JP2007327796A - 表面検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡明且つ低廉な装置構成でスループットの高い検査が可能な表面検査装置を提供する。
【解決手段】表面検査装置1は、繰り返しパターンが形成された被検基板10に直線偏光の照明光を照射する照明光学系30と、被検基板10により反射された反射光による像を撮像する撮像手段44と、被検基板10と撮像手段44との間に設けられた偏光素子43と、前記照明光の偏光軸方向と偏光素子43の偏光軸方向とのなす角度を第1の角度および第2の角度に設定する設定手段45と、前記第1の角度において撮像手段44で撮像された第1画像および前記第2の角度において撮像手段44で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部52と、前記第3画像を表示する画像表示部60とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査装置に関する。
半導体の微細化が進むにつれて、露光装置のNA(開口数)が高くなり、これに伴ってフォーカスやドーズ等の露光条件を厳しく管理する必要が増大している。従来においては、露光後のレジストパターンにおけるフォーカスエラー、ドーズエラー、または膜厚エラーによる欠陥をパターンエッジラフネス検査技術で検査している(例えば、特許文献1を参照)。
国際公開第05/040776号パンフレット
しかしながら、上述の検査技術で検査を行うと、照明系の直線偏光軸と撮像系の直線偏光軸が直交したクロスニコルの状態で撮像するため、撮像素子に検出される光量(光量変化)が少なく、高感度撮像素子を用いたり長時間画像取得を行ったりする必要があった。このため高感度撮像素子を用いる場合には装置価格が増大し、長時間画像取得を行う場合にはスループットが低下するという問題があった。また、少ない検出光量においてさらに微弱な変化量を求めるため非常にダイナミックレンジの高い撮像光学系を用いる場合は、装置コストが増大するという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、簡明且つ低廉な装置構成でスループットの高い検査が可能な表面検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の表面検査装置は、繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、前記被検基板により反射された反射光による像を撮像する撮像手段と、前記被検基板と前記撮像手段との間に設けられた偏光素子と、前記照明光の偏光軸方向と前記偏光素子の偏光軸方向とのなす角度を第1の角度および第2の角度に設定する設定手段と、前記第1の角度において前記撮像手段で撮像された第1画像および前記第2の角度において前記撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、前記第3画像を表示する画像表示部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の表面検査装置は、繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、前記被検基板により反射された反射光による像を撮像する撮像手段と、前記被検基板と前記撮像手段との間に設けられた偏光素子と、前記照明光の偏光軸方向と前記偏光素子の偏光軸方向とのなす角度を第1の角度および第2の角度に設定する設定手段と、前記第1の角度において前記撮像手段で撮像された第1画像および前記第2の角度において前記撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、前記第3画像により、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の表面検査装置は、繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、前記被検基板により反射された反射光を、互いに直交する偏光成分の第1偏光成分および第2偏光成分に分離する偏光ビームスプリッタと、前記第1偏光成分の光による像を撮像する第1撮像手段と、前記第2偏光成分の光による像を撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段で撮像された第1画像および前記第2撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、前記第3画像を表示する画像表示部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の表面検査装置は、繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、前記被検基板により反射された反射光を、互いに直交する偏光成分の第1偏光成分および第2偏光成分に分離する偏光ビームスプリッタと、前記第1偏光成分の光による像を撮像する第1撮像手段と、前記第2偏光成分の光による像を撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段で撮像された第1画像および前記第2撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、前記第3画像により、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、簡明且つ低廉な装置構成でスループットの高い検査が可能な表面検査装置を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に本発明の表面検査装置の一実施形態として、半導体ウェハ10を被検基板とし、基板表面の欠陥を検査する表面検査装置1の概要構成図を示しており、この図を参照しながら表面検査装置1について説明する。表面検査装置1は、被検基板である半導体ウェハ10を支持するアライメントステージ20と、照明光学系30と、撮像光学系40と、画像処理装置50とを主体に構成される。表面検査装置1は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面の検査を自動的に行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光・現像後、不図示の搬送系により、不図示のウェハカセットまたは現像装置から運ばれ、アライメントステージ20に吸着保持される。
ウェハ10の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域11がノッチ(またはオリエンテーションフラット)10nを基準としてXY方向の所定の座標位置に配列され、各チップ領域の中に所定の繰り返しパターン12が形成されている。ここで、ウェハ表面に形成される繰り返しパターン(フォトレジストパターン)は、実際には種々の配線ラインが縦横に形成されるパターンとなるが、本実施形態では、図3に拡大図を示すように、基板表面方向(Z方向)に凸のライン部2Aと、凹のスペース部2Bとが、ラインの短手方向(X方向)に一定のピッチPで交互に繰り返される「ライン・アンド・スペース」の繰り返しパターンについて説明する。
