JP2007327082A - 曲げ加工性に優れたキャップ用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 PPキャップに適したキャップ用Al合金板として、曲げ加工性に優れていて、そのため塗膜密着性が良好で、さらには耳率も低くて印刷文字の曲がりが生じにくく、しかも表面品質も良好なものを提供する。
【解決手段】 Mg1.5〜2.1%、Fe0.1〜0.3%、Mn0.1%以下、Si0.05〜0.25%を含有し、残部実質的にAlよりなり、抗張力170〜200MPa、45°耳率2%以下のキャップ用Al合金板。またその製造方法として、熱間圧延終了温度を280℃以下に規制して、熱間圧延上りの組織を完全非再結晶状態とし、圧延率70〜85%で冷間圧延を施した後、400〜550℃×2分以内の中間焼鈍、圧延率25〜50%の仕上げ冷間圧延を行ない、その後安定化処理を行なう。
【選択図】 なし

Description

この発明は、広口用PP(pilfer proof)キャップなどに適したキャップ用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
近年、ボトル缶等のアルミニウム合金製キャップとして、一旦開栓した後に再度封止可能であって、しかも一度開栓したことが容易に識別できるようにしたPPキャップが広く用いられるようになっている。この種のPPキャップの製造方法としては、一般には塗装および文字印刷を施したアルミニウム合金板を、カップ状に絞り成形した後、開口端をトリミングし、さらに開栓を容易にするために裾部にミシン目を入れ、胴部にネジ溝を形成して製造するのが通常である。このようなPPキャップにおいては、前述のミシン目を、印刷文字をまたいで形成しておくことによって、一旦開栓した後には開栓履歴の有無を容易に識別できるようにするのが通常である。
ところでこの種のPPキャップ用のアルミニウム合金としては、従来は一般に成形性に優れたJIS A1100合金やA3105合金が用いられているが、最近では、缶の広口化の要請に伴なって、天面強度の低下を補うために高強度のAl−Mg系合金が使用され始めている。このようなPPキャップ用の高強度Al−Mg系合金としては、例えば特許文献1、特許文献2、あるいは特許文献3に示されるようなものが提案されている。一方、比較的低強度のキャップ用Al−Mg系合金として、本発明者等は既に特許文献4に示すものを提案している。
特開2004−353079号公報 特開2004−353080号公報 特開2003−328062号公報 特開2006−45638号公報
特許文献1のキャップ用アルミニウム合金板は、引張強さ215〜270MPaもの高強度を有し、また特許文献2のキャップ用アルミニウム合金板は、同じく引張強さ215〜265MPaもの高強度を有するものであるが、このように素材を高強度化させた場合、天面強度の向上には有効であるものの、材料の曲げ加工性が低下し、絞り加工後のネジ加工部の如く、厳しい加工が加わる箇所において塗膜の密着性が低下してしまう問題が生じる。そしてこのように塗膜の密着性が低下すれば、塗膜の剥離によってPPキャップにおいて大切な開栓履歴の識別機能が損なわれてしまうおそれがあり、したがってPPキャップにおいては、曲げ加工性が優れていて塗膜の密着性が良好であることが強く望まれる。しかしながらこのような要望を、特許文献1、特許文献2のキャップ用アルミニウム合金板では充分に満たすことができなかったのである。
また特許文献3のキャップ用Al−Mg系合金板も、特許文献1、2と同様に、曲げ加工性について充分な配慮がなされていないため、前記と同様な塗膜密着性低下の問題があるほか、その製造方法として、熱間圧延板を再結晶組織とするために、熱間圧延を高温度化する必要があり、そのため表面品質にも問題が生じやすかった。
