JP2009234080A - 被記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Yasuyuki Ishida
康之 石田
Masanori Ito
雅教 伊藤
Hiroshi Asakawa
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Abstract

【課題】 高速吸収性、環境カール防止性に優れかつ、アルバムなどの粘着面に対する易ハンドリング性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れ、さらには優れた表面光沢性を有する被記録媒体及び製造方法を提供することにある。
【解決手段】 透気性支持体上の一方の面(A面)は、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層、かつ少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、カール調整層、最表層の間に、少なくとも1層の中間層を有していることを特徴とする被記録媒体で、前記カール調整層、中間層、最表層を同時に塗工する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水性インクを使用した記録に適する被記録媒体及びその製造方法を提供するものである。とりわけ、高速吸収性に優れ、かつ、アルバムなどの粘着面に対する易ハンドリング性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れ、さらには優れた表面光沢性を有する被記録媒体と、この特性を確実に実現できる製造方法に関する。
インクジェット記録方法は、高速低騒音、多色化が容易であり、記録パターンの融通性が大きく、プリンター単体への展開をはじめとして、複写機、ワープロ、ファクシミリ、プロッター等の情報機器における出力部への展開がさらに行なわれ、急速に普及している。また、近年、高性能のデジタルカメラ、スキャナー等が安価に提供されつつあり、パーソナルコンピューターの普及と相まって、これらから得た画像情報の出力にインクジェット記録方式を採用したプリンターが極めて好適に用いられるようになってきている。このような背景において、銀塩系写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色のない画像を、手軽にインクジェット記録方式で出力する事が求められるようになってきた。
銀塩系写真に匹敵する被記録媒体には、優れた染料の発色性、高い表面光沢性、高い解像性を有する画像形成が必要とされる。また、これらの画像特性に加えて、支持体が紙のような透気性支持体からなる被記録媒体の場合には温度や湿度の変化により大きいカールが発生することがあり、通常記録装置で記録する際の走行性を阻害する問題があるため、カール防止性も必要とされる。更に、印字したプリント物を銀塩系写真のようにアルバムにして長期間保存して鑑賞するケースも増えてきている。こうした印字後のプリント物をアルバムに貼ったり、その後、剥がして再度貼りなおしたり、あるいはレイアウトを変更したりといった際に、アルバムの粘着面から容易に剥離するような易ハンドリング性なども必要とされる。更には、最近のプリンター自体の性能向上によりプリント速度が高速化するに伴い、一度に多数枚の被記録媒体をプリンターにセットして連続印字するケースが増えてきている。この多数枚積載時の連続印字の場合は、被記録媒体の搬送時に被記録媒体の印字面と裏面とが擦り合わせられることによる搬送擦過キズを生じやすく、記録物としての印字品位が低下する場合があるため、耐搬送擦過キズ性も求められるようになってきている。
このような要求を満たす為に、記録の高速化、高精細化、フルカラー化などプリンター自体の構造や記録方式に関する改良が行なわれてきており、被記録媒体の構造や特性に関する改良も盛んに検討されている。
インクジェット記録等に用いられる被記録媒体については、支持体として紙などの透気性支持体を用いたものや、樹脂被覆された非吸水性支持体を用いたもの、また親水性樹脂からなるインク受容層を有するものや、無機顔料およびバインダーなどからなる多孔質性インク受容層を有するものなど従来から多様多種の形態のものが提案されてきた。
中でも、紙などの透気性支持体上に無機顔料およびバインダーなどからなる多孔質性インク受容層を設け、さらに、光沢処理を施すことにより、インク吸収性に優れ、プリント速度の高速化が可能であり、かつ、銀塩系写真と遜色の無い、優れた染料の発色性、高い表面光沢性、高い解像性を有する画像を提供可能な被記録媒体が、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。また、紙などの透気性支持体上に多孔質性インク受容層が設けられた被記録媒体の環境カールに対する改良も種々の検討が行われている(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
これらのような被記録媒体は、上述した環境カール防止性には優れるが、カールを調整するために基材上に多孔質性インク受容層を設けた面と反対の面に顔料を主成分とした層を構成しているために、高速吸収性に優れ、かつ、銀円写真と遜色の無い画像を提供可能な解像度及び光沢性にも優れる被記録媒体に対する、耐搬送擦過キズ性に対しては劣る場合がある。
更に、こうした多孔質性インク受容層を設けた被記録媒体における搬送擦過キズに対する改良も種々の検討が行われている(例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)。これらのような被記録媒体は、上述した易ハンドリング性や耐搬送擦過キズ性に関してある程度の効果を示す。しかしながら、高速吸収性に優れ、かつ、銀塩系写真と遜色ない画像を提供可能な解像度及び光沢性にも優れる被記録媒体に対する易ハンドリング性や耐搬送擦過キズ性については、まだ満足できるレベルにない場合が多い。
特許第3368101号公報 特開2004−209651号公報 特開平5−221115号公報 特開平6−171206号公報 特開2001−180106号公報 特開2002−52813号公報 特開2004−209653号公報 特開2004−209654号公報 特開2002−200845号公報
高速吸収性に優れ、かつ、銀塩系写真と遜色ない画像を提供可能な解像度及び光沢性にも優れる被記録媒体に対する環境カール防止性、易ハンドリング性や耐搬送擦過キズ性、さらに高い生産効率を求めるためには以下の課題を解決する必要がある。
樹脂被覆紙を支持体として用い、支持体上に親水性樹脂からなるインク受容層を設けた、いわゆる膨潤タイプの被記録媒体の場合は、環境カール防止性、易ハンドリング性や耐搬送擦過キズ性に優れるが、印字の際のインク液滴を被記録媒体表面の親水性樹脂層が膨潤して吸収するタイプであるため高速吸収性に劣ってしまうという場合がある。
また、樹脂被覆紙を支持体として用い、支持体上に無機顔料およびバインダーなどからなる多孔質性のインク受容層を設けた、いわゆる隙間吸収タイプの被記録媒体の場合は、環境カール防止性、易ハンドリング性や高速吸収性に優れる。しかしながら、表面光沢性は樹脂被覆された支持体表面の平滑性に依存するため、銀塩系写真のようなヘイズが小さく、かつ、光沢度の高い表面光沢性を達成することは容易ではない。また、インク受容層が多孔質性である場合は、インクの高速吸収性や表面光沢性に優れる特長を有する反面、その多孔質性ゆえに表面が傷付きやすく、多数枚積載での連続印字時の耐擦過搬送キズ性に劣る場合があった。
さらに、紙などの透気性を有する支持体を用い、支持体上に無機顔料およびバインダーなどからなる多孔質性のインク受容層を設けた、いわゆる隙間吸収タイプの被記録媒体の場合は、高速吸収性に優れるとともに、リウェットキャストなどの光沢処理を施すことにより、銀塩系写真に匹敵するような表面光沢性を得ることが可能であるものの、環境カール防止性、易ハンドリング性や耐搬送擦過キズ性に劣る場合があった。環境カール防止性、易ハンドリング性や耐搬送擦過キズ性に劣る場合がある原因としては、リウェットキャストなどの光沢処理を行なうには透気性が必要であるため、樹脂被覆紙のように裏面を樹脂で完全被覆することができず、裏面は原紙や原紙上に設けた下塗り層、あるいは多孔質性の顔料層などとせざるを得ない点にあった。すなわち、被記録媒体全体として透気性が確保されているので、温度や湿度の環境の変化によって被記録媒体全体に水分の出入りが生じるため、インク受容層、及び原紙が水分の出入りによって伸縮し、インク受容層と原紙との伸縮差が生じることによって大きいカールが発生する場合があった。この環境の変化によるカールを抑制する方法としては、支持体上にインク受容層を設けた面と反対の面に多孔質性の顔料層を設け、インク受容層の伸縮を裏面のカール調整層の伸縮で打ち消すことが挙がられるが、その場合には以下のような問題点が生じることがある。すなわち、多孔質性の顔料層は、その表面に存在する微細な隙間に粘着剤が一部しみ込んでしまうため、粘着剤に対する粘着性が強く、記録物をアルバムなどの粘着面から剥がす際に、紙繊維、下塗り層あるいは顔料層が部分的に剥ぎ取られてしまい記録物やアルバムの品位を損なう場合があった。また、裏面が多孔質性の顔料層であるため、多数枚積載での連続印字の際など多孔質性のインク受容層表面とこすりあわされた場合には、インク受容層表面に擦過キズを生じやすい場合があった。
また、細孔径の小さな顔料を用い、バインダー量を少なくして形成した多孔質性インク受容層は、優れた染料発色性と高い解像性を有するとともに高い表面光沢性を達成可能である一方で、インク受容層表面の耐搬送擦過キズ性については不利となる場合があった。こうした課題は、紙などの透気性・吸水性を有する支持体を用い、多孔質性インク受容層を形成後にリウェットキャストなどによる高光沢処理を行なった被記録媒体において、より顕著となる。
そこで本発明の目的は、高速吸収性、環境カール防止性に優れ、かつ、アルバムなどの粘着面に対する易ハンドリング性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れ、さらには優れた表面光沢性を有する被記録媒体を提供することにある。また、この特性を確実に実現できる製造方法を提供することにある。
本発明は、透気性支持体上の一方の面(A面)が、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層および、少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、かつ、カール調整層、最表層の間に、少なくとも1層の中間層を有することを特徴とする被記録媒体である。
また、本発明は、透気性支持体上の一方の面(A面)が、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層、および少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、かつ、該カール調整層と該最表層の間に少なくとも1層の中間層を有する被記録媒体の製造方法であって、前記カール調整層、中間層、および最表層を同時に塗工することを特徴とする被記録媒体の製造方法である。
