本発明の一実施形態を示す遊技機であるパチスロについて、図1〜図9を参照しながら説明する。はじめに、図1を参照して、遊技機の実施の形態に係る機能フローについて説明する。
本実施の形態のパチスロでは、遊技を行うための遊技媒体としてメダルを用いる。なお、遊技媒体としては、メダル以外にも、コイン、遊技球、遊技用のポイントデータ又はトークン等を適用することもできる。
遊技者によりメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
内部抽籤手段は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。この内部抽籤手段は、後述する主制御回路が担う。内部当籤役の決定により、後述の入賞判定ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。なお、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものとが設けられている。
また、スタートレバーが操作されると、複数のリールの回転が行われる。その後、遊技者により所定のリールに対応するストップボタンが押されると、リール停止制御手段は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。このリール停止制御手段は、後述する主制御回路が担う。
パチスロでは、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msec又は75msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施形態では、この規定時間内にリールの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼ぶ。規定時間が190msecである場合には、滑り駒数の最大数を図柄4コマ分に定め、規定時間が75msecである場合には、滑り駒数の最大数を図柄1コマ分に定める。
リール停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せ表示を許可する内部当籤役が決定されているときは、通常、190msec(図柄4コマ分)の規定時間内に、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止させる。また、リール停止制御手段は、例えば、第2種特別役物であるチャレンジボーナス(CB)及びCBを連続して作動させるミドルボーナス(MB)の動作時には、1つ以上のリールに対して、規定時間75msec(図柄1コマ分)内に、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止させる。さらに、リール停止制御手段は、遊技状態に対応する各種規定時間を利用して、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って表示されないようにリールの回転を停止させる。
こうして、複数のリールの回転がすべて停止されると、入賞判定手段は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。この入賞判定手段は、後述する主制御回路が担う。入賞判定手段により入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し等の特典が遊技者に与えられる。パチスロでは、以上のような一連の流れが1回の遊技として行われる。
また、パチスロでは、前述した一連の流れの中で、液晶表示装置などの表示装置により行う映像の表示、各種ランプにより行う光の出力、スピーカにより行う音の出力、或いはこれらの組合せを利用して様々な演出が行われる。
スタートレバーが操作されると、上述した内部当籤役の決定に用いられた乱数値とは別に、演出用の乱数値(以下、演出用乱数値)が抽出される。演出用乱数値が抽出されると、演出内容決定手段は、内部当籤役に対応づけられた複数種類の演出内容の中から今回実行するものを抽籤により決定する。この演出内容決定手段は、後述する副制御回路が担う。
演出内容が決定されると、演出実行手段は、リールの回転開始時、各リールの回転停止時、入賞の有無の判定時等の各契機に連動させて対応する演出を実行する。このように、パチスロでは、内部当籤役に対応づけられた演出内容を実行することによって、決定された内部当籤役(言い換えると、狙うべき図柄の組合せ)を知る機会又は予想する機会が遊技者に提供され、遊技者の興味の向上を図ることができる。
<パチスロの構造>
次に、図2〜図6を参照して、本実施形態におけるパチスロの構造について説明する。なお、図2は、本実施形態のパチスロ1の外部構造を示す斜視図である。
[外観構造]
パチスロ1は、図2に示すように、リールや回路基板等を収容したキャビネット1aと、キャビネット1aに対して開閉可能に取り付けられたフロントドア1bとを備える。キャビネット1aの内部には、3つのリール3L,3C,3R(変動表示手段)が設けられ、該3つのリール3L,3C,3Rは横方向(リールの回転方向と直交する方向)に一列に配置される。以下、リール3L,3C,3Rを、それぞれ左リール3L、中リール3C、右リール3Rという。