さらに特許文献4のキャップ用アルミニウム合金板は、板の引張強さが実施例で179〜201MPaと、比較的低強度を狙ったものであるが、その製造方法としては、熱間圧延上り板の再結晶率を80%以上とするため、特許文献3の場合と同様に表面品質に問題が生じやすいほか、耳率についても充分な配慮がなされていなかった。すなわち、キャップ用アルミニウム合金板の耳率が高い場合には、カップ状に絞り加工を行なう際に、予め印刷してある文字に曲がりが生じてしまうおそれが強く、そのためキャップとして外観品質に劣ってしまう問題が生じるが、この点について特許文献4のキャップ用アルミニウム合金では積極的な配慮がなされておらず、そのためキャップの印刷文字の曲がりを確実かつ安定して防止することは困難であった。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、主として広口PPキャップに使用されるアルミニウム合金板として、曲げ加工性に優れていて、その結果厳しい加工が加えられる部分の塗膜密着性も優れており、しかも表面品質にも優れており、さらには耳率が良好で印刷文字の曲がりも生じにくい、また開栓性も良好なキャップ用アルミニウム合金板を提供することを課題とするものである。
本発明者等は前述の課題を解決するべく鋭意実験・検討を重ねた結果、熱間圧延の終了温度を適切に規制して、熱間圧延上りで完全非再結晶組織の熱間圧延板を得るようにし、さらにその後の冷間圧延、中間焼鈍、仕上げ冷間圧延の条件を適切に規制し、これにより適切な強度、適切な耳率を有するアルミニウム合金板を得ることによって、PPキャップ用アルミニウム合金板として前述の課題を解決し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、請求項1のキャップ用アルミニウム合金板は、Mg1.5〜2.1%、Fe0.1〜0.3%、Mn0.1%以下、Si0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ抗張力170〜200MPaの範囲内でしかも45°耳率が2%以下であることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の曲げ加工性に優れたキャップ用アルミニウム合金板の製造方法は、Mg1.5〜2.1%、Fe0.1〜0.3%、Mn0.1%以下、Si0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金の鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延を行なうにあたり、熱間圧延終了温度を280℃以下に規制して、熱間圧延上りの熱間圧延板の組織を完全非再結晶状態とし、次いで熱間圧延板に圧延率70〜85%で冷間圧延を施した後、400〜550℃の温度で2分以内の中間焼鈍を行ない、さらに圧延率25〜50%で仕上げ冷間圧延を行ない、その後安定化処理を行ない、これにより抗張力が170〜200MPaの範囲内でしかも45°耳率が2%以下のアルミニウム合金板を得ることを特徴とするものである。
この発明によるキャップ用アルミニウム合金板は、曲げ加工性に優れているため、絞り成形後のネジ加工部の如く、厳しい加工が施される部分でも塗膜の密着性が劣ることがなく、そのためPPキャップとして使用した場合でも、塗膜の剥離により開栓履歴識別機能が損なわれてしまうことがなく、また耳率が良好で印刷文字の曲がりを引起すことも防止でき、さらには表面品質に優れており、また強度が過剰に高過ぎないためキャップとして開栓性も良好であり、したがってキャップ用、特にPPキャップ用として好適に使用することができる。
先ずこの発明におけるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について説明する。
Mg:
Mgは、キャップ用のAl−Mg系アルミニウム合金として必要な強度を付与するために不可欠な元素である。Mg量が1.5%未満では強度付与の効果が充分に得られず、一方Mg量が2.1%を越えれば、強度が高くなり過ぎて、キャップとして開栓が困難となるおそれがある。そこでMg量は1.5〜2.1%の範囲内とした。
Fe:
