JP2007320982A - 床用つや出し剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は床用つや出し剤組成物に関する。
従来床用つや出し剤組成物(またはフロアーポリッシュ組成物)には、可塑剤兼レベリング助剤として、含リン化合物、例えばトリブトキシエチルホスフェートや、フタル酸エステル、例えばジブチルフタレート等が配合されてきた。しかしながら、含リン化合物については、特許文献1や本出願人による特許文献2において指摘されているように、環境問題や公害問題を引き起こす可能性がある。フタル酸エステルについては、特許文献2において生物への毒性が疑われるとの指摘がなされている。かかることから、含リン化合物やフタル酸エステルと同等の機能性を付与し、且つ環境に対して悪影響を及ぼさないような化合物を配合した床用つや出し剤組成物が望まれている。
そこでトリブトキシエチルホスフェートの代替剤として、先に本出願人は特許文献2において、ポリエトキシ化第2級アルコールを提案した。ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールは、つや出し成分である水不溶性ポリマーとの相溶性や水との親和性がよいため、該アルコールが適量含有された床用つや出し剤組成物は配合物としての安定性が良く且つ良好な塗り延ばし性を発現する。
しかしながら、床用つや出し剤組成物の乾燥後の皮膜を観察すると、レベリング性の不足によりモップのような塗布用具による塗布痕跡が残ることがある。従って、日光が差し込んでくる部屋において逆光から床面を見ると塗布痕跡が浮かび上がってしまうことがある。また、一回の塗布作業で床面を高光沢にすることを目的として前記のアルコールを含んだ床用つや出し剤組成物の塗布量を多くしてしまうと、床面に対して弾いたような液溜まりが出来た状態で乾燥皮膜が出来上がってしまい、良好な仕上りにならないことがある。つまり、レベリング性が不足してしまうことがある。これを解決するために床用つや出し剤組成物に対するポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールの含有量を更に増やすと、床用つや出し剤組成物の粘度が上がってしまい良好な塗り延ばし性が得られなくなるおそれがある。また、エチレンオキサイド付加モル数が5を超えたものである場合には含有量を増やすと、床用つや出し剤組成物の乾燥皮膜の耐水性が悪化することがある。エチレンオキサイド付加モル数が5より少ないものである場合は含有量を増やすと、床用つや出し剤組成物の乾燥皮膜がべたついてしまうことがある。
従って本発明の目的は、前述した従来技術よりも性能が一層向上した床用つや出し剤組成物を提供することにある。
以上の状況において、本発明者らは水不溶性ポリマー及びポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールを含有する床用つや出し剤組成物に種々の添加剤を配合し、その塗り延ばし性や水不溶性ポリマーとの相溶性、光沢、耐久性等について検討してきた結果、添加剤として特定のカルボン酸エステルを配合すれば、塗り延ばし性及びレベリング性が良好で、且つ環境に対して悪影響を及ぼさない床用つや出し剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(a)水不溶性ポリマー、(b)ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコール、及び(c)下記一般式(1)で表される化合物を含有する床用つや出し剤組成物を提供するものである。
本発明の床用つや出し剤組成物は、環境や生物に対する悪影響がなく、良好な塗り延ばし性とレベリング性を有するものである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の床用つや出し剤組成物に含まれる成分である水不溶性ポリマーは、フローリング等の床に皮膜を形成することにより、つやを付与する成分である。水不溶性ポリマーとしては、各種の皮膜形成性ポリマーを用いることができる。水不溶性ポリマーとしては、例えばエチレン性不飽和モノマーの重合物、好ましくはエチレン性不飽和モノマーの乳化重合物が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーとしては、C1〜C8のアルキルアクリレート又はメタクリレート、モノ又はジ−(C1〜C5)アルキルイタコネート又はフマレート、マレイン酸無水物、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロトン酸、ベータアクリロキシプロピオン酸、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキルアクリレート又はメタクリレート、ジビニルベンゼンが挙げられる。これらのモノマーは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、特にC1〜C8のアルキルアクリレート又はメタクリレート、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、ジビニルベンゼンなどが好ましい。
