JP2007313445A - 排水処理方法、排水処理装置、および排水回収システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】界面活性剤を含有する排水をNF膜に通水するNF膜通水装置113と、NF膜を通水した排水を活性炭で処理する活性炭塔117と、活性炭で処理した排水を原水として通水し、電子デバイス製造設備10へ供給する供給水を製造する純水製造装置120とを含む排水回収システム100。
【選択図】図1
Description
また、RO膜を用いる方法も考えられるが、界面活性剤がRO膜表面に不可逆的に吸着してRO膜を閉塞させることが多いためあまり好ましくない。しかし、この閉塞を防止すべく、RO膜の入口水にアルカリを添加してpHを9.5以上に調整する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
即ち、生物を用いて有機物を分解する方法、及び、活性炭を用いて有機物を吸着・除去する方法については、有機物の種類により生物分解性や吸着性が異なるため、汎用性に劣るものである。しかも、半導体デバイスや液晶ディスプレイの製造工程においては多種多様な界面活性剤が用いられるが、そのような界面活性剤の多くは生物分解性の低いものが多い。
また、特許文献1,2に記載のpHを調整する方法についても、必ずしも全ての界面活性剤に対して効果的であるとは言えない。一部の界面活性剤に対しては、pHを9.5以上としても界面活性剤のRO膜への不可逆的吸着を十分に抑制できず、RO膜を頻繁に交換せざるを得ない場合がある。
即ち、本発明の排水処理方法は、界面活性剤を含有する排水をNF膜に通水するNF膜通水工程と、NF膜に通水した排水を活性炭で処理する活性炭処理工程とを含むことを特徴としている。
ここで、排水をアニオン交換樹脂で処理するイオン交換手段を更に備え、イオン交換手段は、NF膜に通水された排水が活性炭処理手段で処理される前、又は活性炭処理手段で処理された後に、排水のイオン交換を行なうことを特徴とすることができる。
ここで、処理水の一部をRO膜に通水し、処理水中に含まれるRO膜閉塞物質を検知する検知装置を更に備えることを特徴とすることができる。
NF膜はRO膜と同様に界面活性剤を除去できると共に、界面活性剤の不可逆的吸着に強い(不可逆的吸着が生じ難い)。しかし、NF膜の場合には、界面活性剤を完全には除去できず、界面活性剤の一部が透過水に漏洩する場合がある。そのような漏洩は微量であっても、純水製造装置に使用されるRO膜を閉塞させる等のトラブルを引き起こしてしまう。また、NF膜はRO膜に比べて脱塩性能に劣る。
従って、界面活性剤や塩類の除去能力の観点から、有機物含有排水(特に、多種多様な界面活性剤や塩類が含まれることがある、電子デバイス製造工場等から排出される排水)を処理する際に用いるろ過膜として、NF膜ではなく、RO膜を選択し、且つ、生物処理等の前処理と組み合わせることでRO膜の閉塞を抑制するのが、当業者としては一般的であった。
ここで、活性炭はNF膜の後段に設置されるので、排水を直接に活性炭で処理する場合に比べ、活性炭への全有機炭素量(TOC:Total Organic Carbon)の負荷を大幅に低減することができる。つまり、活性炭のライフが大幅に伸び、活性炭の交換頻度が低減される。また、上述の通り、NF膜に対しては界面活性剤の不可逆的吸着が生じにくい。
そして、これらNF膜と活性炭とを組み合わせて使用する結果、それぞれの作用により排水中の不要物が除去可能であるのみならず、それらが有機一体的に機能することにより、全体として連続運転性の良好な排水処理方法等が実現されるものである。
また、活性炭やイオン交換樹脂による処理工程からRO膜を閉塞させる成分がリークしているか否かについては、純水製造設備のRO膜の透過水量や操作圧力の変化から直接判断することも可能である。しかし、界面活性剤によるRO膜の閉塞は急激な場合もあるので、より早く界面活性剤のリークを検出する手段が望まれる。
なお、この方法では、活性炭やイオン交換樹脂による処理水を直接RO膜に通水させるので、リークした界面活性剤の影響をより早く検知することができる。
〔実施の形態1〕
図1は、本実施の形態が適用される排水回収システム100を説明するための構成図である。図1に示す排水回収システム100は、半導体デバイスや液晶ディスプレイといった電子デバイスの製造ライン等を含む電子デバイス製造設備10に接続され、この電子デバイス製造設備10からの排水を回収して再利用するための設備(システム)を構成している。
電子デバイス製造設備10は、電子デバイスを水洗する洗浄工程を含んでいる。また、排水回収システム100は、このような洗浄工程から生じる排水を処理し、電子デバイス製造設備10に戻して排水の再利用を実現している。
また更に、ノニオン系またはアニオン系界面活性剤の不可逆的な吸着が比較的少ない膜としてアニオン荷電膜、ノニオン膜のいずれかが好ましい。
