JP2007314655A - 曳糸性組成物およびそれを用いた睫毛用化粧料、毛髪用化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)特定の構造式で表されるリジン誘導体変性シリコーンと、(b)シリコーン化プルランとを含有することを特徴とする曳糸性組成物。前記成分(a)リジン誘導体変性シリコーンと、(b)シリコーン化プルランの配合量の比((a)/(b))が2/5〜2/1であることを特徴とする曳糸性組成物。
【選択図】なし
Description
一方で、睫毛用化粧料に繊維を粘着性被膜形成剤と共に配合し、繊維を睫毛に塗布させて睫毛をボリュームアップさせる技術も種々開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
繊維を配合した睫毛用化粧料は、ロングラッシュ効果は高いものの、繊維が睫毛に過剰に塗布されると不自然な仕上がりになり、さらに繊維による光の散乱のためにツヤのある外観が得られない。また、被膜剤が固過ぎてしまうことによって繊維が目の下に粉状に落ちてしまう場合がある。
本発明は前述の事情に鑑みなされたものであり、その目的は、透明性に優れた曳糸性組成物、さらにそれを睫毛用化粧料に用いた場合には、繊維を配合しなくても睫毛を長く見せる効果に優れ、自然な仕上がり感を付与することが可能な睫毛用化粧料、そして毛髪用化粧料に用いた場合には、自由な形に髪をセットすることができ、髪型がくずれにくい毛髪用化粧料を提供することにある。
すなわち、本発明の曳糸性組成物は、
(a)下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるリジン誘導体変性シリコーンと、
(b)下記一般式(V)で表されるシリコーン化プルランとを含有することを特徴とする。
また、前記(c)油分の総重量の20質量%以上がシリコーン油であることが好適である。
また、本発明は前記曳糸性組成物を用いた毛髪用化粧料を提供するものである。
本発明にかかる曳糸性組成物における「曳糸性」とは、棒状物の先端を該曳糸性組成物中に浸した後、上方へ持ち上げた場合に糸を引くように伸ばすことができる特性であり、目視で確認可能なものとする。
本発明におけるリジン誘導体変性シリコーンは、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される。
具体的には、下記式(VI)〜(IX)で表される構造を有する化合物である。
本発明にかかる曳糸性組成物に含まれるシリコーン化プルランは、下記一般式(V)で表される。
本発明にかかる曳糸性組成物において、上記シリコーン化プルランは、公知の製法により製造したものを用いることができる(例えば、特開平10−29910号公報)。
本発明で用いる油分として、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、脂肪酸類、高級アルコール、ロウ類、ワックス類、フッ素系油脂、動植物油脂類などの常温で液状の油分、ないし常温で固体、半固体の油分が適宜用いられる。具体的には、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、サリチル酸2−エチルヘキシル等のエステル油、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油等の油脂等が挙げられる。
本発明においては、上記油分の1種または2種以上を用いてもよい。
本発明にかかる曳糸性組成物に油分を配合する場合、好適な配合量は60質量%以上である。配合量が60質量%未満であると、適度な稠度、すなわち曳糸性が維持できず本発明においては好ましくない。
また、ここでいう「油分の総重量」とは、曳糸性組成物における油分の総重量、または曳糸性組成物を用いた睫毛用化粧料および毛髪用化粧料の全体における油分の総重量のことを意味する。
また、毛髪化粧料に用いた場合には、髪に「つや」「みずみずしさ」を与え、本発明にかかる曳糸性組成物の持つ滑らかで腰のある整髪性に優れたものが得られる。
本発明にかかる曳糸性組成物は、前記化粧料の他、塗料、表面処理剤等の各種製品の増粘剤としても用いることが可能である。
具体的には、多糖類としては、セルロース、デンプン、グリコーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、グアガム、ローカストビンガム、クインスシード、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、コンドロイチン硫酸、ムコイチン硫酸等が挙げられる。