水不溶性ポリマーとしては、更に必要に応じてウレタン結合を有するポリマーを一部含有しても構わない。
水不溶性ポリマーは、ラテックスの形態で組成物に配合されることが好ましい。水不溶性ポリマーの配合量は、固形分として3〜50重量%、特に5〜20重量%であることが好ましい。
本発明の床用つや出し剤組成物に含まれる成分であるポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールは、該つや出し剤組成物の塗り延ばし性を向上させるものである。ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールは、つや出し成分である水不溶性ポリマーとの相溶性がよく、しかも水との親和性がよいため、該アルコールが適量含有された床用つや出し剤組成物は、配合物としての安定性が良く且つ良好な塗り延ばし性を発現する。
ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールとしては、以下の式(2)及び(3)で表される繰り返し単位が直線状、且つランダムに結合し、両末端がメチル基である化合物が好ましい。このうち、a+bは平均で11〜13であることが好ましい。cは平均で3であることが好ましい。ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールの好ましい例としては、株式会社日本触媒製のソフタノール(登録商標)が挙げられる。
ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコールの配合量は、床用つや出し剤組成物に0.01〜3重量%、特に0.1〜1.5重量%であることが好ましい。
本発明の床用つや出し剤組成物に含まれる成分である下記一般式(1)で表される化合物(以下、カルボン酸エステルともいう)は、可塑剤兼レベリング剤としての働きを有するものである。このカルボン酸エステルを配合することで、つや出し剤組成物は塗り延ばし性及びレベリング性が良好なものになる。しかもこのカルボン酸エステルは環境に対して悪影響を及ぼさない物質である。
前記のカルボン酸エステルにおいて、式1中、R1、R3、R4のアルキル基としては、炭素数3〜6の直鎖又は分岐鎖のものが好適に用いられる。特に好ましいアルキル基はイソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、イソペンチル基、n−ペンチル基、イソヘキシル基、n−ヘキシル基である。前記のカルボン酸エステルにおけるR1、R3、R4は同じでもよく又は異なっていてもよい。また、R2のアルキレン基としては、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のものが好適に用いられる。これらのうち、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートに代表される2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアルキレートが好ましい。尚、前記のカルボン酸エステルは、構造の異なる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記のカルボン酸エステルの配合量は、床用つや出し剤組成物中に、0.05〜3重量%、特に0.2〜2.5重量%であることが、床面の仕上がり性が良好になる点から好ましい。
本発明の床用つや出し剤組成物においては、組成物中における水不溶性ポリマーの固形分とエステル化合物との重量比を、220:1〜6:1、特に110:1〜11:1、とりわけ24:1〜13:1に設定することが好ましい。水不溶性ポリマーの固形分とエステル化合物との重量比をこの範囲とすることで、床用つや出し剤組成物の塗り延ばしを行うときに、泡の残留を効果的に防ぐことができる。またレベリング性が一層向上し、乾燥皮膜が一層均一なものとなる。
本発明の床用つや出し剤組成物には、上述の成分に加えて更に他の成分を配合することができる。例えばグルコール系溶剤を配合することができる。グリコール系溶剤としては、アルキレングリコールアルキルエーテルを用いることが好ましい。特に、R1O(C2H4O)a(C3H6O)bR2(式中、R1及びR2は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、いずれか一方が水素原子の時は他方は別の基を示す。a及びbは、それぞれ0〜3までの整数を示し、いずれか一方が0の時は他方は1以上の整数を示す)で表されるアルキレングリコールアルキルエーテルを用いることが好ましい。