また、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2とする。従って、設計値通りに繰り返しパターン12が形成された場合には、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBとが等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1になる。一方、繰り返しパターン12を形成する際の露光フォーカスが適正値から外れると、繰り返しパターンのピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅DAが設計値と異なるとともに、スペース部2Bの線幅DBとも異なり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。
本実施形態の表面検査装置1は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化を利用して、繰り返しパターン12の欠陥検査を行うものであり、説明を簡単にするため、ライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2(ライン部2Aとスペース部2Bとの理想的な体積比を1:1)にしている。体積比の変化は、露光フォーカスの適正値からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域ごとに現れる。なお、体積比をライン直交方向の断面形状における面積比と言い換えることもできる。
アライメントステージ20は、円盤状のステージ上面にウェハ10を支持し、例えば真空吸着等の固定手段によってステージ上面に支持したウェハ10を保持可能になっている。アライメントステージ20には、ステージ上面の中心における法線A1を中心軸として回転させるステージ回転機構が設けられており、この回転機構によってステージ上に保持したウェハ10を、ウェハ10の表面内で回転させることができる。
またアライメントステージ20には、詳細図示省略するが、ウェハ10に形成されたノッチ(またはオリエンテーションフラット)10nを検出してウェハ10の回転面内の角度位置を検出するアライメント系が設けられており、ステージ回転機構は上記アライメント系において検出されたノッチまたはオリエンテーションフラットを基準として、ウェハ10を所定の角度位置に設定可能に構成されている。これにより、ウェハ表面に形成された繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、後述する照明光の入射面A2に対して任意に設定することができ、例えば45度の角度に傾けて設定することができる。なお、アライメントステージ20は、上面が水平面でありウェハ10を常に水平な状態に保つことができる。
照明光学系30は、照明光を出射するランプハウス31と、ランプハウス31から出射された照明光を平行光にする第1楕円鏡34と、ランプハウス31と第1楕円鏡34との間に配設された第1偏光板32および第1位相板33とを有した偏光光学系であり、アライメントステージ20に保持されたウェハ10に直線偏光した照明光L1を照射するように構成される。
ランプハウス31は、光源と波長選択フィルタとを備え所定波長の光を出射する。本発明の表面検査装置1は、後に欠陥検出の原理を詳細に説明するように、回折光を利用する構成ではない。このため、光源は繰り返しパターン12のピッチPに対して十分に波長の長い光源を用いることができ、例えばメタルハライドランプや水銀ランプ等のような安価な放電光源を用いることができる。波長選択フィルタは、光源が発生したスペクトル幅を持った光のうち所定波長の輝線スペクトルを選択的に透過させる。
第1偏光板32は、ランプハウス31から出射された光のうち偏光軸に沿った成分の光を透過させて照明光を直線偏光にする偏光板であり、その偏光軸(透過軸)が所定の方位に設定され、ランプハウス31から出射された光を所定方位の直線偏光にして第1楕円鏡34に照射する。なお、第1位相板33は、第1偏光板32と第1楕円鏡34との間の空間に挿抜可能に配設されており、第1楕円鏡34で反射する光が複屈折により乱れることを補正するために用いられる。第1楕円鏡34は、ランプハウス31から出射された光を平行光束にしてウェハ10を照明する。
照明光L1の進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光の主光線の進行軸方向)は、第1楕円鏡34の光軸O1に略平行である。光軸O1は、アライメントステージ20の中心を通り、アライメントステージ20の法線A1に対して所定の角度αだけ傾けられている。ちなみに、照明光L1の進行方向を含み、アライメントステージ20の法線A1に平行な平面が、直線偏光の入射面である。図4における入射面A2は、ウェハ10の中心における入射面である。
本実施形態では、直線偏光がp偏光である。つまり、図5(a)に示すように、直線偏光である照明光L1の進行方向と電気(または磁気)ベクトルの振動方向とを含む平面(直線偏光L1の振動面)が、直線偏光L1の入射面A2内に含まれる。直線偏光L1の振動面は、ランプハウス31と第1楕円鏡34との間に配設された第1偏光板32の透過軸により規定される。
すなわち、照明光学系30において、ランプハウス31からの光は、第1偏光板32および第1楕円鏡34を介し、p偏光の直線偏光L1としてウェハ10の表面全体に入射する。ウェハ10の各点における直線偏光L1の入射角度は、平行光束のため互いに同じであり、光軸O1と法線A1とのなす角度αに相当する。
本実施形態では、ウェハ10に入射する直線偏光L1がp偏光であるため、図4に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が直線偏光L1の入射面A2(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。
言い換えると、直線偏光L1は、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図6におけるVの方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射する。
このような直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は、ウェハ10の表面全体において均一である。なお、45度を135度,225度,315度のいずれかに言い換えても、直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は同じである。また、直線偏光の偏光軸の方向(振動面の方向(図6に付記したV方向))と繰り返し方向(X方向)とのなす角度を45度に設定するのは、繰り返しパターン12の欠陥検査の感度を最も高くするためである。
