JP2007322010A - 防護部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】防護部材で求められる圧縮強度を十分高くすることができない。
【解決手段】防護部材として、炭化硼素を主成分とし、グラファイトおよび炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体からなり、特に、前記グラファイトが炭化硼素質焼結体100質量%に対して、1質量%以上、10質量%以下、前記炭化珪素が炭化硼素質焼結体に対して0.5質量%以上、5質量%以下とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軽量で高い機械的特性を有する防護部材に関し、特に、銃弾や砲弾等の飛翔体の貫通を防止して人体、車両、船舶、航空機を保護するための防護具に用いられる防護部材に関する。
一般に、炭化硼素質焼結体は、軽量で、高い機械的特性を有する材料として知られている。この高い機械的特性を活用し、炭化硼素質焼結体は、例えば、銃弾や砲弾に対する防護部材として使用されている。最近の国際情勢より、防護部材の需要は増加の一途を辿っており、その防護部材も軽量化の要求とともに、銃弾や砲弾から大きな圧縮応力がかかるため、高い圧縮強度が要求される。
このように、高い圧縮強度を有する炭化硼素質焼結体として、例えば、特許文献1では、α−炭化珪素、炭化硼素と、炭素および/またはコークス化する有機物質から成る微粒状混合物を、非加圧焼結し、得られた焼結体を圧力伝達媒質として不活性ガスを用いる高圧オートクレーブ内で熱間等方加圧法(HIP)により再圧縮した炭化硼素焼結体が提案されている。
また、特許文献2では、炭化硼素粉末と、ポリシロキサン類、ポリシラザン類、ポリシラン類、メタロポリシロキサン類およびメタロポリシラン類からなる群から選ばれるプレセラミック有機珪素重合体とから構成される成分を混合して得られた混合物を約500℃以下の温度で所望の形状に加圧成形し、不活性ガス雰囲気中で約2200℃以上の温度で焼結した炭化硼素焼結体が提案されている。
また、特許文献3では、溶媒と該溶媒に実質的に溶解しない高分子有機物をコーティングした炭化硼素粉体の混合物を加圧成形して得られた成形体を焼結し、グラファイト結晶粒子を1−5重量部含み、このグラファイト結晶粒子が主として炭化硼素結晶粒子3重点に存在する炭化硼素質焼結体が提案されている。
特開昭58−80257号公報 特開平7−41365号公報 特開2003−201178号公報
しかしながら、特許文献1で提案された炭化硼素質焼結体は、α−炭化珪素、炭化硼素と、炭素および/またはコークス化する有機物質から成る微粒状混合物を、非加圧焼結し、得られた焼結体を圧力伝達媒質として不活性ガスを用いる高圧オートクレーブ内で熱間等方加圧法(HIP)により再圧縮するという複雑な工程を経て得られるものであるため、安価に製造できないとともに、炭素を用いた場合には、その結晶構造が積層構造である黒鉛化性炭素と交差連結格子を有する構造である非黒鉛化性炭素が混在する結果、コークス内部に細孔や非晶質の部分が発生しやすく、機械的特性が安定しないという問題があった。また、コークス化する有機物質を選んだ場合もコークス自体の品質ばらつきが大きく、結晶性も低いため、炭素を選んだ場合と同様、機械的特性が安定しないという問題があった。
また、特許文献2で提案された炭化硼素質焼結体は、ポリシロキサン類、ポリシラザン類、ポリシラン類、メタロポリシロキサン類およびメタロポリシラン類からなる群から選ばれるプレセラミック有機珪素重合体からチャコールを生成しているため、コークスと同様、チャコール自体の品質ばらつきが大きく、結晶性も低いため、機械的特性が安定しないというという問題があった。
また、特許文献3で提案された炭化硼素質焼結体は、グラファイト結晶粒子が主として炭化硼素結晶粒子3重点に存在することにより、緻密化が進行し、機械的特性はある程度向上するものの、防護部材として用いるにはグラファイト結晶粒子のみでは炭化硼素粒子を強固に結合させることができず防護部材で求められる圧縮強度を十分高くすることができないという問題があった。