前記のアルキレングリコールアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル又はポリオキシエチレン(前記式中、a=1)ポリオキシプロピレン(前記式中、b=3)グリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。これらのアルキレングリコールアルキルエーテルは、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
グリコール系溶剤は、床用つや出し剤組成物中に0.5〜8重量%、特に1.8〜6重量%配合されることが、床用つや出し剤組成物を床に塗布した後の乾燥時間を短くし得るという点で好ましい。
本発明の床用つや出し剤組成物には、乾燥皮膜の滑り性を調整する観点から、水不溶性ポリマーの副成分として、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス又はそれらの誘導体等のポリオレフィン系ワックスを配合することも好ましい。ポリオレフィン系ワックスは、上述した各種水不溶性ポリマーの主成分と併用することができる。上述した各種水不溶性ポリマーの主成分とポリオレフィン系ワックスのような副成分との配合比は固形分の重量比で表して10:1〜10:3であることが、床面の仕上がりが良好になる点、及び乾燥後にから拭きして、つやを上げる作業が不要になる点から好ましい。
ポリエチレンワックスは、一般のエチレンの重合によって得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリエチレンを熱分解して得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリエチレンの製造時に副生成される低分子量のポリエチレンを分離生成する方法又は乳化重合方法等により入手可能である。ポリエチレンワックスの誘導体としては、例えば酸化ポリエチレンワックス、即ち空気酸化等の方法によりポリエチレンワックス骨格にカルボキシル基や水酸基等を付与したものの他に、マレイン酸変性、フマル酸変性、イタコン酸変性、又はスチレン変性等の変性体が挙げられる。特に、ポリエチレンワックス及び/又は酸化ポリエチレンワックスが好ましく用いられる。
ポリプロピレンワックスは、一般のプロピレンの重合によって得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリプロピレンを熱分解して得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリプロピレンの製造時に副生成される低分子量のポリプロピレンを分離生成する方法等により入手可能である。ポリプロピレンワックスの誘導体としては、上記のポリエチレンワックスの場合と同様に、ポリプロピレンワックス骨格にカルボキシル基や水酸基等を付与した酸化ポリプロピレンワックスの他に、マレイン酸変性、フマル酸変性、イタコン酸変性、又はスチレン変性等の変性体が挙げられる。特に、ポリプロピレンワックス及び/又はマレイン酸変性ポリプロピレンワックスが好ましく用いられる。
本発明の床用つや出し剤組成物には、該つや出し剤組成物の塗り延ばし性を高めたり、乾燥皮膜の光沢を高めたりする観点から、各種シリコーン化合物を配合することができる。シリコーン化合物としては、シリコーンオイル、シリコーンレジンエマルション、アミノ変成シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、シリコーンゴムエマルション、エチレン性不飽和モノマー重合体変性シリコーン等が挙げられる。シリコーン化合物は、床用つや出し剤組成物中に、好ましくは0.01〜1.6重量%程度配合することができる。
更に床用つや出し剤組成物には、ポリエトキシ化脂肪族第2級アルコール以外の界面活性剤、アンモニアまたはアルカノールアミン等のアルカリ剤、エタノール、香料、色素、抗菌・抗かび剤などを必要に応じて配合することもできる。
床用つや出し剤組成物は水を主体とするものである。水は組成物中に好ましくは70〜96重量%配合される。
以上の各成分を含有する本発明の床用つや出し剤組成物はそのpHが6.5〜8.5、特に7.0〜8.0であることが、塗布後の乾燥被膜の耐水性を損なわない点、及び重ね塗り性を良好にする点で好ましい。pHは25℃環境下で測定される。測定装置としては、例えば堀場製作所(株)製のpHメーター(型番号:PF−52)が用いられる。
床用つや出し剤組成物中の不揮発分の量は、優れた乾燥速度を得るために好ましくは3〜21重量%、更に好ましくは6〜16重量%である。この範囲とすることで、乾燥皮膜の光沢が増し、また床面に傷がつきにくくなる。
