JP2007320998A - 注型用硬化性樹脂組成物およびタイヤ空気圧センサー - Google Patents

注型用硬化性樹脂組成物およびタイヤ空気圧センサー Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスバルーンの分離やゲル化が起こりにくく、低粘度であり、軽量な硬化物となりうる注型用硬化性樹脂組成物およびタイヤ空気圧センサーの提供。
【解決手段】硬化性樹脂を含む主剤と、硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤とを有する注型用硬化性樹脂組成物であって、主剤および添加剤のうちの少なくとも一方が、ガラスバルーンとヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を有するケイ素原子含有化合物とを反応させることにより得られうる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを含み、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量が、硬化性樹脂と硬化剤および/または硬化触媒との合計100質量部に対し、1〜30質量部である注型用硬化性樹脂組成物およびこれを用いてなるタイヤ空気圧センサー。
【選択図】なし

Description

本発明は、注型用硬化性樹脂組成物およびタイヤ空気圧センサーに関する。
近年、自動車の安全を確保するために、タイヤの空気圧を監視するシステムが開発されている。タイヤ空気圧監視システムには、タイヤの空気圧を直接測定する方式(空気圧直接測定方式)がある。空気圧直接測定方式は、一般的には、各タイヤの内部に1個ずつ取り付けられる空気圧センサー、車体側の受信アンテナ、レシーバー、コンビネーションメーター内に配置されている警告灯、受信アンテナとレシーバーとを結ぶ同軸ケーブルおよびレシーバーとコンビネーションメーターとを結ぶ同軸ケーブルにより構成される。空気圧センサーは、通常、圧力センサーおよび電波送信機を有する基盤と電池とを有する。
空気圧直接測定方式において、空気圧センサーの圧力センサーによって測定されたタイヤ内の空気圧の情報は、電波送信機によって車体側に送信され、受信アンテナを介してレシーバーで受信される。レシーバーは、受信した空気圧の値が正常か異常かを判断し、異常の場合は、コンビネーションメーター内に配置されている警告灯を点灯させて、ドライバーにタイヤの空気圧の異常を知らせ、その点検を促す。
空気圧センサーには、タイヤホイールに取り付けられている空気注入バルブに、空気圧センサーをナットで固定して取り付けるタイプや、タイヤホイールのリムに空気圧センサーを接着剤または溶接で固定して取り付けるタイプがある。
空気注入バルブにナットで固定して取り付けるタイプの空気圧センサーは、通常、圧力センサーおよび電波発信機を内蔵する基盤と電池とバルブとケースとポッティング材とから構成される。このタイプの空気圧センサーは、バルブとケースとが一体的になっている。ケース内には基盤と電池とが収納されており、これにポッティング材を注入して硬化させ、ケースに基盤と電池とを固定させる。
タイヤホイールのリムに接着剤または溶接で固定して取り付けるタイプの空気圧センサーは、通常、圧力センサーおよび電波発信機を内蔵する基盤と電池とケースとポッティング材とから構成される。このタイプの空気圧センサーは、ケース内に基盤と電池とが収納されており、これにポッティング材を注入して硬化させ、ケースに基盤と電池とを固定させる。このタイプの空気圧センサーは、バルブがない分、空気注入バルブにナットで固定して取り付けるタイプのものよりも軽量である。
そして、このような空気圧センサーをタイヤに付ける際には、リムのどこかにタイヤのバランスを補正するためのおもりを取り付ける必要がある。
したがって、空気圧センサーが重いと、おもりとしても重いものを付けなければならず、その結果走行性に悪影響を及ぼすことが多い。このようなことから空気圧センサーは軽いものである必要がある。
従来、空気圧センサーに用いられるポッティング材としては、電子電気材料の封止を目的としたシリコーン系またはエポキシ系のものが使用されている。しかし、これらのポッティング材は比重が大きく重いという問題があった。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、硬化物の機械的特性が優れた低比重のポリオルガノシロキサン組成物の提供を目的として、「(A)分子中にケイ素官能基を2個以上有するケイ素官能性ポリオルガノシロキサン、(B)硬化触媒、(C)純度96%以上、(C)成分の静水圧による50%破壊圧100kgf/cm2以上であるホウケイ酸ガラス中空状充填剤を含むことを特徴とする低比重の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。」が提案されている。特許文献1には、(C)成分が表面の水酸基を有機ケイ素化合物により処理されたものであることが記載されている。
特許文献2には、「下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記(A)成分と(B)成分とが上記(A)成分であるエポキシ樹脂のエポキシ当量Xと上記(B)成分であるフェノール樹脂の水酸基当量
Yの合計量(X+Y)が350以上となるように設定されていることを特徴とする半導
体封止用エポキシ樹脂組成物。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)硬化促進剤。
(D)平均粒子径が4〜100μmであり、平均の殻厚みが1.5μm以上である中空無機充填剤。」が記載されている。また、中空無機充填剤の粒子表面をシランカップリング剤で予め被覆することが記載されている。
特開2000−017175号公報 特開2001−354754号公報
しかしながら、本発明者は、特許文献1に記載されている室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物について、これを静置しておいた場合、室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中でホウケイ酸ガラス中空状充填剤がすぐに分離してしまうことを見出した。このような分離について、発明者は、ホウケイ酸ガラス中空状充填剤の比重と、ケイ素官能性ポリオルガノシロキサンの比重との差が大きいことに原因があると推察した。また、特許文献1に記載されている室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物がゲル化しやすいことを見出した。
また、特許文献2に記載されている半導体封止用エポキシ樹脂組成物について、発明者は、その粘度が高く流動性が悪いこと、ゲル化しやすいことを見出した。
従って、本発明は、ガラスバルーンの分離やゲル化が起こりにくく、低粘度であり、軽量な硬化物となりうる注型用硬化性樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、硬化性樹脂と硬化剤および/または硬化触媒と特定のガラスバルーンと有する組成物であって、特定のガラスバルーンが硬化性樹脂と硬化剤および/または硬化触媒との合計量に対して特定量で含まれるのが、ガラスバルーンの分離やゲル化が起こりにくく、低粘度であり、軽量な硬化物となりうることを知見し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
(1)硬化性樹脂を含む主剤と、硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤とを有する注型用硬化性樹脂組成物であって、
前記主剤および前記添加剤のうちの少なくとも一方が、ガラスバルーンと下記式(1)で表されるケイ素原子含有化合物とを反応させることにより得られうる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを含み、
前記鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量が、前記硬化性樹脂と前記硬化剤および/または硬化触媒との合計100質量部に対し、1〜30質量部である注型用硬化性樹脂組成物。
(R1O)m−Si−R2 4-m (1)
(式中、R1は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を表し、mは1〜3の整数である。)
(2)前記鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが、前記主剤および前記添加剤の両方に含まれる上記(1)に記載の注型用硬化性樹脂組成物。
(3)硬化後の硬度が、JIS A硬度で60以上となる上記(1)または(2)に記載の注型用硬化性樹脂組成物。
(4)圧力センサーと電波送信機とを配置したケースに、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の注型用硬化性樹脂組成物を注入して硬化させることにより得られうるケース入りタイヤ空気圧センサー。
(5)圧力センサーと電波送信機とを配置した型に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の注型用硬化性樹脂組成物を注入して硬化させ、前記型から取り出すことにより得られうるケースレスタイヤ空気圧センサー。
(6)前記硬化性樹脂が、ポリイソシアネートである上記(5)に記載のケースレスタイヤ空気圧センサー。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物は、ガラスバルーンの分離やゲル化が起こりにくく、低粘度であり、軽量な硬化物となりうる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の注型用硬化性樹脂組成物について以下に詳細に説明する。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物は、
硬化性樹脂を含む主剤と、硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤とを有する注型用硬化性樹脂組成物であって、
