JP2007331397A - インク用被記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より長期にわたる画像保存性と記録特性を両立して有する記録媒体を提供することと、この特性を確実に実現できる製造方法を提供することにある。
【解決手段】色材劣化防止材を溶剤に溶解した塗工液をインク受容層に塗布することで、インク受容層中に色材劣化防止材を含有させる際に、色材劣化防止材を高濃度で含む高濃度部位と、色材劣化防止材を低濃度で含む低濃度部位と、高濃度部位が記録面側に位置するように生じさせる。
【選択図】図3

Description

本発明は、水性インクを使用した記録に適する被記録媒体及びその製造方法を提供するものであり。とりわけ、本発明は長期にわたる画像保存性を有するインク用の被記録媒体と、この特性を確実に実現できるインク用被記録媒体の製造方法に関するものである。
インクジェット記録方法は、インク等の記録用の液体(記録液)の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体(記録媒体などともいう)に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであり、高速低騒音、多色化が容易であり、記録パターンの融通性が大きく、現像が不要であるなどの特徴があり、プリンター単体への展開をはじめとして、複写機、ワープロ、ファクシミリ、プロッター等の情報機器における出力部への展開がさらに行なわれ、急速に普及している。また、近年、高性能のデジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナー等が安価に提供されつつあり、パーソナルコンピューターの普及と相まって、これらから得た画像情報の出力にインクジェット記録方式を採用したプリンターが極めて好適に用いられるようになってきている。このような背景において、銀塩系写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色のない画像を、手軽にインクジェット記録方式で出力する事が求められるようになってきた。
このような要求を満たす為に、記録の高速化、高精細化、フルカラー化などプリンター自体の構造や記録方式に関する改良が行なわれてきており、記録媒体の構造や特性に関する改良も盛んに検討されている。
インクジェット記録等に用いられる記録媒体については、従来から多様多種の形態のものが提案されてきた。銀塩系写真に匹敵する記録媒体には、優れた染料の発色性、高い表面光沢性、高い解像性を有する画像形成などの特性が要求される。銀塩系写真と遜色のない画像を提供可能である記録媒体のインク受容層の構成材料として、例えばアルミナ水和物があげられ、特開平7−232475号公報(特許文献1)、等に記載がある。
更に、最近になって、記録画像の保存性も要求されるようになってきた。耐光性、耐ガス性を向上するために色材劣化防止材を含みその記録画像の保存性を改良する方法も提案されている。例えば、得られた画像が温度や湿度の影響によって色材が移動することで画像がにじんでしまうマイグレーション現象を解決するためにカチオン化合物を含む記録シートが提案されている。
また、画像の光に対する保存性を改良する方法として特公平4-34512号公報(特許文献1)にはヒンダードアミン化合物を酸の塩としてインクジェットの記録用紙形成用の塗工液中に添加して形成した記録用紙が、特開平3−13376号公報(特許文献2)には有機溶剤に溶かしたヒンダードアミンとヒンダードフェノールを塗布した被録媒材が開示されている。たしかにこれらのような色材劣化防止材を含む記録媒体は耐ガス性や耐光性に関してある程度の効果を示すが、長期にわたる画像保存性に関しては、まだ満足できるレベルにない場合が多い。
この従来技術水準には特開2001-162928号公報(特許文献3)がある。ここには、フィルム上に設けられた35μmの厚みのインク受理層自体に対して、その上部5μm(表面から深さ5μmまでの部分)とその下部5μm(フィルムとの界面から上方に5μm厚の部分)を粉砕してそれらに含まれる硝酸基の量を比較している。この比較結果として、下部5μmが上部5μmに対して少ないことを示すが、効果は硝酸基があることで「耐光性」を示すだけである。即ち、この効果は、硝酸基をまったく含まない比較例に対して効果がある旨を記載しているだけである。しかも、この文献には、大量の塗布液を被記録材に塗布することが開示されているが、硝酸基を供給する材料がインク受理層内でどのように吸収されているのか、塗布液を塗布した後のインク受理層の乾燥をどのように行ったのかという点が開示されていない。この文献には、加えてこの硝酸基の検出方法すら開示がなく、追試することができないものである。特に、上部5μmの部分と下部5μmの部分との間のインク受理層領域における硝酸基の分布状態は全く不明である。
さらに、特開2000-211246号公報(特許文献4)では硝酸アルミニウムを内添し、均一に分散したインクジェット用の記録用紙が開示されている。特許文献4では硝酸アルミニウムを有した記録用紙が耐光性に優れることが記されている。特許文献3と特許文献4に記されている耐光性を比べると、試験方法が違うため一概には言えないが、特許文献3の比較例の耐光性は特許文献4では問題無いレベルであることから特許文献3に記されている実施例の耐光性は特許文献4の硝酸アルミニウムを内添し、均一に分散した記録媒体より弱いことが推定される。このことは前記中間の25μmの範囲は均一であるという推定を示唆している。
一方、特開2001-010214号公報(特許文献5)では所定の窒素化合物を均一に含有し、シリカ,ポリビニルアルコール及びホウ酸を含む塗布液を70μmずつ塗布した3層構成のインク受容層を開示している。
特公平4-34512号公報 特開平3−13376号公報 特開2001-162928号公報 特開2000-211246号公報 特開2001-010214号公報
本発明は、従来技術では達成できなかった色材劣化防止材(好ましくは、オゾンを含むガスによる色材が破壊されることを主として防止するヒンダードアミン等のガス劣化防止材)の有効活用をいかにすれば達成できるかと言う技術課題を解決することを目指したものである。なぜなら、色材劣化防止材をあらかじめ塗布液の中に混合するタイプは、図1に示すように均一な分布をもたらすだけであるため、所望の特性を得るためにインク受容層全体で必要な色材劣化防止材の濃度を確保しようとすると、大量に色材劣化防止材を添加する必要が生じる。しかしながら、このような色材劣化防止材大量の添加により、かえってインク受容層のインク吸収性を悪くするという新たな課題が発生する。逆に、インク吸収性を高めようとすると当然色材劣化防止材は少なくならざるを得ない。また、被記録媒体の基材が、吸収性、すなわち塗工液の吸収性を有する場合に色材劣化防止材を外添しても、色材劣化防止材を含む塗布液が基材まで十分に浸透しやすくなり、図2に示すように色材劣化防止材は基材にまで浸透することになる。そのため、その外添した量に相当する効果は得られず、色材劣化防止材を無駄に消費してしまう。従って、外添方式に於いても十分な効果を期待することはできなかった。
そこでさらに本発明者らは、与える色材劣化防止材の量に対してそれ以上の効果を達成しつつ、インク吸収性にも優れたインク受容層を得るために鋭意研究した。その結果、インク受容層の記録面から深さ方向へのインクや色材劣化防止材を含む塗布液の挙動を検討した時に、インク自体が浸透拡散する状態と、色材の拡散分布状態と、を考慮すると、記録面から見て30μmの深さまでの範囲内に色材が存在し、さらに重要なのは20μmの深さまでの範囲内に色材分布を有していたことである。従って、これらの色材分布に対して色材劣化防止材が対応して存在すること効果の効率を上げるための重要な要素だと言う知見に至った。更に、色材劣化防止材のインク受容層内での分布がインク吸収性を損なわないものであり、なるべく少ない量で所望とする色材劣化防止効果を得ることが重要であるという知見も得た。
従って、本発明は、第1課題として、与えられた量の色材劣化防止材の効果を従来よりも遥かに効率良く発揮できるインク受容層(好ましくは色材劣化防止材の記録面への集中化がなされるインク受容層)を提供することであり、第2課題として、色材劣化防止材の有効利用と良好なインク吸収性の両立成し遂げるインク受容層を提供すること、更には、第1の課題または第2課題のインク受容層をいかに製造するのかという第3の課題を解決することにある。
本発明の第1発明は、記録面を構成し、インクの色材を保持するための顔料、該顔料のバインダーおよび色材劣化防止材を含むインク受容層を備えたインク用被記録媒体において、前記インク受容層が、前記記録面側から深さ方向に対して30μmまでの範囲内に、前記色材劣化防止材が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも前記記録面側に位置していることを特徴とするインク用被記録媒体である。
本発明の第2発明は、上記の第1の発明の構成を有し、更に、前記インク受容層の記録面から少なくとも15μm深さまでの上部領域の範囲内に、前記色材劣化防止材の濃度が記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有するインク用被記録媒体である。
本発明の第3発明は、上記の第1及び第2の発明の構成を有し、更に、前記上部領域中の深さ方向に任意に選択した10μmの厚さの範囲内において、前記色材劣化防止材の濃度が記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有するインク用被記録媒体である。
