JP2007314803A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、反応系内に水を添加して生成ポリマーの濃厚相と希薄相とからなる液−液相分離状態を形成させ、反応終了後、200℃以上の高温状態とした反応混合物を、ノズルを通してフラッシュ用タンクに導入し、有機アミド溶媒を蒸発させて90%以上の回収率で回収する溶媒回収工程を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)重合反応終了後、反応混合物が高温状態にある間に、有機アミド溶媒の蒸発を行うことができるため、エネルギーコストを低減することができること、
(2)比較的純度の高い有機アミド溶媒を回収することができ、また、有機アミド溶媒の回収に先立って、相分離剤として使用した水の蒸発または蒸留を行うことにより、回収する有機アミド溶媒の純度を高めることができること、
(3)相分離剤の存在下に重合して得られたPASは、従来の低重合度PASとは異なり、熱処理を行っても、溶融粘度の急激な上昇がなく、熱処理による溶融粘度の制御が容易であり、しかも、熱処理後に、機械強度、溶融安定性、成形性などに優れたポリマーとして得ることができること、
を見いだした。
(A)有機アミド溶媒、アルカリ金属硫化物、及びジハロ芳香族化合物を含有する混合物を加熱して反応させるとともに、反応開始後から反応終了前までの間の所望の時点で、反応系内に水を添加し、それによって、生成ポリマーの濃厚相と希薄相とからなる液−液相分離状態を形成させるに足る量の水を存在させ、次いで、反応終了まで加熱反応を継続させる反応工程;及び
(B)反応終了後、有機アミド溶媒、生成ポリマー、水、及び副生アルカリ金属ハライドを含有し、かつ、200℃以上の高温状態とした反応混合物を、ノズルを通してフラッシュ用タンクに導入し、有機アミド溶媒を蒸発させて90%以上の回収率で回収する溶媒回収工程;
の各工程を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
本発明で使用されるアルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。これらのアルカリ金属硫化物は、通常、水和物として市販され、使用される。水和物としては、例えば、硫化ナトリウム9水塩(Na2S・9H2O)、硫化ナトリウム5水塩(Na2S・5H20)等が挙げられる。アルカリ金属硫化物は、水性混合物として使用してもよい。また、アルカリ金属硫化物は、硫化水素またはアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、有機アミド溶媒中で、in situで調製することができる。アルカリ金属硫化物は、他の反応缶で調製したものを利用することもできる。アルカリ金属硫化物中に微量存在することがあるアルカリ金属水硫化物やアルカリ金属チオ硫酸塩と反応させるために、アルカリ金属水酸化物を併用して、これらの微量成分を除去ないしはアルカリ金属硫化物への変換を行うことができる。アルカリ金属硫化物の中でも、硫化ナトリウム及び水硫化ナトリウムが、安価であることから特に好ましい。
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物は、芳香環に直接結合した2個のハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物である。ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、同一ジハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同じでも異なってもよい。これらのジハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同じでも異なってもよい。ジハロ芳香族化合物は、カルボシキル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基等の置換基を1つ以上有していても構わない。ジハロ芳香族化合物が置換基を複数固有する場合、置換基の種類は、単独でも、異なる種類の組み合わせであっても構わない。これらジハロ芳香族化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明におけるジハロ芳香族化合物の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常、0.9〜1.2モルである。
生成PASの末端を変性させ、あるいは重合反応や分子量を調節する等のために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を併用することができる。分岐または架橋重合体を生成させるために、3個以上のハロゲン原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することも可能である。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物として、好ましくはトリハロベンゼンが挙げられる。