また、本発明における被記録媒体の製造方法は、少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質層形成用塗工液を、透気性支持体上の一方の面(A面)に塗工することにより前記インク受容層を形成する工程と、
少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質層形成用塗工液と互いに相溶しない樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとを少なくとも含む2種以上の樹脂組成物と界面活性剤からなる水系分散体塗工液と、前記多孔質形成用塗工液と樹脂組成物からなる水系分散体塗工液の間に、これらと接触しても凝集しない塗工液を、該画像記録層と反対側に同時に塗工することにより、カール調整層、中間層、樹脂組成物により部分被覆された最表層を前記B面に形成する工程と、該インク受容層を光沢処理する工程と、
を有する製造方法である。
本発明では、透気性支持体上の一方の面(A面)の少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を設けることによりインクの高速吸収性を達成することが可能となる。また、他方の面(B面)に多孔質性のカール調整層を設け、少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆した面とすることにより、環境カールを抑制し、多積載時の搬送キズを低減し、更にアルバムなどの粘着面に対する易ハンドリング性を達成できると同時に、リウェットキャストなどの光沢処理を行なうことを可能とし、優れた表面光沢性を達成することができる。さらにカール調整層、最表層の間に、少なくとも1層の中間層を設けて同時に塗布を行なうことにより、高い生産効率、塗膜均一性、塗布液安定性と各層間での密着性を確保できる。
本発明は、図1に示したような、カール調整層の上に樹脂組成物により部分被覆した状態の裏面を形成することで、リウェットキャストなどの光沢処理が可能な程度の透気性を有し、かつ、粘着剤のしみ込みによる強い付着を起こすことなく、易ハンドリング性と高光沢化とを両立するものである。
さらに、本発明において樹脂組成物を、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物とすることにより、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れる被記録媒体を得ることができる。ここで、樹脂組成物Aはワックスであり、かつ、該樹脂組成物Bは該樹脂組成物Aと互いに相溶しない樹脂組成物であることが好ましい。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックス、アルコールワックス、合成酸化ワックス、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体、カルナバワックス、ラノリン、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド、カスターワックスなど使用可能である。
互いに相溶しない2種の樹脂組成物A及びBを塗工して部分被覆した面を形成した場合は、図2に示したような、樹脂組成物Aが樹脂組成物Bの上に一部突出した形状の面を形成することができるため、リウェットキャストなどの光沢処理が可能な程度の透気性を有し、かつ、粘着面に対する易ハンドリング性を有するだけでなく、さらに、樹脂組成物Aの存在により、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れる裏面を形成することができる。
また、この製造方法として前記カール調整層を塗布乾燥してから一旦ロールに巻き取り、再度ロールから繰り出して前記樹脂組成物により部分被覆された最表層を塗布乾燥する2工程で行なうと、製造コストが大幅に増大する問題がある。また、構成層を形成した後、しばらく経時すると、温度履歴や時間のばらつきにより、品質安定性に問題が生じるだけでなく、最表層を設ける際、塗布ムラ、層間密着の悪化が生じやすい。これは、カール調整層と最上層を同時に塗工することにより解決できる。
上記の特徴にかかる本発明は以下の態様を含む。
(1)透気性支持体上の一方の面(A面)は、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層および、少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、かつ、カール調整層と最表層の間に少なくとも1層の中間層を有していることを特徴とする被記録媒体。
(2)前記被記録媒体の透気度が、6000秒以下であることを特徴とする前記(1)に記載の被記録媒体。
(3)前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物からなり、かつ、該樹脂組成物Aはワックスであり、さらに、該樹脂組成物Bは該樹脂組成物Aと互いに相溶しない樹脂組成物であることを特徴とする前記(1)又は(2)のいずれかに記載の被記録媒体。
(4)前記多孔質性のカール調整層が、少なくとも顔料とバインダーからなり、かつ、前記多孔質性のインク受容層のバインダーの乾燥塗工量をCg/m、該多孔質性のカール調整層のバインダーの乾燥塗工量をDg/mとしたときに、D/Cが0.7〜1.3であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の被記録媒体。
(5)透気性支持体上の一方の面(A面)は、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層および、少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、かつ、カール調整層と最表層の間に少なくとも1層の中間層を有する被記録媒体の製造方法であって、前記最表層、中間層、およびカール調整層を同時に塗工することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
(6)前記被記録媒体の透気度が、6000秒以下であることを特徴とする(5)に記載の被記録媒体の製造方法。
(7)前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物からなり、かつ、該樹脂組成物Aはワックスであり、さらに、該該樹脂組成物Bは該樹脂組成物Aと互いに相溶しない樹脂組成物であることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の被記録媒体の製造方法。
(8)前記多孔質性のカール調整層が、少なくとも顔料とバインダーからなり、かつ、前記多孔質性のインク受容層のバインダーの乾燥塗工量をCg/m、該多孔質性のカール調整層のバインダーの乾燥塗工量をDg/mとしたときに、D/Cが0.7〜1.3であることを特徴とする前記(5)乃至(7)のいずれかに記載の被記録媒体の製造方法。
(9)少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質層形成用塗工液を、透気性支持体上の一方の面(A面)に塗工することにより前記インク受容層を形成する工程と、互いに相溶しない樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとを少なくとも含む2種以上の樹脂組成物を含む最表層塗工液と、中間層用塗工液と、カール調整層用塗工液とを前記透気性支持体の他方の面(B面)に同時に塗工する工程と、前記インク受容層を光沢処理する工程とを有することを特徴とする(5)乃至(8)のいずれかに記載の被記録媒体の製造方法。
(10)前記光沢処理する工程がリウェットキャスト法によることを特徴とする前記(9)に記載の被記録媒体の製造方法。
本発明によれば、高速吸収性に優れ、かつ、環境カール防止性、アルバムなどの粘着面に対する易ハンドリング性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れ、さらには優れた表面光沢性を有する被記録媒体と、この特性を確実に実現できる生産効率の高い製造方法を提供することができる。
本発明において被記録媒体は、透気性支持体上の一方の面(A面)は、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層を有し、かつ少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層、さらにカール調整層、最表層の間に少なくとも1層の中間層を有している構成を有する。
本発明により、インクの高速吸収性を有するとともに、環境カール防止性、及びアルバムなどの粘着面に対する易ハンドリング性を達成でき、かつ、リウェットキャストなどの光沢処理により優れた表面光沢性を有する被記録媒体を得ることができる。
(樹脂組成物)
本発明において、樹脂組成物としては、水に分散してなる熱可塑性樹脂が好ましい。水に分散してなる熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリエチルアクリル酸、スチレンーブタジエン共重合体、ブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、フエノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレンーアクリル酸共重合体、スチレンーメタアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレンーアクリルアミド共重合体、nーイソブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、シリコーン樹脂、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステル、マイクロジェル、マイクロエマルジョン、等のほか、低分子量の熱可塑性樹脂を用いることも可能であり、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックス、アルコールワックス、合成酸化ワックス、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体、カルナバワックス、ラノリン、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド、カスターワックス等、が使用可能であるがこれに限定されるものではない。また、これらは一種または二種以上を混合して用いることができる。
