JP2007317879A - カルコパイライト型太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

カルコパイライト型太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 デッドスペースがなく発電効率に優れたカルコパイライト型の太陽電池を提供する。
【解決手段】 第1のスクライブで形成したスクライブラインに一部が重なるように光吸収層が改質されたコンタクト電極が形成され、さらに、コンタクト電極に一部が重なるように素子分離のスクライブライン(第3のスクライブライン)が形成されるため、デッドスペースを形成することなく、モノリシックな直列接続構造を得ることが可能となる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、化合物系の太陽電池であるカルコパイライト型太陽電池に係わり、特にモノリシック(内部直列接続構造)な直列接続構造を少ないデッドスペースで実現するカルコパイライト型太陽電池とその製造方法に関する。
光を受光し電気エネルギーに変換する太陽電池には、半導体の厚さにより、バルク系と薄膜系とに分類されている。
このうち薄膜系は、半導体層が数10μm〜数μm以下の厚さを持つ太陽電池であり、Si薄膜系と化合物薄膜系に分類されている。化合物薄膜系には、II−VI族化合物系、カルコパイライト系等の種類があり、これまでいくつか商品化されてきた。
この中でカルコパイライト系に属するカルコパイライト型太陽電池は、使用されている物質をとって、別名CIGS(Cu(InGa)Se)系薄膜太陽電池、もしくは、CIGS太陽電池又はI―III―VI族系と呼ばれている。
カルコパイライト型太陽電池は、カルコパイライト化合物を光吸収層として形成された太陽電池であり、高効率、光劣化(経年変化)がない、耐放射線特性に優れている、光吸収波長領域が広い、光吸収係数が高い等の特徴があり、現在、量産に向けた研究がなされている。
一般的なカルコパイライト型太陽電池の断面構造を、図1に示す。
図1に示すように、カルコパイライト型太陽電池は、ガラス等の基板(サブストレート)上に形成された下部電極層(Mo電極層)と、銅・インジウム・ガリウム・セレンを含む光吸収層(CIGS光吸収層)と、光吸収層薄膜の上に、InS、ZnS、CdS等で形成される高抵抗のバッファ層薄膜と、ZnOAl等で形成される上部電極薄膜(TCO)とから形成される。
なお、基板にソーダライムガラス等を用いた場合は、基板内部からのアルカリ金属成分の光吸収層への侵出量を制御する目的で、SiO等を主成分とするアルカリ制御層を設ける場合もある。
カルコパイライト型太陽電池に太陽光等の光が照射されると、電子(−)と正孔(+)の対が生じ、電子(−)と正孔(+)はp型とn型半導体との接合面で、電子(−)がN型へ、正孔(+)がp型へ集まり、その結果、n型とp型との間に起電力が生じる。この状態で電極に導線を接続することにより、電流を取り出すことができる。
図2を用いて、カルコパイライト型太陽電池を製造する為の工程を示す。
まず、ソーダライムガラス等の基板に下部電極となるMo(モリブデン)電極をスパッタリング等によって成膜する。次に、Mo電極をレーザー光の照射等によって除去することで分割する。(第1のスクライブ、図2の(a))
第1のスクライブ後、削り屑を水等で洗浄し、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)をスパッタリングや蒸着等で付着させ、プリカーサと呼ばれる層を形成する。
このプリカーサを炉に投入し、HSeガスの雰囲気中で400℃から600℃の温度でアニールすることにより、p型の光吸収層薄膜を得る。このアニールの工程は、通常、気相セレン化もしくは、単に、セレン化と呼ばれる。
次に、CdS、ZnOやInS等のn型のバッファ層を光吸収層上に積層する。バッファ層は、一般的なプロセスとしては、スパッタリング等のドライプロセスやCBD(ケミカル・バス・デポジション)等のウェットプロセスによって形成される。
次に、レーザー光照射や金属針等によりバッファ層並びにプリカーサを除去することにより分割する。(第2のスクライブ、図2の(b))
