
チューインガム組成物の調製
チューインガム組成物は公知の方法を使用して調製することができる。一般にチューインガムは、当該分野で公知の市販のミキサー(例えばシグマ(sigma)ブレードミキサー)に種々のチューインガム成分を順に加えることにより製造することができる。例えば米国特許第5,334,397号および5,800,848号を参照されたい。成分を完全に混合した後、ガムの塊をミキサーから出して、例えばシート中でころがしてスティック状に切断するか、塊中に押しだすか、またはペレットまたは錠剤に成形することにより、所望の形に成形することができる。種々のチューインガムおよび風船ガムの形が可能であり、例えばスティック、塊、錠剤、中央充填、ボール、果実形、タバコ形、コイン、チューブガム、および圧縮粉末ガムがある。
ある実施態様において、ガム基剤はまず溶融(例えば80〜125℃の温度で)され、運転しているミキサー中に加えられる。あるいはベースはミキサー自体の中で溶融してもよい。この時点で着色される。次に軟化剤をシロップおよび増量剤の一部とともに加えることができる。次に増量剤のさらなる部分をミキサーに加える。ある実施態様において、混合プロセスの最後に風味成分をガム混合物に加える。チューインガムは連続式またはバッチ式に作製することができる。コーンスターチまたはタルクを使用してチューインガム生成物に散布した後、包装する。
官能試験により、チューインガム組成物および/またはその成分(例えばコーティング)の味と舌ざわりを評価する。官能試験の例には、経口ランク付け試験と3点比較法がある。経口ランク付け試験では、同じ調製物を有するが異なる甘味剤を含むチューインガムを、3人以上のパネリストが並んで評価する。パネリストは各組成物の甘味強度をランク付けする。3点比較法では2つの試料が同じ調製物を有し、第3の参照/比較試料が異なる調製物を有する3つの試料のチューインガム組成物を、3人以上のパネリストに与える。パネリストは、他の2つとは異なる甘味または他の官能特性を有する調製物を決定するように求められる。
モナチン含有チューインガムは他の甘味剤を含有するガムと比較して、咀嚼中に長時間甘味を示し、寿命が長く、熱および酸安定性が大きく、味が良好でマーケティング的利点を有すると予測される。
実施例1
トリプトファンアミノ転移酵素のクローニングと発現
本例は、トリプトファンをインドール-3-ピルビン酸に変換するのに使用できるトリプトファンアミノ転移酵素をクローニングする方法を記載する。
実験の概説
アミノ転移酵素をコードする11個の遺伝子を大腸菌(E.coli)中にクローニングした。これらの遺伝子は、枯草菌(Bacillus subtilis)D-アラニンアミノ転移酵素(dat、ジーンバンク(GenBank)受け入れ番号Y14082.1 bp28622-29470、およびジーンバンク(GenBank)受け入れ番号NP_388848.1、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、シノリゾビウム・メリロチ(Sinorhizobium meliloti)(リゾビウム・メリロチ(Rhizobium meliloti)とも呼ばれる)チロシンアミノ転移酵素(tatA、配列番号1と2、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、ロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1株チロシンアミノ転移酵素(tatA、相同性により確認される、配列番号3と4、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、アール・スフェロイデス(R. sphaeroides)35053チロシンアミノ転移酵素(相同性により確認される、配列番号5と6、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、リーシュマニア・メージャー(Leishmania major)広域基質アミノ転移酵素(bsat、エル・メキシカーナ(L. mexicana)からのペプチド断片との相同性により確認される、配列番号7と8、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、枯草菌(Bacillus subtilis)芳香族アミノ転移酵素(araT、相同性により確認される、配列番号9と10、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、ラクトバシルス・アミロボルス(Lactobacillus amylovorus)芳香族アミノ転移酵素(araT、相同性により確認される、配列番号11と12、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、アール・スフェロイデス(R. sphaeroides)35053 多基質アミノ転移酵素(相同性により確認される、配列番号13と14、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、ロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1株多基質アミノ転移酵素(msa、相同性により確認される、ジーンバンク(GenBank)受け入れ番号AAAE01000093.1、bp14743-16155およびジーンバンク(GenBank)受け入れ番号ZP00005082.1、配列番号3と4、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、大腸菌(Escherichia coli)アスパラギン酸アミノ転移酵素(aspC、ジーンバンク(GenBank)受け入れ番号AE000195.1 bp2755-1565およびジーンバンク(GenBank)受け入れ番号AAC74014.1、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)、および大腸菌(E.coli)チロシンアミノ転移酵素(tyrB、配列番号31と32、それぞれ核酸配列とアミノ酸配列)であった。遺伝子をクローニングし、発現させ、トリプトファンのインドール-3-ピルビン酸への変換活性について、市販の酵素とともに試験した。すべての11個のクローンは活性があった。
所望の活性を有するポリペプチドを含有することができる細菌株の同定
NCBI(ナショナルセンター・フォー・バイオテクノロジーインフォメーション(National Center for Biotechnology Information))データベース中の遺伝子は、トリプトファンアミノ転移酵素と指定されたものはなかった。しかしこの酵素活性を有する生物が同定されている。L-トリプトファンアミノ転移酵素(TAT)活性は、以下の供給源からの細胞抽出物または精製タンパク質で測定されている:フェスツカ・オクトフローラ(Festuca octoflora)からのリゾバクテリア分離株、エンドウマメのミトコンドリアとサイトゾル、ヒマワリのクラウンゴール細胞、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)次亜種トリフォリ(trifoli)、エルウィニア・ヘルビコーラ(Erwinia herbicola)pvジプソフィリー(gypsophilae)、シュードモナス・シリンジー(Pseudomonas syringae)pv.サバスタノイ(savastanoi)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アゾスピリルム・リプフェルム(Azospirillum lipferum)とブラシレンス(brasilense)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、ブラディリゾビウム・エルカニイ(Bradyrhizobium elkanii)、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)、アゾトバクター・ビネランヂイ(Azotobacter vinelandii)、ラット脳、ラット肝臓、シノリゾビウム・メリロチ(Sinorhizobium meliloti)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)CHA0、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバシルス・カゼイ(Lactbacullus casei)、ラクトバシルス・ヘルベチクス(Lactbacullus helveticus)、コムギ実生、オオムギ、ファセオルス・アウレウス(Phaseolus aureus)(ヤエナリ(mung bean))、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)(カールスベルゲンシス(carlsbergensis))、リーシュマニア(Leishmania)種、トウモロコシ、トマト苗条、エンドウマメ植物、タバコ、ブタ、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、およびストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)。
実施例2
インドール-3-乳酸からインドール-3-ピルビン酸への変換
図1と3に示すようにインドール-3-乳酸を使用してインドール-3-ピルビン酸を製造することができる。乳酸とピルビン酸の間の変換は、インドール-3-ピルビン酸とインドール-3-乳酸との変換のように可逆的反応である。インドール乳酸の酸化は典型的には、インドール-3-ピルビン酸からの340nmでの多量のバックグランドにより起きる。
標準的アッセイ混合物は、0.1ml中に100mMのリン酸カリウム(pH8.0)、0.3mMのNAD+、7単位の乳酸脱水素酵素(LDH)(シグマ(Sigma)-L2395、セントルイス、ミズーリ州)、および2mMの基質を含有した。アッセイは、UV透過マイクロタイタープレート中でモレキュラーデバイシーズスペクトラマックスプラス(Molecular Devices SpectraMax Plus)プレートリーダーを使用して行った。ポリペプチドと緩衝液とを混合し、インドール-3-乳酸とNAD+とを含有するウェル中にピペットで入れ、短時間混合後、各ェルの340nmでの吸収を9秒間の間隔で読んだ。反応を25℃で5分間維持した。NAD+からのNADH産生により、340nmでの吸光度の増加が起きる。NAD+と基質の無い別の陰性対照を測定した。ロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)からのD-LDH(シグマ(Sigma)カタログ番号L2395)は、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)からのL-LDH(シグマ(Sigma)カタログ番号L5275)より、インドール誘導基質でより高い活性を示すようであった。
D-乳酸とNAD+またはNADHおよびピルビン酸(D-LDHポリペプチドの天然の基質)を用いて同様の方法を使用した。ピルビン酸の還元のVmaxは、乳酸の酸化のVmaxより100〜1000倍高かった。インドール-3-乳酸とD-LDHとの酸化反応のVmaxは乳酸との反応の約5分の1であった。インドール-3-ピルビン酸の存在はまた、0.5mM EDTAと0.5mM ヒ酸ナトリウムとを含有する50mM ホウ酸ナトリウム緩衝液を使用して、327(エノール−ホウ酸誘導体)での吸光度の変化により測定した。LおよびD-LDHポリペプチドについての陰性対照と比較して、小さいが再現性のある吸光度変化が観察された。
さらに広域特異性乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.27、EC1.1.1.28、および/またはEC1.1.2.3に関連する活性を有する酵素)をクローニングし、これを使用してインドール-3-乳酸からインドール-3-ピルビン酸を製造することができる。広特異性脱水素酵素の供給源には、大腸菌(E.coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、およびラクトバシルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)がある。
あるいはインドール-3-ピルビン酸はインドール-3-乳酸に、インドール乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.110)を含有するクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)からの細胞抽出物;またはp-ヒドロキシフェニル乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.222)(インドール-3-ピルビン酸に対する活性を有することが知られている)を含有するトリパノソーマ・クルジイ・エピマスチゴテス(Trypanosoma cruzi epimastigotes)細胞抽出物;またはイミダゾール-5-イル乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.111)を含有する、シュードモナス・アシドボランス(Pseudomonas acidovorans)または大腸菌(E.coli)細胞抽出物;またはヒドロキシフェニルピルビン酸還元酵素(EC1.1.1.237)を含有するコレウス・ブルメイ(Coleus blumei);またはD-芳香族乳酸脱水素酵素(EC1.1.1.222)を含有するカンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)を接触させることにより産生することができる。かかる活性を記載する文献には、Nowickiら(FEMS Microbiol Lett 71:119-24, 1992)、JeanとDeMoss(Canadian J. Microbiol. 14 1968)、CooteとHassall(Biochem. J. 111:237-9, 1969)、Corteseら(C.R. Seances Soc. Biol. Fil. 162 390-5, 1968)、PetersenとAlfermann(Z. Naturforsch. C: Biosci. 43 501-4, 1988)、およびBhatnagarら(J. Gen Microbiol 135:353-60, 1989)がある。さらにシュードモナス(Pseudomonas)種からのものような乳酸酸化酵素(Guら、J. Mol. Catalysis B: Enzymatic:18:299-305, 2002)は、インドール-3-乳酸のインドール-3-ピルビン酸への酸化に使用することができる。
実施例3
L-アミノ酸酸化酵素を使用するL-トリプトファンからインドール-3-ピルビン酸への変換
本例は、実施例1に記載したトリプトファンアミノ転移酵素を使用する代わりとして、酸化酵素(EC1.4.3.2.)を介してトリプトファンをインドール-3-ピルビン酸に変換するのに使用される方法を記載する。L-アミノ酸酸化酵素は、クロタルス・ヅリスス(Crotalus durissus)から精製された(シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、カタログ番号A-2805)。分子クローニングのためのL-アミノ酸酸化酵素の受け入れ番号は以下を含む:CAD21325.1、AAL14831、NP_490275、BAB78253、A38314、CAB71136、JE0266、T08202、S48644、CAC00499、P56742、P81383、O93364、P81382、P81375、S62692、P23623、AAD45200、AAC32267、CAA88452、AP003600、およびZ48565。
微量遠心分離管で総量1mlで37℃で振盪しながら10分間インキュベートして反応を行った。反応混合物は5mM L-トリプトファン、100mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.6)、0.5mM ヒ酸ナトリウム、0.5mM EDTA、25mM 四ホウ酸ナトリウム、0.016mg カタラーゼ(83U、シグマ(Sigma)C-3515)、0.008mg FAD(シグマ(Sigma))、および0.005〜0.125単位のL-アミノ酸酸化酵素を含有した。陰性対照はトリプトファン以外のすべての成分を含有し、ブランクは酸化酵素以外のすべての成分を含有した。カタラーゼは、酸化脱アミノ化中に生成されるH2O2を除去するために使用した。四ホウ酸ナトリウムとヒ酸はインドール-3-ピルビン酸のエノール−ホウ酸形(これは327nmで吸収極大を示す)を安定化させるのに使用した。インドール-3-ピルビン酸標準物質は、反応混合物中0.1〜1mMの濃度で調製した。
