鋭意検討した結果、本発明者らは、繊維又は紡糸性ポリマーを含まなかったとしても、ケラチン繊維に伸長効果等のメーキャップ効果を与えることができる、睫毛等のケラチン繊維に適した組成物を提供することが可能であることを発見した。一方、必要に応じて、本発明による組成物は、繊維又は紡糸性ポリマーを含んでもよい。
したがって、本発明によるケラチン繊維用の組成物は、
(a)少なくとも1種のポリオキシアルキレン化ワックスと、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の脂肪酸と、
(d)水と
を含む、組成物である。
本発明による組成物は、ケラチン繊維に優れた伸長効果を与えることができる。したがって、本発明による組成物が適用されたケラチン繊維は、本発明による組成物を適用する前のケラチン繊維と比べて、より長く見える。
本発明による組成物は、睫毛等のケラチン繊維に、ボリュームアップ効果(例えば、ケラチン繊維の太さを増加することができる)及びカールを保つ効果(例えば、ケラチン繊維のカールを維持することができる)等の他のメーキャップ効果も与えることができる。
したがって、本発明による組成物は、特にマスカラ製品として有用である。
以下では、本発明による組成物及び方法を詳細に説明する。
[組成物]
(ポリオキシアルキレン化ワックス)
本発明による組成物は、(a)の少なくとも1種のポリオキシアルキレン化ワックスを含む。2種以上のポリオキシアルキレン化ワックスが使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、少なくとも1つのポリオキシアルキレン部分を有する。ポリオキシアルキレン部分は、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、及びこれらの混合物で構成されてよい。好ましくは、ポリオキシアルキレン部分は、ポリオキシエチレン部分であってもよい。ポリオキシアルキレン部分は、好ましくは2~160個のオキシアルキレン単位、より好ましくは8~140個のオキシアルキレン単位、より一層好ましくは80~120個のオキシアルキレン単位を含有する。オキシアルキレン単位は、オキシエチレン単位であることが好ましい。
(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、例えば、複数のアルキレングリコール、好ましくはエチレングリコールをワックスに添加することによって、調製することができる。本明細書において、「ワックス」という用語は、親油性化合物(特に、ワックスエステル:高級脂肪酸(C10以上、好ましくはC12以上)と高級アルコール(C8以上)とのエステル)を意味し、このような化合物は、ホホバ油を除いて、室温(25℃)で固体であり、状態が固体/液体で可逆的に変化し、30℃以上、好ましくは40℃、より好ましくは50℃の融点を有し、融点は最大100℃の場合もある。ワックスの例として、天然ワックス及び合成ワックスが挙げられる。天然ワックスの例には、石油ワックス、植物ワックス及び動物ワックスが挙げられる。石油ワックスの例には、パラフィンワックス、微結晶ワックス及びワセリンが挙げられる。植物ワックスの例には、ホホバ油、ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリキュリーワックス、木ろう、シアバター、ココアバター、コルク繊維ワックス及びサトウキビワックスが挙げられる。動物ワックスの例には、ラノリンワックス、ラノリン誘導体及びビーズワックスが挙げられる。合成ワックスの例には、合成炭化水素ワックス及び変性ワックスが挙げられる。
(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、ホホバ油、硬化ホホバ油、ビーズワックス、コメヌカワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、及びこれらの混合物のポリオキシアルキレン付加物、好ましくはポリオキシエチレン付加物から選択されることが好ましい。
ホホバ油は、ホホバ(Simmondsia chinensis)の種子から得ることができる。ホホバ油は、室温で液体であるが、化学的観点から言うとワックスの種類である。
(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、PEG-75ラノリン油、PEG-12カルナウバ、PEG-8ビーズワックス、ホホバワックスPEG-80エステル、ホホバワックスPEG-120エステル、及びsorbeth-6ビーズワックスから選択されることがより好ましい。
(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、ホホバワックスPEG-80エステル及びホホバワックスPEG-120エステルから選択されることがより一層好ましい。
(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、親水性のポリオキシアルキレン化部分及び疎水性のワックス部分を有し得るため、非イオン性界面活性剤として機能し得る。したがって、(a)のポリオキシアルキレン化ワックスは、HLB値を有し得る。HLB値は、10~20、好ましくは13~19、より好ましくは15~18であってもよい。
本発明による組成物中の(a)のポリオキシアルキレン化ワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でよい。本発明による組成物中の(a)のポリオキシアルキレン化ワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中の(a)のポリオキシアルキレン化ワックスの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。本発明による組成物中の(a)のポリオキシアルキレン化ワックスの量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中の(a)のポリオキシアルキレン化ワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(a)のポリオキシアルキレン化ワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~3質量%であることがより一層好ましいことがある。
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のアルカリ剤を含む。2種以上のアルカリ剤が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
無機アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤は、アミン(第1級アミン、第2級アミン、及び第3級アミン)から選択されることが好ましい。有機アルカリ剤は、アルカノールアミン(アルカン骨格、少なくとも1つのヒドロキシ基及び少なくとも1つのアミノ基を有する化合物)から選択されることがより好ましい。アルカノールアミンの例として、モノ-、ジ-及びトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トロメタミン、アミノメチルプロパンジオール(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、並びにこれらの混合物を挙げることができる。有機アルカリ剤は、トロメタミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることがより一層好ましい。
本発明による組成物中の(b)のアルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でよい。本発明による組成物中の(b)のアルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中の(b)のアルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。本発明による組成物中の(b)のアルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中の(b)のアルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(b)のアルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~3質量%であることがより一層好ましいことがある。
(脂肪酸)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の脂肪酸を含む。2種以上の脂肪酸が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
本明細書において用語「脂肪酸」は、脂肪族炭素の長鎖を有するカルボン酸を意味する。好ましくは、脂肪酸は、任意の飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状の脂肪酸から選択される。
好ましくは、(c)の脂肪酸は、C16~C24脂肪酸、より好ましくはC16~C22脂肪酸、より一層好ましくはC16~C20脂肪酸から選択される。
これらの中では、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンエイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物を挙げることができる。
(b)のアルカリ剤は、(c)の脂肪酸によって1種以上の石鹸を形成することができる。石鹸は、アニオン性界面活性剤として機能し得る。
(c)の脂肪酸によって石鹸を形成する(b)のアルカリ剤として、アルカノールアミンが好ましいことがある。特に、トロメタミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオールが、ステアリン酸によって石鹸を形成することが好ましい。
本発明による組成物中の(c)の脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でよい。本発明による組成物中の(c)の脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中の(c)の脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。本発明による組成物中の(c)の脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中の(c)の脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(c)の脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~3質量%であることがより一層好ましいことがある。