各リール(表示列)は、円筒状のリール本体と、リール本体の周面(周回面)に装着された透光性のシート材とを有する。シート材の表面には、複数(例えば21個)の図柄がリール本体の周方向に沿って連続的に描かれる。
フロントドア1bの中央には、液晶表示装置10と、3つのリール3L,3C,3Rに描かれた図柄を表示する表示窓4とが設けられる。そして、液晶表示装置10は、映像の表示が行われ、演出が実行される。
表示窓4は、例えばアクリル板等の透明部材で構成され、図2に示すように、正面(遊技者側)から見て、3つのリールの配置領域と重畳する位置に設けられ、かつ、3つのリールより手前(遊技者側)に位置するように設けられる。それゆえ、表示窓4の背後に設けられた3つのリールに描かれた図柄が、表示窓4を介して目視することができる。
また、正面から見て表示窓4の左側方には、7セグメントLED(Light Emitting Diode)からなる7セグ表示器6が設けられる。7セグ表示器6は、今回の遊技に投入されたメダルの枚数(以下、投入枚数という)、特典として遊技者に払い出されるメダルの枚数(以下、払出枚数という)、パチスロ1の内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数という)等の情報をデジタル表示する。
また、フロントドア1bには、遊技者の操作対象となる各種装置(メダル投入口11、MAXベットボタン12、1BETボタン14、スタートレバー16、ストップボタン17L,17C,17R)が設けられる。
メダル投入口11は、遊技者によって外部からパチスロ1に投入されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口11を介して受け入れられたメダルは、所定枚数(例えば3枚)を上限として1回の遊技に投入され、所定枚数を超えた分は、パチスロ1の内部に預けることができる(いわゆるクレジット機能)。なお、本実施形態のパチスロ1では、後述のように、1回の遊技に投入可能なメダルの枚数は、1枚、2枚及び3枚のいずれかである。
MAXベットボタン12及び1BETボタン14は、パチスロ1の内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。なお、図2には示さないが、フロントドア1bには、精算ボタンが設けられる(スタートレバー16のストップボタン側とは反対側の側部に配置されている)。この精算ボタンは、パチスロ1の内部に預けられているメダルを外部に引き出す(排出する)ために設けられる。
スタートレバー16は、全てのリール(3L,3C,3R)の回転を開始するために設けられる。ストップボタン17L,17C,17Rは、それぞれ、左リール3L、中リール3C、右リール3Rに対応づけて設けられ、各ストップボタンは対応するリールの回転を停止するために設けられる。以下、ストップボタン17L,17C,17Rを、それぞれ左ストップボタン17L、中ストップボタン17C、右ストップボタン17Rという。
さらに、フロントドア1bには、メダル払出口18、メダル受皿19、スピーカ20L,20R、ランプユニット21及び送風機構22(図6参照)等が設けられる。
メダル払出口18は、後述のメダル払出装置33の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル受皿19は、メダル払出口18から排出されたメダルを貯める。また、スピーカ20L,20Rは、演出内容に対応する効果音や楽曲等の音を出力する。
なお、本実施形態では、液晶表示装置10を備える構成を説明するが、本発明はこれに限定されない。例えば、リールの上部に複数のLEDをマトリックス状に配置し、これらのLEDの点消灯によるドットパターンにより、演出(報知)を行う構成にしてもよい。
また、フロントドア1bにおける液晶表示装置10の左右の両端に位置する二つの側辺部には、それぞれ収納部101が設けられている。収納部101は、前面が開口した凹部である。この収納部101には、ランプユニット21が設けられている。ランプユニット21は、LED等で構成され、演出内容に対応するパターンで、光を点灯及び消灯する。このランプユニット21は、可動機構121(図8参照)によってフロントドア1bの前後方向に移動(図2及び図7参照)する。そして、ランプユニット21は、演出内容に応じて収納部101の開口から突出し、または収納部101内に収納される。
さらに、ランプユニット21には、送風機構22(図6参照)が設けられている。送風機構22は、演出内容に応じて遊技者側に風を送る。これにより、液晶表示装置10に例えば疾走感のある映像が映し出された際に、送風機構22から遊技者側に風を送ることで、映像のスピード感を高めることができる。
[内部構造]