本発明の第4発明は、上記の第1及び第2の発明の構成を有し、更に、前記上部領域中の深さ方向に任意に選択した5μmの厚さの範囲内において、前記色材劣化防止材の濃度が記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有するインク用被記録媒体である。
本発明の第5発明は、記録面を構成し、インクの色材を保持するための顔料、該顔料のバインダーおよび色材劣化防止材を含むインク受容層を備えたインク用被記録媒体の製造方法において、前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して、色材劣化防止材が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも記録面側に位置している該色材劣化防止材の濃度分布を該インク受容層に形成する工程を有すること特徴とするインク用被記録媒体の製造方法である。
本発明の第6発明は、 記録面を構成し、インクの色材を保持するための顔料、該顔料のバインダーおよび、色材劣化防止材を含むインク受容層を備えたインク用被記録媒体の製造方法において、基材上に前記バインダーを架橋せしめる架橋剤を含む湿潤表面を形成する工程と、該基材上の湿潤表面に前記顔料及び前記バインダーを含む塗工液を塗工し、インク受容層を形成する工程と、前記インク受容層の表面から、前記色材劣化防止材を含む塗工液を塗布する工程と、該色材劣化防止材を含む塗工液の塗布工程に連続して乾燥を行い、劣化防止材の分布を形成する工程と、を有することを特徴とするインク用被記録媒体の製造方法である。
本発明の第1の発明によれば与えられた量の色材劣化防止材の効果を従来よりも遥かに発揮できるインク受容層と色材劣化防止材の有効利用と良好なインク吸収性の両立成し遂げるインク受容層を提供するとことができる。本発明の第2の発明によれば、より記録面側に分布を持つので吸収効率を上げ、色材劣化防止材の効果をより向上することができる。さらに本発明の第3発明によれば、実質的に急勾配の分布を形成できるので吸収効率と色材劣化防止材の分布を理想的な状態にすることができる。特に第2の発明の条件が前提となると一層優れたものになる。本発明の第4発明は同様に理想的な状態となるので下記実施例で述べるような効果を確実に得ることができる。本発明の第5、6の発明によれば第1乃至第4の発明のインク受容層をより確実に製造することができる。
本発明は、インク受容層中に色材劣化防止材(特に好ましくは、オゾンを含むガスによる色材が破壊される主として防止するヒンダードアミン等のガス劣化防止材)が均一に分布しているのではなく、色材劣化防止材が上記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して30μmまでの範囲内に、前記色材劣化防止材が相対的に濃度の高い部位と相対的に濃度が低い部位を含み、高い方の高濃度部位が、前記色材劣化防止材の濃度が低い方の低濃度部位よりも記録面側に位置しているという構成によって長期にわたる画像保存性を達成できる。図3に示すように色材劣化防止材がインク受容層内でインク受容層の記録面側多く存在している場合、この記録媒体にインクが印字された際、染料の近傍に色材劣化防止材が多く存在するため、色材劣化防止材がインク受容層内に均一に分布した時に比べ色材劣化防止材の効果が十分に発揮できる。また、インク受容層の記録面側から深さ方向に対して30μmより深い位置に染料が存在する場合には、これらの染料は光学濃度、色味などの画像特性にほとんど影響を与えないことが多い。よって色材劣化防止材の濃度分布はインク受容層の記録面側から深さ方向に対して30μmまでの範囲内に有することが良い。
特に、インク受容層の記録面から深さ方向に対して15μmまでの位置において、色材劣化防止材の濃度がインク受容層の記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有すると、色材劣化防止材は染料の浸透に習うように存在するためより効果を発揮できる。つまり本発明はインク受容層の記録面側からみて、記録面近傍すなわち上層部に濃度分布を有することが重要となる。
ここでの色材劣化防止材の濃度分布は以下のように測定される。インク用被記録媒体の断面をFT−IRの顕微透過測定によりライン分析を行い、色材劣化防止材を確定できる1つ又は複数の吸収波長の吸光度を後述するように深さ方向に1μmづつずらし測定し求めた。得られた吸光度変化より濃度分布を求めた。
本発明のインク用被記録媒体は次のような製造方法で製造することができる。まず、インクの色材を保持するための顔料と、該顔料のバインダーと、を少なくとも含んでいるインク受容層を、記録面側から深さ方向に行くに従って架橋の進んだバインダー層を有するように形成し、このインク受容層に対して色材劣化防止材を含む塗工液を塗工し、即時乾燥することでインク受容層の記録面側に色材劣化防止材が多く存在する濃度分布を持つインク用被記録媒体を容易に製造することができる。このように濃度分布持つ理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測する。
インク受容層の記録面側から深さ方向に行くに従って架橋の進んだバインダー層を有する記録媒体に色材劣化防止材を含む塗工液を塗工すると色材劣化防止材は、塗工液の溶剤に含有された状態で深さ方向に浸透していくにつれ架橋の進んだバインダーによって止められてインク受容層の基材側にあまり浸透せずインク受容層内部に多く存在する状態となる。この色材劣化防止材が浸透しきらない状態のうちに色材劣化防止材を溶解している溶剤を急激な乾燥処理によってインク受容層から蒸発させると色材劣化防止材は蒸発する溶剤にともなって記録面方向へ引き上げられ、記録面側に集まる。よってインク受容層の記録面側に多く存在する濃度分布を持たすことことができるものと思われる。従って、本発明の目的を達成するために次の二点が重要な役割を果たす。すなわち、1点目は、バインダーの架橋によってコントロールすることにより色材劣化防止材の浸透性を抑えること、及び、2点目は、色材劣化防止材を塗工後、色材劣化防止材が浸透しきらないだけの短時間の内に乾燥工程に移ることが重要となる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明のインク用被記録媒体の好ましい製造工程としては、大別して図4、5及び6に示す3つの形態がある。図4は、2工程からなる表面処理工程と、インク受容層形成工程と、色材劣化防止材の外添工程と、を含むものである。図5及び6は、更に表面光沢性が付与のためのキャスト工程を含むインク用被記録媒体の製造方法であるが、色材劣化防止材の外添工程はキャストの前後どちらでもよい。仕上げ後の工程によるインク用被記録媒体の外観上から、好ましくはキャスト前に色材劣化防止材を外添するのが良い。
インク受容層に関わる実施態様例におけるインク用被記録媒体の製造方法の好適な形態について説明する。本発明の製造方法は、主として、顔料の適正な凝集作用とバインダーの結着作用が、上下に積層される2層を形成するための2種の塗工液間の液―液界面にて、塗工液の状態を生かしつつ確実に得られ、且つ、インク受容層内にあるべきバインダーの基材内部への損失を防止できるので、インク受容層の特性が安定化して、その生産性が良好である。本発明のインク用被記録媒体は、インク受容層内にあるべきバインダーの量をインク受容層中に確保できるために結果的に得られる新規な構成を有する。すなわち、本発明にかかる好ましい態様では、インク受容層が、バインダーが顔料に対して相対的に均一化されている第1層領域と、バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域と、を有し、かつ第1層領域が第2層領域よりもインクを受ける記録面側に位置していることを特徴とするインク用被記録媒体となるが好ましい。
このようなインク受容層に対して、色材劣化防止剤を含む塗工液を塗工、即時乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。
このインク用被記録媒体のインク受容層は、上記バインダーが第1架橋剤により架橋し上記顔料と相対的に均一化されている第1層領域と、上記バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域と、を有し、上記第1層領域が第2層領域よりも上記インク記録面側に位置している。
上記架橋度は、上記第1、2架橋剤がもつ共通の元素の、上記第1、第2層領域夫々に含まれる共通の元素の相対的な数量差、数量比(例えば2倍以上)として判定できる。また、その具体的材料及び製造方法として、例えば上記顔料としてのアルミナ水和物と上記バインダーとしてのポリビニルアルコールと上記第1架橋剤としてのオルトホウ酸とを溶解混合してなる塗工液を、上記第2層領域を形成するための上記第2架橋剤としての四ホウ酸塩を含有する基材の湿潤表面に塗工することで上記インク用被記録媒体が形成されていることを挙げることができる。さらに、この塗工液において、上記オルトホウ酸の単位面積あたりの含有量は、上記湿潤表面に含まれる上記四ホウ酸ナトリウムの単位面積あたりの含有量より少ないことが実用例として挙げられる。或いは、上記顔料はアルミナ水和物で、上記バインダーがポリビニルアルコールで、上記第1、第2架橋剤は、同一のホウ素「B」を含み、上記第2層領域に含まれるホウ素「B」の量は、上記第1層領域に含まれるホウ素「B」の量の2倍以上であることはさらに好ましい。