前記主剤および添加剤のうちの少なくとも一方が、ガラスバルーンと下記式(1)で表されるケイ素原子含有化合物とを反応させることにより得られうる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを含み、
前記鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量が、前記硬化性樹脂と前記硬化剤および/または硬化触媒との合計100質量部に対し、1〜30質量部である注型用硬化性樹脂組成物である。
(R1O)m−Si−R2 4-m (1)
式中、R1は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を表し、mは1〜3の整数である。
主剤について説明する。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物に使用される主剤は、硬化性樹脂を含むものである。
主剤に含まれる硬化性樹脂は、例えば、ポッティング材、キャスティング材、電子電気機器用の封止剤、接着剤として使用されるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、反応性ポリオルガノシロキサン、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート、オレフィン化合物が挙げられる。
なかでも、硬化性、より軽量であること、流動性、電気絶縁性の観点から、反応性ポリオルガノシロキサン、オレフィン化合物が好ましい。
また、硬化性、より軽量であること、流動性、耐衝撃性、硬化物の硬度、接着性の観点から、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化性樹脂として使用されうる反応性ポリオルガノシロキサンは、反応性官能基を2個
以上有するポリオルガノシロキサンであれば特に制限されない。
反応性官能基としては、例えば、加水分解性官能基、ヒドロキシ基、アルケニル基やハイドロシリル基等が挙げられる。
加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基のような置換アルコキシ基;イソプロペノキシ基のようなエノキシ基;アセトキシ基、オクタノキシ基のようなアシルオキシ基;ジメチルケトオキシマト基、メチルエチルケトオキシマト基、ジエチルケトオキシマト基、メチルブチルケトオキシマト基、エチルブチルケトオキシマト基のようなケトオキシマト基;ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルブチルアミノ基のようなアミノ基;アセトアミド基、N−メチルアセトアミド基のようなアミド基;メチルエチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基、エチルブチルアミノキシ基のような置換アミノキシ基;N−メチルアセトアミノ基のような置換カルボニルアミノ基;ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基のような置換アミノ基が挙げられる。
反応性ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、式(2)で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。
Figure 2007320998
式中、R3は、それぞれ独立に、官能基を有してもよい1価の炭化水素基を表し、R4は、それぞれ独立に、官能基を有してもよい1価の炭化水素基を表し、Xは、それぞ
れ独立に、加水分解性基、ヒドロキシ基、アルケニル基およびハイドロシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、pは、1〜3の整数であり、nは、1〜2,000の整数である。
3は、それぞれ独立に、官能基を有してもよい1価の炭化水素基を表す。1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基が挙げられる。
また、1価の炭化水素基は、官能基を有することができる。官能基としては、例えば、塩素原子、臭素原子のようなハロゲン原子;シアノ基が挙げられる。官能基を有する1価の炭化水素基としては、例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ブロモメチル基のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基が挙げられる。
式(2)のなかの複数のR3は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。式(2)で表されるポリオルガノシロキサンに含まれるすべてのR3のうち、85%以上がメチルであるのが、合成しやすく、硬化後に良好な物性となる重合度をもち、硬化前には低粘度であるという観点から好ましく、すべてメチルであるのがより好ましい。
また、R3は、耐熱性、耐放射線性、耐寒性、透明性の観点からフェニル基であるのが好ましい。耐油性、耐溶剤性の観点からは3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−シアノプロピル基であるのが好ましい。塗装適性を有する表面を付与するという観点からは、長鎖アルキル基、アラルキル基であるのが好ましい。R3について、これらの基と、メチル基とを併用することができる。
4は、それぞれ独立に、官能基を有してもよい1価の炭化水素基を表す。R4は、R3と互いに同一でも異なっていてもよい。また、R4は、R3と同様のものを例示することができる。なかでも、反応性の観点から、メチル基、ビニル基が好ましい。
Xは、それぞれ独立に、加水分解性基、ヒドロキシ基、アルケニル基およびハイドロ
シリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
加水分解性基は、上記と同様のものが挙げられる。
なかでも、Xは、取扱い性と反応性の観点から、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシ
ルオキシ基、メチルエチルケトオキシマト基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。Xは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
pは、1〜3の整数である。
Xがヒドロキシ基の場合、硬化性、粘度、取扱い性の観点から、pは1であるのが好
ましい。
Xがヒドロキシ基であるポリオルガノシロキサンは、その製法について特に制限され
ない。例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環共重合させることにより、ポリオルガノシロキサンを製造することができる。得られたポリオルガノシロキサンの末端には、ケイ素原子に結合するヒドロキシ基が導入される。
Xが加水分解性基の場合、硬化性、粘度、取扱い性の観点から、pは1であるのが好
ましい。Xが加水分解性基であるポリオルガノシロキサンは、その製法について特に制
限されない。例えば、末端にヒドロキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、加水分解性基を2個以上有するシランとを縮合させて合成することができる。
nは、1〜2,000の整数である。nについては、25℃でのべースポリマーの粘度が、硬化後の伸び、作業性、流動性の観点から、0.02〜1,000Pa・s、好ましくは0.5〜200Pa・sの範囲になるように選択することができる。流動性、粘度、硬化物物性の観点から、nは、13〜2,000であるのが好ましい。
反応性ポリオルガノシロキサンは市販品を使用することができる。反応性ポリオルガノシロキサンの市販品としては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン社製のELASTOSIL RT601A、ELASTOSIL RT604A、ELASTOSIL RT745SAが挙げられる。
硬化性樹脂として使用されうるポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば、特に制限されない。ポリイソシアネートとしては、例えば、低分子のポリイソシアネート、ウレタンプレポリマーが挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、例えば、イソシアネート基が脂肪族炭化水素に結合しているもの、イソシアネート基が芳香環に結合しているものが挙げられる。中でも、接着発現が早いという観点、耐衝撃性、硬化物の硬度、反応性の観点から、イソシアネート基が芳香環に結合している低分子のポリイソシアネート、イソシアネート基が芳香環に結合しているウレタンプレポリマーが好ましい。
芳香環としては、例えば、ベンゼン;ナフタレン、アントラセンのような縮合多環炭化水素;フラン、チオフェン、ピロール、ピリジンのような複素環が挙げられる。芳香環はベンゼンであるのが入手がしやすいという観点から好ましい態様の1つとして挙げられる。芳香環は、イソシアネート基以外の官能基を有することができる。官能基は、その種類、位置、数について、特に限定されない。
イソシアネート基が芳香環に結合している低分子のポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、クルードMDI(CrudeMDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。なかでも、耐衝撃性、硬化物の硬度、反応性の観点から、4,4′−MDI、2,4′−MDI、クルードMDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、1,5−NDIであるのが好ましい。クルードMDIは、下記式(3)で表される化合物を2種以上含有する混合物である。
Figure 2007320998
式中、nは、0以上の整数である。
イソシアネート基が芳香環に結合している構造を有するウレタンプレポリマーとしては、例えば、上記の低分子のポリイソシアネートとポリオール化合物との反応物が挙げられる。ポリオール化合物は、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールのようなポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールおよびこれらの混合ポリオールが挙げられる。
