<全体構成>
まず、図1を用いて、本実施例1に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、図1はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。
スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、各リール110〜112がスロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。なお、本実施例1では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、これらの各リール110〜112を有して構成される可変表示装置602については後述する。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例1においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130または131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダルおよびベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施例1では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプと呼ぶこともある。
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ156は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置157は、例えば開閉自在な扉(シャッター)を備えた扉装置163が前面に取り付けられた液晶表示装置158を含み、この演出装置157には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。
<制御部>
次に、図2を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
スロットマシン100の制御部は、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、演出装置157を制御する表示制御部500と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。
マイクロプロセッサ(以下、MainCPUと称す)310は、スロットマシン100における制御の中枢となるものであり、バス370を介して、周辺部との間で制御信号やデータの受渡しが行われる。
乱数発生器311は、乱数を発生するもので、複数のカウンタ、クロック発振器、分周器およびラッチ回路等で構成される。乱数発生器311が発生した乱数値は、バス370を介して、RAM313の乱数記憶領域に記憶され、必要に応じてMainCPU310へ送られる。乱数値は、複数種類存在し、それぞれ処理内容に応じて使用される。
また、MainCPU310には、入力インターフェース360およびバス370を介して、ストップボタン137〜139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知する左ストップボタンセンサ341、中ストップボタンセンサ342、および、右ストップボタンセンサ343と、スタートレバー135の操作を検知するスタートレバーセンサ344と、メダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知する1枚投入ボタンセンサ345、2枚投入ボタンセンサ346、および、3枚投入ボタンセンサ347と、精算ボタン132の押下に伴って動作する精算ボタンスイッチ348と、メダル投入口134より投入されたメダルを検知する第1メダルセンサ(メダルセンサ1)349および第2メダルセンサ(メダルセンサ2)350と、メダルの払出しを検知する第1払出しセンサ(払出しセンサ1)351および第2払出しセンサ(払出しセンサ2)352と、左リール110、中リール111、右リール112の各リールの回転方向の図柄位置を検出するための左リールインデックスセンサ353、中リールインデックスセンサ354、および、右リールインデックスセンサ355がそれぞれ接続されている。
ROM(リード・オンリー・メモリ)312は、各種制御を行うためのプログラムや、後述する各種テーブルデータ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)313は、MainCPU310によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。本実施例1では、このようにROMおよびRAMを採用しているが、他の記憶手段も採用可能であることはいうまでもない。この点は後述する副制御部においても同様である。