このようなインク受容層に関わるインク用被記録媒体の製造方法では、基材に第二架橋剤による表面処理を行った後で、基材表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を形成し、この状態を保っている間に、次のインク受容層を形成するための第一架橋剤を含む塗工液が塗工されることが好ましい。表面処理工程で用いる塗工液の固形分量や塗工量は、例えば、固形分換算で0.05g/m2以上2.0g/m2以下の乾燥塗工量となるようにするのが好ましい。なお、上記範囲に満たない場合は、塗工液の粘性が低すぎて液流れが多く、又、上記範囲を超える場合は、キャスト工程において、点状の表面(キャスト面)欠陥が生じ易くなり、均質で良好な光沢面を得られない場合がある。基材表面がある程度の湿潤状態を形成した状態で塗工液を塗工することで、塗工液と第二架橋剤との間に液−液界面による反応状態を確保する。つまり、この界面で、インク受容層塗工液のゲル化速度、或いは、架橋速度が速くなり、上記バインダーが第1架橋剤により架橋し上記顔料と相対的に均一化されている第1層領域と、上記バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域と、を有し、上記第1層領域が第2層領域よりも上記インク記録面側に位置しているインク受容層を効果的に形成することが可能となる。
更に、基材に段階的に第二架橋剤による第1、第2の表面処理を行なうこともできる。表面処理工程で用いる塗工液は、前述の理由により、例えば、固形分換算で0.05g/m2以上2.0g/m2以下の乾燥塗工量となるようにするのが好ましい。第一の表面処理工程では、例えば、上記バインダーが例えばポリビニルアルコールの場合、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液、例えば、ホウ砂の5質量%水溶液を基材の下塗り層上に塗工後、乾燥し、固化を行なう。上記塗工液には、必要に応じて脱泡のためにアルコール等の溶剤を含有させてもよい。第一の表面処理工程は、乾燥塗工量を少なくすることが好ましいので、塗工及び乾燥速度をかなり速くすることが可能であり、例えば、毎分50〜200mでの高速処理が可能である。
上記した第一の表面処理工程に続いて行なう第二の表面処理工程では、第一の表面処理工程を施した表面処理済みの基材上に、更に、第一の表面処理の場合と同様に、上記バインダーが例えばポリビニルアルコールの場合にはホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液を塗工する。かかる第二の表面処理では、第一の表面処理工程の場合とは異なり、塗工後に塗工液を乾燥固化させない。即ち、基材表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を形成し、この状態を保っている間に、次のインク受容層を形成するための塗工液が塗工される。こうすることで、塗工液と第二架橋剤との間に液−液界面による反応状態を確保する。つまり、この界面で、インク受容層塗工液のゲル化速度、或いは、架橋速度が速くなる。
上記段階的な表面処理の作用は、以下の利点がある。基材へ行なう第一の表面処理工程では塗工液を乾燥させるので、基材上、或いは下塗り層中(層中の上部)には、ホウ酸やホウ酸塩(以下、ホウ酸塩等)が固体として存在することになる。そして、この状態で次の第二の表面処理及びインク受容層の形成が行なわれると、第二の表面処理工程で塗工されたホウ酸やホウ酸塩水溶液(以下、ホウ酸塩処理液等と呼ぶ)で、主としては、ホウ酸塩処理液等が液状の表面を確実に確保できることの利点がある。従って、次の工程におけるインク受容層用塗工液と、第二の表面処理工程で塗工されたホウ酸塩処理液等と液体−液体状態で接触混合することも確保される。
これら2工程からなる表面処理を採用することで、ホウ酸塩等の固体が存在している基材の表面に対して、ホウ酸塩処理液等によって湿潤状態をより一層安定して形成できる。この状態の下塗り層の上に液−液接触による界面で急速な架橋反応を得ることができ、インク受容層を形成する塗工液中の水等の溶媒を形成される多孔質間の細孔によってバインダーと分離しつつ除去できるので、理想的な顔料の凝集とバインダーの存在による適正な結着を均一化した状態で形成できる。この結果、製造時のバインダー不足によるクラックの発生が抑制され、しかも乾燥塗工量の多い厚いインク受容層の形成が可能となる。
上記第二の表面処理工程で用いるホウ酸やホウ酸塩としては、インク受容層の形成の際や、第一の表面処理工程で用いるものと同様のものを使用できるが、特に、上記したインク受容層形成段階におけるゲル化速度或いは架橋速度、使用中に生じるインク受容層用塗工液の粘度変化、及び、形成したインク受容層に対するクラック発生の抑制効果等の点から、ホウ砂を用いることが好ましい。第二の表面処理工程においては、第一の表面処理済み基材に、塗工液が丁度溢れない程度の塗工量とすることが好ましい。第一表面処理済みの基材の吸収性にも因るが、第二表面処理の塗工液の溢れが多いと、インク受容層用塗工液の塗工時に、インク受容層用塗工液が、第二表面処理で用いた塗工液の溢れにより浮動してしまう恐れがあり、基材に対するインク受容層の密着性が低下する場合があるので調整することが好ましい。
更に、第二の表面処理工程では、固形分換算で0.05〜2.0g/m2の乾燥塗工量になるように、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上の固形分濃度を調整することが好ましい。第二の表面処理工程では、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液、例えば、ホウ砂の5質量%水溶液を用い、これを第一の表面処理済みの下塗り層上に塗工する。上記塗工液には、必要に応じて脱泡のためにアルコール等の溶剤を含有させてもよい。
更に、第一及び第二の表面処理工程で塗工する塗工液の乾燥塗工量は、第一と第二の表面処理の関係から、適宜に決定することができる。例えば、第一の表面処理工程での塗工量を少なくする場合には、第二の表面処理工程での塗工量を多くすることで補うことができるが、塗工量の制御の容易さ、及び、次に行なう第二の表面処理工程での塗工量との関係といったことを考慮して、第一の表面処理工程での乾燥塗工量を0.1〜1.0g/m2とし、塗工速度と、第一の表面処理での塗工量との関係を考慮して、第二の表面処理工程における塗工液の乾燥塗工量を0.3〜1.5g/m2にすることが好ましい。上記湿潤表面は、均一面ではなく上記塗工液にとって凹部を有し、該凹部内で上記バインダーの架橋を生じせしめることで、基材に対するインク受容層の密着性やアンカー効果を確保できる。これは、凹部内に架橋したバインダーを有する構成となるが、形成された被記録媒体にとっても有効な構成となる。上記インク受容層用塗工液の調製においては、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上をアルミナ水和物分散液と混合し、得られた混合液と、バインダーであるポリビニルアルコール水溶液とを塗工の直前で混合して塗工液とするミキシング装置を使用することが好ましい。このようにすれば、製造工程中に生じる塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減することができるので、生産効率の向上を図ることができる。上記で使用するアルミナ水和物分散液中の顔料の固形分濃度は、10〜30質量%であることが好ましい。上記範囲を超える場合は、顔料分散液の粘度が高くなり、インク受容層の粘度も高くなるので、塗工性に問題が生じる場合がある。
インク受容層に関わる実施態様例では、インク受容層の構成として、インク受容層中のバインダーの存在を、顔料に対して適正に位置させることができるため、塗工液によって与えられる、主に顔料及びバインダーにより形成される細孔分布を均一化できる。同時に、塗工液から基材側にバインダーが損失されることを防止する実質的なバリヤー層領域を2種の塗工液間の液―液界面における高速、高確率な反応状態により形成しているので、架橋度自体をも大きくすることができる。特に好ましくは、塗工液内にある溶媒の効率的な除去を成し遂げるために、塗工液のバインダーを溶解するための溶剤(PVAの場合は水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水))等の液体成分が架橋反応等の際に塗工液中から排除されることが好ましいため、インク用被記録媒体は、インク受容層を支持するための基材として、これらの塗工液の液体成分が浸透できる多孔質体(紙、パルプ、多孔質層等)を有していることが良い。
下塗り層や、上記のインク受容層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤等を、必要に応じて適宜に含有させることができる。
本発明にかかるインク用被記録媒体のインク受容層の形成は、本発明者らは、下記に挙げる現象に起因して行なわれるものと考えている。先ず、基材の表面処理に用いるホウ酸やホウ酸塩と、インク受容層用塗工液中のポリビニルアルコールとの作用、即ち、ゲル化及び/又は架橋反応により、(1)ポリビニルアルコールの下塗り層への浸透が抑制され、それ故、インク受容層内のバインダーを比較的均一に分布させることができること、更に、インク受容層形成時の乾燥段階において、(2)ゲル化及び/又は架橋反応が起きて粘度上昇するため、塗工液の動きを低減することができること、等によるものと推察している。又、特にインク受容層の形成材料にアルミナ水和物を用いた場合には、アルミナ水和物と、ホウ酸やホウ酸塩との架橋反応により、いわゆる無機ポリマーとなり、ホウ酸やホウ酸塩と、アルミナ水和物及びポリビニルアルコールとの相互作用が、インク受容層のクラック抑制に働いているものと推察している。
本発明に用いる基材としては、後述する表面処理が可能なものであれば良く、特に限定されないが、インク用被記録媒体の表面にキャスト工程を施し、光沢面を形成する場合は、水や溶剤成分が基材裏面から蒸発するので、繊維状基体、即ち、紙基材が好ましい。紙基材には、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスを原紙上に施したものや、原紙上にコート層を設けた、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙等も含まれる。