購入したL-アミノ酸酸化酵素は、1mgのタンパク質につき1分当たり540μgのインドール-3-ピルビン酸を生成する比活性を有した。これは、トリプトファンアミノ転移酵素の比活性と同じオーダーである。
実施例4
アルドラーゼを用いるインドール-3-ピルビン酸の2-ヒドロキシ2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸(MP)への変換
本例は、アルドラーゼ(リアーゼ)を使用してインドール-3-ピルビン酸をMPに変換するのに使用できる方法を記載する(図2)。アルドール縮合は、アルデヒドまたはケトンのβ炭素と他のアルデヒドまたはケトンのカルボニル炭素との間で炭素−炭素結合を生成する反応である。1つの基質のカルボニル基に隣接する炭素上にカルボアニオンが形成され、第2の基質のカルボニル炭素(求電子性炭素)を攻撃する求核体として機能する。より一般的には求電子性基質はアルデヒドであり、従ってほとんどのアルドラーゼはEC4.1.2.-分類に分類される。求核性基質はしばしばピルビン酸である。アルドラーゼが2つのケト酸または2つのアルデヒド間の縮合を触媒することは、あまり一般的ではない。
しかし2つのカルボン酸の縮合を触媒するアルドラーゼが同定されている。例えばEP1045-029は、シュードモナス(Pseudomonas)培養物(EC4.1.3.16)を使用してグリオキサル酸とピルビン酸からL-4-ヒドロキシ-2-ケトグルタル酸を製造することを記載する。さらに4-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸アルドラーゼ(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸ピルビン酸リアーゼ、EC4.1.3.17)は2つのケト酸の縮合を触媒することができる。従ってピルビン酸を用いてインドール-3-ピルビン酸の縮合を触媒するのに、同様のアルドラーゼポリペプチドを使用した。
クローニング
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸ピルビン酸リアーゼ(ProAアルドラーゼ、EC4.1.3.17)と4-ヒドロキシ-2-オキソグルタル酸グリオキザル酸リアーゼ(KHGアルドラーゼ、EC4.1.3.16)は、図2のアルドラーゼ反応に非常によく似た反応を触媒する。pET30 Xa/LICベクター(ノバゲン(Novagen)、マジソン、ウィスコンシン州)のための適合性のあるオーバーハングを有するプライマーを設計した。
proA遺伝子生成物による活性結果
シー・テストステロニ(C. testosteroni)proAとエス・メリロチ(S. meliloti)SMc00502遺伝子構築体はいずれも、IPTGで誘導すると高レベルの発現を有した。総タンパク質と細胞抽出試料をSDS-PAGE分析により測定すると、組換えタンパク質は高度に可溶性であった。シー・テストステロニ(C. testosteroni)遺伝子生成物を>95%の純度まで精製した。ヒス−バインド(His-Bind)カートリッジを使用して親和性精製した後は、エス・メリロチ(S. meliloti)遺伝子生成物の収率は非常に低かったため、酵素アッセイ用に細胞抽出物を使用した。
両方の組換えアルドラーゼはインドール-3-ピルビン酸とピルビン酸からのMPの生成を触媒した。酵素活性には2価マグネシウムとリン酸カリウムの両方の存在が必要であった。インドール-3-ピルビン酸、ピルビン酸、またはリン酸カリウムが存在しない時は、生成物が無かった。酵素の非存在下で少量の生成物が生成された(典型的には、酵素が存在する時より1オーダー低かった)。
逆相C18カラムからインドール-3-ピルビン酸標準物質より少し遅く生成物のピークが溶出し、このピークの質量スペクトルは、衝突で誘導される292.1の親イオン([M+H]+)(生成物MPについて予測される親イオン)を示した。質量スペクトル中に存在する主要な娘断片は、m/z=158(1H-インドール-3-カルボアルデヒドカルボニウムイオン)、168(3-ブタ-1,3-ジエニル-1H-インドールカルボニウムイオン)、274(292−H2O)、256(292−2H2O)、238(292−3H2O)、228(292−CH4O3)、および204(ピルビン酸の消失)を有するものを含んだ。生成物はまた、λmaxが279〜280で約290nmに小さいショルダーを有する、トリプトファンのような他のインドール含有化合物に特徴的なUVスペクトルを示した。
シー・テストステロニ(C. testosteroni)アルドラーゼが産生するMPの量は、反応温度(室温から37℃まで)、基質の量、およびマグネシウムの量が上昇するとともに上昇した。酵素の合成活性はpHの上昇とともに低下し、最大の生成物はpH7で観察された。トリプトファン標準物質に基づき、20μgの精製タンパク質を使用して標準測定法で産生されるMPの量は、1mlの反応物について約10〜40μgであった。
エス・メリロチ(S. meliloti)とシー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼコード配列と上記の他の遺伝子との高度の相同性のために、すべての組換え遺伝子生成物はこの反応を触媒できると予測される。さらに、59位と87位にスレオニン(T)、119位にアルギニン(R)、120位にアスパラギン酸、および31位と71位にヒスチジン(H)(シー・テストステロニ(C. testosteroni)の番号付けシステムに基づく)を有するアルドラーゼは、同様の活性を有するであろう。
khg遺伝子生成物による活性結果
枯草菌(B. subtilis)と大腸菌(E.coli)のkhg遺伝子構築体はいずれも、IPTGで誘導すると高レベルの発現を有したが、エス・メリロチ(S. meliloti)のkhgは低レベルの発現を有した。総タンパク質と細胞抽出物をSDS-PAGE分析により判断すると、組換えタンパク質は高度に可溶性であった。枯草菌(B. subtilis)と大腸菌(E.coli)のkhg遺伝子生成物を>95%の純度まで精製した;ヒス−バインド(His-Bind)カートリッジを使用して親和性精製した後はエス・メリロチ(S. meliloti)遺伝子生成物の収率はそれほど高くなかった。
マグネシウムとリン酸がこの酵素の活性に必要であるという証拠は無い。しかし文献は、リン酸ナトリウム緩衝液中で測定を行うことを報告し、酵素が2官能性であり、2-ケト-3-デオキシ-6-ホスホグルコネート(KDPG)のようなリン酸化基質に対する活性を有することを報告している。上記したように酵素測定を行い、ある場合にリン酸塩を省いた。結果は、組換えKHGアルドラーゼがMPを産生するが、ProAアルドラーゼほど活性が無いことを示す。ある場合にはKHGにより産生されるMPのレベルは、マグネシウムおよびリン酸塩単独により産生される量とほぼ同一であった。リン酸塩はKHG活性を上昇させないようであった。バチルス(Bacillus)酵素は最も高い活性を有し、SRMで測定すると(実施例10を参照)活性はマグネシウムやリン酸塩単独より約20〜25%高かった。シノリゾビウム(Sinorhizobium)酵素は最も低い活性を有し、これは発現における折り畳みと可溶性の問題に関連している可能性がある。すべての3つの酵素は活性部位グルタミン酸(枯草菌(B. subtilis)番号付けシステムで43位)とピルビン酸によるシッフ塩基生成に必要なリジン(130位)とを有した;しかし枯草菌(B. subtilis)酵素は47位にアルギニンではなくスレオニン(活性部位残基)を含有した。枯草菌(B. subtilis)KHGは小さく、活性部位スレオニンを有する他の酵素との、エス・メリロチ(S. meliloti)および大腸菌(E.coli)酵素とは明瞭に異なるクラスター中にあるようである。活性部位の差が、枯草菌(B. subtilis)酵素の上昇した活性の理由かも知れない。
アルドラーゼ活性の改良
触媒性抗体は、天然のアルドラーゼのように効率的であり、広範囲の基質を受容し、図2に示す反応を触媒するのに使用することができる。
アルドラーゼはまた、例えばリン酸塩の必要性を排除しエナンチオ選択性を逆転させるために、DNAシャフリングと誤りが出やすいPCRにより進化したKDPGアルドラーゼ(上記KHGと高度に相同性である)について前記したように、有向進化により改良することができる。KDPGアルドラーゼポリペプチドは、ドナー基質(ここではピルビン酸)に特異性が高いが、アクセプター基質(すなわちインドール-3-ピルビン酸)については比較的柔軟性があるため、生化学的反応において有用である(Koeller & Wong, Nature 409:232-9, 2001)。KHGアルドラーゼは、ピルビン酸と多くのカルボン酸との縮合活性を有する。KHGアルドラーゼの哺乳動物バージョンは、細菌バージョンより広い特異性を有すると考えられ、4−ヒドロキシ-4-メチル2-オキソグルタレートに対する高い活性と4−ヒドロキシ-2-ケトグルタレートの両方の立体異性体の受容を含む。細菌源は、R立体異性体について10倍の選択性を有するようである。ゲノムデータベースではほぼ100個のKHG同族体が利用可能であり、活性はシュードモナス(Pseudomonas)、パラコッカス(Paracoccus)、プロビデンシア(Providencia)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、モルガネラ(Morganella)、大腸菌(E.coli)、および哺乳動物組織で証明されている。これらの酵素は、モナチン生産に向かうエナンチオ特異性を調整するための出発点として使用することができる。
ピルビン酸および他の基質(ケト酸であるかおよび/またはインドールのような大きな疎水性基を有する)を利用するアルドラーゼは、ポリペプチドの特異性、速度、および選択性を調整するように「進化」させることができる。本明細書で証明したKHGとProAアルドラーゼ以外にこれらの酵素の例には、特に限定されないが以下を含む:KDPGアルドラーゼおよび関連ポリペプチド(KDPH);ノカルジオイデス(Nocardioides)stからのトランスカルボキシベンザルピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ;4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブテ-3-エノエートアルドラーゼ(2'-カルボキシベンザルピルビン酸アルドラーゼ)、これはピルビン酸と2-カルボキシベンズアルデヒド(芳香族環含有基質)とを縮合する;シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)とスフィンゴモナス・アロマチシボランス(Sphingomonas aromaticivorans)からのトランス-O-ヒドロキシベンジリデンピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ、これもまたピルビン酸と芳香族含有アルデヒドを基質として利用する;3-ヒドロキシアスパラギン酸アルドラーゼ(エリスロ-3-ヒドロキシ-L-アスパルテートグリオキシル酸リアーゼ)、これは基質として2-オキソ酸を使用し、微生物ミクロコッカス・デニトリフィカンス(Micrococcus denitrificans)中にあると考えられる;ベンゾインアルドラーゼ(ベンズアルデヒドリアーゼ)、これはベンジル基を含有する基質を利用する;ジヒドロネオプテリンアルドラーゼ;L-スレオ-3-フェニルセリンベンズアルデヒド-溶解物(フェニルセリンアルドラーゼ)、これは、グリシンとベンズアルデヒドとを縮合させる;4−ヒドロキシ-2-ケトグルタル酸アルドラーゼ;1,2-ジヒドロキシベンジルピルビン酸アルドラーゼ;および2-ヒドロキシベンザルピルビン酸アルドラーゼ。
所望の活性を有するポリペプチドは、以下の方法を使用して目的のクローンをスクリーニングすることにより選択することができる。トリプトファン栄養要求体は、発現カセット上に目的のクローンを有するベクターで形質転換され、少量のモナチンまたはMPを含有する培地中で増殖される。アミノ転移酵素とアルドラーゼ反応は可逆的であるため、細胞はモナチンのラセミ混合物からトリプトファンを産生することができる。同様に、炭素源およびエネルギー源としてMPまたはモナチンを利用する能力により生物(組換えおよび野生型の両方)をスクリーニングすることができる。標的アルドラーゼの1つの供給源は、種々のシュードモナス(Pseudomonas)とリゾバクテリア株の発現ライブラリーである。シュードモナス(Pseudomonades)は、芳香族分子を分解するための独特な異化経路を有し、これらはまた多くのアルドラーゼを含有する;リゾバクテリア(rhizobacteria)はアルドラーゼを含有し、植物の根圏で増殖することが知られており、モナチンの生合成経路の構築のために記載された多くの遺伝子を有する。
実施例5
モナチン前駆体の化学合成
実施例4は、インドール-3-ピルビン酸をMPに変換するためのアルドラーゼの使用を記載した。本例は、MPを化学合成するための代替法を記載する。MPは典型的なアルドール型縮合を使用して生成される(図4)。簡単に説明すると、典型的なアルドール型反応は、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)、リチウムヘキサメチルジシラザンまたはブチルリチウムのような強い塩基を使用してピルビン酸エステルのカルボアニオンの生成を含む。生成されるカルボアニオンはインドール−ピルビン酸と反応して共役生成物を形成する。
インドール窒素を防御するのに使用できる保護基には、特に限定されないが以下を含む:tert-ブチルオキシカルボニル(Box)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)。カルボン酸のブロック基には、特に限定されないがアルキルエステル(例えば、メチル、エチル、ベンジルエステル)を含む。かかる保護基が使用される時、生成される生成物の立体化学を制御することは不可能である。しかしR2および/またはR3がキラル保護基(図4)(例えば(S)-2-ブタノール、メントール、またはキラルアミン)である時、これは、他のものより1つのMPエナンチオマーの生成を促進する。
実施例6
トリプトファンまたはインドール-3-ピルビン酸のモナチンへの変換
2つの酵素(アミノ転移酵素とアルドラーゼ)を利用するインビトロ法は、トリプトファンとピルビン酸からモナチンを産生した。第1の工程でアルファケトグルタル酸は、インドール-3-ピルビン酸とグルタミン酸を生成するアミノ転移反応でトリプトファンからのアミノ基のアクセプターであった。アルドラーゼは第2の反応を触媒し、ここでピルビン酸はMg2+とリン酸塩の存在下でインドール-3-ピルビン酸と反応し、モナチン(MP)のアルファケトグルタル酸である2-ヒドロキシ2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸を生成した。第1の反応で生成したグルタミン酸からアミノ基の移動は、所望の生成物であるモナチンを産生した。生成物の精製と性状解析により、生成された立体異性体はS,Sモナチンであることが確定された。代替基質、酵素、および条件、ならびにこのプロセスを可能にした改良が記載される。
酵素
コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)からアルドラーゼ、4−ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソグルタル酸ピルビン酸リアーゼ(ProAアルドラーゼ、proA遺伝子)(EC4.1.3.17)が、実施例4に記載のようにクローニングされ、発現され、精製された。枯草菌(B. subtilis)、大腸菌(E.coli)、およびエス・メリロチ(S. meliloti)から4−ヒドロキシ-2-ケトグルタル酸グリオキシル酸リアーゼ(KHGアルドラーゼ)(EC4.1.3.16)が、実施例4に記載のようにクローニングされ、発現され、精製された。
モナチンを産生するためにアルドラーゼとともに使用されるアミノ転移酵素は、大腸菌(E.coli)aspC遺伝子にコードされるL-アスパラギン酸アミノ転移酵素、大腸菌(E.coli)tyrB遺伝子にコードされるチロシンアミノ転移酵素、エル・メージャー(L. major)bsat遺伝子にコードされる広基質アミノ転移酵素、またはブタの心臓からのグルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(IIa型)であった。非哺乳動物タンパク質のクローニング、発現、および精製は実施例1に記載される。ブタ心臓からのグルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(IIa型)は、シグマ(Sigma)(#G7005)から得られた。
ProAアルドラーゼとL-アスパラギン酸アミノ転移酵素を使用する方法