さらに、MainCPU310には、出力インターフェース332およびバス370を介して、左リール110、中リール111、右リール112の各リールの回転駆動を行うモータ(図示省略)を制御するための左リールモータ駆動部321、中リールモータ駆動部322、および、右リールモータ駆動部323と、メダル払出装置(いわゆるホッパー:図示省略)を制御するホッパー駆動部331と、遊技ランプ380(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器390(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)がそれぞれ接続されている。
また、MainCPU310は、出力インターフェース332を介して、各種の主制御コマンドを副制御部400の入力インターフェース430へ送信する。
<副制御部>
次に、同図を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。
マイクロプロセッサ(以下、SubCPUと称す)410は、主制御部300から送信された各種コマンドを入力インターフェース430およびバス470を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて副制御部400全体を制御する。
ROM411は、副制御部400全体を制御するためのプログラムやデータ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM412は、SubCPU410で処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
演出用発光表示部450は、上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受け皿ランプ156をまとめて表したもので、出力インターフェース420およびバス470を介してSubCPU410に接続され、このSubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。
楽音信号形成部460は、SubCPU410から受け渡された制御信号やデータに基づいて、楽音信号を形成して出力する。この楽音信号は、アンプ461で増幅された後、スピーカ(具体的には上部スピーカおよび中央スピーカ)462から音として出力される。 また、SubCPU410は、出力インターフェース440を介して、各種制御データを表示制御部500へ送信する。
<表示制御部>
次に、同図を用いて、スロットマシン100の表示制御部500について説明する。
マイクロプロセッサ(以下、第2のSubCPUと称す)510は、副制御部400から送信された各種制御データを入力インターフェース530およびバス570を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて液晶表示装置(LCD)158を制御する。
ROM511は、表示制御部500全体を制御するためのプログラムやデータ等を記憶する記憶手段の一つである。
VDP550は、第2のSubCPU510の指示に従って、出力インターフェース553を介して液晶表示装置157に表示データ等を送信する。なお、ROM552は、表示データ等を記憶する記憶手段の一つである。
<可変表示装置>
図3はリールボックス600内に3つの可変表示装置602を収容した様子を示す外観斜視図である。
各可変表示装置602は、同図に示されるように、複数の金属板によって構成されたリールボックス600に収容され、スロットマシン100の中央内部に配設される。
図4は可変表示装置602を構成する部材を分解して示した分解斜視図である。また、図5(a)は可変表示装置602を組み立てた状態を示す略示側面図であり、同図(b)はその略示正面図である。なお、図5(a)および(b)では、説明の都合上、一部の部材の図示を省略している。
図4に示されるように、この可変表示装置602は、リール110(111、112)と、このリールを回転駆動する駆動装置604と、リール110(111、112)の回転位置を検出する回転検出装置606と、リール110(111、112)の内部から各リール110(111、112)に施された図柄を照明するリール照明装置608と、を有して構成されている。
<リール>
リール110(111、112)は、薄肉円筒状のリール帯610と、このリール帯610の左側側面に取り付けられ、リール帯610の左側側面を支持する第1リール枠612と、リール帯610の右側側面に取り付けられ、リール帯610の右側側面を支持する第2リール枠614によって構成されている。
図6は各リール110〜112のリール帯610に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。
リール帯610には、複数種類の図柄が所定コマ数(本実施例1では、番号0〜20の21コマ)だけ配置される。なお、同図の左端に示した番号0〜20は、リール帯610上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、本実施例1では、左リール110のリール帯610の番号1のコマには「赤セブン」の図柄、中リール111のリール帯610の番号1のコマには「リプレイ」の図柄、右リール112のリール帯610の番号1のコマには「ベル」の図柄、がそれぞれ配置されている。
