JP2010107340A - 中性子吸収体および原子力発電装置用制御棒 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い中性子吸収能を有する中性子吸収体およびこれを用いた原子力発電装置用制御棒を提供すること。
【解決手段】 炭化硼素質焼結体を用いた中性子吸収体1であって、炭化硼素質焼結体中のグラファイトの含有量が1質量%以上10質量%以下である中性子吸収体1とする。また、このような中性子吸収体1を用いた原子力発電装置用制御棒とする。これらにより、相対密度が高い炭化硼素質焼結体が得られるので、相対密度と比例関係にある中性子吸収能を高くすることができるとともに、圧縮強度も高くなるので、耐久性が向上し、ひいては安全性を高めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 炭化硼素質焼結体を用いた中性子吸収体1であって、炭化硼素質焼結体中のグラファイトの含有量が1質量%以上10質量%以下である中性子吸収体1とする。また、このような中性子吸収体1を用いた原子力発電装置用制御棒とする。これらにより、相対密度が高い炭化硼素質焼結体が得られるので、相対密度と比例関係にある中性子吸収能を高くすることができるとともに、圧縮強度も高くなるので、耐久性が向上し、ひいては安全性を高めることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、人体にとって有害な中性子を吸収する能力が高い中性子吸収体およびこれを用いた原子力発電装置用制御棒に関する。
一般に、炭化硼素粉末は軽量であり、中性子吸収能が高い材料として知られている。非特許文献1には、この高い中性子吸収能を活かすために、天然組成(10B(質量数が10の硼素):硼素100質量%に対して約20質量%)のB4C粉末が商用発電原子炉の多くを占める沸騰水型原子炉(BWR)の制御材料として使用されることが記載されている。
特許文献1には、炭化硼素粉末が充填される中空筒状体内における充填密度を高くするために、粒径が710〜1700μmの粒を70%以上含む粗粒と、粒径が125〜250μmの粒を70%以上含む中粒と、粒径が45μm以下の粒を90%以上含む細粒とで構成され、前記粗粒を35〜55質量%、中粒を25〜45質量%、細粒を15〜25質量%の割合で混入したボロンカーバイト粉末からなる中性子吸収体について記載されている。
セラミックス 42(2007)No.8「原子力用B4C制御材(1970年〜現在)」p610−612 特開平4−268492号公報
セラミックス 42(2007)No.8「原子力用B4C制御材(1970年〜現在)」p610−612
しかしながら、非特許文献1に記載された中性子吸収体は、中空筒状体内における炭化硼素粉末の充填密度は約80%程度にすることはできるものの、中性子に対する安全性の要求が高くなれば十分とはいえず、より高い中性子吸収能を有する中性子吸収体が求められている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高い中性子吸収能を有する中性子吸収体およびこれを用いた原子力発電装置用制御棒を提供することにある。
本発明の一形態に係る中性子吸収体は、炭化硼素質焼結体を用いた中性子吸収体であって、前記炭化硼素質焼結体中のグラファイトの含有量が1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の一形態に係る原子力発電装置用制御棒は、前記中性子吸収体を用いたことを特徴とするものである。
本発明の一形態に係る中性子吸収体によれば、炭化硼素の焼成工程における緻密化が進行して、炭化硼素粒子が強固に結合される。その結果、相対密度が高い炭化硼素質焼結体が得られるので、相対密度と比例関係にある中性子吸収能を高くすることができるとともに、圧縮強度も高くなるので、耐久性が向上する。