水溶性の半合成高分子としては、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸Na、カルボキシメチルセスロースNa(CMC)、セルロース末等のセルロース系、アルギン酸Na、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系が挙げられる。
水溶性の合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系、ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン系、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等の共重合系、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチルアクリレート等のアクリル系、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
水溶性の無機高分子としては、ベントナイト、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。 これらの多糖類、水溶性高分子は1種又は2種以上が選択して用いられる。
本発明にかかる睫毛用化粧料および毛髪用化粧料の形態は、W/O乳化または油性の形態を好ましくとるが、この限りではない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
(1)20.1gのNε−ラウロイル−L−リジンを205mlのエタノ−ルに懸濁させた。反応溶液を氷冷後、乾燥塩化水素ガスを飽和になるまで導入し、6時間撹拌した。
次にエタノ−ルを留去後、250mlのジイソブチルエーテルを加え、吸引濾過後、精製水300mlを加えた。この溶液に精製水70mlに溶かしたモルホリン55gを撹拌しながらゆっくりと加え、析出した白色粉末をろ別した。得られた白色粉末は、n−ヘキサンから再結晶を行い、Nε−ラウロイル−L−リジンイソブチルエステル20.1gを得た。
(2)アジ化ナトリウム45.5gに精製水150gを加え、氷水中で冷却しながら、撹拌して完全に均一な溶液とした。ここに10−ウンデセノイルクロライド101.4gとアセトン150mlを混合した溶液を少しずつ、溶液の温度が10〜15℃の範囲になるように滴下した。添加終了後、12℃付近で1時間撹拌した。
次に溶液を分液ロートに移し、水層と有機層を分けた。有機層を60℃に維持した500mlのトルエンにゆっくりと加え、温度50〜60℃の範囲で3時間撹拌を行ったートルエンを留去後、減圧蒸留することで10−ウンデセノイルイソシアネート73.2gを得た。
(3)次式
次に得られた固体を細かく砕き、25℃のヘキサンでよく洗いながら吸引ろ過を行った後、減圧乾燥することで上記式(VI)で表される粉末状のリジン誘導体変成シリコーン(Nε−ラウロイル−L−リジンイソブチルエステル誘導体変性シリコーン)20.3gを得た。
(b)成分として、シリコーン化プルラン(3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル]プロピルカルバド酸プルラン混合物、商品名:TSPL−30−D5、信越化学工業株式会社製。3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル]プロピルカルバド酸プルラン混合物を30%含有する。)を使用した。また(c)成分としてデカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、イソノナン酸イソノニルを使用した。
(1)官能評価:曳糸性
あらかじめ石鹸で洗浄した手の甲に、上記成分を含む試料を各1g塗布し、指を試料に押し付けた後に指を上方に引き離したときの曳糸性を、専門パネル(20名)の目視により評価した。評価基準は、きわめてよく伸びると感じた場合は3点、適度に伸びると感じた場合は2点、若干伸びると感じた場合は1点、伸びないと感じた場合は0点とし、その合計点を算出した。
◎:合計点が46点以上。
○:合計点が36点〜45点。
△:合計点が26点〜35点。
×:合計点が25点以下。
サンプルを5mm厚になるように透明樹脂容器に流し込み、25℃にて容器下に置いたフォント88のTimes New Romanの文字の見える鮮明さを、専門パネル(20名)により評価した。
5点:非常に文字がハッキリと見え、鮮明度が非常に高い。
4点:文字がハッキリと見え、鮮明度が高い。
3点:文字が見えるが、鮮明度がやや劣る。
2点:かろうじて文字が見えるが、鮮明度に劣る。
1点:文字が読めず、不透明である。
これらの合計点を算出した。
◎:合計点が91点以上。
○:合計点が71〜90点。