インク用被記録媒体の表面にキャスト工程を施し、光沢面を形成する際に、基材として紙を用いた場合は、紙基材(原紙)のセルロースパルプ繊維や地合いが完全に覆われるような厚みのコート層がインク受容層の下塗り層として設けられていることが好ましい。覆われていない場合、インク受容層の塗工時に、その繊維や地合いに起因する塗りムラ(スジ状欠陥等)が生じ易く、インク受容層中、若しくはインク受容層表面近傍や表面にセルロースパルプ繊維が存在していることになるので、インク用被記録媒体の表面にキャスト処理を施したとしても、良好且つ均質なキャスト面、即ち、写真調の高光沢面を得ることが困難となる場合がある。紙基材のセルロースパルプを覆うためには、コート層の乾燥塗工量が10g/m2以上、更には15g/m2以上であることが好ましい。乾燥塗工量が10g/m2未満では基材のセルロースパルプ繊維や地合いを完全に覆うことが困難となり、光沢性に影響する場合がある。
下塗り層は、従来公知の顔料とバインダーとを含む塗工液によって形成できるが、インク受容性を有するものとすることが好ましい。下塗り層は、基材の少なくとも1方の面に1層以上設けることができる。インク用被記録媒体の環境カールの安定性を考慮すると、下塗り層は、基材の表裏両面に設けることが好ましい。本発明に用いられる基材には、上記下塗り層を設けた紙基材も含まれる。キャスト工程における基材裏面からの水や溶剤成分の蒸発や、後述する第一及び第二の表面処理工程において、基材へ塗工する塗工液の塗工性(濡れ性)や、基材上に形成するインク受容層用形成材料の塗工性等を考慮すると、基材の透気度(JIS P 8117)が1,500〜5,000秒となるようにすることが好ましい。透気度が上記範囲に満たない場合は、基材の緻密性が低いので、後述する第一及び第二の表面処理工程での架橋剤(塗工液中のホウ酸やホウ酸塩)の浸透が高く、架橋剤すべてが有効に働かない場合が生じる。或いは、より多くの塗布量が必要となる。又、第二の表面処理工程においては、丁度溢れなく浸透する塗工状態となるようにすることが好ましいが、塗布量の調整が難しく、CD/MD方向全域での経時安定的塗工が困難となる。
一方、基材の透気度が上記範囲を超える場合は、後述する第一及び第二の表面処理工程で塗工する塗工液の浸透性が低く、インク受容層用塗工液をその上に塗工した際に、インク受容層用塗工液が第二の表面処理に用いた塗工液の溢れにより浮動したり、形成したインク受容層にわずかではあるがクラックが入る場合がある。更に、キャスト時に、基材裏面からの水や溶剤成分の蒸発しにくくなり、良好な光沢面が得られなくなる場合がある。
同様な理由から、基材は、ステキヒトサイズ度100〜400秒、ベック平滑度100〜500秒とすることが好適である。また銀塩写真同様の質感、高級感のある記録媒体を得るためには、基材の坪量としては160〜230g/m2、ガーレー剛度(J. Tappi No.40、縦目)が7〜15mNになるようにすることが好ましい。
本発明で用いるインク受容層の形成材料について説明する。インク受容層は、顔料と、バインダーとを含む塗工液を塗工することで形成できる。顔料としては、染料定着性、透明性、印字濃度、発色性、及び光沢性の点で、特にアルミナ水和物を主成分として含有させることが好ましいが、下記顔料を使用することもできる。例えば、無機顔料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム等、有機顔料としては、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン粒子、マイクロカプセル粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等である。これらから選択された1種を、あるいは必要に応じて選択された2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルミナ水和物としては、例えば、下記一般式(1)により表されるものを好適に利用できる。
Al23−n(OH)2n・mH2O・・・(1)
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る。)
アルミナ水和物は一般的には、米国特許第4,242,271号明細書、同4,202,870号明細書に記載されているような、アルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解を行なう方法、又、特公昭57−447605号公報等に記載されている、アルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行なう方法、等の公知の方法で製造することができる。本発明において好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造若しくは非晶質を示すアルミナ水和物であって、特に、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物が挙げられる。
インク用被記録媒体表面に光沢性を付与するためにリウェット法でインク受容層を湿潤状態にさせてキャスト工程を行なう場合には、配向する傾向の小さい平板状アルミナ水和物を用いることが好ましい。平板状アルミナ水和物は、水分の吸収性がよいので、再湿液が浸透し易いため、インク受容層が膨潤し、アルミナ水和物粒子の再配列が起こり易い。従って、高い光沢性を得ることができる。又、効率よく再湿液が浸透するので、キャスト時の生産効率も高くなる。
本発明においては、インク受容層を形成用の塗工液に使用するバインダーに、ポリビニルアルコールを用いる。ポリビニルアルコールの含有量としては、アルミナ水和物に対して、5〜20質量%になるようにするのが好ましい。本発明においてインク受容層の形成の際に使用するバインダーとしては、上記したポリビニルアルコールに併用して、従来公知のバインダーを用いることもできる。
上記のようにして形成するインク受容層の形成材料中に、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有させることは、インク受容層の形成上、極めて有効である。この際に用いることのできるホウ酸としては、オルトホウ酸(H3BO3)だけでなく、メタホウ酸や次ホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩であることが好ましく、具体的には、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na247・10H2O、NaBO2・4H2O等)や、カリウム塩(K247・5H2O、KBO2等)等のアルカリ金属塩、ホウ酸のアンモニウム塩(NH449・3H2O、NH4BO2等)、ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
塗工液の経時安定性と、クラック発生の抑制効果の点からオルトホウ酸を用いることが好ましい。又、その使用量としては、インク受容層中のポリビニルアルコールに対して、ホウ酸固形分1.0〜15.0質量%の範囲で用いることが好ましい。この範囲内でも製造条件等によっては、クラックが発生する場合があり選択を必要とする。又、上記範囲を超える場合は、塗工液の経時安定性が低下するため好ましくない。即ち、生産する場合においては、塗工液を長時間に渡って使用するので、ホウ酸の含有量が多いと、その間に塗工液の粘度の上昇や、又、ゲル化物の発生が起こし、塗工液の交換やコーターヘッドの清掃等が頻繁に必要となり、生産性が著しく低下してしまう。更に、上記範囲を超える場合、後述する第一及び第二の表面処理同様の理由で、キャスト工程において、点状の表面(キャスト面)欠陥が生じ易くなり、均質で良好な光沢面が得られない場合がある。
以上のように形成されるインク受容層は、高インク吸収性、高定着性等の目的及び効果を達成する上から、その細孔物性が、下記の条件を満足するものであることが好ましい。先ず、インク受容層の細孔容積は、0.1〜1.0cm3/gの範囲内にあることが好ましい。即ち、細孔容積が、上記範囲に満たない場合は、十分なインク吸収性能が得られず、インク吸収性の劣ったインク受容層となり、場合によっては、インクが溢れ、画像に滲みが発生する恐れがある。一方、上記範囲を超える場合は、インク受容層に、クラックや粉落ちが生じ易くなるという傾向がある。又、インク受容層のBET比表面積は、20〜450m2/gであることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、十分な光沢性が得られないことがあり、又、ヘイズが増加するため(透明性が低下するため)、画像が、「白もや」がかかったようになる恐れがある。更に、この場合には、インク中の染料の吸着性の低下を生じる恐れもあるので好ましくない。一方、上記範囲を超えると、インク受容層にクラックが生じ易くなるので好ましくない。尚、細孔容積、BET比表面積の値は、窒素吸着脱離法により求められる。
又、インク受容層を形成する場合、本発明の製造方法を用いることにより、インク受容層の厚みは従来に比べ自由度が増し、即ち、従来以上に厚くすることが可能となる。高いインク吸収性を考慮して、その乾燥塗工量は少なくとも30g/m2であることが好ましく、その上限は50g/m2となるようにすることがより好ましい。30g/m2未満の場合は、特に、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクに、ブラックインクの他、複数の淡色インクが加えられているようなプリンターに用いた場合に、十分なインク吸収性が得られず、即ち、インク溢れが生じ、ブリーディングとなる場合が発生したり、基材にまでインク染料が拡散し、印字濃度が低下する場合がある。一方、50g/m2を超える場合には、クラックの発生を抑え切れないことが生じる恐れがある。更には、30g/m2以上であると、高温高湿環境下においても十分なインク吸収性を示すインク受容層が得られるので好ましく、乾燥塗工量を50g/m2以下とすると、インク受容層の塗工ムラが更に生じにくくなり、安定した厚みのインク受容層を製造でき、より好ましい。