Feは、晶出物を形成してキャップとしての開栓性の改善に寄与する。Fe量が0.1%未満ではその効果が充分に得られず、開栓性が悪くなってしまうおそれがある。一方Fe量が0.3%を越えれば、45°方向の耳(45°耳率)が高くなり、印刷文字の曲がりが生じてしまうおそれがある。そこでFe量は0.1〜0.3%の範囲内とした。
Mn:
Mnは強度向上に寄与する元素であるが、Mn量が0.1%を越えれば、45°耳が高くなって、印刷文字の曲がりを引起すおそれがあり、そこでMn量は0.1%以下に規制することとした。
Si:
Siも晶出物を形成して、キャップとしての開栓性の向上に寄与する。Si量が0.05%未満では開栓性向上の効果が充分に得られず、一方Si量が0.25%を越えれば、45°耳が発生して印刷文字の曲がりを招くおそれがある。そこでSi量は0.05〜0.25%の範囲内とした。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良いが、通常のAl合金において添加されることが多いTi、B、あるいはCr、V、Zr、Cu、Zn等の元素も、特性に大きな影響を与えない範囲内で含有することは許容される。例えば鋳造時の微細化剤として添加されることが多いTi、Bは、それぞれ0.05%以下、0.01%以下であれば許容され、また強度上昇に効果があるとされるCr、V、Zrはそれぞれ0.1%以下、Cuは0.25%以下、Znは1.0%以下であれば許容される。
さらにこの発明のキャップ用アルミニウム合金板においては、製品板の抗張力(引張強さ)が170〜200MPaの範囲内であることが必要である。製品板の抗張力が170MPa未満では、キャップの天面強度が不充分となって、広口用PPキャップとして不適当となる。一方、製品板の抗張力が200MPaを越えれば、開栓性が悪くなるばかりでなく、曲げ加工性が低下するため、ネジ加工部の如く厳しい加工が加わる部分において塗膜が剥離してしまうおそれがあるなど、塗膜の密着性の問題が生じる。そこでこの発明では、広口用PPキャップとして必要な天面強度を維持しつつ、開栓性の向上を図るばかりではなく、特に曲げ加工性、ひいては塗膜の密着性を向上させることを重視して、製品板の抗張力を170〜200MPaの範囲内に規制することとしたのである。
そしてまたこの発明のキャップ用アルミニウム合金板では、製品板における45°方向の耳率(45°耳)を2%以下とする必要がある。45°耳が2%を越えれば、キャップとして印刷文字の曲がりを引起すおそれがある。なおここで、45°耳について2%以下と規定したのは、たとえ全体として耳率が2%以下であっても、0−180°耳が強くなれば、印刷文字の曲がりが生じてしまうおそれがあるからである。
次にこの発明のキャップ用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
先ず前述のような成分組成のアルミニウム合金を、DC鋳造法などの常法にしたがって鋳造し、得られた鋳塊に対して均質化処理を施す。均質化処理の条件については特に限定しないが、鋳造偏析解消のため450℃以上(通常は550℃以下)の温度で、1時間以上(通常は12時間以内)保持する条件で行なうことが好適である。
均質化処理後には熱間圧延を施すが、この熱間圧延は、均質化処理後、冷却することなく直ちに開始しても、あるいは均質化処理後に再加熱して行なっても良い。この熱間圧延は、熱間圧延上りの状態(通常はコイルに巻取って室温放置により冷却した状態)で、完全に非再結晶組織となるように行なうことが重要である。そのためこの発明の方法では、熱間圧延終了温度を280℃以下の低温とする必要がある。
熱間圧延終了温度が280℃を越えれば、熱間圧延終了板を完全非再結晶状態とすることが困難となり、そのため後述するように製品板の耳として、強い0−180°耳傾向となってキャップとしての印刷文字の曲がりを引起すおそれが強くなる。また、熱間圧延終了温度を280℃以下の低温とすることによって、表面品質の優れた製品板を容易に得ることが可能となる。なお表面品質の向上の点のみからすれば、熱間圧延終了温度が330℃以下でも充分であるが、280℃以下とすることによって、より確実に表面品質の向上を図ることが可能となり、また330℃近くの熱間圧延終了温度では完全非再結晶組織を得ることが困難となるから、この発明では熱間圧延終了温度を280℃以下と規定した。