本発明では、重合反応の溶媒として、有機アミド溶媒(すなわち、非プロトン性極性有機溶媒)を用いる。有機アミド溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと呼ぶ)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。これらの有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの有機アミド溶媒の中でも、N−アルキルピロリドン化合物、N−シクロアルキルピロリドン化合物、及びN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物が好ましく、特に、NMP、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。本発明の重合反応に用いられる有機アミド溶媒の使用量は、アルカリ金属硫化物1モル当たり、通常、0.1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgの範囲である。
本発明では、重合反応を促進させ、高分子量PASを短時間で得るために、相分離剤として水を使用する。必要に応じて、水と水以外の相分離剤を併用してもよいが、水単独または水を主成分とすることが好ましい。反応系に相分離剤を存在させると、有機アミド溶媒中で溶融状態にある生成ポリマー(プレポリマーを含む)が、ポリマー濃厚相とポリマー希薄相とに液−液相分離する。このような相分離状態で加熱反応を継続すると、重合度が高まり、高分子量PASを得ることができる。相分離剤は、このような相分離が生じるのに十分な量で反応系に存在させる。
本発明では、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させることにより、PASを製造する。この重合反応では、一般に、重合工程に先立ち、有機アミド溶媒とアルカリ金属硫化物と水分とを含む混合物を加熱脱水して、重合反応系の水分量を調節する(脱水工程)。脱水工程の後、当該脱水工程で得られた組成物とジハロ芳香族化合物とを混合し、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを加熱して重合反応させる(重合工程)。
脱水工程は、望ましくは不活性ガス雰囲気下、アルカリ金属硫化物を有機アミド溶媒中で加熱し、蒸留により水を反応系外へ分離することにより実施する。アルカリ金属硫化物は、通常、水和物または水性混合物として使用するため、必要量以上の水分を含有している。また、硫黄源としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合は、等モル程度のアルカリ金属水酸化物を添加し、有機アミド溶媒中で両者をin situで反応させてアルカリ金属硫化物に変換する。この変換反応では、水が副生する。脱水工程では、これらの水和水(結晶水)や水媒体、副生水などからなる水分を必要量の範囲内になるまで脱水する。脱水工程では、重合反応系の共存水分量が、アルカリ金属水硫化物1モルに対して、通常、0.3〜5モル程度になるまで脱水する。二段階重合法を採用する場合には、好ましくは0.5〜2.4モル、より好ましくは0.5〜2.0モル程度になるまで脱水する。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合は、生成ポリマーの分解などの望ましくない副反応を生じやすいので、重合工程の前に水を添加して所望の水分量に調節することが望ましい。
重合工程は、脱水工程終了後の組成物とジハロ芳香族化合物とを混合し、その混合物を加熱することにより行われる。この混合物を調製する際には、通常、有機アミド溶媒量や共存水分量などの調整を行う。また、この際に、重合助剤その他の添加物を混合してもよい。脱水工程終了後に得られた組成物とジハロ芳香族化合物との混合は、通常、100〜350℃、好ましくは120〜350℃の温度範囲内で行われる。混合順序は、特に制限なく、両成分を部分的に少量ずつ、あるいは一時に添加することにより行われる。
(1)前段工程:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水が存在する状態で、180〜235℃の温度範囲内で反応を行って、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%でプレポリマーを生成させ、次いで、
(2)後段工程:反応系内に、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.0モル超過、10.0モル以下の水が存在する状態となるように水を添加するとともに、245〜290℃の温度範囲内に昇温して、加熱反応を継続する