また、NF膜に供給される界面活性剤含有排水中に含まれる界面活性剤の濃度としては、特に限定されるものではないが、TOC濃度として、通常20mg/L〜0.2mg/L、好ましくは10mg/L〜0.2mg/Lである。このような界面活性剤含有排水に対して排水処理を行なう場合、NF膜の閉塞のおそれがより低減されるため好適である。
NF処理水槽114に移送された排水は、更に、ポンプ116により活性炭塔117に移送される。活性炭塔117では、その内部に設置された活性炭により、移送された排水中に含まれる界面活性剤等(NF膜通水装置113を漏洩した界面活性剤等)が吸着・除去される。
また、このような活性炭としては市販品を用いることができ、例えばダイヤホープ008N,006N,Filtrasorb400(いずれも、三菱化学カルゴン株式会社製)等を使用することができる。
以下、実施例により本実施の形態(実施の形態1)を具体的に説明する。但し、本実施例は、本実施の形態を限定するものではない。
(実施例1)
NF膜通水装置113としてSU−610(4インチモジュール、1本、東レ株式会社製)、活性炭塔117としてダイヤホープ008N(三菱化学カルゴン株式会社製)を用いて、図1に示す排水処理装置110を構成した。
回収原水槽111に貯蔵される界面活性剤含有排水としては、界面活性剤(横浜油脂工業株式会社製 セミクリーンKG−3)を、TOC濃度として10mg/L(即ち、10ppm)含有するメイクアップ水を用いた。そして、表1に示すNF膜通水条件にて30日間の連続運転を行ない、NF膜通水装置113の平均操作圧、NF膜通水装置113を通水後の処理水のTOC濃度、更に、活性炭塔117を通水後の処理水のTOC濃度を測定した。結果を図5に示した。
NF膜の透過しない濃縮側の水をNF膜供給水に循環することを意味する。通常、NF膜、RO膜ともに膜表面での過度の濃度分極を避けるために、濃縮水の最小流量を決めている。しかし、少ないモジュール数で回収率を高く、すなわち濃縮水を少なくすると最小濃縮水量より少なくなる場合がある。これを避けるために、濃縮水の量を大きくするとともに、その大部分を供給水に循環する方式が取られる。
(濃縮水ブロー量)
NF膜の透過しない濃縮側の水のうちで、供給水側に循環せずに、系外に排水する量を意味する。
(SV≒18)
活性炭体積あたりに通水する水の量(空間速度)を意味する。SV:Space Velocity。処理量(m3/h)/充填剤量(m3)で算出される。
NF膜通水装置113、NF処理水槽114、ポンプ116、及び活性炭塔117の代わりに、RO膜通水装置(LF−10、4インチモジュール1本、日東電工株式会社製)を用いた。
実施例1と同様の界面活性剤含有排水を用い、表2に示すRO膜通水条件にて2日間の連続運転を行なった。RO膜通水装置の平均操作圧、及びRO膜通水装置を通水後の処理水のTOC濃度を測定した。なお、表2中の項目の意義は表1と同様である。結果を図6に示した。
一方、比較例1(図6)においては、RO膜通水装置の平均操作圧が経時的に連続して上昇し、2日程度の連続運転により平均操作圧が初期操作圧の約1.4倍程度にまで上昇した。比較例1の排水処理装置においては、頻繁なRO膜の交換が必要である。つまり、比較例1の排水処理装置は、連続運転の観点からはなお改良の余地を有する排水処理装置であった。
実施の形態1では、図1に示すように、NF処理水槽114に貯蔵された排水をポンプ116により活性炭塔117に移送した。実施の形態2では、実施の形態1と同様な課題に対応するために、NF処理水槽114に貯蔵された排水をポンプ116により、まずアニオン交換樹脂塔218に移送し、その後、活性炭塔117に移送する。これにより、活性炭に吸着され難いアニオン系の界面活性剤等を、排水からより確実に除去することができる。
尚、実施の形態1と同様な機能については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
また、そのようなアニオン交換樹脂としては市販品を用いることができ、例えばSAT10L、SA10A(ともに三菱化学株式会社製)等を挙げることができる。
以下、実施例により本実施の形態(実施の形態2)を具体的に説明する。但し、本実施例は、本実施の形態を限定するものではない。
(実施例2)
NF膜通水装置113としてSU−610(4インチモジュール、1本、東レ株式会社製)、活性炭塔117としてダイヤホープ008N(三菱化学カルゴン株式会社製)、アニオン交換樹脂塔218としてSAT10L(三菱化学株式会社製)を用いて、図2に示す排水処理装置210を構成した。
回収原水槽111に貯蔵される界面活性剤含有排水としては、実施例1と同様のメイクアップ水を用いた。そして、表3に示す通水条件にて30日間の連続運転を行ない、NF膜通水装置113の平均操作圧、NF膜通水装置113を通水後の処理水のTOC濃度、アニオン交換樹脂塔218を通水後の処理水のTOC濃度、更に、活性炭塔117を通水後の処理水のTOC濃度を測定した。なお、表3中の項目の意義は表1と同様である。結果を図7に示した。