その後、上部電極としてZnOAl等の透明電極(TCO:Transparent Conducting Oxides)膜をスパッタリング等で形成する。(図2の(c))
最後に、レーザー光照射や金属針等によりTCO、バッファ層並びにプリカーサを除去することにより分割する(第3のスクライブ、図2の(d))し、CIGS薄膜太陽電池を得る。
ここで得られる太陽電池は、分割された下部電極と分割された光吸収層と分割された上部電極からなる単位セルが、コンタクト電極を介してモノリシックに直列接続されたセルと呼ばれるものであるが、実際に使用する際には、単一または複数のセルをパッケージングし、モジュール(パネル)として加工する。
セルは、各スクライブ工程により素子分離をおこなうことで、複数の直列段がモノリシックに分割されているが、この直列段数(単位セルの数)を変更することにより、セルの電圧を任意に設計変更することが可能となる。これは、薄膜太陽電池のメリットの1つとなっている。
このような従来のカルコパイライト型太陽電池では、前述のように、第2のスクライブをおこなう技術として、メカニカルスクライブとレーザー光スクライブが用いられてきた。
メカニカルスクライブは、先端がテーパー状になった金属針(ニードル)を所定の圧力にて押しつけながら移動させることによって、機械的にスクライブを行う技術である。(例えば特許文献1参照。)
図3に、第2のスクライブを、メカニカルスクライブによっておこなう模式図を示す。
また、レーザー光スクライブは、アークランプなどの連続放電ランプによってNd:YAG結晶を励起して発信したレーザー光(Nd:YAGレーザー光等)を光吸収層に照射することにより、光吸収層を除去し分割する技術である。(例えば特許文献2参照。)
特開2004−115356号公報 特開平11−312815号公報
特許文献1や特許文献2に記載されているような従来の第2のスクライブ技術では、第1のスクライブと第2のスクライブと第3のスクライブとを、ある程度離間させる必要があった、この理由を図4を用いて説明する。図4(a)は、従来の太陽電池の各単位セル間の構造を示す断面図である。図示したように、従来は第1のスクライブと第2のスクライブと第3のスクライブ(素子分離スクライブ)とを離間させておこなっており、離間させた部位はデッドスペースとなっている。
デッドスペース部分では、上部電極と下部電極が電気的に接続されているため、n型半導体とp型半導体の境界面に電子(−)、正孔(+)を集めて蓄電することができない。
通常、デッドスペースの幅はそれぞれ70μm〜100μm程度確保する必要がある。このデッドスペースは、発電に寄与しない部位であり、作成する直列段数の数にもよるが、通常のカルコパイライト型太陽電池では、第1スクライブと第2スクライブとの間のデッドスペースが全体の4〜10%程度になっていた。
デッドスペースを無くすように第2のスクライブを、第1のスクライブに一部が重なるようにおこなった場合、図4(b)に示すように、光吸収層にクラックが入って、リーク電流の原因となり、結果として、発電効率(変換効率)の低下につながっていた。
発明者らの実験によると、第1のスクライブにレーザー光スクライブを使用し、第2のスクライブにメカニカルスクライブを使用して、第1のスクライブの一部に第2のスクライブが重なるようにスクライブをおこなってカルコパイライト型太陽電池を作成した場合には、平均として変換効率が約9.5%であった。
一方、第1のスクライブと第2のスクライブと第3のスクライブとの間にそれぞれ80μmのデッドスペースを確保して作成したカルコパイライト型太陽電池は、デッドスペースあるにもかかわらず、その変換効率が約10%であった。
この原因を探るべく、第1のスクライブの一部に第2のスクライブが重なるように作成したカルコパイライト型太陽電池を解析したところ、シャント抵抗が低く、内部でリークが発生しており、結果としてFF(フィルファクター)値が低下していることが判明した。
また、第2のスクライブと第3のスクライブとの間のデッドスペースを無くすように、第3のスクライブを第2のスクライブに一部が重なるようにおこなった場合、図4(c)に示すように、透明電極層と下部電極(Mo電極)層との接触する部位が剥がれることや、透明電極の薄くなっている箇所にクラックが生じることや、存在していたクラックが広がることが引き起こされている。剥がれやクラックは、直列抵抗値の増大につながり、結果として、発電効率(変換効率)の大幅な低下につながっていた。