[水]
本発明による組成物は、(d)の水を含んでいてもよい。
本発明による組成物は、エマルションの形態であってもよい。
本発明による組成物が、下記の少なくとも1種のワックスを含む場合、本発明による組成物は、水中ワックス型エマルションの形態であることが好ましい。「水中ワックス型エマルション」という用語は、連続した水相又は水性相と、前記水相又は水性相中に液滴の形態で分散されたワックス相(少なくとも1種のワックスが含まれる)とを含む、任意の巨視的に均質な組成物を意味する。
本発明による組成物が、下記の少なくとも1種の油を含む場合、本発明による組成物は、O/W型エマルションの形態であることが好ましい。
「O/W型エマルション」又は「水中油型エマルション」という用語は、連続した水相又は水性相と、前記水又は水性相中に液滴の形態で分散された油性相(少なくとも1種の油が含まれる)とを含む、任意の巨視的に均質な組成物を意味する。
本発明による組成物中の(d)の水の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であってよい。本発明による組成物中の(d)の水の量は、組成物の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(d)の水の量は、組成物の総質量に対して、15~70質量%、好ましくは20~60質量%、より好ましくは25~55質量%であってよい。
(ワックス)
本発明による組成物は、(a)のポリオキシアルキレン化ワックス以外の(e)少なくとも1種のワックスを含んでもよい。2種以上のワックスが使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
本明細書において、「ワックス」という用語は、親油性化合物(特に、ワックスエステル:高級脂肪酸 (C10以上、好ましくはC12以上)と高級アルコール(C8以上)とのエステル)を意味し、このような化合物は、ホホバ油を除いて、室温(25℃)で固体であり、状態が固体/液体で可逆的に変化し、30℃以上、好ましくは40℃、より好ましくは50℃の融点を有し、融点は最大100℃の場合もある。
本発明の目的では、融点は、例えばASTM D127に従って測定される。
本発明による組成物において使用される(e)のワックスは、有利には、60℃以上、好ましくは65℃以上、より好ましくは75℃以上の融点を有する。本発明による組成物において使用されるワックスは、有利には、最大90℃、好ましくは最大85℃の融点を有する。
(e)のワックスは、有利には、硬度が、20℃で5MPaを超え、特に5~15MPaの範囲である。
ワックスの硬度は、圧縮力の測定により判定され、Rheo社によりTA-XT2という名称で販売されているテクスチュロメータ(直径2mmのステンレス鋼シリンダを備え、このシリンダが0.1mm/秒の測定速度で移動し、0.3mmの貫入深さまでワックスに貫入する)を使用して20℃で測定される。
硬度の測定プロトコールは、次の通りである。
ワックスを、ワックスの融点+10℃に等しい温度で溶融する。溶融したワックスを、直径25mm及び深さ20mmの容器に注ぐ。ワックスの表面が平坦でなめらかになるように、ワックスを室温(25℃)で24時間で再結晶させ、次いで、ワックスを20℃で少なくとも1時間貯蔵してから硬度又は粘着力を測定する。
テクスチュロメータスピンドルを、0.1mm/秒の速度で動かし、次いで0.3mmの貫入深さまでワックスに貫入させる。スピンドルが0.3mmの深さまでワックスに貫入したら、スピンドルを更に1秒間にわたり保持させ(緩和時間に対応して)、次いで0.5mm/秒の速度で引き抜く。
硬度の値は、測定した最大圧縮力を、ワックスと接触したテクスチュロメータシリンダの面積で割ったものである。
本発明において使用されるワックスの例として、天然ワックス及び合成ワックスが挙げられる。天然ワックスの例には、石油ワックス、植物ワックス及び動物ワックスが挙げられる。石油ワックスの例には、パラフィンワックス、微結晶ワックス及びワセリンが挙げられる。植物ワックスの例には、ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリキュリーワックス、木ろう、ココアバター、コルク繊維ワックス及びサトウキビワックスが挙げられる。動物ワックスの例には、ラノリンワックス、ラノリン誘導体及びビーズワックスが挙げられる。合成ワックスの例には、合成炭化水素ワックス及び変性ワックスが挙げられる。
本発明の組成物は、カルナウバワックスを含むことが好ましい。また、本発明の組成物は、ビーズワックスを含むことも好ましい。本発明の組成物は、カルナウバワックス及びビーズワックスを含むことがより好ましい。カルナウバワックスは80~83℃の融点を有し、ビーズワックスは65℃の融点を有する。
合成炭化水素ワックスの例には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュワックスが挙げられる。変性ワックスの例には、パラフィンワックス誘導体、モンタンワックス誘導体及び微結晶ワックス誘導体が挙げられる。(b)ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュワックス等の合成炭化水素ワックスから選択されることが好ましい。
ポリエチレンワックスの例には、エチレンホモポリマー及びエチレン-α-オレフィンコポリマーが挙げられる。或いは、ワックスは、コポリマーの熱分解によって得ることができる。α-オレフィンの例には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテン等の、3~12個の炭素原子を有するα-オレフィンが挙げられる。
ポリプロピレンワックスの例には、プロピレンホモポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー(ランダム又はブロックコポリマーである)、及びプロピレン-α-オレフィン(エチレン又はプロピレンを除く)コポリマーが挙げられる。或いは、ワックスは、コポリマーの熱分解によって得ることができる。α-オレフィンの例には、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-オクタデセンが挙げられる。
ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスは、チーグラー触媒、チーグラー-ナッタ触媒、及びメタロセン触媒等の重合触媒を用いた公知の方法によって得ることができる。特に、メタロセン触媒を重合触媒として使用することにより得られるポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスが、チーグラー触媒又はチーグラー-ナッタ触媒を重合触媒として使用することにより得られるポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスと比較して、狭い分子量分布及び安定な性状を有するので好ましい。
フィッシャー-トロプシュワックスは、直鎖状炭化水素を主に含み、コバルト、ニッケル、又は鉄等の触媒を用いて170~250℃、常圧下で主成分として一酸化炭素及び水素を含有する水性ガスを反応させることにより得られる、合成炭化水素ワックスである。フィッシャー-トロプシュワックスは、奇数個及び偶数個の炭素原子を含有する炭化水素を含む、すなわち奇数個の炭素原子を含有する炭化水素及び偶数個の炭素原子を含有する炭化水素の両方を含むことを特徴とする。最も好ましくは、本発明によるワックスは、フィッシャー-トロプシュワックスである。
本発明による組成物中の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上でよい。本発明による組成物中の、(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、10質量%であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中の、(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、及びより好ましくは20質量%以下でよい。本発明による組成物中の、(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中の、(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~30質量%、好ましくは1質量%~25質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の、(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、10質量%~15質量%であることがより一層好ましいことがある。
本発明による組成物中の、カルナウバワックス等の、融点が75℃以上の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であることが好ましい。
一方で、本発明による組成物中の、カルナウバワックス等の、融点が75℃以上の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下でよい。
したがって、組成物中の、カルナウバワックス等の、融点が75℃以上の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは3質量%~10質量%、より好ましくは5質量%~8質量%の範囲であってもよい。
本発明による組成物中の、ビーズワックス等の、融点が60~70℃の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であることが好ましい。
一方で、本発明による組成物中の、ビーズワックス等の、融点が60~70℃の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下であってもよい。
したがって、組成物中の、ビーズワックス等の、融点が60~70℃の(e)のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは3質量%~10質量%、より好ましくは5質量%~8質量%の範囲であってもよい。