次に、パチスロ1の内部構造を、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図3は、フロントドア1bが開放され、フロントドア1bの裏面側に設けたミドルドア25がフロントドア1bに対して閉じた状態を示す図である。また、図4では、フロントドア1bが開放され、ミドルドア25がフロントドア1bに対して開いた状態を示している。
キャビネット1aの内部の下側には、キャビネット1a内の下方部分には、多量のメダルを収容可能であり、かつ、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有するメダル払出装置33(以下、ホッパー33という)が設けられる。また、キャビネット1a内における、ホッパー33の一方の側部(図3に示す例では左側)には、パチスロ1が有する各装置に対して必要な電力を供給する電源装置34が設けられる。
図3及び図4に示すように、ミドルドア25は、フロントドア1bの裏面における中央部に配置され、表示窓4(図4参照)を裏側から開閉可能に構成されている。ミドルドア25の上部と下部には、ドアストッパ25a,25b,25cが設けられている。このドアストッパ25a,25b,25cは、表示窓4を裏側から閉じた状態のミドルドア25の開動作を固定(禁止)する。すなわち、ミドルドア25を開くには、ドアストッパ25a,25b,25cを回転させてミドルドア25の固定を解除する必要がある。
ミドルドア25には、後述の主制御回路41(図5参照)を構成する主基板31が設けられる。主制御回路41は、内部当籤役の決定、各リールの回転及び停止、入賞の有無の判定等の、パチスロ1における遊技の主な動作及び該動作間の流れを制御する回路である。なお、主制御回路41の具体的な構成は後述する。
また、ミドルドア25の中央部分には、3つのリール(左リール3L、中リール3C及び右リール3R)が設けられる。なお、図3には示さないが、各リールは、所定の減速比を有するギアを介して対応する後述のステッピングモータ(図5中のステッピングモータ61L,61C,61Rのいずれか)に接続される。
ミドルドア25の上方には、後述の副制御回路42(図5及び図6参照)を構成する副基板32が設けられる。副制御回路42は、映像の表示等による演出の実行を制御する回路である。なお、副制御回路42の具体的な構成は後述する。
さらに、フロントドア1bの裏側部において、表示窓4の配置領域の下方部分には、セレクタ35が設けられる。セレクタ35は、メダル投入口11を介して外部から投入されたメダルの材質や形状等が適正である否かを選別する装置であり、適正であると判定されたメダルをホッパー33に案内する。また、図3には示さないが、セレクタ35内においてメダルが通過する経路上には、適正なメダルが通過したことを検出するメダルセンサ35S(後述の図5参照)が設けられる。
<パチスロが備える回路の構成>
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態におけるパチスロ1が備える回路の構成について説明する。なお、図5は、パチスロ1が備える回路全体のブロック構成図であり、図6は、副制御回路の内部構成を示すブロック構成図である。
パチスロ1は、図5に示すように、主制御回路41、副制御回路42、及び、これらの回路と電気的に接続される周辺装置(アクチュエータ)を備える。
[主制御回路]
主制御回路41は、主に、回路基板(主基板31)上に設置されたマイクロコンピュータ50により構成される。それ以外の構成要素として、主制御回路41は、図7に示すように、クロックパルス発生回路54、分周器55、乱数発生器56、サンプリング回路57、表示部駆動回路64、ホッパー駆動回路65、及び、払出完了信号回路66を含む。
マイクロコンピュータ50は、メインCPU51(特別遊技制御手段、通常遊技制御手段)、メインROM(Read Only Memory)52及びメインRAM(Random Access Memory)53により構成される。
メインROM52には、メインCPU51により実行される各種処理の制御プログラム、内部抽籤テーブル等のデータテーブル、副制御回路42に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶される。メインRAM53には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
メインCPU51には、図5に示すように、クロックパルス発生回路54、分周器55、乱数発生器56及びサンプリング回路57が接続される。クロックパルス発生回路54及び分周器55は、クロックパルスを発生する。なお、メインCPU51は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。また、乱数発生器56は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。そして、サンプリング回路57は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