そして、上記の直線偏光L1を用いて繰り返しパターン12を照明すると、繰り返しパターン12から正反射方向に反射光L2が発生し、この反射光L2は次述する構造性複屈折により楕円偏光となる(図1および図5(b)を参照)。この場合、反射光L2の進行方向(ウェハ10表面上の任意の点から反射する楕円偏光の主光線の進行軸方向)が正反射方向に一致する。正反射方向とは、直線偏光L1の入射面A2内に含まれ、アライメントステージ20の法線A1に対して角度α(直線偏光L1の入射角度αに等しい角度)だけ傾いた方向である。なお、前述した通り、繰り返しパターン12のピッチPが照明波長と比較して長いため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはない。
ここで、直線偏光L1が繰り返しパターン12での反射により楕円化し、繰り返しパターン12から楕円偏光L2が発生する理由について簡単に説明する。直線偏光L1が繰り返しパターン12に入射すると、振動面の方向(図6のV方向)が図7に示す2つの偏光成分VX,VYに分かれる。一方の偏光成分VXは繰り返し方向に平行な(X方向の)成分であり、他方の偏光成分VYは繰り返し方向に垂直な(Y方向の)成分である。そして、ウェハ表面で反射したときに、これら2つの偏光成分VX,VYは、それぞれ独立に異なる振幅変化と位相変化とを受ける。振幅変化と位相変化が異なるのは、繰り返しパターン12の異方性に起因して複素反射率(すなわち複素数の振幅反射率)が異なるからであり、構造性複屈折(form birefringence)と呼ばれる。その結果、2つの偏光成分VX,VYの反射光は互いに振幅と位相が異なり、これらの合成による反射光L2が楕円偏光となる(図5(b)を参照)。
また、本実施形態のように、ウェハ10の表面に対して直線偏光した入射光L1を斜めに入射させる場合、繰り返しパターン12から発生する楕円偏光L2は、進行方向を軸として僅かに回転する。このような楕円偏光L2の回転角を、図5(b)に示すようにとり、φとする。
繰り返しパターン12の異方性に起因する楕円化の程度は、図5(a)に示す直線偏光L1の振動面に垂直な偏光成分L3(図5(c)を参照)と考えることができる。そして、この偏光成分L3の大きさは、繰り返しパターン12の材質および形状と、図6の振動面の方向(V方向)と繰り返し方向(X方向)とがなす角度に依存する。このため、V方向とX方向とのなす角度を一定の値(本実施形態では45度)に保つ場合、繰り返しパターン12の材質が一定であっても、繰り返しパターン12の形状が変化すると、楕円化の程度(偏光成分L3の大きさ)が変化することになる。
図3に示すように、繰り返しパターン12は、ライン部2Aとスペース部2BとをX方向に沿って交互に配列した凹凸形状を有し、適正なドーズおよび露光フォーカスで設計値通りに形成されると、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBが等しく、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1となる。そして、横軸にライン部2Aの線幅とスペース部2Bの線幅との体積比をとり、縦軸に偏光成分L3の大きさをとったときの両者の関係を図8に示すように、繰り返しパターン12が上記のような理想的な形状の場合に偏光成分L3の大きさが最も大きくなる。一方、露出フォーカスが適正値から外れると、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBとが異なり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。このとき、偏光成分L3の大きさは理想的な場合と比較して小さくなる。
このように、直線偏光L1を用いて、図6の振動面の方向(V方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して45度だけ傾いた状態で、繰り返しパターン12を照明すると、正反射方向に反射して生じた楕円偏光L2は、その楕円化の程度(図5(c)における偏光成分L3の大きさ)が、繰り返しパターン12の形状(ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比)に応じたものとなる。楕円偏光L2の進行方向は、直線偏光L1の入射面A2内に含まれ、アライメントステージ20の法線A1に対して角度αだけ傾いている。
撮像光学系40は、図1に示すように、ウェハ基板からの反射光を集束させる第2楕円鏡41と、第2楕円鏡41により集束された反射光の像を撮像する撮像カメラ44と、第2楕円鏡41と撮像カメラ44との間に配設された第2位相板42および第2偏光板43とを有して構成された偏心光学系であり、ウェハ10により反射された反射光を撮像カメラに集光するように構成される。
第2楕円鏡41は、照明光学系30の第1楕円鏡34と同様の反射鏡であり、その光軸O2が、アライメントステージ20の中心を通り、かつ、アライメントステージ20の法線A1に対して角度αだけ傾くように配設されている。したがって、繰り返しパターン12からの楕円偏光した反射光L2は、第2楕円鏡41の光軸O2に沿って進み、撮像カメラ44の撮像面に集光される。
第2偏光板43は、第1偏光板32と同様の直線偏光板であり、この第2偏光板43に入射する集束光の光軸廻りに回動可能に配設されている。本実施形態において、第2偏光板43は撮像系偏光方位設定機構45により回転駆動され、任意の角度位置に設定可能になっている。すなわち、直線偏光された照明光の偏光軸方向(図5(a)における直線偏光L1の波面の振動方向)に対して、第2偏光板43の偏光軸(透過軸)のなす相対角度を任意に設定可能な構成になっている。この照明光の偏光軸方向に対する第2偏光板43の偏光軸方向のなす相対角度をθと表記する。
たとえば、相対角度θを0度としたときに、楕円偏光した反射光L2の全光量のうち、直線偏光L1の偏光軸と同一方向の偏光成分が第2偏光板43を透過し、相対角度θを90度(クロスニコルの状態)としたときに直線偏光L1の偏光軸と直交方向の偏光成分(既述したL3に相当する成分)が第2偏光板43を透過する。同様に、相対角度θを45度に設定すると、楕円偏光した反射光L2の全光量のうち、当該方位角方向の偏光成分が第2偏光板43を透過する。このように、相対角度θを設定したときに第2偏光板43を透過した偏光成分L4が撮像カメラ44の撮像面に集光される。その結果、撮像カメラ44の撮像面には、偏光成分L4によるウェハ10の反射像が形成される。なお、第2位相板42は、第2楕円鏡41と第2偏光板43との間の空間に挿抜可能に配設されており、第2楕円鏡41による反射光の乱れを補正するために用いられる。
撮像カメラ44は、例えばCCD撮像素子を有するCCDカメラであり、撮像面に形成されたウェハ10の反射像を光電変換して、画像データを画像処理装置50の画像記憶部51に出力する。画像データはウェハ10表面に対応したXY座標の位置信号と、各座標位置における明暗の輝度信号として出力される。ウェハ10の反射像の明暗は、偏光成分L4の光強度に略比例し、繰り返しパターン12の形状(ライン部2Aとスペース部2Bの体積比)に応じて変化する。なお、ウェハ表面の明暗画像は、繰り返しパターン12が形成された各ショット領域ごとに現れる。
撮像カメラ44による撮影は、次述するシステム制御部55により制御され、システム制御部55は、前述した撮像系偏光方位設定機構45に指令信号を出力して、照明光の偏光軸方向に対する第2偏光板43の偏光軸方向のなす相対角度θを第1の角度条件θ1に設定し、当該第1の角度条件θ1における画像データである第1画像を撮像させる。また撮像系偏光方位設定機構45に指令信号を出力して相対角度θを第2の角度条件θ2に設定し、当該第2の角度条件θ2における画像データである第2画像を撮像させる。