また、本発明の一形態に係る原子力発電装置用制御棒によれば、前記中性子吸収体を用いるので、人体に有害な中性子を十分吸収することができ安全性が高くなる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の中性子吸収体は、炭化硼素を主成分とし、グラファイトを含む炭化硼素質焼結体を用いた中性子吸収体である。炭化硼素質焼結体中のグラファイトの含有量は1質量%以上10質量%以下である。この炭化硼素質焼結体は、軽量でありながら、炭化硼素における硼素の含有量が78質量%程度と高く、硼素の同位体である10B(質量数10の硼素)が以下の式(1)で示される(n,α)反応により、中性子を吸収することができる。
10 5B + 1 0n→4 2He + 7 3Li (1)
また、図1に示すように、本実施形態の中性子吸収体1は、例えば、長さが1m以上3m以下、直径が10mm以上20mm以下の円柱状である。中性子吸収体1は、グラファイトが炭化硼素質焼結体100質量%に対して1質量%以上10質量%以下であることから、炭化硼素の焼成工程における緻密化が進行して、炭化硼素粒子同士が強固に結合される。その結果、相対密度が高い炭化硼素質焼結体が得られているので、相対密度と比例関係にある中性子吸収能を高くすることができるとともに、圧縮強度も高くなるので、耐久性が向上する。
また、図1に示すように、本実施形態の中性子吸収体1は、例えば、長さが1m以上3m以下、直径が10mm以上20mm以下の円柱状である。中性子吸収体1は、グラファイトが炭化硼素質焼結体100質量%に対して1質量%以上10質量%以下であることから、炭化硼素の焼成工程における緻密化が進行して、炭化硼素粒子同士が強固に結合される。その結果、相対密度が高い炭化硼素質焼結体が得られているので、相対密度と比例関係にある中性子吸収能を高くすることができるとともに、圧縮強度も高くなるので、耐久性が向上する。
このように、グラファイトの含有量が上記範囲内であるので、緻密化が十分進行し、炭化硼素粒子同士が強固に結合され、中性子吸収能および圧縮強度を高くすることができる。なお、ここで炭化硼素質焼結体とは、炭化硼素が炭化硼素質焼結体100質量%に対して80質量%以上を占める焼結体をいうものとする。
一般的に、圧縮応力下では、炭化硼素質焼結体中に不規則に存在するクラックの先端より、このクラックの進展方向から逸れて圧縮方向と略平行方向に多数のクラックが進展し破砕帯を形成した後で破壊が起こる。圧縮強度が高いほど、前記クラックの進展速度は遅くなるため、優れた中性子吸収体と言える。なお、本発明の中性子吸収体に用いられる炭化硼素質焼結体の圧縮強度は、JIS R 1608−2003に準拠して求めることができる。
炭化硼素質焼結体中のグラファイトの同定については、例えばCuKα線を用いたX線回折法で同定することができる。また、グラファイトの定量分析はリートベルト法を用いたX線回折を用いて行うことができる。具体的には、予め検量線を求める。この検量線を求めるために、まず、グラファイト粉末と炭化硼素粉末との混合粉末を準備する。組成比を変えた混合粉末に対して、グラファイトの(002)面に帰属するX線回折ピークの面積I(C)と炭化硼素(B4C)の(021)面に帰属するX線回折ピークの面積I(B4C)の比I(C)/I(B4C)を求め、グラフにプロットした後、最小二乗法を用いて直線からなる検量線を作成する。
図2は、グラファイト粉末と炭化硼素粉末との混合粉末より得られる検量線を示す図の一例である。この検量線を用いて、炭化硼素質焼結体中のグラファイト含有量を決定する。すなわち、炭化硼素質焼結体のピーク面積比I(C)/I(B4C)を求め、検量線からグラファイト含有量を測定することができる。
図3は炭素の結晶構造を模式的に示す図であり、(a)は易黒鉛化性炭素の結晶構造、(b)は難黒鉛化性炭素の結晶構造の模式図である。図3(a)に示す易黒鉛化性炭素は3000℃程度の高温で熱処理すると容易に黒鉛化される炭素であり、その密度はおよそ1.8g/cm3以上2.1g/cm3以下である。また、図3(b)に示す難黒鉛化性炭素は3000℃程度の高温で熱処理しても容易に黒鉛化されない炭素であり、その密度は1.5g/cm3以上1.8g/cm3未満である。