本発明は、これら問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価でありながら機械的特性の高い防護部材を提供することにある。
本発明の防護部材は、炭化硼素を主成分とし、グラファイトおよび炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体からなることを特徴とするものである。
また、本発明の防護部材は、前記グラファイトは、炭化硼素質焼結体100質量%に対して1質量%以上、10質量%以下、前記炭化珪素は、炭化硼素質焼結体100質量%に対して0.5質量%以上、5質量%以下であることを特徴とするものである。
さらに、本発明の防護部材は、前記グラファイトは、X線回折法を用いた測定による(002)面からの半値幅が0.3°以下(0°を除く)であることを特徴とするものである。
またさらに、本発明の防護部材は、上面および下面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状からなり、前記上面および下面の少なくとも一方が外方に向かって凸状の曲面を備えたことを特徴とするものである。
本発明の防護部材によれば、炭化硼素を主成分とし、グラファイトおよび炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体からなることから、グラファイトは炭化硼素粒子の異常な粒成長を抑制して、炭化硼素質焼結体の緻密化を進行し、同時に炭化珪素は焼成工程における蒸発、凝縮機構により炭化硼素粒子を強固に結合させるので、圧縮強度を高くすることができる。
特に、前記グラファイトが炭化硼素質焼結体100質量%に対して、1質量%以上、10質量%以下、前記炭化珪素が炭化硼素質焼結体に対して0.5質量%以上、5質量%以下であることから、焼成中に炭化硼素中の硼素(B)や炭素(C)が最も移動しやすくなる結果、十分に緻密化するので、より圧縮強度を高くすることができる。
また、前記グラファイトはX線回折法を用いた測定による(002)面からの半値幅を0.3°以下(0°を除く)とすることで、グラファイトの結晶性が向上して、グラファイト結晶粒子内の細孔が減少するため、さらに圧縮強度を高くすることができる。
さらに、前記炭化硼素質焼結体を用いて、上面および下面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状からなり、前記上面および下面の少なくとも一方が外方に向かって凸状の曲面を備えた防護部材とすることで、銃弾や砲弾等の飛翔体の貫通を防止するので、人体、車両、船舶、航空機を保護するための防護具として用いることができる。
以下、本発明の防護部材について最良の形態について説明する。
本発明の防護部材は、炭化硼素を主成分とし、グラファイトおよび炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体からなる。この炭化硼素質焼結体は、軽量でありながら、硬度、剛性が高いため、飛翔する銃弾、砲弾等の衝撃を防護する防護部材として好適に用いられ、この炭化硼素質焼結体にグラファイトおよび炭化珪素を含有することで、防護部材の要求特性である圧縮強度をより高くすることができる。
グラファイト、炭化珪素は、炭化硼素質焼結体の焼成工程における焼結助剤として作用し、グラファイトは炭化硼素粒子の異常な粒成長を抑制して、炭化硼素質焼結体の緻密化を進行させ、炭化珪素は焼成工程における蒸発、凝縮機構により炭化硼素粒子を強固に結合させるので、その結果、防護部材の圧縮強度を高くすることができる。特に、前記炭化珪素はβ型炭化珪素(βSiC)であることが好適であり、焼成中β型炭化珪素は板状に成長してβ型炭化珪素結晶粒子となり、炭化硼素質焼結体に微小なクラックが入ったとしても、β型炭化珪素結晶粒子の存在により、クラックは進展しにくくなる。
一般的に、圧縮応力下では、炭化硼素質焼結体中に不規則に存在するクラックの先端より、このクラックの進展方向から逸れて圧縮方向と略平行方向に多数のクラックが進展し破砕帯を形成した後で破壊が起こる。圧縮強度が高いほど、前記クラックの進展速度は遅くなるため、優れた防護部材と言える。