ここで、熱間圧延終了板を完全非再結晶状態とする必要性、およびそのために必要な熱間圧延条件についてさらに詳細に説明する。
熱間圧延終了板に再結晶部分が混在すれば、その後の中間焼鈍時において過度に立方体方位(キューブ方位)が発達して、製品板の0−180°耳が強くなり、その結果キャップに加工した時に印刷文字の曲がりを引き起こしてしまう。そのため、熱間圧延終了板の段階で完全非再結晶組織が得られるように制御することとした。
熱間圧延から巻取り、冷却の過程で再結晶状態に最も大きな影響を与えるのは熱間圧延の終了温度であり、これを280℃以下に規制することによって、完全非再結晶組織を得ることができる。熱間圧延は、一般に熱間粗圧延と熱間仕上げ圧延とを組合せて実施するのが通常であり、そのうち熱間仕上げ圧延の各パスでの温度や圧下率の条件も再結晶状態にある程度の影響を与えるが、タンデム式の熱間仕上げ圧延機を用いた通常の熱間仕上げ圧延工程で、一般的な圧下率条件である85%以上の総圧下率で仕上げ圧延を施した場合、その終了温度が280℃以下であれば確実に完全非再結晶組織を得ることが可能となる。
前述のようにして熱間圧延を終了した後には、圧延率70〜85%で冷間圧延(一次冷間圧延)を施し、中間板厚とする。ここで、一次冷間圧延の圧延率が70%未満では、その後に行なう中間焼鈍時において立方体方位が発達しすぎて、製品板の0−180°耳が強くなってしまう。一方、一次冷間圧延の圧延率が85%を越えれば、逆に中間焼鈍時における立方体方位の発達が不充分となって、製品板に強い45°耳が生じて、45°耳率2.0%以下の値を達成することが困難となってしまう。したがって製品板の耳を適切に制御するためには、一次冷間圧延率を70〜85%の範囲内に規制する必要がある。
一次冷間圧延後には、400〜550℃の範囲内の温度で2分以内の条件で中間焼鈍を施す。このような高温短時間の中間焼鈍は、連続焼鈍炉を用いて行なうのが通常である。中間焼鈍の温度が400℃未満では、連続焼鈍炉による焼鈍で再結晶状態とすることが困難であって、その場合製品板の強度が異常に高くなり、そのため開栓性が悪化するとともに、曲げ加工性が著しく悪くなって塗膜密着性が劣ってしまい、さらには中間焼鈍によって発達させるべき立方体方位が充分に発達しないため、製品板の45°耳が強くなってしまうおそれもある。一方、中間焼鈍の温度が550℃を越えるかまたは保持時間が2分を越えれば、再結晶粒が粗大化して、成形後に肌荒れが生じるおそれがあり、またこのような再結晶粒の粗大化に伴なって立方体方位が強くなり過ぎて、製品板の0−180°耳が強くなり、キャップとして印刷文字の曲がりが発生してしまうおそれがある。
中間焼鈍の後には、最終製品板厚まで仕上げ冷間圧延(最終冷間圧延)を施す。この仕上げ冷間圧延は、圧延率が25〜50%の範囲内で行なう必要がある。仕上げ冷間圧延の圧延率が25%未満では、製品板の強度が不足するとともに、中間焼鈍で発達させた立方体方位に見合うだけの45°耳成分である圧延集合組織を発達させることができず、その結果、製品板の0−180°耳、90−270°耳が高くなってしまう。一方仕上げ冷間圧延の圧延率が50%を越えれば、製品板の強度が高くなり過ぎて、曲げ加工性が低下してしまい、また圧延集合組織が発達し過ぎて、45°耳が強くなり、キャップとして印刷文字の曲がりが発生してしまう。
以上のようにして仕上げ冷間圧延により最終板厚とした圧延板に対しては、安定化処理を行なう。この安定化処理は、従来から一般的にAl−Mg系合金板について行なっている処理と同様の条件で行なえば良く、特に限定されるものではないが、通常は140〜250℃程度で0.5〜6時間の加熱とすれば良い。