グラファイトの結晶構造は、グラファイトの結晶粒子内の細孔に影響を与える。グラファイトの結晶構造が、図3(a)に示すように、その炭素層面が整然とした配向を示す構造である場合、グラファイト結晶粒子内の細孔が減少するため、相対密度を高くすることができる。一方、グラファイトの結晶構造が、図3(b)に示すように、炭素層面の長いリボン状の積層がもつれ合うようにねじれて、無秩序な3次元網目構造である場合、グラファイト結晶粒子内の細孔が増加するため、相対密度が低下する。
本実施形態の中性子吸収体では、グラファイトはX線回折法を用いた測定による(002)面の回折ピークの半値幅を0°より大きく、0.3°以下とすることが好適であり、グラファイトの結晶構造は図3(a)に示す構造となり、さらに圧縮強度、曲げ強度、ヤング率、および硬度等の機械的特性を高くすることができる。
図4は、本実施形態の中性子吸収体に用いられる炭化硼素質焼結体のX線回折チャートの一例である。図4に示すように(002)面の回折ピークは、図中のピーク(p)として表される。(002)面の回折ピークの半値幅とは、このピーク(p)の半値における回折角(2θ)の幅をいい、この幅を0.3°以下(0°を除く)とすることで、グラファイトの結晶構造は図3(a)に示す構造となり、グラファイト結晶粒子内の細孔が減少する結果、炭化硼素質焼結体の相対強度が高くなり、中性吸収能をさらに高くすることができる。特に、グラファイトの結晶構造は、2Hグラファイトと呼ばれる六方晶系であって、JCPDSカード#41−1487で示される結晶構造であることが好適である。
なお、炭化硼素結晶粒子どうしがネック部により結合され、このネック部にグラファイトが存在していても、また炭化硼素結晶粒子中にグラファイトが固溶していてもよい。
炭化珪素は、炭化硼素質焼結体の焼成工程における焼結助剤として作用し、この工程における蒸発、凝縮機構により炭化硼素粒子を強固に結合させるので、中性子吸収体の圧縮強度を高くすることができる。特に、炭化珪素は立方晶型炭化珪素(β型炭化珪素)であることが好適であり、焼成中β型炭化珪素が板状に成長してβ型炭化珪素結晶粒子となる。炭化硼素質焼結体に微小なクラックが入ったとしても、β型炭化珪素結晶粒子の存在により、クラックは進展しにくくなる。
また、炭化珪素は炭化硼素質焼結体100質量%に対して0.5質量%以上5質量%以下で含むことが好ましい。これにより、焼成中の硼素(B)や炭素(C)が最も移動しやすくなり、十分に緻密化する。その結果、より圧縮強度を高くすることができる。
炭化珪素の定量分析は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いて測定することができる。具体的には、ICPによってSiの含有量を測定し、Siの全てがSiCとなっていると考え、SiCに換算し、その換算量をSiC含有量とすればよい。
また、本実施形態の中性子吸収体は、炭化硼素質焼結体の相対密度によって中性子吸収能が異なり、相対密度が高いほど中性子吸収能は高い。このような観点から、中性子吸収体に用いられる炭化硼素質焼結体の相対密度は92%以上であることが好適である。
なお、焼結体の相対密度は、以下の式(2)により求められる値であり、炭化硼素質焼結体の相対密度を計算する場合、理論密度として炭化硼素の理論密度2.52g/cm3を用い、かさ密度はJIS R 1634−1998に準拠して求めた値を用いればよい。
相対密度(%)=(かさ密度/理論密度)×100 (2)
また、本実施形態の中性子吸収体は、炭化硼素質焼結体の機械的特性によって中性子吸収体の寿命が異なる。式(1)で示したように、中性子の吸収が進むと、炭化硼素の結晶中にヘリウム(He)が増加して、炭化硼素質焼結体にスエリング(膨れ)が発生することがあり、スエリング(膨れ)が発生した炭化硼素質焼結体は信頼性が損なわれる。このような観点から、炭化硼素質焼結体は、4点曲げ強度が520MPa以上であることが好適で、JIS R 1601−2008(ISO:17565:2003(MOD))に準拠して求めることができる。