△:合計点が41〜70点。
×:合計点が40点以下。
(3)塗布性
専門パネル(20名)により、睫毛に各試料(マスカラ)を塗布したときの、マスカラの塗布のしやすさを官能評価した。評価基準は極めて塗布しやすいと感じた場合には3点、適度に塗布しやすいと感じた場合には2点、塗布しにくいと感じた場合には1点、極めてぬりのばしにくく塗布しにくいと感じた場合には0点とし、その合計点を算出した。
○:合計点が41点以上。
△:合計点が26〜40点。
×:合計点が25点以下。
専門パネル(20名)により、睫毛に各試料(マスカラ)を10回塗布し、塗布前後の睫毛の長さを目視により観察し、官能でロングラッシュ効果を評価した。評価基準は、睫毛が極めて長くなったと感じた場合には3点、適度に長くなったと感じた場合には2点、若干長くなったと感じた場合には1点、塗布前と変化を感じなかった場合には0点とし、その合計点を算出した。
○:合計点が41点以上。
△:合計点が26〜40点。
×:合計点が25点以下。
専門パネル(20名)により、睫毛に各試料(マスカラ)を10回塗布し、目視により自然な仕上がり感を評価した。評価基準は優れた自然な仕上がり感があると感じた場合には3点、適度な仕上がり感であると感じた場合には2点、あまり自然な仕上がり感ではないと感じた場合には1点、極めて不自然な仕上がり感であると感じた場合には0点とし、その合計点を算出した。
○:合計点が41点以上。
△:合計点が26〜40点。
×:合計点が25点以下。
リジン誘導体変性シリコーンの適正について検討するために下記に示す各種リジン誘導体変性シリコーンを前述の製造例1に準じて合成し、それらを配合した組成物の評価を行った。その結果を下記表1に示す。
合成リジン誘導体変性シリコーンの構造
一方、試験例5のようにシリコーン化プルランを配合しないと、所望とする曳糸性は得られず、固いゲルの組成物であった。また、リジン誘導体変性シリコーンに変わり、増粘剤であるパルミチン酸デキストリンを配合すると(試験例6)、やや粘稠なゲルとなり、また透明性に欠くものであった。
次に、リジン誘導体変性シリコーンと従来の油性被膜形成剤とを組み合わせた組成物の評価を行った。その結果を下記表2に示す。
<リジン誘導体変性シリコーンとシリコーン化プルランの配合比>
次に、本発明にかかる曳糸性組成物を利用した睫毛用化粧料において、共に配合する各種成分についての検討を行った。最初に成分(a)リジン誘導体変性シリコーンの好適な配合量の検討結果を下記表4に示す。
※3:商品名 エマレックスRWIS−320、日本エマルジョン株式会社製
(製法)成分(1)、(2)を含む油相部を90℃に加熱し攪拌して均一にする。水相部も90℃に加熱し、前記油相部に添加して乳化した後、室温まで冷却して各試料を得た。
以上の結果から、本発明にかかる曳糸性組成物を睫毛用化粧料に用いた場合には、成分(a)リジン誘導体変性シリコーンの好適な配合量は3〜10質量%であることが分かる。
続いて、本発明にかかる曳糸性組成物を利用した睫毛用化粧料における、成分(b)シリコーン化プルランの好適な配合量の検討を行った。その結果を下記表5に示す。
以上の結果から、本発明にかかる曳糸性組成物を睫毛用化粧料に用いた場合には、成分(b)シリコーン化プルランの好適な配合量は3〜10質量%であることが分かる。
次に、本発明にかかる曳糸性組成物を利用した睫毛用化粧料における油分の検討を行った。その結果を下記表6に示す。
また、揮発性シリコーン油が配合されていても、油分全体に占める揮発性シリコーン油の割合が低いと(試験例30)、前述と同様に化粧落ちの点で若干問題があった。
以上の結果から、本発明にかかる曳糸性組成物を用いた睫毛用化粧料においては、油分として揮発性シリコーン油を含むことが好ましく、油分の総量において揮発性シリコーン油が60%以上を占めることがより好ましいことが明らかである。
さらに、本発明者らは本発明にかかる睫毛用化粧料と、従来からロングラッシュ効果のために繊維を配合した睫毛用化粧料とを比較検討した。その結果を下記表7に示す。
以上の結果より、本発明にかかる曳糸性組成物を用いた睫毛用化粧料は、繊維を配合しなくても睫毛を長く見せる効果に優れ、塗布性、自然な仕上がり感も良好であることが明らかである。
実施例3−1:W/Oマスカラ
(1)リジン誘導体変性シリコーン(VII) 6.0 質量%
(2)3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル] 6.0
プロピルカルバド酸プルラン混合物
(3)ジメチルポリシロキサン(6mPa・s) 2.0
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(5)軽質イソパラフィン 7.0