図1に示す防護部材1は上面および下面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状であり、前記上面および下面が外方に向かって凸状の曲面を備えたものであり、上面の頂部、下面の頂部間の距離(a)は、10〜14mm、測周面の高さ(b)は7〜8mm、測周面の直径(c)は、12〜14mmである。
また、防護部材を成す前記炭化硼素質焼結体において、主成分である炭化硼素は、炭化硼素質焼結体100質量%に対して80質量%以上を占める成分をいい、特に90質量%以上であることが好適である。また、グラファイトおよび炭化珪素は、炭化硼素質焼結体100質量%に対して0.8質量%以上含めばよい。
さらには、前記グラファイトは炭化硼素質焼結体100質量%に対して、1質量%以上、10質量%以下、前記炭化珪素は炭化硼素質焼結体100質量%に対して0.5質量%以上、5質量%以下で含むことが好ましい。これにより、焼成中の硼素(B)や炭素(C)が最も移動しやすくなり、十分に緻密化する結果、より圧縮強度を高くすることができる。
炭化硼素質焼結体中のグラファイト、炭化珪素の同定については、例えばCuKα線を用いたX線回折法で同定し、グラファイト、炭化珪素の比率は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いて測定することができる。
図2は炭素の結晶構造を模式的に示すものであり、(a)は、易黒鉛化性炭素の結晶構造(b)は難黒鉛化性炭素の結晶構造を示している。グラファイトの結晶構造は、グラファイトの結晶粒子内の細孔に影響を与え、グラファイトの結晶構造が図2(a)に示すようにその炭素層面が整然とした配向を示す構造である場合、グラファイト結晶粒子内の細孔が減少するため、圧縮強度を高くすることができる。グラファイトの結晶構造が図2(b)に示すように炭素層面の長いリボン状の積層がもつれ合うようにねじれて無秩序な3次元網目構造である場合、グラファイト結晶粒子内の細孔が増加するため、圧縮強度が低下する。
本発明の防護部材では、グラファイトはX線回折法を用いた測定による(002)面からの半値幅を0.3°以下(0°を除く)とすることが好適であり、グラファイトの結晶構造は図2(a)に示す構造となり、さらに圧縮強度を始めとする機械的特性、例えば曲げ強度、ヤング率、硬度等を高くすることができる。
ここで、本発明の防護部材をなす炭化硼素質焼結体のX線回折チャートの例を図3に示す。図3のように(002)面からのピークは、ピーク(p)として表される。(002)面からの半値幅とは、このピーク(p)の半値における回折角(2θ)の幅をいい、この幅を0.3°以下(0°を除く)とすることで、グラファイトの結晶構造は図2(a)に示す構造となり、グラファイト結晶粒子内の細孔が減少する結果、圧縮強度を高くすることができる。特に、グラファイトの結晶構造は、2Hグラファイトと呼ばれる六方晶系であって、JCPDSカード#41−1487で示される結晶構造であることが好適である。
また、防護部材としては、図1に示すもの以外に図4(a)に示すような円柱体や、同図(b)に示すような円柱体の上面が外方に向かって凸状の曲面になった形状のものが用いられ、これら防護部材を例えば、図5に示すように、ポリブチラール・フェノール系の繊維強化プラスチックからなる繊維強化物質2を、バックプレートとしてウレタン系接着剤からなる樹脂3で加圧しながら硬化させて接着し、防護部材1をバックプレートの中心部に最密充填するよう配置して防護板とすることができる。防護部材1は、図1や図4(a)に示すように、上面および下面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状からなり、前記上面および下面のうち少なくとも一方が外部に向かって凸状の曲面を有するものであることが好ましく、外方に向かって凸状の曲面に飛翔体を衝突させることができることから、飛翔体の飛翔方向と防護部材1の表面の法線との接触角が90°となる確率が大幅に減少し、その結果、飛翔体が防護部材1の表面を滑るようにしながら衝突し、衝撃エネルギーが緩和され、防護部材1にクラックを生じさせにくくすることができる。したがって、銃弾や砲弾等の飛翔体の貫通を十分に防止できる構造を有し、人体、車両、船舶、航空機を十分に保護できる防護部材とすることができる。