ポリオール化合物と上記の低分子のポリイソシアネートとの組み合わせは、特に限定されない。ポリオール化合物のそれぞれと、上記の低分子のポリイソシアネートのそれぞれとを任意の組み合わせで用いることができる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシプロピレントリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種と、TDI、MDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートおよびクルードMDIからなる群から選ばれる少なくとも1種とから得られるウレタンプレポリマーが、耐衝撃性、硬化物の硬度、粘度、貯蔵安定性、入手の容易さ、反応性の点から好ましい。
ポリオール化合物と上記の低分子のポリイソシアネートとの混合比は、ポリオール化合物中のヒドロキシ基に対する上記の低分子のポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が1.3〜2.5であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。このような範囲である場合、得られるウレタンプレポリマーの粘度が適度となり、硬化物の伸びに優れる。
ポリオール化合物と上記の低分子のポリイソシアネートとの反応は、特に制限されない。例えば、上述の量比のポリオール化合物と上記の低分子のポリイソシアネートとを、50〜100℃で加熱しかくはんして製造する方法が挙げられる。必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
ポリイソシアネートは、取扱い性の観点から室温で液状であるのが好ましい。また、ポリイソシアネートは、イソシアネート基のほかに、例えば、ヒドロキシ基、酸無水物基、アミノ基、潜在性アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基のような基を分子内に有することができる。これらのようなイソシアネート基と反応し架橋できる基を有する場合、得られうる硬化物の架橋密度が向上し、物性に優れる。
硬化性樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
添加剤について以下に説明する。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物に使用される添加剤は、硬化剤および/または硬化触媒を含むものである。
添加剤に含まれる硬化剤としては、硬化性樹脂と反応可能なものであれば特に制限されない。例えば、加水分解性基を有するケイ素化合物および/またはその部分加水分解縮合物、ポリオール、アミン系硬化剤、酸または酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂が挙げられる。硬化剤は、硬化性樹脂の種類に応じて選択することができる。
なかでも、反応性ポリオルガノシロキサンの硬化剤は、反応性ポリオルガノシロキサンの反応性官能基と反応しやすく、硬化性、接着性の観点から、加水分解性基を有するケイ素化合物および/またはその部分加水分解縮合物であるのが好ましい。加水分解性基を有するケイ素化合物としては、例えば、下記式(4)で表されるケイ素化合物が挙げられる。
5 4-q−Si−Xq (4)
式中、R5は、それぞれ独立に、官能基を有してもよい1価の炭化水素基を表し、X
は、前記と同義であり、qは、2〜4の整数である。
5は、それぞれ独立に、官能基を有してもよい1価の炭化水素基を表す。
1価の炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。なかでも、硬化性の観点から、メチル基、ビニル基であるのが好ましい。
官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)が挙げられる。
官能基を有する1価の炭化水素基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、エポキシ基含有基、イソシアネート基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されたアルキル基またはフェニル基が挙げられる。また、官能基を有するアルキル基としては、例えば、上記の官能基を有するメチル基、3位に官能基を有するプロピル基、4位に官能基を有するブチル基が挙げられる。
反応性ポリオルガノシロキサンの硬化剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニル(2−エトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランおよびそれらの部分加水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有化合物;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルビニルジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなエノキシ基含有化合物が挙げられる。
さらに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリアセトアミドシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基含有シラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランのようなエポキシ基含有シラン;3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランのようなイソシアナト基含有シラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシ基含有シラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのようなメルカプト基含有シラン;3−クロロプロピルトリメトキシシランのようなハロゲン原子含有シラン;ポリハイドロシランおよびそれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
中でも反応性ポリオルガノシロキサンの硬化剤は、流動性、粘度、硬化性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物;アミノアルキル基含有シラン、(アルキル)アクリロキシ基含有シラン、ポリハイドロシランであるのが好ましい。
反応性ポリオルガノシロキサンの硬化剤は、市販品を使用することができる。反応性ポリオルガノシロキサンの硬化剤としては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン社製のELASTOSIL RT601B、ELASTOSIL RT604B、ELASTOSIL RT745SBが挙げられる。
ポリイソシアネートに対して使用しうる硬化剤としては、例えば、ポリオール、アミン系硬化剤、酸または酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂が挙げられる。なかでも、反応性および硬化物物性の観点から、アミン系硬化剤、ポリオールが好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサンのようなポリアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンのようなポリメチレンジアミン;メンセンジアミン(MDA)、イソフォロンジアミン(IPDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、三井化学(株)製のNBDAに代表されるノルボルナン骨格のジアミンのような環状脂肪族ポリアミン;メタキシリレンジアミン(MXDA)のような芳香環を含む脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタンのような芳香族ポリアミンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
また、アミン系硬化剤としては、例えば、ポリアミンにアルデヒドおよび/またはフェノールを反応させることにより得られるマンニッヒ変性ジアミン;アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト)、ポリアミン−エチレンオキシドアダクト、ポリアミン−プロピレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、脂肪族ポリアミンとケトンとの反応物であるケチミン;テトラメチルグアニジン、ピペリジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、ピコリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルアミノフェノール、ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N′−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのような第二級アミン類または第三級アミン類;トリエタノールアミン、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのようなアルカノールアミン;ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンのようなポリアミンとを反応させてなる液体ポリアミドが挙げられる。