本発明において樹脂組成物は、樹脂組成物が微粒子として裏面形成用塗工液に分散された形、水の中に安定化分散された樹脂エマルジョン粒子の形等で使用されることが好ましい。ここで樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が上記のような樹脂成分であるエマルジョンを意味する。
さらに、本発明においては、樹脂組成物を、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物とすることにより、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れる被記録媒体を得ることができる。ここで、樹脂組成物Aはワックスであり、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックス、アルコールワックス、合成酸化ワックス、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体、カルナバワックス、ラノリン、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド、カスターワックス等が挙げられる。これらを一種または二種以上混合して用いることができる。
また、樹脂組成物Bは樹脂組成物Aとは互いに相溶しない樹脂組成物であることが好ましく、こうした構成とした場合、上述のように、リウェットキャストなどの光沢処理が可能な程度の透気性を有し、かつ、粘着面に対する易ハンドリング性を有するだけでなく、さらに、樹脂組成物Aの存在により、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過キズ性に優れる裏面を形成することができる。
樹脂組成物Bは、熱可塑性樹脂であることが好ましく、具体的には、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリエチルアクリル酸、スチレンーブタジエン共重合体、ブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、フエノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレンーアクリル酸共重合体、スチレンーメタアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレンーアクリルアミド共重合体、nーイソブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、シリコーン樹脂、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステル、マイクロジェル、マイクロエマルジョン、等から選ばれる樹脂組成物である。これらを一種または二種以上混合して用いることができる。
さらに、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bとして、互いに相溶しない樹脂組成物の組合せを選択した場合には、図2に示したような被覆状態となり、耐搬送擦過キズ性に優れた裏面を形成することができる。
本発明において、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bとが、「互いに相溶しない」状態とは、以下のような状態である。即ち、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとを混合溶融した後、室温まで自然冷却した場合に、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとが一体とならずに、樹脂組成物Aまたは樹脂組成物Bのいずれかもしくは両方の一部が粒状や塊状などの形状で分離して析出する状態のことである。
樹脂組成物Aの樹脂組成物Bに対する含有比率としては、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとが互いに相溶しない場合には、2/100〜50/100の範囲であることが好ましく、この範囲を超える場合には、樹脂組成物Aの剥離が起こることがあり、また、この範囲よりも小さい場合には、樹脂組成物Aの添加による耐搬送擦過キズ性向上の効果が得られにくい。
また、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとが相溶する場合における樹脂組成物Aの樹脂組成物Bに対する含有比率としては、10/100〜80/100の範囲であることが好ましく、この範囲を超えて樹脂組成物Aを添加しても、耐搬送擦過キズ性はそれ以上向上しない場合があるだけでなく、物流保存時などにおける印字品位の低下を生ずる恐れがある。また、この範囲よりも小さい場合には、樹脂組成物Aの添加による耐搬送擦過キズ性向上の効果が得られにくい。
この耐搬送擦過キズ性に対する効果は、光沢処理後の印字面の20°光沢度が、15以上である場合、または/及び、最表面に設けた多孔質性インク受容層に用いられる顔料の細孔半径が5〜20nmの範囲である場合により顕著に現れる。
(カール調整層)
本発明において、カール調整層としては、少なくとも多孔質性顔料とバインダーを含有していることが好ましい。使用する顔料としては、例えば、無機顔料として軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム等、有機顔料としては、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン粒子、マイクロカプセル粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等である。これらから選択された1種を、あるいは必要に応じて選択された2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの顔料を用いた場合、被記録媒体としたときにキャスト処理をするのに足る透気性を有する層を構成することが可能であり、同時に被記録媒体の環境カールを調整することが可能となる。さらに、カールの発生原因としては、温度や湿度の環境の変化によって被記録媒体全体に水分の出入りが生じるため、インク受容層、及び原紙が水分の出入りによって伸縮し、インク受容層と原紙との伸縮差が生じることによるものと考えられるため、インク受容層の水分による伸縮とカール調整層の水分による伸縮を同等にするためには、顔料による吸湿特性を同等にすることが好ましく、用いる顔料種としては、インク受容層に用いた顔料種と同じであることが好ましい。
使用するバインダーとしては、上記に挙げた顔料を結着し、被膜を形成する能力のある材料であって、且つ、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば、特に制限はなく利用することができる。例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いは、これら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いは、これら各種重合体にカチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し、重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行ない、重合体表面に該粒子が分布しているもの;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等を挙げることができる。上記は、単独、或いは複数を混合して用いることができる。バインダーの場合も顔料の場合と同様の理由で、用いるバインダー種はインク受容層に用いたバインダー種と同じであることが好ましい。
カール調整層のバインダー含有量としては、顔料に対して、5〜50質量%になるようにするのが好ましい。バインダーの含有量が上記範囲に満たない場合は、カール調整層にクラックが発生し易くなり、又、カール調整層の機械的強度が不十分となり、粉落ちが生じ易くなる。50質量%を超える場合には顔料間で形成される空隙がバインダーによって塞がれてしまい、被記録媒体の透気性が損なわれることでキャスト性が低下する恐れがある。更に、バインダーの含有量としては、インク受容層に塗工されたバインダー成分の塗工量をCg/m2、カール調整層に塗工されたバインダー成分の塗工量をDg/mとしたときにはD/Cが、0.7〜1.3であることが好ましい。インク受容層、或いはカール調整層中のバインダー成分も環境の温度変化、湿度変化によって伸縮を起こし、そのカールに与える影響は大きいものである。この場合、インク受容層とカール調整層のバインダー量の比D/Cを0.7〜1.3とすることで、環境の変化によるインク受容層、カール調整層のバインダーの伸縮を表裏で打ち消す効果が顕著になり、環境カールをより効果的に抑制することが可能となる。この範囲を超えた場合、表裏でのバインダーの伸縮の隔たりが大きくなり、カールを抑制する効果が得られにくい。
(中間層)
本発明においては、中間層として少なくともバインダーを含有していることが好ましい。使用するバインダーとしては、透気性を確保しつつ皮膜を形成する能力のある材料であり、カール調調製層塗工液、最上層塗工液と接触しても凝集、層分離、増減粘を起こさず、且つ、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば特に制限なく利用することができる。例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いは、これら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いは、これら各種重合体にカチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し、重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行ない、重合体表面に該粒子が分布しているもの;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等を挙げることができる。上記は、単独、或いは複数を混合して用いることができる。
さらに好ましくは、ポリビニルアルコールとスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックスを混合したものがよい。
(被記録媒体の製造方法)
また、本発明における被記録媒体は、少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質層形成用塗工液を、透気性支持体上の一方の面(A面)に塗工することにより前記インク受容層を形成する工程と、