画像処理装置50は、上記のようにして撮像カメラ44により撮影された第1画像および第2画像を記憶する画像記憶部51と、画像記憶部51に記憶された第1画像および第2画像から第3画像を算出する演算処理部52と、演算処理部において算出された第3画像に所定の画像処理を行って繰り返しパターンの欠陥を検出する画像処理部53と、画像処理部による画像処理の結果を出力する画像出力部54と、これらの作動を統括的に制御するシステム制御部55とを有して構成される。
画像記憶部51には、第1の角度条件θ1において撮影された第1画像、第2の角度条件θ2において撮影された第2画像の各画像データが記憶される。また、比較のため、良品ウェハ(不図示)を同様の角度条件で撮影した第1基準画像、第2基準画像およびこれらの基準画像を演算処理した第3基準画像が予め記憶されている。
演算処理部52は、画像記憶部51に記憶された第1画像と第2画像に基づいて第1画像の輝度値と第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理を行う。すなわち、ウェハ10により反射された反射光のウェハ面内の強度分布は、その元となる照明光のウェハ面に対する強度分布(照明光の均一性)や、被検ウェハ固有のウェハ面内における反射率分布等によって変化する。一方、ライン部2Aとスペース部2Bの体積比のズレに応じて変化する偏光成分L3の光量変化は微少量であり、反射光のウェハ面内における強度分布の影響を受けやすい。そこで、本実施形態の表面検査装置1では、演算処理部52において第1画像と第2画像から照明光の不均一性や反射率分布の影響を除去した第3画像を算出する。この演算処理は、第1画像と第2画像により、一方の画像の輝度値を他方の画像の輝度値で割り算することにより第3画像を算出することにより行う。なお、この演算処理の具体的内容について、以降説明する本実施形態の光学原理において詳述する。
画像処理部53は、演算処理部52において算出された第3画像と、画像記憶部51に記憶されていた第3基準画像とを比較する。そして、ウェハ10の反射画像における明るい箇所の輝度値の低下量(図8中に付記する低下量Δ)に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥を検出する。たとえば、輝度値の低下量が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断すればよい。そして、画像処理部53による輝度情報の比較結果および当該被検ウェハ10の第3画像が画像出力部54から出力され、液晶表示パネルやCRT等の表示装置60に表示される。
なお、画像処理装置50においては、上述のように、画像記憶部51に良品ウェハの反射画像を予め記憶しておく構成の他、ウェハ10のショット領域の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておく構成でもよい。この場合、ショット領域の配列データに基づいて、取り込まれたウェハ10の反射画像中における各ショット領域の位置が分かるので、各ショット領域の輝度値を求める。そして、その輝度値と記憶されている閾値とを比較することにより、パターンの欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域を「欠陥」と判断すればよい。
このような構成の表面検査装置1において、照明光の偏光軸方向に対して第2偏光板43の偏光軸方向のなす相対角度θを90度に設定した場合が、特許文献1として記載した当出願人に係る表面検査装置の構成に相当する。この場合、ウェハ10での反射による楕円偏光L2の回転角(見かけの偏光回転角)をφとしたときに、撮像カメラ44に到達する光の光量(光強度)はcos2(θ+φ)=cos2(90°+φ)=sin2φに比例する。偏光面の回転は被検ウェハの繰り返しパターン12によって生じるものであり、フォトレジストの厚さや露光時のフォーカスまたはドーズにより敏感に変化する。しかしながら、回転角φが小さな値であることから結果として撮像カメラ44に到達する光量は非常に小さいものとなる。従って、相対角度θ=90度の画像のみで欠陥を検出するためには、高感度の撮像カメラを用いたり、長時間撮影を行ったりする必要があることに加え、高い照明の均一性が必要であった。
表面検査装置1は、以下の光学的な原理を用いて構成される。これまで既述したと同様に、照明光の偏光軸方向に対して第2偏光板43の偏光軸方向のなす相対角度をθ、ウェハ10での反射による偏光面の回転角をφとしたときに、ウェハでの反射において回転を受けた光の光量、および回転を受けない光の光量の各一般式は、次の(1)式および(2)式のように表すことができる。
回転を受けた光の光量I=cos2(θ+φ) …(1)
回転を受けない光の光量I=cos2(θ) …(2)
従って、反射により偏光面が回転を受けたときの光量変化ΔIは、
光量変化ΔI=cos2(θ+φ)−cos2(θ) …(3)
光量変化ΔIの大きさは、まずθ=90°の場合には、
光量変化ΔI=cos2(90°+φ)−cos2(90°)
=cos2(90°+φ)
=sin2φ …(4)
この(4)式が、従来の場合である。
θ=45°の場合には、
光量変化ΔI=cos2(45°+φ)−cos2(45°)
=(cos45°・cosφ−sin45°・sinφ)2−cos245°
=1/2(cosφ−sinφ)2−1/2
=1/2(cos2φ−2cosφ・sinφ+sin2φ)−1/2
=−cosφ・sinφ …(5)
ここで、回転角φは微少量であるので、cosφは≒1となり(5)式は(6)式のように表すことができる。
光量変化ΔI=−cosφ・sinφ≒−sinφ …(6)
従って、回転角φが小さい場合には、θ=90度の場合よりも、明らかにθ=45°の場合の方が光量変化が大きくなる。
θ=0度の場合には
光量変化ΔI=cos2(0°+φ)−cos2(0°)
=(cos0°・cosφ−sin0°・sinφ)2−1
=cos2φ−1 …(7)
回転角φは微少量であるので、cosφは≒1となり、光量変化は極めて微少量となる。
横軸に相対角度θ、縦軸に光量をとり、回転を受けた光の光量Iおよび光量変化ΔIについて、φをパラメータとして変化させたときのグラフを図9に示す。図中に重ねて示す複数の特性線は、それぞれが所定の大きさ(図9において0°〜8°)の特性線であり、例えばφ=0の場合には光量IはI=cos2(θ)の余弦波、光量変化ΔIはΔI=0(すなわち横軸に沿った直線)になる。この図から分かるように、θ=45°,135°,225°,315°のとき、光量変化ΔIは最大となる。また、θ=45°,135°,225°,315°は、θの方向の取り方があるので、全てθ=45°とすることができる。
そして、図9から、相対角度θ=0°、±45°、±90°は特異点であり、この設定角度で撮像された画像には以下の特徴がある。
θ=±90°:回転角φによる光量変化ΔIの絶対値は小さいが、バックグランド(L1方向の偏光成分)がゼロになってL3方向の偏光成分のみが検出され、相対的には最もS/N比の高い画像が得られる。但し光量I(画像輝度)は照明強度とウェハ反射率に比例し不均一分布の影響を受ける。