不揮発分濃度は、海砂に床用つや出し剤組成物を添加し、加熱後の重量低下量から求める。詳細には、十分に乾燥させた後に、20〜35メッシュ(420〜840μm)に調整された海砂20gを耐熱性容器に入れ、床用つや出し剤組成物2gを加えて撹拌したものを、熱風循環式乾燥器内で105℃にて3時間放置する。その後デシケーター内で23℃の環境下で徐冷する。徐冷後、秤量を行い次の式から不揮発分の量W(%)を求める。
W(%)={(W1−W0)/S}×100
式中、W0は秤量皿の重さ(耐熱容器+海砂)、W1は乾燥後の重さ(不揮発分+耐熱容器+海砂)、Sは採取したつや出し剤組成物の重さである。測定に用いる海砂とは、一般に化学用試薬として市販されているものを指す。不揮発分の量は、水不溶性ポリマー以外に、可塑剤、界面活性剤、シリコーン化合物等に由来する。
W(%)={(W1−W0)/S}×100
式中、W0は秤量皿の重さ(耐熱容器+海砂)、W1は乾燥後の重さ(不揮発分+耐熱容器+海砂)、Sは採取したつや出し剤組成物の重さである。測定に用いる海砂とは、一般に化学用試薬として市販されているものを指す。不揮発分の量は、水不溶性ポリマー以外に、可塑剤、界面活性剤、シリコーン化合物等に由来する。
床用つや出し剤組成物は、20℃における粘度が1.2〜4.4mPa・s、特に2.0〜4mPa・sであることが、良好な塗り延ばし性及び仕上がり性の点から好ましい。粘度は例えば(株)東京計器(現 (株)トキメック)のBL型粘度計(回転数:60rpm)を用いて測定される。
本発明の床用つや出し剤組成物は、常法に従い、前記の各成分を混合して製造することができる。本発明の床用つや出し剤組成物は、例えばこれをスクイズボトルやトリガー式スプレー容器に充填し、床に直接塗布するか、又は雑巾やモップに散布し、該雑巾等で床を拭くことで塗布される。塗布の対象となる床材としては、例えばクッションフロア等の合成樹脂系床材、フローリング等の木質系床材が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〜5及び比較例1〜4〕
以下の表1に示す組成の床用つや出し剤組成物を調製した。得られた組成物の粘度、pH、不揮発分は同表に示す通りであった。表1中の各成分の詳細は表2に示す通りである。得られた組成物の塗り延ばし性、仕上がり性、レベリング性、乾燥皮膜のべたつき防止性を以下の方法で評価した。その結果を表1に示す。
以下の表1に示す組成の床用つや出し剤組成物を調製した。得られた組成物の粘度、pH、不揮発分は同表に示す通りであった。表1中の各成分の詳細は表2に示す通りである。得られた組成物の塗り延ばし性、仕上がり性、レベリング性、乾燥皮膜のべたつき防止性を以下の方法で評価した。その結果を表1に示す。
〔塗り延ばし性〕
床用つや出し剤組成物を、木質フローリング(松下電工(株)製 ウッディF/品番:MTWTUE、色:ダークセピア)に塗布した。フローリング1畳に対して塗布量(塗り延ばした後のフローリング上の残留量、つまり塗布道具に吸収される量を除いた量)が(1)3.0〜4.0g、(2)5.0〜6.0g、(3)9.0〜10.0g、(4)14.0〜16.0gとなるように、各設定に合わせて組成物をスポイトで散布した。その直後に、花王(株)製のクイックルワイパーつや出し剤用シートを花王(株)製のクイックルワイパーに装着して組成物を塗り広げた。その後、15分程乾燥させた。なお、実際の評価にあたり、フローリング面積は、1畳を900mm×1800mmとした場合の1/6畳に相当する30mm×90mmとした。また、スポイトによる散布量の目安は次の通りである。
(1)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:1.2g
(2)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:2.0g
(3)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:4.0g
(4)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:6.0g
床用つや出し剤組成物の散布は、1/6畳のフローリングの中央部において図1に示すように行った。また、フローリングの溝に床用つや出し剤組成物が入らないように配慮した。
上記の量の床用つや出し剤組成物を散布した直後に、花王(株)製のクイックルワイパーつや出し剤用シートを花王(株)製のクイックルワイパーに装着して塗り広げると、散布量のいくらかはクイックルワイパーつや出し剤用シートに吸収されるが、フローリング表面にはそれぞれ所定の塗布量に準ずる量が残留する。このときの床用つや出し剤組成物の塗り延ばし性を以下の基準で評価した。評価は、温度20〜25℃、相対湿度40〜60%の無風の部屋で行った。
〔評価基準〕