少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質層形成用塗工液と互いに相溶しない樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとを少なくとも含む2種以上の樹脂組成物と界面活性剤からなる水系分散体塗工液と、前記多孔質形成用塗工液と樹脂組成物からなる水系分散体塗工液の間に、これらと接触しても凝集しない塗工液を、該画像記録層と反対側に同時に塗工することにより、カール調整層、中間層、樹脂組成物により部分被覆された最表層を前記B面に形成する工程と、該インク受容層を光沢処理する工程と、
を有する製造方法により製造される。
本発明の被記録媒体の製造方法により塗工される層を構成する複数層の塗工液は、層間混合を防止するため、粘度、表面張力が調節されて使用される。
各層の塗工液の粘度差は少ないほうが層間の混合が少なく、各層の塗工液の粘度差は100mPa・s以下が好ましい。また、各層の塗工液の表面張力は、より支持体に近い層となる塗工液の表面張力がより支持体から離れた層となる塗工液より小さいと好ましくない。より支持体から離れた層の塗工液膜がより支持体に近い層の塗工液膜上ではじく現象が発生しやすく、均一な塗料膜が形成されにくいためである。各層の塗工液の表面張力が同一であるとはじく現象が発生しにくく好ましく、より支持体に近い層の塗工液より、より支持体から離れた層の塗工液のほうが小さくなる様に設定するとより良好な塗工品質が得られて特に好ましい。3層以上の層を同時に塗布する場合には、最も支持体に近い層から順に支持体から最も離れた層にかけて表面張力が順々に小さくなる様に調節するのが好ましい。
塗工液の表面張力を調整するには、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などのノニオン系界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性系界面活性剤を塗布液に任意の量を混合することが好ましい。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の被記録媒体は、順次以下の工程を経て製造される。
(1)支持体の表面処理工程
まず始めに、支持体上に表面処理液を塗布する。
支持体の表面処理工程は、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含むプレコート液を塗工する工程であり、必要に応じて行なわれる。この架橋剤の付与は、インク受容層における多孔質層の所望とするインク受容層としての構造をより強固なものとする上で、この架橋剤の使用が好ましい。また、表面処理工程は、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含む表面処理液を塗工する工程であり、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液である表面処理液を支持体に塗工する工程である。
表面処理工程では、透気性支持体に表面処理液を塗工後に基材表面を乾燥せず、基材表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を保った状態で、次のインク受容層形成用塗工液を塗工する工程を行なうことが好ましい。
本発明に用いる支持体としては、紙等の不透明材料からなる透気性支持体を用いる。特に、繊維状支持体、即ち、紙からなる透気性支持体を用いた場合には、支持体上に、後述する多孔質性インク受容層を形成後、キャストなどの光沢処理を施すことにより、銀塩系写真に匹敵する高い表面光沢性を得ることができるため好ましい。
紙からなる透気性支持体には、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスを原紙上に施したものや、原紙上にコート層を設けた、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙等も含まれる。
透気性支持体として紙を用いた場合は、紙(原紙)のセルロースパルプ繊維や地合いが完全に覆われるような厚みのコート層がインク受容層の下塗り層として設けられていることが好ましい。覆われていない場合、インク受容層の塗工時に、その繊維や地合いに起因する塗りムラが生じ易く、インク受容層中、若しくはインク受容層表面近傍や表面にセルロースパルプ繊維が存在していることになるので、被記録媒体の表面にキャスト処理を施したとしても、良好且つ均質なキャスト面、即ち、写真調の高光沢面を得ることが困難となる場合がある。紙からなる透気性支持体のセルロースパルプを覆うためには、コート層の乾燥塗工量が10g/m以上、更には13g/m以上であることが好ましい。
紙からなる透気性支持体の透気度としては、透気度が6000秒以下であることが好ましく、後述する光沢処理工程における光沢処理適性の観点から、5500秒以下であることがより好ましい。また、紙からなる透気性支持体のステキヒトサイズ度100〜400秒、ベック平滑度100〜500秒、水中伸度は、1.2〜2.5%とすることが好適である。また銀塩写真同様の質感、高級感のある被記録媒体を得るためには、紙からなる透気性支持体の坪量としては160〜230g/m、ガーレー剛度(J.Tappi No.40、縦目)が7〜15mNになるようにすることが好ましい。
本発明において表面処理液は、前記架橋剤を含む水溶液であり、架橋剤を1質量%以上10質量%含むことが好ましい。また、表面処理液のぬれ性向上のため、表面処理液に界面活性剤、アルコール等を添加して、表面張力及び吸水度の調整を行っても良い。表面処理工程での表面処理液の塗工量は硼酸及び硼酸塩の固形分換算で0.05g/m以上3.0g/m以下であることが好ましい。
(2)多孔質性インク受容層形成工程
次に、表面処理された支持体上に、少なくとも顔料とバインダーとからなるインク受容層形成用塗工液を塗工し、乾燥することにより、多孔質性インク受容層を形成する。
本発明で用いるインク受容層の形成材料について説明する。インク受容層は、顔料と、バインダーとを含む塗工液を塗工することで形成できる。顔料としては、染料定着性、透明性、印字濃度、発色性、及び光沢性の点で、特にアルミナ水和物を主成分として含有させることが好ましいが、下記顔料を使用することもできる。例えば、無機顔料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム等、有機顔料としては、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン粒子、マイクロカプセル粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等である。これらから選択された1種を、あるいは必要に応じて選択された2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で使用されるアルミナ水和物としては、例えば、下記一般式(X)により表されるものを好適に利用できる。
Al3−n(OH)2n・mHO ・・・・(X)
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る。)アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型の水酸化アルミニウムからγ、σ、η、θ、α型のアルミニウム酸化物に転移していくことが知られている。本発明に於いては、これらいずれの結晶構造のものも使用可能である。本発明において好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造若しくは非晶質を示すアルミナ水和物であって、特に、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物が挙げられる。
前記アルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整がなされるが、前記インク受容層のBET比表面積、細孔容積を満たすためには、細孔容積が0.3〜1.0ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは0.35〜0.9ml/gである。この範囲の細孔容積を有するアルミナ水和物はインク受容層の細孔容積を前記規定範囲内にする上でより好適である。また、BET比表面積については、50〜350m/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは100〜250m/gである。この範囲のBET比表面積のアルミナ水和物は、インク受容層の比表面積を前記規定範囲にする上でより好適である。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ比表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、比表面積が得られる。
また、本発明において好適なアルミナ水和物の形状としては、平板状で、平均アスペクト比が3〜10、平板面の縦横比0.6〜1.0であるものが好ましい。アスペクト比の定義は、特公平5−16015号公報に記載されている方法で求めることができる。上記アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で示す。ここで「直径」とは、アルミナ水和物を顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を示すものとする。上記平板面の縦横比は、アスペクト比と同様に、粒子を顕微鏡で観察して平板面の最小値を示す直径と最大値を示す直径の比である。平均アスペクト比が上記範囲を満たさないアルミナ水和物を使用した場合は、形成したインク受容層の細孔分布範囲が狭くなる恐れがある。又、上記範囲を超えるものを使用する場合は、アルミナ水和物の粒子径を揃えて製造するのが困難になる恐れがある。縦横比が上記範囲を満たさないものを使用する場合も、同様にインク受容層の細孔径分布が狭くなる。
文献(Rocek J.,et al.、Applied Catalysis、74巻、p29〜36、1991年)にも記載されているように、アルミナ水和物の中には、繊毛状とそうでない形状のものがあることが一般に知られている。本発明者らの知見によれば、同じアルミナ水和物であっても、平板状のアルミナ水和物の方が、繊毛状のものよりも分散性がよい。又、繊毛状のアルミナ水和物の場合は、塗工時に下塗り層表面に対して平行に配向する傾向がみられ、形成される細孔が小さくなる場合があり、このためにインク受容層のインク吸収性が小さくなることがある。これに対して、平板状のアルミナ水和物を用いた場合は、塗工により配向する傾向は小さく、このため形成されるインク受容層の細孔の大きさや、インク吸収性への影響は少ない。
インク受容層の顔料としてシリカ等の板状ではないものを用いてもよいが、光沢性を高くするということにおいては、上記のことから板状アルミナ水和物を用いるのが好ましい。