方法(特公昭63−33775号公報)がある。
(1)工程1:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、この温度範囲内の少なくとも220℃から240℃までの間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させ、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%でプレポリマーを生成させ、次いで、
(2)工程2:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.0モル超過、10モル以下の水が存在する状態となるように、反応系内に水を235℃以上の温度で添加するとともに、245〜290℃の温度範囲内で反応を継続する
方法(特開平8−183858号公報)がある。
本発明の製造方法においては、重合反応終了後に、反応混合物から有機アミド溶媒を回収するが、この溶媒回収工程の前に、反応混合物の脱水を行うことが望ましい。脱水は、重合反応終了時の温度を保持しながら、あるいはポリマーが析出しない温度まで連続的に若しくは段階的に降温して行う。脱水は、通常180〜290℃、好ましくは200〜280℃の範囲の脱水温度で行う。脱水温度が290℃を越えると、溶媒の分解等の好ましくない反応が起こり、所定の溶融粘度や分子量のポリマーを得ることが困難になる。脱水温度が180℃より低くなると、次工程で有機アミド溶媒を蒸発または蒸留により回収する際に、有機アミド溶媒の回収効率が低下したり、あるいは、回収効率を上げるために、多くの熱エネルギーが必要となるため、経済的に不利である。脱水時間は、通常、1分間〜12時間、好ましくは5分間〜10時間である。
本発明の製造方法においては、重合反応終了後に、有機アミド溶媒、生成ポリマー、相分離剤、及び副生アルカリ金属ハライドを含有する反応混合物から、有機アミド溶媒を蒸発または蒸留させて回収する。反応混合物中には、上記各成分以外に、通常、未反応モノマー、オリゴマー等の低分子量物、各種添加剤(添加した場合)などが含まれる。アルカリ金属ハライドは、通常、食塩である。
本発明では、溶媒回収後に残存する生成ポリマーと副生アルカリ金属ハライドとを含有する混合物(固形分)を水洗して、アルカリ金属ハライドを除去する。
このようにして水洗を行い、溶媒回収工程で得られた固形分から、食塩などのアルカリ金属ハライドを主成分とする水溶性成分を十分に除去し、然る後、通常の方法により乾燥する。乾燥温度は、特に限定されないが、乾燥効率の観点からは、100℃以上の乾熱雰囲気下で行うことが好ましい。乾燥温度の上限は、乾燥時間にもよるが、PASが実質的に空気酸化による粘度上昇が起きない条件とすることが好ましく、この観点から、150℃未満が好ましい。ただし、200℃程度までの高温であっても、短時間の乾燥でポリマー粒子表面の水分を除去することができ、粘度上昇を実質的に伴わなければ、採用することができる。
前記乾燥工程により得られた乾燥ポリマーは、アルカリ金属ハライドなどの水溶性の副生物や不純物、添加剤等は除去されているものの、水不溶の揮発性成分や低分子量成分は除去されていない。これらの成分は、PASの成形加工時に不具合を引き起こすので、高温での熱処理により除去または低減することが望ましい。
本発明の製造方法において、熱処理工程を経たPASの溶融粘度は、任意である。このPASは、単独で、もしくは所望により、各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂、エラストマー、安定剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤などを配合して、射出成形、押出成形、圧縮成形などの各種成形法により、シート、フィルム、繊維、パイプ、各種成形部品などを成形することができる。また、PASは、粉体のままで、粉体塗料などとしても使用することができる。
(重合)
20リットルオートクレーブ(反応缶)に、NMP6,000gと46.30重量%の硫化ナトリウム(Na2S)を含む硫化ナトリウム・5水塩3,800gとを仕込み、窒素ガスで置換後、3.5時間かけて、攪拌しながら、徐々に200℃まで昇温して、水1,650gとNMP1,100gを溜出させた。この際、0.50モルのH2Sが揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効Na2Sは、22.04モルとなった。H2S揮散分は、仕込みNa2Sの2.22モル%に相当した。
重合終了後、缶内の温度を260℃に維持したまま、攪拌を維持しながら反応缶上部に取り付けたバルブを解放し、蒸留塔を通して655gの水を溜去した。その際に、少量のpDCBも溜出した。溜去した水の量は、仕込有効Na2Sの1モル当たり1.65モルであり、この結果、缶内に残された水量は、缶内残存Na2Sの1モル当たり0.8モルとなった。