マイクロコンピュータ50の入力ポートには、各種スイッチ及びセンサ等が接続される。メインCPU51は、各種スイッチ等からの入力信号を受けて、ステッピングモータ61L,61C,61R等の周辺装置の動作を制御する。
ストップスイッチ17S(停止操作検出手段)は、左ストップボタン17L、中ストップボタン17C、右ストップボタン17Rのそれぞれが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。スタートスイッチ16S(開始操作検出手段)は、スタートレバー16が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。精算スイッチ14Sは、精算ボタンが遊技者により押されたことを検出する。
メダルセンサ35S(投入操作検出手段)は、メダル投入口11に投入されたメダルがセレクタ35内を通過したことを検出する。また、ベットスイッチ12Sは、ベットボタン(MAXベットボタン12又は1BETボタン14)が遊技者により押されたことを検出する。
また、マイクロコンピュータ50により動作が制御される周辺装置としては、3つのステッピングモータ61L,61C,61R(変動表示手段)、7セグ表示器6及びホッパー33がある。また、マイクロコンピュータ50の出力ポートには、各周辺装置の動作を制御するための駆動回路が接続される。
モータ駆動回路62は、左リール3L、中リール3C、右リール3Rに対応してそれぞれ設けられた3つのステッピングモータ61L,61C,61Rの駆動を制御する。リール位置検出回路63は、発光部と受光部とを有する光センサにより、リールが一回転したことを示すリールインデックスをリール毎に検出する。
3つのステッピングモータ61L,61C,61Rのそれぞれは、その運動量がパルスの出力数に比例し、回転軸を指定された角度で停止させることが可能な構成を有する。また、各ステッピングモータの駆動力は、所定の減速比を有するギアを介して、対応するリールに伝達される。そして、各ステッピングモータに対して1回のパルスが出力されるごとに、対応するリールは一定の角度で回転する。
メインCPU51は、各リールのリールインデックスを検出してから対応するステッピングモータに対してパルスが出力された回数をカウントすることによって、各リールの回転角度(具体的には、リールが図柄何個分だけ回転したか)を管理する。
ここで、各リールの回転角度の管理を具体的に説明する。各ステッピングモータに対して出力されたパルスの数は、メインRAM53に設けられたパルスカウンタ(不図示)によって計数される。そして、図柄1個分の回転に必要な所定回数(例えば16回)のパルスの出力がパルスカウンタで計数されるごとに、メインRAM53に設けられた図柄カウンタ(不図示)の値に、「1」が加算される。なお、図柄カウンタは、リール毎に設けられる。そして、図柄カウンタの値は、リール位置検出回路63によってリールインデックスが検出されるとクリアされる。
すなわち、本実施形態では、図柄カウンタの値を管理することにより、リールインデックスが検出されてから図柄何個分の回転動作が行われたのかを管理する。それゆえ、各リールの各図柄の位置は、リールインデックスが検出される位置を基準として検出される。
本実施形態では、上述のように、通常遊技中の滑り駒数の最大数を図柄4個分に定め、それゆえ、例えば、通常遊技中に所定のリールに対応するストップボタンが押されたときには、表示窓4内の有効ライン上の対応する領域に位置する所定のリールの図柄と、その4個先までの範囲に存在する図柄が、該領域に停止可能な図柄となる。
なお、主制御回路41に含まれる、表示部駆動回路64は、7セグ表示器6の動作を制御する。ホッパー駆動回路65は、ホッパー33の動作を制御する。また、払出完了信号回路66は、ホッパー33に設けられたメダル検出部33Sが行うメダルの検出を管理し、ホッパー33から外部に排出されたメダルが所定の払出枚数に達したか否かをチェックする。
[副制御回路]
副制御回路42は、図5及び図6に示すように、主制御回路41と電気的に接続され、主制御回路41から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路42は、基本的には、図6に示すように、サブCPU81、サブROM82、サブRAM83、レンダリングプロセッサ84、描画用RAM85、ドライバ86、DSP(Digital Signal Processor)90、オーディオRAM91、A/D(Analog to Digital)変換器92、アンプ93及び可動機構駆動回路96を含む。
サブCPU81は、主制御回路41から送信されたコマンドに応じて、サブROM82に記憶されている制御プログラムに従い、映像、音、光の出力制御を行う。なお、サブROM82は、基本的には、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を有する。また、サブROM82には、各種のデータテーブルが記憶されている。