図4に戻って、第1リール枠612は、円環状の枠部612Aと、この枠部612Aを基端として枠部612Aの中心部に向けて延出形成された4本の支持部612Bと、この4本の支持部612Bの先端部を基端としてリール帯610に向けて突出形成された有底円筒形状の取付部612Cによって構成されている。また、4本の支持部612Bのうちの1本には、板状の遮光片612Dがリール帯610に向けて突出形成されている。
第2リール枠614は、この第1リール枠612の枠部612Aと略同一径の円環状の部材からなり、リール帯610を挟んで第1リール枠612の反対側に配設される。
<駆動装置>
駆動装置604は、駆動モータ616と、この駆動モータ616のモータ軸616Aに取り付けられる駆動ギヤ部618と、この駆動ギヤ部618の駆動ギヤ618Bと噛合する可動体ギヤ620と、この可動体ギヤ620をワッシャ621を介して回転可能に支持する台座622によって構成されている。なお、駆動モータ616および台座622は、複数の取付ネジ624によって板状の金属枠体626に固定支持される。
駆動モータ616は、本実施形態では、ステッピングモータによって構成されている。なお、本発明に係る「駆動モータ」はステッピングモータに限定されるものではなく、例えば、ACモータ、DCモータ、サーボモータなどを適用することもできる。
図7(a)は駆動ギヤ部618を構成する部材を分解して示す分解斜視図であり、同図(b)および(c)は駆動ギヤ部618を組み立てた状態を示す略示側面図および略示斜視図である。また、同図(d)は駆動ギヤ部の略示平面図であり、同図(e)は同図(d)のA−A線に沿う略示側断面図であり、同図(f)は同図(d)のB−B線に沿う略示側断面図である。
駆動ギヤ部618は、図7(a)に拡大して示されるように、駆動モータ616のモータ軸616A(図4参照)に固定される円筒状のスプライン618Aと、このスプライン618Aの外歯と噛合可能な内歯およびヘリカルギヤからなる外歯を有する駆動ギヤ618Bと、スプライン618Aの長手方向両側に嵌合されるリング状部材618Cと、このリング状部材618Cをスプライン618Aに固定する2つの留め金618Dと、この留め金618Dと駆動ギヤ618Aとの間に縮設されるバネ618Eによって構成されている。
この駆動ギヤ部618では、図7(b)〜(f)に示されるように、スプライン618Aの外周部に、まず駆動ギヤ618Bが嵌合され、続いてリング状部材618Cが駆動ギヤ618Bの両側から嵌合される。そして、スプライン618Aの外歯およびリング状部材618Cの外周部を囲むようにバネ618Eが配設された後、留め金618Dがスプライン618Aの両端部に固定され、バネ618Eが留め金618Dと駆動ギヤ618Aとの間に縮設される。
すなわち、駆動ギヤ618Bは、回転軸L1を中心としてスプライン618Aと共に回転可能であると共に、回転軸L1両方向への移動が可能であるが、回転軸L1両方向への移動量はバネ618Eおよび留め金618Dによって規制されている。
図4に戻って、可動体ギヤ620は、駆動ギヤ部618の駆動ギヤ618Bよりも大径なヘリカルギヤによって構成されており、可動体ギヤ620および駆動ギヤ618Bによってヘリカルギヤセットが構成される。また、可動体ギヤ620は、各リール110〜112の第1リール枠612の取付部612Cに、取付ネジ624やワッシャ621を用いて固定されると共に、台座622に回転可能に支持され、第1リール枠612と共に回転可能な構造となっている。
<回転検出装置>
回転検出装置606は、投光部と受光部からなる光学式のインデックスセンサ606Aと、このインデックスセンサ606Aが取り付けられる取付台座606Bによって構成されており、インデックスセンサ606Aの投光部と受光部の間を、第1リール枠612に設けられた遮光片612Dが通過するように構成されている。なお、取付台座606Bは、取付ネジ624によって金属枠体626に固定される。
スロットマシン100は、この回転検出装置606の検出結果に基づいてリール110〜112上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
<リール照明装置>
リール照明装置608は、一本の冷陰極管を中央部に配置した照明基板608Bと、この照明基板608Bを取り付けた状態で、冷陰極管から出射される光を所定の方向に導くための導光板を含んで構成された照明ケース608Cと、照明基板608Bの裏面を覆う裏面カバー608Aとで構成されている。なお、照明ケース608Cは、照明基板608Bおよび裏面カバー608Aが取り付けられた状態で、取付ネジ624によって金属枠体626に固定される。
次に、可変表示装置602の作用について説明する。