ポリイソシアネートの硬化剤として使用されるポリオール化合物は、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールおよびこれらの混合ポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトールのような多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドのようなアルキレンオキシドの1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール;テトラヒドロフラン等の開環重合によって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
具体的なポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(例えば、トリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンのような低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンのようなラクトンの開環重合体が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、β−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種から得られうるアクリルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのようなジオール類の1種または2種以上と、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートおよびホスゲンのうちの少なくとも1種とを反応させることにより得られうるものが挙げられる。
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子ポリオールが挙げられる。
中でも、ポリイソシアネートの硬化剤として好ましいのは、作業性、取扱い性の観点から、トリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが好ましい。特に、硬化物物性の観点から、トリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびポリブタジエンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
また、ポリオール化合物は、硬化後の物性が優れることから、数平均分子量1500〜15000のポリエーテルポリオールが好ましく、2000〜10000のポリエーテルポリオールがより好ましい。
ポリイソシアネートとポリイソシアネートの硬化剤との組み合わせは、特に限定されない。ポリイソシアネートのそれぞれと、ポリイソシアネートの硬化剤のそれぞれとを任意の組み合わせで用いることができる。具体的には、例えば、ポリイソシアネートがTDI、XDI、MDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートおよびクルードMDIからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、硬化剤がトリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である組み合わせが、耐衝撃性、硬化物の硬度、反応性の点から好ましい。
硬化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化剤の含有量は特に制限されず、例えば、硬化性樹脂を硬化させうる量であれば特に制限されない。
具体的には、反応性ポリオルガノシロキサンに対する硬化剤の使用量は、混合性の観点から、反応性ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、1〜1,000質量部であるのが好ましく、5〜500質量部であるのがより好ましい。
ポリイソシアネートに対する硬化剤の使用量は、硬化剤中の官能基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル比(NCO/硬化剤の官能基)が1.3〜2.5であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。このような範囲である場合、作業性、硬化物の物性の安定性、接着性に優れている。
硬化触媒について以下に説明する。
添加剤に含有される硬化触媒は、硬化性樹脂と反応可能なものであれば特に制限されない。例えば、金属触媒、アミン系触媒、イミダゾール類(例えば、2−メチルイミダゾール)、リン系触媒(例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート)が挙げられる。硬化触媒は、硬化性樹脂に応じて選択することができる。
反応性ポリオルガノシロキサンに対して使用されうる硬化触媒としては、例えば、白金系触媒;オクタン酸コバルト、オクタン酸マンガン、オクタン酸鉄、オクタン酸亜鉛、オクタン酸スズ、ナフテン酸スズ、カプリル酸スズ、オレイン酸スズのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジブチルスズジメトキシド、ジフェニルスズジアセテート、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジブチルビス(アセチルアセトナト)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)のようなアルコキシチタン類;アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、トリエトキシアルミニウムなどの有機アルミニウム;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート、ステアリン酸トリブトキシジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;ジイソプロポキシビス(エチルアセチルアセタト)チタンのようなチタンキレート化合物;アミン化合物;第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
なかでも、微量で大きな触媒能を有するという観点から、有機スズ化合物、アルコキシチタン類、白金触媒が好ましい。
なかでも、電気絶縁性の観点から、非導電性であるのが好ましい。
ポリイソシアネートに対して使用されうる硬化触媒としては、例えば、金属触媒、アミン系触媒が挙げられる。金属触媒としては、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジブチルスズジメトキシド、ジフェニルスズジアセテート、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジブチルビス(アセチルアセトナト)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートのようなチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートのような有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートのようなキレート化合物類;オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマスのようなオクタン酸金属塩が挙げられる。
アミン系触媒としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンのようなモノアミン類;N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンのようなジアミン類;N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミンのようなトリアミン類;N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチル−N′−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのような環状アミン類;ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミンのようなアルコールアミン類;ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)アミノプロピルエーテルのようなエーテルアミン類またはこれらの塩化合物が挙げられる。
ポリイソシアネートに対して使用されうる硬化触媒の中でも、少量の使用で十分な硬化性が得られるという観点から、ジブチル錫ジアセテートのような有機スズ化合物、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが好ましい。
硬化触媒は、それぞれ単独でまたは2種以上で組合せて使用することができる。
硬化触媒は、その使用量について、特に制限されず、硬化性樹脂を十分硬化させうる量で使用することができる。
具体的には、反応性ポリオルガノシロキサンの硬化触媒の使用量は、硬化速度、硬化物物性の観点から、反応性ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0.01〜20質量部であるのが好ましく、0.1〜10質量部であるのがより好ましい。
ポリイソシアネートの硬化触媒の使用量は、硬化速度と硬化物物性の観点から、ポリイソシアネート100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部であるのがより好ましい。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンについて以下に説明する。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物に含まれる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、ガラスバルーンと、下記式(1)で表されるケイ素原子含有化合物とを反応させることにより得られうるものである。
(R1O)m−Si−R2 4-m (1)