また、本実施形態の中性子吸収体は、炭化硼素質焼結体の機械的特性によって中性子吸収体の寿命が異なる。式(1)で示したように、中性子の吸収が進むと、炭化硼素の結晶中にヘリウム(He)が増加して、炭化硼素質焼結体にスエリング(膨れ)が発生することがあり、スエリング(膨れ)が発生した炭化硼素質焼結体は信頼性が損なわれる。このような観点から、炭化硼素質焼結体は、4点曲げ強度が520MPa以上であることが好適で、JIS R 1601−2008(ISO:17565:2003(MOD))に準拠して求めることができる。
また、本実施形態の中性子吸収体は、炭化硼素質焼結体を構成する炭化硼素の構成元素である硼素が、2種の同位体、すなわち10Bと11Bとからなる。この2種の同位体は中性子吸収能が異なり、中性子吸収能は11Bより10Bのほうが高いことから、10B濃度を高くすることにより、中性子吸収体の寿命を長くして、交換頻度を遅らせることができる。このような観点から炭化硼素質焼結体を構成する硼素における10B濃度が32%以上であることが好適である。なお、この10B濃度は、レーザーブレークダウン分光法を用いて測定することができる。
さらに、本実施形態の中性子吸収体は、ガドリニウム、サマリウム、カドミウム、ユウロピウム、ハフニウム、ジスプロシウムおよびインジウムの少なくともいずれか1種またはこれら元素の化合物の少なくともいずれか1種を含んでいても好適である。これら元素は、中性子吸収能が高いからである。
また、本実施形態の原子力発電装置用制御棒は、本実施形態の中性子吸収体を用いているときには、人体に有害な中性子を十分吸収することができるので、安全性が高くなる。
さらに、本実施形態の中性子吸収体は、原子力発電装置用制御棒だけではなく、使用済み核燃料輸送用容器,使用済み核燃料搬送用容器等に用いても好適である。
次に、本実施形態の中性子吸収体の製造方法について説明する。
第1に、平均粒径(D50)が0.5μm以上2μm以下である炭化硼素粉末を準備する。準備する炭化硼素粉末は、硼素(B)と炭素(C)のモル比(B/C比)が化学量論比4の粉末(すなわち炭化硼素(B4C)の組成からなる粒子で構成される粉末)の他に、モル比(B/C比)が3.5以上4未満、またはモル比(B/C比)が4よりも大きく10以下の範囲の粉末(例えばB13C2等の混入した粉末や、硼酸(B(OH)3)、無水硼酸(B2O3)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)などが混入した粉末)であってもよい。
これらの粉末を用いた場合、焼結助剤としてグラファイト粉末をこれらの粉末に添加することで、焼成中、機械的圧力を印加しなくても、焼結させることができる。炭化硼素粉末は、平均粒径(D50)が0.5μm以上2μm以下の微細な粉末であることが望ましいが、平均粒径(D50)が例えば20μm程度と大きな粒径の粉末、またはこの粉末を予備粉砕した炭化硼素粉末も使用することができる。ここで、予備粉砕は、粉砕メディアを使用しないジェットミル等による粉砕であることが、不純物の混入を少なくするために好ましい。
なお、グラファイトが炭化硼素質焼結体に対して、1質量%以上10質量%以下含むようにするには、グラファイト粉末を上記粉末合計に対して、1質量%以上10質量%以下とすればよい。
また、炭化硼素質焼結体に含まれるグラファイトがX線回折法を用いた測定による(002)面の回折ピークの半値幅を0.3°以下(ただし、0°を除く)とするには、(002)面の回折ピークの半値幅が0.34°以下(0°を除く)であるグラファイト粉末を用いればよい。前記半値幅が広いと、グラファイト粉末の結晶性が低く、前記半値幅が狭いと、グラファイト粉末の結晶性が高いことを意味する。結晶性の高いグラファイト粉末を得るには、炭素からグラファイト化する工程で、炭素原子の移動できる距離を制限すればよく、具体的にはこの工程中、炭素を配向制御すればよい。このようなグラファイト粉末として、例えば高配向熱分解グラファイト(HOPG)粉末を用いればよい。