発明者らの実験によると、第2のスクライブにメカニカルスクライブを使用し、第3のスクライブに同じメカニカルスクライブを使用して、第2のスクライブの一部に第3のスクライブが重なるようにスクライブをおこなって、カルコパイライト型太陽電池を作成した場合には、平均として変換効率が約9.5%であった。
このように、従来のスクライブ技術では、第1のスクライブと第2のスクライブとをある程度離間させることは各単位セルを絶縁させるうえで必須であり、デッドスペースを減少させることが困難であったため、変換効率を向上させることが困難であった。
上記の課題を解決すべく、本発明に係るカルコパイライト型太陽電池は、基板と、前記基板の上部に形成された導電層を分割してなる複数の下部電極と、前記複数の下部電極上に形成され複数に分割されたカルコパイライト型の光吸収層と、
隣接する前記下部電極の間と隣接する前記下部電極の一方に跨って形成され且つ前記光吸収層の一部を改質することで当該光吸収層よりも導電性が高くなったコンタクト電極と、前記コンタクト電極に隣接する箇所で複数に分割された透明な導電層である上部電極とを有する。
前記コンタクト電極は、そのCu/In比率が、光吸収層のCu/In比率よりも大きいことによって導電性が高くなる。また、前記コンタクト電極は、モリブデンが含まれた合金が考えられる。また、前記光吸収層上にはバッファ層を介して前記上部電極が形成されているものも本発明に含まれる。
また、本発明に係るカルコパイライト型太陽電池の製造方法は、基板の上部に下部電極となる導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層を複数の下部電極に分割する第1のスクライブ工程と、前記複数の下部電極表面およびその間の基板表面に光吸収層を形成する光吸収層形成工程と、前記光吸収層のうち隣接する下部電極の間と隣接する下部電極の一方に跨がる部分にレーザー光を照射し、照射した部分の光吸収層の導電率を照射しない部分の導電率よりも高くなるように改質するコンタクト電極形成工程と、透明電極層を積層する透明電極形成工程と、前記透明電極を前記コンタクト電極形成工程で改質された一部を含むように分割する素子分離スクライブ工程とを備える。
また、光吸収層の上にバッファ層を介して上部電極となる透明電極層を積層する場合には、バッファ層の上から前記第1のスクライブ工程で分割した部分が一部含まれるようにレーザー光を照射する。
本発明の、第1のスクライブをおこなった領域に一部が重なるように、光吸収層を導電率が高まるように改質するコンタクト電極を形成し、さらに、コンタクト電極に隣接する部分に第3のスクライブを形成することにより、隣接する単位セルの一方の単位セルの上部電極と他方の単位セルの下部電極との電気的な接続を確保したうえで、リーク電流を引き起こさずにデッドスペースが減少させることが可能となり、光電変換効率が高いカルコパイライト型太陽電池を得ることができる。
(実施例1)
本発明によるカルコパイライト型太陽電池の断面を図5に示す。従来の技術と変わりがない部位には、同じ符号を付してある。
本発明によるカルコパイライト型太陽電池は、基板1の上部に形成された下部電極層(Mo電極層)2と、銅・インジウム・ガリウム・セレンを含む光吸収層(CIGS光吸収層)3と、光吸収層薄膜の上に、InS、ZnS、CdS等で形成される高抵抗のバッファ層薄膜4と、ZnOAl等で形成される上部電極薄膜(TCO)5とから1つの単位となる電池(ここでは便宜上、「単位セル」と呼ぶ)が形成され、さらに、単位となる電池を接続する目的で、上部電極と下部電極とを接続するコンタクト電極6の一部が、第1のスクライブで形成された下部電極2の分割線上に重なるように形成される。即ち、コンタクト電極6は隣接する下部電極2,2の間と隣接する下部電極の一方に跨って形成されている。
隣接する単位セルは、一方の単位セルの上部透明電極層5が他方の下部電極層2に上部透明電極層5の一部であるコンタクト電極6が直接接触することで電気的に接続される。