(繊維)
本発明による組成物は、少なくとも1種の繊維を含んでもよい。2種以上の繊維が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、ケラチン繊維の伸長効果を改善させるために、少なくとも1種の繊維を更に含み得る。本発明で有用な繊維は、剛性又は非剛性繊維から選択され得、天然又は合成繊維であり得る。天然繊維としては、これらに限定されないが、綿、絹、羊毛、及び他のケラチン繊維が挙げられる。合成繊維としては、これらに限定されないが、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、及び他のポリアミド繊維が挙げられる。いくつかの実施形態では、繊維は、ポリアミド[Nylon(登録商標)]繊維等の非剛性繊維、又はポリイミド-アミド繊維、例えばRhodia社により商標名「Kermel」及び「Kermel Tech」で販売されているもの、若しくは特にDuPont de Nemours社により名称Kevlar(登録商標)で販売されているポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(又はアラミド)繊維等の剛性繊維で構成され得る。
繊維は、本発明による組成物中に、組成物の総質量の、一般的には0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在し得る。
(フィラー)
本発明による組成物は、少なくとも1種のフィラーを含んでもよい。2種以上のフィラーが使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、当業者によく知られ、化粧用組成物において一般的に使用されるものから選択されるフィラーを更に含んでよい。フィラーは、ラメラ状又は非ラメラ状の無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。これらの成分の代表的な例としては、マイカ、シリカ、カオリン、酸化鉄、二酸化チタン、ポリアミド粉末、例えばNylon(登録商標)(Atochem社製のOrgasol)、ポリ-アラニン粉末、ポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、例えばTeflon(登録商標)、ラウロイルリシン、澱粉、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフェア、例えば、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル粉末、例えば、Polytrap(登録商標)(Dow Corning社)、ポリメチルメタクリレート粒子とシリコーン樹脂とのマイクロビーズ[例えば、Toshiba社製のTospearls(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア[Maprecos社製のSilica Beads(登録商標)]、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、8~22個の炭素原子、好ましくは12~18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、又はミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
フィラーとして、本発明による組成物は、好ましくは、シリコーンエラストマーを含む。本発明において使用されるシリコーンエラストマーは、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコンクロスポリマー-3(INCI名)等の非乳化性エラストマーから選択することができる。
シリコーンエラストマーは、特に欧州特許第242 219号、欧州特許第285 886号及び欧州特許第765 656号並びに特開昭61-194009に記載されている。
シリコーンエラストマーは、一般的に、ゲル、ペースト又は粉末の形態であるが、有利には、シリコーンエラストマーが、直鎖状シリコーン油(ジメチコン)又は環状シリコーン油(例えば、シクロペンタシロキサン)、有利には直鎖状シリコーン油中に分散しているゲルの形態である。
用いることができるエラストマーは、より詳細には、Shin-Etsu社によってKSG-6、KSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44という名称で販売されているもの、Dow Corning社によってDC9040、DC9041及びDC9042という名称で販売されているもの、並びにGeneral Electric社によってSFE 839という名称で販売されているものが挙げられる。
特定の様式によれば、シクロペンタジメチルシロキサン、ジメチコン、ジメチルシロキサン、メチルトリメチコン、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン及びシクロメチコンを含む非限定的なリストから選択されるシリコーン油、好ましくは25℃での粘度が1~500cStの範囲の、任意選択でフッ素化された脂肪族基で又はヒドロキシル基、チオール基及び/若しくはアミン基等の官能基で任意選択で修飾された、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はジメチコンから選択される直鎖状シリコーン油中に分散されるシリコーンエラストマーのゲルが使用される。
特に挙げることができるのは、以下のINCI名:
- ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、例えばShin-Etsu社製のUSG-105及びUSG-107A、Dow Corning社製のDC9506及びDC9701、
- ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)ジメチコン、例えばShin-Etsu社製のKSG-6及びKSG-16、
- ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)シクロペンタシロキサン、例えばKSG-15、
- シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow Corning社製のDC9040、DC9045及びDC5930、
- ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow Corning社製のDC9041、
- ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow Corning社製のDow Corning EL-9240(登録商標)Silicone Elastomer Blend[ヘキサジエン/ポリジメチルシロキサンで架橋されたポリジメチルシロキサンの混合物(2cSt)]、
- C4~24アルキルジメチコン/ジビニルジメチコンクロスポリマー、例えばAlzo社製のNuLastic Silk MA
を有する化合物である。
本発明による組成物は、好ましくは、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーのINCI名を有するものから選択されるシリコーンエラストマーを含む。
フィラーは、本発明による組成物中に、組成物の総質量の、一般的には0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在し得る。
(染色物質)
本発明による組成物は、少なくとも1種の染色物質を含んでもよい。2種以上の染色物質が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
好適な染色物質としては、これらに限定されないが、粉末状染色物質、脂溶性染料、及び水溶性染料が挙げられる。
粉末状染色物質は、顔料及び真珠光沢剤から選択され得る。
本発明に従って使用され得る顔料は、白色、着色、無機、有機、重合性、非重合性、被覆及び非被覆の顔料から選択され得る。無機顔料の代表的な例としては、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料の代表的な例としては、カーボンブラック、D&C型の顔料、並びにコチニールカーマイン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム及びアルミニウムをベースにするレーキが挙げられる。顔料として、本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の金属酸化物、特に酸化鉄を含む。
本発明に従って使用できる真珠光沢剤は、白色真珠光沢性顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢性顔料、例えば、酸化鉄を有するチタンマイカ、フェリックブルー又は酸化クロムを有するチタンマイカ、上述のものから選択される有機顔料を有するチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢性顔料から選択され得る。
本発明に従って使用できる代表的な脂溶性染料としては、スーダン赤色、DC赤色17号、DC緑色6号、β-カロテン、大豆油、スーダン茶色、DC黄色11号、DC紫色2号、DC橙色5号、アナトー及びキノリンイエローが挙げられる。
本発明に従って使用できる水溶性染料としては、ビートルートジュース、メチレンブルー、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーンの二ナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシンの二ナトリウム塩、及びキサントフィルが挙げられる。
染色物質は、本発明による組成物中に、組成物の総質量の、一般的には0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在し得る。
フィラー及び顔料は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、一般的には2質量%以上、好ましくは3質量%~15質量%の量で存在し得る。
(界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。2種以上の界面活性剤が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