式中、R1は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を表し、mは1〜3の整数である。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの製造の際使用されるガラスバルーンは、ガラスの中空体であれば特に制限されない。ガラスバルーンの平均粒子径は、機械的強度、低比重の観点から、20〜60μmであるのが好ましく、30〜50μmであるのがより好ましい。ガラスバルーンのかさ密度は、機械的強度、低比重の観点から、0.1〜0.4g/mlであるのが好ましい。また、ガラスバルーンの平均の殻の厚みは、機械的強度の観点から、2〜4μmであるのが好ましい。
ガラスバルーンとしては、例えば、温度500〜700℃、好ましくは550〜650℃、圧力0.1×106〜0.6×106Pa、好ましくは0.1×106〜0.4×106Pa、好ましくは窒素零囲気の条件下に5〜120分焼成されたものを使用することができる。また、酸による表面処理を施されたガラスバルーンを使用することができる。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの製造の際使用されるケイ素原子含有化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
(R1O)m−Si−R2 4-m (1)
式中、R1は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を表し、mは1〜3の整数である。
1は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。アルキル基は、炭素原子原子数1〜5であるのが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、
ベンジル基、フェネチル基が挙げられる。なかでも、反応性の観点から、R1はメチル基であるのが好ましく、すべてのR1がメチル基であるのがより好ましい。
2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を表す。
炭素原子数は、硬化性樹脂に対する分散性、分散安定性の観点から、3〜20であるのが好ましく、3〜15であるのがより好ましい。
鎖状飽和炭化水素基としては、直鎖状または分岐状のものが挙げられる。具体的には、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基が挙げられる。なかでも、ガラスバルーンがより分離しにくく、入手の容易さの観点から、n−ヘキシル基、n−デシル基が好ましい。
ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子が挙げられる。ヘテロ原子により形成される基としては、例えば、カルボニル基、尿素基(カルバミド基)のような官能基;エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合のような結合が挙げられる。
ヘテロ原子は、鎖状飽和炭化水素基の主鎖中、または、式(1)中のケイ素原子と鎖状飽和炭化水素基との間に存在することができる。ヘテロ原子は、鎖状飽和炭化水素基がケイ素原子と結合する末端に対して反対側の末端には存在しない。つまり、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの製造の際使用されるケイ素原子含有化合物は、鎖状飽和炭化水素基の末端に官能基を有さない。このようなケイ素原子含有化合物とガラスバルーンとを反応させることにより得られうる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、注型用硬化性樹脂組成物中において、ほかの成分と反応を起こしにくいので、ゲル化しにくく、貯蔵安定性、分散安定性に優れる。
ヘテロ原子を含む鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、−CH2CH2CH2−NH−C(=O)O−(CH2CH2CH2n−OR(例えば、Rはメチル基、エチル基を表し、nは1〜5の整数を表す。)、イソシアネートシランとモノアルコールとの反応物が挙げられる。
2は、硬化性樹脂に対する親和性を考慮して適宜選択することができる。例えば、硬化性樹脂が反応性ポリオルガノシロキサンの場合、R2は、n−ヘキシル基、n−デシル基であるのが好ましい。また、硬化性樹脂がポリイソシアネートの場合、R2は、上記のような−CH2CH2CH2−NH−C(=O)O−(CH2CH2CH2n−OR(例えば、Rはメチル基、エチル基を表し、nは1〜5の整数を表す。)であるのが好ましい。
ケイ素原子含有化合物としては、例えば、n−ヘキシルトリメトキシシラン、(CH30)3−Si−CH2CH2CH2−NH−C(=O)O−(CH2CH2CH2n−OCH3(n=2)、イソシアネートシランとモノアルコールとの反応物が挙げられる。
式(1)で表されるケイ素原子含有化合物の使用量は、分散性、混合性、作業性、取扱い性の観点から、ガラスバルーン100質量部に対して、10〜1,000質量部であるのが好ましく、100〜500質量部であるのがより好ましい。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの製造は、特に制限されず、例えば、ガラスバルーンと、式(1)で表されるケイ素原子含有化合物とを混合しかくはんすればよい。また、反応を促進させるために加熱することができる。例えば、n−ヘキシルトリメトキシシランを用いる場合は、50〜150℃で24〜48時間加熱しかくはんする方法が挙げられる。
ガラスバルーンと、式(1)で表されるケイ素原子含有化合物との反応として、式(1)で表されるケイ素原子含有化合物がn−ヘキシルトリメトキシシランである場合を例として以下に説明する。なお、ガラスバルーンと、式(1)で表されるケイ素原子含有化合物との反応は、以下の例に限定されない。
Figure 2007320998
式(I)において、(a)はn−ヘキシルトリメトキシシランを、(b)はガラスバルーンの表面に複数存在するシラノール基の1個を表す。
式(I)において、n−ヘキシルトリメトキシシラン(a)のメトキシ基が、ガラスバルーンの表面のシラノール基(b)とアルコール交換反応して新たなシロキサン結合(c)が生成する。このような反応によって、ガラスバルーンは、n−ヘキシル基を含有することができる。
なお、1つのn−ヘキシルトリメトキシシラン(a)は、1つのガラスバルーンの表面上の少なくとも1箇所でシラノール基(b)と反応すればよい。このような場合、得られるガラスバルーンは、n−ヘキシル基を少なくとも1個含有するものとなる。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンとしては、例えば、ガラスバルーンとn−ヘキシルトリメトキシシランとを反応させることにより得られうるn−ヘキシル基を含有するガラスバルーン、ガラスバルーンと(CH3O)3−Si−CH2CH2CH2−NH−C(=O)O−(CH2CH2CH2n−OCH3(n=2)とを反応させることにより得られうる−Si−(OCHO)2−CH2CH2CH2−NH−C(=O)O−(CH2CH2CH2n−OCH3(n=2)を含有するガラスバルーンが挙げられる。なかでも、ガラスバルーンの分離がより起こりにくく、ゲル化しにくく、低粘度であり、軽量な硬化物となりうることから、ガラスバルーンとn−ヘキシルトリメトキシシランとを反応させることにより得られうるn−ヘキシル基を含有するガラスバルーンが好ましい。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量は、硬化性樹脂と硬化剤および/または硬化触媒との合計量100質量部に対して、1〜30質量部である。このような範囲の場合、粘度、機械的強度、耐衝撃性、作業性、比重の低減化に優れる。さらにこのような効果に優れることから、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量は、硬化性樹脂と硬化剤および/または硬化触媒との合計量100質量部に対して、5〜30質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物において、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、主剤および添加剤のうちの少なくとも一方に含まれる。なかでも、主剤と添加剤との混合性の観点から、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが、主剤および添加剤の両方に含まれるのが好ましい。鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが、主剤および添加剤の両方に含まれる場合、主剤に含まれる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、硬化性樹脂100質量部に対して、5〜30質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。また、添加剤に含まれる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、硬化剤および硬化触媒の合計量100質量部に対して、5〜30質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。このような範囲の場合、主剤と添加剤との粘度がほぼ同じまたは近い値となるため、主剤と添加剤との混合性に優れる。
主剤の粘度は、20℃の条件下でのE型粘度計による測定値が、混合性、流動性、吐出性の観点から、20Pa・S以下であるのが好ましく、0.1〜10Pa・Sであるのがより好ましい。
添加剤の粘度は、20℃の条件下でのE型粘度計による測定値が、混合性、流動性、吐出性の観点から、10Pa・S以下であるのが好ましく、0.01〜5Pa・Sであるのがより好ましい。