本発明において、インク受容層形成用塗工液に使用するバインダーとしては、上記に挙げた顔料を結着し、被膜を形成する能力のある材料であって、且つ、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば、特に制限はなく利用することができる。例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いは、これら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いは、これら各種重合体にカチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し、重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行ない、重合体表面に該粒子が分布しているもの;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等を挙げることができる。上記は、単独、或いは複数を混合して用いることができる。
バインダー含有量としては、顔料に対して、5〜50質量%になるようにするのが好ましい。バインダーの含有量が上記範囲に満たない場合は、インク受容層にクラックが発生し易くなり、又、インク受容層の機械的強度が不十分となり、粉落ちが生じ易くなる。一方、上記範囲を超える場合は、インク吸収性の低下(例えば、インクが溢れ、画像に滲みの発生)や、インク染料の吸着性の低下が生じる恐れがあるので好ましくない。更に、高温高湿下においても十分なインク吸収性を得るためには、バインダーの含有量を5〜20質量%の範囲とすることが好ましい。
上記のようにして形成するインク受容層の形成材料中に、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有させることは、インク受容層の形成上、極めて有効である。この際に用いることのできるホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)だけでなく、メタホウ酸や次ホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩であることが好ましく、具体的には、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na・10HO、NaBO・4HO等)や、カリウム塩(K・5HO、KBO等)等のアルカリ金属塩、ホウ酸のアンモニウム塩(NH・3HO、NHBO等)、ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
塗工液の経時安定性と、クラック発生の抑制効果の点からオルトホウ酸を用いることが好ましい。又、その使用量としては、インク受容層中のポリビニルアルコールに対して、ホウ酸固形分1.0〜15.0質量%の範囲で用いることが好ましい。この範囲内でも製造条件等によっては、クラックが発生する場合があり選択を必要とする。又、上記範囲を超える場合は、塗工液の経時安定性が低下するため好ましくない。即ち、生産する場合においては、塗工液を長時間に渡って使用するので、ホウ酸の含有量が多いと、その間に塗工液の粘度の上昇や、又、ゲル化物の発生が起こし、塗工液の交換やコーターヘッドの清掃等が頻繁に必要となり、生産性が著しく低下してしまう。更に、上記範囲を超える場合、工程において、点状の表面欠陥が生じ易くなり、均質で良好な光沢面が得られない場合がある。
アルミナ水和物を含む塗工液は、少なくともアルミナ水和物、バインダーおよび必要に応じて架橋剤を含む塗工液であり、インク受容層用塗工液の調製においては、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上をアルミナ水和物分散液と混合し、得られた混合液と、バインダーであるポリビニルアルコール水溶液とを塗工の直前で混合して塗工液とするミキシング装置を使用することが好ましい。このようにすれば、製造工程中に生じる塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減することができるので、生産効率の向上を図ることができる。上記で使用するアルミナ水和物分散液中のアルミナ水和物にかかる固形分濃度は、10〜30質量%であることが好ましい。上記範囲を超える場合は、アルミナ水和物分散液の粘度が高くなり、インク受容層の粘度も高くなるので、塗工性に問題が生じる場合がある。
本発明のインクジェット用被記録媒体に色材劣化防止剤を添加してもよい。色材劣化防止材とはインク受容層中に染料とともに存在した際、ガス及び光などの染料を劣化させる要因より染料を守り、染料の耐候性を向上させる化合物のことを言う。一般的な例を挙げると、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、チオウレア系化合物、チウラム系化合物、ホスファイト系化合物などが挙げられ、特にヒンダードアミン化合物が好ましくもちいられるが、これらのものに限定されるものではない。
上記のインク受容層における、ヒンダードアミンの好ましい含有量としては、顔料固形分に対して0.5〜10質量%の範囲内が好ましい。上記の下限以上にすることで、十分な褪色抑制効果が得られる。また、上記の上限以下とすることで、インク吸収性の低下が起こるのを防ぐことができる。
本発明において色材劣化防止剤は溶媒に溶解した調製液を、前記形成後の受容層にオーバーコートすることにより、受容層内に添加することが好ましい。前記色剤劣化防止剤を溶解する溶剤は、前記色剤劣化防止剤が溶解可能であれば良く、各種溶剤の使用出来る。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類、イソプロパノール、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。受容層に色材劣化防止剤含有液をオーバーコートする工程は、受容層形成の後であれば、いずれの工程でも良い。ただし、受容層面に塗工部材が接触する方式でのオーバーコートを行なう場合には、オーバーコート工程における受容層面の傷付きなどが懸念されるため、光沢処理工程の前にオーバーコートするのが好ましい。
インク受容層形成用塗工液には、pH調整剤として、例えば蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の有機酸や、塩酸、硝酸、燐酸等の無機酸、およびこれらの塩などを適宜添加することができる。
また、その他の塗工液添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料等を、必要に応じて適宜含有させることができる。
以上のように形成される多孔質性インク受容層は、インクの高速吸収性、高発色性、高解像性等の目的及び効果を達成する上で、その細孔物性が、下記の条件を満足するものであることが好ましい。先ず、インク受容層の細孔径分布において、少なくとも細孔半径5〜20nmの範囲にピークを有することが好ましい。この範囲に満たない場合は、インクの高速吸収性に劣る場合があり、また、この範囲を超える場合には、発色性や解像性の点で十分な性能が得られない場合がある。また、インク受容層の細孔容積は、0.1〜1.0cm/gの範囲内にあることが好ましい。即ち、細孔容積が、上記範囲に満たない場合は、十分なインク吸収性能が得られず、インク吸収性の劣ったインク受容層となり、場合によっては、インクが溢れ、画像に滲みが発生する恐れがある。一方、上記範囲を超える場合は、インク受容層に、クラックや粉落ちが生じ易くなるという傾向がある。又、インク受容層のBET比表面積は、20〜450m/gであることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、十分な光沢性が得られないことがあり、又、ヘイズが増加するため(透明性が低下するため)、画像が、白もやがかかったようになる恐れがある。更に、この場合には、染料の発色性が低下するだけでなく、インク中の染料の吸着性の低下を生じる恐れもあるので好ましくない。一方、上記範囲を超えると、インク受容層にクラックが生じ易くなるので好ましくない。尚、細孔容積、BET比表面積の値は、窒素吸着脱離法により求められる。
又、インク受容層の乾燥塗工量は30〜50g/mとなるようにすることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、特に、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクに、ブラックインクの他、複数の淡色インクが加えられているようなプリンターに用いた場合に、十分なインク吸収性が得られず、即ち、インク溢れが生じ、ブリーディングとなる場合が発生したり、基材にまでインク染料が拡散し、印字濃度が低下する場合があるので好ましくない。一方、上記範囲を超える場合には、クラックの発生を抑え切れないことが生じる恐れがある。更には、30g/mより多いと、高温高湿環境下においても十分なインク吸収性を示すインク受容層が得られるので好ましく、乾燥塗工量を50g/m以下とすると、インク受容層の塗工ムラが生じにくくなり、安定した厚みのインク受容層を製造できる。
(3)裏面形成工程
次に、インク受容層と反対の面の表面処理された支持体上に、少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質性カール調整層形成用塗工液と、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物からなる最表層塗工液と、少なくともバインダーからなる中間層塗工液を、該インク受容層と反対の面に同時に塗工することにより裏面を形成する。
必要があれば、インク受容層を形成するのと同様に、カール調整層を形成する前に、支持体の表面処理を行ってもよい。
カール調整層形成用塗工液としては、前述した顔料の分散液と前述したバインダーの水溶液または分散液を混合したものを用いる。インク受容層の形成にアルミナ水和物を用いた場合には、前述した理由により、アルミナ水和物を使用するのが好ましく、インク受容層と同様にアルミナ水和物としては、前記一般式(X)により表されるものを好適に利用できる。また、インク受容層の形成にポリビニルアルコールを用いた場合には、前述した理由により、ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
この塗工液には必要であれば、前記のような架橋剤を添加することもできる。また、pH調整剤として、例えば蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の有機酸や、塩酸、硝酸、燐酸等の無機酸、およびこれらの塩などを適宜添加することができる。
また、その他の塗工液添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料等を、必要に応じて適宜含有させることができる。