脱水後、溜去用バルブを閉じ、窒素の圧力で反応缶内の内容物を、ノズルを通して容量80Lのフラッシュ用タンクに移送した。この時、フラッシュ用タンク内には窒素ガスを流通しておき、揮発するNMPをフラッシュ用タンク外に排出し、コンデンサーにより冷却捕集した。捕集されたNMPは、7,632gであった(NMP回収率=99%)。PPSポリマー、及び塩化ナトリウムを含有する固形分5,100gを得た。
フラッシュ操作で得られた固形分中に含まれるPPSに対して、重量で10倍量の水を加え、室温及び170℃にて15分間洗浄し、吸引濾過による固形分の濾取を合計4回繰り返し、得られたウェットポリマーを105℃にて8時間乾燥した。乾燥後のPPSの収量は、2,309g(収率=97%)であった。また、PPSの溶融粘度は、16Pa・sであった。ポリマー中のナトリウム含量は、1,680ppmであった。
このポリマーの一部を空気循環式オーブン中で260℃/2時間の熱処理を行なったところ、溶融粘度は、36Pa・sに上昇した。この時の溶融粘度上昇率は、2.3倍であった。
実施例1において、後段重合工程で水を添加しなかったこと、重合反応後の脱水工程において、240gの水(仕込有効Na2 Sの1モル当たり0.6モルの水)を脱水したこと以外は、同様に実施し、乾燥PPSを得た。この時のトータルの重合時間は、実施例1と同じく5.5時間であった。得られた乾燥PPSの溶融粘度は、8Pa・sであった。このポリマーの一部を空気循環式オーブンで260℃/2時間の熱処理を行なったところ、溶融粘度は、53Pa・sにまで増大し、この時の溶融粘度上昇率は、6.6倍であった。
比較例1において、前段重合時間を10時間で行なう以外は、全て比較例1と同様に実施した。この時のトータル重合時間は、11時間であった。このPPSの乾燥後の溶融粘度は、20Pa・sであった。このポリマーの一部を空気循環式オーブンで260℃/2時間の熱処理を行なったところ、溶融粘度は、86Pa・sにまで増大し、この時の溶融粘度上昇率は、4.3倍であった。
実施例1と同様にして、脱水工程を行い仕込操作を行った。缶内温度は140℃まで低下した。攪拌機で250rpmで攪拌しながら、缶内温度を140℃から180℃まで30分間かけて昇温し、次いで、缶内温度を180℃から220℃まで60分間かけ昇温した(この時のジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は29%であった)。反応缶内温度220℃に達した時点を前段重合工程の開始時間とした。次いで、220℃から240℃までの間を60分間かけ連続昇温(平均昇温速度=0.33℃/分)した(ジハロ芳香族化合物のハロゲンの反応率は78%となった)。さらに、240℃から260℃まで30分間かけ連続昇温し(平均昇温速度0.67℃/分)、前段重合を終了した。前段重合に要した時間は、合計90分(1.5時間)であった(ジハロ芳香族化合物の転化率=約90モル%)。
実施例2において、後段重合において水を添加しなかったこと除いては、全て実施例2と同様に実施した。
実施例1と同様にして、後段相分離重合まで行なった。フラッシュ操作で重合溶媒(NMP)を回収するかわりに、以下に示すとおり、ポリマーの濾別、回収溶剤(アセトン)による重合溶媒の回収、水洗、乾燥を行なった。
実施例1及び比較例1で得られた各ポリマーを熱処理した各熱処理ポリマー、及び比較例4で得られたポリマーの射出成形物の機械物性を調べた。これらのポリマーの溶融粘度を揃えるために、実施例1で得られた乾燥後ポリマーについては、空気循環式オーブン中で260℃で5時間熱処理して、溶融粘度が56Pa・sのポリマーを得た。比較例1で得られた乾燥後ポリマーについては、260℃で2時間熱処理して、溶融粘度が53Pa・sのポリマーを得た。比較例4で得られたポリマー(粘度=51Pa・s)については、そのまま使用した。
実施例1において、後段重合終了後に脱水を行った後、缶内の温度を260℃に維持したまま12時間保持したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。乾燥後のPPSの収量は、2,285g(収率=96%)で、溶融粘度は、15Pa・sであった。また、ポリマー中のナトリウム含量は、1,710ppmであった。このポリマーを実施例1と同様に熱処理したところ、溶融粘度は、37Pa・sに上昇し、この時の溶融粘度上昇率は、2.5倍であった。
実施例1において、後段重合終了後に脱水を行うことなく、かつ、缶内の温度を260℃に維持したまま12時間保持したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。フラッシュにより捕集されたNMPは、7,564gであり(NMP回収率=98%)、PPSポリマー及び塩化ナトリウムを含有する固形分5,150gを得た。洗浄、乾燥を実施例1と同様に行った後のPPSの収量は、2,273g(収率=96%)であり、溶融粘度は、45Pa・sであった。また、ポリマー中のナトリウム含量は、1,890ppmであった。このポリマーを実施例1と同様に熱処理したところ、溶融粘度は89Pa・sに上昇し、この時の溶融粘度上昇率は2.0倍であった。