なお、圧縮強度の測定は、例えば、図4(a)に示す形状の防護部材を用いて測定すればよく、JIS R 1608−2003に準拠した測定方法、例えば外径(d)=5±0.1mm、高さ(h)=12.5±0.1mmの円柱形状、または、h/dが2.5の円柱形状に加工した後、上面と底面に加圧板を接触させて、加重を負荷し、破壊に至ったときの最大荷重(P)を断面積で除した値(P/(πd/4))で算出することができる。
ここで、本発明の防護部材の製造方法について説明する。
第1に、平均粒径(D50)が0.5〜2μmである炭化硼素粉末を準備する。準備する炭化硼素粉末は、BとCのモル比(B/C比)が化学量論比4の粉末すなわちBCの組成からなる粒子で構成される粉末の他に、次のような粉末を用いることができる。すなわち、炭化硼素(BC)は、BとCに対して広い固溶領域を有しているため、市販の炭化硼素粉末にはBとCのモル比(B/C比)が化学量論比4の粉末だけでなく、B/C比が3.5以上4未満、またはB/C比が4よりも大きく10以下の範囲の粉末、例えばB13等の混入した粉末や、フリーカーボン、硼酸(B(OH))、無水硼酸(B)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)などが混入した粉末も存在しており、このような炭化硼素粉末であってもよい。これらの粉末を用いた場合、焼結助剤としてグラファイト粉末および炭化珪素粉末をこれら粉末に添加することで、焼成中、機械的圧力を印加しなくても、焼結させることができる。炭化硼素粉末は、平均粒径0.5〜2μmの微細な粉末であることが望ましいが、平均粒径が例えば20μm程度と大きな粒径の粉末や、この粉末を予備粉砕した炭化硼素粉末も使用可能である。ここで、予備粉砕は、粉砕メディアを使用しないジェットミル等による粉砕であることが、不純物の混入を少なくするために好ましい。
なお、グラファイトが炭化硼素質焼結体に対して、1質量%以上、10質量%以下、炭化珪素が炭化硼素質焼結体に対して0.5質量%以上、5質量%以下含む防護部材とするには、グラファイト粉末を上記粉末合計に対し、1質量%以上、10質量%以下、炭化珪素粉末を上記粉末合計に対し、0.5質量%以上、5質量%以下とすればよい。
また、炭化硼素質焼結体に含まれるグラファイトがX線回折法を用いた測定による(002)面からの半値幅を0.3°以下(0°を除く)とするには、(002)面からの半値幅が0.34°以下(0°を除く)であるグラファイト粉末を用いればよい。グラファイト粉末の半値幅が広いと、グラファイト粉末の結晶性が低く、半値幅が狭いと、グラファイト粉末の結晶性が高いことを意味する。結晶性の高いグラファイト粉末を得るには、炭素からグラファイト化する工程で、炭素原子の移動できる距離を制限すればよく、具体的にはこの工程中、炭素を配向制御すればよい。このようなグラファイト粉末として、例えば高配向熱分解グラファイト(HOPG)粉末を用いればよい。
焼結助剤は、グラファイト粉末、炭化珪素粉末以外に焼結を促進させるために硼化ジルコニウム(ZrB)、硼化チタン(TiB)、硼化クロム(CrB)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化イットリウム(Y)の少なくともいずれか1種を添加してもよい。
第2に、準備した炭化硼素粉末、焼結助剤を回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合し、スラリーを作製する。粉砕用メディアは、表面にイミド樹脂を被覆したメディア、窒化硼素質、炭化珪素質、窒化珪素質、ジルコニア質、アルミナ質等の各種焼結体からなるメディアを使用することができるが、不純物として混入の影響の少ない材質である窒化硼素質焼結体からなるメディア、または表面にイミド樹脂を被覆したメディアが好ましい。また、得られるスラリーの粘度を下げる目的で粉砕前に分散剤を添加してもよい。