塗工液は、少なくとも顔料、バインダーおよび必要に応じて架橋剤を含む塗工液であり、インク受容層用塗工液の調製においては、顔料分散液と、バインダー水溶液若しくは分散液とを塗工の直前で混合して塗工液とするミキシング装置を使用することが好ましい。このようにすれば、製造工程中に生じる塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減することができるので、生産効率の向上を図ることができる。上記で使用する顔料分散液中の顔料にかかる固形分濃度は、10〜50質量%であることが好ましい。上記範囲を超える場合は、顔料分散液の粘度が高くなり、インク受容層の粘度も高くなるので、塗工性に問題が生じる場合がある。
又、カール調整層の乾燥塗工量は10〜50g/mとなるようにすることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、インク受容層とのバランスが取れず、カールの抑制の効果が得られにくくなり、一方、上記範囲を超える場合には、クラックの発生を抑え切れないことが生じる恐れがある。更には、乾燥塗工量を50g/m以下とすると、カール調整層の塗工ムラが生じにくくなり、安定した厚みのカール調整層を製造できる。
中間層の乾燥塗工量としては、1g/m〜5g/mになるようにするのが好ましい。上記範囲に満たない場合には、最表層とカール調整層の分離が不十分になり、凝集、相分離、増減粘等を生じて連続的な塗布に支障をきたす。一方、上記範囲を超える場合には、被記録媒体の透気性が損なわれることでキャスト性が低下する恐れがある。
この裏面形成用塗工液の乾燥に際しては、樹脂組成物による部分被覆状態を形成する必要から、塗工液中の水分の乾燥に必要な適度な熱量と風量を与えるのが好ましい。過度な加熱乾燥を行なった場合は、エマルジョン粒子どうしの融着が徐々に起こり始め、樹脂組成物により部分被覆された状態から完全被覆された状態になってしまい、透気性を失うため、後述する光沢処理を十分に行なうことが困難になる。したがって、乾燥工程においては、乾燥後の樹脂組成物による被覆状態を確認した上で、部分被覆状態が形成されるように塗工液処方と乾燥条件(乾燥温度、風量、乾燥時間など)を適宜設定するのが良い。
(多層を同時に塗工する装置)
多層を同時に塗工する装置としては、エクストルージョン型塗工装置、スライドビード塗工装置、スライドカーテン塗工装置を使用することができるが、本実施の形態ではスライドビード塗工装置の例で説明する。
図4に示すように、ウエブ12に塗布される複数(例えば3種類)の塗布液14A、14B、14Cは、図示しないそれぞれの塗布液タンクから送液量が可変可能な各送液ポンプによりビード塗布用のスライドビード16内の各マニホールド18、20、22に供給される。マニホールド18、20、22に供給された各塗布液14A、14B、14Cは所定の幅になるように塗布幅方向に拡流された後、スリット状に形成された各スロット24、26、28を通ってスライドビード16上面の下方傾斜したスライド面30に押し出される。スライド面30に押し出された各塗布液14A、14B、14Cは、多層塗布膜状の多層塗布液14となってスライド面30を流下し、スライド面30下端のリップ先端32に達する。リップ先端32に達した多層塗布液14は、リップ先端32と、バックアップローラ34に巻き掛けられて走行するウエブ12面との間隙にビード部36を形成する。このとき、ビード部36を安定化させるため、吸引チャンバ38によりビード部36の下側が減圧される。このビード部36において、ウエブ12はバックアップローラ34の周面に沿って下方から上方に走行する。これにより、ビード部36における多層塗布液14は、ウエブ12面の上に引き上げられる作用を受けて引き伸ばされて薄層化する。この結果、走行するウエブ12面上に薄層化した多層塗布膜Aを形成することができる。ここで、14Aはスライド面30に対して最下層塗布液、14Bは次の層を形成する次層塗布液、14Cは最上層を形成する最上層塗布液である。
さらに、上記塗工方式にて、最上層に使用する水系分散体塗工液と、カール調整層用塗工液を直接接触させたとき、両層に使用するバインダー、顔料、樹脂組成物等の材料によっては凝集、相分離、増減粘等を生じて連続的な塗布に支障をきたすことがある。そこで、カール調整層と樹脂組成物による部分被覆された最上層の間に、どちらの塗工液と接触しても凝集、相分離、増減粘を生じない中間層を塗工することにより、連続塗工における問題を解決ことが可能になり、また、製造工程の安定性の観点に基づくカール調整層、樹脂組成物の材料選択に対する種々の制約をなくすることができる。
(4)光沢処理工程
支持体上にインク受容層を形成した後、キャスト法で、インク受容層の表面に光沢面を形成することができる。その製造方法について説明する。キャスト法とは、湿潤状態、又は可塑性を有している状態にあるインク受容層を、フィルムや加熱された鏡面状のドラム(キャストドラム)面に圧着し、圧着した状態で乾燥し、そのフィルム面や鏡面をインク受容層表面に写し取る方法であり、代表的な方法として、直接法、リウェット法(間接法)、凝固法の3つの方法がある。これらのキャスト法は、何れも、利用できるが、リウェットキャスト法がより好ましい。このリウェットキャスト法を用いることによってインク受容層表面に高光沢性が得られる。また、透気性の高い支持体を用いる場合には、フィルムキャスト法を用いることにより強光沢面が得られる。
表面処理工程における各塗工液の塗工は、適正塗工量が得られるように、例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドビード方式を用いたコーター、サイズプレス等の各種塗工装置を適宜選択して用い、オンマシン、オフマシンで塗工される。塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。
上記インク受容層、カール調製層形成工程における塗工液の塗工装置への供給方法としては、顔料とバインダーなどを、別々のラインからスタティックミキサーなどの連続混合装置を用いて混合し、混合された塗布液はオンライン化された塗工ヘッドに送られ、塗布されることが好ましく用いられる。この供給方法は、塗工・乾燥時にクラック発生を防止するとともに、インク受容層の結着強度を高くするために、塗工液に架橋剤などを添加する場合には、塗工液の調製、送液時に増粘しやすくなるため、特に好ましく用いることができる。ここで言うスタティックミキサーとは、中空円筒状をなすフレームの中にミキシングユニットが収納されて構成されたものである。上記ミキシングユニットは複数のエレメントが長手方向に連接されてなり、1エレメントは板状体を長手方向に進むにしたがって周方向に例えば180度捩ったような形状をなしている。そして、隣り合うエレメントの捩れ方向が互いに逆方向になっている。この場合前記必須の構成成分とする塗工液がフレームの中を流れる間に、各エレメントによって均一に混合されるものである。
また、塗工後の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
先ず、本発明において使用した各種の物性値の測定方法について説明する。
<ステキヒトサイズ度>
被記録媒体をA4サイズに断裁し、その5枚をそれぞれ、気温23℃及び湿度50%の条件下に2時間以上放置し、その後、JIS P8122に準拠して、各1枚毎にステキヒトサイズ度の測定を行い、5枚の平均値として求めた。
<透気度>
上記のステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に放置した後、JIS P8177に準じて各1枚毎に測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<ベック平滑度>
上記のステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に放置した後、JIS P8119に準じて各1枚毎に測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<ガーレー剛度>
上記ステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に放置した後、J.Tappi No.40に準じて各1枚毎に縦目方向の測定を行ない、5枚の値の平均値として求めた。
<水中伸度>
水中伸度の測定は、emco社DDPM動的変位測定モジュールを用いて行った。測定条件は、クランプ式を用いスプリングテンション20gでサンプル幅50mm、水温23℃、浸漬時間は10分間とした。
<BET比表面積、細孔容積>
アルミナ水和物を十分に加熱脱気してから、窒素吸着脱離法を用いた装置(カンタクローム社製、オートソーブ1)で測定した。BET比表面積の計算は、Brunauerらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.,60巻、309、1938年参照)。細孔容積の計算は、Barrettらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.,73巻、373、1951年参照)。
<光沢度>
JIS Z8741に準じて、光沢度計(商品名:VG2000、日本電色工業(株)製)を用いて、20度の鏡面光沢度を測定し、以下の基準に基づいてランク分けした。
ランク基準
A:35以上
B:25以上35未満
C:15以上25未満
D:15未満
[実施例1]
(支持体の作製例1)
先ず、下記のようにして支持体を作製した。濾水度450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80重量部、濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20重量部からなるパルプスラリーに、カチオン化澱粉0.60重量部、重質炭酸カルシウム10重量部、軽質炭酸カルシウム15重量部、アルキルケテンダイマー0.10重量部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03重量部を外添して紙料を調整後、長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、酸化澱粉水溶液を固形分で1.0g/mとなるように含浸し、乾燥後、マシンカレンダー仕上げをし、坪量155g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基紙Aを得た。
次に、上記で得た基紙A上に、以下のようにして下塗り層を形成した。先ず、下塗り層の形成に使用する塗工液として、カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard社製)/酸化亜鉛/水酸化アルミニウムの、重量比65/10/25からなる填量100重量部と、市販のポリアクリル酸系分散剤0.1重量部とからなる固形分濃度70質量%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7重量部を添加して、固形分60質量%になるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/m2になるように、ブレードコーターで、基紙Aの両面に塗工し、乾燥した。その後、マシンカレンダー仕上げをし(線圧150kgf/cm)、坪量185g/m2、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き支持体1を得た。