なお、インク受容層の形成に当たっては、1回の塗工及び乾燥による方法や、複数回の塗工により所望とする全体としての乾燥塗工量を得る方法などを用いることができる。例えば、2回塗りの場合には、20g/m2の乾燥塗工量を第1回目の塗工及び乾燥工程で形成し、残りの20g/m2を第2回の塗工及び乾燥工程で形成して、40g/m2の乾燥塗工量のインク受容層を得ることができる。なお、このような複数回塗工で形成されるインク受容層においても、本発明の色材劣化防止材のインク受容層への付与方法を適用することで、本発明で目的とする深さ方向における色材劣化防止材の濃度分布を得ることができる。
本発明の第一、第二の表面処理工程で用いられる塗工液に含まれるホウ酸、ホウ酸塩としては、前記インク受容層形成材料として使用されるものと同様のものが用いられる。特にクラック発生の抑制効果の点から、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)を含有させることが好ましい。
上記で説明したインク受容層、表面処理工程における各塗工液の塗工は、前記したような適正塗工量が得られるように、例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーター、サイズプレス等の各種塗工装置を適宜選択して用い、オンマシン、オフマシンで塗工される。塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。
塗工後の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
次に色材劣化防止材の外添方法に関わる実施態様について説明する。
以下に、本発明における色材劣化防止材について説明する。本発明における色材劣化防止材とはインク受容層中に染料とともに存在したさい、ガス及び光などの染料を劣化させる要因より染料を守り、染料の耐候性を向上させる化合物のことを言う。一般的な例を挙げると、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、チオウレア系化合物、チウラム系化合物、亜リン酸エステル系化合物などが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。色材劣化防止材の中でも耐光性、耐湿性、耐水性など観点からヒンダードアミン系化合物が特に好ましい。ヒンダードアミン系化合物としては、下記式(1)で示されるヒンダードアミン構造を分子内に1つ以上有する化合物が好ましい。
Figure 2007331397
ここで、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜5の低級アルキル基、特に好ましくは、メチル基、あるいは、エチル基である。R5は、特に制限されず、水素原子、低級アルキル基、ベンジル基、アリル基、アセチル基、アルコキシル基、ベンジルオキシ基等である。Aは、特に制限されず、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基等である。また、Aは、例えばマロン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸のエステル基、あるいは、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸のエステル基等でも良く、他のヒンダードアミン構造とを連結する基であってもよい。さらに、Aは(メタ)アクリルエステル基等のビニル基を有する基であってもよく、この場合には、ヒンダードアミン構造を側鎖に有するポリマーであることも可能である。
本発明における色材劣化防止材を溶解する有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類、イソプロパノール、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。この溶剤としては、色材劣化防止材の塗工液をインク受容層に塗工し、引き続き急激な乾燥処理を行う場合に、効果的に蒸発して、本発明において目的とする色材劣化防止材の深さ方向での分布を得ることのできるものが適宜選択される。例えば、80℃以上、好ましくは80℃〜180℃の高温での加熱処理においてかかる効果を得ることのできるものが良く、用いる色材劣化防止材の種類を考慮して選択することができる。
本発明において、上記の色材劣化防止材をインク用被記録媒体に外添する方法としては、色材劣化防止材が少なくとも1種類以上の有機溶剤に溶解した色材劣化防止材溶液となっていて、完全に溶解させた後、形成されたインク受容層上に塗工すれば良い。色材劣化防止材の固形分濃度は0.5〜30質量%が塗工し易い。仕上げ後のインク用被記録媒体の外観上から色材劣化防止材の塗工方式は受容層面に対して非接触の塗工方法が好ましく、ダイコーター、エアナイフコーター、スプレー等が挙げれるが特に限定されるものではなく、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーターなど接触式の塗工方法も使用することができる。
塗工後の乾燥処理は色材劣化防止材が浸透しきらないだけの短時間の内に乾燥工程に移ることが重要であり、塗工後10以内に乾燥工程に移るのが好ましく、より好ましくは5秒以内がよい。また乾燥工程に入ってから、乾燥しきるまでの時間は1分以内に乾燥が終了していることが好ましく、より好ましくは30秒以内に乾燥が終了していることが良い。乾燥を効率よく行うために風量を調整することもできる。
上記のインク受容層における、色材劣化防止材の好ましい含有量としては、顔料固形分100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲内が好ましい。上記の下限以上にすることで、十分な褪色抑制効果が得られる。また、上記の上限以下とすることで、インク吸収性の低下が起こるのを防ぐことができる。
本発明における色材劣化防止材は図3に示すようにインク受容層の記録面側から深さ方向に対して30μmまでの範囲内に記色材劣化防止材の濃度が異なる2つの部位を含み、これらの部位のうち色材劣化防止材の濃度が高い方の高濃度部位が、前記色材劣化防止材の濃度が低い方の低濃度部位よりも前記インク受容層の深さ方向の記録面側に位置していることが好ましい。こうすることにより色材劣化防止材の効果を十分に発揮することができる。
より好ましくは、色材劣化防止材はインク受容層の記録面側より徐々に減少する濃度分布を持つことが好ましい。こうすることにより染料の浸透に沿うように色材劣化防止材が存在するためより効果を発揮できる。色材劣化防止材の濃度分布は特にインク受容層の記録面から深さ方向に対して15μmまでの位置において、記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有することが好ましい。更に、この表面から深さ15μmの上部領域内における深さ方向において任意に選択した10μm厚の部分において深さ方向において色材劣化防止材の濃度が減少していく濃度分布を常に有することが、より好ましい。例えば、表面から10μm深さまでの領域、深さ3μmから13μmまでの領域及び深さ5μmから15μmまでの領域のいずれにおいても深さ方向において色材劣化防止材の濃度が減少していく濃度分布があることが好ましい。また、この表面から深さ15μmの上部領域内における深さ方向において任意に選択した5μm厚の部分において深さ方向において色材劣化防止材の濃度が減少していく濃度分布を常に有することが更に好ましい。例えば、表面から5μm深さまでの領域、深さ3μmから8μmまでの領域及び深さ10μmから15μmまでの領域のいずれにおいても深さ方向において色材劣化防止材の濃度が減少していく濃度分布があることが更に好ましい。
なお、この任意に選択される領域における濃度の減少率は、15μmを超えた深さの領域における同様の深さ範囲における減少率よりも大きいものとなるように選択される。また、ここでの減少とは段階的であっても、連続的であっても構わない。
一方、色材劣化防止材の最高濃度部位の濃度が最低濃度部位の濃度に対して1.5倍以上であることが望ましい。もし濃度差が1.5倍以下であるならば、その効果を発揮しない色材劣化防止材の割合が増え、望む効果を得ることが出来ない。またこの濃度差がインク受容層の記録面から深さ方向に対して15μmまでの位置において存在することはより好ましい。
上記のようにしてインク受容層を形成した後、キャスト法で、インク受容層の表面に光沢面を形成することができる。その製造方法について説明する。キャスト法とは、湿潤状態、又は可塑性を有している状態にあるインク受容層を、加熱された鏡面状のドラム(キャストドラム)面に圧着し、圧着した状態で乾燥し、その鏡面をインク受容層表面に写し取る方法であり、代表的な方法として、直接法、リウェット法(間接法)、凝固法の3つの方法がある。これらのキャスト法は、何れも、利用できるが、先に述べたように、本発明においては、インク用被記録媒体のインク受容層にアルミナ水和物を用いることが好ましく、この場合には、特にリウェットキャスト法を用いることによって高光沢性が得られるので、より好ましい。