θ=±45°:回転角φによる光量変化ΔIの絶対値は最大になるが、バックグランドがゼロにならない。また光量Iは照明強度とウェハ反射率に比例し、その大きさと分布の影響を敏感に受ける。従って、外乱ノイズには強いが高い照明均一性を必要とする。
θ=0°:回転角φによる光量変化ΔIは殆ど無い。光量Iが最大(バックグランドが全量透過)となり、照明均一性とウェハ反射率を表す画像となる。θ=180°の場合も同様である。
本実施形態における第1実施例の表面検査装置では、システム制御部55に、第1画像を取得する第1の角度条件として相対角度θ1=90°、第2画像を取得する第2の角度条件として相対角度θ2=0°が設定されている。
システム制御部55は、撮像系偏光方位設定機構45に指令信号を出力し、照明光の偏光軸方向に対する第2偏光板43の偏光軸方向のなす相対角度θが、第1の角度条件θ1になるように第2偏光板43を設定し、当該角度条件θ1において撮像カメラ44に第1画像を撮像させて、その画像データを画像記憶部51に記憶させる。また撮像系偏光方位設定機構45に指令信号を出力して相対角度θを第2の角度条件θ2に設定し、当該角度条件θ2で撮像カメラ44に第2画像を撮像させて、その画像データを画像記憶部51に記憶させる。
第1画像及び第2画像が画像記憶部51に記憶されると、システム制御部55は、演算処理部52に指令信号を出力し、画像記憶部51に記憶された第1画像と第2画像とから第3画像を算出する演算処理を実行させる。演算処理部52では、第1画像および第2画像の画像データ(ウェハ10表面に対応したXY座標の位置信号と、各座標位置における明暗の輝度信号)から、ウェハ10の同一座標位置における輝度信号について、次の(8)式に示す演算処理を行い、各座標位置について輝度係数からなる第3画像を算出する。
第3画像=(第1画像)÷(第2画像) …(8)
この演算処理の物理的な意義は、第1の角度条件θ1(θ=90°)において高いS/N比の第1画像を取得する一方で、第2の角度条件θ2(θ=0°)において照明の均一性とウェハ反射率を最も反映した第2画像を撮像し、同一のXY座標位置について第1画像の輝度信号値を第2画像の輝度信号値で除して第3画像を算出することにより、ウェハ面内における照明の不均一性やウェハ表面の反射率分布の影響を除去(規格化処理)し、偏光面の回転角φのみに関係した画像を創出するということである。
演算処理部52において第3画像が算出されると、システム制御部55は画像処理部53に指令信号を出力し、各ショット領域における繰り返しパターン12の欠陥検出処理を行わせる。画像処理部53における欠陥検出の画像処理は、演算処理部52において算出された第3画像と、画像記憶部51に良品ウェハの基準データとして記憶されていた第3基準画像とを比較する。そして、ウェハ面内で規格化された光量変化ΔIが、予め定められた閾値(許容値)よりも大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断する。
そして、画像出力部54から当該被検ウェハ10の第3画像および画像処理部53による比較結果が出力され、図示省略する液晶表示パネルやCRT等の表示装置60にこれらの情報が表示される。例えば、表示された第3画像中に、欠陥と判定された領域が×印を付して表示され、あるいは該当する領域が赤色に着色されて表示される。また必要に応じて画像出力部54に接続されたプリンタ等に処理情報を印刷させることやネットワークを通じて他の装置に処理情報を伝送することができる。ウェハ10の欠陥検査を行う検査員は、表示装置60に表示された処理情報、あるいプリンタ等により印刷された処理情報を確認することで、ウェハ10の欠陥を各ショット領域ごとに検知することができる。
次に、本実施形態における第2実施例の表面検査装置では、システム制御部55に、第1画像を取得する第1の角度条件として相対角度θ1=45°、第2画像を取得する第2の角度条件として相対角度θ2=0°が設定されている。
システム制御部55は、撮像系偏光方位設定機構45に指令信号を出力して相対角度θが第1の角度条件θ1になるように第2偏光板43を設定し、当該角度条件θ1において撮像カメラ44に第1画像を撮像させて、その画像データを画像記憶部51に記憶させる。同様に相対角度θを第2の角度条件θ2に設定し、当該角度条件θ2で撮像カメラ44に第2画像を撮像させて、その画像データを画像記憶部51に記憶させる。
演算処理部52では、システム制御部55からの指令信号に基づき、第1画像および第2画像の画像データから、ウェハ10の同一座標位置における輝度信号について、前述した(8)式に示す演算処理を行い、各座標位置について輝度係数からなる第3画像を算出する。
本実施例における演算処理の物理的な意義は、第1の角度条件θ1(θ=45°)において外乱ノイズに強い第1画像を取得する一方で、第2の角度条件θ2(θ=0°)において照明の均一性とウェハ反射率を最も反映した第2画像を撮像し、同一のXY座標位置について第1画像の輝度信号値を第2画像の輝度信号値で除して第3画像を算出することにより、ウェハ面内における照明の不均一性やウェハ表面の反射率分布の影響を除去(規格化処理)し、偏光面の回転角φのみに関係した画像を創出するということである。
演算処理部52において第3画像が算出された後の処理は前述した実施例と同様であり、システム制御部55は画像処理部53において繰り返しパターン12の欠陥検出処理を行わせ、画像処理部53では、演算処理部52において算出された第3画像と、画像記憶部51に良品ウェハの基準データとして記憶されていた第3基準画像とを比較して、ウェハ面内で規格化された光量変化ΔIが、予め定められた閾値(許容値)よりも大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断する。
被検ウェハ10の第3画像および画像処理部53による比較結果は画像出力部54から出力され、表示装置60にこれらの情報が表示される。また必要に応じて画像出力部54に接続されたプリンタ等に処理情報を印刷させることやネットワークを通じて他の装置に処理情報を伝送することができる。ウェハ10の欠陥検査を行う検査員は、表示装置60に表示された処理情報、あるいプリンタ等により印刷された処理情報を確認することで、ウェハ10の欠陥を各ショット領域ごとに検知することができる。
本実施形態における第3実施例の表面検査装置では、システム制御部55に、第1画像を取得する第1の角度条件として相対角度θ1=θc、第2画像を取得する第2の角度条件として相対角度θ2=−θcが設定されている。
システム制御部55は、撮像系偏光方位設定機構45に指令信号を出力して相対角度θが第1の角度条件θ1=θcになるように第2偏光板43を設定し、当該角度条件θ1において撮像カメラ44に第1画像を撮像させて、その画像データを画像記憶部51に記憶させる。同様に相対角度θを第2の角度条件θ2=−θcに設定し、当該角度条件θ2で撮像カメラ44に第2画像を撮像させて、その画像データを画像記憶部51に記憶させる。
演算処理部52では、システム制御部55からの指令信号に基づいて、第1画像および第2画像の画像データから、ウェハ10の同一座標位置における輝度信号について、次の(9)式に示す演算処理を行い、各座標位置について輝度係数からなる第3画像を算出する。