反応混合物は、1リットル中に50mM 酢酸アンモニウム(pH8.0)、4mM MgCl2、3mM リン酸カリウム、0.05mM リン酸ピリドキサール、100mM ピルビン酸アンモニウム、50mM トリプトファン、10mM アルファケトグルタル酸、160mgの組換えシー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼ(未精製細胞抽出物、約30%アルドラーゼ)、233mgの組換え大腸菌(E.coli)L-アスパラギン酸アミノ転移酵素(未精製細胞抽出物、約40%アミノ転移酵素)を含有した。酵素以外のすべての成分は一緒に混合し、トリプトファンが溶解するまで30℃でインキュベートした。次に酵素を加え、反応溶液を30℃で静かに振盪(100rpm)しながら3.5時間インキュベートした。酵素添加の0.5時間と1時間後に、固体トリプトファンのアリコート(各50mmol)を反応物に加えた。添加したトリプトファンのすべてが溶解することはなかったが、濃度は50mMまたはそれ以上に維持した。3.5時間後、固体トリプトファンをろ別した。標準物質として規定量のトリプトファンを使用してLC/MSにより反応混合物を分析すると、溶液中のトリプトファンの濃度は60.5mMであり、モナチンの濃度は5.81mM(1.05g)であることが証明された。
以下の方法を使用して最終生成物を精製した。清澄溶液の90%をバイオラッド(BioRad)AG50W-X8樹脂カラム(225ml;結合能力 1.7meq/ml)に適用した。カラムを水で洗浄し、280nmでの吸光度が最初のフロースルー画分の<5%になるまで300mlの画分を集めた。次にカラムを1M 酢酸アンモニウム(pH8.4)で溶出し、4つの300ml画分を集めた。すべての4つの画分はモナチンを含有し、 微温の水浴でロータリーエバポレーターを使用して溶媒を留去して105mlにした。容量が減少して沈殿物が生成し、これを蒸発プロセス中にろ別した。
LC/MSによりカラム画分を分析すると、トリプトファンとモナチンの99%がカラムに結合していることが証明された。蒸発プロセス中に生成した沈殿物は>97%のトリプトファンと<2%のモナチンとを含有した。上清中のトリプトファン対生成物の比は約2:1であった。
あらかじめ0.5リットルの1M NaOH、0.2リットルの水、1.0リットルの1.0M 酢酸アンモニウム(pH8.4)および0.5リットルの水で洗浄して酢酸型に変換した100mlのファーストフロー(Fast Flow)DEAEセファロース(アマシャムバイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences))カラムに、上清(7ml)を適用した。上清を<2ml/分でのせ、280nmでの吸光度がほぼ0になるまでカラムを3〜4ml/分の水で洗浄した。モナチンは100mM 酢酸アンモニウム(pH8.4)で溶出し、4つの100ml画分を集めた。
画分を分析すると、フロースルー画分中のトリプトファン対モナチンの比は85:15であり、溶出画分中の比は7:93であることが証明された。モナチンの280nmの吸光係数がトリプトファンと同じであると仮定すると、溶出画分は0.146mmolの生成物を含有した。全1リットル反応物に外挿すると、約2.4mmol(約710mg)のモナチンが回収率68%で産生された。
DEAEセファロースカラムからの溶出画分を<20mlまで溶媒を留去した。生成物のアリコートを、分析スケールのモナチン性状解析用に実施例10で記載されるものと同じクロマトグラフィー条件を使用して、C8分取逆相カラムに適用してさらに精製した。ウォーターズフラクションリンクス(Waters Fractionlynx)(登録商標)ソフトウェアを使用して、m/z=293イオンの検出に基づいてモナチンの自動画分採取を始めた。モナチンについて対応するプロトン化分子イオンを有するC8カラムからの画分を集め、溶媒を蒸発乾固し、次に少量の水に溶解した。この画分を生成物の性状解析に使用した。
得られた生成物を以下の方法を使用して性状解析した。
UV/可視スペクトル法
酵素的に産生したモナチンのUV/可視スペクトル測定は、キャリー100バイオ(Cary 100 Bio)UV/可視分光光度計を使用して行った。水に溶解した精製した生成物は、288nmにショルダーを有して280nmで吸収極大を示し、これはインドール含有化合物に典型的な特徴である。
LC/MS分析
インビトロの生化学的反応から得られたモナチンの混合物の分析は、実施例10に記載のように行った。インビトロの酵素合成混合物中のモナチンの典型的なLC/MS分析を図5に示す。図5の下のパネルは、m/z=293のモナチンのプロトン化分子イオンの選択されたイオンクロマトグラムを示す。混合物中のモナチンの同定は、図6に示す質量スペクトルにより確認された。LC/MSによる精製生成物の分析は、293の分子イオンと280nmでの吸収を有する単一のピークを示した。この質量スペクトルは図6に示したものと同じであった。
MS/MS分析
実施例10に記載のようなLC/MS/MS娘イオン実験をモナチンについても行った。モナチンの娘イオン質量スペクトルを図7に示す。図7に記載のすべての断片イオンの一時的構造割り当てを行った。これらには、m/z=275(293-H2O)、257(293-(2×H2O))、230(275-COOH)、212(257-COOH)、168(3-ブタ-1,3-ジエニル-1H-インドールカルボニウムイオン)、158(1H-インドール-3-カルボアルデヒドカルボニウムイオン)、144(3-エチル-1H-インドールカルボニウムイオン)、130(3-メチレン-1H-インドールカルボニウムイオン)、および118(インドールカルボニウムイオン)の断片イオンを含む。これらの多くは、分子のインドール部分から得られる場合に予測されるように、MP(実施例4)について得られたものと同じである。ケトンの代わりにアミノ基が存在するために、いくつかのものはMPで見られるものより1質量単位大きい。
モナチンの正確な質量測定
図8は、アプライドバイオシステムズ−パーキンエルマー(Applied Biosystems-Perkin Elmer)キュースター(Q-Star)ハイブリッド四極子/飛行時間型質量スペクトル計を使用して得られた質量スペクトルを示す。内部質量較正基準としてトリプトファンを使用したプロトン化モナチンの測定された質量は293.1144であった。元素組成C14H17N2O5に基づいてプロトン化モナチンの計算された質量は、293.1137であった。これは、2百万分率(ppm)未満の測定誤差であり、酵素的に産生されたモナチンの元素組成の決定的な証拠を提供する。
NMRスペクトル法
バリアニノーバ(Varian Inova)500MHz装置でNMR実験を行った。モナチンの試料(約3mg)を0.5mlのD2Oに溶解した。まず溶媒(D2O)を4.78ppmで内部標準として使用した。水のピークは大きいため、水のピークを抑制して1H NMRを行った。次に水のピークが広いため、モナチンのC-2プロトンを参照ピークとして使用し、公表された7.192ppmの値に設定した。
13C−NMRについて、数百のスキャンの最初のランは、割り当てられた時間で充分な13Cスペクトルを得るには試料が希薄すぎることを示した。従って異核多重量子コヒーレンス(HMQC)実験を行い、これは、水素とこれらが結合している炭素の相関を可能にし、また炭素のケミカルシフトについての情報を与えた。
1HとHMQCデータの要約を表1と2に示す。公表されたデータと比較してNMRデータは、酵素的に産生したモナチンが(S,S)、(R,R)、またはその両方であることを示した。
キラルLC/MS分析
インビトロで産生されたモナチンが1つの立体異性体であり、(R,R)や(S,S)エナンチオマーの混合物ではないことを確立するために、実施例10に記載の装置を使用してキラルLC/MS分析を行った。
室温でキロビオティックT(Chirobiotic T)(アドバンストセパレーションズテクノロジー(Advanced Separations Technology))キラルクロマトグラフィーを使用して、キラルLC分離を行った。販売業者からの公表されたプロトコールに基づく分離と検出を、トリプトファンのR-(D)とS-(L)立体異性体について最適化した。LC移動相は、A)0.05(v/v)トリフルオロ酢酸を含有する水;B)0.05(v/v)トリフルオロ酢酸を含有するメタノールからなった。溶出は70%Aと30%Bの均一溶媒であった。流速は1.0ml/分であり、PDA吸収は200nmから400nmまで追跡した。トリプトファンとモナチンのキラルLC/MS分析に使用した装置パラメータは、LC/MS分析について実施例10に記載したものと同じである。領域m/z 150-400の質量スペクトルの採取を利用した。プロトン化分子イオン(R-とS-トリプトファンの両方について[M+H]+=205、モナチンについて[M+H]+=293)の選択されたイオンクロマトグラムは、混合物中のこれらのアナライトの直接同定を可能にした。
キラルクロマトグラフィーにより分離されMSにより追跡したR-とS-トリプトファンおよびモナチンのクロマトグラムを、図9に示す。モナチンのクロマトグラムの単一のピークは、化合物が1つの立体異性体であり、保持時間はS-トリプトファンとほとんど同じであることを示す。
Figure 2007502117
Figure 2007502117
旋光分析
旋光度はルドルフオートポル(Rudolph Autopol)III旋光計を使用して測定した。モナチンは14.6mg/mlの水溶液として調製した。S,Sモナチン(塩型)の予測される比旋光度([α]D 20)は1g/mlの水溶液について-49.6である(ブレガー(Vleggaar)ら)。観察された[α]D 20は、精製されている酵素的に産生されたモナチンについて-28.1であり、これがS,S立体異性体であることを示す。
改良
反応条件(試薬と酵素濃度を含む)を最適化し、以下の試薬ミックスを使用して5〜10mg/mlの収率が得られた:50mM 酢酸アンモニウム(pH8.3)、2mM MgCl2、200mM ピルビン酸塩(ナトリウムまたはアンモニウム塩)、5mM アルファケトグルタル酸塩(ナトリウム塩)、0.05mM リン酸ピリドキサール、酵素添加後に1mlの最終容量を達成するために脱気した水、3mM リン酸カリウム、50μg/mlの組換えProAアルドラーゼ(細胞抽出物:総タンパク質濃度 167μg/ml)、大腸菌(E.coli)aspC遺伝子によりコードされた1000μg/mlのL-アスパラギン酸アミノ転移酵素(細胞抽出物;総タンパク質濃度 2500μg/ml)、および>60mMの濃度を得るための固体トリプトファン(飽和;一部は反応の間溶解しなかった)。静かに攪拌または混合しながら混合物を30℃で4時間インキュベートした。
置換
アルファケトグルタル酸塩の濃度を1mMに低下させ、9mMのアスパラギン酸を補足して、同等の収率のモナチンが得られた。最初の工程で代替アミノ酸アクセプター(例えばオキサロ酢酸)を使用することができる。
大腸菌(E.coli)L-アスパラギン酸アミノ転移酵素の代わりに組換えエル・メージャー(L. major)広域基質アミノ転移酵素を使用すると、モナチンの同様の収率が達成された。しかし分子質量が292の第2の未同定生成物(主要な生成物の3〜10%)が、LC-MS分析により検出された。アミノ転移酵素として大腸菌(E.coli)tyrBコード酵素、エス・メリロチ(S. meliloti)tatAコード酵素、またはブタ心臓のグルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(IIa型)を加えると、モナチン濃度 0.1〜0.5mg/mlが得られた。インドール-3-ピルビン酸から反応を出発させると、グルタミン酸脱水素酵素とNADPHを用いて最後の工程で還元アミノ化を行うことができる(実施例7のように)。
大腸菌(E.coli)L-アスパラギン酸アミノ転移酵素とともに、枯草菌(B. subtilis)、大腸菌(E.coli)、およびエス・メリロチ(S. meliloti)からのKHGアルドラーゼを使用して、モナチンを酵素的に産生した。以下の反応条件が使用された:50mM NH4-OAc(pH8.3)、2mM MgCl2、200mM ピルビン酸、5mM グルタミン酸、0.05mM リン酸ピリドキサール、酵素添加後に0.5mlの最終容量を達成するために脱気した水、3mM リン酸カリウム、20μg/mlの組換え枯草菌(B. subtilis)KHGアルドラーゼ(精製)、細胞抽出物からの精製していない約400μg/mlの大腸菌(E.coli)L-アスパラギン酸アミノ転移酵素(AspC)、および12mM インドール-3-ピルビン酸。反応物を30℃で30分間振盪しながらインキュベートした。枯草菌(B. subtilis)酵素を使用して産生されたモナチンの量は80ng/mlであり、アルドラーゼの量が増加すると増加した。インドール-3-ピルビン酸とグルタミン酸の代わりに飽和量のトリプトファンと5mM アルファケトグルタル酸を使用すると、モナチンの産生が360ng/mlまで上昇した。50mM トリス(pH8.3)中の3つのKHG酵素のそれぞれ30μg/ml、飽和量のトリプトファンを用いて反応を繰り返し、検出を上昇させるために1時間反応を進行させた。実施例4のようにバチルス(Bacillus)酵素が最も高い活性を有し、約4000ng/mlのモナチンを産生した。大腸菌(E.coli)KHGは3000ng/mlのモナチンを、エス・メリロチ(S. meliloti)酵素は2300ng/mlを産生した。
実施例7
MPとモナチンとの相互変換
モナチンを生成するためのMPのアミノ化は、実施例1と6に記載のようなアミノ転移酵素、またはNADHもしくはNADPHのような還元性補助因子を必要とする脱水素酵素により触媒することができる。これらの反応は可逆性であり、いずれの方向にも測定することができる。脱水素酵素を使用する時は、方向性は大体アンモニウム塩の濃度により制御することができる。
脱水素酵素活性
モナチンのオキシダーゼ脱アミノ化は、NAD(P)+がより発色性のNAD(P)Hに変換される時の340nmの吸光度の上昇により追跡した。モナチンが酵素的に産生され、実施例6に記載のように精製した。
典型的なアッセイ混合物は、50mM トリス塩酸(pH8.0〜8.9)、0.33mM NAD+またはNADP+、2〜22単位のグルタミン酸脱水素酵素(シグマ(Sigma))、および10〜15mM 基質を、0.2ml中に含有した。アッセイは二重測定でUV透過マイクロタイタープレート中でモレキュラーデバイシーズスペクトラマックスプラス(Molecular Devices SpectraMax Plus)プレートリーダーを使用して行った。基質を含有するウェルにピペットで酵素、緩衝液、およびNAD(P)+のミックスを入れ、340nmでの吸光度の上昇を10秒間の間隔で読んだ。反応を25℃で10分間維持した。基質を加えずに陰性対照測定を行い、陽性対照としてグルタミン酸を使用した。ウシ肝臓(シグマ(Sigma)#G-7882)からのIII型グルタミン酸脱水素酵素は、グルタミン酸からアルファケトグルタル酸への変換速度の約100分の1の変換速度でモナチンのモナチン前駆体への変換を触媒した。
アミノ転移活性
モナチンアミノ転移酵素アッセイを、大腸菌(E.coli)のアスパラギン酸アミノ転移酵素(AspC)、大腸菌(E.coli)のチロシンアミノ転移酵素(TyrB)、エル・メージャー(L. major)の広域基質アミノ転移酵素(BSAT)、および実施例1に記載の市販のブタグルタミン酸−オキサロ酢酸アミノ転移酵素を用いて行った。オキサロ酢酸とアルファケトグルタル酸の両方をアミノアクセプターとして試験した。アッセイ混合物は(0.5ml中)50mM トリス塩酸(pH8.0)、0.05mM PLP、5mM アミノアクセプター、5mM モナチン、および25mM アミノ転移酵素を含有した。アッセイを30℃で30分間インキュベートし、0.5mlのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止させた。モナチンの消失をLC/MSにより追跡した(実施例10)。エル・メージャー(L. major)BSATでアルファケトグルタル酸をアミノアクセプターとして使用して最も高い活性が観察され、次に高い活性が同じ酵素でアルファケトグルタル酸をアミノアクセプターとして使用して観察された。オキサロ酢酸を用いる相対活性は以下の通りである:BSAT>AspC>ブタIIa型>ブタI型=TyrB。アルファケトグルタル酸を用いる相対活性は以下の通りである:BSAT>AspC>ブタI型>ブタIIa型>TyrB。
実施例8
トリプトファンとピルビン酸以外のC3源とからのモナチンの産生
上記実施例6に記載したように、インドール-3-ピルビン酸またはトリプトファンはピルビン酸をC3分子として使用することによりモナチンに変換することができる。しかしある場合には、ピルビン酸は好適な原料ではない。例えばピルビン酸は他のC3炭素源より高価であり、培地に加えられた場合発酵に悪影響を与えることがある。アラニンは多くのPLP酵素によりアミノ転移されてピルビン酸を産生する。