本発明の注型用硬化性樹脂細成物においては、硬化性樹脂、硬化剤および/または硬化触媒、ならびに鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーン以外に、本発明の目的を損わない範囲で、配合剤を含有することができる。配合剤としては、例えば、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、無機顔料、有機顔料、接着付与剤、難燃剤、脱水剤、溶剤、チクソトロピー付与剤、帯電防止剤が挙げられる。配合剤の量は、特に制限されず、注型用硬化性樹脂組成物において一般的に使用されうる量を配合することができる。配合剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。配合剤は、通常、添加剤に含有させるが、用途や必要に応じて、主剤に含有させることもできる。
充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;けいそう土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、ウレタン化合物処理物が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ジイソノニルアジペート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、亜リン酸トリフェニルが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の化合物が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
接着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、メチルホスホン酸ジメチルエステル、臭素原子および/またはリン原子含有化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチル・ビスヒドロキシエチル・アミノエチルホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
脱水剤としては、例えば、アシロキシシリル基含有ポリシロキサンが挙げられる。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物は、その調製方法について、特に限定されない。例えば、硬化性樹脂を含む主剤と、硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤との両方に鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを添加し、必要に応じて任意成分を加えた後、充分に混練する方法が挙げられる。混練後、主剤および添加剤は、例えば、窒素ガスのような不活性ガスで置換された密閉容器に別々に保存され、使用時に主剤と添加剤とを充分に混合して使用することができる。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物は、空気中の湿気等によって硬化することができる。本発明の注型用硬化性樹脂組成物の硬化温度は、硬化速度の観点から、または本発明の注型用硬化性樹脂組成物をタイヤ空気圧センサー用の注型用硬化性樹脂組成物として使用する場合電池の寿命の観点から、20〜120℃であるのが好ましく、20〜100℃であるのがより好ましい。
例えば、硬化性樹脂として反応性ポリオルガノシロキサンを使用する場合、反応性ポリオルガノシロキサンと硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤とを、室温(例えば、5〜35℃)で混合し、硬化させることができる。
また、硬化性樹脂としてポリイソシアネートを使用する場合、ポリイソシアネートと硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤とを、5〜100℃で加熱しかくはんして硬化させる方法が挙げられる。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、その硬度がJIS A硬度で60以上となるのが、耐衝撃性の観点から好ましい。耐衝撃性、機械的強度の観点から、硬化後の硬度は、80以上であるのが好ましく、85〜100であるのがより好ましい。JIS A硬度は、JIS K6253−1997に準拠して測定される硬度である。
硬化物の硬度がこのような範囲となる硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせとしては、例えば、硬化性樹脂がTDI、XDI、MDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートおよびクルードMDIからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートであり、硬化剤がトリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンテトラオールおよびポリオキシプロピレントリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールである組み合わせが挙げられる。なかでも、硬化性樹脂がMDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートおよびクルードMDIからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートであり、硬化剤がトリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよびポリブタジエンポリオールである組み合わせが、より硬度が高くなることから好ましい。
本発明者は、従来の硬化性樹脂組成物におけるガラスバルーンの分離について、ガラスバルーンの比重と、硬化性樹脂の比重との差が大きいことに原因があると推察した。そして、本発明者は、ガラスバルーンと、硬化性樹脂組成物中のガラスバルーン以外の成分との親和性を高めることによって、ガラスバルーンが硬化性樹脂組成物から分離しにくくなることに想到し、硬化性樹脂組成物中での親和性を高めるためには、ガラスバルーンとして、上記の鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが好適であることを見出したのである。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物において、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは硬化性樹脂と比重の差が大きくても、分離しにくい。
このように、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが組成物中で分離しにくいのは、(1)鎖状飽和炭化水素基が炭素原子数3以上と長いこと、(2)鎖状飽和炭化水素基が硬化性樹脂に対する高い親和性を有すること、(3)鎖状飽和炭化水素基が組成物中において縮こまらず、長く伸びた状態であることによって、硬化性樹脂と鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンとのなじみがよくなり、かつ、組成物中において鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが比重の違いによって移動しようとするのを抑制することができるためであると、本発明者は推察する。
このようなことから、本発明の注型用硬化性樹脂組成物は、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが分離しにくく分散性に優れる。また、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが分離するような場合も、その分離速度は遅いので、組成物を混合した後鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンがすぐに組成物中で分離することはなく、貯蔵安定性に優れる。
本発明の注型用硬化性樹脂組成物は、その用途について、例えば、ポッティング材、キャスティング材、電子電気機器の封止材、接着剤、シーリング材が挙げられる。
また、本発明の注型用硬化性樹脂組成物を上記のようなポッティング材、キャスティング材、電子電気機器の封止材として使用することにより、例えば、タイヤ空気圧センサー、速度センサーを製造することができる。
次に、本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーについて説明する。
本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーは、圧力センサーと電波送信機とを配置したケースに、本発明の注型用硬化性樹脂組成物を注入して硬化させることにより得られうるタイヤ空気圧センサーである。
本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーに使用される注型用硬化性樹脂組成物は、本発明の注型用硬化性樹脂組成物であれば特に制限されない。なかでも、流動性、電気絶縁性の観点から、硬化性樹脂が反応性ポリオルガノシロキサンであり、硬化剤がポリハイドロシランであり、硬化触媒が白金触媒であり、n−ヘキシル基を含有するガラスバルーンであるのが好ましい。各成分の使用量は上記と同様である。
本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーについて添付の図面を用いて以下に説明する。なお、本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーは、添付の図面に限定されない。
図1は、ケース入りタイヤ空気圧センサーの外観を模式的に示す上面側からの斜視図である。図1において、5はケース入りタイヤ空気圧センサーを表す。ケース入りタイヤ空気圧センサー5は、上下に二分割された蓋側ケース6a、べース側ケース6bを有し、蓋側ケース6aの一部には、圧力センサー(図示せず)によりタイヤ(図示せず)内の圧力を検出できるように小さな連通穴9が設けられている。蓋側ケース6a、ベース側ケース6bとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のような硬質樹脂製のものが使用できる。
図2は、ケース入りタイヤ空気圧センサー5の外観を模式的に示す底面側からの斜視図である。べース側ケース6bの長手方向の取付け部の底面6xは平面とすることもで