プログラム記憶領域には、サブCPU81が実行する各種制御プログラムが記憶される。なお、プログラム記憶領域に格納される制御プログラムには、例えば、主制御回路41との通信を制御するための主基板通信タスク、演出用乱数値を抽出して演出内容(演出データ)の決定及び登録を行うための演出登録タスク、決定した演出内容に基づいて液晶表示装置10による映像の表示を制御するための描画制御タスク、ランプユニット21による光の出力を制御するためのランプ制御タスク、スピーカ20L,20Rによる音の出力を制御するための音声制御タスク等のプログラムが含まれる。
データ記憶領域には、例えば、各種データテーブルを記憶する記憶領域、各種演出内容を構成する演出データを記憶する記憶領域、映像の作成に関するアニメーションデータを記憶する記憶領域、BGMや効果音に関するサウンドデータを記憶する記憶領域、光の点消灯のパターンに関するランプデータを記憶する記憶領域等の各種記憶領域が含まれる。
サブRAM83は、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路41から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域などを有する。
また、副制御回路42には、液晶表示装置10、スピーカ20L,20R、ランプユニット21、送風機構22、可動機構121等の周辺装置が接続され、これらの周辺装置の動作は、副制御回路42により制御される。
本実施形態では、サブCPU81、レンダリングプロセッサ84、描画用RAM85(フレームバッファを含む)及びドライバ86は、演出内容により指定されたアニメーションデータに従って映像を作成し、該作成した映像は液晶表示装置10により表示される。
また、サブCPU81、DSP90、オーディオRAM91、A/D変換器92及びアンプ93は、演出内容により指定されたサウンドデータに従ってBGM等の音をスピーカ20L,20Rにより出力する。さらに、サブCPU81は、演出内容により指定されたランプデータに従ってランプユニット21の点灯及び消灯を行う。また、サブCPU81は、演出内容に指定された送風データに従って送風機構22の駆動を行う。
さらに、サブCPU81及び可動機構駆動回路96は、所定の演出を行う際に、演出内容により指定された可動機構駆動データに従って、可動機構121の駆動を行う。その結果、ランプユニット21がフロントドア1b(図7参照)から遊技者側に向けて突出し、またはランプユニット21が収納部101(図2参照)に収納される。
<ランプユニットの構成>
次に、フロントドア1bに設けられたランプユニット21の構成について、図2及び図7を参照して説明する。
図7は、フロントドア1bからランプユニット21が突出した状態を示す斜視図である。
図2に示すように、ランプユニット21は、通常状態では、フロントドア1bに設けられた収納部101に収納されている。また、図7に示すように、特定の演出時には、ランプユニット21は、後述する可動機構121(図8及び図9参照)によってフロントドア1bの収納部101から遊技者側に向けて突出する。
ランプユニット21は、略直方体状の本体部201と、2つの略円柱状の円柱部202、202とを有している。本体部201は、側面発光部201aと、前面発光部201bとを有している。側面発光部201a及び前面発光部201bには、それぞれ光を出射する光源を有している。
側面発光部201aは、本体部201におけるフロントドア1bの前後方向と直交する側面部のうち液晶表示装置10側の内側面部に取り付けられている。側面発光部201aは、本体部201の内側面部から、液晶表示装置10側に向けて略面状に光を出射する。これにより、ランプユニット21がフロントドア1bの前方に突出した際に、側面発光部201aから出射される光によって、パチスロ1の前方に位置する遊技者が光で包まれているような感覚を演出することができる。
なお、図2に示すように、ランプユニット21が収納部101内に収納されている状態では、側面発光部201aは、収納部101内に位置する。そのため、側面発光部201aは、収納部101内に隠れて、遊技者側からは側面発光部201aを視認不可能となる。そして、図7に示すように、ランプユニット21が収納部101から突出した際に、側面発光部201aは、収納部101から露出する。
また、前面発光部201bは、本体部201における遊技者側の前面部に取り付けられている。そして、前面発光部201bは、本体部201の前面部からパチスロ1の前方に光を出射する。これにより、ランプユニット21が収納部101に収納されている状態でも、パチスロ1の前方に位置する遊技者に対して光を照射することができる。
また、本体部201における上下方向の上部と下部には、それぞれ円柱部202が設けられている。円柱部202は、回転発光部202aと、前面発光部202bとを有している。回転発光部202aは、不図示の光源と、光源の周囲を回転する不図示の反射鏡とを有している。反射鏡は、円柱部202の周方向に沿って回転する。そして、光源から出射した光が回転する反射鏡に反射されると、円柱部202の側周部から周方向に沿って光が出射される向きが順次変更される。これにより、パチスロ1で遊技している遊技者に対する演出効果を高めることができる。