駆動モータ616のモータ軸616Aが回転すると、このモータ軸616Aに固定されたモータピニオン618Aを介して駆動ギヤ618Bが回転駆動される。そして、この駆動ギヤ618Bの回転により、駆動ギヤ618Bと噛合する可動体ギヤ620が回転駆動されると共に、この可動体ギヤ620に連結された各リール110〜112の第1リール枠体612が回転駆動される。この結果、第1リール枠体612に固定されたリール帯610が回転駆動されることになる。
すなわち、駆動モータ616の動力は、モータピニオン618A→駆動ギヤ618B→可動体620→第1リール枠体612→リール帯610の順で伝達される。
図8(a)はリールの回転開始時における駆動装置604の様子を拡大して示した部分拡大図であり、同図(b)はリールの回転中における駆動装置604の様子を拡大して示した部分拡大図であり、同図(c)はリールの停止時における駆動装置604の様子を拡大して示した部分拡大図である。
上述の通り、駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620はヘリカルギヤによって構成されているため、駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620との間には、負荷の掛かる回転時や停止時において大きなスラスト方向の荷重(スラスト荷重)が働くことになる。
より具体的には、リール110(111、112)が停止している状態において駆動モータ616が作動すると、駆動ギヤ618Bは、図8(a)に示されるように、停止状態にある可動体ギヤ620から図中A方向のスラスト荷重を受ける。この結果、駆動ギヤ618Aは、図中の下側に配設されたバネ618Eの付勢力に逆らって、図中A方向に移動する。この駆動ギヤ618Aの移動により、リール回転開始時に駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620との間に働くスラスト荷重が吸収される。そのため、可動体ギヤ620が停止状態から回転状態になる際のがたつきを無くすことができ、可動体ギヤ620によって回転駆動されるリール110(111、112)の回転開始時の振動を抑えることができる。
その後、可動体ギヤ620が回転し始めて駆動ギヤ618Bの負荷が軽減されると、可動体ギヤ620と駆動ギヤ618Bとの間に働くスラスト荷重が減少し、駆動ギヤ618Bは、図8(b)に示されるように、図中の下側に配設されたバネ618Eの付勢力によってリール110(111、112)の停止時と同じ位置に移動する。
また、リール110(111、112)が回転している状態において駆動モータ616が停止されると、駆動ギヤ618Bは、図8(c)に示されるように、回転状態にある可動体ギヤ620から図中B方向のスラスト荷重を受ける。この結果、駆動ギヤ618Aは、図中の上側に配設されたバネ618Eの付勢力に逆らって、図中B方向に移動する。この駆動ギヤ618Aの移動により、リール停止時に駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620との間に働くスラスト荷重が吸収される。そのため、可動体ギヤ620が回転状態から停止状態になる際のがたつきを無くすことができ、可動体ギヤ620によって停止されるリール110(111、112)の停止時の振動を抑えることができる。
次に、本発明の発明者が行った実験について説明する。
図9は本実施例1に係るスロットマシン100においてリールを停止した場合のリール回転数の変化を示したグラフであり、図10は制振対策を施していないスロットマシンにおいてリールを停止した場合のリール回転数の変化を示したグラフである。なお、各グラフの縦軸はリールの回転数(1秒当たりの回転数)であり、横軸は時間軸(T=40ミリ秒)である。
なお、本実験においては、スロットマシン100および制振対策を施していないスロットマシン共に、駆動モータとしてPMステッピングモータを使用した。
本実験の結果、制振対策を施していないスロットマシンは、図10に示されるように、駆動モータが停止された後、リールの回転数がプラス側とマイナス側との間で大きく変動し、リールが複数回大きく振動しているのが分かる。また、駆動モータが停止されてから、リールの回転数が0に収束してリールが完全に停止するまでの時間(リールの振動の減衰時間)は約160msであることが確認された。
一方、本実施例1に係るスロットマシン100は、図9に示されるように、駆動モータが停止された後、リールの回転数がプラス側とマイナス側との間で僅かに変動しているが、制振対策を施していないスロットマシンに比べ、振動の振幅や振動の回数が減り、振動の減衰率が大幅に減少しているのが分かる。また、リールの振動の減衰時間は約100msであり、制振対策を施していないスロットマシンに比べ、約60ms短縮された。
<主制御部メイン処理>
次に、図11を用いて、主制御部300のメイン処理について説明する。なお、同図は、主制御部300のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
遊技の基本的制御は、主制御部300のMainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、MainCPU310が同図の主制御部メイン処理を繰り返し実行することにより遊技が進行することになる。