(6)トリメチルシロキシケイ酸 10.0
(7)メチルポリシロキサンエマルション 適量
(商品名:BY22-080 cosmetic emulsion、東レダウコーニング株式会社製)
(8)ジオレイン酸ポリエチレングリコール 2.0
(9)ジイソステアリン酸ジグリセリル 2.0
(10)1,3−ブチレングリコール 4.0
(11)炭酸水素ナトリウム 0.2
(12)酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
(13)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(14)デヒドロ酢酸ナトリウム 適量
(15)黒酸化鉄 7.0
(16)海藻エキス 0.1
(17)ベントナイト 1.0
(18)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトナイト 6.0
(19)ポリ酢酸ビニルエマルション 30.0
(商品名:ビニブラン S−40、日信化学工業株式会社製)
(20)精製水 残部
(製法)(製法)成分(1)、(2)を含む油相部を90℃に加熱し攪拌して均一にする。水相部も90℃に加熱し、前記油相部に添加して乳化した後、室温まで冷却してマスカラ容器に充填した。
(1)リジン誘導体変性シリコーン(VII) 5.0 質量%
(2)3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル] 5.0
プロピルカルバド酸プルラン混合物
(3)メチルハイドロジェンポリシロキサン 1.0
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 40.0
(5)軽質イソパラフィン 残量
(6)トリメチルシロキシケイ酸 15.0
(7)ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)
メチルポリシロキサン共重合体 2.0
(下記一般式(1)において、m=400、n=10、x=3、y=19、z=19、R8=H分子量約55,000のもの。)
(9)キャンデリラロウ 5.0
(10)イソステアリン酸 3.0
(11)オレイン酸 1.0
(12)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(13)ムクロジエキス 0.1
(13)カラスムギエキス 0.1
(14)テトラデセン 0.1
(15)ポリエチレン 5.0
(16)マイクロクリスタリンワックス 5.0
(製法)上記成分(1)〜(16)を90℃に加熱し、攪拌混合した後冷却し、マスカラ容器に充填した。
(1)リジン誘導体変性シリコーン(VII) 5.0 質量%
(2)3−[トリス(トリメチルシロキサン)シリル] 5.0
プロピルカルバド酸プルラン混合物
(3)ジメチルポリシロキサン(6mPa・s) 10.0
(4)メチルフェニルポリシロキサン 5.0
(5)高重合メチルポリシロキサン 10.0
(6)ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 残余
(7)サラシミツロウ 10.0
(8)モクロウ 5.0
(9)カルナウバロウ 1.0
(10)親油型モノステアリン酸グリセリン 8.0
(11)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 10.0
(12)香料 適量
(製法)上記成分(1)〜(12)を90℃に加熱し、攪拌混合した後冷却して目的の毛髪用化粧料を得た。
Claims (6)
- 請求項1に記載の曳糸性組成物において、(a)上記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるリジン誘導体変性シリコーンと、(b)上記一般式(V)で表されるシリコーン化プルランの配合量の比((a)/(b))が2/5〜2/1であることを特徴とする曳糸性組成物。
- 請求項1または2に記載の曳糸性組成物において、さらに(c)油分を含むことを特徴とする曳糸性組成物。
- 請求項3に記載の曳糸性組成物において、(c)油分の総重量の20質量%以上がシリコーン油であることを特徴とする曳糸性組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の曳糸性組成物を基剤として含有する睫毛用化粧料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の曳糸性組成物を基剤として含有する毛髪用化粧料。
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