第3に、得られたスラリーを乾燥して乾燥粉体を作製する。この乾燥の前に、スラリーを目開きが#200よりも小さいメッシュに通して粗大な不純物やゴミを除去し、さらに磁力を用いた除鉄機で除鉄するなどの方法で、鉄およびその化合物を除去することが好ましい。また、スラリーにパラフィンワックスやポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル系樹脂などの有機バインダーをスラリー中の粉末100質量部に対して1〜10質量部添加、混合することが、後述する成形の際に、成形体のクラックや割れ等の発生を抑制できるので好ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させてもよいし、スプレードライヤーで乾燥させても良く、または他の方法で乾燥させても何ら問題ない。
第4に、乾燥粉体を公知の成形方法、例えば成形型を用いた粉末加圧成形法、静水圧を利用した等方加圧成形法を用いて、相対密度45〜70%の所望の形状とする。銃弾や砲弾等の飛翔体の貫通をさらに十分に防止できる構造を有する防護部材を作製するためには、成形体の形状を、上面および下面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状からなり、前記上面および下面のうち少なくとも一方が外部に向かって凸状の曲面を有するものとすることが好ましい。
第5に、成形体が有機バインダーを含む場合には、有機バインダーを脱脂する。脱脂は、温度500〜900℃で窒素ガスをフローしながら行うことが好ましい。
第6に、成形体または脱脂体(以下、これらを総称して成形体と記す。)を次のように焼成炉を用いて焼成する。焼成炉として黒鉛性の抵抗発熱体により加熱する焼成炉を用い、この焼成炉中に成形体を載置する。好ましくは、成形体全体を囲うことのできる焼成用容器中(以下、これらを焼成用治具と記す。)に載置する。これは、焼成炉内の雰囲気中等から成形体に付着する可能性のある異物(例えば黒鉛製発熱体や炭素製断熱材から飛散する炭素片や、焼成炉中に組み込まれている他の無機材質製の断熱材の小片等)の付着を防止するためであり、さらには成形体からの揮発成分の飛散を防止するためである。焼成用治具の材質は黒鉛質のものが望ましく、炭化珪素質またはこれらの複合物などの材質としてもよく、さらには成形体全体を焼成用治具で囲うことが好ましい。
第7に、焼成用治具に載置した成形体を焼成炉内に配置し、前述したようにアルゴンガス中またはHeガス中のいずれか、もしくは真空中で、1800℃以上2200℃未満の温度域で10分〜10時間保持(前記第1の工程)した後、2200〜2350℃の温度で10分〜20時間保持(前記第2の工程)して、相対密度90%以上に緻密化させる。昇温速度は1〜30℃/分が好ましい。また、上記第1、第2の工程でいう保持とは、所定の温度範囲内に滞在した時間の合計を意味し、例えば一定温度で保持する時間や、昇温時間、降温時間が保持時間に含まれる。なお、2000℃以上で保持する場合には炭化硼素、添加物成分の分解が生じるので、アルゴンガスまたはHeガス中で保持することが望ましい。
また、緻密化をより促進するために、開気孔率が5%以下となった段階で、さらに高圧のガスで加圧してもよい。この加圧方法としては、高圧GPS(Gas Pressure Sintering)法や熱間等方加圧(HIP:hot isostatic press)法により、ガス圧1〜300MPaで加圧する方法を用いることが好ましく、これによって相対密度を特に95%以上に高めることができる。また、必要に応じてホットプレス法やSPS(Spark Plasma Sintering)法のように機械的圧力を印加する方法で焼結しても構わない。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
炭化硼素粉末としてFeを0.2質量%含有するD50=0.65μm、D90=1.40μmの粉末(D90/D50=2.2)と、焼結助剤として表1に示す組成の粉末を準備し、窒化硼素質の粉砕用メディアと共に回転ミルに投入してアセトン中で12時間混合し、スラリーを作製した。得られたスラリーを目開き#200のナイロン製メッシュに通して粗大なゴミ等を除去後、120℃で乾燥後、目開き#40のナイロン製メッシュで整粒して、混合粉体を作製した。