また、炭化硼素質焼結体を構成する硼素100質量%における10Bの含有量を32質量%以上とするには、炭化硼素粉末を構成する硼素における10Bの含有量を32質量%以上とすればよい。
また、炭化硼素質焼結体の相対密度を高くするには、炭化硼素粉末の平均粒径(D50)を小さくすればよく、相対密度を92%以上とするには、平均粒径(D50)が0.5μm以上1.4μm以下である炭化硼素粉末を用いればよい。
焼結助剤は、グラファイト粉末に焼結を促進させるために炭化珪素(SiC),硼化ジルコニウム(ZrB2),硼化チタン(TiB2),硼化クロム(CrB2),酸化ジルコニウム(ZrO2)および酸化イットリウム(Y2O3)の少なくともいずれか1種を添加してもよい。炭化珪素が炭化硼素質焼結体に対して0.5質量%以上5質量%以下含むようにするには、炭化珪素粉末を上記粉末合計に対し、0.5質量%以上5質量%以下とすればよい。
第2に、準備した炭化硼素粉末および焼結助剤等を回転ミル,振動ミル,ビーズミル等のミルに投入し、水,アセトン,イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合し、スラリーを作製する。粉砕用メディアは、表面にイミド樹脂を被覆したメディア,窒化硼素質,炭化珪素質,窒化珪素質,ジルコニア質,アルミナ質等の各種焼結体からなるメディアを使用することができるが、不純物として混入の影響の少ない材質である窒化硼素質焼結体からなるメディア、または表面にイミド樹脂を被覆したメディアが好ましい。また、得られるスラリーの粘度を下げる目的で粉砕前に分散剤を添加してもよい。
第3に、得られたスラリーを乾燥して乾燥粉体を作製する。この乾燥の前に、スラリーを粒度200メッシュ以下のメッシュに通して粗大な不純物やゴミを除去し、さらに磁力を用いた除鉄機で除鉄するなどの方法で、鉄およびその化合物を除去することが好ましい。また、スラリーにパラフィンワックスやポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG),ポリエチレンオキサイド(PEO),アクリル系樹脂などの有機バインダを、スラリー中の粉末100質量部に対して1〜10質量部添加、混合することが、後述する成形工程において、成形体のクラックや割れ等の発生を抑制できるので好ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させてもよいし、スプレードライヤー等を用いた噴霧乾燥法により乾燥させても良く、または他の方法で乾燥させても何ら問題ない。
第4に、乾燥粉体を公知の成形方法、例えば成形型を用いた粉末加圧成形法,静水圧を利用した等方加圧成形法を用いて、相対密度45〜70%の所望の形状の成形体を得る。
第5に、成形体が有機バインダを含む場合には、有機バインダを脱脂する。脱脂は、温度500〜900℃で窒素ガスを流しながら行なえばよい。
第6に、成形体または脱脂体(以下、これらを総称して成形体という。)を焼成する。焼成炉として黒鉛性の抵抗発熱体により加熱する焼成炉を用い、この焼成炉中に成形体を載置する。好ましくは、成形体全体を囲うことのできる焼成用容器中(以下、これらを焼成用治具と記す。)に載置する。これは、焼成炉内の雰囲気中等から成形体に付着する可能性のある異物(例えば黒鉛製発熱体や炭素製断熱材から飛散する炭素片や、焼成炉中に組み込まれている他の無機材質製の断熱材の小片等)の付着を防止するためであり、さらには成形体からの揮発成分の飛散を防止するためである。焼成用治具の材質は黒鉛質のものが望ましく、炭化珪素質またはこれらの複合物などの材質としてもよく、さらには成形体全体を焼成用治具で囲うことが好ましい。