任意の界面活性剤が、本発明のために使用され得る。本発明において使用される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択してよい。界面活性剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤から選択してよい。
(アニオン性界面活性剤)
本発明によれば、アニオン性界面活性剤の種類は限定されないが、アニオン性界面活性剤は、(b)のアルカリ剤と(c)の脂肪酸との組合せとは異なるものとする。アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキル硫酸塩、(C6~C30)アルキルエーテル硫酸塩、(C6~C30)アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、及びモノグリセリド硫酸塩;(C6~C30)アルキルスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアミドスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、及びパラフィンスルホン酸塩;(C6~C30)アルキルリン酸塩;(C6~C30)アルキルスルホコハク酸塩、(C6~C30)アルキルエーテルスルホコハク酸塩、及び(C6~C30)アルキルアミドスルホコハク酸塩;(C6~C30)アルキルスルホ酢酸塩;(C6~C24)アシルサルコシン酸塩;(C6~C24)アシルグルタミン酸塩;(C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボキシルエーテル;(C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸塩;(C6~C30)アルキルスルホコハク酸塩;(C6~C24)アシルイセチオン酸塩;N-(C6~C24)アシルタウリン酸塩;C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水添ヤシ油酸塩;(C8~C20)アシル乳酸塩;(C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;並びにポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩からなる群から選択されることが好ましいことがある。
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキル硫酸塩又はポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩から選択されることがより好ましいことがある。
少なくとも一実施形態では、アニオン性界面活性剤は、アルカリ金属、例えばナトリウムの塩、アルカリ土類金属、例えばマグネシウムの塩、アンモニウム塩、アミン塩、及びアミノアルコール塩等の塩の形態である。条件に応じて、それらはまた、酸の形態であってもよい。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤は、それ自体よく知られている化合物である(この点に関して、例えば、「Handbook of Surfactants」M.R.Porter著、Blackie & Son publishers社(Glasgow and London)、1991年、116~178頁を参照のこと)。したがって、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2~50個の範囲であり、グリセロール基の数が1~30個の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた、挙げることができる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2~30モルのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5つ、例えば1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;ソルビタン脂肪酸エステル;2~30モルのエチレンオキシドを含むエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル;エトキシル化された植物由来油;スクロース脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエトキシル化されたグリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシド脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;並びにこれらの混合物もまた非限定的に挙げることができる。本明細書の非イオン性界面活性剤は、(a)のポリオキシアルキレン化ワックスとは異なる。
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、より詳細には、オキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化された非イオン性界面活性剤の例には、
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とソルビトールとのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和のモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、
とりわけ単独又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物
が含まれる。
界面活性剤は、好ましくは、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含む。有利には、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
本発明の実施形態のうちの1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリエチレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル)、ポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)、及びポリオキシエチレン化脂肪アルコールとポリオキシエチレン化脂肪酸エステルとの混合物から選択される。
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より詳細には2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではラウレス-2からラウレス-20);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より詳細には2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-2からベヘネス-20);セテアリルアルコールのエチレンオキシド付加物(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、特に2~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテアレス-2からセテアレス-30);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテス-2からセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より詳細には2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではステアレス-2からステアレス-20);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-2からイソステアレス-50);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~40個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではステアレス-2からステアレス-40);及びこれらの混合物が含まれる。
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物、及びこれらの混合物、特に9~100個のオキシエチレン単位を含むもの、例えばラウリン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:ラウリン酸PEG-9~ラウリン酸PEG-50);パルミチン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:パルミチン酸PEG-9~パルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:ステアリン酸PEG-9~ステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9~PEG-50;ベヘン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:ベヘン酸PEG-9~ベヘン酸PEG-50);100 EOモノステアリン酸ポリエチレングリコール(CTFA名:ステアリン酸PEG-100);及びこれらの混合物が含まれる。
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオキシエチレン化脂肪アルコールを含む。
より好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、2~9個のエチレンオキシド単位を含む少なくとも1種の脂肪アルコール、及び10~30個のエチレンオキシド単位を含む少なくとも1種の脂肪アルコールを含有する。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは用いられる。
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、以下の式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