スロットマシン100に電源が投入されると、まず、各種の初期化処理が実行され、その後、主制御部メイン処理のステップS101では、メダル投入に関する処理を行う。ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。
ステップS102では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。ここでは、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。
ステップS103では、有効な入賞ライン114を確定する。
ステップS104では、乱数発生器317で発生させた乱数を取得する。
ステップS105では、ステップS104で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。
ステップS106では、リール回転開始処理により、全リール110〜112の回転を開始させる。この際、ステップS105の内部抽選結果等に基づき、停止位置データ選択テーブルを参照し、いずれか一つのリール停止制御テーブルを選択する。
ステップS107では、リール停止制御処理により、押されたストップボタン137〜139に対応するリール110〜112の回転を停止させる。この際、各リール110〜112を、ステップS106で選択したリール停止制御テーブルに基づいて停止させる。
ステップS108では、ストップボタン137〜139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役またはフラグ持越し中の入賞役に対応する入賞図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が揃っていたならばリプレイ入賞と判定する。
ステップS109では、メダル払出処理を行う。このメダル払出処理では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
ステップS110では、遊技状態制御処理を行う。この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われる。
以上説明したように、本実施例1に係るスロットマシン100は、駆動モータ616と、駆動モータ616と動力伝達可能に連結された駆動ギヤ618Bと、駆動ギヤ618Bと噛合する可動体ギヤ620と、可動体ギヤ620と動力伝達可能に連結された可動体(本実施例1では、リール110〜112)と、を有し、駆動ギヤ618Bおよび可動体ギヤ620が、ヘリカルギヤ(斜歯歯車)で構成されている。そのため、駆動ギヤ618Bおよび可動体ギヤ620では常に複数の歯が互いに噛み合うことになり、可動体の駆動開始時や停止時における騒音を抑えることができる。また、駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620との接触面積を大きくすることができるため、駆動モータ616の動力の伝達ロスを低減することができ、駆動モータ616の小型化が可能な上に、駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620の配設位置を近づけることができるため、省スペース化が可能で、設計の自由度を高めることができる。
また、駆動ギヤ618Bが、駆動ギヤ618Bおよび可動体ギヤ620が互いに噛合可能な範囲内でスラスト方向の両方向に移動可能であるため、駆動ギヤ618Bによって、スラスト方向に働く両方向のスラスト荷重を吸収することができ、可動体の駆動開始時や停止時における振動を抑えることができる。スラストギヤは、歯車の接触面が回転軸に対して平行ではないため、伝達動力の大きさに比例してスラスト荷重が加わることになる。本発明の発明者は、この点に着目し、あえてスラスト荷重という課題を有するヘリカルギヤを動力伝達機構の一部に適用すると共に、スラスト荷重を吸収することができる機構を加えることにより、可動体の駆動開始時や停止時における騒音および振動の低減を実現したのである。
なお、上記実施例1では、可動体の駆動開始時における振動と停止時における振動の両者を抑えるべく、駆動ギヤ618Bをスラスト方向の両方向に移動可能としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、可動体の駆動開始時における振動と停止時における振動のいずれか一方のみを抑えればよい場合などには、駆動ギヤ618Bをスラスト方向のいずれか一方のみに移動可能としてもよい。
さらに、上記実施例1では、駆動ギヤ618Bのみをスラスト方向に移動可能としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動ギヤに替えて(または、駆動ギヤと共に)、可動体ギヤをスラスト方向の両方向(または、いずれか一方向)に移動可能としてもよい。