(支持体の作製例2)
上記支持体の作製例1において得られた基紙A上に、低密度ポリエチレン(70部)と高密度ポリエチレン(20部)と酸化チタン(10部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布し、裏面に高密度ポリエチレン(50部)と低密度ポリエチレン(50部)からなる樹脂組成物を25g/m2塗布してなる樹脂被覆した支持体2を得た。
<被記録媒体の製造例1>
上記で得た支持体1の下塗り層に対して、下記の工程からなる表面処理を行なった。先ず、30℃に加温した下記組成の表面処理液を、エアーナイフコーターでウェット塗工量16g/m(乾燥させた場合の塗工量は0.8g/mである)になるよう、毎分30mで塗工した。
(表面処理液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
次に、インク受容層を形成した。上記の表面処理工程での塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、インク受容層形成用塗工液を塗工し、乾燥してインク受容層を形成した。その際の、インク受容層形成用塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。
アルミナ水和物AとしてDisperal HP13(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が5質量%になるように分散させ、次いで、これに塩酸を加え、pH値を4に調整してしばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、その温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま苛性ソーダによりpH値を10に調整し、10時間攪拌を行ない、その後、分散液の温度を室温に戻し、pH値を7〜8に調整した。更に脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理して、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折により測定したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。又、この時のBET比表面積は143g/m、細孔容積は0.8cm/gであり、電子顕微鏡での観察では、長さが約30nm×約15nmで、厚みが約5〜7nmの平板状であった。
一方、ポリビニルアルコールPVA117(クラレ(株)製)をイオン交換水に溶解して、固形分9質量%の水溶液を得た。そして、上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して22.5質量%の分散液を作製し、そこに3%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50質量%になるように添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサーでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合し、その直後に、これをインク受容層用の塗工液とし、これをダイコーターにて乾燥塗工量が35g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。形成した多孔質性のインク受容層の細孔径分布を測定したところ、細孔径分布のピークは、細孔半径で約9nmであった。また、インク受容層中のバインダー成分であるポリビニルアルコールの塗工量は2.9g/m2であった。
上記で得たインク受容層塗工済み支持体1のインク受容層の反対面の下塗り層に対して、下記の工程からなる表面処理を行なった。先ず、30℃に加温した下記組成の表面処理液を、エアーナイフコーターでウェット塗工量10g/m(乾燥させた場合の塗工量は0.5g/mである)になるよう、毎分30mで塗工した。
(表面処理液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
次に、カール調整層、中間層、最表層をスライドビードコーターにて形成した。上記の表面処理工程での塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、カール調整層形成用塗工液、中間層塗工液、最表層塗工液を同時に塗工し、乾燥してインク受容層の反対面を形成した。その際の、カール調整層形成用塗工液、中間層形成用塗工液、最表層形成用塗工液の調製方法、及び塗工方法等は、以下の通りである。
(カール調整層用塗工液)
上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して20.0質量%の分散液を作製し、一方、ポリビニルアルコールPVA117(クラレ(株)製)をイオン交換水に溶解して、固形分9質量%の水溶液を得た。その後、得られたアルミナ水和物分散液と先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサーでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコールの固形分比が100:13になるように混合し、これをカール調整層用塗工液とした。
(中間層用塗工液)
ポリビニルアルコールPVA117(クラレ(株)製)をイオン交換水に溶解して、固形分3質量%の水溶液を得、これを中間層用塗工液とした。
(最表層層塗工液)
樹脂組成物分散体A−1をイオン交換水で希釈して、固形分30質量%の水溶液を得、これを最表層用塗工液とした。
(塗工方法)
前記スライドビード型コーターにて、支持体のインク受容層と反対面に支持体に近いほうからカール調整層、中間層、最表層の順で、乾燥塗工量がカール調整層は25g/m2、中間層は1g/m2、最表層は10g/mとなるように毎分40mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層の反対面を形成した。
このとき、カール調整層中のバインダー成分であるポリビニルアルコールの塗工量は2.9g/m2であった。このときインク受容層のバインダーの塗工量Cとカール調整層のバインダー量の塗工量Dの比率D/Cは1.0であった。
次に、リウェットキャストコーターにより、上記のように形成した多孔質性インク受容層の表面の光沢処理を行ない、被記録媒体1を得た。
<被記録媒体の製造例2〜8>
被記録媒体の製造例1において、樹脂組成物分散体A−1を表1に示した樹脂組成物分散体に代えた以外は被記録媒体1と同様にして、被記録媒体2〜9を得た。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例10>
上記で得られた支持体2上に、インク受容層形成用塗工液を塗工し、乾燥してインク受容層を形成した。その際の、インク受容層形成用塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。
被記録媒体の製造例1において調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して22.5質量%の分散液を作製し、そこに3%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で2.5質量%になるように添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコールPVA117の固形分9質量%水溶液を、スタティックミキサーでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合し、その直後に、これをインク受容層用の塗工液とし、これをダイコータ−にて乾燥塗工量が35g/m2になるように毎分10mで塗工した。そして、140℃で乾燥してインク受容層を形成し、被記録媒体10を得た。
<被記録媒体の製造例11>
被記録媒体の製造例1において、支持体のインク受容層の反対の面に表面処理を行なわず、カール調整層を設けなかった以外は被記録媒体1と同様にして、被記録媒体11を得た。
[実施例1〜8、比較例1〜3]
上記のようにして得られた被記録媒体1〜11に対して後述の評価を行った結果を表2に示した。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例12〜25>
被記録媒体の製造例1において、樹脂組成物A−1を表3に示した樹脂組成物A及び樹脂組成物Bとの併用に代え、また、樹脂組成物Aと樹脂組成物Bの混合比率を表3に示したようにした以外は被記録媒体1と同様にして、被記録媒体12〜25を得た。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例26〜33>
被記録媒体の製造例1において、樹脂組成物A−1を表4に示した樹脂組成物A及び樹脂組成物Bとの組合せに代え、さらに、樹脂組成物の塗工量を代えた以外は被記録媒体1と同様にして、被記録媒体26〜33を得た。
Figure 2009234080
[実施例9〜30]
上記のようにして得られた被記録媒体12〜33に対して後述の評価を行った結果を表5に示した。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例34〜35>
被記録媒体1において、アルミナ水和物Bの粒径を調整した以外は同様にして、被記録媒体34及び35を得た。得られた被記録媒体34及び35の多孔質性インク受容層の細孔径分布を測定した結果、それぞれ細孔半径で約13〜15nm、約20nmにピークがあることを確認した。
<被記録媒体の製造例36〜37>
被記録媒体5において、アルミナ水和物Bの粒径を調整した以外は同様にして、被記録媒体36及び37を得た。得られた被記録媒体36及び37の多孔質性インク受容層の細孔径分布を測定した結果、それぞれ細孔半径で約13〜15nm、約20nmにピークがあることを確認した。
<被記録媒体の製造例38〜39>
被記録媒体11において、アルミナ水和物Bの粒径を調整した以外は同様にして、被記録媒体38及び39を得た。得られた被記録媒体38及び39の多孔質性インク受容層の細孔径分布を測定した結果、それぞれ細孔半径で約13〜15nm、約20nmにピークがあることを確認した。
<被記録媒体の製造例40〜41>
被記録媒体17において、アルミナ水和物Bの粒径を調整した以外は同様にして、被記録媒体40及び41を得た。得られた被記録媒体40及び41の多孔質性インク受容層の細孔径分布を測定した結果、それぞれ細孔半径で約13〜15nm、約20nmにピークがあることを確認した。