このコンタクト電極6は、後述するように、光吸収層3のCu/In比率よりも、Cu/In比率が大きく、言い換えると、Inが少なく構成されており、p型半導体である光吸収層に対してp+(プラス)型もしくは導電体の特性を示している。
本発明ではさらに、第3のスクライブで形成する上部電極とバッファ層と光吸収層とを分割する分割線(スクライブライン)を、コンタクト電極に隣接するように設ける。即ち、従来であればコンタクト電極にデッドスペースが連続していたが、本発明にあってはコンタクト電極の一方の側は光吸収層となっており、他方の側には第3のスクライブで形成された溝が連続している。
なお、本実施例では、基板材料として平坦なガラスを用いたが、表面に凹凸を備えたテクスチャ基板や、ステンレスやカーボン、マイカやポリイミド、セラミック等の基板を用いても良い。
次に、本発明のカルコパイライト型太陽電池の製造方法を図6に示す。
まず、基板に下部電極となるMo(モリブデン)電極をスパッタリングや蒸着等によって成膜する。下部電極には、モリブデンの他にチタンやタングステン等が使用されることがある。
次に、Mo電極をレーザー光の照射等によって除去することで分割する。(第1のスクライブ)
下部電極を分割するレーザー光には、波長が248nmであるエキシマレーザー光や、355nmであるNd:YAGレーザー光の第3高調波などが望ましい。また、レーザー光の加工幅としては、80〜100μm程度確保することが望ましく、これにより、隣り合うMo電極間の絶縁を確保することが可能となる。
第1のスクライブ後に、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)をスパッタリングや蒸着等で付着させ、プリカーサと呼ばれる層を形成する。
このプリカーサを炉に投入し、セレン化水素(HSe)ガスの雰囲気中で400℃から600℃程度の温度でアニールすることにより、光吸収層薄膜を得る。このアニールの工程は、通常、気相セレン化もしくは、単に、セレン化と呼ばれることもある。
なお、光吸収層を形成する工程には、Cu、In、Ga、Seを蒸着にて形成したあとアニールをおこなう方法など、いくつかの技術が開発されている。本実施例においては、気相セレン化を用いて説明したが、本発明は、光吸収層を形成する工程は限定されない。
次に、CdS、ZnOやInS等のn型の半導体であるバッファ層を光吸収層上に積層する。バッファ層は、一般的なプロセスとしては、スパッタリング等のドライプロセスやCBD(ケミカル・バス・デポジション)等のウェットプロセスによって形成される。バッファ層は、後に述べる透明上部電極の改良により、省略することも可能である。
次に、レーザー光を照射することにより、光吸収層の改質を行ってコンタクト電極とする。なお、レーザー光は、バッファ層にも照射されるが、バッファ層自体が光吸収層に比べて極めて薄く形成されており、発明者らの実験によってもバッファ層の有無による影響はみられない。本発明では、レーザー光は、第1のスクライブで形成された下部電極の分割線(スクライブライン)上に重なるように走査される。
その後、バッファ層とコンタクト電極の上部に、上部電極となるZnOAl等の透明電極(TCO)をスパッタリング等で形成する。最後に、レーザー光照射や金属針等によりTCO、バッファ層並びにプリカーサを除去することにより分割をおこなう。(素子分離のスクライブ、第3のスクライブ)。この場合も、加工幅は80〜100μm程度確保することが望ましい。この素子分離のスクライブは、コンタクト電極を一部含むようにスクライブされる。
図7に、光吸収層と、レーザー光を照射した後のコンタクト電極の表面を拡大撮影したSEM写真を示す。図10に示したように、粒子状に成長した光吸収層に対し、コンタクト電極は、レーザー光のエネルギーにより光吸収層の表面が溶解し再結晶化していることがわかる。
さらに詳しく分析するために、図8を用いて、本発明で形成されたコンタクト電極について、レーザー光照射前の光吸収層と比較しながら検証する。