トリプトファナーゼ様酵素は、アミノ転移酵素のような他のPLP酵素より速い速度でベータ脱離反応を行う。このクラス(4.1.99.-)からの酵素は、アミノ酸(例えばL-セリン、L-システイン)、およびセリンやシステインと良好な脱離基(例えば、O-メチル-L-セリン、O-ベンジル-L-セリン、S-メチルシステイン、S-ベンジルシステイン、S-アルキル-L-システイン、O-アシル-L-セリン、3-クロロ-L-アラニン)との誘導体から、アンモニアとピルビン酸を産生することができる。
EC4.1.99.-ポリペプチドを使用してモナチンを産生する方法は、Mouratouらの方法(J. Biol. Chem. 274:1320-5, 1999)に従ってβ-チロシナーゼ(TPL)またはトリプトファナーゼを変異させることにより改良することができる。Mouratouらは、β-チロシナーゼをジカルボキシアミノ酸β-リアーゼに変換する能力を記載し、これが自然界で起きることは報告されていない。バリン(V)283をアルギニン(R)に、そしてアルギニン(R)100をスレオニン(T)に変換することにより、特異性の変化を達成することができる。これらのアミノ酸の変化は、加水分解的脱アミノ化反応のためにジカルボキシリックアミノ酸(例えばアスパラギン酸)を受容することを可能にする。従ってアスパラギン酸もまた、以後のアルドール縮合反応のためのピルビン酸源として使用することができる。
さらに細胞または酵素反応物に、乳酸と乳酸をピルビン酸に変換する酵素を供給することができる。この反応を触媒することができる酵素の例は、乳酸脱水素酵素と乳酸オキシダーゼである。
反応混合物は、50mM トリス塩酸(pH8.3)、2mM MgCl2、200mM C3炭素源、5mM アルファケトグルタル酸、ナトリウム塩、0.05mM リン酸ピリドキサール、酵素添加後に0.5mlの最終容量を達成するために脱気した水、3mM リン酸カリウム(pH7.5)、実施例4で調製された25μgの粗組換えシー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼ(精製)、実施例1で調製された500μgの粗L-アスパラギン酸アミノ転移酵素(AspC)、および>60mMの濃度を与えるための固体トリプトファン(飽和;一部は反応中溶解されない)からなった。反応混合物を、攪拌しながら30℃で30分間インキュベートした。セリン、アラニン、およびアスパラギン酸を3炭素源として供給した。アッセイは、ベータ脱離およびベータリアーゼ反応を行うことができる2次PLP酵素(精製)(トリプトファナーゼ(TNA)、2重変異トリプトファナーゼ、β-チロシナーゼ(TPL))有りおよび無しで行った。結果を表3に示す。
Figure 2007502117
3炭素源としてのアラニンとセリンから産生したモナチンを、LC/MS/MS娘スキャン分析により証明すると、実施例6で産生された性状解析したモナチンと同一であった。アラニンは試験した最も良好な代替物であり、AspC酵素によりアミノ転移された。産生されたモナチンの量はトリプトファナーゼ(これは2次活性としてアミノ転移をすることができる)の添加により増加した。炭素源としてセリンを用いて産生されるモナチンの量は、トリプトファナーゼ酵素の添加の場合のほぼ2倍であったが、アミノ転移酵素と比較して5分の1量のトリプトファナーゼを加えるのみである。アスパラギン酸を用いて得られた結果は、アスパラギン酸に対するトリプトファナーゼ活性は、β-チロシナーゼについてすでに示唆されているものと同じ部位特異的突然変異で上昇しなかったことを示す。変異体β-チロシナーゼはモナチンの産生についてより高い活性を有すると予測される。
実施例9
モナチンの化学合成
インドール-3-ピルビン酸へのアラニンの添加はモナチンを産生させ、この反応は、グリニャール試薬または有機リチウム試薬を用いて合成的に行うことができる。例えばカルボキシル基およびアミノ基が適切にブロックされた3-クロロまたは3-ブロモ-アラニンに、無水条件下でマグネシウムを加える。次にインドール-3-ピルビン酸(適切にブロックされている)を加えて共役生成物を形成し、次に保護基を除去してモナチンを生成する。特に有用な保護基には、容易に結合および除去できるTHP(テトラヒドロピラニルエーテル)がある。
実施例10
トリプトファン、モナチン、およびMPの検出
本例は、モナチン、またはその前駆体2-ヒドロキシ2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸の存在を検出するのに使用される方法を記載する。
LC/MS分析
インビトロまたはインビボで生化学的反応により得られたモナチン、MP、および/またはトリプトファンの混合物の分析は、クロマトグラフ装置とマイクロマスクアトロウルチマ(Micromass Quattro Ultima)3重の四極子質量スペクトル計の間で位置するウォーターズ(Waters)996フォトダイオードアレイ(PDA)吸光度モニターを有するウォーターズ(Waters)2690液体クロマトグラフ装置を含むウォーターズ/マイクロマス(Waters/Micromass)液体クロマトグラフィータンデム質量スペクトル(LC/MS/MS)装置を使用して行った。LC分離は、スペルコディスカバリー(Supelco Discovery)C18逆相クロマトグラフィーカラム(2.1mm×150mm)またはゼテラ(Xterra)MS C8逆相クロマトグラフィーカラム(2.1mm×250mm)を使用して室温で行った。LC移動相は、A)0.05(v/v)トリフルオロ酢酸を含有する水;B)0.05(v/v)トリフルオロ酢酸を含有するメタノールからなった。
勾配溶出は、5%B〜35%Bへ線形に0〜9分間、35%B〜90%Bへ線形に9〜16分間、90%Bで均一溶媒、90%B〜5%Bへ線形に20〜22分間で、ランの間に10分間の再平衡化気管を入れた。流速は0.25ml/分であり、PDA吸収は200nmから400nmまで追跡した。ESI-MSのすべてのパラメータは最適化し、目的のアナライトのプロトン化分子イオン([M+H]+)の生成と特徴的な断片イオンの生成に基づいて選択した。
モナチンのLC/MS分析について以下の装置パラメータを使用した:毛細管:3.5kV;コーン電圧:40V;Hex1:20V;アパチャー:0V;Hex2;0V;ソース温度:100℃;脱溶媒温度:350℃;脱溶媒ガス:500L/h;コーンガス:50L/h;低質量分解能(Q1):15.0;高質量分解能(Q1):15.0;イオンエネルギー:0.2;入り口:50V;衝突エネルギー:2;出口:50V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15;イオンエネルギー(Q2):3.5;マルチプライヤー:650。報告された質量/電荷比(m/z)と分子質量の不確定性は±0.01%である。混合物中のモナチンのアルファケト酸型(MP)とモナチンの最初の検出は、LC/MSモニタリングにより領域m/z 150〜400の質量スペクトルを集めて行った。プロトン化分子イオン(MPについて[M+H]+=292、モナチンについて[M+H]+=293)の選択されたイオンクロマトグラムは、混合物中のこれらのアナライトの直接同定を可能にした。
MS/MS分析
以下のようにLC/MS/MS娘イオン実験を行った。娘イオン分析は、第1の質量アナライザー(Q1)から質量スペクトル計の衝突セルへの目的の親イオン(例えばモナチンについてm/z=293)の透過を含み、ここでアルゴンが導入され、親イオンを断片(娘)イオンに化学的に分解する。これらの断片は次に第2の質量アナライザー(Q2)により検出され、親の構造割り当てを確認するために使用することができる。トリプトファンは、m/z=205の透過と断片化により同じ方法で性状解析し定量された。
モナチンのLC/MS/MS分析について以下の装置パラメータを使用した:毛細管:3.5kV;コーン電圧:40V;Hex1:20V;アパチャー:0V;Hex2;0V;ソース温度:100℃;脱溶媒温度:350℃;脱溶媒ガス:500L/h;コーンガス:50L/h;低質量分解能(Q1):13.0;高質量分解能(Q1):13.0;イオンエネルギー:0.2;入り口:-5V;衝突エネルギー:14;出口:1V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15;イオンエネルギー(Q2):3.5;マルチプライヤー:650。
モナチンとトリプトファンのハイスループット測定
インビトロまたはインビボ反応で得られたモナチンとトリプトファンの混合物の高スループット分析(<5分間/試料)を、上記の装置とLC/MS/MSについて記載したものと同じパラメータを使用して行った。LC分離は、4.6mm×50mmのアドバンストセパレーションズテクノロジーズ(Advanced Separations Technologies))キロビオティックT(Chirobiotic T)を使用して室温で行った。LC移動相は、A)0.25(v/v)酢酸を含有する水;B)0.25(v/v)酢酸を含有するメタノールからなった。均一溶媒溶出は50%Bで0〜5分間行った。流速は0.6ml/分であった。ESI-MS/MSシステムのすべてのパラメータは、トリプトファンと内部標準物質2H5-トリプトファンのプロトン化分子イオンの最適ソース内生成、ならびに多重反応モニタリング(MRM)実験のアミノ酸特異的断片イオンの衝突誘導性産生に基づいて、最適化され選択された。陽性イオン多重反応モニタリング(mrm)モードでモナチンとトリプトファンのLC/MS/MS分析について、以下の装置パラメータを使用した:毛細管:3.5kV;コーン電圧:20V;Hex1:15V;アパチャー:1V;Hex2;0V;ソース温度:100℃;脱溶媒温度:350℃;脱溶媒ガス:500L/h;コーンガス:40L/h;低質量分解能(Q1):12.0;高質量分解能(Q1):12.0;イオンエネルギー:0.2;入り口:-5V;衝突エネルギー:14;出口:1V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15;イオンエネルギー(Q2):0.5;マルチプライヤー:650。MRMパラメータ:チャネル間遅延:0.03s;スキャン間遅延:0.03s;滞留:0.05s。
モナチンの正確な質量測定
高分解能MS分析は、アプライドバイオシステムズ−パーキンエルマー(Applied Biosystems-Perkin Elmer)キュースター(Q-Star)ハイブリッド四極子/飛行時間型質量スペクトル計を使用して行った。プロトン化モナチンの測定された質量は、内部質量較正基準としてトリプトファンを使用した。プロトン化モナチンの計算された質量は元素組成C14H17N2O5に基づいて293.1137であった。例Aに記載した生物触媒プロセスを使用して産生されたモナチンの測定質量は293.1144を示した。これは、2百万分率(ppm)未満の測定誤差であり、酵素的に産生されたモナチンの元素組成の決定的な証拠を提供する。
実施例11
細菌中のモナチンの産生
本例は、大腸菌(E.coli)細胞中でモナチンを産生するのに使用した方法を記載する。他の細菌細胞でモナチンを産生するのに同様の方法が使用できることを、当業者は理解するであろう。さらに、モナチン合成経路(図2)中の他の遺伝子を含有するベクターを使用することができる。
大腸菌(E.coli)細胞中でのトリプトファンの産生を増加させるために使用されている最小培地であるTrp-1+グルコース培地(Zemanら、Folia Micrrobiol. 35:200-4)を以下のように調製した。700mlのナノピュアな水に以下の試薬を加えた:2g (NH4)SO4、13.6g KH2PO4、0.2g MgSO4・7H2O、0.01g CaCl2・2H2O、および0.5mg FeSO4・7H2O。pHを7.0に調整し、容量を850mlに増加させ、培地をオートクレーブにかけた。別に50%のグルコース溶液を調製し、無菌ろ過した。基礎培地(850ml)に40mlを加え、最終的に1リットル容量とした。
0.1M リン酸ナトリウム(pH7)中で10g/lのL-トリプトファン溶液を調製し、無菌ろ過した。典型的には後述のように、10分の1量を培養物に加えた。また10%ピルビン酸ナトリウム溶液を調製し、無菌ろ過した。典型的には1リットルの培養物について10mlのアリコートを使用した。アンピシリン(100mg/ml)、カナマイシン(25mg/ml)およびIPTG(840mM)のストックを調製し、無菌ろ過し、使用するまで-20℃に保存した。ツイーン20(モノラウリン酸ポリオキシエチレン20-ソルビタン)を0.2%(容量/容量)の最終濃度で使用した。アンピシリンは非致死量(典型的には1〜10μg/mlの最終濃度)で使用した。
50μg/mlのカナマイシンを含むLB培地に大腸菌(E.coli)BL21(DE3)::シー・テストステロニ(C. testosteroni)proA/pET30Xa/LICの新鮮なプレート(実施例4に記載)を調製した。単一のコロニーから一晩培養物(5ml)を接種し、カナマイシンを含むLB培地中で30℃で増殖させた。典型的には1対50接種物を使用して、trp-1+グルコース培地中で誘導した。新鮮な抗生物質を最終濃度50mg/lで加えた。振盪フラスコを37℃で増殖させた後、誘導した。
0.35〜0.8のOD600が得られるまで、毎時間細胞をサンプリングした。次に0.1mM IPTGで細胞を誘導し、温度を34℃に下げた。試料(1ml)を集めた後誘導(ゼロ時点)し、5000×gで遠心分離した。上清をLC/MS分析のために-20℃で凍結した。誘導の4時間後、さらに1mlの試料を集め、遠心分離して細胞ペレットからブロスを分離した。上記したように、トリプトファン、ピルビン酸ナトリウム、アンピシリン、およびツイーンを加えた。
誘導後48時間、細胞を増殖させ、さらに1mlの試料を取り、上記したように調製した。48時間目に、トリプトファンとピルビン酸のさらなるアリコートを加えた。約70時間増殖後(誘導後)、全培養物容量を4℃で3500rpmで20分間遠心分離した。上清をデカントし、ブロスと細胞の両方を-80℃で凍結した。ブロス画分をろ過し、LC/MSにより分析した。[M+H]+=293ピークの高さと面積を、実施例10に記載のように追跡した。培地のバックグランドレベルを引いた。また[M+H]+=293ピークの高さを600nmでの培養物の光学密度で割ったものをプロットして、細胞増殖についてデータを標準化した。
誘導時ではなく誘導後4時間にピルビン酸、アンピシリン、およびツイーンを加えると、高レベルのモナチンが産生された。他の添加剤(例えば、PLP、追加のリン酸塩、または追加のMgCl2)は、モナチンの産生を上昇させなかった。インドール-3-ピルビン酸の代わりにトリプトファンを使用すると、および接種時または誘導時ではなく誘導後にトリプトファンを加えると、高力価のモナチンが得られた。誘導の前におよび誘導の4時間後(基質添加の時)に、発酵ブロスまたは細胞抽出物中に検出可能なレベルのモナチンはなかった。pET30aベクターのみを有する細胞を利用して、ならびにトリプトファンとピルビン酸を加えなかった培養物を利用して、陰性対照とした。親MSスキャンは、大きな分子から(m+1)/z=293の化合物は得られず、娘スキャン(実施例10のように行った)はインビトロで作製したモナチンと似ていることを証明した。
0.02%(v/v)および0.6%の最終濃度のモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを使用して、ツイーンの作用を試験した。振盪フラスコにより最も多量のモナチンが産生されたのは0.2%ツイーンであった。アンピシリン濃度を0〜10μg/mlで変化させた。アンピシリン濃度を1〜10μg/mlまで上昇させると、細胞ブロス中のモナチンの量は0〜1μg/mlで急速に増加した(2.5×)。
典型的な結果を示す経時的実験を図10に示す。細胞増殖について値を標準化した時でも、細胞ブロス中に分泌されたモナチンの量は増加した。トリプトファンのモル吸光係数を使用して、ブロス中のモナチンの量は10μg/ml未満であると推定された。proA挿入体の無いベクターを含有する細胞を用いて、同じ実験を繰り返した。多くの数は負であり、これらの培養物では培地単独よりm/z=293のピーク高さが少ないことを示す(図10)。数は、トリプトファンやピルビン酸が存在しない時より一貫して低く、モナチン産生がアルドラーゼ酵素により触媒される酵素反応の結果であることを証明している。
細菌細胞中のモナチンのインビボ産生を、800mlの振盪フラスコ実験および発酵槽中で繰り返した。モナチン250ml試料(細胞不含ブロス中)を陰イオン交換クロマトグラフィーと分取逆相液体クロマトグラフィーにより精製した。この試料から溶媒を留去させ、高分解能質量分析(実施例6に記載)用に提供した。高分解能MSは、産生されている代謝物がモナチンであることを示した。