以上のように、熱間圧延終了温度を280℃以下の低温に規制して熱間圧延上がりで完全非再結晶組織を得、さらにその後の一次冷間圧延、中間焼鈍、仕上げ冷間圧延の各条件を適切に規制することによって、曲げ加工性、ひいては塗膜密着性が良好で、しかも耳率が低くて印刷文字の曲がりが生じにくく、さらには表面品質も良好であり、また強度も適切な程度であって広口用PPキャップとして必要な天面強度を確保できると同時に開栓性も損なわれないキャップ用アルミニウム合金板を得ることが可能となったのである。
以下この発明の実施例を説明する。
表1の合金符号A〜Iに示す各成分組成の合金を常法により溶解鋳造して、厚さ500mmのスラブ(板状鋳塊)を得た。得られた鋳塊に対し、500℃×4hrの均質化処理を施した後、表2の製造番号No.1〜No.18に示す条件で熱間圧延、一次冷間圧延、中間焼鈍、仕上げ冷間圧延(最終冷間圧延)を行ない、さらに安定化処理(仕上げ焼鈍)を行なった。ここで、熱間圧延については、粗圧延をシングルのリバース式圧延機により、開始温度470℃で行ない、仕上げ圧延を4スタンドのタンデム式圧延機で行なった。また中間焼鈍には連続式焼鈍炉(CAL)を用いた。さらに仕上げ焼鈍には、箱型焼鈍炉(バッチ炉)を用い、220℃×2hrの条件で行なった。なお最終板厚は0.25mmとした。
以上のような製造プロセス中において、熱間圧延後に巻取って室温まで冷却した熱間圧延板からサンプルを切出し、熱間圧延板の再結晶率を調べるとともに、熱間圧延板の表面品質を調べたので、その結果を表3中に示した。ここで、熱間圧延板の再結晶率は、横断面について研磨後にバーカー法で写真撮影を行い、全板厚中に再結晶部分の占める割合を測定した。
また前述のようにして得られた製品板について、引張試験を行なって抗張力を調べるとともに、耳率を測定し、その結果を表3中に示した。引張試験および耳率の測定方法は次の通りである。
引張試験:
JIS5号試験片を使用して圧延方向と平行方向で引張試験を実施した。
耳率:
パンチ径33mm、パンチ肩R1.5mm、ブランク径57mm、しわ押さえ250kgfでカップ成形し、次式を用いて計算した。
耳率=(山平均−谷平均)/カップ平均高さ×100(%)
なお0°、90°位置と45°位置を比較して0°、90°位置が高い場合をマイナス、45°位置が高い場合をプラスで表記した。なおここで、45°耳率は2.0%以下である必要があり、また0−90°耳が高い場合(マイナス耳)も許容されない。
さらに、前述のようにして得られた製品板の曲げ加工性を調べるとともに、製品板に塗装処理を施して、プレス、ロール成形により直径38mmφのキャップを作製した後、外観観察を行なって成形上の問題がないか確認した後、容器に巻き締めて、その開栓トルクを測定したので、それらの結果を表3中に示す。
これらの曲げ加工性、キャップ外観品質、開栓トルクの測定方法、評価方法は次の通りである。
曲げ加工性:
素板を圧延方向と平行に折り目がつくように2T曲げを行った後の素板表面状態を観察した。くびれやクラックが生じていないものを○、くびれや微小なクラックが生じているものを×とした。
外観観察:
特に問題がないものを○、肌荒れやフローマークが生じたものは×とした。
開栓トルク:
38mmφのキャップのブリッジ幅(開栓時に切れる部分の幅)を1mmとした条件下で、16kgf・cm以下を○、これを越えた場合を×とした。
Figure 2007327082
Figure 2007327082
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表3から明らかなように製造番号No.1〜No.4の本発明範囲内のものは、全ての特性が良好であることが確認された。
これに対し、合金成分組成がこの発明で規定する範囲を外れた製造番号No.5〜No.9の比較例、および製造プロセス条件がこの発明の条件範囲を外れた製造番号No.10〜No.18の比較例では、各種の要求特性のうち、少なくとも一つ以上の特性が劣っていることが判明した。