図8の(a)に、レーザー光コンタクト形成工程を実施しない光吸収層の成分分析結果を、(b)にレーザー光コンタクト形成工程をおこなったレーザー光コンタクト部の成分分析結果を示す。なお、分析にはEPMA(Electron Probe Micro-Analysis)を用いた。EPMAは、加速した電子線を物質に照射し、電子線を励起することにより生じる特性X線のスペクトルを分析することにより構成元素を検出し、さらに、それぞれの構成元素の比率(濃度)を分析するものである。
図8から、光吸収層に対し、コンタクト電極では著しくインジウム(In)が減少していることがわかる。この減少幅を、EPMA装置にて正確にカウントしてみたところ、1/3.61であった。同様に、銅(Cu)に注目してその減少幅をカウントしてみたところ、1/2.37であった。
このように、レーザー光を照射することによって、Inが著しく減少し、比率では、Cuに対して、Inがより大きく減少していることがわかる。その他の特徴として、光吸収層ではほとんど検出されなかったモリブデン(Mo)が検出されるようになったことである。
この変化の理由について考察する。発明者によるシミュレーションによると、例えば、波長が355nmのレーザー光を0.1J/cmで照射した際には、光吸収層の表面温度は6,000℃程度に上昇する。もちろん、光吸収層の内部(下部)側では温度が低くなるが、実施例に用いた光吸収層は1μmであり、光吸収層の内部でも、かなりの高温になっていると言える。
ここで、インジウムの融点は156℃、沸点は2,072℃、さらに、銅の融点は1,084℃、沸点は2,595℃である。このため、銅にくらべ、インジウムの方が、光吸収層のより深いところまで沸点に達していると推察される。
また、モリブデンの融点は2,610℃であるため、下部電極に存在するある程度のモリブデンが、溶融して光吸収層側に取り込まれていると推察される。
まず、銅とインジウムの比率の変化による特性の変化について考える。
図9に、Cu/In比率による特性の変化を示す。図9(a)は、Cu/In比率による光吸収層のキャリア濃度の違いを、図9(b)は、Cu/In比率による抵抗率の変化を示している。
図9(a)に示すように、p型半導体の性質を有する光吸収層として用いるためには、そのCu/In比率を0.95〜0.98程度に制御することが必要とされている。図8に示したように、レーザー光を照射するコンタクト電極形成工程を経たコンタクト電極では、計測された銅とインジウムの量から、Cu/In比率が1よりも大きな値に変化している。したがって、コンタクト電極としては、p+(プラス)型、または、金属に変化しているものと考えられる。ここで、図9(b)に着目すると、Cu/In比率が1よりも大きな値になるにしたがって、急激に抵抗率が低くなっていることがわかる。具体的には、Cu/In比率が0.95〜0.98のときには抵抗率が10Ωcm程度であるのに対し、Cu/In比率が1.1に変化した場合には0.1Ωcm程度に急激に減少する。
次に、溶融して光吸収層側に取り込まれたモリブデンについて考察する。
モリブデンは、周期表の6族に属する金属元素であり、比抵抗が5.4×10−6Ωcmの特性を示す。光吸収層が溶融し、モリブデンを取り込む形で再結晶化することで、抵抗率が減少することになる。
以上の2つの理由から、コンタクト電極がp+(プラス)型または金属に変質し、光吸収層よりも低抵抗化していると考えられる。
つぎに、コンタクト電極の厚さが、光吸収層膜厚に比べ、大きな変化が無いことを明らかにするため、図10にコンタクト電極と光吸収層の断面SEM写真を示す。図10に示すコンタクト電極は、周波数20kHz、出力467mW、パルス幅35nsのレーザー光を5回照射した。回数を5回としたのは、レーザー光照射によるコンタクト電極膜厚の減少をみるためである。図10に示したように、レーザー光を5回照射したとしても、コンタクト電極の膜厚はかなり残存している。
従来のスクライブでは、第1のスクライブで形成されたスクライブラインからある程度離間させてデッドスペースを形成するように第2のスクライブをおこない、さらに、第2スクライブラインからある程度離間させてデッドスペースを形成するように第3のスクライブをおこなう必要があったが、本発明では、第1のスクライブで形成したスクライブラインに一部が重なるように光吸収層が改質されたコンタクト電極が形成され、さらに、コンタクト電極に一部が重なるように素子分離のスクライブライン(第3のスクライブライン)が形成されるため、デッドスペースを形成することなく、モノリシックな直列接続構造を得ることが可能となる。また、光吸収層膜厚に相当する段差が存在しないため、透明電極に欠陥を生じるようなことも無い。