本発明にかかるインク用被記録媒体の製造方法においては、更に、基材裏面(インク受容層を形成する側と反対側の面)に裏面層の形成工程を加え、裏面層を有するインク用被記録媒体を製造してもよい。裏面層を形成することは、印字前や印字後において生じるカール低減のためには有効である。
カール発生の抑制効果を考慮すると、吸湿時に、基材表面側の下塗り層及び/又はインク受容層と同様の収縮を生じるものが好ましく、これらの層と同系統の顔料やバインダーを用いることが好ましい。特に、厚めの層であるインク受容層の形成材料と同系統の、顔料やバインダーを用いることがより好ましい。裏面層形成は、第一の表面処理の前、後、インク受容層形成後、もしくはキャスト工程後のいずれの場合においても行なうことができる。
更に、本発明にかかるインク用被記録媒体を製造する場合には、必要に応じて、上記裏面層と基材との間に、前記した下塗り層のような別層を設けてもよい。この場合には、裏面側にも光沢面を形成することも可能となり、表裏両面に光沢面を有するインク用被記録媒体を得ることができる。又、裏面層、又は裏面層及び/又は別層に印字性能を付与すれば両面印字も可能となる。
また、裏面層を設ける際、インク受容層同様クラックを抑制するために基材に裏面側に対して、上記第一の表面処理/第二の表面処理/裏面層形成、即ち第一の表面処理後、第二の表面処理を行い、基材が湿潤状態を維持している間に裏面層用塗工液の塗工を行い、乾燥することを行っても良い。但し、場合によっては(即ち裏面層のクラック発生の状況によっては)、第一、第二の表面処理のどうちらかだけで良い場合もある。上記のように製造されるインク用被記録媒体の構成は、好適な一例として図7のような断面的模式図で示される。即ち、基材としての原紙1、顔料、バインダー等含有の下塗り層2、下塗り層3、ホウ砂含有塗工液の塗工、乾燥による表面処理部4、ホウ砂含有塗工液の塗工による表面処理部5、この表面処理により下塗り層/原紙が湿潤状態を維持している間に塗工、乾燥され形成されたインク受容層6(アルミナ水和物、ポリビニルアルコール、ホウ酸等含有)、顔料、バインダー等含有の裏面層7の構成である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
先ず、本発明において使用した各種の物性値の測定方法や、評価方法について説明する。
<ステキヒトサイズ度>
試料をA4サイズに断裁し、その5枚をそれぞれ、気温23℃及び湿度50%の条件下に2時間以上放置し、その後、JIS P8122に準拠して、各1枚毎にステキヒトサイズ度の測定を行い、5枚の平均値として求めた。
<透気度>
上記のステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に試料を放置した後、JIS P8177に準じて各1枚毎に測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<ベック平滑度>
上記のステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に試料を放置した後、JIS P8119に準じて各1枚毎に測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<ガーレー剛度>
上記ステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に試料を放置した後、J. Tappi No.40に準じて各1枚毎に縦目方向の測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<BET比表面積、細孔容積>
アルミナ水和物を十分に加熱脱気してから、窒素吸着脱離法を用いた装置(カンタクローム社製、オートソーブ1)で測定した。BET比表面積の計算は、Brunauerらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.,60巻、309、1938年参照)。細孔容積の計算は、Barrettらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.,73巻、373、1951年参照)。
<光沢度>
JIS Z8741に準じて、光沢度計(商品名:VG2000、日本電色工業(株)製)を用いて、20度の鏡面光沢度を測定した。
<画像堅牢性>
記録物の作成:インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:PIXUS 950iキヤノン製)を用いて、上記の各記録媒体の記録面にブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、の100%Dutyのベタバッチを印字し試験に用いることとした。
<オゾン試験>
耐オゾン性の評価方法は、上記の記録物の試験前の画像濃度と試験後の画像濃度とを分光光度計・スペクトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、次の式より濃度残存率を求めた。
濃度残率(%)=試験後の画像濃度/試験前の画像濃度×100
耐オゾン性評価は、以下に記述する判定基準に基づき判定し、結果は表1示した。上記で作成した画像を、オゾン曝露試験機(スガ試験機社製)を用いて、耐ガス暴露試験を行なった。
・試験条件
オゾン濃度:2.0ppm
試験時間:1.5時間
試験層内温湿度条件:23℃、60%RH、
耐ガス性をオゾン暴露試験後の画像濃度残存率(%) と目視判定により以下の基準で評価した。
4:Bk濃度残存率 80%以上であり、その他の色の濃度残存率90%以上であるもの。
3: Bk濃度残存率が70%以上80%未満または、その他の色の濃度残存率80%以上90%未満であり、試験前と比較して色調がわずかに変化しているもの。(1,2の基準となるものを除く)
2: Bk濃度残存率 70%未満または、その他の色の濃度残存率70%以上80%未満であるもの。(1の基準となるものを除く)
1: BK濃度残存率70%未満、または、その他の濃度残存率 70%未満であり、試験前と比較して明らかに別の色調となっているもの。
<オゾン試験2回目>
オゾン試験終了後、同じサンプルを用いて同様に再度同じオゾン試験を行い、上記判断基準に基づき判定し、結果を表1に示した。
<インク吸収性>
BJF900(キヤノン社製)を用いて、単色であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの3cm四方の各100%印字部と、2次色であるレッド(イエロー100%とマゼンタ100%の2次色)、ブルー(マゼンタ100%とシアン100%の2次色)、グリーン(イエロー100%とシアン100%の2次色)の3cm四方の各100%印字部とをそれぞれ印刷した。そして、印字部の目視による観察及び触指により、4段階評価を行なった。その評価基準は、下記の通りである。
4:印字直後、2次色画像の全てにおいてもインクが指に付着しない。
3:印字直後、2次色画像で極僅かなインク溢れがあるが、短時間で吸収され、且つ、印字直後の単色画像の全てにおいて、インクが指に付着しない。
2:印字直後、2次色画像で僅かなインク溢れがあり、評価3の場合よりも時間はかかるものの吸収され、且つ、印字直後の単色画像の全てにおいて、インクが指に付着しない。
1:印字直後、単色画像のいずれかにおいてインクが指に付着する。
[実施例1]
先ず、下記のようにして基材を作製した。濾水度450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80質量部、濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20質量部からなるパルプスラリーに、カチオン化澱粉0.60質量部、重質炭酸カルシウム10質量部、軽質炭酸カルシウム15質量部、アルキルケテンダイマー0.10質量部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03質量部を外添して紙料を調整後、長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、酸化澱粉水溶液を固形分で1.0g/m2となるように含浸し、乾燥後、マシンカレンダー仕上げをし、坪量155g/m2、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基材を得た。
次に、上記で得た基材上に、以下のようにして下塗り層を形成した。先ず、下塗り層の形成に使用する塗工液として、カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard社製)/酸化亜鉛/水酸化アルミニウムの、重量比65/10/25からなる填量100質量部と、市販のポリアクリル酸系分散剤0.1質量部とからなる固形分濃度70質量%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7質量部を添加して、固形分60質量%になるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/m2になるように、ブレードコーターで、基材の両面に塗工し、乾燥した。その後、マシンカレンダー仕上げをし(線圧150kgf/cm)、坪量185g/m2、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き基材を得た。下塗り層付き基材の白色度は、断裁されたA4サイズ5枚のサンプルに対して各々測定し、その平均値として求めた。その結果、L*:95、a*:0、b*:−2であった(JIS Z 8729の色相として求めた)。