[式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30のアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲である数を表す]に対応する。
本発明との関連で適する化合物の例として、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールの混合物を表すことができ、このことは、市販の製品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存し得ることを意味する。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中では、1モルのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10/C12アルコール及び1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪酸エステルは、式:
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R"又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R"
[式中、R'、R''及びR'''はそれぞれ独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-若しくはアルケニル-CO-基を表し、ただしR'、R''及びR'''のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す]に対応することができる。
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物、及びこれらの混合物、特に9~100個のオキシエチレン単位を含むもの、例えばラウリン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:ラウリン酸PEG-9~ラウリン酸PEG-50);パルミチン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:パルミチン酸PEG-9~パルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9~PEG-50(CTFA名:ステアリン酸PEG-9~ステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9~PEG-50;ベヘン酸PEG-9~PEG-50(ベヘン酸PEG-9~ベヘン酸PEG-50);100 EOモノステアリン酸ポリエチレングリコール(CTFA名:ステアリン酸PEG-100);及びこれらの混合物が含まれる。
好ましくは、本発明による組成物は、HLBが8以上、好ましくは8~18の非イオン性界面活性剤を含む。HLBは、分子中の親水性部分と親油性部分との間の比である。このHLBという用語は、当業者に周知であり、「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.社より刊行、1984年)に記載されている。より好ましくは、本発明による組成物は、HLBが8以上の非イオン性界面活性剤、及びHLBが8未満の非イオン性界面活性剤を含む。
本発明の一実施形態によれば、界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%の範囲とすることができる。
(植物性バター)
本発明による組成物は、少なくとも1種のボタニカルバターを含んでもよい。2種以上の植物性バターが使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
本明細書で使用される場合、「植物性バター」は、柔軟化特性を有し、融点がヒトの体温に近いことを特徴とする、植物の果実及び/又は種子の脂肪及び/又は油抽出物である。
ボタニカルバターは、35℃以上、より好ましくは40℃以上、より一層好ましくは45℃以上の融点を有することが好ましい。ボタニカルバターは、60℃未満、より好ましくは58℃以下、より一層好ましくは55℃以下の融点を有することが好ましい。
ボタニカルバターは、35~60℃、より好ましくは40~58℃、より一層好ましくは45~55℃の融点を有することが好ましい。
ボタニカルバターとして、植物の果実若しくは種子由来の純粋な抽出物、並びに/又は融点特性及び/若しくは潤滑性を実現するために追加の脂質物質と合わせた植物の果実若しくは種子由来の抽出物の両方を挙げることができる。
ボタニカルバターは、植物源から誘導することができる。
例示的なボタニカルバターとして、これらに限定されないが、マンゴーシードバター、ラズベリーバター、アボカドバター、シアバター、オリーブバター、ククバター、モノイバター、ピーチバター、ピスタチオバター、ココナツバター、ココアバター、ザクロバター、ローズヒップバター、ヒマワリバター、小麦胚芽バター、アンズバター、ババスバター、クプアスバター、コクムバター、ヘーゼルナッツバター、ホホババター、ゴマバター、大豆バター、アーモンドバター、メドウフォームシードバター、クロフサスグリシードバター及びクランベリーバターが挙げられる。
ボタニカルバターは、ホホババター(Simmondsia Chinensisバター)であることが好ましい。ホホババターは、Simmondsia Chinensis(ホホバ)種子油の異性化によって得ることができる。好ましくは45~55℃の融点を有するホホババターを使用することが好ましい。列挙することができるホホババターの例として、融点が50℃の、DESERT WHALE社により名称ISO JOJOBA 50で販売されている製品がある。
本発明による組成物中のボタニカルバターの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。本発明による組成物中のボタニカルバターの量は、組成物の総質量に対して、0.3質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中のボタニカルバターの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。本発明による組成物中のボタニカルバターの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中のボタニカルバターの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中のボタニカルバターの量は、組成物の総質量に対して、0.3質量%~1質量%であることがより一層好ましいことがある。
(油)
本発明による組成物は、少なくとも1種の油を更に含んでもよい。2種以上の油が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
本明細書において、「油」とは、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で、液体又はペースト(非固体)の形態である、脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料に一般的に使用されるものを、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油;植物油、動物油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
植物油の例として、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、紅花油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
合成油の例として、イソドデカン及びイソヘキサデカン等のアルカン油、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸の液体エステル、及び飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールの液体エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
好ましくは、モノアルコールのエステルについて、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸のうちの少なくとも1つは分枝状である。
一酸のモノエステル、及びモノアルコールのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル(ミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル等)、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C4~C26ジヒドロキシアルコール、トリヒドロキシアルコール、テトラヒドロキシアルコール、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用してよい。
特に挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用できる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基を含み又は含まず、いくつかのアルコール官能基を含有する、少なくとも4個の炭素原子を含む酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってよい。
挙げることができる適当な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
脂肪酸の糖エステルは、前述した糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又は該エステルの混合物を含む群から特に選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1個から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
この変形態様によるエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってよい。
より具体的には、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、並びにオレオステアリン酸エステルが使用される。