得られた混合粉体を、金型を用いた粉末加圧成形法を用いて、相対密度58%になるように成形し、外径6mm、高さ15mmの円柱状成形体を成形し、成形体に含まれる有機成分を600℃で窒素ガスをフローしながら脱脂した。
黒鉛性の抵抗発熱体により加熱する焼成炉等を用い、グラファイト質の焼成用容器に脱脂後の成形体を載置し、昇温速度を20℃/分として昇温し、1600℃未満まで真空雰囲気、1600℃以上を110kPaのアルゴンガス雰囲気とした。昇温中2100℃、1時間で保持した後、更に昇温して2300℃、2時間で焼成して、外径5mm、高さ12.5mmの円柱形状の試料No.1〜19を各10個ずつ作製した。
得られた試料に含まれるグラファイト、炭化珪素等の各成分の同定については、CuKα線を用いたX線回折法で同定し、各成分の比率は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いて測定し、その結果を表1に示した。
また、JIS R 1608−2003に準拠して各試料の圧縮強度を測定し、表1に10個の測定値の平均値を示した。
Figure 2007322010
表1からわかるように、本発明の範囲外である試料No.1,3は炭化珪素が含まれていなかったために、圧縮強度が1.3GPa以下と低かった。
また、本発明の範囲外である試料No.2はグラファイトが含まれていなかったために、焼結体の緻密化が進行せず、圧縮強度が0.8GPaと低かった。
一方、本発明の試料No.4〜18は、グラファイトと炭化珪素を含んでいるために緻密化が進行し、炭化硼素粒子の結合が強固であったため、圧縮強度は1.7GPa以上と高かった。
特に、グラファイトが炭化硼素質焼結体に対して、1質量%以上、10質量%以下、前記炭化珪素が炭化硼素質焼結体に対して0.5質量%以上、5質量%以下含む試料No.5〜7,9〜11,13,15〜19は、緻密化が十分進行していたため、圧縮強度は2.3GPa以上とさらに高く、好適であった。
また、グラファイトが3質量%、炭化珪素が1質量%である試料No.5〜7を比べると、グラファイトは、X線回折法を用いた測定による(002)面からの半値幅が小さくなるほど、圧縮強度は高くなり、その値が0.3°以下(0°を除く)であると、圧縮強度は2.7GPa以上となり、特に好適である。
本発明の防護部材を示す斜視図を示す図である。 炭素の結晶構造を模式的に示すものであり、(a)は易黒鉛化性炭素の結晶構造を示す模式図、(b)は難黒鉛化性炭素の結晶構造を示す模式図である。 本発明の防護部材をなす炭化硼素質焼結体のX線回折チャートの一例である。 (a),(b)は本発明の防護部材の種々の実施形態を示す斜視図である。 (a)は本発明の防護部材を用いた防護板の斜視図であり、(b)は同図(a)の平面図である。
符号の説明
1:防護部材
2:繊維強化物質
3:樹脂

Claims (4)

  1. 炭化硼素を主成分とし、グラファイトおよび炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体からなることを特徴とする防護部材。
  2. 前記グラファイトは、炭化硼素質焼結体100質量%に対して1質量%以上、10質量%以下、前記炭化珪素は、炭化硼素質焼結体100質量%に対して0.5質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の防護部材。
  3. 前記グラファイトは、X線回折法を用いた測定による(002)面からの半値幅が0.3°以下(0°を除く)であることを特徴とする請求項1または2に記載の防護部材。
  4. 上面および下面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状からなり、前記上面および下面の少なくとも一方が外方に向かって凸状の曲面を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防護部材。
JP2006149689A 2006-02-27 2006-05-30 防護部材 Expired - Fee Related JP4925727B2 (ja)

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