上記で得た下塗り層に対して、下記の第一及び第二の2工程からなる表面処理を行なった。先ず、第一の表面処理工程では、30℃に加温した、5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として用い、該塗工液を、グラビアコータで乾燥塗工量0.4g/m2になるよう毎分60m/mで下塗り層上に塗工した。そして、60℃で、塗工液を乾燥、固化させた。次に、第二の表面処理工程では、上記第一の表面処理工程で使用したと同様の30℃に加温した5質量%のホウ砂水溶液を用い、該塗工液を、エアーナイフコーターでウェットの塗工量10g/m2(乾燥させた場合の塗工量は0.5g/m2である)になるよう、毎分30mで塗工した。この塗工量は、目視で観察したところ、下塗り層上に第二の表面処理工程で付与した塗工液が溢れずに、丁度含浸された状態であった。
次に、インク受容層を形成したが、上記の第二の表面処理工程での塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、そのまま下塗り層上にインク受容層を形成した。その際の、インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。
アルミナ水和物AとしてDisperal HP13(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が5質量%になるように分散させ、次いで、これに塩酸を加え、pH値を4に調整してしばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、その温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま苛性ソーダによりpH値を10に調整し、10時間攪拌を行ない、その後、分散液の温度を室温に戻し、pH値を7〜8に調整した。更に脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理して、コロイダルゾルを得た。さらにコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折により測定したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。又、この時のBET比表面積は143g/m2、細孔容積は0.8cm3/gであり、電子顕微鏡での観察では、平板状であった。
一方、ポリビニルアルコールJM−23(日本酢ビポバール(株)製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に溶解して、固形分9質量%の水溶液を得た。そして、上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して22.5質量%の分散液を作製し、そこに3質量%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50質量%になるように添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比が100:8になるように混合し、その直後に、これをインク受容層用の塗工液とし、これをダイコータで乾燥塗工量で35g/m2 になるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。
次に、基材のインク受容層を設けたとは反対側の面の下塗り層上に、以下のようにして裏面層を形成した。アルミナ水和物としてDisperal HP13/2(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が18質量%になるように分散させ、その後、遠心分離処理を施した。この分散液と、インク受容層の形成に用いたと同様のポリビニルアルコール水溶液とをスタティックミキサで、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合後、すぐにダイコータで乾燥塗工量が23g/m2になるように毎分35mで塗工した。そして、170℃で乾燥し、裏面層を形成した。
第1層領域と第2層領域の架橋度の違いを、それぞれの層に含まれるホウ素「B」の量より推定した。ここで、第1層領域に含まれるホウ素「B」の量はインク受容層の形成に用いた塗工液中に含まれるホウ素の量とみなして計算し、第2層領域のホウ素「B」の量は第2層領域に浸透していくホウ素つまり、第二の表面処理の乾燥塗工量とみなして計算した。第1層領域に含まれるホウ素「B」の量は、2.61×10-3mol/m2であり、第2層領域は、9.94×10-3mol/m2になるので、第2層領域に含まれるホウ素「B」の量は、第1層領域に含まれるホウ素「B」の量の3.8倍になっている。尚、第1層領域に含まれるホウ素「B」の量は、下記式から計算した。
(インク受容層乾燥塗工量:35)×(ホウ酸量:22.5×0.5%)/{(ホウ酸量:22.5×0.5%)+(PVA量:22.5×8/100)+(アルミナ水和物量:22.5)}=0.16g/m2
0.16/(ホウ酸1mol分子量:61.8)=2.61×10−3 mol/m2
また、第2層領域に含まれるホウ素「B」の量は、下記式から計算した。
{(第二の表面処理の乾燥塗工量:0.5)/(ホウ砂1mol分子量:201.2)}×(ホウ砂1モルあたりのBのモル数:4)=9.94×10-3mol/m2
ここで、ホウ砂1mol分子量は、ホウ砂が下塗り層に対して含浸状態、即ち乾燥状態された状態にないので、ホウ砂をNa247として計算した。
次に、設けたインク受容層にヒンダードアミン化合物アデカスタブLA-63P(旭電化工業株式会社)の5質量%のMIBK(メチルイソブチルケトン)溶液をロールコータで塗布後、メイヤーバーで余剰分をかきとり塗工量が1.3g/m2つまり顔料固形分に対して4質量%になるように毎分60mで塗工した。そして塗工後5秒以内に20秒間、110℃で乾燥し目的のインク用被記録媒体を得た。
得られたインク用被記録媒体中のヒンダードアミンの濃度分布を以下の方法を用いて測定した。インク用被記録媒体の断面をミクロトームを用いて作成しものを測定に供した。
FT-IR顕微透過測定のライン分析は、下記の条件で行った。
測定装置:Spectrum One(perkin-elmer社製)
アパーチャー径:98×14μm角ライン分析条件:120scan/1step;1μm/1step
測定波長:1730cm-1(ヒンダードアミン外添前後でIRを測定し、外添前には観測されないヒンダードアミン由来の吸収が観測される。図8参照)
得られたヒンダードアミン化合物のインク受容層の深さ方向における吸光度変化を図9に示す。測定装置のアパーチャー径が14μmあるため、測定は一番記録面側は7μmの深さの所より14μm幅で行い、1μmづつ深さ方向にずらしていき28μmところまで測定した。そのときの吸光度は深さ方向に行くに従い減少していることが分かった。この吸光度の変化は深さ15μm位置まで連続的に減少している変化域と、15μmよりも深い位置ではのほとんど吸光度変化はほぼ同等な定量域なっていた。従ってこの15μmまでの範囲内おいて濃度分布を持つことにより吸収効率を上げ、色材劣化防止材の効果をより向上することができる。さらに深さ方向に関して10μmの厚さ範囲内に濃度分布を有すれば実質的に急勾配の分布を形成できるので吸収効率と色材劣化防止材の分布を理想的な状態にすることができ、さらに、記録面から見て15μmまでの範囲内おいて濃度分布の条件が前提となると一層優れたものになる。深さ方向に関して5μmの厚さ範囲内に濃度分布を有すれば同様に理想的な状態となる。また最高吸光度は最低吸光度の約1. 8倍となっていた。このためヒンダードアミンの最高濃度部位は最低濃度部位の約1.8倍あることが分かった。このようにヒンダードアミン化合物に濃度分布があることが分かった。
[実施例2]
ヒンダードアミン化合物を、チオウレア化合物ノクセラーEUR(大内新興化学)に代えた以外は実施例1と同様に作成し、本実施例のインク用被記録媒体を得た。また実施例1と同様にIR測定することにより、チオウレア化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
[実施例3]
ヒンダードアミン化合物を、ヒンダードフェノール化合物Sumilizer MDP-9(住友化学)に代えた以外は実施例1と同様に作成し、本実施例のインク用被記録媒体を得た。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードフェノール化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
なお、実施例1〜3で使用した色材劣化防止材は以下の構造を有するものである。
Figure 2007331397
[実施例4]
ヒンダードアミン化合物の添加量を、顔料固形分に対して0.5質量%に代えた以外は実施例1と同様に作成し、本実施例のインク用被記録媒体を得た。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
[実施例5]
ヒンダードアミン化合物の添加量を、顔料固形分に対して10質量%に代えた以外は実施例1と同様に作成し、本実施例のインク用被記録媒体を得た。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
[実施例6]
実施例1のインク受容層表面に対して、下記のようにして光沢面をリウェットキャスト法で形成した。先ず、再湿液としての水を、原反に均一に付与してインク受容層を湿潤させ、この湿潤状態のまま、100℃に加熱した鏡面を有するキャストドラムに圧着させて毎分30mで乾燥を行い、本実施例のインク用被記録媒体を得た。インク受容層表面光沢度は、32%であった。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
[実施例7]