インビトロアッセイは、アルドラーゼより高いレベルでアミノ転移酵素が存在する必要(実施例6参照)があることを示し、従って産生されるモナチンの量を増加させたために、大腸菌(E.coli)からのアスパラギン酸アミノ転移酵素はアルドラーゼ遺伝子と組合せて過剰発現された。プライマーは以下のようにシー・テストステロニ(C. testosteroni)proAをaspC/pET30 Xa/LICを有するオペロン中に導入するために設計した。5'プライマー:ACTCGGATCCGAAGGAGATATACATATGTACGAACTGGGACT(配列番号67)および3'プライマー:CGGCTGTCGACCGTTAGTCAATATATTTCAGGC(配列番号68)。クローニングのために、5'プライマーはBamHI部位を含有し、3'プライマーはSalI部位を含有する。PCRを実施例4に記載のように行い、ゲル精製した。PCR産物のように、aspC/pET30 Xa/LIC構築体をBamHIとSalIで消化した。消化物をキアゲン(Quiagen)スピンカラムを使用して精製した。proA PCR産物を、ロシュラピッドDNA連結キット(Roche Rapid DNA Ligation kit)(インディアナポリス、インディアナ州)を使用して製造業者の説明書に従ってベクターに連結した。実施例1に記載のようにノバブルースシングルス(Novablues Singles)(ノバゲン(Novagen))を使用して化学変換を行った。50mg/lのカナマイシンを含有するLB培地中でコロニーを増殖させ、キアゲン(Qiagen)スピンミンプレップキットを使用してプラスミドDNAを精製した。制限消化物分析によりクローンをスクリーニングし、セクライト(Seqwright)(ヒューストン、テキサス州)により確認した。構築体をBLR(DE3)、BLR(DE3)pLysS、BL21(DE3)、およびBL21(DE3)pLysS(ノバゲン(Novagen))中にサブクローニングした。proA/pET30 Xa/LIC構築体もまた、BL21(DE)pLysS中に形質転換した。
上記の標準的条件下でのBLR(DE3)振盪フラスコ試料の最初の比較は、第2の遺伝子(aspC)の添加がモナチン産生量を7倍改良することを証明した。増殖を促進するために、BLR21(DE3)由来宿主株を使用した。proAクローンと2つの遺伝子オペロンクローンを上記のTRP-1培地で誘導し、pLysS宿主はクロラムフェニコール(34mg/l)を同様に培地に加えられた。0.2% ツイーン20と1mg/l アンピシリンの添加有りおよび無しで振盪フラスコ実験を行った。ブロス中のモナチンの量は、標準物質としてインビトロ産生した精製モナチンを使用して計算した。実施例10に記載のようにSRM分析を行った。増殖の0、4時間、24時間、48時間、72時間、および96時間目に細胞をサンプリングした。
培養物ブロス中に産生された最大量について結果を表4に示す。多くの例で、2つの遺伝子構築体がproA構築体単独より高い値を与えた。pLysS株(これは洩れやすい細胞エンベロープを有するはずである)は、典型的には増殖速度が遅いが、分泌されるモナチンは高レベルであった。ツイーンとアンピシリンの添加は有益であった。
Figure 2007502117
実施例12
酵母中のモナチンの産生
本例は、真核細胞中でモナチンを産生するのに使用される方法を記載する。当業者は、任意の目的の細胞中でモナチンを産生するのに同様の方法が使用できることを理解するであろう。さらに、本例に記載したもの以外に、またはこの代わりに、他の遺伝子を使用することができる(例えば、図2に記載のもの)。
大腸菌(E.coli)aspCおよびシー・テストステロニ(C. testosteroni)proA遺伝子をサッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)中にクローニングし発現するために、pESC酵母エピトープ標識ベクター系(pESC Yeast Epitope Tagging Vector System)(ストラタジーン(Stratagene)、ラホヤ(La Jolla)、カリホルニア州)を使用した。pESCベクターは反対の鎖にGAL1とGAL10プロモーターを含有し、2つの明瞭な複クローニング部位を有して、2つの遺伝子の同時発現を可能にする。pESC-Hisベクターはまた、宿主(YPH500)中のヒスチジン栄養要求体の補足のためのHis3遺伝子を含有する。GAL1とGAL10プロモーターはグルコースにより抑制され、ガラクトースにより誘導される;コザック配列は酵母での最適発現のために使用される。pESCプラスミドはシャトルベクターであり、最初の構築体を大腸菌(E.coli)中で作製することを可能にする(選択のためのbla遺伝子とともに);しかし複クローニング部位中には細菌のリボゾーム結合部位は存在しない。
pESC-His中へのクローニングのために以下のプライマーを設計した(制限部位は下線を引いてあり、コザック配列は太字である):aspC(BamHI/SalI)、GAL1: 5'CGCGGATCCATAATGGTTGAGAACATTACCG-3' (配列番号69)および5'-ACGCGTCGACTTACAGCACTGCCACAATCG-3' (配列番号 70)。proA(EcoRI/NotI)、GAL10: 5'-CCGGAATTCATAATGGTCGAACTGGGAGTTGT-3' (配列番号 71)および5'-GAATGCGGCCGCTTAGTCAATATATTTCAGGCC-3' (配列番号 72)。
成熟タンパク質のための第2のコドンは、コザック配列の導入により芳香族アミノ酸からバリンに変化した。鋳型として実施例1と実施例4からのpET30 Xa/LICミニプレップDNAを使用して、目的の遺伝子を増幅した。エッペンドルフマスターサイクラー勾配サーマルサイクラーと以下のプロトコールを使用して、50μlの反応物についてPCRを行った:1.0μl 鋳型、1.0μMの各プライマー、0.4mMの各dNTP、3.5Uの拡張高忠実性ポリメラーゼ(expand High Fidelity Polymerase)(ロシュ(Roche)、インディアナポリス、インディアナ州)、およびMgを有する1×エクスパンド(Expand)(登録商標)緩衝液。サーマルサイクラープログラムは、94℃で5分のホットスタートの次に、以下の工程を29回繰り返した:94℃で30秒、50℃で1分45秒、72℃で2分15秒。29回繰り返し後、試料を72℃で10分維持し、次に4℃で保存した。PCR産物を1%TAE-アガロースゲルで分離して精製し、次にキアクイックゲル抽出キット(QIAquick Gel Extraction Kit)(キアゲン(Quiagen)、バレンシア、カリホルニア州)を使用して回収した。
pESC-HisベクターDNA(2.7μg)をBamHI/SalIで消化し、上記のようにゲルろ過した。aspC PCR産物をBamHI/SalIで消化し、キアクイックPCR精製カラム(QIAquick PCR Purification Column)により精製した。パルスコントローラー付きのバイオラッドジーンパルサーII(BioRad Gene Pulser II)を製造業者の説明書に従って使用して、脱塩した連結物を0.2cmのバイオラッド(BioRad)ディスポーザブルキュベット中で40μlのエレクトロマックス(Electromax)DH10Bコンピテント細胞(インビトロゲン(Invitrogen))中に電気穿孔した。1mlのSOC培地中で1時間回収後、形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地で平板培養した。キアプレップスピンミニプレップキット(QIAprep Spin Miniprep Kits)を使用して、コロニーについてプラスミドDNA調製を行った。プラスミドDNAを制限消化によりスクリーニングし、ベクターについて設計したプライマーを使用して証明のために配列決定した(セクライト(Seqwright))。
proA PCR産物のように、aspC/pESC-HisクローンをEcoRIとNotIで消化した。DNAを上記したように精製し、上記したように連結した。2つの遺伝子構築体をDH10B細胞中に形質転換し、制限消化によりスクリーニングし、DNAを配列決定した。
S.c.イージーコンプ(EasyComp)(登録商標)形質転換キット(インビトロゲン(Invitrogen))を使用して、構築体をエス・セレビシェ(S. cerevisiae)YPH500株中に形質転換した。形質転換反応物を、2%グルコースを含有するSC-His最小培地(インビトロゲン(Invitrogen)pYES2マニュアル)で平板培養した。個々の酵母コロニーを、上記PCRプライマーを使用してコロニーPCRによりproAとaspC遺伝子の存在についてスクリーニングした。ペレット化した細胞(2μl)を、1μlのザイモラーゼ(zymolase)を含有する20μlのY-溶解緩衝液(ザイモリサーチ(Zymo Research))中に懸濁し、37℃で10分加熱した。この懸濁物4μlを、上記のPCR反応混合物とプログラムとを使用して、50μlのPCR反応物中で使用した。
5μlの培養物をSC-His+グルコースで30℃で225rpmで一晩増殖させた。ガラクトースで誘導する前にラグ期間を小さくするために、細胞をラフィノース上での増殖に徐々に馴れさせた。約12時間増殖後、600nmで吸光度測定値を取り、適切な容量の細胞を遠心分離し、新鮮なSC-His培地中でODが0.4になるように再懸濁した。以下の炭素源を順に使用した:1%ラフィノース+1%グルコース、0.5%グルコース+1.5%ファフィルム、2%ラフィノース、および最後に誘導のために1%ラフィノース+2%ガラクトース。
誘導培地中で約16時間増殖後、50mlの培養物を二重の25ml培養物に分け、2重試料の1つにのみ以下を加えた:(最終濃度)1g/l L-トリプトファン、5mM リン酸ナトリウム(pH7.1)、1g/l ピルビン酸ナトリウム、1mM MgCl2。非誘導培地からのブロス試料と細胞ペレット、およびモナチン経路の基質の添加前の16時間培養物からの試料を、陰性対照としてとって置いた。さらに機能性aspC遺伝子(および端を切り取ったproA遺伝子)のみを含有する構築体を別の陰性対照として使用した。細胞を誘導後、合計69時間増殖させた。時々低ODで酵母細胞を誘導し、4時間増殖させた後、トリプトファンとピルビン酸とを加えた。しかしこれらのモナチン基質は、増殖を阻害するようであり、より高いODでの添加の方が有効であった。
培養物からの細胞ペレットを5mlのイーストバスター(YheastBuster)(登録商標)+50μl THP(ノバゲン(Novagen)/g(湿重量)細胞で、製造業者の説明書に従って、前記実施例に記載のようにプロテイナーゼインヒビターとベンゾナーゼヌクレアーゼを添加して溶解した。培養物ブロスと細胞抽出物をろ過し、実施例10に記載のようにSRMにより分析した。この方法を使用して、ブロス試料中にモナチンは検出されず、これらの条件下では細胞がモナチンを分泌できないことを示している。これらの条件下ではプロトン動力が不充分であるか、または一般的なアミノ酸トランスポーターがトリプトファンで飽和されているかも知れない。タンパク質発現は、SDS-PAGEを使用して変化の検出を可能にするレベルではなかった。
トリプトファンとピルビン酸とを培地に加えた時、機能性遺伝子により培養物の細胞抽出物中にモナチンは一過性に検出可能(約60ng/ml)であった。モナチンは陰性対照細胞抽出物中で検出されなかった。実施例6に記載の最適化されたアッセイを使用して4.4mg/mlの総タンパク質(大腸菌(E.coli)細胞抽出物について典型的には使用されるものの約2倍)を用いて二重測定で、モナチンのインビトロアッセイを行った。他のアッセイは、細胞抽出物中でどの酵素が律速であるかを決定するために、32μg/mlのシー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼまたは400μg/mlのAspCアミノ転移酵素を添加して行った。酵素を添加しないかまたはAspCアミノ転移酵素のみを添加して陰性対照とした(アルドール縮合は酵素無しでもある程度起きる)。部分精製した酵素(30〜40%)を用いて、16μg/mlのアルドラーゼと400μg/mlのアミノ転移酵素を使用して陽性対照とした。
インビトロの結果をSRMにより分析した。細胞抽出物の分析は、誘導後にトリプトファンを培地に加えると、トリプトファンは有効に細胞中に輸送され、追加のトリプトファンを加えない場合よりトリプトファンレベルが2オーダー高くなった。インビトロモナチン分析の結果を表5に示す(数字はng/mlを示す)。
Figure 2007502117
増殖培地への基質の添加有りおよび無しで、完全な2遺伝子構築体細胞抽出物を用いて陽性結果が得られた。これらの結果は、陽性対照と比較すると、酵素が酵母中の総タンパク質の1%に近いレベルで発現されることを示す。aspC構築体(端を切り取ったproAを有する)の細胞抽出物をアルドラーゼを用いて測定する時産生されるモナチンの量は、細胞抽出物を単独で測定した時より有意に多く、組換えAspCアミノ転移酵素が酵母総タンパク質の約1〜2%を含むことを示す。非誘導培養物の細胞抽出物はアルドラーゼを用いて測定すると、細胞中の未変性のアミノ転移酵素の存在のために、少量の活性を有した。AspCアミノ転移酵素を用いて測定すると、非誘導細胞からの抽出物の活性は、AspC(約200ng/ml)のある陰性対照により産生されたモナチンの量まで上昇した。これに対して2遺伝子構築体細胞抽出物を測定する時観察される活性は、アルドラーゼを加える時よりアミノ転移酵素を補足する時により上昇する。両方の遺伝子とも同じレベルで発現されるはずであるから、これは、実施例6の結果と一致して、アミノ転移酵素のレベルがアルドラーゼのレベルより高い時、産生されるモナチンの量が最大になることを示す。
ピルビン酸とトリプトファンの添加は細胞増殖を阻害するのみでなく、タンパク質発現も阻害する。pESC-Trpプラスミドの添加は、増殖、発現、および分泌に対してより小さい作用を有するトリプトファンを供給する手段を提供するために、YPH500宿主細胞のトリプトファン栄養要求性を修正するのに使用することができる。
実施例13
共役反応を使用する酵素的方法の改良
理論的には、基質もしくは中間体の複反応もしくは分解が起きないなら、図1に記載の酵素反応から生成される生成物の最大量は、各反応の平衡定数とトリプトファンとピルビン酸の濃度に正比例する。トリプトファンは可溶性が高くない基質であり、200nMを超えるピルビン酸の濃度は収率に負の影響を有するようである(実施例6を参照)。
理想的には、分離コストを低下させるために、モナチンの濃度は基質について最大になる。モナチンが反応混合物から除去されて、逆反応が起きることを避けるように、物理的分離を行うことができる。次に原料と触媒が再生される。いくつかの試薬や中間体とのサイズ、荷電、および疎水性の類似性のために、モナチンに対して高い親和性(例えば親和性クロマトグラフィー法)がなければ物理的分離は困難であろう。しかし系の平衡がモナチン産生にシフトするように、モナチン反応を他の反応と共役させることができる。以下は、トリプトファンまたはインドール-3-ピルビン酸から得られるモナチンの収率を改良するための方法の例である。
オキサロ酢酸脱炭酸酵素(EC4.1.1.3)を使用する共役反応
図11は反応の例示である。トリプトファンオキシダーゼとカタラーゼは、インドール-3-ピルビン酸産生の方向に反応を向けるのに使用される。逆方向に反応したりまたは酵素や中間体を傷害する過酸化水素が利用できないようにするために、カタラーゼは過剰で使用される。カタラーゼ反応中に酸素が再生される。あるいはインドール-3-ピルビン酸が基質として使用できる。