なお、図2に示すように、ランプユニット21が収納部101内に収納されている状態では、回転発光部202aは、収納部101内に位置する。そのため、回転発光部202aは、収納部101内に隠れて、遊技者側からは回転発光部202aを視認不可能となる。そして、図7に示すように、ランプユニット21が収納部101から突出した際に、回転発光部202aは、収納部101から露出する。
また、前面発光部202bは、円柱部202における遊技者側である軸方向の一端部に設けられている。すなわち、円柱部202は、側周部だけでなく軸方向の一端部から遊技者に向けて光を出射することができる。これにより、ランプユニット21が収納部101に収納されている状態でも、パチスロ1の前方に位置する遊技者に対して光を照射することができる。
さらに、ランプユニット21が収納部101に収納された状態では、円柱部202の前面発光部202bから略点状に光が出射される。そして、ランプユニット21が収納部101から突出した状態では、本体部201の側面発光部201aが露出し、この側面発光部201aから略面状に光が出射される。さらに、円柱部202の回転発光部202aが露出し、円柱部202の側周部か出射方向の向きを順次変更した状態で光が出射される。これにより、本実施形態のランプユニット21によれば、収納部101に収納された状態と収納部101から突出した状態とで、異なる光の演出を行うことができる。
また、本体部201及び円柱部202における液晶表示装置10と反対側の外側面部は、鈍く光るように例えば表面が凹凸状に加工されている。これにより、ランプユニット21がフロントドア1bの前方に突出した際に、パチスロ1の隣に位置する他の遊技者がまぶしくならないようにすることができる。なお、本体部201及び円柱部202における外側面部からも光が出射されるように加工してもよい。これにより、パチスロ1の前方に位置する遊技者だけでなく、パチスロ1の周囲にいる者の興味を引き付けることができる。
<収納部及び可動機構の構成>
次に、ランプユニット21を収納する収納部101及びランプユニット21を移動させる可動機構121の構成について図8及び図9を参照して説明する。
図8は、フロントドア1bにおける収納部101を示す縦断面図である。図9は、収納部101からランプユニット21が突出した状態を示すフロントドア1bの縦断面図である。
図8に示すように、収納部101は、略長方形の凹部であり、上面を形成する上面部101aと、底面を形成する底面部101bと、開口と対向する背面部101cとを有している。上面部101aと底面部101bには、それぞれ背面部101cから開口にかけて延在するガイドレール211、211が取り付けられている。ガイドレール211には、ランプユニット21の円柱部202に設けたスライダ212、212が摺動可能に支持されている。スライダ212は、ガイドレール211に沿って前後方向にのみ摺動可能となっており、水平方向への移動が規制されている。そのため、ランプユニット21は、スライダ212を介してガイドレール211に沿って収納部101の前後方向にのみ移動する。
また、ランプユニット21における背面部101cと対向する一面には、保持部材213が設けられている。保持部材213の後方には、可動機構121が設けられている。
可動機構121は、X型のリンク機構302と、このX型のリンク機構302を駆動させる駆動部303を備えている。リンク機構302は、第1のリンク片305と、第2のリンク片306と、これら2つのリンク片305,306を中間部で回転可能に連結する連結軸307と、2つの摺動支持部材308,309と、2つの送りナット311,312から構成されている。
2つの摺動支持部材308,309は、それぞれ保持部材213に摺動可能に係合されている。これら摺動支持部材308,309は、上下方向にのみ摺動可能となっており、水平方向への移動が禁止されている。2つの送りナット311,312は、それぞれ収納部101の背面部101cに摺動可能に係合されている。これら送りナット311,312は、上下方向にのみ摺動可能となっており、水平方向への移動が禁止されている。
第1のリンク片305の一端305a(下端)は、上述した摺動支持部材309に回動可能に支持され、他端305b(上端)は、上述した送りナット311に回動可能に支持されている。また、第2のリンク片306の一端306a(上端)は、上述した摺動支持部材308に回動可能に支持され、他端306b(下端)は、上述した送りナット312に回動可能に支持されている。
駆動部303は、駆動モータ321と、この駆動モータ321の回転軸として設けられた送りねじ軸314から構成されている。この駆動モータ321は、可動機構駆動回路96(図6参照)からの駆動信号に基づいて駆動する。