<被記録媒体の製造例42〜43>
被記録媒体9において、アルミナ水和物Bの粒径を調整した以外は同様にして、被記録媒体42及び43を得た。得られた被記録媒体42及び43の多孔質性インク受容層の細孔径分布を測定した結果、それぞれ細孔半径で約13〜15nm、約20nmにピークがあることを確認した。
[実施例31〜38、比較例3〜4]
上記のようにして得られた被記録媒体34〜43に対して後述の評価を行った結果を表6に示した。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例44〜46>
被記録媒体1において、リウェットキャスト条件(搬送テンション、加熱温度、加熱時間、湿潤時間など)を適宜変更し光沢度を調整した以外は同様にして、被記録媒体43〜45を得た。
<被記録媒体の製造例47〜49>
被記録媒体5において、リウェットキャスト条件(搬送テンション、加熱温度、加熱時間、湿潤時間など)を適宜変更し光沢度を調整した以外は同様にして、被記録媒体46〜48を得た。
<被記録媒体の製造例50〜52>
被記録媒体11において、リウェットキャスト条件(搬送テンション、加熱温度、加熱時間、湿潤時間など)を適宜変更し光沢度を調整した以外は同様にして、被記録媒体49〜51を得た。
<被記録媒体の製造例53〜55>
被記録媒体17において、リウェットキャスト条件(搬送テンション、加熱温度、加熱時間、湿潤時間など)を適宜変更し光沢度を調整した以外は同様にして、被記録媒体52〜54を得た。
<被記録媒体の製造例56〜58>
被記録媒体9において、リウェットキャスト条件(搬送テンション、加熱温度、加熱時間、湿潤時間など)を適宜変更し光沢度を調整した以外は同様にして、被記録媒体55〜57を得た。
[実施例39〜50、比較例6〜8]
上記のようにして得られた被記録媒体44〜58に対して後述の評価を行った結果を表7に示した。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例59〜62>
被記録媒体1において、カール調整層のアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコールの固形分比がそれぞれ100:9、100:11、100:15、100:17にした以外は被記録媒体1と同様にして被記録媒体59〜62を得た。インク受容層のバインダーの塗工量とカール調整層のバインダーの塗工量比D/Cはそれぞれ0.7、0.9、1.1、1.3であった。
[実施例51〜54]
上記のようにして得られた被記録媒体59〜62に対して後述の評価を行った結果を表8に示した。
Figure 2009234080
<被記録媒体の製造例63>
被記録媒体1において、中間層にスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを、バインダー固形分に対して20%添加した以外は被記録媒体1と同様にして63からを得た。
<被記録媒体の製造例64>
被記録媒体64において、中間層にアクリル系重合体ラテックスを、バインダー固形分に対して20%添加した以外は被記録媒体1と同様にして64からを得た。
<被記録媒体の製造例65>
被記録媒体1において、中間層にスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを、バインダー固形分に対して40%添加した以外は被記録媒体1と同様にして63からを得た。
<被記録媒体の製造例66>
被記録媒体64において、中間層にアクリル系重合体ラテックスを、バインダー固形分に対して40%添加した以外は被記録媒体1と同様にして64からを得た。
[実施例55〜58]
上記のようにして得られ被記録媒体63〜66に対して、後述の評価をおこなった結果を表9に示した。
Figure 2009234080
<評価方法>
1)アルバムの粘着面に対する易ハンドリング性(耐アルバム剥離性)
下記手順にて、粘着面からの剥離試験を行なった後、下記評価基準に基づいて目視評価した。
評価用のアルバムとしては、フジカラーアニバーサリーフリーアルバム(NF−20L)を使用した。
1.被記録媒体を2.5cm×8cmにカット評価用試験片を作製する。
2.カットした評価用試験片をアルバムの粘着面に置き、人差し指で軽く1回擦る。
3.アルバムのフィルムをかぶせ、空気が入らないように、上下左右の四方から各1回ずつ擦る。
4.5秒間待つ。
5.フィルムを剥がし、試験片を剥がす。
評価基準
A:貼り付くことなく良好に剥離できた。
B:若干の貼り付きが見られたが良好に剥離できた。
C:試験片の一部が少し貼り付いてしまったが、貼り付いてしまった面積が試験片の四分の一未満であった。
D:試験片の四分の一以上の面積にわたって試験片の一部が貼り付いてしまった。
2)耐搬送擦過キズ性
キヤノン(株)製のインクジェットプリンタ990iを用い、マニュアルに沿って、A4サイズに断裁した被記録媒体を10枚積載し、図3に示した搬送擦過キズ評価画像を、プロフェッショナルフォトペーパーモード(デフォルト設定)にて、10枚連続印字を行ない、画像先端部分の搬送擦過キズを下記の評価基準に基づき目視評価した。
評価基準
A:擦り跡が見られず良好。
B:若干もやがかかったような擦り跡が見られるが許容可能なレベル。
C:線状の擦過キズが若干見られるが許容可能なレベル。
D:もやがかかったような擦り跡が見られる。
E:線状の擦過キズが見られる。
3)裏面の粉落ち
JIS−L0849に定められた学振型摩擦試験機II型(テスター産業社製)を用いて評価した。350gの重りをのせた試験機の摩擦子に黒のラシャ紙を装着し、振動台に試料片を印字面が上になるようにセットして20回擦り合わせた後、ラシャ紙の擦り合わせた部分とそれ以外の部分との黒の反射濃度をそれぞれX−Rite社製310TRで測定し、その濃度差から、黒の濃度残存率を下式に従って求め、下記評価基準に基づいて評価した。
評価基準
A:残存率が95%以上。
B:残存率が90%以上95%未満。
C:残存率が80%以上90%未満。
D:残存率が60%以上80%未満。
E:残存率が60%未満。
残存率(%)=[1−{(試験部以外の濃度−試験部の濃度)/試験部以外の濃度}]×100
4)環境カール防止性
封が可能なポリエチレン製の袋にA4サイズに断裁した被記録媒体を3枚ずつ入れ、30℃/80%RHと15℃/10%RHの環境下に24時間以上放置しなじませたあと、放置した環境下で袋から被記録媒体を印字面を上にして取り出し、30分間同じ環境下で被記録媒体を印字面を上にして放置し、30分経過した後に、3枚の被記録媒体の4隅の水平面からの高さを測定し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:30℃/80%RH、15℃/10%RHの両環境で、30分後のカール量が5mm未満
B:30℃/80%RH、15℃/10%RHのどちらか一方の環境で、30分後のカール量が5mm以上10mm未満
C:30℃/80%RH、15℃/10%RHのどちらか一方の環境で、30分後のカール量が10mm以上15mm未満
D:30℃/80%RH、15℃/10%RHのどちらか一方の環境で、30分後のカール量が15mm以上
樹脂組成物による部分被覆状態の一例 互いに相溶しない樹脂組成物A及び樹脂組成物Bによる部分被覆状態の一例 搬送擦過キズ評価画像 スライドビード型塗布装置

Claims (10)

  1. 透気性支持体上の一方の面(A面)が、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層、および少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、かつ、該カール調整層と該最表層の間に少なくとも1層の中間層を有することを特徴とする被記録媒体。
  2. 前記被記録媒体の透気度が、6000秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体。
  3. 前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物からなり、かつ、該樹脂組成物Aはワックスであり、さらに、該樹脂組成物Bは該樹脂組成物Aと互いに相溶しない樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被記録媒体。
  4. 前記多孔質性のカール調整層が、少なくとも顔料とバインダーからなり、かつ、前記多孔質性のインク受容層のバインダーの乾燥塗工量をCg/m、該多孔質性のカール調整層のバインダーの乾燥塗工量をDg/mとしたときに、D/Cが0.7〜1.3であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被記録媒体。
  5. 透気性支持体上の一方の面(A面)が、少なくとも最表面に多孔質性のインク受容層を有し、かつ、他方の面(B面)が、少なくとも1層の多孔質性のカール調整層、および少なくとも1種以上の樹脂組成物により部分被覆された最表層を有し、かつ、該カール調整層と該最表層の間に少なくとも1層の中間層を有する被記録媒体の製造方法であって、前記最表層、中間層、およびカール調整層を同時に塗工することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
  6. 前記被記録媒体の透気度が、6000秒以下であることを特徴とする請求項5に記載の被記録媒体の製造方法。
  7. 前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含む2種以上の樹脂組成物からなり、かつ、該樹脂組成物Aはワックスであり、さらに、該樹脂組成物Bは該樹脂組成物Aと互いに相溶しない樹脂組成物であることを特徴とする請求項5又は6に記載の被記録媒体の製造方法。
  8. 前記多孔質性のカール調整層が、少なくとも顔料とバインダーからなり、かつ、前記多孔質性のインク受容層のバインダーの乾燥塗工量をCg/m、該多孔質性のカール調整層のバインダーの乾燥塗工量をDg/mとしたときに、D/Cが0.7〜1.3であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  9. 少なくとも顔料とバインダーとを含む多孔質層形成用塗工液を、透気性支持体上の一方の面(A面)に塗工することにより前記インク受容層を形成する工程と、互いに相溶しない樹脂組成物Aと樹脂組成物Bとを少なくとも含む2種以上の樹脂組成物を含む最表層塗工液と、中間層用塗工液と、カール調整層用塗工液とを前記透気性支持体の他方の面(B面)に同時に塗工する工程と、前記インク受容層を光沢処理する工程とを有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  10. 前記光沢処理する工程がリウェットキャスト法によることを特徴とする請求項9に記載の被記録媒体の製造方法。
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