アスパラギン酸はMPのアミノ化のアミノドナーとして使用され、アスパラギン酸アミノ転移酵素が使用される。理想的には、アスパラギン酸がインドール-3-ピルビン酸を再アミノ化するのに使用されないように、MPからモナチンへの反応と比較してトリプトファン/インドール-3-ピルビン酸反応について特異性の低いアミノ転移酵素が使用される。オキサロ酢酸脱炭酸酵素(シュードモナス(Pseudomonas)種から)を加えて、オキサロ酢酸をピルビン酸と二酸化炭素に変換することができる。CO2は揮発性のため、酵素との反応には利用できず、逆反応を低下またはさらには防止する。この工程で産生されるピルビン酸はまた、アルドール縮合反応で利用することもできる。他の脱炭酸酵素が使用でき、同族体が以下に存在することが知られている:アクチノバシルス・アクトノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アクイフェックス・イオリクス(Aquifex aeolicus)、アーケオグロブス・フルギヅス(Archaeoglobus fulgidus)、アゾトバクター・ビネランヂイ(Azotobacter vinelandii)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、いくつかのボルデテラ(Bordetella)種、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobactre jejuni)、クロロビウム・テピヅム(Chlorobium tepidum)、クロロフレクスス・アウランチアクス(Chloroflexus aurantiacus)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、フソバクテリウム・ヌクエアツム(Fusobacterium nucleatum)、クレブシエラ・ニューモニー(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、マグネトコッカス(Magnetococcus)MC-1、マンヘイミア・ヘモリティカ(Mannheimia haemolytica)、メチロバシルス・フラゲラツス(Methylobacillus flagellatus)KT、パステウレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)Pm70、ペトロトガ・ミオテルマ(Petrotoga miotherma)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、いくつかのシュードモナス(Pseudomonas)種、いくつかのピロコッカス(Pyrococcus)種、ロードコッカス(Rhodococcus)、いくつかのサルモネラ(Salmonella)種、いくつかのストレプトコッカス(Streptocossus)種、サーモクロマチウム・テピヅム(Thermochromatium tepidum)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、およびいくつかのビブリオ(Vibrio)種。
大腸菌(E.coli)からのアスパラギン酸アミノ転移酵素(AspC)、大腸菌(E.coli)からのチロシンアミノ転移酵素(TyrB)、LC/MS分析からの広域基質アミノ転移酵素(BSAT)、実施例1に記載の2つの市販のブタグルタミン酸−オキサロ酢酸アミノ転移酵素を用いて、トリプトファンアミノ転移酵素測定を行った。オキサロ酢酸とアルファケトグルタル酸の両方をアミノアクセプターとして試験した。モナチンを使用する活性(実施例7)対トリプトファンを使用する活性の比を比較して、モナチンアミノ転移酵素反応に対してどの酵素が最も高い特異性を有するかを決定した。これらの結果は、トリプトファン反応よりモナチン反応対に対して最も高い特異性を有する酵素は、ブタII-A型グルタミン酸−オキサロ酢酸アミノ転移酵素、GOAT(シグマ(Sigma)G7005)であることを示した。この特異性は、使用されるアミノアクセプターには依存しなかった。従ってこの酵素を、オキサロ酢酸脱炭酸酵素との共役反応で使用した。
インドール-3-ピルビン酸から出発する典型的な反応は、(最終濃度)50mM トリス塩酸(pH7.3)、6mM インドール-3-ピルビン酸、6mM ピルビン酸ナトリウム、6mM アスパラギン酸、0.05mM PLP、3mM リン酸カリウム、3mM MgCl2、25μg/ml アミノ転移酵素、50μg/ml シー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼ、および3単位/mlの脱炭酸酵素(シグマ(Sigma)O4878)を含んだ。反応は26℃で1時間進行させた。ある場合には、脱炭酸酵素を省き、アスパラギン酸をアルファケトグルタル酸(陰性対照として)で置換した。上記のアミノ転移酵素もまた、GOATの代わりに試験して前の特異性実験を確認した。試料をろ過し、実施例10に記載のようにLC/MSにより分析した。結果は、GOAT酵素がタンパク質1mg当たり最大量のモナチンを産生し、副産物として最小量のトリプトファンを産生することを示す。さらに、脱炭酸酵素を加えることにより2〜3倍の利点があった。大腸菌(E.coli)AspC酵素もまた、他のアミノ転移酵素と比較して多量のモナチンを産生した。
モナチン産生は以下により上昇した:1)インドール−ピルビン酸、ピルビン酸、およびアスパラギン酸を定期的に2mM添加(30分〜1時間毎)、2)嫌気的環境でまたは脱気した緩衝液で反応を行う、3)反応を一晩進行させる、および4)何度も凍結融解されていない新たに調製した脱炭酸酵素を使用する。脱炭酸酵素は、12mMより高いピルビン酸濃度により阻害された。4mMより高いインドール-3-ピルビン酸の濃度では、インドール-3-ピルビン酸による副反応が促進された。アルドラーゼの量も上昇したなら、反応で使用されたインドール-3-ピルビン酸の量は上昇させるすることができた。高レベルのリン酸(50mM)とアスパラギン酸(50mM)は脱炭酸酵素に対して阻害的であった。1時間の反応でモナチン産生を低下させることなく、脱炭酸酵素の量を0.5U/mlまで低下させることができた。産生されるモナチンの量は、温度が26℃から30℃に上昇、および30℃から37℃に上昇すると上昇した;しかし37℃では、インドール-3-ピルビン酸の副反応も促進された。産生されるモナチンの量は、pHが7から7.3に上昇すると上昇し、pH7.3〜8.3では比較的安定であった。
トリプトファンで出発する典型的な反応は、(最終濃度)50mM トリス塩酸(pH7.3)、20mM トリプトファン、6mM アスパラギン酸、6mM ピルビン酸ナトリウム、0.05mM PLP、3mM リン酸カリウム、3mM MgCl2、25μg/ml アミノ転移酵素、50μg/ml シー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼ、4単位/mlの脱炭酸酵素、5〜200mU/mlのL-アミノ酸酸化酵素(シグマ(Sigma)A-2805)、168U/mlのカタラーゼ(シグマ(Sigma)C-3515)、および0.008mg FADを含んだ。反応は30℃で30分行った。脱炭酸酵素の添加により改良が観察された。50mU/mlの酸化酵素を使用すると、最大量のモナチンが産生された。改良は、基質としてインドール-3-ピルビン酸を使用した時観察されたものと同様であった。さらに産生されるモナチンの量は、1)トリプトファンレベルが低い(すなわち、アミノ転移酵素のKm以下、従って活性部位でMPと競合できない)時、および2)酸化酵素対アルドラーゼおよびアミノ転移酵素の比が、インドール-3-ピルビン酸が蓄積しないレベルに維持される時、上昇した。
インドール-3-ピルビン酸で出発してもトリプトファンで出発しても、1〜2時間のインキュベーション時間のアッセイで産生されるモナチンの量は、同じ酵素比を維持してすべての酵素を2〜4倍量で使用すると増加した。いずれの基質を使用しても、約1mg/mlのモナチンの濃度が達成された。インドール-ピルビン酸から出発して産生されるトリプトファンの量は、典型的には生成物の量の20%未満であり、これは共役反応を使用する利点を示している。中間体の濃度および副反応のさらなる最適化と制御により、生産性と収率は大幅に改良することができる。
リジンイプシロンアミノ転移酵素(EC2.6.1.36)を使用する共役反応
リジンイプシロンアミノ転移酵素(L-リジン6-トランスアミナーゼ)は、ロードコッカス(Rhodococcus)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ノカルディア(Nocardia)、フラボバクテリム(Flavobacterium)、カンジダ・ユティリス(Candida utilis)、およびストレプトミセス(Streptomyces)を含むいくつかの微生物で見いだされる。これはいくつかのベータラクタム抗生物質の産生の第1工程として生物により利用される(RiusとDemain、J. Microbiol. Biotech. 7:95-100, 1997)。この酵素は、アルファケトグルタル酸をアミノアクセプターとして使用してリジンのC-6のPLP介在アミノ転移により、リジンをL-2-アミノアジペート6-セミアルデヒド(アリシン)に変換する。アリシンは不安定であり、自発的に分子内分解を受けて1-ピペリデイン6-カルボキシレート(環状分子)を生成する。これは逆反応が起きることを有効に阻害する。この反応スキームを図12に示す。代替酵素であるリジン−ピルビン酸6-アミノ転移(EC2.6.1.71)も使用できる。
典型的な反応物は1ml中に以下を含有した:50mM トリス塩酸(pH7.3)、20mM インドール-3-ピルビン酸、0.05mM PLP、6mM リン酸カリウム(pH8)、2〜50mM 6mM ピルビン酸ナトリウム、1.5mM MgCl2、50mM リジン、100μg アミノ転移酵素(リジンイプシロンアミノ転移酵素 LAT-101、バイオキャタリティクス(BioCatalytics)、パサデナ、カリホルニア州)、および200μgのシー・テストステロニ(C. testosteroni)ProAアルドラーゼ。産生されるモナチンの量はピルビン酸の濃度の上昇とともに増加した。これらの反応条件(50mM ピルビン酸で)を使用する最大量は、オキサロ酢酸脱炭酸酵素(約0.1mg/ml)を使用する共役反応で観察されたものより10倍少なかった。
[M+H]+=293を有するピークはモナチンについて予測された時間に溶出し、質量スペクトルは他の酵素法で観察されたものと同じ断片のいくつかを含有した。正しい質量対荷電比を有する第2のピーク(293)は、実施例6で産生されたS,Sモナチンについて典型的に観察されるものより少し速く溶出し、モナチンの別の立体異性体の存在を示す。この酵素によりトリプトファンはほとんど産生されなかった。しかし、ピルビン酸に対するいくつかの活性があるようである(アラニンを副産物として産生する)。またこの酵素は不安定であることが知られている。安定性を増し、ピルビン酸による活性を低下させ、MPによる活性を上昇させるために有向進化実験を行うことにより改良することができる。これらの反応はまた、上記したようにL-アミノ酸酸化酵素/カタラーゼに共役することができる。
他の共役反応
図13に示すようにトリプトファンまたはインドール-ピルビン酸からのモナチンの収率を改良することができる。ギ酸脱水素酵素(EC1.2.1.2または1.2.1.43)は一般的な酵素である。いくつかのギ酸脱水素酵素はNADHを必要とし、他はNADPHを利用する。グルタミン酸脱水素酵素は前の例で、アンモニウムベースの緩衝液を使用してモナチン前駆体とモナチンとの相互変換を触媒した。ギ酸アンモニウムとギ酸脱水素酵素の存在は補助因子の再生のための効率的なシステムであり、二酸化炭素の産生は逆反応速度を低下させるための効率的な方法である(Bommariusら、Biocatalysis 10:37, 1994およびGalkinら、Appl. Environ. Microbiol. 63:4651-6, 1997)。さらに多量のギ酸アンモニウムを反応緩衝液に溶解することができる。グルタミン酸脱水素酵素反応(または同様の還元アミノ化)により産生されるモナチンの収率は、ギ酸脱水素酵素とギ酸アンモニウムの添加により改良することができる。
平衡をモナチン産生に向けるために、他の方法を使用することができる。例えば米国特許第5,360,724号および5,300,437号に記載のようにオメガアミノ酸アミノ転移酵素(EC2.6.1.18)によるMPからモナチンへの変換でアミノ酸ドナーとしてアミノプロパンが使用されるなら、生じる生成物の1つは、基質アミノプロパンより揮発性の高いアセトンであろう。温度を定期的に短時間上げてアセトンをさっと除去することができ、こうして平衡を緩和する。アセトンは沸点が47℃であり、これは、短時間使用しても中間体を分解しない温度である。アルファケトグルタル酸に対して活性を有するほとんどのアミノ転移酵素はまた、モナチン前駆体に対しても活性を有する。同様にグリオキシレート/芳香族酸アミノ転移酵素(EC2.6.1.60)がアミノドナーとしてのグリシンとともに使用されるなら、比較的不安定でグリシンと比較して非常に低い沸点を有するグリオキシレートが産生される。
実施例14
表6に記載の成分を使用して、イチゴ風味のチューインガム組成物が調製される。アセスルフェムKとモナチンのS,S立体異性体の代わりにモナチンのR,R立体異性体を使用することができる。
Figure 2007502117
ガム基剤は30% テルペン樹脂、15% 水素化綿実油、2% レシチン、2.5% ポリイソブチレン、27%ポリ酢酸ビニル、12.45% 炭酸カルシウム、11% イソブチレン−イソプレン共重合体、および0.05% BHTである。
ガム基剤はあらかじめ加熱され、シグマ(Sigma)ブレードミキサーに添加され、柔らかく曲げやすくなるまで混合される。ソルビトール溶液とグリセリンは50℃に加熱され、残りの成分とともにミキサーに加えられる。混合が完了後、ガムは1.5mmの厚さまで巻かれ、タルクを散布され、切断され、包装される。
モナチン以外の強力甘味剤を含有する同様のチューインガム組成物と比較して、モナチンを含有するチューインガム組成物中では、イチゴ風味はあまり遮蔽されず、甘味はより長期間続くと予測される。
実施例15:モナチンを含有するチューインガム調製物、およびその製造法
以下はモナチンを含むチューインガム組成物のいくつかの調製物例、ならびに組成物を加工する方法の例である。
調製物A
200g ガム基剤
340g ソルビトール粉末(セレスター(Cerestar)P16616)
7g チョーク
3.6g マルチトールシロップ(80brixに濃縮したセレスター(Cerestar)16303)
2g メントール
1.5g S,Sモナチン
調製物B
200g ガム基剤
340g ソルビトール粉末(セレスター(Cerestar)P16616)
7g チョーク
3.6g マルチトールシロップ(80brixに濃縮したセレスター(Cerestar)16303)
2g メントール
0.05g R,Rモナチン
調製物C
200g ガム基剤
340g ソルビトール粉末(セレスター(Cerestar)P16616)
7g チョーク
3.6g マルチトールシロップ(80brixに濃縮したセレスター(Cerestar)16303)
2g メントール
0.038g S,Sモナチン
0.038g R,Rモナチン
調製物D
320g ガム基剤
400g ソルビトール粉末(セレスター(Cerestar)P16616)
100g マルチトールシロップ(セレスター(Cerestar)16303)
40g マンニトール(セレスター(Cerestar)16700)
10g イソマルト
14g メントール
18g ミント風味
1g S,Sモナチン
1g アセスルフェムK
0.075g R,Rモナチン
調製物E
200g ガム基剤
400g ソルビトール(結晶性)
46g マルチトールシロップ(80%ds)
2%イチゴ風味+0.02% R,Rモナチンを加える。
調製物F
211g 無糖ガム基剤
420g ソルビトール
14g グリセロール
2%イチゴ風味+0.02% S,Sモナチン+0.015% R,Rモナチンを加える。
調製物G
270g ガム基剤
340g ソルビトール
34g ソルビトールシロップ(70%ds)
2%風味+0.15% S,Sモナチン+0.05% R,Rモナチンを加える。
調製物H
300g ガム基剤
550g ソルビトール
100g ソルビトールシロップ
49.5g グリセリン
0.5g S,Sモナチン
ガムはいかに加工されるか:
ガム基剤は押出しにより加工され、水浴に入れて冷却され固化される。約1/2cm×1/2cmのペレットを使用するまで保存する。ペレットをZブレンダー(高剪断力)を使用して混合し、温度が最大60℃まで達し、混合物を軟化させる。まだガム基剤中に無いなら、タルカムを加える。結晶性甘味剤(例えばソルビトール)と軟化剤/可塑剤(例えば液体ソルビトール、液体マルチトール、またはグリセロール)を、段階的に交互に攪拌しながら加えて、ブレンダーのモーターが加熱するのを防ぐ。風味剤、着色剤、および甘味剤を加え、混合する。混合物をブレンダーから取り出し、典型的なバッチサイズは数百kgである。混合物を押しだし機から押出すと、これはガムをホモジナイズし成形する。シートに平らにし、切断し、切片をスティックガムとして包装するか、ペレット化ガムとしてコーティングする。
実施例16:無糖チューインガムの調製物と製造法
調製物の例
Figure 2007502117
調製法の例:
1. ガム基剤を電子レンジ中で前加熱し、次にZブレードミキサーに加え、柔らかく曲げやすくなるまで混合する。
2. 電子レンジ中でソルビトール溶液とグリセリンを50℃に加熱する。
3. すべての残りの成分をZブレードに加える。20分混合し、ミックスの温度を5分毎にチェックする。
4. 混合が完了後、ミキサーからガムを取り出し、1.5mmの厚さまで広げる。タルクを散布し、切断し、包装する。
実施例17:モナチンの評価
R,RモナチンまたはR,Rモナチン/エリスリトール組合せを含むモナチン調製物を、氷冷したお茶中の他の公知の甘味剤(アスパルタームとスクラロース)に対して評価した。評価した主要な官能パラメータは、甘味品質、あと味、苦み、およびそのあと味である。定性的評価を行った。
製品調製物−氷冷したお茶