第3画像={(第1画像)−(第2画像)}÷{(第1画像)+(第2画像)}…(9)
本実施例における演算処理の物理的な意義について考察すると、まず、第1の角度条件θ1=θcと、第2の角度条件θ2=−θcとは、図9においてθ=0°を挟んで回転角が正・逆方向の画像データである。同図および光量に関する一般解(1)式から明らかなように、光量Iは基本的に余弦波の特性を有し、θ=0°の軸を挟んで略対称なともに同符号の値である。一方、光量変化ΔIは図9、(4)式および(6)式等からも明らかなように正弦波の特性を有し、θ=0°の軸を挟んで略対称な逆符号の値である。
例えば、θcの代表例として例示されるθ1=45°と、θ2=−45°について図9を参照すると、光量Iは、ともに輝度が最大値の1/2程度の正符号の信号であり、光量変化ΔIは符号が正負逆であるが変化量の絶対値が最大の信号である。このため、{(第1画像)−(第2画像)}/2は、バックグランドを差し引いた光量変化ΔIの大きさ、すなわち相対角度θ=90°の画像を意味し、{(第1画像)+(第2画像)}/2は光量変化ΔIを打ち消した光量Iの大きさ、すなわち相対角度θ=0°の画像を意味する。
従って、本実施例の演算処理の物理的な意義は、既述した第1実施例の物理的意義と同様となるが、{(第1画像)−(第2画像)}/2の演算処理により高いS/N比の画像を算出し、これを{(第1画像)+(第2画像)}/2の演算処理により算出した照明の均一性とウェハ反射率を最も反映した画像で除して第3画像を算出することにより、ウェハ面内における照明の不均一性やウェハ表面の反射率分布の影響を除去(規格化処理)して、偏光面の回転角φのみに関係した画像を創出するということである。
一方、本実施例では、第1の角度条件θ1(θ=45°)および第2の角度条件θ2(θ=−45°)おいて、ともに外乱ノイズに強い明るい条件下で第1画像および第2画像を取得している。従ってこのような構成形態によれば、高額な高感度カメラを用いることなく、比較的短時間で欠陥情報を抽出することができる。
演算処理部52において第3画像が算出された後の処理は前述した通りであり、システム制御部55は画像処理部53において繰り返しパターン12の欠陥検出処理を行わせ、画像処理部53では、演算処理部52において算出された第3画像と、画像記憶部51に良品ウェハの基準データとして記憶されていた第3基準画像とを比較して、ウェハ面内で規格化された光量変化ΔIが、予め定められた閾値(許容値)よりも大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断する。
システム制御部55は、被検ウェハ10の第3画像および画像処理部53による比較結果を画像出力部54から出力させ、表示装置60にこれらの情報が表示される。また必要に応じて画像出力部54に接続されたプリンタ等に処理情報を印刷させることやネットワークを通じて他の装置に処理情報を伝送することができる。ウェハ10の欠陥検査を行う検査員は、表示装置60に表示された処理情報、あるいプリンタ等により印刷された処理情報を確認することで、ウェハ10の欠陥を各ショット領域ごとに検知することができる。
従って、以上説明した実施形態の表面検査装置1によれば、第1画像および第2画像から被検基板により反射された照明光の不均一性や反射率分布の影響を除去する演算処理が行われる構成のため、高額な高感度カメラを用いたり、長時間撮影が必要になったり、高い照明の均一性を要求されたりすることがなく、簡明且つ低廉な装置構成で高スループットの表面検査装置を提供することができる。
さて、以上説明した実施形態においては、撮像光学系40における第2偏光板43を集束光の光軸廻りに回動可能に配設し、この第2偏光板43を撮像系偏光方位設定機構45により回転駆動して既述した所定の相対角度θに設定する構成を説明した。しかし、これまでの説明からも明らかなように、角度θは直線偏光された照明光の偏光軸方向と第2偏光板43の偏光軸方向のなす相対角度であり、第2偏光板43を所定角度位置に保持し第1偏光板32を回転させて相対角度θに設定しても良い。
すなわち、図1に二点鎖線で付記するように、照明光学系30における第1偏光板32をランプハウス31からの出射光の光軸廻りに回動可能に配設するとともに、第1偏光板43を回転駆動する照明系偏光方位設定機構35を設け、システム制御装置55により作動を制御して既述した所定の相対角度θに設定する構成とすることができ、同様の効果を奏することができる。なお、この場合、照明光の偏光軸方向が回転することとなるが、これと同期してアライメントステージ20の回転機構を作動制御することで、既述した表面検査装置と同様の第1画像および第2画像を撮像することができる。
また以上では、画像処理装置50に、画像記憶部51と、演算処理部52と、演算処理部において算出された第3画像に所定の画像処理を行って繰り返しパターンの欠陥を検出する画像処理部53と、画像処理部による画像処理の結果を出力する画像出力部54と、これらの作動を統括的に制御するシステム制御部55とを設けた構成例を示したが、画像処理部53を設けることなく第3画像を直接表示装置60に表示させるように構成しても良い。
本実施形態における第3画像は、第1画像および第2画像から被検基板により反射された照明光の不均一性や反射率分布の影響を除去する演算処理(規格化処理)が行われた画像であり、偏光面の回転角φのみに関係した明暗画像が表示される。従って、基板検査を行う検査員は表示装置60に表示された第3画像を見て像の暗いショット領域を欠陥とする目視検査を行うことができ、必要に応じて基準第3画像と比較することにより検査精度を向上させることができる。
次に、撮像光学系40における撮像部の他の実施形態を図10に示しており、この図を参照して本実施形態の撮像光学系140について説明する。なお、撮像光学系以外の表面検査装置の他の構成部分(アライメントステージ20、照明光学系30等)は、既述した表面検査装置1と同様であり、また撮像光学系40における第2偏光板43および撮像カメラ44を除く他の構成部分(第2楕円鏡41、第2位相板42等)も同一であるため、これらについての重複説明を省略し、構成が相違する撮像部分について説明する。
この撮像光学系140における撮像部は、第2楕円鏡41からの反射光を直交する二方向の第1偏光成分(例えば図示する実施例において透過光)および第2偏光成分(同様、反射光)に分離する偏光ビームスプリッタ143と、偏光ビームスプリッタにより分離された偏光成分のうち第1偏光成分の像を撮像する第1撮像カメラ144aおよび第2偏光成分の像を撮像する第2撮像カメラ144bと、照明光の偏光軸方向に対して偏光ビームスプリッタの偏光軸方向のなす相対角度を設定する撮像方位設定手段とを備えて構成される。
例示する偏光ビームスプリッタ143は、いわゆるプリズムタイプの偏光ビームスプリッタであり、反射面に直交する面内に振動面を有する偏光成分を透過し、これと直交する面内に振動面を有する偏光成分を反射する。すなわち、第1偏光成分と第2偏光成分とは互いに直交する偏光成分であり、偏光ビームスプリッタ143に入射したウェハ10からの反射光を相互に直交する第1偏光成分と第2偏光成分とに分離して、各成分の画像をそれぞれ第1撮像カメラ144aと第2撮像カメラに入射させる。