Claims (9)
- 有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、
(A)有機アミド溶媒、アルカリ金属硫化物、及びジハロ芳香族化合物を含有する混合物を加熱して反応させるとともに、反応開始後から反応終了前までの間の所望の時点で、反応系内に水を添加し、それによって、生成ポリマーの濃厚相と希薄相とからなる液−液相分離状態を形成させるに足る量の水を存在させ、次いで、反応終了まで加熱反応を継続させる反応工程;及び
(B)反応終了後、有機アミド溶媒、生成ポリマー、水、及び副生アルカリ金属ハライドを含有し、かつ、200℃以上の高温状態とした反応混合物を、ノズルを通してフラッシュ用タンクに導入し、有機アミド溶媒を蒸発させて90%以上の回収率で回収する溶媒回収工程;
の各工程を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。 - 溶媒回収工程(B)の後、
(C)反応混合物からの溶媒回収後に残存する生成ポリマーと副生アルカリ金属ハライドとを含有する混合物を水洗して、アルカリ金属ハライドを除去する水洗工程;及び
(D)水洗後の湿潤ポリマーを乾燥して、乾燥ポリマーを得る乾燥工程;
の各工程をさらに含む請求項1記載の製造方法。 - 乾燥工程(D)の後、
(E)乾燥ポリマーを熱処理して、ポリマーの溶融粘度を増大させる熱処理工程をさらに含む請求項2記載の製造方法。 - 反応工程(A)において、反応開始後、ジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98モル%の範囲になった時点で、反応系内に水を添加し、それによって、液−液相分離状態を形成させるとともに、この液−液相分離状態で反応終了まで加熱反応を継続する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 溶媒回収工程(B)において、有機アミド溶媒の回収に先立って、反応混合物から、少なくとも一部の水を蒸発または蒸留させて除去する脱水工程を配置する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 熱処理工程(E)において、150℃以上、ポリマーの融点未満の熱処理温度で、酸素の存在下に熱処理する請求項3記載の製造方法。
- 熱処理工程(E)において、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定したポリマーの溶融粘度を、乾燥ポリマーの溶融粘度の1.3倍以上の上昇率で増大させる請求項3記載の製造方法。
- 反応工程(A)において、
(1)前段工程:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水が存在する状態で、180〜235℃の温度範囲内で反応を行って、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%でプレポリマーを生成させ、次いで、
(2)後段工程:反応系内に、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.0モル超過、10.0モル以下の水が存在する状態となるように水を添加するとともに、245〜290℃の温度範囲内に昇温して、加熱反応を継続する
方法によりポリマーを生成させる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方法。 - 反応工程(A)において、
(1)工程1:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、この温度範囲内の少なくとも220℃から240℃までの間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させ、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%でプレポリマーを生成させ、次いで、
(2)工程2:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.0モル超過、10モル以下の水が存在する状態となるように、反応系内に水を235℃以上の温度で添加するとともに、245〜290℃の温度範囲内で反応を継続する
方法によりポリマーを生成させる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方法。
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