氷冷お茶調製物を開発して甘味剤性能を評価した(表7)。
Figure 2007502117
以下の濃度で甘味剤を加えた:
アスパルターム 0.0450%(w/v)
スクラロース 0.0170%(w/v)
R,Rモナチン 0.0030, 0.0035, 0.0040%(w/v)+1g マルトデキストリン
R,Rモナチン/エリスリトール 0.0030, 0.0035, 0.0040%(w/v)+1g エリスリトール
官能評価
氷冷お茶飲料の評価は、熟練官能評価者のパネル(n=6)により行った。これらの評価の結果を表8に要約する。
Figure 2007502117
考察
モナチンは、甘味剤調製物の予想外の性能の利点(明瞭な官能利点)を示した。氷冷茶および特に酸性化茶(すなわちレモンを有する)では、モナチンはレモン風味を増強した。この利点は、低濃度のエリスリトールの添加によりさらに増強され、これは風味をバランスさせて丸め、甘味剤の開始時間を速めた。飲料(例えば茶)では、モナチンは改良された官能性(例えば、あと味が少ない、異味が少ない)、および/または溶解度と安定性を改良した。氷冷茶を甘くするのに使用されるモナチンは、ほぼ0カロリーを含み、これは氷冷茶を甘くするのに使用される茶さじ2杯分のショ糖中の32カロリーとは対照的である。
例えば飲料中のチューインガム組成物では、モナチンは柑橘類風味の増強を示し、ならびにアスパルタームまたはスクラロースと比較して、甘味のより好ましい時間/強度プロフィールを提供すると予測される。さらに、チューインガム組成物では、モナチンとエリスリトールの混合物は柑橘類風味をさらに増強し、アスパルタームまたはスクラロースと比較して、より好ましい甘味プロフィールを提供すると予測される。
実施例18:チューインガム中のモナチンの評価
緒言
モナチン、アスパルタームおよびスクラロースで個別に甘くしたチューインガムをミント味のスティック型で調製した。ガムをイソスイートに調製し、甘味のスティックガムフォーマットで調製した。ガムを調製してイソ甘味とし、甘味味と甘味性質と甘味の時間−強度の品質について評価した。
ガム調製物と製造
この評価で使用した調製物を表9に示す。記載のようにすべての3つのガム調製物について標準的製造法を採用した。
Figure 2007502117
ガム製造法は以下の通りである:
・ガム基剤を40〜45℃に前加熱し、次にZブレードミキサーに加え、混合する。
・ソルビトール粉末を篩にかける。
・ソルビトールの部分を取り出し、甘味剤をその部分に分散させ、完全に混合する。
・甘味剤/ソルビトールミックスを、ソルビトール粉末の残りのブロックに戻し、完全に混合する。
・リカシン(lycasin)とグリセロールをボウルに混合し、50℃に前加熱する。
・ソルビトール粉末を、ガム基剤を含有するZブレードミキサーに加える。
・リカシン(lycasin)/グリセロールと風味剤とをZブレードに加え、20分混合する。
・Zブレードミキサーからガムを取り出す。
・機械的ローラーを使用して厚さ1.5mmに巻く。
・比率3g タルク対100gガム中のタルクで散布する。
・スティックを19mm×73mmにスティックを切断する。
・個々のスティックを箔に包む。
官能評価
チューインガム組成物は、すべてがチューインガムの正式な官能評価(時間/強度パラメータを含む)に経験豊かな熟練官能評価者(n=4)のパネルにより評価された。ガム風味と甘味の定性的および一時的特性を評価した。
評価の結果を表10に示す。これらの評価において、モナチンはチューインガム組成物において明瞭な官能利点を示し、甘味と風味の明瞭なバランスが、両方を最大の官能利点まで感知することを可能にした。モナチンによる甘味剤の時間/強度プロフィールは、明らかにアスパルタームまたはスクラロースより優れていた。甘味は、モナチン甘味付けガムを消費する時、有意に長く感知された。
Figure 2007502117
実施例19:モナチンとサッカリンの甘味用量応答曲線
モナチンとサッカリンの甘味を、20人の熟練官能評価者を使用して、判定を二重測定で評価した。試験溶液と参照溶液をクエン酸/クエン酸塩緩衝液(pH3.2)で調製した。図16を参照されたい。サッカリンと比較してR,R/S,Sモナチンのより直線的な応答は、より糖のような味の放出に一致する。10%SEVより上のプラトーは「混合物を抑制する」異味およびあと味が無いか/低レベルであることを示す。モナチンの用量応答曲線の形は、アスパルターム、スクラロース、およびアリテーム(これらのすべてが「高品質」甘味剤である)と似ている。
R,R/S,Sモナチンをモデル系(pH3.2)中の唯一の甘味剤として、以下の特性を観察した:(1)甘味開始のわずかな遅れ;(2)甘味の崩壊は非常に急速である;(3)わずかな「アスパルターム様」あと味、わずかに甘いあと味、あと味中に苦みは無い;および(4)非風味システム中の残存冷却感。
実施例20:上昇する温度でのpH3でのモナチンの安定性
合成モナチンの試料を25℃、50℃、および100℃でpH3に付した。室温かつpH3で48時間にわたってモナチンの14%の消失が観察された。この消失はラクトン生成が原因であった。50℃でpH3では、48時間にわたってモナチンの23%の消失が観察された。この消失はラクトン生成と約15.5分後の未知の化合物の蓄積が原因であった。100℃とpH3では、24時間後にほとんどすべてのモナチンが消失した。15.5分に大きな検出可能な成分は未知であった。
実施例21:pH2.5、3.0、4.0で40℃でのモナチンとアスパルタームの官能安定性
pH2.5、3.0、4.0で調製され40℃で保存されたモナチン溶液の官能安定性を、100日間追跡した。これらの溶液からの甘味の消失を、同一条件下で調製し保存したアスパルターム溶液からの甘味の消失と比較した。
pH2.5、3.0、および4.0を有するリン酸/クエン酸緩衝液中のモナチンの官能安定性(8% SEV、約55ppm、約96%の2R、4R/2S、4Sエナンチオマー対と4%の2R、4S/2S、4Rエナンチオマー対を含有する合成混合物)を、40℃で保存後に調べた。モナチンの安定性を、同じ緩衝液中のアスパルターム(400ppm)の安定性と比較した。モナチンとアスパルターム溶液と同じリン酸/クエン酸緩衝液中で、3つのショ糖標準溶液を調製した。すべての調製した溶液を暗所で保存した。
緩衝液組成物:
pH2.5 リン酸(75%溶液)0.127%(w/v)
三ナトリウムクエン酸1水和物 0.005%(w/v)
pH3.0 リン酸(75%溶液)0.092%(w/v)
三ナトリウムクエン酸1水和物 0.031%(w/v)
pH4.0 リン酸(75%溶液)0.071%(w/v)
三ナトリウムクエン酸1水和物 0.047%(w/v)
ショ糖に対する各甘味剤の甘味を二重測定で、甘味推定法に熟練した熟練官能評価者のパネル(n=8)が評価した。すべての試料(同じ緩衝液中)を22℃±1℃の温度で二重測定で提供した。3桁のランダム数字コードでコードしたモナチン(試験)溶液をランダムな順序で個別にパネリストに提供した。0.5%(w/v)ショ糖のステップで上昇する4.0〜10.0%(w/v)の範囲のショ糖参照標準物質も提供した。パネリストは、試験溶液の甘味をショ糖標準物質と比較して甘味を評価するように求められた。これは試験溶液を3回すすって次に水を1回すすり、次にショ糖を3回すすって次に水を1回すすったりして行われた。パネリストは、甘味を小数点1桁(例えば6.8、8.5)まで評価するように求められた。試験溶液の評価の間には5分間の休憩を入れた。パネリストはまた、キャリーオーバー作用を小さくするために、よくすすいでクラッカーを食べる用に求められた。
表11と12は、リン酸クエン酸緩衝液中の安定性試験の結果を示す。各pHと暗所で40℃で100日間保存した後では、モナチン甘味剤の保持パーセントはアスパルタームで保持されたものより大きかった。pH4.0では、17日目と100日目の間の測定された甘味強度はほとんど変化していないため、モナチン溶液の甘味の消失は安定化したようであるが、アスパルターム溶液は甘味を消失し続けた。
Figure 2007502117
Figure 2007502117
Figure 2007502117
図13に示すように、各緩衝液はpHを維持するのに有効であった。
Figure 2007502117
偽1次分解反応を仮定すると、lognパーセント保持対時間(logn%RTN v. t)のプロットは、任意の設定条件下で甘味消失の半減期(t1/2)と速度定数(k)の推定を可能にする。そうすることにより、モナチンとアスパルタームの甘味消失の動力学は以下の表14のように要約される。
Figure 2007502117
各pHでかつ40℃で100日間保存後に、モナチン甘味の保持パーセントはアスパルタームで保持されたものより大きい。pH4.0では17日目と100日目の間の測定された甘味強度はほとんど変化していないため、モナチン溶液の甘味の消失は安定化したようであるが、アスパルターム溶液は甘味を消失し続けた。
モナチンとアスパルタームの半減期の推定値は、モナチンから得られる甘味はアスパルタームより遅い速度で消失することを示した。pH2.5、3.0および4.0のモナチン甘味の半減期推定値は、それぞれ65日、115日、および230日であった。アスパルタームの半減期推定値は、同じ条件下で55日、75日、および140日であった。
すなわち酸性条件下と40℃の保存で、モナチンはアスパルタームより安定な甘味を提供する。
実施例22:モナチンの立体異性体のクロマトグラフィー
試料調製−約50〜75μgの凍結乾燥物質をマイクロ遠心分離管に入れた。ここに1.0mlのHPLCグレードのメタノールを加えた。溶液を30分間ボルテックス混合し、遠心分離し、上清のアリコートを分析のためにとった。
逆相HPLC−2つの明確なジアステレオ異性体ピーク(R,R/S,SとR,S/S,R)のクロマトグラフィーを、2.1×250mmのゼテラ(Xterra)(登録商標)MS C8 5μm(ウォーターズ社(Waters Corporation))HPLCカラムを使用して行った。検出はマイクロマス(Micromass)からのウルチマ(Ultima)3重の四極子質量スペクトル計を使用して行った。移動相は以下の勾配で行った:
時間(分) 0 9 16 20 21
0.05% TFA A% 95 65 10 10 95
メタノール、0.05% TFA B% 5 35 90 90 5
流速 ml/分 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
キラルHPLC−2つの明確なモナチンのステレオ異性体(R,RとS,S)のクロマトグラフィーを250×4.6mmのキロビオティックT(Chirobiotic T)(アドバンストセパレーションズテクノロジーズ社(Advanced Separations Technologies Inc.))HPLCカラムを使用して行った。検出はマイクロマス(Micromass)からのウルチマ(Ultima)3重の四極子質量スペクトル計を使用して行った。移動相は、0.2% 酢酸と0.05%水酸化アンモニウムを有するメタノールからなった。
質量スペクトル測定(MS/MS)−モナチンの存在を選択された反応モニタリング(SRM)実験により検出した。モナチンのプロトン化分子イオン([M+H]+)はm/z=293.3を有する。この分子イオンの断片化は、分子イオンの多重脱水により起きるm/z=257.3の大きなイオンを生成する。この遷移はモナチンに特異的であることが証明されており、SRM実験中のモニタリングのための遷移(293.3から257.3)として選択された。この検出法は、モナチンの逆相およびキラル分離の両方のために使用した。
結果−R,S/S,RとS,S/R,Rの標準試料を逆相HPLCで評価した。誘導体化と酵素的分解により試料を調製した。標準溶液のクロマトグラムを図17に示す。逆相分析後に、キラルクロマトグラフィーを行って、試料中に存在する特異的立体異性体を評価した。標準的S,SおよびR,Rモナチン溶液のキラルクロマトグラフィーを図18に示す。
実施例23:高温(80℃)と中性pHでのモナチンの安定性
pH7の75ppmモナチンの100ml溶液をストック溶液として使用した。合成モナチン試料は96%の2R,4R/2S,4Sエナンチオマー対と4%の2R,4S/2S,4Rエナンチオマー対を含有した。試料を80℃でpH7で実験の時間中インキュベートし、0、1、2、3、4時間目と1、2、4、7、14、21および35日目に試料を取った。すべての実験条件は二重測定で行った。
逆相クロマトグラフィーを使用するLC-MSを使用する分離と定量−
合成モナチンの両方の有向ジアステレオ異性体ピークについて応答曲線を確立した。DI水に溶解した合成モナチン標準物質で5〜150ppmの範囲の限界を定めた。2つのジアステレオ異性体ピークの分離は、3.9×150mmのノバパック(Novapak)C18(ウォーターズ社(Waters, Corporation))HPLCカラムを使用して行った。検出と定量のために紫外線−可視(UV)と質量スペクトル(MS)検出器を直列で使用した。モナチンとそのラクトンピークはそれぞれ279nmでUVmaxを有し、これは正確な検出を助けた。定量は、陽性イオン電子噴霧モードで293.3m/zと275.3m/zの選択されたイオンモニタリング(SIM)スキャンを獲得することにより行った。
結果−
中性pHでは、モナチンの分解の程度は7〜35日後でも無視できるものであった。1次副産物は環化とおそらく非常に低レベルのラセミ化であるため、経時的なモナチンの消失はpHに大きく依存した。80℃でpH7で実験中に、定量のためにLC-MSを使用することにより得られる正確性の限界内でラセミRR/SSモナチンまたはそのラクトンの濃度の変化は検出されなかった。中性pHでのモナチンの熱安定性のために、他の強力甘味剤(例えばアスパルターム)と比較して、モナチンはガム加工温度で適当な安定性を有し、チューインガム組成物中で長い半減期を有すると予測される。
本開示の原理が適用される多くの可能な実施態様を考慮すると、記載の実施態様は特定の開示例であり、本開示の範囲を限定するものと考えてはならない。
図1は、モナチンおよび/またはインドール-3-ピルビン酸を産生するのに使用される生合成経路を示す。1つの経路はトリプトファンを介してインドール-3-ピルビン酸を産生し、他の経路はインドール-3-乳酸を介してインドール-3-ピルビン酸を産生する。次にモナチンはMP中間体を介して産生される。 四角に示す化合物は基質と生合成経路で産生される生成物である。矢印に隣接する組成物は補助因子、または基質から生成物への変換中に使用することができる反応物である。使用される補助因子または反応物は、生合成経路の特定の工程について使用されるポリペプチドに依存する。補助因子PLP(ピリドキサール5'-リン酸)は、ポリペプチドに依存しない反応を触媒することができ、従ってPLPを提供するだけで基質から生成物への進行が可能になる。 図2は、MP中間体を利用する生合成経路のより詳細な図である。経路中の各工程の基質を四角に示す。基質間の変換を可能にするポリペプチドを、基質間の矢印に隣接して列記する。各ポリペプチドは、その一般名と酵素分類(EC)番号で記載される。 図3は、インドール-3-乳酸からインドール-3-ピルビン酸への変換の生合成経路のより詳細な図である。基質を四角に示し、基質間の変換を可能にするポリペプチドを、基質間の矢印に隣接して列記する。各ポリペプチドは、その一般名と酵素分類(EC)番号で記載される。 図4は、化学的手段を介してMPを製造するための1つの可能な反応を示す。 5Aは、酵素的に産生されるモナチンのLC/MS同定を示すクロマトグラムである。 5Bは、酵素的に産生されるモナチンのLC/MS同定を示すクロマトグラムである。 図6は、酵素的に合成したモナチンの電子噴霧質量スペクトルを示す。 図7Aは、酵素混合物中で産生されたモナチンのLC/MS/MS娘イオン分析のクロマトグラムである。 図7Bは、酵素混合物中で産生されたモナチンのLC/MS/MS娘イオン分析のクロマトグラムである。 図8は、酵素的に産生されたモナチンの高分解能質量測定を示すクロマトグラムである。 図9Aは、(A)R-トリプトファン、(B)S-トリプトファン、および(C)酵素的に産生されたモナチンのキラル分離を示すクロマトグラムである。 図9Bは、(A)R-トリプトファン、(B)S-トリプトファン、および(C)酵素的に産生されたモナチンのキラル分離を示すクロマトグラムである。 図9Cは、(A)R-トリプトファン、(B)S-トリプトファン、および(C)酵素的に産生されたモナチンのキラル分離を示すクロマトグラムである。 図10は、IPTG誘導後の細菌細胞中で産生されたモナチンの相対量を示すグラフである。(-)は、基質添加が無いことを示す(トリプトファンもピルビン酸も添加しなかった)。 図11は、トリプトファンまたはインドール-3-ピルビン酸から産生されたモナチンの収率を上昇させるために使用される経路を示す略図である。 図12は、トリプトファンまたはインドール-3-ピルビン酸から産生されたモナチンの収率を上昇させるために使用される経路を示す略図である。 図13は、トリプトファンまたはインドール-3-ピルビン酸から産生されたモナチンの収率を上昇させるために使用することができる経路を示す略図である。 図14は、モナチンのR,R立体異性体で得られた用量応答曲線を示す。 図15は、モナチンのR,R/S,S立体異性体混合物で得られた用量応答曲線を示す。 図16は、モナチンのR,R/S,S立体異性体混合物で得られた用量応答曲線とサッカリンで得られた用量応答曲線を比較する。 図17は、合成的に産生されたモナチンの標準物質の逆相クロマトグラフィーを示す。 図18は、モナチン標準物質のキラルクロマトグラフィーを示す。