きるが、タイヤのリム(図示せず)の曲率に沿って密着し易いように湾曲させるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
図3は、図1の矢印の方向から見たケース入りタイヤ空気圧センサー5の側面を模式的に示す側面図である。図2および図3に示すように、ケース入りタイヤ空気圧センサー5の幅方向の両側は、リムフランジ(図示せず)と干渉しないように面取り部6yを設けることができる。
また、種々の曲率形状のリム(図示せず)に対応して取付けられるように、ベース側ケース6bの取付け部の底面6xに、図2および図3に示すような複数の突起部11を
設けることが可能である。この突起部11を設けることで、リムの曲率が変化した場合や、形状が変化した場合にも、接着手段の厚さを調整することが可能となり、あらゆる形態のリム取付け部にも対応させることができる。突起部11の形状としては、例えば、図2、図3のようなピン状の突起、板状の突起、その他種々の形態のものが挙げられる。
図4は、ケース入りタイヤ空気圧センサー5の外観を模式的に示す平面図である。蓋側ケース6aには、連通穴9が2個設けられている。
図5は、ケース入りタイヤ空気圧センサー5の内部構造を模式的に示す平面図であり、図6は、図5のケース入りタイヤ空気圧センサー5のA−A断面図であり、図7は、図5のケース入りタイヤ空気圧センサー5のB−B断面図である。
図5に示すように、ベース側ケース6bには、電池7と、基盤8とが配置されている。基盤8には、圧力センサー(図示せず)と電波送信機(図示せず)とが内蔵されている。
また、図6に示すように、蓋側ケース6aと、ベース側ケース6bとは、複数の連結ネジ10により連結されている。
図7に示すように、電池7と基盤8とはベース側ケース6bに、それぞれの支持部材9a、9bを介して収容されている。
本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーの製造方法としては、例えば、図5のように、ベース側ケース6bに電池7と基盤8とを配置して、本発明の注型用硬化性樹脂組成物を少量吐出装置(図示せず。)を用いて基盤8の上に注入し、図7の領域13(ドットで示されている領域)で示される空間に本発明の注型用硬化性樹脂組成物を充填させる。この後、ベース側ケース6b内の組成物を、例えば、20〜100℃の条件下で、5分〜24時間硬化させて、硬化後、ベース側ケース6bに蓋側ケース6aで蓋をし、連結ネジ10でベース側ケース6bと蓋側ケース6aとを連結して、ケース入りタイヤ空気圧センサーを製造する方法が挙げられる。
本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーの重さは、1個当たり、50g以下であるのが好ましい態様として挙げられる。
本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーは、例えば、タイヤホイールの一部に、接着剤、両面接着テープのような接着手段を用いて取り付けることができる。
次に、本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーについて説明する。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーは、圧力センサーと電波送信機とを配置した型に、本発明の注型用硬化性樹脂組成物を注入して硬化させ、型から取り出すことにより得られうるタイヤ空気圧センサーである。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーに使用される注型用硬化性樹脂組成物は、本発明の注型用硬化性樹脂組成物であれば特に制限されない。
なかでも、流動性、耐衝撃性、硬化物の硬度、取扱い性の観点から、硬化性樹脂がポリイソシアネートであるのが好ましく、接着発現が早いという観点、耐衝撃性、硬化物の硬度により優れ、反応性の観点から、イソシアネート基が芳香環に結合している低分子のポリイソシアネートであるのがより好ましく、4,4′−MDI、2,4′−MDI、クルードMDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートであるのがさらに好ましい。
硬化剤は、作業性、取扱い性の観点から、ポリオール化合物であるのが好ましく、トリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオールであるのがより好ましい。
硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせは、特に制限されず、例えば、TDI、XDI、NDI、MDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートおよびクルードMDIからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートと、トリエチレングリコール、N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤とから得られるウレタンプレポリマーが、耐衝撃性、硬度、反応性の点から好ましい。
硬化触媒は、硬化性、配合量の観点から、スズ系化合物および/またはアミン系化合物であるのが好ましい。
鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンは、分散性、入手の容易さの観点から、n−ヘキシル基を含有するガラスバルーンであるのが好ましい。
各成分の使用量は上記と同様である。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーの製造方法としては、例えば、金型のような型内に、圧力センサーと電波送信機とを配置し、次いで、型内に本発明の注型用硬化性樹脂組成物を十分に注入した後硬化させ、型から取り出す方法が挙げられる。圧力センサーおよび電波送信機は、例えば、別々に型内に配置されてもよいし、圧力センサーおよび電波送信機を内蔵する基板として型内に配置されることができる。また、必要に応じてさらに電池を用いることができる。
また、本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーを製造する際、本発明の注型用硬化性樹脂組成物を、少なくとも圧力センサーおよび電波送信機の上にポッティングし硬化させてケースレスタイヤ空気圧センサーとすることができる。また、圧力センサーおよび電波送信機を本発明の注型用硬化性樹脂組成物に埋め込んで硬化させケースレスタイヤ空気圧センサーとすることができる。なかでも、耐衝撃性、機械的強度、回路の保護の観点から、圧力センサーおよび電波送信機を本発明の注型用硬化性樹脂組成物に埋め込んで硬化させるのが好ましい。
型内での硬化温度は、20〜100℃であるのが好ましい。型にはあらかじめ離型剤を塗布しておくことができる。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーは、本発明の注型用硬化性樹脂組成物から得られうる硬化物について、その硬度が高くなるものを使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。このような場合、硬度の高い硬化物がケースの役割を果たすことができる。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーに使用される注型用硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、その硬度がJIS A硬度で60以上となるのが、耐衝撃性の観点から好ましい。また、耐衝撃性、機械的強度の観点から、硬化後の硬度は、80以上であるのが好ましく、85〜100であるのがより好ましい。このような範囲の場合、タイヤの製造時またはタイヤを車に組み込む際の衝撃によって、ケースレスタイヤ空気圧センサーが破損しにくくなる。JIS A硬度の測定方法は、上記と同様である。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーの重さは、1個当たり、30g以下であるのが好ましい態様として挙げられる。
本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーについて添付の図面を用いて説明する。なお、本発明のケースレスタイヤ空気圧は添付の図面に限定されない。
図8は、本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーを取付けたタイヤホイールを有するタイヤの一部を切欠して、タイヤの内部構造を模式的に示す斜視図である。図8において、1はタイヤ、2はタイヤホイール、3はリム、4はリムフランジ、15はケースレスタイヤ空気圧センサーを示す。
ケースレスタイヤ空気圧センサー15においては、その表面は、本発明の注型用硬化性樹脂組成物の硬化物であり、その内部に、電池(図示せず)と圧力センサーおよび電波送信機を内蔵した基盤(図示せず)とが埋め込まれている。また、ケースレスタイヤ空気圧センサー15には、圧力センサー(図示せず)によりタイヤ1内の圧力を検出できるように小さな連通穴9が設けられている。ケースレスタイヤ空気圧センサー15は、ケースを使用しないので、図1〜図3のケース入りタイヤ空気圧センサーのように上下に分割されていない。
そして、ケースレスタイヤ空気圧センサー15は、例えば、接着剤、両面接着テープのような接着手段(図示せず)を介してリム3の表面の一部に対して取付けられている。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.ガラスバルーン1の調製
ガラスバルーン100質量部(富士シリシア化学社製、フジバルーンH−40)に、n−ヘキシルトリメトキシシラン100質量部(信越化学社製)を加え、80℃に加熱しかくはんし、生成するメタノールを留去しながら24時間反応させて、表面にn−ヘキシル基が結合しているガラスバルーンを得た。
2.評価方法
第1表に示す各実施例の注型用硬化性樹脂組成物について、分散性、粘度、混合性、硬化物の比重、硬化時間を下記の評価方法に従って評価した。結果を第1表に示す。なお、第1表中に示す各成分の配合量の単位は質量部である。
2−1.分散性
A液、B液およびA液とB液との混合液のそれぞれについて、配合から1時間後の各液の分散性を目視で確認した。