すなわち、先ず製造番号No.5は、合金のSi量が過多のため、最終板の45°方向の耳率が高く、印刷文字の曲がりを引起すことが判明した。また製造番号No.6はFe量が過多のため、最終板の45°方向の耳率が高く、印刷文字の曲がりを引き起こすことが判明した。さらに製造番号No.7は、合金のMn量が過多のため45°耳が強く、印刷文字の曲がりが起きることが判明した。また製造番号No.8は、合金のMg量が過少のため、強度が低くなってしまった。さらに製造番号No.9は、合金のMg量、Mn量が過多のため、強度が高過ぎ、曲げ加工性が低下するとともに開栓力が高くなってしまった。
一方製造番号No.10は熱間圧延終了温度が高いため、熱間圧延後に再結晶している部分が存在し、そのため中間焼鈍時に立方体方位が過度に発達し、最終板の耳がマイナスになり、0−180°位置で印刷文字の曲がりが生じることが判明した。また製造番号No.11は、熱間仕上げ圧延終了温度が高過ぎて熱延板の表面品質が低下し、最終板の成形品にフローマークが発生した。また中間焼鈍時に立方体方位が過剰に発達したため、最終板の耳がマイナスになり、0−180°位置で印刷文字の曲がりが生じることが判明した。さらに製造番号No.12は、中間焼鈍前の冷間圧延率が低過ぎて、中間焼鈍時に立方体方位が過剰に発達し、そのため最終板の耳がマイナスになり、0−180°位置で印刷文字の曲がりが生じることが判明した。また製造番号No.13は、中間焼鈍前の冷間圧延率が高過ぎて、中間焼鈍時に立方体方位が充分に発達せず、最終板に強い45°耳が生じ、45°位置で印刷文字の曲がりが生ずることが判明した。さらに製造番号No.14は、中間焼鈍温度が低過ぎて完全に再結晶組織とすることができず、そのため強度が高くなり過ぎて開栓トルクが高くなっていしまい、また曲げ加工性も悪くなり、さらには45°耳が著しく発達し、45°位置で印刷文字の曲がりが発生することが判明した。
そしてまた製造番号No.15は、中間焼鈍温度が高過ぎて結晶粒径が粗大になったため、成形品表面に肌荒れが発生し、また中間焼鈍時に立方体方位が強くなって最終板の耳がマイナスとなり、0−180°位置で印刷文字の曲がりが生ずることが判明した。また製造番号No.16は、中間焼鈍の保持時間が長過ぎて結晶粒径が粗大になったため、成形品表面に肌荒れが発生し、また中間焼鈍時に立方体方位が強くなって最終板の耳がマイナスとなり、0−180°位置で印刷文字の曲がりが生ずることが判明した。さらに製造番号No.17は、最終冷間圧延率が低過ぎて耳率がマイナスになり、0−180°位置で印刷文字の曲がりが生じ、さらには強度も不足することが判明した。また製造番号No.18は、最終冷間圧延率が高過ぎて、45°耳が高くなり過ぎ、さらに強度が高過ぎて開栓トルクも高くなるとともに、曲げ加工性も悪化することが判明した。

Claims (2)

  1. Mg1.5〜2.1%(mass%、以下同じ)、Fe0.1〜0.3%、Mn0.1%以下、Si0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ抗張力170〜200MPaの範囲内でしかも45°耳率が2%以下であることを特徴とする、曲げ加工性に優れたキャップ用アルミニウム合金板。
  2. Mg1.5〜2.1%、Fe0.1〜0.3%、Mn0.1%以下、Si0.05〜0.25%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金の鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延を行なうにあたり、熱間圧延終了温度を280℃以下に規制して、熱間圧延上りの熱間圧延板の組織を完全非再結晶状態とし、次いで熱間圧延板に圧延率70〜85%で冷間圧延を施した後、400〜550℃の温度で2分以内の中間焼鈍を行ない、さらに圧延率25〜50%で仕上げ冷間圧延を行ない、その後安定化処理を行ない、これにより抗張力が170〜200MPaの範囲内でしかも45°耳率が2%以下のアルミニウム合金板を得ることを特徴とする、曲げ加工性に優れたキャップ用アルミニウム合金板の製造方法。
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