撮像方位設定機構145は、偏光ビームスプリッタ143をこの偏光ビームスプリッタに入射する集束光の光軸廻りに回転駆動し、任意の角度位置に設定可能に構成されている。すなわち、偏光ビームスプリッタ143を集束光の光軸廻りに回転させることは、第1撮像カメラ144aについてみると、前述した撮像光学系50において第2偏光板43を回転させることと等価であり、第2撮像カメラ144bに撮像される画像は第1撮像カメラに撮影される偏光成分の画像と直交方向の偏光成分の画像となる。
従って、偏光ビームスプリッタ143における第1偏光成分の偏光軸方向を照明光の偏光軸方向に対して相対角度θに設定したときに、第1撮像カメラ144aに撮影される画像は、その相対角度θの設定に応じて、既述した第1画像または第2画像と同じ画像データとなる。また上記相対角度θに設定した状態で第2撮像カメラ144bに撮影される画像は、既述した撮像光学系において相対角をθ+90°に設定した画像と同じ画像データになる。
そこで、本実施形態における撮像光学系140では、システム制御部55が撮像方位設定機構145に指令信号を出力して第1偏光成分の偏光軸方向を照明光の偏光軸方向に対して相対角度θに設定し、このとき第1撮像カメラ144aに撮影される画像を第1画像、第2撮像カメラ144bに撮影される画像を第2画像としてそれぞれ画像記憶部51に記憶させ、演算処理部52において第1画像と第2画像とから照明光の不均一性や反射率分布の影響を除去する演算処理(規格化処理)を行って第3画像を算出する。
例えば、上記θ=90°としたときに、第1撮像カメラ144aに撮影される第1画像は、既述した第1の角度条件θ1=90°の画像となり、第2撮像カメラ144bに撮影される第2画像はθ=180°、すなわち図9から明らかなように、既述したθ2=0°の画像と同一になる。
そして、演算処理部52において、ウェハ10の同一座標位置における輝度信号について、前述した(8)式に示す演算処理、すなわち第3画像=(第1画像)÷(第2画像)の演算を行い、各座標位置について輝度係数からなる第3画像を算出する。
この第3画像の物理的意義は既述したとおりであり、回転角φのみに関係した画像を創出することができる。そして前述したと同様の画像処理等を行うことにより、検査担当者は容易に欠陥を検知することができる。
また、本実施形態における他の実施例として、θを−45°に設定する。このとき第1の角度条件θ1=−45°、第2の角度条件θ2=45°であり、演算処理部52において前述した(9)式に示す演算処理、すなわち、第3画像={(第1画像)−(第2画像)}÷{(第1画像)+(第2画像)}の演算を行い、各座標位置について輝度係数からなる第3画像を算出する。
本実施例における第3画像の物理的意義も既述の通りであり、回転角φのみに関係した画像を創出することができる。そして前述したと同様の画像処理等を行うことにより、検査担当者は容易に欠陥を検知することができる。
そして、本実施形態の撮像光学系140を備えた表面検査装置によれば、第1撮像カメラ144aおよび第2撮像カメラ144bにおいて同時に画像取得するため、検査時間を短縮することができ、さらにスループットを向上させた検査装置を得ることができる。
なお、以上説明した各実施形態においては、撮像カメラ(44,144a,144b)が、ウェハ10の表面全体の像を一括撮像するようにした構成例を示したが、本発明はこれ限られるものではない。例えば、図11に表面検査装置の他の構成形態を示すように、偏光顕微鏡72によるウェハ10表面の一部の拡大像を顕微鏡用撮像カメラ73により撮像し、その画像または撮像した顕微鏡画像10Aを合成してウェハ表面全体の合成画像74を表示するようにしてもよい。このようにすれば、上述の実施形態と同様の効果を得ることができるのに加え、時間がかかるが、より細かい場所毎の欠陥検査を行うことが可能になる。
なお、図11に示す第1の変形例に係る表面検査装置70では、ウェハ10が顕微鏡用アライメントステージ71に保持される。また、顕微鏡用撮像カメラ73による顕微鏡画像10Aは、顕微鏡用撮像カメラ73から画像処理装置50の画像記憶部51に取り込まれる。そして、上述の実施形態と同様にして、画像処理部52がウェハ10における繰り返しパターン12の欠陥を検出し、検出結果およびウェハ表面全体の合成画像74が画像出力部54で出力表示される。また、図11に示す表面検査装置70において、照明光学系は既述した実施形態と同じ構成であり、詳細な説明および図示を省略する。
また、上述の実施形態において、直線偏光L1がp偏光である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、p偏光ではなくs偏光にしてもよい。s偏光とは、振動面が入射面に垂直な直線偏光である。このため、図4に示すように、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が、s偏光である直線偏光L1の入射面A2に対して45の角度に設定された場合、ウェハ10の表面におけるs偏光の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。なお、p偏光は、繰り返しパターン12のライン部2Aのエッジ形状に拘わる欠陥情報を取得するのに有利である。また、s偏光は、ウェハ10の表面の欠陥情報を効率よく捉えて、SN比を向上させるのに有利である。
さらに、p偏光やs偏光に限らず、振動面が入射面に対して任意の傾きを持つような直線偏光でも構わない。この場合、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)を直線偏光L1の入射面に対して45度以外の角度に設定し、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度を、45度に設定することが好ましい。
また、上述の実施形態では、ランプハウス31に内蔵された超高圧水銀灯の光と第1偏光板32を利用して、直線偏光L1を作り出すように構成されているが、これに限られるものではなく、直線偏光出力のレーザ装置を光源として使用すれば、第1偏光板32は必要ない。
さらに、上述の実施形態において、第1および第2位相板33,42の効果について説明を省略したが、第1および第2楕円鏡34,41等における光の複屈折をキャンセルするために位相板を用いた方がよいことは言うまでもない。
本発明の実施形態に係る表面検査装置の全体構成を示す図である。 半導体ウェハの表面の外観図である。 繰り返しパターンの凹凸構造を説明する斜視図である。 直線偏光の入射面と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。 直線偏光と楕円偏光の振動方向を説明する図である。 直線偏光の振動面の方向と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。 直線偏光の振動面の方向が繰り返し方向に平行な偏光成分と垂直な偏光成分とに分かれる様子を説明する図である。 偏光成分の大きさと繰り返しパターンのライン部の線幅との関係を説明する図である。 第1偏光板の透過軸に対する第2偏光板の透過軸の方位と光量変化との関係を説明する図である。 撮像光学系の他の実施形態を示す概要構成図である。 表面検査装置の他の実施形態を例示する概要構成図である。