ガラスバルーンが液の上層に浮いて分離している場合やガラスバルーンが液の中で層となって分離している場合を×とし、液のなかでガラスバルーンが均一に分散および/または混合している場合を○として評価した。
2−2.粘度
第1表のとおりの配合で、A液、B液およびA液とB液との混合液のそれぞれについて、E型粘度計を用いて20℃の条件下で粘度を測定した。
2−3.混合性
第1表のとおりの配合で、A液とB液とをスタティックミキサーで混合した。
A液とB液が均一に混合された場合を○、A液とB液が均一に混合されず硬化が均一に起こらない場合を×とした。
2−4.硬化物の比重
各注型用硬化性樹脂組成物1gを、20℃、65%RHの条件下で24時間硬化させた後、得られた硬化物の比重を水中置換法によって25℃の条件下において測定した。
2−5.硬化時間
注型用硬化性樹脂組成物を縦6cm、横2.5cmの容器に高さ1cmとなるように入れて、23℃、65%RHの条件下で硬化するまでの時間を、硬化温度を変えて測定した。
3.注型用硬化性樹脂組成物
第1表に示す各成分を、第1表に示す量(単位は質量部)で混合し、各注型用硬化性樹脂組成物を調製した。
Figure 2007320998
第1表中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
・シリコーン樹脂1:ELASTOSIL RT601A、旭化成ワッカーシリコーン社製
・シリコーン樹脂2:ELASTOSIL RT604A、旭化成ワッカーシリコーン社製
・シリコーン樹脂3:ELASTOSIL RT745SA、旭化成ワッカーシリコーン社製
・硬化剤1:ELASTOSIL RT601B、旭化成ワッカーシリコーン社製
・硬化剤2:ELASTOSIL RT604B、旭化成ワッカーシリコーン社製
・硬化剤3:ELASTOSIL RT745SB、旭化成ワッカーシリコーン社製
・ガラスバルーン1:上記のとおり調製したガラスバルーン
・ガラスバルーン2:フジバルーンH−40、富士シリシア化学社製
4.ケースレスタイヤ空気圧センサーの作製
第2表に示す注型用硬化性樹脂組成物を用いてケースレスタイヤ空気圧センサーを次のように作製した。
まず、金型に、圧力センサーと電波発信機とを内蔵する基盤(1個あたり3g)と電池(1個あたり6.5g)とをセットし、金型を閉じて、注型用硬化性樹脂組成物を注入した。注入を完了後、金型温度20℃の条件下で、10分間硬化させ、金型からケースレスタイヤ空気圧センサーを取り出した。得られたケースレスタイヤ空気圧センサーの重さを第2表に示す。
5.ケースレスタイヤ空気圧センサーの評価
得られたケースレスタイヤ空気圧センサーについて、JIS A硬度、耐衝撃性を下記の方法で測定し評価した。結果を第2表に示す。
5−1.JIS A硬度
JIS K6253−1997に準じて、ケースレスタイヤ空気圧センサーのJIS A硬度を測定した。
5−2.耐衝撃性
JIS K7110−1997に準じて、アイゾット衝撃試験機を用い、アイゾット衝撃試験機で試験体としてのケースレスタイヤ空気圧センサーに1kgf・cmの衝撃エネルギーを与える耐衝撃性試験を行った。
試験後、試験体に割れが認められなかったものを○、認められたものを×として評価した。
なお、第2表の実施例7、比較例6〜8についても、上記と同様の方法で分散性、粘度、混合性、硬化物の比重を評価した。結果を第2表に示す。
Figure 2007320998
第2表中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
・ポリイソシアネート:クルードMDI(PAPI135、ダウ・ケミカル日本社製、式(3)で表される化合物を2種以上含む混合物。nの平均値=2.7)
Figure 2007320998
・硬化剤4:N,N′−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(EDP−300、旭電化社製)40質量部と、トリエチレングリコール40質量部と、ポリブタジエンポリオール(R45HT、出光興産社製)20質量部との混合物
・硬化触媒1:4価スズ化合物(商品名No918、三共有機合成社製)
・硬化触媒2:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、和光純薬社製
・ガラスバルーン1:上記のとおり調製したガラスバルーン
・ガラスバルーン2:フジバルーンH−40、富士シリシア化学社製
第1表および第2表に示す結果から明らかなように、実施例1〜7の注型用硬化性樹脂組成物は、分散性に優れる。これに対して、表面処理されていないガラスバルーンを使用する比較例5および比較例7はA液、B液、A液とB液との混合液のいずれも分散性が低い。
また、実施例1〜7の注型用硬化性樹脂組成物においては、A液、B液およびこれらの混合液の粘度が低い。実施例1〜7の注型用硬化性樹脂組成物は、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンと硬化性樹脂との親和性が高くなっていることから粘度が高くなることが予想されるが、しかし、予想に反して、粘度を低く抑えることができた。これに対して、比較例4および比較例8は鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量が多すぎるので、粘度が高く、流動性、作業性に劣る。
さらに、A液とB液との混合液はその粘度が低いことから、本発明の注型用硬化性樹脂組成物はゲル化しにくいことがわかる。これは、鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが鎖状飽和炭化水素基の末端に官能基を有さず、このような末端は硬化性樹脂、硬化剤および硬化触媒と反応しないためと本発明者は推察する。
実施例1〜7の注型用硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、比重が低く軽量である。
実施例1〜7の注型用硬化性樹脂組成物は、A液とB液との両方に鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを含むため、A液とB液との混合性に優れる。
第2表に示す結果から明らかなように、実施例7の注型用硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、硬度、耐衝撃性に優れる。これに対して、比較例8は鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量が多すぎるため、耐衝撃性に劣る。比較例6は鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを含まないため、硬度が低い。
図1は、本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーの外観を模式的に示す上面側からの斜視図である。 図2は、本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーの外観を模式的に示す底面側からの斜視図である。 図3は、図1の矢印の方向から見たケース入りタイヤ空気圧センサーの側面を模式的に示す側面図である。 図4は、本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーの外観を模式的に示す平面図である。 図5は、本発明のケース入りタイヤ空気圧センサーの内部構造を模式的に示す平面図である。 図6は、図5のケース入りタイヤ空気圧センサー5のA−A断面図である。 図7は、図5のケース入りタイヤ空気圧センサー5のBーB断面図である。 図8は、本発明のケースレスタイヤ空気圧センサーを取付けたタイヤホイールを有するタイヤの一部を切欠して、タイヤの内部構造を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 タイヤ
2 タイヤホイール
3 リム
4 リムフランジ
5 ケース入りタイヤ空気圧センサー
6a 蓋側ケース
6b ベース側ケース
6x ベース側ケース6bの長手方向の取付け部の底面
6y ケース入りタイヤ空気圧センサー5の幅方向の面取り部
7 電池
8 基盤
9 連通穴
9a 支持部材
9b 支持部材
10 連結ネジ
11 突起部
13 領域
15 ケースレスタイヤ空気圧センサー

Claims (6)

  1. 硬化性樹脂を含む主剤と、硬化剤および/または硬化触媒を含む添加剤とを有する注型用硬化性樹脂組成物であって、
    前記主剤および前記添加剤のうちの少なくとも一方が、ガラスバルーンと下記式(1)で表されるケイ素原子含有化合物とを反応させることにより得られうる鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンを含み、
    前記鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンの量が、前記硬化性樹脂と前記硬化剤および/または硬化触媒との合計100質量部に対し、1〜30質量部である注型用硬化性樹脂組成物。
    (R1O)m−Si−R2 4-m (1)
    (式中、R1は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3以上の1価の鎖状飽和炭化水素基を表し、mは1〜3の整数である。)
  2. 前記鎖状飽和炭化水素基含有ガラスバルーンが、前記主剤および前記添加剤の両方に含まれる請求項1に記載の注型用硬化性樹脂組成物。
  3. 硬化後の硬度が、JIS A硬度で60以上となる請求項1または2に記載の注型用硬化性樹脂組成物。
  4. 圧力センサーと電波送信機とを配置したケースに、請求項1〜3のいずれかに記載の注型用硬化性樹脂組成物を注入して硬化させることにより得られうるケース入りタイヤ空気圧センサー。
  5. 圧力センサーと電波送信機とを配置した型に、請求項1〜3のいずれかに記載の注型用硬化性樹脂組成物を注入して硬化させ、前記型から取り出すことにより得られうるケースレスタイヤ空気圧センサー。
  6. 前記硬化性樹脂が、ポリイソシアネートである請求項5に記載のケースレスタイヤ空気圧センサー。

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