発明者らの実験では、本発明を実施することにより、セルの発電効率(変換効率)が約11.1%に向上した。これは、デッドスペースの減少による発電領域の増加と、直列抵抗値の減少による相乗効果と考察される。
このように、光吸収層を改質したコンタクト電極を第1のスクライブで形成したスクライブラインに一部を重ね、素子分離のスクライブラインをコンタクト電極に一部重ねることにより発電領域を増加させ、さらに、直列接続の内部抵抗値を軽減することが可能となった。その結果、光電変換効率が高いカルコパイライト型太陽電池を得ることができた。
従来のカルコパイライト型太陽電池の構造を示す断面図 従来のカルコパイライト型太陽電池の製造工程を示す図 金属針によるスクライブの様子を示す図 従来のカルコパイライト型太陽電池の断面図 本発明によるカルコパイライト型太陽電池の断面図 本発明のカルコパイライト型太陽電池の製造方法を説明した図 光吸収層と、レーザー光を照射した後のコンタクト電極の表面を撮影したSEM写真 (a)はレーザー光コンタクト形成工程を実施しない光吸収層の成分分析結果を示すグラフ、(b)はレーザー光コンタクト形成工程をおこなったレーザー光コンタクト部の成分分析結果を示すグラフ (a)はCu/In比率による光吸収層のキャリア濃度の違いを示すグラフ、(b)はCu/In比率による抵抗率の変化を示すグラフ コンタクト電極と光吸収層の断面SEM写真
符号の説明
1…基板、2…下部電極層(Mo電極層)、3…光吸収層薄膜(CIGS光吸収層)、4…バッファ層薄膜、5…上部透明電極層(TCO)、6…コンタクト電極。




Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板の上部に形成された導電層を分割してなる複数の下部電極と、
    前記複数の下部電極上に形成され複数に分割されたカルコパイライト型の光吸収層と、
    隣接する前記下部電極の間と隣接する前記下部電極の一方に跨って形成され且つ前記光吸収層の一部を改質することで当該光吸収層よりも導電性が高くなったコンタクト電極と、
    前記コンタクト電極に隣接する箇所で複数に分割された透明な導電層である上部電極とを有することを特徴とするカルコパイライト型太陽電池。
  2. 前記コンタクト電極は、そのCu/In比率が、光吸収層のCu/In比率よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のカルコパイライト型太陽電池。
  3. 前記コンタクト電極は、モリブデンが含まれた合金であることを特徴とする請求項1記載のカルコパイライト型太陽電池。
  4. 前記光吸収層上にはバッファ層を介して前記上部電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載のカルコパイライト型太陽電池。
  5. 基板の上部に下部電極となる導電層を形成する導電層形成工程と、
    前記導電層を複数の下部電極に分割する第1のスクライブ工程と、
    前記複数の下部電極表面およびその間の基板表面に光吸収層を形成する光吸収層形成工程と、
    前記光吸収層のうち隣接する下部電極の間と隣接する下部電極の一方に跨がる部分にレーザー光を照射し、照射した部分の光吸収層の導電率を照射しない部分の導電率よりも高くなるように改質するコンタクト電極形成工程と、
    透明電極層を積層する透明電極形成工程と、
    前記透明電極を前記コンタクト電極形成工程で改質された一部を含むように分割する素子分離スクライブ工程とを備えることを特徴とするカルコパイライト型太陽電池の製造方法。
  6. 前記光吸収層形成工程に引き続いてバッファ層を形成し、このバッファ層の上から前記第1のスクライブ工程で分割した部分が一部含まれるようにレーザー光を照射することを特徴とする請求項5に記載のカルコパイライト型太陽電池の製造方法。
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