送りねじ軸314は、収納部101の上面部101aと底面部101bが対向する方向に延在されている。この送りねじ軸314は、駆動モータ側である半分から下側に設けられたねじ山と、先端側である半分から上側に設けられたねじ山が互いに逆方向に延在されるように構成されている。この送りねじ軸314の上側に設けられたねじ山には、上述した送りナット311が螺合され、下側のねじ山には、上述した送りナット312が螺合されている。
駆動モータ321によって送りねじ軸314を一方に回転させると、送りナット311,312は、互いに接近するように上下方向へ移動する。また、送りねじ軸314を他方に回転させると、送りナット311,312は、互いに離反するように上下方向に移動する。これにより、第1のリンク片305及び第2のリンク片306が開閉するように回転し、ランプユニット21が収納部101の前後方向に移動される。
例えば、図8に示す状態から図9に示すように、ランプユニット21を収納部101の開口からフロントドア1bの前方に突出させるには、駆動モータ321によって送りねじ軸314を一方に回転させる。これにより、送りナット311,312が互いに接近するように上下方向へ移動し、第1のリンク片305及び第2のリンク片306が開くように回転する。第1のリンク片305及び第2のリンク片306が開くように回転すると、摺動支持部材308,309が互いに接近するように上下方向へ移動すると共に、第1のリンク片305及び第2のリンク片306が摺動支持部材308,309を介してランプユニット21を収納部101の前側に押圧する。その結果、ランプユニット21がガイドレール211に沿って収納部101の開口から突出する。
このとき、図7に示すように、パチスロ1の前方に位置する遊技者は、フロントドア1bの前面に設けた液晶表示装置10と、2つのランプユニット21,21に取り囲まれたようになる。そして、ランプユニット21、21の本体部201の側面発光部201a及び円柱部202の回転発光部202aから出射される光と、液晶表示装置10から出射される光とで遊技者を包みこむようにすることができる。その結果、遊技者のパチスロ1の演出に対する没入感を高めることができる。
さらに、ランプユニット21が遊技者に向けて突出した状態で、送風機構22(図6参照)を駆動させて遊技者に向けて風を送ることで、液晶表示装置10に映し出された映像のスピード感を高めることができ、演出の臨場感を向上させることもできる。
また、図9に示す状態から図8に示すように、ランプユニット21を収納部101内に収納させるには、駆動モータ321によって送りねじ軸314を他方に回転させる。これにより、送りナット311,312が互いに離反するように上下方向へ移動し、第1のリンク片305及び第2のリンク片306が閉じるように回転する。第1のリンク片305及び第2のリンク片306が閉じるように回転すると、摺動支持部材308,309が互いに離反するように上下方向へ移動する。そして、第1のリンク片305及び第2のリンク片306が摺動支持部材308,309を介してランプユニット21を収納部101の背面部101c側へ引っ張る。その結果、ランプユニット21がガイドレール211に沿って収納部101内に収納される。
なお、本実施形態では、ランプユニット21を移動させる可動機構121がX型のリンク機構302と、このX型のリンク機構302を駆動させる駆動部303によって構成される例を説明したがこれに限定されるものではない。可動機構121としては、例えばソレノイドを用いた機構や、リニアモータを用いた機構等その他各種の機構を用いてもよい。
また、本実施形態のパチスロ1によれば、ランプユニット21を用いた演出として、ランプユニット21が収納部101に収納された状態と、ランプユニット21が収納部101から突出した状態というバリエーションを増やすことができる。さらに、送風機構22を用いて遊技者に風を吹き付けるという演出を追加している。これにより、光の色の違いや点灯及び点滅の仕方の違いだけでなく、ランプユニット21を用いて多種多様な演出を行うことができる。
さらに、本実施形態では、ランプユニット21をフロントドア1bにおける液晶表示装置10の左右の両側方に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えばランプユニット21をフロントドア1bにおける液晶表示装置10の上方に配置してもよい。これにより、ランプユニット21がフロントドア1bの前面から前方に突出した際に、パチスロ1の前方に位置する遊技者に対して上方から光を照射することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る遊技機について、その作用効果も含めて説明したが、本発明はここで説明した実施の形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の実施の形態を含むことは言うまでもない。
また、上述した実施の形態例では、遊技機としてパチスロ機を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、パチンコ機等、その他各種の遊技機であってもよい。