また、駆動ギヤ618Bおよび可動体ギヤ620の少なくとも一方のスラスト方向の移動を規制する規制手段(本実施例1ではバネ618Eおよび留め金618D)をさらに備えたため、駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620との間に働くスラスト荷重を低減しつつ、同時に、駆動ギヤ618Bと可動体ギヤ620の噛み合いを保持することができる。
また、リール110〜112と共に回転する検知片612Dと、検知片612Dの通過を検知する検知手段(本実施例1ではインデックスセンサ)606Aと、をさらに備え、検知手段606Aは、駆動ギヤ618Bがスラスト方向に移動した場合でも検知片612Dの通過を検知可能に構成されているため、リール110〜112の回転位置を確実に把握することができる。
なお、上記実施例1では、本発明に係る「可動体」として回転体(リール)110〜112を採用し、このリール110〜112を回転駆動する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、可動体として上述の演出装置157の扉装置163を採用してもよい。
図12は扉装置163と、この扉装置163を駆動する駆動装置700を示した分解斜視図である。
扉装置163は、中央に矩形状の開口部が形成された横長板状体のベース163Aと、このベース163Aの上下に配設される扉レール163Bと、この扉レール163Bに沿って直線往復運動可能な扉163Cと、を有して構成されている。
駆動装置700は、駆動モータ702と、駆動モータ702と動力伝達可能に連結された駆動ギヤ704と、駆動ギヤ704と噛合する可動体ギヤ706と、を有しており、駆動ギヤ702および可動体ギヤ704が、ヘリカルギヤで構成されている。
扉装置163の各扉163Cには、それぞれ駆動装置700の可動体ギヤ706と噛合可能なヘリカルギヤ163Dが形成されており、駆動装置700によって図中の矢印C方向に往復直線駆動される。
このように、可動体として、往復直線駆動される扉装置163を採用した場合においても、駆動ギヤ702および可動体ギヤ704が、ヘリカルギヤで構成されていれば、駆動ギヤ702および可動体ギヤ704では、常に複数の歯が互いに噛み合うことになり、可動体(この例では扉装置163)の駆動開始時や停止時における騒音を抑えることができる。また、駆動ギヤ702と可動体ギヤ704との接触面積を大きくすることができるため、駆動モータ702の動力の伝達ロスを低減することができ、駆動モータ702の小型化が可能な上に、駆動ギヤ702と可動体ギヤ704の配設位置を近づけることができるため、省スペース化が可能で、設計の自由度を高めることができる。
また、駆動ギヤ702が、駆動ギヤ702および可動体ギヤ704が互いに噛合可能な範囲内でスラスト方向の両方向に移動可能であるため、駆動ギヤ702によって、スラスト方向に働く両方向のスラスト荷重を吸収することができ、可動体の駆動開始時や停止時における振動を抑えることができる。
なお、本発明に係る遊技台は、「複数種類の図柄が施された複数のリールと、このリールの回転を開始させるためのスタートレバーと、各々のリールに対応して設けられ、リールの回転を個別に停止させるためのストップボタンと、予め定められた役の内部当選の当否を抽選により判定する抽選手段と、この抽選手段の判定結果とストップボタンの操作に基づいて、リールを停止させるリール停止制御手段と、を備え、停止時のリールにより表示される図柄の組合せが、内部当選した役に対応して予め定められた図柄の組合せである場合に前記役に入賞するように構成されたスロットマシン」に好適であるが、上記実施例に示されるようなスロットマシンの構造等に限定されるものではない。
従って、例えば、上記実施例においては、メダル(コイン)を遊技媒体としたスロットマシンの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたスロットマシン(いわゆるパロット)やパチンコ遊技機などにも適用可能である。
ここで、本発明が適用されるパチンコ遊技機としては、リール(回転体)などの可動体を有し所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、始動入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ遊技機が一例として挙げられる。
このようなパチンコ遊技機では、遊技球が始動入賞口に入球すると、抽選を行い、この抽選結果が当りであるか否かを判定する。そして、この抽選で大当たりに当選すると、可変表示装置により、特定の図柄による組合せ(大当たり図柄;例えば、777など)が表示され、大当たり状態に移行する。大当たり状態では、大入賞口が、例えば、所定の時間または所定の回数、開放され続けるので、遊技球は入球しやすい状態となり、遊技者にとって有利な状態が実現されるようになっている。また、特定の図柄による組合せ(大当たり図柄)が、確率変動を伴う大当たり図柄(確変図柄)である場合には、次に大当たりとなる確率が高くなり、遊技者にとってさらに有利な状態が実現される。