挙げることができる例は、Amerchol社からGlucate(登録商標)DOの名称で販売される製品であるジオレイン酸メチルグルコースである。
好ましいエステル油の例として挙げることができるのは、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、グリセリルトリ(2-エチルヘキサノエート)、ペンタエリスリチルテトラ(2-エチルヘキサノエート)、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物である。
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
シリコーン油の例としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びこれらの混合物を挙げることができる。
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、特に少なくとも1個のアリール基を含む液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
これらのシリコーン油は、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ以上の有機官能基を含む。
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press社においてより詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
これらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選択され、更に、より詳細には、以下のものから選択される:
(i)3個から7個、好ましくは4個から5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらには、例えば、特に、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7207という名称で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2という名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7158という名称で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5という名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217という名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物がある。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのようなタイプのシクロコポリマー、例えばUnion Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることもできる。
上式中、D'':
上式中、D':
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
(ii)2個から9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例えば、特にToray Silicone社からSH 200の名称で販売されるデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた、使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中で主に挙げることができるのは、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンである。
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されている47及び70 047シリーズのSilbione(登録商標)油、又はMirasil(登録商標)油、例としては油70 047 V 500 000、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60000mm2/sであるDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及び、General Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られているジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
アリール基を有するシリコーンの中では、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択できる:
[式中、
R1~R10は、互いに独立に、飽和若しくは不飽和で、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特に、メチル、エチル、プロピル、又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、両端を含んで0~900、好ましくは両端を含んで0~500、より好ましくは両端を含んで0~100の整数であり、
ただし、n+m+qの合計は0以外である。]
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製の70 641シリーズのSilbione(登録商標)油、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250、及びSF 1265。
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上式中のR1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
有機変性液体シリコーンは、特に、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有していてもよい。したがって、Shin-Etsu社によって提案されるシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
炭化水素油は、以下から選択できる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンが含まれる。
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン(liquid petroleum jelly)、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子が含まれるものを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状でも分枝状でもよい。
脂肪アルコールは、R-OH[式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個、より好ましくは12~20個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状の基から選択される]構造を有し得る。少なくとも一実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
本明細書において、「飽和脂肪アルコール」という用語は、脂肪族飽和炭素の長鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20脂肪アルコールを好ましくは用いることができる。任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C16~C20脂肪アルコールをより好ましくは用いることができる。分枝状のC16~C20脂肪アルコールをより一層好ましくは用いることができる。
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)、並びにベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用できる。
少なくとも一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選択される。
本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でよい。本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.3質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.3質量%~1質量%であることがより一層好ましいことがある。
(膜形成ポリマー)
本発明による組成物は、少なくとも1種の膜形成ポリマーを更に含んでもよい。2種以上の膜形成ポリマーが使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
本発明の目的では、「ポリマー」という用語は、1つ以上の単位(これらの単位はモノマーとして知られる化合物から誘導される)の繰り返しに相当する化合物を意味する。この又はこれらの単位は、少なくとも2回繰り返され、好ましくは少なくとも3回繰り返される。
「膜形成ポリマー」という用語は、それ自体によって又は成膜補助剤の存在下で、支持体へ、特にケラチン物質へ付着する巨視的に連続した薄膜を、好ましくは密着性薄膜を、より一層良好には、例えば前記薄膜が、非粘着性表面(例えばテフロン(登録商標)で被覆された又はシリコーンで被覆された表面)上へ注がれて調製されるときに、分離可能であり且つ分離された状態で操作可能であるような密着性及び機械的性質を有する薄膜を形成できるポリマーを意味する。
膜形成ポリマーは、水性相中に分散した粒子の形態、特にラテックスの形態で存在することが好ましい。
本発明の組成物中で使用できる膜形成ポリマーの中では、フリーラジカル型又は重縮合型の合成ポリマー、天然起源のポリマー、及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明による膜形成ポリマーは、ビニル(コ)ポリマー、(メタ)アクリル酸(コ)ポリマー、ウレタン(コ)ポリマー、及びこれらの混合物から選択してよい。有利には、膜形成ポリマーは、スチレン-(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸コポリマー、酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸コポリマー、並びにこれらの混合物から選択される。