また、アニオン交換樹脂塔218を更に備えた装置構成とした結果、上記実施例1と比較して、最終的に得られる処理水のTOC濃度が更に低減されていた。
実施の形態2では、図2に示すように、NF処理水槽114に貯蔵された排水をポンプ116によりアニオン交換樹脂塔218に移送し、更に、活性炭塔117に移送した。実施の形態3では、実施の形態2と同様な課題に対応するために、NF処理水槽114に貯蔵された排水をポンプ116により活性炭塔117に移送し、更に、アニオン交換樹脂塔218に移送する。これにより、排水中からより良好に界面活性剤等が除去される。しかも、実施の形態2の場合と比較して、高価なアニオン交換樹脂へのTOC負荷が低減されるため、アニオン交換樹脂の交換頻度をより低減することができる。
尚、実施の形態2と同様な機能については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
実施の形態3では、図3に示すように、アニオン交換樹脂塔218で処理した排水を全て原水20に混合させて純水製造装置120へ移送した。実施の形態4では、実施の形態3と同様な課題に加え、排水処理装置に備えられる活性炭やイオン交換樹脂の交換時期を適切に検知する観点から、アニオン交換樹脂塔218で処理した排水の一部を検知装置の一例としてのRO膜装置419に移送する。
つまり、RO膜装置419の運転時の平均操作圧の変化等を監視することにより、活性炭やイオン交換樹脂の適切な交換時期を判断することができる。活性炭やイオン交換樹脂が過度に失活する以前に、適切なタイミングでそれらを交換することにより、純水製造装置120へ供給される処理水に含まれるRO膜閉塞物質を、一定レベル濃度以下に維持することができる。
以下、実施の形態4についてさらに説明する。尚、実施の形態3と同様な機能については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
処理水の流量のうち、流路Aにて移送される処理水の流量は、RO膜装置419に備えられた膜の本数と単位膜面積あたりの流量から決められる。RO膜装置419に備えられるRO膜は検知装置としての役割が果たすことが出来ればいいので、通常1〜2本で構わない。またRO膜装置419の単位面積あたりの流量としては、純水製造装置120に備えられるRO膜を通過する単位面積あたりの流量の通常1.2倍〜3倍、好ましくは1.5倍〜2倍である。
このような流量比とすることにより、活性炭塔117又はアニオン交換樹脂塔218からRO膜閉塞成分が漏洩した場合、RO膜装置419に備えられたRO膜を、純水製造装置120に1又は2以上備えられたRO膜よりも優先的に閉塞させ、純水製造装置120に備えられたRO膜が閉塞するより前に活性炭またはイオン交換樹脂の交換時期を判断することが出来る。
また、RO膜装置419に備えられたRO膜としては、特に限定されるものではないが純水製造装置120に備えられたRO膜と同一の銘柄あるいは同系列の銘柄を用いるのが好ましい。
Claims (8)
- 界面活性剤を含有する排水をNF膜に通水するNF膜通水工程と、
前記NF膜に通水した排水を活性炭で処理する活性炭処理工程と
を含む排水処理方法。 - 前記NF膜通水工程を経た後であって、前記活性炭処理工程の前、又は前記活性炭処理工程の後に、アニオン交換樹脂で処理するイオン交換工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の排水処理方法。
- 処理水の一部をRO膜に通水し、当該処理水中に含まれるRO膜閉塞物質を検知する検知工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載の排水処理方法。
- 前記界面活性剤は、アニオン系、又はノニオン系界面活性剤であり、処理水を、製造設備へ供給する供給水の原水として回収することを特徴とする請求項1,2又は3記載の排水処理方法。
- 界面活性剤を含有する排水をNF膜に通水するNF膜通水手段と、
前記NF膜に通水した排水を活性炭で処理する活性炭処理手段と
を備える排水処理装置。 - 前記排水をアニオン交換樹脂で処理するイオン交換手段を更に備え、
前記イオン交換手段は、前記NF膜に通水された排水が前記活性炭処理手段で処理される前、又は前記活性炭処理手段で処理された後に、排水のイオン交換を行なうことを特徴とする請求項5記載の排水処理装置。 - 界面活性剤を含有する排水から、製造設備へ供給する供給水の原水を回収する排水回収システムであって、
界面活性剤を含有する排水をNF膜に通水するNF膜通水装置と、
前記NF膜を通水した排水を活性炭で処理する活性炭処理装置と、
前記活性炭で処理した排水を原水として通水し、製造設備へ供給する供給水を製造する供給水製造装置と
を含む排水回収システム。 - 処理水の一部をRO膜に通水し、当該処理水中に含まれるRO膜閉塞物質を検知する検知装置を更に備えることを特徴とする請求項7記載の排水回収システム。
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