Claims (75)

  1. ガム基剤部分と可溶性部分とを含むチューインガム組成物であって、当該可溶性部分はモナチンまたはその塩を含む、前記組成物。
  2. 前記組成物の量は、モナチンまたはその塩の代わりにショ糖を含有する同じ量のチューインガム組成物より、少ないカロリーと炭水化物とを含む、請求項1のチューインガム組成物。
  3. モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物であって、当該モナチンまたはその塩は、チューインガム組成物中にモナチンまたはその塩の代わりの他の強力甘味剤と比較して、長期の甘味と明らかなまたは増強された風味を与える量で存在する、前記組成物。
  4. 前記他の強力甘味剤は、アスパルタームまたはスクラロースから選択される、請求項3のチューインガム組成物。
  5. モナチンまたはその塩により与えられる増強された長期の甘味を有するモナチンで甘くしたチューインガム組成物の製造法であって、
    (a)生合成経路を介してモナチンまたはその塩を産生するステップ;
    (b)当該モナチンまたはその塩を他の成分と組合せるステップ;および
    (c)チューインガム組成物を生成するステップ、
    をむ、前記方法。
  6. モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物であって、当該モナチンまたはその塩は増強された長期の甘味を与える量で存在する、前記組成物。
  7. 前記モナチンまたはその塩は、アスパルタームまたはスクラロースと比較して、長期の甘味を与える量で存在する、請求項1のチューインガム組成物。
  8. 前記可溶性部分は柑橘類風味をさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  9. 前記可溶性部分は柑橘類風味をさらに含み、かつ前記モナチンまたはその塩は柑橘類風味により提供される風味を増強する量で存在する、請求項1のチューインガム組成物。
  10. 前記組成物は、約0.001〜約1.1wt%のモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  11. 前記組成物は、S,Sモナチンまたはその塩を実質的に含まない、請求項10のチューインガム組成物。
  12. 前記組成物は、R,Rモナチンまたはその塩を実質的に含まない、請求項10のチューインガム組成物。
  13. 前記組成物は、約0.009〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  14. 前記組成物は、約0.015〜約0.025wt%のR,Rモナチンまたはその塩を含む、請求項13のチューインガム組成物。
  15. 組前記成物は、約0.1〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  16. 前記組成物は、約0.15〜約0.88wt%のS,Sモナチンまたはその塩を含む、請求項15のチューインガム組成物。
  17. 前記組成物は、約0〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩と、約0〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩とを含有する、請求項1のチューインガム組成物。
  18. 組成物は、約0.1wt%以下のR,Rモナチンまたはその塩を含み、かつS,S、S,R、またはR,Sモナチンまたはその塩を実質的に含まない、請求項1のチューインガム組成物。
  19. 組成物は、約1.1wt%またはそれ以下のS,Sモナチンまたはその塩を含み、かつR,R、S,R、またはR,Sモナチンまたはその塩を実質的に含まない、請求項1のチューインガム組成物。
  20. 前記モナチンまたはその塩は、基本的にR,Rモナチンまたはその塩からなる、請求項1のチューインガム組成物。
  21. 前記モナチンまたはその塩は、基本的にS,Sモナチンまたはその塩からなる、請求項1のチューインガム組成物。
  22. 前記モナチンまたはその塩は、立体異性体的に過剰のR,Rモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  23. 前記モナチンまたはその塩は、立体異性体的に過剰のS,Sモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  24. 前記モナチンまたはその塩は、少なくとも95%のR,Rモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  25. 前記モナチンまたはその塩は、少なくとも95%のS,Sモナチンまたはその塩を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  26. 前記モナチンまたはその塩は生合成経路により産生される、請求項1のチューインガム組成物。
  27. 前記可溶性部分はシクラメートをさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  28. 前記可溶性部分はエリスリトールをさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  29. 前記部分のすべての成分は天然のものである、請求項1のチューインガム組成物。
  30. 前記組成物は生体分解性である、請求項1のチューインガム組成物。
  31. 前記組成物は、乳酸共重合体、タンパク質、ジェルトン、ペリロ、ソルバ、マッサランズババラタ、マッサランズバチョコレート、ニスペロ、ロシンヂンハ、チクル、グッタハンカン、アラビノガラクタン、アラビアゴム、キサンタン、またはこれらの組合せから選択される成分を含む、請求項30のチューインガム組成物。
  32. 前記組成物は非う食原生(non-cariogenic)である、請求項1のチューインガム組成物。
  33. ガム基剤部分と可溶性部分とを含むチューインガム組成物であって、当該可溶性部分は立体異性体的に過剰のモナチン混合物を含み、かつ当該モナチン混合物は生合成経路により産生される、前記組成物。
  34. 前記生合成経路は多工程経路であり、かつ多工程経路の少なくとも1つの工程は化学的変換である、請求項33のチューインガム組成物。
  35. 前記混合物は主にR,Rモナチンまたはその塩である、請求項33のチューインガム組成物。
  36. 前記混合物は主にS,Sモナチンまたはその塩である、請求項33のチューインガム組成物。
  37. ガム基剤部分と可溶性部分とを含むチューインガム組成物であって、当該可溶性部分は生合成経路により製造されるモナチン組成物を含み、かつ当該モナチン組成物は石油化学的、毒性の、または有害な汚染物質を含有しない、上記組成物。
  38. ガム基剤部分と可溶性部分とを含むチューインガム組成物はであって、ここで可溶性部分はモナチンまたはその塩を含み、モナチンまたはその塩は、生合成経路により産生され、組換え細胞から単離され、当該組換え細胞は石油化学的、毒性の、または有害な汚染物質を含有しない、上記組成物。
  39. 前記ガム基剤部分は3〜50wt%のエラストマー;0.5〜25wt%の軟化剤;2〜30wt%の乳化剤;5〜75wt%の樹脂;および0〜20wt%の充填剤を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  40. 前記エラストマーは、天然ゴム、天然ガム、および合成エラストマーよりなる群から選択される、請求項39のチューインガム組成物。
  41. 前記天然ゴムは、スモークラテックス、液体ラテックス、およびグアユールゴムから選択される、請求項40のチューインガム組成物。
  42. 前記天然ガムは、ジェルトン、ペリロ、ソルバ、マッサランズババラタ、マッサランズバチョコレート、ニスペロ、ロシンヂンハ、チクル、およびグッタハンカンよりなる群から選択される、請求項40のチューインガム組成物。
  43. 前記合成エラストマーは、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、およびビニルポリマー性エラストマーよりなる群から選択される、請求項40のチューインガム組成物。
  44. 前記軟化剤は、1つ以上のタロー、水素化タロー、水素化植物油、部分水素化植物油、ココアバター、モノステアリン酸グリセロール、トリ酢酸グリセロール、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、および脂肪酸を含む、請求項39のチューインガム組成物。
  45. 前記充填剤は、1つ以上のレシチン、イヌリン、ポリデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、研摩石灰石、ケイ酸アルミニウム、タルク、粘土、アルミナ、二酸化チタン、およびリン酸カルシウムを含む、請求項39のチューインガム組成物。
  46. 前記乳化剤は、モノステアリン酸グリセロール、レシチン、ポリグリセロールポリリシノール酸、またはステアリン酸マグネシウムである、請求項39のチューインガム組成物。
  47. 前記樹脂は、ロジンエステル、テルペン樹脂、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、または酢酸ビニル−ラウリル酸ビニル共重合体である、請求項39のチューインガム組成物。
  48. 前記ロジンエステルは、部分的水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分的ダイマー化ロジンのグリセロールエステル、ロジンのグリセロールエステル、部分的水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、または部分的水素化ロジンのメチルエステルである、請求項47のチューインガム組成物。
  49. 前記乳化剤と前記軟化剤とは異なる化合物である、請求項39のチューインガム組成物。
  50. 前記乳化剤と前記充填剤とは異なる化合物である、請求項39のチューインガム組成物。
  51. 前記軟化剤と前記充填剤とは異なる化合物である、請求項39のチューインガム組成物。
  52. 前記可溶性部分はバルク甘味剤をさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  53. 前記バルク甘味剤は、トウモロコシ甘味剤、ショ糖、ブドウ糖、転化糖、デキストリン、フルクトース、レブロース、コーンシロップ固体、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、またはこれらの組合せである、請求項52のチューインガム組成物。
  54. 前記可溶性部分は強力甘味剤または低血糖性炭水化物をさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  55. 前記強力甘味剤または前記低血糖性炭水化物は、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、水素化デンプン加水分解物、キシリトール、アリテーム、タウマチン、スクラロース、アスパルターム、アセスルフェムK、ジヒドロカルコン、サッカリン、ネオテーム、シクラメート、ステビオシド、モグロシド、タガトース、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、グリチルリチン、フィロヅルシン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、クルクリン、ミラクリン、およびペンタジンから選択される、請求項54のチューインガム組成物。
  56. 前記可溶性部分は風味剤をさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  57. 前記風味剤は、精油、果実風味剤、合成風味、またはこれらの組合せである、請求項56のチューインガム組成物。
  58. 前記精油は、ペパーミント油、スペアミント油、またはウインターグリーン油である、請求項57のチューインガム組成物。
  59. 前記風味剤は果実風味剤である、請求項57のチューインガム組成物。
  60. 前記果実風味剤は、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、グレープフルーツ、シトロン、キンカン、バナナ、サクランボ、リンゴ、パイナップル、ブドウ、イチゴ、トゥッティフルッティ、スイカ、またはこれらの組合せの、抽出物、エッセンスまたは油を含む、請求項59のチューインガム組成物。
  61. 前記モナチンまたはその塩は、R,RとS,Sモナチンまたはその塩の混合物である、請求項1のチューインガム組成物。
  62. 前記可溶性部分は、モナチンまたはその塩とアセスルフェムKとの混合物を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  63. 前記組成物は、約0.1〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩と約0.1〜約0.3wt%のアセスルフェムKとを含む、請求項62のチューインガム組成物。
  64. 前記組成物は、約0.05〜約0.7wt%のS,Sモナチンまたはその塩と約0.01〜約0.2wt%のアセスルフェムKとを含む、請求項62のチューインガム組成物。
  65. 前記組成物は、約0.009〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩と約0.01〜約0.3wt%のアセスルフェムKとを含む、請求項62のチューインガム組成物。
  66. 前記モナチンまたはその塩は封入されている、請求項1のチューインガム組成物。
  67. 前記ガム基剤部分は15〜30wt%の組成物を含む、請求項1のチューインガム組成物。
  68. 前記可溶性部分は、バルク甘味剤、強力甘味剤、または低血糖性炭水化物、および風味剤をさらに含む、請求項1のチューインガム組成物。
  69. モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物の製造方法であって、グルコース、トリプトファン、インドール-3-乳酸、インドール-3-ピルビン酸、およびモナチン前駆体から選択される少なくとも1つの基質から、モナチンまたはその塩を製造することを含む、前記方法。
  70. モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物の製造方法であって、生合成経路を介してモナチンまたはその塩を製造することを含む、前記方法。
  71. モナチンまたはその塩を含むチューインガム組成物の製造方法であって、少なくとも1つの生物学的変換を使用してモナチンまたはその塩を製造することを含む、前記方法。
  72. 前記モナチンまたはその塩を、モナチンまたはその塩ではない少なくとも1つの他の成分と組合せるステップをさらに含む、請求項69の方法。
  73. 前記チューインガム組成物が、約0〜約1.1wt%のS,Sモナチンまたはその塩と、約0〜約0.1wt%のR,Rモナチンまたはその塩とを含む、請求項72の方法。
  74. モナチン組成物を含むチューインガム組成物の製造方法であって、(a)組換え細胞中で生合成経路を介してモナチンまたはその塩を製造するステップ;(b)当該組換え細胞から当該モナチン組成物を単離するステップ、を含み、ここで当該モナチン組成物はモナチンまたはその塩と他の食用または飲用の物質とからなる、前記方法。
  75. モナチンまたはその塩と、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、アリテーム、タウマチン、スクラロース、アスパルターム、アセスルフェムK、ジヒドロカルコン、サッカリン、ネオテーム、シクラメート、ステビオシド、モグロシド、タガトース、イソマルト、ラクチトール、グリチルリチン、フィロヅルシン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、クルクリン、ミラクリン、およびペンタジンから選択される少なくとも1つの他の成分とを含む、チューインガム組成物。
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