フリーラジカル型の膜形成ポリマーは、例えば、ビニルポリマー又はコポリマーから、例えばアクリルポリマーから選択してよい。
ビニル膜形成ポリマーは、少なくとも1種のエチレン性不飽和と少なくとも1種の酸性基を含むモノマー、及び/又はこれらの酸性モノマーのエステル及び/又はこれらの酸性モノマーのアミドの重合から生じ得る。
使用できる少なくとも1つの酸性基を含むモノマーとして、例えば、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸又はイタコン酸が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸及びクロトン酸が使用され得る。一実施形態においては、(メタ)アクリル酸が使用される。
酸性モノマーのエステルは、例えば、((メタ)アクリレートとしても知られる)(メタ)アクリル酸エステル、例えばアルキル、例えばC1~C20アルキル等のC1~C30アルキルの(メタ)アクリレート、C6~C10アリール等のアリールの(メタ)アクリレート、及びC2~C6ヒドロキシアルキル等のヒドロキシアルキルの(メタ)アクリレートから選択される。
挙げることができるアルキル(メタ)アクリレートの中では、例として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。
挙げることができるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では、例として、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。
挙げることができるアリール(メタ)アクリレートの中では、例として、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートが挙げられる。
使用できる(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、アルキル(メタ)アクリレートである。
本明細書で開示したように、エステルのアルキル基は、フッ素化又は過フッ素化されていてもよい、即ち、アルキル基の一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
挙げることができる酸モノマーのアミドの例としては、(メタ)アクリルアミド、例えば、C2~C12アルキルのN-アルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。挙げることができるN-アルキル(メタ)アクリルアミドの中では、例えば、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド及びN-ウンデシルアクリルアミドが挙げられる。
ビニル膜形成ポリマーは、ビニルエステルとスチレンモノマーとから選択されるモノマーの単独重合又は共重合からも生じ得る。例えば、これらのモノマーは、酸モノマー及び/又はそのエステル及び/又はそのアミド(例えば上述のもの等)と共に重合され得る。
挙げることができるビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル及びt-ブチル安息香酸ビニルが挙げられる。挙げることができるスチレンモノマーには、スチレン及びα-メチルスチレンが含まれる。
挙げることができる膜形成重縮合物の中では、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂、及びポリ尿素が含まれる。
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性のポリウレタン、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレートグラフトコポリマー以外のポリウレタン-アクリル樹脂、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリ尿素、及びポリ尿素-ポリウレタン、並びにこれらの混合物から選択され得る。
ポリエステルは、知られている様式に従って、ジカルボン酸とポリオール(例えばジオール)との重縮合によって得られ得る。
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環族又は芳香族であり得る。挙げることができる該酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカンジオン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレン-ジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸が含まれる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、又は少なくとも2つのジカルボン酸モノマーの組合せとして使用できる。これらのモノマーの中では、例えば、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が使用され得る。
ジオールは、脂肪族、脂環族及び芳香族のジオールから選択してよい。使用されるジオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール及び4-ブタンジオールから選択される。使用できる他のポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びトリメチロールプロパンが挙げられる。
ポリエステルアミドは、ポリエステルと同様の様式で、二酸とジアミン又はアミノアルコールとの重縮合によって得ることができる。使用できるジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、及びメタ-又はパラ-フェニレンジアミンが挙げられる。使用できるアミノアルコールは、例えば、モノエタノールアミンである。
またポリエステルは、少なくとも1つの-SO3M基[式中、Mは、水素原子、アンモニウムイオンNH4
+、及び金属イオン(Na+、Li+、K+、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+又はFe3+イオン等)から選択される]を有する少なくとも1種のモノマーも含み得る。例えば、このような-SO3M基を含む二官能性芳香族モノマーを使用してもよい。
上述の-SO3M基も含む二官能性芳香族モノマーの芳香核は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、オキシビフェニル、スルホニルビフェニル、及びメチレンビフェニル核から選択してよい。-SO3M基も含む二官能性芳香族モノマーの中では、例えば、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸を挙げることができる。
使用されるコポリマーは、例えば、イソフタレート/スルホイソフタレートベースのポリマー、例えば、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸及びスルホイソフタル酸の縮合により得られるコポリマーである。
本発明による組成物の一実施形態によれば、膜形成ポリマーは脂溶性ポリマーであり得る。
挙げることができる脂溶性ポリマーの例としては、ビニルエステル(ここで、ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合している飽和で直鎖状又は分枝状の1~19個の炭素原子の炭化水素系基から選択される基を含む)と、少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーが挙げられ、該他のモノマーは、ビニルエステル(既に存在しているビニルエステルとは異なるもの)、α-オレフィン(8~28個の炭素原子を含むもの)、アルキルビニルエーテル(アルキル基が2~18個の炭素原子を含むもの)、又はアリル若しくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合している飽和で直鎖状又は分枝状の1~19個の炭素原子の炭化水素系基から選択される基を含むもの)であり得る。
これらのコポリマーは、ビニル型、又はアリル型若しくはメタリル型のいずれかであり得る架橋剤、例えば、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート及びジビニルオクタデカンジオエートを使用して架橋されていてもよい。
挙げることができるこれらのコポリマーの例としては、以下のコポリマー:酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/1-オクタデセン、酢酸ビニル/1-ドデセン、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2-ジメチルオクタン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、0.2%テトラアリルオキシエタンで架橋された酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋された酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋された酢酸ビニル/1-オクタデセン、及び0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリルが含まれる。
また挙げることができる脂溶性膜形成ポリマーの例としては、例えば、9~22個の炭素原子を含むビニルエステル、又は10~20個の炭素原子を含むアルキル基のアルキルアクリレート若しくはメタクリレートの共重合から得られる脂溶性コポリマーが含まれる。
このような脂溶性コポリマーは、例えば、ステアリン酸ポリビニル、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル又はフタル酸ジアリルを用いて架橋されたステアリン酸ポリビニル、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ラウリン酸ポリビニル及びポリラウリル(メタ)アクリレートのコポリマーから選択することができ、これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジメタクリレート又はテトラエチレングリコールジメタクリレートを用いて架橋することができる。