実施例3で作成したインク用被記録媒体に対して、ヒンダードアミン外添の工程とキャスト工程の順番を逆にした以外は全て同様に行い本実施例のインク用被記録媒体を得た。インク受容層表面光沢度は、29%であった。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
[実施例8]
実施例1で形成したアルミナ水和物含有のインク受容層の代わりに、以下のようにしてシリカ含有のインク受容層を形成する以外は、実施例1と同様にして本実施例の被記録媒体を得た。インク受容層用の塗工液に用いる組成物には、平均粒子径80nmのカチオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−ZL、日産化学工業(株)製)100質量部、市販のノニオン性アクリルエマルジョン3質量部、実施例1で使用したと同様のポリビニルアルコール7質量部からなるものを使用した。この組成物は、固形分濃度が25質量%になるように調整し、ロールコーターで、乾燥塗工量30g/m2となるように塗工し、その後に乾燥した。その他の工程は、実施例1と同様に行い、本実施例の被記録媒体を得た。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。
[実施例9]
実施例1の第一の表面処理工程を行わないこと及び第二の表面処理工程に用いるホウ砂水溶液の量をウェットの塗工量で5.2g/m2に変えた以外は実施例1と同様にして、被記録媒体を得た。つまり本記録媒体の第2表面処理工程で使われているほう素「B」量としては5.22×10-3mol/m2になる。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が実施例1と同様の濃度分布を有すること確認した。またその濃度分布は最高濃度部位は最低濃度部位の1.49倍あることが分かった。
[実施例10]
実施例1の第一、第二の表面処理工程の両方を行わないこと以外は実施例1と同様にして、インク用被記録媒体を得た。また実施例1と同様にIR測定することによりヒンダードアミン化合物が濃度分布を有すること確認した。またその濃度分布は最高濃度部位は最低濃度部位の1.40倍あることが分かった。
[比較例1]
実施例1のヒンダードアミン化合物の外添を行わないこと以外は実施例1と同様にして、インク用被記録媒体を得た。
[比較例2]
実施例1の第一、第二の表面処理工程の両方を行わなわず、色材劣化防止材塗布後の乾燥工程を省き、自然乾燥を行った以外は実施例1と同様にして、インク用被記録媒体を得た。また実施例1同様にIR測定を行なったところ、全厚み方向に対してほぼ0.05の定量的な吸光度を示し、外添したヒンダードアミン化合物が均一に分散していることが分かった。
[比較例3]
実施例1のヒンダードアミン化合物の外添方法を有機溶剤の上掛けから、次に示すようなヒンダードアミン化合物酸処理液を、インク受容層の形成に用いた塗工液に混合する方法に変える以外は同様に行いインク用被記録媒体を得た。
まず、ヒンダードアミン化合物LA-63P(旭電化)の塩基量に対しての1.05倍当量の酸を用いて、ヒンダードアミンの量が全体の35質量%になるようしてヒンダードアミン化合物酸処理液を調整した。次に、実施例1のヒンダードアミン化合物の外添方法を有機溶剤の上掛けから、上記のヒンダードアミン化合物酸処理液を、インク受容層の形成に用いた塗工液に混合する方法に変える以外は同様に行いインク用被記録媒体を得た。なお、インク受容層の形成に用いた塗工液中にヒンダードアミン化合物の酸処理液を、アルミナ水和物固形分に対してヒンダードアミン化合物固形分が4質量%なるようを混合撹拌し、塗工液を調整した。
実施例1同様にIR測定を行なったところ、濃度分布を有さず、ヒンダードアミン化合物はインク受容層中に均一に分散していることが分かった。
[比較例4]
比較例3において、ヒンダードアミンの酸処理液をLX-332(旭電化)ヒンダードアミン乳化物に変えた以外は全て同様に作成し、インク用被記録媒体を得た。また実施例1と同様のIR測定により、濃度分布を有さず、ヒンダードアミン化合物は均一に分散していることが分かった。
[比較例5]
比較例2において、ヒンダードアミン化合物をヒンダードフェーノール系化合物Sumilizer MDP-9(住友化学):ヒンダードアミンLA-63P(旭電化)の1:3(重量比)の混合物に変えた以外は全て同様に作成し、インク用被記録媒体を得た。また、実施例1と同様のIR測定により濃度分布を有さず、ヒンダードアミン化合物及びヒンダードフェノール化合物は均一に分散していることが分かった。
Figure 2007331397
(A)及び(B)は従来技術の課題に関わる一例を図として示す図である。 (A)及び(B)は従来技術の課題に関わる一例を図として示す図である。 (A)及び(B)は本発明に関わる一例を図として示す図である。 本発明にかかるインク用被記録媒体の製造方法の一例を工程図として示す図である。 本発明にかかるインク用被記録媒体の製造方法の一例を工程図として示す図である。 本発明にかかるインク用被記録媒体の製造方法の一例を工程図として示す図である。 本発明にかかるインク用被記録媒体の構成示す図である。 (A)及び(B)はIR測定における結果の一例を示す図である。 ヒンダードアミン化合物のインク受容層の深さ方向における吸光度変化を示す図である。

Claims (15)

  1. 記録面を構成し、インクの色材を保持するための顔料、該顔料のバインダーおよび色材劣化防止材を含むインク受容層を備えたインク用被記録媒体において、
    前記インク受容層が、前記記録面側から深さ方向に対して30μmまでの範囲内に、前記色材劣化防止材が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも前記記録面側に位置している
    ことを特徴とするインク用被記録媒体。
  2. 前記色材劣化防止材が前記顔料の100質量部に対して0.5〜10質量部で含有されている請求項1に記載のインク用被記録媒体。
  3. 前記インク受容層に含まれる、前記色材劣化防止材の最高濃度部位の濃度が最低濃度部位の濃度に対して1.5倍以上である請求項1または2に記載のインク用被記録媒体。
  4. 前記インク受容層の記録面から少なくとも15μmの深さまでの上部領域の範囲内に、前記色材劣化防止材の濃度が記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有する請求項1に記載のインク用被記録媒体。
  5. 前記上部領域中の深さ方向に任意に選択した10μmの厚さの範囲内において、前記色材劣化防止材の濃度が記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有する請求項4に記載のインク用被記録媒体。
  6. 前記上部領域中の深さ方向に任意に選択した5μmの厚さの範囲内において、前記色材劣化防止材の濃度が記録面から深さ方向に対して減少していく濃度分布を有する請求項4に記載のインク用被記録媒体。
  7. 前記インク受容層は、前記顔料としてのアルミナ水和物と、前記バインダーとしてのポリビニルアルコールと、架橋剤としてのオルトホウ酸と、を含む塗工液を、四ホウ酸塩を含有する湿潤表面に塗工することで形成されたものである請求項1に記載のインク用被記録媒体。
  8. 前記色材劣化防止材がヒンダードアミン化合物である請求項1乃至7のいずれかに記載のインク用被記録媒体。
  9. 前記インク受容層の乾燥塗工量が、少なくとも30g/m2である請求項1乃至8のいずれかに記載のインク用被記録媒体。
  10. 前記インク受容層が液体吸収性の基材上に塗工することで形成されたものである請求項1乃至9のいずれかに記載のインク用被記録媒体。
  11. 記録面を構成し、インクの色材を保持するための顔料、該顔料のバインダーおよび色材劣化防止材を含むインク受容層を備えたインク用被記録媒体の製造方法において、
    前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して、色材劣化防止材が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも記録面側に位置している該色材劣化防止材の濃度分布を該インク受容層に形成する工程を有すること特徴とするインク用被記録媒体の製造方法。
  12. 記録面を構成し、インクの色材を保持するための顔料、該顔料のバインダーおよび、色材劣化防止材を含むインク受容層を備えたインク用被記録媒体の製造方法において、
    基材上に前記バインダーを架橋せしめる架橋剤を含む湿潤表面を形成する工程と
    該基材上の湿潤表面に前記顔料及び前記バインダーを含む塗工液を塗工し、インク受容層を形成する工程と、
    前記インク受容層の表面から、前記色材劣化防止材を含む塗工液を塗布する工程と、
    該色材劣化防止材を含む塗工液の塗布工程に連続して乾燥を行い、前記色材劣化防止材の分布を形成する工程と
    を有することを特徴とするインク用被記録媒体の製造方法。
  13. 前記湿潤表面は、前記基材上に前記架橋剤が含まれた前処理液を塗布後、乾燥固化してなる処理表面を形成した後に、該処理表面に更に前記架橋剤を含む液体を塗布して形成した液面である請求項11または12に記載のインク用被記録媒体の製造方法。
  14. 前記顔料が、アルミナ水和物を含み、前記インク受容層の乾燥塗工量が30g/m2以上である請求項11または12に記載のインク用被記録媒体の製造方法。
  15. 前記色材劣化防止材を含有する塗工液を塗工する工程に連続して100℃以上の急激な乾燥工程を有する請求項11または12に記載のインク用被記録媒体の製造方法。
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