符号の説明
1 表面検査装置
10 ウェハ(被検基板) 12 繰り返しパターン
20 アライメントステージ 30 照明光学系
35 照明系偏光方位設定機構(設定手段)
40 撮像光学系 43 第2偏光板(偏光素子)
44 撮像カメラ(撮像手段)
45 撮像系偏光方位設定機構(設定手段)
50 画像処理装置 51 画像記憶部
52 演算処理部 53 画像処理部
54 画像出力部(画像出力手段) 60 表示装置(画像表示部)
70 表面検査装置(他の実施形態) 71 顕微鏡用アライメントステージ
72 偏光顕微鏡(偏光素子) 73 顕微鏡用撮像カメラ(撮像手段)
140 撮像光学系(他の実施形態) 143 偏光ビームスプリッタ
144a 第1撮像カメラ(第1撮像手段) 144b 第2撮像カメラ(第2撮像手段)
145 撮像方位設定機構(撮像方位設定手段)
L1 照明光 L2 反射光

Claims (13)

  1. 繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、
    前記被検基板により反射された反射光による像を撮像する撮像手段と、
    前記被検基板と前記撮像手段との間に設けられた偏光素子と、
    前記照明光の偏光軸方向と前記偏光素子の偏光軸方向とのなす角度を第1の角度および第2の角度に設定する設定手段と、
    前記第1の角度において前記撮像手段で撮像された第1画像および前記第2の角度において前記撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、
    前記第3画像を表示する画像表示部と
    を備えたことを特徴とする表面検査装置。
  2. 繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、
    前記被検基板により反射された反射光による像を撮像する撮像手段と、
    前記被検基板と前記撮像手段との間に設けられた偏光素子と、
    前記照明光の偏光軸方向と前記偏光素子の偏光軸方向とのなす角度を第1の角度および第2の角度に設定する設定手段と、
    前記第1の角度において前記撮像手段で撮像された第1画像および前記第2の角度において前記撮像手段で撮像された第2画像とに基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、
    前記第3画像により、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段と
    を備えたことを特徴とする表面検査装置。
  3. 前記設定手段は、前記照明光の偏光軸方向を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面検査装置。
  4. 前記設定手段は、前記偏光素子の偏光軸方向を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面検査装置。
  5. 前記第1の角度は略90度であり、前記第2の角度は略0度であり、
    前記演算処理部は、第2画像の輝度値で第1画像の輝度値を割算することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面検査装置。
  6. 前記第1の角度は略45度であり、前記第2の角度は略0度であり、
    前記演算処理部は、第2画像の輝度値で第1画像の輝度値を割算することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表面検査装置。
  7. 前記第1の角度はθであり、前記第2の角度は−θであり、
    前記演算処理部は、前記第1画像と前記第2画像の輝度値の差に基づいた値を、前記第1画像と前記第2画像の輝度値の和に基づいた値で割算することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面検査装置。
  8. 前記θが略45度であることを特徴とする請求項7に記載の表面検査装置。
  9. 繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、
    前記被検基板により反射された反射光を、互いに直交する偏光成分の第1偏光成分および第2偏光成分に分離する偏光ビームスプリッタと、
    前記第1偏光成分の光による像を撮像する第1撮像手段と、
    前記第2偏光成分の光による像を撮像する第2撮像手段と、
    前記第1撮像手段で撮像された第1画像および前記第2撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、
    前記第3画像を表示する画像表示部と
    を備えたことを特徴とする表面検査装置。
  10. 繰り返しパターンが形成された被検基板に直線偏光の照明光を照射する照明光学系と、
    前記被検基板により反射された反射光を、互いに直交する偏光成分の第1偏光成分および第2偏光成分に分離する偏光ビームスプリッタと、
    前記第1偏光成分の光による像を撮像する第1撮像手段と、
    前記第2偏光成分の光による像を撮像する第2撮像手段と、
    前記第1撮像手段で撮像された第1画像および前記第2撮像手段で撮像された第2画像に基づいて、前記第1画像の輝度値と前記第2画像の輝度値とを演算処理して第3画像を生成する演算処理部と、
    前記第3画像により、前記繰り返しパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段と
    を備えたことを特徴とする表面検査装置。
  11. 前記照明光の偏光軸方向と前記偏光ビームスプリッタの偏光軸方向とのなす相対角度を設定する設定手段を備え、前記角度は、前記照明光の偏光軸方向と前記第2偏光成分とがなす角度が略0度となるように設定され、
    前記演算処理部は、第2画像の輝度値で第1画像の輝度値を割算することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の表面検査装置。
  12. 前記照明光の偏光軸方向と前記偏光ビームスプリッタの偏光軸方向とのなす相対角度を設定する設定手段を備え、前記角度は、前記照明光の偏光軸方向と前記第1偏光成分とがなす角度が略45度、前記照明光の偏光軸方向と前記第2偏光成分とがなす角度が略−45度となるように設定され、
    前記演算処理部は、前記第1画像と前記第2画像の輝度値の差に基づいた値を、前記第1画像と前記第2画像の輝度値の和に基づいた値で割算することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の表面検査装置。
  13. 前記被検基板を保持する保持手段を備え、前記保持手段は、前記照明光の偏光軸に対して前記繰り返しパターンの繰り返し方向のなす基板方位角を設定可能であり、前記基板方位角が略45度に設定されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の表面検査装置。
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