第7に、焼成用治具に載置した成形体を焼成炉内に配置し、前述したようにアルゴンガス中またはヘリウムガス中のいずれか、もしくは真空中で、1800℃以上2200℃未満の温度域で10分〜10時間保持(前記第1の工程)した後、2200〜2350℃の温度で10分〜20時間保持(前記第2の工程)して、相対密度90%以上に緻密化させる。昇温速度は1〜30℃/分が好ましい。ここで、上記第1、第2の工程でいう保持とは、所定の温度範囲内に滞在した時間の合計を意味し、例えば一定温度で保持する時間や、昇温時間、降温時間が保持時間に含まれる。なお、2000℃以上で保持する場合には炭化硼素、添加物成分の分解が生じるので、アルゴンガスまたはヘリウムガス中で保持することが望ましい。
以上、詳述したような方法により、炭化硼素質焼結体を用いた本実施形態の中性子吸収体を得ることができる。
また、緻密化をより促進するために、開気孔率が5%以下となった段階で、さらに高圧のガスで加圧してもよい。この加圧方法としては、高圧GPS(Gas Pressure Sintering)法や熱間等方加圧(HIP:Hot Isostatic Press)法により、ガス圧1〜300MPaで加圧する方法を用いることが好ましい。また、必要に応じてホットプレス法やSPS(Spark Plasma Sintering)法のように機械的圧力を印加する方法で焼結しても好適で、このような方法を用いることで4点曲げ強度が520MPa以上である炭化硼素質焼結体を用いた本実施形態の中性子吸収体を得ることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
<実施例1>
炭化硼素粉末としてFeを0.2質量%含有するD50=0.65μm、D90=1.40μmの粉末(D90/D50=2.2)A,Feを0.2質量%含有するD50=1.4μm、D90=3.08μmの粉末(D90/D50=2.2)BまたはFeを0.2質量%含有するD50=5.7μm、D90=12.54μmの粉末(D90/D50=2.2)Cと表1に示す焼結助剤とを、回転ミルに投入してアセトン中で窒化硼素質の粉砕用メディアを用いて12時間混合し、スラリーを作製した。得られたスラリーを目開き#200のナイロン製メッシュに通して粗大なゴミ等を除去後、120℃で乾燥後、目開き#40のナイロン製メッシュで整粒して、混合粉体を作製した。
<実施例1>
炭化硼素粉末としてFeを0.2質量%含有するD50=0.65μm、D90=1.40μmの粉末(D90/D50=2.2)A,Feを0.2質量%含有するD50=1.4μm、D90=3.08μmの粉末(D90/D50=2.2)BまたはFeを0.2質量%含有するD50=5.7μm、D90=12.54μmの粉末(D90/D50=2.2)Cと表1に示す焼結助剤とを、回転ミルに投入してアセトン中で窒化硼素質の粉砕用メディアを用いて12時間混合し、スラリーを作製した。得られたスラリーを目開き#200のナイロン製メッシュに通して粗大なゴミ等を除去後、120℃で乾燥後、目開き#40のナイロン製メッシュで整粒して、混合粉体を作製した。
得られた混合粉体を、金型を用いた粉末加圧成形法を用いて、相対密度58%になるように成形し、外径6mm、高さ15mmの円柱状成形体を成形し、成形体に含まれる有機成分を600℃で窒素ガスをフローしながら脱脂した。
黒鉛性の抵抗発熱体により加熱する焼成炉等を用い、グラファイト質の焼成用容器に脱脂後の成形体を載置し、昇温速度を20℃/分として昇温し、1600℃未満まで真空雰囲気、1600℃以上を110kPaのアルゴンガス雰囲気とした。昇温中2100℃、1時間で保持した後、更に昇温して2300℃、2時間で焼成して、外径5mm,高さ12.5mmの円柱形状および幅4mm、厚さ3mm,長さ45mmの角柱形状の試料No.1〜23を形状毎に各10個作製した。
なお、試料No.4については、上述の焼成後に、ホットプレス法により加圧焼結した。
得られた試料に含まれるグラファイトの同定については、CuKα線を用いたX線回折法で同定し、グラファイトの定量分析はリートベルト法を用いたX線回折を用いて行った。
また、試料に含まれる炭化珪素等の各種焼結助剤の成分の同定については、CuKα線を用いたX線回折法で同定し、焼結助剤の比率はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いて測定した。