上で定義される脂溶性コポリマーは知られており、例えば、仏国特許出願FR-A-2232303に記載されている。それらのコポリマーは、質量平均分子量が、例えば2,000~500,000(例えば4,000~200,000)の範囲であり得る。
本明細書で使用できる脂溶性膜形成ポリマーの中では、例えば、C2~C20アルケンのコポリマー等のポリアルキレン、例えばポリブテン、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C1~C8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドンとC3~C20アルケン等のC2~C40アルケンとのコポリマー等のビニルピロリドン(VP)のコポリマーも挙げることができる。本明細書で使用できるVPコポリマーの中では、例えば、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン又はVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーを挙げることができる。
いくつかの実施形態において、膜形成ポリマーは、50℃未満のTg(ガラス転移温度)値を有する。
使用できる膜形成ポリマーの水性分散体は、Avecia-Neoresins社製の名称「Neocryl XK-90(登録商標)」、「Neocryl A-1070(登録商標)」、「Neocryl A-1090(登録商標)」、「Neocryl BT-62(登録商標)」、「Neocryl A-1079(登録商標)」及び「Neocryl A-523(登録商標)」、Dow Chemical社製の名称「Dow Latex 432(登録商標)」、Daito Kasey Kogyo社製の「Daitosol 5000 AD(登録商標)」若しくは「Daitosol 5000 SJ」、InterPolymer社製の名称「Syntran 5760」で販売されているアクリル分散体、又はAvecia-Neoresins社製の名称「Neorez R-981(登録商標)」及び「Neorez R-974(登録商標)」、Goodrich社製の名称「Avalure UR-405(登録商標)」、「Avalure UR-410(登録商標)」、「Avalure UR-425(登録商標)」、「Avalure UR-450(登録商標)」、「Sancure 875(登録商標)」、「Sancure 861(登録商標)」、「Sancure 878(登録商標)」及び「Sancure 2060(登録商標)」、Bayer社製の名称「Impranil 85(登録商標)」、並びにHydromer社製の名称「Aquamere H-1511(登録商標)」で販売されているポリウレタンの水性分散体;ビニル分散体、例えば「Mexomer PAM」、並びにイソドデカン中のアクリル分散体、例えばChimex社製の「Mexomer PAP」がある。
本発明による組成物中の膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でよい。本発明による組成物中の膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
一方で、本発明による組成物中の膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、55質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下でもよい。本発明による組成物中の膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
したがって、組成物中の膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~55質量%、好ましくは0.1質量%~50質量%、より好ましくは1質量%~45質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%であることがより一層好ましいことがある。
(その他の任意選択の添加剤)
本発明による組成物は、例えば、膜形成ポリマー以外のポリマー、溶媒、ゴム、樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等の親水性増粘剤、疎水性増粘剤、分散剤、酸化防止剤、フェノキシエタノール等の保存剤、香料、中和剤、アルカリ剤以外のpH調整剤、殺菌剤、UV遮蔽剤、ビタミン、保湿剤、皮膚軟化剤又はコラーゲン保護剤等の化粧活性剤、並びにこれらの混合物から選択される、化粧品分野で通常使用される他の任意選択の添加剤も含んでよい。
本発明による組成物は、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい、1種以上の美容的に許容される有機溶媒を含んでよい。
このとき、有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の濃度で存在していてもよい。
本発明による組成物中に存在し得る上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が該添加剤により影響を受けないよう調節することは、当業者にとって常法である。
[調製]
本発明による組成物は、上記の必須成分及び任意選択の成分を、従来の方法で混合することによって調製することができる。
例えば、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のポリオキシアルキレン化ワックスと、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の脂肪酸と、
(d)水と
を混合する工程を含む方法によって調製することができる。
任意選択の成分のいずれかを更に混合することが可能である。
好ましくは、(a)のポリオキシアルキレン化ワックス及び(c)の脂肪酸を最初に混合して脂肪混合物を調製し、次いで、こうして調製された脂肪混合物を更に(b)のアルカリ剤及び(d)の水と混合して、本発明による組成物を得る。より好ましくは、(b)のアルカリ剤及び(d)の水を混合して親水性混合物を得、次いでこの親水性混合物を更に脂肪混合物と混合する。
混合は、任意の温度、好ましくは55℃以上、好ましくは65℃以上、より好ましくは75℃以上の温度で実施することができる。上記の任意選択の成分のいずれかと更に混合することが好ましい。
好ましくは、本発明による組成物は、液体、好ましくはエマルション、より好ましくは水中ワックス型又は水中油型エマルションの形態である。
[化粧の使用及び方法]
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはメーキャップ化粧用組成物(特に、アイメーキャップ化粧用組成物)、より好ましくはマスカラであってもよい。
本発明による化粧用組成物は、毛髪、眉毛及び睫毛等のケラチン繊維の、美容処置法、好ましくはメーキャップに使用することができる。
例えば、本発明による組成物は、本発明による組成物をケラチン繊維上に適用する工程を含む、ケラチン繊維、特に睫毛をメーキャップするための化粧方法に使用することができる。
本発明による組成物は、睫毛等のケラチン繊維に対して伸長効果を発揮することができる。更に、本発明による組成物は、ケラチン繊維に、美容効果、特にボリュームアップ効果(例えば、ケラチン繊維の太さを増加することができる)及びカールを保つ効果(例えば、ケラチン繊維のカールを維持することができる)等のメーキャップ効果も与えることができる。本発明による組成物によって与えられる伸長効果を含めた美容効果は、長時間持続することができる。
本発明による組成物は、睫毛等のケラチン繊維に均一に適用することができる。したがって、本発明の組成物による美容効果は、ケラチン繊維の根元から先端まで与えられ得る。したがって、ケラチン繊維は、その根元から先端まで一様な外観を示すことができる。
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかしながら、これら実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例証として提示される。
(実施例1~4及び比較例1~2)
[調製]
表1に示す実施例1~4及び比較例1~2による以下の組成物を、表1に示す成分を混合することによって、O/W型エマルションの形態のマスカラとして調製した。表1に示す成分の量の数値は全て、別段の指定がない限り、活性原料としての「質量%」に基づく。
[評価]
(伸長)
実施例1~4並びに比較例1及び2による各組成物を、パネリストの睫毛上に適用し、適用した睫毛の伸長を、目視観測によって、1から10のスコアに従って評価した。スコアの平均を、以下の判定基準に従って分類した。
極めて良好:7.0以上
良好:5.0から7.0未満
普通:3.0から5.0未満
不良:3.0未満
結果を表1(表1A及び表1B)に示す。
(概略)
ホホバワックスPEG-120エステル及びトロメタミンを含む実施例1による組成物は、睫毛に対して極めて良好な伸長効果を示す。
実施例1のトロメタミンの代わりにトリエタノールアミンを含む実施例2による組成物は、睫毛に対して良好な伸長効果を示す。
実施例1のトロメタミンの代わりにアミノメチルプロパンジオールを含む実施例3による組成物は、睫毛に対して良好な伸長効果を示す。
実施例1の成分に加えて繊維(ナイロン-6)も含む実施例4による組成物も、睫毛に対して極めて良好な伸長効果を示す。
実施例1~4は、睫毛に充分な伸長効果を与えることができる。実施例1~4から、さまざまなアルカリ剤がホホバワックスPEG-120と一緒に作用することができること、及び繊維の有無にかかわらず、トロメタミンの使用が、最良の伸長効果をもたらすことができることが理解できる。
実施例1による組成物中にホホバワックスPEG-120を含まない(一方で、除外された分を補償するために水の量が増加された)比較例1による組成物は、睫毛に対して良好な伸長効果を示さなかった。
実施例1による組成物中にホホバワックスPEG-120を含まない(一方で、除外された分を補償するために、ホホバワックスPEG-120エステルと同様のHLB値を有するステアレス-20の量が増加された)比較例2による組成物は、睫毛に対して良好な伸長効果を示さなかった。
比較例1及び2は、睫毛に充分な伸長効果を与えることができない。比較例1及び2から、睫毛に充分な伸長効果を与えるためにホホバワックスPEG-120の使用が必要であることが理解できる。