○:塗布作業時に床面との摩擦抵抗を殆ど感じることなく塗布ができた。
△:塗布作業時に床面との摩擦抵抗をやや感じた。
×:塗布作業開始直後から床面との摩擦抵抗を強く感じた。
床用つや出し剤組成物を、木質フローリング(松下電工(株)製 ウッディF/品番:MTWTUE、色:ダークセピア)に塗布した。フローリング1畳に対して塗布量(塗り延ばした後のフローリング上の残留量、つまり塗布道具に吸収される量を除いた量)が(1)3.0〜4.0g、(2)5.0〜6.0g、(3)9.0〜10.0g、(4)14.0〜16.0gとなるように、各設定に合わせて組成物をスポイトで散布した。その直後に、花王(株)製のクイックルワイパーつや出し剤用シートを花王(株)製のクイックルワイパーに装着して組成物を塗り広げた。その後、15分程乾燥させた。なお、実際の評価にあたり、フローリング面積は、1畳を900mm×1800mmとした場合の1/6畳に相当する30mm×90mmとした。また、スポイトによる散布量の目安は次の通りである。
(1)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:1.2g
(2)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:2.0g
(3)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:4.0g
(4)の塗布量を実現するために1/6畳に対してスポイトで散布した量:6.0g
床用つや出し剤組成物の散布は、1/6畳のフローリングの中央部において図1に示すように行った。また、フローリングの溝に床用つや出し剤組成物が入らないように配慮した。
上記の量の床用つや出し剤組成物を散布した直後に、花王(株)製のクイックルワイパーつや出し剤用シートを花王(株)製のクイックルワイパーに装着して塗り広げると、散布量のいくらかはクイックルワイパーつや出し剤用シートに吸収されるが、フローリング表面にはそれぞれ所定の塗布量に準ずる量が残留する。このときの床用つや出し剤組成物の塗り延ばし性を以下の基準で評価した。評価は、温度20〜25℃、相対湿度40〜60%の無風の部屋で行った。
〔評価基準〕
○:塗布作業時に床面との摩擦抵抗を殆ど感じることなく塗布ができた。
△:塗布作業時に床面との摩擦抵抗をやや感じた。
×:塗布作業開始直後から床面との摩擦抵抗を強く感じた。
〔仕上がり性〕
床用つや出し剤組成物の塗布量の設定、実際の評価にあたっての塗布作業は、前記の塗り延ばし性の評価と同じである。床用つや出し剤組成物の仕上がり性は以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:均一な光沢を発現する皮膜を形成した。
○△:部分的に光沢ムラが見られた。
△:塗布面において、部分的に床用つや出し剤組成物の液溜まりによる弾きが見られた。
△×:部分的に擦れが生じた。
×:塗布面全体に亘って擦れが見られた。
床用つや出し剤組成物の塗布量の設定、実際の評価にあたっての塗布作業は、前記の塗り延ばし性の評価と同じである。床用つや出し剤組成物の仕上がり性は以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:均一な光沢を発現する皮膜を形成した。
○△:部分的に光沢ムラが見られた。
△:塗布面において、部分的に床用つや出し剤組成物の液溜まりによる弾きが見られた。
△×:部分的に擦れが生じた。
×:塗布面全体に亘って擦れが見られた。
〔レベリング性〕
JIS−K3920(2001)に準じた。永大産業(株)製の木質フローリングであるロイヤルビーチクリスタル(品番:RBWC−DR、色:レディッシュダーク)を150mm×150mmの大きさに切り、試験基材とした。本フローリングを本試験基材として選択した理由は、表面の平滑性が高く、光沢度(JIS−K3920(2001)参照)も高く(入射角/受光角=60°/60°とした際の光沢度は約60)、更には色もダーク系なため、JIS−K3920(2001)に記載されているようなレベリング性評価に適していると判断したからである。当然ながら、試験基材はこれに限定されるものではなく、表面の平滑性が高く、光沢度が高く、色がダーク系なものであればいずれのメーカーのいずれの木質フローリングで構わない。試験操作は次の通りである。試験基材を水平に置き、クレシア(株)製のキムワイプ(シートサイズ:120mm×215mm)を5回折りにし、床用つや出し剤組成物を基材への残留量が10g/m2となるように(150mm×150mmの試験基材に対して床用つや出し剤組成物をスポイトで1g滴下してキムワイプで塗り広げると10g/m2に相当する基材残留量となる)均一に塗り広げた。その後、静置して30分以上乾燥させた(温度20〜25℃、相対湿度40〜60%の無風の部屋で乾燥を行った)。次に、乾燥皮膜の上から同じ床用つや出し剤組成物を基材への残留量が15g/m2となるように(150mm×150mmの試験基材に対して床用つや出し剤組成物をスポイトで1.4g滴下してキムワイプで塗り広げると15g/m2に相当する基材残留量となる)キムワイプで均一に塗り広げた。塗布後、直ちに塗布に使用したキムワイプを用いて、基材の対角線に沿って”X”の文字を書いた(この”×”文字を書くタイミングは、キムワイプでつや出し剤組成物塗り広げる最後の作業の時であることが評価方法として望ましい)。床用つや出し剤組成物の皮膜が乾燥した後に、目視で”X”の文字がどの程度消滅しているかを判定した。評価の指標は次の通りである。