また、各試料の相対密度については、理論密度として炭化硼素の理論密度2.52g/cm3を、かさ密度としてJIS R 1634−1998に準拠して求めた値をそれぞれ式(2)に代入して計算し、その計算値を表1に示した。
また、JIS R 1608−2003およびJIS R 1601−2008に準拠してそれぞれ各試料の圧縮強度,4点曲げ強度を測定し、表1に10個の測定値の平均値を示した。
表1からわかるように、本発明範囲外である試料No.1,9はグラファイトが1質量%未満であったために、焼結体の緻密化が進行せず、圧縮強度が0.8GPa以下と低かった。
また、本発明範囲外である試料No.8は、グラファイトが10質量%を超えていたために、炭化硼素の焼成工程で液相の占める体積が増え過ぎ、炭化硼素結晶粒子を十分生成させることができず、圧縮強度が0.7GPaと低かった。
一方、試料No.2〜7,10〜23は、グラファイトが炭化硼素質焼結体100質量%に対して1質量%以上10質量%以下であるために緻密化が進行し、炭化硼素粒子の結合が強固であったため、圧縮強度は1.3GPa以上と高かった。
特に、グラファイトおよび炭化珪素が炭化硼素質焼結体に対して、それぞれ1質量%以上10質量%以下、0.5質量%以上5質量%以下含む試料No.10〜12,14〜16,18〜23は、緻密化が十分進行していたため、圧縮強度は2.3GPa以上とさらに高く、好適であった。
また、グラファイトが3質量%、炭化珪素が1質量%である試料No.10〜12を比べると、グラファイトは、X線回折法を用いた測定による(002)面の回折ピークの半値幅が小さくなるほど、圧縮強度は高くなり、その値が0.3°以下(0°を除く)であると、圧縮強度は2.7GPa以上となり、中性子吸収体に用いる炭化硼素質焼結体として好適であることがわかる。
また、試料No.3,5,6を比べると、試料No.3,5は相対密度が92%以上であることから、圧縮強度が試料No.6より高く、中性子吸収体に用いる炭化硼素質焼結体として好適であることがわかる。
また、試料No.3,4を比べると、試料No.4は4点曲げ強度が520MPa以上であることから、圧縮強度が試料No.3より高く、中性子吸収体に用いる炭化硼素質焼結体として好適であることがわかる。
1:中性子吸収体
Claims (7)
- 炭化硼素質焼結体を用いた中性子吸収体であって、前記炭化硼素質焼結体中のグラファイトの含有量が1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする中性子吸収体。
- 前記炭化硼素質焼結体中の炭化珪素の含有量が0.5質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の中性子吸収体。
- 前記グラファイトは、X線回折法を用いた測定による(002)面の回折ピークの半値幅が0.3°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の中性子吸収体。
- 前記炭化硼素質焼結体は、相対密度が92%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中性子吸収体。
- 前記炭化硼素質焼結体は、4点曲げ強度が520MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中性子吸収体。
- 前記炭化硼素質焼結体中に存在する硼素100質量%に対して、質量数10の硼素が32質量%以上含まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中性子吸収体。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の中性子吸収体を用いたことを特徴とする原子力発電装置用制御棒。
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