〔評価基準〕
○:優秀(”X”の文字が認められない。)
○△:良好(わずかに”X”の文字の輪郭が多少の光沢の変化、光の当たる角度によっては認められるが、皮膜に隆起は認められない。)
△:普通(わずかに”X”の文字が認められるが、ほとんど皮膜には隆起が認められない。)
×:不良(明らかに”X”の文字が認められるか、皮膜の隆起が認められる。)
JIS−K3920(2001)に準じた。永大産業(株)製の木質フローリングであるロイヤルビーチクリスタル(品番:RBWC−DR、色:レディッシュダーク)を150mm×150mmの大きさに切り、試験基材とした。本フローリングを本試験基材として選択した理由は、表面の平滑性が高く、光沢度(JIS−K3920(2001)参照)も高く(入射角/受光角=60°/60°とした際の光沢度は約60)、更には色もダーク系なため、JIS−K3920(2001)に記載されているようなレベリング性評価に適していると判断したからである。当然ながら、試験基材はこれに限定されるものではなく、表面の平滑性が高く、光沢度が高く、色がダーク系なものであればいずれのメーカーのいずれの木質フローリングで構わない。試験操作は次の通りである。試験基材を水平に置き、クレシア(株)製のキムワイプ(シートサイズ:120mm×215mm)を5回折りにし、床用つや出し剤組成物を基材への残留量が10g/m2となるように(150mm×150mmの試験基材に対して床用つや出し剤組成物をスポイトで1g滴下してキムワイプで塗り広げると10g/m2に相当する基材残留量となる)均一に塗り広げた。その後、静置して30分以上乾燥させた(温度20〜25℃、相対湿度40〜60%の無風の部屋で乾燥を行った)。次に、乾燥皮膜の上から同じ床用つや出し剤組成物を基材への残留量が15g/m2となるように(150mm×150mmの試験基材に対して床用つや出し剤組成物をスポイトで1.4g滴下してキムワイプで塗り広げると15g/m2に相当する基材残留量となる)キムワイプで均一に塗り広げた。塗布後、直ちに塗布に使用したキムワイプを用いて、基材の対角線に沿って”X”の文字を書いた(この”×”文字を書くタイミングは、キムワイプでつや出し剤組成物塗り広げる最後の作業の時であることが評価方法として望ましい)。床用つや出し剤組成物の皮膜が乾燥した後に、目視で”X”の文字がどの程度消滅しているかを判定した。評価の指標は次の通りである。
〔評価基準〕
○:優秀(”X”の文字が認められない。)
○△:良好(わずかに”X”の文字の輪郭が多少の光沢の変化、光の当たる角度によっては認められるが、皮膜に隆起は認められない。)
△:普通(わずかに”X”の文字が認められるが、ほとんど皮膜には隆起が認められない。)
×:不良(明らかに”X”の文字が認められるか、皮膜の隆起が認められる。)
〔べたつき防止性〕
床用つや出し剤組成物を、レベリング性評価時の塗布方法に準じて150mm×150mmの試験基材に基材への残留量が10g/m2となるように塗布した。温度20〜25℃、相対湿度40〜60%の無風の部屋で30分乾燥後、皮膜を指で触り、指に対するタック性を官能で評価した。評価の指標は次のとおりである。
〔評価基準〕
○:べたつかない。
○△:ややべたつきが感じられる。
△:べたつきが感じられる。
×:べたつきが強く感じられる
床用つや出し剤組成物を、レベリング性評価時の塗布方法に準じて150mm×150mmの試験基材に基材への残留量が10g/m2となるように塗布した。温度20〜25℃、相対湿度40〜60%の無風の部屋で30分乾燥後、皮膜を指で触り、指に対するタック性を官能で評価した。評価の指標は次のとおりである。
〔評価基準〕
○:べたつかない。
○△:ややべたつきが感じられる。
△:べたつきが感じられる。
×:べたつきが強く感じられる
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の床用つや出し剤組成物は、リン系の可塑剤を含まず対環境性が良好であり、また塗り延ばし性とレベリング性が良好であることが判る。それに起因して仕上がり性も良好である。また乾燥皮膜はべたつきの少ないものであることが判る。
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